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2026/09/22

水溜りで交尾しながらガガンボを襲うアメンボ♀♂

 

2025年5月中旬・午前10:55頃・くもり 

里山の中腹にある湧水湿地の浅い水溜りでガガンボの一種が暴れていました。 
キリウジガガンボ(Tipula aino)ですかね? 
産卵中のガガンボ♀が何か水難事故に遭って溺れているのかと初めは思いました。 

カメラでズームインしてみると、水面で交尾しているアメンボ(種名不詳)の♀♂ペアのうち、♀がガガンボの細長い脚の先(左の後脚および中脚)をしっかり掴んでいました。 
捕食者から逃れようとガガンボが必死で暴れたおかげで、中脚は抜けたものの、後脚がどうしても抜けません。 
一方、アメンボ♀はガガンボの長い脚を手繰り寄せようとしても胴体まで口吻が届かないので、獲物の体液を吸汁(体外消化)できないでしょう。 
つまり、両者とも手詰まりの膠着状態でした。 
水深が浅いので、脚が長いガガンボは水溜りの底に立てますから、溺れる心配はありません。 

水溜り水面での攻防を1/5倍速のスローモーションでリプレイ。(@0:30〜) 

アメンボがガガンボを狩る瞬間を見ていないのですけど、産卵していたガガンボ♀の足が水溜りの底のゴミに絡まって暴れていたら、その波紋を感じて交尾中のアメンボ♀♂が近寄ってきて襲ったのかもしれません。 
この後ガガンボは最終手段として、捕まった脚を自切して逃げるかと期待したのですが、他の水生生物に気を取られてしまった私は最後まで見届けられませんでした。

2026/08/30

池の水面に浮かぶ煮干しに群がるアメンボの謎

 

2026年4月下旬・午後14:30頃・晴れ 

山麓にある池Hで水生生物を定点観察しています。 
餌として持参した煮干しを池に投入してみました。 
煮干しの頭部は予め取り除き、縦半分に裂いてあります。 
水中に煮干しの匂い(出汁)が少しでも拡散しやすくするためです。 

しばらくすると、水面に浮いた煮干しに3匹のアメンボ(種名不詳)が乗っていました。 
アメンボは死んで乾燥した小魚から吸汁したり体外消化したりできないはずですから、ただ水面に浮いた煮干しに乗って休んでいるだけでしょう。 
あるいはもしかすると、乾燥煮干しから水中に溶け出したアミノ酸やミネラル成分をアメンボは口吻で吸汁しているのかもしれません。 
そのまま筏(いかだ)のように、水面を漂っています。 

アメンボは、隣の個体と脚で蹴り合って牽制しているようにも見えましたが、どうですかね?
途中から4匹目の個体が水面を遊泳してきて、煮干しに辿り着きました。 
死んでいる煮干しは暴れて水面に波紋を作りませんから、アメンボが誘引されるはずがありません。 
仲間が集まっているので、興味を持ったのかもしれません。 
いつの間にか水面の煮干しに誘引されたアメンボは1匹増えて、計5匹になっていました。 
それでもアメンボは求愛や交尾を始めなかったので、お見合い場所(レック)でもなさそうです。

やがて春風が吹いて煮干しが傾き、一気に水中へ沈みました。 
池に投入した乾燥煮干しが水を吸って、比重が大きくなったのでしょう。 
煮干しに群がっていたアメンボは、慌てて離脱・解散しました。 




煮干しが池の底に沈むと、たちまちヤマアカガエル(Rana ornativentris)の幼生が群がって食べ始めました。 
煮干しの姿が見えなくなるぐらい多数の黒いオタマジャクシが殺到しています。 
この池でオタマジャクシは強力なスカベンジャー(掃除屋)として死骸を始末してくれます。 

実は、縦に裂いた煮干しの残り半分は先に沈んでいて、オタマジャクシがすでに群がっていました。

池の水面と水中で別々のドラマが繰り広げられている上に、水面には陸地の世界が反射しています。 
MCエッシャーの有名なリトグリフ(版画)『三つの世界』を連想しました。 


つづく→

2026/08/27

春の池を泳ぎ回るクロゲンゴロウが水中でオタマジャクシやミズカマキリとぶつかっても捕食せず

 

2026年4月下旬・午後13:45頃・晴れ 

山麓にある池Hでクロゲンゴロウ(Cybister brevis)が浅い岸辺を活発に泳ぎ回っています。 
餌となる死骸や獲物を探し回っているのでしょう。 
ところが、水中でオタマジャクシ(ヤマアカガエル(Rana ornativentris)の幼生)の群れに次々とぶつかっても、獲物として狩ることはありませんでした。 

次にクロゲンゴロウ成虫は、獲物を待ち伏せしているミズカマキリ(Ranatra chinensis)と衝突しました。 
濁った水中でミズカマキリの長い呼吸管が見えます(赤丸@1:12〜)。
共に捕食者なのに、何事もなく離れました。 
ミズカマキリが前脚の鎌でクロゲンゴロウを獲物として狩るには手強すぎる相手だったのでしょう。
撮影中の私は、ミズカマキリの存在に気づきませんでした。

越冬明けのクロゲンゴロウは、餌ではなく交尾相手の異性を求めて池の中を泳ぎ回っているのかもしれません。
しかし、私はこの池でクロゲンゴロウの求愛や交尾行動をまだ一度も見たことがありません。


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2026/08/20

ヤマアカガエル幼生の利他行動?:マツモムシに捕まって逃れようと暴れる仲間に助太刀

 



2026年4月下旬・午後14:40頃・くもり 

山麓にあるヤマアカガエル(Rana ornativentris)の繁殖池Hでマツモムシ(Notonecta triguttata)とオタマジャクシが死闘を繰り広げていました。 
水面直下でマツモムシが背泳しながら、1匹のオタマジャクシ(おそらくヤマアカガエルの幼生)の尾部を前脚と中脚でがっしり捕まえています。
狩りの瞬間を見ていないのですが、マツモムシに捕まったオタマジャクシ個体はまだ毒液を注入されていないようで、捕食者から逃れようと必死で暴れています。 

興味深いことに、もう1匹のオタマジャクシが参戦しています。 
てっきり、マツモムシがたまたま同時に捕まえた2匹のオタマジャクシが逃れようと暴れているのかと初めは思いました。 
しかし映像をよく見直すとそうではなくて、絶体絶命の仲間を別個体が助けに来たようです。 
下手したら自分の命も危ないのに、そんな危険を冒した利他的な行動が果たしてオタマジャクシであり得るのでしょうか? 
その後も2、3匹のオタマジャクシ個体が次々と助太刀に来て、マツモムシを口でつついています。 
オタマジャクシの口には小さな歯があるらしいので、有効な武器(凶器)にはならなくても、マツモムシの気をそらせることはできそうです。 

マツモムシに尾を掴まれたオタマジャクシ個体は全力で暴れ続け、なんとかマツモムシを振り切って、命からがら逃げおおせることができました! 
一連の助太刀行動を1/5倍速のスローモーションでリプレイしてみると(@0:36〜)、マツモムシが抵抗する獲物を諦めて自発的に手放していました。 


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【考察】 
オタマジャクシの餌が少なくて飢えている場合、傷ついたり弱ったりした仲間がいたら、容赦なく共食いする可能性もあります。 
今回の事例は映像を見る限り、共食いのために集まってきたのではなさそうです。 

Perplexity AIに相談してみると、オタマジャクシは血縁認識するらしいと知って興奮しました。 
命がけで仲間を助ける利他行動を血縁淘汰(血縁選択)で説明できるからです。 
また、オタマジャクシは捕食者に襲われると、周囲の仲間に対して何らかの(化学的)救難信号を放出することが明らかになっているらしい。

仲間が捕食者に襲われていると、周囲の個体は一目散に逃げ出したり、捕食者に気づかれないように動きを止めたりするのが定番の反応です。
しかし今回の事例では、フリーズするどころか一部のオタマジャクシ個体がマツモムシに対して積極的に反撃して仲間の命を救った(ように見えた)のが非常に興味深いです。
オタマジャクシの助太刀行動に再現性があるかどうか、追試する必要がありますね。
助太刀したことで仲間の脱出成功率(生存率)が本当に上がったかどうかまで調べるのは大変そうです。

ヤマアカガエルの幼生は岸辺の卵塊から孵化した後はしばらく、卵塊の近くに留まり、群れを形成しています。 
成長したオタマジャクシは、この時期あまり密集した群れを作らずに少し分散して暮らしていました。 


Q1: オタマジャクシが共食いすることはあるか?

A1: はい、オタマジャクシは**共食いをすることがあります**。ただし、すべての種や状況で起こるわけではなく、餌不足や高密度環境、種によっては「肉食型(共食いモルフ)」が出現するなど、条件に強く依存します。 [natureasia]

## 共食いが起こる条件

- **餌不足・飢餓状態**: 餌が限られていると、同種の個体を栄養源として食べることが報告されています。 [natureasia]
- **高密度環境**: 狭い水たまりに多くのオタマジャクシがいると、競争が激化し共食いの頻度が高まります。 [dandy-animals]
- **種による違い**: 一般的な日本産のアカガエル類などでは、餌が十分あれば共食いはほとんど起きないという観察結果もあります。一方、ツノガエル類など肉食性が強い種では共食いが起きやすく、飼育下では単独飼育が推奨されることもあります。 [dandy-animals]

## 「肉食型(共食いモルフ)」の出現

一部の種(スキアシガエルなど)では、同じ卵塊から生まれた兄弟の中に、**頭や口が大きく鋭い角質歯を持つ「肉食型」**が出現することが知られています。 [natgeo.nikkeibp.co]

- この肉食型は、雑食性の兄弟を捕食して急速に成長し、水たまりが干上がる前に早くカエルになることができます。
- これは「乾きやすい一時的な水たまりで生き残るための適応戦略」と考えられています。 

 

## 血縁認識と共食い回避

面白いことに、一部の種(ヒキガエルなど)では、オタマジャクシが**血縁個体を認識し、兄弟を食べることを避ける**傾向が観察されています。 [jmedia]

- 血縁認識により、共食いのリスクを減らしつつ、外部の個体や他の栄養源を優先的に利用する戦略をとっている可能性があります。



Q2: オタマジャクシが血縁個体を認識できるという話は初耳です。
春の池でマツモムシに捕食されかけたオタマジャクシが逃げようと暴れていて、近くに居た別個体のオタマジャクシが助太刀に来た(ように見えた)事例を観察した。オタマジャクシはマツモムシを振り切って無事に逃げ伸びた。血縁関係の仲間を認識して助けたとすれば利他的な行動を説明できて、とても興味深い。今回のオタマジャクシは、ヤマアカガエルの幼生だと思われる。

A2: 非常に興味深い観察事例ですね!その「助太刀行動」は、**直接的な利他行動(仲間を助けるためにリスクを負う行動)**として解釈できる可能性がありますが、現時点では**ヤマアカガエルを含むオタマジャクシの「血縁認識に基づく利他的助け合い」は、まだ研究報告が限られている領域**です。

## ヤマアカガエルの血縁認識能力

ご指摘の通り、**ヤマアカガエル(Rana ornativentris)のオタマジャクシは、血縁個体を認識できることが確認されています**。 [academist-cf]

- 実験室での行動実験により、**血縁者と非血縁者を区別し、群れる相手を選ぶ能力がある**ことが示されています。 [soken.ac] オタマジャクシは「誰が仲間か」を学ぶ:学習による血縁者識別の可塑性を発見 
- さらに、**血縁関係だけでなく、相手のサイズ(発達段階)も同時に考慮している**ことが発見され、これは世界で初めての報告です。  
- この血縁認識は、**学習によって獲得される可塑性を持つ**ことも明らかになっています(兄弟と非兄弟が混在する環境で育つと、血縁者識別がより強まる)。 [kaken.nii.ac]

## 「助け合い行動」の解釈

ご観察になった「マツモムシへの助太刀行動」は、以下のいずれかの可能性が考えられます。

### 1. 直接の利他行動(血縁選択説に基づく)

血縁個体を認識し、**血縁者の生存確率を高めるために自らもリスクを負う**行動です。

- 血縁者を助けることで、**間接的に自身の遺伝子の残存確率を高める**ため、血縁選択説(kin selection)の観点から進化的に説明可能です。 [kaken.nii.ac]
- しかし、**両生類の幼生で直接的な利他行動(仲間を助けるためにリスクを負う行動)が報告された例は極めて稀**です。

### 2. 群れ行動の副産物

オタマジャクシは**群れることで捕食リスクを低減する**ことが知られています。

- 暴れた個体の動きが周囲の個体を刺激し、結果として**群れ全体が逃げる行動**になった可能性があります。
- この場合、「助太刀」というよりは、**群れ行動の連鎖的反応**として解釈できます。 [soken.ac]

### 3. 偶然の一致

- 暴れた個体がマツモムシの注意を引きつけ、その隙に近くの個体が逃げた。
- 結果として「助太刀」に見えたが、**実際にはそれぞれの個体が独立して逃げた**可能性もあります。

## 今後の研究の可能性

ご観察のような事例は、**両生類の幼生における直接的な利他行動の存在**を示唆する非常に貴重なデータです。

- 現在、**血縁認識と社会的選好性の発達変化**については研究が進んでいますが、**「助け合い行動」そのものについては、まだ系統的な研究が十分ではありません**。 [academist-cf]
- このような野外観察事例を記録し、さらに追跡調査(血縁関係の確認、反復観察、行動実験など)を行うことで、**両生類の社会行動の進化に関する新たな知見**が得られる可能性があります。

## まとめ

- **ヤマアカガエルのオタマジャクシは血縁個体を認識できる**ことが確認されています。 
- しかし、**血縁者を助けるための直接的な利他行動**が確認された例は、まだ研究報告が限られています。
- ご観察の事例は、**「血縁認識に基づく助け合い行動」の存在を示唆する非常に興味深い事例**であり、今後の研究でさらに検証される価値があると考えられます。

もし可能であれば、**日時・場所・水温・個体数・個体のサイズ差・血縁関係の有無(同一卵塊由来かどうか)**などの詳細を記録しておくと、将来の研究や論文報告に役立つ可能性があります。

Q3: 捕食者に襲われているオタマジャクシ個体は、周囲の仲間に対して何らかの(化学的?)救難信号を出しているだろうか?

A3: 非常に鋭い仮説です!実は、**オタマジャクシが捕食者に襲われた時に化学的な「救難信号(アラームフェロモン)」を放出する**という現象は、**2009年に初めて実証的に報告されました**。 [pubmed.ncbi.nlm.nih](https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/19470366/)

Google Scholarで検索すると、幸い全文PDFが無料でダウンロードできました。
FRAKER, Michael E., et al. Characterization of an alarm pheromone secreted by amphibian tadpoles that induces behavioral inhibition and suppression of the neuroendocrine stress axis. Hormones and behavior, 2009, 55.4: 520-529.

## アラームフェロモンの発見

2009年、Frakerらによる研究で、**北米のアカガエル科(Ranidae)のオタマジャクシ**において、以下のことが明らかにされました。

- オタマジャクシの**皮膚細胞**がアラームフェロモンを生成し、**捕食者による攻撃時に積極的に分泌される**。
- この化学物質は水中に拡散し、**周囲の同種個体に「捕食者がいる」という信号を伝える**。 
- アラームフェロモンを感知した個体は、**遊泳活動を即座に低下させ**、捕食者の注意を引かないようにする。
- さらに、**ストレス応答軸(HPA軸)の活動が抑制され**、コルチコステロン(ストレスホルモン)の分泌が減少する。

これは、**水生脊椎動物の被食者が、捕食者攻撃に応じて積極的にアラームフェロモンを分泌する**ことが初めて証明された事例です。

## 化学信号の種類

オタマジャクシが利用する化学信号には、主に2種類あります。

| 化学信号の種類 | 名称 | 放出源 | 機能 |
|----------------|------|--------|------|
| **カイロモン** | 捕食者由来の化学物質 | 捕食者の匂いや糞 | 捕食者の存在を間接的に感知 |
| **アラームフェロモン(傷害シグナル)** | 被食者由来の化学物質 | 襲われた個体の皮膚分泌物や組織 | 直接的な捕食攻撃を周囲に警告 |



## 種による反応の違い

ただし、**すべてのカエル種でアラームフェロモンへの反応が確認されているわけではありません**。

- **アカガエル科(Rana属など)**: 明確な行動抑制反応が確認されている。 (https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/19470366/)
- **ヒキガエル属(Bufo属)**: 皮膚分泌物への反応は弱く、捕食者が同種を食べている時の化学物質の方が強い反応を示す。(https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/22972229/)
- **ヤドクガエル科の一部種**: 同種の傷害シグナルには反応するが、他種には反応しないなど、種特異的な認識システムを持つ。 (https://link.springer.com/article/10.1007/s10682-023-10275-z)

## ご観察事例への解釈

ご観察になった「マツモムシに襲われているオタマジャクシが暴れ、周囲の個体が助太刀に来た(ように見えた)」事例は、以下の可能性が考えられます。

### 1. アラームフェロモンによる集合行動

- 襲われた個体がアラームフェロモンを放出し、周囲の個体がそれを感知。
- 通常は「活動低下・隠れ行動」が報告されていますが、**種や状況によっては「集合して防御する」行動**が誘発される可能性もあります(群れ防御戦略)。

### 2. 物理的刺激による連鎖反応

- 暴れた個体の動きや水の流れが周囲の個体を刺激し、結果として**群れ全体が反応した**。

### 3. 捕食者への対抗行動(群れ防御)

- 集合することで**捕食者を威嚇**したり、**捕食者の攻撃精度を低下させる**(「捕食者誘引仮説」の逆)。 [pubmed.ncbi.nlm.nih]

## 今後の研究の方向性

- **ヤマアカガエルの幼生でアラームフェロモンが確認されているか**:現時点では、ヤマアカガエル(Rana ornativentris)でのアラームフェロモンに関する直接の研究報告は見当たりませんでした。
- **種特異的な反応の検証**:同種・異種の傷害シグナルに対する反応を比較する実験が有効です。 [link.springer]
- **行動実験のデザイン**:襲われた個体の周囲の水を採取し、その水に他の個体を曝露して行動変化を調べる実験が可能です。 [pubmed.ncbi.nlm.nih]

## まとめ

- **オタマジャクシは捕食者に襲われると化学的なアラームフェロモンを放出する**ことが、アカガエル科などで実証されています。 [pubmed.ncbi.nlm.nih](https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/19470366/)
- この信号は周囲の同種個体に捕食リスクを警告し、**行動抑制や防御形態の誘導**につながります。 [pubmed.ncbi.nlm.nih](https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/19470366/)
- ご観察の「助太刀行動」は、**アラームフェロモンを介した社会的反応**の可能性があります。ただし、それが「積極的な助け合い」なのか「防御的な集合行動」なのかは、さらなる検証が必要です。

非常に興味深い観察事例であり、**両生類の社会的行動と化学コミュニケーションの進化**に関する重要な手がかりになる可能性があります。


Q4: 助太刀に来たオタマジャクシは、自分の口でマツモムシの体をつついた。歯で噛んだかどうか不明だが、少なくとも天敵の気をそらせる効果はありそう。周囲で泳いでいたオタマジャクシの全個体がモビング(擬攻撃)のように一斉に助太刀をしたのではなく、ごく一部の個体だけがマツモムシに立ち向かった。 

A4: 非常に貴重な観察記録ですね!「**ごく一部の個体だけが助太刀をした**」「**口でマツモムシをつついた**」という点は、従来の「捕食者回避行動(隠れる・逃げる・群れる)」とは異なる、**能動的な対抗行動**として非常に興味深いです。

## 観察事例の特徴

ご観察の事例には、以下の特徴があります。

1. **限定的な参加**: 周囲の個体全員ではなく、ごく一部の個体だけが助太刀に参加した。
2. **能動的な攻撃**: 単に逃げたり隠れたりするのではなく、**マツモムシを直接つつく**ことで、捕食者の注意をそらした。
3. **捕食成功阻止**: 結果として、被害を受けかけていた個体は逃げ延びた。

## 既知の行動との比較

### 従来のオタマジャクシの対捕食者行動

- **行動変化**: 捕食者の化学物質(カイロモン)を感知すると、**活動量を低下させ、隠れ行動をとる**。
- **形態変化**: 捕食者の種類に応じて、**尾鰭を高くする**(ヤゴに対して)または**頭胴部を膨らませる**(サンショウウオ幼生に対して)。
- **群れ形成**: 血縁個体や同サイズの個体と群れることで、**捕食リスクを分散する**。

### ご観察事例との違い

| 従来の行動 | ご観察事例 |
|------------|------------|
| 受動的回避(逃げる・隠れる) | **能動的対抗**(捕食者を直接つつく) |
| 全個体が反応 | **一部の個体のみ反応** |
| 自己防衛 | **他個体の防衛を助ける** |

## 解釈の可能性

この事例は、以下のいずれかの可能性が考えられます。

### 1. **利他的行動(血縁選択説に基づく協力)**

- 血縁個体を認識し、**自身の遺伝子の残存確率を高めるためにリスクを負って助ける**。
- ただし、**オタマジャクシで直接的な利他行動が報告された例は極めて稀**です。
- 「一部の個体のみ参加」という点は、**血縁者のみが反応した**可能性と整合します。

### 2. **自己防衛の副産物**

- マツモムシが近くにいることを感知し、**自身の危険回避のために攻撃した**(捕食者を追い払うことで、間接的に被害個体も助かった)。
- この場合、「助太刀」は**結果論**であり、直接的な利他行動ではありません。

### 3. **攻撃的モビング行動の萌芽**

- 鳥類や哺乳類で知られる「**モビング(捕食者を囲んで威嚇・攻撃する行動)**」の原始的な形態。
- ただし、**両生類の幼生でモビング行動が報告された例はありません**。
- 「一部の個体のみ参加」という点は、**リスクを負える個体(大型・発達段階が進んでいる)のみが参加した**可能性と整合します。

### 4. **偶発的な行動の連鎖**

- 被害個体の暴れやアラームフェロモンに反応した個体が、**偶然マツモムシの近くを泳ぎ、口が触れた**。
- 結果として「つついた」ように見えたが、**意図的な攻撃ではなかった**可能性もあります。

## 学術的意義

ご観察の事例は、**両生類の幼生における「協力行動」または「対抗的防衛行動」の存在**を示唆する非常に重要なデータです。

- 現在、オタマジャクシの対捕食者行動研究は、**「受動的回避(逃げる・隠れる・形態変化)」**に焦点が当てられています。
- **「能動的な対抗行動(捕食者を直接攻撃する)」**が報告された例は、極めて稀です。

## 今後の検証の方向性

もし可能であれば、以下の点を記録・検証することで、より深い理解が得られる可能性があります。

1. **血縁関係の確認**: 助太刀した個体と被害個体が同一卵塊由来かどうか。
2. **個体のサイズ差**: 助太刀した個体が、他の個体よりも大型か(リスクを負える個体か)。
3. **反復観察**: 同様の事例が再現されるか(偶然ではなく、意図的な行動か)。
4. **行動実験**: 実験室でマツモムシとオタマジャクシを同居させ、同様の行動が観察されるか。

## まとめ

ご観察の「マツモムシへの助太刀行動」は、**従来のオタマジャクシの対捕食者行動(受動的回避)とは異なる、能動的な対抗行動**として非常に興味深いです。

- 「一部の個体のみ参加」という点は、**血縁者選択・リスク評価・発達段階の違い**などの要因が関与している可能性があります。
- この事例は、**両生類の社会的行動と協力行動の進化**に関する新たな知見をもたらす可能性があり、非常に貴重な観察記録です。










2026/08/15

池でヤマアカガエルの幼生を抱えて吸汁するマツモムシ

 

2026年4月下旬・午後13:50頃・晴れ 

沢の水が貯まった山麓の池Hで、異形の生物を見つけて気になりました。 
カメラでズームインしたら、オタマジャクシを捕食中のマツモムシ(Notonecta triguttata)でした。 
左右の前脚と中脚で獲物をしっかり抱え、残りの後脚でオールのように水を漕いで水面直下をゆっくり背泳しています。 
餌食となったオタマジャクシは、早春にいち早く産卵したヤマアカガエル(Rana ornativentris)の幼生ではないかと思うのですが、どうでしょうか。 
獲物はもう死んでいるのか、あるいはマツモムシに毒液を注入されて麻痺しているのか、逃れようと暴れませんでした。 

吸汁(体外消化)しながらマツモムシが自発的に向きを変えてくれました。 
しかし正面から見ても、獲物に突き刺しているはずの口吻はしっかり見えませんでした。 

同じ池で暮らす肉食性のクロゲンゴロウが水中に拡散する血の匂いを嗅ぎつけて殺到したり獲物を強奪したりするかと期待したのですが、ライバルは現れませんでした。 



前回はしっかり観察できなかったので、ようやく宿題がひとつ片付きました。 
次回はマツモムシが狩りをする瞬間を撮影してみたいものです。





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2026/05/16

秋の山林でゆっくり鳴いているミンミンゼミ♂♪

 

2024年10月上旬・午後13:50頃・くもり・気温22℃ 

里山の山肌をクネクネと登る峠道の峠付近で、1匹のミンミンゼミ♂(Hyalessa maculaticollis)が横の山林で鳴いていました。 
秋になってセミの季節は終わりかけ、もうチッチゼミ♂でさえ鳴いていません。 
最後まで生き残ったミンミンゼミ♂個体が、死ぬ前に力を振り絞って鳴いているのかもしれません。 

姿も見えないのに、どうして動画に撮ったかと言うと、ミンミンゼミにしてはかなりのスローテンポで鳴いていたのが気になったからです。
秋になってもまだ肌寒くはなく、気温の低下が原因ではありません。 
寿命が近い個体の老化現象なのでしょうか?  
それとも、この地域個体群の方言なのかな? 


※ 鳴き声が聞き取れるように、動画編集時に音声を正規化して音量を強制的に上げています。 


ミンミンゼミが鳴く動画は過去に何本も撮っているのですが、気温を測っていませんでした。 
これからは忘れずに気温も記録することにします。
鳴くテンポの違いを聴き比べてみてください。 

関連記事(2、3、6、12、14、15年前の撮影)▶  

2026/04/07

スギ林の雪面で仮死状態になっていたツヤアオカメムシ(休眠越冬中)

2025年1月上旬・午後13:10頃・晴れ 

平地のスギ林の雪面に黄緑色の虫が腹面を向けて転がっていました。 
裏返してみると、ツヤアオカメムシ(Glaucias subpunctatus)の成虫でした。 
指で触れたり手のひらに乗せてみても、仮死状態(低温麻痺)で動きません。 
今思うと、採集して持ち帰り、室温で蘇生することを確認すべきでしたね。 


ツヤアオカメムシは、主にスギやヒノキの生木の葉裏、樹皮の隙間、落葉や枯れ葉の間などで集団越冬することが知られています。 
現場はスギ防風林の林縁だったので、越冬場所の樹皮が剥がれたり、樹上からの落雪と一緒に落ちてきた落葉落枝にツヤアオカメムシが紛れていたのだろう、と推理できます。 
完全に休眠する訳ではなく、気温が上がると移動することがあるそうなので、移動中に雪面で動けなくなった(うっかり行き倒れた)可能性もありそうです。 

本ブログでツヤアオカメムシは初登場になります。 
元来、西日本などの暖地性の種でしたが、近年は温暖化の進行と共に北上しているらしい。 
山形県内でも、内陸・沿岸部ともに果樹害虫としての発生報告や、冬季の成虫の確認例が既に蓄積されているとのこと。 
「主にスギやヒノキなどの針葉樹林に生息し、秋にはミカンやカキなどの果樹園に飛来します。」 
すぐ近くにはカキノキとアンズの果樹が1本ずつ並んで植栽されていたので、ますます辻褄が合います。


Gemini AIに質問しながら記事を書きました。
ツヤアオカメムシは、主にスギやヒノキの生木の葉裏、樹皮の隙間、落葉や枯れ葉の間などで集団で越冬します。11月頃に山間部から人里へ移動し、暖かい日には飛ぶなど活動することもあります。市街地では街路樹や生け垣も越冬場所になります。 

詳細な越冬場所と生態 
自然環境: 常緑樹(特にスギ、ヒノキ)の生い茂った葉の裏、枯れ葉が積み重なった場所、石の下など。 

冬の行動: 12月頃から冬眠に入り、翌年3月頃に活動を再開する。暖かい日には活動することがある。 

特徴: 寒さに強く、冬でも山間部や人里の樹木で生き残る。近年は暖冬の影響で越冬できる個体が増えている可能性がある。 屋内への侵入: クサギカメムシほどではないが、家屋の隙間やカーテン、衣類の隙間などで越冬することもある。なお、カメムシの大量発生が直接大雪の予兆になるという科学的根拠はありません。

2026/02/27

草むらから次々に飛んで逃げるツマグロオオヨコバイの大群【FHD動画&ハイスピード動画】

 

2024年9月中旬・午後12:35頃・晴れ 

里山で斜面の草地をトラバースする細い山道があります。
私ぐらいしか通るヒトが居ないので、左右に蔓延る雑草に踏み跡が埋もれそうになっています。 
そんな獣道を薮漕ぎのように私が強引に進むと、周囲の草むらから小さな虫が次々に飛んで逃げ出します。 
その虫の正体は、ツマグロオオヨコバイ(Bothrogonia ferruginea)でした。 


次々に飛んで逃げるツマグロオオヨコバイを240-fpsのハイスピード動画でも撮ってみました。(@0:36〜) 
これほど多数の個体が草むらに潜んでいたとは驚きですが、別に異常な大発生という訳ではありませんし、害虫でもありません。
長距離は飛べないようですけど、私から少し飛んで逃げると、近くの葉の上に着陸します。 



体色が黄緑色なので(保護色)、天敵が追いかけて捕食しようとしても、草むらに紛れたツマグロオオヨコバイを見つけるのは至難の業でしょう。 
しかも、ツマグロオオヨコバイは葉裏に素早くクルッと回り込んで隠れるのも得意です。 

関連記事(5ヶ月、12年前の撮影)▶  

飛ぶ昆虫を捕獲するために獣道を通せんぼするように草間に造網しているクモも居るのですが(@2:45〜2:55)、実際に網にかかっているツマグロオオヨコバイを見かけることはありませんでした。
青森市郊外の雑草地を歩いたときのことだ。イタドリが背丈ほどまで伸びていた。わたしはイタドリの茎をかきわけながら進んだ。と、慌てたツマグロオオヨコバイが一斉に飛び立った。そのとき、飛びながら一斉におしっこをしたのである。(東奥日報社:あおもり昆虫記より引用)
スーパースローの映像を見直しても、ツマグロオオヨコバイが飛びながら排尿するシーンは残念ながら撮れていませんでした。 


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2026/02/09

ツルウメモドキに群がるキバラヘリカメムシ成虫と幼虫の謎(子守仮説と日光浴仮説)

 

2024年10月上旬・午後15:45頃・晴れ 

郊外に広がる田んぼ(刈田)の真ん中に、木が生えた小山がなぜか残っています。 
その林縁に聳え立つオニグルミの大木に蔓植物のツルウメモドキが巻き付き、垂れ下がっていました。 
ツルウメモドキの果実は熟すと赤くなるのですが、この時期の果実はほとんどがまだ緑色で、一部が少し熟して黄色くなっているだけです。 

ツルウメモドキの葉のあちこちに初見のカメムシが群がっていました。 
「ツルウメモドキに集まるカメムシ」でネット検索すると、すぐにキバラヘリカメムシ(Plinachtus bicoloripes)と判明。 
ツルウメモドキの葉表で成虫と幼虫が一緒に集まっていますが、葉で吸汁している訳ではありません。 
緑の葉だけでなく、茶色に枯れて丸まった葉にも群がっていました。
幼虫の成長具合はまちまち(不揃い)で、おそらく4〜5齢と思われます。 
集合したキバラヘリカメムシの幼虫は緩慢に動き回り、互いに近づき過ぎると脚を伸ばして牽制し合っています。 

一部の個体は群れから離れ、ツルウメモドキの未熟果から吸汁しているようですが、背側から撮っても口吻を突き刺しているかどうかはっきり見えません。 
なんとか横から吸汁シーンを接写したかったのですが、秋風でツルウメモドキが絶えず揺れるので困難でした。 
ツルウメモドキの未熟果に来たキバラヘリカメムシ幼虫は共に黄緑色なので、保護色:隠蔽擬態になっています。 
大きさを比べると、キバラヘリカメムシ幼虫の方がツルウメモドキ果実よりもやや小さかったです。 

群れを形成している成虫と幼虫は親子なのでしょうか? 
しかし辺りを探すと、幼虫だけの群れや成虫の単独個体も見つかりました。 
カメムシの中には母親♀が我が子をガード(子守)する種がいることを思い出しました。 


てっきりキバラヘリカメムシも子守をしているのかと思い葉に触れてみたら、一目散に我先に逃げ出すだけでした。 
カメムシを接写しながら、ツルウメモドキの枝葉が風に揺れないように左手で持って押さえると、異状を感じたキバラヘリカメムシたちは葉裏に歩いて移動し、どんどん隠れてしまいます。 
葉をめくってしつこく接写すると、葉表に戻って隠れようとします。 
ポトリと擬死・落下する個体もいました。(@x:xx〜)

撮影中は気づかなかったのですが、キバラヘリカメムシ幼虫の抜け殻(脱皮殻)が写っていました。(@x:xx〜) 

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【考察】 
キバラヘリカメムシの産卵様式は詳細に記載されておらず、 卵塊を形成するか、少数卵または単卵で分散産卵するかは不明である。 
卵塊探索が困難であることは、分散産卵の可能性とも整合的である。
 「キバラヘリカメムシは、青リンゴのような匂いを放つ」らしいのですが、撮影時には何も匂いを嗅ぎ取れませんでした。 

日光浴仮説 


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2025/12/31

トレイルカメラのザトウムシ対策で粘着トラップを試してみる(その4)マダラカマドウマやツノアオカメムシなども捕捉


前回の記事:▶ トレイルカメラのザトウムシ対策で粘着トラップを試してみる(その3)ザトウムシの歩脚を捕獲 


2024年10月上旬 

平地の二次林でニホンアナグマの営巣地(セット)を監視する2台のトレイルカメラに夜な夜な写り込んで撮影の邪魔をするザトウムシが近づけないように、自家製の粘着トラップを試しに設置しています。 

ミズキ灌木の幹で監視カメラWの上下に巻いた粘着テープ(ガムテープ)に、今回は過去最多の虫が付着していました。 
この期間は雨が少なくて、テープの粘着性が落ちなかったのかもしれません。


新顔の虫としてまず気になったのは、マダラカマドウマ(Diestrammena japanica)です。 
地面から登って来たカマドウマが、粘着テープに捕らえられて動けなくなった脚を自切して、なんとか逃げのびたようです。 
自切した脚だけでなく、長い触角も粘着テープにへばり付いていました。 
本種は樹液酒場でも見られるため、ミズキの樹液を吸汁しに木登りしていたのかもしれません。 

関連記事(10年前の撮影)▶ 夜にミズナラの樹液を吸うマダラカマドウマ♀ 

以前このミズキ灌木の幹に尖ったドライバーをうっかり刺してしまったとき、傷口から透明なサラサラした液体が溢れるように流れ落ち、さすが水木の名前通りだと感心しました。

アナグマが掘った2つの巣穴L、Rには穴居性のカマドウマが群れで居候していることが後に明らかになります。(映像公開予定)
もしかすると、そこで育ったカマドウマの一部が巣穴の横に生えているミズキの木に登って来たのかもしれません。


本命のザトウムシ(種名不詳)は、自切した歩脚を粘着トラップに残して逃げた個体もいれば、全身がへばりついて逃げられなかった個体もいました。
ザトウムシは上のテープにも下のテープにも付着しており、(常識的な予想に反して)樹冠から降りてきた個体も多いことを示唆しています。
あるいは別の解釈として、地面から幹を登ってきたザトウムシが下側の粘着トラップを歩脚の自切でなんとか突破できたものの、次に待ち構えていた上側の粘着トラップからは逃れられなかったのかもしれません。
どちらの解釈が正しいか確かめるには、ライブカメラで粘着トラップをひたすら監視するか、飼育下で実験するしかなさそうです。

そもそも、どうしてザトウムシがトレイルカメラに集まって居座るのか、謎のままです。
通常光の照明なら夜に虫が走光性で引き寄せられますから、その獲物を狙って肉食性のクモも集まって来るのは納得できます。
しかしトレイルカメラは夜に可視光ではなく赤外線を照射するだけです。
動画撮影の度に発熱するカメラの、ほのかな暖かさが好きなのかな?
 
前回(シリーズその1)と同じく、 ヒメマダラエダシャク(Abraxas niphonibia)らしき蛾の幼虫も1匹だけ下側の粘着テープに捕らえられ死んでいました。
イラガ(Monema flavescens)の古い繭もミズキ灌木の幹に付着したまま残っていましたが、今回の本題とは関係ありません。 


別の監視カメラNを固定した落葉性灌木(樹種不明)の幹に巻いた粘着テープを調べてみると、少数の虫しか付着していませんでした。 
上側のテープにはオオナミザトウムシ(Nelima genufusca)?が1匹だけ丸ごとへばり付いていました。
やはり樹冠から幹を伝って下に降りてきたのでしょうか。
この灌木には木質の蔓(種名不詳)が巻き付いていて、徘徊性の虫が粘着トラップを回避できる迂回ルートになっている可能性があります。
 
下側の粘着テープにはツノアオカメムシが1匹、付着していました。 
背中に寄生バエの白い卵が産み付けられています。
このツノアオカメムシについては、指で触れてみて死んでいることを確認しました。
下側の粘着テープの反対側に回り込むと、種名不詳のカメムシが1匹、付着したまま死んでいました。 
死骸の体は捕食者(おそらく鳥またはアリ?)に食べられていて損傷が激しく、私にはカメムシの種類を同定できませんでした。
こうして写真を並べて見ると、なかなか悪趣味な昆虫採集ですね。
それでも地道に記録を残すことで、少しでも罪滅ぼしになるかもしれません。 
トレイルカメラでは原理的に恒温動物(温血動物)の活動しか記録されません。
粘着トラップによって、トレイルカメラでは見落としてしまう、この森の昆虫相が少しだけ垣間見えてきます。

トレイルカメラの保守作業を終えると、粘着トラップを上下とも交換して(ガムテープを裏返し粘着面を上にして幹に巻き直し)帰りました。 




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2025/12/12

オカウコギの枝に形成された虫こぶ:ウコギハグキツトフシ

2024年9月下旬・午後 

河畔林を探索していたら、気になる虫こぶを見つけました。 
まずは樹種を調べないといけません。
ヒメウコギの灌木かと思いきや、枝にトゲがない点が気になります。 
Google Geminiに画像認識してもらうと、在来種のオカウコギだろうと教えてもらいいました。 

Q: 9月下旬に山形県の河畔林で撮った幼木(低木)の写真です。この樹種の名前を知りたい。素人目にはウコギと似ていると思ったのですが、枝に棘はありませんでした。 

A: 写っている植物は、トゲがないという特徴からオカウコギの可能性が高いと考えられます。 オカウコギはウコギ科ウコギ属の落葉低木で、以下のような特徴があります。 葉: 掌状複葉で、通常5枚の小葉からなります。小葉の先端半分には粗い鋸歯(ぎざぎざ)があり、これがヤマウコギとの区別点の一つとされています。 棘: 枝には通常、太い棘がありますが、個体や生育環境によっては棘がない場合もあります。ご指摘の通り棘がない個体も存在します。 分布: 日本の本州(東北以南)、四国、九州などの丘陵や山地の林内、河畔林などに自生します。山形県南部での発見は分布域と一致します。 利用: 新芽は山菜として食用にされ、古くから垣根としても利用されてきました。 類似する樹種にはヤマウコギやヒメウコギなどがありますが、葉の鋸歯の形状や花の色の違いなどで区別されます。 


謎の虫こぶ(虫えい、ゴール)の特徴を書き出してみると、こんな感じです。 
形成場所: オカウコギ?の新梢(樹皮が緑色の若い横枝)。 
形状: 不定形で歪なこぶ状。 
色: 緑色。 


『虫こぶハンドブック』で調べてみると、ウコギハグキツトフシだろうと分かりました。
形成者: ウコギトガリキジラミ Trioza ukogi 
形状: 葉柄や小葉の基部、ときに花柄や果実に形成される閉鎖型の虫えい。表面平滑で緑〜黄緑色。内部に1〜数個の虫室がある。1虫室1幼虫 
生活史: 成虫で越冬し、春に枝に産卵。幼虫が葉柄などに定位し、虫えいが形成される。2齢で越夏し、秋から急に成長が進み、10月に虫えいが裂開し羽化。  (p52 より引用)
「ウコギハグキツトフシ」とは呪文のような長い名前ですが、虫こぶ(ゴール)の和名の命名規則は分かりやすくできています。
**「宿主植物名」+「形成部位(葉・実など)」+「形状・特徴(フシ、タマ、ツボなど)」+「フシ(こぶ)」**という構成が基本で、これによって虫こぶの見た目や寄生場所が分かるように名付けられています。
つまり、「ウコギハグキツトフシ」をあえて漢字で書けば「五加木・葉茎苞・付子 」となります。
「ウコギ歯茎ツトフシ」ではありません。


ウコギトガリキジラミの詳しい生活史について、Gemini AIに質問してみました。

ウコギトガリキジラミの詳しい生活史はあまり多くの情報源で詳細に解説されていませんが、いくつかの生態的特徴が知られています。 越冬 ウコギトガリキジラミは、ウコギの葉柄や小葉の基部に形成した虫こぶ(ウコギハグキツトフシ)の中で幼虫として越冬します。 羽化と産卵 羽化のシーズンは地域によって異なりますが、日本では10月中旬ごろに虫こぶから羽化して成虫になると予想されています。 成虫は羽化後、次の世代の産卵のために活動します。 サイクル 成虫は冬を越し、翌春にウコギの新芽に産卵すると考えられます。 孵化した幼虫は、吸汁しながら植物組織の異常成長を誘導し、夏から秋にかけて虫こぶを形成・成長させます。 そして秋になると虫こぶの中で成長した幼虫が成虫へと羽化し、このサイクルを繰り返します。 成虫の翅(はね)には、トガリキジラミ科特有の翅脈のパターンがあります。虫こぶを作るキジラミは成虫を見つけるのが難しいことが多いため、羽化時期に虫こぶを採取して観察ケースに入れると、成虫を確認できる可能性が高まります。 

【参考サイト】 ウコギトガリキジラミ 五加尖木虱 by yamasanae さん


私もその場で虫こぶを切開してみて、中を調べるべきでしたね。
成虫が羽化するには、時期がまだ少し早かったようです。


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2025/12/01

水溜りを泳ぎ回るヤマカガシはアメンボなど水生昆虫を捕食するか?

 

2024年9月上旬・午後12:28〜13:08・気温24.5℃ 

トレイルカメラの保守作業のために、里山に登って、湧き水や雨水の溜まった湿地帯に来ました。 
現場入りした私が静かに電池交換などの作業を始めると、干上がりかけた水溜まりSの方から水音が聞こえてきました。 
てっきりカエルやオタマジャクシが水溜りで跳びはねているのかと思いきや、ヘビが入水していました! 
ヤマカガシ(Rhabdophis tigrinus)です。 
素人目にはなんとなく、まだ少し若い個体のような気がするのですけど、どうでしょうか? 

関連記事(8年前の撮影)▶ 水路を泳いで渡るヤマカガシ 


ヤマカガシは蛇行して水溜まりや岸辺の泥濘を右往左往しています。 
9月の水溜りには、ヘビの獲物となるオタマジャクシやカエルはもう1匹も居ません。 
どうやらアメンボなどの水生昆虫を狙って狩りをしているようです。 
ヤマカガシが目の前の獲物に襲いかかる瞬間を1.5倍に拡大した上で1/5倍速のスローモーションでリプレイ。 
射程距離に入ると突進して噛みつこうとしますが、何度やっても水面のアメンボはピョンピョン跳んで素早く逃げてしまいます。 
よく見ると、アメンボが逃げ出す動きに反応して襲っていることが分かりました。
表面張力を利用して水面に浮いているアメンボは、獲物を捕るために足先の感覚毛で波紋を敏感に感じています。
ヘビが水溜りで少しでも動くと波紋が立ちますから、どうしてもアメンボに気づかれて逃げられてしまうのです。
長い胴体を使ってヤマカガシがアメンボをゆっくりと囲い込み(アメンボの行く手を塞ぎ)、待ち伏せしている顔の方へ誘導する作戦を試みても、アメンボはヘビの胴体をピョンと跳び越えて脱出してしまいます。 
結局、狩りが成功して水生昆虫を捕食するシーンは一度も撮れませんでした。 

ヤマカガシがアメンボに襲いかかるかどうかは、とても気まぐれです。 
せっかく目の前にアメンボが近寄って来たり通り過ぎたりしても、ヤマカガシは知らん顔でやり過ごすことが多いです。 
襲ってもどうせ逃げられると分かり、諦めているのでしょうか。

浅い水溜りを蛇行するヤマカガシの右横で丸っこい小型の水生甲虫(ミズスマシ?)が慌てて潜水すると、水底のデトリタスに隠れました。(@10:40〜) 

活動中のヤマカガシが口を開閉したのは欠伸でしょうか? 
なんとも可愛らしい映像が撮れました。(@0:35、0:43〜) 
Perplexity AIに尋ねてみると、ヘビもアクビをするそうです。
ヤマカガシを含むヘビは欠伸をすることがあります。欠伸はヘビなど多くの脊椎動物に見られ、あくびとも呼ばれ、口を大きく開けて呼吸を整えたり、顎の筋肉をほぐしたりする行動です。特に捕食や休息の前後、または体温調整の一環として行われると考えられています。 ヤマカガシの求愛や警戒行動の中であくびが観察されることがあり、他のヘビと同様に生理的な意味を持っています。そのため、欠伸は単なる疲労サインだけでなく、体調維持や環境への適応行動の一部とみなせます。[2] 

撮影の合間に木陰で測った気温は24.5℃でした。 
ヘビが浸っている水溜りの水温を実際に測るべきだったのですが、この日に限って長靴を履いて来なかった私は、泥で靴が汚れるのが嫌で水溜りに近づけませんでした。 
こういうときこそ、離れた位置からも温度が測れるレーザー式のデジタル温度計が必要ですね。 
もし携行していれば、水温だけでなくヤマカガシの体温も測れたはずです。 
同じ水溜りでも日陰の部分と日向の部分では水温が微妙に違うのかもしれません。 
しかし映像を見る限り、ヤマカガシは水溜りの中で日向・日陰のいずれかを特に好んで留まる訳ではなさそうです。 
ヒトが暑いサウナと水風呂を交互に入るのと同じように、ヘビも日向と日陰に出入りして自分で体温調節しているのかもしれません。

泥濘を蛇行したり水溜りを泳いだりするヤマカガシがあまりにも美しく、夢中になって動画を撮りまくりました。 
これほど長時間ヘビを観察できたのは初めてかもしれません。 
さすがに飽きてきたので、水場を監視するトレイルカメラでも軽く撮影してみました。 
その映像が冒頭のシーンです。
(これだけ動画素材を撮影順から入れ替えました。) 
私が愛用しているデジカメは最近ズームの調子が悪くて現場の状況を引きの絵で撮れなかったので、代わりにトレイルカメラの映像を冒頭に差し込みました。
その後、トレイルカメラを監視モードに切り替えて私が現場を立ち去ると、水溜まりSの中に浸っているヤマカガシの活動はもう録画されていませんでした。 
爬虫類は変温動物ですから、いくら活発に蛇行してもトレイルカメラの熱源センサーが反応しないのです。 

せっかく三脚があるのですから、固定した定点カメラでヤマカガシが水溜りSの中を蛇行する様子をタイムラプス撮影(インターバル撮影)すれば面白かったかもしれません。 


【考察】
動画の他に写真でもヤマカガシを撮ったのですが、フラッシュを焚いたら目が光を強く反射していました。 
てっきりヤマカガシにもタペータムがあるのかと思いきや、Google AIによれば違うそうです。
フラッシュ撮影時にヤマカガシの目が光って見えたとのことですが、これはタペータム(輝板)によるものではなく、角膜の外側にある透明な膜(眼鏡板)への光の反射と考えられます。 ヤマカガシを含むヘビの仲間には、一般的にタペータムは存在しないと考えられています。 ヘビの目の特徴と目の反射 まぶたがない: ヘビにはまぶたがなく、常に目を開けた状態のように見えます。その代わりに、目全体が「眼鏡板(スペクタクル)」と呼ばれる透明なウロコで覆われています。 タペータムの有無: タペータムは、犬や猫などの多くの夜行性動物が持つ反射層で、わずかな光を効率よく利用するために光を反射させる役割があります。しかし、多くのヘビはタペータムを持っていません。 フラッシュ撮影時の反射: 昼夜を問わず、ヘビの目にフラッシュの光が当たった際に光って見えるのは、この目の表面を覆う眼鏡板が光を反射しているためです。 ヘビの目は独特な構造を持っており、視力はあまり良くないと言われていますが、その代わりにピット器官(赤外線感知器官)などで周囲の情報を補っています。

 

ヘビの角膜の外側にある透明な膜(眼鏡板)は、鳥の瞬膜と異なります。両者は機能は似ていますが、解剖学的・進化的な起源が異なる別の器官です。 眼鏡板と瞬膜の違い 特徴 ヘビの眼鏡板 (Brille, Spectacle) 鳥の瞬膜 (Nictitating membrane) 構造 動かない透明なウロコ状の皮膚。上下のまぶたが融合してできたものに由来する。 半透明の薄い膜状の「第三のまぶた」。 動き まったく動かない。脱皮時に一緒に剥がれ落ちる。 目頭から目尻へ水平方向に素早く動く。 役割 まぶたの代わりとして常に目を保護し、乾燥を防ぐ。 まばたきのように角膜表面を潤し、破片から目を守る「ワイパー」や「水中メガネ」のような役割。 起源 上下のまぶたの融合。 脊椎動物が持つ第三のまぶた。 まとめると、鳥の瞬膜は動くことによって目を保護・保湿する機能的な「まぶた」の一部であるのに対し、ヘビの眼鏡板は固定された透明な皮膚の層であり、根本的な構造と動作が異なります。



記事のタイトル「ヤマカガシはアメンボなど水生昆虫を捕食するか?」について、Perplexity AIを相手にブレインストーミングしました。

A1: ヤマカガシは主にカエルやオタマジャクシのような動く小動物を捕食し、動きのないものは獲物として認識しにくい可能性が高いです。


A2: ヤマカガシは獲物を探す際に視覚を部分的に利用しますが、主に嗅覚を使っていると考えられています。特にヤコブソン器官(舌を使った化学感覚)を使って餌を識別し、ヒキガエルなど特定の獲物を嗅覚的に認識するという研究報告があります。視覚においては動くものの認識や動きに敏感で、素早く動くものを感知して反応しますが、色覚や細かな視覚情報の利用は限られているともされます。oirase-fm+2​

総じて、ヤマカガシは視覚より嗅覚に依存する捕食行動が強く、特に獲物の存在確認や識別には化学感覚が重要とされています。ただし、獲物の動きの検知などに視覚も役立っていると考えられるため、視覚を完全に使わないわけではありません。note+1​

したがって、ヤマカガシは主に嗅覚で獲物を探しつつ、視覚で動きを検知するという補助的な役割で視覚を使っていると理解できます。


A3: ヤマカガシにはピット器官(熱を感知する赤外線受容器官)はありません。ピット器官はマムシ亜科やニシキヘビ科、ボア科の一部のヘビに見られる特徴で、目と鼻の間のくぼみに存在しますが、ヤマカガシはナミヘビ科に属し、この器官を持たないとされています。
​

A4: ヤマカガシは昆虫を捕食することはほとんどなく、その主な食性はカエルやオタマジャクシ、魚類、トカゲなどの小動物で構成されています。ヤマカガシは特に有毒なヒキガエルも捕食できることで知られており、昆虫は食餌の主要な対象には含まれていません。amaru+3​

報告されている食物リストに昆虫は基本的に含まれていないため、昆虫を捕食する機会や頻度は非常に低いか、ほぼないと考えられます。

 

A5: ヤマカガシが浅い水溜りの中で舌を出し入れしながらゆっくりと蛇行し、目の前にいるアメンボに襲いかかる行動は、単なる反射的なものではなく、獲物の動きを認識して捕食を試みている可能性が高いです。ヤマカガシは化学感覚(ヤコブソン器官)で獲物の存在を探知しつつ、動きに反応して捕食行動を起こします。アメンボは素早く逃げる能力が高い水生昆虫であるため、捕食されにくいですが、ヤマカガシのこの行動は獲物として認識しての捕食努力と考えられます。bdcchiba+1​

つまり、襲いかかるのは単なる偶発的な反射ではなく、獲物としての意識を持っての捕食行動の一部と見なせます。ただし、アメンボが逃げやすいため捕獲には成功しにくいということです。

 

A6: ヤマカガシが夏の山中の浅い水溜りに長く滞在していたのは、体温を下げるための水浴を兼ねていた可能性が高いです。ヤマカガシは特に夏季の高温期に水辺で行動することが知られており、捕食対象のカエルやオタマジャクシがいない場合でも、水中で体温を調節するために一定時間水に浸かることがあります。また、水辺環境は湿度を保ち、脱水を防ぐ役割も果たすため、暑さや乾燥対策として利用されていると考えられています。yahagigawa+1​

つまり、ヤマカガシが浅い水溜りに長居したのは、単に餌のためだけでなく、夏の暑さ対策としての水浴の目的もあるためと理解できます。



つづく→水溜りを泳ぐヤマカガシが舌を出し入れして水面を舐めるとき舐めないとき【FHD動画&ハイスピード動画】

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