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2024/10/11

晩秋の夜に水場で人魂のようにトレイルカメラに写る怪奇現象の正体は造網性クモ?【蜘蛛:暗視映像】

 

2023年11月下旬・午後18:30頃 

山中の水場に来る野生動物をトレイルカメラで見張っています。 
ある晩、レンズの近くで造網性クモが活動を始めました。 
レンズに対して近過ぎるため、クモにピントが全く合わず(奥ピン)、ブヨブヨした不定形の奇妙な物体が下から上に登ってきたように見えます。 
暗視カメラの赤外線を至近距離から強く反射しているため、火の玉や人魂のように光りながら空中で揺れています。 
途中で謎の物体が大小2つに分裂しました。 
クモが粘着性のある横糸を張りながら粘液を足したのでしょう。 
気温が下がって虫も減った晩秋にもクモがまだ網を張っていることが分かります。

過去にもトレイルカメラに同様の現象がたまに写っていたのですが、造網性クモが張った横糸の粘球が赤外線に反射しているのだろうと想像していました。 
今回の映像で分かったことは、クモ自身がレンズの至近距離で動くとピンぼけで歩脚すら写らず、ブヨブヨした光る塊として見えてしまうことがある、ということです。 


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トレイルカメラの原理上、変温動物のクモがいくら動いてもセンサーは反応しないはずです。 
しかし旧機種のトレイルカメラは風揺れなどによる誤作動が多く、そのときたまたまクモが写っていたのでしょう。 
夜の山林で宙に浮かぶ謎の粘球が熱を帯びているとしたら、あるいはクモ自身が発熱しているとしたら、それこそ大発見(スクープ映像)です。 
念のためにサーモグラフィカメラで撮ってみたくなります。
新機種のトレイルカメラに切り替えると、センサーが優秀で誤作動が減ったので、この怪奇現象?が撮れる頻度は減ることが予想されます。

2024/06/13

モエギザトウムシ?♀♂の求愛と交尾拒否

 



2023年9月上旬・午後12:40頃・晴れ 

ホンドタヌキNyctereutes viverrinus)の溜め糞場phがある周辺のスギ林床で多数のモエギザトウムシ♀♂(Leiobunum japonicum)?が活動していました。 
基本情報として、ザトウムシは体格に性的二型があり、基本的に♀の方が大きいのだそうです。(♀>♂) 
また、鋏角は♂の方が大きいらしい。(♀<♂) 
つまり外見でザトウムシの性別を見分けることが出来ます。 

下草(ヤブコウジ実生の葉)の上に居たモエギザトウムシ?♀個体が方向転換し、移動を始めました。 
林床を奥から歩いて来た別個体♂がこの♀を見つけると、♀に向かって積極的に突進してきました。 
そのまま正面から向き合うと、いきなりがっぷりと組み合いました。 
体格差があるのに、長い歩脚を屈伸しながら口器で互いに噛み合っているようです。 
短いキスを交わしただけで、♀♂2匹はすぐに別れました。 
今までこんな行動を見たことがなかった私はてっきり喧嘩(闘争)なのかと思ったのですが、調べてみると求愛行動だったと分かりました。 
クモの♂は触肢に移精してから♀の外雌器に挿入します(交接)。 
それに対して、ザトウムシ♂は陰茎を♀の交尾器に挿入する点で配偶行動が大きく異なります。 

林床を逃げていく♀個体に注目して撮り続けると、すぐにまた別個体の♂と遭遇しました。 
♀の背後から追いかけてきた♂は回り込んで、今回も互いに正面から向かい合って口器でがっちり噛み合いました。 
数秒後にはすぐ♀♂ペアを解消して別れました。 
しかし長い歩脚が絡み合って、別れるのに少し苦労しているようです。 

しばらくすると、一旦別れた♂が再び♀に迫りました。 
♀は嫌がっているようですが、そこへ3匹目が乱入してきました。 
この混乱に乗じて、♀は♂のしつこいセクハラから逃げ延びたようです。 

 一連の求愛行動および交尾拒否を1/5倍速のスローモーションでリプレイしてみましょう。(@2:02〜) 
ポイントとなるのは、♂が陰茎を伸ばして♀と結合したかどうか、です。 
1回戦で♀と正面から組み合った際に、♂が白い陰茎を伸ばしかけたように見えたのですが、どうでしょうか?(@3:04〜) 
2回戦は背側からの撮影アングルだったので、交尾に成功したのかどうか、素人目には分かりませんでした。
うまくいく場合は、オスはススッとメスの脚をすり抜け(メスが寛容になる)胴体を潜らせ胴体を鉢合わせます。(関連動画『ザトウムシのコミュニケーション』by 生きもの観察記録さんの解説より引用)
私の動画では♀♂ペアが互いに腹面を合わせなかったので、今回も♀が交尾拒否したようです。
♀が受け入れても、ザトウムシの交尾はせいぜい5秒ぐらいで終わってしまうのだと教えてもらいました。
ザトウムシ♂は既交尾♀と交尾する前に陰茎を使ってライバル♂の精子を♀の性器から掻き出す行動(精子置換)をしないのでしょうか?


【参考動画】
↑「モエギザトウムシの求愛(拒絶するメス)①」 by 生きもの観察記録さん

モエギザトウムシのメスが交尾を拒絶する場合、胴体を倒立させることがある(他には前脚でオスの胴体をはさむ等)。

オスはちょこまか動くメスの脚をくぐり抜け、最後にはこの鉄壁の拒絶を突破していかないといけない。オスメスの頭と頭が付き合わさらないと、交尾に至らない。

「モエギザトウムシの求愛(メスの交尾拒絶行動)」と題した同じ動画が別サイト「動物行動の映像データベース」にも掲載されていました。

ちなみに、私の動画では、♀は倒立による交尾拒否はしていません。

↑「モエギザトウムシの求愛(拒絶するメス)②」

オス(下側)のからの交尾を拒絶するメス(上側)のモエギザトウムシ。第1脚を閉じてオスの胴体の侵入を防いでいる。
これまでの飼育下では、メスの交尾拒絶行動は①胴体を倒立させる、②脚を閉じる、の2パターンが観察された。
私の動画で、モエギザトウムシ♀が脚を閉じて♂の求愛を拒絶したかどうか、素人目には見分けられませんでした。


「ザトウムシの交尾」で画像検索してみると、交尾中のザトウムシ(モエギザトウムシとは別種)を接写した見事な写真が土壌動物写真家ジーク氏のブログ記事に掲載されていました。
♂が長い陰茎を伸ばして♀と結合した様子が側面からしっかり見えます。
私も次回はザトウムシの交尾に成功するシーンを動画で記録したいものです。


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2024/06/09

ホンドタヌキの糞を食べるモエギザトウムシ?

 

2023年9月上旬・午後12:40頃・晴れ 

平地のスギ防風林で風倒木の横にホンドタヌキNyctereutes viverrinus)が残した溜め糞場phを定点観察しています。 
この日はタヌキの新鮮な糞塊が追加されていました。 
丸呑みにした果実(液果)の種子が未消化のまま糞と一緒に大量に排泄されていました。 
なんとなくウワミズザクラの種子かな?と予想したのですが、真面目に糞分析をして種子散布を調べる余力がありません。 
久しぶりに大雨が降った後のスギ林内は蒸し暑いものの、食糞性の様々な虫たちが生き生きと活動していました。 

ザトウムシの仲間が林床を徘徊中に溜め糞場を横切るシーンは、これまで何度も見てきました。 
ところが今回見つけたザトウムシは、溜め糞上に居座って黒い糞塊に口を付けていました。 
おそらくモエギザトウムシLeiobunum japonicum)だと思うのですけど、どうでしょうか? 

ザトウムシが食糞するとは知らず、とても驚きました。 
獲物を体外消化するクモと違って、ザトウムシは固形物を咀嚼・嚥下して体内消化できることになります。
溜め糞場ph周辺の林床では、多数のモエギザトウムシ♀♂が配偶行動を盛んに繰り広げていました。(映像公開予定) 
どうやら彼らの繁殖期のようです。 
ザトウムシの食糞行動は繁殖期限定の食性なのでしょうか? 
鱗翅目のように、性成熟に必要なミネラル成分を汚物から摂取しているのかな? 
それとも、獣糞に群がる微小なダニなどを捕食しているのでしょうか? 

あいにくマクロレンズを持ってこなかったので、肝心の口器の動きを接写できませんでした。 
口元で触肢が動いたのは見えました。 
最長の第2歩脚をゆっくり動かして、触角のように辺りを探っています。 
私が下手に近づくと、モエギザトウムシは警戒して逃げてしまいます。 
仕方がないので、望遠マクロで撮影しました。 

ザトウムシの他には、ニクバエ、キンバエ、ワラジムシ、アリ、シデムシ幼虫などがタヌキの溜め糞場phに群がっていました。 
溜め糞上をモエギザトウムシが歩き始めると、飛び回るハエが細長い歩脚にぶつかりました。 
飛び回るキンバエが何度もぶつかってザトウムシを追い払ったようにも見えます。 
ハエの卵や幼虫(ウジ虫)がザトウムシに捕食されないように、ハエの成虫が守っている(ガード)しているとしたら大発見ですが、ただの偶然かな…?



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2024/03/25

アナグマが転出した後の巣穴に出入りする野ネズミ同士が縄張り争い【トレイルカメラ:暗視映像】

 



2023年7月上旬 

二次林でニホンアナグマMeles anakuma)が子育てをしてから引っ越した空き巣に最近ではホンドタヌキNyctereutes viverrinus)が住み着いています。 
アナグマもときどき戻ってきては巣穴のメンテナンスしているようです。
つまり、現時点では誰が所有する巣穴なのか流動的な状態です。
トレイルカメラに写る野ネズミ(ノネズミ)の探餌行動をまとめました。
巣穴の主であるアナグマが引っ越した後で野ネズミが堂々と巣穴に出入りする頻度が増えるかと予想したのですが、そんな単純な2種間の問題ではないので難しいです。 


シーン0:6/29・午後13:28・気温27℃(@0:00〜) 
明るい日中にたまたま撮れた現場の様子です。 
右奥の巣穴Rと左手前の巣穴Lの2つがあります。 


シーン1:7/2・午後20:06・気温23℃(@0:04〜) 
ある晩に2つの巣穴LRの中間地点を野ネズミがうろついてから、奥の巣穴Rに入りました。 

その間、ザトウムシの一種が監視カメラのレンズ上を這い回っています。 
夏の時期はザトウムシのせいで監視対象の野生動物がしっかり撮れないことが多いので、何か対策する必要がありそうです。 
忌避剤を使いたくなりますが、その異臭で嗅覚の鋭い哺乳類が警戒したり来なくなったら元も子もありません。
トレイルカメラに近づけないように何か物理的なバリアを設置するしかなさそうです。


シーン2:7/3・午前2:42・気温20℃(@0:50〜) 
日付が変わった深夜未明に野ネズミが再び現れました。 
画面の右下に姿を消したということは、手前の巣穴Lに入ったのかもしれません。 


シーン3:7/3・午後20:31・気温21℃(@1:09〜) 
野ネズミは夜行性なので、昼間は出没しません。 
次に登場したのは、すっかり暗くなった晩でした。 
今回は珍しく2匹が同時に写っていました。 

まず1匹目の個体aがアナグマの旧営巣地(セット)を徘徊してから、奥の林縁で灌木の根本に立ち止まって何かしています。 
採食なのか毛繕いなのか、やや遠くてよく見えません。 
その辺りには有毒植物のナニワズ(別名エゾナニワズ、エゾナツボウズ)という小低木の群落があり、この時期には赤い実がなっています。
まさか野ネズミはナニワズの熟果を食べに来たのかな?
殺鼠剤の原料として使われるクマリンと似た構造の有毒成分を含んでいるそうです。
監視カメラに写る野ネズミの数が一時期よりも減ったのは、テンやフクロウなど捕食者の活動が盛んになったからだと思っていたのですが、もしかしてナニワズの実を食べて死んでしまったからなのでしょうか?
普通に考えれば、野ネズミは有毒植物ナニワズを忌避するように進化するはずです。
ドブネズミやクマネズミでは殺鼠剤に対する薬剤抵抗性を獲得した個体(スーパーラット)の存在が報告されています。
当地の野ネズミもナニワズへの耐性をつけたとしたら面白い話です。

しばらくすると、右奥の巣穴Rから野ネズミの別個体bが外に出て来ました。(赤丸@1:52〜)
bが左へ行って灌木の背後に回り込む間、aは油断していてbの存在に全く気づいていないようです。 
縄張り争いの追いかけっこが始まった途端に、残念ながら1分間の録画時間が終了してしまいました。 
1/3倍速のスローモーションでリプレイしてみると(@2:13〜)、背後から奇襲されたaは驚いて大きく跳んで逃げ出していました。 



シーン4:7/4・午前0:29・気温19℃(@2:24〜) 
日付が変わった真夜中に現れた野ネズミは、餌を探し歩いて右から左へ横切りました。 


※ 動画の一部は編集時に自動色調補正を施しています。 




2024/02/14

棚網で捕らえたニホンミツバチ♀を住居に運んで捕食するクサグモ(蜘蛛)

 

2023年6月上旬・午前10:00頃・晴れ 

家屋の外壁をイワガラミという蔓植物で壁面緑化してあります。 
初夏に白い花が咲くと、ニホンミツバチApis cerana japonica)のワーカー♀が採餌のために訪花します。 

関連記事(7年前の撮影@山林)▶ イワガラミの花で採餌するニホンミツバチ♀ 


室内から窓の外を覗くと、イワガラミにクサグモAgelena silvatica)が張り巡らせた棚網にニホンミツバチ♀が捉えられ、逃れようと必死に暴れていました。 
私が急いでカメラを取りに行って動画撮影を始めたときには、住居から出てきたクサグモの毒牙に噛まれてミツバチはもうおとなしくなっていました。 

クサグモが住居から出てきてミツバチに噛み付いて毒液注入・制圧。 獲物に毒が回るまで、クサグモは一旦住居に戻った。 しばらくすると獲物を取りに戻る。 ミツバチの足の先が非粘着性の網目の細かい棚網に引っかかっていて、運ぶのに苦労している。 ようやく住居の中に搬入。 じっくり体外消化を開始。 獲物を貯食している? 棚網上で噛み付かれた獲物は毒液が回って暴れない。 


ニホンミツバチ♀は毒針を持つのに、クサグモとの決闘で自分の身を守れなかったようです。 
よく見ると、ニホンミツバチ♀の触角がかすかに動いています。(「虫の息」状態) 
クサグモは獲物の腹背に噛み付いているようですが、口元の毒牙が見えません。 
麻痺したニホンミツバチ♀が毒針を伸ばしているかどうかも、不明です。 
噛み付いている途中でクサグモは歩脚を動かして棚網上で踏ん張り、体勢を安定させました。(@1:03〜) 

獲物を離した後も、しばらく獲物にあちこち触れながら留まっています。(@1:30〜) 
次にクサグモは獲物をラッピングするかと思いきや、そのまま獲物から離れて棚網上をうろつき始めました。(@2:27〜) 
画面の下部には何かが棚網上に残されています。 
食べかけの獲物かと私は思ったのですが、よく見ると植物由来の異物(落花?)のようです。 
捕らえたニホンミツバチ♀をその場に残したまま、クサグモは窓枠の近くにある筒状の住居に戻りました。(@2:50〜) 
歩脚で棚網を引き締める動きをしたのは、次の獲物がかかった時に振動を感知できるよう準備しているのでしょう。(待ち伏せによる狩り) 

1分20秒後、管状住居内で休んでいたクサグモが外に出て来ました。 
棚網に引っかかった異物を調べています。 
棚網の構造上、異物を除去したくても簡単にはできないのかもしれません。 
先程捕らえたニホンミツバチ♀の居場所を探るために、歩脚で棚網を引き締めました。 
視覚ではなく棚網の糸に伝わる振動覚によって、獲物の位置を正確に定位するということがよく分かります。 

ミツバチに噛み付いた後で毒液が完全に回るのを今まで待っていたようです。 
獲物に絡みついた非粘性の糸を噛み切ってから、棚網から強引に引き剥がそうとしても、引っかかってなかなか動かません。 
(手際の悪さが幼体の証かもしれません。) 
ようやく獲物を棚網から引き剥がすと、その部分が破れて穴が開きました。 
獲物を咥えて住居に向かって引きずるように運び始めたものの、途中で何度も棚網に引っかかり、運搬に苦労しています。 

突然、バーン♪という銃声のような音が辺りに響き渡りました。(@5:59〜) 
近所で大工作業をしていた職人が金属パイプか何かをうっかり落としたようです。 
その瞬間にクサグモは反射的に獲物からパッと離れました。 
造網性のクモにとって聴覚と振動覚は同じですから、衝撃音を聞いて身の危険を感じたのでしょう。 
警戒を解くと、クサグモは慎重に獲物を取りに戻りました。 

獲物の向きを変えて抱き合うように持ち上げると、蜂の足先が棚網に引っかからず楽に運べるようになりました。 
ようやく管状住居に獲物を搬入できました。(@6:35〜) 

撮影アングルを変えると、管状住居内にクサグモのシルエットが見えるようになりました。
獲物のニホンミツバチ♀に軽く触れながら、その周りをグルグル回っています。 
おそらく、糸を張り巡らせて獲物を住居内に軽く固定しているのでしょう。 
なぜか細いトンネルをくぐって反対側の出口に行ってから戻って来ました。 
何度か獲物を抱えるように持ち上げています。 
あまり空腹ではないらしく、獲物に噛み付いて体外消化を始めようとしません。 
ところで、採餌直後のミツバチを体外消化したら、イワガラミの花蜜由来の果糖や花粉がクサグモの吸胃から検出されるでしょうか? 

管状住居内に謎の微小な昆虫が迷い込んでいるのが気になりました。 
クサグモにどんどん接近する様子は、なんとも思わせぶりです。 
棚網上を自由に歩けるのは不思議で、何か対策してるはずです。 
もしかして寄生蜂♀が寄主を求めて積極的に侵入したのかな? 
しかし、クサグモの仲間に寄生産卵する専門家であるニッコウクモヒメバチ♀とは大きさも体型も全く違います。 



どうやら、ハエが迷い込んで逃げられなくなっただけのようです。 
クサグモの食べ残しに誘引されたとしたら面白い生態ですけど、動画撮影中の私は気づいておらず、じっくり調べていません。 

時期的にクサグモは未だ成体ではなく、幼体または亜成体だと思うのですが、真面目に検討するには採集しないといけません。 
少なくとも、触肢の発達した成体♂ではありませんでした。 
クサグモの幼体なら頭胸部の色が赤く、腹部が黒光りしているはずです。
(発生発達ステージの問題はともかく、コクサグモと見分ける頭胸部の斑紋をしっかり撮れませんでした。)


※ 動画の後半は編集時に自動色調補正を施しています。 
雪国(寒冷地)に特有の二重窓を通して室内から撮影したので、画面全体がやや不鮮明になっています。 


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2023/11/23

夜の池に飛来するコウモリは岸を歩くザトウムシを捕食するか?【トレイルカメラ:暗視映像】

 

2021年10月中旬・午後17:50頃・日の入り時刻は午後16:59。 

山中の水場に自動センサーカメラを設置して見張っています。 
設置アングルをミスってしまい、肝心の池がほとんど写っていませんが、崖の穴から湧き水が絶えず流れ込んでいる様子が分かります。 

晩にコウモリが低空で飛来しました。 
崖にぶつかる前にUターンしました。 
その直後、泉の水際をザトウムシの一種が手前に向かって歩き始めました。 
画面の黄色い丸に注目してください。 

コウモリとザトウムシのニアミスシーンはこれまで何度か見ています。 

関連記事()▶  


暗闇の山中でコウモリがザトウムシを狩って捕食する決定的瞬間が撮れるのではないかと密かに期待するのですけど、今回もコウモリは戻ってきませんでした。 
そもそもコウモリはザトウムシを獲物としてみなしていないのかもしれません。 
超音波によるエコロケーションの解像度がどれぐらいなのか知りませんが、ザトウムシの歩脚は細過ぎて認識できないのかな? 
単に獲物として好みではないのでしょうか? 

バットディテクターでコウモリのエコロケーションを聞きつつトレイルカメラで飛翔シーンを録画してみたいという構想を何年も温めているのですけど、他にあれこれ手を広げ過ぎてしまい、なかなか余力がありません。 
コロナ禍の最中は、バットディテクターの通販も無くなっていました。
一時期は「野生のコウモリの研究調査自体が未知の病原菌やウイルスに感染するリスクが高くて危ない!」という風潮で、コウモリの研究者・愛好家が絶滅するんじゃないかと心配でした。 

2023/10/22

台所の濡れ布巾を舐めて吸水するイエユウレイグモ(蜘蛛)

 

2023年4月上旬・午後23:20頃 

深夜に水を飲もうと暗い台所に行って照明を点灯すると、驚きの光景を目にしました。 
皿を洗ってから、キッチンカウンター(ワークトップ)の水滴を拭いた雑巾を絞って広げ、乾かしています。 
その上でなんと、イエユウレイグモPholcus phalangioides)が吸水していたのです。 
イエユウレイグモの飲水行動は初見です。 
というか、そもそも造網性クモが自発的に水を飲むシーンを見たことがありませんでした。
慌ててカメラとハンディカムを持ってきて、薄暗い台所で動画撮影することにしました。

補助照明としてハンディカム内蔵の白色LEDを点灯しても、かなり薄暗いです。 
ハンディカムを近づけても、クモは逃げませんでした。
歩脚が長いイエユウレイグモが、うずくまるような前傾姿勢で濡れ布巾に口を直接付けています。 
天井からぶら下がっている「しおり糸」は見えませんでした。 

まったく動かないので、死んでいるのかと心配になりました。 
雑巾の繊維に絡まって身動きできないのでしょうか? 
私が左手の人差し指でイエユウレイグモの歩脚にそっと触れると、慌てふためいて「引き糸」を登り返し、シンク(流し)の真上から照らす蛍光灯のフードに辿り着きました。 
その辺りにはイエユウレイグモの不規則網が張り巡らされているのですが、映像では見にくいです。 
大慌ての逃避行動を1/5倍速のスローモーションでリプレイ。(@1:09〜) 

この個体は喉が渇くと不規則網から夜な夜なシンクに懸垂下降して水分補給しているのでしょうか? 
監視カメラを設置してみたら面白そうです。
もし私が邪魔をしなければ、濡れ雑巾から延々と吸水を続けていたかもしれません。
濡れ雑巾は決してきれいではなく、アンモニア臭(雑巾臭)がしたりします。
イエユウレイグモはむしろ、雑巾が吸い取ったミネラル成分やアンモニアなどが気に入って摂取していた可能性もありそうです。

時期的にイエユウレイグモの幼体または亜成体と思うのですが、しっかり調べるためには一時捕獲して採寸したり外雌器の状態を精査しないといけません。
少なくとも触肢の発達した成体♂ではありませんでした。

世の中にはイエユウレイグモをモデル生物(実験動物)として飼育している研究者もいるそうです。
飼育下ではどうやって水を飲ませているのでしょうね?


関連記事(8、9、12、14年前の撮影)▶ 

2023/08/16

ヤマオニグモ(蜘蛛)の垂直円網に囚われて暴れるヒグラシ

 

2022年7月中旬・午後14:00頃・晴れ 

里山の斜面を直登する細い山道が廃れて使われなくなり、左右から灌木の枝が伸び放題になっていました。 
そこを少し整備すると、ヤマオニグモAraneus uyemurai)などが網を張るようになりました。 
クモの巣に捕らわれたセミが逃れようと必死に羽ばたいて暴れていました。 
(私が獲物をクモの網に給餌したヤラセ映像ではありません。) 
鳴き声を発してないので♀かもしれません。

同定のために暴れるセミを手にとってじっくり接写すべきでしたが、夏の廃道登山でヘロヘロにへばっていた上に先を急いでいたので動画に撮っただけです。 
腹部全体が茶色く透けて見えるのでエゾハルゼミまたはヒグラシだと思うのですが、エゾハルゼミは時期的に少し遅いです。 
周囲でカナカナカナ…♪と寂しげに鳴き交わしているのは、ヒグラシ♂(Tanna japonensis)でした。 

セミがかなりパワフルに羽ばたいても、粘着性のあるクモの横糸は強力で切れません。 
獲物が疲れておとなしくなるまで、網の主はどこかに避難しているようです。 
以前ここにヤマオニグモAraneus uyemurai)が造網しているのを見ています。 


2023/08/12

夏の夜にスギ林道でトレイルカメラに写った人魂の正体は蜘蛛の粘球?【暗視映像】

 

2022年8月下旬・午後18:07・気温24℃ 

里山のスギ林道にあるタヌキの溜め糞場sを自動センサーカメラで見張っていると、謎の現象(物体)がときどき写ります。 

地平線に日が沈む日の入り時刻は午後18:21ですが、現場は山の東斜面なので、それよりもずっと早くから太陽が山の端に隠れて暗くなります。 
トレイルカメラは熱源の動きを検知して起動する仕組みですから、昆虫やクモなどの変温動物が動いても反応しないはずです。 
動画の冒頭には何も写っておらず、今回はなぜ起動したのか不明です。 
おそらく飛来したコウモリが素早く横切ったのかもしれません。 

やがて夜蛾らしき小さな昆虫が飛来し、右から左に高速で横切りました。 
そして画面の左端から明るく白く光る謎の玉がちらっと登場します。 
まるで人魂(火の玉)や怪しいUMAが空中に漂っているように見えますが、おそらく日没直前に造網を始めたクモの糸の粘球ではないかと思います。 
幽霊の正体見たり枯れ尾花。 

クモの粘球にしても巨大で、しかも一つだけブラブラしているということは、珍種のナゲナワグモなのか?と期待が膨らみます。 
日本の北国ではナゲナワグモの仲間は生息していないことになっているからです。
日本でナゲナワグモの習性を持つのは、コガネグモ科イセキグモ属に属するマメイタイセキグモとムツトゲイセキグモの2種である。いずれも熱帯系のクモであり、日本では本州南部以南に分布し、採集例はきわめて少ない。(wikipedia:ナゲナワグモより引用)

 

関連記事(10月中旬、下旬の撮影)▶ 

未だ撮影例が少ない(n=2)のですが、この謎の人魂?粘球?は秋にしか現れないのかと思っていました。
トレイルカメラの映像記録を遡って見返すと夏にも写っていたので、記事にしておきます。
今回でようやく3例目です(n=3)。
記録が蓄積すれば、通年見られるありふれた現象だと分かってくるかもしれません。

残念ながら粘球を作った主(クモ?)がいつも写っていないのが、もどかしいです。
粘球が自ら発光しているのか、それとも暗視カメラが照射する赤外線を強く反射しているだけなのか、突き止めたいところです。 
前者だとしたら、グローワームのように糸で生物発光して獲物を誘引する新種の虫かもしれず、ロマンがあります。 
夜に現場入りして実際に探すしかなさそうですが、ツキノワグマが出没すると分かってからは二の足を踏んでいます。 


2023/07/26

夜の池に張られた網を自ら取り壊すクモ【蜘蛛:トレイルカメラ:暗視映像】

 

2022年8月中旬・午前0:15頃 

里山の湧き水が溜まった泉を自動センサーカメラで見張っていると、コウモリが飛来する合間に小さなクモが写っていました。 
画面の左上から造網性クモ(種名不詳)が下に降りてきました。 
引き糸(しおり糸)にぶら下がりながら懸垂下降しているのか、何度もバウンドするように池の水面に触れています。
このクモはまさか水を飲んでいるのでしょうか? 
こしきから降りてきたクモが水面の落枝などに引き糸を固定したはずです。 
引き糸の上部で強く光る白点は円網のこしきなのでしょう。 
途中からクモが大きく見えるようになったのは、カメラに対して近づいたからです。 
どうやら左岸から此岸へ斜めに円網の枠糸が張り渡してあったようです。 
以上、クモの動きから推理すると、池の上に張った網を自分で壊しながら登り返しようです。 

こんな真夜中に破網するということは、網にたくさんの獲物がかかって破け、使い物にならなくなり、張り替えるのでしょう。 
あるいは夜霧が立ち込めるようになり、円網の横糸に水滴が付いて粘着性が落ち、捕虫網として使い物にならなくなったのかもしれません。 
飛来したコウモリに網を壊されて獲物を盗まれた可能性もありそうです。 



2023/07/24

夏の夜の水場でコウモリが狩りに成功?【トレイルカメラ:暗視映像】

 



2022年8月上旬・午後21:45頃 

里山の水場をトレイルカメラで見張っていると、夜な夜なコウモリ(種名不詳)が飛来します。 
奥の森から飛来したコウモリが此岸で急旋回して引き返しました。 
このときは水面に触れていないので、飲水行動ではありません。 

飛び去るコウモリの足に何か細長い物がぶら下がっていました。 
1/4倍速のスローモーションでリプレイしてみましょう。 
動画のフレームレートが25fpsでは何が起きたか、いまいちよく分かりません。
どうやらコウモリは此岸の灌木の辺りで素早く狩りをしたようです。 
泉から水草を採取して行ったようにも見えますが、この池に水草は生えてないので除外できます。 
池の上に張られたクモの網にかかって暴れていた獲物をコウモリが掠め取ってきたのではないか?と想像しました。 
あるいは網に占座するクモそのものを網ごと狩ったのかもしれません(一網打尽)。
破れたクモの網がコウモリの足にまとわりついたまま飛び去った、という解釈です。 
コウモリの狩りの成功シーンらしきものがトレイルカメラで撮れたのは初めてです。 
どこか安全な止まり木に逆さまにぶら下がってから、落ち着いて獲物を食べたり、足にべっとり付着したクモの巣を毛繕いで取り除いたりするのでしょう。


後半は続きの5倍速の早回し映像です。 
蛇足かもしれませんが、コウモリが飛び去った後も何事もなかったように水面に多数のアメンボが泳いだり、周囲を夜蛾が飛び回ったりしています。 

つづく→

2023/07/21

初雪で凍死したジョロウグモ♀の遺作(蜘蛛)

 

2022年12月上旬・午前11:40頃・晴れ 

初雪が降った翌日に里山で急坂の山道を登ると、道端の枝間に張られたジョロウグモ♀(Nephila clavata)の垂直円網に霜が付着して真っ白に光っていました。 
網の主であるジョロウグモ♀は中央のこしきに占座したまま、だらりと力なくぶら下がっていました。 
私が指で触れても全くの無反応です。 
前日の初雪で凍死したようです。 
初冬になるともう網にかかる獲物がほとんどいませんから、卵嚢を産めるだけ産んで天寿を全うしたのでしょう。 

捕虫網を構成する糸の1本1本が白い霜をまとい、馬蹄形垂直円網の構造が見事に可視化されています。 
クモの網の構造を観察するために霧吹きで水滴を噴霧するテクニックがあるのですが、自然な霜の美しさには叶いません。 
あえて逆光で撮ってもフォトジェニックです。 
美しい芸術作品に昇華されました。 
暖かな日差しに照らされて気温が上がると、網に付着した霜はじきに溶けてしまうでしょう。 
ギリギリのタイミングで「ある女郎蜘蛛の死」を劇的(フォトジェニック)に撮れたことになります。 

ジョロウグモの網が微風で揺れていて、霜が付いても網全体の柔軟性は保たれていることが分かります。 
極寒の条件ではクモの網全体が凍結して脆くなり、パリパリと壊れたりするのでしょうか? 
(例えば液体窒素に漬けるとどうなる?)
霜によって横糸の粘着性は失われているかと思いきや、アカマツなどの落ち葉が少し網に付着していました。 

この後、野鳥がジョロウグモ♀の死骸を見つけて捕食するのでしょうか? 
トレイルカメラを設置すれば決定的瞬間が撮れたかもしれません。 
ちなみに、この日下山すると平地でもジョロウグモ♀が円網で凍死していました。(映像なし) 


2023/05/30

雨夜にカラマツの幹を登るザトウムシ【トレイルカメラ:暗視映像】

 

前回の記事:▶  


2022年10月下旬 
山林でドングリを給餌した餌場をトレイルカメラで見張っていると、未明にザトウムシの一種が2回登場しました。 

シーン1:午前3:40頃 
画面の赤丸に注目して下さい。 
雑木林の斜面をザトウムシがゆっくり登って行きます。 


シーン2:午前4:30頃 
約50分後、雨が降っています。 
画面の赤丸に注目して下さい。 
おそらく別個体だと思うのですが、ザトウムシがいつの間にかカラマツの幹を登っていました。 
少し登ってから立ち止まると、長い歩脚で謎の屈伸運動をしています。 
幹を滴り落ちる雨水を飲んでいるのかな?と想像したりするものの、定かではありません。
以前の観察で、笹の葉から水滴を飲んでいたザトウムシは、上下動せずに歩脚を曲げたままでした。

関連記事(12年前の撮影)▶ 水を飲むザトウムシ

ちなみに、この日の日の出時刻は午前5:52。 
撮影時刻は夜明け前で、最低気温になっているはずです。 
秋の寒い雨夜でもガガンボが飛来したり、小型の直翅目(コノシタウマ?)がドングリ給餌場の下の斜面を徘徊したりと、意外に賑わっています。 
このトレイルカメラ旧機種は、動画撮影時に気温の測定値が記録されないのが残念です。

ザトウムシは変温動物なので、いくら動き回ってもトレイルカメラのセンサーは反応しません。 
温血動物の野ネズミが餌を探し回って画面を横切ったときに偶然録画されるだけです。 

※ 動画編集時に自動色調補正を施して明るく加工しています。 

2023/05/26

秋の夜にスギ林道でトレイルカメラに写った人魂の正体は蜘蛛の粘球?【暗視映像】

 

2022年10月下旬・午後17:50頃・気温14℃ (日の入り時刻は午後16:56) 

晩のスギ林道を野ネズミ(ノネズミ)が横切り、監視カメラが起動しました。 
野ネズミよりも気になる怪奇現象?が赤外線の暗視映像に撮れていました。 
画面の左端で、人魂のように光って動いている塊は何でしょうか? 

なんとなく、クモの糸の粘球ではないかと思います。 
後半は複数の粘球が付いた1本の糸が風に吹かれているように見えます。 
小雨が降り始めて、水滴がクモの糸に付着したのかもしれません。 
それにしても、これほど大きな粘球を作る造網性のクモがいるのでしょうか? 
まさかナゲナワグモ…? 
造網を始めたクモが枠糸を吹き流しているのだとして、吹き流しの糸の先端部には重りとして粘球をつけるのかな? 


前回撮れたのも秋(10月中旬)だったのは偶然でしょうか? 
季節の風物詩のように毎年写る現象なら、もう少し真面目に調べる価値があるかもしれません。 (追記参照)

今回の場合は明らかに、恒温動物の野ネズミが動いたことが原因でカメラのセンサーが熱源を動体検知して起動しました。
その前後にも謎の巨大粘球がカメラの前をぶらぶら動いていたはずなのに、それは録画されていないということは、巨大粘球自体は熱を帯びていないことになります。
もし人魂が冷光ではなく炎のように発火する現象だとすれば、熱を発しているはずなので、単独でもトレイルカメラのセンサーが反応して録画されているはずです。

海外の洞窟内で光るグローワームを連想したのですが、もし日本の里山に居たら大発見かも?と妄想・ロマンが捗ります。
(ニュージーランドとオーストラリアに生息する)ヒカリキノコバエ属の幼虫は捕食活動に発光を用いており、粘着性の高い糸へユスリカ等の飛行昆虫を誘き寄せている。(wikipediaより引用)



※【追記】

実は同じ地点で夏にも同様の現象が撮れていました。

したがって、秋だけの怪奇現象ではありません。

関連記事(2ヶ月前の撮影)▶ 夏の夜にスギ林道でトレイルカメラに写った人魂の正体は蜘蛛の粘球?【暗視映像】 



↑【おまけの動画】
"Glow Worms Trap Insects With Bioluminescent 'Fishing Lines'🪱 Into The Wild New Zealand " by Smithsonian Channel

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