2024年7月上旬〜中旬
山中にあるモリアオガエル(Rhacophorus arboreus)の繁殖池で、岸辺に自生する灌木に産み付けられる白い泡巣を長期間観察しています。
これまでタイムラプス専用カメラで定点観察してきたのですが、旧機種のトレイルカメラを新たに追加投入し、終日5分間隔のインターバル撮影を行いました。
11日間の記録です(7/5〜7/16)。
本当は従来どおり1分間隔で撮りたかったのですが、旧機種のトレイルカメラではなぜか5分間隔が精一杯です。
トレイルカメラを使う利点は、昼間だけでなく夜も赤外線LEDによる暗視撮影ができることです。
タイムスタンプ(撮影日時)だけでなく、気温や月齢のデータも画面に焼きこまれているのはありがたいです。
池の岸辺から張り出したマユミ灌木の横枝にわずかに残った新鮮な白い泡巣に狙いをつけて監視することにしました。
すでに崩壊した古い泡巣がいくつも見えます。
7月中旬に現場入りすると、待望の大雨が降ったおかげで、今季初めて池が満水状態になっていました。
岸辺に設置したトレイルカメラが水没しているのではないかと心配だったのですが、無事でした。
池畔の木々の枝先に新たな泡巣はもう産み付けられなくなりました。
確認すると、ようやく自分でもだいぶ納得のいく(イメージに近い)タイムラプス動画が撮れていました。
マユミの枝葉に産み付けられた白い泡巣の表面が固くなり、やがて雨で溶け落ちてモリアオガエルの幼生(孵化したオタマジャクシ)が下の池に入水するまでの様子が刻々と記録されていました。
トレイルカメラの真上に雨よけの庇を取り付けたのが役立ったようで、梅雨時でもレンズがほとんど濡れずに済みました。
予想通り、夜はモリアオガエルの成体がマユミの樹上に集まっていました。
おそらく、この時期はほとんどの個体が♂で、♀はもう来なくなったようです。
残念ながら、5分間隔のインターバル撮影ではカエルの木登り移動の様子や離合集散(求愛と抱接産卵)が分かりにくいです。
【考察・反省点】
撮れたタイムラプス動画をご覧の通り、モリアオガエルの繁殖期はもう終わったようです。
昼も夜も連続撮影できるトレイルカメラをもっと早く(初めから)投入したかったのですが、同時進行している他のプロジェクトとの兼ね合いで遅れてしまいました。
被写体との距離が近すぎて、暗視するために照射する赤外線が白飛びしてしまいました。
旧機種のトレイルカメラには赤外線の強弱を調節する設定がないので、赤外線LEDに光を和らげるディフューザーを被せるように取り付ければよかったですね。
現場の状況から、被写体(樹上の泡巣)からの距離を離してカメラを設置することがどうしても無理なのです。
池の中に三脚を立てることができれば確かに撮りやすいのですが、梅雨時に機材が水没するのが怖くて敢行できませんでした。
カメラを設置したときに画角の水平が取れておらず、対岸の水面が斜めにずれてしまいました。
現場で試写した後に画角をしっかり確認するには、池に入る必要があったのですが、底なし沼のように長靴がズブズブと泥濘に沈むのが嫌で、ほとんど勘でトレイルカメラの角度を固定してしまいました。
来季は高画質で撮れる新機種のトレイルカメラを使って1分間隔のインターバル撮影、赤外線LEDの照射距離はshort(弱)の設定で再挑戦してみたいものです。
さらに別のトレイルカメラでモリアオガエルの泡巣を見張り、ニホンザルによる食卵シーンを動画で記録するのが来季の目標です。
つづく→