2023年8月上旬・午後12:20頃・晴れ
平地のスギ防風林の獣道にホンドタヌキ(Nyctereutes viverrinus)が残した溜め糞場wbc-1の定点観察に来てみると、久しぶりに新鮮な糞が追加されていました。
獣糞には未消化のトウモロコシが大量に混じっています。
常連の昆虫たちで賑わっていましたが、今まで見たことのない、カラフルで丸っこい微小なハエ2匹に注目しました。
オレンジ色の体色で、腹部には黒い横縞模様があります。
口吻を伸ばして獣糞から吸汁しながら、翅をリズミカルに開閉していました。
透明な翅には独特の斑紋があり、これを誇示しているようです(ディスプレイ行動?)。
実は、同種と思われるハエが数百m離れた別の地点の溜め糞場phにも来ていて、気になっていました。
関連記事(7月中旬の撮影)▶ ホンドタヌキの溜め糞場に集まるオオヒラタシデムシとクロボシヒラタシデムシについて
マクロレンズを装着してじっくり接写したかったのですが、如何せんスギ林は暗過ぎます。
仕方がないので、動画編集時に1.5倍拡大してリプレイしてみました。(@1:03〜)
謎の小バエの正体を知りたくて、みんなで作る双翅目図鑑 画像一括閲覧ページで絵合わせすると、 どうやらヒロクチバエ科Rivellia cestoventris らしいと判明。
和名はまだ付いていないようです。
ちなみに、学名で肝心の種小名がR. cestoventirsと書いてあるのは誤植ではないでしょうか?
英語版wikipediaでRivellia属の種名を列挙したページを参照すると、R. cestoventrisと書いてありました。
難しい学名はみんな初出の情報源からコピペするようで、後発組の虫撮りブログなどで誤字誤植がどんどん広がってしまいます。
まるでDNA複製酵素のエラーから突然変異が生じ、集団内に広がっていく様を連想します(ミームの一種?)。
ふつうは些細な誤植にいちいち目くじらを立てることは無いのですが、学名の誤植は1文字でも致命的(有害な変異)なので、誰かが気づいたらDNA修復酵素の役割を果たして訂正する必要があります。
ヒューマン・エラーやケアレスミスで「cestoventirs」と誤字しそうになったときに、AIが「もしかしてcestoventris?」と注意喚起のスペルチェック(サジェスチョン)してくれるようになると助かります。
BYUN, Hye-Woo, et al. A systematic study of Rivellia Robineau-Desvoidy in Korea, with emphasis on the species allied to Rivellia basilaris (Diptera: Platystomatidae). Journal of Asia-Pacific Entomology, 2001, 4.2: 105-113.
Google Scholarで検索すると、全文PDFをダウンロードするには有料でした。
しかし要旨を読むと、R. cestoventrisとしっかり書いてありました。
韓国の同じ研究グループによる続報が出ており、そちらは無料で全文PDFがダウンロード可能でした。
この論文でも種小名の表記はcestoventrisでしたので、間違いないでしょう。
BYUN, Hye‐Woo; HAN, Ho‐Yeon. Revised key and phylogenetic analysis of Korean Rivellia (Diptera: Platystomatidae), with redescriptions of two little known species. Entomological Research, 2004, 34.2: 83-90.
他にタヌキの溜め糞場wbc-1に集まっていた昆虫を列挙すると、オオヒラタシデムシ(Necrophila japonica)の成虫および幼虫、キンバエの一種、ニクバエの一種、ハネカクシの一種、などです。
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