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2025/06/17

ヤマキヒゲナガ♂の群飛とレック形成【蛾:FHD動画&ハイスピード動画】

 

2024年5月下旬・午後13:20頃・くもり 

里山の急斜面をつづら折れの山道で登っていると、草むらの上を多数の小蛾がチラチラと飛び回っていました。 
この季節だと、てっきりオドリバエの群飛かと思いきや、下草に着陸した虫をよく見たらヤマキヒゲナガ♂(Nemophora japonica)でした。 
飛び疲れた個体なのか、近くのシダの葉や灌木の若葉に2頭ずつ並んで留まっていました。 
お気に入りの場所で交尾相手の♀を待ち伏せする作戦なのかもしれませんが、♂同士で止まり木を巡る争いにはなりませんでした。
(縄張り争いや占有行動はなし。)

飛翔シーンを高画質のFHD動画で撮影しても、体が小さい上にちらちらと羽ばたく動きが素早すぎてよく見えません。 
ヤマキヒゲナガ♂の群飛を240-fpsのハイスピード動画でも撮ってみました。(@0:51〜) 
少なくとも4頭以上の個体が激しく飛び回っています。 
最後まで飛んでいた個体が、シダの葉に着陸しました。 

同じレック型求愛でも、ユスリカの群飛(蚊柱)とは様子がまるで違いますね。 

関連記事(1、10年前の撮影)▶  


実は、今回撮影した動画素材の順番を入れ替えています。 
ハイスピード動画を一番初めに撮影していて、私が近づいたせいなのか群飛が次第に解消しました。 




【考察】 
ヒゲナガガ科の仲間は、♂が求愛のために群飛をすることで有名です。 
私が山道を通りかかったせいで、ヤマキヒゲナガ♂の群れが警戒して下草から飛び立った訳ではありません。 
群飛を見つけた私がそっと近づいて、動画で撮影したのです。 

くらべてわかる蛾1704種』という図鑑にヤマキヒゲナガは非掲載でしたが、ヒゲナガガ科についての解説を読むと、
小型。♂の触角は前翅長の3倍以上と非常に長い。♀の触角は♂の半分以下と短く、基半部に黒い毛が生え太く見える種が多い。♂は昼間長い触角をたなびかせて競い合うように群飛する。 (p15より引用)
日本動物大百科9昆虫II』によれば、
ヒゲナガガ科には群飛する種と群飛しない種がいる。(中略)クロハネシロヒゲナガは、日中、草地を低くとびかうのが見られ、多数の♂が同じ場所で白い触角を目立たせて飛翔することもあるが、これらの♂は互いにまったく無関心で干渉がないように見える。 群飛をするホソオビヒゲナガでは、♂がからみあって上下するような飛翔をする。樹上のかなり高い位置で群飛することもあり、カ類の群飛と見まちがえることもある。(p71より引用)
ヒゲナガガ類の♂では極端に長くなっていて、前翅長の2〜3倍の長さがある。これは群飛のときバランスをとるのに役立つのかもしれない。(p25より引用)
ヒゲナガガ科の♂は多数が集まって求愛のためのレックを形成し、群飛で♀を誘引して飛びながら交尾するのだそうです。
資源とは特に関係の無い場所に集まった雄が、そこで小さな縄張りを作り、求愛のディスプレイを行う。 このような行動をする雄たちをレック (lek) という。レックが求愛のディスプレイで自分をアピールし、雌を呼び寄せて交尾をするというのがレック型一夫多妻である。
ヤマキヒゲナガ幼虫の食草が何なのか、解明されていないそうです。 
産卵に来る♀を待ち伏せするために、食草の付近で♂がレックを形成している可能性もあります。 
今回ヤマキヒゲナガ♂が留まっていた植物(シダ植物や灌木)の種類をまじめに同定すべきでしたね。 
また、羽化した直後の♀と交尾する可能性もありますが、どこで羽化するかも分かっていないらしい。 

ヤマキヒゲナガの群飛(求愛レック)で性フェロモンを放出している個体は♀♂どちらなのか、という点がとても大切な問題になります。 
そして、性的二型の触角の機能とも関連してきます。 
ヤマキヒゲナガの性フェロモン分子の実態はまだ化学的に同定されていません。 
他の多くの蛾の仲間と同様に、♀が性フェロモンを放出していると仮定した上で、♂の長い触角は空気中の微量な性フェロモンを検知しやすくするための進化適応だというのが、ネット上に流布する定説になっているようです。 
しかし、この定説を誰が言い出したのか、一次ソース(出典)や科学的根拠を見つけられませんでした。 

私はこの定説にどうしても納得できません。 
ヒゲナガガ触角の性的二型が長短の違いだけなら、私も定説に文句をつけたりしないのですが、そうではありません。
ヒゲナガガ♂の触角はただただ異様に長いだけで、単純な形状(糸状)だからです。 
一方、♀の触角は♂よりも短いものの、基部に黒い短毛が密生していて、太くなっています。 
つまり触角の表面積は♀の方が圧倒的に大きくて、微量な性フェロモンを検知しやすくなっています。 
性フェロモン受容体の分布を直接調べることが出来たら、解決するはずです。 
ヤマキヒゲナガ♂は群飛しながら性フェロモンを放出し、♀が視覚的および化学的(嗅覚的)シグナルで誘引されて群飛に飛び込み、1頭の♂と交尾する、というのが私の仮説です。

また、ヤマキヒゲナガの♂は何を頼りにして求愛レックを形成するのでしょうか? 
♀が来そうだと思う場所(目立つ茂みの近くなど)を個々の♂が判断し、結果として複数の♂が集まってくるだけかもしれませんが、いかにも効率が悪そうです。 
遠くまで聞こえる鳴き声(聴覚的なシグナル) を発している訳でもありません。
白くて長い触角や翅の金属光沢など視覚的なシグナルを頼りにして、♂たちが集まってくると考えられているそうです。 
集合フェロモンを放出しているかもしれない、と私は思いつきました。(嗅覚的、化学的なシグナル) 
♂が放出する(と個人的に仮定している)性フェロモンと集合フェロモンは別個の分子かもしれませんし、同じ分子が受け手の性別によって異なる効果をもたらすのかもしれません。 

ヒゲナガガの群飛はなかなか面白そうな研究テーマですが、配偶行動の観察だけでなく、食草や飼育法を確立するところから始める必要がありそうです。 
長い触角を実験的に切除すると、飛翔や配偶行動のどの過程に支障を来すでしょうか?

木の葉の表面に居座って周囲を360°見回していた♂個体は、これからまさに他の♂と合流してレックを形成し始めるところだったのかもしれません。 


今回もPerplexity AIを相談相手に調べ物をしたり、観察結果の解釈についてしつこく問答を繰り返しました。
ブレインストーミングの結果を以下のレポートに要約してもらいました。 (文言の一部を手直し済み)
もっともらしい専門用語を駆使して、かなり背伸びをした「それっぽいこと」を生成AIが言ってるだけなので、ご注意ください。
AI自身が私の動画を視聴した上でヤマキヒゲナガ♂の行動を独自に解釈している訳でもありません。
今後の展望についても、素人には手に余ることばかりです。
いずれ誰かが解明してくれることを期待します。


ヤマキヒゲナガ♂の群飛行動と配偶システムに関する考察

Ⅰ. 観察概要

  • 日時・場所:2024年5月下旬・山形県の里山(草木に覆われた山腹の急斜面)

  • 気象条件:曇天・無風状態

  • 行動特徴

    • 少なくとも4頭の♂が同一空間で緩やかな群飛

    • 飛翔個体に加え、シダ植物と広葉樹幼木(推定:ニワトコ・オシダ?)に静止する♂が混在

    • オス同士の闘争行動は確認されず

    • メスおよび交尾行動は未観察

Ⅱ. 行動生態学的解釈

1. 群飛の機能仮説

  • レック型配偶システム

    • オスが特定の微気象条件(風速・日照)下で集団飛翔し、メスの訪問を待機1

    • ヒロオビヒゲナガ(N. raddei)の日没前スウォーム行動との類似性

  • 待機戦略の多様性

    • 飛翔個体:視覚的アピールによるメス誘引

    • 静止個体:エネルギー節約型の待機戦略

2. 触角の形態と機能

  • オス触角の特徴

    • 体長の3倍に達する糸状触角(全長約15mm)

    • 表面積は♀触角(毛密生)の1/5以下

  • 機能仮説

    • フェロモン検知:未検証(従来説の再考必要)

    • 飛翔安定装置:長い触角が「生物学的スタビライザー」として機能6

    • 視覚シグナル:光反射による個体間通信

3. フェロモンシステムの特殊性

  • 従来説との矛盾

    • ヒゲナガガ科では♀発信型フェロモンが主流とされる

    • 本種では♂がフェロモンを放出している可能性

  • 二重機能仮説

    • オスフェロモンが同性を集合させ(集合フェロモン)、同時に♀を誘引

Ⅲ. 未解決問題と研究課題

1. 行動メカニズム

  • 群飛形成の誘引要因(化学的/視覚的/地形的)

  • 静止個体と飛翔個体の役割分業

  • メスの出現パターンと時間帯依存性

2. 生理学的課題

  • 触角切除実験による飛翔安定性の定量評価

  • 分泌物質のGC-MS分析によるフェロモン同定

  • 触角感覚器の走査型電子顕微鏡観察

3. 進化的意義

  • 小型化(体長5-7mm)と触角長大化の相関

  • レイノルズ数(慣性力と粘性力の比)低下環境(体長比Re≈100)での飛翔制御適応

  • 種特異的フェロモンシステムの分子基盤

Ⅳ. 今後の観察指針

  1. 時間帯別行動記録:日出~日没まで1時間毎の個体数変動

  2. 環境要因記録

    • 気温・湿度・風速の連続測定

    • 植物フェノロジー(開花・新芽展開)との関連

  3. 標識再捕法

    • 蛍光粉末による個体追跡

    • 行動圏と移動距離の推定


総括

本観察はヒゲナガガ科の配偶システム解明において以下を示唆:

  • 従来の「♀発信型フェロモン」モデルに当てはまらない可能性

  • 触角の多機能性(感覚・飛翔制御・視覚信号)の共存

  • レック行動の多様性(闘争なき集団形成)

今後の詳細な行動観察と化学分析が、昆虫の微小環境適応戦略解明に貢献すると期待されます。216

  1. https://pmc.ncbi.nlm.nih.gov/articles/PMC9939265/
  2. https://www.pref.aomori.lg.jp/soshiki/kenmin/ao-kendo/files/H24dmns-1.pdf
  3. https://www.city.hiroshima.lg.jp/_res/projects/default_project/_page_/001/011/855/45554.pdf
  4. https://hs-gakko.org/wp-content/uploads/2024/03/ikimono.pdf
  5. http://www.esj.ne.jp/meeting/51/pdf/book/jes51p2.pdf
  6. interests.insect_physiology
  7. http://www.jpmoth.org/Adelidae/Adelinae/Nemophora_japonica.html
  8. https://company.jr-central.co.jp/chuoshinkansen/assessment/document1408/kanagawa/_pdf/eis2_kanagawah14.pdf
  9. https://www.city.minokamo.lg.jp/uploaded/attachment/2441.pdf
  10. https://www.city.nobeoka.miyazaki.jp/uploaded/attachment/8659.pdf
  11. https://www.ars.usda.gov/ARSUserFiles/20200500/Pubs%202020/HullFonagy%202019.pdf

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2025/06/11

ヤマキヒゲナガ♂(蛾)の身繕いと飛び立ち【FHD動画&ハイスピード動画】

 

2024年5月中旬・午前11:50頃・晴れ 

山道の横で広葉樹幼木の若葉にヤマキヒゲナガ♂(Nemophora japonica)が留まっていました。 
翅の金色模様が美しく輝き、非常に細長い触角が春風になびいています。 
小さな蛾ですけど、蛾の苦手な方にぜひ一度見て欲しい美麗種の一つです。 

日の当たる木の葉(樹種不明)の上で方向転換し、少し歩きました。 
なぜかその場で360°ぐるっと向きを変えました。 
飛び立つ前に風向きを調べているのかと思ったのですが、飛び立ちません。 
日光浴しているのでしょうか? 

やがて、その場で身繕いを始めました。 
自慢の長い触角を前脚で拭って、きれいに掃除しています。 

葉の上からヤマキヒゲナガ♂が飛び立つ瞬間を狙って、240-fpsのハイスピード動画でも撮ってみました。(@2:17〜) 
ところが、待てど暮せど飛んでくれません。 
近くで帽子を振り回しても、枝葉を揺らしても、まったく飛び立たないのです。 
痺れを切らした私が右手中差し指をゆっくり近づけ、翅の後端にそっと触れると、ようやく慌てて飛び立ちました。 
大型の蛾と異なり、小型の蛾は準備運動なしでも飛び立てるのが普通です。 

関連記事(12年前の撮影:220fps)▶ ヤマキヒゲナガ♂?(蛾)の飛び立ちハイスピード動画 


飛行中は長い触角の空気抵抗が明らかに大きくて、速く飛ぶのは無理そうです。 
鳥などの捕食者に襲われた時に明らかに不利だと思うのですが、このような形質がなぜ進化してきたのでしょう? 
♂だけが特に長い触角を持つのらしいので、性淘汰のハンディキャップ説ランナウェイ説で説明することができそうです。 
日本動物大百科9昆虫II』によると、
ヒゲナガガ類の♂では極端に長くなっていて、前翅長の2〜3倍の長さがある。これは群飛のときバランスをとるのに役立つのかもしれない。(p25より引用)
とのことですが、私はヒゲナガガ類の群飛をまだ一度も見たことがありません。 


木の葉の上で留まり、ぐるっと方向転換したり、飛びたがらなかったりしたことに何か意味があるのでしょうか? 
ただの日光浴だったのか、それとも交尾相手の♀を待ち伏せ、縄張りを張っていたのかな? 
本種の食草は解明されていないらしく、今回の止まり木の樹種をしっかり調べるべきだったかもしれません。 
(ヤマザクラ? キブシ?)
よくあるシナリオとしては、♀が産卵する樹種で♂が待ち伏せして交尾を挑むのかもしれません。

2025/06/09

コウゾリナの花蜜を吸うウスバアゲハ

 

2024年5月中旬・午前10:30頃・晴れ 

線路沿いに咲いたコウゾリナの小群落でウスバアゲハ(別名ウスバシロチョウ;Parnassius citrinarius)が訪花していました。
この組み合わせは初見です。
翅を全開のまま口吻を伸ばして黄色い花から吸蜜しています。 
腹端に交尾嚢を付けておらず、私には性別が分かりません。 

このキク科植物の名前に自信がなかったので、帰路に再訪し、一部を採取して持ち帰りました。 
中空の茎の切り口から白い乳液は分泌されませんでした。 
家に帰ってから実物の標本と植物図鑑を見比べ、しっかりコウゾリナと同定できました。

2025/06/04

タヌキの新鮮な溜め糞から吸汁して飛び去る夜蛾【トレイルカメラ:暗視映像】

 



2024年5月下旬〜6月上旬

シーン0:5/24・午後12:03・くもり(@0:00〜) 
明るい昼間にたまたまフルカラーで撮れた現場の状況です。 
里山の林道でホンドタヌキ♀♂が残した溜め糞場ltrを自動撮影カメラで監視中です。 
スギの落葉が敷き詰められた林道を挟んで、画面の手前(カメラの背後)がスギの植林地、画面の奥が雑木林になっています。 
基本的に画面の右から左に向かって登る山道なのですが、溜め糞場ltrのある区間は、ほぼ平坦な地形になっています。 

ホンドタヌキ♀♂(Nyctereutes viverrinus)の登場シーンをまとめました。 


シーン1:5/26・午前7:52・晴れ(@0:04〜) 
朝から白毛のタヌキが溜め糞場ltrに来ていて、左向きで脱糞していました。 
便秘気味なのか、硬目の立派な固形糞を排泄しました。 
後半は健康そうな糞に変わりました。 

白毛タヌキ♀は振り返って自分の糞の匂いを嗅いでから、身震いし、そのまま画面の右下へ立ち去りました。 
おそらくスギ林に入って行ったようです。 


シーン2:5/27・午前8:01・くもり(@0:51〜) 
翌朝には珍しく♀♂ペアで登場しました。 
まず先行個体の♂が左奥を向いて脱糞中でした。 
後ろ姿の肛門がよく見え、大便の健康状態は良好そうです。 
尻尾が細く見えるのは、夏毛に換毛中だからでしょうか。 

やがて右から後続個体の白毛♀がやって来て合流しました。 
このペアは体格差があり、大柄な白毛の個体が♀だと推測しています。 
後続の白毛♀は溜め糞場ltrの匂いを嗅いでから、奥を向いて排便開始。 
やや軟便でした。 
林道の右を向いて気にしています。 

その間に先行個体♂が右下へ立ち去りました。 


シーン3:5/27・午後19:19・(@1:51〜) 
その日の晩に、タヌキが右向きで脱糞していました。 
消化の悪い物や腐りかけの物でも食べたのか、液状の下痢便を排泄しています。 
振り返って自分の糞の匂いを嗅ぐと、林道脇のミズナラ灌木の下に佇んで林道の左を凝視しています。 


シーン4:5/27・午後19:21・(@2:51〜)
これが今回一押しの興味深い動画です。 
排便直後の新鮮なタヌキの溜め糞に小さな昆虫が動いていました。 
やがて左にヒラヒラと飛び去ったのは、夜行性の蛾(種名不詳)でした。 
翅の鱗粉や複眼が暗視カメラの赤外線を反射していたようです。 
糞便臭に誘引された夜蛾が口吻を伸ばして下痢便からナトリウムやアンモニアなどのミネラル成分を摂取していたのでしょう。 

夜蛾がタヌキの溜め糞場ltrから飛び去るシーンを1.5倍に拡大した上でリプレイ(@3:12〜)。 


シーン5:5/31・午後19:48(@3:33〜) 
4日後の晩にタヌキが左向きで脱糞中でした。 
排便中にキューン♪と甲高く寂しげに鳴きました。(@3:44〜) 
黒い糞の健康状態は良好なので、便秘による苦悶の声とは思えません。 
パートナーを呼ぶ鳴き声なのでしょうか。 
我々はどうしてもタヌキの鳴き声を「寂しげ」などと勝手に感情移入したり擬人化してしまいがちです。 
用を足したタヌキは、林道を右へ立ち去りながら、もう一度クゥーン♪と鳴きました。 


シーン6:6/2・午後16:02(@4:00〜) 
2日後の雨が激しく降る午後に、白毛のタヌキ♀が左向きで脱糞していました。 
白い毛皮が雨で濡れています。 
糞の健康状態は良好そうです。 
振り返って自分の新鮮な糞の匂いを嗅ぐと、手前のスギ林へと立ち去りました。


つづく→

2025/06/03

夜の山林で飛びながら水溜りに着水する謎の昆虫【トレイルカメラ:暗視映像】

 

2024年5月下旬・午後21:20頃 

山林の中にある水溜りを自動撮影カメラで見張っていると、晩に夜行性の昆虫が飛来しました。 
低空で飛び回る昆虫が、水面にちょんちょんと着水したので驚きました。 
その虫は水溜りで溺れることはなく、そのまま飛び去りました。 
1.5倍に拡大した上で1/3倍速のスローモーションでリプレイ。 
私の第一印象では、蛾の仲間(種名不詳)だと思いました。 

謎の着水行動について、仮説をいくつか検討してみました。
(1)風が吹いていたので、不慮の着水事故かもしれません。 


(2)飲水行動。
水を飲みに飛来したにしても、岸に着陸した状態でじっくり吸水(または泥からミネラル摂取)しないのは、捕食者対策なのかな? 


(3)水浴行動。 
長時間の飛翔でほてった体を水で冷やすための体温調節行動なのでしょうか? 
旧機種のトレイルカメラで撮ったので、気温の情報が取得できていません。 

私は以前、暑い夏の昼間にスキバホウジャクの仲間が飛びながら水路の水面に何度か着水するのを目撃しています。
証拠映像はないのですが、飛びながら水浴したのかと思いました。


(4)走光性による水難事故。 
水溜りの水面に月が写っていたとすると、夜蛾の走光性が撹乱された結果、誤って着水してしまった可能性があります。 
映像では水溜りに月の反射は写っていませんが、これはアングルの問題でしょうか。 

国立天文台の暦計算室のページで調べてみると、この日の月齢は19.0、山形県での月の出時刻は午後22:44でした。 
満月を過ぎたばかりの下弦に向かう月ですが、この時刻(午後21:20)に月はまだ昇っていないことが分かりました。 
したがって、仮説4は却下できます。 


(5)産卵行動。 
トンボのように飛びながら打水産卵したのかもしれません。 
しかし、トンボのヤゴのように水中(または泥の中)で育つ蛾の幼虫は知られていないそうです。 
仮説(5)についてPerplexity AIに相談したところ、蛾ではあり得ないがトビケラの仲間ならあり得るという意外な回答を得ました。 
トビケラの仲間には止水性の種類も知られていて、♀が夜に山林を飛びながらチョンチョンと着水・産卵することもあるそうです。 
私はトビケラに疎いので、この点の裏取り(ファクトチェック)ができていません。 
現場は一時的な水溜りではありません。 
山中に浅いながらも水溜りが一年中できていて、周囲にちょっとした湿地帯を形成しているので、おそらく湧き水が溜まる地形なのだろうと想像しています。 
しかし映像をもう一度見直すと、謎の昆虫は素早く羽ばたいていて、トビケラの飛翔のようには見えませんでした。 
素人目にはやっぱり蛾の仲間に見えます。 


(6)対捕食者の回避運動
夜行性の蛾の中には、コウモリに追われてロックオンされると、コウモリが発するエコロケーションの超音波を聞き取って飛び方を急激に変化させ、攻撃をかわす種類がいるそうです。
この水場でも、夜な夜なコウモリが飛び回っています。(映像公開予定)
つまり、この蛾はコウモリに襲われそうになり絶体絶命からの緊急避難の結果、うっかり着水してしまったのかもしれません。
しかし、今回の映像で前後にコウモリは写ってなかったので、この仮説は除外できそうです。


【追記】 
そもそも、今回トレイルカメラが何に反応して起動したのか不明です。
変温動物である昆虫がいくら飛び回っても、トレイルカメラの熱源センサーは反応しないはずだからです。
風揺れによる誤作動で夜蛾の飛翔シーンが偶然写っていただけかもしれません。
長時間飛び回る昆虫の体温が気温よりも高くなり、トレイルカメラのセンサーが正常に反応した可能性はあり得ます。

最近の私はPerplexity AIに夢中ですが、AIを盲信している訳ではありません。 
仮説4を検討する際に、当日の正確な月齢と月の出時刻をPerplexity AIに質問したところ、でたらめな回答(ハルシネーション)が何度も返ってきました。 
別のAIであるChatGPTでも同じ症状でした。 
ChatGPT said:
初めの回答で月の出時刻を誤って「21時15分ごろ」とした理由は、以下の通りです:

🔍 理由1:標準的な推定を基にした一般回答だった
初回の回答では、具体的な天文学的データ(=国立天文台の公式時刻表)を参照せず、
一般的な緯度(山形県)と月齢19.0の組み合わせから「おおよその月の出時刻」を推定しました。

このとき、誤って**満月直後の典型的な月の出時刻(21時台)**を適用してしまったことが原因です。

🔍 理由2:月の出は毎日約50分遅れるという法則を過度に単純化
月は毎日およそ45〜55分程度遅れて出てくるという性質があります。

満月の翌日はだいたい「21時台」に出ると記憶されがちですが、
2024年5月27日のように月齢19.0のタイミングでは、そのズレが大きくなって「22時台」になることも多いです。

🔍 理由3:正確なデータの確認を怠った
本来、天文現象の正確な時刻は「国立天文台の暦計算室」などの公式な観測・計算データを確認すべきです。
今回はそれを即座に参照せず、おおよその経験則で答えたことが、誤りの主因です。

✅ まとめ
誤回答は、推定的な知識に基づく初期回答で、具体的な公式データに基づいていなかったために生じました。
あなたが正確な情報源(国立天文台)を示してくださったことで、正しい月の出時刻(22:44)を確認できました。ありがとうございます。
今のAIチャットは天文学的に正確な計算をしている訳ではなく、ウェブ上の文字情報を元にして推論や経験則も混じっているために、酷い誤答してしまうことがあり、利用する際には注意が必要です。 
国立天文台の公式サイトにある表データをAIが正しく読み取れないのは、深刻な問題(怠慢)です。 
その時刻に月が出ているか否かという点がきわめて重要なのに、事実とは逆のことをAIに自信満々で言われると、着水行動を正しく解釈できなくなってしまいます。

2025/05/22

シバザクラの花蜜を吸いながら猛烈に羽ばたき続けるクロスキバホウジャク【蛾:FHD動画&ハイスピード動画】

 

2024年5月中旬・午前10:35頃・晴れ 

民家の裏庭で花壇に咲いたシバザクラ(芝桜)の群落でクロスキバホウジャクHemaris affinis)が忙しなく飛び回り、訪花していました。 
この組み合わせは初見です。 
スズメガ科の中には薄明薄暮の時間帯に活動する種類もいるのですけど、クロスキバホウジャクは明るい真っ昼間に活動する生粋の昼行性です。 

途中で車および列車が近くを通過しても、クロスキバホウジャクは花壇から逃げずにしばらく吸蜜を続けてくれました。 
芝桜の花の盛りが過ぎているのか、それとも雨量が少ないのか、萎れた花が多いです。 

シバザクラに忙しなく訪花するクロスキバホウジャクを240-fpsのハイスピード動画でも撮ってみました。(@0:47〜) 
ホバリング中は長い口吻をゼンマイ状に丸めています。 
次の花に移動すると、花の中央の狭い開口部に狙いを定め、口吻を伸ばして先端を器用に差し込み、吸蜜を始めます。 

シバザクラの花から口吻を引き抜くと、橙色の花粉が付着していました。 
したがって、クロスキバホウジャクはシバザクラの花粉を媒介して授粉を助ける送粉者として働いているようです。 

猛烈に羽ばたき続ける風に煽られて、周囲の花が揺れています。 
訪花中のクロスキバホウジャクは前脚を花に掛けていたので、ホバリング(停空飛翔)とは言えません。 
素人目にはカロリーの浪費にしか思えないのですが、即座に飛び立てるように、アイドリングのように羽ばたき続けているのでしょう。 
羽ばたきを止めてしまうと、不安定な花の上で姿勢を保てないのかもしれません。 

ハイスピード動画モードでは固定焦点になるので、被写体が奥の花に移動するとピンぼけになってしまいます。 
録画を一旦打ち切ってから改めて撮り始めるべきなのですが、撮り続けながら私がカメラを構えた腕を少し前に伸ばしたり前進したりして、なんとか自力でピントを合わせようと頑張りました。


このシバザクラの花壇には白い花とピンクの品種が隣り合って咲いていたのですが、クロスキバホウジャクはピンクの花だけを選び、白い花弁のシバザクラにはまったく訪れませんでした。 
花色の品種改良によって花蜜の量が明らかに違うことを経験から知っているのか、それとも白い花は蜜標がなくて開口部が分からないのかもしれません。
また、花色によって芳香に強弱があるのかもしれません。 

光の赤色成分が見えない代わりに紫外線が見える昆虫の視覚にシバザクラの花はどう写っているのか、気になります。
ネット検索してみると、昆虫写真家の海野氏がすでに紫外線写真を撮影していました。 

関連記事()▶ ピンクと白のシバザクラ、実は同じ色? by 海野和男のデジタル昆虫記 

シバザクラで白とピンクの花は、紫外線や青色波長を吸収反射する具合はほぼ同じですが、昆虫は緑など他の波長の色情報を総合することで2つの花色を見分けていると考えられるそうです。 
花弁の色が違っても、中央に蜜標がしっかり写っていました。 

花蜜の量が花色によって違うと予想しているのですが、実際にどうやって実際に測定したらよいのでしょう?(かなり微量のはずです) 



【アフィリエイト】 











2025/05/18

ハルザキヤマガラシの花蜜を吸い飛び回るモンキチョウ♂【FHD動画&ハイスピード動画】

 

2024年5月上旬・午前10:35頃・くもり

農道に沿って咲いた帰化植物ハルザキヤマガラシの群落で モンキチョウ♂(Colias erate poliographus)が訪花していました。 
ともに普通種ですが、この組み合わせは初見です。 

翅をしっかり閉じたまま、口吻を伸ばして吸蜜しています。 
少し飛んで隣の花に移動します。 
被写体も背景も黄色いので、カメラのAFの合焦に手間取りました。 

ハルザキヤマガラシの花からモンキチョウ♂が飛び立つ瞬間を狙って、240-fpsのハイスピード動画でも撮ってみました。(@0:35〜) 
AFではなく固定焦点になるなので、撮影がずっと楽です。

余談ですが、日本にすっかり定着したハルザキヤマガラシを「菜の花」と呼んでよいのでしょうか?
素人目に「菜の花」と似ています。
しかし、狭義の「菜の花」は、アブラナ科植物の中でもBrassica属で食用に栽培されているもの(アブラナ、ナタネ、カラシナなど)を指すのだそうです。
ハルザキヤマガラシはBarbarea属という少し別の分類群で、しかも食用にならないので、「菜の花」と一緒くたにして呼ぶのは注意が必要です。
(今回の調べ物で、ChatGPTに指摘してもらって気づきました。)


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2025/05/14

シバザクラの花蜜を吸い飛び回るツマグロヒョウモン♀【FHD動画&ハイスピード動画】

 

2024年5月上旬・午後12:50頃・晴れ 

郊外で道端の花壇に咲いたシバザクラ(芝桜)の群落にツマグロヒョウモン♀(Argyreus hyperbius)が訪花していました。 
この組み合わせは初見です。 

ツマグロヒョウモン♀は、翅を開閉しながら口吻を伸ばしてピンクのシバザクラの花から吸蜜しています。 
羽化直後なのか、翅は無傷できれいな状態でした。 
強い春風に吹かれて、翅が煽られています。 
この花壇では、同じシバザクラでもピンクの花と白い花の品種が並んで咲いていたのですが、ツマグロヒョウモン♀は白い花には訪れませんでした。 
雨不足なのか、芝桜の花の多くは萎れかけています。 

ツマグロヒョウモン♀は、シバザクラの隣接する花には歩いて移動することが多いです。 
少し飛んで、群落内で次の花に移動することもあります。 
花から飛び立つ瞬間を狙って、240-fpsのハイスピード動画でも撮ってみました。(@2:09〜) 

次の花に着地した後で、開閉しながら翅を複雑に動かしたのが気になりました。(@2:20〜) 
その奇妙な翅の動きを言葉で記述するのは難しいのですが、4枚の翅を独立に動かし、背側⇔腹側に開閉しながら前後方向にも小刻みに動かしていました。 
しばらくすると、通常の単純な開閉運動に戻りました。 
交尾相手の♂に見つけてもらえるように翅を扇いでアピールしたのかな?と私は勝手に妄想しました。 
素人目には、いかにも異性を誘惑するような誘っているような翅の動きでした。 
このとき♂を誘引する性フェロモンを放出していたのなら理解しやすいのですが、腹端にヘアペンシルのような構造は見られませんでした。 
ネットで調べても、ツマグロヒョウモンの♀がそのような求愛ディスプレイ(求愛誇示)をするという事実も、♀が性フェロモンを分泌するとの報告もありません。 
ヒョウモンチョウの仲間では♂の翅に黒い性斑(性標)があり、性フェロモンの分泌器官になっています。
ツマグロヒョウモン♂でも同じく性標があります。
したがって、♀が性フェロモンをもつとは考えにくいですね。








そもそも、5月にツマグロヒョウモンを見たのは初めてです。 
これまでは8月が初見日だったので、大幅に更新されたことになります。 
深刻な地球温暖化が進行するとともに、ツマグロヒョウモンの分布も着実に北上しているようです。 
当地は多雪地帯(寒冷な雪国)ですが、2024年は異常な暖冬だったので、暖地性のツマグロヒョウモンが遂に越冬できたのでしょうか? 
園芸パンジーの苗と一緒にツマグロヒョウモンの幼虫や蛹が暖地から運ばれて、当地で羽化した可能性も考えられます。 
(ツマグロヒョウモンの越冬態は幼虫です。)





2025/05/10

カキドオシの花蜜を吸うキアゲハ

 

2024年5月上旬・午後14:30頃・晴れ 

休耕地に咲いたカキドオシの群落でキアゲハPapilio machaon hippocrates)が訪花していました。 
この組み合わせは初見です。 
カキドオシの花から花へ忙しなく飛び回り、唇形花に口吻を挿し込んでがっつくように吸蜜していました。 

1/5倍速のスローモーションでリプレイ。(@0:49〜) 
左の後翅が大きく破損している個体でした。 
左右対称の損傷ではなかったので、鳥に襲われかけたビークマークではなさそうです。 

ところで、カキドオシの茎が初夏に見るよりもひょろひょろと高く伸びていたのが気になりました。 
日当たりのあまり良くない林縁に生えたカキドオシの特徴なのかな?と思いつつ調べてみると、wikipediaに答えが書いてありました。
茎の断面は四角く[8]、はじめ花がつくころは5 - 20センチメートル (cm) ほどの高さに直立するが、花後は茎が伸張するに従ってつる状になり、地面を這うように長く伸びて[9][11]、節の所々から根を下ろして、長さ1メートル (m) 以上になる[15]。

 

2025/05/06

サンショウの葉に飛来して産卵するナミアゲハ♀

 

2024年5月上旬・午後17:00・晴れ 

民家(店舗?)のお洒落な庭に植栽されたサンショウ(山椒)の灌木にナミアゲハ♀(Papilio xuthus)が惹きつけられ、忙しなく飛び回っていました。 
サンショウの若葉が育ち、黄色くて目立たない花も咲いています。 
山椒の葉に止まると、ナミアゲハ♀は激しく羽ばたきながら腹端を軽く曲げ、葉の表面に卵をひと粒産み付けました。 
夕日を浴びた食樹植物の周囲を飛び回り、何度も舞い戻ってきて、違う葉に産卵を繰り返しています。 

望遠マクロではなく、至近距離から接写することができました。 
ナミアゲハ♀の産卵飛翔を1/5倍速のスローモーションでリプレイ。(@1:01〜) 



2025/05/05

林床で拾った落ち葉を繰り返し落として遊ぶヒヨドリ【野鳥:トレイルカメラ】

 

2024年5月上旬〜中旬 

平地の二次林で、死んだニホンアナグマの旧営巣地(セット)を見張る監視カメラに、珍しくヒヨドリHypsipetes amaurotis)が写っていました。 
この林内に生息するヒヨドリを現場で実際に何度も目撃していたのですが、実はこの地点でヒヨドリがトレイルカメラに写ったのは初めてです。 


シーン1:5/5・午前8:50・気温21℃(@0:00〜) 
巣口Rの手前に自生するマルバゴマギマルバゴマキ(別名マルバゴマギ、ヒロハゴマキ、オオバゴマキ)灌木の根元に1羽のヒヨドリが来ていました。 
目の前でハラリと落ちた1枚の落ち葉に興味を示したのがきっかけで、その枯れ葉を何度も拾い上げたり落としたりしています。 
隠れている虫を探すための落ち葉めくり行動とは全く違い、玩具として遊んでいるように見えました。 
拾う際には、枯れ葉の中央部を嘴で咥えています。 
まさか巣材として落ち葉を持ち去るかと思いきや、その予想も外れました。 

実はもう1羽の鳥が右上奥の林縁の灌木に止まって様子を見守っていました。 
おそらくヒヨドリのパートナーだと思うのですけど、暗くてシルエットしか見えず、自信がありません。 
その2羽が続けざまに飛び去りましたが、鳴き声を発しませんでした。 

その間、茶色い毛虫がマルバゴマギの灌木から地面に降りて地面を徘徊し始めました。 
おそらくヒトリガArctia caja phaeosoma)(または近縁種)の幼虫(俗称クマケムシ)ではないかと思います。 
クマケムシの徘徊シーンを1.5倍に拡大した上で5倍速の早回しでリプレイ(@1:07〜)。
この毛虫をヒヨドリが捕食しなかったのは、獲物の存在に気づかなかったのか、それとも敢えて忌避したのか、どちらでしょう? 
クマケムシの剛毛には毒がないことが分かっていますが、やや毒々しい体色からベーツ擬態が機能したのかな? 
ヒトリガの幼虫は広食性なので、
食草に含まれたアルカロイドを体内に含有していることがあるので、小鳥のように摂食する分には有毒ではある。(wikipediaより引用)


シーン2:5/12・午前9:08・気温19℃(@1:46〜) 
おまけの動画です。 
1週間後にもヒヨドリのペアがセットに来ていました。 
マルバゴマギ灌木の細い幹に止まって、巣口Lをじっと見下ろしていました。 
この巣穴Lの奥には餓死した「いざりタヌキ」の死骸が転がっているのではないかと私は疑っているのですが、野生動物だけでなく様々な野鳥(カラスキジ)が入れ代わり立ち代わり来て、巣口Lに興味を示しています。 
ヒヨドリは腐肉食性(スカベンジャー)ではないのに、動物の死骸に興味を示すのは不思議です。
日本の鳥は一般に嗅覚が鈍いとされているので、死臭を嗅ぎつけたとは思えません。
(死骸の体毛を集めて産座の巣材とする行動なら理解できます。)

ヒヨドリは虫を捕食しに来たのでしょうか?
しかし、巣口Lにハエやキイロコウカアブは飛び回っていません。 
腐肉を分解する虫たちのかすかな物音を聞きつけたのかもしれません。
(私が現場検証しても、巣口Lで死臭を感じたり虫の音を聞いたことはありません。) 

結局、ヒヨドリは巣穴Lの中に入って調べることはなく、止まり木から飛び立ちました。 
右手前の死角に潜んでいた別個体のヒヨドリも、後を追うように飛び去りました。 


つづく→

2025/05/02

飛べ!オビカギバ♂(蛾)【FHD動画&ハイスピード動画】

 

2024年5月上旬・午後13:00頃・くもり 

里山で沢の上流部を渡河する途中で、岸辺に生えたシダの葉に見慣れない蛾が止まっていました。 
翅の先端が鈎状に尖っていることから、カギバガ科の仲間だろうと予想がつきます。 
くらべてわかる蛾 1704種』という図鑑で調べてみると、オビカギバ♂(Drepana curvatula acuta)と名前が判明。(P44に掲載) 
この個体は触角が羽毛状に発達しているので、♂のようです。 
幼虫の食餌植物は、「カバノキ科:ヤマハンノキ、シラカンバ、ダケカンバ、ヤシャブシ、ウダイカンバ、ヤハズハンノキ」とのことで、シダの葉とは関係ありませんでした。 

隠蔽擬態や保護色でもないのに、緑のシダの葉の上で堂々と静止しています。 
(バレバレだと思ったのは、私の主観ですね。)
蛾に馴染みのないヒトが見たら、茶色の枯れ葉が乗っているだけのように騙されるかもしれません。 

動きが無いと動画ブログのネタにならないので、飛翔シーンの羽ばたきを240-fpsのハイスピード動画で撮ってみました。(@0:12〜)。 
シダの葉を軽く揺らすと、オビカギバ♂は準備運動なしですぐに飛び去りました。 

シダ植物についても勉強不足の私は苦手意識があり、種類を見分けられません。 
なんとなくワラビかな?と予想したものの、シダの葉全体の写真も撮り忘れてしまいました。 

ところで、冒頭のシーンで蛾の右には黒くて小さなハバチ(種名不詳)が写っていました。 
ゼンマイハバチやワラビハバチなどのように、シダ植物を寄主とするハバチ類がいるらしいのですが、今回は蛾より先に飛び去ってしまいました。
もしハバチ♀の産卵行動が撮れたりしたら、必要に迫られて(重い腰を上げて)シダ植物の名前を調べるでしょう。


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2025/04/16

ヒメオドリコソウの花蜜を吸うミヤマセセリ♀【FHD動画&ハイスピード動画】

 

2024年4月下旬・午後13:55頃・薄曇り 

峠道の歩道に沿って咲いたヒメオドリコソ咲いたウの群落でミヤマセセリ♀(Erynnis montanus)が訪花していました。 
この組み合わせは初見です。 

翅を広げたまま吸蜜しています。 
とても小さな唇形花の開口部に口吻の先端を差し込むのに苦労しています。 
少し飛んでは隣の株の花へ移動して、次々と吸蜜します。 

性別は♀でした。
(ミヤマセセリの♀は)前翅表の中央部に白帯が現れ、(中略)前翅裏にある翅頂部近くの黄橙部は♂よりも広く顕著(フィールドガイド『日本のチョウ』p284より引用)
ミヤマセセリは幼虫で越冬するらしく、この個体は春になって羽化したばかりの成虫♀ということになります。 

ミヤマセセリ♀がヒメオドリコソウの花から飛び立つ瞬間を狙って、240-fpsのハイスピード動画でも撮ってみました。(@1:15〜) 
春風が吹いて風揺れに悩まされたのですが、スローモーションにすると気にならなくなります。

2025/04/13

農道を走って逃げるウスイロアカフヤガの春型(蛾)

 

2024年4月下旬・午後13:05頃・晴れ 

山間部の田園地帯の農道で、翅が赤茶色の蛾を発見。 
舗装路をなぜか小走りで逃げています。 
走りながらときどき羽ばたいて前方に飛び立とうとするのですが、なぜか遠くまで飛べずに少しジャンプするだけです。 
右前翅表に白い線状の擦過傷がありますが、種としての特徴ではなく、後天的で偶発的な傷のようです。 
最後は路肩の草むらに逃げ込んで、姿を見失いました。 
短い出会いを1/5倍速のスローモーションでリプレイ。 

てっきり、春に出るキリガの仲間かと初めは思いました。 
くらべてわかる蛾 1704種』という図鑑をぱらぱらと眺めてみると、ヤガ科モンヤガ亜科に属するウスイロアカフヤガDiarsia ruficauda)の春型が素人目には一番似ています。(p129に掲載) 
生息域が北海道〜九州。 
成虫の出現時期が3〜5、8月。 
低地〜山地に分布し、幼虫の食餌植物としてオオバコ、セリ、ノダイオウ、イヌタデが挙げられていました。 
この中でノダイオウというタデ科の植物だけ知らなかったのですが、あとの条件だと当地でウスイロアカフヤガが生息していても不思議ではありません。

2025/04/10

春にヒマラヤユキノシタの花蜜を吸う越冬明けのキタテハ秋型

 

2024年4月中旬・午前11:05:頃・晴れ 

民家の花壇に咲いたヒマラヤユキノシタキタテハPolygonia c-aureum)が訪花していました。 
この組み合わせは初見です。
越冬明けの秋型なのに、翅に損傷がないきれいな個体でした。 
翅を広げたまま吸蜜していましたが、春の日差しで暑くなったら閉じました。 
私が回り込んで翅裏も撮ろうとしたら、キタテハは飛び去りました。

2025/03/30

春にセイヨウタンポポの花蜜を吸う越冬明けのクジャクチョウ

 

2024年4月中旬・午後15:20頃・くもり後晴れ 

刈田の農道に咲いたセイヨウタンポポの群落でクジャクチョウInachis io geisha)が訪花していました。 
翅を全開にして吸蜜しています。 
本種は成虫で越冬しますから、春まで無事に生き残った個体は翅がぼろぼろに破損しています。 

後半に日が射すと、暑くなったクジャクチョウはすぐに翅をしっかり閉じました。 
おかげで、地味な翅裏も見せてくれました。 
最後にようやく飛び去るまで見届けました。 
この農道にはなぜか在来種のエゾタンポポの花が多く咲いていたのですが、クジャクチョウが訪花していたのは外来種のセイヨウタンポポでした。 

北方系の蝶であるクジャクチョウとの再会はかなり久しぶりで、とても嬉しかったです。 
温暖化が進行した影響で、もう平地では見れないかと思っていたので、感激しました。 

関連記事(12年前の撮影)▶ クジャクチョウがセイヨウタンポポに訪花吸蜜
日本では滋賀県以北に分布し、北方系の種類として位置づけられる。本州中部では標高の高い山地でしか見られないが、東北地方や北海道では平地でも見られる。(中略) 幼虫はクワ科のホップ、カラハナソウ、イラクサ科のホソバイラクサ[1]、エゾイラクサ、ニレ科のハルニレなどを食草とする。 (wikipedia:クジャクチョウより引用)

2025/03/23

トリアシショウマの花で吸蜜する夏型のサカハチチョウ

 

2023年7月中旬・午後12:10頃・くもり 

昼下がりでも薄暗い鬱蒼とした山林を抜ける山道に沿っトリアシショウマの群落があり、夏型のサカハチチョウAraschnia burejana)が訪花していました。 
私が近づいたら警戒して逃げたのですが、ほとぼりが冷めるとトリアシショウマの群落に舞い戻ってくれました。 
半開きの翅をゆるやかに開閉しながら吸蜜しています。 

花穂から飛び立つ瞬間をハイスピード動画に撮りたくて、しつこく長撮りしてみたのですけど、なかなか飛んでれず諦めました。 




2025/03/16

交尾器を結合したまま飛んで逃げるミドリヒョウモン♀♂【FHD動画&ハイスピード動画】

 

2023年6月中旬・午前11:55頃・晴れ 

里山の林道沿いでヨモギの葉に乗って交尾中のミドリヒョウモン♀♂(Argynnis paphia)を見つけました。 
翅を閉じたまま互いに逆向きで交尾器を結合しています。(反向型交尾体位) 
よく見ると、連結した腹端だけヒクヒクと動いています。 
葉の上なので、当然ながら口吻は縮めたままでした。 

左の個体Lが♂で、右の個体Rが♀でした。 
♀の翅裏の地色は緑味が強く暗化しており、前翅の翅頂に三角形の白班が透けて見えます。 

私は交尾中の蝶の連結飛翔に興味があるので、240-fpsのハイスピード動画に切り替えて撮ってみました。(@0:29〜) 
物を投げつけて強制的に飛び立たせると、ミドリヒョウモン♀Rの方が先に反応して羽ばたきを開始しました。 
交尾器を連結したまま♀が主導権を握って♂を引っ張って飛び去りました。 
つまり、今回の連結飛翔は「←♀+♂」タイプでした。 
♂Lも少し遅れて反応したものの、すぐに翅を閉じて♀に身を任せます。 

緊急避難で♀♂ペアが同時に羽ばたくと逆方向に飛ぶことになり、上手く逃げられないどころか、交尾器が引きちぎられてしまいます。 
たとえ身の危険が迫っても、結合した交尾器は簡単には外れないようです。
したがって、蝶の連結飛翔では必ず♀♂どちらかが主導権を握らなければなりません。 
「チョウの種類によって、♀♂どちらが主導して連結飛翔するかタイプが違う」と本で読んだので、実例を少しずつ撮り貯めています。 

関連記事(9ヶ月前の撮影:←♂+♀タイプ)▶ ミドリヒョウモン♀♂の交尾と連結飛翔【FHD動画&ハイスピード動画】

しかし、その定説はどうも眉唾のような気がしてきました。 
交尾中の♀♂ペアはとても無防備なので、互いに逆を向いて見張りを分担し、360°油断なく見張っているはずです。 
物を投げつけたり敵が襲ってきたりした場合、それを先に見つけた個体が性別に関係なく逃避行動を開始するのが自然ではないでしょうか? 
主導権を握って羽ばたく個体が離陸直後に切り替わる♀♂ペアを私は今まで一度も見たことがありません。 
つまり、試行回数(観察サンプル数)を充分に増やせば、連結飛翔のタイプはチョウの種類に関係なく半々の確率に落ち着くのではないかと私は予想しています。
スローモーションで動画が手軽に撮れる時代が来る前に、いにしえの先人たちが少ないサンプル数の直接観察から早まった結論に達したのではないかと私は密かに疑っています。
物を投げつけて交尾ペアを飛び立たせた場合は、どちらの方向からどこを目がけて物を投げたのか(♀♂どちらが先に危険に気づくか)も、記録しておく必要がありそうです。 
交尾中の♀♂ペアが自発的に飛んだ場合でも、上空を別のお邪魔虫や鳥がどの方向から飛来したのか、などの条件によって連結飛翔の結果が影響されそうです。 





2025/03/12

ムシトリナデシコの花壇で虫撮り:キタテハ♀夏型【FHD動画&ハイスピード動画】

 

2023年6月中旬・午後13:45頃・晴れ 

堤防路の花壇に咲いたムシトリナデシコの群落で夏型のキタテハ♀(Polygonia c-aureum)が訪花していました。 
翅をしっかり閉じたまま口吻を伸ばして吸蜜しています。 
やがて半開きで翅を開閉するようになりました。 
翅表の地色が薄いので♀と判明。 
集散花序の上では、わざわざ飛ばずに歩いて次の花へ移動します。 (省エネ時短)

キタテハがムシトリナデシコの花から飛び立つ瞬間を狙って、240-fpsのハイスピード動画でも撮ってみました。(@1:55〜) 
訪花中にキタテハが中脚で顔を拭い、付着した花粉を落としました。
(ちなみに、タテハチョウ科の前脚は退化しています。) 
私が痺れを切らして物を投げつけたら、ようやく飛んでくれました。 



2025/03/08

黄色い菊花の花蜜を吸うキタキチョウ

 

2023年11月中旬・午後13:50頃・晴れ 

民家の庭の花壇に咲いた黄色の菊(園芸品種)にキタキチョウ♀♂(Eurema mandarina)が訪花していました。 
いつものように、翅をしっかり閉じたまま、口吻を伸ばして吸蜜しています。 
最後にようやくキタキチョウが少し飛んで、隣の花に移動しました。 

他にはオオハナアブ♀♂(Phytomia zonata)、ナミハナアブ♀♂(Eristalis tenax)、ツマグロキンバエStomorhina obsoleta)、シマハナアブ♀♂(Eristalis cerealis)なども多数、訪花していました。 


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