ラベル 捕食 の投稿を表示しています。 すべての投稿を表示
ラベル 捕食 の投稿を表示しています。 すべての投稿を表示

2025/09/17

オニグルミの堅果に誘引される謎の夜蛾を狩り損なった野ネズミ【トレイルカメラ:暗視映像】

 

2024年7月上旬・午後21:00頃 

シーン0:7/1・午後13:14・くもり(@0:00〜) 
明るい日中にたまたま撮れた現場の状況です。 
里山で野ネズミやリスを観察したくて、朽ちて斜めに倒れたスギの倒木に給餌箱をくくりつけました。 
真っ白なプラスチックの容器を再利用したのですが、白では山林内であまりにも目立つため、黒いビニールテープを容器の外側にグルグル巻きに貼って隠蔽しました。 
(本当は茶色や迷彩柄のテープを使いたかったのですけど、田舎ではすぐ入手できなかったので仕方がありません。) 
給餌箱に塗料を塗るのは野生動物にとって刺激に強い異臭になると思って、次善の策でビニールテープを使いました。 

今回の餌は、前年に拾い集めておいたオニグルミの堅果を餌箱に30個投入しました。 
果皮はすでに取り除いてあります。 
すると予想通り、野ネズミ(ノネズミ)が給餌箱に通ってきて、クルミをせっせと1個ずつ持ち去りました。 
(その動画は近日公開予定。) 


シーン1:7/1・午後21:41(@0:03〜) 
2頭の夜蛾が飛来して、餌箱の外側に止まりました。 
長いのでここは5倍速の早回しでお見せします。 


シーン2:7/1・午後21:58(@0:14〜) 
野ネズミが居なくなると、入れ替わるように夜蛾が左から飛来してスギの倒木に着地したものの、すぐにまた少し飛んでから容器内に着陸しました。 
どうやらオニグルミの匂いに誘引される、夜行性の蛾がいるようです。 


シーン3:7/1・午後22:02(@0:42〜) 
トレイルカメラが起動したことに驚いたのか、左の餌箱に来かけていた野ネズミが空荷で慌てて倒木を右へ逃げていきます。 
その間にも餌箱の付近を謎の夜蛾が飛び回っています。 

しばらくすると、さっき逃げた野ネズミが餌箱に駆け戻りました。 
餌箱の縁で夜蛾を見つけた野ネズミが素早く飛びかかろうとして、餌箱から下に落ちました。 
野ネズミの無鉄砲な狩りは失敗に終わり、夜蛾は素早く飛んで逃げました。 

野ネズミが夜蛾に襲いかかった決定的瞬間を1/3倍速のスローモーションでリプレイ。(@1:03〜) 
もしかすると狩りを試みたのではなくて、暗闇で顔のすぐ近くを飛んだ蛾に驚いた野ネズミが餌箱から飛び降りて逃げただけかもしれません。 
餌箱の地面からの高さを測り忘れましたが、野ネズミが落ちて死ぬような高さではありません。(数十cm)


シーン4:7/1・午後22:04(@1:17〜) 
約1分半後、監視カメラが何に反応して起動したのか不明です。 
戻ってきた夜蛾がしばらく飛び回ってから、餌箱内のクルミに着陸しました。 


シーン5:7/1・午後22:46(@1:29〜)
斜めの倒木を右から来た野ネズミが登ってきました。
しかし途中で立ち止まり、少し離れたところから餌箱を見ているだけです。
その間に謎の夜蛾が飛来し、クルミの餌箱に着陸しました。
野ネズミはフリーズしたまま微動だにしません。
さっき(約45分前に)の野ネズミと同一個体だとしたら、餌箱から落ちて痛い目に遭ったので、夜蛾を恐れるようになったのかな?



【考察】 
オニグルミの堅果(植物学的に厳密に言うと、核果状の堅果)の山を野外に給餌したところ、夜行性の蛾が1頭だけでなく複数が誘引され、飛来しました。
この謎の蛾の正体が気になります。
白黒の暗視映像では蛾の翅の色や模様も分かりませんし、現地で採集しないことには同定できません。
素直に推理すると、オニグルミの果実に産卵または吸汁する蛾がいることになります。

現場は低山にあるスギ植林地の端で、オニグルミの大木が近くに1本そびえ立っていました。
つまり、問題の蛾はオニグルミ樹上にある生の果実や枝葉の匂いに集まって飛び回っていたのに、私が地上付近に置いた古いクルミ堅果の山の匂いに撹乱されて寄り道しただけかもしれません。

いつものようにPerplexity AIに相談してみました。 
すると、果実吸蛾類ではないか?とおかしな回答をされました。
果実吸蛾類は果樹の液果に集まるのであって、堅果には来ないはずです。
オニグルミの果実は全く甘くありませんし、むしろ渋いタンニンが多く含まれています。
しかも、謎の夜蛾が誘引されたのは、果皮を剥いてから乾燥保存しておいた1年前の古いオニグルミ堅果です。
いくら悪名高い果実吸蛾類でも、クルミの固い殻に口吻を突き刺すことはできないはずです。
乾燥堅果自体には糖分・芳香成分が乏しく、蛾は吸汁・産卵の対象として認識しにくいはずなのに、複数個体が誘引されたのはとても不思議です。

次の仮説として、ハマキガ科のコドリンガCydia pomonella)をPerplexityは教えてくれました。
幼虫がバラ科果実やくるみ果実及び核子に食入し、加害する。(植物防疫所の病害虫情報サイトより引用)

つまり、クルミの実に産卵する蛾がいるらしいのです。
ところがよく調べると、コドリンガは欧州原産の外来種であり、日本国内にはまだ定着していないらしい。(「侵入生物データベース」サイトより)
私のフィールドは山形県なので、コドリンガの可能性は除外してもよさそうです。

最後にPerplexityは、食品害虫や貯穀害虫の蛾ではないか?と私が思いつかなかった仮説を教えてくれました。
確かに台所に保管した乾物やドライフルーツに蛾がよく集まって産卵し、幼虫が食害します。
日本の野山に生息する貯穀害虫の蛾の例としては、ノシメマダラメイガ(Plodia interpunctella)が挙げられます。この蛾は世界中で知られる貯穀害虫で、穀物を中心に乾燥食品に産卵・幼虫が食害を起こしますが、日本国内でも野外で確認例があります。

貯穀害虫の野生生息・飛来可能性
ノシメマダラメイガは主に屋内や貯蔵施設での被害が多いため「貯穀害虫」と分類されますが、野外でも発生例が報告されており、山間部や林縁、果樹園付近などに普通に飛来します。

幼虫は穀物・乾燥植物質を食べるため、野山の落ち果実、落ち種子、乾燥した植物材にも自然に入り込み生息できる環境がある可能性があります。

乾燥堅果や植物種子を餌にしていることが確認されているため、野外に置かれた乾燥オニグルミ堅果に飛来する蛾として全くありえない話ではありません(Perplexityの回答)

ノシメマダラは以前飼育したこともあり馴染みのある蛾なので、トレイルカメラの映像は違うと自信を持って言えます。
白黒の暗視映像からは翅の色や斑紋が分かりませんが、ノシメマダラよりも大きくて幅広い翅を持つ種類でした。
例えばカシノシマメイガなどに近いかもしれません。

カシノシマメイガは主に人家周辺や貯穀庫で発生しますが、里山や山間部の林縁など自然環境にも普通に飛来・生息しています。したがって、里山のオニグルミ堅果に飛来した大型で幅広い翅を持つ蛾として十分に現実的な候補種です。(Perplexityの回答)

以上の考察は、あくまでも推理でしかありません。
再実験をして謎の蛾を採集するまでは、未解決のままです。
野外で蛾を採集する方法として様々なトラップ法が開発されてきましたが、私がたまたま考案した「クルミ・トラップ」や「ナッツ・トラップ」に集まる蛾を真面目に調べれば、何か面白いことが分かるかもしれません。
誰かがすでにやってるかな?



つづく→

2025/09/14

山中の湿地で泥濘を掘り獲物の小動物を探すオオタカ【野鳥:トレイルカメラ】

 

2025年8月中旬・午後7:55頃・くもり・気温23℃ 

山林に少し開けた湿地帯があり、湧き水が滲み出して浅い水溜りになっています。 
水場に来る野生動物や野鳥を自動撮影カメラで長期間見張っています。 

酷暑が続く真夏のある朝、大型の猛禽が右から飛来したようで、泥水溜りの右の岸に着陸していました。 
この地点で撮れた鳥としては最大です。 
鳥の図鑑で調べると、憧れのオオタカAccipiter gentilis)でした。
顔に顕著な眉斑と黒い眼帯のある大きなタカ。(山渓カラー名鑑『日本の野鳥』p144より引用)
ちなみに和名のオオタカとは「大鷹」ではなく、「蒼鷹あおたか」から来ているのだそうです。 

てっきり狩りの直後かと期待したのですが、足元を見ても獲物を捕らえてはいませんでした。 
水場で水を飲んだり浴びたりしに来たはずなのに、オオタカは鋭い眼光でキョロキョロと周囲を見回しているだけです。 
監視カメラの存在に気づいて警戒しているのでしょうか? 
まさか水面のアメンボを狩るのかな? 

やがてオオタカは右を向くと、急に右へ歩いて行きました。 
足元の泥濘から何か物を嘴で拾い上げたものの、すぐに落としました。 
どうやらゴミを獲物(カエル?)と誤認したようです。 

画面の右端でオオタカが右を向いたまま静止しています。 
尾羽根しか写っていません。 
やがてその場で方向転換すると左向きになり、ようやく頭部が見えるようになりました。 
足元の泥濘を右足の鉤爪で何度も掻きました。(@2:08〜) 
新たに掘った穴に溜まる泥水を飲むのかと思いきや、泥濘からミミズ?を啄んだようです。 

次に監視カメラが起動したときには、オオタカが少し奥に飛んで移動した直後でした。 
湿地に転がっている落枝に乗ろうとしたら、表面のヌルヌルした泥でスリップしてバランスを崩しました。(@3:39〜) 
危うく無様に転んで泥だらけになるところでしたが、なんとか転ばずに踏みとどまりました。 

初めに着陸した地点に戻ったのに、依然として水溜りの水を飲もうとしません。 
その場で足踏みして方向転換すると、足元の泥濘を嘴でつついて何か(ミミズ?)を食べました。 

また画面右端の泥濘に移動し、しばらく右向きで佇んでいます。 
最後にようやく右へ飛び去りました。 
力強い羽ばたきを1/3倍速のスローモーションでリプレイしても、広げた翼の下面は見えませんでした。 

※ 最後に飛び立つ羽音が聞き取れるように、動画編集時に音声を正規化して音量を強制的に上げています。 


【考察】
結局このオオタカ個体は、一体何をしに湿地帯の水場に来たのでしょうか? 
10分間以上も長居したのに、飲水も水浴もしませんでした。 
猛暑が続く夏は獲物がほとんど捕れないのか、湿地で小動物(カエルやミミズなど?)をちまちまと啄んでいる姿は精悍なオオタカのイメージらしくありません。 

バードリサーチニュースでオオタカの食性について調べると、
食性と採食行動: 主にスズメやムクドリなどの小型鳥類から,ハトやカラス,キジといった中型の鳥類を主に捕食する(前橋営林局2000).また,割合は低いが,ネズミやリス,モグラ,イタチ,ノウサギといった哺乳類も捕食する.なかには両生類や爬虫類を捕食したという記録もある.オオタカの狩りは,数分間の止まりと飛行を繰り返して餌動物を探し,止まり場所から餌動物へ襲いかかる.また,高空を飛行しながら,あるいは高い鉄塔などから急降下したり,地形や建物に沿って低空を飛びながら餌動物に近づいて襲ったりもする.時には,地上を歩きながら,草むらに隠れる小鳥やネズミなどを探すこともある.

今のところ、この水場にオオタカが登場したのはこれっきりです。 



【アフィリエイト】 

2025/09/01

ニホンザル♀の採食メニュー(アキノノゲシやノブドウの若葉、イモムシ、など)

 

2024年6月下旬・午前11:05頃・くもり 

山麓の農村部で広い裏庭の端っこにニホンザル♀(Macaca fuscata fuscata)が独りで座って休んでいました。 
猿は正面からチラチラと私を見ていますが、実際にはだいぶ離れているので落ち着いています。 
胸にあるやや長い乳首を見れば、経産♀と分かります。 
右手を腰に回してボリボリと掻きました。 

やがて立ち上がると、左へ歩き始めました。 
蔓植物ノブドウのマント群落の中に草丈高く伸びたアキノノゲシの柔らかな若葉を右手でむしり取ってムシャムシャと採食しました。(@1:00〜) 
アキノノゲシはレタスの仲間です。
ブランチの前菜は生野菜サラダから、という感じでしょうか。
初めはアザミの仲間かと思ったのですけど、アザミににしては葉に鋭いトゲがありません。 
その場に再び座り込むと、何かを選び取って食べたのですが、カメラに背を向けているのでよく見えません。 
ノブドウの若葉も少しだけ味見しました。(@2:19〜) 

ニホンザルは菜食主義ではなく、雑食性です。 
ノブドウの蔓にしがみついている緑色の芋虫(蛾の幼虫)を見つけると、蔓ごと左手で引き寄せて捕食しました。(@1:20〜) 
濃い緑色の苦い内臓(おそらく糞の詰まった腸)は吐き捨てました。 
他にもあちこちの植物から虫を手で器用に摘みとって食べています。 
最後にヨモギの株からも何か小さな虫を捕食したようです。(@2:24〜) 
例えばヨモギハムシかもしれない、と推測したのですが、食べても苦くないのかな? 
ニホンザルは、なかなかバランスの取れたメニューを食べているようです。


【アフィリエイト】 

2025/08/29

キアゲハの幼虫を捕食するモズの幼鳥(野鳥)臭角は自衛の効果なし?

 



2025年8月中旬・午前9:40頃・晴れ 

葉が生い茂るウメ(白梅)の樹上でモズLanius bucephalus)の幼鳥が何か太くて細長い緑色のイモムシ(芋虫)を嘴に咥えていました。 
よく見ると獲物の正体は、キアゲハPapilio machaon hippocrates)の幼虫でした。 
芋虫はもう暴れていないのに、死んだ獲物を枝に何度も叩きつけて念入りに殺しています。

モズの親鳥が幼鳥に口移しで給餌する瞬間を見逃してしまいました。 
幼鳥が餌乞いする鳴き声も聞こえませんでした(聞き逃した?)。 

キアゲハの幼虫は、食草の細い茎にしがみついたまま死んでいました。 
モズの親鳥は、食草ごと引きちぎってイモムシを運び、幼鳥に給餌したようです。 
キアゲハ幼虫は、セリ科の植物しか食べません。 
ウメの樹上にキアゲハの幼虫が居るはずがないので、親鳥が近所の庭などで狩ってきて幼鳥に給餌したのでしょう。 
後で現場検証しても、白梅の木の下にセリ科植物は自生していませんでした。 
したがって、キアゲハの終齢幼虫が蛹化するために近くの庭木に登ってきた可能性は除外できます。 

元の動画がやや不鮮明でカメラのAFが合焦しにくいのは、汚れた窓ガラス越しに室内から撮影したからです。
窓を開けて直接撮影したいのはやまやまですが、その音でモズが警戒して逃げてしまいそうなので、我慢してそのまま撮影を続けました。  
1.5倍に拡大および自動色調補正した上で、1/5倍速のスローモーションでリプレイしてみましょう。(@0:37〜) 
動画編集時に自動色調補正を施したら、被写体がくっきり見えるようになりました。 

ここで気になるのは、鳥に狩られたキアゲハ幼虫が臭角を伸ばしているかどうか、という点です。 
アゲハチョウ科の幼虫が天敵に襲われたときに頭部からニョキっと伸ばす臭角は、強い刺激臭と派手な色彩で捕食者に対して忌避効果があると考えられています。 

関連記事(4、12年前の撮影)▶  


今回のモズは獲物の急所である頭部を嘴で強く挟み付けながら激しく振り回しているため、キアゲハ幼虫の臭角が見にくいです。 
後半になると、モズはようやく幼虫の体の中央部を咥え直しました。 
スロー再生で拡大すると、死んでぐったりしたキアゲハ幼虫の頭部から鮮やかなオレンジ色の臭角が伸びていることが判明しました。
一般に鳥は嗅覚が鈍いとされているので、キアゲハ幼虫の臭角に自衛効果がなかったのは当然かもしれません。 


隠し撮りをしている私を警戒したのか、モズは庭木の枝から枝へ移動し、枝葉の陰に隠れてしまいました。
獲物を実際に捕食する(飲み込む)まで見届けられず残念でした。 
キアゲハ幼虫の臭角は刺激臭がするだけでなく不味いはずなので、モズが食べる前に獲物を引き裂いて臭角(あるいは幼虫の頭部)を丁寧に取り除くかどうか確認したかったのです。 

モズが早贄はやにえを立てる有名な行動を私はまだ実際に観察したことがありません。 
この時期(真夏)はまだ育雛期なので、モズの親鳥は捕れた獲物をすべて幼鳥に給餌するか自分で食べてしまいます。 
また、体表の柔らかい幼虫は腐りやすいため、早贄として貯食するには向いていないでしょう。 


【追記】
今回のモズは幼鳥ですよね?(あまり自信がありません。)
前回に登場した個体よりも、フワフワした綿羽が生え変わっているようなので、換羽中の別個体なのでしょう。
これから幼鳥に給餌するために獲物を運んできた親鳥♂だとしたら、記事を全面的に書き直さないといけません。


【アフィリエイト】 

2025/08/16

他のアシナガバチが作った初期巣を襲って幼虫を捕食するフタモンアシナガバチ創設女王

 

2024年5月中旬・午後12:15頃・くもり 

堤防路の道端で、水平に倒伏したヨモギの枯れた茎から下向きにアシナガバチの初期巣が作られていました。 
フタモンアシナガバチ♀(Polistes chinensis antennalis)が巣盤の下側にぶら下がり、何か作業しています。 
この時期はまだワーカー♀が羽化しておらず、単独営巣期の創設女王と思われます。 

やがて女王が体を反らせてくれたので口元が見え、獲物を噛みほぐして肉団子を作っていたことが分かりました。 
帰巣直後の女王が、これから巣内の幼虫に給餌するのでしょうか。 
翅を半開きにしたのは私に対する警戒姿勢かと思いきや、肉団子を咥えたまま、意外にもフタモンアシナガバチの創設女王はどこかに飛び去りました。 
幼虫を育房から引き出して殺したり捕食しただけなら、死んだり病気になったり寄生された幼虫個体を自分の巣から取り除いたのだと説明できます。 (必要悪な子殺し
しかし、肉団子に加工して持ち去ったとなると、他のアシナガバチの巣を襲って、幼虫を捕食したことになります。 
肉団子を自分の巣に持ち帰って、幼虫に給餌するのでしょう。 

ヒメスズメバチ♀(Vespa ducalis pulchra)はアシナガバチ類の巣を襲って幼虫や蛹を捕食します。 
しかし、アシナガバチ同士で巣内の幼虫や蛹を捕食するシーンを見たのはこれが初めてです。 
もし同種間なら共食いしたことになりますが、巣の主が不在のときに襲撃したので獲物の種類が分からず、共食いとは言い切れません。 

フタモンアシナガバチ創設女王が襲った巣の種類を検討してみましょう。
巣が大きくなれば、アシナガバチの種類によって巣の形が違ってくるのですが、小さな初期巣の段階では見分けることが困難です。 
幼虫が紡いだ繭の色でアシナガバチの種類を絞り込めることがあるのですけど(黄色い繭ならヤマトアシナガバチまたはキボシアシナガバチ)、この巣では繭はまだ作られていませんでした。 
営巣地の環境から、フタモンアシナガバチの巣であってもおかしくないのですが、別種の可能性も残ります。

フタモンアシナガバチの創設女王が飛び去った直後に、巣盤の育房を苦労して接写してみました。 
動画を一時停止して育房を数えると26室で、5月中旬の女王単独営巣期にしてはかなり多い部類になります。 
育房内に卵や幼虫は全く残っていませんでした。 
繭もまだ作られていません。 
もしヒメスズメバチ♀(Vespa ducalis pulchra)に襲われた直後なら、巣の育房壁が汚らしく乱暴に食い千切られているはずです。 
しかし、今回の初期巣の構造は無傷でした。 

気になるのは、アシナガバチの巣盤の天井部や巣柄にアリ除けとしてタール状の物質が塗布されて黒光りしているはずなのに、この巣は白っぽいことです。
もしも今年に作られた初期巣ではなく、前の年に作られた古巣が冬を越して残っていただけとなると、解釈を大幅に検討し直す必要があります。 
例えば前年に羽化できなかった幼虫の死骸が干からびたまま育房内に残っていて、それを女王が捕食したのでしょうか。
そんな餌が残っていれば、堤防をくまなくパトロールしているアリが見過ごすはずがありません。
当地は雪国(多雪地帯)なので、冬を越した古巣だとしたら、深い雪の下に埋もれた圧力で変形しているはずです。
 (異常な暖冬だったから雪に埋もれて潰されなかった?) 
ちなみに、アシナガバチは前年の古巣を再利用することはありません。 

育房数が26室というのは5月中旬の初期巣にしてはかなり多いのですが、暖冬で春の訪れが早く、越冬明けの女王が巣を作り始めたのも早かったと考えれば、なんとか説明できそうです。 
巣の主である創設女王が不在(または死んだ)の間に、この巣を見つけたフタモンアシナガバチ創設女王が襲撃して巣内の幼虫を次々に捕食して全滅させたのでしょう。 
女王の単独営巣期は巣を防衛するワーカー♀が不在なので、女王の留守中に幼虫が捕食されるリスクがどうしても高くなります。 
なるべく目立たない場所に営巣した女王が、食うか食われるかの仁義なき生存競争に勝ち残るのでしょう。 
たとえ初期巣が襲われて幼虫が全滅しても、創設女王が存命なら別の場所で新たに初期巣を作り直し、遅れてまた産卵します。 


いつものように、動画の解釈についてPerplexity AIと相談しながら記事を書きました。

アシナガバチ同士であっても、自分たちの巣や生活圏を守るために他個体や他の女王が作った巣を襲撃し、幼虫を捕食することが報告されています。これは縄張り争いの一環として、相手の資源や将来の個体数を減らす競争戦略の一つと考えられます。

具体的には、餌資源が不足するときや巣の数が密集してしまう場合に、女王や働きバチが他のアシナガバチの巣を襲い、その中の幼虫を捕食する行動が観察されています。 (Perplexityの回答より一部引用)

2025/08/03

山中の湿地で夕方にミミズを捕食するクロツグミ♂【野鳥:トレイルカメラ】

 



2024年6月下旬

シーン0:6/17・午後12:25・晴れ(@0:00〜) 
シーン0:6/17・午後12:50・晴れ(@0:04〜) 
明るい昼間にたまたまフルカラーで撮れた現場の状況です。 
山林の中に少し開けた湿地帯があります。 
湧き水や雨水が溜まった水溜りを野生動物や野鳥が来て水場として利用しているので、2台の自動撮影カメラ(旧機種)で見張っています。 

クロツグミ♂(Turdus cardis)の登場シーンを以下にまとめます。 
雛に給餌する育雛期は終わりつつあるのでしょうか。


シーン1:6/21・午後18:26・(@0:07〜)日の入り時刻は午後19:08。 

夕方の湿地で真っ黒なクロツグミ♂が水溜りSの中洲に来ていました。 
振り返ると白い腹面が見えます。 
岸辺の泥濘を嘴でつついて回り、細長いミミズ?を捕食しました。 
その場で食べたかどうか不明です。 
最後は右に飛び去りました。 


シーン2:6/22・午後19:00・(@1:02〜)日の入り時刻は午後19:08。 
翌日の夕方にもクロツグミ♂が登場しました。 
黒い鳥ですが、嘴は白っぽく見えます。 
水溜まりの泥濘をホッピングで徘徊し、餌を探しています。 

現場は山中にあるので、公式の日の入り時刻よりもだいぶ早く太陽が山の陰に沈み暗くなります。 

最近は雨がほとんど降らないので、水溜まりの水量が少なく、干上がりつつあります。 


シーン3:6/23・午後18:57・小雨(@1:13〜)日の入り時刻は午後19:08。 
翌日にも、ほぼ同じ時間帯にクロツグミ♂が採餌に来ました。 
このように薄暗い時間帯に活動する性質を、夜行性とか昼行性に対して薄明薄暮性と言います。

水溜りSの対岸から中洲にピョンと飛び移ると、泥濘を数回啄んでから、対岸に戻りました。 
ホッピングで右に移動し、泥濘をつついています。 
湿地の草むらを経由して、右奥の水溜まりへ移動したのに、なぜか別アングルの監視カメラが起動しなかったのが残念です。 
最後は左に飛び去りました。 

小雨がぱらついています。
待望の雨が降り、水溜りの水量がだいぶ回復しました。 


奥の草むらでの採餌行動は、5倍速の早回し映像で見る方が分かりやすいかもしれません。(@2:06〜) 




※ 動画の一部は編集時に自動色調補正を施しています。 


2025/07/15

獲物を口に咥えて夜の獣道を運ぶホンドタヌキ【トレイルカメラ:暗視映像】

 



2024年6月中旬・午後22:08・気温23℃ 

平地の二次林でニホンアナグマの旧営巣地(セット)に、ある晩ホンドタヌキNyctereutes viverrinus)が単独で通りかかりました。 
アナグマの巣口Lの横を素通りして、獣道を足早に立ち去りました。 

1.5倍に拡大した上で1/3倍速のスローモーションでリプレイしてみると、口に何か黒っぽい物を咥えて運んでいました! 
初めて撮れた行動です。
この時期は親タヌキが幼獣を運搬している(引っ越し)可能性もありますが、素人目には幼獣ではなく野ネズミ(ノネズミ)などの小動物を獲物として狩ってきたように見えます。 
近くの休耕地にある巣穴に運んで、幼獣に給餌するのでしょう。 
獲物としては、アカネズミ、ヒメネズミ、ハタネズミなどが考えられます。 
あるいは、小動物の死骸を拾ってきたのかもしれません。 


【追記】
今回登場した個体が親ダヌキではなくヘルパーという可能性もあり得るのですけど、「オッカムの剃刀」という原則に従って、当面は難しいことを考えないようにします。

ちなみに、翌2025年にはヘルパーの存在が確定しました。(映像公開予定)


2025/07/14

池畔のマユミ枝先に集まって次々と泡巣を作り産卵するモリアオガエル♀♂【微速度撮影#3】ニホンザルが泡巣を捕食?

 



2024年6月上旬〜中旬 

繁殖池で、岸辺に自生するマユミの枝葉にモリアオガエル♀♂(Rhacophorus arboreus)が集まって白い泡巣を次々に作り、産卵する様子をタイムラプス動画で記録しています。 
夏至(6/21)が近づき日が長くなったので、タイムラプス専用カメラのタイマー設定を午前5:30〜午後18:00に前後30分ずつ延長しました。 
1分間隔のインターバル撮影で、ちょうど一週間分(7日間)の記録です(6/7〜6/14)。 
最近は雨不足のようで、池の水量が減り、岸辺は干上がりつつあります。 
当分は雨が降らないとの週間天気予報で、心配です。 

それでは早速、撮れたタイムラプス映像を見てみましょう。 
撮影を延長した薄明薄暮の時間帯も充分明るく撮れていました。 
モリアオガエルの産卵は主に夜行われるようですが、昼間でも新しい泡巣が作られていました。 
例えば6/13午前8:00〜午後13:00の映像が分かりやすく撮れています。 

この時期、面白い事件がいくつか起きていました。 

(1)ニホンザルによるモリアオガエル泡巣の捕食?
カメラが狙っていたマユミ樹上の比較的新しい泡巣のいくつかが、動画の冒頭で突然、しかもほぼ同時に溶け落ちました。 
泡巣の内部でモリアオガエルの幼生(オタマジャクシ)が孵化してある程度育つと、雨が降る日に自然と泡巣が溶け落ち、オタマジャクシは下の池に脱出します。 
しかし、今回の泡巣が自然に溶けたにしては時期が早すぎます。 
つまり、あまりにも不自然な溶解です。 
タイムラプス動画をコマ送りでじっくり見直すと、泡巣消失の謎が解けました。 
事件が起きたのは、6/7の午後15:44〜15:57です。 
何者かがマユミの灌木を激しく揺すったりしならせたりしたせいで、泡巣が何度も水中に没していました。 
そのせいで泡巣が早く溶けてしまったようです。 

このとき、池の対岸を遊動するニホンザルMacaca fuscata fuscata)が写っていました。
山林を遊動してきた群れが池を訪れ、一部の個体が狼藉を働いたようです。
猿が木から木へと伝い歩く際に、細いマユミ灌木上の泡巣が激しく揺すられて、泡巣が壊れたり溶け落ちたりしてしまったのでしょうか?
好奇心旺盛な子ザルがモリアオガエルの泡巣を果物と誤認して興味を持ち、調べに来たのかな? 

夏の暑い日にニホンザルは池に飛び込んで水遊びをすることが知られています。
関連記事(10年前の撮影)▶ 湖で泳ぐ野生ニホンザルの群れ
今回も池畔のマユミ灌木から無邪気に池へ飛び込もうとして、泡巣を意図せずに破壊・融解してしまったのでしょうか?
しかし、干上がりかけた浅い泥沼にニホンザルが入水するとは思えません。

実は、対岸(画面左端)に自生するミヤマガマズミの灌木にもモリアオガエルの白い泡巣が産み付けられています。 





下の連続写真で示すように、別個体のニホンザルがこのミヤマガマズミ群落を訪れて、しばらく座り込んでいました。
どうやらモリアオガエル泡巣に含まれる卵やオタマジャクシを捕食したようです。
ニホンザルにとって、貴重なタンパク源になるでしょう。

ちなみに、翌日6/8には、このミヤマガマズミの枝先にモリアオガエルの新しい泡巣が産み付けられていました。 
ニホンザルが来る前の泡巣の様子。まるで白い果実のように泡巣がたわわになっている。
対岸左のミヤマガマズミにニホンザル登場。右手前のマユミ枝葉が何者かによって大きくしなり、泡巣が写ってない。

ニホンザルが対岸左のミヤマガマズミでモリアオガエルの泡巣を捕食中?

別個体のニホンザルが対岸のスギ林縁を右から左へ遊動。右手前のマユミ枝葉が何者かによって大きくしなり、泡巣が写ってない。
対岸左のミヤマガマズミからニホンザルが去る。

右手前のマユミ枝葉を何者かが激しく揺する。
ニホンザルが居なくなると、マユミ樹上の泡巣は短時間ですっかり溶け落ちていた。

その後はマユミ灌木の真下だけでなく、水面のあちこちにモリアオガエルの溶けた泡巣が浮いていました。 
風に吹かれて水面を移動したのかと思ったのですが、ニホンザルが枝を激しく揺すって泡巣を水面に浸けたことで説明できそうです。 

1分間隔のインターバル撮影では、断片的な情報しか得られません。
もし今後もニホンザルがモリアオガエルの繁殖池に来て泡巣の採食を繰り返すようなら、池畔にトレイルカメラを追加して、動画による証拠映像を撮るしかありません。





【参考文献】
ニホンザルがモリアオガエルの泡巣を捕食するなんて、私にとっては全く予想外の事件で興奮しました。
GoogleScholarで文献検索してみると、残念ながら新発見ではなく、すでに論文になっていました。
井上光興; 辻大和. 野生ニホンザル Macaca fuscata によるモリアオガエル Rhacophorus arboreus 泡巣の採食事例. 霊長類研究, 2016, 32.1: 27-30.(全文PDFをダウンロード可)

ブログで報告している人もいます。
サルが食べていたのは・・・ @秋田・青森県


外来種のアライグマがモリアオガエルの泡巣と成体を捕食した事例も別に報告されていて、この論文は要旨だけ読めました。
ICHIOKA, Yukio; HIJII, Naoki. Raccoon Predation on Foam Nests and Adults of the Forest Green Tree Frog (Zhangixalus arboreus: Rhacophoridae) in Central Japan. Current herpetology, 2021, 40.2: 129-136.
外来種のアライグマが当地で生息しているという確かな証拠映像はまだ撮れていません。

野生動物による捕食圧が高まれば、モリアオガエルも対抗策を進化させる可能性があります。
今の泡巣は白っぽくて樹上でよく目立つので、緑の色素を混ぜ込んで迷彩を施せば、保護色になりそうです。

もしかすると逆に、モリアオガエルはニホンザルに泡巣を見つけてもらいたいのかもしれません。
樹上の果実に擬態してニホンザルの気を惹いているという大胆な仮説です。
泡巣が産み付けられた木にニホンザルがよじ登ろうとしても、細い灌木のことが多いので、猿の体重を支えきれずに大きくしなり、泡巣は水没してしまいます。
泡巣の一部はニホンザルに捕食(食卵)されてしまうかもしれませんが、泡巣が溶けてオタマジャクシが水中に脱出するのをニホンザルが助けているのかもしれません。



(2)6/9午後12:20に対岸の水際をホンドタヌキNyctereutes viverrinus)らしき野生動物がうろついていました。
(3)6/12午前7:49にコガラPoecile montanus)がマユミ樹上に来ていました。 
モリアオガエルの泡巣に集まる昆虫(ハエやシリアゲムシなど)を捕食しに来たのかな? 

他にも私が見落としている事件がまだまだありそうなので、皆さんもタイムラプス動画をスロー再生して見つけたら教えてください。


2025/07/12

キリギリスを捕食する前の解体処理に苦労するヒヨドリ【野鳥:トレイルカメラ】

 



2024年6月中旬・午後15:00頃・晴れ・気温31℃ 

平地の二次林で死んだニホンアナグマの巣穴Lの横に生えたマルバゴマキ(別名マルバゴマギ、ヒロハゴマキ、オオバゴマキ)灌木にヒヨドリHypsipetes amaurotis)が留まっていました。 
嘴に何か黄緑色の獲物を咥えています。 
私は初め、芋虫(鱗翅目の幼虫)を狩ってきたのかと思ったのですが、1.5倍に拡大した上でリプレイすると(@1:01〜)、獲物の正体はキリギリスの仲間(ツユムシ? ヤブキリ?)のようです。 

ヒヨドリは必死で暴れるキリギリスを嘴で咥えながら足元の枝に叩きつけて動きを封じようとしていました。 
跳躍力が強いキリギリスは後脚で力強く蹴って抵抗するので、この後でヒヨドリは獲物を解体し、棘のある長い後脚を取り除くはずです。 
長くて棘だらけの後脚がかさばるために捕食者が一口で飲み込むのは難しく、キリギリスにも逃げるチャンスがわずかながら生まれます。 
実際ヒヨドリは途中で獲物をうっかり地面に落としてしまいましたが、すぐに拾い上げて、解体作業を続けます。 

最後まで見届ける前に、1分間の録画時間が終わってしまいました。 
このヒヨドリ個体が自分でキリギリスを捕食したかどうか不明です。 
しかし6月中旬という時期は、ヒヨドリの1〜2回目の繁殖期に当たります。 
解体して危険な部位(後脚)を取り除いたキリギリスを持ち帰って雛(または巣立ち雛)に給餌した可能性が高いでしょう。 
ヒヨドリは果実食の印象が強いですが、繁殖期には雛の成長に必要な動物質(主に昆虫)を多く捕食します。 


※ 今回は記事を書く前にChatGPTとブレインストーミングしました。 


つづく→ 


【アフィリエイト】 

2025/07/09

アナグマ空巣の横で新たに穴を掘るホンドタヌキの謎【トレイルカメラ】

 



2024年6月中旬

シーン0:6/11・午後13:26・くもり・気温35℃(@0:00〜) 
シーン0:6/11・午後14:10・くもり・気温37℃(@0:04〜) 
明るい日中にたまたま撮れた現場の様子です。 
平地の二次林で越冬中に死んだニホンアナグマMeles anakuma)の旧営巣地(セット)を2台の自動撮影カメラで見張り続けています。 
地中に2つの巣穴L、Rが掘られていますが、内部でつながってはいないようです。 


シーン1:6/12・午前4:44・気温15℃(@0:07〜)日の出時刻は4:13。 
早朝で日が昇っているのに、木の葉が生い茂る初夏の二次林内はかなり薄暗いです。 

単独でセットに現れたホンドタヌキNyctereutes viverrinus)が、通りすがりにアナグマの巣口Lのすぐ左の地点の匂いを嗅ぐと、なぜか前足で地面を掘り始めました。 
巣口Lを拡張する土木工事(造巣行動)とは違うようです。 
タヌキはどうやら、何か地中に隠れた虫や野ネズミ(ノネズミ)などを狩ろうとしているようです。 

一旦アクセストレンチを降りて巣口Lの匂いを嗅いでから、穴掘り作業を再開しました。 
巣口Lの横にマルバゴマキ(別名マルバゴマギ、ヒロハゴマキ、オオバゴマキ)の灌木が自生しているのですが、その邪魔な根っこをタヌキは掘り返そうとしているのかな? 


シーン2:6/12・午前4:45・気温16℃(@1:07〜)
別アングルに設置した監視カメラでも撮れていました。 
タヌキが巣口Lの横で穴を掘り、その合間に巣口Lに顔を突っ込んで匂いを嗅ぎました。 


シーン3:6/12・午前4:46・気温16℃(@2:07〜)
トレイルカメラはセンサーで熱源の動きを検知すると起動するのですが、そのとき周囲の照度を測り、自然光で撮るか赤外線を照射しながら暗視動画に撮るかを二択で決めます。 
その閾値になる薄明薄暮の時間帯だと、かなり薄暗いフルカラー録画になったり、赤外線の暗視モードで録画したりと、トレイルカメラの挙動が交互に変わります。 
トレイルカメラの同じ機種でどの個体でも同じ症状が出るので、これはトレイルカメラの欠陥(不良品)やシステムのバグではなく、仕組み上、仕方がないようです。 
私としては、動物の行動がモノクロでも明瞭に写って欲しいので、充分に明るくなるまでは薄明薄暮でもきれいに写る暗視モードで統一してくれた方がありがたいです。 


タヌキの顔が穴掘り作業で汚れて、すっかり真っ黒になりました。
前足を使って黒土を後方に掻き出し、勢い良く跳ね除けます。 


シーン4:6/12・午前4:47・気温17℃(@3:07〜)
次に監視カメラが起動したときにはフルカラー録画に戻りましたが、辺りはまだ薄暗いです。 

タヌキは穴掘り作業を中断すると鼻面を上げて、周囲のマルバゴマキの枝葉やブラブラ垂れ下がっている枯れ枝の匂いを嗅いでいます。 
獣道を少しうろついてから、穴掘り地点に戻って来ました。 

遠くからキジ♂(Phasianus versicolor)がケンケーン♪と鳴く声が聞こえてきました。(@3:53〜) 


シーン5:6/12・午前4:48・気温17℃(@4:07〜) 
別アングルのモノクロ映像に切り替えます。 
穴掘りを止めて左の獣道に消えたタヌキが、すぐに戻ってきて穴掘り地点の匂いを嗅ぎ回っています。 

このカメラでも、遠くのキジ♂が早朝からケンケーン♪と縄張り宣言する鳴き声が録音されていました。(@4:40〜) 


シーン6:6/12・午前4:49(@4:56〜)
別アングルのモノクロ映像に切り替えます。 
タヌキがカメラを見上げてから、左に立ち去りました。 
タヌキが新たに地面を掘った跡は、アナグマのアクセストレンチLを変形・整備したようにも見えます。 


シーン7:6/12・午前4:49(@5:09〜) 
フルカラー録画に戻りましたが、早朝の二次林内は依然として薄暗いです。 
タヌキはもう一つの巣口Rにも立ち寄り、マルバゴマギ根元に開口した野ネズミ巣穴の匂いを嗅いでから、セットを右へ立ち去りました。 



※ キジの鳴き声が聞き取れるように、動画編集時に音声を正規化して音量を強制的に上げています。 


【考察】 
タヌキの本格的な穴掘り作業を撮影できたのは、これが初めてです。 
せっかくアナグマが作ったアクセストレンチの斜面を崩して、特定の地点を深く掘り進めていました。 
しかし穴掘りのスペシャリストであるアナグマほど、タヌキは穴掘りが上手くないようです。 
前足の爪もアナグマの方が鋭く発達しています。 

後日私が現場入りした際に、巣口Lから伸びるアクセストレンチが新たに形成されたと思ったのですが、監視カメラの映像を確認すると、タヌキの仕業でした。 
以下に写真を掲載しますが、昼間も薄暗い林内でストロボを焚くと、新しく掘られた穴の立体感や遠近感がいまいち失われてしまいます。







結局タヌキは、野ネズミや虫などの獲物を何も捕れなかったようです。
 「大山鳴動して鼠一匹」という諺よりも効率(コスパ)が悪い採餌行動でした。 
その後もホンドタヌキがこの巣穴Lに転入(引っ越し)することもありませんでした。



2025/07/07

モリアオガエル泡巣の表面で交尾するヤマトシリアゲ春型♀♂

 



2024年6月上旬・午後14:25頃・晴れ 

山中の池畔に自生するマユミの枝葉にモリアオガエル♀♂(Rhacophorus arboreus)が産み付けた泡巣にヤマトシリアゲ♀♂(Panorpa japonica)が集まり、交尾が始まりました。 
交尾中の♀♂ペアに注目しましょう。 
♀の体表に赤いタカラダニ幼虫が2個付着しています。 
♀♂ペアは腹端の交尾器を連結したまま、歩いて泡巣の影に隠れてしまいました。 
口吻を泡巣に突き刺して食卵していた単独の♀は交尾ペア♀♂に追い払われ、慌てたように歩いて逃げました。 
交尾姿勢は反向型ではなく、斜めに重なり互いに別方向を向いています。 
左が♂で右が♀のようで、♀の腹部は明らかに太いです。 
このペアには赤いタカラダニは寄生していません。 

背側からしか撮れなかったので、交尾しながらヤマトシリアゲ♀♂が食卵しているかどうか、口器を泡巣に突き刺しているかどうか不明です。 

右の♀が交尾しながら翅を小刻みに開閉して黒い翅紋を誇示しています。 
徘徊性クモやモリアオガエルなどの天敵(捕食者)に対して威嚇・牽制するディスプレイではないかと、個人的には推測しています。 




【考察】 
シリアゲムシは求愛給餌(婚姻給餌)行動で有名で、♂は交尾する前に獲物を狩って♀にプレゼントする必要があります。 
残念ながら今回は手前の葉が邪魔で、交尾直前の求愛行動をしっかり観察できませんでした。 
今回の♂は♀にプレゼントする餌(虫の死骸など)を別途用意する必要がなかったのではないかと推測しています。 
なぜなら、モリアオガエルの卵が大量に詰まった泡巣という巨大な餌がありますから、そこで♀と出逢えばすぐに交尾させてもらえるからです。 
モリアオガエルの泡巣はタンパク質に富む巨大な栄養源ですから、♂は求愛給餌の餌を別に用意する必要がないのでしょう。 
♀にしてみれば、持ち運びできる餌よりも巨大な不動産物件をプレゼントしてくれる優秀な♂を交尾相手に選べることになります。
今回の求愛餌はあまりにも巨大すぎるので、♀を待ち伏せする間にヤマトシリアゲ♂同士で争奪戦(占有行動)になることもありませんでした。 

関連記事(12年前の撮影)▶ ヤマトシリアゲ♂同士の喧嘩(獲物の争奪戦) 

つまり、モリアオガエルの泡巣に集まったヤマトシリアゲの群れはレック(集団お見合い会場)と言えるかもしれません。
池の水面に張り出した木の枝先にモリアオガエルの泡巣がいくつも産み付けられていたのですが、その全てにヤマトシリアゲが群がっている訳ではありませんでした。
鮮度が新しい泡巣を選んでいたようです。


【アフィリエイト】 

2025/06/30

田植え前の水入れした田んぼで虫やミミズを捕食するハクセキレイ♀(野鳥)

 

2024年5月下旬・午前9:50頃・晴れ 

田植えの前に水を入れ始めたばかりの水田にハクセキレイ♀(Motacilla alba lugens)が来ていました。 
水田の中央部ではなく、雑草の生い茂る農道に近い端で採餌しています。 
巨大な水溜り(氾濫原)と化した浅い水田の中を歩き回り、ときどき水面を嘴でつついています。 

水面を逃げる水生昆虫を走って追いかけて捕食しているようです。 
溺れている細長いミミズを摘み上げて次々と捕食しました。 
食べる前にミミズを咥えて水面に何度も叩きつけているのは、水洗いして泥汚れを落としているのでしょうか。 
獲物を持ち帰って雛や幼鳥に給餌するのではなく、その場ですべて食べました。 

ハクセキレイ♀はときどき飛び上がって、田んぼの上空を低く飛んでいる昆虫を空中でフライングキャッチすることもあったのですが、そのシーンは撮れていません。 


関連記事(3、5、6年前の撮影)▶  

2025/06/29

モリアオガエルの泡巣に集まり食卵するヤマトシリアゲ春型♀♂

 

2024年6月上旬・午後14:10頃・晴れ 

山中にあるモリアオガエル♀♂(Rhacophorus arboreus)の繁殖池で、岸辺のマユミの枝葉にいくつも産み付けられた泡巣を調べていると、その一つに春型のヤマトシリアゲ♀♂(Panorpa japonica)が何匹も集まっていました。 
腹端の形状に注目すると、ヤマトシリアゲは♀♂両方来ていることが分かります。 
モリアオガエルの泡巣の表面はすでに乾いていて、ヤマトシリアゲが自由に歩き回ることが出来ます。 

ヤマトシリアゲは細長い口吻を泡巣に突き刺しているので、一見すると吸汁しているようです。 
しかしシリアゲムシ成虫の口器は咀嚼のための構造ですから、単に水分摂取しているのではなくて、泡巣の内部に産み付けられたモリアオガエルの受精卵を捕食しているのでしょう。(食卵) 
カエルの卵は捕食者に対して無防備です。 
モリアオガエルは水中の捕食者を避けるために樹上に泡巣を作ってそこに産卵するように進化したのに、樹上にはまた別の捕食者が進化してきたのです。 

モリアオガエルの卵を食べるシリアゲムシ」と題したH72031610さんの動画を2012年に視聴して以来、私も自分の目で観察したいと思い、ずっと探し続けていたので、ようやく念願が叶いました。 




ヤマトシリアゲ♂の反り返った腹部の先端にはハサミ状の把握器があり、開いた状態でした。 





泡巣の右端には、腹端が先細りに尖っているヤマトシリアゲ♀が来ていました。 
側面から見ると、♀は細長い口器を泡巣に突き刺して咀嚼しています。 
泡巣の表面で翅紋を誇示しているヤマトシリアゲの個体(ディスプレイ行動)や、交尾している♀♂ペアもいました。

ヤマトシリアゲの中には、体表に赤いタカラダニ科の幼虫(種名不詳)が付着した個体がいました。 
タカラダニの幼虫はただの便乗(ヒッチハイカー)ではなく、宿主から体液を吸う吸血性の体外寄生虫なのだそうです。 
タカラダニに宿主特異性はなく、広範な宿主範囲を持つ広食性(generalist)の寄生者らしい。 

近くの木の葉にはキンバエが留まって身繕いしてから飛び去りました。 
周囲でモリアオガエルの鳴く声が聞こえます。 
産卵した後のモリアオガエル♀♂は、泡巣の卵を捕食者から守ったりしないのでしょうか?
泡巣の近くに居座って、集まってくるハエ類やシリアゲムシを次々と捕食すれば一石二鳥だと思うのですが。


この記事を書くために、Perplexity AIとのブレインストーミングが役立ちました。 



2025/06/25

果樹園で狩りを試みるも失敗続きのノスリ(野鳥)

 

2024年5月下旬・午後16:00頃・晴れ 

リンゴを栽培している山麓の果樹園の手前が原っぱ(草地)になっています。 
その原っぱに立つ電柱の天辺にノスリButeo japonicus)が止まっていました。 
奥のリンゴ園では農夫が果樹の剪定作業をしていたのですが、ノスリもヒトもお互い気にしていません。 

ノスリの顔の周囲で小さな黒い虫がまとわりつくように飛び回っているのは、眼球の水分に誘引されたメマトイのようです。 
ノスリは嫌がって顔を激しく振り、しつこいメマトイを追い払おうとしています。 

急にノスリが手前に向かって飛び立ちました。 
(手前の車道をちょうど車が通り過ぎたタイミングで飛び立ちました。) 
てっきりカメラで撮影する私に対して威嚇しに来たのかと思いきや、原っぱをかすめるように一瞬だけ舞い降りて、そのまま右に飛び続けました。

ノスリの行方を一瞬見失ったのですが、近くに立つ物置小屋のトタン屋根の端に止まり直していました。 
どうやら原っぱで獲物を狩るのに失敗したようです。 
ノスリは新しい止まり場から体をねじって原っぱを見下ろし、獲物を待ち伏せしています。 
しばらくすると、ようやくトタン屋根の上でしっかり左に向き直り、眼光鋭く原っぱを見つめています。 
よほど魅力的な(気になる)獲物が原っぱに隠れているのでしょう。 

しばらくすると、遂にノスリは左下の原っぱに再び飛び降りました。 
こんな至近距離で狩りが見れるなんて千載一遇のチャンスです。 
興奮を抑えつつ流し撮りしたのに、こんなときに限って手前の車道を車が連続して通り過ぎるので、狩りの決定的瞬間をしっかり撮れませんでした。 
撮影を邪魔された私は思わず舌打ちしそうになりましたが、もしかすると車が通過する度に驚いた獲物が原っぱで逃げ出し、それをノスリが待ち伏せしていたのかもしれません。 
あるいは逆に、ノスリに狙われていることを知った獲物が草むらに隠れつつノスリとの我慢比べになっていたのかもしれません(下手に動いたら殺られる)。
つまり、車が通りかかった瞬間にノスリが気を取られて集中力が削がれ、その隙を逃さずに獲物が全力で逃げ出したのかもしれません。

原っぱに着地したノスリは、脚の脛を覆う羽毛が厚く、脚がとても太く見えます。 
どうやら今回も獲物を捕り損ねたようで、ノスリは足元を凝視しています。 

諦めたノスリは右奥へ羽ばたきながら低空で飛び去りました。 
このとき鉤爪に獲物は掴んでいませんでした。 
元の止まり場(物置小屋の屋根や電柱)には戻らず、どこかに飛び去ってしまいました。 
飛び去る際に、奥のリンゴ園の手前に張り巡らされた電気柵にノスリが突っ込むのではないかとヒヤヒヤしたのですが、無事に回避して感電事故を免れました。 
(この時期はまだ電気柵に通電していないかもしれません。)

高所で待ち伏せするノスリが獲物に襲いかかる瞬間を1/5倍速のスローモーションでリプレイ。(@2:17〜) 
これほど至近距離から襲撃シーンを撮れて感動しました。 

二回連続で狩りに失敗したということは、経験の浅い幼鳥・若鳥なのでしょうか?
私はノスリで成鳥と幼鳥の見分け方を知らなかったのですが、この機会に調べてみました。
すると意外にも、この個体は成鳥でした。
虹彩が暗褐色で、蝋膜ろうまく(嘴の基部)が明瞭な黄色、羽衣のコントラストがしっかりしていることなどが根拠です。

【参考サイト】ノスリで妄想してみたこと・・・ by medaichiのブログ:大阪南港野鳥園ウェブサイト管理人室


原っぱでノスリが狙っていた獲物の正体が最後まで分かりませんでした。
野ネズミが昼間から活動していたのか、それともカエルや昆虫だったのかもしれません。

ランダムに記事を読む