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2025/09/17

オニグルミの堅果に誘引される謎の夜蛾を狩り損なった野ネズミ【トレイルカメラ:暗視映像】

 

2024年7月上旬・午後21:00頃 

シーン0:7/1・午後13:14・くもり(@0:00〜) 
明るい日中にたまたま撮れた現場の状況です。 
里山で野ネズミやリスを観察したくて、朽ちて斜めに倒れたスギの倒木に給餌箱をくくりつけました。 
真っ白なプラスチックの容器を再利用したのですが、白では山林内であまりにも目立つため、黒いビニールテープを容器の外側にグルグル巻きに貼って隠蔽しました。 
(本当は茶色や迷彩柄のテープを使いたかったのですけど、田舎ではすぐ入手できなかったので仕方がありません。) 
給餌箱に塗料を塗るのは野生動物にとって刺激に強い異臭になると思って、次善の策でビニールテープを使いました。 

今回の餌は、前年に拾い集めておいたオニグルミの堅果を餌箱に30個投入しました。 
果皮はすでに取り除いてあります。 
すると予想通り、野ネズミ(ノネズミ)が給餌箱に通ってきて、クルミをせっせと1個ずつ持ち去りました。 
(その動画は近日公開予定。) 


シーン1:7/1・午後21:41(@0:03〜) 
2頭の夜蛾が飛来して、餌箱の外側に止まりました。 
長いのでここは5倍速の早回しでお見せします。 


シーン2:7/1・午後21:58(@0:14〜) 
野ネズミが居なくなると、入れ替わるように夜蛾が左から飛来してスギの倒木に着地したものの、すぐにまた少し飛んでから容器内に着陸しました。 
どうやらオニグルミの匂いに誘引される、夜行性の蛾がいるようです。 


シーン3:7/1・午後22:02(@0:42〜) 
トレイルカメラが起動したことに驚いたのか、左の餌箱に来かけていた野ネズミが空荷で慌てて倒木を右へ逃げていきます。 
その間にも餌箱の付近を謎の夜蛾が飛び回っています。 

しばらくすると、さっき逃げた野ネズミが餌箱に駆け戻りました。 
餌箱の縁で夜蛾を見つけた野ネズミが素早く飛びかかろうとして、餌箱から下に落ちました。 
野ネズミの無鉄砲な狩りは失敗に終わり、夜蛾は素早く飛んで逃げました。 

野ネズミが夜蛾に襲いかかった決定的瞬間を1/3倍速のスローモーションでリプレイ。(@1:03〜) 
もしかすると狩りを試みたのではなくて、暗闇で顔のすぐ近くを飛んだ蛾に驚いた野ネズミが餌箱から飛び降りて逃げただけかもしれません。 
餌箱の地面からの高さを測り忘れましたが、野ネズミが落ちて死ぬような高さではありません。(数十cm)


シーン4:7/1・午後22:04(@1:17〜) 
約1分半後、監視カメラが何に反応して起動したのか不明です。 
戻ってきた夜蛾がしばらく飛び回ってから、餌箱内のクルミに着陸しました。 


シーン5:7/1・午後22:46(@1:29〜)
斜めの倒木を右から来た野ネズミが登ってきました。
しかし途中で立ち止まり、少し離れたところから餌箱を見ているだけです。
その間に謎の夜蛾が飛来し、クルミの餌箱に着陸しました。
野ネズミはフリーズしたまま微動だにしません。
さっき(約45分前に)の野ネズミと同一個体だとしたら、餌箱から落ちて痛い目に遭ったので、夜蛾を恐れるようになったのかな?



【考察】 
オニグルミの堅果(植物学的に厳密に言うと、核果状の堅果)の山を野外に給餌したところ、夜行性の蛾が1頭だけでなく複数が誘引され、飛来しました。
この謎の蛾の正体が気になります。
白黒の暗視映像では蛾の翅の色や模様も分かりませんし、現地で採集しないことには同定できません。
素直に推理すると、オニグルミの果実に産卵または吸汁する蛾がいることになります。

現場は低山にあるスギ植林地の端で、オニグルミの大木が近くに1本そびえ立っていました。
つまり、問題の蛾はオニグルミ樹上にある生の果実や枝葉の匂いに集まって飛び回っていたのに、私が地上付近に置いた古いクルミ堅果の山の匂いに撹乱されて寄り道しただけかもしれません。

いつものようにPerplexity AIに相談してみました。 
すると、果実吸蛾類ではないか?とおかしな回答をされました。
果実吸蛾類は果樹の液果に集まるのであって、堅果には来ないはずです。
オニグルミの果実は全く甘くありませんし、むしろ渋いタンニンが多く含まれています。
しかも、謎の夜蛾が誘引されたのは、果皮を剥いてから乾燥保存しておいた1年前の古いオニグルミ堅果です。
いくら悪名高い果実吸蛾類でも、クルミの固い殻に口吻を突き刺すことはできないはずです。
乾燥堅果自体には糖分・芳香成分が乏しく、蛾は吸汁・産卵の対象として認識しにくいはずなのに、複数個体が誘引されたのはとても不思議です。

次の仮説として、ハマキガ科のコドリンガCydia pomonella)をPerplexityは教えてくれました。
幼虫がバラ科果実やくるみ果実及び核子に食入し、加害する。(植物防疫所の病害虫情報サイトより引用)

つまり、クルミの実に産卵する蛾がいるらしいのです。
ところがよく調べると、コドリンガは欧州原産の外来種であり、日本国内にはまだ定着していないらしい。(「侵入生物データベース」サイトより)
私のフィールドは山形県なので、コドリンガの可能性は除外してもよさそうです。

最後にPerplexityは、食品害虫や貯穀害虫の蛾ではないか?と私が思いつかなかった仮説を教えてくれました。
確かに台所に保管した乾物やドライフルーツに蛾がよく集まって産卵し、幼虫が食害します。
日本の野山に生息する貯穀害虫の蛾の例としては、ノシメマダラメイガ(Plodia interpunctella)が挙げられます。この蛾は世界中で知られる貯穀害虫で、穀物を中心に乾燥食品に産卵・幼虫が食害を起こしますが、日本国内でも野外で確認例があります。

貯穀害虫の野生生息・飛来可能性
ノシメマダラメイガは主に屋内や貯蔵施設での被害が多いため「貯穀害虫」と分類されますが、野外でも発生例が報告されており、山間部や林縁、果樹園付近などに普通に飛来します。

幼虫は穀物・乾燥植物質を食べるため、野山の落ち果実、落ち種子、乾燥した植物材にも自然に入り込み生息できる環境がある可能性があります。

乾燥堅果や植物種子を餌にしていることが確認されているため、野外に置かれた乾燥オニグルミ堅果に飛来する蛾として全くありえない話ではありません(Perplexityの回答)

ノシメマダラは以前飼育したこともあり馴染みのある蛾なので、トレイルカメラの映像は違うと自信を持って言えます。
白黒の暗視映像からは翅の色や斑紋が分かりませんが、ノシメマダラよりも大きくて幅広い翅を持つ種類でした。
例えばカシノシマメイガなどに近いかもしれません。

カシノシマメイガは主に人家周辺や貯穀庫で発生しますが、里山や山間部の林縁など自然環境にも普通に飛来・生息しています。したがって、里山のオニグルミ堅果に飛来した大型で幅広い翅を持つ蛾として十分に現実的な候補種です。(Perplexityの回答)

以上の考察は、あくまでも推理でしかありません。
再実験をして謎の蛾を採集するまでは、未解決のままです。
野外で蛾を採集する方法として様々なトラップ法が開発されてきましたが、私がたまたま考案した「クルミ・トラップ」や「ナッツ・トラップ」に集まる蛾を真面目に調べれば、何か面白いことが分かるかもしれません。
誰かがすでにやってるかな?



つづく→

アンズの落果に飛来した夜行性の蛾(果実吸蛾類?)【トレイルカメラ:暗視映像】

 

2024年7月上旬・午前3:50頃 

アンズ(杏)の木の下で拾い集めた落果を1箇所にまとめて置き、自動撮影カメラで見張っています。 
未明に低空で飛び回っていた1頭の蛾(種名不詳)が、アンズ落果の山に着地しました。 
熟したアンズ果実の芳香に誘引されて夜蛾が飛来したのでしょう。 
これからというところで録画が打ち切られてしまいましたが、おそらく口吻を伸ばして滲み出る果汁を吸汁するはずです。 

蛾は変温動物ですから、本来トレイルカメラの熱源センサーは反応しないはずです。 
実はこの直前に野ネズミが来ていたので、たまたま撮れた映像のようです。 



夜行性の蛾の中には、果樹園の害虫として嫌われている果実吸蛾類がいます。 
落果から吸汁する分には問題ないのですが、樹上で実っている果実に蛾が口吻を突き刺して吸汁すると、その刺傷から果実の腐敗や感染が広がって商品価値が失われます。 
果樹園農家はこうした吸蛾類の防除に昔から苦労しているのです。 
対策としては、なるべく殺虫剤を散布したくないので、果実を1つずつ袋掛けをしたり、果樹を目の細かい網で覆ったり、誘蛾灯を設置したりするそうです。 

原色図鑑 夜蛾百種: 吸蛾類を中心として』という書籍によると、
・果実吸蛾類とは、多くの種類の果実に口器を刺し込んで果汁を吸汁する蛾類を総称していう。 
・多くが鱗翅目ヤガ科に属することと、その加害活動が主に夜間に限られることが特徴。 
・吸蛾類は成熟して軟化した果実、また高い甘みをもつ果実を好む。 
・加害を受けた果実は、二次的に菌類が寄生するなどして、やがて腐敗する。 
成虫は丈夫な鋭い口器をもち、成熟前のかなり硬い果実も吸収するほか、袋の掛った果実でも果袋を通して吸収加害する能力をもっている。 (以上、p106より抜き書き引用)


虫好き・蛾好きとしては、夜な夜な果樹園を巡って蛾を探してみるのも面白そうです。(もちろん立ち入る許可が必要です。) 


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2025/09/15

アナグマ母子の営巣地を夜にこっそり横切るイエネコ(キジトラ白足袋)【トレイルカメラ:暗視映像】

 



2024年7月上旬・午前4:15頃・気温22℃・日の出時刻は午前4:20。 

ニホンアナグマMeles anakuma)の母子家族が転入した営巣地(セット)を自動撮影カメラで見張っていると、日の出直前に近所のイエネコFelis silvestris catus)がやって来ました。 
足先だけが白いキジトラ模様の個体で、久しぶり(約1ヶ月ぶり)の登場です。 

二次林内の獣道を左から右へこっそり通り抜けました。 
アナグマの家族が暮らしている巣口Lには立ち寄ろうとしませんでした。 


つづく→

2025/09/14

ニホンアナグマの幼獣が母親♀に尻を擦りつけて匂い付け(アロマーキング)【トレイルカメラ:暗視映像】

 



2024年7月上旬・午後21:18・気温23℃ 

平地の二次林にあるニホンアナグマMeles anakuma)の営巣地(セット)をトレイルカメラで見張っています。 
母親♀がミズキの木の下にやって来ると、寝ころがって(横臥)砂浴びを始めました。 
幼獣が近寄って来ると、母親♀が念入りに対他毛繕いしてやります。 
後から来た幼獣は、母親♀の体に尻を擦りつけて匂い付け(アロマーキング)したようです。 
対物で行うスクワットマーキングによる縄張り宣言と似ていますが、アナグマの家族間で行う点が違います。
互いにアロマーキングし合うことで、結果的に家族内で各自の体臭を共有することになります。
「家族の絆」は嗅覚によって保たれているのです。


1.5倍に拡大した上でリプレイ(@1:00〜)。 


2025/09/12

ニホンアナグマの母親が夜の巣外で居眠りしている間に餌を探し回る幼獣【トレイルカメラ:暗視映像】

 



2024年7月上旬・午後20:12・気温28℃ 

ニホンアナグマMeles anakuma)の母親♀がお気に入りの休息場所(ミズキの木の下)で横たわり、1匹の幼獣がまとわりついています。 
その幼獣も母親♀から離れると、営巣地(セット)をうろつき始めました。 
他にも少なくとも2頭の幼獣がばらばらに二次林の中で餌を探し歩いています。 
(4頭目の幼獣は、どこかカメラの死角にいるようです。) 

育児にもだいぶ手がかからなくなり、母親♀は寝転んだまま目を閉じてうたた寝を始めました。 
しかし、完全に寝落ちするまえに目を覚まし、周囲を見回しました。 


2025/09/11

野ネズミはアンズの落果を食べるか?【トレイルカメラ:暗視映像】

 

2024年7月上旬〜中旬

シーン0:7/5・午後15:20・晴れ(@0:00〜) 
明るい日中にたまたま撮れた現場の様子です。 
郊外に1本だけ植栽されたアンズ(杏)の木から黄色く熟した果実が落ちて散乱していました。 
放置されたまま誰も収穫に来ないので、野生動物がアンズの落果を食べに来る様子を自動撮影カメラで監視することにしました。 
撮影しやすいように、落果を拾い集めてアンズの木の下の1箇所にまとめました。 
ニホンザルやタヌキ、テンが拾い食いするのではないかと予想しています。 
野鳥では果実食のヒヨドリが甘い果肉を啄むかもしれません。 
昆虫では昼間にスズメバチ類が飛来して果肉を齧るかな? 

ちなみに、アンズの木の横の草地に野生動物が座り込んだ形跡がありました。 
カモシカやイノシシのねぐらではないかと予想しています。
そっちも気になるのですが、トレイルカメラの数が足りないので、アンズ落果の方を優先することにします。 

この餌場に野ネズミ(ノネズミ)が夜な夜な通ってくる様子を以下にまとめました。 


シーン1:7/7・午前0:21(@0:05〜) 
深夜に1匹の野ネズミが登場しました。 
ごちそうの山に前足を掛けてアンズ落果の匂いを嗅いでいました。 

黒い徘徊性甲虫(種名不要:オサムシ? カミキリムシ?)も落果に誘引されていたのですが、少し離れているので野ネズミは暗闇で気づいていないようです。 
もし野ネズミが甲虫を見つけていれば、獲物として捕食したはずです。 
謎の甲虫は、アンズ熟果の傷に頭部を突っ込んで甘い果肉を食べているのでしょうか? 
(発酵した果汁を吸汁しているのかな? )

野ネズミは手前に立ち去りました。 
1.5倍に拡大した上でリプレイ。(@0:31〜) 


シーン2:7/8・午後18:45(@0:56〜)日の入り時刻は午後19:07。 
翌日も日没前の夕方に早くも野ネズミが餌場に来ていました。 
アンズ落果の匂いを嗅ぎ回り、少し味見したようです。 

しかし野ネズミは何かに驚いたのか、落果の山から手前に素早く飛び降りて姿を消しました。 
アンズ落果に野ネズミの歯型が残っているかどうか、食痕を確認すべきでしたね。 


シーン3:7/9・午後19:45(@1:39〜) 
その次の日も、晩に野ネズミがチョロチョロと餌場に登場しました。 
手前からアンズ落果の山に来ると、落果(腐果)を少し食べたようです。 


シーン4:7/10・午前0:44(@2:38〜) 
日付が変わった深夜に、野ネズミが再び登場。 
しかし、なぜか餌場には近寄らずに立ち去りました。 


シーン5:7/10・午前0:57(@2:56〜) 
約10分後に、野ネズミがアンズ落果の山に通りかかりました。 
ところがアンズにはあまり興味を示さず、林床をうろついて餌を探しています。 


シーン6:7/10・午前2:13(@3:18〜) 
アンズ落果の少し右、下草の陰に野ネズミが来ていたのですが、奥へ立ち去りました。 


シーン7:7/10・午前3:33(@3:40〜) 
野ネズミがアンズ落果の匂いを嗅いでいました。 
果肉を食べていると、画面の左下から黒い甲虫(種名不詳)が歩いて登場。 
ニアミスしたものの、アンズに夢中の野ネズミは甲虫には見向きもせず、何事もなくすれ違いました。 


シーン8:7/10・午前3:40(@4:40〜) 
野ネズミはアンズ落果の山の上で少し場所を変え、別な落果を齧っていました。 

最後に画面の上端の草むらから別個体の野ネズミが現れたようで、白い目が光っています。(@5:35〜) 
餌資源を巡って野ネズミ同士が争うのか、成り行きを見届ける前に残念ながら1分間の録画が終わってしまいました。 


シーン9:7/10・午前3:46(@5:40〜)
アンズ落果の山の上に野ネズミが陣取って、食事をしています。 


シーン10:7/10・午後19:01(@6:40〜) 
雨が降る晩に、野ネズミが餌場の左上エリアをうろちょろしていました。 


シーン11:7/11・午前3:30(@7:00〜) 
日付が変わった未明に野ネズミが左から登場。 
林床に鼻面を突っ込んで匂いを嗅ぎながら歩き回ります。 

ようやく餌場に来ると、腐りかけたアンズ落果を選んで食べ始めました。 


シーン12:7/11・午後20:22(@8:00〜) 
同じ日の晩にも野ネズミが餌場に来ていました。 
雨は止んでいました。 
アンズ落果の山に乗っていたカキノキ落ち葉の匂いを嗅いだだけで、左へ立ち去りました。 


シーン13:7/11・午後22:01(@8:28〜)
 約1時間40分後にも野ネズミが餌場の左下エリアをうろついていました。 
監視カメラの電池がだいぶ消耗しています。 


シーン14:7/12・午前4:21(@8:44〜)日の出時刻は午前4:23。 
翌日の日の出直前に登場した野ネズミは、アンズの腐果を少しかじっただけ(匂いを嗅いだだけ?)で立ち去りました。 


※ 動画の一部は編集時に自動色調補正を施しています。 


【考察】 
本当はアンズの樹上に実った状態の果実を食べに来る野生動物を観察したかったのですが、夏の時期は葉が生い茂って撮影しにくいのです。
次善の策として、落果を餌として使いました。

野生動物への給餌(餌付け)を、特に人家に近い場所でやるのは色々と問題をはらんでいます。 
しかし今回は、私が餌を外から持ち込んだのではありません。 
果樹の下に散乱していた落果を移動して一箇所にまとめただけなので、給餌には該当しません。 
(個々の移動距離はせいぜい数m。)
もちろん私はアンズの落果を1個も持ち去っていませんし、味見もしていません。
専門的にはアンズ落果のパッチ操作実験、資源配置操作実験、自然資源集積実験、落果集積実験などと色々な言い方をされるらしいのですが、ちょっとした実験の真似事をしてみたのです。 

野ネズミは初めなかなかアンズ落果を食べようとしませんでした。
監視カメラを警戒していたのではなく、アンズの落果が完全に熟するまで待っていたようです。 

結局、野ネズミはアンズの熟果を少し食べただけで、熱狂的に食い漁るほどではありませんでした。(期待はずれ)
野ネズミが慎重だったのは、アンズの未熟な果実や種子にはアミグダリンという青酸配糖体の毒が含まれていることを知っていたのでしょう。

発酵したアンズの果肉を食べすぎると、野ネズミはアルコールの過剰摂取で酔っ払うのではないか?、と予想したものの、酩酊状態は観察されませんでした。

ドングリやクルミなどの堅果だと野ネズミは持ち去って貯食するのですが、アンズの果実(核果)を運ぶことは一度もありませんでした。 


ちなみに後日(7月下旬)に定点観察すると、アンズ果肉が腐り果てた後に残された種子の多くがいつの間にか持ち去られていました。 
種子散布の過程を見逃してしまったことになります。
おそらく野ネズミの仕業(アンズの種子を貯食した?)だと思われますが、そこまで長期間トレイルカメラで見届ける忍耐がありませんでした。 


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2025/09/03

アナグマの営巣地に忍び込み排尿マーキングして帰るホンドタヌキ♀♂【トレイルカメラ:暗視映像】

 



2024年6月下旬〜7月上旬

シーン0:6/26・午後13:46・くもり・気温31℃(@0:00〜) 
平地の二次林でニホンアナグマMeles anakuma)の母子が引っ越してきた営巣地(セット)を自動撮影カメラで見張っています。 

ホンドタヌキNyctereutes viverrinus)の登場シーンを以下にまとめます。 


シーン1:6/27・午前2:01・気温13℃(@0:04〜) 
深夜に獣道を左から単独で来たタヌキが、アナグマの巣口Lに忍び寄ると、匂いを嗅いでから恐る恐る中に侵入しました。 
巣穴Lに全身を潜り込ませる前に、後退で外に出てきました。 

獣道に合流する手前でマルバゴマギ灌木の根元に通りすがりに軽く排尿マーキングしました。 
このとき左後脚を持ち上げて小便したので、♂と判明。 
獣道を右に立ち去りました。 

アナグマの家族は巣内に籠城したまま出て来ません。 


シーン2:6/27・午前2:02・気温14℃(@1:04〜) 
別アングルに設置した監視カメラで、同一個体のタヌキ♂が排尿マーキングしながらセットから立ち去る様子がちらっと写っていました。 


シーン3:6/28・午後22:20・気温19℃(@1:13〜) 
翌日の晩に右から来たタヌキの♀♂ペアの片方が、アナグマの巣口Lに忍び込みました。 


シーン4:6/28・午後22:20・気温18℃(@1:29〜) 
別アングルの映像に切り替えます。 
先行する♂個体が獣道を右に立ち去る際に、ミズキ立木の根元に左後脚を上げながら排尿マーキングして行きました。 

その間に、パートナーの♀が大胆にもアナグマの巣穴Lに侵入しました。 
及び腰の内見ではなく、奥まで入って完全に姿が見えなくなりました。 
その後の出巣Lシーンが撮れていません。 
アナグマの母親♀は不在なのか、不法侵入のタヌキが撃退されないのは不思議です。 
同じ穴のむじな)として仲良く同居できるのかな? 


シーン5:6/30・午後23:53・気温25℃(@1:42〜) 
2日後の深夜にもタヌキが単独で来たものの、ちらっと写っただけです。 


シーン6:7/2・午前6:05・くもり・気温18℃(@1:49〜) 
さらに2日後の早朝にタヌキが登場。 
獣道を右へゆっくり歩き去りました。 
画面の右端で立ち止まって身震いする姿が写っています。

今回もアナグマとのニアミスはありませんでした。 


つづく→

2025/09/02

深夜にニホンアナグマの幼獣4頭だけで遊んで留守番【トレイルカメラ:暗視映像】

 


2024年6月下旬 

シーン0:6/26・午後13:46・くもり・気温31℃(@0:00〜) 
ニホンアナグマMeles anakuma)の母子が暮らす営巣地(セット)を自動撮影カメラで見張っています。 


シーン1:6/30・午前1:52〜3:30・気温17℃(@0:04〜) 
母親♀の姿が写っていないのに、深夜の営巣地で幼獣4匹だけが遊んでいる様子をまとめてみました。 
母親♀は独りで採食に出かけたのか、それとも疲れて巣内で寝ているのか、不明です。 

幼獣たちだけで元気いっぱいに遊び回っていますが、巣穴からあまり離れることはありません。 
疲れを知らない幼獣は、兄弟姉妹で取っ組み合いをしたり、追いかけっこをしたり、後足で立ち上がって木に登ろうとしたり、林床で餌を探したりしています。 


※ 動画の一部は編集時に自動色調補正を施しています。 
※ 鳴き声が聞き取れるように、動画編集時に音声を正規化して音量を強制的に上げています。 


2025/08/31

セットで暮らすニホンアナグマの家族:6/30夜の諸行動【トレイルカメラ:暗視映像】

 


2024年6月下旬

平地の二次林でニホンアナグマMeles anakuma)の母子家族(母親♀と幼獣4匹)が暮らす営巣地(セット)を自動センサーカメラで見張っています。 
6/30夜の活動をまとめました。 
前半は深夜から未明にかけて(午前1:58〜3:27)、後半は雨が降る晩(午後18:56〜19:17)の様子です。

アナグマは基本的に夜行性らしく、幼獣たちも元気いっぱいです。 
疲れ知らずの幼獣は、4頭の兄弟姉妹で互いに鬼ごっこをしたり取っ組み合いをしたりして、ひたすら遊んでいます。(追いかけっこ遊び、格闘遊び) 
林縁で株立ちしたミズキの根元付近がお気に入りの遊び場らしく、なんとか乗り越えようと頑張っている幼獣個体もいます(木登り挑戦?の遊び:例えば@4:00〜)。 
遊びながら幼獣がときどき吠える声がかすかに聞こえます。 

母親♀(右目<左目)は幼獣に対他毛繕いしてやったり、幼獣の遊び相手をしてやったりしています。 

林床をうろついて餌を探し回ったりしています。 
幼獣はもう離乳済みらしく、母親が採食に出かけると、幼獣も一緒について行きます。 

2つの巣口L、Rが並んでいますが、巣穴Lはほとんど使われておらず、巣穴Rに家族の居室があるようです。 


※ 動画の一部は編集時に自動色調補正を施しています。 
※ 鳴き声が聞き取れるように、動画編集時に音声を正規化して音量を強制的に上げています。 


2025/08/27

営巣地で寝そべって土を浴びるニホンアナグマ♀【トレイルカメラ:暗視映像】

 



2024年6月下旬

シーン0:6/26・午後13:46・くもり・気温31℃(@0:00〜) 
明るい日中にたまたま撮れた現場の様子です。 
平地の二次林でニホンアナグマMeles anakuma)の母親♀と4頭の幼獣が転入してきた営巣地(セット)を自動撮影カメラで見張っています。 

同じ日に繰り返し見られたアナグマ♀の砂浴び行動について以下にまとめます。 


シーン1:6/30・午前2:07(@0:03〜) 
深夜にアナグマの母子家族が巣外で活動しています。 
母親♀は林縁に横臥して右前脚で土を掘り、自分の体にかけています(砂浴び?)。 


一方、4頭の幼獣はセットに散開し、格闘遊びを繰り広げたり、木登りに挑戦したり、採食したりと、思い思いに過ごしています。
取っ組み合いをしている幼獣2頭が近くに来ると、母親♀は掴まえて毛繕いしてやっています。 


シーン2:6/30・午前4:28・気温18℃(@1:03〜)日の出時刻は午前4:17。 
日の出時刻は過ぎましたが、辺りはまだ薄暗いようで、トレイルカメラがモノクロで起動しました。 
林縁のミズキの根元で横臥していた母親♀がガバッと起き上がって左奥を凝視しています。 
やがて警戒を解くと、前足で地面を掻いて再び横たわりました。 
寝ながらたまに身震いしたり砂浴びしたりしています。 
そのまま少し居眠りしたのか、ときどき寝ぼけてビクッとジャーキングしています。 


シーン3:6/30・午前6:53・気温18℃(@1:38〜) 
すっかり明るくなった営巣地を母親♀がうろついています。 
林縁を右からセットに戻ってきたのか、それとも巣穴Rから外に出てきた直後なのかもしれません。 
いつものお気に入りの場所で(林縁のミズキの下)再び横臥しました。 

手持ち無沙汰なのか、前足で地面を掻いて少し掘り、その土を自分の体に掛けました。(砂浴び行動?) 

アナグマ♀の砂浴び(土浴び)行動を、1.5倍に拡大した上でリプレイ。(@2:38〜) 


【考察】
この地点で長期間ひたすら定点観察しているのに、アナグマの砂浴び行動を見たのはこれが2回目です。


つまり、滅多に見られない珍しい行動です。
観察例が少な過ぎる(n=2)のですが、今のところ成獣に特有の行動で、幼獣はやりません。 
しかし、アナグマの砂浴び行動は翌月にも観察できました。(映像公開予定)

暇つぶしの独り遊びのため、あるいは前足の爪を研ぐために、地面を引っ掻いているだけなのでしょうか?

鳥の砂浴びと同じく、アナグマも体についた体外寄生虫や余分な脂分を取り除くために土を浴びるのでしょう。
砂や土の粒子との摩擦で体外寄生虫が寄主の体表から物理的に剥がれ落ちることが期待できます。
また、砂浴び後の体毛は乾燥します。

体外寄生虫が蔓延しているのなら、体が痒くて頻繁に掻くはずです。
しかし、砂浴びを繰り返したアナグマ♀個体は、特に体が痒そうというわけでもありませんでした。
したがって、体外寄生虫に寄生されていると自覚したから対策として砂浴びを始めたのではない、ということになります。

アナグマの土浴びは渇水期でなくても行われることから、単なる水浴び不足の代替とは言えません。

サラサラの土を自分の体にかけると、体温よりもひんやりして気持ちが良いのだろうか?
土や砂は体の熱を吸収し肌表面を冷やす効果があるとされています。
ニホンアナグマは汗腺が発達していない動物なので、土浴びにより直接的に体温調節ができる利点がありそうです。


2025/08/25

ニホンアナグマ家族が転入した営巣地を偵察に来て大声で鳴くホンドギツネ【トレイルカメラ:暗視映像】

 



2024年6月下旬〜7月上旬 

シーン0:6/26・午後13:46・くもり・気温31℃(@0:00〜) 
ニホンアナグマMeles anakuma)の母子家族(母親♀と幼獣4頭)が転入してきた営巣地(セット)を自動センサーカメラで見張っています。 

ホンドギツネVulpes vulpes japonica)の登場シーンをまとめました。 


シーン1:6/27・午前5:37・気温11℃(@0:04〜)日の出時刻は午前4:15。 
薄暗い早朝に獣道からキツネが久しぶりにやって来ました。 
 アナグマの巣口Lを覗き込んで、頻りに匂いを嗅いでから、左へ向かいました。 


シーン2:6/27・午前5:37・気温12℃(@0:49〜)
別アングルで設置した監視カメラに続きが撮れていました。 
今度はもう一つの巣口Rに頭を突っ込んだものの、巣内には押し入らず、右へ立ち去りました。 
奥の二次林に朝日が射し込んでいます。

その間、アナグマの家族は寝ているのか、巣穴に籠城したままでした。 
このキツネは夏毛に生え変わり、尻尾の毛並みも正常な個体でした。 


シーン3:7/1・午後19:11・気温23℃(@1:23〜) 
4日後の晩にもキツネが再登場。 
左奥から来てアナグマの巣口Lを覗き込んでいました。 
尻尾が健全な個体です。 
次は右に来て、もう一つの巣口Rを調べます。 

立ち去る間際にホンドギツネが巣口Rでクゥオオオン♪と甲高く鳴きました!(@1:56〜) 
アナグマ家族の匂いを嗅ぎ取って興奮しているのか、初めて聞く鳴き方です。 
キツネはいつも単独で現れるので、仲間に対して鳴いているとは思えません。

今回もキツネは匂いを嗅ぐだけで、巣穴に強引に侵入することはありませんでした。 
二次林内に入り右へ向かいます。 
監視カメラの死角に消えてからも再び(キツネの?)奇妙な鳴き声がかすかに聞こえました。 


※ キツネの鳴き声が聞き取れるように、動画の一部は編集時に音声を正規化して音量を強制的に上げています。 


【考察】 
ニホンアナグマの母子が籠城する巣穴の入口でホンドギツネが大声で鳴いたのが興味深く、自分なりに解釈を考察してみました。

キツネの狩りのシーンをトレイルカメラで何度か観察しているのですけど、野ネズミを狙っているときなどにキツネが鳴くことは一度もありませんでした。

関連記事(5ヶ月前の撮影)▶ 

キツネは野ネズミの巣穴付近で待ち伏せ型の狩りをしますから、わざわざ大声で鳴いて獲物に自分の存在を知らせるはずがありません。
したがって、今回アナグマの巣口でキツネが鳴いたのも、狩りの衝動とは結びつかないでしょう。

キツネが野ネズミを狩る際に、わざと足音を踏み鳴らしながら2つの巣口を往復して、野ネズミを巣外に追い出してから狩ろうとする行動を過去に見たことがあります。


今回のキツネが大声で鳴いたのは、巣内に潜む獲物(アナグマ)を威嚇して巣外に飛び出してくる獲物を待ち伏せする目的だったのかもしれません。(おびき出し仮説)
しかし、キツネの鳴き声に怯えたアナグマ(幼獣)が別の出口から飛び出してくることはありませんでした。
そもそも2つの巣穴は内部でつながっていないため、出入り口は一つずつしかありません。
私の知る限り、この営巣地(セット)では緊急用の脱出口は作られていないのです。
つまり、捕食者が巣穴に侵入したら、中のアナグマは逃げ場所がなく「袋の鼠」です。
防衛戦略上、致命的な欠陥だと思うのですが、ここで暮らすアナグマは改めようとしません。
アナグマの家族は日によってどちらかの巣穴を居室として暮らしています。
アナグマの各巣穴に出入口が1つしか無いことを、長期観察している私は知っていますけど、滅多に来ないキツネがアナグマの巣穴の内部構造を把握しているかどうか疑問です。
セットの匂いを嗅ぎ回るだけで、そこまで分かるとは思えません。

巣口の匂いを念入りに嗅いだキツネが、獲物となり得るアナグマ幼獣の存在を知ったことは間違いありません。
それなのに、キツネは巣内に押し入ってアナグマ幼獣を狩ることはなく、立ち去りました。
おそらくアナグマの母親♀が巣内で幼獣と一緒に籠城していたはずです。
動画では聞き取れませんでしたが、巣穴の奥からアナグマの母親♀も唸り声をあげて、侵入しかけたキツネを威嚇・撃退したのかもしれません。
もしもキツネが無理してアナグマの巣穴に強引に侵入すると、追い詰められたアナグマの母親♀が我が子を守るために必死で反撃する可能性が高く、「背水の陣」で「窮鼠猫を噛む」リスクがあります。
それでキツネは狩りを諦めたのでしょう。
つまり、キツネの葛藤が大きな鳴き声として表出した置換行動と思われます。

この記事を書くために、ChatGPTと問答を繰り返し、解釈についてブレインストーミングしました。
結論: キツネがアナグマの巣口で大声をあげたのは、獲物を前にした狩りの衝動そのものではなく、巣を守る母アナグマに対する警戒と、捕食欲求との間で揺れ動いた葛藤の表れだった可能性が高い。

つづく→


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2025/08/24

ニホンアナグマの母子が引っ越してきた営巣地を突き止めスクワットマーキングを繰り返すヘルパー♂?【トレイルカメラ:暗視映像】

 



2024年6月下旬

シーン0:6/26・午後13:46・くもり・気温31℃(@0:00〜) 
明るい時間帯に撮れた現場の様子です。 
ニホンアナグマMeles anakuma)の母子家族が転入してきた営巣地(セット)を2台の自動撮影カメラで見張っています。 


シーン1:6/29・午後21:27・気温23℃(@0:03〜) 
二次林の獣道からやって来たアナグマ成獣が巣口Lの匂いを嗅いでから左へ向かいます。 
2つの巣口L、Rの中間地点で地面にスクワット・マーキングしました。 
横から腹面を見た際に乳房や乳首が見えないので、この成獣はいつもの母親♀とは別個体のようです。 
夜にトレイルカメラが照射する赤外線を反射する目のタペータムが母親♀は右目<左目と不均等なのですが、この個体は左右の目(タペータム)が同じ大きさ(正常)でした。 


シーン2:6/29・午後21:27・気温23℃(@0:29〜) 
別アングルで設置した監視カメラで続きが撮れていました。 
尻を地面に擦りつけて臭腺や肛門腺で匂い付けをするスクワットマーキングを2回連続で行いました。 
やはり腹面に乳房や乳首が見えず、左右の目が均等でした。 
鼻面がやや短いので、素人目には♂のようです。 
もしかしてヘルパー♂(同じ母親♀から前年に産まれた息子)なのでしょうか? 

巣穴Rにも入らず、右へ立ち去りました。 
アナグマ♂と入れ替わりでコウモリがセットに飛来しました。 


シーン3:6/29・午後21:30(@1:03〜) 
数分後に営巣地に戻ってきたアナグマ♂が巣口Lに顔を突っ込んで匂いを嗅いでいます。 
巣口Lに座って再度スクワットマーキングしてから、手前へノソノソと立ち去りました。 


シーン4:6/29・午後21:30(@1:03〜) 
別アングルの映像に切り替えます。 
巣口Lにスクワットマーキングしてから林内へ向かいます。 
林縁でスクワットマーキングを数回繰り返しました。 


【考察】 
ニホンアナグマの母子(母親♀と幼獣4頭)がこの営巣地に転入してきて以来、ヘルパー♂らしき成獣個体の登場は初めてです。 
母親♀が越冬・出産に使った営巣地がどこか別の場所にあるはずです。 
そこではヘルパー♂も同居して、巣穴の穴掘りなどを手伝っていたと思われます。 
幼獣が離乳して長距離を出歩けるようになると、母子はこの営巣地に引っ越してきたのです。 

ヘルパー♂は引っ越しに同伴しなかったのですが、転出した母子の居場所をヘルパー♂が今回ようやく探り当てたのではないかと想像しています。
 「ヘルパー♂参上!」と挨拶代わりにセットのあちこちにスクワットマーキングを念入りに繰り返していたのでしょう。 

このときアナグマの母子家族は巣内で休んでいたと思われますが、採食のため外出中だったのかもしれません。 
ヘルパー♂は巣内に入って家族と合流することはなく、あっさり営巣地から立ち去りました。 

私は暗視映像でアナグマが赤外線を反射する目の大きさの違いだけを頼りに母親♀(右目<左目)を辛うじて個体識別しているのですが、今回ヘルパー♂がたまたま夜に来てくれたおかげで、母親♀ではないと気づくことができました。 
もしも明るい昼間に来ていたら、てっきり成獣は母親♀だと思い込んでいたかもしれません。 


2025/08/23

深夜の水場に来たフクロウ:6月下旬【野鳥:トレイルカメラ:暗視映像】

 



2024年6月下旬 

シーン0:6/24・午後13:17・くもり(@0:00〜) 
明るい昼間にたまたまフルカラーで撮れた現場の状況です。 
山林に少し開けた湿地帯があり、湧き水が滲み出した浅い水溜りを野生動物や野鳥が水場として利用するので、自動撮影カメラ(旧機種)を設置しています。 

ある一晩に登場したフクロウStrix uralensis)の様子を以下にまとめました。 


シーン1:6/26・午前3:02(@0:04〜) 
画面左端の水溜まりに来たフクロウが水浴しているようです。
フクロウは監視カメラに撮られることを嫌って、死角に隠れているのでしょうか? 
他には、コウモリが繰り返し飛来しています。 


シーン2:6/26・午前3:23(@0:45〜) 
いつの間にか水溜りの対岸に上陸していたフクロウの後ろ姿が写っています。 
振り返って周囲を警戒してから、音もなく羽ばたいて右上奥へ飛び去りました。 


シーン3:6/26・午前3:32(@0:56〜) 
手前の浅い水溜まりにフクロウが足を浸していました。 
左此岸にピョンと上陸すると、左奥の水面をじっと見つめています。 
水場に来る小動物を待ち伏せして狩ろうとしているのかもしれません。 
諦めたのか、やがて方向転換すると、右上に飛び立ちました。 


2025/08/22

ニホンアナグマ♀が縄張り侵入者を撃退する間に営巣地で独り留守番する幼獣【トレイルカメラ:暗視映像】

 



2024年6月下旬・午後20:50頃 

シーン1:6/29・午後20:48・気温22℃(@0:00〜) 
ニホンアナグマMeles anakuma)の母親♀と幼獣1頭が夜の巣外で活動しています。 
母親♀が二次林の右奥を凝視してから、急に獣道を右に向かって突進して行きました。 
アナグマの営巣地(セット)や縄張りに来た侵入者を追い払いに向かったのでしょうか? 
幼獣は慌てて巣穴Lに逃げ込みました。 
このとき母親♀が幼獣に対して避難するように警戒声を発したかどうか、という点が気になります。 
音量を上げて何度も聞き直すと、カッカッ♪という音がかすかに聞こえますが(@0:07〜)、アナグマの鳴き声なのかカメラのノイズなのか、いまいち自信がありません。 

幼獣は巣口Rで上半身を出して周囲を警戒してから、結局は後退で巣穴Lに入りました。


シーン2:6/29・午後20:50(@0:47〜) 
警戒を解いて巣穴Lから延びるアクセストレンチで独り遊びしていた幼獣が、巣穴Lに戻りました。 
独りで留守番するアナグマ幼獣が小声で散発的に吠えていたのは、寂しくて母親を呼ぶ声なのかな? 
すぐにまた巣口Lから外に出てきました。 
身震いしてから獣道を右に歩き出し、母親を探しに行ったようです。 

言葉では表現しにくいのですが、シーン1から遠くでジュルジュルジュル…♪とかビルビルビル…♪というような音がずっと聞こえています。(ジェジェジェビーム? ただのノイズ?) 
監視カメラの死角から母親♀が鳴き続けているのでしょうか?
幼獣が言うことを聞かずに巣穴の外に出てきてしまっているので、警戒声の意味ではなさそうです。 


シーン3:6/29・午後20:51(@1:47〜)
留守番する幼獣が小声で吠えながら、獣道を右往左往しています。 
母親♀がなかなか戻ってこないので、私も心配になってきました。 
しばらくすると、静かになりました。 


シーン4:6/29・午後20:53(@2:36〜) 
ようやく母親♀が獣道を右から営巣地に戻ってきました。 
巣口Lでググ、ググ♪(グルル♪?)と低く鳴いてから、中に潜り込みました。 

入巣L後は謎の連続音(ジェジェジェビーム♪?)が聞こえなくなり、辺りは静かになりました。 


※ 鳴き声が聞き取れるように、動画編集時に音声を正規化して音量を強制的に上げています。 


【考察】 
アナグマの縄張りに何者が不法侵入したのか、最後まで分からずじまいでした。 
前回イノシシ母子が営巣地にずかずかと侵入した際にアナグマの母親♀は巣穴に籠城するだけだったのに、今回は積極的に追い払いに向かったということは、今回の敵はあまり大きくない動物(タヌキやネコなど)ではないかと想像しています。 



今回登場した幼獣は1匹だけでした。 
他の兄弟姉妹3匹がどこにいるのか、不明です。 


2025/08/21

山中の湿地で夜に水を飲み採食する2頭のニホンイノシシ【トレイルカメラ:暗視映像:フィールドサイン】

 



2024年6月下旬

シーン0:6/24・午後12:41・くもり(@0:00〜) 
シーン0:6/24・午後13:17・くもり(@0:00〜) 
山林の中に少し開けた湿地帯があります。 
様々な野生動物や野鳥が水場として利用する、湧き水や雨水が溜まった水溜りを2台の自動センサーカメラ(旧機種)で見張っています。 


シーン1:6/27・午後20:11(@0:07〜) 
ある晩にニホンイノシシSus scrofa leucomystax)が登場しました。 
水溜まりSに口をつけて泥水を飲んでいます。 
飲み終わると、そのまま此岸の泥濘を右へ向かいます。 
今回のイノシシは単独ではなく、後続個体が縦列でついて歩いていました。 
普通なら母子なのですけど、今回のペアには体格差がありません。 
なんとなく、若い兄弟姉妹のような気がします。 
ただし体表に縦縞模様はありませんでした。(ウリ坊ではない)。
横から腹面を見ても、乳房や乳首、外性器などは見当たりません。 


シーン2:6/27・午後20:11(@0:29〜) 
湿地帯の反対側に設置した監視カメラでも続きが写っていました。
2頭のイノシシは、湿地の泥濘を右から左へゆっくり歩いています。 
先行個体はどんどん左へ立ち去りますが、後続個体は一箇所に立ち止まっています。 
鼻面で泥濘を掘り返し、餌を探しているのでしょう(採食行動)。

残念ながら、手前の泥水溜りNには近づきませんでした。


シーン3:6/27・午後20:12(@1:12〜)
後続個体が対岸の左奥で立ち止まり、林縁で何か採食しているようです。 
左に立ち去った後で、イノシシが重低音で鳴く声♪がかすかに聞こえました。 


※ 動画の一部は編集時に自動色調補正を施しています。 
※ イノシシの鳴き声が聞き取れるように、動画編集時に音声を正規化して音量を強制的に上げています。 


シーン4:6/28・午後13:10・(@0:00〜) 
翌日に現場検証すると、前夜に来たイノシシは、水が澄んだ浅い水溜りではなく、わざわざ白濁した左の深い水溜りから水を飲んでいたようです。 

約17時間前にイノシシ2頭が続けて歩いた泥濘に、蹄の跡がくっきりと残っていました。 
私はまだフィールドでニホンカモシカとニホンイノシシの蹄跡をしっかり見分けられる自信がないのですけど、今回はトレイルカメラの証拠動画が残っているので、間違いなくイノシシの足跡です。 

イノシシの足跡はスギ林の方へ向かっていました。 
採食痕のフィールドサインも現場でじっくり撮影すべきでしたね。


余談ですが、「所さんの目がテン!」という動物系長寿番組の2024年8月18日放送回は、「いきものの森SP:見られなくなった植物復活?タイムカプセル実験」というタイトルでした。 
埋土種子の発芽実験を実演した上で、「イノシシやアナグマなど、表土(腐葉土)を大規模に掘り返す動物は、撹乱して埋土種子が発芽しやすくしているのかもしれない」と専門家がコメントしておられました。 
ヒトのせいでイノシシやアナグマが絶滅した森は、植物の多様性が予想以上に劣化し、貧弱で貧相な森になってしまうでしょう。


つづく→

2025/08/20

セットで暮らすニホンアナグマの家族:6/24昼夜の諸行動【トレイルカメラ:暗視映像】

 



2024年6月下旬・午前0:03〜午後17:44・ときどき小雨 

平地の二次林でニホンアナグマMeles anakuma)の親子(母親♀と幼獣4頭)が転入してきた営巣地(セット)を自動撮影カメラで見張っています。 
6/24に撮れた記録をまとめました。 
最後は記録メディアの容量を使い切ってしまいました。 

面白そうな行動は個別の記事で紹介したので、その残り物です。 
採食、毛繕い、遊びなどの行動が写っています。 


※ 鳴き声が聞き取れるように、動画編集時に音声を正規化して音量を強制的に上げています。 


2025/08/17

アナグマの空き巣を内見に通うホンドタヌキ♀♂:6月中旬【トレイルカメラ:暗視映像】

 



2024年6月中旬 

シーン0:6/11(@0:00〜) 
平地の二次林でニホンアナグマMeles anakuma)の旧営巣地(セット)を2台の自動センサーカメラで見張っています。 
ホンドタヌキ♀♂(Nyctereutes viverrinus)の登場シーンをまとめました。 
面白そうな行動は個別の記事に取り上げたので、今回は残り物です。 
アナグマの家族がセットに転入してくる前の出来事です。 


シーン1:6/12(@0:07〜) 
暗い夜に何度も登場し、アナグマの巣穴L(空き巣)を頻繁に内検しています。 
そんなに気に入ったのなら住み付けばよいのに、巣内Lで何をしているのか不明です。 
春に巣内Lで餓死した「いざりタヌキ」の死骸が白骨化して奥に転がっているはずなので、それが気になるのでしょうか? 
(まさか仲間の墓参りに来ている?) 
穴居性の虫や死骸に群がるスカベンジャーの虫を捕食しにタヌキはせっせと通っているのかな? 


シーン2:6/14(@4:09〜) 
もう一つの巣穴Rもたまに内検しています。 


 シーン3:6/15(@6:13〜) 

シーン4:6/17(@7:02〜) 

シーン5:6/18(@10:40〜) 
夜だけでなく、明るい日中にも登場しました。 


シーン6:6/19(@16:54〜) 


※ 動画の一部は編集時に自動色調補正を施しています。 
※ 鳴き声が聞き取れるように、動画の一部は編集時に音声を正規化して音量を強制的に上げています。 


2025/08/15

夜明け前に野鳥のコーラスを聞きながら水溜りの水を飲むフクロウ【野鳥:トレイルカメラ:暗視映像】

 



2024年6月下旬

シーン0:6/28・午後13:15・くもり・気温29℃(@0:00〜) 
明るい日中にたまたまフルカラーで撮れた現場の様子です。 
山林に少し開けた湿地帯があり、湧き水が滲み出した浅い水溜りを野生動物や野鳥が水場として利用するので、自動撮影カメラ(新機種)で見張っています。 

フクロウStrix uralensis)の登場シーンを以下にまとめました。 


シーン1:6/29・午前4:00・気温17℃(@0:04〜)日の出時刻は午前4:16。 
夜明け前に水場に来たフクロウが周囲を警戒してから、歩いて入水しました。 
ときどき頭を下げて泥水を飲んでいるようですが、後ろ姿なのでよく見えません。 

辺りはまだ真っ暗なのに、野鳥の早朝コーラスが始まっています。 
おそらくクロツグミ♂(Turdus cardis)などが、周囲の森で美声を競い合うようにさえずり、縄張り宣言しています。 


シーン2:6/29・午前4:03(@2:04〜) 
水溜まりに入ったまま右を向いていたフクロウが、右上へ飛び去りました。 


シーン3:6/30・午前4:04・気温17℃(@2:14〜)日の出時刻は午前4:17。 
翌日もほぼ同じ時刻(夜明け前)にフクロウが水場に来ていました。 
今回もフクロウは野鳥の早朝コーラスを聞きながら水を少し飲んだだけで、水浴びはしないで右に飛び去りました。 

周囲でヒヨドリHypsipetes amaurotis)がやかましく鳴いています。 


※ 鳥のコーラス♪が聞き取れるように、動画編集時に音声を正規化して音量を強制的に上げています。 
フクロウが水場で鳴くことは一度もなく、いつも静かに黙っています。 




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2025/08/14

引っ越してきた翌日、ニホンアナグマ家族の晩の諸行動【トレイルカメラ】

 



2024年6月下旬・午後19:16〜23:39 

ニホンアナグマMeles anakuma))の母親♀が4頭の幼獣を連れて旧営巣地(セット)に転入してきた次の日の日没後(晩)の行動をまとめました。 
ちなみに、この日は東北地方南部に梅雨入りが宣言されました。 


※ 鳴き声が聞き取れるように、動画編集時に音声を正規化して音量を強制的に上げています。 


2025/08/12

営巣地に近づくニホンイノシシに対するニホンアナグマ家族の警戒・避難行動【トレイルカメラ:暗視映像】

 



2024年6月下旬 

シーン1:6/23・午後23:39(@0:00〜) 
二次林にある巣穴の外で深夜にのんびり活動していたニホンアナグマMeles anakuma)の家族(母親♀と4頭の幼獣)の様子がなぜか急変しました。 
母親♀が独りで左に走って行きました。 
2匹の幼獣a,bが続けざまに巣口Lに飛び込みました。 
母親♀が警戒声♪を発したのかどうか、私には聞き取れませんでした。 
右奥から幼獣cが戻ってきて、同じく巣穴Lに入りました。 
左から戻ってきた♀がセット(営巣地)を駆け回り、左へ突進しました。 
林床に散らばった4匹の幼獣たちを呼び集めている(点呼招集)のかと思ったのですが、このとき母親♀は、巣外に残ったままの幼獣に巣穴へ戻るよう促しませんでした。 
しかし、母親♀のただならぬ様子で緊急事態を察したのか、外に居た幼獣cもようやく自発的に入巣Lしました。 
最後に右からセットに戻ってきた幼獣dは、巣穴Lには入らず、呑気に左へ向かいました(母親と合流したいのかも)。 

巣口Lから別個体の幼獣が顔だけ出して外の様子を心配そうに伺っています。 
緊急時の対応を見ても、4匹の幼獣には明らかに性格の違いがあるようで、興味深く思いました。 


シーン2:6/23・午後23:39(@1:00〜) 
別アングルに設置した監視カメラでも撮れていました。 
何者かがセットに接近するのを察知して警戒し、巣外で活動していたアナグマの家族が次々に2つの巣穴L、Rに潜り込んで避難しています。 

初めに巣口Rで警戒していた母親♀(右目<左目)が、なぜか警戒声も発さずに幼獣を放置したまま反対側に走り去りました。 
しかしすぐに駆け戻ってきて、慌てて巣穴Rに入りました。 
もうひとつの巣口L付近に居る幼獣は放ったらかしです。 
巣口Rから恐る恐る顔を出した母親♀(右目<左目)が、巣口Rで警戒しています。 
逃げ遅れた幼獣が1匹、母親♀がいる巣口Rに向かってゆっくり前進しています。 


シーン3:6/23・午後23:41(@2:00〜) アナグマの営巣地に深夜侵入したのはニホンイノシシSus scrofa leucomystax)の母子でした。 
セットをうろつき、林床の匂いを嗅ぎ回っています。 
既報なので、10倍速の早回しでお届けします。 



この間、アナグマの家族は全員が巣内で籠城しているようです。 


シーン4:6/23・午後23:45・雨天(@2:16〜) 
しばらくセットに長居したイノシシの親子が立ち去った後、雨が降り出しました。 
ちなみに、この日は東北地方南部に梅雨入りが宣言されました。
巣口Rから外に出てきたと思われるアナグマ♀が、イノシシの残り香を嗅ぎ回り、辺りを警戒しています。 


シーン5:6/23・午後23:59・雨天(@3:16〜) 
アナグマの母親♀(右目<左目)が巣口LRの中間地点で警戒している間に、1匹の幼獣が不安そうに巣口Rから外に顔を出したものの、すぐに奥へ引っ込みました。 
母親♀が巣口Lの匂いを嗅いでから、中へ慎重に潜り込みました。 


シーン6:6/23・午後23:59・雨天(@3:42〜) 
別アングルの監視映像でも入巣Lシーンが撮れていました。
左から来が母親♀が巣口Lの匂いを嗅いでから入巣L。 

旧営巣地に転入してきたばかりのアナグマの家族にとって、激動の一日がようやく終わりました。 


※ 鳴き声が聞き取れるように、動画編集時に音声を正規化して音量を強制的に上げています。 


【考察】 
イノシシは肉食獣ではないので、アナグマの幼獣が捕食される心配はありません。 
しかし当地でイノシシはまだ個体数が少なく、山中でも滅多に遭遇できません。 
ましてや人里に隣接する平地の二次林で暮らすアナグマにとって、イノシシは初見の(未知の)怪獣だった可能性すらあります。 

営巣地(セット)にイノシシ2頭がズカズカと侵入したのに、アナグマの母親♀が縄張りから撃退したり幼獣を積極的に守ったりする行動をしなかったのが、とても意外でした。 
逃げ遅れた幼獣の首筋を咥えて強引に巣穴に連れ戻すかと期待したのですが、アナグマの母親♀はパニックのように右往左往したり、我先に巣穴Rに逃げ込んだりするだけで、素人目には全く頼りにならない体たらくでした。 
野生動物が子を守る母性本能というのは、ヒトが勝手に投影する幻想、願望、神話に過ぎないのでしょうか。
イノシシは肉食性ではないので、アナグマの幼獣が捕食される心配はありません。 
今回の侵入者は図体がでかくても危険性がないことをアナグマの母親♀は冷静に見切っていたのでしょうか。
今回アナグマの母親♀は、ただ己の保身に走ったようにも見えますが、幼獣に対して巣穴に籠城する避難行動の手本を示したと解釈することもできそうです。
もしもアナグマのヘルパー♂が母子と同居していれば、イノシシを撃退したり、幼獣を守ったりしたでしょうか?

♀が走り回ってカッ♪と鳴いたのが警戒声なのかな? 
アナグマが発する鳴き声のレパートリーの中で警戒声が分かっているのなら、録音した警戒声をスピーカーから再生すると、アナグマは巣穴に一目散に逃げ込むはずです。
ニホンアナグマに対して、そのようなプレイバック実験は行われていないようです。



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