ラベル 擬態 の投稿を表示しています。 すべての投稿を表示
ラベル 擬態 の投稿を表示しています。 すべての投稿を表示

2024/11/06

ヤマハッカの花蜜を吸うウラナミシジミ♂

 

2023年9月下旬・午後12:00頃・くもり後晴れ 

山腹の草地に咲いたヤマハッカの群落でウラナミシジミ♂(Lampides boeticus)が訪花していました。 
この組み合わせは初見です。 
初めは翅をしっかり閉じて吸蜜していました。 
閉じた後翅を互いに擦り合わせて、尾状突起を触角のように動かして自己擬態しています。 
鳥などの捕食者に対して「偽の頭部」を体の反対側にも見せることで、眼状紋をつつかれても本当の急所に致命傷を負う確率を半分に減らす自衛の作戦なのです。

少し飛んで次の花穂に移動すると、半開きにしてくれた翅の隙間から翅表が見えて、♂と判明しました。

2024/10/13

ナギナタコウジュの花蜜を吸い飛び回るウラナミシジミ♀【FHD動画&ハイスピード動画】

 

2023年10月上旬・午後14:25頃・晴れ 

里山の峠道の傍らに咲いたナギナタコウジュの群落でウラナミシジミ♀(Lampides boeticus)が訪花していました。 
意外にも、この組み合わせを撮れたのは初めてです。 
翅をしっかり閉じて口吻を伸ばし、吸蜜していました。 

ウラナミシジミの後翅には尾状突起があるはずなのに、この個体は失っていました。 
左右対称の損傷なので、鳥につつかれたビークマーク(食痕)と思われます。 
鳥を騙す自己擬態の作戦が奏功して、命からがら生き延びたことになります。
後翅の後端には黒い斑点が2つあり、2つの斑点の間には細い尾状突起が突き出ている。この黒い斑点と尾状突起は複眼と触角に似ていて、頭部に似た模様をもつことで身体の方向や頭部の位置について敵の目をあざむいていると考えられている。(wikipedia:ウラナミシジミより引用)
ウラナミシジミの性別を知るには、翅表の斑紋を見る必要があります。 
ナギナタコウジュの花穂から飛び立つ瞬間を狙って240-fpsのハイスピード動画でも撮ってみました。(@1:22〜) 
素早く羽ばたいて次の花へ飛び去ったのですが、スーパースローで見えた翅表から♀と判明しました。

2024/06/05

飛べ!ヤマトクチブトメバエ【FHD動画&ハイスピード動画】

 

2023年9月上旬・午後14:50頃・くもり 

川沿いの堤防路の草むらでスズメバチに酷似した見慣れないハエを見つけました。 
初めはアップルミントの群落に居たのですが、訪花シーンを撮り損ねました。 
惚れ惚れするほど見事なベイツ型擬態で、かなりレベルが高いです。 
虫に詳しくない人が見たら間違いなく騙されて、恐れおののくでしょう。 
しかし体長はスズメバチよりも小さいです。 
私は触角や口器の形状からメバエ科の一種だろうと予想しました。 
擬態のモデルはおそらくコガタスズメバチVespa analis insularis)でしょう。 

オオブタクサの葉に止まり直したメバエをじっくり撮影してみました。 (冒頭のシーンだけ、違う種類の植物の葉にメバエが止まっていました。) 
撮れた写真で画像検索(Google Lens)してみると、どうやらヤマトクチブトメバエLeopoldius japonicus)と判明しました。 
やや珍しい種類らしいのですが、山形県ではレッドデータブックに登録されていません(絶滅危惧種というほどの希少種ではない)。 
撮影地点は平地(郊外)の堤防路で、大して自然度は高くありません。 
ススキやヨシ、クズなどに混じってニセアカシア、セイタカアワダチソウやオオブタクサなどの外来植物が繁茂するような環境です。
ヤマトクチブトミバエの寄主と思われるツチバチ類は多数見かけます。 

次のシーンでオオブタクサの葉から急に飛び立ったヤマトクチブトミバエを1/5倍速のスローモーションでリプレイしてみると(@0:31〜0:39)、同種の別個体が飛来した途端にまるで迎撃するように葉から飛び立っていました。
私はメバエの性別を形態的に見分ける方法を知りませんが、行動を見る限りでは、♂が縄張りを張って交尾相手の♀を待ち伏せしていたように見えます。 
ライバル♂を追い払ったのかもしれません。(縄張り占有行動?) 
あるいは寄主のツチバチが蜜源植物に来るのを♀が待ち伏せしていたという可能性も考えられます。 (別個体を追い払ったのは誤認?) 

オオブタクサの葉に止まり直すと、口吻の根元を少しだけ動かして角度を変えました。 
ヤマトクチブトミバエが葉から飛び立つ瞬間を狙って、240-fpsのハイスピード動画でも撮ってみました。(@0:50〜) 
葉に着地した直後は翅を半開きにしていたヤマトクチブトミバエは、しばらくすると翅をしっかり閉じました。 
風が吹いて葉が揺れるので、ときどき足を踏み変えてバランスを保っています。 
止まり木で縄張りを張るトンボと違い、葉上のヤマトクチブトミバエは上空の飛翔体を分かりやすく複眼で追うことはしないので、どちらに飛ぶのか予測不能です。 
やがて、しっかり閉じていた翅を急に半開きに戻しました。(迎撃態勢?) 
後半はなかなか飛んでくれないので、痺れを切らした私がメバエの目の前で手足を振ったり物を投げつけたりして、強引に飛び立たせました。 


【アフィリエイト】 

外来植物のオオブタクサについて 


最近になって川沿いのこのエリア限定で草丈の高い見慣れない植物の群落が急激に増え始め、気になっていました。 
今回ヤマトクチブトメバエが葉に止まっていたのをきっかけに名前を調べてみると、悪名高い外来植物のオオブタクサと知りました。
風媒花で大量の花粉を撒き散らすので、花粉症の原因のひとつとされています。 
この堤防路では、古参の外来植物であるセイタカアワダチソウの群落を駆逐しつつある勢いです。 
メジャーな外来植物なのに、これまでどうして私の目に留まらなかったのか、逆に不思議です。 
幸い他のエリアでは見たことがありません。 
記憶を探っても、子供の頃にオオブタクサを見たことがあるような、ないような、自分でもはっきりしません。 (旅先で見かけたのかもしれません。) 
近年になって当地に侵入し、分布を急速に広げているのでしょうか? 
それとも駆除根絶に一度は成功した後に再侵入したのかな? 

オオブタクサの写真を撮ったのですが、連日の猛暑と雨不足のため、特徴的な形をした葉がすべてだらんと萎れていました。 
また機会があったら撮り直します。 

【アフィリエイト】 

2024/04/03

トリアシショウマの花を舐めるスズキナガハナアブ♀【ベイツ型擬態】

 

2023年7月中旬・午後12:20頃・くもり 

里山の細い山道(ほぼ廃道状態)に沿って咲いたトリアシショウマの群落でスズメバチにそっくりなアブが訪花していました。 
後で調べてみると、スズキナガハナアブ♀(Spilomyia suzukii)でした。 
 【参考】:「ハナアブの世界」サイトにスズキナガハナアブの標本写真が掲載されています。 

半開きの翅をリズミカルに開閉しながら口吻を伸縮させて花粉と花蜜を舐めています。 
食事の合間に左右の前脚で頭部を擦ったり口吻を挟み込んだりして、付着した花粉を拭い取りました。 
本種の訪花シーンは初見です。
同一個体を追いかけて撮影しました。 
森の中でヒグラシ♂(Tanna japonensis)が寂しげに鳴いています♪ 

冒頭のシーンではヒメトラハナムグリLasiotrichius succinctus)も同じトリアシショウマの花穂に来ていましたが、互いに無関心でした。 


スズキナガハナアブはベイツ型擬態の好例ですけど、モデルとなった蜂が何なのか、よく分かりません。 
キアシナガバチPolistes rothneyi)ですかね? 
特定の種類のスズメバチやアシナガバチではないかもしれません。 
蜂好きが見ると不完全な擬態で、粗が目立ってしまいます。 
まず腰が太いので「毒針に刺されそうで怖い!」とは思いません。 
本当に刺す蜂(有剣類)は、腰が細いのが特徴です。
私の知る限り、スズメバチ類はトリアシショウマの花で吸蜜しませんから、その点でも違和感を覚えました。 
しかし捕食者に恐怖で狩りを躊躇させるには充分似ているのでしょう。 

スズキナガハナアブは「人の手があまり入らない、原生的な自然環境を必要とする種」とのことで、確かに今回の現場は原生林というほどではありませんが、整備されずに放置された里山でした。 
多数の倒木で塞がれた廃道には雑草や灌木が生い茂っていました。 
山の管理者が林道や登山道をきれいに整備した途端に周辺の生物多様性が貧困になる(希少種は居なくなり、ありふれた普通種しか見られなくなる)という現象は私も実感しています。 
林業の観点からは山林を整備した方が良いに決まっているので、自然破壊と一概には決めつけられません。 
間伐して定期的に下草を刈るなどの整備を施して林縁的な里山環境が保全されている方が生物多様性は高まる、というのが定説ですけど、希少種の昆虫に関しては優しくないのでしょう。 

スズキナガハナアブの幼虫は何を食べて育つのか、生態が解明されているのでしょうか? 
生息環境が原生林に限られるということは、おそらくスズメバチの巣などに寄生するのではないか?(何かしらの寄生種だろう)と私はずばり予想します。
寄主の巣に産卵する際に擬態が役立っているのではないか?と先走った妄想をしています。 


関連記事(9、12年前の撮影)▶  


2024/03/31

コガタスズメバチにベーツ擬態するオオナガハナアブ♀の身繕い・飛翔

 

2023年7月中旬・午後12:05頃・くもり 

里山の雑木林を抜ける林道を歩いていると、オオバクロモジの葉の上に見慣れないアブを見つけました。 
後で調べてみると、オオナガハナアブ♀(Spilomyia gigantea)という希少種でした。 
都道府県によってはレッドデータブックで絶滅危惧種に指定されているのですが、ここ山形県では特に指定されていませんでした。 

コガタスズメバチVespa analis insularis)のワーカー♀と瓜二つで、驚くほど見事なベイツ型擬態です。 
ただしオオナガハナアブの複眼は頭部と同じくオレンジ色で、この点は改善の余地がありそうです。 
ちなみに、コガタスズメバチの複眼は茶色です。
左右の前脚を揃えて拝むように擦り合わせ、身繕いしていました。 
接写するために私がレンズをそっと近づけると、オオナガハナアブ♀は警戒したのか左右の前脚を同時に上げて万歳しました。 
スズメバチの長い触角を模した行動なのでしょうか?
しかしスズメバチは触角の先を下に向けていることが多い気がします。(下の写真を参照) 
腹部をピクピクと前方に軽く屈曲させているのは、スズメバチ♀が毒針で刺す行動を真似て威嚇しているのかもしれません。(行動擬態) 
もしオオナガハナアブ♀を生け捕りにしたら、腹端で私の指を刺す真似をするかどうか、確かめてみたいものです。 



擬態のブラフが通用しないと悟ると、オオナガハナアブ♀はブーン♪と蜂のような羽音を立てて、急に左へ飛び去りました。 
飛び立つ瞬間を1/5倍速のスローモーションでリプレイ。 
最後に擬態者(オオナガハナアブ♀)とモデル(コガタスズメバチ♀)の比較写真をスライドショーで示します。 


【アフィリエイト】 

比較として、擬態のモデルと思われるコガタスズメバチ♀の写真を載せておきます。
(全て私が過去に撮った写真で、スライドショーの素材にしました。)

2023/08/03

クマイチゴの葉から飛び立つセスジスカシバ♀(蛾)

 

2022年9月中旬・午後12:50頃・晴れ 

里山の急斜面をつづら折れで登る山道の傍らで、クマイチゴの葉表の縁にセスジスカシバ♀(Pennisetia fixseni fixseni)が乗っていました。 
 
触角の形状から♀と見分けられます。 
セスジスカシバ幼虫の食草はバラ科のキイチゴ類なので、♀が産卵していた可能性が高いです。 
横からではなく背側から撮ったので、残念ながら産卵姿勢かどうかはっきり見えませんでした。 
撮影後に葉をめくってみて、裏面に卵の有無をチェックすべきでしたね。 
実際に、セスジスカシバ♀が居た葉には虫に大きく食害された跡(食痕、虫食い跡)が残っていました。 
母親の立場になって考えると、虫食いの無いきれいな葉(餌資源として質の高い葉)に産卵した方が孵化してくる幼虫のためになる気がするのですけど、この♀個体は無頓着でした。

カメラを近づけたら警戒し、飛んで逃げました。 
かすかに聞こえる羽音も蜂のような重低音でした。
キイロスズメバチにそっくりなベーツ型擬態をした昼行性の蛾ですから、こんな虫が飛んで向かってきたら、多くのヒトは怯んでしまうはずです。
見た目(視覚)だけでなく羽音(聴覚)でもハチに似せているのは興味深いですね。 
翅の形態を似せれば、自ずと羽音も似てくるのでしょうか? 
飛び立つ瞬間を1/5倍速のスローモーションでリプレイ。 

※ 羽音♪が聞き取れるように、動画編集時に音声を正規化して音量を強制的に上げています。


関連記事(同時期の撮影)▶ 飛べ!セスジスカシバ♂(蛾) 

2023/07/03

アリに噛まれて飛び去るオオモモブトハナアブ♀

 

2022年9月上旬・午前11:55頃・くもり 

山道の横の苔むしたハリギリ(別名センノキ)大木の根元でホバリング(停空飛翔)する昆虫がいました。 
縄張りを張っていたのか、あるいは私の汗を舐めようと飛来したのか、分かりませんでした。 
てっきりマルハナバチかと思ったのですが、林道脇に露出した石の上に着陸したのでズームインしてみると、マルハナバチにベーツ擬態したオオモモブトハナアブ♀(Matsumyia jesoensis)でした。 
 「カオグロ」オオモモブトハナアブではありません。 
側面からは分かりにくいのですけど、左右の複眼は中央で接していないので♀と判明。 

石の上で微小なアリ(種名不詳)に右中脚の先端(跗節)を噛まれ、慌てて飛び去りました。 
微小なアリにしてみれば、ただでさえ視力が悪いのに巨大なアブの全身像は把握できませんから、蜂に擬態しているかどうかなんて預かり知らぬところです。
オオモモブトハナアブ♀を攻撃して追い払ったというよりも、噛み付いて獲物かどうか味見してみたのでしょう。
つまり、アリに対してベーツ型擬態は通用しません。

オオモモブトハナアブ♀は近くの幼木の葉に止まり直したものの、すぐにまた飛び立ちました。 
音量を上げるとオオモモブトハナアブ羽音♪がかすかに聞こえます。 
1/5倍速のスローモーションでリプレイ。(@0:30〜) 

※ 羽音が聞き取れるように、動画編集時に音声を正規化して音量を強制的に上げています。



2023/06/13

カバエダシャク♂(冬尺蛾)の見事な保護色がバレると…

 

2022年11月上旬・午後13:45頃・晴れ

里山の雑木林を飛び回っていた蛾が林床の落ち葉に着陸しました。 
イタヤカエデの黄色い落ち葉に乗っていた蛾にズームインすると、カバエダシャク♂(Colotois pennaria ussuriensis)でした。 
触角が羽毛状なので、この個体の性別は♂と見分けられます。 

晩秋で冬尺蛾のシーズンが始まりました。 
今期初見のカバエダシャクになります。 

褐色(茶色)の翅が落ち葉に対して見事な保護色になっている他、前翅の外縁に浅い鋸歯が入っているおかげで、隠蔽擬態となっています。 
(翅の外縁が直線状よりも、ゆるくギザギザが入っている方が翅の輪郭が分かりにくくなります。)
落ち葉の上で動かなければ、見つけ出すことはほぼ不可能でしょう。
目立たない姿が、その生物の色や模様によって達成されている場合、これを保護色と言い、姿形や行動によって行われる場合を擬態と言う。両者を兼ね備えている場合も当然ながらある。(wikipediaより引用)

イタヤカエデの落ち葉と一緒にそっと拾い上げても、カバエダシャク♂は飛んで逃げませんでした。 
しかし私が親指で翅に軽く触れた途端に、準備運動無しで飛び去りました。 
飛び立つ瞬間を1/5倍速のスローモーションでリプレイ。 


▼関連記事(7、8年前の撮影) 





2023/04/18

ミゾソバに訪花吸蜜するウラナミシジミ♀【FHD動画&ハイスピード動画】

 

2022年10月中旬・午後14:25頃・晴れ 

河川敷を横切る水路(出水樋門の下流)に沿って咲いたミゾソバの群落でウラナミシジミ♂(Lampides boeticus)が訪花していました。 
この組み合わせは初見です。 
翅を閉じて吸蜜すると翅裏の眼状紋が目立ちます。 
強い西日を浴びて白飛び気味になってしまいました。 

閉じた後翅を互いに擦り合わせ、尾状突起を偽の頭部の触角のように動かしています。(自己擬態行動) 
本物の触角は剛性があるようで下げたまま動かないのに、尾状突起は秋風にヒラヒラとなびいています。 

しばらくすると翅を半開きにしてくれたおかげで翅表がしっかり見え、♀と判明しました。 
翅が無傷の新鮮な(羽化直後の)個体です。 
風が止むのを待って日光浴するのでしょうか。 

花から飛び立つ瞬間を狙って240-fpsのハイスピード動画でも撮ってみました。(@1:50〜)

2022/10/04

トリアシショウマの花から花へ飛び回るヒメトラハナムグリ

 

2022年7月下旬・午後12:25頃・晴れ 

里山の細い林道を登っていると、道端に咲いたトリアシショウマの群落でヒメトラハナムグリLasiotrichius succinctus)が訪花していました。 
花粉や花蜜を食べに来たのでしょう。 
セマダラコガネAnomala orientalis)の左に居るのがヒメトラハナムグリです。 
マクロモードで接写しようとレンズをそっと近づけると、ヒメトラハナムグリはトリアシショウマの花穂から飛び立ち、離着陸を繰り返しています。 
外見が蜂に似ているベーツ擬態というだけでなく、羽音も蜂に似てブーン♪と軽快な羽音を立てて飛び回ります。 
すると先客のオオハナアブ♂が遠慮して逃げました。 
その間、セマダラコガネは後脚を高々と持ち上げて威嚇・牽制しています。 

飛び立ちおよび飛翔シーンを1/5倍速のスローモーションでリプレイしてみると(@0:40〜)、ヒメトラハナムグリは鞘翅を閉じたまま後翅を広げて羽ばたいていることが分かります。 
実際には鞘翅は半開きで建付けが悪く、飛翔中はガタついていました。 
脚を左右に大きく広げて飛んでいます。 
240-fpsのハイスピード動画でも飛翔シーンを撮ってみたかったのに、カメラの撮影モードを切り替えたらもう飛んでくれなくなりました…。 

※ 羽音が聞き取れるように、動画編集時に音声を正規化して音量を強制的に上げています。

2021/12/29

シマヘビ幼蛇の死骸(ロードキル)

2021年10月上旬 

山麓の田園地帯で舗装された農道に蛇の轢死体(ロードキル)が腹を向けて転がっていました。 
アスファルトの上で日光浴していたところを車に轢かれたのでしょう。 
ひっくり返して見ると、シマヘビElaphe quadrivirgata)の幼蛇でした。 
幼蛇の時期は縦縞模様ではなく横縞で、毒蛇のニホンマムシと似ています。 
これはベーツ型擬態なのでしょうか。 
車の運転者がマムシと見間違えて、(危険な毒蛇を駆除するつもりで)故意に車に轢き殺されてしまったのだとしたら、逆効果ですね。
夕方だったせいか、屍肉食性の昆虫や分解者は何も来ていませんでした。
 
関連記事(2年前の撮影)▶ シマヘビ幼蛇の威嚇

2021/12/12

マルハナバチに擬態したカオグロオオモモブトハナアブ♀の化粧行動

 

2021年9月中旬・午後15:55頃・くもり 

雑木林に囲まれた細い山道の横でマルハナバチにそっくりなハナアブを見つけました。 
残念ながら顔を正面から拝めなかったのですが、どうやらカオグロオオモモブトハナアブMatsumyia nigrofacies)のようです。 
おそらくトラマルハナバチ♀(Bombus diversus diversus)にベイツ型擬態していると予想されます。 
葉の上に乗って念入りに身繕いしています。 
後脚で腹背や翅を擦る合間に、左右の後脚を擦り合わせています。 
前脚で顔を拭ったり、左右の前脚を互いに擦り合わせたりしています。 
このとき口吻で前脚を舐め湿らせていました。 

化粧が一段落して飛び立ったと思いきや、すぐにまた近くの草の葉(林床の下草)に止まり直しました。 
複眼の形状から♀と判明。

薄暗い林床で撮ったので、ピントが甘いです。

2021/12/11

ホツツジ訪花中のスズキハラボソツリアブ♀に交尾を挑む♂

 

2021年9月上旬・午前11:40頃・くもり

里山の尾根道に沿って咲いたホツツジの群落でスズキハラボソツリアブ♀(Systropus suzukii)が単独で訪花していました。 
腹部末端が太いので、おそらく♀だと思います。 
吸蜜中は花に足を掛けて羽ばたきを止めているので、ツリアブ類が得意とするホバリング吸蜜ではありません。 

腹端を少し上に持ち上げてから次の花へと飛び立ちます。 
そこへ別個体が飛来しました。 ほっそりした体型なので、おそらく♂でしょう。 
空中で♀に衝突したものの、すぐに別れました。 
ホツツジの花は比較的広範囲に咲いていたので、蜜源植物を巡る縄張り争いとは考えられません。
1/5倍速のスローモーションでリプレイしてみると、どうやら♂が♀を捕獲し交尾を挑もうとして失敗したようです。 
♀による明確な交尾拒否行動があったのかどうか、よく分かりませんでした。 
おそらく、この♀は既に交尾済みだったのでしょう。 
次は♂の求愛が成就して交尾に至る過程を観察してみたいものです。 



ところで、大谷剛『昆虫―大きくなれない擬態者たち』という本によると、
(寄生蜂の)産卵管はたいてい寄主に対応してうまく産卵できるように特殊化しているので、人の皮膚を突き破るのはなかなか難しいのだ。例外はアメバチのグループ。つい最近刺されてみたが、結構痛かった。だから、アメバチに擬態しているアブが存在する。 
写真4-1:アメバチ類とその擬態者。ニトベハラボソツリアブ、スズキハラボソツリアブのモデルがオオアメバチ、マツケムシヤドリコンボウアメバチ (p62より引用)
この指摘は面白く、初耳でした。 
確かにマツケムシヤドリコンボウアメバチとスズキハラボソツリアブは見た目がそっくり似ています。
しかし、私は夜に灯火の下ぐらいでしかアメバチ類を見たことがありません。 
(私の目が届かない山林の樹上などに多いのかな?)
昼間にフィールドで見かける個体数は、モデルよりも擬態種ハラボソツリアブの方が圧倒的に多い印象です。
アメバチは寄生蜂ですから、個体数が少ないのは当然です。 
そのような状況でベーツ型擬態が成立するかどうか(進化できるかどうか)、私は疑問です。 
つまり、鳥などの捕食者が擬態モデルのアメバチに刺されて(痛い目に遭って)学習する機会が乏しいのではないでしょうか? 
虫好きの脳は偶然の空似でもすぐに擬態だと言いたがる癖があります。
したがって、願望(希望的観測)や「言ったもん勝ち」ではなく、客観的な実証が必要です。 
食虫性の野鳥は本当にハラボソツリアブ類を怖がって忌避するでしょうか? 
実験でデータを取ろうとすると難しいですね。
だから今まで誰もやってこなかったのでしょう。

2021/11/28

蜂に擬態したサッポロヒゲナガハナアブ♀?がタヌキ溜め糞の横で身繕い

 

2021年8月下旬・午後15:05頃・晴れ 

山道に残されたホンドタヌキNyctereutes viverrinus)の溜め糞を観察していると、辺りを黄色い昆虫が素早く飛び回りました。 
てっきりキイロスズメバチのワーカー♀がハエを狩るために飛来したのかと初めは思いました。
関連記事(8、9年前の撮影)▶ 
タヌキの溜め糞で停空飛翔するキイロスズメバチ♀ 
タヌキの溜め糞に集まるキイロスズメバチ♀
しかし、キイロスズメバチにしては黄色が鮮やか過ぎます。 
小径の横に生えたミズナラ幼木の葉に止まった昆虫をよく見ると、ベーツ擬態したサッポロヒゲナガハナアブ♀(Chrysotoxum sapporense)でした。
黄色と黒は勇気のしるし♪ 
葉に乗って身繕いしています。 
飛び立つ瞬間を1/5倍速のスローモーションでリプレイ。 
しかしすぐに近くの葉(樹種不明)に止まり直しました。 
思わせぶりにタヌキの溜め糞の近くに居続けるのは果たして偶然でしょうか? 
ハナアブなら獣糞の近くで油を売ってないで訪花するのが本分だと思うのですけど、近くに蜜源植物は見当たりませんでした。 
もしかして糞の上に産卵するのかと思ってその後もしばらく溜め糞の観察を続けたのですが、サッポロヒゲナガハナアブ♀が溜め糞の上に着陸することはありませんでした。
糞に集まる他のハエなどのライバル(先客)に遠慮しているのでしょうか?
 
関連記事(2、3年前の撮影)▶ 
蜂に擬態したサッポロヒゲナガハナアブ♀がニラを訪花 
アカザカズラの花蜜を舐めるサッポロヒゲナガハナアブ♀

2021/11/24

尺取虫(蛾)の植物擬態がバレたら…

 

 2021年8月下旬・午前10:05頃・晴れ
前回の記事:▶ クマイチゴの葉を食べる尺取虫(蛾)【名前を教えて】

クマイチゴの葉を食害していた尺取虫(シャクガ科の幼虫)が急に立ち上がりました。 
何事かと思えば、コアシナガバチPolistes snelleni)のワーカー♀が獲物を求めて隣の葉を徘徊していました。 
緑色の尺取虫は葉縁に腹脚だけで直立し、全身をピンと真っ直ぐに伸ばしています。 
どうやら葉柄や小枝、蔓など周囲の植物に擬態しているようです。 
風でブラブラ揺れているのもまたリアルですね。 
見事な擬態が奏功し、天敵のコアシナガバチ♀は尺取虫の存在には気づかずに飛び去りました。 

危機が去るとシャクトリムシは直ちに警戒を解くと尺取り運動で移動し、隣の葉の下に隠れました。 
私が茂みを掻き分けて探すと、尺取虫は再び葉縁でまっすぐ伸びて静止していました。 
近くを通りかかったアリ(種名不詳)も、尺取虫には気づいてないようです。 
ただし、アリは視覚で獲物を探す生き物ではないので、触角で触れない限り尺取虫に気づかないでしょうし、擬態は通用しないはずです。

擬態を見破った私が尺取虫の頭部に指で触れると嫌がり、上半身をムチのように激しく振って抵抗(威嚇)しました。 
つまり擬死状態とは違うようです。 
それでも私がしつこく触れると、尺取虫は弾けるように葉縁から落ちて逃げのびました。 
植物擬態だけでなく、二段構え、三段構えで天敵に備えていることが分かりました。
尺取虫の緊急避難を1/5倍速のスローモーションでリプレイ。 
飼育するために採集しようかと考えていたのに、草むらで見失ってしまいました。

2021/10/11

路上で身繕いし落ち葉を舐めるアカウシアブ♂

 

2021年7月下旬・午前8:30頃・晴れ 

里山の峠道でアカウシアブ♂(Tabanus chrysurus)を発見。 
初めは日陰に居たのに、少し飛んで日向の路上に出て来ました。 
路上に散乱している紫色の落花はクズです。 
アカウシアブはスズメバチにそっくりなベーツ型擬態の好例で、出会う度に一瞬ドキッとします。 
交尾相手の♀をいち早く見つけるために♂の複眼は非常に発達していて、左右の複眼が頭頂で接しています。 
頭部のほぼ全体を占めるほど巨大な複眼です。 
♂は♀と違って吸血しませんから、刺される心配はありません。

炎天下で焼け付くように熱い舗装路を歩き回りながら、アカウシアブ♂は前脚の先を小刻みに上下させて路面に触れています。 
路面が耐え難いほど熱いのなら他の脚も同様にバタバタ動かして冷ますはずですが、前脚だけで路面を軽く叩いていました。 
前足の触覚で何か(餌?)を探索する行動なのでしょう。 

立ち止まると身繕いを始めました。 
左右の後脚を持ち上げて腹部を擦っています。 
クロアリのワーカー♀が近づいて来ると、アカウシアブ♂は嫌がって飛び立ちました。 
少し離れた路肩の白線上に着地したものの、すぐにまた飛びました。 

枯葉に覆われた日陰の路肩に移動すると、落ち葉の表面を舐めているようです。 
ミネラルを摂取しているのかな? 
立ち止まると黒くて太い口吻を前足で拭いました。  
関連記事(6年前の撮影)▶ 路上のアカウシアブ♀

2021/08/14

樹冠で鳴き真似♪するモズ♂(野鳥)

 

2016年6月中旬・午前5:55頃・晴れ 

池の近くで立ち枯れしたハンノキの梢に早朝からモズ♂(Lanius bucephalus)が止まっていました。 
どうも違う種類の鳥の鳴き真似をしてるようです。 
モデルとなった鳥の種類が私には分からず、動画をお蔵入りにしていました。 
どなたか聞き分けられる達人がいらっしゃいましたら教えて下さい。 

周囲のヨシ原ではオオヨシキリ♂(Acrocephalus orientalis)が大声で囀りさえずりの鳴き声を発していました。 
しかし、オオヨシキリの鳴き真似ではないようです。

▼関連記事:5年前の撮影@同一個体♂ :ハンノキで高鳴き♪するモズ♂(野鳥)

2021/08/01

電柱に止まって日光浴するアブ♂【名前を教えて】マルハナバチに擬態?

 

2021年5月下旬・午後17:10頃・晴れ 

ノボリフジ(ルピナス)の花が咲き乱れる大群落の横に立つコンクリート電柱の側面に見慣れないアブ(種名不詳)が止まっていました。 
ルピナスへの訪花シーンを期待したものの、ひたすら日光浴しているだけでした。 
蔦の葉に覆われた電柱のコンクリートが露出した面に静止して夕日を浴びています。 
飛び立つ瞬間をハイスピード動画で記録したかったのですが、失敗しました。 

このアブの名前をご存知の方がいらっしゃいましたら教えて下さい。 
大きく発達した左右の複眼が中央で接していることから、♂のようです。 
触角の根元は白いです。 
過去に出会った虫の中ではチャイロオオイシアブと似てるかな?と思って調べ直すと、どうも違うようです。 
トラマルハナバチにベーツ擬態しているのですかね? 
『札幌の昆虫』という図鑑には「マルハナバチに擬態したハナアブ類」をまとめたページがあるのですけど、これと似た種類は載っていませんでした。

ランダムに記事を読む