ラベル セミ・カメムシ・サシガメ(半翅目) の投稿を表示しています。 すべての投稿を表示
ラベル セミ・カメムシ・サシガメ(半翅目) の投稿を表示しています。 すべての投稿を表示

2024/11/20

山中の池で交尾するエゾコセアカアメンボ♀♂?

 

2023年6月上旬・午後13:25頃・晴れ 

里山で湧き水が溜まった泉の水面で2組のアメンボ♀♂が交尾していました。 
エゾコセアカアメンボ(Gerris yezoensis)だと嬉しいのですが、アメンボを見分ける図鑑などをもってないので、真面目に検討したわけではありません。 
もし間違っていたら、ご指摘願います。 
ヤスマツアメンボ(Gerris insularis)ですかね? 

交尾中のペアの上にさらに別のペアがのしかかりました。 
縄張り争いやパートナーの強奪戦があるのでしょうか? 
それにしては、その後の展開がありません。
捕食(共食い)でもありませんでした。 

水中ではアズマヒキガエルの幼生(黒いオタマジャクシ)およびトウホクサンショウウオの幼生が泳いでいます。

【アフィリエイト】 

2024/09/25

雪虫が飛ぶ晩秋:ケヤキフシアブラムシの有翅虫?

 

2023年11月上旬・午後14:35頃・晴れ 

公園内の街路樹が色とりどりに黄葉・紅葉しています。 
空中を無数の微小な虫が飛び回り、よく晴れた逆光に透かすと翅がキラキラと光って見えます。 
これは雪虫とか雪迎えと呼ばれる季節の風物詩です。 
雪虫の群飛をハイスピード動画でも撮ればよかったですね。 
個々に(ランダムに?)飛び回っているので、群飛とは呼べないかもしれません。 

たまたま私の左腕に着地してうろうろと歩き回る雪虫を接写してみると、有翅の黒っぽいアブラムシでした。 
生憎この日は本格的なマクロレンズを持ってこなかったので、微小な雪虫をしっかり接写できませんでした。 
透明な翅を広げても、私の腕毛が邪魔なのか、なかなか飛び立てません。 

雪虫で最も有名なのは、北海道のトドノネオオワタムシと呼ばれるアブラムシです。 (※ 追記参照)
しかしこのアブラムシの2次宿主となるトドマツを私は当地(東北地方の山形県)で見たことがありません。 
東北地方で見られる雪虫の正体は、おそらくケヤキフシアブラムシだと思われます。 
アブラムシ入門』という図鑑で調べると、 ケヤキヒトスジワタムシParacolopha morrisoni)にはケヤキフシアブラムシ、ケヤキヒトスジタマワタムシという別名もあるらしく、
晩秋の小春日和の日に腹部が綿状物で覆われた有翅虫がケヤキに戻る。 (p122より引用)
とのことでした。 
ケヤキの葉に形成される独特の虫こぶ(ケヤキハフクロフシ)の中で成長すると初夏に虫こぶから羽化脱出し、次はササ類の根に移住し、秋には再びケヤキに戻って卵で越冬する、という移住性の生活史(寄主転換)を送るのだそうです。 
ケヤキの木を探して飛び回っていたのだと分かりました。
結婚飛翔をする昆虫の群飛とは飛び方が違うのも納得です。
撮影現場は街路樹が多い公園で、ケヤキの木や笹薮も探せばありそうです。(※ 追記2参照) 



断片的な観察でもケヤキフシアブラムシの暮らしぶりの全体像が少しずつ繋がってきて、俄然面白くなってきました。 
私の腕に止まった個体は体が黒く、白い綿状の物質に覆われてはいませんでした。
飛んでいる間に白いワックスが落ちてしまったのかな?
それともケヤキフシアブラムシとはまた違う別種のアブラムシなのでしょうか?
(サンプル数が1匹だけの観察で結論を出すのは危険です。) 

私はこの日、買い物に行く急ぎの用事があって、近道として公園を横切っていました。 
気が急いていた私は、雪虫をじっくり観察する余裕がありませんでした。 
また来年に続きを観察するのが楽しみです。


※【追記】
北海道では「雪虫(トドノネオオワタムシ)が大量発生してから約1週間~10日で初雪が降る」という俗説(虫の知らせ)があるそうです。
天気予報でおなじみのウェザーニュース社が市民科学の手法で情報を広く募ると、興味深い結果が得られたそうです。
奇しくも、当地(山形県の平地)で初雪が降ったのも雪虫(ケヤキフシアブラムシ?)の大量発生を見てからちょうど22日後でした。
このデータを毎年記録して関連を調べるのも面白そうです。


※【追記2】
2024年9月下旬に遅まきながら公園を現場検証すると、動画奥の左に写っている大木がまさしくケヤキでした。
葉にはケヤキハフクロフシの虫こぶが形成されていました。
他にも多数のケヤキ街路樹が公園の敷地内に植栽されていました。
笹薮は伐採されてしまったのか、見つかりませんでした。
ケヤキフシアブラムシはどのぐらい遠くから宿主のケヤキを目掛けて飛来するのでしょうか?



【アフィリエイト】 

2024/07/04

トホシカメムシ

2023年10月上旬・午後13:50頃・くもり 

山間部の峠道の道端(標高620m地点)で見慣れないカメムシを見つけて写真に撮りました。 
Googleレンズで名前を調べてみると、初見のトホシカメムシLelia decempunctata)でした。 
山地性のカメムシらしい。 
動画にも撮ろうと不用意に近づいたら、逃げられてしまいました。 
トホシカメムシが止まっていた葉っぱの種類(植物名)を記録し忘れたのも痛恨のミスです。


【アフィリエイト】

2024/06/19

飛べ!ヒメクモヘリカメムシ

 

2023年9月下旬・午後12:25頃・くもり 

里山の急斜面をつづら折れで登る山道の横で見慣れない虫を見つけました。 
てっきりナナフシの幼虫なのかと初めは思いました。
私がカメラのレンズをそっと近づけて接写すると葉の上を走って逃げ、葉の縁からピョンと飛び降りました。 
飛び立つ瞬間を1/5倍速のスローモーションでリプレイすると(@0:21〜)、翅を広げて羽ばたいていました。 
ハイスピード動画に切り替えるのが間に合わず、逃げた昆虫を見失ってしまいました。 
初見の昆虫だと次にどんな動きをするのか予測できず、動画撮影が難しくなります。 

Googleレンズで画像検索してみると、ヒメクモヘリカメムシの仲間と判明しました。 
ニセヒメクモヘリカメムシという近縁種がいるらしいのですが、撮れた写真を拡大したら、頭部の側葉と中葉がほぼ同じ長さで揃っていたので、ヒメクモヘリカメムシParaplesius unicolor)と確定しました。 
個人的にはクモに似ているというよりも、ナナフシっぽいと思いました。

ヒメクモヘリカメムシが乗っていた植物の名前が分かりません。 
何かの稚樹(幼木)のような気もします。 
ヒメクモヘリカメムシの寄主植物はイネ科のササ類らしいので、そこに居たのは特に理由はなさそうです。
確かに発見地点の周囲には笹の群落を見かけました。 


【アフィリエイト】 

2024/05/08

オニグルミの木に登って鳴き、樹液を吸うニイニイゼミ♂の群れ

 

2023年7月中旬・午後13:00頃・くもり 

山麓の道端でニイニイゼミ♂(Platypleura kaempferi)の合唱が聞こえました。 
鳴き声を頼りに辺りを探すと、若いオニグルミ灌木の細い幹に複数個体が止まっていました。 
樹上で生きたニイニイゼミを見つけられたのは、恥ずかしながら今回が初めてです。 
オニグルミの樹皮の色よりもニイニイゼミの翅の雲状紋の方が濃くて、それほど保護色(隠蔽擬態)になっていませんでした。 
私でも見つけられたのは、目立っていたからです。 

チーーー♪と単調にひたすら鳴き続けている♂個体を背側から撮ると、腹部を高速で前後に伸縮させて腹式呼吸しています。 
セミ♂にとって、鳴く行為(発音)はなかなか激しい運動なのでしょう。 
気温を測るのを忘れてしまいました。 
オスは翅を半開きにして「チー…ジー…」と繰り返し鳴く。鳴き始めは「チー」が数秒、急に音が高く大きくなって「ジー」、数秒-10秒ほどで緩やかに「チー」へ戻り、数秒後に再び「ジー」となり、鳴き終わりは「チッチッチ…」となる。日中の暑い時間帯には鳴く個体が少ないが、明るいうちはほぼ一日中鳴き、夜でも街灯など灯火に集まって鳴くことがある。他のセミが鳴かない朝夕の薄明頃にはヒグラシと並んでよく聞こえる。 (wikipediaより引用)

樹上で鳴いていたニイニイゼミ♂が、何の前触れもなく幹から飛び去りました。(@0:43〜) 
スローモーションにしても羽ばたきは速すぎて見えませんでした。 
次に機会があれば、飛び立つ瞬間をハイスピード動画で記録してみるつもりです。 

初めは気づかなかったのですが、カメラを上下にパンすると、計3匹のニイニイゼミが同じオニグルミの木に止まっていました。 
上には木登りしている個体がいました。(@2:32〜) 
立ち止まると幹に口吻を垂直に突き立てました。 
樹液を吸い始めたようです。 
腹面が白っぽく、腹弁が見えることから♂と分かります。 
真横から見ると、翅が透明に透けていて、その上に暗褐色の雲状紋が描かれています。 
口吻を斜め下に突き刺して樹液を吸汁している個体もいます。(@3:00〜) 

長撮りしている私の背後を車が通過しても、ニイニイゼミ♂は逃げませんでした。 
これだけ多くの個体が集まっているということは、羽化直後なのですかね? 
今思うと、念のために木の根元で抜け殻(羽化殻)を探すべきでした。 

 ※ 映像素材の順番を少し入れ替えました。 


ニイニイゼミ♂の鳴き声を声紋解析してみる? 
複数個体の鳴き声であることに注意。 
近くの草むらで直翅目も鳴いています♪(キリギリス系) 


【アフィリエイト】 

2024/01/25

ハルニレ樹上で交尾するヨツモンカメムシ♀♂

 

2023年5月下旬・午前11:15頃・くもり

平地のスギ植林地に自生する若いハルニレ灌木の枝先でヨツモンカメムシ♀♂(Urochela quadrinotata)が交尾していました。 
動画で撮っても、逆向きで交尾するカメムシの♀♂ペアに動きはありませんでした。 
しばらくして私が撮影アングルを変えたら、V字姿勢で交尾していました。 
性別の見分け方を知らないのですが、腹部がやや膨満している個体が♀なのでしょう。 

関連記事(6年前の撮影)▶ ヨツモンカメムシ♀♂交尾中の綱引き 


以前もハルニレ樹上でヨツモンカメムシ♀♂が交尾していたので調べてみると、ニレ科植物を寄主(食樹)とするらしく、納得しました。 
余談ですが、ヨツモンカメムシは日本のクヌギカメムシ科では唯一、成虫で越冬するそうです。(一般的には卵越冬。)

2023/12/15

ホンドタヌキの溜め糞に集まり吸汁するハラビロヘリカメムシ

 

2023年5月上旬・午後15:15頃・晴れ 

スギ防風林にホンドタヌキNyctereutes viverrinus)が残した最大級の溜め糞場wbcを見に行くと、新鮮な糞がこんもりと追加されていました。 
糞の一部には珍しく未消化の獣毛が混じっていました。 
タヌキが野ネズミなど小型の哺乳類を狩って捕食したのか、死骸を食べたようです。 
木漏れ日を浴びた溜め糞に多数のクロボシヒラタシデムシOiceoptoma nigropunctatum)が群がっていましたが(別の記事で映像公開予定)、それより気になる虫が居ました。 

前翅の黒点が目立たないことから、ホシハラビロヘリカメムシではなくハラビロヘリカメムシHomoeocerus dilatatus)だと思います。 
(参考:『カメムシ博士入門』p115) 
2匹のハラビロヘリカメムシが口吻の先でタヌキの糞の乾いた表面を頻りに探っているものの、深く突き刺してはいないようです。 
獣糞から吸汁するチョウ類と同じように、性成熟に必要なミネラル類を摂取しているのでしょうか?
口吻の動きをマクロレンズで接写すれば良かったですね。 
望遠マクロでも口吻が結構見えてますし、スギ林の林床は薄暗くて接写には向いてないと判断しました。 
本来はマメ科の植物を宿主としている(吸汁している)のだそうです。
(近縁種ホシハラビロヘリカメムシの情報) 
獣糞から吸汁するカメムシを見るのは久しぶりです。 

関連記事(7,10年前の撮影)▶  


溜め糞上を活発に歩き回るクロボシヒラタシデムシやハエ類が背中に乗っても、ハラビロヘリカメムシは無反応で吸汁を続けています。
2匹のハラビロヘリカメムシは同じ糞(表面が少し乾燥して硬そうな糞)を挟んで互いに向き合っているのに互いに無関心で、糞の味見に夢中です。 
一緒に居たクロボシヒラタシデムシとは異なり、配偶行動を始めません。 (同性なのかな?) 

タヌキの溜め糞のすぐ横に、緑の葉が千切れてスギ落葉の上で萎びていました。 
なんとなくオオバコの葉ではないかと思ったのですが、定かではありません。 
その上に1匹のハラビロヘリカメムシが静止していました。 
私にはカメムシの性別を外見で見分けられませんが、溜め糞場に来る♀を待ち伏せしている♂なのかな? 
横の溜め糞場に来ている先客2匹の存在に気づいていないのでしょうか? 
逆に、私が溜め糞場wbcに近寄ったせいで糞塊から少し逃げた個体なのかもしれません。 

2023/10/19

春の池でヤマアカガエルの幼生を捕食吸汁するマツモムシ

 

2023年4月上旬・午後14:15頃・晴れ 



山中の池でトウホクサンショウウオHynobius lichenatus)の卵嚢を水中に見つけて撮ろうとしたら、水面を背泳するマツモムシNotonecta triguttata)が写り込んでいました。 
黒いオタマジャクシを捕食・吸汁していたのに、撮影中の私はなぜか全く気づかずに中断してしまいました。 
明るい日向での撮影では、カメラのバックモニター(液晶画面)が非常に見えにくいのです。 
マツモムシの捕食シーンは珍しいのに、見過ごすとは痛恨のミスです。 

せっかくですので、スロー再生してみましょう。 
1/5倍速のスローモーションでリプレイする際に、1.5倍に拡大しました。 
餌食となった黒い小さなオタマジャクシは、尻尾を振って必死に暴れています。 
この獲物はトウホクサンショウウオの幼生ではなく、岸辺に産み付けられたヤマアカガエルRana ornativentris)の卵塊から孵化した幼生だと思います。 
トウホクサンショウウオは幼生が孵化するどころか、胚発生も未だ進んでいません。





2023/10/09

池のミズカマキリ♀を素手で一時捕獲してみる

 



2023年3月下旬・午後14:40頃・晴れ 

雪解け水の溜まった池で初めて見つけたミズカマキリRanatra chinensis)を捕獲してみることにしました。 
早春のミズカマキリは意外に鈍く、私が岸辺に忍び寄って手を伸ばしても逃げません。 
網を用意してなかったので手掴みですばやく掬い上げたら、難なく捕まえられました。 

呼吸管が体長より長くなかったことから、この個体は♀と判明しました。 (※ 追記参照)
水中では右の鎌が欠損しているように見えたのですが、掌に乗せてよく観察すると正常でした。 
囚われてもミズカマキリは手足を緩慢に動かすだけで、鎌で反撃したり口吻を突き刺したりすることはありませんでした。 
早春で水温や気温が未だ低いために、動きが鈍いのかもしれません。 
前脚の鎌を畳んで揃えて前に伸ばし、前習いのような体勢になりました。 
歩行は中脚と後脚の4本で行います。 

ミズカマキリが飛ぶという予備知識はあったので、飛び去る様子を動画撮影できないかと期待しました。
(ミズカマキリは)秋にはよく飛び立つ。(『フィールド版ため池と水田の生き物図鑑:動物編』p88より引用)
しかし翅を広げて飛び立つ気配はありません。 
私の手のひらの端から転がり落ちるように脱出すると、自発的に身投げしました。 
元居た池に落水すると、岸辺に産み付けられたゼラチン質のヤマアカガエルRana ornativentris)卵塊と枯草がクッションのようになりました。 

いつかミズカマキリの飼育に挑戦してみたいものです。 


【追記】
森上信夫『虫のオスとメス、見分けられますか?』によると、ミズカマキリは腹端を腹面から見たときにて亜生殖板のV字の形状に性差があるそうです。
横から見ると亜生殖板は実際にとがっており、尾端から突き出しています。(p31より引用)

2023/09/27

雪解け水の池でヤマアカガエルの卵塊の傍を泳ぐミズカマキリ♀

 

2023年3月下旬・午後14:00頃・晴れ 

里山の雪解け水が貯まった池でヤマアカガエルRana ornativentris)の卵塊を調べていたら、池の水中を泳ぐミズカマキリRanatra chinensis)を見つけました。 
越冬明けの個体が飛来したのかな? 
『フィールド版ため池と水田の生き物図鑑:動物編』でミズカマキリについて調べると、
越冬は水中で、ミズカマキリは集団で越冬すると言われているが実際に観察されることはまれである。(p88より引用)
水生昆虫に疎い私は、生きたミズカマキリをフィールドで見つけたのはこれが生まれて初めてで、歓喜しました。 
池畔は残雪で囲まれ、水面には太陽が反射して眩しいです。 
雪解け水の貯まった池の水温は低いはずです。


この池でヤマアカガエル♀♂の繁殖行動をタイムラプス撮影するプロジェクトは、いまいち納得の行く結果を得られませんでした。
がっかりしたものの、この日はミズカマキリと出会えた喜びで帳消しになりました。

初めミズカマキリは私を警戒して身を隠そうとしているのか、ヤマアカガエルの卵塊の下に潜り込もうとして、もがくように泳いでいました。 
手足にオール状の構造がないため、泳ぎはあまり得意ではなく、水中で手足をゆっくり動かすだけです。 
中脚と後脚は長毛を有し、中脚と後脚で器用に水を掻いて潜水し、水中を遊泳する。(同書p88より引用)
潜水中は腹端から伸びた呼吸管の先端を水面に出して、ときどき息継ぎしています。 
これぞまさに忍法「水遁の術」。 
呼吸管を根元から曲げることができます。 

ゼラチン質の卵塊の下からなかなか浮上できず溺れそうになっているのか?と心配になったものの、ようやくミズカマキリはヤマアカガエル卵塊の上に脱け出しました。 
水面で卵塊に乗って静止し、獲物を待ち伏せするのかな?(日光浴?) 
岸辺は枯れた草の茎が水中に沈んでいるため、細長い体型で黄土色(枯草色)のミズカマキリがじっと静止すると見事なカモフラージュになっています。 

ミズカマキリが再び動き回っても、近くで背泳するマツモムシは無反応でした。 
互いに狩り(捕食)の対象ではないようです。
ミズカマキリは前脚の鎌でマツモムシを狩ることはなく、蹴散らすようにして水中を進みます。 
水中ではミズカマキリの右前脚の鎌が途中から欠損しているように見えたのですけど、ただ折り畳んでいるだけでした。 

少し離れたところにヤマアカガエルの♂成体がいました。 
岸の方を頭を向けて水面に浮かび、産卵に来る♀を待ち構えています。 
ヤマアカガエルがミズカマキリに跳びついて捕食するかと期待したのですが、繁殖期のヤマアカガエル♂は「食い気より色気」なのでしょう。 

日当たりの良い岸辺にヤマアカガエル♀が最近産み付けた個々の卵内では黒い胚が発生しつつあります。 
ミズカマキリが岸辺のヤマアカガエル卵塊に執着しているように見えたのはたまたまでしょうか?
個々の卵内で育つ黒い胚または孵化した幼生(オタマジャクシ)を狩って体液を吸汁するつもりなのかもしれません。
ところが、しばらく粘って観察しても、捕食の確証を得られませんでした。 
タピオカドリンクのような卵塊を散々吸汁した後で満腹なのかな? 
動きのない胚は獲物と認識できないのでしょうか。 
実はこの池の岸辺に沿ってヤマアカガエルの卵塊がいくつも産み付けられていて、既に幼生が孵化した卵塊もありました。 
ミズカマキリがオタマジャクシを捕食したいのなら、そちらに向かうはずです。 

眼は上を向いており、アメンボ類のような水面上の小動物を待ち伏せて捕食する。(同書p88より引用)




1枚目は水中の潜水シーン
2〜4枚目は水面に浮かぶミズカマキリ
潜水中に呼吸管で息継ぎ

2023/08/16

ヤマオニグモ(蜘蛛)の垂直円網に囚われて暴れるヒグラシ

 

2022年7月中旬・午後14:00頃・晴れ 

里山の斜面を直登する細い山道が廃れて使われなくなり、左右から灌木の枝が伸び放題になっていました。 
そこを少し整備すると、ヤマオニグモAraneus uyemurai)などが網を張るようになりました。 
クモの巣に捕らわれたセミが逃れようと必死に羽ばたいて暴れていました。 
(私が獲物をクモの網に給餌したヤラセ映像ではありません。) 
鳴き声を発してないので♀かもしれません。

同定のために暴れるセミを手にとってじっくり接写すべきでしたが、夏の廃道登山でヘロヘロにへばっていた上に先を急いでいたので動画に撮っただけです。 
腹部全体が茶色く透けて見えるのでエゾハルゼミまたはヒグラシだと思うのですが、エゾハルゼミは時期的に少し遅いです。 
周囲でカナカナカナ…♪と寂しげに鳴き交わしているのは、ヒグラシ♂(Tanna japonensis)でした。 

セミがかなりパワフルに羽ばたいても、粘着性のあるクモの横糸は強力で切れません。 
獲物が疲れておとなしくなるまで、網の主はどこかに避難しているようです。 
以前ここにヤマオニグモAraneus uyemurai)が造網しているのを見ています。 


2023/07/19

桜の樹上でニイニイゼミ♂が鳴く声♪

 

2022年7月中旬・午前11:00:頃・くもり 

郊外の道端にあるソメイヨシノの古木からニイニイゼミ♂(Platypleura kaempferi)の鳴き声がします。 
離れたところから動画を撮り始め、そのまま歩いて桜に近づいても珍しくニイニイゼミ♂は鳴き止みませんでした。 
それにしても、ニイニイゼミ♂の鳴き声は「ニイニイ♪」とは全く聞こえないので、「チイチイゼミ」に改名して欲しいです。

恥ずかしながら、私はまだ生きたニイニイゼミを見つけたことがありません。 
翅が褐色の斑模様ですから、木の幹に止まっていると迷彩効果が高いのでしょう。
それから鳴き声が単調で、どこで鳴いているのか方向が掴みにくいです。 
なんとか鳴いているニイニイゼミ♂を見つけて動画で記録するのが今後の宿題です。 



2023/07/05

ヒグラシ♂の鳴き声♪を声紋解析してみる

 

2022年7月中旬・午後13:25頃・晴れ 

里山の水場近くでスギと雑木の混交林から聞こえるヒグラシ♂(Tanna japonensis)の蝉時雨せみしぐれを動画で録音してみました。 
単独個体の鳴き声ではなく複数個体が鳴き交わしている合唱です。 
アマガエルや野鳥の鳴き声もかすかに聞こえます。 

ヒグラシ♂の鳴き声を声紋解析してみる

オリジナルの動画ファイルから音声パートをWAV形式で書き出してから、「カナカナカナ…♪」とひときわ盛り上がった部分2箇所を切り出し、スペクトログラムを描いてみました。 
3つ目の短い声紋は、近くで「ジジジ…♪」と鳴いた声です。(@0:21〜) 
警戒声というよりも、何か身の危険を感じて飛び去る際の遭難声(distress call)だと思います。

2023/05/20

ニンジンの実に群がり吸汁するアカスジカメムシ

 

2022年10月下旬・午後15:30頃・くもり 

山麓の家庭菜園でニンジン(人参)の白い花が咲き終わって多数の果実がついていました。 
そこでアカスジカメムシGraphosoma rubrolineatum)が吸汁していました。 
隣にはニンジンの花が未だ咲いている株もあるのに、果実にばかり集まっている(訪花しない)ということは、花蜜には興味がないのでしょう。 
アカスジカメムシはセリ科植物を好むので、ニンジン畑の害虫とされています。 
複数個体を見かけましたが、集合するというよりも、複数の株に分散して(互いに離れて)吸汁していました。 

この畑はニホンザルやイノシシなどの害獣対策で電気柵が張り巡らされています。 
撮影に夢中になった私はうっかり身を乗り出して電気柵の電線に触れそうになり、焦りました。

2023/04/25

鳴いていたミンミンゼミ♂♪が木の電柱から飛び去るまで

 

2022年8月下旬・午前8:55頃・晴れ 

山麓の農村部の道端に昔ながらの懐かしい木製の電柱が立っていました。 
今は電柱としてではなく、外灯(LEDではなく未だ蛍光灯)の支柱として使われています。 
その木製電柱の側面に止まったミンミンゼミ♂(Hyalessa maculaticollis)が、腹部を伸縮させながら大声で元気いっぱい鳴いていました。 
私が動画に撮り始めたらすぐに鳴き止んで自発的に飛び去りました。 
飛び立つ瞬間を1/5倍速のスローモーションでリプレイ。 

「セミが飛び去る瞬間にオシッコをシャッと出す」 決定的瞬間を捉えた写真はセミの本に必ず載っています。
私もそれをハイスピード動画で記録したいのですが、一度も成功したことがありません。 
今回の♂個体も排尿しませんでした。 
木製電柱(死んだ樹木)からセミは樹液を吸えませんから、オシッコが出なくても不思議ではありません。 
私はこれまで鳴いているセミを長撮りして、自発的に飛び去る様子を撮影していました。 
セミを驚かせて飛び立たせないとオシッコを排泄しないのかな?(緊急避難のための軽量化)
独りでセミを撮影しながら驚かせるのは、三脚を使わないと難しそうです。

2023/02/15

池で溺れるヒカゲチョウ♀に襲いかかるアメンボの群れ

 

2022年9月中旬・午後14:50頃・くもり 

山中の湧水が溜まった泉に地味な蝶が落水し、水面でパタパタと羽ばたいていました。 
カメラでズームインしてみると、ヒカゲチョウ♀(Lethe sicelis)でした。 
関連記事(8年前の撮影)▶ クロヒカゲの水難事故
後翅が破損している個体でした。 
翅の破損が左右対称ではないので、鳥に襲われかけたビークマークではなさそうです。 
口吻は伸びておらず、吸水行動ではありません。 
落水した蝶を中心として水面に波紋が広がっているのでヒカゲチョウをよく見ると、翅を細かく震わせていました。 
飛翔筋を使って準備運動をしているようです。
周囲は鬱蒼とした雑木林で、この日は特に薄暗く、気温も高くありませんでした。 
変温動物のヒカゲチョウは飛翔筋の準備運動をして体温を上げないと力強く飛び立てないのでしょう。 

その波紋を感知したアメンボの仲間(種名不詳)が水面を泳いで近づき、ヒカゲチョウの後翅にコツンとぶつかりました。 
アメンボ自身も動くと波紋が広がります。 
再びアメンボが獲物に襲いかかろうとした途端に、ヒカゲチョウが慌てたように激しく暴れ始めました。 
浅瀬なのに、水面でいくら羽ばたいても空中に飛び上がれません。 
このときヒカゲチョウの前翅表に白帯が見えたので、♀と判明しました。 
岸まであと少しなのに、泳いで岸に辿り着こうという発想もないようです。
「泳ぐ」という行動レパートリーが 蝶には無いのでしょう。
翅の表面を覆う鱗粉に撥水性があるので、水中に沈む心配はなさそうです。 

周囲から数匹のアメンボが一斉に集まってきたものの、暴れる獲物を仕留められません。 
口吻を獲物に突き刺して毒液を注入すればおとなしくなるはずですが、アメンボは狩りを諦めて退散しました。 
獲物が溺れて弱るまで待っているのでしょう。 

襲い来るアメンボを撃退したヒカゲチョウ♀は、閉じた翅を細かく震わせています。
水面から突き出た落枝の上に乗れば、飛び立てる気がするのですけど、どうでしょうか? 
水面に落ちた蝶はクモの網にかかったのと同じで、逃れようと暴れるとその振動で捕食者(アメンボ)に気づかれてしまいます。
気づかれないように死んだふり(擬死)するしかありませんが、それではいつまで経っても問題の解決にはなりません。
命のかかったジレンマです。

 次に、もっと大型の捕食者が登場します。 
一難去ってまた一難。 



2023/01/07

キンミズヒキの実に群がって吸汁・交尾するトゲカメムシ♀♂

 

2022年8月下旬・午後12:50頃・くもり 

里山の廃道になった林道沿いに咲いたキンミズヒキの群落にトゲカメムシCarbula humerigera)が集まっていました。。 
花穂に訪花するのではなく、未熟な実が並ぶ実穂に群がり、実に口吻を刺して吸汁しているようです。 

茎(実穂)の最上部で交尾中の♀♂ペアがいました。 
なんとなく上にいる個体が♀で下が♂ではないかと思うのですが、どうでしょうか? 
(私はトゲカメムシの性別の見分け方を知りません。)
交尾中の♂が定期的に両後脚で♀の横腹に触れているのは、♀を宥める行動なのかな? 

茎の下の方に居る個体は、ニアミスしても互いに無関心で、配偶行動や交尾を始めませんでした。 
おそらく同性なのでしょう。  
横向きになった個体の口元を見ると、口吻を伸ばしてキンミズヒキの実を探っていました。 

同じ株の分岐した別の実穂には5匹目のトゲカメムシが単独で見つかり、やはり実から吸汁していました。
ちなみに、数m離れた地点のヨシ群落でも枯葉にしがみついたトゲカメムシ♀♂が交尾していました。 
必ずしもキンミズヒキにしか集まらない、という訳でもないようです。

ランダムに記事を読む