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2025/06/18

アナグマの旧営巣地で木揺すりディスプレイするニホンザル【トレイルカメラ】

 



2024年6月上旬

シーン0:5/30・午前11:27・晴れ・気温30℃(@0:00〜) 
明るい日中にたまたま撮れた現場の状況です。 
平地の二次林で死んだニホンアナグマMeles anakuma)の旧営巣地(セット)を自動撮影カメラで見張っています。 

久しぶりに登場したニホンザルMacaca fuscata fuscata)のシーンを以下にまとめました。 


シーン1:6/8・午後12:20・晴れ・気温26℃(@0:04〜) 
昼過ぎに右から単独で遊動してきたニホンザルがアナグマの巣口Rの手前で座り込みました。 
周囲をキョロキョロ見渡す際に、巣口Rもちらっと見やりました。 
獣道を歩いて画面左下に立ち去りました。 


シーン2:6/8・午後13:04・晴れ・気温27℃(@0:25〜) 
約45分後に、サルが左から戻ってきたようです。 
同一個体なのかな? 
群れの仲間はどこにいるのか、単独行動している離れザルなのかもしれません。 

アナグマの巣口Rの手前で立ち止まると、右上の二次林の奥を凝視しています。 
その場に座り込んで、辺りをキョロキョロ見回します。 
やがてノソノソ歩くと、林縁から急に跳び上がってミズキの灌木に登りました。 
そのまま樹上で激しく木揺すりディスプレイを披露しました。 
このとき鳴き声を発してはいません。 
誰に対する威嚇なのか不明です。 

1/3倍速のスローモーションでリプレイすると(@1:32〜)、木揺すりの勢いで朽ちた枯木がボキッと折れていました。 
その長い落枝が1本、セットの真上に落ちかけて途中で引っかかりました。 

ニホンザルが乗っていた枝が折れても幸い手で別の枝を掴んでいたようで、「猿も木から落ちる」事故の決定的瞬間は撮れませんでした。 
樹上から地面へ安全に跳び降りると、猿は左上奥へと歩き去りました。 


シーン3:5/30・午前10:57・晴れ・気温29℃(@1:16〜) 
別アングルの監視カメラで、ニホンザルが来る前の現場の様子を示します。 
アナグマの巣口Lが写っています。 


シーン4:6/8・午後13:04・晴れ・気温27℃(@1:20〜) 
別アングルの監視カメラでもニホンザルの木揺すり誇示行動が撮れていました。 
ニホンザルがミズキの樹上に跳び乗った直後から始まります。 
カメラの画角よりも高い枝に登ったようで、木揺すりディスプレイしている姿は写っていないものの、激しく揺れています。 

その拍子に折れた細長い枝が上から落ちていて、ミズキ灌木の幹2本の間に水平に引っかかりました。 
これ以降、この細長い落枝が画角内で目障りなまま残されることになります。 
後日に私が現場入りしたときには、カラスの仕業(悪戯)かと思いつつ落枝を取り除いたのですが、ニホンザルによる所業の一部始終が記録されていました。 


※ 猿が立てる物音が聞き取れるように、動画編集時に音声を正規化して音量を強制的に上げています。 


【考察】 
股間の外性器で猿の性別が見分けられませんでした。 
トレイルカメラでニホンザルの木揺すり誇示が録画されていたのは今回が初めてです。
いつもは山林でサルの群れにうっかり近づきすぎた私に対して、一部の個体が木揺すりディスプレイをする様子を直接撮影していました。

ちなみに、この二次林に出入りするヒトは、私以外に誰もいません。

今回、ニホンザルが急に木揺すりディスプレイを披露した理由は何でしょうか? 
いくつか仮説を考えてみました。

(1)ミズキ灌木に固定してあるトレイルカメラの存在に気づいて、それが気に入らなかった。怒りや不満の表明。 
(2)離れザルだとしたら、群れの仲間に気づいてもらうために、わざと物音を立てた。 
(3)巣穴に隠れていそうな主(アナグマまたはタヌキ)が気になり、威嚇・挑発して巣外に出てくることを期待した。軽い嫌がらせ。
(4) 林内で見慣れない野生動物(ニホンカモシカ?)を見かけたので、木揺すりディスプレイで威嚇し、追い払った。 
(5)本人にとっては一種の遊び。いかにも折れそうな朽木・枯木の枝を見て、わざと折りたくなる衝動に駆られた。 

個人的には、(4)が有望かな?と勝手に思っています。
激しく揺すった枝がときには折れることも織り込み済みで、とにかく大きな物音を立てて脅かしたいのでしょう。

この巣穴に出入りするアナグマやタヌキは落枝を何本も巣口に置いたままにして、巣口を偽装したり不法侵入者が潜り込みにくくするための防犯装置として使っています。 
セットに落枝を供給していたのは、風雪だけではなくニホンザルの仕業でもありました。 


つづく→

2025/06/17

山道で何者かに威嚇のディスプレイを繰り返すヤマドリ♂【野鳥:トレイルカメラ】

 



2024年6月上旬・午前7:30・晴れ 

ホンドタヌキ♀♂(Nyctereutes viverrinus)が通う溜め糞場ltrがある山道を自動センサーカメラで見張っていると、ある朝にヤマドリ♂(亜種キタヤマドリ:Syrmaticus soemmerringii scintillans)がいきなりドラミングを披露していました。 
林道の中央を通って左から来たと思われる♂個体が、溜め糞ltrの手前で立ち止まると、鳩胸のように羽毛を膨らませ、大きく広げた翼をその場で激しく羽ばたいて、ドドドド♪と勇ましい音を立てました。 
キジ♂の母衣ほろ打ちとは異なり、ドラミングしながら鳴くことはありませんでした。 

林道を右へゆっくり歩き始めたものの、立ち止まって小声でクゥー♪と鳴きました。(@0:33〜) 
再び翼を大きく広げましたが、今度は羽ばたきませんでした。 
おそらく何者かと対峙していて、威嚇のために体を大きく見せているのでしょう。 
おそらくライバルのヤマドリ♂と縄張り争いをしているのではないかと想像したのですが、もしかすると相手は野生動物かもしれません。 

最後にヤマドリは右へ立ち去りました。 
この間、少し遠くでカケスやカラスがずっと鳴いているようです。 
やはり、何か野生動物が朝から山道を登ってきていて、それに気づいた野鳥が一斉に警戒しているのかもしれません。

1/3倍速のスローモーションでリプレイ。(@1:04〜) 
警戒心の強いヤマドリのドラミング行動は初見で、とても嬉しい収穫でした。 
私がこの山道を右から登ってきて、左へ更に進んでいくと、毎回のようにヤマドリ♂のドラミングを聞きますが、すぐに逃げてしまうので姿を目撃したことはほとんどありません。

今回ヤマドリ♂が対峙した相手の正体が監視カメラに写らなかったのが心残りです。 
トレイルカメラもちょっとは気を利かせて右を向いてくれよ!と無茶な要求をしたくなります。 

(ヤマドリは)鳴くことはまれだが、繁殖期になると雄は翼を激しく羽ばたかせ、非常に大きな音を出す(ドラミング、母衣〈ほろ〉打ち)ことで縄張りを宣言するとともに、雌の気を引く[12]。また、ドラミング(ほろ打ち)の多くは近づくものに対する威嚇であるともされる[4]。(wikipediaより引用)



※ 動画の一部は編集時に自動色調補正を施しています。 
※ 鳴き声が聞き取れるように、音声を正規化して音量を強制的に上げています。 


つづく→


【アフィリエイト】 

2025/06/08

タヌキの溜め糞場がある林道をニホンザルが群れで遊動中に採食【トレイルカメラ】

 



2024年5月下旬〜6月上旬

シーン0:5/24・午後12:03・くもり(@0:00〜) 
明るい時間帯にたまたまフルカラーで撮れた現場の様子です。 
里山の林道でホンドタヌキ♀♂(Nyctereutes viverrinus)が残した溜め糞場ltrを自動撮影カメラで監視中です。 
スギの落葉が敷き詰められた林道を挟んで、画面の手前(カメラの背後)がスギの植林地、画面の奥が雑木林になっています。 
基本的に画面の右から左に向かって登る山道なのですが、溜め糞場ltrのある区間は、ほぼ平坦な地形になっています。 

ニホンザルMacaca fuscata fuscata)の登場シーンをまとめました。 


シーン1:5/27・午後15:26・くもり?(@0:04〜) 
林道を右から左へニホンザルが次々に通過します。 
写っていたのは計3頭でした。
先頭個体の尻が汚れているのは自分の糞なのか、それともただの泥汚れかな? 
タヌキの溜め糞場ltrには興味がなく、すぐ横を素通りしました。 


シーン2:6/2・午前7:20・くもり?(@0:25〜) 
6日後の朝に少なくとも2頭のニホンザルが林道を通り過ぎました。 
まず、画面の左端に猿の尻だけ写っていました。 
しばらくすると、 その間にキツツキのドラミング音が聞こえました。 

次に手前(画面下端)から子ザルが登場。 
周囲で猿の鳴き叫ぶ声が聞こえます。 
子猿は林道の端に座って何か餌を採食しました。 
1.5倍に拡大した上でリプレイしても(@1:02〜)、採食メニューは不明です。 
硬そうなので、ドングリなどの堅果なのかな? 


シーン3:6/6・午後18:11・くもり(@1:28〜)日の入り時刻は午後19:02。 
4日後の夕方に、また2頭のニホンザルが林道を右から左へ続々と通過します。 
タヌキの溜め糞の上を素足で踏んで歩いても気にしません。 
キツツキのドラミング音♪が今回は近くから鳴り響いています。 
その後も監視カメラの死角から猿の鳴き声が聞こえます。 


※ 動画編集時に自動色調補正を施しています。 
※ 鳴き声が聞き取れるように、音声を正規化して音量を強制的に上げています。 


【考察】
この時期は毎回右から左へ一方通行で遊動していました。
小さな群れのようですが、録音された鳴き声から判断すると、群れの個体数は写った数よりももう少し多そうです。
監視カメラの背後など死角を通る個体もいたかもしれません。

つづく→

夕暮れの水場で縄張り争いするクロツグミ♀♂【野鳥:トレイルカメラ】

 



2024年5月下旬 

シーン0:5/24・午前後・晴れ(@0:00〜) 
明るい日中にたまたまフルカラーで撮れた現場の状況です。 
山林で湧き水が溜まった水場を自動撮影カメラで見張っています。 


シーン1:5/29・午後18:37・日の入り時刻は午後18:57(@0:04〜) 
日没直前の薄暗い水溜りに1羽のクロツグミTurdus cardis)が来ていました。 
旧機種のぽんこつトレイルカメラでは羽根の色が分からないのですが、背側が真っ黒ではないので♀(または幼鳥?)のようです。 
ホッピングでぴょんぴょん移動しながら、岸辺の泥濘をあちこち啄んでいます。 

左から低空で♂が飛来して、幼鳥を追い払いました。 
先住者効果はなかったことになります。 
喧嘩中は激しく鳴いていた♪ 
もしかすると喧嘩ではなく、巣立った幼鳥に親鳥が巣外給餌したのでしょうか? 
1/3倍速のスローモーションでリプレイ。(@0:49〜) 


※ 動画編集時に自動色調補正を施しています。 
※ 鳴き声が聞き取れるように、動画編集時に音声を正規化して音量を強制的に上げています。 

Perplexity AIと相談したブレインストーミングの結果をまとめてもらいました。 

トレイルカメラによるクロツグミ観察と行動解釈のまとめ

1. 観察状況の概要

  • 場所・時期:山形県の山林内水場(湿地帯)、5月下旬、日没直前の薄暗い時間帯

  • 観察内容:トレイルカメラにクロツグミ2羽が記録される

    • 1羽(♀または若鳥)が水場で採餌中、急に振り返り「キーキー」と鳴く

    • 直後に別個体(♂)が飛来し、2羽で対峙・飛び上がりながら回る行動

    • その後「チュチュン、チュンチュン」と鳴き方が変化し、♂が飛び去る

    • 初めの個体もその場を離れ、周囲は静かになった


2. 行動の解釈

■ 鳴き声の意味

  • 「キーキー」や「チュチュン、チュンチュン」といった鳴き声は、クロツグミが警戒・威嚇・緊張時に発する典型的な声

  • 幼鳥の餌乞い鳴き(「ピィーピィー」など甘えた声)や、翼を震わせる行動は観察されず

■ 縄張り争いの可能性

  • 2羽が対峙し、飛び上がりながら回る行動は縄張り争いや資源防衛の一環と考えられる

  • 特に水場や湿地はミミズやオタマジャクシなど餌資源が豊富なため、親鳥♂が強く防衛する傾向がある

  • 先住者効果(先にいた個体が有利)はあるが、後から来た個体(特に縄張り主や強い♂)が優勢になる場合も多い

■ 親子関係の可能性

  • 巣立ち直後の若鳥♂であれば、依存期には親鳥♂が給餌・保護するが、自立期に入ると縄張りから追い払う行動に切り替える

  • 今回は給餌行動や餌乞い鳴きが見られず、親子給餌の場面とは考えにくい

■ つがい外の♀への対応

  • クロツグミ♂は通常、つがい外の♀には攻撃的になりにくいが、資源防衛や繁殖段階によっては排除することもある


3. トレイルカメラ観察の意義

  • 薄暗い時間帯や人の目が届かない場所でも、自然な行動を記録できる

  • 鳥の行動や鳴き声の違いから、縄張り争い・資源防衛・親子関係など複数の可能性を検証できる

  • 鳴き声や行動パターンを総合的に判断することで、現場の生態的な状況をより深く理解できる


4. まとめ

  • 今回の観察は、クロツグミの繁殖期における縄張り争い・資源防衛行動の一例である可能性が高い

  • 鳴き声や行動の詳細な記録が、個体間関係や生態行動の解釈に非常に役立つ

  • トレイルカメラは、貴重なフィールドデータ収集手段として今後も有効




2025/06/07

溜め糞場に来て大小便と眼下腺マーキングするニホンカモシカの♀と幼獣【トレイルカメラ:暗視映像】

 



2024年5月下旬

シーン0:5/21・午後12:49・晴れ・気温22℃(@0:00〜) 
明るい日中に撮れた現場の状況です。 
里山でスギと雑木の混交林に残されたニホンカモシカCapricornis crispus)の溜め糞場sr2を見張っています。 
基本的に画面の左から右へ向かって上り坂の斜面なのですが、溜め糞場sr2の付近はやや平坦な地形になっています。 
画面の左右および前後を通る獣道の交差点になっています。


シーン1:5/23・午後23:42・気温17℃(@0:04〜) 
獣道を左から来たカモシカが立ち止まって腰を深く落とし、長々と排尿を始めました。 
排尿姿勢から性別が♀と判明しました。 
♀の排尿姿勢をしっかり真横から撮れたのは、初めてかもしれません。 
(例外もあるらしいのですが、通常♂の排尿姿勢は、♀よりも浅く屈みます。) 
手前に生えた数本の細い灌木が邪魔で、尿道から出ている小便は残念ながら見えません。 
音量を上げても、小便の音は聞こえませんでした。 

カモシカ♀は右に数歩移動すると、方向転換してカメラに尻を向け、今度は排便を開始。 
排便姿勢は排尿姿勢ほど腰を深く落としませんでした。 
肛門から糞粒を連続して排泄しています。 
下痢便ではないのですが、水分も一緒に排泄しています。 

手前に生えた雑草(稚樹?)が邪魔で、下草を刈りたくなります。 
録画時間を2分に延長してもまだ短かく、途中で打ち切られてしまいました。 


シーン2:5/23・午後23:44(@1:04〜) 
監視カメラが次に起動したときには、溜め糞場sr2の奥に自生するエゾユズリハの群落で枝葉に顔を擦り付けていました。 
眼下腺の分泌液で匂い付けして縄張りを宣言しているのです。 
手前に張られたクモの糸が光って目障りですね。 

様々な行動レパートリーを一気に見せてくれたニホンカモシカ♀は、緩斜面を登りながら右へゆっくり歩き去りました。 


シーン3:5/27・午前1:41・気温14℃(@2:36〜) 
4日後の深夜に監視カメラが起動しました。 
直前のシーンと見比べると分かるのですが、画面中央の林床に黒々とした新しい溜め糞が増えていました。
どうやら、昼間にカモシカが排便に来たようです。 
残念ながら撮り損ねてしまいました。 
この時期は昼間に風が強く吹くために、トレイルカメラの誤作動が頻発します。 
無駄撮りを減らすために、夜間のみの監視にタイマー設定していたのが仇となりました。 

画面の下(手前)から獣道を通ってカモシカが登場しました。 
角が未発達なことから、幼獣のようです。 
立ち止まって林床に残された新鮮な溜め糞の匂いを嗅ぎました。 
そのままカメラに尻を向けたまま、排泄を開始。 
初めは肛門から水分を排出し、続いて糞粒を排泄しました。 

カモシカ幼獣は、そのまま奥へと立ち去りました。 
小便してくれないと、私には性別を見分けられません。 

シーン3では、真夜中なのにホトトギス♂(Cuculus poliocephalus)が鳴いていました。 
※ 鳴き声が聞き取れるように、動画編集時に音声を正規化して音量を強制的に上げています。 

ホトトギス♂が繁殖期の山林で囀りさえずりを昼も夜も鳴き続けるのは、別に珍しいことではないのだそうです。 
縄張りを宣言し、ホトトギス♀にアピールしているのです。


【考察】
今回の動画で別々に登場したカモシカ♀と幼獣はおそらく親子でしょう。
母子で同じ溜め糞場sr2を共有しているという証拠映像が撮れました。


つづく→

2025/06/04

タヌキの新鮮な溜め糞から吸汁して飛び去る夜蛾【トレイルカメラ:暗視映像】

 



2024年5月下旬〜6月上旬

シーン0:5/24・午後12:03・くもり(@0:00〜) 
明るい昼間にたまたまフルカラーで撮れた現場の状況です。 
里山の林道でホンドタヌキ♀♂が残した溜め糞場ltrを自動撮影カメラで監視中です。 
スギの落葉が敷き詰められた林道を挟んで、画面の手前(カメラの背後)がスギの植林地、画面の奥が雑木林になっています。 
基本的に画面の右から左に向かって登る山道なのですが、溜め糞場ltrのある区間は、ほぼ平坦な地形になっています。 

ホンドタヌキ♀♂(Nyctereutes viverrinus)の登場シーンをまとめました。 


シーン1:5/26・午前7:52・晴れ(@0:04〜) 
朝から白毛のタヌキが溜め糞場ltrに来ていて、左向きで脱糞していました。 
便秘気味なのか、硬目の立派な固形糞を排泄しました。 
後半は健康そうな糞に変わりました。 

白毛タヌキ♀は振り返って自分の糞の匂いを嗅いでから、身震いし、そのまま画面の右下へ立ち去りました。 
おそらくスギ林に入って行ったようです。 


シーン2:5/27・午前8:01・くもり(@0:51〜) 
翌朝には珍しく♀♂ペアで登場しました。 
まず先行個体の♂が左奥を向いて脱糞中でした。 
後ろ姿の肛門がよく見え、大便の健康状態は良好そうです。 
尻尾が細く見えるのは、夏毛に換毛中だからでしょうか。 

やがて右から後続個体の白毛♀がやって来て合流しました。 
このペアは体格差があり、大柄な白毛の個体が♀だと推測しています。 
後続の白毛♀は溜め糞場ltrの匂いを嗅いでから、奥を向いて排便開始。 
やや軟便でした。 
林道の右を向いて気にしています。 

その間に先行個体♂が右下へ立ち去りました。 


シーン3:5/27・午後19:19・(@1:51〜) 
その日の晩に、タヌキが右向きで脱糞していました。 
消化の悪い物や腐りかけの物でも食べたのか、液状の下痢便を排泄しています。 
振り返って自分の糞の匂いを嗅ぐと、林道脇のミズナラ灌木の下に佇んで林道の左を凝視しています。 


シーン4:5/27・午後19:21・(@2:51〜)
これが今回一押しの興味深い動画です。 
排便直後の新鮮なタヌキの溜め糞に小さな昆虫が動いていました。 
やがて左にヒラヒラと飛び去ったのは、夜行性の蛾(種名不詳)でした。 
翅の鱗粉や複眼が暗視カメラの赤外線を反射していたようです。 
糞便臭に誘引された夜蛾が口吻を伸ばして下痢便からナトリウムやアンモニアなどのミネラル成分を摂取していたのでしょう。 

夜蛾がタヌキの溜め糞場ltrから飛び去るシーンを1.5倍に拡大した上でリプレイ(@3:12〜)。 


シーン5:5/31・午後19:48(@3:33〜) 
4日後の晩にタヌキが左向きで脱糞中でした。 
排便中にキューン♪と甲高く寂しげに鳴きました。(@3:44〜) 
黒い糞の健康状態は良好なので、便秘による苦悶の声とは思えません。 
パートナーを呼ぶ鳴き声なのでしょうか。 
我々はどうしてもタヌキの鳴き声を「寂しげ」などと勝手に感情移入したり擬人化してしまいがちです。 
用を足したタヌキは、林道を右へ立ち去りながら、もう一度クゥーン♪と鳴きました。 


シーン6:6/2・午後16:02(@4:00〜) 
2日後の雨が激しく降る午後に、白毛のタヌキ♀が左向きで脱糞していました。 
白い毛皮が雨で濡れています。 
糞の健康状態は良好そうです。 
振り返って自分の新鮮な糞の匂いを嗅ぐと、手前のスギ林へと立ち去りました。


つづく→

2025/05/27

切株に乗って母衣打ち♪するキジ♂(野鳥)

 

2024年5月上旬・午後15:50頃・晴れ 

郊外の農地に隣接する林の一部が伐採されていて、その切り株のひとつにキジ♂(Phasianus versicolor)が乗っていました。 
見晴らしの良いお立ち台に佇み、周囲を眼光鋭く見回しています。 

しばらくすると姿勢を正し(背伸び)、大声でケンケーン♪と鳴きながら激しく羽ばたきました。 
その風圧で手前の下草が激しく揺れています。 
母衣打ちで縄張り宣言した直後は、キジ♂の羽毛が全体的に逆立っていて、全身が大きく見えます。 
身震いすると鳥肌が収まり、全身の見た目が萎みました。 
再び周囲をキョロキョロと見回したものの、羽繕いをしませんでした。 

母衣打ちを1/5倍速のスローモーションでリプレイ。(@2:28〜) 
ドラミングの羽ばたき回数は、初めのケン♪に合わせて3回、次のケーン♪で10回でした。 
この羽ばたき回数に個体差があるようなので、地道に動画の記録を撮りためています。 

その後もキジ♂は数分おきに鳴いていました。 
次はハイスピード動画に切り替えて母衣打ちを撮ろうとしました。 
三脚を持ってこなかった代わりに、近くのブロック塀の上にカメラを載せて長撮りしようと試みたのですが、画角の調節に手間取り、結局撮り損ねてしまいました。 
私が悪戦苦闘していたら、農作業を終えた軽自動車が奥から通りかかり、キジ♂は切株から降りて奥の灌木林へ逃げ込んでしまいました。

2025/05/18

林道でホンドタヌキの溜め糞場を素通りするニホンザルの群れ【トレイルカメラ】

 

2024年5月中旬 

シーン0:5/14・午後12:29・晴れ(@0:00〜) 
明るい日中にたまたまフルカラーで撮れた現場の状況です。 
ホンドタヌキ♀♂(Nyctereutes viverrinus)の溜め糞場がある里山の林道を自動撮影カメラで見張っています。 


シーン1:5/16・午後17:30・(@0:03〜)日の入り時刻は午後18:46
風が強い夕方にニホンザルMacaca fuscata fuscata)の群れが林道を通過しました。 
この地点でニホンザルは初見です。 
監視カメラの画角が狭いので、遊動する群れの中の2頭しか写っていませんでした。 
(撮り損ねたものの、監視カメラのセンサーを反応させた先頭個体が居たはずです。)

1頭は手前のスギ植林地から林道に出てきて右へ走り去りました。 

最後の個体は林道をノシノシ歩いて左から右へ横切りました。 
途中でカメラの方を振り返って、鳴き声を発しました。 
リップシンクロが一致しないので、別個体の鳴き声かもしれません。
この鳴き声を文字で表す「聞きなし」が私にはできないのですが、短いながらも音程が変化し、典型的なクーコール(コンタクトコール)ではありませんでした。

 2頭ともタヌキの溜め糞場ltrの横を素通りし、興味を示しませんでした。 


※ 動画編集時に自動色調補正を施しています。


2025/05/13

ハシボソガラスに威嚇されて茂みに逃げ込むキジ♀♂のハレム(野鳥)

 

2024年5月上旬・午後13:55頃・晴れ 

農村部の休耕地でキジPhasianus versicolor)の♀♂ペア(1羽ずつ)を見つけて採食シーンを撮り始めたら、私を警戒したのか、歩いてどんどん遠ざかってしまいます。 
現場は緩やかな斜面で、画面の手前から奥に向かって登り坂になっています。 
つまり、キジ♀♂は山の方へ向かってどんどん逃げています。 
初めは色鮮やかな♂が先導して地味な♀がその後ろからついて歩いていたのですが、やがて横に並んで(互いに少し離れて) 歩くようになりました。 

キジ♂に注目して撮影していると、斜面の段差をピョンと左上に登った直後に、素早く身を翻して右に飛び立ちました。 
まるで三角跳びのような動きで、敵にフェイントをかけたように見えました。 
何かに驚いて逃げたようですが、このときキジ♂は飛びながら警戒声を発することはありませんでした。 
(風切り音がうるさくて聞き取れなかっただけ?) 
カメラを少しズームアウトすると、茶色の地味なキジ♀が奥にある林縁の茂みに飛び込む様子がちらっと写っていました。 
このときまで私は気づかなかったのですが、キジは♀♂1羽ずつのペアではなく、近くに別個体の♀が少なくとももう1羽いたようです。
繁殖期に特有のハーレム(一夫多妻の群れ)を形成していたことになります。 
このとき私は車道に立ち止まって静かに撮影していただけなので、キジ♀♂の群れをこれほど怖がらせるような動きをした覚えはありません。 

キジたちはおそらく、上空に飛来したハシボソガラスCorvus corone)の群れから避難したようです。 
キジに対してモビング(擬攻撃)するカラスを初めて見ました。 
猛禽と違ってキジを敵視する意味が私にはさっぱり分からないのですが、カラスの親鳥は繁殖期で気が立っているのでしょう。 
カラスの巣が近くにあるはずですが、見つけられませんでした。 
カラスは繰り返し舞い戻ってきて、キジが隠れた茂みの上空で威嚇しています。 
私はキジの姿を見失ってしまいましたが、ケッケッケッ♪と鋭く警戒声(distress call?)を発していました。
しかし、風切り音がうるさくて動画では聞き取れません。 

飛び回るカラスを撮った映像を見返すと、強風に煽られながらウィンドサーフィンの遊びを楽しんでいるようにも見えます。 
♀♂ペアと思われるハシボソガラスが嗄れ声で鳴きながら、飛び回っていました。 
1羽が奥の樹上に止まりました。 
1/5倍速のスローモーションでリプレイ。 

重くて飛ぶのが苦手なキジは、カラスのように強風下でホバリングするなど器用な芸当は到底無理です。 
キジは基本的に地上性で、緊急避難時にしか飛びません。
しかも、ほぼ直線的にしか飛べません。 
ねぐら入りするときに地上から樹上に飛び上がるらしいのですが、そのシーンをまだ撮影できていません。 
キジは肉食性でもありませんから、高い樹上に作られたカラスの巣をキジが襲って卵や雛を捕食するなどという心配は全く無用です。
カラスにとって鈍臭いキジは縄張りから排除すべき脅威とは思えないのですが、遊び半分でからかっているのかな? 

一方、キジの♂がハレムの♀をカラスから守るような行動も見られませんでした。
(カラスと飛翔能力に差がありすぎて、キジ♂としても♀を守りようがない気がします。)
色彩的に目立つキジ♂がわざと敵の目を引いて明後日の方向に飛び去った直後に、地味な♀が最寄りの茂みに飛び込んで隠れたのだとしたら、ちょっと面白いです。

もしかすると、私が気づかなかっただけで、第三の登場動物(イエネコやキツネ、イタチなど)がうろついていたのかもしれません。
野生動物(危険な捕食者)の接近に気づいたキジの群れが慌てて逃げ、カラスの群れも上空から騒ぎ立てたのかもしれません。
オッカムの剃刀の原則に従えば、都合の良い仮定を勝手に増やして仮説を複雑にすべきではないのですが、結構しっくり来る仮説かもしれません。



※ カメラのズームの調子が悪くて何度も再起動を強いられ、断片的な動画の記録になってしまいました。 
せっかく面白いシーンだったのに、フラストレーションが溜まります。

2025/05/09

ノスリにモビングの空中戦を挑むカラス(野鳥)

 

2024年5月上旬・午後16:05頃・晴れ 

郊外の住宅地の上空で、夕方にノスリButeo japonicus)とカラスが空中戦を繰り広げていました。 
ハシボソガラスだと思うのですが、遠くてしっかり見分けられません。 
おそらく近くにカラスの巣があり、そこに近づいた猛禽を親ガラスが追い払っているのでしょう。(モビング行動、擬攻撃) 
巣内の卵や雛鳥を守るために、春のカラスは特に縄張り意識や攻撃性が高まります。 

必死に追いかけて空中戦を挑むカラスの嗄れ声がかすかに聞こえますが、ひたすら逃げ惑いカラスの攻撃を交わすだけのノスリは鳴きませんでした。 

カラスの縄張りからノスリを無事に追い払えたようで、カラスは深追いせずに離脱しました。 
一方、ノスリは青空で帆翔を再開。

2025/05/03

タヌキの溜め糞場がある山道で餌を探すニホンイノシシの母子(母親♀と秋生まれの幼獣5頭)【トレイルカメラ:暗視映像】

 

2024年5月上旬

シーン0:5/6・午後12:10・くもり(@0:00〜) 
明るい昼間にたまたま撮れた現場の様子です。 
スギの落ち葉が敷き詰められた山道の中央に、ホンドタヌキNyctereutes viverrinus)の溜め糞場ltrがあります。 
カメラの背後(画面の手前)がスギの植林地で、山道を挟んで反対側(画面の奥)は雑木林になっています。 
現場の区間は平坦ですが、基本的に画面の右から左に向かって坂を登る山道になっています。 


シーン1:5/6・午後18:57(@0:03〜) 日の入り時刻は午後18:40 
日没直後に林道を右からニホンイノシシSus scrofa leucomystax)の家族群がやって来ました。 
5月にイノシシを見たのは初めてです。 
計5頭の幼獣は縦縞模様のあるウリ坊ではなく、もう少し大きく育っています。 
おそらく秋に産まれたのでしょう。 (※考察)
今季(2024年)は異常な暖冬だったので積雪も少なく、無事に越冬できたようです。 (※考察)
鼻面が真っ黒な個体は、地面を掘り返して採食していたのでしょう。 
タヌキ溜め糞の匂いを嗅いでも、食糞したりしませんでした。 

少し遅れて、一際大きな成獣が登場しました。 
母親♀だと思うのですが、腹面に乳首が見えません。 
(斜めに見下ろすアングルだから見えないのか、それとも離乳後は乳首や乳房が目立たなくなるのかな?) 
林道を左から戻ってきた♀成獣が、タヌキの溜め糞の匂いを嗅いだものの、特に何もアクションを起こしませんでした。 

家族群の間で、ときどき低音でブーブー♪鳴き交わす声が聞こえます。 
1頭の幼獣が立ち止まり、痒い横顔(右目の辺り)を右後脚の蹄で器用に掻きました。(@1:00〜) 


シーン2:5/6・午後18:58(@1:04〜) 
次に監視カメラが起動したときには、右へ立ち去る幼獣2頭の後ろ姿が写っているだけでした。 
続けて左から別個体の幼獣が登場しました。 





※ 鳴き声が聞き取れるように、動画編集時に音声を正規化して音量を強制的に上げています。 


【考察】 
今回撮れたニホンイノシシ家族群の構成を読み解くと、ちょっと興味深い(珍しい)事例であることが分かりました。

まず基本情報として、ニホンイノシシの年間繁殖スケジュールを表にまとめました。(Perplexity AIに依頼)

時期 主な出来事
12月~3月 発情・交尾
4月~6月 出産ピーク
4月~8月 授乳・育児(生後6~8週まで)
7月~9月 離乳(生後100日頃)
8月~10月 ウリボウの縞消失(生後4か月頃)
翌年春以降 オス幼獣が群れを離れる


次に、5頭という幼獣の数は、ニホンイノシシの1回の出産頭数として「平均的な範囲内」です。

各地の調査や研究によると、1回の出産頭数の平均は4~5頭前後であり、最も多いのは4頭、範囲としては1~7頭(まれに8頭以上)です。

5頭は「平均よりやや多め」ですが、ごく一般的な範囲内で、特に珍しい多産例ではありません。

したがって、5頭はニホンイノシシの出産数として標準的な範囲内であり、特別多いわけでも少ないわけでもありません。


5月上旬に山形県で観察された「縦縞模様が消失した5頭の幼獣」と「乳房や乳首が目立たない母親」という状況から、これらの幼獣が春生まれか秋生まれかをPerplexity AIに推理してもらいました。


背中の縞模様の消失時期
ニホンイノシシの幼獣(ウリボウ)の縦縞模様は生後約3か月で消失しはじめ、4か月齢でほぼ完全に消えるとされています。

出産時期の一般傾向
ニホンイノシシの**出産ピークは春(4月~6月)です。

春の出産に失敗した場合のみ、秋にも出産することがありますが、これは例外的です。

5月上旬に縞消失=生後3~4か月?
5月上旬時点で縞模様が消失している場合、逆算すると出産は1月~2月頃となります。

しかし、ニホンイノシシの自然状態での出産は1月~2月にはほとんど起こらず、通常は4月以降です。

秋生まれの可能性
秋(9~11月)に出産した場合、5月上旬で生後6~8か月となり、縞模様はとっくに消失しています。

ただし、秋出産は「春の出産に失敗したメス」に限られ、頻度は低いです。


乳房・乳首が目立たない=授乳終了
母親の乳房や乳首が目立たないという観察は、すでに授乳期が終わっていることを示唆します。

授乳期間は生後6~8週間(約1.5~2か月)で、離乳は生後3か月ごろ。

結論
5月上旬に縞模様が消失している幼獣は、春(4~5月)の出産直後の個体ではなく、前年秋(おそらく10~11月)に生まれた可能性が高いです。

もし春生まれ(4月出産)であれば、5月上旬はまだ生後1か月程度で縞模様が残っているはずです。

また、母親の乳房や乳首が目立たないことも、離乳後かなり時間が経過している(生後4か月以上)ことを裏付けます。

したがって、観察された幼獣は前年秋に生まれた個体である可能性が高いと推理できます。

ただし、秋出産は春の出産に失敗した場合などに限られます。
ちなみにこれは、♀が♂と交尾できなかった(受精しなかった)という意味ではなく、妊娠中の流産や、出産後に子どもが死亡・消失した場合などを指します。
このような場合、母親は授乳・育児を続ける必要がなくなるため、再び発情が起こり、秋に再度交尾・妊娠・出産することが可能になります。

逆に、単にオスと交尾できなかった(発情期に交尾が成立しなかった)だけの場合は、次の通常の発情・出産サイクルを待つことになります。


ニホンイノシシは本来、積雪の多い地域では越冬が難しく、積雪深30cm以上の日が一冬に70日を超えるような多雪地帯では生息できないとされています。しかし、近年の暖冬傾向により、これまで生息が難しかった多雪地やその周辺でもイノシシの越冬例が増えています。

2024年のような記録的な暖冬で積雪が少なかった年は、イノシシにとって餌の確保や移動が容易になり、生存率が高まることが指摘されています。実際、例年なら積雪で活動できないような場所でもイノシシが元気に活動し、冬を越せている様子が観察されています。

したがって、山形県の多雪地帯で秋に生まれた幼獣5頭が無事に越冬できたのは、2024年の暖冬による積雪の少なさが大きく影響した可能性が高いといえます。暖冬はイノシシの生息域や繁殖成功率を押し広げる要因となっており、今後もこの傾向が続けば、さらなる個体数の増加や分布拡大が懸念されます。


逆に、平年並みの積雪があった場合、秋に生まれたイノシシの幼獣が山形県の多雪地帯で越冬するのは非常に困難で、死亡率が高くなると考えられます。

理由は以下の通りです。

イノシシが春に出産する主な理由は、温暖な季節に子どもが成長し、冬までに十分な脂肪を蓄えられるからです。春~夏は食物が豊富で、幼獣は成長しやすい環境にあります。

秋に生まれた幼獣は、成長期間が短く、冬までに十分な脂肪や体力を蓄えることが難しいため、積雪期に餌が乏しくなると餓死しやすくなります。

多雪地帯では、積雪が深いと地面を掘って餌を探すことが困難になり、特に体力のない幼獣は生き残るのが難しくなります。

イノシシは積雪の少ない場所へ移動することで越冬することもありますが、幼獣が長距離を移動するのは難しく、厳冬期の生存率は成獣よりさらに低いと考えられます。

このため、平年並みの積雪があれば、秋生まれの幼獣は十分に成長・蓄脂できず、多雪地帯での越冬は難しく、死亡率が高くなると推測できます。


「5頭の幼獣が5月まで生き残っていた」という観察結果は、秋に産まれた幼獣のほとんどが越冬に成功したと考えてよいです。

ニホンイノシシは1回の出産で平均4~5頭の幼獣を産みますが、野生下では幼獣期の死亡率が非常に高く、すべてが生き残ることはまれです。特に多雪地帯や厳冬期では、秋生まれの幼獣は十分な脂肪を蓄えられず、餓死や低体温症などで多くが死亡する傾向があります。

しかし、今回のように5頭すべてが5月まで生存しているということは、

出産頭数が5頭であった場合、全頭が生き残った可能性が高い

もし6頭以上産まれていた場合でも、大半が生き残ったといえる

このような高い生存率は、2024年の記録的暖冬による積雪の少なさが大きく寄与した可能性が高いです。

まとめると、「5頭の幼獣が5月まで生き残った」という事実は、秋生まれの幼獣のほとんどが無事に越冬できたと判断して差し支えありません。


今回の調べ物でPerplexityが大活躍しましたが、その推論能力に舌を巻きました。
(一発で回答した訳ではなく、細かな問答を何度も繰り返した結果です。)
私がイノシシにあまり詳しくないこともあり、論理の破綻や誤情報(ハルシネーション)などは見い出せませんでした。

もしこのまま温暖化や暖冬少雪が続けば、一度は絶滅していた当地のイノシシの個体数はかなり増えることが予想されます。 
イノシシを捕食して個体数を調節してくれるニホンオオカミという強力な天敵がいない現代では、山形県も今後はイノシシによる獣害に悩まされ、農地や山林が荒廃する可能性が高いです。 


厳冬期に落葉樹に集まって鳴き交わす「ふくら雀」の群れ(冬の野鳥)スズメ

 

2024年2月中旬・午前11:25・晴れ 

住宅地の民家の裏庭で、スズメPasser montanus)の群れが落葉低木に集まっていました。 
チュンチュン♪賑やかに鳴き交わしていますが、車道の騒音であまり聞き取れません。 
動画で数えると、計23羽ぐらいのスズメが集まっていました。 
冬のスズメが太って見えるのは、ふわふわの羽毛を精一杯膨らませて断熱性能を高め、防寒するためです。 

さて、この止まり木の樹種は何でしょう? 
落葉した灌木に棘があったので、当地に多いヒメウコギの生け垣ですかね? 
生垣にしては樹形が変ですけど、手入れ(剪定)がされていないようです。 

今季は異常な暖冬で、厳冬期なのに車道にはまったく雪が積もっていません。 
この家の家庭菜園は、まだ少し雪に覆われています。 


※ 鳴き声が聞き取れるように、動画編集時に音声を正規化して音量を強制的に上げています。 


関連記事:ネットニュース ▶ 「スズメの群れ越冬 近年は規模も小さく、和歌山」 by 紀伊民報AGARA

2025/04/26

春の草地で羽繕いしてから縄張り宣言の母衣打ち♪するキジ♂(野鳥)

 

2024年4月下旬・午後15:35頃・くもり 

郊外の農地の端で、ススキの枯れた群落から緑の若葉が伸び始めました。 
その草地で佇んでいたキジ♂(Phasianus versicolor)が、しばらくすると羽繕いを開始。 
まず、左肩の羽毛を嘴で整えます。 
このとき、翼の羽毛だけ少し逆立てていました。 
次は右側を羽繕い。 
頭部が痒くなったようで、右足と左足を順に使って掻きました。 
再び羽繕いに戻ります。 
尾羽を上に立てて、尾脂腺から分泌される油分を羽毛に塗り拡げています。 
全身の羽毛を逆立てて身震いしたら、羽毛が寝ました。 

身なりを整えてから首を上に伸ばし、ケンケーン♪と大声で絶叫しました。 
この個体は約3.5分間隔で鳴いて、縄張りを主張していました。 

母衣ほろ打ちを1/5倍速のスローモーションでリプレイ。(@3:07〜) 
左足を一歩前に踏み出し、ケンケーン♪と2回鳴きながらその場で4+11回も素早く羽ばたいていました。 
この羽ばたき回数は個体差なのか、そのときの体調や気分次第なのか、気になります。 

次はハイスピード動画に切り替えて母衣打ちを撮ろうとしたら、逃げられてしまいました。 


※ やや遠い鳴き声がしっかり聞き取れるように、動画編集時に音声を正規化して音量を強制的に上げています。


2025/04/23

早春の二次林に響き渡るキツツキのドラミング♪(野鳥)

 

2024年4月上旬・午後13:25頃・晴れ 

平地の二次林で、啄木鳥が繰り返しドラミングをしていました。 
囀りさえずりの代わりに嘴で木の幹を素早く叩いて音を立てる縄張り宣言です。 
キツツキは♂だけでなく♀も低頻度ながらもドラミングをすることがあるそうです。
どこにいるのか姿を見つけられませんでしたが、動画で録音してみました。 
コゲラ、アオゲラ、アカゲラのうち、どの種類のキツツキが発しているのでしょう? 
現場付近の二次林およびスギ植林地に設置したトレイルカメラでは3種類とも撮影されています。
ドラミングの「長さ」「回数」「間隔」などに種ごとの違いがあるそうです。 
声紋解析してみたら面白そうですが、今回はカラスも鳴いていますし、春風の風切り音もノイズとして混じっています。 

【参考サイト】似た声の鳥聴き比べ - キツツキ類のドラミング  by バードリサーチ 
同種内でもドラミングに個体差の幅があったり、同一個体でも状況による違いがあるような気がするのですけど、種による違いと単純に言い切って良いのでしょうか? 
それこそ性差もあるのでは?
AIがドラミングを聞き分けてキツツキの種類を自動判定してくれるアプリがあれば便利ですね。(もう既にありそう)


※ ドラミングが聞き取れるように、動画編集時に音声を正規化して音量を強制的に上げています。

2025/04/18

山中の沢で春に鳴くタゴガエル♂♪

 

2024年4月下旬・午後12:15頃・晴れ 

里山の斜面をトラバースする林道を歩いていたら、沢の水が流れる「洗い越し」の地点で謎の鳴き声がかすかに聞こえました。 

洗い越し(あらいごし)とは、道の上を川が流れるようにしてあるものをいう。(中略)森からの沢水を山側から谷側に流すために道を横切るように作られた排水溝の機能を持たせた構造で、道の流水による侵食や崩壊を防ぐ目的がある。 (wikipediaより引用)

聞き耳を立てた私が鳴き声のする方向を探しながら歩き回ってガサガサと物音を立てたのに、カエルは鳴き止みませんでした。 
動画の音量を上げて耳を澄まさないと、かすかな鳴き声は聞き取れません。 
ときどき春風の風切り音が混ざりますし、ウグイス♂の囀りさえずりや谷渡りも聞こえます。 

カエルの姿が見えなかったのですけど、周囲の状況や鳴き方から判断して、タゴガエル♂(Rana tagoiが♀を呼ぶ求愛歌(縄張り宣言)ですかね? 

幻のカエル: がけに卵をうむタゴガエル』という本では、タゴガエルの鳴き声は「グォ!、グゥォ!、グゥ!、グォッ!、グッグォッ!、ググッ!」などのように書き表してありました。

私はカエルに疎いので、この機会にナガレタゴガエルの可能性についても検討してみました。 
山形県にナガレタゴガエルRana sakuraii)が生息しているかどうか微妙で、住んでいたとしても分布域の北限に近いらしい。 
また、ナガレタゴガエル♂の鳴く時期はもう少し早く、4月下旬には鳴き止んでいるはずとのこと。 
しかも2024年は異常な暖冬の後で、春の訪れが例年よりもかなり早かったです。

この地点は、山腹から沢の水がチョロチョロと年中流れています。 
沢の水は林道を横切って(洗い越し)から、灌木に覆われた急斜面(崖)を下って行きます。 
その崖を流れ下る沢のどこかにタゴガエル♂が潜んでいて、ひっそりと鳴いているようです。 
タゴガエルの生態にも興味があるのですが、本格的に探すとなると、沢登りの装備が必要かもしれません。 


【アフィリエイト】 

2025/04/14

さえずりの序奏は早く鳴く♪ツツドリ♂(野鳥)

 

2024年4月下旬・午後12:30頃・晴れ 

山林のあちこちでツツドリ♂(Cuculus saturatus)の物憂げな囀りさえずりがポポ、ポポ、ポポ…♪と響き渡っていました。 
私にとって、今季初鳴きです。 
新緑の樹上で鳴いているようですが、姿は見えませんでした。 
撮影地点は細い沢が流れる谷の近くで、ユキツバキの赤い花が咲いています。 
ウグイス♂♪など他の鳥もにぎやかに鳴いています。 

ツツドリ♂が縄張りを宣言する鳴き声(さえずり)のサビは、「ポポ、ポポ、ポポ…♪」と2声ずつ単調に繰り返すだけです。
鳴き始め(序奏、イントロ)に「ポポポポ…♪」と早く鳴くのは初めて聞くかもしれません。 
このイントロをどうしても録音したかった私は、あまり動き回らずにかなり粘って動画を撮り続けました。
(動画編集で素材の順番を入れ替えています。)

さえずりの序奏は早く鳴くのが全国的にツツドリ♂一般に言えることなのか、それとも今回の♂個体に特有の鳴き方なのか、地域差があるのか、地道にあちこちで何年も録音を積み重ねてみないと分かりません。 
例えば、隣接する縄張りで2羽のツツドリ♂が鳴き交わしているときや♀が近くにいるときに、歌い方が微妙に変わってきても不思議ではありません。


※ 鳴き声が聞き取れるように、動画編集時に音声を正規化して音量を強制的に上げています。 



2025/04/12

砂防堰堤で羽毛を整え頭を掻いてから飛び去るキセキレイ♂(野鳥)

 

2024年4月下旬・午後14:05頃・くもり 

里山の山麓で、沢の水をせきとめる砂防ダムが最近新たに建造されました。 
下山してきた私がその新しい砂防ダムに近づくと、水辺から岸に1羽のキセキレイ♂(Motacilla cinerea)が飛び上がりました。 
喉が黒いので、夏羽の♂と分かります。 
それまで飲水・水浴していたのか、ただ探餌を探していたのか、それとも砂防堰堤の穴で営巣しているのかな? 

砂利の上で尾羽を上下に動かしながら胸の羽毛を嘴で整え、痒い頭を左足で掻きました。 
チチン♪と鳴きながら飛び去りました。 
羽繕い後に飛び立つ瞬間を1/5倍速のスローモーションでリプレイ。 

※ 鳴き声が聞き取れるように、動画編集時に音声を正規化して音量を強制的に上げています。

2025/04/11

カルガモの♀♂つがい外強制交尾と配偶者ガード(野鳥)

 

2024年4月下旬・午後16:20頃・くもり 

平地の溜池の方から、激しい水音が聞こえました。 
水鳥が夕方に水浴しているのかと思ってそっと近づいてみると、3羽のカルガモAnas zonorhyncha)が水面で激しい喧嘩を繰り広げていました。 
普段カルガモは警戒心が強いのですが、今回は痴話喧嘩に夢中で、池畔で観察する私のことなど眼中にありませんでした。 

外見によるカルガモの性別判定は難しくて、私はまだスローモーションにしないと自信がないのですが、どうやら1羽の♀を巡って2羽の♂が交尾しようと争っているようです。 
【参考サイト】

正確には、♀♂ペアの間にあぶれ♂が割り込んで、強引に♀と婚外強制交尾を試みているようです。 
つがい外交尾:extra-pair copulation
強制交尾:forced copulation
つまり、♀aと強引に交尾しようとする♂bと、それを阻止しようとする(配偶者ガード)♂aとが激しく争っているのです。 
♀♂異性間の交尾行動の後半部分と、♂♂同性間の闘争行動とが似ていて紛らわしいです。 
ただし、カルガモの♀♂ペアが両性同意のもとで交尾する前には、必ず儀式的な行動をします。 
今回のあぶれ♂は、そのような求愛ディスプレイをまったくしないで、いきなり♀に背後からマウントしていました。 
関連記事(5、6年前の撮影)▶  
八木力『冬鳥の行動記:Ethology of Wild Ducks』でカモ類の交尾行動を調べると、 交尾には♀との合意が必要なので、♂が♀に近づきながら頭部を上下させるヘッドトッシングを行なって交尾を促し、これに♀が同調して頭部を上下させれば同意の合図。  ♀は交尾受け入れの姿勢をとります。♂は♀の後頭部をくわえてマウンティング。  交尾終了後、♀は必ず(儀式的水浴びと)転移性羽ばたきを行ない、♂はまれに行なうことがあります。 (p58より引用)


カルガモ♂aは配偶者♀aを守りたくても、ライバルの独身♂bを撃退するのに苦労しています。 
カルガモの嘴の先端は丸く、敵をつついて攻撃することはありません。 
足にも鋭い爪が無くて水かきしかないので、有効な武器をもっていないのです。
羽ばたく翼で相手を打ち付けたり、(異性間交尾のように)背後からマウントして相手の後頭部を嘴で咥えて押さえつけて、強制交尾を妨害するぐらいしか対抗策がありません。 
そのため、ひたすら体力勝負の消耗戦が続きます。

♀aに♂bが背後からマウントし、その上から更に♂aがのしかかるので、一番下に押さえつけられた♀aは重みで水没しています。 
♀aが何度も溺れそうになっているので、擬人化するとどうしても可哀想に感じてしまいます。 
しかしカルガモには表情がありませんから、♀aが本当に嫌がっているかどうか、定かではありません。 
(♀は意外とケロッとしているように見えなくもありません。)
酷い目にあっているのなら、♂同士が喧嘩している間に♀は池からさっさと飛び去って遠くへ逃げればいいのに、池に留まっているのが不思議でなりません。 
交尾相手の♀を巡る争いなら♂同士でとことん喧嘩するはずだと思うのですが、あぶれ♂は執拗に♀だけを狙って挑みかかります。
我々ヒトの価値観・倫理観では卑怯な振る舞いですけど、進化的に遠く離れたカルガモに無理に適応して憤慨しても仕方がありません。 
もし♀が辟易して逃げ出せば、パートナー♂もついて行かざるを得なくなり、縄張りを失いかねません。
「カルガモ♀は♂同士を密かにけしかけて喧嘩で決着を付けてもらい、より強い♂と交尾したいのではないか?」と穿った見方をしたくなります。 
あるいは、♀はパートナー♂の近くに留まった方が、あぶれ♂の執拗なハラスメントから守ってもらえる確率が高いのでしょうか。

この池にはカルガモの群れがもっと居るのですが、この騒ぎに乱入する個体はおらず、関係のない個体は飛んで逃げ出しました。 
初めは2組の♀♂ペアが池で縄張り争いをしているのかと思い、ライバル♂bのパートナー♀bが途中で助太刀に来るかと期待したのですが、そのような展開(4羽での喧嘩)にはなりませんでした。
喧嘩に巻き込まれそうになった周囲のカルガモ個体が慌てて逃げていくだけです。 

ようやく、♀aに付きまとうあぶれ♂bをパートナー♂aが背後から完全に組み伏せて♀を離させ、追い払いました。 
♂同士の喧嘩に決着が付いたように見えました。
しかし、「あぶれ♂b」は隙を見て再び♀aに突進すると、しつこく強制交尾を試みようとします。 

ようやくあぶれ♂bを追い払って配偶者ガードに成功したパートナー♂aは、水面で小刻みに方向を変えながら♀aの周囲を警戒し、勝利の凱歌を上げています。
短く連続的な「ガッガッガッ♪」という鳴き声は、縄張り宣言の示威行動なのだそうです。 
このとき鳴くのはいつも♂aだけで、♀aは黙っています。 
難を逃れた♀aは、♂aの斜め後ろをぴったり寄り添うように追随し、嘴を水面につけながら遊泳しています(緊張緩和の転移行動)。 
やがて♀aは水浴してから水面で伸び上がって羽ばたき(水切り行動)、自分で羽繕いを始めました。 
それに釣られるように、♂aも隣で同じく水浴と羽繕いを始めました。(♀a♂aペアの絆強化) 

♀a♂aペアが仲良く横に並んで水面を泳ぎ去りました。 
これで一見落着かと思いきや、♀a♂aペアの背後からしつこい「あぶれ♂b」が急いで追いかけてきました。(@4:10〜) 
敵の接近に気づくと一触即発で、3羽がほぼ同時に水面から慌てて飛び上がりました。 (@26:20〜)
すぐに着水すると、三つ巴の大騒動が再び勃発します。 
襲われた♀aは、緊急避難のため自発的に潜水しました。 
しかし独身♂bがすぐに背後から追いかけ、2羽ともしばらく水中に潜っていました。 
再び水面に浮上したときには、あぶれ♂bが♀aを掴まえて背後からマウントしていました。 
♀aを見失っていたパートナー♂aがようやく気づいて慌てて駆けつけ、救出を試みます。 
喧嘩に決着がついて、あぶれ♂bが少し飛んで逃げました。

配偶者ガードに成功した♂が、興奮したように勝利の鳴き声♪を上げながら水面を忙しなく泳ぎ回ります。 
パートナーの♀がすぐに駆けつけ、パートナー♂の斜め背後に寄り添うように遊泳します。
♂に付き従う♀は、尾羽を左右にフリフリしながら、嘴を水面に付けて遊泳しました(緊張緩和の転移行動)。 
それが♀による求愛ポーズなのかと思ったのですが、♂aは♀aを見ていません。 
♀aは水面で伸び上がって羽ばたき(水浴行動の省略)、パートナーの♂aに見せつけるように自分で羽繕いを始めました。 
♂aはようやくパートナー♀aに向き合ったものの、まだ興奮が収まらず、小声で鳴き続けています。 



一連の騒動を1/5倍速のスローモーションでリプレイ。(@5:20〜)
後頭部から首の後ろを通る黒い縦筋模様が♀では薄れかけていて、それが目印になります。
繁殖期の♀は背後から♂に繰り返しマウントされて、その度に後頭部や首筋を嘴で噛まれますから、黒い羽毛がどんどん抜けてしまうのでしょうか?
あぶれ♂bの後頭部を嘴で咥えた♂aが羽根をむしり取ることもありました。
この「黒いたてがみ」に注目すると、3羽の個体識別ができそうです。

少し離れた相手に急いで襲いかかるときは、左右の翼を水面に同時に打ち付けながら両足で交互に水を蹴って進みます。 


※ 水飛沫の音や鳴き声が聞き取れるように、動画編集時に音声を正規化して音量を強制的に上げています。 



【考察】
カルガモの繁殖期は通常4~7月です。 
今回観察した4月下旬は、ペア形成が完了して巣作りおよび産卵を開始する前の時期に相当します。 
カルガモの♂は育雛(子育て)には全く参加しませんが、造巣の段階では♀に協力し、抱卵中の♀を警護するらしい。 
婚外強制交尾は巣作り前の時期(4〜5月)に頻発し、産卵開始後は激減するらしい。 
カルガモ♀が巣作りを開始する直前になると、パートナーの♂は特に警戒行動を強め、配偶者ガードを強化するそうです。 

カルガモは社会的単婚(一夫一婦制)を形成しますが、DNA検査で調べると婚外交尾も一定の割合で行われているらしい。
今回の調べ物で初めて知ったのですが、鳥類にしては珍しくカモ類の♂は螺旋型の長い陰茎をもつそうです。(参考サイトにすばらしい図解が掲載されています。)
短時間の交尾の際に、♀と前に交尾したライバル♂の精子を物理的に掻き出した上で自分の精子で置換するらしい。
また、強制交尾した♂が必ずしも次世代を残せるとは限らないそうです。
♀が複雑な形状の生殖器内で♂の精子を選別しているらしく、強制交尾した♂の精子は使われないことが多いそうです。
つまり、あぶれ♂の強制交尾がたとえ成功しても、寝取られた元の♀♂ペアは別れずに済むらしい。
精子競争の観点でもカルガモの配偶行動は奥が深くて、とても面白いです。

水面で激しく動き回る3羽のカルガモをしっかり個体識別できていないので、本当に配偶者ガードに成功したのか、それとも「あぶれ♂」による婚外強制交尾が成功したり♀を強奪できたのか、判断できません。 
しかし、池に残った♀♂ペアの行動から、独身♂による強制交尾は失敗に終わったと思われます。 
交尾に成功したペアが必ずやる儀式的行動(♂が「首反らし→円形泳ぎ」をする間に、♀が羽ばたきで水をかける)が見られなかったからです。
参考サイト:カルガモ 交尾行動
また、あぶれ♂による強制交尾が成功していれば、パートナー♂がただちに対抗して♀と再交尾を行い、精子を置換するはずです。

カルガモは身近にいる普通種の水鳥ですが、造巣行動や抱卵などを私はまだ観察できていません。
今回の撮影で、繁殖期の重要なミッシング・リンクがようやく一つ埋まりました。

今回の記事をまとめるにあたり、Perplexity AIを使った調べ物やブレイン・ストーミング*1 、*2 、*3)がとても役立ちました。
おかげで、動画に撮ったカルガモ3羽の行動をすっきりと(正しく?)解釈することができそうです。
Perplexityの助けがなければ、3羽のカルガモによる激しい乱闘はただ混沌としていて、素人には何がなんだかさっぱり理解できませんでした。
新たに勉強したことが多くて、AIに要約してもらおうか迷ったのですが、脳が退化しないように、なるべく自力で記事をまとめるように心がけました。
この記事が分かりにくかったら、私の責任です。



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2025/03/31

春の刈田でキジ♂が勇壮な母衣打ち♪を披露するまで(野鳥)

 

2024年4月中旬・午後14:55頃・くもり 

田起こし前の刈田で、キジ♂(Phasianus versicolor)がケンケーン♪と鳴く声がしました。 
鳴き声の主を探すと、雑草が生えた原っぱ(刈田)で採食中のキジ♂を発見。 
次の母衣ほろ打ちを記録しようと、動画に撮り始めました。 

採食中にときどき頭を上げて首を伸ばし、周囲を警戒しています。
しばらくすると、胸の羽毛を嘴で整えて羽繕いを始めました。 
 最後にようやくケンケーン♪と大声で絶叫しながら、勇壮な母衣打ちを披露してくれました。
鳴き声が風切り音にかき消されそうなのが、残念です。 
その後は何事もなかったように、採食に戻りました。 
隣の縄張りから別個体のキジ♂が鳴き返す声は聞き取れませんでした。 

キジ♂の母衣打ちを1/5倍速のスローモーションでリプレイすると(@3:12〜)、素早く羽ばたいた回数は2+10回でした。 
この回数には個体差があります。 
母衣打ちで羽ばたく回数の多い♂を♀が交尾相手として選んでいるとしたら、面白いですね。(ただの妄想です)

カメラのバッテリーを使い切る寸前で赤いマークがカラータイマーのように点滅していたので、キジ♂が鳴く前兆を示すまで(立ち止まって背伸びをするまで)撮影を中断して見守りました。 
なんとかギリギリ動画に撮れました。 

気迫の籠もった母衣打ちを見ると、いつも感動します。 
春はキジの繁殖期で、♂は縄張り宣言を頻繁に(定期的に)繰り返しています。 
長くても5〜6分間辛抱して長撮りすれば、誰でも母衣打ちシーンを撮れますので、機会があればトライしてみてください。

2025/03/26

死んだアナグマの営巣地に夜な夜な出没するホンドタヌキの家族【トレイルカメラ:暗視映像】

 



2024年4月中旬 

シーン0:4/10・午後14:06・晴れ・気温30℃(@0:00〜) 
シーン0:4/10・午後14:26・晴れ(@0:04〜) 
明るい日中にたまたま撮れた現場の様子です。 
ニホンアナグマの死後も営巣地(セット)を2台の自動撮影カメラで監視し続けています。 
ホンドタヌキNyctereutes viverrinus)の登場シーンをまとめました。 
死んだアナグマの巣穴を一時期はタヌキの♀♂ペアが乗っ取ったように見えたのですが、そんな単純な話ではありませんでした。 


シーン1:4/11・午後22:41・気温7℃(@0:07〜) 
おそらく手前から来たと思われるタヌキが、晩遅くに狭い巣口Lに注意深く潜り込みました。 
尻尾の黒斑に注目 。


シーン2:4/11・午後23:53・気温6℃(@0:07〜) 
監視カメラの起動が遅れましたが、約1時間10分後におそらく同一個体のタヌキが巣穴Lから外に出てきたようです。 
獣道を右上奥へ立ち去りました。 
 尻尾の黒斑が同じなら同一個体。 
巣穴Lの奥には、下半身の麻痺が進行したいざりタヌキが餓死しているのではないかと疑っているのですが、その死臭を嗅ぎつけたタヌキが死骸を食べた(共食い)可能性も考えられます。 


シーン3:4/14・午前3:37・気温4℃(@1:16〜) 
3日後の未明に手前から来たらしいタヌキが、巣口Lに座り込み、左後足で痒い喉をボリボリ掻いていました。 
巣口Lを見下ろしながら、か細い声でクゥーン♪と甲高く鳴きました。(@1:44〜) 
少し左に移動してから、また林床に座って毛繕いしています。 
だいぶリラックスした様子に見えます。 
なんとなく、巣L内のパートナーを案じているように見える。 


シーン4:4/15・午後21:47・気温13℃(@2:16〜) 
翌日の晩にはタヌキの♀♂ペアが現れました。 
左から来た先行個体aが巣口Lの匂いを嗅いでから、ゆっくり入巣L。 
「頭隠して尻隠さず」の状態になり、尻尾の先端だけが巣口Lに覗いています。 
そこへ左から後続個体bが登場。 
タヌキaが慌てて後退しながら巣口Lから外に出てきました。 
ペアのタヌキabが巣口Lで顔を見合わせると、後続個体bは嬉しそうに尻尾を左右にパタパタ振りました。 
イヌでは別に珍しくありませんけど、タヌキで尻尾による感情表現を見たのは初めてかもしれません。 
尻尾の中央部に滴状の黒斑▼ 

次はタヌキbが巣穴Lを内見しました。 
その間、先行個体aは獣道を右上奥へ立ち去りました。 
巣穴Lから出たタヌキbもパートナーaの後を追って行くところで、1分間の録画が終了しました。 

出産育児に備えて営巣地を探し歩いているタヌキのペアの♂が♀に巣穴Lを紹介したのに、気に入ってもらえなかったのかな?と勝手な妄想をしてみました。 


シーン5:4/15・午後21:47・気温13℃(@3:16〜) 
別アングルからも同じシーンが撮れていました。 
右から登場した後続個体bは、巣口Rの匂いを嗅いでから左へ向かい、巣口Lで先行個体aと合流しました。 
尻尾の黒斑が特徴的で、これに注目すれば私にも個体識別ができるかもしれません。 


シーン6:4/15・午後21:48(@4:16〜) 
1頭のタヌキがセットの左下手前に座り込んでパートナーを待っている間、右奥の獣道の暗闇でタヌキの白い目が光っています。 
しばらくすると、後続個体が左から登場し、巣穴Lに顔を突っ込んで匂いを嗅ぎました。 
2頭の尻尾の黒斑の違いに注目。 

出巣Lして獣道を立ち去る際に、細いマルバゴマギ灌木の根元に小便をかけてマーキングしました。 
このとき左後脚を持ち上げたので、♂と判明。(@5:10〜) 

少なくとも3頭のタヌキが登場したことになります。 


シーン7:4/15・午後21:48(@4:16〜) 
2頭のタヌキが相次いで巣口Lから左へ立ち去る様子が別アングルの監視カメラでも撮れていました。 


シーン8:4/19・午後21:50・小雨・気温9℃(@5:54〜) 
次にタヌキが写ったのは4日後の晩でした。 
左から来たタヌキの背中に付着しているのは、桜の花びらでしょうか? 

巣口Lに頭を突っ込んでから、獣道を右上奥へノソノソ歩いて行きました。 
途中で立ち止まって振り返ったので、赤外線を反射して白く光る眼が暗闇で見えました。 


シーン9:4/19・午後21:50・小雨・気温10℃(@6:31〜) 
同じシーンが別アングルからも撮れていました。 


シーン10:4/19・午後21:53・小雨(@6:58〜) 
監視カメラの起動が遅れました。 
出巣L直後のタヌキなのか、それとも手前から来て巣口Lを通り過ぎたのか、分かりません。 
狭い巣穴Lから外に出てきたのなら、直後に身震いして毛皮の土を振り落とす気がします。 

巣口Lで座って、自分の背中を甘噛みしました。 
獣道を右上奥へ向かい、待ち構えていた先行個体2頭(♀♂ペア?)と合流しました。(@7:11〜) 
しばらく3頭で仲良く相互毛繕いしてから、2頭が次々と右上奥へ立ち去りました。 
この3頭のタヌキは家族なのでしょう。


シーン11:4/20・午前0:04・気温9℃(@7:22〜) 
日付が変わった深夜に、左から来たタヌキが獣道を右上奥へ通り過ぎました。 
途中で巣口Lの横でちょっと立ち止まっても、見下ろしただけで素通りしました。 


シーン12:4/20・午後22:20・気温8℃(@7:52〜) 
同じ日の晩に右から来たタヌキが、巣口Lの匂いを念入りに嗅ぎ、右へ立ち去りました。 


※ 動画の一部は編集時に自動色調補正を施しています。 


【考察】 
タヌキの♀♂ペアが採餌のために一緒に外出するのは知っていましたが、3頭が行動を共にすることがある、というのは個人的に新しい発見です。
おそらく親子なのでしょう。

タヌキたちが興味を示して何度も匂いを嗅いだり潜り込んだりするのは、決まって巣穴Lの方でした。
タヌキの個体識別がしっかりできていないのが問題で、解釈に悩みます。
初めはてっきり、巣穴Lにタヌキの♀が籠もって出産するのかと思い込んでいました。
♂やヘルパーが夜な夜な巣穴Lに通い、餌を吐き戻して巣内の♀に給餌している可能性なども考えたりしました。 
しかし定点観察を続けても、この巣穴でタヌキの幼獣が産まれた形跡はありませんでした。

後になって、巣穴Lの奥には餓死した「いざりタヌキ」の腐乱した死骸が転がっているのではないか?と疑うようになりました。
タヌキの♀♂ペアがここで営巣しなくなったのは、腐乱死体のせいで巣内の衛生環境が最悪になったからだ、と説明が付きます。
死臭が気になって、通りかかる度にタヌキは巣口Lの匂いを嗅いでいるのでしょう。
たまに巣内に侵入して長居しているタヌキは、死骸を食べている(共食い)のかもしれません。
私の推測(想像)でしかないので、巣穴の奥深くを調べられるファイバースコープカメラが欲しくなります。 


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