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2025/10/29

ヒメジョオンの花蜜を吸うヤノトガリハナバチ♀

 

2024年8月上旬・午前11:15頃・晴れ 

梅雨明け宣言した日、里山の山道に咲いたヒメジョオンヤノトガリハナバチ♀(Coelioxys yanonis)が訪花していました。 
この組み合わせは初見です。 
スミスハキリバチなどの巣に寄生するハキリバチ科の蜂です。

労働寄生性のハナバチは、宿主の集めた花粉を利用するために、自分で集める必要がなく、花粉運搬毛(スコパ:しぐま註)は退化している。 (横井智之『ハナバチの教科書 』p74〜75より引用)

頭楯が橙色なのは花粉で汚れているのかと思ったのですが、ヤノトガリハナバチの識別点なのだそうです。
(ヤノトガリハナバチは)顔面の毛は黄褐色(多種は灰色に近い)であることでも区別できる。 (『日本産ハナバチ図鑑』p295より引用) 


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2025/10/25

オモダカの花蜜を吸い飛び回るホソヒラタアブの一種♂【FHD動画&ハイスピード動画】

 

2024年7月下旬・午後13:45頃・くもり 

今年はアイガモ・ロボットが水田の除草になぜか失敗したようです。 


それでも除草剤(農薬)を撒かずに見守っている(放置している)ところに、米農家の気骨を感じました。 
(除草に失敗したときの収量データを取ろうという農学者魂?) 
これで懲りずに水田自動抑草ロボットの改良を進めて欲しいものです。 


田んぼの中にびっしり生えた雑草に混じって、抽水植物のオモダカが白い花を咲かせています。 
雄花にホソヒラタアブ♂(Episyrphus balteatus)またはその仲間が訪花していました。 
ホソヒメヒラタアブ? 
この組み合わせは初見です。 
左右の複眼が発達し中央(頭頂部)で接していたので、♂のようです。 

ホバリング(停空飛翔)しながら吸蜜するのではなく、雄花の雄しべの葯に留まって口吻を伸ばし、蜜腺や花粉を舐めています。 
翅を半開きにしたまま花の上を歩いて移動し、色んな角度から吸蜜しています。 
訪花中は横縞模様のある腹部を上下に動かしています。 
少し飛んで横の花に移動し、吸蜜を続けます。 

ハナアブの他に、得体のしれない微小な昆虫が何匹もオモダカに訪花していました。 
撮影中は全く気づかなかったので、次回はマクロレンズで接写してみるつもりです。 
この微小な虫って何でしたっけ?(度忘れしてしまいました。) 

オモダカの横に生えたイネの葉には、害虫によって食い荒らされた食痕(虫食い跡)が残されています。 
米農家はこの食痕を見ただけで、きっと害虫の正体を推理できるのでしょう。 
(ご存知の方は教えてください。) 

ハナアブ♂がオモダカの花から飛び立つ瞬間を狙って、240-fpsのハイスピード動画でも撮ってみました。(@3:27〜) 
後半は風で花が大きく揺れて飛び立ちました。 
隣の花も激しく揺れて着地できず、どこかに飛び去りました。 


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2025/10/17

オオバギボウシの花で穿孔盗蜜を繰り返すクマバチ♀【FHD動画&ハイスピード動画】

 

2024年7月中旬・午前10:30頃・くもり 

郊外の道端の花壇に咲いたオオバギボウシの群落でキムネクマバチ♀(Xylocopa appendiculata circumvolans)が訪花していました。 
クロマルハナバチやニホンミツバチと違い、クマバチ♀は太っちょでオオバギボウシの花筒に潜り込めず口吻も短いので、正当訪花しないで盗蜜を繰り返しています。 
花筒の根本を外側から大顎で噛むのではなく、口吻を突き刺して穿孔し、蜜腺から花蜜を盗んでいました。 

クマバチ♀が飛び去ると、オオバギボウシ花筒の根本に穿孔跡(盗蜜痕)が残っているのが見えます。 
花筒の根元にちょっと留まるだけで、すぐに次の花へ飛び立つことがあります。 
おそらく穿孔跡がある花を避けているのでしょう。 (もう先客が盗蜜したせいで花蜜は残っていないから)

雄しべの葯に触れることはないので、当然ながらクマバチ♀の体表に花粉は付着していませんし、後脚の花粉籠は空荷です。 

クマバチ♀の穿孔盗蜜行動を240-fpsのハイスピード動画でも撮ってみました。(@1:01〜) 
複数個体を撮影。 


関連記事(5、11年前の撮影)▶  


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2025/10/15

ノダイコンに訪花するモンシロチョウ春型♂の羽ばたき【FHD動画&ハイスピード動画】

 

2024年4月下旬・午後14:55・くもり 

田んぼの農道に咲いたノダイコン(大根の内陸性自生種)の群落で春型のモンシロチョウ♂(Pieris rapae)が訪花していました。 
翅をしっかり閉じて花に留まると、口吻を深く差し込んで花蜜を吸っています。 
羽ばたいた際に一瞬見えた翅表の斑紋から、春型♂と判明しました。 

ノダイコンの花から飛び立つ瞬間を狙って240-fpsのハイスピード動画でも撮ってみました。(@0:35〜) 


関連記事(5年前の撮影)▶ ノダイコンの花蜜を吸うモンシロチョウ♂

2025/10/11

マミガサキアザミの花で採餌するハナバチの一種がキマダラセセリに体当たり(占有行動?)

 

2024年7月中旬・午前11:30頃・くもり 

里山の山腹をトラバースする山道の横(林縁)に疎らに咲いたマミガサキアザミでハナバチの一種が訪花していました。 
吸蜜するハナバチをよく見ると、後脚の花粉籠に黄色い花粉団子を付けています。 
花から飛び立つと、蜂の羽音がかすかに聞こえます。
 
私はこのハナバチの名前が分からなかったので、ご存知の方がいらっしゃいましたら教えてください。
おおまかな分類(〜科など)でも知りたいのです。
私のフィールド(@山形県)では結構よく見られるハナバチです。

興味深いのは、次の行動です。 
隣の花で吸蜜していたキバネセセリBibasis aqulina chrysaeglia)に体当たりして追い払ったのです。 
高速で羽ばたく蜂の翅がチョウの翅に触れたようで、蜂の羽音が変わりました。
偶然の衝突事故かもしれませんが、蜜源植物を守る占有行動なのかな? 
直後にそのハナバチは慌てて逃げてしまいました(飛び去った)。 
その一方で、下に落ちるように逃げたキバネセセリが再び舞い上がって、元の花に戻ってきました。 
つまり、今回ハナバチは蜜源植物の占有(ライバルの排除)に失敗しました。 

キバネセセリは吸蜜に夢中で、カメラを近づけて接写してもなかなか逃げませんでした。 
最後に飛び去ったのは、私がうっかりマミガサキアザミの葉に触れて揺らしてしまったからです。 


※ 蜂の羽音が聞き取れるように、動画編集時に音声を正規化して音量を強制的に上げています。 


【考察】 
ハナバチの蜜源占有行動について、Perplexity AIに相談してみました。 
以下はその回答です。

ハナバチが他の昆虫(例:チョウ)に体当たりして花から追い払う行動は、偶発的な衝突だけでなく、実際に蜜源植物や採餌資源を守る「占有行動」や「排除行動」として観察されることがあります。

ハナバチによる訪花虫の排除行動

  • 多くのハナバチ(特に大型のミツバチ、マルハナバチ、単独性ハナバチ)は、給餌・繁殖資源である花が限られている場合、近づく他の花訪者(チョウ、ハエ、別種あるいは同種のハチ)に対して「アタック」や「体当たり」、威嚇飛翔、時に追い払いを行うことがある。

  • こうした行動は「餌場の占有(resource guarding)」または「テリトリアル(territoriality)」と呼ばれ、特に蜜源が限られる状況や豊富な蜜・花粉を持つ花で顕著に見られる。

  • チョウ以外にも、ハナアブや他の花訪問性昆虫に対してしばしば見られる。

偶発的な衝突との区別

  • 偶然の衝突事故も、蜜源の上で訪花昆虫が多い場合や、花での動きが重なると時折発生する。

  • しかし、特定のハナバチが意図的に直線的に飛んで相手にぶつかり、相手が花から離れた場合は「攻撃的な排除行動」の可能性が高い。

  • 一節には、マルハナバチ属では蜜源の縄張りを主張するため、積極的に他個体を威嚇または追い払い、同じハチ同士でも激しい排除が観察される。

まとめ

ハナバチが他の昆虫を花から追い払う行動は、「蜜源防衛(占有)行動」として複数の研究で記録されています。観察した現象が意図的に思われた場合、偶発的な事故ではなく、資源の独占のための進化的に適応した行動と考えて問題ありません。


参考文献・補足

より詳細な行動や具体的な種例が知りたい場合、英語では"bee territoriality at flowers"や"bee aggressive displacement behavior"などが文献検索キーワードとなります。

  • : 複数のハチ種で花上の他昆虫への攻撃的排除行動が報告されている専門文献

  • : マルハナバチの“餌の独占行動・追い払い”観察例

  • : 訪花生物間の資源競争、蜜源独占行動を扱った研究レビュー


観察された「ハナバチがセセリチョウに体当たりしたが、ハナバチ自身が逃げてしまい、結局セセリチョウが同じ花に戻った」という事例は、蜜源の占有(競争)行動や排除行動が必ずしも成功するとは限らないこと、そして花上での種間相互作用が一方的でないことを示しています。knowledge.carolina

占有・排除行動の「失敗」もある

  • ハナバチが他の昆虫(例えばチョウ)に対して追い払いや体当たりを試みても、相手があまり驚かなかった場合や、逆にハナバチ自身が脅威を感じて離脱することは珍しくありません。knowledge.carolina

  • 特に、相手(この場合セセリチョウ)が比較的動じずに花に留まった、あるいはハナバチが意外な反応を示して逃げる、といった現象は、「競争的排除が必ず成立するわけではない」「個体の性格や状況によるバリエーションがある」ことを反映しています。plantsciencejournal+1

花上での昆虫間関係の多様性

  • 花上の昆虫間でみられる占有・競争行動は、状況や個体の強さ・行動特性により結果が異なり、排除が失敗する場合も実際に観察されています。plantsciencejournal+1

  • セセリチョウの多くは花の上で動じずにとどまりやすく、ハナバチもサイズや性格によっては「威嚇してみたが自分が驚いて退く」ことが起こり得ます。knowledge.carolina

まとめ

蜜源をめぐる占有・排除行動は多くの訪花昆虫で見られますが、必ずしも「排除に成功する」とは限らず、失敗例や挙動にバリエーションがあることは生態的に自然な現象です。今回のケースも、実際のフィールド観察例として重要な「行動の幅」の一端です。plantsciencejournal+1

 

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ハナバチの教科書 (学術選書 121)

虫がよろこぶ花図鑑

日本産ハナバチ図鑑

蜂の奇妙な生物学 生物ミステリー

花と昆虫のしたたかで素敵な関係 受粉にまつわる生態学

2025/10/07

オオバギボウシの花から花粉を集めるセイヨウミツバチ♀【ハイスピード動画】

 

2024年7月中旬・午前10:30頃・くもり 

郊外の畑の端にある花壇に咲いたオオバギボウシの群落でセイヨウミツバチApis mellifera)のワーカー♀が訪花していました。 
この組み合わせは初見です。 

240-fpsのハイスピード動画で撮ってみたら、セイヨウミツバチ♀は正当訪花でオオバギボウシの花筒に潜り込んだものの、なぜか集粉しただけで吸蜜しませんでした。 
この個体は、雄しべに留まって葯から花粉を集めてから飛び去りました。

2025/10/05

ニホンミツバチ♀の分蜂群を誘引する不思議な蘭植物キンリョウヘン

 

2024年5月下旬・午後12:45頃・晴れ? 

山麓にある古い木造家屋の床下に昔から何年間もニホンミツバチApis cerana japonica)が自然営巣しています。 
久々に定点観察に来てみると、この日も多数のワーカー♀が活発に飛び回り、床下にある巣に出入りしていました。 

家屋の手前に養蜂用の空の巣箱が2つ置かれていました。 
ちょうどニホンミツバチが分蜂する時期なので、巣箱に引っ越してくる分蜂群を捕獲したい養蜂家がいるのでしょう。 
分蜂群を効果的に誘引するために、それぞれの巣箱の近くにキンリョウヘンという蘭の鉢植えが計3つ置かれていました。 
キンリョウヘンの花は、なぜかニホンミツバチの集合フェロモンを分泌しているのだそうです。 
ただし、我々ヒトの鼻には無臭です。
キンリョウヘンの花は、ニホンミツバチの「集合フェロモン」と非常によく似た化学物質(3-ヒドロキシオクタン酸:3-HOAA と 10-ヒドロキシデセン酸:10-HDA)を分泌します。
これは一種の化学擬態であり、フェロモンで誘引したミツバチによって授粉してもらおうというのが、キンリョウヘンの送粉戦略です。 
本やテレビなどで知っていましたが、実際に見学するのは初めてです。 
確かにニホンミツバチのワーカー♀が多数集まっていました。 

意外にも、キンリョウヘンの花で吸蜜したり花粉を集めたりする個体はいませんでした。 
キンリョウヘンの花自体には蜜がないため、ミツバチが花に留まって採餌する行動は見られないのだそうです。
キンリョウヘンの花は「背面摩擦送粉」という仕組みで受粉します。
ミツバチが花に入ると、背中に花粉塊(蘭特有の「ポリニア」)が付着し、別の花に移動することで運ばれた花粉と授粉します。
花粉塊が付着する部位は蜂自身の足先が届かず、身繕い動作(グルーミング)でも取り外しがほぼ不可能な場所です。
つまり、蜂は背中についたキンリョウヘンの花粉塊を自力で後脚の花粉籠に移し替えて花粉団子として巣に持ち帰ることはできません。
ミツバチ側にとっては花蜜や花粉という報酬がない「騙し」の仕組みですが、植物側は効率的に送粉してもらうことができます。


ニホンミツバチの偵察部隊に巣箱の入口を見つけてもらいやすくして巣箱へスムーズに誘導するために、キンリョウヘンの花の置き方が工夫されていることが分かりました。 
なぜか右よりも左の巣箱の方が蜂の出入りが多いです。 

巣箱の内部から歩いて巣口に出てきた蜂が、口にオレンジ色の小さな塊を咥えていて、外に捨てました。 
巣箱の内部を清掃しているということは、偵察部隊が巣箱を内見して気に入り、これから女王を連れて分蜂群が引っ越してくる前兆かもしれません。 

一番興味深かったのは、巣箱の手前の地面で複数のニホンミツバチ♀が団子状に集まって格闘していたことです。 
キンリョウヘンの放つ強烈な匂い(フェロモン)に酩酊したのでしょうか?
かの有名な、天敵のスズメバチを熱殺する蜂球なのかと思い接写しても、ニホンミツバチ同士の争いでした。 
ちなみに、スズメバチvsニホンミツバチの死闘が繰り広げられるのは秋です。
もしかしてこれが仮集結した分蜂蜂球の出来始め(形成初期)なのでしょうか? 
しかしよく見ると、1匹の個体を取り囲んで集団リンチしています。 
相手にしがみついて噛み付いたり、腹端の毒針で刺そうとしたりしていました。 
近所にある別々のコロニーから集まって来た斥候の蜂同士が、引越し先の巣箱を巡って争っているのかもしれません。 
襲われている個体はほぼ無抵抗で、相手を振りほどこうと必死に羽ばたきながら歩いて逃げようとしています。 
熱殺蜂球とは異なり、喧嘩が終わって蜂の団子が解散しても、死亡個体が地面に残されることはありませんでした。 

残念ながら、ニホンミツバチの分蜂群が実際に新しい巣箱へ引っ越しする様子を観察することはできませんでした。 
女王も含めた分蜂群が巣箱に引っ越しする日はなかなか予想できないので、無人のカメラを設置して何日も愚直に監視する必要がありそうです。


【考察】
キンリョウヘンの誘引成分は女王蜂のフェロモンやローヤルゼリー成分に近いため、働き蜂(ワーカー♀)だけでなく結婚飛行に飛び立った雄蜂♂を集める力もあるのだそうです。
しかし今回、新しい巣箱やキンリョウヘンに来ていたのはニホンミツバチのワーカー♀だけで、雄蜂♂はいませんでした。

 この記事を書くための調べ物をする上で、いつものようにPerplexity AIとの問答が役立ちました。
(今回は試しにPDFファイルにまとめてみました。)

私が一番知りたいのは、キンリョウヘンの鉢植えの近くの地面でニホンミツバチが団子状になっていた行動についてです。

菅原道夫『ミツバチ学:ニホンミツバチの研究を通し科学することの楽しさを伝える』 という本のPart3(p83-130)で、ニホンミツバチの特性の1つであるランに誘引される現象とその研究の現状を詳しく解説しています。
しかし読み返しても、私の疑問は解決しませんでした。

Perplexityの見解では、
集合フェロモンに誘引されたミツバチは、巣箱やその周辺で一時的に密集することがあります。これは新しい巣箱への入居前や、女王蜂を待つ間などによく見られる行動です [18] [19] 。
特に分蜂時や新しい環境下では、偵察蜂や一部の働き蜂が地面や巣箱の周囲で「仮集結」することがあり、これが団子状に見えることがあります [19] 。

また、「異なるコロニーから来たニホンミツバチの偵察部隊が巣箱を巡って激しい闘争を繰り広げることがあるのか?」という私の疑問に対して、Perplexityは否定的でした。
異なるコロニーの偵察蜂が鉢合わせた場合
偵察蜂同士が同じ巣箱やキンリョウヘンの周辺で出会うことはありますが、基本的には激しい争いは起きません。
偵察蜂はあくまで「下見」役であり、候補地を確認したら自分の群れに戻り、情報を伝達します。その後、分蜂群全体が入居を決定するかどうかが決まります [27] [28] 。
もし複数の分蜂群が同時に同じ巣箱を目指して集まった場合、最終的にはどちらか一方の群れが入居し、もう一方は別の場所を探すことが多いです。まれに両群が同時に入ろうとし、巣箱の入り口付近で一時的に小競り合いが起きることもありますが、致命的な争いには発展しません。

しかし私はどうもPerplexityの説明に納得できません。
佐々木正己『ニホンミツバチ: 北限のApis cerana』という書籍を読むと、次のような記述があったからです。
ニホンミツバチがオオスズメバチの襲来を察知して対処するときの反応をも化学擬態しているとする小野・佐藤(1997)の説は、誘引された蜂が(キンリョウヘンの)花弁をかじる不思議な行動を見事に説明する (p160より引用) 

蜂球に包まれた(キンリョウヘンの)花は熱とかじり行動でぼろぼろにはなるが、受粉は高率で保証される。そして開花時期が、まさに分蜂の季節と一致しているのである。 

私が観察した小規模な蜂球やニホンミツバチ同士の闘争行動は、これで説明できるのではないか?と思いつきました。
つまり、キンリョウヘンの化学擬態によってニホンミツバチの熱殺蜂球が誤って発動されてしまったのではないでしょうか?
この仮説なら、必ずしも他のコロニーから来た蜂との喧嘩とは限りません。(同じコロニー内の同士討ちかも)


佐々木正己『ニホンミツバチ: 北限のApis cerana』や小野・佐藤(1997)の説に基づき、「キンリョウヘンの化学擬態によってニホンミツバチの熱殺蜂球が誤って発動される」可能性について検討すると、十分に合理的な解釈といえます。

化学擬態による誤作動と観察事例

  • キンリョウヘンは、ニホンミツバチの集合フェロモンだけでなく、オオスズメバチ襲来時の危険(外敵や警戒)フェロモンまで部分的に化学擬態していると分析されています。scienceteam.jst

  • 花弁をかじったり、他個体にまとわりついたりする「異常な蜂球状行動」は、本来天敵襲来時の防御反応として発動されるべき集団行動が、化学信号によって誤誘導された結果と説明できます。38qa+1

行動の特徴

  • 通常の熱殺蜂球はオオスズメバチなど天敵が存在し、巣の防衛で発動します。その際はミツバチ死骸・負傷者が見られます。tamagawa+1

  • キンリョウヘンの場合は死骸が残らないため、攻撃性の弱い「誤発動型蜂球」や小規模衝突として観察されます。38qa

  • 花弁をかじる不思議な行動も、外敵がいないにも関わらず警戒・排除スイッチが入り、集団で花(=誤認天敵)を攻撃しようとする防衛行動の名残と考えられます。scienceteam.jst

生態・進化的解釈

  • キンリョウヘンのフェロモン成分が、ミツバチに「危険」や「集合」だけでなく「攻撃・防御」反応まで誤誘導する化学擬態であるとの学術的指摘があり、進化的視点からも特異な利用例とされています。38qa+1

  • 現場で観察された小規模蜂球や花弁へのかじり行動は、こうした「擬態シグナル誤認による行動発動」の一環として解釈してよい根拠があります。


結論
キンリョウヘンの化学擬態が、ニホンミツバチの本来の熱殺蜂球・警戒防衛行動まで誤発動させてしまうことは、最新の学術的知見にも一致します。観察された小規模蜂球や花弁かじりは、擬態による誤認誘導現象として十分説明できます。scienceteam.jst+1


手強い相手でしたが、ついにPerplexity AIを説き伏せることができました。
(Perplexityは誤解していますが、キンリョウヘンの花弁をミツバチがかじった行動を私自身は観察していません。)
もちろん、AIを論破したからと言ってそれが科学的に真理だとは限りません。
私は未だ1例しか観察していませんし、解明していくのはこれからです。
 

映像を見直すと、微小なアリ(種名不詳)がキンリョウヘンに訪花しているようですが、ニホンミツバチの観察に集中していた私は、アリのことなど眼中にありませんでした。 
今後の課題です。


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2025/10/01

オオバギボウシの花で採餌するクロマルハナバチ♀の羽ばたき【FHD動画&ハイスピード動画】

 

2024年7月中旬・午前10:25頃・くもり 

郊外で道端の花壇にずらりと咲いたオオバギボウシの大群落でオオバギボウシオオマルハナバチBombus hypocrita)のワーカー♀がせっせと訪花していました。 
毎回、正当訪花を繰り返して吸蜜・集粉しています。 

後脚の花粉籠が空荷の個体と、橙色の花粉団子を付けている個体がいました。 
花筒に潜り込んで吸蜜すると、腹面が雄しべに触れてオオバギボウシの花粉が付着します。 
次の花に潜り込むと、その花粉が雌しべに授粉するのです。 
雌しべの先端部が上向きに湾曲しているのは、そのためです。
クロマルハナバチはときどき毛繕いして体毛に付いた花粉を後脚の花粉籠に移します。
花蜜ととも花粉団子を巣に持ち帰り、幼虫の餌にするのです。 

関連記事(11年前の撮影)▶ オオバギボウシに訪花するクロマルハナバチ♀ 

ギボウシの花から飛び立つ瞬間を狙って、240-fpsのハイスピード動画でも撮ってみました。(@1:07〜) 
複数個体を撮影。 

ちなみに、花壇の奥に見えているのはアスパラガス畑です。


※ 蜂の羽音が聞き取れるように、動画編集時に音声を正規化して音量を強制的に上げています。

2025/09/27

ハルザキヤマガラシの茎を登り下りするコアオハナムグリ

 

2024年4月下旬・午後14:45頃・くもり 

田んぼの農道に咲いたハルザキヤマガラシの群落でコアオハナムグリGametis jucunda)が訪花していました。 
この組み合わせは初見です。 

よく見ると体表が黄色い花粉にまみれています。 
身繕いしてから茎を下に降り始めました。 
ハルザキヤマガラシの茎を分岐点まで下ると、別の茎を登り始めました。 
黄色い花に辿り着いたので食事を始める(花蜜や花粉を食べる)のかと思いきや、なぜか気に入らなかったようで、また茎を下って行きます。 

雨雲が近づいているせいで風揺れが激しく、虫撮りには不向きのコンディションでした。 
このとき私は先を急ぐ用事があったので、食事シーンを見届けることができませんでした。

2025/09/23

ハルジオンの花蜜を吸うウスバアゲハ

 

2024年5月下旬・午前11:15頃・晴れ

山麓の道端に咲いたハルジオンの群落でウスバアゲハ(別名ウスバシロチョウ;Parnassius citrinarius)が訪花していました。 
伸ばした口吻にも脚にも黄色い花粉が付着しています。 
流蜜量が多い頭花を見つけたようで、一心不乱に吸蜜を続けてなかなか飛び立ちません。 
隣接する頭花には、わざわざ飛ばずに歩いて移動します。(省エネ) 

この個体の性別を私には見分けられませんでしたが、腹端に交尾嚢がないことから、交尾済みの♀でないことは確かです。 

関連記事(14、16年前の撮影)▶  

2025/09/13

ナンテンの花粉を集めて回るクマバチ♀の羽ばたき【FHD動画&ハイスピード動画】

 

2024年7月上旬・午後14:40頃・晴れ 

田園地帯の農道と民家の庭との境界に植栽されたナンテンキムネクマバチ♀(Xylocopa appendiculata circumvolans)が訪花していました。 
耳を澄ますと、重低音の羽音がかすかに聞こえます。 

関連記事(2年前の撮影)▶ ナンテンの花で採餌するクマバチ♀


蜂の動きがあまりにも忙しないので、240-fpsのハイスピード動画に切り替えました。(@0:23〜) 
訪花中の蜂が触れると、ナンテンの白い花弁が次々と散ってしまいます。 
吸蜜するクマバチ♀をよく見ると、後脚の花粉籠に薄っすらと黄色い花粉団子を付けていました。 
飛びながら空中で後脚を互いに擦り合わせています。 
体毛に付着した花粉をまとめて、花粉籠に移しているのです。 
後脚の花粉籠に黄色い花粉団子がうっすらと付着しています。 
花粉籠があることと、顔の頭楯が黒いことからも、♀と分かります。

ところで、ナンテンの若葉や茎は夏でも赤いのですね。

2025/09/07

ムラサキツメクサの花蜜を吸い飛び回る春型のキアゲハ♀【FHD動画&ハイスピード動画】

 

2024年6月中旬・午後15:00頃・晴れ 

湿地帯の端に咲いたムラサキツメクサ(=アカツメクサ)の群落で春型のキアゲハ♀(Papilio machaon hippocrates)が訪花していました。 
口吻を差し込んで吸蜜している間もキアゲハ♀は小刻みに羽ばたき続けてバランスを取っています。 
風が吹いてムラサキツメクサの頭花が揺れても、しっかりしがみついて吸蜜を続けます。 
風が止んで落ち着くと、羽ばたきを止めて吸蜜することもありました。

キアゲハ♀がムラサキツメクサの花から飛び立つ瞬間を狙って、240-fpsのハイスピード動画でも撮ってみました。(@2:37〜) 



吸蜜の合間に、近くに自生するヨモギ(キク科)の葉にキアゲハ♀が一瞬だけ着地するのを目撃しました。(映像なし) 
産卵に適したセリ科の食草かどうか、触れて確認したようです。


【アフィリエイト】

2025/09/01

オオイヌノフグリの花蜜を吸うモンシロチョウ春型♂

 

2024年4月中旬・午後14:50頃・晴れ 

田んぼの農道に咲いたオオイヌノフグリの群落で春型のモンシロチョウ♂(Pieris rapae)が訪花していました。 
ともにありふれた普通種ですが、意外にもこの組み合わせは初見です。 
オオイヌノフグリの茎(花柄)は細いので、モンシロチョウがしがみつくと、その重みで花が垂れ下がってしまいます。 
モンシロチョウ♂は口吻を伸ばして吸蜜しています。

1/5倍速のスローモーションでリプレイ。(@0:16〜) 
飛び立つ瞬間の翅表の斑紋から♂と判明。 

モンシロチョウは隣に咲いているヒメオドリコソウには興味を示さず、オオイヌノフグリにだけ連続して訪花していました。 
モンシロチョウはヒメオドリコソウの花が苦手なのかと言うと、そんなことはありません。


訪花昆虫のこのような性質を定花性と言います。
・定花性(flower constancy)とは、花粉媒介動物であるポリネーターが同じ種類の植物を連続して訪問する性質です。 
・定花性とは、同等(またはそれ以上)の価値が ある他の種類の花があるにもかかわらず、個々の訪花者が、決まった種類の花を連続して訪 花する行動のことである。

2025/08/28

フランスギクの花蜜を吸うウスバアゲハ

 

2024年5月中旬・午後12:25頃・くもり 

道端に咲いたフランスギクの群落でウスバアゲハ(別名ウスバシロチョウ;Parnassius citrinarius)が訪花していました。 
口吻を伸ばして吸蜜しています。 
この組み合わせは初見でした。 

初夏の風が吹いてフランスギクの頭花が揺れています。 
突風で一瞬だけウスバアゲハが横倒しになったときも、腹端に交尾嚢は付けていませんでした。 
したがって、交尾済みの♀ではないことは確かです。 
最後に強風が吹いて、ウスバアゲハはフランスギクの花から下のイタドリの群落に落ちてしまいました。

2025/08/26

シロツメクサの花で採餌するオオマルハナバチ創設女王【FHD動画&ハイスピード動画】

 

2024年5月下旬・午後16:20頃・晴れ 

田園地帯の農道に咲いたシロツメクサの群落でオオマルハナバチ♀(Bombus hypocrita)が訪花していました。 
口吻を差し込んで吸蜜し、ついでに花粉を集めているようです。 
後脚の花粉籠に橙色の花粉団子を付けています。 

やや小型の個体でしたが、この時期に活動しているのはワーカー♀ではなく、創設女王と思われます。 
しかし複数個体を見かけたので、暖冬の後の今季はワーカー♀が例年よりも早く羽化して活動しているのかな? 

平地性のクロマルハナバチと山地性のオオマルハナバチは、標高によって大まかに棲み分けていると言われています。 
現場は山麓に近い里なので、オオマルハナバチの活動分布域の境界(標高の下限)かもしれません。 

シロツメクサの花から飛び立つ瞬間を狙って、240-fpsのハイスピード動画でも撮ってみました。(@0:56〜) 


2025/08/20

ヒョウタンボクの花で穿孔盗蜜するクマバチ♀

 

2024年6月中旬・午後14:00頃・晴れ 

河畔林に咲いていたキンギンボク(別名ヒョウタンボク)のマント群落でキムネクマバチ♀(Xylocopa appendiculata circumvolans)が忙しなく訪花していました。 
1/5倍速のスローモーションでリプレイすると(@0:08〜)、花筒に潜り込む正当訪花をしないで穿孔盗蜜を繰り返していました。 

キンギンボクの萎れかけた白い花筒の根元を外側から噛んで小さな穴を開け、そこから口吻を差し込んで花蜜を吸っています。 
正当訪花する昆虫と違って花筒の中にある雄しべにも雌しべにも触れませんから、クマバチはキンギンボクの授粉に一切関与しないことになります。 
集粉しませんから、クマバチ♀の花粉籠は空荷です。
キンギンボクの群落で他の花にも根元に盗蜜痕が残っています。


関連記事(4年前の撮影)▶ キンギンボクの花で穿孔盗蜜するクマバチ♀

2025/08/18

セラスチウム(シロミミナグサ)の花蜜を吸うベニシジミ夏型【FHD動画&ハイスピード動画】

 

2024年5月上旬・午前10:05頃・くもり 

民家の花壇に咲いた見慣れない園芸植物の群落で夏型のベニシジミLycaena phlaeas daimio)が訪花していました。 
私は園芸植物に疎いので、Googleレンズで画像検索したところ、白い花の名前がセラスチウム(別名シロミミナグサ、ナツユキソウ)と判明。 

曇天のため、少しでも日光を浴びようとベニシジミは翅を半開きのまま吸蜜しています。 
少し飛んで別の花に止まり直し、次々に吸蜜しています。 

ベニシジミが花から飛び立つ瞬間を狙って、240-fpsのハイスピード動画でも撮ってみました。(@0:38〜)

2025/08/14

ハルジオンの花で食事するコアオハナムグリ

 

2024年4月下旬・午後12:35頃・くもり 

山麓の田園地帯の農道に咲いたハルジオンの群落でコアオハナムグリGametis jucunda)が訪花していました。 
ハルジオン頭花の中心部にある筒状花の花粉や花蜜を食べています。 


関連記事(16年前の撮影)▶ ハルジオンを食すコアオハナムグリ

2025/08/08

ノダイコンの花蜜を吸うナミアゲハ♂の羽ばたき【FHD動画&ハイスピード動画】

 

2024年5月中旬・午前11:05頃・晴れ 

小川の土手に咲いたノダイコン(大根の内陸性自生種)の群落でナミアゲハ♂(Papilio xuthus)が忙しなく訪花していました。 
吸蜜中もバランスを保つために、かなり忙しなく羽ばたき続けています。 
この組み合わせは初見です。 

腹端の形状から♂と判明。 
この♂個体は、左後翅の尾状突起が欠損しています。 

花から飛び立つ瞬間を狙って、240-fpsのハイスピード動画でも撮ってみました。(@0:57〜) 
スローモーションでじっくり観察すると、ゼンマイ状の長い口吻の根元付近に薄い黄色の花粉が大量に付着していることに気づきました。 
つまり、ナミアゲハ♂はノダイコンの花に口吻を差し込む度に授粉を助けている送粉者ということになります。 
狙った訳ではないのですけど、背後を流れる小川の水面の煌めきが美しく撮れていました。 

実はキアゲハもノダイコンの同じ群落に飛来したのですが、撮り損ねました。 
2種のアゲハチョウは互いに無関心で、誤認求愛や蜜源の占有行動も起こりませんでした。

2025/08/02

白藤の花で休むクマバチ♂を手に乗せてみる

 

2024年5月上旬・午後16:45頃・晴れ 

某お屋敷のブロック塀からシロバナヤマフジ(シラフジ、白藤)の花穂が垂れ下がっていました。 
季節の風物詩として、キムネクマバチXylocopa appendiculata circumvolans)の訪花シーンを撮ろうとしたのですが、白い蝶形花にしがみついたまま動きません。 

関連記事(8年前の撮影)▶ 白藤の花蜜を吸うクマバチ♂ 


複眼が大きく発達し、頭楯が白いことから、クマバチの性別は雄蜂♂と分かります。 
ハチ(有剣類)の毒針は♀の産卵管が変形したものですから、毒針をもたない雄蜂♂を素手で触れても刺される心配がなく、全く安全です。 

もしや死んでいるのかと思って指先で軽く触れてみたら、ようやく緩慢に動き始めました。 
クマバチの雄蜂♂は日中はひたすら停空飛翔(ホバリング)で縄張りを張り、交尾相手の♀を待ち構えています。 
そのため、夕方にはもう疲れ切って寝ていた(休んでいた)のでしょう。 

 私が指を差し出すと、クマバチ♂は弱々しく羽ばたきながら、しがみついてきました。 
そのまま手乗りさせると、おとなしく静止してくれたので、じっくり観察できました。 
ハナバチ類の雄蜂♂は訪花しても採餌しません(花蜜や花粉を巣に持ち帰らない)から、後脚に花粉籠はありません。 
しかし、よく見ると、前脚に黄色っぽい毛が密生していますね。 
何か特別な役割があるのでしょうか? 
例えば、交尾の際に♀をしっかり抱きかかえるため? 

最後に、クマバチ♂は重低音の羽音を響かせて、私の手から飛び去りました。 
近くでは別個体のクマバチがブンブンと羽音♪を立てながら白藤に忙しなく訪花していました。 


関連記事(8年前の撮影)▶ クマバチ♂は手に乗せても刺さない

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