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2025/06/15

バラ(アンジェラ)の花粉を集めるスミゾメハキリバチ♀

 

2024年5月下旬・午後14:05頃・晴れ 

民家の玄関先に植栽されたピンクの薔薇の花に真っ黒なムナカタハキリバチ(別名スミゾメハキリバチ)♀(Megachile willughbiella sumizome)が訪花していました。 

私は園芸植物にまるで疎いので、このバラを画像認識で調べてもらうと、おそらくアンジェラという半八重の品種だろうと教えてもらいました。 

スミゾメハキリバチ♀は小型の個体という印象です。 
吸蜜ではなく、集粉に専念しているようです。 
バラの花でときどき回転集粉を行いましたが、振動集粉の音は聞こえませんでした。 
腹面のスコパは茶色(赤褐色)の毛が密生しています。 
バラの花粉は黄色のはずですが、スコパに付着しているようには見えません。 
雄しべの葯を見ても、花粉が枯渇していて少なそうです。 
そもそも八重咲きの花は雄しべが花弁にホメオティック変異した品種なので、半八重では通常よりも雄しべの数が少なくなっています。 

スミゾメハキリバチ♀は羽音を立てて次のバラの花へ飛んで移動します。 
訪花中になぜか蜂が腹部を海老反りにすることがありました。 
腹面のスコパが雄しべに触れなくなるので、集粉するには逆効果のはずです。 
近くで撮影している私に対して威嚇・警戒しているのかな?  

※ 蜂の羽音が聞き取れるように、動画編集時に音声を正規化して音量を強制的に上げています。


バラハキリバチのように、スミゾメハキリバチも巣材としてバラの葉を切り抜くことがあるのでしょうか? 
動画を見直しても、ハキリバチに葉を丸くくり抜かれた跡は写っていません。 



Perplexity AIに質問しても、スミゾメハキリバチが利用する巣材の植物について報告がないらしい。 
ただし、スミゾメハキリバチの原亜種であるムナカタハキリバチ(Megachile willughbiella)だとヨーロッパでよく調べられていて、バラの葉を切り抜いて巣材にすることがあるそうです。 
(バラの葉だけを巣材にするのではなく、植物種をあまり選り好みしないらしい。)

ちなみに最近、ムナカタハキリバチの全ゲノムが解読されたそうです。
CROWLEY, Liam M., et al. The genome sequence of Willughby’s leafcutter bee, Megachile willughbiella (Kirby, 1802). Wellcome Open Research, 2024, 9: 164.
次にスミゾメハキリバチのゲノムも解読して比較すれば、亜種の違い(黒化した体色)がどのように進化したのか突き止められそうですね。 




2025/06/09

コウゾリナの花蜜を吸うウスバアゲハ

 

2024年5月中旬・午前10:30頃・晴れ 

線路沿いに咲いたコウゾリナの小群落でウスバアゲハ(別名ウスバシロチョウ;Parnassius citrinarius)が訪花していました。
この組み合わせは初見です。
翅を全開のまま口吻を伸ばして黄色い花から吸蜜しています。 
腹端に交尾嚢を付けておらず、私には性別が分かりません。 

このキク科植物の名前に自信がなかったので、帰路に再訪し、一部を採取して持ち帰りました。 
中空の茎の切り口から白い乳液は分泌されませんでした。 
家に帰ってから実物の標本と植物図鑑を見比べ、しっかりコウゾリナと同定できました。

2025/06/07

ベニカナメモチ(レッドロビン)の花で採餌するセイヨウミツバチ♀

 

2024年5月中旬・午後12:20頃・くもり 

道端の生垣として植栽されたベニカナメモチ(=レッドロビン)セイヨウミツバチApis mellifera)のワーカー♀が訪花していました。 
この組み合わせは初見です。 

白い花で吸蜜する蜂をよく見ると、後脚の花粉籠に少量の花粉団子を付けています。 
やがて、蜂は生垣の奥に潜り込んでしまいました。

2025/06/01

サイハイランの花で採餌するミヤママルハナバチ創設女王

 

前回の記事:▶ サイハイランの花 


2024年5月下旬・午前11:30頃・くもり 

二次林の林床に点在するサイハイランの小群落でミヤママルハナバチ♀(Bombus honshuensis honshuensis)が忙しなく訪花していました。 
この時期はワーカー♀(働き蜂)ではなく、越冬明けの創設女王が単独で採餌もしています。

訪花シーンがあまりにも忙しないので、1/5倍速のスローモーションでリプレイ。(@0:34〜)
正当訪花した蜂が顔を突っ込んで口吻を伸ばし、花蜜を吸っています。
ラン科に特有の花粉塊(濃い黄色)が蜂の両肩の辺り(正確には前脚の根元)にいくつも付着しています。 
後脚の花粉籠にも花粉団子が少量付いていました。
つまり、ミヤママルハナバチはサイハイランの授粉を助けていることが分かりました。

帰巣してもサイハイランの花粉塊は蜂の両肩に付けたまま落とさないのか(気づいていない?)興味がありました。
しかし、その場でしばらく待っても同一個体の蜂は戻ってきてくれませんでした。

初めはこの蜂をトラマルハナバチかと思ったのですが、よく見ると体毛が黄色いミヤママルハナバチでした。 
私にとってレアな(希少で珍しい)マルハナバチになります。
 「平地にミヤママルハナバチが居るはずがない」、という思い込みから、まじめに検討しないで「トラマルハナバチに違いない」、と決めつけた誤同定が実は多いかもしれません。(自戒を込めて) 

ミヤママルハナバチという同定に自信がもてなかった私は、いつものようにPerplexity AIに相談したところ、とても有益なブレインストーミングになりました。
AIによる画像認識でもミヤママルハナバチという判定でした。
マルハナバチで創設女王の採餌する範囲は、ワーカー♀よりも狭いのが一般的らしい。 
最寄りの裏山は直線距離で1.7kmもあります。
本来ミヤママルハナバチの分布は山地性なのに、今回の個体は珍しく平地で営巣していることになります。 

せっかくサイハイランの花が咲いたのに、各株の根元から出た大きな葉は黄変していることが多いです。
サイハイランはスプリング・エフェメラルのような生活史ではないので、二次林の林床という環境では日照不足で葉が枯れかけているだけでしょう。
初夏以降の雑木林は樹冠に葉が生い茂る結果、昼間でも暗くなり、日照不足で昆虫の蜜源となる花はほとんど咲かなくなります。
したがって、後日マルハナバチの姿を林床で見かけることもありませんでした。
近くにあるはずの営巣地を突き止められなかったのが残念です。


【参考文献】
 島田真彦・北村俊平 2021.サイハイランの有効な送粉者の特定―マルハナバチ 2 種の採餌行動の比較―.日本生態学会第 68 回全国大会講演要旨集,P1-067. 


学会の公式サイトでいつまで要旨が保存・公開してもらえるのか分かりません。
自分の研究ではないので申し訳ないのですが、以下に転載させてもらいます。
この成果はその後、学術論文として正式に発表されたのかな?

サイハイランの有効な送粉者の特定ーマルハナバチ2種の採餌行動の比較ー
A comparison of two pollinators: Bombus ssp. on orchid Cremastra variabilis
*島田真彦, 北村俊平(石川県立大学)
*Shimada MASAHIKO, shumpei KITAMURA(Ishikawa Pref. Univ.)

ラン科の多くは昆虫の訪花頻度が低く、送粉者を直接観察することは難しい。本研究ではサイハイランの開花期間を通してカメラトラップによる送粉者調査を実施した。また、訪花が撮影されたマルハナバチ2種の訪花行動を詳細に分析し、花粉塊の付着との関係を検討した。2020年5月19日~6月16日に金沢大学角間里山ゾーンの広葉樹二次林で、サイハイラン26花序382花を対象としてカメラトラップによる送粉者調査を実施した。カメラトラップにはLtl-Acorn6210を使用し、センサーが訪花昆虫を感知した際、60秒の動画を撮影する設定とした。また、直接観察により4日間隔で花粉塊の状態を記録した。撮影回数の上位種の訪花行動をHovering、Landing、Searching、Feedingに分類した。また花粉塊の付着に関連する行動として、Feeding時にハチの体が花内部の蕊柱の上下どちらに位置するかを判別した。2020年10月に対象花序の結果数を調査した。572カメラ日の観察から5科16種の昆虫が記録され、撮影回数の上位種はコマルハナバチ(20回)とトラマルハナバチ(11回)だった。採餌位置が判別不明な個花での採餌を除いて、前者は蕊柱の上からのFeedingはなく(0%、N=76)、花粉塊の付着は無かった。一方、後者は高頻度で蕊柱の下からのFeedingを行い、(84%、N=34)、3花序では花粉塊の付着も見られた。結果率は1.3%(3花序5果実)で、いずれも花粉塊が付着したトラマルハナバチが訪花していた。カメラトラップを用いた撮影記録に基づく花粉塊の付着、および放課後(原文ママ:正しくは訪花後?)の結果状況から、本調査地ではトラマルハナバチのみがサイハイランの有効な送粉者として機能していると示唆された。

要旨だけでも専門家の研究方法が垣間見れて勉強になりました。





2025/05/28

ホウチャクソウの花で採餌するヒゲナガハナバチの一種♀?【FHD動画&ハイスピード動画】

 

2024年5月上旬・午後12:40頃・くもり 

里山の中腹にある樹林帯をトラバースする林道に沿って咲いたホウチャクソウの群落で訪花するハナバチ♀を見つけました。 
後脚の花粉籠に橙色の花粉を付けて運んでいます。 
したがって、ハキリバチ科ではなくミツバチ科の♀です。 
 過去の観察例ではトラマルハナバチ♀がホウチャクソウに訪花していたのですが、今回のハチはマルハナバチほど毛深くありません。 

関連記事(6,8,16年前の撮影)▶  


ホウチャクソウに忙しなく正当訪花を繰り返し、花蜜を吸っています。 
隣に咲いたカキドオシの花には見向きもしません。 
採餌の合間にホウチャクソウの白い花筒の開口部にぶら下がったまま身繕いし、体に付着した花粉をまとめて後脚の花粉籠に移しました。 
化粧が済むと、再び正当訪花でホウチャクソウの花の奥に潜り込みました。 

訪花シーンを240-fpsのハイスピード動画でも撮ってみました。(@0:44〜)
暗くなりますが、固定焦点のスローモーションでじっくり観察できます。

薄暗い林床なのでカメラのAFがなかなか被写体に合焦してくれず、焦りました。 

さて、この謎のハナバチの名前は何でしょう?
素人目にはスジボソフトハナバチ♀と似てるかな?とも思ったのですが、スジボソフトハナバチの出現時期は5月下旬からとされています。
2024年の冬は異常な暖冬少雪で、春の訪れも例年より早かったのですが、それにしても山形県の雪国で5月上旬にスジボソフトハナバチを見るのはかなり異例です。
また、スジボソフトハナバチなら胸背の毛色がもっと明るい茶色のはずです。
今回の個体の胸背はもっと暗くて白味がかった黄土色でした。
ツルンとした黒い腹部には白い横縞が3本あります。(腹部上部の4本目は中央で途切れている)

今回は動画撮影を優先したので、蜂の採集も出来ず、鮮明なストロボ写真も撮れませんでした。
動画だけから蜂を同定するのは難しいです。 
私としては、シロスジヒゲナガハナバチ♀(Eucera spurcatipes)やニッポンヒゲナガハナバチ♀(Eucera nipponensis)など、ヒゲナガハナバチ属の一種Eucera sp.)ではないかと推測しています。 
もし間違っていたら、ご指摘願います。

謎のハナバチを同定するためにGoogleレンズ(画像検索)やPerplexity AIを使って問い合わせてみたのですが、マイナーな種類のハナバチではAIが学習するデータがまだ充分に揃っていないという印象です。
その場合はAIの性能の向上を待っていても仕方なくて、日本全国の研究者やナチュラリストが寄って集って粛々と蜂の記録をインターネット上に蓄積するしかありません。


2025/05/24

ベニサラサドウダンの花蜜を吸うキイロスズメバチ創設女王

 

2024年5月上旬・午後16:20・晴れ 

郊外の農園(クリ園?)を囲む生垣でベニサラサドウダンの真っ赤な花が咲いていました。 
そこでキイロスズメバチ♀(Vespa simillima xanthoptera)が訪花していました。 
この組み合わせは初見です。 
この時期はまだワーカー♀ではなく、越冬明けの創設女王が単独で活動しています。 

ベニサラサドウダンの下向きに咲いた花にしがみつき、正当訪花を繰り返して吸蜜していました。 
なぜか女王の顔は花粉で汚れていないので、送粉者としての働きはなさそうです。 
すでにハナバチ類が昼間の早い時間帯に花粉を集めた後なのかな?

参考ブログ: ベニサラサドウダン 紅花&花の中の観察 by 里山コスモスブログさん


耳を澄ますと、飛び回るキイロスズメバチの羽音がかすかに聞こえます。 
隣接する花には伝い歩きで移動していました。 
夕日を浴びてきれいに撮れましたが、蜂が日陰に入ると、かなり薄暗いです。 

黒いアリ(種名不詳)のワーカー♀も訪花していましたが、キイロスズメバチとニアミスすることはありませんでした。

 

2025/05/22

シバザクラの花蜜を吸いながら猛烈に羽ばたき続けるクロスキバホウジャク【蛾:FHD動画&ハイスピード動画】

 

2024年5月中旬・午前10:35頃・晴れ 

民家の裏庭で花壇に咲いたシバザクラ(芝桜)の群落でクロスキバホウジャクHemaris affinis)が忙しなく飛び回り、訪花していました。 
この組み合わせは初見です。 
スズメガ科の中には薄明薄暮の時間帯に活動する種類もいるのですけど、クロスキバホウジャクは明るい真っ昼間に活動する生粋の昼行性です。 

途中で車および列車が近くを通過しても、クロスキバホウジャクは花壇から逃げずにしばらく吸蜜を続けてくれました。 
芝桜の花の盛りが過ぎているのか、それとも雨量が少ないのか、萎れた花が多いです。 

シバザクラに忙しなく訪花するクロスキバホウジャクを240-fpsのハイスピード動画でも撮ってみました。(@0:47〜) 
ホバリング中は長い口吻をゼンマイ状に丸めています。 
次の花に移動すると、花の中央の狭い開口部に狙いを定め、口吻を伸ばして先端を器用に差し込み、吸蜜を始めます。 

シバザクラの花から口吻を引き抜くと、橙色の花粉が付着していました。 
したがって、クロスキバホウジャクはシバザクラの花粉を媒介して授粉を助ける送粉者として働いているようです。 

猛烈に羽ばたき続ける風に煽られて、周囲の花が揺れています。 
訪花中のクロスキバホウジャクは前脚を花に掛けていたので、ホバリング(停空飛翔)とは言えません。 
素人目にはカロリーの浪費にしか思えないのですが、即座に飛び立てるように、アイドリングのように羽ばたき続けているのでしょう。 
羽ばたきを止めてしまうと、不安定な花の上で姿勢を保てないのかもしれません。 

ハイスピード動画モードでは固定焦点になるので、被写体が奥の花に移動するとピンぼけになってしまいます。 
録画を一旦打ち切ってから改めて撮り始めるべきなのですが、撮り続けながら私がカメラを構えた腕を少し前に伸ばしたり前進したりして、なんとか自力でピントを合わせようと頑張りました。


このシバザクラの花壇には白い花とピンクの品種が隣り合って咲いていたのですが、クロスキバホウジャクはピンクの花だけを選び、白い花弁のシバザクラにはまったく訪れませんでした。 
花色の品種改良によって花蜜の量が明らかに違うことを経験から知っているのか、それとも白い花は蜜標がなくて開口部が分からないのかもしれません。
また、花色によって芳香に強弱があるのかもしれません。 

光の赤色成分が見えない代わりに紫外線が見える昆虫の視覚にシバザクラの花はどう写っているのか、気になります。
ネット検索してみると、昆虫写真家の海野氏がすでに紫外線写真を撮影していました。 

関連記事()▶ ピンクと白のシバザクラ、実は同じ色? by 海野和男のデジタル昆虫記 

シバザクラで白とピンクの花は、紫外線や青色波長を吸収反射する具合はほぼ同じですが、昆虫は緑など他の波長の色情報を総合することで2つの花色を見分けていると考えられるそうです。 
花弁の色が違っても、中央に蜜標がしっかり写っていました。 

花蜜の量が花色によって違うと予想しているのですが、実際にどうやって実際に測定したらよいのでしょう?(かなり微量のはずです) 



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2025/05/18

ハルザキヤマガラシの花蜜を吸い飛び回るモンキチョウ♂【FHD動画&ハイスピード動画】

 

2024年5月上旬・午前10:35頃・くもり

農道に沿って咲いた帰化植物ハルザキヤマガラシの群落で モンキチョウ♂(Colias erate poliographus)が訪花していました。 
ともに普通種ですが、この組み合わせは初見です。 

翅をしっかり閉じたまま、口吻を伸ばして吸蜜しています。 
少し飛んで隣の花に移動します。 
被写体も背景も黄色いので、カメラのAFの合焦に手間取りました。 

ハルザキヤマガラシの花からモンキチョウ♂が飛び立つ瞬間を狙って、240-fpsのハイスピード動画でも撮ってみました。(@0:35〜) 
AFではなく固定焦点になるなので、撮影がずっと楽です。

余談ですが、日本にすっかり定着したハルザキヤマガラシを「菜の花」と呼んでよいのでしょうか?
素人目に「菜の花」と似ています。
しかし、狭義の「菜の花」は、アブラナ科植物の中でもBrassica属で食用に栽培されているもの(アブラナ、ナタネ、カラシナなど)を指すのだそうです。
ハルザキヤマガラシはBarbarea属という少し別の分類群で、しかも食用にならないので、「菜の花」と一緒くたにして呼ぶのは注意が必要です。
(今回の調べ物で、ChatGPTに指摘してもらって気づきました。)


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2025/05/14

シバザクラの花蜜を吸い飛び回るツマグロヒョウモン♀【FHD動画&ハイスピード動画】

 

2024年5月上旬・午後12:50頃・晴れ 

郊外で道端の花壇に咲いたシバザクラ(芝桜)の群落にツマグロヒョウモン♀(Argyreus hyperbius)が訪花していました。 
この組み合わせは初見です。 

ツマグロヒョウモン♀は、翅を開閉しながら口吻を伸ばしてピンクのシバザクラの花から吸蜜しています。 
羽化直後なのか、翅は無傷できれいな状態でした。 
強い春風に吹かれて、翅が煽られています。 
この花壇では、同じシバザクラでもピンクの花と白い花の品種が並んで咲いていたのですが、ツマグロヒョウモン♀は白い花には訪れませんでした。 
雨不足なのか、芝桜の花の多くは萎れかけています。 

ツマグロヒョウモン♀は、シバザクラの隣接する花には歩いて移動することが多いです。 
少し飛んで、群落内で次の花に移動することもあります。 
花から飛び立つ瞬間を狙って、240-fpsのハイスピード動画でも撮ってみました。(@2:09〜) 

次の花に着地した後で、開閉しながら翅を複雑に動かしたのが気になりました。(@2:20〜) 
その奇妙な翅の動きを言葉で記述するのは難しいのですが、4枚の翅を独立に動かし、背側⇔腹側に開閉しながら前後方向にも小刻みに動かしていました。 
しばらくすると、通常の単純な開閉運動に戻りました。 
交尾相手の♂に見つけてもらえるように翅を扇いでアピールしたのかな?と私は勝手に妄想しました。 
素人目には、いかにも異性を誘惑するような誘っているような翅の動きでした。 
このとき♂を誘引する性フェロモンを放出していたのなら理解しやすいのですが、腹端にヘアペンシルのような構造は見られませんでした。 
ネットで調べても、ツマグロヒョウモンの♀がそのような求愛ディスプレイ(求愛誇示)をするという事実も、♀が性フェロモンを分泌するとの報告もありません。 
ヒョウモンチョウの仲間では♂の翅に黒い性斑(性標)があり、性フェロモンの分泌器官になっています。
ツマグロヒョウモン♂でも同じく性標があります。
したがって、♀が性フェロモンをもつとは考えにくいですね。








そもそも、5月にツマグロヒョウモンを見たのは初めてです。 
これまでは8月が初見日だったので、大幅に更新されたことになります。 
深刻な地球温暖化が進行するとともに、ツマグロヒョウモンの分布も着実に北上しているようです。 
当地は多雪地帯(寒冷な雪国)ですが、2024年は異常な暖冬だったので、暖地性のツマグロヒョウモンが遂に越冬できたのでしょうか? 
園芸パンジーの苗と一緒にツマグロヒョウモンの幼虫や蛹が暖地から運ばれて、当地で羽化した可能性も考えられます。 
(ツマグロヒョウモンの越冬態は幼虫です。)





2025/05/12

ツクバネウツギの花で採餌するハキリバチの一種♀

 

2024年5月上旬・午前11:25頃・くもり 

里山の林道を登っていたら、道端に咲いたツクバネウツギにハキリバチの仲間♀(種名不詳)が訪花していました。 
腹部下面にオレンジ色のスコパ(花粉を集める花粉刷毛、花粉ブラシ)が見えたので、ハキリバチ科の♀と分かります。 
 ハキリバチとツクバネウツギの組み合わせは初見です。 
(過去に同属の園芸品種アベリアでは訪花していました。) 

関連記事(3、7年前の撮影)▶  


今回のハキリバチ♀は、ツクバネウツギの花筒にちょっと正当訪花しただけで、すぐに飛び去ってしまいました。 
一瞬の登場シーンを1/5倍速のスローモーションでリプレイ。
頭部および胸背に白い花粉が大量に付着しています。 

2025/05/10

カキドオシの花蜜を吸うキアゲハ

 

2024年5月上旬・午後14:30頃・晴れ 

休耕地に咲いたカキドオシの群落でキアゲハPapilio machaon hippocrates)が訪花していました。 
この組み合わせは初見です。 
カキドオシの花から花へ忙しなく飛び回り、唇形花に口吻を挿し込んでがっつくように吸蜜していました。 

1/5倍速のスローモーションでリプレイ。(@0:49〜) 
左の後翅が大きく破損している個体でした。 
左右対称の損傷ではなかったので、鳥に襲われかけたビークマークではなさそうです。 

ところで、カキドオシの茎が初夏に見るよりもひょろひょろと高く伸びていたのが気になりました。 
日当たりのあまり良くない林縁に生えたカキドオシの特徴なのかな?と思いつつ調べてみると、wikipediaに答えが書いてありました。
茎の断面は四角く[8]、はじめ花がつくころは5 - 20センチメートル (cm) ほどの高さに直立するが、花後は茎が伸張するに従ってつる状になり、地面を這うように長く伸びて[9][11]、節の所々から根を下ろして、長さ1メートル (m) 以上になる[15]。

 

2025/05/04

シロバナヒメオドリコソウの花蜜を吸うニッポンヒゲナガハナバチ♂

 

2024年5月上旬・午後15:15頃・晴れ 

林縁に咲いていたシロバナヒメオドリコソウの群落でニッポンヒゲナガハナバチ♂(Eucera nipponensis)が忙しなく訪花していました。 
触角の長い♂が吸蜜中に翅脈を拡大して見たら、識別点である前翅の亜縁室(肘室)が3室あったことから、ニッポンヒゲナガハナバチと判明しました。 

顔(眉間)がオレンジ色に染まっているのは、唇形花に正当訪花で吸蜜した際に花粉が付着したようです。 
雄蜂♂は♀と違って集粉しないので、後脚に花粉籠を持ちません。 

初めこの植物はてっきりヒメオドリコソウだと思ったのですが、花が白色ですし、茎の上部に付いた葉が赤みを帯びずに緑色です。 
早春の咲き始めはこんな感じだっけかな?と首をひねりながら調べてみると、シロバナヒメオドリコソウという突然変異の白花種らしい。

2025/04/30

セイヨウタンポポの花に集まるコアオハナムグリ

 

2024年4月下旬・午後12:30頃・くもり 

山麓の田園地帯の農道に咲いたセイヨウタンポポの群落でコアオハナムグリGametis jucunda)が訪花していました。 
共にごくありふれた普通種ですけど、驚いたことに、この組み合わせは初見でした。 
別々の頭花で3匹のコアオハナムグリが見つかりました。 

タンポポの花の上を歩き回って花粉や花蜜を食べるコアオハナムグリの体は、黄色い花粉で汚れています。 
別の花に移動すればタンポポの授粉を助けていることになりますが、忙しなく飛び回って採餌するハナバチ類ほど移動性は高くないので、送粉者としてあまり当てにはできません。 

調べてみると、コアオハナムグリは成虫で♀も♂も地中で越冬するそうです。
(新成虫が秋に羽化する年一化の生活史。) 
越冬明けの個体が、春にいち早く咲いたセイヨウタンポポの花で栄養補給し、交尾に備えるのでしょう。 
ここ雪国でコアオハナムグリの成虫を4月に撮れたのも初めてで、もしかすると暖冬の影響で例年よりも早く活動を始めたのかもしれません。

早くも花が咲き終わったセイヨウタンポポの株で、綿毛の上半分が無くなっていました。 
綿毛が実際に飛散するシーン(種子の風散布)を撮りたかったのですが、風が弱くて残念。 

2025/04/29

クマイチゴの花で採餌するセイヨウミツバチ♀

 

2024年4月下旬・午後14:30頃・晴れ 

山麓の水路沿いに咲いたクマイチゴの群落でセイヨウミツバチApis mellifera)のワーカー♀が訪花していました。 
この組み合わせは初見です。

忙しなく吸蜜して回るミツバチの後脚を見ると、花粉籠が空荷の個体もいれば、白い花粉団子を付けている個体もいました。


【追記】
YouTubeのコメント欄にて、sussypowerpuffvideosさんからご指摘をいただきまして、ニホンミツバチからセイヨウミツバチに訂正しました。
「セイヨウミツバチの体色はもっと明るい茶色が濃かったっけ?」と、ときどき私は自信がなくなることがあるのです。
正確に同定するには、後翅の翅脈を精査する必要があります。
いずれにせよ、ミツバチとクマイチゴの組み合わせは初見でした。

2025/04/25

ムラサキサギゴケの花で採餌するニッポンヒゲナガハナバチ♀?

 

2024年4月下旬・午前10:00頃・晴れ 

田んぼの農道に紫色の花が群落となって咲いていました。 
よく見もしないで、なんとなくカキドオシの花だと思い込み、訪花昆虫を撮り始めました。 
動画を見直して葉の形に違和感を覚えたので、花の写真から画像検索(Googleレンズ)してみると、ムラサキサギゴケと判明しました。 
苔に花が咲くのか!?と吃驚仰天しましたが、勿論そんなことはなくて、シソ目サギゴケ科という分類群に属するらしい。 





ムラサキサギゴケの群落でハナバチ♀(種名不詳)が訪花していました。 
唇形花に正当訪花を繰り返して吸蜜するハナバチ♀の後脚を見ると、花粉籠に薄黄色の花粉団子を満載しています。 
春によく見かける種類で、おそらくヒゲナガハナバチの一種(Eucera属)ではないかと予想しています。
動画から切り出したスナップ写真で前翅の翅脈が写っていたので拡大してみると、亜縁室が3個でした。
したがって、シロスジヒゲナガハナバチ♀(Eucera spurcatipes)ではなくてニッポンヒゲナガハナバチ♀(Eucera nipponensis)のようです。
間違っていたらご指摘願います。




2025/04/22

モミジイチゴの花で採餌するハキリバチの一種

 

 2024年4月下旬・午後13:15頃・くもり 

里山の林道に沿って咲いたモミジイチゴの群落でハキリバチの一種(種名不詳)が訪花していました。 
腹部下面のスコパに橙色の花粉を付けています。 
モミジイチゴの白い花は下向きに咲くので、下から見上げるように撮影します。 

※ 蜂の羽音が聞き取れるように、動画編集時に音声を正規化して音量を強制的に上げています。


ハキリバチ♀が居なくなった後で撮った写真を拡大すると、小さな黒っぽい虫がモミジイチゴの花に多数群がっていました。 
腹部が大きく膨らんでいて、♀のようです。
なんとなく双翅目だと思うのですが、何科の仲間か教えてもらえると助かります。
採集してしっかり接写しないと、見分けるのは無理ですかね?



【アフィリエイト】 

2025/04/20

クマイチゴの花で採餌するオオマルハナバチ創設女王

 

2024年4月下旬・午後14:30頃・くもり 

山麓の用水路沿いに咲いたクマイチゴの群落でオオマルハナバチ♀(Bombus hypocrita)が忙しなく訪花していました。 
吸蜜を繰り返す蜂の後脚の花粉籠は空荷でした。 

早春のこの時期は、ワーカー♀ではなく創設女王と思われます。 
この個体は、オオマルハナバチの特徴である胸部前縁に白帯がなくて、腹部のT2に白帯がとても目立ちます。 
これはオオマルハナバチ創設女王の個体差らしい。(『日本産マルハナバチ図鑑』p86) 

近くでカワラヒワCarduelis sinica)が鳴いています♪ 


関連記事(10年前の撮影:ワーカー♀)▶ クマイチゴを訪花するオオマルハナバチ♀ 


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2025/04/16

ヒメオドリコソウの花蜜を吸うミヤマセセリ♀【FHD動画&ハイスピード動画】

 

2024年4月下旬・午後13:55頃・薄曇り 

峠道の歩道に沿って咲いたヒメオドリコソ咲いたウの群落でミヤマセセリ♀(Erynnis montanus)が訪花していました。 
この組み合わせは初見です。 

翅を広げたまま吸蜜しています。 
とても小さな唇形花の開口部に口吻の先端を差し込むのに苦労しています。 
少し飛んでは隣の株の花へ移動して、次々と吸蜜します。 

性別は♀でした。
(ミヤマセセリの♀は)前翅表の中央部に白帯が現れ、(中略)前翅裏にある翅頂部近くの黄橙部は♂よりも広く顕著(フィールドガイド『日本のチョウ』p284より引用)
ミヤマセセリは幼虫で越冬するらしく、この個体は春になって羽化したばかりの成虫♀ということになります。 

ミヤマセセリ♀がヒメオドリコソウの花から飛び立つ瞬間を狙って、240-fpsのハイスピード動画でも撮ってみました。(@1:15〜) 
春風が吹いて風揺れに悩まされたのですが、スローモーションにすると気にならなくなります。

2025/04/10

春にヒマラヤユキノシタの花蜜を吸う越冬明けのキタテハ秋型

 

2024年4月中旬・午前11:05:頃・晴れ 

民家の花壇に咲いたヒマラヤユキノシタキタテハPolygonia c-aureum)が訪花していました。 
この組み合わせは初見です。
越冬明けの秋型なのに、翅に損傷がないきれいな個体でした。 
翅を広げたまま吸蜜していましたが、春の日差しで暑くなったら閉じました。 
私が回り込んで翅裏も撮ろうとしたら、キタテハは飛び去りました。

2025/04/08

花が咲いたボケの枝先で巣作りに適した場所を探すセグロアシナガバチ創設女王

 

2024年4月中旬・午後14:30頃・晴れ 

道端で赤い花が咲き始めたボケ(木瓜)の灌木にセグロアシナガバチ♀(Polistes jokahamae)が訪花していました。 
この時期はワーカー♀ではなく、越冬から目覚めた創設女王ですね。 
吸蜜していたようですが、しっかり接写する前に化粧(身繕い)してから飛び立ってしまいました。 

女王蜂は少し飛んだだけで、その後は緑の若葉が芽吹いたボケの枝先を丹念に調べていました。 
ボケの枝葉にはまだイモムシ類が居ないので、獲物を探索する狩りモードではなさそうです。 
どうやら女王蜂が初期巣を作り始める場所を探しているのだと分かりました。 
クロアリ(種名不詳)が往来する枝先は嫌がってすぐに離れます。 
アシナガバチにとって最大の天敵はアリだからです。 

別の枝先では緑色のクモとニアミスしたのですが、クモの方がセグロアシナガバチ♀を怖がって葉裏に隠れてしまいました。 
クモの正体は初めハナグモかと思ったのですが、おそらくサツマノミダマシNeoscona scylloides)のようです。 
造網性のクモですから、徘徊性のクモのように獲物を待ち伏せしていた訳ではありません。 




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