2011/03/11
ニセギンボシモトキヒメハマキ(蛾)
2008年6月中旬
小さいながら実に美しい紋様の蛾。
ニセギンボシモトキヒメハマキ(Pseudohedya plumbosana)と虫我像掲示板にて教えてもらいました。
巻尺で採寸(前翅長10mm)。
路上のホオジロ♂(野鳥)
2008年6月中旬
最近覚えた身近な野鳥ホオジロ♂(Emberiza cioides)。
路上に下りたのが珍しいと思い、何をするのか草葉の陰から見守りました。
丁度ブラインドになって無警戒だったようです。
しかし望遠のAFが効き難い...。
痺れを切らしてカメラをそっと差し上げたら感づかれました。
アカヘリサシガメ
2008年6月中旬
アカヘリサシガメ(Rhynocoris ornatus)が草むらを歩き回っています。
すごい派手な警戒色。
サシガメの捕食シーンは目撃したことがありません。
いざとなったら素早く動くのだろうか?
※ 後日、獲物から吸汁中の個体を見つけました。
しかし狩りの瞬間は見逃しました。
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シダの葉で休むシオヤトンボ♂
タケウチトゲアワフキ
2008年6月中旬
初めて見る虫です。
シナノキの枝で発見しました。
うろ覚えのツノゼミが一瞬頭をよぎりましたが、タケウチトゲアワフキ(Machaerota takeuchii)だと教えてもらいました。
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ヒミズの路上死骸とキンバエ
2008年6月中旬
林縁の路上で動物の死骸を発見。
一見モグラに似てますが鼻が尖り前脚がシャベル状に発達していないことからヒミズ(Urotrichus talpoides)だと思います。
(もし間違っていたら御指摘下さい。ヒメヒミズは高山にしか分布しないらしい。)半地中生活者で日光の当たる所には出てこないらしい(和名の由来は「日見ず」)。
ネズミと異なり外耳(耳介)もありません。
死体掃除屋の軍団は金蝿(ミドリキンバエ?/キンバエ?)しか来ていませんでした。
産卵中なのかな?
先日、山中で見つけた野ネズミの死骸にはヨツボシモンシデムシ成虫が下に潜り込んでいた(映像なし)のを思い出して、これも引っ繰り返してみました。
しかし腹側には何も見つかりません。
下が土ではなくて舗装されている点が影響しているのかもしれません。
目立った外傷は認められず。
「死んだヒミズは臭いが強く、死骸を食べる動物は少ないといわれる」らしいが、死臭も特に感じませんでした。
よほど新鮮な死体だったのだろうか。
ただの猟奇趣味と誤解されると困るので、参考図書を上げておきます。
その気になれば路上の死体も自然観察の立派な材料です。
余裕があればいつか骨格標本作りにも挑戦してみたいものです。
野外に長期間放置して死骸がスカベンジャーの活動で土に帰る様子を微速度撮影(timelapse)で記録するのもやってみたい課題です。
【参考】
『僕らが死体を拾うわけ:僕と僕らの博物誌』どうぶつ社・盛口満
『死物学の観察ノート:身近な哺乳類のプロファイリング 』PHP新書・川口敏
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屍肉食,
哺乳類
モモチョッキリの飛び立ち
2008年6月中旬
林縁にて発見。
赤紫の金属光沢が美しい。
モモチョッキリ(Rhynchites heros)かもしれないと教えてもらいました。
宝石に見とれているとフキの葉から飛び立ちました。
♀は果樹の実に産卵して切り落とす害虫らしい。
2011/03/10
ホオジロ♂のさえずり♪
2008年6月中旬
農耕地の電線にホオジロ♂(Emberiza cioides)が一羽止まって頻りにさえずっていました。
図鑑に書いてある聞きなしとは違うようですけど、地域差(方言)なのでしょうか?
歌がなかなか終わらないので後半30秒は手持ちカメラを一脚固定に切り替えて撮影。
ハバチの交尾と捕食【名前を教えて】
2008年6月中旬
山中のイタドリの葉上で交尾中の蜂を発見。
ハバチの仲間(種名不詳)と虫@ふたば掲示板にて教えてもらいました。
一匹は何か獲物を捕食中です。
幼虫期は草食なのに対して、成虫は基本的に肉食らしい(♀が卵巣を発育させるため)。※
獲物は残骸から小型のヒメバチやコマユバチらしいとのことです。
シリアゲムシやオドリバエの求愛給餌を連想しましたが、交尾に至る過程を見ていないので分かりません。
体表に赤いタカラダニが寄生しています。
風でぶれないように左手で葉先を摘みながら撮りました。
※ 平凡社『日本動物大百科10昆虫Ⅲ』p11より
ハバチ類の成虫には昆虫を食べるものもいる。
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配偶行動,
捕食
食事中のワカバグモ♂(蜘蛛)
2008年6月中旬
ワカバグモ♂(Oxytate striatipes)が捕食していました。
どうやら獲物はハチの仲間のようです。
風で揺れるのでススキの葉先を摘んでマクロ動画撮影。
本種♂は成熟すると褐色を帯びるのが特徴です(♀は名前の通り緑色)。
ミバエの手旗信号
2008年6月中旬
フキの葉に居た緑目をしたミバエ?の一種(ショウジョウバエ? 種名不詳)です。
翅の紋様と動きが面白い。
羽で何かシグナルを送っているのか思わせぶりな行動です。
このまま待てばもう一匹やってきて求愛・交尾が始まるのではないかと期待しました。
しかし残念ながら横を車が通り過ぎて逃げられました...。
とりあえず採集すればよかったかな?
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木の上を歩くエサキモンキツノカメムシ
2008年6月中旬
雑木林で見つけたエサキモンキツノカメムシ(Sastragala esakii)。
ヤマウルシから隣のコナラの枝に飛んで移りました。
残念ながら飛翔シーンは撮り損ねました。
本種♀の有名な母性行動をいつか観察してみたいものです(産卵後の卵や孵化後の幼虫を保護する)。
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集団で生きた芋虫を狩るアリ
2008年6月中旬
この緑の芋虫はアオバハガタヨトウ(Antivaleria viridimacula)という蛾の幼虫と教えて頂きました。
後足(腹脚)の数が2対ならウワバの仲間、4対ならヨトウガの仲間(ヨトウムシ)だそうです。
アリの種名は分かりません。
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ハチ・アリ(膜翅目)
イチモンジチョウの交通事故?
2008年6月中旬
歩道に居たイチモンジチョウ(Limenitis camilla)の様子がどうもおかしい。
翅を立てて休んでいるのですが、横を通り過ぎる車の風で横倒しになります。
苦労して起き上がりぐるぐる歩き回ります。
平衡感覚が損傷している印象。
原因は想像するしかありませんが、飛んでいる間に走行中の車と衝突してショック状態なのでしょうか。
【追記】
『チョウのはなしI』p122-123(第17章:チョウの交通事故死)によると、
モンシロチョウやスジグロシロチョウはどこにでもいるチョウですが、交通事故にあったという現場をあまり見ておりません。これに対してその割合が多いのが、タテハチョウ科に属する種です。タテハチョウ科の種は一般に飛行が速く、災難から避けられると思われがちなのに、これは予想外の結果でした。
(中略)
(タテハチョウ科の)オオイチモンジもホシミスジも、飛びかたに一定のリズムがあります。つまり、はばたきと滑空を交互に繰り返し、直線的に飛行します。こんな飛行習性が交通事故に遭遇しやすいのでしょうか。これに対してモンシロチョウやスジグロシロチョウは、飛びかたはそんなに速くなくても、ひらひら、またはジグザグという感じで左右前後に飛び回ります。これが難をのがれる原因になっているのかも知れません。
エゾホソガガンボ♀♂の交尾
2008年6月中旬
ガガンボ(種名不詳)が交尾中でした。
【追記】
このガガンボの種名が長年分からず、気になっていました。
『ハエハンドブック』でガガンボが載ったページを眺めていたら、素人目にはキイロホソガガンボという種類が似ていました。
ただし、
Nephrotoma属は国内で約40種が記録されており、正確な同定には交尾器の特徴などを見る必要がある。(p33より引用)
とのことでした。
ネット検索で調べてみると、中胸背に黒い縦帯があることから、どうやら同属のエゾホソガガンボ(Nephrotoma cornicina)が有望な候補だと分かりました。
腹部先端が黒いかどうかは、交尾中のため不明です。
長年の懸案事項が解決(大きく前進)して、すっきりしました。
素人にとって調べ物をする「とっかかり」があるのと無いのでは大違いなので、掲載種数が少なくて不完全でも『ハエハンドブック』には感謝しています。
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配偶行動
キアシナガバチ幼虫の採集
2008年7月下旬
キアシナガバチ(Polistes rothneyi)創設女王がオオヒメグモに殺されてから25日後。
給餌を打ち切られた幼虫の飢餓耐性は驚異的です。
採集した巣aを記念に保存するには、中の幼虫が腐り始める前に取り除く必要があります。
巣房数35室から幼虫21匹を摘出する作業を3倍速再生でご覧下さい。
余力があれば人手で給餌して成虫まで育つか試したかったです※。
※ 飼育経験者によると、蜂の子はキャットフードなども食べてくれるそうです。
あるいは未経験ですけど、摘出した蜂の子を調理して食べてみるとか。
今回はちょっとそんな気にはなれませんでした。
シリーズ完。
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ハチ・アリ(膜翅目),
発生
孤児となったキアシナガバチ幼虫
2008年7月中旬
キアシナガバチ(Polistes rothneyi)創設女王aが死んで2週間後。
彼女が軒下に並べて作っていた複数の初期巣の一つ(巣b:育房11室)の様子です。
アシナガバチの幼虫は巣房内に固定されており、自力で歩き回ったり採餌したりできません。
そのため世話をしてくれる成虫がいなければ餓死する他ありません。
営巣地を探している他の女王(巣の逃去移動はよくある)がこの巣を乗っ取り継母として育てたりしないかなと期待して(社会寄生)、しばらく静観していたが駄目でした。
天敵のアリやヒメスズメバチに捕食・破壊されそうなので、諦めてこの巣bを採集しました。
せめてワーカーが一匹でも羽化してくれれば、死んだ女王の代わりに育児し自ら産卵を始める可能性もあったはずです。
しかし繭が一つも出来ないうちに給餌を打ち切られてしまったのです。
無念。
つづく→シリーズ#17
【追記】
『雄太昆虫記 ぼくのアシナガバチ研究所日記』p15によれば、継母に育てさせることが可能らしい。
強風で落ちてしまったコアシナガバチの巣を同種の別の創設女王の巣に瞬間接着剤で合体させると、受け入れて幼虫の給餌や巣の修復を行うそうです。
更に驚くことに、異種のアシナガバチの幼虫でさえも女王蜂は受け入れて育児するそうです。(巣を強制的に合体させることでセグロアシナガバチの孤児幼虫をキアシナガバチ女王に育てさせた。p109)
小学生の柔軟な発想力と実行力に感服です。
キアシナガバチ創設女王がオオヒメグモ(蜘蛛)に捕まる
2008年7月上旬
軒下に営巣したキアシナガバチ(Polistes rothneyi)初期巣群の定点観察。
この日は巣の下でいくら待っても女王が不在でした。
嫌な予感がして辺りを探すと、同じ軒下にオオヒメグモ♀(Parasteatoda tepidariorum)が張った不規則網に女王がぶら下がり非業の死を遂げていました。
外役から帰巣する度に暫く軒下でうろうろ飛び回っていたので、遂に網に絡まってしまったのでしょう。
回収した死骸は腹端から毒針が伸びていました。
個体標識してこの女王に情が移っていたのでショック…。
こんな形(バッド・エンディング)で長期観察が中断するのは残念ですが、これも自然界の厳しい生存競争。
単独営巣期の女王の暮らしは危険が一杯です。
初ワーカーが羽化するまでの死亡率が最も高いらしい。
「自分の巣にちゃんと帰るまでが遠足です。」さて、巣に残された子供達(みなしごハッチ)の運命は如何に。
オオヒメグモはさすが全世界で繁栄しているクモだけあって、その網は地味ながら恐るべき捕獲性能を誇ります。
アシナガバチのパワフルな羽ばたきでも強力な粘着力から逃れられなかったようです。
私も油断していました。
蜂の観察のために軒下のクモの網を払っておくべきでした。
つづく→シリーズ#16
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クモ・ザトウムシ,
ハチ・アリ(膜翅目),
捕食
キアシナガバチ創設女王による給餌
2008年7月上旬・気温28℃
軒下に並んで営巣したキアシナガバチ(Polistes rothneyi)の定点観察。
初期巣a(育房数33室)の幼虫に狩りから戻った女王が給餌していました。
団子状に丸めた獲物の肉をよく咀嚼してから口移しで一匹ずつ与えて回ります。
よく見ると女王の胸部背中の黄色い小楯板に黒い筆ペンで引掻いたような印が書かれています(個体識別のマーキング)。
これがこの女王aの在りし日の姿を見た最後でした。
まさか「あんなこと」になるとは…。
つづく→シリーズ#15
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ハチ・アリ(膜翅目),
給餌
複数の巣を同時に営むキアシナガバチ創設女王
2008年6月下旬
今度は初期巣a(巣房数27室)の隣に作られた巣b(10室)にキアシナガバチ(Polistes rothneyi)創設女王が帰巣しました。
持ち帰った肉団子を幼虫に給餌しています。
背中(胸部小楯板)に先日施した黒の筆ペンによるマーキングが認められたので、女王aと判明しました。
(関連記事はこちら→「キアシナガバチ創設女王の個体標識」)
遂に同一個体説(女王が一匹で複数の巣を営んでいる)を証明する動かぬ証拠を掴みました!(動く映像ですけど)
軒下は見た目が同じ区画の繰り返し構造になっているため、蜂にとっては見分け難い(覚え難い)らしく、帰巣に迷う姿をよく見かけました。
(関連記事はこちら→「キアシナガバチ創設女王dの帰巣」)。区画内での巣柄の位置(座標)が5つとも全く同じである点も蜂の認識世界内での辻褄合わせを物語っている気がします。
巣房を頻繁に点検する割には自分の巣の大きさなどは余り覚えていない(気にしない)ようで、視覚刺激・触覚刺激で次の行動(給餌や巣作り)が機械的に解発されるのだろう。
この後(5:00~)、女王aは自分の間違えに気付いたのか手ぶらで巣aに戻りました。
軒下に並ぶ初期巣群の中で最大なのでこれがメインの巣なのだろう。
※それとも余力のある女王が意図的に複数の巣を同時並行で育てているのだろうか。
隣人の初期巣を乗っ取った可能性も考えられます。
(関連記事はこちら→「キアシナガバチ創設女王の初期巣をめぐる喧嘩」)。
別宅を幾つも抱えて手広く経営しても労働量が増えるだけで余りメリットが無いように思います。
この女王aに待ち構えている悲しい運命(女王がクモに殺され幼虫も餓死で全滅)を考えると、一つの巣に投資を集中していれば無駄な労力も省け、もっと早く初ワーカーが羽化して悲劇も避けられたかもしれません。
ヒメスズメバチや寄生蛾など天敵に対する保険として(全滅を避けるため)予めサテライト巣を並行営巣しているのかもしれません。
しかし複数の巣でワーカーが一斉に羽化すると一匹の女王では支配し切れなくなる恐れがあります。
アシナガバチの場合、ワーカーの反乱(産卵)を防ぐには常に女王が腕力で抑え付ける(優位行動)必要があるからです。
私の予想が正しければ、外役に出た各ワーカーも帰巣時に同じく混乱して巣を間違えるだろう。
成虫間で喧嘩になるのか、血縁を認識して一つの巣に統一されるのか、など知りたい謎が次々に出てきます。
つづく→シリーズ#13
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ハチ・アリ(膜翅目),
給餌,
造巣
キアシナガバチ創設女王による給餌信号
2008年6月下旬
キアシナガバチ(Polistes rothneyi)創設女王の個体標識(前回の記事を参照)から3日後の定点観察。
初期巣aの巣房数は1室増えて27室。
この日もキアシナガバチ女王aはせっせと幼虫に肉団子を与えています。
給餌のため頭を巣房に突っ込んだ際に巣温が高いことに気付いたのか、扇風行動を始めました。
このときの気温は32℃。
給餌後も身繕いしながら扇風を続けます。
この程度の「ながら行動(並列処理)」だったら蜂も可能なのですね。
間近で観察していると、給餌や点検で巣房に頭を入れる度にカチカチ(またはパラパラパラ)と音がします(ヘッドフォンで聴いてください)。
女王が大顎を鳴らしているのだろうか※。
幼虫への合図(給餌信号)かもしれない。
それとも幼虫が発する音なのだろうか?
ちなみにスズメバチ類は幼虫が大鰓で巣房壁をガリガリ擦って餌を催促するらしい
※ 映像を注意深く見ると女王が触角でドラムのように巣を叩いて発音している、見たことない!との指摘をYouTubeのコメント欄に頂きました。
給餌信号にしては給餌後の行動である点が気になります。
幼虫の満腹状態を知ろうとしているのか、あるいは栄養交換(幼虫からの吐き戻し)を促しているのだろうか。
並行して観察していた別種キボシアシナガバチでは似たような音を立てる行動は見られなかったことも気になります。
つづく→シリーズ#12
【参考】
『日本の昆虫3:フタモンアシナガバチ』 山根爽一 p67
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ハチ・アリ(膜翅目),
給餌,
鳴き声
2011/03/09
オオハエトリ(蜘蛛)幼体の徘徊
2010年5月上旬
庭にある石灯籠の側面を小さなハエトリグモが徘徊していました。
オオハエトリ(Marpissa milleri)の幼体かな?と予想したものの自信がなかったので、闇クモ画像掲示板にて確認してもらいました。
越冬明けで未だ痩せっぽっちの体です。
接写しながら採寸してみると体長3.5mm。
キアシナガバチ創設女王の個体標識
2008年6月中旬
軒下にキアシナガバチ(Polistes rothneyi)の初期巣が並んで作られています。
営巣段階はまちまちですが、いつ見ても同時に二匹以上の女王が在巣していることはありません(どれかの巣に一匹の女王しか見ない)。
まるで下手糞なアリバイ工作みたいです。
やがて創設女王は同一個体なのではないかと疑うようになりました。
これを証明するために、女王へ個体識別のマーキングを施すことを決意しました。
狩りに成功した女王が肉団子に丸めた獲物を巣a(巣房数26室)に持ち帰りました。
巣上でしばらく咀嚼した後に肉団子を育房内の幼虫へ給餌して回ります。
その後は丁寧に身繕い(化粧)し、恒例の巣房点検を始めます。
後半(4:19~)はマーキング直後の映像。
女王が巣房に頭を突っ込んで点検している間に筆ペンでそっと黄色の胸部小楯板に油性黒インクを数回撫で付けました。
体に触れられると慌てて顔を巣房から出すものの、巣から飛んで逃げたり攻撃したりすることはありませんでした。
余り目立ちませんが、接写すると引っ掻いたような印が見えます。
標識したこの個体を女王aと呼ぶことにします。
果たして結果は如何に?
つづく→シリーズ#11
刺されないように一応それなりに用心した服装で行いましたが、初めてなので緊張しました。
特に危険を感じることも無く、意外に簡単に済みました。
こんなことなら、もっと早く決行すれば良かった。
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ノウハウ,
ハチ・アリ(膜翅目)
キアシナガバチ創設女王:警戒姿勢
キアシナガバチ創設女王:狩りからの帰巣
2008年6月中旬
獲物を咥えて狩りから戻ったキアシナガバチ(Polistes rothneyi)女王バチが軒下をしばらく飛び回った後、近くの草叢に降り立ちました。
クワの葉に乗り肉団子を咀嚼してから再び飛び立ち、巣b(巣房数10室)に戻りました。
巣上でも念入りに噛みほぐしてから幼虫に給餌します。
若齢幼虫には固形の肉ではなくて肉汁を与えるらしい。
前半は従来通り巣の真下から望遠で撮影。
後半は初めて脚立に登り、恐る恐る接写してみました。
隣には巣房数25室の初期巣aが見えます(女王不在)。
90分前には女王が巣aで休んでいました(映像省略)。
後日、在巣の女王に個体識別のマーキングを施したところ、同一個体の女王が複数の巣を並行して営んでいることが判明しました。
つづく→シリーズ#9
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ハチ・アリ(膜翅目),
給餌
キアシナガバチ創設女王と初期巣
2008年6月中旬
軒下の初期巣で休息するキアシナガバチ(Polistes rothneyi)女王。
暇さえあれば身繕い(化粧)と巣房の点検を繰り返します。
同じ日に巣b(巣房数10室)および巣a(巣房数22室)に居た女王を撮った記録です。
実は同一個体ではないかと思っています。
最近はこの二つの巣に営巣活動を集中している様子。
つづく→シリーズ#8
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ハチ・アリ(膜翅目),
化粧
キアシナガバチ創設女王d:巣作り以外の行動
キアシナガバチ創設女王dの造巣
2008年5月上旬
軒下で営巣中のキアシナガバチ(Polistes rothneyi)初期巣群。
巣dの巣房は4室で産卵済み。
帰巣した創設女王は、外で集めてきた巣材パルプを大顎で少しずつ塗り伸ばすようにして巣房を増設しています。
アングルがいまいち(仰角90°)なのでもう少し高い位置から観察したい。
脚立などが必要か?
つづく→シリーズ#6
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造巣
キアシナガバチ創設女王dの帰巣
2008年5月上旬
前の記事と同じ日。
キアシナガバチ(Polistes rothneyi)創設女王aの留守中に別の女王dが帰巣しました。
巣にちゃんと戻るまで軒下をしばらくうろうろと飛び回ったり近くに止まったりします。
この日の観察では創設女王a、dは決して同時に現れないので、果たして本当に別個体なのかと疑問に思い始めました。
初期巣b:巣房4個。
初期巣c:巣房1個の古い廃巣。
《追記》
後に個体標識を行い、同一個体説を証明できました♪
つづく→シリーズ#5
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飛翔
キアシナガバチ創設女王aの巣作り
2008年5月上旬
初期巣を巡るキアシナガバチ(Polistes rothneyi)女王蜂同士の格闘事件から4日後、軒下の同じ巣aを観察してみました。
巣房数は5から10室へと倍増していました。
女王の留守中に初期巣群の配置(古い廃巣も含めて計6個;a-f)を記録していたら、女王が戻って来ました。
しばらく身繕いや休息した後、巣作りに取り掛かります。
つづく→シリーズ#4
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造巣
キアシナガバチ創設女王:喧嘩後の身繕い
2008年5月上旬
初期巣を巡るキアシナガバチ(Polistes rothneyi)女王蜂二匹の争いは意外な形で決着が付きました。
長いこと格闘した末に両者ぼてっと落下(映像なし)。
片方は逃げ、勝者は辺りをふらふら飛び回った末にようやく元の巣を捜し当てて戻り(映像なし)、落ち着いて身繕い。
果たして初期巣乗っ取りの企てを阻止できたのでしょうか?
(個体識別しないと判断できなさそう...)
巣房は5室で卵も産んでありました。
軒下に同じような初期巣が最低3つ並んでいました。
デジカメを一脚で固定し、バリアングルの液晶モニターを活用したら90度の仰角でも楽な体勢で長時間撮れました(手持ちのミニ三脚では安定しなかった)。
つづく→シリーズ#3
【追記】
『日本動物大百科10昆虫Ⅲ』p42によると、アシナガバチの
女王単独による子育て期に、巣の乗っ取りがしばしばあることが最近報告されている。(中略)これが種間で起きれば、ヨーロッパのアシナガバチ類で知られている社会寄生になるが、日本のアシナガバチ類ではこの社会寄生は報告されていない。
松浦誠『社会性ハチの不思議な社会』によれば、
女王が単独で創巣する社会性ハチの多くの種では、同種のあいだでも、女王同士が初期巣をめぐって乗っ取りあいをすることは古くから知られている。こうした習性は、社会寄生性の種が誕生するうえで、重要な性質と考えられている。(中略)同種内の条件的一時寄生の場合、女王は、自分でも巣をつくる能力をもつが、時と場合によっては、同じ種の他の巣を乗っ取り、自分の働きバチを生産する。この例は、アシナガバチ、スズメバチ、マルハナバチの多くの種で知られている。 (p109より引用)
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化粧
キアシナガバチ創設女王の喧嘩(初期巣の乗っ取り)
2008年5月上旬
軒下に何やら気配を感じて(虫の知らせ)見上げると、キアシナガバチ(Polistes rothneyi)女王二匹が一つの初期巣を巡り争っていました。
作りかけの優良物件を一方が乗っ取ろうとしているのでしょうか。
肉眼で見ている限りでは「格闘」や「殺し合い」と言うほど深刻そうではなくて、ひたすらくんずほぐれつ揉み合っているだけのような印象。
しかし静止画に撮って拡大して見ると相手にしっかり毒針を向けて戦っていたようです。
南に面したこの軒下には同じような段階の初期巣が他に3つほど並んでいました(うち2個が古い廃巣)。
お隣の女王が戻る巣をうっかり間違えてトラブルになっただけかもしれません。
※『あっ!ハチがいる!:世界のハチとハチの巣とハチの生活』晶文社 p112より 引用
「(アシナガバチが)危険なのは働きバチが羽化してからのことで、女王バチが一匹で巣を作っている時期(4月中旬から6月中旬頃まで)は、女王バチに攻撃性はなく、素手で直接つかんだりしないかぎり、刺されることはありません。安心して観察してください。」つづく→シリーズ#2
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寄生,
闘争
クロヒカゲの日光浴
2008年6月中旬
ススキの茂みの隙間から日光浴中のあられもない姿を盗撮。
クロヒカゲ(Lethe diana)は「あまり翅を開くことは好まないものの、ひなたぼっこをする時などは翅を半分開く姿なども見られる」とのこと。
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体温調節
2011/03/08
二巣並行営巣を始めたキアシナガバチ創設女王
2010年5月上旬
軒下の隣接する区画に30cm離れて二つの初期巣が作られつつあります。
ともに卵が産み付けられています。
巣S9に居た一匹のキアシナガバチ(Polistes rothneyi)創設女王を一時捕獲して水色の油性ペンで個体標識を施しました。
(関連記事はこちら→「キアシナガバチ創設女王を標識」)
マーキングから三日後の昼過ぎに様子を見に行くと、女王Q(水)は小振りの巣S10(育房数5室)で何やら作業中でした。
数時間後にまた訪れると、今度は大きい方の巣S9(育房数9室)に移っていました。
映像にはうまく撮れませんでしたが、在巣の蜂に胸背の水色マーキングがあることを手鏡を使ってしっかり確認しました。
これで同一個体の女王蜂が二つの巣S9、S10を同時に営んでいる確証が得られました。
大きい方の巣S9をメインとみなし、小さい方の巣S10をサテライト巣と呼ぶことにします。
アシナガバチの文献によると、「サテライト巣」という用語は本来、多雌巣の女王やワーカーが独立・分封するような形で作られる巣を呼ぶようなので、果たして正しい使い方なのかどうか自信がありません。私のような素人が勝手に造語を使うのも気が引けます。
実は同じ軒下で2年前(2008年)にも同種のキアシナガバチ創設女王が二巣並行営巣することを個体識別で確認しています。
(関連記事はこちら→「複数の巣を同時に営むキアシナガバチ創設女王」)
私が二巣並行営巣を観察したのは今回で二例目になります。
一般に本州のアシナガバチは一家族が一つの巣を作るのが原則で、二巣並行営巣やサテライト・コロニーは稀です。
私が定点観察しているキアシナガバチ創設女王が二巣並行営巣を行う理由と意義をずっと考え続けています。
第一の可能性として、元々二匹の女王が独立に創巣した後で巣の乗っ取りが行われたのかもしれません。
連日の監視を行っていないので完全には否定できませんが、今シーズンのケースでは考えにくいと思っています。
※ 2008年に二匹のキアシナガバチ創設女王がこの軒下で初期巣を巡って争っているのを目撃しています。当時は個体識別できていないので、乗っ取りの成否は不明です。(関連記事はこちら→「キアシナガバチ創設女王の喧嘩」)
誰の巣なのか決定する手段として、机上の空論になりますが、女王の足先を切って生検試料とし、育房内の卵とDNAレベルの親子鑑定を行えばはっきりするかもしれません。
しかし乗っ取りの後は食卵するケースも多いらしいので、解釈が難しいかも。
私の考察を少しずつ続報に書いていこうと思います。
【参考文献】
一般書籍および無料でPDFがインターネット上で入手できるものに限る。
1. Kasuya E. Simultaneous maintenance of two nests by a single foundress of the Japanese paper wasp, Polistes chinensis antennalis (Hymenoptera: Vespidae). Applied entomology and zoology. 1980;15(2):188–189. (PDF Available)
フタモンアシナガバチ創設女王による二巣並行営巣の報告です(英文)。2. 牧野俊一, 山根正気. ニッポンホオナガスズメバチの創設女王で見られた2巣並行営巣行動の観察. Kontyû. 1979;47(1):78-84.(PDF available)
3. 岩橋 統, 山根爽一『チビアシナガバチの社会 (動物 その適応戦略と社会)』東海大学出版会 1986
個体識別によるサテライト巣の観察事例が詳細に記述されています。
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赤く輝くアオハナムグリ
ホソオビヒゲナガ♀(蛾)の飛び立ち
2008年6月上旬
ホソオビヒゲナガ♀(Nemophora aurifera)と教えて頂きました。
飛翔シーンを狙って今回は60fpsで撮影してみました。
待ち構えているのになかなか飛び立ってくれません...(忍)。
やや風が吹いていたせいかもしれません。
編集で切りましたが本当は何分も長回しで撮りました。
痺れを切らして最後は手を出してしまいました。
後半は1/10倍速スローモーションによるリプレイ。
体重が軽いせいかすぐにフレームアウトしてしまい、期待した程の映像効果は得られませんでした。
【追記】
『日本動物大百科9昆虫II』p71によると、
ヒゲナガガ科には群飛する種と群飛しない種がいる。(中略)群飛をするホソオビヒゲナガでは、♂がからみあって上下するような飛翔をする。樹上のかなり高い位置で群飛することもあり、カ類の群飛と見まちがえることもある。
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キオビホオナガスズメバチ女王の巣材集め
2008年6月上旬
雑木林に立つ案内板の裏側をガリガリ齧っていました。
巣材を集めているのでしょう。
時期的にまだ創設女王ではないかと判断しました。
マクロモードに切り替えようと撮影を中断した隙に飛び去ってしまいました(ありがちな失態...)。
映像がいまいちで別アングルも無いのでモンスズメバチと迷いましたが、キオビホオナガスズメバチ女王(本州亜種;Dolichovespula media)と「虫@ふたば」掲示板にて教えてもらいました。
wikipediaによると「ホオナガスズメバチ属のスズメバチは(中略)クロスズメバチ属や大型のスズメバチ属のように、巣材を枯れ木や朽木の木部繊維中心にではなく、アシナガバチ類と同様に枯れ木、枯れ枝の靭皮繊維から採集するため、巣はもろくなく強靭である。」
【追記】
松浦誠『社会性ハチの不思議な社会 (自然誌選書)』という本の口絵写真p6に、「枯れたヨモギの茎の繊維を集めて巣の材料を作るキオビホオナガスズメバチの女王」と題した見事な生態写真が掲載されていました。
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エゾスジグロシロチョウ春型の吸蜜@ハルジオン
2008年6月上旬
スジグロシロチョウとの区別が微妙ですけど、エゾスジグロシロチョウ春型だと思います。
外見での識別は難しいらしく、最終的には鱗粉の形状で同定するそうです。
ハルジオンの花から吸蜜していました。
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訪花
ルリボシカミキリ♀の産卵
2008年8月中旬
雑木林の枯れ木にて発見。
美しいルリボシカミキリ(Rosalia batesi)を見るのもカミキリムシ♀の産卵行動を見るのも全く初めてだったので、大層嬉しい出会いでした。
私に警戒して幹を駆け上がり、反対側に回り込もうとします。
大顎による産卵加工を行わず、黒い産卵管を伸ばして幹の割れ目に差し込むだけのようです。
撮影後に採集しようと試みたものの、擬死落下して見失ってしまいました。
樹種は不明です。
完全に枯死して手がかりとなる葉も残っていませんでした。
プロは樹皮の様子などから分かってしまうのでしょうか。
『へなちょこカミキリロード:初心者のためのカミキリムシ入門』p87によると
カミキリムシを貯木場(土場)で探す場合、おおむね新鮮な材に集まる傾向が強いが、ルリボシカミキリの仲間は古い材を好む。これは材から発散される誘引物質の影響と思われる。
シリアゲコバチ♀の飼育:壁登り、飛翔
2008年8月中旬
試しに飼っているシリアゲコバチ♀(Leucospis japonica)。
葉の上に垂れてしまった糖蜜を舐め、飼育容器内を歩き回り、壁を登り、身繕いし、時々羽ばたいて飛んだりします。
その後、産卵行動を見てみようと適当な材木を入れてみたのですが、当然駄目でした。
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