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2025/11/17

ニホンアナグマの営巣地にバナナの果実を置いてみた反応は?【トレイルカメラ:暗視映像】

 



2024年8月下旬〜9月上旬

シーン0:8/18(@0:00〜) 
平地の二次林でニホンアナグマMeles anakuma)の営巣地(セット)に自動センサーカメラを設置して見張っています。 
実割れしたバナナ1本を試しに営巣地の地面に置いてみました。 
近所からやって来るタヌキは、バナナが気に入らなかったようですが、アナグマはどうでしょうか? 



シーン1:8/19(@0:13〜) 


シーン2:8/20(@2:02〜) 
深夜にバナナのすぐ横を走って通り過ぎました。(@2:12〜) 


シーン3:8/23(@2:14〜) 
バナナはまだ手つかずのままです。 
晴れた昼前にバナナのすぐ横を走って通り過ぎました。(@3:30〜) 

幼獣同士で取っ組み合いをしながら、1頭が仰向けになりました。 
このとき下腹部に見えるデベソのような小さな突起は、♂の生殖器なのでしょうか?(@4:30〜) 


シーン4:8/24・(@5:43〜) 


シーン5:9/1・(@6:07〜) 


【考察】 
バナナの果実を給餌しても、ニホンアナグマの母親♀と3頭の幼獣(当歳仔)はまったく普段どおりの生活でした。 
熟したバナナには全く興味を示さず、試食どころか匂いも嗅ぎませんでした。 

アナグマの食事は主にミミズですが、実は雑食性で果実を食べることもあるのだそうです。 
しかし当地のアナグマは、バナナの果実をそれまで見たことも食べたこともないはずです。 
てっきり雑食性のタヌキかアナグマがバナナを見つけたらすぐに持ち去るかその場で食べてしまうだろうと予想していたのですが、外れました。 
何かの罠だと警戒しているのでしょうか。 
熟したバナナの匂いがアナグマは嫌いなのかもしれません。 
皮を剥いたバナナを給餌すれば食べてくれたかな? 
野生動物を餌付けするつもりはないので、バナナを与えたのはこの1回だけです。 


つづく→

2025/11/10

ホンドタヌキが通る獣道にバナナの果実を置いてみると…【トレイルカメラ:暗視映像】

 



2024年8月中旬〜9月上旬

シーン0:8/18・午後13:03・晴れ(@0:00〜) 
シーン0:8/18・午後13:37・晴れ(@0:09〜) 
平地の二次林でニホンアナグマの営巣地(セット)に自動撮影カメラを設置して見張っています。 

この日は安売りしていたバナナを行動食として現場に持参しました。 
しかし、実割れしていた1本のバナナにショウジョウバエ♀がたかって産卵していたので、食べる気が失せました。
幼虫(蛆虫)が孵化しているかもしれないからです。
ただ捨てるのももったいないので、試しに給餌してみることにしました。 
巣穴LRの横を通る獣道(地面)にただ置いただけです。 
バナナと15cm定規を並べた写真を含むスライドショーを動画の冒頭に示します。 

給餌したバナナに対するホンドタヌキNyctereutes viverrinus)の反応を以下にまとめました。 


シーン1:8/19・午前5:21・気温22℃(@0:13〜)日の出時刻は午前4:55。 
早朝に2頭のタヌキがやって来ました。 
奥の林内をうろついて餌を探しているようです。 


シーン2:8/19・午前5:23(@0:13〜) 
まだ暗いのにフルカラーでの録画に切り替わりました。 
画質がとても粗いのですが、1頭のタヌキがアナグマの巣口Lの匂いを念入りに嗅いでいます。 
手前の獣道を右に歩き出したところで、地面に置かれたバナナの熟果に気づきました。 
甘い芳香がするはずなのに、初めての物体にかなり警戒しているようです。 
おそらく当地のタヌキは、バナナの果実を見たことも食べたこともないのでしょう。


シーン3:8/19・午前5:24・気温21℃(@0:55〜) 
別アングルの監視映像に切り替えます。 
モノクロの暗視映像ですが、しっかりタヌキの行動が撮れています。 
ところが痛恨のミスで、こちらのアングルでは給餌したバナナがしっかり写っていません。 
見知らぬバナナの出現に警戒したタヌキは、巣口Rに回り込んでから再び左から恐る恐る戻ってきました。 
慎重にバナナに近づいて匂いを嗅いだものの、まだ食べようとしません。 


シーン4:8/19・午後16:27・気温31℃(@1:37〜)
タヌキが次に登場したのは、11時間後です。 
この時点でもバナナは手つかずで残されていました。 
鼻先を上げて頻りに風の匂いを嗅ぎながら辺りをうろついていたタヌキがバナナに近づいたものの、ぷいと顔を背けて素通りしました。 

別個体のタヌキが右から登場し、2頭の幼獣は手前に立ち去りました。 


シーン5:8/19・午後16:27・気温30℃(@2:04〜)
別アングルの監視映像でも撮れていました。 
2頭のタヌキは左奥へ走り去りました。 


シーン6:8/20・午前4:23・気温24℃(@2:28〜) 
約12時間後、日付が変わった未明にもタヌキが通りかかりました。
バナナには見向きもしないで、獣道を左から右へ向かいました。 


シーン7:8/20・午前4:23・気温24℃(@2:32〜)
別アングルの監視映像に切り替えます。 獣道に置かれたバナナは手つかずのままです。 


シーン8:9/1・午後19:59・気温26℃(@2:44〜) 
12日後の晩に、タヌキが単独で登場。 
セットの匂いをあちこち嗅ぎ回ってから獣道を右へ立ち去りました。 


※ 動画の一部は編集時に自動色調補正を施しています。 


つづく→ 


【考察】
てっきり雑食性のタヌキかアナグマがバナナを見つけたらすぐに持ち去るかその場で食べてしまうだろうと予想していたのですが、外れました。
何かの罠だと警戒しているのか、タヌキはバナナの匂いを嗅いだだけで、味見すらしませんでした。
当地のタヌキは、バナナの果実を見たことも食べたこともないはずです。
当地のタヌキは食べる餌に関してかなり保守的で、冒険しないのでしょうか。
それとも、熟したバナナの匂いがタヌキは嫌いなのかもしれません。
皮を剥いたバナナを給餌すれば食べてくれたかな?
野生動物を餌付けするつもりはないので、バナナを与えたのはこの1回だけです。



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2025/11/03

真夏の深夜にホンドタヌキが口にくわえて運ぶ動物の正体は?【トレイルカメラ:暗視映像】

 

前回の記事:▶  


2024年8月中旬・午前0:02頃・気温26℃ 

ニホンアナグマMeles anakuma)の巣口Lを塞ぐ落枝に野ネズミ(ノネズミ)がしがみついていました。 
細長い落枝を伝って上の方まで器用に登れたらヒメネズミApodemus argenteus)(Microtus montebelli)と確定するのですが、しばらくすると巣穴Lに潜り込みました。 
どうやらアナグマの母子家族は留守のようです。 

そんなことよりも、その間に興味深い事件が起こっていました。
ホンドタヌキNyctereutes viverrinus)の成獣が単独でアナグマの営巣地(セット)を横切りました。 
暗闇でタヌキは野ネズミに気づかずに通り過ぎました。 
そのタヌキは口に何か獲物(中型の哺乳類)を咥えていて、獣道を右に運んで行きました。 
近所の休耕地にタヌキの巣穴があるので、そこを目指しているようで。 
獲物は未だ生きていて、途中で暴れました。 
1.5倍に拡大した上で、1/3倍速のスローモーションでリプレイ。(@0:48〜) 
それでも獲物の正体は不明です。
たまたま手前に写っている野ネズミよりも明らかに大きな動物をタヌキは運んでいます。 
雑食性のタヌキはキツネのように生きた獲物(哺乳類)を狩って捕食することは滅多にありません。 
虫や小動物(両生類や爬虫類など)を捕食する他、たまに動物の死骸を見つけて食べるぐらいです。 

獲物の候補として唯一考えられるとしたら、ニホンノウサギLepus brachyurus angustidens)の幼獣かもしれません。 
生後間もないノウサギの幼獣は、捕食者に襲われそうになっても逃げずにフリーズするだけなのだそうです。 
山形県で8月中旬のノウサギ幼獣は、生後数週から1か月程度の成長段階にあり、概ね独立し始めるタイミングですが、まだ親のテリトリー内で保護されている個体も多い時期です。 
この時期の幼獣は外敵に対して無防備なので、ホンドタヌキに捕食される可能性はあります。 

しかしタヌキの習性として、狩った獲物を生きたまま巣穴に持ち帰ることは考えにくいです。 
キツネの場合は、親が獲物を生きたまま巣穴に持ち帰り、キツネの幼獣に狩りの練習をさせるそうです。 
しかしタヌキの親はそのような狩猟教育をしません。 

以上のような消去法により、今回の親タヌキが運んでいた動物は、獲物ではなく我が子(当歳仔の幼獣)だったのかもしれません。 
首筋を咥えられて運ばれている途中にタヌキ幼獣が暴れたのでしょう。 
この時期のタヌキ幼獣(当歳仔)はもう自力で歩けるぐらいに成長しているはずですが、遠出して歩けなくなったり迷子になったりして、巣穴に連れ戻されるところなのかもしれません。 

別アングルに設置した監視カメラでも運搬シーンが撮れていれば、タヌキが運ぶ獲物?の正体がしっかり写っていたかもしれず、残念でなりません。 
タヌキの営巣地に設置したトレイルカメラはとっくに撤去しています。(草丈高い雑草が生い茂り、ほとんど何も写らないため。)

関連記事(2ヶ月前の撮影:獲物はおそらく野ネズミ)▶ 獲物を口に咥えて夜の獣道を運ぶホンドタヌキ【トレイルカメラ:暗視映像】 


今回も記事を書く上でPerplexityAIとのブレインストーミングが役立ちました。


2025/10/07

オニグルミの未熟果を給餌しても野ネズミは持ち去らない【トレイルカメラ:暗視映像】

 



2024年7月中旬・午後20:50頃 

シーン0:7/16・午後14:12・晴れ(@0:00〜) 
明るい日中にたまたま撮れた現場の状況です。 
里山でスギの朽ちた倒木に給餌箱を設置し、オニグルミの未熟果を12個入れてみました。 
現場まで登ってくるまでに、山道に散らばっていた落果を拾い集めてきたのです。 
トングを持ってくるのを忘れたので、毎回身を屈めて拾うのが大変でした。 
緑色の果皮を剥かずに、そのまま丸ごと給餌してみます。 

現場はオニグルミの巨木の下で、林床には未熟果(落果)が転がっていました。
今度こそ、昼間にリスが採食に来てくれるでしょうか?


シーン1:7/17・午後20:52・雨(@0:03〜) 
雨が降る晩に、野ネズミ(ノネズミ)が餌箱に来ていました。
中に入ってちょっと調べただけで、すぐに餌箱の外に出ると、朽木を右往左往しています。 
オニグルミの未熟果を咥えて運び出すことはなく、空荷で倒木の下に降りました。 
林床の草むらをうろついてから、左へ立ち去りました。 


※ 雨音が聞き取れるように、動画編集時に音声を正規化して音量を強制的に上げています。


その後、野ネズミは二度と給餌箱に現れませんでした。 
オニグルミ青い未熟果も1個ずつ持ち去って貯食するのかと思いきや、野ネズミは見向きもしないことが分かりました。 
その場で果皮を剥いて種子の状態を確かめることもしなかったので、この結果はちょっと意外でした。




ちなみに、相変わらず昼行性のリスは一度も現れませんでした。

後に現場入りすると、私が給餌したオニグルミ落果の果皮は黒く腐り、白いカビが生えかけていました。

2025/08/29

キアゲハの幼虫を捕食するモズの幼鳥(野鳥)臭角は自衛の効果なし?

 



2025年8月中旬・午前9:40頃・晴れ 

葉が生い茂るウメ(白梅)の樹上でモズLanius bucephalus)の幼鳥が何か太くて細長い緑色のイモムシ(芋虫)を嘴に咥えていました。 
よく見ると獲物の正体は、キアゲハPapilio machaon hippocrates)の幼虫でした。 
芋虫はもう暴れていないのに、死んだ獲物を枝に何度も叩きつけて念入りに殺しています。

モズの親鳥が幼鳥に口移しで給餌する瞬間を見逃してしまいました。 
幼鳥が餌乞いする鳴き声も聞こえませんでした(聞き逃した?)。 

キアゲハの幼虫は、食草の細い茎にしがみついたまま死んでいました。 
モズの親鳥は、食草ごと引きちぎってイモムシを運び、幼鳥に給餌したようです。 
キアゲハ幼虫は、セリ科の植物しか食べません。 
ウメの樹上にキアゲハの幼虫が居るはずがないので、親鳥が近所の庭などで狩ってきて幼鳥に給餌したのでしょう。 
後で現場検証しても、白梅の木の下にセリ科植物は自生していませんでした。 
したがって、キアゲハの終齢幼虫が蛹化するために近くの庭木に登ってきた可能性は除外できます。 

元の動画がやや不鮮明でカメラのAFが合焦しにくいのは、汚れた窓ガラス越しに室内から撮影したからです。
窓を開けて直接撮影したいのはやまやまですが、その音でモズが警戒して逃げてしまいそうなので、我慢してそのまま撮影を続けました。  
1.5倍に拡大および自動色調補正した上で、1/5倍速のスローモーションでリプレイしてみましょう。(@0:37〜) 
動画編集時に自動色調補正を施したら、被写体がくっきり見えるようになりました。 

ここで気になるのは、鳥に狩られたキアゲハ幼虫が臭角を伸ばしているかどうか、という点です。 
アゲハチョウ科の幼虫が天敵に襲われたときに頭部からニョキっと伸ばす臭角は、強い刺激臭と派手な色彩で捕食者に対して忌避効果があると考えられています。 

関連記事(4、12年前の撮影)▶  


今回のモズは獲物の急所である頭部を嘴で強く挟み付けながら激しく振り回しているため、キアゲハ幼虫の臭角が見にくいです。 
後半になると、モズはようやく幼虫の体の中央部を咥え直しました。 
スロー再生で拡大すると、死んでぐったりしたキアゲハ幼虫の頭部から鮮やかなオレンジ色の臭角が伸びていることが判明しました。
一般に鳥は嗅覚が鈍いとされているので、キアゲハ幼虫の臭角に自衛効果がなかったのは当然かもしれません。 


隠し撮りをしている私を警戒したのか、モズは庭木の枝から枝へ移動し、枝葉の陰に隠れてしまいました。
獲物を実際に捕食する(飲み込む)まで見届けられず残念でした。 
キアゲハ幼虫の臭角は刺激臭がするだけでなく不味いはずなので、モズが食べる前に獲物を引き裂いて臭角(あるいは幼虫の頭部)を丁寧に取り除くかどうか確認したかったのです。 

モズが早贄はやにえを立てる有名な行動を私はまだ実際に観察したことがありません。 
この時期(真夏)はまだ育雛期なので、モズの親鳥は捕れた獲物をすべて幼鳥に給餌するか自分で食べてしまいます。 
また、体表の柔らかい幼虫は腐りやすいため、早贄として貯食するには向いていないでしょう。 


【追記】
今回のモズは幼鳥ですよね?(あまり自信がありません。)
前回に登場した個体よりも、フワフワした綿羽が生え変わっているようなので、換羽中の別個体なのでしょう。
これから幼鳥に給餌するために獲物を運んできた親鳥♂だとしたら、記事を全面的に書き直さないといけません。


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2025/07/15

獲物を口に咥えて夜の獣道を運ぶホンドタヌキ【トレイルカメラ:暗視映像】

 



2024年6月中旬・午後22:08・気温23℃ 

平地の二次林でニホンアナグマの旧営巣地(セット)に、ある晩ホンドタヌキNyctereutes viverrinus)が単独で通りかかりました。 
アナグマの巣口Lの横を素通りして、獣道を足早に立ち去りました。 

1.5倍に拡大した上で1/3倍速のスローモーションでリプレイしてみると、口に何か黒っぽい物を咥えて運んでいました! 
初めて撮れた行動です。
この時期は親タヌキが幼獣を運搬している(引っ越し)可能性もありますが、素人目には幼獣ではなく野ネズミ(ノネズミ)などの小動物を獲物として狩ってきたように見えます。 
近くの休耕地にある巣穴に運んで、幼獣に給餌するのでしょう。 
獲物としては、アカネズミ、ヒメネズミ、ハタネズミなどが考えられます。 
あるいは、小動物の死骸を拾ってきたのかもしれません。 


【追記】
今回登場した個体が親ダヌキではなくヘルパーという可能性もあり得るのですけど、「オッカムの剃刀」という原則に従って、当面は難しいことを考えないようにします。

ちなみに、翌2025年にはヘルパーの存在が確定しました。(映像公開予定)


2025/06/08

夕暮れの水場で縄張り争いするクロツグミ♀♂【野鳥:トレイルカメラ】

 



2024年5月下旬 

シーン0:5/24・午前後・晴れ(@0:00〜) 
明るい日中にたまたまフルカラーで撮れた現場の状況です。 
山林で湧き水が溜まった水場を自動撮影カメラで見張っています。 


シーン1:5/29・午後18:37・日の入り時刻は午後18:57(@0:04〜) 
日没直前の薄暗い水溜りに1羽のクロツグミTurdus cardis)が来ていました。 
旧機種のぽんこつトレイルカメラでは羽根の色が分からないのですが、背側が真っ黒ではないので♀(または幼鳥?)のようです。 
ホッピングでぴょんぴょん移動しながら、岸辺の泥濘をあちこち啄んでいます。 

左から低空で♂が飛来して、幼鳥を追い払いました。 
先住者効果はなかったことになります。 
喧嘩中は激しく鳴いていた♪ 
もしかすると喧嘩ではなく、巣立った幼鳥に親鳥が巣外給餌したのでしょうか? 
1/3倍速のスローモーションでリプレイ。(@0:49〜) 


※ 動画編集時に自動色調補正を施しています。 
※ 鳴き声が聞き取れるように、動画編集時に音声を正規化して音量を強制的に上げています。 

Perplexity AIと相談したブレインストーミングの結果をまとめてもらいました。 

トレイルカメラによるクロツグミ観察と行動解釈のまとめ

1. 観察状況の概要

  • 場所・時期:山形県の山林内水場(湿地帯)、5月下旬、日没直前の薄暗い時間帯

  • 観察内容:トレイルカメラにクロツグミ2羽が記録される

    • 1羽(♀または若鳥)が水場で採餌中、急に振り返り「キーキー」と鳴く

    • 直後に別個体(♂)が飛来し、2羽で対峙・飛び上がりながら回る行動

    • その後「チュチュン、チュンチュン」と鳴き方が変化し、♂が飛び去る

    • 初めの個体もその場を離れ、周囲は静かになった


2. 行動の解釈

■ 鳴き声の意味

  • 「キーキー」や「チュチュン、チュンチュン」といった鳴き声は、クロツグミが警戒・威嚇・緊張時に発する典型的な声

  • 幼鳥の餌乞い鳴き(「ピィーピィー」など甘えた声)や、翼を震わせる行動は観察されず

■ 縄張り争いの可能性

  • 2羽が対峙し、飛び上がりながら回る行動は縄張り争いや資源防衛の一環と考えられる

  • 特に水場や湿地はミミズやオタマジャクシなど餌資源が豊富なため、親鳥♂が強く防衛する傾向がある

  • 先住者効果(先にいた個体が有利)はあるが、後から来た個体(特に縄張り主や強い♂)が優勢になる場合も多い

■ 親子関係の可能性

  • 巣立ち直後の若鳥♂であれば、依存期には親鳥♂が給餌・保護するが、自立期に入ると縄張りから追い払う行動に切り替える

  • 今回は給餌行動や餌乞い鳴きが見られず、親子給餌の場面とは考えにくい

■ つがい外の♀への対応

  • クロツグミ♂は通常、つがい外の♀には攻撃的になりにくいが、資源防衛や繁殖段階によっては排除することもある


3. トレイルカメラ観察の意義

  • 薄暗い時間帯や人の目が届かない場所でも、自然な行動を記録できる

  • 鳥の行動や鳴き声の違いから、縄張り争い・資源防衛・親子関係など複数の可能性を検証できる

  • 鳴き声や行動パターンを総合的に判断することで、現場の生態的な状況をより深く理解できる


4. まとめ

  • 今回の観察は、クロツグミの繁殖期における縄張り争い・資源防衛行動の一例である可能性が高い

  • 鳴き声や行動の詳細な記録が、個体間関係や生態行動の解釈に非常に役立つ

  • トレイルカメラは、貴重なフィールドデータ収集手段として今後も有効




2025/06/04

山中の水溜りでヒキガエルの幼生を狩って雛に給餌するクロツグミ♀【野鳥:トレイルカメラ】



2024年5月下旬・午後18:35頃・日の入り時刻は午後18:55。

シーン0:5/24・午後12:40・晴れ(@0:00〜)
明るい昼間にたまたまフルカラーで撮れた現場の状況です。
山林で湧き水が溜まった水場を自動撮影カメラで見張っています。
浅い泥水の水溜りには、アズマヒキガエルBufo japonicus formosus)の幼生と思われる黒いオタマジャクシの群れが泳いでいます。
1.5倍に拡大した上でリプレイ。
翌年の春には、同じ水溜りではありませんが、そこから連続した湿地帯を流れる雪解け水の沢でアズマヒキガエルの配偶行動を観察しています。(映像公開予定)


シーン1:5/25・午後18:33(@0:18〜)
日没前でまだなんとか明るい時間帯に、クロツグミTurdus cardis)の♀♂ペアが互いに離れて水溜りの水を飲んでいました。

手前の茶色い♀個体が何か黒っぽい獲物を捕らえました!
水溜りでオタマジャクシを狩ったのかな?
獲物をその場では食べず、嘴に咥えたまま次の獲物を探しています。
したがって、近くの巣で待つ雛鳥に給餌するのでしょう。
左へ飛び去りました。

一方、奥に居た黒い♂個体は、水を飲み終えると、更に奥の湿地に移動して餌を探し歩いています。


シーン2:5/25・午後18:36(@1:20〜)
2分後にクロツグミ♀が単独で水場に戻って来ていました。
水溜りの岸の泥濘を繰り返しつついているのですけど、手前に生えたシダの葉が邪魔でよく見えません。
やがて嘴に何か黒っぽい獲物を咥えていました。
オタマジャクシなのかミミズなのか、獲物の正体がよく分かりません。
クロツグミ♀は、その場で脱糞した直後に黒い獲物を咥えたまま左上へと飛び立ちました。

クロツグミ♀による狩りのシーンを1.5倍に拡大した上で自動色調補正を施してリプレイ。(@1:54〜)
画質が粗いのは薄暗いせいなので、仕方がありません。



【考察】
山渓カラー名鑑『日本の野鳥』という図鑑を紐解いてクロツグミについて調べると、
つがいで縄張りを持ち、♂は木の梢で大きな声でさえずる。主に地上をはね歩きながら採餌する。数歩はねて立ちどまり、ゴミムシなどの昆虫やミミズを捕える。(p445より引用)
確かにクロツグミの♀♂つがいが見事に縄張りを防衛しているようで、昼間この水場には他種の鳥がやって来ません。
夜行性のフクロウとは同じ水場というニッチを時間的に分割・共有しています。


今回クロツグミ♀が山中の水溜りで狩った獲物がもしもミミズではなく、アズマヒキガエルの幼生(オタマジャクシ)だとすると、重大な観察事例となります。
ヒキガエルのオタマジャクシには、ブフォトキシンという強力な心臓毒(強心配糖体)が含まれているからです。
親鳥が自分では食べずに雛鳥に給餌したので、雛は中毒死した可能性が高いです。
ヒキガエルの成体なら耳腺という特定の部位に毒腺が局在していますが、幼生の時期には皮膚全体に分布しているのだそうです。
親鳥がオタマジャクシのぬるぬるした皮膚をわざわざ全て剥いでから肉だけを雛に給餌したとは考えにくいです。
少量の餌なら致死量ではないかもしれませんが、体重の軽い雛鳥は毒への感受性が高いはずです。
クロツグミの雛鳥がヒキガエルのオタマジャクシを1匹摂取した場合、含有毒素量が致死量に達するかどうかは、雛の体重や種によって異なります。
致死に至らない場合でも、消化器症状(嘔吐、下痢)や神経症状(痙攣、運動失調)などが現れる可能性があります 。
ヒキガエルを獲物として常食している捕食者なら、ブフォトキシンへの耐性を獲得するように進化した可能性があります。(※ 追記2参照)

ヒキガエルの毒は苦味を伴うらしいのですが、そのような苦味による警告があるにも関わらず、オタマジャクシを捕食したということは、親鳥は過去にオタマジャクシの毒性を学習していない(ヒキガエルやオタマジャクシを味見した上で、その毒で痛い目に遭っていない)ことになります。


クロツグミの親鳥♀は数匹のオタマジャクシを水場で狩ってから、獲物をまとめて巣に持ち帰り、雛に給餌したようです。
このとき、最も激しく餌乞いした1匹の雛に全ての餌を与えるのか、それとも複数の雛に少しずつ餌を与えるのか、2つのシナリオが考えられます。 
後者なら、雛1羽当たりの毒の影響は少ないかもしれませんが、致死量を超えていれば巣内の雛が全滅した可能性もあります。

前回の記事で紹介したように、この時期(育雛期)クロツグミの親鳥は、水場付近でオタマジャクシの他にミミズも獲物として捕らえることがあり、巣に持ち帰っていました。
湿地帯の泥濘でミミズを探していた親鳥が、動きの似ている(身をくねらせて移動する)オタマジャクシを浅い水溜りで見つけて狩るようになったのでしょう。
ミミズには毒がないため、雛に対して毒性の希釈効果が期待できます。

もしも巣内の雛が死んだり体調を崩した場合、親鳥はオタマジャクシの毒のせいだと因果関係を正しく推論して、その後の給餌行動(獲物の選択)を変えることが果たしてできるでしょうか? 
自分で食べたのなら自身の体調の悪化と結びつけて学習することは容易ですけど、雛に給餌する場合は学習の成立は難しそうです。
ヒキガエルの幼生は黒一色で地味な体色をしており、派手な警告色を持たないため、視覚的に毒性を予測しにくくなっています。
これは、捕食者に対する隠蔽戦略を主とする進化的適応なのでしょう。
親鳥はたとえ因果関係を頭脳で正しく推論・学習できなくても、ヒキガエルのオタマジャクシを忌避するような行動がたまたま進化するかもしれません(育雛中は水辺で狩りをしないようにするなど)。
つまり、ヒキガエルの有毒なオタマジャクシを雛に給餌するような愚かな親鳥は繁殖に失敗し、子孫を残せません。
雛が毒によって自然淘汰される結果として、クロツグミの多くはヒキガエルのオタマジャクシを何らかの理由で忌避するように進化するはずです。






ChatGPTとの問答から、以上の考察を分かりやすいレポートにまとめてもらいました。

クロツグミとヒキガエル幼生に関する観察記録と考察レポート

1. 観察の概要

2024年5月下旬〜6月上旬、山形県の里山における水場に設置したトレイルカメラにより、クロツグミ(Turdus cardis)の成鳥が水溜まりで採餌している様子が複数回記録された。観察映像から、以下の行動が確認された:

  • クロツグミの雌雄ペアが黒色のオタマジャクシを捕獲し、巣に持ち帰る様子

  • ミミズなど他の餌も同時に採餌し、巣に持ち帰っている

特に注目すべきは、捕獲されたオタマジャクシがヒキガエル(Bufo japonicus, アズマヒキガエル)と推定される種であったことである。

2. ヒキガエル幼生の毒性と鳥類による捕食

ヒキガエル類は成体だけでなく、幼生(オタマジャクシ)の段階から心臓毒であるブフォトキシン(bufotoxin)を含むことで知られている。一般にこの毒素は魚類や一部の昆虫捕食者に対する忌避効果を持つとされるが、鳥類による捕食例も報告されている。

ヒキガエルの幼生は黒一色で地味な体色をしており、警告色(アポセマティズム)を持たないため、視覚的に毒を予測しにくい可能性がある。これは、捕食者に対する隠蔽戦略を主とする進化的適応と解釈できる。

3. クロツグミの給餌行動と雛への影響

今回の記録では、親鳥が複数のオタマジャクシを捕食・運搬しており、巣にいる雛に給餌したと考えられる。毒性のあるオタマジャクシを雛が摂取した場合、以下のような影響が懸念される:

  • ブフォトキシンは神経・心臓に作用する強い毒性を持ち、哺乳類や鳥類にも有害

  • 雛は成鳥に比べて体重が軽く、1匹でも中毒死するリスクがある

  • ただし、実際の給餌では、親鳥が複数の雛に分散して餌を与えることが多く、個体ごとの摂取量は限られる可能性がある

  • トレイルカメラの映像からは巣内の雛の生存状況や健康状態は不明

4. 因果関係の認知と学習可能性

親鳥が自らオタマジャクシを食べて中毒を経験すれば、忌避学習が成立する可能性は高い。しかし、給餌対象が雛であり、かつ雛が体調を崩したとしても、その原因を特定の餌と因果づけて推論することは難しい。これは多くの鳥類において制限されている認知能力の範囲と一致する。

とはいえ、種全体としては、毒を持つオタマジャクシの忌避行動が自然選択的に強化される可能性はある。すなわち、雛に毒を与えてしまう親鳥の子孫は減り、毒餌を避ける親の行動が有利に働く。

5. 警告色を持たない毒幼生の戦略的意味

アカハライモリのように腹部の赤色を見せる"unken reflex"を持つ両生類とは対照的に、ヒキガエル幼生は視覚的警告を欠く。これは、警告色の進化には色素細胞の前適応や環境要因が必要であること、また水中での視覚信号の有効性が限定的であることが理由と考えられる。

6. 結論と今後の展望

今回の事例は、毒性のあるヒキガエル幼生がクロツグミに捕食され、給餌対象として利用されるという興味深い生態的相互作用を示している。親鳥および雛への毒の影響は、摂取量や個体差によって異なると考えられるが、今後さらなる観察や給餌後の巣の状況(生存率など)を追跡することで、鳥類と毒動物の相互作用についてより深い理解が得られるだろう。


素人があれこれと妄想してきましたが、実はその後、クロツグミ♀♂つがいの雛は、幼鳥として無事に巣立ったようです。(映像公開予定)
つまり親から毒餌を与えられても、雛の巣立ち数に影響はありませんでした。
たまたま急性毒性が少ないオタマジャクシだったのか、あるいはクロツグミの雛にブフォトキシンへの耐性があったのかもしれません。(※ 追記2参照)


【追記】
別の水場(池)でアカショウビンがアズマヒキガエルの幼生(オタマジャクシ)を繰り返し捕食していたのを思い出しました。
一部の鳥はブフォトキシンに耐性があるのか、あるいは当地のヒキガエル幼生は毒性が弱いのかもしれません。



【追記2】
最近になって興味深い論文が発表されました。
沖縄県の西表島と石垣島のみに生息するカンムリワシは、外来種である毒を持つオオヒキガエルを頻繁に捕食します。
しかし、カンムリワシが中毒症状を起こしたという報告例はありません。
なぜカンムリワシはオオヒキガエルを食べることができるのでしょうか。
DNA解析で、毒耐性に関与するとされる遺伝子を調べた結果、カンムリワシは強⼼配糖体の毒ブフォトキシンへの耐性があるとされるヤマカガシというヘビと同一の配列をこの遺伝子に持つことが明らかになりました。
また、この配列を一部の猛禽類の間で比較したところ、ヤマカガシと同一の配列はカンムリワシのみにみられることが判明しました。

カンムリワシはなぜ有毒外来種を捕⾷できるのか
―毒耐性遺伝⼦の進化的背景―(プレスリリースのPDF

TOBE, Alisa, et al. Evolutionary insights into Na+/K+-ATPase-mediated toxin resistance in the Crested Serpent-eagle preying on introduced cane toads in Okinawa, Japan. BMC Ecology and Evolution, 2025, 25.1: 70. (全文のPDFが無料でダウンロード可能)
私のフィールドでも、クロツグミやアカショウビンのDNAを調べたら、ブフォトキシンへの耐性を獲得していることが証明できるかもしれません。


2025/05/31

水場付近の湿地でミミズを次々と狩って巣に運ぶクロツグミ♀♂【野鳥:トレイルカメラ】


2024年5月下旬〜6月上旬 

シーン0:5/24・午後12:40・晴れ(@0:00〜) 
明るい日中にたまたまフルカラーで撮れた現場の様子です。 
山中の林内にある水場を自動撮影カメラで見張っています。 
泥水が溜まった浅い水溜りで、黒いオタマジャクシ(アズマヒキガエルの幼生?)の群れが泳いでいます。 

クロツグミ♀♂(Turdus cardis)が獲物を狩りに来るシーンをまとめました。


シーン1:5/26・午前5:27(@0:04〜)日の出時刻は午前4:18。 
まだ薄暗い早朝にクロツグミの♀♂つがいが現れました。 
嘴に細長い獲物を多数咥えたまま、湿地帯の泥濘を歩き回っています。 
水溜りでオタマジャクシを狩ったのかと思ったのですが、ミミズかもしれません。 
その場では捕食しないで持ち去ったので、近くの巣で待つ雛鳥に給餌するのでしょう。 

手前に来た地味な個体が♀で、奥の草むら(湿地帯)では真っ黒な♂が餌を探し歩いていました。 


 シーン2:6/1・午前4:31(@0:30〜)日の出時刻は午前4:15。 
嘴以外は真っ黒な鳥が日の出直後の水場に来ていました。 
泥濘でニョロニョロと暴れる2匹のミミズを交互につついています。 
クロツグミ♂は両方の獲物を嘴に咥えると、ぴょんぴょんとホッピングして右に移動します。 


シーン3:6/1・午前4:33(@1:12〜) 
手前に居た黒いクロツグミ♂が、いつの間にか水溜りの対岸まで移動していました。 
水際の泥濘からミミズ?を掘り出して捕らえています。 
細長い獲物を嘴に咥えてぶら下げたまま、ホッピングで右上奥の湿地帯に移動すると、次の獲物を探しています。 
奥にもう一つある別の水溜まりへ近づいたところで、1分間の録画時間が打ち切られました。 


クロツグミ♀♂がミミズを捕食するシーンを1.5倍に拡大した上でリプレイ(@1:49〜)。 


※ 動画の一部は編集時に自動色調補正を施しています。 


【考察】 
この水場におけるクロツグミの採餌(捕食)活動は、薄明薄暮性のようです。
「早起きは三文の得」(英語では“Early bird catches a worm.”)という諺の通りでした。 
しかし調べてみると、クロツグミの活動は昼行性らしい。
今回トレイルカメラに薄明薄暮の時間帯だけ写ったのは、その時間帯にミミズなどの活動が高まり捕食者が見つけやすくなるという獲物側の都合かもしれません。

薄暗い薄明薄暮に撮った映像で、しかも真っ黒な泥にまみれている状態なので、獲物の正体がよく分かりません。
ミミズにしては短い気がしたのですが、ヒル(ヤマビル)の可能性はあるでしょうか?
私はフィールドでヒルを見たことがないのですが、尺取り虫のように動くそうです。
ChatGPTに相談してみると、ヒルよりむしろ若いミミズの可能性が高いだろうという見解でした。
2匹のミミズに見えたのは、もしかすると鳥に引き千切られて、それぞれが独立に動いていたのかもしれません。

水野仲彦『野鳥のくらし:卵から巣立ちまで』という名著でクロツグミの営巣習性について調べると、
 クロツグミは雛にミミズを運んで来ることが多い。それも、太い数匹をくちばしの両側に垂れ下げて巣に飛来する。なかにはまだニョロ、ニョロと動いているものさえある。雛はそれをおいしそうに呑みこむ。(中略)暗い林の中で、カサカサ落ち葉をかき分けてミミズ掘りをしているクロツグミを、昔はよく見かけたものだった。ツグミの仲間にはミミズの好きなものが多い。(p120より引用)

山林の湿地帯にミミズが多いのなら、アナグマも捕食に来るのではないか? と期待してしまいます。




【アフィリエイト】

2024/01/04

送電塔天辺の巣で4羽の雛を育てるハシブトガラスの親鳥【10倍速映像】給餌行動など

 



2023年5月中旬・午後14:15〜17:00・晴れ 

三脚を立ててカメラを固定し、ハシブトガラスCorvus macrorhynchos)の巣を微速度撮影してみました。 
10倍速の早回し映像をご覧ください。 

送電塔の天辺にある巣の中には4羽の雛が順調に育っています。 
風が吹くと雛の羽毛がなびいて逆立ちます。 
好奇心旺盛な雛鳥は暇潰しで巣材の小枝を嘴でつついています。 
鉄骨のボルトを締めるナットが気になり、嘴で何度も悪戯している個体がいました。 
ボルトが外れると大惨事なので、外れないように電力会社は対策すべきでしょう。 

親鳥が帰巣したのが計5回。 
そのうち♀♂つがいがほぼ同時に帰巣したのが1回でした。 
横から飛来して直接入巣するのではなく、鉄塔の下段に一旦止まってから、鉄骨を梯子のようにピョンピョン登って入巣することが多いようです。 

親鳥が帰巣すると、雛たちは一斉に嘴を大きく開けて空腹をアピールします。(餌乞い) 
嘴を開いたときに口内が赤いのがカラスの幼鳥の特徴です。 
成長すると口の中が黒くなります。 
親鳥は喉袋に詰め込んできた餌を口移しで雛に与えます。 
複数の雛に口移しで次々と給餌しますが、 最も空腹そうな(強くアピールする)雛鳥から優先的に給餌しているようです。 
親鳥による給餌シーンは、等倍速でリプレイしました。 

食後に雛は排泄します。 
巣の縁から外に上手く排泄できれば良いのですけど、巣内に排泄してしまった場合は、親鳥が摘み上げて外に捨てに行きます。(排糞行動) 
雛の糞はゼラチン質の袋に包まれていて、汚さずとも簡単に持ち運びができるようになっています。 
給餌後の親鳥は雛が便意を催すまで、しばらく巣内で見張っています。 
雛の肛門(総排泄孔)を覗き込んで、白い糞が出て来るやいなや咥えて飛び去りました。 
排糞行動は4回撮れてました。 

巣から飛び去った親鳥は次の餌を探しに出かけますが、ときどき巣の横の高圧線に止まって、周囲を警戒したり鳴いたりすることがあります。 

 次の食事まで待っている間、雛は各々が羽繕いしています。 
巣立ちに備えて羽ばたきの練習をする個体がいたものの、すぐに止めてしまいました。 
後半(夕方)になると、巣内の雛は頭をこっくりこっくり下げて居眠りするようになりました。

※ 水を入れたペットボトルを重りとして三脚に吊るせば、風が吹いても振動が抑えられます。 
私の三脚は安物なので、剛性が足りないのです。(軽いのが取り柄です) 

2023/12/22

送電塔天辺の巣内で羽繕いするハシブトガラスの雛と餌を運んでくる親鳥(野鳥)

 



2023年5月中旬・午後17:10頃・晴れ 

街なかで高圧線を支える送電塔#KN7の天辺に営巣したハシブトガラスCorvus macrorhynchos)の定点観察にやって来ました。 
昼過ぎに私が撮影ポイントに入ると、親鳥がついてきて警戒声♪を発しました。 
親鳥が私に対して露骨に警戒しているので、しばらくは帰巣・給餌してくれません。 
その間に巣内の様子を観察すると、4羽の雛が育っていました。 
黒い羽毛もしっかり生え揃っています。 
親鳥が給餌に帰ってくるまでの間、各々が羽繕いしたりしておとなしく待っています。 

私が待ちくたびれた頃に、親鳥が近くの某施設の煙突の天辺に止まっていました。 
そこは見晴らしが良いので、カラスお気に入りの止まり場となっています。 
そのハシブトガラスにズームインしたら、左に飛び立ち、送電塔#KN7に向かいました。 
1/5倍速のスローモーションでリプレイすると、親鳥の喉袋が膨らんでいることから、何か餌を運んできたことが分かります。 
親鳥は巣の一段下の鉄骨に一旦止まりました。 
巣内の雛は飛来した親鳥に未だ気づいていないのか、餌乞いしていません。 
(雛が育つと、親鳥が着地した振動で反応するようになります。) 
この後、親鳥が再び飛び上がって巣に入り、雛鳥に給餌したのですけど、カメラの電池切れで肝心の給餌シーンを撮り損ねてしまいました。 



2023/11/07

送電塔天辺の巣で孵化したハシブトガラスの雛を抱いて暖める親鳥♀と給餌する♂(野鳥)

 



2023年4月中旬・午後13:00頃・晴れ 

送電塔#KN7の天辺にある巣に座り込んで抱卵しているハシブトガラス♀(Corvus macrorhynchos)を撮影していると、下から♂が飛び上がってきて帰巣し、小さな雛たちに給餌しました。 
雛鳥は孵化したばかりのようで、未だ黒い羽毛が生え揃っておらず、裸で赤っぽく見えます。 
ということは、在巣の親鳥♀は抱卵ではなく抱雛していたことになります。 
雛が餌乞いする鳴き声は風切り音で全く聞き取れませんでした。 

少し横にどいていた親鳥♀にもパートナーの♂は口移しで給餌したようです。(愛情表現のキス?) 
雛が孵化しても羽毛が生え揃うまでは、自分で体温調節ができません。 
しばらくの期間は親鳥♀がつきっきりで雛を温めてやらないといけないため、ほとんど外出できません。 
したがって、♂は空腹のパートナー♀にも餌を運んでやる必要があるのです。 

給餌を済ませた♂は巣から左上に飛び上がり、鉄塔から左に伸びる高圧線に止まり直しました。 
営巣地の周囲をしばらく見渡してから、次の餌を採ってくるために高圧線から飛び去りました。 
強い横風に煽られながらも、左手前に飛んで行きます。 

今回、雛の排糞行動は見られませんでした。 
雛が小さいこの時期は、食後の雛が排泄した糞を親鳥がその場で食べてしまうのかもしれません。 

送電塔に少し近づいてから、続きを撮ります。 
鉄塔の中段に設置された巣箱は未使用のままで空っぽでした。 
カラスに営巣して欲しいのであれば、巣箱に予め小枝を数本入れておくのはどうでしょう?(提案)
同じ送電塔で上下2箇所に異なるカラスの♀♂つがいが営巣したら面白いのですが、縄張り意識が強いカラスはそれを許しません。 
同じ♀♂ペアがリスクヘッジのため同時に二巣並行することもないようです。

日当たり良好の巣内で抱雛を続ける♀にズームインすると、頻りに瞬きしています。 
目を白黒させているように見えるのは、白い瞬膜を閉じるからです。 


2023/10/07

パートナーにパンを求愛給餌するハシブトガラス(野鳥)

 

2023年3月下旬・午前11:25頃・晴れ 

早春の河川敷でハシブトガラス♂(Corvus macrorhynchos)が人工的に造られた池の横で何かしています。 
水浴びまたは飲水するのかと思い私がカメラを向けると、死角に隠れようとします。 
カラスの性別を外見で区別できませんが、後々の行動からこの個体を♂と呼ぶことにします。
 カラスの雌雄について触れておこう。ハシブトガラスでもハシボソガラスでも、体の各部を計ると平均値では♂の方が大きい。だから大きいのが♂、と言いたいところだが、小柄な♂と大柄な♀ではサイズが逆転する場合がある。第一、並んでいないと大きさは比較しにくいし、羽毛の状態でも印象は変わる。(中略)  個人的な見解だが、(中略)ハシブトガラスの場合、逆に♂の首が短く見える。実際にはむしろ長いのかもしれないが、それ以上に太く、猪首に見える気がするのだ。(羽毛を逆立てているだけかもしれないが、捕獲して手に持っても太く感じるという)♂はくちばしも隆起が大きく先端が鈍いような気もするが、この辺は個体差が非常に大きいので何とも言いにくい。  いずれにせよ、かなり微妙な区別である。カラス屋でも「必ずわかる」と豪語する人には会ったことがない。控えめな人なら「全然わからない」と答えるくらいだ。 (松原始『カラスの教科書』 p110-111より引用)

動画を撮りながら私も少し右にずれて撮影アングルを確保すると、 カラスは池畔の岩の下から大きなパンの塊を取り出して嘴に咥えました。 
どうやらご馳走を一時的に隠していたようです(貯食行動)。 
パンを口いっぱいに頬張ると、枯れ草に覆われた土手を歩いて登りました。 
両足を揃えてピョンピョンとホッピングしてから左へ飛び立ちました。 
低空で川を飛び越えると、対岸の大きな岩の上に着地しました。 
川岸の残雪はもうほとんど消えています。 
ハシブトガラス♂は周囲を見回し、パンを頬張ったままカーカー♪鳴きました。 
おそらくつがいのパートナー♀を呼び寄せているのでしょう。 
川の流れる音で鳴き声が掻き消されそうなので、ここだけ動画編集時に音声を正規化して音量を強制的に上げました。 

 ♂は「からら…ころろ…」とうがいのような小さな声で♀に求愛を始める。この声は求愛給餌に関連していて、どうやら「はい、あーんして」という意味のようだ。これを聞いた♀は反射的に体を伏せ、翼を半開きにして震わせながら「アワワワ」と鳴き、餌乞い姿勢をとる。恐らくハシブトガラスが抱卵中の♀の中に餌を渡す時の音声も同じものだ。
単純に餌の受け渡しに留まらず、2羽で寄り添っている時にも「からら…」と鳴くことがあるので、つがい間の関係性を維持する意味があるのだろう。(『カラスの教科書』p76-77より引用)


カメラを左に(川上に)パンすると、橋脚から横にテラスのように張り出した梁部でパートナーの♀が待っていました。 
♀が背を向けてガーガー♪嗄れ声で鳴いたのは、♂を呼ぶ声なのでしょうか?(※1) 

案の定、♂がパンを持って右から飛来しました。 
♀の左横に着地すると、♂はパンを吐き出してコンクリートの上に置きました。 
それを見た♀が嬉しそうに小走りで駆け寄り、パン一欠片をお裾分けしてもらいました。 
仲良く並んでパンを食べる2羽の体格を比べると、右の個体がやや大きいようです(♀>♂)。 
食べ残したパンを喉袋に詰め、嘴にも咥えて飛び立つと、どこかに持ち去りました。 

早春はカラスの繁殖期なので、この行動は求愛給餌と呼べるでしょうか?
求愛給餌 コートシップ・フィーディングともいう。求愛行動のひとつで、♂が♀にえさを与えること。このとき♀は、ヒナと同じようにつばさを小刻みにふるわせる。(『マルチメディア鳥類図鑑』より引用)
求愛給餌(きゅうあいきゅうじ、英:courtship feeding) 繁殖相手としたい異性に自らの獲物を差し出そうとすることで成立する、一種の求愛行動。一般に、雄が雌に対して行うもので、雌はこれを受け取るか拒むかで求愛の受け入れの是非を体現する。(wikipediaより引用)
私が過去に観察した求愛給餌の事例を復習してみましょう。 


関連記事(3、6年前の撮影)▶  


今回♂がパンを持ってきたとき、♀は幼鳥がするような餌乞い行動(催促)をやりませんでした。 
また、パンを分け与える際も口移しではありませんでした。 
食後に交尾するかと期待したのですが、ハシブトガラス♀♂は橋脚の梁部から相次いで飛び去ってしまいました。 
したがって、素人が勝手に求愛給餌と解釈するのは躊躇われます。 
仲間に餌を分け与えた(シェア)とゆるく解釈すべきかもしれません。

実は全く別の解釈も考えられます。 
ハシブトガラス♀は♂に分けてもらった以上の量のパンを食べた点が気になります。 
カメラを少しズームアウトすると(@1:30〜)、橋の歩道を渡る老婦人♀が右から左に歩いて通り過ぎるところでした。 
実際に目撃した訳ではありませんが、この老婦人(または別の誰か)が橋脚梁部のテラスに居るカラスに対して常習的にパンを給餌した可能性がありそうです。 
♂が飛来する前に♀が梁部で鳴いた(※1)のは、老婦人に対して餌乞いしたのかもしれません。 
老婦人が完全に通り過ぎると、ハシブトガラス♀♂は警戒を解いて残りのパンを食べました。 
思い返せば動画冒頭の行動も、ハシブトガラス♂が貯食しておいたパンを取り出したのではなく、ヒトが橋の欄干から投げ与えたパンが強風で飛ばされ、カラスがそれを拾いに行った可能性もありそうです。 

カラスの行動観察はとても面白いのですけど、性別判定がきわめて困難(素人には無理?)なため、行動の解釈に困るのが難点です。

2023/03/06

獲物を巣穴に運び込むモンスズメバチ♀

 



2022年6月中旬・午後17:45頃・晴れ(日の入り時刻は午後19:05) 

モンスズメバチVespa crabro)の巣穴を見つけてから2日後の夕方に、定点観察に来ました。 
採寸代わりに巣口の横に1円玉(直径20mm)を並べて置きました。

カメラの起動が間に合いそうになかったので、焦った私は営巣地に飛来した蜂を足で軽く追い払ってから、再び戻ってくるのを待ちました。 
巣穴を見下ろすように撮ると、帰巣した蜂が何を持ち帰ったのか見えにくいのが問題です。 
横から狙うべきでしたね。 
帰巣シーンを1/5倍速のスローモーションでリプレイしてみると(@0:42〜)、初回のワーカー♀は黄緑色の肉団子を巣穴に搬入していました。 
モンスズメバチと言えばセミを(専門に?)狩るというのが図鑑でも定説になっています。 
しかし私はモンスズメバチが獲物を狩る様子を未だ見たことがありません。
撮影時は初夏で、セミの鳴き声を周囲で未だ聞いていません。 
したがって、今回餌食になったのはセミ以外のおそらくイモムシ類(鱗翅目の幼虫)と思われます。 
狩蜂の中でもスズメバチとアシナガバチは狩った獲物をその場で解体して肉団子を巣に持ち帰ります。 
帰巣した蜂から肉団子をたとえ取り上げたとしても、獲物の原形を留めていませんから、素人が正確に同定するのは難しいでしょう。 

6分後、2匹目のワーカー♀が帰巣しました。 
飛来した蜂はかなり迷子になってからようやく巣穴に入りました。 
営巣地に私がカメラを持って突っ立っているせいか、または巣口の横にピカピカ光る見慣れない1円玉が置かれているせいでしょう。
ブタナの群落で少し離れた別の茎の周りを飛び回ったり、巣口の左から右から何度もアプローチをやり直してから、ようやく無事に入巣しました。 
(もっとズームアウトしないと、飛来した蜂が迷っている様子は撮れません。)

関連記事(2日前の撮影)▶ 巣穴に帰る途中で少し迷うモンスズメバチ♀

今回は帰巣した蜂が抱えていた空輸便の荷物をしっかり見極められませんでした。 
獲物の肉団子ではなく、巣材のパルプかもしれません。 
DNAバーコーディングの手法が普及すれば、肉団子から獲物の正体を突き止めることができるはずです。 
巣材の樹種も同定できそうです。 


【後日談】 
この河川敷は定期的に草刈りしているので、作業員にモンスズメバチの巣穴が見つかって駆除されてしまうのは時間の問題だと思っていました。 
案の定、このコロニーの活動を観察できたのは、この日が最後になりました。 
撮影したいテーマが未だ色々とあったのに、残念無念。 
(夜行性のシーンおよび雨天時の様子を観察できなかったのが心残りです。) 
少し無理をしてでも、撮影できるときに集中的に観察・撮影しておくべきでした。 
難しいのは、私が長時間立ち止まって地面の一点をじっと見つめていると、通りすがりの人に怪しまれて(興味を持たれて)蜂の巣の存在がばれてしまうことです。 
最近は蜂恐怖症のヒトが増えてますから、ヒステリックに反応して駆除業者に通報されてしまったら最期です。 
この日私は長居せずに、あえて短時間の撮影をしただけで立ち去りました。 
人通りの無い時間帯を選んで定点観察に来ないといけません。
目立たない無人カメラを巣口の横に設置したいところですが、トレイルカメラは変温動物の活動には反応してくれません。 

営巣地の周辺の草がきれいに刈られ、巣穴に出入りするモンスズメバチが完全に居なくなったものの、地面を掘り返して地中の蜂の巣を完全に破壊した形跡はありませんでした。 
したがって、駆除業者は巣口から中に殺虫剤を噴霧しただけのようです。 
しかし、駆除されたと思ったのは私の被害妄想かもしれません。 
モンスズメバチはコロニーが繁栄して営巣地が狭くなると新天地に巣を引っ越すことが知られています。 
もっと安全な(人目につかない)場所へ自発的に引っ越しただけなら良いのですが、モンスズメバチの世界も住宅難が深刻です。 
治水事業のために河畔林が次々に伐採されてしまい、樹洞のある大木(老木)はほとんど残っていないからです。 

危険なスズメバチを保護すべきだという主張はなかなか理解してもらえません。
決して可哀想だからという情緒論ではありません。
スズメバチは日本の生態系で上位に位置する捕食性昆虫と理解することがまず必要です。 
営巣後期にスズメバチの巣を丸一日観察すると、莫大な量の獲物を巣に搬入することに驚かされます。 
したがって、「怖いから」という理由でスズメバチの巣を見つけ次第駆除して根絶やしにしてしまうと、生態系のバランスが乱れて下位の昆虫が不自然に増えてしまうことになります。 
害虫駆除業者や殺虫剤のメーカーにとっては生態系が乱れて害虫が増えれば増えるほど、経済的に利益が増えます(儲かる)から万々歳なのでしょう。 
「害虫が大発生するのは全て地球温暖化のせいだ」ということにしておけば生態系破壊の責任を逃れられます。
近視眼的な市場原理に任せておくと、誰も歯止めをかけようとしません。 
都市化の進行で自然とのつながりが希薄になった結果、世界中で虫嫌いの潔癖症は年々エスカレートするばかりです。
蜂の巣駆除は必要悪というのが私の認識で、なるべく最小限に留めて欲しいのです。 
スズメバチの巣を無闇矢鱈に駆除して絶滅させるのを止めて欲しい、というのが私のささやかな主張です。 
蜂の巣の存在を告知する注意書きをして、立入禁止のロープを張り巡らせたら、後は1シーズン放っておけば良い場合もあるのに、駆除業者の尻馬に乗ってスズメバチの危険性を(良かれと思って)過剰に煽るマスコミも問題です。 
正しい知識があれば、スズメバチを無闇に恐れる必要はありません。
営巣地を迂回して通れば、スズメバチに攻撃されることはありません。 
基本的にスズメバチは忙しくて、ヒトの存在など眼中に無いのです。 
 「朝顔に釣瓶取られてもらい水」のような心の余裕(慈悲の心)をもつ日本人が少しでも増えてくれることを祈ります。 
うっかりスズメバチと出会ってしまったときの正しい対処法を子供に教えるのも大切です。

都会も含めて日本の自然界にスズメバチが何種類も住んでいるのは当然で、これからも居てもらわないと困ります。 
我々ヒトはなんとか折り合いを付けて(正しい知識を身につけて)スズメバチと共存するしかありません。 
言い出しっぺの私がまず蜂の巣の存在を告知する注意書きを設置すべきかもしれません。
しかし、どうせ駆除業者に通報されるだけ(藪蛇)だろうという諦念があり、撮影観察を優先してしまいます…。
もしも不幸な刺傷事故が起きた場合、蜂の巣の危険性を予見していたのに周知しなかったのは無責任だと怒られるのでしょう。
一体どうすれば良いのか、スズメバチ愛好者(絶滅危惧種)の悩みは尽きません。


2023/03/05

センチコガネがタヌキの糞を巣穴にせっせと運び、戸締まりして中に籠もるまで【10倍速映像】

 



2022年9月中旬・午後12:05〜12:25・晴れ・気温30℃ 

スギ林道上に残されたホンドタヌキNyctereutes viverrinus)の溜め糞をセンチコガネPhelotrupes laevistriatus)が横の巣穴にせっせと運び込んでいます。 
その仕事ぶりをタイムラプスで記録したかったのですが、あいにくこの日は三脚を持参していませんでした。 
仕方がないので、カメラを地面に置いてローアングルで微速度撮影することにします。 
適当な小石をカメラの下に敷いて少し斜めに固定し、センチコガネの巣口に狙いを定めます。 
10倍速の早回し映像をご覧ください。 

タヌキの糞塊を少しずつ糞玉にして巣穴に搬入するためにセンチコガネは何度も往復しています。
巣内でセンチコガネが移動するとスギの落葉がモコモコと上下動するので、深い巣穴というよりも浅い隠れ家なのかもしれません。 
後半になるとセンチコガネは巣口を中から糞玉で塞ぎました。 
1日分の充分な食料(獣糞)を溜め込んで(貯食)満足したのでしょう。 

撮影後に糞虫を採集して性別を調べるつもりだったのに、後半になるとセンチコガネは巣穴に篭もって外に出て来なくなってしまいました。 
私の殺気を感じて隠れた可能性もありますが、時間帯が午後になると貯食活動を停止して巣内に籠もり、幼虫のために糞玉を加工したり自分の食事に専念したりするのでしょう。 
糞虫の巣穴を発掘調査するにはミニスコップも必要ですね。 

センチコガネが勤勉に働いている間、キンバエの仲間やキバネクロバエ?など多数のハエもタヌキの溜め糞を吸汁しに群がっていました。 
更に、そのハエ類を狩って捕食しようとサビハネカクシOntholestes gracilis)やアカバトガリオオズハネカクシ(旧名アカバハネカクシPlatydracus brevicornis)が溜め糞上をうろついて虎視眈々と獲物を待ち伏せしています。 

白っぽいザトウムシの一種がタヌキの溜め糞を何度か横切りました。 
溜め糞場そのものには特に用が無いようで、素通りしただけです。 
カマドウマの一種も溜め糞を通過しました。 
他には多数のアリも徘徊しています。 

余談ですが、溜め糞場で私が長撮りしている間、周囲の森から何か硬い物をガリガリ齧る音が延々と響き渡り、気になりました。 
残念ながらカメラの仕様で微速度撮影では音声が録音されません。 (無音)
現場から少し離れた斜面(スギ植林地の端)に自生するオニグルミの木で野生動物が堅果(クルミの実、落果?)を齧る音だろうと想像がつきます。
もし万一イノシシやクマだとニアミスが怖いので、こっそり様子を見に行くのは自重しました。 
後になって思えば、リスの仕業だったのかもしれません。 

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