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2026/09/24

オオウバユリの花を食べるニホンカモシカ♂(両角欠け)【トレイルカメラ:暗視映像】

 

前回の記事:▶  


2026年8月上旬 

シーン1:8/4・午後12:48・晴れ・気温30℃(@0:00〜) 
落葉二次林にあるニホンアナグマ(Meles anakuma)の営巣地を自動撮影カメラで見張っています。 
林床にオオウバユリの花が横向きに1つだけ咲いています。(画面左下の赤丸○) 
オオウバユリは夜に開花すると聞いたのですけど、明るい昼間から咲いていました。 
咲いたのは前日の夜なのかな? 


シーン2:8/5・午後19:07(@0:05〜)日の入り時刻は午後18:47。
オオウバユリの花の位置を覚えておいて下さい。(画面左下の赤丸○) 
画面の反対側(右端)からカモシカの横顔が見えました。
最近アナグマのセットに出没している(映像公開予定)、左右の角が両方欠けている♂個体です。

右下隅の下草が不自然に揺れているので、監視カメラの死角でカモシカが採食しているようです。 


シーン2:8/5・午後19:08(@0:18〜) 
ニホンカモシカはカメラの前を右から左にゆっくり歩いて横切ると、横向きに咲いていたオオウバユリの花をムシャムシャと食べました。
茎の根元に生えた葉は食べませんでした。


シーン3:8/24・午後13:01・くもり・気温30℃(@1:09〜) 
19日後の明るい昼間にたまたま撮れた現場の様子です。 

つづく→



【アフィリエイト】


【考察】
想定外の面白い映像がたまたま撮れるのが、トレイルカメラの醍醐味です。
夜の森でニホンカモシカの採食メニューがこれほどはっきり分かる映像が撮れて、ラッキーでした。
急いで記事にして動画を公開することにしました。

オオウバユリの花は夜に開花するため、夜行性の訪花昆虫を誘引するために強い芳香があるのだそうです。
ニホンカモシカは、夜の林内に漂うオオウバユリの花の芳香を頼りに食べ歩いているのかもしれません。 
暗視映像を見ると、カモシカは暗闇で花に向かってまっすぐ歩いて来てそのまま食べました。

必ずしも嗅覚に頼らなくても、白くて大きなオオウバユリの花は暗い林内でうっすらと見えそうです。
トレイルカメラが照射する赤外線をカモシカのタペータム(輝板)が反射していたということは、カモシカは夜の暗い林内でもかすかな月明かりなどを頼りに物が見えているはずです。

山菜図鑑によると、オオウバユリの若葉がヒトの食用になるらしい。 
アイヌの人々は伝統的に、オオウバユリの球根を掘って鱗茎からデンプンを採って食べるのだそうです。


Perplexity AIに色々と訊いてみました。

Q1:オオウバユリの花には芳香があるか?
A1:オオウバユリ(Cardiocrinum glehnii)の花には芳香があります。複数の植物図鑑や観察記録で「芳香がある」「強い香りがある」と明記されており、特に夕方〜朝にかけて香りが強まることが報告されています。 jplants

芳香の特徴

  • 香りの質: 「上品な香り」「高貴な芳香」「優しい香り」と表現され、ヤマユリのような強烈な香りではなく、穏やかで繊細な芳香とされています。 qkamura.or
  • 香る時間帯: 一日中ではなく、夕方〜夜間、および朝に特に強く香るという観察が複数あります。これは受粉昆虫(マルハナバチなど)の活動時間帯と関連している可能性が指摘されています。 love-evergreen
  • 強さ: 近づかないと分からない程度の穏やかな香りで、園芸種のユリほど遠くまで漂う強烈さはないとされています。 siraneaoi.lekumo



Q2:オオウバユリの開花時刻は? 夜に咲くのか?

A2:オオウバユリの花は**夜に咲く(夜開性)**です。複数の情報源で「夕方に開く」「夜に咲く」と明記されており、芳香が夕方〜朝に強まるという観察とも一致します。

開花の時刻と挙動

  • 開花開始: 花は夕方に開き始め、夜間に開花状態になります。
  • 花の持続: 1個の花は数日(2〜5日程度)持続しますが、花序全体では下から順に開花が進みます。 love-evergreen
  • 受粉生態: 夜間に芳香が強まることから、**夜行性の昆虫(ガ類など)**による送粉が示唆されています。ただし、マルハナバチなどの昼行性昆虫も訪花することが観察されています。 mkbkc.hatenablog

補足:なぜ夜に咲くのか

夜開性と芳香の組み合わせは、多くのユリ科植物でみられる送粉戦略です。夜間に活動するガ類は視覚より嗅覚に頼るため、強い芳香と淡色(緑白色)の花が効果的に働きます。 mkbkc.hatenablog


Q3:8月上旬の二次林の林床に咲いたオオウバユリの花を、暗くなった晩に(19:10頃)ニホンカモシカが採食したシーンがトレイルカメラに写っていました。カモシカは花の芳香に誘引されたのだろうか? 暗い林内でも白くて大きなオオウバユリの花はうっすらと見えるのかもしれません。

A3:素晴らしい観察記録ですね。19:10頃の薄暮〜夜間にニホンカモシカがオオウバユリの花を採食したシーンは、カモシカの生態とオオウバユリの送粉・防御生態の両方から非常に興味深い事例です。

カモシカは花を好む

複数の研究で、ニホンカモシカは広葉草本の花を嗜好することが示されています。 tuat.ac

  • 東京農工大学の研究では、カモシカが「消化しやすく高栄養な広葉草本(葉・花)」を選択的に採食することが直接観察で確認されています。 tuat.ac
  • 飼育下のカモシカは夕方〜夜間に主に採食活動を行い、野生でも早朝と夕方に採餌のピークがあります。 animaldiversity
  • 花は栄養価が高く、柔らかく消化しやすいため、カモシカにとって魅力的な食物です。 tuat.ac

芳香への誘引はあり得るか

オオウバユリの花は夕方〜夜間に強く芳香を放ち、夜行性の送粉者(ガ類など)を誘引するように適応しています。

カモシカは嗅覚が発達しており、食物の選別には嗅覚も重要な手がかりとなります。 したがって、以下のシナリオが考えられます: love-evergreen

  1. 芳香が手がかり: 薄暗い林内で、オオウバユリの強い芳香がカモシカの注意を引いた可能性は十分にあります。
  2. 視覚的手がかり: ご指摘の通り、暗い林内でも緑白色の大きな花(10–17 cm)はうっすらと見え、カモシカの視覚(夜間視力)でも検出可能でしょう。
  3. 偶然の発見: カモシカが林床を移動中に、たまたま立ち寄って採食した可能性もあります。

生態的意義

この観察は、オオウバユリの花が夜行性哺乳類によっても利用されていることを示唆しており、以下の点が興味深いです:

  • オオウバユリの花は「夜開性+芳香」という送粉者誘引形質を持ちますが、同時に草食哺乳類への被食リスクにもなっている可能性があります。
  • カモシカのような大型草食動物による採食は、個体群動態(開花個体の減少)に影響を与える可能性があります。
  • 一方、カモシカが種子散布に寄与する可能性(果実を採食する場合)も考えられますが、オオウバユリの種子は風散布が主です。

結論

カモシカがオオウバユリの花を採食した要因として、芳香への誘引は十分にあり得ると考えられます。ただし、視覚的手がかりや偶然の発見も関与している可能性があり、これらを区別するには追加の観察(芳香の有無と採食頻度の相関、夜間視覚実験など)が必要でしょう。

この観察記録は、オオウバユリと草食哺乳類の相互作用を理解する上で貴重なデータです。ぜひ、季節を超えた継続的なモニタリングを続けられると、さらに興味深い知見が得られるかもしれません。


2026/09/23

カラス雛の死骸をホンドタヌキの溜め糞場に給餌してみると…【トレイルカメラ:暗視映像】

 



2025年5月上旬〜中旬

シーン0:5/7・午後(@0:00〜) 

郊外の道端で鳥の雛が路上に落ちて死んでいました。 
一部の羽根が青かったのでオナガの雛と迷ったのですが、喉が黒かったので、おそらくハシボソガラス(Corvus corone)の雛だと思います。 
(念のためにGoogleレンズで写真鑑定してもらいました。)
嘴をしっかり閉じて死んでいるため、カラス雛の口内が赤いことを確認できませんでした。 (カラス成鳥は口内が黒になる。)

電柱に架けられたカラスの巣を撤去・駆除する際に、雛が落ちてしまったのでしょうか? 
しかし、カラスの巣の撤去を依頼されても、巣内に卵や雛が居た場合には、基本的に撤去作業を強行しないはずです。
鳥獣保護管理法で守られているからです。

それとも、巣内で死んだ雛を親鳥が巣外に捨てたのでしょうか? 
巣内で死んだカラスの雛を親鳥が食べたり、他の雛に給餌したりすることはないらしく、死骸を巣の外に捨てるらしい。 
真上の電柱にカラスの巣があるかどうか確認すべきだったのに、こんな街なかで営巣しているはずがないと思い込んでいた私は見上げませんでした。 
(たとえカラスの巣が電柱の上に無かったとしても、電力会社が撤去した直後かもしれません。)
実は翌年、同じ(または隣の)電柱に営巣するハシボソガラスを観察しています。 


この近所で他にカラスの営巣地として心当たりがあるのは、高圧線の送電塔です。 
猛禽などの捕食者がカラスの巣を襲い、雛をさらってくる途中で落としてしまった可能性もありそうです。 

死んでいるとは言え、カラスの雛の実物を見るのは初めてです。 
この個体は羽根がまだ生え揃っていません(水色の羽鞘が見えます)。 
採集時に死骸を持ち上げてみたら意外に重かったので、カラスの親鳥が巣外に捨てるにしても、咥えて運ぶのは大変そうです。 
したがって、巣から遠くに運んで捨てたとは思えません。 

写真に撮ってから死骸を採集しました。 
一度は立ち去りかけたものの、ビニール袋を持参していたことを思い出し、それを手袋代わりにして死骸を素早く回収しました。 
死骸が横たわっていた舗装路は体液で湿っていて、微小なアリ(種名不詳)が数匹群がっていました。 
死臭を嗅ぎつけたハエ類などはまだ来ていませんでした。 
死後硬直もなかったので、死んでからそれほど時間が経っていないようです。 

持ち帰った死骸をとりあえず冷凍保存しました。 
剖検して死因を調べるか、頭骨標本を作るか、スカベンジャーに給餌するか、使い道を考えます。
15cm定規を並べて置いた。



シーン1:5/9・午後・晴れ(@0:12〜) 
前回の成功に味をしめて、ハシボソガラスの雛の死骸もホンドタヌキ(Nyctereutes viverrinus)に給餌することにしました。 


2日後に、冷凍庫から取り出したカラス雛の死骸を、スギ防風林にあるタヌキの溜め糞場wbcまで持参しました。 
死骸は不自然な体勢で曲がったまま凍っていました。
ゴム手袋をしてから、まだ完全に解凍されていない死骸をじっくり見ると、総排泄孔が大きいことにちょっと驚きました。
青い羽鞘の先から黒い羽根が生えかけています。

死骸をただ林床に置くのではなく、溜め糞の横にある灌木(樹種不明:落葉性広葉樹)に針金で頸部を固定してぶら下げました。 
前回の反省を活かして、スカベンジャーが死骸を監視カメラの前からすぐに持ち去れないように工夫したつもりです。 


カラス雛の死骸を常温解凍しても、私の嗅覚ではほぼ無臭でした。
しかし、かすかな死臭を敏感に嗅ぎつけたハエ類(キンバエ、クロバエ)がすぐに飛んできて頭部に群がり、吸汁し始めました。 
ハエ♀が産卵しても死骸がまだ凍っているため、ウジ虫(ハエの幼虫)の孵化を遅らせることができそうです。

果たしてタヌキはカラス雛の死骸を巣穴に持ち帰って母親♀に給餌するでしょうか? 
予想では、繁殖期に巣穴で出産・授乳・育児する母親♀にせっせと餌を運んできて与えるのは父親♂やヘルパー♀(娘)の仕事です。 


シーン1:5/13・午前2:06・気温8℃(@1:53〜) 
今回の給餌実験は、残念ながら全然私の思い通りにはいきませんでした。
監視カメラが不調だったのか、4日後の深夜未明までろくに起動しませんでした。
すでにカラス雛の死骸は何者かにほとんど持ち去られた後で、頭部しか残っていませんでした。

ホンドタヌキの両目失明個体(ヘルパー♀)が死骸をぶら下げておいた真下の落ち葉の匂いを嗅ぎ回っています。
カラス雛の死骸から垂れた体液(ドリップ)の死臭が残っているのでしょう。 

針金でぶら下げられたカラス雛の頭部を嗅ぎ当てると、恐る恐る咥えて引っ張り、手前の林床に落としました。 
発見が遅れたせいで、死骸(の頭部)はかなり腐敗しているはずです。  
タヌキが腐肉を食べる前に1分間の録画時間が終わってしまいました。


シーン2:5/13・午前2:21・気温9℃(@2:21〜) 
14分後も両目失明個体が同じ場所に留まり、のんびり座って体を掻いていました。
すぐ横には親ダヌキと思われる別個体が居ます。
結局、誰がカラス雛の死骸を食べたのか、証拠映像が撮れませんでした。
どうやら死骸を監視カメラの画角から外れた位置に持ち去ってから食べたようです。
今回も両目を失明したヘルパー♀はせっかく見つけた死骸を食べられず、両親のどちらかが横取りして食べたのでしょうか?

親子2頭が溜め糞場WBCに並んで一緒に大小便の排泄を始めました。
そこへ3頭目の個体が現れ、合流しました。(@3:34〜)
(溜め糞場wbcで3頭の家族群が揃ったことになります。)


シーン3:5/13・午前2:22(@3:53〜) 
最後に来た殿(しんがり)の個体(両目が健常の親ダヌキ)も排便を済ませると、獣道を右へ向かい、スギの木の根本で待っていた両目失明個体と合流しました。


シーン4:5/13・午前2:24(@4:23〜) 
左から来たタヌキが溜め糞を素通りして、右のスギの根本に座っていた個体と合流しました。
このときキュン♪と小声で鳴きました。(@4:31〜)
タヌキの鳴き声にしては初めて聞くレパートリーです。 
2頭が相互毛繕いしているようですが、よく見えません。




※ 鳴き声が聞き取れるように、動画の一部は編集時に音声を正規化して音量を強制的に上げています。 


シーン5:5/21・午前11:24・晴れ・気温30℃(@4:38〜) 
8日後の昼間にたまたま撮れた現場の様子です。


【考察】
残念ながら、今回の死骸給餌実験は失敗に終わりました。
今回の撮影アングルでは、もしもタヌキが手前から奥に歩いて来てそのまま死骸に食いついた場合、トレイルカメラのPIRセンサーは反応しにくいことが仕様上予想されます。
撮り漏らしをなくすためには、トレイルカメラをもう1台別のアングルで設置するべきでしたね。

これで懲りずに、次の死骸を探すことにします。
くれぐれも、人目につかない場所で小規模にやりましょう。
死骸の給餌方法については試行錯誤中なのですが、今回は見栄えがよろしくありません。
死んだ雛の首に針金を巻き付けてぶら下げたので、もしも誰かが給餌現場に通りかかって見つけたら、違法な罠を設置したのか?とか、生きたまま鳥の雛を吊り下げて野生動物をおびき寄せようとしているのか(動物虐待)?などと誤解されて通報されそうです。
いざというときに「私が鳥の雛を殺した訳ではない」と申開きができるように、死骸を見つけたときの証拠写真を残しておく必要があります。
死んだ雛の首ではなく足を針金で縛って吊り下げようかとも思ったのですが、スカベンジャーが死骸を咥えて引っ張ったら、すぐに針金がすっぽ抜けてしまいそうです。

つづく→

2026/09/21

二次林の旧営巣地に出没して古い巣穴を試掘するニホンアナグマ:5月上旬〜中旬【トレイルカメラ:暗視映像】

 



2025年5月上旬〜中旬 

シーン0:5/7(@0:00〜) 
二次林で以前ニホンアナグマ(Meles anakuma)が掘った営巣地(セット)を2台の自動撮影カメラで見張っています。 
この営巣地を最近主に利用しているのはホンドタヌキなのですが、春になってアナグマの出没が増えたので、旧営巣地を再び乗っ取るのかどうか注目しています。 

シーン1:5/8(@0:07〜) 
晩に来たアナグマが巣穴Lを掘って拡張しています。 
獣道にスクワットマーキングしながら立ち去りました。 

シーン2:5/10(@1:20〜) 
2日後の深夜。 
アナグマがセットから左に立ち去ってしばらくすると、右から現れました。 
同一個体がぐるっと一回りしてきたのでしょうか? 
(別個体の可能性もあります。) 
巣口Lを点検してから左に向かいます。 

シーン3:5/12(@1:44〜) 
2日後の晩に右から来たアナグマが、巣口Rの横を素通りして左の林内へ向かいました。 

シーン4:5/17(@1:55〜) 
5日後の夜更けに来て巣口Lに入りました。 
巣穴Lを少し試掘したようですが、このアングルではよく見えません。 
(別アングルの監視カメラには撮れていませんでした。) 
再び外に出てきた際に、体毛が黒土で汚れていました。 
巣口Rの横を素通りして左奥の林内へ。 

シーン5:5/20(@2:39〜) 
3日後も晩遅くに登場してセットをうろついています。 

シーン6:5/21(@3:03〜) 
翌日、明るい昼間にたまたま撮れたセットの様子です。 
初夏の二次林で灌木マルバゴマキの若葉が大きく広がっています。


【考察】 
この時期のアナグマは、巣穴Lを少し掘ったものの、本格的に巣穴Lを整備して住み着くつもりはなさそうです。 
タヌキが出入りするもう一つの巣穴Rには遠慮してアナグマは侵入しませんでした。 


つづく→

2026/09/17

深夜のスギ防風林でタヌキの溜め糞場を横切るホンドギツネ【トレイルカメラ:暗視映像】

 



2025年5月上旬・午前1:50頃・気温9℃ 

スギ防風林でホンドタヌキの溜め糞場wbcを見張っているトレイルカメラに、ある日の深夜、ホンドギツネ(Vulpes vulpes japonica)が写っていました。 
キツネは右から左へ横切り、溜め糞場には興味を示しませんでした。
短い登場シーンを1.5倍に拡大した上で、1/3倍速のスローモーションでリプレイ。 

監視カメラの至近距離に造網性クモが占座しているようで、赤外線を反射して白飛びしています。 


つづく→

2026/09/15

スギ防風林の溜め糞場にホンドタヌキ1〜2頭が通って排泄:5月上旬【トレイルカメラ:暗視映像】

 



2025年5月上旬

シーン1:5/2(@0:00〜) 
スギ防風林で近所のホンドタヌキ(Nyctereutes viverrinus)が排泄に通う溜め糞場wbcを自動センサーカメラで見張っています。 
そのうちの1頭は赤外線の暗視カメラで見ると、両目のタペータム(輝板)が失明していて、夜限定で個体識別できます(両親と同居するヘルパー♀h)。 

晩に2頭(片親と両目失明♀h)が同時に来て排便。 


シーン2:5/3(@0:39〜) 
翌日も晩に2頭(片親と両目失明♀h)が続けて来て排便。 

1時間半後に♂が単独で登場。 
クゥーン♪と甲高い声で鳴きました。 
立ち去る際に右後脚を上げながら林床の下草に排尿マーキングしたように思ったのですけど、改めて見直すといまいち自信がありません。 
1/3倍速のスローモーションでリプレイ。(@2:07〜) 


シーン3:5/4(@2:20〜) 
小雨が降る未明にタヌキが単独で登場。 
溜め糞場WBCには立ち寄らず、右から左へ横切りました。 
後ろ姿だったので、タペータムの反射の有無が不明です。 

昼前にも単独タヌキが排便に来ていました。 
クゥーン♪とか細く鳴いて右上奥に立ち去りました。 


シーン4:5/5(@3:05〜) 
晩にタヌキが溜め糞場WBCを左から右へ横切りました。 
タペータムが光っているかどうか、横顔ではよく見えません。 
監視カメラの死角から、 クゥーン♪というタヌキの鳴き声が2回聞こえました。 


シーン5:5/7(@3:32〜) 
明るく晴れた日中にたまたま撮れた現場の様子です。 
溜め糞が少し増えて(大きくなって)います。 


シーン6:5/8(@3:35〜) 
未明に2頭のタヌキが続けて登場。 
両目失明個体♀hが先行して排便。 
後続の健常個体(親タヌキ)はその横を素通りしました。 

53分後に健常個体が単独で右から来たものの、溜め糞場を素通り。


※ 動画の一部は編集時に自動色調補正を施しています。 
※ 雨音やタヌキの鳴き声が聞き取れるように、動画の一部は編集時に音声を正規化して音量を強制的に上げています。 


【考察】 
これまでは1〜3頭のタヌキが溜め糞場WBCに来ていました。 
今回は3頭が同時に登場することはなく、多くても2頭でした。 
しかも、そのうち1頭が両目失明個体♀hです。 
一素人の想像ですが、この時期(5月上旬)はもしかすると、母親♀タヌキは休耕地の巣穴に籠もって出産・授乳に専念しているのかもしれません。 
だとすれば、両目失明のヘルパー♀と行動を共にしているのは父親♂タヌキではないかと想像しています。 


2026/09/14

スギ防風林でタヌキの溜め糞場を跳び越えるニホンアナグマ【トレイルカメラ:暗視映像】

 



2025年5月上旬

シーン0:4/30・午後16:04・晴れ・気温29℃(@0:00〜) 
スギ防風林でホンドタヌキ(Nyctereutes viverrinus)の通う溜め糞場WBCを自動撮影カメラで見張っています。 
ニホンアナグマ(Meles anakuma)の登場シーンをまとめました。 


シーン1:5/2・午後18:48・雨天(@0:05〜) 
雨が降る晩に、両目の輝板(タペータム)を失明したタヌキが排便後に来てから5分後に、左からアナグマ♂がやって来ました。 
タヌキとアナグマがニアミスしたシーンが撮れないかと期待しているのですけど、互いに遠慮して溜め糞場に来る時間を微妙にずらしているようです。

溜め糞場WBCで左を向いて腰を少しだけ屈めたので、排尿マーキングしたかもしれません。 (気のせい?)
ノソノソ歩いてスギの手前を通り、獣道を通って右へ立ち去りました。 


シーン2:5/7・午後14:53・くもり・気温24℃(@0:28〜) 
5日後の昼間の様子です。 


シーン3:5/8・午後20:26・気温11℃(@0:31〜) 
晩に登場したアナグマが、右から左へピョンピョンと跳ねるように横切りました。 
タヌキの溜め糞場WBCを跳び越えて素通りする様子を、1/3倍速のスローモーションでリプレイ。
動きが早くて、アナグマの性別をしっかり見分けられませんでした。


つづく→

2026/09/11

ジムグリの死骸をホンドタヌキの溜め糞場に給餌してみてると…【トレイルカメラ:暗視映像】

 



2025年4月下旬〜5月上旬

シーン0:4/30(@0:00〜) 
ドラッグストア郊外店の広い駐車場で、ヘビの死骸を見つけました。
白っぽい腹面を上に向けて舗装路に横たわっていました。 
損傷が激しく、頭部が完全に失われていた他、尻尾の先も千切れかけています。 
駐車場で車に轢き殺された(ロードキル)とは限らず、カラスやトビなどのスカベンジャーが他所から死骸を運んできた可能性もありそうです。

ビニール袋に入れて死骸を採集しました。 
死後硬直はなく、手に持つとぐったりしていました。 
ハエなどが集まって来ていなかったこともあり、死んでからまだそれほど時間が経過していないようです。


裏返して背面も調べると、ヘビの種類はジムグリ(Elaphe conspicillata) でした。
街なかによく出没する種類ではないので、やはり他所から持ち込まれた死骸のような気がします。

関連記事(2年前の撮影)▶ 


シーン1:4/30・午後16:04・晴れ(@0:03〜) 
スギ防風林にあるホンドタヌキ(Nyctereutes viverrinus)の溜め糞場WBCまでジムグリの死骸を持ってきて林床(スギ落ち葉の上)に置きました。
死骸を採集してから5時間以上も経っていたので、死後硬直が進んでいました。
採寸のため、15センチの定規を並べて写真に撮りました。
ここには複数のタヌキが頻繁に通って来ることが分かっています。
雑食性でスカベンジャーとしても知られるタヌキがヘビの死骸を見つけたときの反応をトレイルカメラで記録しようという企みです。
本当は、溜め糞場から離れた獣道で給餌実験をすべきなのですけど、少ない撮影機材でやり繰りしているので仕方がありません。
なるべく夕方に近い時間に給餌したのは、昼間にカラスが死骸を見つけて食べてしまうと困るからです。


シーン2:4/30・午後18:44・気温10℃(@0:22〜) 日の入り時刻は午後18:32。
日没直後の晩に、早速2頭のホンドタヌキが連れ立って溜め糞場WBCに現れました。
近くにある休耕地の巣穴から排便に来たようです。

珍しく先に到着していた両目失明個体(ヘルパー♀h)がヘビの死臭を嗅ぎつけ、頭部のない死骸の首付近を咥えて持ち上げました。
そのままズルズルとひきずるように獲物を持って少し右に移動。
2番目に来た親タヌキ(♀?)がそれに気づくと、近づいて分け前を要求しました。
このとき餌乞いの鳴き声などは発しませんでした。 
ヘビの反対側の端を咥えると、親子2頭で綱引きのように引っ張り合いを始めました。 
そのまま蛇を引き千切るかと思いきや、立場の弱いヘルパー♀hがあっさり諦めて口を離したので、激しい争奪戦にはなりませんでした。
ジムグリ死骸の匂いを嗅いだり舐めたりしてから、親タヌキはヘビ死骸の太い端(前側)を咥えて奥に持ち去りました。 
林床の少し離れた地点まで運ぶと、蛇の死骸を独り占めで食べ始めました。

せっかく先に見つけた 獲物を奪われた両目失明個体(ヘルパー♀h)は抵抗も抗議もしませんでした。
タヌキにとって、ヘビの死骸は争奪戦するほどの魅力がない餌なのかな?  
その場で未練がましくスギ落葉に付いた残り香を嗅いだりしています。 

最後3番目に来た親タヌキ(♂?)は、溜め糞場wbcで排便もしないで、ぼんやり佇んでいるだけです。

重要なシーンを1.5倍に拡大した上でリプレイ。(@1:24〜2:21) 


シーン3:4/30・午後18:46(@2:22〜)
ヘビの死骸を持ち去った親タヌキa(♀?)がさらに奥に移動していて、食べ続けています。 
(完食しなかったことが後に判明します。)

その間に、両目失明個体が溜め糞場で排便しました。
もう1頭の親タヌキb(♂?)はパートナーに分け前を要求することなく、少し離れたまま林床の匂いを嗅ぎ回っています。 
ジムグリ死骸の残り香が気になるようです。 

脱糞シーンを1.5倍に拡大した上でリプレイ。(@3:22〜) 


シーン4:4/30・午後19:06・気温11℃(@4:23〜)
約20分後、奥の林床にヘビの死骸が放置されているようです。
単独行動のタヌキが溜め糞場を素通りして奥へ歩き去りました。 

やがて別個体が手前から登場しました。 
林床の匂いを嗅ぎながら奥へ歩いて行きます。
2頭とも後ろ姿なのでタペータム(輝板)が見えず、個体識別が出来ません。 



シーン5:5/1・午前4:20・気温2℃(@4:53〜) 日の出時刻は午前4:40。
監視カメラが次に起動したのは日の出直前です。
スギ林床の赤丸で囲んだ位置にヘビの死骸がなぜか突然出現していました。
何者かがここに運んできたシーンが撮れていないことになります。 
シデムシなど腐肉食性の昆虫が死骸を埋葬するために運んできたとしたら、変温動物ですからトレイルカメラには当然写りません。 
しかし5月上旬の未明は気温がかなり低い(2℃)ので、越冬明けの昆虫はまだ活動できないはずです。

左から来たタヌキ(両目の輝板は正常)が、ヘビ死骸の食べ残しを見つけました。
左前足で押さえつけながら、咥えてグイグイ引っ張っています。 
引きちぎることはできないものの、ヘビの皮を剥いているようです。
残念ながら、尻切れトンボで録画が打ち切られてしまいました。 
ホンドタヌキがヘビの死骸を完食したのか、どこかに持ち去ったのか、不明です。


シーン6:5/1・午前5:25・気温1℃(@5:54〜)
すっかり明るくなった早朝に、単独で来たタヌキが林床をうろついています。
もうヘビの死骸は残っていないようです。

後日に現場検証すると、私が置いたジムグリの死骸は無くなっていました。



【考察】
私にはまだ親タヌキの性別が見分けられず、個体識別ができていません。
ジムグリ死骸を食べた個体は、妊娠、出産、育児で食欲旺盛な母親♀なのではないかと勝手に想像しています。 

給餌実験をしたら、親ダヌキと子ダヌキ(ヘルパー)間の力関係を示す重要な証拠動画が撮れました。 
両目を失明したヘルパーは、親タヌキに餌を奪われても全く反抗しないで完全に服従しているようです。 
実は、冬の積雪期にも同様のシーンを観察しています。



野生動物に給餌するのは原則的に避けるべきですが、ヘビの死骸を駐車場に放置していれば、いずれ何らかのスカベンジャー(掃除屋)が食べに来たはずです。 
公共の駐車場にトレイルカメラを設置することはできませんから、予めトレイルカメラを設置した獣道に死骸を移動しただけです。
タヌキにドッグフードなどを給餌するよりはマシでしょう。 
路上の死骸(ロードキル)を放置したままだと不衛生なのは確かです。
通報して死骸を焼却処分してもらうと燃料代が余計にかかりますから、なるべくスカベンジャーに食わせる方がCO2の放出も減らせてエコです。
生態系にはスカベンジャーというグループがいて大切な役割を果たしているということを都会人は忘れがちです。

次に死骸を給餌するときには、監視カメラの近くから持ち去られないように工夫した方が長く観察できそうです。



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2026/09/05

春の夜に林内のタヌキ営巣地を別々にうろつく2匹のイエネコ:4月中旬〜下旬【トレイルカメラ:暗視映像】

 



2025年4月中旬〜下旬 

シーン0:4/17・午後14:44・晴れ(@0:00〜) 
シーン0:4/17・午後15:24・晴れ(@0:03〜) 
春の二次林でホンドタヌキやニホンアナグマが出入りする巣穴を2台の自動センサーカメラで見張っています。 
ここは以前、ニホンアナグマの掘った営巣地(セット)でした。 

イエネコ(Felis silvestris catus)の登場シーンをまとめました。 
赤外線の暗視カメラで撮れた夜行性の記録ばかりなので、毛並みの色は不明です。 


シーン1:4/19・午後21:07・気温14℃(@0:07〜) 
ある晩、白毛を基調とする三毛猫♀が現れました。 
巣口Lの匂いを嗅いでから、横に座り込んで警戒しています。 

シーン2:4/19・午後21:13・気温17℃(@1:07〜)
同一個体と思われる三毛猫♀が、東からセットに戻って来ました。 
2つの巣口L/Rの間を横切ると、そのまま西の林内へ向かいました。 

シーン3:4/19・午後21:12・気温16℃(@1:23〜)
別アングルの監視カメラでも撮れていました。 
最後は朽ちた細い倒木の上を伝って、西へ立ち去りました。 


シーン4:4/21・午後23:10・気温5℃(@1:32〜) 
2日後の晩遅くに登場した猫は、明らかに三毛猫とは違いました。 
モノクロの暗視映像では毛並みの色が分かりません。 
全身が白っぽく、薄い茶色の模様があちこちに入っているのではないか(茶ブチ)と想像しています。 

西から巣口Lに忍び足で来て、中を覗き込んでいます。 
最後は獣道を東へゆっくりと立ち去りました。 


【考察】 
毛並みの模様が異なる2匹のイエネコが単独で代わる代わるやって来ました。 
近所の家の飼い猫が夜の散歩に出歩いているようです。
夜の林内で野ネズミの巣穴を探しているのでしょう。 
イエネコが狩りをする決定的なシーンを私はまだトレイルカメラでまだ撮れていません。
野外を我が物顔に跳梁跋扈して野ネズミを狩る外来種のイエネコは、フクロウやホンドテン、ニホンイタチ、ホンドギツネなど在来種の猛禽や肉食獣の競合相手になります。

ネコが興味を示した巣穴Lは最近、アナグマが頻繁に整備したりマーキングしたりしています。
なぜかもう一つの巣穴Rに猫は2匹とも立ち寄りませんでした。



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つづく→

2026/09/02

二次林内の営巣地に1〜3頭で出没するホンドタヌキ:4月中旬〜下旬【トレイルカメラ:暗視映像】

 



2025年4月中旬〜下旬

シーン0:4/17(@0:00〜) 
春の落葉二次林でホンドタヌキ(Nyctereutes viverrinus)の家族が使っている巣穴を自動撮影カメラ2台で見張っています。 
ここは以前、ニホンアナグマが掘った営巣地(セット)でした。 

興味深い行動は個別の記事にしたので、残り物をまとめました。 
♀♂ペアの親ダヌキと、両目の輝板(タペータム)を失明した娘(ヘルパー?)から成る3頭の家族群がよく現れますが、個体識別がしっかりできていないので、他のタヌキも来ているかもしれません。 


シーン1:4/19(@0:07〜) 
夜に単独で来たタヌキが甲高い声でクゥーン♪と鳴きました。 


シーン2:4/24(@1:38〜) 
深夜にパートナーと一緒に来た♂が、巣口L横の落葉灌木に小便をかけてマーキングしました。 


シーン3:4/25(@2:08〜) 
両目失明個体が単独で未明に登場。 
(明るい昼間は、輝板の状態が見分けられません。) 

タヌキは2つの巣口L、Rの匂いを嗅いで調べるだけのことが多いのですが、単独で来たタヌキ♂が珍しく巣穴Lを内検しました。 
その後で、巣口Rの近くに生えたマルバゴマキ灌木の根元に排尿マーキング。 


シーン4:4/29(@5:16〜) 

シーン5:4/30(@5:24〜) 
明るい早朝から3頭の家族群が一緒に来ていました。 
巣穴Rを内検しています。 
3頭が同時に潜り込めるぐらい巣穴Rの内部は広いことが分かります。 
巣穴Rの外に出てくると、身震いして毛皮の土汚れを払い落とします。 
そのまま巣口Rで対他毛繕い。 

その後は巣口Rで2頭が寝そべって休んでいます。 
その間に、残りの1頭が独りで外出しました。 

しばらくしてカラスの鳴き声が近くですると、タヌキは巣穴の中に逃げ込んだようです。 
ハシブトガラスにモビングされたのでしょうか? 
ほとぼりが覚めると、恐る恐る外に出てきました。 


※ 動画の一部は編集時に自動色調補正を施しています。 
※ 鳴き声が聞き取れるように、動画の一部は編集時に音声を正規化して音量を強制的に上げています。 


つづく→

2026/08/27

春に夜な夜な旧セットに通って巣穴を再整備し、縄張り宣言のマーキングを繰り返すニホンアナグマ♀♂:4月中旬〜下旬【トレイルカメラ:暗視映像】

 



2025年4月中旬〜下旬

シーン0:4/17(@0:00〜) 
春の落葉二次林にあるニホンアナグマ(Meles anakuma)の旧営巣地(セット)を2台の自動センサーカメラで見張っています。 
最近ではホンドタヌキの家族がこの巣穴Rで越冬し、春になっても暮らしています。 

発情期のアナグマ♂が♀の巣穴を夜な夜な探し歩くシーンをまとめるつもりだったのですが、性別判定に自信がなくて、♀個体の動画も一緒にしました。 


シーン1:4/18(@0:07〜) 
夜に来たアナグマ♂が巣口Lを覗き込んだ直後に、巣口Lの縁やセットの地面にスクワットマーキングを繰り返しました。(@0:50〜)
もう一つの巣口Rも訪れて匂いを嗅いだものの、中には入りませんでした。 


シーン2:4/20(@4:16〜) 
深夜に現れたアナグマ♂が巣穴Lに潜り込みました。 
巣穴Lの内検後は、スクワットマーキングしながら旧セットから立ち去りました。 
…と思いきや、小走りでセットに戻ってきて、そのまま入巣L。 
巣口Lの縁に念入りに尻を擦りつけてスクワットマーキングしています。 

同じ日の晩には、♀が単独で登場しました。(@6:14〜) 
巣穴Lに潜り込んで内検しました。 
その後、♀はセットでスクワットマーキングしてから、立ち去りました。 

何度もセットに戻って来ては、巣口Lを点検し、アクセストレンチにスクワットマーキング、という行動を繰り返しています。 


シーン3:4/21(@8:50〜) 
深夜に♀が来て巣口L、Rを順に点検。


シーン4:4/22(@9:36〜) 
深夜に♀が戻ってきて、巣口L点検とスクワットマーキング。 
立ち去る際に、獣道にもスクワットマーキングしています。 


シーン5:4/25(@10:36〜) 
3日後も深夜に♀が登場。 
狭い巣口Lに入りかけながら、念入りに尻の臭腺を擦りつけて匂い付けしているようです。 

次は♂も繰り返しやって来て、巣穴Lを内検し、巣口Lの縁にスクワットマーキングで縄張り宣言。 
巣外で身震いし、体毛に付着した土を払い落としました。 
珍しく巣口Rも少しだけ覗き込んで匂いを嗅ぎました。 

同じ日の晩にもアナグマ♀が登場。 
セットを立ち去りかけたのになぜか走って戻ってきて、巣穴Lに入りました。 
セットに侵入者があって警戒した訳ではありません。 
同様の行動は別の地点(休耕地の巣穴)に設置したトレイルカメラでも記録されています。 
これは私の想像ですが、林内で危険な敵と出会ったときに巣穴に避難するための訓練をしているような気がします。 
巣穴Lから半径何mまでなら安全に逃げ込めるか、避難訓練で確認しているのでしょう。 
夜でも巣穴までの獣道が分かるように、点々と匂い付け(スクワットマーキング)をしているのかもしれません。 
ヘンゼルとグレーテルが森にパンくずを点々と落として目印を残そうとした方法よりも確実です。

晩遅くに来たアナグマ個体は♂のような気がしてきました。 
股間の外性器や腹面の乳首の有無ではなく、体型や顔つきでアナグマの性別を見分けているのですが、いまいち自信がありません。 
AIに動画を見せて個体識別や性別判定を任せたいと切実に思います。 

巣穴Lの奥に潜った後は、アナグマの顔が黒土で汚れています。 
巣外に出てきた直後に身震いして、毛皮に付着した土汚れを勢い良く振り落としました。 


シーン6:4/26(@21:17〜) 
晩遅くに♀が登場。 
いつものように巣口Lやセットの地面にマーキングしてから立ち去りました。 


【考察】 
この時期、ニホンアナグマ♀♂は夜しか登場しませんでした。 
なぜか巣穴Lに執着して、しつこくマーキングを繰り返しています。「アナグマ参上!」とタヌキに対して縄張りを主張して、巣穴を奪還するつもりのようです。 
「同じ穴の狢(むじな)」と言われ仲の良い2種ですが、タヌキは従来通り巣穴Rで暮らし、アナグマは別の巣穴Lでというように、棲み分けするつもりなのでしょうか? 
その巣穴Lは冬季に深い雪の下に埋もれて、タヌキは越冬に使いませんでした。 
そのため、巣穴Lは少し埋もれかけてしまったのではないかと想像しています。 
しかしアナグマ♀♂は、巣穴Lを本格的に拡張整備する穴掘り作業は一度もしていません。 
(地中から掘り出した大量の土砂を巣穴Lの外に捨てていない。)
まずはタヌキに対して巣穴Lの所有権をはっきりさせるマーキングに専念しているようです。 

ところで、動画に登場したアナグマ♀♂はどういう関係なのでしょうか? 
素朴に考えると、♀♂番(つがい)のように見えます。 
しかしニホンアナグマの社会構造は乱婚制で、♂は春の繁殖期に交尾する以外は♀と一緒に暮らさないはず…というのが定説です。 
母親♀と若い息子♂がヘルパーとして同居しているのではないかと、私は推測しています。 
この点を解明するには、アナグマの個体識別をしっかりできるようになった上で長期観察しないといけません。 
定説に反して、当地のアナグマは♀♂ペアで暮らすことが明らかになれば、それはそれで面白い発見です。 

アナグマの♀♂ペアが連れ立って同時に旧セットに来ることはありませんでした。 
ここはまだ別荘(別宅)で、別の場所に本宅(セット)があるのでしょう。 

互いに執拗な匂い付けで縄張り宣言を繰り返しているタヌキとアナグマが夜のセットでニアミスしたらどうなるのでしょう?
縄張り争いの激しい喧嘩が勃発するのか、興味があるところです。 
しかし、互いにそれとなく避けているのか、一度もニアミスしませんでした。 


2026/08/18

カキノキの幹を登り脚立を使って下りる夏毛のホンドテン【トレイルカメラ:暗視映像】

 

2026年5月上旬・午後22:40頃 

庭木カキノキの下に残されたホンドタヌキの小規模な溜め糞場を旧機種のトレイルカメラで見張っています。 

ある晩、ホンドテン(Martes melampus melampus)が単独で現れました。 
モノクロの暗視映像では毛並みの色は不明ですが、この時期は夏毛に生え変わっていると思われます。 
左から来たテンはタヌキの溜め糞を匂いを嗅いだだけで左へ引き返しました。
タヌキに対抗してマーキングすることはありませんでした。
カキノキを見上げてから垂直な幹をよじ登りました。 
樹皮に爪を立てて、まるで駆け上がるように身軽に登りました。

しばらくすると、庭に放置してある脚立を使ってカキノキから地上に降りました! 
そのままホンドテンは板塀の下をくぐって隣家の庭へ向かいました。 


※ 動画の一部は編集時に自動色調補正を施しています。 


【考察】 
タヌキの溜め糞場にトレイルカメラを設置すると、本命であるタヌキの排泄行動だけ(映像公開予定)でなく、ついでに撮れた映像が面白いです。 
郊外とは言え、こんな住宅街にも野生のホンドテンが堂々と出没するとは意外でした。 

テンは一体なんのために柿の木に登ったのでしょうか?
このカキノキはまだ若くて細いので、テンが巣や塒(ねぐら)として使える樹洞はありません。 
この時期(5月上旬)カキノキ樹上の枝には若葉が生い茂っているだけで、前年の果実は残っていません。 
また、カキノキ樹上に鳥の巣は作られていませんでした。 
つまり、カキノキに登ったところで、テンの住処や食べ物はありません。 
カキノキ樹上に塒(ねぐら)入りしていた鳥の寝込みを襲った可能性もありそうですけど、警戒心の強い鳥はすぐに気づいて逃げるはずです。
テンが木登りした直後に鳥が鳴き騒ぐ声は録音されていませんでした。
それでもテンは夜の庭で探索行動の一環として、試しに登ってみただけのようです。 

このカキノキに木登りしたのは、ホンドテン以外にはハクビシンだけでした。 


イエネコも頻繁に庭を往来していたものの(映像公開予定)、一度も木登りはしませんでした。 


テンは脚立という人工物を恐れるどころか、梯子をちゃんと使って樹上から降りてきたのも興味深いです。
テン自身が脚立を用意した訳ではありませんから、この行動を道具利用とは呼べません。
ただ与えられた環境や構造物を移動経路に利用したに過ぎません。

関連記事(4ヶ月前に別のカキノキで撮影)▶ 


秋に実ったカキノキ果実の多くはヒトが干し柿を作るために収穫してしまいます。
脚立を使っても採りにくい樹冠部などに残った一部の熟果は冬の間に鳥が少しずつ食べるのだと思っていました。
テンも果実が大好きで木登りが得意ですから、熟柿を食べに来るかもしれません。



つづく→?


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2026/08/16

二次林でタヌキの営巣地を調べ、マーキングして帰るハクビシンのペア:4月中旬【トレイルカメラ:暗視映像】

 



2025年4月中旬・午前1:40頃・気温11℃ 

すっかり雪解けした春の落葉二次林でホンドタヌキ♀♂(Nyctereutes viverrinus)の巣穴を自動撮影カメラで見張っています。 
ここは以前ニホンアナグマが掘った営巣地(セット)で、最近もときどきアナグマが戻って来ています。 


深夜に2頭のハクビシン(白鼻芯、白鼻心;Paguma larvata)が縦列でやって来ました。 
この地点にハクビシンが登場したのは久しぶりで(8ヶ月ぶり)、ペアで来たのは初見です。 

後続個体が寄り道して巣口Lの匂いを嗅いでから、手前に来る途中で腰を少し落として尻尾を上げました。 
この行動はもしかすると、林床に排尿マーキングしたかもしれません。 
縄張り宣言の匂い付けなのかと思いきや、後日にハクビシンが戻ってくることはありませんでした。 


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つづく→



【考察】 
Perplexity AIに相談してみました。 
Q1: ハクビシンが縄張り宣言するマーキング行動(匂い付け)について詳しく教えて。 

A1:  ハクビシンの縄張り宣言となる匂いマーキングは、肛門腺分泌物と糞尿を組み合わせた「においの場」を作る行動として理解すると整理しやすいです。

基本となる臭腺と排泄の役割

ハクビシンは肛門腺(スカット腺)から強い臭いの分泌物を出し、これを周囲の物体や床面に擦りつけてマーキングします。
この肛門腺の匂いに加え、同じ場所に繰り返し糞をする「ためフン」習性によって、その地点を強い臭気のポイントとして維持します。

  • 肛門腺分泌物:個体識別・性・状態などの情報を含むと考えられる強烈な体臭。

  • 糞尿(ためフン):自分の存在と餌場の情報を示すマーキングとして機能し、縄張りのコア地点になりやすい。

このような「臭いの集中地点」が、寝場所や通路、採食場所に付随して形成されます。

マーキングの機能(同種個体への情報)

ハクビシンの匂いマーキングは、単に「ここは自分の縄張りだ」という宣言だけでなく、同種個体に対して複合的な情報を伝えます。

  • 自分自身への目印:自分の安全圏や移動ルートを空間記憶と結びつけて確認するためのサイン。

  • 他個体への縄張り宣言:特定の場所に強い糞尿臭や肛門腺臭が残ることで、「既に占有されているエリア」であることを知らせる。

  • 餌場情報の共有:ためフン場所は餌場と結びつくことが多く、「ここで餌を得られた」という情報を、同種個体にシグナルとして伝える可能性があります。

興味深い点として、「縄張り臭」が同じ個体の再来だけでなく別個体の新規侵入も招く“リレー現象”が指摘されています。
つまり、ある個体がマーキングして去っても、その匂いを嗅いだ別個体が「安全に餌が得られた場所」と認識して侵入してくるという状況が生じ得ます。

マーキングと空間利用・行動圏

ハクビシンは一度「安全に食べられた場所」を場所学習により記憶し、忌避剤等の効果が切れるとその場所に戻る傾向があります。
このとき、肛門腺や糞尿によるマーキングは、自身の空間記憶と結び付いて「安全圏」や「餌場」のタグ付けとして働きます。

  • 同じルートを繰り返し利用し、その経路上や出入口付近に匂い付けを行うことで、行動圏の境界や重要地点を示す。

  • 屋根裏や床下など住み着いた家屋では、寝床付近に糞尿がたまり、強い悪臭を放つ「マーキング中心」が形成される。

フィールドでの観察対象としては、繰り返し使われている通路の角や、樹上・構造物の踊り場などに、擦り付け痕とセットになった糞の集積が出やすいと推定されます。

ためフン行動の詳細と縄張り性

ためフン場所は単なる排泄地点ではなく、ハクビシンの縄張り意識と強く結びついた「情報ノード」です。

  • 同じ場所に糞を重ねることで臭気が強まり、化学的シグナルの濃度が上がる。

  • ためフン地点は、自分の存在と餌場の情報を伝えるマーキングであり、縄張りの中心やサブコアとして機能する。

家屋内や屋根裏にためフンが形成されると、強烈な悪臭と衛生リスクが生じますが、これはハクビシン側から見ると「居住・採食ポイントを示す強い匂い看板」となっています。

もしフィールドでハクビシンのためフンや匂い付け地点を系統的に記録されるのであれば、「位置(構造物との関係)」「基質(木・金属・土など)」「付着様式(擦り付けか単なる通過か)」を分けてメモしておくと、空間利用と縄張り構造の解析にかなり使えると思います。


Q2: 林内に掘られたニホンアナグマの営巣地に4月中旬にハクビシンのペアが夜に一緒に登場した。後続個体が巣穴に興味を示して中を覗き込んでから、立ち去る間際に近くの地面に尿でマーキングしたかもしれない。トレイルカメラによる映像あり。アナグマに対抗して匂い付けしたのかと思ったが、その後にハクビシンの訪問頻度は増えていない。

A2: その状況描写からすると、「アナグマに対抗する縄張り宣言」としての強いマーキングというより、ハクビシン側の一時的な探索と弱い場所タグ付け(立ち去り際の軽いマーキング)で終わった可能性が高そうです。

一時的な探索行動としての訪問

ハクビシンは雑食で、林内では果実・昆虫・小動物などを求めて、既存の巣穴や掘削跡を探索することがあります。
ニホンアナグマの営巣地は、構造的に「隠れ場所・潜在的な寝場所」としても魅力があるため、ペアで近づいて内部を確認する行動自体は不自然ではありません。

  • 4月中旬という季節的には、ハクビシンにとっても繁殖期~育雛期(原文ママ:育児期の間違い)の前後で、ペア行動や新たな隠れ家探索があってもおかしくない時期。

  • 映像で「後続個体が巣穴に興味を示して覗き込む」というのは、餌・寝場所としての利用可能性を評価する探索行動として解釈しやすいです。

立ち去り際の尿マーキングの意味合い

ハクビシンは糞尿や肛門腺分泌物によるマーキングを行うものの、その強度や頻度は「継続利用する場所かどうか」でかなり違います。

今回のように「その後訪問頻度が増えていない」のであれば、尿マーキングは以下のような軽い機能だった可能性があります。

  • 一時的な通過地点・探索地点に対する「自分がここを通った」というレベルの弱い場所タグ付け。

  • 同伴個体への情報共有(ペア間での嗅覚的な目印)で、後日また来る可能性を残すためのマーキングだが、結果的に価値が低いと判断して再利用しなかった。

  • アナグマ個体に対する直接的な対抗・排他宣言というより、「ここは確認したが、現時点では占有する価値が高くない」という判断に終わったケース。

アナグマは掘削力が強く、巣穴を比較的長期に利用する傾向がある一方で、ハクビシンは樹洞や屋根裏など多様な隠れ家を使い分ける傾向があり、「地中巣に固執する度合い」はアナグマより低いとされています。
この種間差も、「軽くマーキングしたが居着かない」という結果を支えていると考えられます。

「アナグマに対抗した縄張り宣言」になりにくい理由

もし本格的にアナグマに対抗して営巣地を奪う・共有するつもりであれば、以下のようなパターンが期待されます。

  • 巣穴周辺への繰り返し訪問と、ためフン・肛門腺による強い臭気ポイントの形成。

  • 継続的な糞尿の重ね置き、巣穴入口付近や内部への頻回のマーキング。

  • アナグマ側の活動時間帯と重なる時間帯での接近・対面・威嚇行動など。

今回の記述では「立ち去り際に近くの地面に尿でマーキングしたかもしれない」と一回だけで、その後訪問頻度も増えていないため、「本格的な縄張り争い」に移行していないと見るのが妥当だと思われます。
むしろ、「一度嗅覚情報を残しておき、後日必要なら再評価する」程度の、探索行動の延長線上のマーキングだった可能性が高いでしょう。

映像解析で見るべき追加ポイント

既に映像をお持ちとのことなので、アナグマ営巣地とハクビシンの関係をもう少し詰める場合、次のような観点でフレームを精査すると行動解釈の精度が上がると思います。
  • 尿と思われる排泄行動の姿勢:腰を落として短時間で排尿するか、尾の基部を震わせるような肛門腺分泌物排出か。

  • マーキング位置:巣穴入口からの距離、風下/風上、通路上かどうか。縄張り境界であれば通路・角・分岐点に付けることが多いと考えられます。[maff.go]

  • ペアの役割分担:先行個体と後続個体で探索とマーキングの役割が分かれているか(片方のみがマーキング)。

  • その後数週間~数か月の訪問履歴:ハクビシンだけでなく、アナグマの反応(同じ場所への追加掘削や巣穴拡張の有無)も含めて見る。

もし今後、同じ営巣地にハクビシンのためフンが形成される・複数回マーキングシーンが撮れるようであれば、その時点で「アナグマ巣穴をハクビシンが新たな寝場所・餌場として取り込んだ」可能性が出てくるので、再度文脈付きで相談いただければ、もっと踏み込んだ行動生態的解釈ができると思います。[maff.go]agri.mynavi


Q3: アナグマの巣穴から1〜2m離れた地点に落枝が散乱している。巣穴を調べた後でハクビシンがそこを跨ぐ際に、腰を少し落としながら長い尻尾をまっすぐ高く持ち上げた。このとき小便したのではないかと推測している。先行個体は巣穴に興味を示さずに、セットをさっさと素通りしました。

A3: その姿勢描写(腰を少し落として、長い尾をまっすぐ高く掲げた状態で跨ぎながら通過)は、排尿行動とかなり整合的で、「通過地点への軽い尿マーキングだった」という仮説は十分あり得ると思います。[ouchino-mikata]

姿勢から見た排尿の可能性

ハクビシンは細長い体幹と長い尾を持ち、歩行中に尾をやや持ち上げていることもありますが、「腰を落として尾をまっすぐ高く掲げる」という組み合わせは、肛門周囲を露出させやすい姿勢です。[at-kaisho]
犬・ネコなど他の中型哺乳類でも、肛門腺分泌や排尿・排便の際に尾を上げて肛門周囲を露出させることは一般的で、肛門嚢の構造から見ても合理的です。[west-ah.jpn]

  • 腰を少し落とす:腹側を地面に近づけて、陰部・肛門を安定した位置に置く姿勢。排尿・排便時に典型的。

  • 尾を高く掲げる:肛門周囲の被毛を避けて開くことで、尿や肛門腺分泌物が体毛に付きにくく、また匂いが拡散しやすい。[galileo]

  • 跨ぎながら通過:一点に留まるのではなく、移動しつつ少量の尿を落とす「通過型マーキング」に近い動き。

静止して長時間腰を落としている描写があれば排尿の確度はさらに上がりますが、「跨ぎながら」という点からすると、少量の尿を線状に落としたか、あるいはほんの短時間の排尿だった可能性があります。

マーキングの強度と場所選択

巣穴から1〜2m離れた「落枝が散乱する地点」という選択も、強い縄張り宣言というより「通路上の目印」的な性格が強いと解釈しやすいです。

  • 巣穴入口そのものではなく、少し離れた地点でのマーキングは、「巣穴そのものを占有する」より、「この付近を一度探索した」という軽い場所タグ付けに近い。

  • 落枝が散乱している場所は、足場や視覚的特徴があるため、ハクビシン自身の空間記憶においても「ここを一度通った」というランドマークになりやすい可能性があります。[city.itabashi.tokyo]

その後ハクビシンの訪問頻度が増えていないことからも、このマーキングが「営巣地全体を自分のコアの縄張りに組み込む」レベルには達していなかったと考えられます。[city.itabashi.tokyo]
むしろ、「ペアで探索に来て、後続個体がやや興味を示したが、総合的評価としては利用価値が低く、結果的に居着かなかった」ケースに近い行動パターンでしょう。

先行個体と後続個体の役割の違い

先行個体が巣穴に興味を示さずセットを素通りし、後続個体だけが覗き込み+マーキングをしたという点は、ペア内での役割分担を示唆していて興味深いです。

  • 先行個体:広域のルート探索・安全性確認を担い、危険がないと判断したルートをさっと通過。

  • 後続個体:巣穴の内部や構造により強い興味を示し、潜在的な寝場所・隠れ家としての評価を行いながら、嗅覚的な目印(尿マーキング)を残す担当。

このような「探索担当」と「マーキング担当」のような細かい役割分担があるかどうかは、現時点では系統的な研究情報が乏しいものの、中型食肉目のペア行動ではしばしば見られるパターンです。[maff.go]
映像記録が継続的に蓄積されていけば、同じペアが他の地点でも似た役割分担を見せるかどうかが検証でき、行動生態的に非常に面白い材料になると思います。


現時点の材料だけ見ると、「アナグマ営巣地を巡る種間縄張り争いの端緒」というより、「ハクビシンペアによる営巣地周辺の一時的な探索+通過型尿マーキング」で終わった事例として扱うのが妥当そうです。[maff.go]
今後、同じ巣穴周辺でためフンや、繰り返し同じ姿勢での尿マーキングが撮れ始めれば、また別のレベルの縄張り利用が見えてくる可能性があります。


Q4: ハクビシンが溜め糞場を形成するという話は初耳です。それはあくまでも、人家の屋根裏などに住み着いてしまったハクビシンがその周辺に排泄物を大量に残すようになって迷惑になった、という駆除がらみの知見ではないのか? 自然界の山林でハクビシンの溜め糞場は本当にあるのか?

A4: 結論から言うと、「ためフン(溜め糞場形成)」は確かにハクビシンの習性として挙げられていますが、その多くが人家・市街地を対象とした駆除系・防除系の知見に基づいており、山林の自然環境で系統的に記載・研究されている例はほとんど見当たりません。[sharing-tech.co]

文献上の「ためフン」の位置づけ

駆除・防除系のサイトや解説では、ハクビシンについて「決まった場所にフン尿を繰り返す、ためフンの習性がある」と繰り返し書かれています。[sharing-tech.co]

  • 「ねぐらの近くやよく通る道で見られる」「屋根裏や雨どい・ベランダ・庭の隅などに溜まる」といった説明が多く、対象環境は市街地~農村の人家・構造物です。[sharing-tech.co]

  • ためフンの機能としては「仲間にエサ場の情報を伝える」「自分の存在や縄張りを示す」といった、一般的なマーキング機能が説明されていますが、これはタヌキなど他種のためフン行動の解釈を準用したものと思われます。[sharing-tech.co]

このように、「ためフンがハクビシンの習性である」という記述は一貫して存在するものの、その具体例はほぼすべて人家・屋根裏・庭・側溝などの半自然~人工環境に集中しています。[sharing-tech.co]

自然林内でのためフン場の記載の有無

自然界、特に山林でのハクビシンのためフン場についての具体的な記載を探しましたが、少なくとも公開されている一般向け資料や防除マニュアルの範囲では、「山林内で見られる典型的なためフン場」を詳細に説明したものは見つかりませんでした。[sharing-tech.co]

  • 解説の多くは「もともと野山に住んでいたが、現在は市街地でも多く目撃される」「屋根裏などにねぐらを作ることが多い」といった生息域の変化に触れつつ、フンの話になるとほぼ人家周辺の事例に終始しています。[sharing-tech.co]

  • 山林内のねぐら(樹洞・岩の隙間等)におけるためフン場形成については、害獣駆除という文脈では観察機会が限られることもあり、体系的な記述がないのが現状です。[sharing-tech.co]

つまり、「ハクビシンはためフンをする」という一般化された説明はあるものの、「自然林内でどのような基質・位置に、どれくらいの規模の溜め糞場が形成されるのか」という点については、少なくとも公開情報ベースではほぼ空白に近いといえます。[sharing-tech.co]

行動生態的に考えた自然界でのためフンの可能性

行動生態的に見ると、ねぐらや通路における排泄場所の集中は、多くの食肉目に共通するパターンであり、ハクビシンだけが自然林内でそれを全くしないと考える必要はありません。[sharing-tech.co]

  • ハクビシンのねぐらは樹洞・岩の隙間・人家屋根裏など多様ですが、「ねぐらの近くで排泄物がまとまりやすい」という傾向自体は、都市環境でも山林でも生じ得るものです。[sharing-tech.co]

  • ただし、山林では地形や植生の複雑さ、風雨・分解者による散逸が速く、人工構造物上のような「長期間残る山状のフン集積」は形成されにくい可能性があります。[sharing-tech.co]

したがって、

  • 「ハクビシンのためフン習性」は、人家・屋根裏などでの顕著なフン集積から導かれた駆除文脈の知見が強く、

  • 自然林内でもねぐら近くや通路に排泄が集中することはあり得るが、それがタヌキのような明瞭な地上の溜め糞場として観察されるかどうかは、環境条件次第でかなり違う、

という程度に留めておくのが妥当そうです。[sharing-tech.co]

研究・観察上の含意

フィールドワークの立場から言えば、「ためフン=タヌキ型の露出した地上の糞集積」と決めつけず、

  • 樹洞や岩隙の内部・入口付近

  • よく使われる獣道上の特定の曲がり角や分岐点

  • 半人工的な構造物(林道法面の穴・橋梁下など)

で、ハクビシンと推定されるフンがどれほど空間的・時間的に集中するかを実地に記録していく必要があります。[sharing-tech.co]

現状の一般資料はほぼ「屋根裏の大量フン=ためフン」として記述しているため、山林での実態は、まさにフィールド系研究者・観察者が埋めていくべきギャップという印象です。[sharing-tech.co]


整理すると、「ためフン自体はハクビシンの習性としてかなり広く言及されているが、その具体像は駆除・防除の文脈に強く偏っており、自然林内での典型的な溜め糞場形成についてはほとんど記載がない」というのが、現在確認できる範囲の状況です。[sharing-tech.co]
逆に言えば、山林でのハクビシン由来の糞集積を系統的に追うと、かなり面白い一次資料になる可能性があります。



Q5: ハクビシンの糞を拾い集めて内容物を丹念に調べる食性研究は行われているか? DNAメタバーコーディングなど


A5: ハクビシンについても、糞内容物を詳細に解析した「食性研究」は既にいくつか行われていますが、DNAメタバーコーディングを用いた例は、現時点では他の中型食肉目や鳥類に比べてかなり限定的です。[jstage.jst.go]

伝統的な糞内容物解析による食性研究

少なくとも日本国内では、ハクビシンの食性について以下のような「糞内容物の目視・顕微鏡解析」に基づく研究が行われています。[jstage.jst.go]

  • 鳥居春己「ハクビシンの食性について(1):浜北市市街地で採集した糞の内容物分析」(静岡県林業技術センター研究報告 21, 1993)では、市街地で採集した糞を解体し、果実種子・昆虫・小型脊椎動物などの内容物を同定しています。[jstage.jst.go]

  • 群馬県立自然史博物館による「群馬県におけるハクビシンの食性と生息状況」では、搬入個体の剖検による胃内容物解析と併せて、糞や消化管内容物から食性を評価しています。[gmnh.pref.gunma]

こうした研究では、糞から取り出した種子の種名同定、昆虫外骨格の同定などを行い、果実依存度の高さや昆虫・小動物の捕食などを定量的に示しています。[jstage.jst.go]

また、樹上のため糞場で確認される実生や落下種子から、ハクビシンを含む中型食肉目による種子散布機能を評価した研究もあり、ハクビシンの糞が植物群集構造に与える影響が議論されています。[jstage.jst.go]

種子散布・生態系補強の文脈での研究

山形大学のグループからは、「外来種・ハクビシンは種子散布によって生態系を補強する」という趣旨の研究成果が発信されており、ハクビシンの糞に含まれる種子構成と発芽能力が評価されています。[yamagata-u.ac]
この系統の研究では、糞から得た種子の発芽試験や、樹上ため糞場に出現する実生の種構成を分析することで、ハクビシンが在来植物種の空間拡散に一定の役割を持ち得ることが示されています。[jstage.jst.go]

こうした種子散布研究は、糞内容物を丹念に拾い集めて同定するという点で、クラシカルな食性研究と同じ手法を取っていますが、焦点が「栄養源」だけでなく「植物への影響」に広がっているのが特徴です。[jstage.jst.go]

DNAメタバーコーディングの応用状況

DNAメタバーコーディングによる食性解析は、日本ではカワウや猛禽類、絶滅危惧のイタチ類などで活発に使われ始めています。[jstage.jst.go]

  • 糞や胃内容物から抽出した環境DNAに対して、特定のバーコード領域(例えばCOI、12Sなど)を増幅し、ハイスループットシーケンスによって摂食種を網羅的に同定する手法が整備されています。[jstage.jst.go]

  • 特に絶滅危惧種ハクテンなど、直接観察が難しい捕食者の食性解析にDNAメタバーコーディングが応用されている事例が報告されています。[jstage.jst.go]

しかし、ハクビシンに特化したDNAメタバーコーディングによる食性解析の公表例は、2024年頃までの公開情報ベースでは確認しづらく、少なくとも「代表的応用例」として頻繁に引用される段階には至っていません。[jstage.jst.go]
現状では、前述のような目視・顕微鏡による糞内容物解析と、胃内容物解析が主流で、メタバーコーディングは「今後の応用余地が大きいが、まだケーススタディが限られている技術」と位置づけるのが妥当だと思われます。[jstage.jst.go]

実務的な研究デザインの観点

もしハクビシンの食性をDNAメタバーコーディングで解析する研究を計画されるのであれば、既存のイタチ類・鳥類向けプロトコルがほぼそのまま流用可能です。[jstage.jst.go]

  • サンプリング:ため糞場(もし林内で確認できるなら)と通過型糞を区別し、季節ごと・環境ごとに糞を採取。

  • 分子解析:哺乳類捕食者向けに実績のあるメタバーコーディング用プライマーセット(12S, COIなど)を用い、動物性・植物性の両方を対象とするか、目的に応じて絞り込む。[jstage.jst.go]

  • 比較対象:従来の内容物目視同定結果とメタバーコーディング結果を比較し、双方のバイアス(種ごとの検出しやすさ)を評価する。

すでに「ハクビシンの食性について(1)」のような糞内容物研究があるので、それを足場にしてメタバーコーディングを重ねれば、時系列的・方法論的にも面白い比較ができるはずです。[jstage.jst.go]


要約すると、ハクビシンの糞を丹念に拾い集めて内容物を調べるクラシカルな食性研究は、静岡・群馬などで既に行われており、種子散布研究の文脈でも継続されています。[jstage.jst.go]
一方、DNAメタバーコーディングをハクビシンの食性解析に本格的に適用した例はまだ少なく、むしろ「今後応用が期待されるが、先行研究が乏しいフロンティア領域」と言ってよい段階です。[jstage.jst.go]


Q6: ハクビシンは樹上に溜め糞場を形成するのか? その点を詳しく教えて

A6: 結論から言うと、ハクビシンが樹上に「溜め糞場」を形成すること自体は、少なくとも日本の文献・解説の中で明確に言及されていますが、その多くは“ねぐらや巣が高所にある場合に、その近くで繰り返し排泄する”という意味合いで語られており、タヌキのような地上露出型の“典型的ため糞場”とはやや様相が異なります。

樹上生活と高所のねぐら

ハクビシンは樹上生活能力が高く、自然環境では「高い木の上や樹洞」「岩陰の隙間」などをねぐら・巣とすることが多いと説明されています。
市街地ではその延長で、屋根裏や床下など“地上から離れた高所”をねぐらとして選好します。

この「高所志向」があるため、ねぐらやその出入口付近に糞尿が集中しやすく、結果として樹上・高所に溜め糞場が形成され得る、という文脈で説明されています。

溜め糞の定義と高所での形成

いくつかの解説では、ハクビシンに「溜め糞(ためフン)」という習性があり、決まった場所に繰り返し糞尿をすることでその場所が強い臭気のポイントになるとされています。

  • 「天井裏だけで糞をするわけではなく、庭など行動範囲の中で何カ所か排泄場所を決めている」という説明があり、ねぐら周辺の高所もその一つになり得るとされています。

  • 自然環境の場合には「高い木の上や岩陰」が巣であり、その近辺で繰り返し糞尿が見られる、という形で高所の溜め糞が示唆されています。

ただし、これらは主に「ねぐらに棲み着いた結果としてその周辺に排泄物が集中し、人間生活に被害を出す」という防除文脈で語られているため、純粋な行動生態研究としての「樹上溜め糞場」の詳細な構造(位置・規模・季節性など)はほとんど記載されていません。

樹上溜め糞場のイメージ

行動生態的に整理すると、ハクビシンの樹上溜め糞場は次のような形態を取り得ると考えられます。

  • 樹洞内部や入口付近、太い枝の分岐部など、ねぐらに最も近い安定した足場。

  • 通路として頻繁に使う枝や横木の上で、特定の節・分岐点付近に糞が集積するケース。

  • 人工構造物では、屋根裏の特定地点、梁上、電線近くの足場など、「高所でかつ繰り返し滞在する場所」。

タヌキの地上ため糞場のように「地面上の露出した一か所に山状にフンが重なる」パターンとは違い、ハクビシンの場合は“高所の限られた足場に繰り返し落ちる”形になるため、地上からの視認性が低く、フィールド観察では見つけにくい可能性があります。

山林での実態と今後の観察ポイント

Hakubishin feces 

質問の核心である「自然界の山林でハクビシンの樹上溜め糞場が本当にあるのか?」については、公開されている一般向け資料や防除系情報の範囲では、典型例の写真や詳細なフィールド記載はほとんど見当たりません。多くが「ねぐらが高所にあるため、その近くにフン尿が集中する」というレベルの記述です。

行動生態・フィールドワークの観点からは、次のような場所で系統的に探す価値があります。

  • ハクビシンの樹上ねぐら(樹洞・枝分かれ部)を特定した上で、その直下・周囲の枝上にフンの集積がないか。

  • 林内の獣道が樹林帯に入る部分で、よく使われる登り木・渡り枝の特定位置に、長期的な糞堆積がないか。

  • 岩場や崖斜面で、岩棚や洞穴入口付近の高所にフンの集積が見られないか。

もし樹上ねぐらにカメラトラップを仕掛けて「ねぐら出入り+排泄行動」を撮ることができれば、樹上溜め糞場の形成過程を時系列で追える可能性があります。現状の文献ギャップを埋める一次資料として、非常に価値が高いテーマだと思います。


まとめると、ハクビシンが「溜め糞」をするという習性自体は、ねぐらや行動範囲内の決まった場所に糞尿を繰り返す行動として広く記載されていますが、樹上溜め糞場については「高所の巣・ねぐら近くで排泄物が集中する」というレベルでの言及にとどまり、山林内の自然樹上での典型的事例はほとんど具体的に報告されていません。[pestcontrol-tokyo]
フィールドで樹上ねぐらに焦点を当てた長期観察を行えば、その実態をかなりクリアにできる余地が残されていると考えられます。


Q7: 日本でハクビシンは外来種です。本来の分布である原産国でハクビシンの生態を野外で詳しく調べられているか?

A7: 日本国外の「原産地」で、ハクビシンの生態が系統的に野外研究されているかという点について言えば、日本語の公的整理や総説を見る限り、詳細なフィールド研究はある程度行われているものの、少なくとも日本で容易にアクセスできる情報の範囲では、その蓄積はそれほど豊富とは言いがたい、という位置づけになっています。

原産地の分布と基本生態

ハクビシン(Paguma larvata)の自然分布は、ヒマラヤ、中国南部、台湾、マレー半島、スマトラ・ボルネオなど東南アジア一帯とされています。
これらの地域では、市街地から山間部まで、樹上も含めた多様な環境を利用し、夜行性で樹洞・岩穴などで昼間休息し、夜間に果実や種子を中心とした雑食性の採食を行うことが知られています。

日本の侵入生物データベースでは、「基本的に母仔を中心とした家族単位で生活し、排他性は弱い」という生態的特性がまとめられており、これは原産地での知見を踏まえた一般化と考えられます。
同様に、出産期(3–12月)、産仔数(1–4頭)といった繁殖生態も、原産地・国内双方の情報を統合した形で示されています。

原産地フィールド研究の層の薄さ

ただし、こうした基本情報は主に総説レベルで整理されているものであり、

  • 原産国ごとの生息密度・行動圏サイズ

  • 詳細な社会構造・個体間関係

  • 樹上利用のパターンや巣の選択性

  • 原産地の自然林における種子散布・植生への影響

といった点を、長期トラッキングや系統的カメラトラップで解析した「本格的なフィールド生態研究」の具体例は、日本語ベースの公的資料からはほとんど拾えません。

日本の資料でも、ハクビシンの生態解説はほぼ「国内の外来種としての分布・被害・対策」にフォーカスしており、原産地の研究成果は「分布」「生息環境」「食性」「夜行性・樹上利用」といった、ごく基本的な事項に限って引用されているにとどまっています。
言い換えると、「原産地で精緻な行動生態学・個体群生態学的研究が多数ある」という印象は持てず、少なくとも日本語でアクセス可能な総説レベルでは、ハクビシンはまだ“情報が薄い小型〜中型食肉目”の一つという扱いに近いです。

外来種研究が「先行」してしまっている構図

日本では、ハクビシンが外来種として各地に定着し、農作物被害や家屋侵入を引き起こしているため、

  • 生息分布調査

  • 被害事例の収集

  • 駆除・防除技術の開発

  • 遺伝的系統解析(渡来経路・導入起源の解明)

といった外来種としての研究が先に進み、その過程で「基本生態」の整理も進んできたという構図があります。

一方で、原産地ではハクビシンが「よくいるジャコウネコ類の一種」として扱われることが多く、より保全上重要な種や人間との直接的な衝突が大きい種が優先されるため、ハクビシンだけを対象にした精緻なフィールド生態研究は、それほど多くはないと推測されます。
そのため、日本国内の総説類も「原産地での詳細な野外研究の成果を広く引用する」という形にはなっておらず、基本生態の項目も比較的簡潔な要約にとどまっています。

研究上の含意

Masked palm civet 

研究者の立場から見ると、

  • 原産地では「ありふれたジャコウネコ類」であるがゆえに精緻な研究が手薄、

  • 日本では「外来種としての管理対象」として注目され始めている、

というギャップがあります。

もしハクビシンの生態をより深く理解したいのであれば、

  • 日本国内での行動圏・社会構造・種子散布機能などを精緻に調べる研究

  • 原産地の研究者との連携による、東南アジアの自然林におけるハクビシンの役割(在来植生との相互作用など)の共同研究

の両方を進めることで、「外来種としての管理」という文脈だけでなく、「ジャコウネコ類としての生態・進化的位置付け」を埋めていく価値があると思います。


要するに、現時点で日本語ベースの公的情報から見える範囲では、「原産国でハクビシンの生態が長期フィールド研究として詳細に解かれている」と言えるほどの資料は示されておらず、基本生態はある程度わかっているものの、行動・社会性・生態系との関係については、外来種としての日本の研究の方が相対的に目立っている、という状況です。[nies.go]


Q8: 今回見られた2匹のハクビシンは♀♂つがいと考えてよいか? ハクビシンの性別を外見で見分けることができるか?

A8: 結論からいうと、今回の2頭を「外見だけから確実に♀♂つがい」と断定することは難しく、行動文脈を加味しても「可能性はあるが、そうと決め打ちするほどの材料はない」という評価になります。性別は外見だけでの識別がほぼ不可能で、腹側や生殖器周辺が写っていない限り、映像からの性判定は基本的にできません。

つがいかどうかを考えるポイント

ハクビシンは、親子・きょうだいを含む小さな家族群や緩いペアで行動することがあり、「2頭が一緒に行動している」だけでは、繁殖ペアなのか、母+前年仔なのか、単なる一時的な同伴なのかを区別できません。
今回のケースでは、

  • 片方が先行して素通りし、後続個体が営巣地を詳しく覗き込み・マーキングした

  • その後、当該地点への訪問頻度が増えていない

という点からしても、「繁殖ペアが新たなねぐら候補を真剣に選定している」というより、「二頭が同じルートで一時的に探索した場面」の可能性が高く、これだけでつがいと判断するのは慎重であるべき状況だと思われます。

つがいであれば、同じルート・同じコアエリアに繰り返し出現し、季節によっては幼獣同行が観察されるなど、時系列での個体組み合わせの安定性が確認できると、かなり確度が上がります。今回のように単発の出現で判断するのは、行動生態的には無理があると言えます。

性別を外見で見分けられるか

ハクビシンは体型・顔貌・体色・尾の長さなどに明瞭な性的二型(♂♀で形態がはっきり違う特徴)がほとんどなく、横からのシルエットや顔だけでは、専門家でも性別判定はまずできません。

フィールドで性別が視認できるのは、ほぼ次のような場合に限られます。

  • 腹側がはっきり見え、陰茎・陰嚢/乳頭列が明瞭に映っている

  • 授乳中で乳房が著しく発達している雌が、腹側を露出する姿勢を取っている

  • 排尿姿勢の違いが極端に出る場合(ただしこれは個体差も大きく、確実な性判定には使いにくい)

夜間のトレイルカメラ映像で、横向き〜斜め後方からの姿だけ、という条件であれば、事実上性別判定はできない、と考えた方が安全です。腹側のアップがあるかどうかが、性判定の成否を決めるポイントになります。

今回の映像から読み取れること・注意点

今回の二頭については、
  • 行動パターン(先行個体と後続個体の探索・マーキングの違い)は非常に興味深く、ペア内の役割分担などの仮説は立てられる

  • しかし、性別・つがいかどうかは、腹側が映っていない限り、外見・動きだけから確定できない

  • 少なくとも「2頭が一緒に行動していた」ことだけを根拠に、「♀♂つがい」とラベル付けするのは、データの扱いとしては避けた方がよい

という整理になると思います。

今後、同じ2頭とみなせる個体の腹側が写った映像や、幼獣同行・授乳期らしき行動などが撮れてくると、「繁殖ペアかどうか」をかなり詰められる可能性があります。現時点では、性別もつがい性も「不明」として扱い、個体 A・個体 B というラベルで行動記録を積み上げていくのが、アカデミックな記録としては一番無難だと思います。



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