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2024/09/17

キバナノアマナの花蜜を吸うキマダラハナバチの一種【FHD動画&ハイスピード動画】

 

2023年3月下旬・午後14:40頃・晴れ 

河畔林の林床に咲いたキバナノアマナの群落でキマダラハナバチの1種(Nomada sp.)が訪花していました。 
小さくてもカラフルな蜂で、口吻を伸ばして吸蜜しています。 
他のハナバチ類に労働寄生する仲間なので、たとえ♀でも集粉しませんし、後脚に花粉籠はありません。 
咲きかけの蕾にも訪花しています。 

キバナノアマナの花から飛び立つ瞬間を狙って、240-fpsのハイスピード動画でも撮ってみました。(@0:42〜) 


【アフィリエイト】 

2024/07/23

ゴマナの花蜜を吸い身繕いするシナヒラタヤドリバエ

 

2023年10月中旬・午後13:45頃・晴れ 

里山の林道脇に咲いたゴマナの群落で丸っこい体型の見慣れないハエが忙しなく訪花していました。 
花蜜や花粉を舐めていますが、ようやく落ち着いてくれた後半のシーンはただの休息や日光浴かもしれません。 
食事の合間に花から少し飛ぶと、近くのゴマナの葉に止まり直し、化粧していました。 

Googleレンズで画像検索すると、ヤドリバエ科のシナヒラタヤドリバエPhasia sinensia)と判明しました。 
カメムシに寄生するのだそうです。 


【アフィリエイト】 

2024/07/19

チャイロスズメバチ♀が林道で探餌飛翔

 

2023年9月下旬・午後13:35頃・くもり 

山林を登る砂利が敷かれた林道でチャイロスズメバチVespa dybowskii)のワーカー♀が飛び回っていました。 
草が疎らに生えた道端を低空で飛び回り、獲物を探索しているようです。 
ホバリング(停空飛翔)のようにゆっくり飛ぶので、なんとか流し撮りすることができました。 

耳を澄ますと、チャイロスズメバチ♀が羽ばたく羽音がかすかに聞こえます。 
チャイロスズメバチの羽音は、オオスズメバチやクマバチのような重低音ではなく、音程が高くて本当にハエのようです。 
おそらくチャイロスズメバチの羽ばたきは他の蜂よりも速いはずですが、ハイスピード動画で撮って比べれば違いが分かるはずです。
慣れてくると、この特徴的な羽音を聞いただけで、チャイロスズメバチが近くを飛んでいることが予想できます。 

※ 蜂の羽音が聞き取れるように、動画編集時に音声を正規化して音量を強制的に上げています。 


チャイロスズメバチ♀の探餌飛翔を1/5倍速のスローモーションでリプレイ。(@1:05〜) 
いつか狩りの決定的瞬間を撮るには、探餌飛翔を愚直に撮り続るしかありません。 

関連記事(5年前の撮影)▶ チャイロスズメバチ♀の探餌飛翔

2024/07/13

タケリタケを見つけた!【キノコ】

 

2023年9月下旬・午後12:30頃・くもり 

里山で雑木林を抜ける細い山道の横、コケの生えた所から真っ白な男根状のキノコが2本にょっきり伸びていました。 
採寸する代わりに右手を添えてみます。 
キノコに疎い私はてっきり未熟なスッポンタケかと思ったのですが、粘液は分泌されておらず、表面は乾いていました。 
私の鼻では無臭で、ハエなども集まってきていませんでした。

立派な方をGoogleレンズで画像検索してみたら、タケリタケHypomyces hyalinus)と判明しました。 
手元にあるキノコ図鑑には載ってない種類なのですが、他のキノコに寄生して成長するボタンタケ科ヒポミケス属のキノコらしい。 
もう1本の小さな赤みのあるキノコの画像で検索すると、ベニイグチがヒットしました。 
画像検索がどれだけ当てになるか分かりませんが、オニイグチ科のベニイグチを宿主として寄生したタケリタケが育ったのでしょうか? 
しかし、今回見つけたキノコの形状はテングタケ類を宿主とした場合の「タケリタケ(猛り茸)」と似ています。 

成長過程を微速度撮影してみたくなり、トレイルカメラを設置しようか迷いました。 
しかし、ここは登山客が往来する山道なので諦めました。 
こういうときに、興味があるキノコを周囲の土ごと掘り返して別な場所に移植しても、上手く育つのでしょうか? 
やってみたことはないのですが、土壌環境や微気象が変わると菌糸の本体が弱ってしまう気がします。 


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2024/06/11

身繕いしてから飛び去るキナコハリバエ【FHD動画&ハイスピード動画】

 

2023年9月中旬・午後12:45頃・くもり 

里山で荒れた林道を歩いていたら、見慣れないハエが太い丸太の断面に止まっていました。 
法面に生えていた朽木が根こそぎ風倒して山道を塞いでいたので、通行できるように一部をチェーンソーで切断したようです。 

体色がこんなに黄色っぽいハエを見たことがありません。 
背景の年輪が黄土色なので、よく紛れて保護色になっています。 
翅の前縁は黒味がかっています。 
体型が寸詰まりというか、やや頭でっかちに見えました。 

後脚同士を擦り合わせた後は前脚で複眼を念入りに拭っています。 
しばらく休んでから、今度は前脚同士を擦り合わせ始めました。 

調べてみると、どうやらヤドリバエ科のキナコハリバエSenometopia excisa)のようです。 
確かに名前の通り、「きな粉」をまぶしたような色のハエです。
白いキノコが生えかけた朽木に来ていたことに何か意味があるかと初めは思いました。(※ 追記参照)
しかしヤドリバエ科ということは、朽木と関係なくて、虫に寄生するのでしょう。 
寄主はマツカレハなど蛾の幼虫なのだそうです。
(ヤドリバエ科のハエは、左右の複眼が離れていても♀とは言えない?) 

朽木の断面から飛び立つ瞬間を狙って240-fpsのハイスピード動画でも撮ってみました。(@1:40〜) 
鬱蒼とした森の中はかなり薄暗かったので、カメラの設定で明るくしてから撮影したのですが、それでも暗いです。 
なかなか自発的に飛んでくれないため、痺れを切らした私はキナコハリバエの近くで手を振って飛び立たせました。 
あまりにも素早いので更に1/4倍速のスローモーションでリプレイしてみると、手前に向かって蛇行するように高速で逃げていました。 


※【追記】
後で思いついたのですが、もしもこの朽木がアカマツだとすると、切断されたことでマツ特有の芳香(松脂臭?)が辺りに漂い、キナコハリバエは本能でその匂いに誘引されたのかもしれません。
マツ類の生木さえ見つければ、マツカレハの食樹ですから、その葉を丹念に探索すれば、寄主であるマツカレハDendrolimus spectabilis)の幼虫を見つけるのは容易でしょう。


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2024/05/02

ホンドタヌキの溜め糞場に誘引され新鮮な糞を食すオオヒラタシデムシ

 

2023年8月上旬・午後12:00頃・晴れ 

防風林のスギ倒木横にあるホンドタヌキNyctereutes viverrinus)の溜め糞場phを定点観察しています。 
スギの落ち葉が堆積した林床を1匹のオオヒラタシデムシNecrophila japonica)成虫が溜め糞場phに向かって歩いて来ました。 
新鮮な糞便臭を触角で嗅ぎ取って誘引されたのでしょう。 
 溜め糞上で獲物を待ち伏せしていた肉食性のサビハネカクシOntholestes gracilis)は慌てて逃げ、糞塊の小穴に潜り込みました。 
頭かくして尻隠さず。 
体が大きくて硬い鞘翅で守られたオオヒラタシデムシは、サビハネカクシが狩る対象にはならないようです。

溜め糞の縁に辿り着くと、オオヒラタシデムシは直ちに新鮮な糞を食べ始めました。 
咀嚼する口器の動きがしっかり見えます。 
いつも背側から見下ろすように撮影していたので、食糞シーンは初見です。 

オオヒラタシデムシの体表に付着した赤ダニ(種名不詳)が何匹も動き回っています。 
このダニはシデムシに寄生しているのではなく、ただ便乗(ヒッチハイク)しているだけです。 
…と言われているのですが、溜め糞や死骸などの新天地に辿り着いた後で赤ダニがシデムシの体から降りるシーンを私は未だ見たことがありません。 


関連記事(7年前の撮影)▶ オオヒラタシデムシに便乗するダニ 


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以下の写真は、同じ日に撮った溜め糞場phの様子です。
動画撮影を優先してから写真撮影のために近づくと、溜め糞に集まっていた虫がすべて逃げてしまいました。

2024/03/24

山道で死んでいたオオスズメバチ♀の謎

2023年7月上旬 

里山の急峻な山道でオオスズメバチ♀(Vespa mandarinia japonica)の死骸を見つけました。 
複眼が白く変色しています。 
足先以外は目立った外傷や破損がありませんし、おそらく昆虫病原菌や虫カビに感染して斃死したのでしょう。 
いつ死んだのか、死亡時期が私には分かりません。 
昨シーズンのワーカー♀が死んで雪の下に埋もれていたとしたら、夏までに死骸がここまできれいに残らず分解されてしまう気がします。 
例えば、なぜアリが群がってオオスズメバチ♀の死骸を解体し巣に持ち去らなかったのか不思議です。
それとも越冬明けの創設女王が感染してしまったのでしょうか。 
心臓破りの急坂を登る途中だったため、体長を採寸するなどじっくり調べる余力がありませんでした。 

素人目には、これから冬虫夏草の一種ハチタケが育ちそうな予感がしたのですけど、定点観察に通えばよかったですね。 
しかし山道の真ん中に転がっていたので、たまに往来する登山客やタヌキなどの野生動物に踏まれてしまいそうです。 
かと言って、もしオオスズメバチの死骸を採集して持ち帰ったとしても、室内でハチタケが成長できる最適の培養条件(温度、湿度)が分かりません。

2024/03/16

セイヨウタンポポの花蜜を吸うウラギンヒョウモン♂と謎の寄生蜂

 

2023年6月中旬・午前9:10頃・晴れ 

水田の畦道に咲いたセイヨウタンポポウラギンヒョウモン♂(Fabriciana adippe)が訪花していました。 
この組み合わせは初見です。
タンポポの頭花に乗ってゆっくり回り、翅を軽く開閉しながら長々と吸蜜しています。 
前翅の表側に性斑(性標)の黒条が見えたので♂と分かります。 

撮影中には気づかなかったのですが、長い産卵管を持つ黒くて小さな寄生蜂♀(コマユバチ科?)が同じセイヨウタンポポ頭花に何度も飛来、訪花していました。 
小さい寄生蜂の存在をウラギンヒョウモン♂は全く気にせず(眼中になく)、花蜜に夢中です。 
蝶の成虫に産卵するタイプの寄生蜂♀を私は見聞きしたことがありません。 
訪花中のウラギンヒョウモン♂に謎の寄生蜂♀は積極的に近づいたり触れたりしませんでした。 
チョウの♀が食草に産みつけた直後の卵に産卵するために、寄生蜂♀がチョウ♀を尾行しているとしたら非常に面白いのですが、今回のウラギンヒョウモンは♂です。 
卵に産卵するタイプの寄生蜂の産卵管は、これほど長くない気がします。 
なんとなく、鱗翅目(チョウ・ガ)の幼虫や蛹に産卵するタイプの寄生蜂のような気がします。 
したがって、今回撮れた2種のニアミスは偶然(たまたま)だと思います。 

最後にようやく飛び立ったウラギンヒョウモン♂は、すぐに同じセイヨウタンポポ頭花に舞い戻りました。 
よほど花蜜の量が多いのでしょう。 
周囲の湿地帯からオオヨシキリ♂(野鳥)やヒヨドリの鳴く声♪が聞こえます。 

寄生蜂の思わせぶりな行動をじっくり見るために、1/5倍速のスローモーションでリプレイしてみましょう(@3:00〜)。 
複数(2、3匹)の寄生蜂が繰り返し飛来していました。 
隣のタンポポの葉に一旦止まって様子を窺っている個体もいます。 
田んぼの畦道には他にも花が点々と咲いているのに、なぜ寄生蜂は特定のセイヨウタンポポの頭花に複数個体が集まり、しかも執着しているのでしょうか? 
そう考えると、やはり吸蜜中のウラギンヒョウモン♂に寄生蜂♀は興味があるのだろうと思いたくなります。 
タンポポの花に潜り込んで吸蜜していた寄生蜂が飛び上がり、ウラギンヒョウモン♂の前翅に一瞬だけ着地していました。(@3:53〜) 
果たしてこの接触事故は偶然でしょうか? 
蝶にぶつかったのは一度だけですから、蜜源植物を巡って占有行動をしている、つまり寄生蜂♀が自分よりもはるかに大きな蝶に体当りしてタンポポの花から追い払おうとしている、とは考えられません。
もしも、蝶の翅にぶつかった瞬間に寄生蜂♀が素早く産卵していたら、大発見です。 
しかし蝶の成虫に体内寄生しても、寄主の寿命が短ければ寄生蜂の幼虫が無事に育つのは難しいでしょう。 
私が気づかなかっただけで、実はこのセイヨウタンポポの花には寄生蜂♀の本来の寄主である何か幼虫(イモムシ、毛虫)が潜んでいたとか、その食痕があったのかもしれません。


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2024/01/17

タヌキの溜め糞場で多数のダニに寄生されたエンマムシの一種

 

2023年5月下旬・午前11:30頃および午後13:15頃 

平地のスギ防風林にホンドタヌキNyctereutes viverrinus)が残した巨大な溜め糞場wbc-1を定点観察しています。 

今回私の目を引いたのは、1匹の真っ黒な甲虫(成虫)です。 
体表に赤っぽいダニ(種名不詳)が多数群がっていました。 
ダニは体外寄生や吸血性というよりも、ただヒッチハイク(運搬共生、便乗)しているだけかもしれません。 
この甲虫は何でしょう? 
どなたか教えていただけると助かります。 
てっきりタヌキ溜め糞場では常連のセンチコガネPhelotrupes laevistriatus)かと思ったのですが、ハネカクシのように鞘翅が短く腹端が露出していることに気づきました。 
その点でクロシデムシを連想しました。
体表に多数のダニが集ったクロシデムシの写真がネット上には多数公開されています。
しかし、クロシデムシにしては触角が違いますし、死肉食性のクロシデムシが獣糞に来るという話も聞いたことがありません。
同定のため謎の甲虫を採集すべきでしたが、採集道具を何も持ってこなかった私が「どうしよう? どうしよう?」と焦っている間に、溜め糞の中に潜り込んでしまいました。
こういうときに躊躇なく素手で捕獲できるのが筋金入りの虫屋なのでしょう。 
私はまだまだ修行が足りません。

【追記】
YouTubeのコメント欄にて、H720316氏から「ダニだらけの甲虫はエンマムシの仲間かな?」とのコメントを頂きました。
画像検索してみると、多数のダニのたかったエンマムシの写真がいくつかヒットします。
Yahoo知恵袋で他の人が写真鑑定してもらった回答が参考になったので、引用させてもらいます。
ダニの集団です。シデムシなどにもよく付着している肢が長めで全身が褐色のダニ(種は不明)と同じものと思われ、昆虫に寄生しているのではなく死体にわくウジを餌としており、自力では移動能力に乏しいため飛翔できる昆虫の体表にしがみついて乗り物として利用し、目的となる死骸に移動するものとされています。シデムシと異なりエンマムシは体表がツルツルした部分が多く上翅も体とぴったり組み合わさり隙間が少ないため、しがみつける場所が腹端くらいしかなかったのでしょう。
なおシデムシは死体を訪れて腐肉を食べるため、このダニを連れていくことで餌を巡って競合するウジを食べてもらうという双利共生の関係があるとされていますが、エンマムシの場合はダニと同じくウジを餌とするため、そのような関係には当たらないことになります。尤も死体には大抵エンマムシが食べきれないほどのウジが発生するので、餌を巡る競合までは起こらないと思われます。


溜め糞場wbc-1で多かったのは、クロボシヒラタシデムシOiceoptoma nigropunctatum)の成虫と幼虫でした。 
クロボシヒラタシデムシの幼虫は三葉虫のような奇怪な形をしています。 
様々なハエ類も集まっていましたが、真面目に検討していません。 

それよりも、どこか近くでずっと鳴いている鳥の美声が気になりました。 
調べてみると、森林性のクロツグミ♂(Turdus cardis)の囀りさえずりのようです。 
他にはキジ♂(Phasianus versicolor)が近くの農地(休耕地?)でケンケーン♪と縄張り宣言の母衣打ちほろうち♪をする鳴き声も聞こえました。 

※ 前半部はかなり薄暗くてぼんやりした映像だったので、動画編集時に自動色調補正を施しています。 
色合いが少しどぎつく強調されてしまったかもしれません。

帰路に現場を再訪したら、近くにもう一つ別な溜め糞wbc-2を発見しました。 
隣の溜め糞wbc-1よりも規模は小さいものの、新鮮な糞が追加されていました。 
クロボシヒラタシデムシの成虫および幼虫が群がって活動しています。 
現場では気づかなかったものの、写真にはサビハネカクシOntholestes gracilis)らしき姿も1匹写っていました。

2023/12/21

セイヨウタンポポの花蜜を舐めるセスジハリバエ【FHD動画&ハイスピード動画】

 

2023年5月上旬・午前11:20頃・晴れ 

山麓の道端に咲いたセイヨウタンポポの群落でセスジハリバエTachina nupta)が訪花していました。 
花の上でクルクルと自ら向きを変えながら、花蜜や花粉を舐めています。 
伸ばした口吻を深く差し込んでいることが分かります。 
花から飛び立つ瞬間を狙って、240-fpsのハイスピード動画でも撮ってみました。(@1:06〜) 

この組み合わせは初見です。 
タンポポの総苞片が反り返っていたので、帰化植物のセイヨウタンポポでした。

2023/07/15

砂地の地面を尾端で叩いて回るスキバツリアブ♀(産卵行動?)

 

2022年7月中旬・午前10:10頃・晴れ 

川沿いの堤防路(ダートロード)で砂地の部分にスキバツリアブ♀(Villa limbata)が降り立っていました。 
スキバツリアブはてっきり山地性と思っていたので、こんな平地(郊外と田園地帯の間)でも会えるとは意外でした。 

ホバリングの名手が地上で羽ばたきを止め、尾端を小刻みに上下して地面に付けています。 
本種の♀は産卵前に予め取り込んだ細かい砂で卵をまぶしておくのだそうです。 
途中で少し飛んであちこち移動してから、再び尾端接地行動を繰り返します。 
平べったい石の上では尾端接地行動をしないですぐに飛び立ちました。
定説に反して、実はこれが産卵行動なのでは?と私は密かに疑っています。 
撮影後に現場の砂を掻き分けて微小な卵を探し出し、飼育できたら証明になるのですけど、想像するだけでも難しそうです。
私の仮説が正しければ、この辺りにスキバツリアブの寄主となる地中営巣性のハナバチ類の巣穴があるはずです。
それとも、尾端接地行動した後の♀を追跡して観察すれば、産卵行動が見れるのでしょうか? (私は未だ見たことがありません。) 
本当の産卵はホバリングしながら卵を散布するのかな?

 

2023/07/10

芝生の巣穴で離着陸を繰り返すモンスズメバチ♀【FHD動画&ハイスピード動画】

 



2022年8月上旬・午後14:20頃・晴れ 

河川敷で芝生エリアを囲む縁石の横にあるモンスズメバチVespa crabro)の巣穴bを定点観察しています。 
この日は満を持して三脚を持参し、巣穴に出入りするワーカー♀の離着陸を真上からじっくり長撮りしてみました。 
今回の目標は、ワーカー♀が巣内に持ち込む団子が巣材のペレットなのか、それとも獲物を狩った肉団子なのか、見極めることです。 
モンスズメバチはセミを狩るのが得意だと言われていますが、私は未だ実際に狩りの様子を見たことがありません。 
周囲の河畔林からアブラゼミ♂とミンミンゼミ♂がやかましく鳴く蝉しぐれ♪が聞こえてきます。 
巣穴に搬入する肉団子を見ただけでは獲物を同定できないだろうと思うのですが、とにかく観察してみましょう。 
蜂を毎回採寸する代わりに、巣口の横に1円玉(直径20mm)を並べて置きました。 
モンスズメバチ♀の離着陸を240-fpsのハイスピード動画でも撮ってみました。(@3:33〜) 

炎天下の撮影は過酷で、日傘が欲しくなります。 
私は日陰に移動すれば暑さを凌げますが、動画の長撮りを繰り返すとカメラがオーバーヒートして、冷めるまでしばらく使えなくなります。 
携帯ファンで積極的にカメラを空冷すべきかもしれません。 
(試してませんが、ファンの騒音を蜂が嫌うかな?) 

 


蜂を個体標識していないので、計何匹のワーカー♀がこのコロニーで活動しているのか分かりません。 
巣口から出てきても、うろうろと警戒しただけで巣内に戻る個体は門衛なのでしょう。 
3匹の蜂が続けざまに巣口から飛び去ったことがあったので、少なくとも3匹のワーカー♀が居ることが分かります。 
腹部が少し湾曲している個体は、軽い奇形なのかな?  
スズメバチネジレバネXenos moutoni)に寄生されている可能性が考えられます。
ここで問題が発生しました。 
黒い三脚の脚を長く伸ばして巣穴の真上に設置したので、モンスズメバチ♀が次第に警戒し、機嫌が悪くなり始めたのです。 
日本でスズメバチの巣を襲う一番の天敵は体毛の黒いツキノワグマと頭髪が黒いヒト(日本人)です。
したがって、国産のスズメバチは自分たちの巣を守るために、黒い物に対して特に警戒・攻撃するように進化しました。 
スズメバチを観察する際は、必ず全身を白っぽい服装に身を包み、帽子や白タオルで頭の黒髪を覆う必要があります。 
外役ワーカー♀はその日初めて出巣した直後に、巣穴の位置を記憶するためにホバリングしながら扇状に定位飛行します。 
巣穴の上に覆いかぶさるように置かれている真っ黒な三脚という露骨に怪しい物体を見つけた蜂が攻撃的になったのは当然です。 
警戒フェロモンを放出したかもしれません。 

外役ワーカー♀は巣材集めや獲物を狩りに出かけるどころではなくなり、私が目的とする行動を撮影できなくなってしまいました。 
蜂が忙しなく帰巣しても空荷でした。 
着地の瞬間に前脚も万歳すれば空荷で帰巣したと分かります。 
(前脚は手ぶらでも、口に咥えていたら背面からでは運搬物が見えない?) 

巣の横に立って見ていた私の体にも、まとわりつくように蜂が飛び回るようになりました。 
手を振り回したりしないで落ち着いてゆっくり後退しても、モンスズメバチ♀はしつこく追いかけてきます。 
飛びながら大顎をカチカチ♪鳴らす警告音は聞き取れませんでした。 
営巣地から充分に離れると蜂も許してくれ、私から離れて行きます。 
スズメバチ専用の物々しい防護服を着用していなくても、スズメバチの習性と対処法を知っていれば、刺されずに済みます。 
カメラが1台しか無いので、複数のモンスズメバチ♀が三脚や私に対してしつこくまとわりつくように飛び回る様子を動画に記録できず、残念でした。 

スズメバチの撮影で黒い三脚を使うのは良くないと、改めて(身を持って)知りました。 
三脚を白く塗装してしまうと他の目的に使いにくくなりますから(野外で目立ち過ぎる)、白色や迷彩柄のビニールテープを三脚に巻けば良かったかもしれません。 
あるいは、黒ではなく銀色の三脚を使えばよかったですね。
その一方で、巣口の横に置いたピカピカ光るアルミ製の1円硬貨に対してモンスズメバチ♀は無反応でした。 

地中営巣性のスズメバチが巣穴から離着陸する様子を動画撮影するには、前回やったように、巣穴のすぐ横の地面にカメラを置いてローアングルから撮影するのが一番良さそうです。 
巣に持ち帰る肉団子や巣材をしっかり観察するには、上から見下ろすのではなく横からのアングルでハイスピード動画に記録するべきです。 
私のカメラ本体は黒いのですが、上から迷彩柄のバンダナを被せてやると、蜂は落ち着いてくれました。 




この巣穴bでモンスズメバチのコロニーを定点観察できたのは、これが最後でした。 
河川敷の芝生や雑草が綺麗さっぱり刈られた後、モンスズメバチの活動は無くなってしまいました。 
巣口は干し草の山に覆われていました。
こうなるだろうと半ば予想(覚悟)していたとは言え、観察したいテーマが他にもまだ色々あったので、残念でなりません…。 


枯れ草の山を掻き分けて見つけた巣口b


モンスズメバチの巣をてっきり誰かに駆除されてしまったとばかり私は思い込んでいたのですが(被害妄想?)、後になって別の可能性もあることに気づきました。 
翌年の晩春に河川敷で作業する芝刈りカーを初めて見ました。 
回転する刃を人力で左右に動かすことで草刈りするタイプではなく、ゴルフカートのように一人が運転して走り回るだけできれいに草刈りしてくれるタイプでした。 
この芝刈り機なら効率良くあっという間に草が刈れるので、モンスズメバチの巣穴の上を通り過ぎても、蜂に攻撃されないかもしれません。 
(振動と騒音でやはり蜂は怒るかな?) 
最近ではルンバのように無人で自動芝刈りするロボットも開発されています。
もしかすると、モンスズメバチが営巣を止めたのは駆除されたのではなくて、芝刈りの結果、営巣地周辺の景色が激変して外役ワーカー♀が迷子になり、帰巣できなくなってコロニーが衰退滅亡したのかもしれません。 

つづく→

2023/06/05

深夜の林床で居眠りする野ネズミの謎【トレイルカメラ:暗視映像】

 



2022年11月上旬・午前2:40頃 

深夜の河畔林でニセアカシアの根元に野ネズミ(ノネズミ)が現れました。 
画面左上の赤丸の位置に注目して下さい。 
初めはキョロキョロと左右を見て警戒しているようでしたが、一箇所に留まって一体何をしているのでしょう? 
採食中なら後ろ姿でも動きでなんとなく分かるはずです。 

赤外線の暗視映像で白く光る目が次第にトロンと閉じてきました。 
採食活動や貯食行動に疲れて居眠りしているのかな?
休みたいのなら安全な隠れ家や巣穴に行くべきです。 
フクロウやテンなど夜行性の捕食者に襲われるリスクがあるのに、こんな無防備な場所で野ネズミが居眠りするとは驚きました。 
トレイルカメラの録画が1分間で終わってしまい、野ネズミが再び覚醒して立ち去るまで見届けられませんでした。

以下は聞きかじりの知識なのですが、トキソプラズマという寄生虫がいます(単細胞の原生動物)。
ネズミがトキソプラズマに寄生されると脳が冒され、天敵であるネコの尿に警戒感を示さず食べられやすくなるそうです。 
つまり、トキソプラズマに感染したネズミは自身の捕食者であるネコに対して恐怖心を抱かなくなるそうです。 
その結果、トキソプラズマは中間宿主のネズミから終宿主のネコの体内に移行、寄生することができるのです。 
これは寄生虫が宿主の行動を操作・干渉する一例として有名です。 

もしかすると、今回の野ネズミはトキソプラズマに感染して天敵への恐怖心が薄れてしまった個体なのではないかと勝手に妄想しました。
それとも、野ネズミが採食活動の合間にこうして断続的に短時間の居眠りをするのは、ごく普通のことなのでしょうか? 
(野ネズミは超ショートスリーパー?)

※ 動画編集時に自動色調補正を施しています。 


2023/06/03

キマダラハナバチの1種の飛び立ち

 

2022年6月中旬・午後15:40頃・ くもり

道端の休耕地にて、カラフルで小さな蜂が地面の枯草に乗っていました。 
他のハナバチ類に労働寄生するキマダラハナバチの1種です。 
翅を半開きにしたまま休んでいます。 
この角度では頭楯の色がよく見えないので、性別も分かりません。 

クロヤマアリFormica japonica)のワーカー♀が近づいてくると、嫌がった蜂が飛び去りました。 
飛び立つ瞬間を1/5倍速のスローモーションでリプレイ。 
珍しいキマダラハナバチをじっくり接写できなくて、残念無念。

撮影直前にこの蜂は道端で訪花していたのですが、花の種類を覚えてません…。

2023/03/13

飛べ!ニトベベッコウハナアブ♀

 

2022年9月中旬・午後14:40頃・くもり 

砂利が敷かれた山道でニトベベッコウハナアブ♀(Volucella linearis)が小石の上に乗っていました。
このハナアブはチャイロスズメバチにそっくりで、いつ見ても心躍ります。 
レアな種類のスズメバチに擬態するメリットはあまり無いと思うので、ベーツ型擬態ではない気がします。
カメラを向けたらすぐ自発的に飛び去ってしまいました。 
飛び立つ瞬間を1/5倍速のスローモーションでリプレイ。 


つまり本種が居るということは、自然界のバランスが比較的よく保たれた山林ということになります。

2023/02/19

タヌキの溜め糞を舐めて吸汁するヨコジマオオハリバエ

 

2022年9月中旬・午後13:25頃・晴れ 

里山の尾根道にもホンドタヌキNyctereutes viverrinus)の溜め糞場cがあります。 
利用しているタヌキの個体数が少ないのか訪問頻度が低いのか分かりませんが、私が定点観察に通っても新鮮な糞がなかなか見つかりません。
昨年短期間だけトレイルカメラを設置したものの、すぐに撤去してしまいました。 
この溜め糞場は自然消滅した(使われなくなった)と一時は考えていました。 
もしかすると気温の高い時期は糞虫らの分解活動が活発で、たちまち食べられたり埋められたりするために、糞塊が残りにくいのかもしれません。 
尾根道にあるということは、溜め糞調査のために私が麓から登り始めても標高が低い地点の溜め糞から順に調べていくと、尾根に到着する時刻がどうしても遅くなってしまいます。
夜行性のタヌキが排便した溜め糞を新鮮なうちに(糞虫に処理される前に)観察するためには、午前中の早い時間に現場入りする必要があるのです。

この日は珍しく立派な糞塊が残されていました。
少しだけ離して2箇所に排便しています。 
全く同じ地点に溜め糞場が復活したということは、同一個体のタヌキが戻って来て過去の記憶を頼りに溜め糞するようになったのでしょうか?
強烈な糞便臭が辺りに漂い、否が応でも気づきました。
これがタヌキ特有の匂いなのでしょう。 
(不思議なことに、他の溜め糞場ではあまり臭いと感じたことがありません。) 
様々なハエ類がタヌキの糞塊に群がっていました。 

まず注目したのは、単独で来ていたヨコジマオオハリバエTachina jakovlevi)という寄生バエです。 
本種が獣糞を吸汁する様子は初見です。
背側から見下ろすように撮影したので、肝心の口吻の動きがよく見えませんでした。
したがって、♀が獣糞に産卵していたという可能性も考えられます。 (ヨコジマオオハリバエの性別の見分け方を私は知りません。)
ヨコジマオオハリバエは寄生バエですから、獣糞に産卵するはずがありませんね。
真横から撮りたくても、私が下手に動くとハエはすぐに飛び去ってしまうので、ハエが自ら動いて横を向いてくれるまでじっと我慢して撮り続けるしかありません。


左に居る瑠璃色のハエの名前を知りたいです。

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