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2024/08/30

ホトトギスの花蜜を吸うオオタバコガ(蛾)【FHD動画&ハイスピード動画】

 

2023年11月上旬・午後15:40頃・晴れ

堤防路の花壇に咲いたホトトギスの群落でオオタバコガ♀♂(Helicoverpa armigera armigera)が訪花していました。 
口吻を伸ばして、コブ状のきょの奥に溜まった花蜜を吸っています。 
触角をピクピク動かしています。 
吸蜜しながら翅を小刻みに震わせ始めました。 
花弁の外側に脚をかけて止まっているので、ホバリング(停空飛翔)とは違います。 
飛び立つ前の準備運動なのでしょう。 
気温を測るのを忘れてしまいましたが、晴れていて別に寒くはありませんでした。 
(なぜ準備運動が必要なのか、分かりません。)

オオタバコガはホトトギスの花の中央にある雄しべや雌しべに全く触れずに吸蜜していることから、盗蜜行動と言えるかもしれません。 
しかし、鱗翅目は極細の長い口吻を伸ばして少し離れた位置からでも吸蜜できますから、ほとんどの種類の花に対して実は盗蜜しています。 
花も鱗翅目に送粉者としての役割をほとんど期待していないようです。 

オオタバコガの飛翔シーンを240-fpsのハイスピード動画でも撮ってみました。(@0:51〜)

 

2024/08/28

ホトトギスの花蜜を盗むトラマルハナバチ♀【FHD動画&ハイスピード動画】盗蜜行動

 

2023年11月上旬・午後15:40頃・晴れ 

堤防路の花壇に咲いたホトトギスの群落でトラマルハナバチ♀(Bombus diversus diversus)が訪花していました。 
複数個体で訪花していたオオマルハナバチ♀と違って、トラマルハナバチ♀は1匹しか見かけませんでした。 



この個体は、後脚の花粉籠にごく少量の白い花粉団子を付けていました。 
しかし、吸蜜の際にホトトギスの開いた花の内側には潜り込まず、毎回いつも花の外側から距に口吻を差し込んでいます。
雄しべや雌しべに全く触れていませんから、盗蜜行動と呼ばざるを得ません。 
ホトトギスの花の基部に3つあるきょの膨らみが訪花するトラマルハナバチにとって格好の止まり場所を提供しています。 
今後ホトトギスの距は更に細長く進化していくのでしょうか? 
園芸植物のユリズイセン(ユリズイセン科)の花が蜂に盗蜜されるのを見たときにも思ったのですが、ホトトギス(ユリ科)の花の構造は、花蜜のただ盗りを防ぐセキュリティが明らかに甘いですね。
花弁が根元まで開けっぴろげなのが問題で、少なくとも花弁の基部はしっかり閉じてもっと花筒型になるべきでしょう。
野生種のホトトギスは元々そのような形状だったのではないか?と勝手に予想するのですけど、どうでしょうか?
園芸植物として品種改良された結果、花弁が開けっぴろげになってしまったのかな?
ユリ科なので、もしかして種子よりも球根で増える(クローン)のがメインなのかと思ったのですが、調べてみるとそんなことはありませんでした。
種子と挿し木(クローン)で増やすのだそうです。

私は未だ実際に見たことがありませんが、トラマルハナバチはホトトギスの受粉を助ける送粉者として知られているそうです。 
トラマルハナバチは長舌種なので、普段は盗蜜行動をする必要がありません。 
(盗蜜に手を染めるのは短舌種のハナバチです。) 
盗蜜するトラマルハナバチを見たのはこれが初めてで、驚きました。
ホトトギスの花は雄性先熟なのだそうです。 
今回は、ホトトギスの雄しべの葯で花粉の生産が終わりハナバチに花粉を取り尽くされた後の雌性期だったので、トラマルハナバチ♀も仕方なく盗蜜していたのかもしれません。 

トラマルハナバチ♀の盗蜜行動および飛翔シーンを240-fpsのハイスピード動画でも撮ってみました。(@0:49〜) 
長い舌を伸ばしたまま、次の花に向かって飛んでいました。

2024/08/20

ホトトギスの花で盗蜜するオオマルハナバチ♀【FHD動画&ハイスピード動画】

 

2023年11月上旬・午後15:45頃・晴れ 

堤防路の道端の花壇に咲いたホトトギスの大群落で、1匹のオオマルハナバチ♀(Bombus hypocrita)が夕日を浴びながら訪花していました。 
大型の個体だったので、ワーカー♀ではなく新女王かもしれません。 
現場は平地なのに、山地性のオオマルハナバチが訪花していたのは不思議です。 
(平地性のクロマルハナバチの姿をなぜか見かけませんでした。) 
後脚の花粉籠は空荷でした。 

240-fpsのハイスピード動画でも撮ってみました。(@0:58〜) 
スローモーションで吸蜜シーンをよく見ると、オオマルハナバチ♀は盗蜜を繰り返していました。 
花弁の内側の奥には黄色い蜜標があるのに、オオマルハナバチ♀はそこを目掛けて潜り込む正当訪花をしていません。
いつも花弁の外側に下向き(または横向き)で止まると、舌(口吻)を伸ばして花の根元にある小さな膨らみ(距)に差し込んでいます。 
ホトトギスの花の構造上、オオマルハナバチ♀は花弁に穿孔するまでもなく、盗蜜できてしまいます。
きょとは、花が最適な送粉者を選別するため(招かれざる訪花昆虫を排除するため)に蜜腺を奥深く隠すための構造なのですが、細長く尖ったものしか私は知りませんでした。
ホトトギスの花のように、小さな瘤状の距もあるとは知りませんでした。
オオマルハナバチ♀は訪花吸蜜の際にホトトギスの雄しべや雌しべに一度も触れないので、授粉には全く関与していません。 
オオマルハナバチ♀の体毛にホトトギスの花粉が付着することはありませんし、後脚の花粉籠が空荷なのも当然です。 
ホトトギスにとっては花蜜の盗まれ損になります。 

オオマルハナバチ♀が花粉を集めたくても、雄しべの葯から花粉が既に取り尽くされた後のようです。 
調べてみると、ホトトギスの花は雄性先熟なのだそうです。 
撮影時は雌性期だから雄しべに花粉が無いのでしょう。 

今回はホトトギスに訪花する様々な昆虫を観察することができたのですが、どの昆虫も同様に盗蜜していました。(映像公開予定) 
植物が花に距を作って送粉者を選り好みしようとすると、必ずその裏をかいて盗蜜行動をする昆虫が出てくるのが、進化の軍拡競争になっていて面白いです。
ホトトギスに正当訪花する送粉者は誰なのでしょう? 


【参考サイト】 
雄性期の花の様子も含めて、ホトトギスの花の細かい構造を解説した写真や、トラマルハナバチが正当訪花する写真が掲載されていて、勉強になりました。 




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2024/05/22

タニウツギの萎れた花で穿孔盗蜜するクマバチ♂

 

2023年6月上旬・午後12:10頃・晴れ 

里山の山道の横に咲いたタニウツギの群落でキムネクマバチXylocopa appendiculata circumvolans)の雄蜂♂が訪花していました。 
頭楯が白く、大きく発達した複眼が中央で接していて、後脚に花粉籠がないことから雄蜂♂と分かります。 
胸背の黄色い毛が色褪せて剥げた個体ということは、かなり老齢なのかもしれません。 

タニウツギのピンクの花はどれも散り際で萎れかけていて、見すぼらしい状態でした。 
その花に対してクマバチ♂は正当訪花せずに、花筒の根元に外側から口吻を突き刺して穿孔盗蜜を繰り返しています。 
萎れた花弁で開口部が塞がれているから仕方なく盗蜜しているのではなく、元々クマバチは体が太すぎてタニウツギの花の開口部に顔を突っ込んでも伸ばした口吻が蜜腺に届かないのでしょう。 
クマバチは盗蜜の常習犯です。

関連記事(7年前の撮影)▶ タニウツギの花で盗蜜するクマバチ♂


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2024/04/28

夏の昼間に延々と追いかけっこや取っ組み合いをして遊ぶニホンアナグマの幼獣4頭【トレイルカメラ】

 



2023年8月上旬

ニホンアナグマMeles anakuma)の母子が明るい日中から再び旧営巣地に戻ってきました。 
今回は珍しく幼獣4頭が勢揃いして仲良くはしゃぎ回っています。 
(独り遊びが好きな個体が1頭いるのです。)
真夏の昼の二次林内には蝉しぐれが響いています。 
母親は幼獣の遊びに付き合うことはありません。

シーン1:8/6・午後12:01・晴れ・気温32℃(@0:00〜) 
冒頭で幼獣2頭が相次いで巣穴Lに素早く潜り込みました。 
右上奥の獣道から別の幼獣2頭が追いかけっこや格闘遊びをしながら向かって来ます。 
地上の騒ぎを聞きつけたのか、1頭の幼獣が巣口Lから外に顔を出しました。 
獣道でくんずほぐれつしていた幼獣の1頭が走って入巣Lすると、もう1頭も追いかけてきました。 
巣口Lで対面すると、口を開けました。 
相手に歯を見せつけて牽制するというよりも互いに軽く甘噛みしているようですが、威嚇の鳴き声は聞き取れません。 


シーン2:8/6・午後12:02・晴れ・(@1:00〜) 
2頭の幼獣aとbが巣口Lで激しい格闘遊びを続けています。 
その間に幼獣cが出巣Lすると左へ向かいました。 
しばらくすると、巣L内に篭もって居た幼獣dが巣口Lに顔を出し、兄弟(姉妹)の取っ組み合いを見物しています。 
このときガ、ガ、ガ…♪という軽い唸り声が聞こえました。 
(どの個体の鳴き声か不明です。) 

幼獣dが格闘中の2頭abの間をすり抜けて、左へ駆け出しました。 
 左から相次いで戻ってきた幼獣cdが獣道で遊び始めました。 
相手の目の前で軽くジャンプしてみせるのが挑発行為と言うか、遊びに誘う行動のようです。 
追いかけっこからの格闘遊びが始まります。 
対戦相手は流動的で、cがabの遊びに参戦しました。


シーン3:8/6・午後12:03・晴れ・(@2:00〜) 
プルルル…♪(またはグルルル…♪)と聞こえたのは、幼獣の格闘遊びに伴う威嚇の鳴き声でしょうか。 
左の広場で幼獣2頭が疲れを知らず、はしゃぎ回っています。 
やがて1頭が塹壕に隠れるように後ろ向きで入巣L。(@2:25〜) 

次に右奥から獣道を走ってきて巣穴Lに入ったのは母親♀ですかね? 
毛皮の茶色味が濃い個体でした。 


シーン4:8/6・午後12:04・晴れ・(@2:51〜) 
出巣Lした成獣(母親♀)の横で幼獣1頭がはしゃぎながらまとわりついています。 
毛色が濃い成獣の右首筋には交尾痕が認められたので、ヘルパー♂ではなく♀だと思います。 
腹面の乳首はあまり目立たなくなりました。
交尾中に♂が♀の背部を強く噛むことによってできる傷は交尾痕と呼ばれる。(金子弥生『里山に暮らすアナグマたち: フィールドワーカーと野生動物』p74より)
母親♀は身震いしてから右に立ち去りました。 
幼獣は巣穴Lに戻って留守番です。 
…と思いきや、しばらくすると巣内Lの幼獣が外へ出て来ました。(左へ) 


シーン5:8/6・午後12:07・晴れ・(@3:24〜) 
画面の左端で幼獣の尻尾だけが見えています。 
広場の地面に転がっている長い落枝が動いているので、巣口Rで幼獣が何かしていることが伺えます。 
やがて、幼獣2頭を連れた母親♀が左から現れました。 
そのまま3頭の母子は右上奥の獣道を歩き去りました。 
出遅れた幼獣1頭が左から来ましたが、母親♀たちを追いかける様子を見届ける前に録画終了。 


シーン6:8/6・午後12:07・晴れ・(@3:51〜) 
再び幼獣2頭が巣口Lに戻ってきていて、小声で唸りながら1対1の格闘遊びを繰り広げています。 
そのまま左に消えました。 


※ 動画の一部は編集時に自動色調補正を施しています。 
※ 鳴き声が聞き取れるように、音声を正規化して音量を強制的に上げています。 



2022/11/25

ヘクソカズラの花でオオフタオビドロバチが盗蜜?

 

2022年8月上旬・午前7:45頃・晴れ 

川沿いのコンクリート護岸に繁茂するヘクソカズラの蔓が隣接する遊歩道の路面にも這うように育っています。 
そこに朝からオオフタオビドロバチAnterhynchium flavomarginatum)が訪花していました。 
この組み合わせは初見です。 
どうやら正当訪花せずに、花筒の外側から盗蜜しているようです。 
自ら口器で花筒を穿孔して盗蜜しているのか(一次盗蜜)、それとも既存の盗蜜痕に口吻を差し込んで吸蜜しているのか(二次盗蜜)、決定的な証拠映像を撮ることが出来ませんでした。 
撮影中にデジカメのメモリーカード容量を使い切ってしまったのです。 
私が慌てて交換している間に、オオフタオビドロバチは逃げてしまいました。 
痛恨のミスです…。

ヘクソカズラの群落で花筒をよく見ると、その多くに盗蜜痕があります。 
一次盗蜜者と思われるクロマルハナバチBombus ignitus)のワーカー♀が何匹もヘクソカズラの花からせっせと穿孔盗蜜していました。 
過去に動画を撮影済みなので、今回は割愛します。
関連記事(5、9年前の撮影)▶  
ヘクソカズラの花蜜を盗むクロマルハナバチ♀ 
ヘクソカズラの花で盗蜜するクロマルハナバチ♀

2021/11/12

ゴマの花で穿孔盗蜜するクロマルハナバチ♀【HD動画&ハイスピード動画】

 

2021年8月中旬・午後16:20頃・くもり 

ゴマ(胡麻)畑でクロマルハナバチBombus ignitus)のワーカー♀が何匹も忙しなく飛び回っていました。 
訪花シーンを注意深く観察すると、次から次へと白い花筒で毎回常に穿孔盗蜜していました。
花筒にまたがると、その根本に外側から口吻を突き刺して(噛み破って?)その穴から吸蜜するのです。 
蜂が飛び去った後の花筒には小さな穴(盗蜜痕)が残ります。(@3:05、3:15など)
花筒の入口から頭を突っ込んでも奥の蜜腺まで舌が届かないのでしょう。 
訪花を繰り返しても雄しべの葯に体が全く触れないので、後脚の花粉籠は空荷です。 
ゴマ農家にとって花から盗蜜するクロマルハナバチは害虫の扱いになります。 
しかし他の農作物では送粉している益虫ですし、簡単には決めつけられません。 

ちょっと面白いなと思ったのは、葉上の落花にクロマルハナバチ♀が誤ってしがみついたシーンです。 (@1:54)
蜂の重みで落花ごと落下しました。 
空中ですぐに体勢を立て直し、次の花へ向かいます。
落花にだまされかけてスルーしたのは(@1:31) 。

あまりにも忙しなく飛び回るので目が回りそうです。
盗蜜シーンおよび花から飛び立つ瞬間を240-fpsのハイスピード動画でも撮ってみました。(@3:37〜) 
複数個体を撮影。 
穿孔盗蜜の行動をスローモーションでじっくりご覧ください。 

クロマルハナバチ♀は二次盗蜜者であることの証拠映像も撮れました。 
ゴマ花筒の根本を大顎で食い破るのではなく、既に開いていた穴に黒い口吻を差し込んでいました。(@x:xx) 
ただし、1つの花筒で珍しく時間を掛けていたこともありました。 
身繕いなど休んでいただけかもしれませんが、このときが穿孔中だったのかもしれません。
肝心の口元がしっかり撮れず残念。 

茎の下部にはゴマの実がなっています。 
ゴマは茎の下から上へと順に花が咲いて実がつくようです。 
ゴマに正当訪花して授粉を助ける送粉者はミツバチでした。
関連記事(同日の撮影)▶ ゴマの花で採餌するセイヨウミツバチ♀
ところで、ゴマの葉腋にある黄色い点は何でしょう? 
まさか花外蜜腺? 
なんとなく、盗蜜のための蜜標になっているような気もしました。 


【追記】
小松貴『絶滅危惧の地味な虫たち (ちくま新書)』を読んで驚いたことの一つは、クロマルハナバチが環境省レッドリストの準絶滅危惧に指定されているという事実です。(p183)
山形県ではなんと、絶滅危惧種Ⅱ類(VU)に指定されていました。(公式のデータベースはこちら
私のフィールドでは平地を中心に平凡な普通種なのですが、恵まれた環境だと知りました。
ネオニコチノイド系の農薬(殺虫剤)の乱用が原因ではないかと個人的には疑っています。

2021/10/12

アベリアの花で盗蜜しながら花粉団子を運ぶクロマルハナバチ♀の謎

 

2021年7月中旬・午後16:20頃・晴れ
前回の記事:▶ アベリアの花で穿孔盗蜜するクロマルハナバチ♀【HD動画&ハイスピード動画】

前回の記事ではとりあえず教科書通りの説明をするために、アベリア(別名ハナツクバネウツギ、ハナゾノツクバネウツギ)の花で盗蜜行動を繰り返すクロマルハナバチBombus ignitus)のワーカー♀の中でも後脚の花粉籠が空荷の個体を選んで動画にしました。 
盗蜜中は花の雄しべに体が全く触れませんから、集粉活動とは両立しません。 

ところが、同じアベリアの生垣で採餌するクロマルハナバチ♀の動画を撮りまくると、その中には後脚の花粉籠に少量の白い花粉団子を付けている個体が複数混じっていました。 
今回はそんな異例の個体ばかりを集めて動画にしました。 

前回帰巣した際に集めた花粉をしっかり育房に掻き落とさなかったのかな? 

おそらくクロマルハナバチ♀の中にも体格の個体差があって、小型のワーカー♀はアベリアの狭い花筒に潜り込んで普通に吸蜜できる(正当訪花)はずです。 
しかし今回の映像を見る限り、アベリアの花筒に絶対潜り込めないぐらい大きな個体ばかりです。
あるいはアベリアの花筒のサイズにも幅(変異)があって、少数ながらも極太の花筒でクロマルハナバチ♀は正当訪花できたのかもしれません。
また、クロマルハナバチ♀は巣に戻るまでの1回の採餌飛行の途中で(同じ種類の花の群落内で)採餌法を正当訪花⇔盗蜜と切り替えることがあると分かっています。 
しかし、今回はアベリアの生垣で正当訪花する個体を一度も見かけませんでした。(単に私が見落としただけかもしれません。) 

残る可能性として私が一番有望だと考えているのは、他種の植物に正当訪花して花粉を少し集めてからアベリアの群落に移って来た、という仮説です。 
今回の映像を見る限り、アベリアの花筒に絶対潜り込めないぐらい大きな個体ばかりなので、他の植物由来の花粉と考えるのが自然だと思います。
盗蜜しながら花粉団子を運ぶクロマルハナバチ♀個体を捕獲して、花粉籠から採取した花粉を顕微鏡で調べれば、どの植物由来の花粉か検証できそうです。 
ただしそのためには、近隣に咲くあらゆる植物の花粉の微細な形状を予め調べておく必要があり、大人の自由研究としてはなかなか大変そうです。 
しかも普通の光学顕微鏡ではなく走査型電子顕微鏡が必要となれば、素人には手が出せません。
やってみれば全てアベリアの花粉だったとあっさり判明するかもしれません。 

 

過去に紹介した記事の動画も見返すと、穿孔盗蜜するクロマルハナバチ♀の中に花粉団子を運ぶ個体が一部混じっていました。
関連記事(4年前の撮影)▶ アベリアの花で盗蜜するクロマルハナバチ♀


2021/10/07

アベリアの花で穿孔盗蜜するハキリバチ♂【名前を教えて】

 

2021年7月中旬・午後16:25頃・晴れ 

民家の生垣に咲いたアベリア(別名ハナツクバネウツギ、ハナゾノツクバネウツギ)でハキリバチ科の一種の雄蜂♂が訪花していました。 
花筒に正当訪花せずに、盗蜜しています。
関連記事(4年前の撮影)▶ アベリアの花で盗蜜するクズハキリバチ♂
さて、このハナバチの名前は何でしょう? 
見るからにハキリバチ科の仲間です。 
腹部下面にスコパが無いので雄蜂♂だろうと判断しました。 
顔色を正面から見せてくれなかったのですが、横から見ると頭楯に白っぽい毛が密生しているようです。 
この蜂で一番興味深く、驚いたのは、前脚が異常に毛深いことです。(白い毛が密生) 
例えばミツバチ科の♀は後脚に花粉籠があります。 
一方、ハキリバチ科の♀は腹部下面に密生するスコパ(刷毛)に花粉を集めます。
前脚に花粉籠があるハナバチという存在を私は聞いたことがありません。 
実際にこの蜂が集めた花粉を前脚の毛束にまとめて運んでいたら大発見だったかもしれませんが、雄しべに体が触れない盗蜜行動を繰り返していますから、謎の花粉籠?は空荷です。
雄蜂♂なのだとしたら、花粉を採餌(集粉)しませんから、そもそも花粉籠は必要ありません。 
前脚の毛束から♀を誘引する性フェロモンを分泌するのかな? (※追記参照)
一部の蛾の♂は腹端に「ヘアペンシル」というフェロモン放出器官を持ちますが、それを連想しました。 
私はハキリバチの仲間を見分けるのが苦手です。
重い腰を上げて『日本産ハナバチ図鑑』を紐解いてみると、ヤマトハキリバチやムナカタハキリバチなどの雄蜂♂にそれらしき特徴があることを初めて知りました。
(ヤマトハキリバチの)♂の前脚は変形していて腿節外面は薄くヒレ状に張り出し下面は白色、脛節の先端から淡色で、第1〜3跗節は扁平で外面に跗節の幅と同じくらいの長さの毛の列がある。(p321より引用)
この奇妙な構造の解剖学的な正式名称(英語名)や機能については何も書いてありませんでした。 
残念ながら今回の個体はすぐに生垣の奥に飛び去ってしまい、採集のチャンスを逃しました。 
この蜂の名前を映像から見分けられる達人がいらっしゃいましたら教えて下さい。
そもそもハキリバチ科の仲間という私の予想が間違っているかもしれません。

ちなみに今回観察したアベリアの群落で正当訪花する送粉者はトラマルハナバチ♀だけで(映像公開予定?)、残りは盗蜜者ばかりでした。(セイヨウミツバチ♀、クロマルハナバチ♀、ハキリバチsp.♂)
関連記事(4年前の撮影:正当訪花)▶ アベリアの花で採餌するトラマルハナバチ♀


※【追記】

ハキリバチ科とは違いますが、北米産トモンハナバチの仲間による配偶行動を捉えた見事なスーパースロー映像がPBS Natureチャンネルで公開されました。

その雄蜂♂は♀にマウントして交尾を挑む前に前脚の毛束で♀の触角を交互に叩いていました。

おそらくそれが求愛行動になるのでしょう。

雄蜂♂だけが前脚に持つ毛束(性的二型)の役割についてヒントが得られました。

 


2021/10/02

アベリアの花で穿孔盗蜜するセイヨウミツバチ♀【HD動画&ハイスピード動画】

 

2021年7月中旬・午後16:25頃・晴れ 

庭の生垣に植栽されたアベリア(別名ハナツクバネウツギ、ハナゾノツクバネウツギ)でセイヨウミツバチApis mellifera)のワーカー♀がブンブン♪羽音を立てて何匹も訪花していました。 
この組み合わせは初見です。
小さなラッパ状の花筒にセイヨウミツバチ♀は正当訪花せずに毎回、穿孔盗蜜するので、後脚の花粉籠が空荷なのは当然です。 
セイヨウミツバチ♀は花の雄しべや雌しべに全く体が触れずに吸蜜するだけで、アベリアの受粉に全く役立っていません。

盗蜜シーンおよび花から飛び立つ瞬間を狙って、240-fpsのハイスピード動画でも撮ってみました。(@1:18〜) 
複数個体を撮影。

 

2021/09/29

アベリアの花で穿孔盗蜜するクロマルハナバチ♀【HD動画&ハイスピード動画】

 

2021年7月中旬・午後16:20頃・晴れ 

民家の庭の生垣として植栽されたアベリア(別名ハナツクバネウツギ、ハナゾノツクバネウツギ)の白い花が満開に咲いています。 
そこにクロマルハナバチBombus ignitus)のワーカー♀が訪花していました。 
複数個体がブンブン♪と羽音を立てて飛び回っています。 
吸蜜法をよく観察すると、花筒の入り口から顔を突っ込んで口吻を差し込んではいません。 
つまり、正当訪花する個体は1匹もいませんでした。 
ラッパ状の花筒の根元に外側から蜜腺を狙って口吻を突き刺す穿孔盗蜜を毎回繰り返していました。 
雄しべや雌しべに体が全く触れませんから、アベリアの花の受粉に寄与しません。 
したがって、クロマルハナバチ♀の後脚の花粉籠は当然ながら空荷でした。 
アベリアにしてみれば、せっかく送粉者への報酬として用意した花蜜が盗まれ損になります。 

クロマルハナバチの盗蜜行動自体は既にFHD動画で撮影済みです。
関連記事(4年前の撮影)▶ アベリアの花で盗蜜するクロマルハナバチ♀
今回は240-fpsのハイスピード動画でも撮ってみました。(@1:34〜) 
アベリアの花筒の根元には盗蜜痕が残り、傷口が薄い褐色に変色しています。 
花筒に小さな盗蜜痕が既にある場合、クロマルハナバチ♀は目敏く見つけてそこに口吻を差し込んでいます(二次盗蜜者)。 
無傷の花筒に一番乗りで盗蜜する場合は大顎で噛み傷を付けるのではないかと推察されるのですが、そのような一次盗蜜者の行動を私は未だしっかり観察できていません。 
隣の花へ移動する際は、わざわざ飛ばずに歩いて行きます。 
次の花へ向かう途中、空中でホバリングしながらなぜか左右の後脚を互いに擦り合わせていました。 

本当に面白いのは、この先の話です。 
つづく→


【追記】
石井博『花と昆虫のしたたかで素敵な関係 受粉にまつわる生態学』という本のp190に「アベリアの花のつけ根に穴を開けて強奪型の盗蜜をするクロマルハナバチ」と題した見事な生態写真が掲載されていました。
花の破壊を伴わないタイプの盗蜜行為を「窃盗型盗蜜(または泥棒型盗蜜)」というのに対し、花筒の横に顎(または嘴)を使って穴を開け、そこから花蜜を吸うタイプの盗蜜を「強盗型盗蜜(または略奪型盗蜜)」といいます。(p189より)

2021/07/01

桜の花を摘み取って盗蜜するスズメ(野鳥)

 

2021年4月中旬・午後16:15頃・晴れ 

公園で満開に咲いたソメイヨシノの老木でスズメPasser montanus)の群れが訪花していました。 
スズメは桜の花柄を嘴で摘むと千切り取り、花の根元の花蜜だけ吸って捨ててしまいます。 
桜からしてみれば授粉の報酬として用意した花蜜をスズメに一方的に盗まれるだけなので、大損害になります。 
桜吹雪は花弁が風で散るだけですが、スズメが狼藉を働いた後は桜の木の下に無傷の落花が(花柄ごと)散乱することになります。 

この有名な盗蜜シーンを撮りたくて長年狙ってきたのですが、警戒心が強いスズメはいつも逃げてしまいがちです。 
今回のスズメは人馴れしているのか、桜の木の下に居た私をあまり気にせず盗蜜に没頭していました。 
動画の後半は、スズメの盗蜜行動を1/5倍速のスローモーションでリプレイ。(@1:19〜) 
2羽の個体を撮影した映像です。 

竹内将俊・飯嶋一浩・田村正人『桜をめぐる生きものたち』という書物によると、
桜が開花してまもなく、萼筒から切り落とされた花が目に付くようになる。満開になったソメイヨシノの下などは、かなりの数の花が落ちているのでお気づきの方もいるだろう。じつはこれ、スズメの仕業なのである。舌が短いスズメは花の正面から花蜜を吸うことが苦手である。そこで花蜜の溜まっている萼筒で花を切り取り、蜜を吸っては捨てるという行動を繰り返すのである。(p76より引用)
スズメの方は蜜を食べたいのだが、舌が短いので花を萼筒からちぎって、蜜を舐めては捨てるという行動を繰り返すことになる。桜にとっては将来実になる花をちぎって捨てるスズメは害鳥以外の何者でもない。 (同書p79より引用)

2020/11/28

ユリズイセンの花で盗蜜するコガタスズメバチ♀

 

2020年8月中旬・午後17:45頃・くもり
▼前回の記事 
ユリズイセンで正当訪花から盗蜜に切り替えるスズバチ
街中の道端の花壇に咲いたユリズイセン(=アルストロメリア)の群落でコガタスズメバチVespa analis insularis)のワーカー♀が吸蜜のために訪花していました。 
この組み合わせは初見です。 
興味深いことに、正当訪花で吸蜜するのではなく、常に盗蜜していました。 
花筒の外側から花弁の根元の隙間を大顎でこじ開けて、蜜腺を直接舐めています。 
雄しべや雌しべに蜂の体が全く触れませんから受粉の助けにはならず、植物にとっては花蜜の盗られ損です。 
ユリズイセンの花筒はコガタスズメバチ♀が正当訪花で潜り込めないほど狭くはないと思うのですが、盗蜜行動の方が効率的だと学習してしまったのでしょう。 
スズメバチ類による盗蜜行動を観察したのは初めてで、ワクワクしました。 

激しい風揺れで撮影に苦労しましたが、後半は指で花を摘んで揺れないように押さえたら、ようやく安定して証拠映像を記録することが出来ました。 

実は、このコガタスズメバチ♀個体は、数m離れた大小2つの群落を交互に訪れていました。 
後半になると盗蜜による栄養補給が済んだようで、ユリズイセンの花には着陸しなくなりました。 
他の訪花昆虫が来るのを狙って(手頃な獲物を探し求めて)ユリズイセンの花壇を飛び回っているようです。(探餌飛翔) 
この群落に縄張りを張って、キアシナガバチ♀やスズバチをユリズイセンの花から追い払うのを見ています。(映像撮れず)

2020/11/21

ユリズイセンで正当訪花から盗蜜に切り替えるスズバチ

 

2020年8月中旬・午後17:45頃・くもり 

街中の道端の花壇に咲いたユリズイセン(=アルストロメリア)の群落でスズバチOreumenes decoratus)が訪花していました。 
この組み合わせは初見です。  
初めは花筒の奥に潜り込む正当訪花で吸蜜していたのですが、隣の花では盗蜜行動に切り替えました。(訪花行動のスイッチ) 
花筒の外側で根元の隙間から蜜腺を舐める盗蜜行動をすると雄しべや雌しべに体が一切触れませんから、花の受粉に関与しません。 
ハナバチに限らず狩りバチでも機会があれば盗蜜行動するというのは、各個体が学習した成果なのでしょうか? 

ところが、盗蜜を始めたスズバチが、なぜか慌てたように落下してから飛び去りました。 
もしかすると、花筒の中に潜んでいた先客のアリに噛まれたのかもしれません(想像)。

2020/09/13

スイートピーの花で盗蜜するフタモンアシナガバチ♀



2020年7月上旬・午後15:15頃

民家の庭に咲いたスイートピーの群落でフタモンアシナガバチPolistes chinensis antennalis)のワーカー♀が訪花していました。

驚いたことに、スイートピーの蝶形花に正当訪花で吸蜜するのではなく、盗蜜行動をしていました。
花弁の根元、萼との境界付近を外側から長々と舐めています。
花弁の根元を食い破って(または口吻を突き刺して)蜜腺を外から直接舐める穿孔盗蜜だと思うのですけど、残念ながら肝心の口元がよく見えません。
アブラムシの甘露を舐めている可能性も頭によぎりましたが、スイートピーの群落にアブラムシのコロニーは見当たりませんでした。
スイートピーに花外蜜腺があるという話は聞いたことがありません。

やがてフタモンアシナガバチ♀はスイートピーの花から花へ次々に渡り歩き始め、ようやく蝶形花の開口部を見つけて潜り込みました。(正当訪花)
つまり、フタモンアシナガバチ♀はスイートピーで吸蜜するために盗蜜行動と正当訪花を自在に切り替えることが可能と分かりました。


▼関連記事(7年前の撮影)
ユリズイセンに訪花するフタモンアシナガバチ♀2つの採餌戦略(正当訪花/盗蜜)

最後は身繕いしてから飛び立ちました。
スイートピーのすぐ横には、狩蜂が大好きな蜜源植物として知られるノブドウの花も咲いているのに、なぜかこの蜂はスイートピーの花に夢中でした。



▼関連記事(6年前の撮影)
スイートピーの花蜜を吸うクマバチ♀

クマバチは盗蜜行動の常習犯なのですが、マメ科の蝶形花を攻略することに長けているので、正当訪花していました。


2020/09/10

ユリの花蜜を吸うコアシナガバチ♀



2020年7月上旬・午後15:30頃・くもり

民家の裏庭の花壇に咲いた黄色いユリ(園芸種)にコアシナガバチPolistes snelleni)のワーカー♀が訪花していました。
初めは正当訪花せず、花筒の外から根元を舐めていました。
盗蜜行動に見えたので、盗蜜マニアの私は慌てて動画を撮り始めたのです。※
しかし大顎を使った本格的な穿孔盗蜜ではなさそうです。
隣り合う花弁がぴったり閉じた隙間から微量の蜜が滲み出しているのでしょうか?
ユリの芳香に誘われてきた昆虫にとってユリの花は巨大過ぎるようで、花の入り口が見つからず迷子になっているだけかもしれません。

コアシナガバチ♀は飛び立つと、隣に咲いた別の品種のユリの花に移動しました。
ピンクの花弁の内側に赤い斑点を散りばめているので、カノコユリと似ていますが、おそらく外来の園芸品種でしょう。

ここでもコアシナガバチ♀は花筒の外側を徘徊して蜜腺を外から舐めたりしています。(盗蜜行動?)
イモムシを狩るための探餌徘徊ではなさそうです。

ようやく花弁の内側に回り込み、中に潜り込みました。(正当訪花)
花弁の表面には雨上がりの水滴が付着しているものの、蜂はその水を飲みませんでした。

花筒の一番奥ではなく、その少し上で花弁の内側をじっくり舐めているのが不思議でした。
ここにユリの蜜腺があるのですかね?

つづく→ユリの花に来たコアシナガバチ♀に噛み付くクロヤマアリ♀


※ ユリズイセン(=アルストロメリア)という園芸植物(ユリ科ではなくユリズイセン科)の花は、花筒の根元がだらしなく開いて隙間だらけのため、訪花するハチ類は盗蜜し放題になっています。


▼関連記事(7年前の撮影)
ユリズイセンを訪花するコアシナガバチ♀?
このときも盗蜜行動を疑ったのですが、しっかり観察できていません。
ちなみに、フタモンアシナガバチ♀がユリズイセンで盗蜜する様子は何度も現行犯で動画撮影できました。
一方、今回のユリの花筒は根元も花弁がぴったりと閉じているので、蜂による穿孔盗蜜を疑った次第です。




2020/09/06

キンギンボクの花で穿孔盗蜜するクマバチ♀



2020年6月中旬・午後13:20頃・くもり

農地を囲む防風林と用水路の間の林縁にひっそりと咲いたキンギンボク(別名ヒョウタンボク)キムネクマバチ♀(Xylocopa appendiculata circumvolans)が忙しなく訪花していました。

頭楯が黒い♀なのに、後脚の花粉籠は空荷でした。
もしやと思い訪花シーンをよく観察すると、吸蜜のために花筒の狭い入り口に顔を突っ込む正当訪花ではなく、毎回盗蜜していました。
未だ開花していない蕾からも穿孔盗蜜しています。
ハイスピード動画でも盗蜜行動をじっくり撮りたかったのですが、残念ながら薄暗い林縁だったので諦めました。(光量不足)


▼関連記事(1年前の撮影)
キンギンボクの花で採餌するクマバチ♀
当時はてっきり普通の正当訪花かと思い込んでいたのですけど、映像をしっかり見直すと、実はこのときも盗蜜していました。
たまにこういう新しい発見(解釈の訂正)があるので、動画に撮影済みの組み合わせでも飽きずに毎年一度は撮り直してみる価値がありそうです。

とにかく、一例を見ただけで何かを結論付けるのは危険です。

キンギンボクの送粉者を突き止めるのも今後の課題です。




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