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2024/10/23

タヌキの溜め糞にガガンボが産卵?

 

2023年12月上旬・午前10:50頃・くもり 

里山のスギ林道に残されたホンドタヌキNyctereutes viverrinus)の溜め糞場を定点観察しています。 
今回は新鮮な糞塊が残されていました。 

1匹のガガンボ(種名不詳)がタヌキの糞の上を歩いて横切っていました。 
後半は立ち止まって何かしています。 
林道を歩いていたガガンボが溜め糞場にたまたま通りかかったのではなく、明らかに獣糞に誘引されて来たようです。 
背側を見下ろすアングルでは産卵しているのか吸汁なのか、見分けられません。 
口器が退化しているように見えるので、吸汁ではなく産卵行動ではないかと思います。 
そもそも私にはガガンボの性別を外見から見分けられません。 
触角や腹端の形状などから性別を見分けられる方がいらっしゃいましたら、教えて下さい。 

撮影アングルを変えてガガンボを側面からも撮りたかったのですが、カメラの電池が切れてしまい残念無念…。 
私がカメラの電池を慌てて交換している間に、ガガンボは逃げてしまいました。 
動画を優先したので、同定用の高画質写真も撮れませんでした。 

冬に観察したフユユスリカ?とは明らかに別種でした。 

関連記事(1年前の撮影)▶  


余談ですが、今回タヌキの溜め糞場sで撮った隣の糞塊の写真をよく見ると、茶色い未消化物が大量に含まれていました。
もしこれがナツメの果皮だとすると、山のタヌキが里まで降りてきて庭木の下でナツメの落果をたらふく食べたことになります。
正式にはタヌキの糞分析をして、ナツメの種子が含まれていることを確かめる必要があります。
ナツメは日本の在来種ではありませんから、山中でナツメの木を見かけるようになったら、タヌキなどの野生動物が種子散布した結果ということになります。

関連記事(同時期に別の地点の溜め糞場で撮影)▶ ナツメの種子散布者としてのホンドタヌキ


【アフィリエイト】 

こっちの糞塊にはナツメの果皮が未消化のまま含まれている?

2024/06/23

ニホンアナグマの糞に初齢幼虫および未受精卵を産み付ける卵胎生のニクバエ♀

 

2023年9月下旬・午前10:55頃・晴れ 

里山のスギ植林地を抜ける林道にニホンアナグマMeles anakuma)とホンドタヌキNyctereutes viverrinus)が共有する溜め糞場sがあります。 
この日はタヌキの新鮮な溜め糞は見当たらず、アナグマが排泄したと思われる新鮮な軟便が林床の下草の上に残されていました。 

ちなみに、この下草はツワブキのような丸い葉の植物ですが、ツワブキにしては葉の緑色に照り(光沢)がありません。 
フキではないことは私にも分かるのですが、山中でよく見かけるこの植物の名前が分からず、長年気になっています。 
どなたかご存知の方がいらっしゃいましたら、教えてくださると助かります。 

前年(2022年)にトレイルカメラを設置して長期観察したところ、この溜め糞場sに通ってくるタヌキとアナグマは少し離れた別々の地点に排便していること、アナグマは下痢便になりがちということ、などが分かりました。 
アナグマの新鮮な糞は「黄土色の絵の具の匂い」がするらしいと本で読んだのですけど、今回の軟便を小枝の先端でつつき(検便)、匂いを嗅いでみても意外なことに無臭でした。


溜め糞場に集まって来ている昆虫でまず目についたのは、ピンクの金属光沢に輝くオオセンチコガネPhelotrupes (Chromogeotrupes) auratus auratus)です。 
アナグマ下痢便のすぐ横でスギ落ち葉の上にじっとしていました。 



しばらくすると、逃げていたキンバエLucilia caesar)の仲間♂とニクバエの一種♀が獣糞に戻ってきました。 
いつものように獣糞の上を歩き回って口吻で表面を舐めています。 

ニクバエ♀が未受精卵を産む瞬間

やがてニクバエが立ち止まると、獣糞の縁に腹端から真っ白い物体を2回続けて産み付けました。 
1個目はバナナのように湾曲した白くて巨大な卵でした。 
続けて産み落としたのは、それよりも小さな白い蛆虫でした。 
ニクバエの仲間は昆虫でも珍しい卵胎生です。 
産卵・産仔したことから、このニクバエは♀と判明しました。 
たまたま『昆虫考古学』という本を読んでいる最中だったので、ニクバエ♀が産仔する瞬間を初めて目の当たりにして感動しました。
ニクバエ科(flesh fly)腐肉食性 他のハエと異なり、卵を産まない。卵は生殖器官内にとどまり、幼齢1期の幼虫として産み出される。幼虫の大きさは3〜19mm。(V章:ハエが見ていた人の死ー葬送昆虫考古学の世界p114より引用)


スギ林の林床は晴れた昼間でもかなり薄暗く、少し離れた位置から望遠マクロで撮影中の私は、産仔されたニクバエの初齢幼虫がどこに行ったのか見失ってしまいました。 
私が目を離した隙にハネカクシやアリなど肉食性の昆虫にすぐ捕食されてしまったのかと思ったのですけど、撮れた動画を見返すと、ウジ虫は産仔直後に蠕動徘徊して軟便の中に自力で潜り込んでいました。 
その様子をじっくり撮影すべきだったのですが、巨大な卵に目が釘付けになっていた私は、現場でニクバエ初齢幼虫の動向に気づいていません。 

アナグマ軟便上を徘徊していたニクバエ♀が初回とは少し離れた地点に再び蛆虫(初齢幼虫)を産仔しました。(@0:40〜) 
2匹目のウジ虫も産仔直後に蠕動徘徊して獣糞の中に潜り込みました。 
産仔シーンを1.5倍に拡大してリプレイ。(@1:00〜)

次に私はカメラにマクロレンズを装着し、巨大な白い卵を接写してみました。 
この卵からニクバエの1齢幼虫がすぐに孵化してくると予想してその瞬間を待ち構えたのですけど、待てど暮せど変化がありません。 
どうやら、未受精卵だったようです。 
未受精卵に付着している白い膜のような物は、初齢幼虫が孵化した後の卵膜なのかな? 


【アフィリエイト】 
ハエ学: 多様な生活と謎を探る

15cm定規を並べて置く

2024/06/09

ホンドタヌキの糞を食べるモエギザトウムシ?

 

2023年9月上旬・午後12:40頃・晴れ 

平地のスギ防風林で風倒木の横にホンドタヌキNyctereutes viverrinus)が残した溜め糞場phを定点観察しています。 
この日はタヌキの新鮮な糞塊が追加されていました。 
丸呑みにした果実(液果)の種子が未消化のまま糞と一緒に大量に排泄されていました。 
なんとなくウワミズザクラの種子かな?と予想したのですが、真面目に糞分析をして種子散布を調べる余力がありません。 
久しぶりに大雨が降った後のスギ林内は蒸し暑いものの、食糞性の様々な虫たちが生き生きと活動していました。 

ザトウムシの仲間が林床を徘徊中に溜め糞場を横切るシーンは、これまで何度も見てきました。 
ところが今回見つけたザトウムシは、溜め糞上に居座って黒い糞塊に口を付けていました。 
おそらくモエギザトウムシLeiobunum japonicum)だと思うのですけど、どうでしょうか? 

ザトウムシが食糞するとは知らず、とても驚きました。 
獲物を体外消化するクモと違って、ザトウムシは固形物を咀嚼・嚥下して体内消化できることになります。
溜め糞場ph周辺の林床では、多数のモエギザトウムシ♀♂が配偶行動を盛んに繰り広げていました。(映像公開予定) 
どうやら彼らの繁殖期のようです。 
ザトウムシの食糞行動は繁殖期限定の食性なのでしょうか? 
鱗翅目のように、性成熟に必要なミネラル成分を汚物から摂取しているのかな? 
それとも、獣糞に群がる微小なダニなどを捕食しているのでしょうか? 

あいにくマクロレンズを持ってこなかったので、肝心の口器の動きを接写できませんでした。 
口元で触肢が動いたのは見えました。 
最長の第2歩脚をゆっくり動かして、触角のように辺りを探っています。 
私が下手に近づくと、モエギザトウムシは警戒して逃げてしまいます。 
仕方がないので、望遠マクロで撮影しました。 

ザトウムシの他には、ニクバエ、キンバエ、ワラジムシ、アリ、シデムシ幼虫などがタヌキの溜め糞場phに群がっていました。 
溜め糞上をモエギザトウムシが歩き始めると、飛び回るハエが細長い歩脚にぶつかりました。 
飛び回るキンバエが何度もぶつかってザトウムシを追い払ったようにも見えます。 
ハエの卵や幼虫(ウジ虫)がザトウムシに捕食されないように、ハエの成虫が守っている(ガード)しているとしたら大発見ですが、ただの偶然かな…?



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・鶴崎展巨『ザトウムシ』  ザトウムシ・ファン待望の書籍が発売予定です!(予約開始)

2024/05/16

タヌキの溜め糞を舐めながら翅紋を誇示するヒロクチバエ科Rivellia cestoventris

 

2023年8月上旬・午後12:20頃・晴れ 

平地のスギ防風林の獣道にホンドタヌキNyctereutes viverrinus)が残した溜め糞場wbc-1の定点観察に来てみると、久しぶりに新鮮な糞が追加されていました。 
獣糞には未消化のトウモロコシが大量に混じっています。 
常連の昆虫たちで賑わっていましたが、今まで見たことのない、カラフルで丸っこい微小なハエ2匹に注目しました。 
オレンジ色の体色で、腹部には黒い横縞模様があります。 
口吻を伸ばして獣糞から吸汁しながら、翅をリズミカルに開閉していました。
透明な翅には独特の斑紋があり、これを誇示しているようです(ディスプレイ行動?)。 
実は、同種と思われるハエが数百m離れた別の地点の溜め糞場phにも来ていて、気になっていました。 



マクロレンズを装着してじっくり接写したかったのですが、如何せんスギ林は暗過ぎます。 
仕方がないので、動画編集時に1.5倍拡大してリプレイしてみました。(@1:03〜) 

謎の小バエの正体を知りたくて、みんなで作る双翅目図鑑 画像一括閲覧ページで絵合わせすると、 どうやらヒロクチバエ科Rivellia cestoventris らしいと判明。 
和名はまだ付いていないようです。 
ちなみに、学名で肝心の種小名がR. cestoventirsと書いてあるのは誤植ではないでしょうか? 
英語版wikipediaでRivellia属の種名を列挙したページを参照すると、R. cestoventrisと書いてありました。 
難しい学名はみんな初出の情報源からコピペするようで、後発組の虫撮りブログなどで誤字誤植がどんどん広がってしまいます。 
まるでDNA複製酵素のエラーから突然変異が生じ、集団内に広がっていく様を連想します(ミームの一種?)。
ふつうは些細な誤植にいちいち目くじらを立てることは無いのですが、学名の誤植は1文字でも致命的(有害な変異)なので、誰かが気づいたらDNA修復酵素の役割を果たして訂正する必要があります。
ヒューマン・エラーやケアレスミスで「cestoventirs」と誤字しそうになったときに、AIが「もしかしてcestoventris?」と注意喚起のスペルチェック(サジェスチョン)してくれるようになると助かります。
どなたか出典の原著論文で学名の種小名を確認してもらえると助かります。 
BYUN, Hye-Woo, et al. A systematic study of Rivellia Robineau-Desvoidy in Korea, with emphasis on the species allied to Rivellia basilaris (Diptera: Platystomatidae). Journal of Asia-Pacific Entomology, 2001, 4.2: 105-113.
Google Scholarで検索すると、全文PDFをダウンロードするには有料でした。
しかし要旨を読むと、R. cestoventrisとしっかり書いてありました。
韓国の同じ研究グループによる続報が出ており、そちらは無料で全文PDFがダウンロード可能でした。
この論文でも種小名の表記はcestoventrisでしたので、間違いないでしょう。
BYUN, Hye‐Woo; HAN, Ho‐Yeon. Revised key and phylogenetic analysis of Korean Rivellia (Diptera: Platystomatidae), with redescriptions of two little known species. Entomological Research, 2004, 34.2: 83-90.


他にタヌキの溜め糞場wbc-1に集まっていた昆虫を列挙すると、オオヒラタシデムシNecrophila japonica)の成虫および幼虫、キンバエの一種、ニクバエの一種、ハネカクシの一種、などです。 


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2024/05/10

タヌキの溜め糞場で必死に配偶者ガードするオオヒラタシデムシ♂

 

2023年7月下旬・午後14:35頃・ 晴れ 

防風林でスギ倒木の横にホンドタヌキNyctereutes viverrinus)が残した溜め糞場phでオオヒラタシデムシNecrophila japonica)が三つ巴で組んずほぐれつしていました。 
どうやら、交尾中の♀♂ペアにライバル♂が横恋慕して♀を強奪しようとしているようです。 
横倒しになった♀♂ペアもマウントしているだけで交尾器は結合していません。 
交尾した後も♀が産卵するまで浮気しないように♂は配偶者ガードしているのでしょう。 

♀にマウントした♂が腹端を左右に激しく振っているのは、ライバル♂に対する威嚇牽制のつもりだと思うのですが、有効な反撃になっているとは思えません。 
腹端から何か刺激臭でも放出しているのかな? 
そんなことよりも早く(再び)♀と交尾して結合を続ければ、何よりも有効な浮気防止になると思うのですけど…。
溜め糞場で栄養を摂取して産卵したい♀にとっては迷惑なだけかもしれません。 

武器を持たないオオヒラタシデムシ♂同士は♀を巡る闘争に一体どうやって決着をつけるのでしょう?
早い者勝ちで交尾するしかない気がします。 
他に急ぐ用事のあった私は、この3匹の成り行きを見届ける余裕がありませんでした。

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2024/05/02

ホンドタヌキの溜め糞場に誘引され新鮮な糞を食すオオヒラタシデムシ

 

2023年8月上旬・午後12:00頃・晴れ 

防風林のスギ倒木横にあるホンドタヌキNyctereutes viverrinus)の溜め糞場phを定点観察しています。 
スギの落ち葉が堆積した林床を1匹のオオヒラタシデムシNecrophila japonica)成虫が溜め糞場phに向かって歩いて来ました。 
新鮮な糞便臭を触角で嗅ぎ取って誘引されたのでしょう。 
 溜め糞上で獲物を待ち伏せしていた肉食性のサビハネカクシOntholestes gracilis)は慌てて逃げ、糞塊の小穴に潜り込みました。 
頭かくして尻隠さず。 
体が大きくて硬い鞘翅で守られたオオヒラタシデムシは、サビハネカクシが狩る対象にはならないようです。

溜め糞の縁に辿り着くと、オオヒラタシデムシは直ちに新鮮な糞を食べ始めました。 
咀嚼する口器の動きがしっかり見えます。 
いつも背側から見下ろすように撮影していたので、食糞シーンは初見です。 

オオヒラタシデムシの体表に付着した赤ダニ(種名不詳)が何匹も動き回っています。 
このダニはシデムシに寄生しているのではなく、ただ便乗(ヒッチハイク)しているだけです。 
…と言われているのですが、溜め糞や死骸などの新天地に辿り着いた後で赤ダニがシデムシの体から降りるシーンを私は未だ見たことがありません。 


関連記事(7年前の撮影)▶ オオヒラタシデムシに便乗するダニ 


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以下の写真は、同じ日に撮った溜め糞場phの様子です。
動画撮影を優先してから写真撮影のために近づくと、溜め糞に集まっていた虫がすべて逃げてしまいました。

2024/04/28

ホンドタヌキの溜め糞場に集まるオオヒラタシデムシとクロボシヒラタシデムシについて

 

2023年7月中旬・午後12:30頃・晴れ 

ホンドタヌキNyctereutes viverrinus)がスギ防風林の倒木横に残した溜め糞場phを定点観察しています。 
溜め糞に集まるシデムシ類に変化がありました。 



それまでは赤黒のクロボシヒラタシデムシOiceoptoma nigropunctatum)の成虫および幼虫だけだったのに、真っ黒なオオヒラタシデムシNecrophila japonica)の成虫も多数来るようになりました。 
ペアが成立して交尾しているオオヒラタシデムシ♀♂も居ます。
並んで糞食していたシデムシ幼虫同士の小競り合い(闘争・逃走シーン)が撮れていて、興味深く思いました。(@0:20〜) 
餌は豊富にありますから、占有行動の必要はないと思っていました。(金持ち喧嘩せず) 

甲虫(鞘翅目)では他に、肉食性のサビハネカクシOntholestes gracilis)も1匹だけ、下に掲載した写真に写っています。 

次は双翅目について。
メタリックグリーンに輝く常連のキンバエ(種名不詳)とは別に、見慣れない微小でカラフルなハエが溜め糞上で翅紋を誇示していました。 
この気になるハエは別の溜め糞場wbc-1にも来ていたので、改めて別の記事で紹介することにします。



昆虫以外では、オカダンゴムシArmadillidium vulgare)およびワラジムシPorcellio scaber)の等脚目が溜め糞に群がっています。 


【考察】 
私のフィールドで溜め糞場に集まるシデムシ類の季節消長を定量的にきっちり調べた訳ではありませんが、どの溜め糞場でも毎年春になって真っ先に現れるのがクロボシヒラタシデムシで、オオヒラタシデムシは遅れてくるという印象があります。 
まるで登場役者が交代するように、クロボシヒラタシデムシが居なくなった後もオオヒラタシデムシがしばらく残ります。 
つまり、この2種は出現季節を少しずらすことで、溜め糞場という同じニッチに棲み分けをしているようです。

クロボシヒラタシデムシは成虫越冬で、いち早く休眠越冬から覚めるようです。 
それに対してオオヒラタシデムシの成虫は夏になってようやく羽化してくるのか?と推測したのですが、wikipediaによるとオオヒラタシデムシも成虫越冬らしい。 
となると、オオヒラタシデムシ成虫が遅れて溜め糞場に出現する理由が分かりません。 
・まさか夏になるまで休眠越冬から覚めないのでしょうか?
雪国では幼虫または蛹で越冬するのではないか?と定説を疑いたくなります。 
もしかするとオオヒラタシデムシは寒さに弱くて、雪国では越冬に成功する成虫の数がきわめて少ないのでしょうか?
・今のところ私は目視で溜め糞場のシデムシ類を探しているだけです。
したがって、もしもオオヒラタシデムシが獣糞の中に潜り込んでいるとしたら、見えてないだけという可能性があります。
・あるいは越冬直後のオオヒラタシデムシは、獣糞よりも死肉への嗜好性が高いのかもしれません。
腐肉を使ったトラップを仕掛けてみて、オオヒラタシデムシの成虫が春から現れるかどうか、確かめてみたいものです。

シデムシ類の幼虫は三葉虫みたいな形態をしているのですが、私は種類の見分け方を知りません。 
シデムシ類の幼虫を飼育してみることが謎解きのヒントになるかもしれません。

2024/04/23

痛々しく3本足で跛行するホンドタヌキ♂がスギ倒木横の溜め糞場で排便【トレイルカメラ:暗視映像】

 



2023年8月上旬〜中旬 

スギ防風林で立木の根元と倒木の間に残されたホンドタヌキNyctereutes viverrinus)の溜め糞場phを自動センサーカメラで監視しています。 
右後脚を怪我して跛行する♂個体の登場シーンをまとめてみました。 


シーン0:8/4・午後12:07・晴れ(@0:00〜) 
明るい昼間にたまたま撮れた現場の様子です。 
真夏の林床はシダ植物があちこちに繁茂しています。 
カメラの設置アングルをもっと下に向けて、肝心の溜め糞場phを画面の中央に収めるるべきでしたね。 
ちなみに、この倒木はヒトが間伐したのではなく、低い位置で幹がバキッと折れたまま放置されていました。 


シーン1:8/6・午前3:30(@0:03〜) 
深夜未明に跛行タヌキが右からやって来ました。 
足に障害があるのにスギ倒木を乗り越えてきたとは思えませんから(※)、おそらく倒木の下の隙間をくぐって来たのではないかと思います。 
※この推測は後にくつがえされました。 

痛々しく跛行しながら溜め糞場phに辿り着くと、南南西を向いて排便しました。 
そのまま手前に立ち去りました。 


シーン2:8/8・午後21:23(@0:53〜) 
2日後の晩にも同一個体が溜め糞場phにやって来て、スギ立木の下に左を向いて佇んでいました。 
用を足す前に体の向きを変えると、股間にぶら下がっている睾丸が目立ちます。 
信楽焼のタヌキの置物は金玉がデフォルメされてますけど、実物も確かに大きいようです。
たんたんタヌキの金玉は風もないのにブーラブラ♪ 
南を向いて排便すると、そのまま手前に立ち去りました。 



シーン3:8/8・午後23:22(@1:53〜) 
約2時間後の深夜に、新鮮な大便が追加されたばかりの溜め糞場phをよく見ると、多数の糞虫が蠢いていました。 
糞便臭で誘引された黒い糞虫(種名不詳)がスギ林床を歩き、溜め糞に向かっています。 
5倍速の早回し映像でご覧ください。 
ところで、スギの根本で幹を下る虫の正体は何でしょうか? 

今回なぜトレイルカメラが起動したのか不明です。 
変温動物の昆虫がいくら活発に動き回っても、トレイルカメラのセンサーは反応しないはずです。 


シーン4:8/10・午後20:36・気温(@2:05〜) 
トレイルカメラの起動が遅れがちですけど、画面の奥からやって来たのかな?  
溜め糞場phで匂いを嗅ぎ回るだけで、今回は排便しなかったようです。 
方向転換した際に、股間に大きな睾丸を認めました。 

今回は珍しく奥に立ち去ると、大きなシダの葉に隠れてすぐに姿が見えなくなりました。 
画面の上端でスギの倒木を苦労して飛び越え、右に向かったようです。 
よく見えなかったのが残念です。
3本足で跛行しながらもなんとか倒木を飛び越えられるとは驚きました。 


シーン5:8/13・午後19:18(@2:40〜)
3日後の晩は小雨がぱらぱらと降っていました。 
跛行しながら右から来たタヌキがスギの倒木を乗り越えて、溜め糞場phへ到着しました。 
3本足でも倒木を飛び越えられることが、これで確実になりました。 
排便したかどうか不明ですが、身震いしてから手前に立ち去りました。 

※ 動画の一部は編集時に自動色調補正を施しています。 


【考察】
この個体は右の後足を地面に付けないように上げて歩くので、足を引きずるのではなく3本足でヒョコヒョコと跛行します。 
罠にかかったり交通事故に遭った可能性もありますけど、夜の獣道でノイバラの棘を踏んでしまい肉球に刺さって化膿しているのではないか?と私は推測しています。 

あまりにも分かりやすい特徴なので、溜め糞場phに通って来るタヌキの中でこの個体だけ確実に識別することが可能です。 
素人目には若い個体のような気がするのですけど、夏毛で痩せて見えるだけかもしれません。 
いつ見ても尻尾が力なく垂れているのは、怪我のせいで自信を失っているのかな? (負け犬の「垂れ尾」状態) 
以前撮った排尿姿勢から、♂であることも判明しています。 


2つの撮影地点は数百m離れているのですが、この個体は跛行しながらも他の健常個体と遜色なく広い行動圏を活動できているようです。 
タヌキは獲物を狩る肉食獣ではなく雑食性ですから、足が多少不自由でもなんとか生きていけるようです。 
ニホンオオカミが絶滅して野犬も駆除された現代の日本では、逃げ足の遅いタヌキを捕食する天敵も居ません。 
足の裏に棘が刺さっただけの負傷ならいずれ回復しそうですけど、もし障害が残れば、縄張りや異性♀を巡って健常個体♂と闘争になったときには不利になりそうです。 


つづく→



2024/04/12

ホンドタヌキの溜め糞場に集まるヒゲジロハサミムシ

 

2023年7月下旬・午後12:30頃・晴れ(酷暑) 

東北地方南部に平年より2日早く梅雨明けが宣言されました。 
スギ防風林に残されたホンドタヌキNyctereutes viverrinus)の溜め糞場wbc-1に定点観察に来ました。 
新鮮な糞は追加されていなかったものの、珍客を見つけました。 
溜め糞場でハサミムシの仲間を見つけたのは初めてです。 
糞食性ではなく、肉食性なのでしょう。 

コバネハサミムシ(別名キアシハサミムシ;Euborellia plebeja)と迷ったのですが、ヒゲジロハサミムシAnisolabella marginalis)だと思います。 
もし間違っていたら、ご指摘下さい。 
ヒゲジロハサミムシはハサミの湾曲に性差があまり無いらしく、素人には性別を見分けられません。 
しっかり同定するために、採集するべきでした。 
※ 学名は「Earwigs of Japan」サイトを参照しました。 

溜め糞の上を徘徊しても、枯れたスギ落葉や糞塊の下にすぐ潜り込んでしまいます。 
複数個体を撮影。
小さな糞塊の下に潜り込んだときには、反対側から別個体の尾端が覗いていました。(撮影中は気づかず) 
もしかすると、子育て中の巣があるのかもしれません。 
溜め糞をそっと掘り返したら、育児中の♀を観察できたかもしれません。 
撮影時はそこまで頭が回らず、千載一遇のチャンスを逃してしまいました。 
溜め糞上でヒゲジロハサミムシの成虫とやや白っぽい幼虫が遭遇したようです。(@2:37〜)

ハサミムシの生態も興味深いので、いつか飼育してじっくり観察してみたいものです。

他にはシデムシの仲間(クロボシヒラタシデムシ?)の幼虫、ハエ類、微小なアカアリ(種名不詳)、ワラジムシなどが溜め糞wbc-1に来ていました。 


関連記事(3ヶ月後の撮影)▶ アナグマの溜め糞場に来ていたハサミムシ


【アフィリエイト】 

溜め糞から芽生えた実生は何だろうか?(タヌキによる種子散布)
林床に蔓延り始めた蔓植物はキカラスウリか?

2024/04/09

タヌキの溜め糞場から切り取った糞粒を後ろ向きで転がして巣穴に運ぶエンマコガネ?【名前を教えて】小型のフンコロガシ

 

2023年7月中旬・午後12:40頃・晴れ 

スギ防風林の林床に残されたホンドタヌキNyctereutes viverrinus)の溜め糞場wbcを定点観察しています。 
初めは大きな溜め糞1つだけだったのが、互いに2〜3m離れた3つの溜め糞(#1〜#3)に分散しました。 
最大だった溜め糞#1には新鮮な糞が追加されてないようです。 
#3は糞虫らの活躍によって分解が進み、消滅しかけています。 

現役で使われている溜め糞#2に注目しました。 
最近排泄された下痢便が乾きかけています。
溜め糞の中央部から白いカビ(ケカビ?)が生えてきました。 
ちなみに、近くにあるアナグマの溜め糞場stmpからも白カビが盛大に生えてきました。 (※ 追記参照)
スギ林床にクモの不規則網がびっしり密に張り巡らされたのかと思ったぐらいです。
カビによって獣糞の分解が進むのは構わないのですが、カビ臭を嫌ってタヌキやアナグマが排便しに来なくなるのではないかと心配です。 
この溜め糞場wbc-2をトレイルカメラ(旧機種)で監視してみたのですが、何も写らなかったのであっさり諦めて撤去しました。 

クロアリ(種名不詳)や肉食性と思われる小型のハネカクシ(種名不詳)が多数、溜め糞wbc-2の上を徘徊しています。 
その中で、真っ黒な丸っこい小さな甲虫が気になりました。 
タヌキの真っ黒な糞塊から小さな欠片を切り取ると、後ろ向きに転がして(引きずって)運び始めました。 
糞塊の中央にある小さな穴の中に頭を先にして潜り込みました。 
おそらく、巣穴があるのでしょう。 
しばらく待っても、巣穴の外にはもう出てこなくなりました。 
運んできた糞粒は幼虫または自身の餌として巣内に貯食したというよりも、巣口を塞ぐために使われたようにも見えましたが、1回きりの観察では心元ありません。
巣口を塞ぐのならわざわざ遠くから巣材を運んでこなくても、近くから適当に掻き寄せれば済むはずです。
肉食性のハネカクシが近づいてきたので慌てて糞粒を巣口に捨てて隠れ家へ逃げ込んだのかもしれません。

初めて見る糞虫で興奮しました。
これもフンコロガシの一種と呼べるでしょうか? 
日本国内には、いわゆるフンコロガシはほとんど生息していないことになっています。 
『ファーブル昆虫記』でお馴染みのタマオシコガネのように逆立ちしながら後脚で糞玉を押して転がすのではなく、この糞虫は前脚を使って糞粒を後ろ向きに転がして(引きずって)運んでいました。 
同定のために謎の糞虫を採集すべきでしたが、エンマコガネの一種ですかね? 
まったくの当てずっぽうなので、もし間違っていたらご指摘ください。 
来季からは、溜め糞を見て回る際には糞虫の採集道具を常に持ち歩くことにします。
エンマコガネ類は糞の下に巣穴を掘り、その中に糞を運び込み、幼虫一匹分の糞を小部屋に詰め、卵を産む。(wikipedia:糞虫より引用)


※ スギ植林地(防風林)の林床が昼間でもあまりにも暗いので、動画編集時に自動色調補正を施して強引に明るく加工しています。 
画質がやや粗いのはご了承ください。 
たまに風が吹いて木漏れ日が落ちると、眩しいぐらいに明るくなります。 
問題のフンコロガシが白っぽく見えて不自然かもしれませんが、実際はやや光沢のある黒色でした。 


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下端に小型の糞虫が写っている。
上下逆のアングルで撮り直した。溜め糞に白カビが発生
タヌキ溜め糞場wbc-2の全景


※【追記】
2023年7月下旬

ニホンアナグマがときどき通う溜め糞場stmpに生えた白カビの写真を撮りました。
スギ落葉層の下にびっしりと密生しています。
素人目にはケカビとは違う印象を受けました。
タヌキの溜め糞場wbcから約5mしか離れていません。




2024/03/26

タヌキの溜め糞場で狩ったキンバエを隠れ家に運んでから捕食するサビハネカクシ

 

2023年7月上旬・午後14:00頃・晴れ 

里山のスギ林道でホンドタヌキNyctereutes viverrinus)が残した溜め糞場sを定点観察しています。 
前年(2022年)にはトレイルカメラを設置して監視したのですが、今季はカメラの台数が足りず、他所に回しています。 

この日は比較的新鮮な糞が残されていました。 
未消化の種子が糞にたくさん含まれています。 
この時期のタヌキはヤマザクラやウワミズザクラの果実を食べたのではないかと予想しているのですけど、いつか真面目に糞分析をしないといけません。 

糞塊に多数群がっていたハエはキンバエの仲間(種名不詳)がメインで、他にはニクバエの仲間(種名不詳)およびキバネクロバエMesembrina resplendens)が来ていました。 
甲虫ではクロボシヒラタシデムシOiceoptoma nigropunctatum)の成虫、サビハネカクシOntholestes gracilis)および謎の糞虫(種名不詳)が集まっていました。 

複数いたサビハネカクシの中で一匹に注目してみましょう。
獣糞から吸汁しているキンバエ類を追い回すものの、ハエは素早く飛んで逃げてしまいます。 
サビハネカクシが狙うのはハエ類だけで、硬い鞘翅で身を守る甲虫のクロボシヒラタシデムシを襲うことはありません。 
失敗続きの狩りを1/5倍速のスローモーションでリプレイ。 
最初の例ではハエに襲いかかるのではなく、なぜか尻尾を振ってハエを追い払っていました。 
微小なアリ(種名不詳)にも襲いかかったものの、小さ過ぎて逃げられました。(邪魔なアリを狩場から追い払ったのかも知れません。) 
しばらくすると、サビハネカクシは狩りを諦めて糞塊の縁の下に潜り込みました。 

次は何を撮ろうかと私が目移りしている間に、別個体のサビハネカクシが溜め糞上で狩りに成功しました! 
1/5倍速のスローモーションでリプレイしてみると、待ち伏せ猟ではなく、キンバエの斜め後ろから忍び寄り、襲いかかって仕留めていました。 
油断していたキンバエは激しく羽ばたいて逃げようとするものの、サビハネカクシは獲物の左翅の根元付近にしっかり噛み付いていました。 
溜め糞場で捕食者による殺戮が行われても、周囲の食糞性昆虫たちは全く無関心でした。 

胸部を噛み砕かれた獲物がおとなしくなると(絶命)、サビハネカクシは急に方向転換して、獲物を咥えたまま走り出しました。 
ライバル(捕食者)の多い溜め糞場では獲物を横取りされるリスクがありますから、急いで離脱したのでしょう。 
ときどき立ち止まると、少し上に曲げた尻尾を嬉しそうにグルグル回しています。 
スギ林床の落葉落枝をどんどん乗り越えて進んで行きます。 
ようやくスギ落ち葉の上で落ち着くと、落ち着いて捕食を開始。 
翅を広げたまま動かなくなったキンバエを仰向けにして胸部を食べています。 
肉食性のハネカクシは、獲物の体液を吸汁するのではなく、固形物として肉を噛み砕いて飲み込むのだと思うのですけど、じっくり観察できませんでした。 
タヌキの溜め糞に集まる他の虫に気を取られて私がちょっと目を離したら見失ってしまったたのです。 
スギ落ち葉の上で静止すると、サビハネカクシは保護色で全く目立ちません。 
完食するまで見届けるべきでしたね。 

サビハネカクシが狩りに成功して獲物を捕食したシーンは、これが初見です。 
念願だった狩りのシーンがようやく撮れて感無量。 
狩りの直後に離れたところまで獲物を持ち去るとは知りませんでした。 
貯食したり求愛給餌したら面白いのにな…と期待したのですけど、獲物を自分で食べました。 


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