2021年7月中旬・午後16:20頃・晴れ
民家の庭の生垣として植栽されたアベリア(別名ハナツクバネウツギ、ハナゾノツクバネウツギ)の白い花が満開に咲いています。
そこにクロマルハナバチ(Bombus ignitus)のワーカー♀が訪花していました。
複数個体がブンブン♪と羽音を立てて飛び回っています。
吸蜜法をよく観察すると、花筒の入り口から顔を突っ込んで口吻を差し込んではいません。
つまり、正当訪花する個体は1匹もいませんでした。
ラッパ状の花筒の根元に外側から蜜腺を狙って口吻を突き刺す穿孔盗蜜を毎回繰り返していました。
雄しべや雌しべに体が全く触れませんから、アベリアの花の受粉に寄与しません。
したがって、クロマルハナバチ♀の後脚の花粉籠は当然ながら空荷でした。
アベリアにしてみれば、せっかく送粉者への報酬として用意した花蜜が盗まれ損になります。
クロマルハナバチの盗蜜行動自体は既にFHD動画で撮影済みです。
関連記事(4年前の撮影)▶ アベリアの花で盗蜜するクロマルハナバチ♀今回は240-fpsのハイスピード動画でも撮ってみました。(@1:34〜)
アベリアの花筒の根元には盗蜜痕が残り、傷口が薄い褐色に変色しています。
花筒に小さな盗蜜痕が既にある場合、クロマルハナバチ♀は目敏く見つけてそこに口吻を差し込んでいます(二次盗蜜者)。
無傷の花筒に一番乗りで盗蜜する場合は大顎で噛み傷を付けるのではないかと推察されるのですが、そのような一次盗蜜者の行動を私は未だしっかり観察できていません。
隣の花へ移動する際は、わざわざ飛ばずに歩いて行きます。
次の花へ向かう途中、空中でホバリングしながらなぜか左右の後脚を互いに擦り合わせていました。
本当に面白いのは、この先の話です。
つづく→
【追記】
石井博『花と昆虫のしたたかで素敵な関係 受粉にまつわる生態学』という本のp190に「アベリアの花のつけ根に穴を開けて強奪型の盗蜜をするクロマルハナバチ」と題した見事な生態写真が掲載されていました。
花の破壊を伴わないタイプの盗蜜行為を「窃盗型盗蜜(または泥棒型盗蜜)」というのに対し、花筒の横に顎(または嘴)を使って穴を開け、そこから花蜜を吸うタイプの盗蜜を「強盗型盗蜜(または略奪型盗蜜)」といいます。(p189より)
0 件のコメント:
コメントを投稿