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2025/06/06

タヌキの溜め糞場がある山道で跛行しながら追手から逃げるニホンアナグマ【トレイルカメラ:暗視映像】

 



2024年5月下旬〜6月上旬

シーン0:5/24・午後12:03・くもり(@0:00〜) 
明るい昼間にたまたまフルカラーで撮れた現場の状況です。 
里山の林道でホンドタヌキ♀♂(Nyctereutes viverrinus)が残した溜め糞場ltrを自動センサーカメラで監視中です。 
スギの落葉が敷き詰められた林道を挟んで、画面の手前(カメラの背後)がスギの植林地、画面の奥が雑木林になっています。 
基本的に画面の右から左に向かって登る山道なのですが、溜め糞場ltrのある区間は、ほぼ平坦な地形になっています。 

ニホンアナグマ♀♂(Meles anakuma)の登場シーンをまとめました。 


シーン1:5/27・午後12:58・晴れ(@0:04〜) 
昼下がりにアナグマ♀が林道を左から右へ通過しました。 
タヌキの溜め糞場ltrは素通りしたようです。 


シーン2:6/7・午前1:24(@0:11〜) 
11日後の深夜に、アナグマがペアで現れました。 
まず先行個体が右から左へ林道を通過します。 
なぜか右後足を地面に着かないように、ヒョコヒョコ跛行していました。 
ノイバラなど棘のある植物を誤って踏んでしまったのかな? 
それとも喧嘩で足を噛まれたのでしょうか? 

しばらくすると、右から後続個体が早足で登場。 
アナグマはタヌキと違って、♀♂ペアが一緒に暮らすことはありませんし、親子以外で一緒に採餌することもありません。 
したがって、2頭のアナグマが出会って縄張り争いの喧嘩となり、怪我した後足を引きずりながら逃げる先行個体を後続個体が走って追いかけてきたのではないか?と推測してみました。 

1/3倍速のスローモーションでリプレイ。(@0:29〜) 
シーン2で登場した2頭のアナグマの性別がいまいち見分けられませんでした。 
2頭ともタヌキの溜め糞場ltrは素通りしました。 


※ 動画の一部は編集時に自動色調補正を施しています。 


つづく→

2025/05/08

右脚の跗節が欠損した越冬明けのオオセンチコガネ♀

 

2024年5月上旬・午後12:30頃・くもり 

里山の中腹をトラバースする細い山道を歩いているオオセンチコガネ♀(Phelotrupes (Chromogeotrupes) auratus auratus)を見つけました。 
曇っていても、構造色で赤い金属光沢(メタリック)に輝いています。 
頭部や頭楯に金属光沢がなくて黒いことから、♀と判断しました。
参考:舘野鴻『うんこ虫を追え』p10 

前脚の腿節前面に橙色の毛束が密生している部分が目立ちます。 
これはセンチコガネ科およびクワガタムシ科に性別を問わず見られ、フェロモンを分泌するらしい。 

少し太い木の根っこ(落枝?)をなかなか乗り越えられずに苦労しています。 
平べったい石の上に乗ったときによく見ると、右側だけ前脚、中脚、後脚すべての跗節が欠損していました。 
歩行がぎこちなくて跛行しているように見える理由が、地面とのグリップが左右非対称になるためだと分かりました。

最後は石の隙間の地中に潜り込んで隠れてしまいました。 
餌となる獣糞を目指して歩いていた訳ではなかったようです。 
もしかすると、私がすぐ横に立っていたので警戒して隠れたのかもしれません。 


【考察】 
今季初見のオオセンチコガネ成虫です。 
この個体で右側だけ全ての脚の跗節が欠損している理由を考えてみました。 

まず、先天的な異常(奇形)である可能性はどうでしょうか。 
エボデボ(進化発生生物学)の研究によって昆虫の形態形成に関わる遺伝子群が次々と解明されています。
聞きかじりですが、跗節の形態形成にはDistal-less(Dll)などの転写因子が重要な役割を果たしているそうです。 
しかし、左右非対称な異常を説明するのが難しいです。 
例えば脚原基の遠位端の形成を制御するDistal-less(Dll)遺伝子が体の右側だけ異常になったということは、発生初期に体の右側の細胞だけモザイク状に遺伝子が体細胞突然変異した結果というシナリオも理論的には考えられます。 
しかしその発生確率はきわめて低い上に、幼虫の形態形成にも重篤な悪影響を及ぼすはずなので、成虫まで無事に育って羽化できるとは思えません。 

したがって、後天的な欠損だと考えたほうが良さそうです。  
捕食者に襲われかけたにしても、左右非対称に跗節だけ欠損するとは考えにくいです。 
穴掘りで脚の爪先(跗節)が摩耗したにしても、左右非対称になる理由が分かりません。 
調べてみると、オオセンチコガネは成虫で越冬するらしい。 
地中で越冬中に、脚の跗節がたまたま右側だけ凍傷で欠損した、という可能性が一番あり得そうです。 

この考察をする上で、Perplexity AIにかなり助けてもらいました。
 (AIチャットとのブレインストーミングを、かなり省略して書きました。) 


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2024/11/23

痛々しく3本足で跛行するニホンザル♀の木登り能力

 

2023年12月中旬・午後15:05頃・くもり 

山麓の用水路に沿って2頭の野生ニホンザル♀♂(Macaca fuscata fuscata)が遊動してきました。 
発情した成獣♂が先行していますが、後続の若い♀個体に注目して下さい。 
鼻筋が白く通っていることから、「鼻白」と呼ぶことにします。 
先行する♂が谷に架けられた水路橋の手摺を渡っている間、鼻白♀は対岸で待機しています。 

しばらくすると、後続の鼻白♀も水路橋の手摺を伝い歩きし始めました。 
その足取りが明らかに異常です。 
どうやら右後足を負傷しているようで、痛む足の裏を着地しないようにかばって、他の3本足だけを使ってヒョコヒョコと跛行しています。 
初めはてっきり、ノイバラの棘などを足の裏でうっかり踏んでしまい、化膿した傷口が痛むのかと想像しました。 
しかし途中で立ち止まったときによく見ると、右後足の甲が赤黒く変色していました。 
逆側の健常な左足の色(あるいは健常個体♂の足の甲の色)と見比べてみて下さい。 
右足首を捻挫したのかもしれません。 
一体いつどこで右後足を負傷したのでしょうか? 
冒頭の登場シーンを見返すと、鼻白♀は水路沿いを正常に四足歩行をしていました。 
水路橋のたもとで怪我したのなら、悲鳴を上げたはずです。
足の裏に何か棘が刺さって痛むのなら、患部を気にして手当てするはずなのに、座ってるだけでした。 
どうやら痛みを我慢しながら水路橋まで4足歩行して来たようです。 

橋の手摺を伝ってどんどん近づいてきた鼻白♀は、谷の此岸で突っ立っている私を迂回するために、手摺から横の落葉高木(樹種不明)の枝へと身軽に飛び移りました。 
3本足でも見事な跳躍力です。 
そのままスルスルと木を下りました。 
木登り能力を注意深く見ると、樹上では痛みをこらえて4本足を使っていました。 
下向きになる木下り中は、後足にあまり負担がかからないのでしょう。 
野生のニホンザルで手足を怪我した個体をときどき見かけるのですが、木登り能力を確認できたのはこれが初めてです。 

地上に降りると、鼻白♀は負傷した右後足をかばって再び3本足で痛々しくヒョコヒョコと跛行し始めました。 
ときどき小声で哀れっぽく鳴いたのは、鼻白♀の鳴き声だと思います。 
(鼻白んで私とすれ違うときの不安や緊張の現れか?) 
その後も、遊動する群れの仲間と一緒にねぐらのスギ林に向かって休み休み跛行して行きます。 

地上および樹上での跛行を1/5倍速のスローモーションでリプレイ。(@2:54〜)


 

 ↑【おまけの動画】 
動物園で飼育員が植物由来の棘が何本も刺さった腕を差し出してみせると、猿が手早く抜いてくれました。
ただし、海外の動物園らしくて、この猿の種類がニホンザルかどうか情報が書いてありませんでした。

2023/04/12

不自由な右後足をかばって痛々しく跛行するニホンザル♀

 



2022年10月上旬・午後14:00頃・くもり 

山間部の峠道で仲睦まじく相互毛繕いを長々と続けていたニホンザル♀♂(Macaca fuscata fuscata)の観察記録4部作の完結編です。 
私が至近距離(2〜3m)まで近づいても、逃げずに各自で毛繕いしています。 
もしかすると元から人馴れした個体群で過去にヒトから給餌された経験があり、今回も私が食べ物を投げ与えることを期待していたのかもしれません。 
あるいは、「餌付け」に頼らず「ヒト付け」に成功した!と悦に入る私を逆に興味津々で観察していたのかもしれません。

先を急ぐ用事があって焦っていた私は、どうしても猿の横を通り抜けてこの道を下山する必要がありました。 
2頭のニホンザルが居座っている路肩の反対側を私がゆっくり通り過ぎようとしたら、ついに大柄な成獣♂が立ち上がり、私から離れるように歩き始めました。 
舗装された車道を斜めに渡ると、谷側の路肩の車止めブロックの上に乗って座りました。 
車が崖から落ちないように、コンクリートの立方体の塊を点々と等間隔に並べてあるのです。
多雪地帯なので、普通のガードレールを設置すると深く積もった雪の重みで毎年グニャグニャに曲がって交換しないといけなくなります。
一方、小柄な若い♀は、離れて行く♂をちらっと見送っただけで、路上に座ったまま毛繕いを続けています。 
私がカメラをズームアウトすると、♀も渋々立ち上がって♂が居る隣の車止めに並んで座りました。 
このとき車道を横断する♀の歩行に注目して下さい。 
四足歩行しているものの、よく見ると右後趾が不自然な外向きで、それをかばって歩いています。 
車止めに座った♀が正常な左足を使って体の痒い部位を掻いていますが、逆の右足で掻く様子は観察できませんでした。(右足では掻けない?) 

私がニホンザルたちに遠慮して、迂回するように反対側の路肩を通り過ぎようとゆっくり歩き出すと、意図を察したように猿も逆方向に遊動を始めました。 
♂が♀を追い越しながら車止めを渡り歩き、私から離れて行きます。 
♂の後からついて行く♀の歩行が明らかに異常です。 
右後脚を車止めブロックに付かないようにかばってケンケンと跛行していました。 
右足の裏を怪我しているのかと思ったのですが、出血など明らかな外傷は認められません。 
先導する♂が車止めから降りるとノシノシと車道を斜めに横断し始めました。 
後続の♀が舗装路を歩き去る際に、ケンケン跳びを止めてようやく右後脚の足を接地しました。 
ところが右足をやや外向き(ガニ股)に接地し、しかも足の指を浮かせて歩いています。 
不自由な右足をかばって歩くために左右非対称な歩行となり、体全体が左に傾いています。 
正常に歩行する♂は、後足をやや内股気味にして指もペタペタと着地して蹴り出しています。
跛行する♀は棘などをうっかり踏んでしまい刺さった傷が痛いだけなのかと初めは想像したのですが、もしかすると先天性の軽い奇形なのかもしれません。 
やんちゃした若い♀が「猿も木から落ちる」で右足を負傷したのかな?(捻挫・骨折)

先行する♂は舗装された峠道から左脇に外れ、藪に覆われた山側の斜面(法面)を登って行きます。 
慌てて追いかける♀が走るときには四足歩行から跛行(ケンケン跳び)に切り替えました。 
3本足の不自由な歩行でも、なんとか仲間について行けるようです。 
3本足で木登りが可能かどうか確かめたかったのですが、残念ながら見失いました。
同一個体か分かりませんが、右後脚が不自由でヒョコヒョコと跛行する個体は最近トレイルカメラにも写っていました。 
別個体だとすると、ニホンザルの跛行は珍しくないようです。


さて、今回長々と相互毛繕いしていた野生ニホンザルの♀♂ペアはどういう関係なのでしょうか? 
父娘のペアなのかな? 
足の不自由な娘を心配した父親が世話していると擬人化・美談化したくなりますが、ニホンザルの社会は乱婚なので父性の自覚はないはずです。 
周囲に群れの気配(鳴き声など)が全く感じられなかったので、離れザル♂のような気がします。 
右足が不自由なせいで山林を遊動する群れから脱落してしまった♀を見つけた離れザル♂が、将来の交尾相手(候補)として仲良くしているのではないか?と想像を逞しくしました。 
あるいは、気の合う♀♂カップルが群れからこっそり抜け出して逢引を楽しんでいたのでしょうか? 
群れ内で順位の低い♂が特定の♀と仲良くしようとするとα♂(いわゆるボス猿)が怒って邪魔をするらしいので、一時的にこそこそと駆け落ちするしかありません。 
しかし、どう見ても今回の♀は若過ぎますし、♂は成獣とは言え発情していませんでした。 

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