2025/11/29

ニホンリスは岩塩を直接かじらなくなり、塩水で濡れた樹皮を舐めるだけになった【トレイルカメラ】

 



2024年9月上旬〜中旬

シーン0:9/4・午後14:10・晴れ(@0:00〜) 
明るい日中にたまたまフルカラーで撮れた現場の様子です。 
里山で雑木とスギの針広混交林にあるニホンカモシカ(Capricornis crispus)の溜め糞場sr2を自動撮影カメラで見張っています。 

ミズナラの幹にプレート状のヒマラヤ岩塩(155×100×25mm、870g)をベルトで固定して、野生動物の塩場を作ってみました。 
撮影しやすいように、岩塩プレートが監視カメラに正対するように、固定し直しました。 

ニホンリス(Sciurus lis)が通ってくる様子を以下にまとめます。 


シーン1:9/5・午前10:24・晴れ(@0:04〜) 
リスが午前中からミズナラ幹の下部にしがみついて、岩塩プレート直下に来ていました。 
滴り落ちる塩水で濡れた樹皮を舐めているのかもしれません。 
岩塩プレートを直接かじることはありませんでした。 
岩塩の向きが変わったので、不審がっているのかな? 

リスがときどき顔の向きを変えると、目に日光がキラッと反射して見えます。
 (首の横の白い毛がちらっと見えているだけかもしれません。) 
やがて左下手前の林床に跳び降りると、走り去りました。 


シーン2:9/7・午後13:51(@0:55〜) 
2日後の午後にニホンリスが登場。
ミズナラの根元付近(右下)で幹にしがみついていました。 
塩水が滴り落ちる場所ではないので、樹皮を舐めているのではなく、匂いを嗅いでいるだけのようです。 


シーン3:9/7・午後13:51(@1:56〜) 
このシーンは1.5倍に拡大した映像をご覧ください。 
ミズナラ幹の下部にしがみついたリスは、よほど気に入ったのか、延々と同じ場所を舐め続けています。 
何か小さな虫でも捕食しているのでしょうか? 

リスがしゃっくりのような奇妙な鳴き声を発しました。(@2:15〜) 

しばらくすると、ようやく幹を少しずつ慎重に登り始めました。 
垂れ下がったベルト先端部の匂いを嗅いでから、幹の裏側へ隠れてしまいました。 
幹の左側に回り込んで、物色しています。 


シーン4:9/9・午前6:19(@2:57〜)日の出時刻は午前5:13。 
2日後の早朝にリスが塩場に来ていました。 
ミズナラ幹の左下部にしがみついていたのに、岩塩プレートまでは登らずに身を翻して飛び降り、林床を手前に走り去りました。 


シーン5:9/9・午前15:53(@3:10〜) 
約9時間半後に、またリスが現れました。 
ミズナラ幹の下部にしがみついて岩塩プレートを見上げています。 
警戒しているのか、なぜか決して岩塩プレートまでは登ろうとしませんでした。 
塩水で濡れた樹皮を舐めているようです。


シーン5:9/9・午前15:55(@4:12〜) 
いつの間にかリスは奥にあるスギに移動していて、幹の下部にしがみ付いていました。 
スギの裏側に回り込んでから、右上の樹上に素早く消えました。 


シーン6:9/14・午後16:28(@4:27〜) 
次にリスが塩場に来たのは、5日後の午後遅くでした。 
画面の左下隅から現れたニホンリスが、林床のカモシカ溜め糞場sr2をピョンピョン跳ねるように横切りました。 
スギ幹の下部に登ってしがみつくと、少し休んでから、左に走り去りました。 
今回は岩塩プレートには立ち寄りませんでした。 

1/3倍速のスローモーションでリプレイ。(@4:38〜) 


シーン7:9/15・午前10:28(@5:02〜) 
翌日の午前中に、またリスが塩場に来ました。 
ミズナラ幹の下部の裏側に止まっているリスの尻尾だけが見えます。 
少し木登りすると、樹皮を丹念に調べている(舐めている?)ようです。 


※ 動画編集時に自動色調補正を施しています。 


【考察】 
あれほど岩塩が気に入って頻繁に舐めたり齧ったりしていたニホンリスが、この時期はなぜか岩塩プレートを直接かじらなくなりました。 
塩水で濡れた樹皮を控えめに舐めるだけになりました。
調子に乗って塩分を摂り過ぎると喉が渇くなどして体に良くないことに自分で気づいて、摂取量を節制するようになったのでしょうか。
塩場に立ち寄らず、カモシカの溜め糞場sr2を素通りすることもありました。

岩塩プレートの向きが急に変わったので、不審に思ったリスは露骨に警戒しているのかもしれません。
どうも、リスは岩塩と監視カメラとの位置関係をしっかり把握しているような気がしてなりません。
岩塩を舐める際に無防備な背中を監視カメラに向けたくないのでしょうか。
トレイルカメラが起動するときに発するカチッというかすかな音に怯えて(警戒して)、岩塩プレートに近づけないのかな?


喉をブルブル震わせて真夏の暑さをしのぐアオサギ(野鳥)体温調節

 

2024年8月下旬・午前10:20頃・晴れ(薄曇り)・気温35℃ 

水田とトウモロコシ畑(飼料用のデントコーン)に挟まれた農道に1羽のアオサギ(Ardea cinerea jouyi)が佇んでいました。 
喉のたるんだ皮膚を絶えずプルプルと振るわせているのは、呼吸による唾液の蒸発を促進して体温を下げようとしているのでしょう。
鳥には汗腺が発達していないので、発汗で体温を冷やすことができないのです。
撮影現場の気温を測ると35℃で、とても蒸し暑く、不快指数も高そうです。 
炎天下の地面からは陽炎が立ち昇っています。 
カワウではよく見かける体温調節の行動ですが、アオサギでは初見です。 

関連記事(3、4年前の撮影)▶  

カメラを構えた途端にアオサギは私を警戒して歩き去り、飛び去りました。 
逃げる際に腹立たしげな鳴き声を発したり脱糞したりしませんでした。 
奥に向かって低空で少し飛んだだけで、同じ砂利道の中央草帯に着陸。 
私から離れると、再び喉袋を震わせています。 

やがてアオサギは砂利道を歩いて横断すると、用水路に近づきました。 
イネ科雑草の茂みに隠れ、アオサギの頭部しか見えなくなりました。 
草いきれの中で、依然として喉を震わせています。 
そんなに暑いのなら日陰(木陰)に入ったり、早く用水路に入水して涼んだりすればよいのに、と思ってしまいます。 
おそらく、私が立ち去るまで油断なく様子を窺っているのでしょう。 


【考察】 
夏の暑さを凌ぐ体温調節でカワウとアオサギが同じ放熱行動をしているのが興味深く思いました。 
しかし、カツオドリ目ウ科とペリカン目サギ科は系統的に近くはありません。
離れた系統で何度も独立に収斂進化した行動なのか、それとも共通の祖先の時代から始まった進化的に古い行動なのでしょうか? 
Perplexity AIに質問すると、前者なのだそうです。

カワウとアオサギが喉の皮膚を震わせて体温を下げる行動は、口の中の水分を蒸発させて放熱し、体温調節をするためのものです。この放熱行動は鳥にとって汗をかけない代わりの重要な体温調節手段であり、多くの鳥で独立に進化した適応の一つと考えられます。特に、カワウはカツオドリ目、アオサギはペリカン目(サギ科)に属し系統的には近くないため、この行動は共通の祖先から受け継がれたものではなく、収斂進化の結果と考えられます。

近縁のトキやペリカン、カツオドリなど大型の水鳥でも同様に口や喉を使った蒸発冷却の行動が観察されることが多く、この体温調節戦略は複数の鳥類系統群で収斂的に進化した生理行動である可能性が高いです。


大型の水鳥や鳥類全般で共通して見られる喉や口を震わせて蒸発冷却する体温調節行動が、進化的に古く共通の祖先から始まった可能性は確かにあります。こうした基本的な生理的適応は祖先的特徴として継承されることもあります。ただし、サギ類(ペリカン目)とカワウ(カツオドリ目)は系統的にかなり離れており、両者の共通祖先はかなり古いため、同じ蒸発冷却の行動が系統的継承によるものか、獲得した環境適応という別々の進化の結果かわかりにくいのが実情です。

しかし、詳細に比較すると形態的な違いや生理的な仕組みの面で差異もあり、それぞれの系統で独立に発達させた可能性(収斂進化)を考えるのが妥当とされます。これは鳥類に限らず、多くの恒温動物で暑熱ストレス対策として口や皮膚を使う蒸発冷却が複数系統で独立に進化したという進化生物学の一般的傾向です。



鳥が喉を震わせて放熱しているときは、イヌのパンティングのように激しく呼吸しているわけではありません。鳥が口を開けてハアハアと呼吸し、口内の水分を蒸発させて体温を下げる「パンティング」に似た行動はありますが、喉の皮膚を震わせる行動自体は、そこまで激しい呼吸とは別の微細な震えによる放熱作用が主体です。

カワウなどでは、喉の毛細血管が多くある部位を震わせることで効率よく放熱し、呼吸を激しくして熱を逃がす行動とは少し異なります。一方で、口を開けて浅く速い呼吸をする行動は鳥にも見られ、気道や口腔内の水分の蒸発で体温調節を助けています。このため、喉震わせ放熱中に激しく息をするイヌのパンティングのような呼吸とは若干異なり、両者の組み合わせや状況により違いがあります。

​


アオサギやカワウが喉を震わせて放熱するときには、主に喉周辺の薄い筋肉群を小刻みに収縮させています。この運動は喉の皮膚やその下の血管を振動させ、広い範囲で蒸発冷却を促進します。具体的には、喉の筋肉(例えば環甲筋や輪状甲状筋など喉頭を動かす筋群)が微細な振動運動を繰り返すことで、喉の皮膚を震わせています。

この動きはイヌのパンティングのような深くて激しい呼吸運動とは違い、比較的浅く速い収縮で繊細に制御されているため、呼吸とは独立しながらも放熱効果を高める微細な筋肉運動です。また、この振動運動が血管の近くで起きることで血液の熱交換が効率化され、蒸発冷却と共に体温引き下げに寄与しています。

この喉震え(喉振動)運動は、どちらも水鳥の体温調節適応として観察されており、夏の暑さや高温環境の中で特に重要な放熱行動です.midorinotori​


喉を震わせて放熱する行動がカラスで見られないのはなぜでしょうか? 
全身真っ黒な羽根に覆われたカラスは夏にとても暑いはずです。
カラスは餌を運ぶために伸縮可能な喉袋も持っているはずです。
しかしスズメ目カラス科では喉を震わせる放熱行動が進化しなかったようで、別の行動で暑さを凌いでいるそうです。

カラスが夏に喉を震わせて放熱する行動をあまり見られない理由は、カラスが体温調節に多様な方法を組み合わせているためです。カラスは口を開けて浅く速い呼吸(パンティング)をして口腔や喉の湿った部分から水分を蒸発させて気化熱を利用し放熱します。また、翼をわずかに開いて脇の下に風を通し放熱効率を上げたり、日陰でじっとして活動時間を早朝や夕方に集中させることで直射日光と暑さを避けています。

喉袋はカラスにはなく、サギなどのような明確な喉袋をもつ種とは異なります。カラスは羽毛の黒さによる熱吸収があるものの、羽毛の空気層が断熱層の役割も果たし体幹の温度上昇を抑えます。黒羽は熱を吸収しやすい反面放熱も良いため、日陰に入れば比較的効率的に体熱を放散できます。

したがって、喉を震わせるような明確な放熱行動はカラスでは観察されにくく、代わりにパンティングや翼を広げるなど複合的な行動で体温調節するのが特徴です。このため、喉の震えを伴う放熱はカラスではあまり見られないだけで、暑さ対策はしっかり行われています。

まとめると、

  • カラスは喉袋を持たず、喉を震わせて放熱する行動は基本的に見られない。

  • 口を開けてパンティングし口腔で水分蒸発を利用して冷却。

  • 翼を広げて腋下に風を通し、活動時間帯や場所の選択で熱ストレスを避ける。

  • 黒い羽毛は熱吸収と断熱の両方の特性を持ち、日陰入りなどで効率的に放熱。

この適応戦略により、カラスは暑い夏も体温調節を可能にしています.getridofpestanimals+4​


気温が高くても風が吹いている気象条件、あるいは湿度が高くて蒸散効果が期待できない条件下で、鳥の体温調節行動がどう変化するか、観察するのも面白そうです。


【アフィリエイト】 

2025/11/28

首輪を装着したニホンザルが山林を右往左往【トレイルカメラ】

 



2024年9月上旬・午後12:00頃 

里山の混交林でニホンカモシカの溜め糞場sr2を自動撮影カメラで見張っていると、ちょうど正午頃にニホンザル(Macaca fuscata fuscata)が単独でやって来ました。 
登場の直前に死角から動物の鳴き声(イヌが吠える声?)というか咳のような奇妙な音が続けて2回聞こえました。 
左下から来たニホンザルは黒い首輪を装着しており、そこから短いアンテナが背側に伸びています。 
群れと一緒に刻々と遊動する位置をGPSまたは電波発信器でテレメトリー調査する対象個体のようです。 

首輪ニホンザルはカモシカの溜め糞場sr2に立ち止まったものの、何者かに追われているのか、他に気になることがあるらしく、ミズナラ幹に固定した岩塩プレートには気づきませんでした。 
猿の目線より高い位置にあっても、ピンク色の岩塩はとても目立つはずです。 
そのまま右折すると、獣道を右へ走り去りました。 
ところがしばらくすると、同一個体と思しきニホンザルが獣道を左下へ駆け下りて来ました。 
カモシカの溜め糞にも興味を示さずに、往復の2回とも素通りしました。 

群れの仲間はどこに居るのか、クーコール(コンタクトコール)や歩く物音などの気配が感じられません。 
単独で彷徨する離れザル♂なのでしょうか?

※ 動画編集時に自動色調補正を施しています。 
※ 鳴き声が聞き取れるように、音声を正規化して音量を強制的に上げています。 


【考察】
野生ニホンザルに装着するGPS首輪についてPerplexity AIに質問しまくり、詳細を教えてもらいました。

近年のニホンザル野生個体に装着されている首輪型送信機は、ほとんどがGPS発信機付きの首輪と考えて差し支えありません。首輪から背中側に短いアンテナが伸びているタイプは、GPS位置情報の取得やデータ通信のためのアンテナです。pubmed.ncbi.nlm.nih+3​

首輪型GPSの特徴

  • 2000年代以降、ニホンザル生態調査で自動記録式のGPS首輪による位置追跡が一般的になっています。従来はVHFやUHFによるテレメトリー(ラジオ発信機)中心でしたが、現在は高精度な位置データ収集・遠隔取得が可能なGPS方式が主流です。pmc.ncbi.nlm.nih+1​

  • 装着例では首輪に小型GPSユニットとアンテナが一体化されており、アンテナは通信や衛星受信効率向上のため外部に突出している場合が多いです。jstor+1​

  • データの取得方法によっては一部でVHFテレメトリー(受信機で追跡する古典的方式)が併用されることもありますが、首輪に伸びたワイヤ状アンテナは通信・データ転送(回収)用途の物が主流です。

日本の野生動物調査の現状

  • GPS首輪は、森林・山地・都市近郊などの複雑な環境でも高精度に位置情報を得られるため、個体の行動・移動域解析に広く使われています。ecojane+1​

  • 日中だけでなく夜間や悪天候でも自動的に記録する設計が一般的です。


野生のニホンザルに装着されたGPS首輪のデータ取得方法は、主に次のようなものです。

まず、GPS首輪が個体の位置情報を刻々と記録しますが、そのデータは首輪から直接リアルタイムに通信で送信される場合と、首輪に内部記録されて後で回収する方式の2タイプが存在します。日本では、電波を頼りに研究者が近づき、GPS首輪の装置と無線接続して位置データを読み取る方法が一般的です。このため、首輪が現場で自動的にデータを送信し続けるわけではなく、一定期間後に首輪が自動的に外れた後、その首輪(装置)を回収してデータを取得するケースもあります。qzss+1​

しかし近年は、携帯電話回線(4G)などを利用して遠隔地からリアルタイムに位置情報を取得できるGPS首輪も増えてきており、専用の基地局やスマートフォン経由でデータを随時受信・解析するシステムも導入されています。この場合、首輪のアンテナは衛星GPS受信だけでなく、位置情報の送信にも使われています。maff+2​

まとめると、ニホンザルのGPS首輪の位置データは、

  • 電波を頼りに研究者が現地で近づいて無線接続しダウンロードする、

  • または携帯通信網を通じて遠隔でリアルタイムに受信する、
    のどちらかの方法で取得されるのが主流です。

首輪が一定期間後に自動的に外れるのは、首輪を装着した個体の負担軽減や安全のためで、その後に首輪を回収して記録データを得る場合もありますが、リアルタイム送信機能付きの場合は外れていなくてもデータを取得可能です。agri.mynavi+2

​



携帯電話の電波が届かない山奥や僻地で行動するニホンザルの場合、研究者はその地域に専用の自動受信局やアンテナ基地を設置してデータを受信することがあります。この専用受信局はGPS首輪からの電波を一定距離内で受信し、そこからデータを回収します。受信局の設置場所は、調査地域の地形やサルの行動範囲に基づいてネットワーク的に配置されます。maff+1​

一方で、GPS首輪自体は位置情報を記録するロガー機能もあるため、サルが携帯電話網の届く場所や自動受信局の通信圏内に入るまでデータを内部に記録し続けます。そして、その範囲に近づいたときにデータがまとめて送信されます。したがって必ずしも研究者が常に近寄ってデータを取得するわけではなく、基地局が受信できる場所にサルが移動すればデータ更新が行われる仕組みも使われています。town+1​

つまり、携帯電話電波が届かないエリアでは、

  • 山中に専用の電波受信局やアンテナを設置し、

  • GPS首輪は位置データを内部に記録しつつ、

  • サルが受信可能な場所に来たときにデータが送信される、
    という複合的な技術とシステムにより位置情報の取得が可能となっています。tracking21+2​

このように、GPS首輪による野生ニホンザルの行動解析は、調査対象地域の地理的条件に合わせて通信設備や運用方法を工夫・設置するところから始まるケースが多いです。


ニホンザル用GPS首輪に内蔵された電池の寿命は、おおよそ約1年程度とされています。電池寿命は首輪のGPS測位回数や発信スケジュール設定によって変わりますが、一般的な設定(1日24回のGPS測位、ビーコン発信も含む)で1年前後の運用が可能です。tracking21+1​

また、電池は交換できないタイプが多く、電池切れを考慮して約1年を目安に首輪を外す設計や電池切れリスクへの対処がされます。さらに最近は、太陽電池を搭載して充電しながら長期運用を可能にしているGPS首輪もあります。そうしたタイプでは、約7か月半の装着でまだ8割以上の電池残量が確認された例もあります。prtimes+1​

なお、扱う研究の目的や計測頻度によっても電池寿命は変動し、必要に応じて設定を最適化しているケースが多いです。山間部や携帯回線が届かない場所でのデータ取得も含めて、機器の消耗や動作条件を踏まえた運用がされています。tracking21+1



電池が切れたGPS首輪が野外で脱落してしまった場合、その首輪は電波を発信しなくなるため、通常の方法ではその首輪を探して回収するのは非常に困難になります。電池切れになると通信も脱落機構も動作しなくなるため、首輪はそのまま放置されるリスクがあります。そのため調査では電池寿命を十分に考慮して、計画的に早めに首輪を回収する運用が重要視されています。tracking21+2​

一部の高機能GPS首輪には、電池切れ前に電波ビーコンを数週間発信し続けて位置を知らせる機能を持つ製品もありますが、これも電池残量がある一定ラインまで低下した場合に限られます。電池が完全に切れるとビーコンも発信停止し、位置の特定は不可能になります。seidensha-ltd​

また、山中のような視界が効かない環境や広範囲の調査地では、回収不可能な首輪が予想されるため、その損失も想定して費用・機器調達や研究計画が立てられます。GPS首輪は高価な機器であるため、研究者は紛失リスクを減らすために速やかな追跡・回収体制を整えることが一般的です。wmo+1​

要点は、電池が切れて首輪が脱落するとほぼ回収は困難になるが、電池寿命内に計画的に回収し、電波ビーコンが発信されている間に場所を特定する運用が不可欠であることです。tracking21+1


ニホンザル用GPS首輪の自動脱落(ドロップオフ)機構は、非火薬方式の機械的装置が使われており、研究者が遠隔操作で首輪を外す仕組みが一般的です。具体的には、専用のスマートフォンアプリ(例:GL-Link Manager2)を用いて、装着した首輪発信器と通信可能な範囲内で手動で切り離し操作を行います。自動スケジュールによる脱落機能はなく、脱落操作は一回限りです。tracking21+1​

脱落操作は、装置内の脱着機構を電気的に作動させてベルト部分を切り離すものであり、安全かつ非火薬方式のため法令上も問題ありません。電源のON/OFFは磁石の脱着によっても操作が可能です。これにより、首輪の脱落は研究者の判断に基づいて現地で任意のタイミングで行います。tracking21+1​

この脱落機構により、生物に不必要な長期間の装着による負担を軽減するとともに、回収可能な時期に首輪を確実に外すことで、データの取得完了や機器の回収率向上に貢献しています。したがって、脱落は内蔵プログラムでの自動実行ではなく、無線の司令による“遠隔操作”形式で安全に行われています。tracking21+1​


首輪のベルトを通電で焼き切るのではなく、脱落機構は非火薬方式の機械的装置です。具体的には、内蔵モーターとウォームギアでベルトの留め具やピンを物理的に外す構造で、遠隔操作によって動作します。つまり、電気的に機械部品を動かしてベルトを切り離す方式であり、ベルトを焼き切るような通電による燃焼は行いません。tracking21+2​

この設計は安全性と確実性を考慮したもので、火薬類取扱法にも抵触しない非火薬技術を採用しているため、野生動物に対する安全面にも配慮されています。脱落は遠隔側から一度だけ実行可能な仕様であり、脱落後は首輪は再装着不可能です。tracking21+1



つづく→

ナガボノシロワレモコウの花粉を舐めに来たホソヒラタアブ♀とツマグロキンバエの小競り合い【FHD動画&ハイスピード動画】

 

2024年9月上旬・午後14:40頃・晴れ 

平地の湿地帯の端に咲いたナガボノシロワレモコウの群落でホソヒラタアブ♀(Episyrphus balteatus)が訪花していました。 
この組み合わせは初見です。 
左右の複眼が中央(頭頂)で接していないので、♀と分かります。 

翅を半開きにしたまま口吻を伸縮させて雄しべの葯を舐めています。 
ナガボノシロワレモコウの蜜腺はもっと奥にあるはずなので、ホソヒラタアブ♀は吸蜜している訳ではないようです。 
花穂から飛び立っても少し離れた空中でちょっとホバリング(停空飛翔)しただけで、すぐに元の花穂に着陸して食事を再開しました。 

ホソヒラタアブ♀の停飛を240-fpsのハイスピード動画でも撮ってみました。(@1:18〜) 
なぜかナガボノシロワレモコウの花穂にチョンチョンと脚先で触れるだけで、なかなかしっかり着地しようとしません。 
花穂が風で揺れて着陸しにくい訳でもなく、無風でした。
足先の感覚器で花の味見をしているのかな? 

よく見ると、この花序には先客のツマグロキンバエ(Stomorhina obsoleta)が訪花していました。 
ナガボノシロワレモコウの花穂は長いので、同じ花穂でも少し離れた位置に留まれば2匹とも平和に摂食できると思うのですけど、ライバルの訪花昆虫を蜜源植物から追い払おうとする占有行動なのでしょうか? 
ホソヒラタアブ♀の度重なる挑発に苛立ったのか、ついにツマグロキンバエがホソヒラタアブに突進して追い払いました。 
しばらく撮り続けても、飛び去ったホソヒラタアブは戻って来ませんでした。 
体長では劣るのに、ツマグロキンバエはホソヒラタアブよりも蜜源植物を巡る争い(占有行動)に勝ったことになり、興味深い事件でした。 
小競り合いしている暇があったら、隣に咲いたナガボノシロワレモコウの花穂にさっさと移動すれば良いのに…と思ってしまいます。

ホソヒラタアブ♀は一体なぜ自分から挑発しておいて、ツマグロキンバエを恐れたのでしょうか? 
ツマグロキンバエはアブに寄生するハエではありません。 
ハエやアブを専門に狩る天敵の狩蜂に誤認したのなら、挑発しないで逃げるべきでしょう。 
ツマグロキンバエについて調べてみると、幼虫の生態についてはほとんど解明されていないらしく、好蟻性が疑われているそうです。 



実はこの後、スズバチもナガボノシロワレモコウに訪花していたのですけど、撮り損ねてしまいました。 


2025/11/27

アナグマの営巣地で落枝に興味を示したり少し移動したりするホンドタヌキ【トレイルカメラ:暗視映像】

 



2024年9月上旬〜下旬

シーン1:9/9・午前4:45・気温22℃(@0:00〜)日の出時刻は午前5:13。 
平地の二次林にあるニホンアナグマの営巣地(セット)で未明に3匹のホンドタヌキ(Nyctereutes viverrinus)が一緒にやって来ました。 
まずはアナグマの巣口Rを覗き込んで点検してから、別の巣口Lへ向かいます。 


シーン2:9/9・午前4:44・気温21℃(@1:00〜) 
別アングルで設置した監視カメラにも撮れていました。 
後続個体が林床から何かを拾って咥えたものの、すぐに興味を失ってその場に捨てました。 
短い落枝かと思ったのですが、少し太いので、もしかすると、私が以前に給餌したバナナが干からびた物かもしれません。 


タヌキはアナグマの巣口Lで何か小さな虫を捕食しました。 
獲物は穴居性のカマドウマ幼虫と思われます。 

身震いしてから獣道を右へ立ち去りました。 
2番目の個体は、通りすがりにオニグルミの根元に排尿マーキングして行きました。 
このとき後足を上げて小便したので♂と判明。 
最後(3番目)の個体も、仲間に遅れないよう慌てて走り去りました。 


シーン3:9/24・午前5:24・気温12℃(@1:58〜)日の出時刻は午前5:26。 
15日後の日の出直前に単独行動のタヌキがアナグマの営巣地に来ていました。 
2つの巣口L、Rの中間地点に佇んで、クゥーンと甲高い声で鳴きました。 

足元で見つけた細くて短い落枝を咥えて拾い上げ、マルバゴマギ灌木の根元にそっと置き直しました。 
隠したつもりなのでしょうか。
初めて見る不思議な行動です。
遊びでもなさそうですし、探索行動で説明できるかな? 

タヌキが左へ立ち去った後、アナグマの巣口Lに注目して下さい。 
1.5倍に拡大した上で5倍速の早回しにすると、小さな虫の群れが続々と巣口Lから外に出て来ました。(@2:26〜) 
アナグマの巣穴Lに居候していたカマドウマの幼虫が、巣外に来ているタヌキの足音・振動に驚いて出てきたのでしょう。 
アナグマの巣穴の奥に潜んでいる謎の昆虫の群れについては、後日(10月下旬〜11月上旬)証拠動画を撮ってカマドウマの幼虫と突き止めたので、もうしばらくお待ち下さい。(映像公開予定) 


枯れ草の長い茎を持ち上げて餌を探すドバト(野鳥)

 



2024年7月下旬・午後14:00頃・晴れ 

橋の下で餌を探し歩いているカワラバト(=ドバト;Columba livia)のペアの片方が、ちょっと不思議な行動をしました。 
道端で倒伏した草丈の高い枯れ草を嘴で挟んでぐいっと引っ張り、摘み上げて、長い茎ごと動かしたのです。  
採食中のドバトがこんな行動をするのは今まで見たことがありません。 

ドバトは基本的に種子捕食者です。 
その枯れた草本植物に実や種子が残っているようには見えませんが、探索行動のひとつでしょうか? 
それとも、ちょっとした遊びの行動なのかな? 
巣材集め行動の名残り、という可能性はどうでしょう。 
離れた位置からとは言え私がパパラッチのようにしつこく撮影し続けているので、そのストレスから来る転移行動かもしれません。 

今思うと、謎の枯れ草の種名を撮影後に調べるべきでしたね。 
とにかく暑くて、わざわざ引き返して調べるのが億劫でした。 
クズなど蔓植物の可能性もありそうです。 


【追記】
謎の枯れ草はツルヨシの匍匐茎と似ている気がしますが、どうでしょうか。
匍匐茎はドバトの食料にはなりません。

もしもツルヨシの匍匐茎の断片だとすると、枯れていなければ、そこから再生する可能性があります。
ChatGPTに解説してもらいました。

結論から言うと:

はい。ツルヨシの地下匍匐茎(rhizome)の断片は、条件さえ合えば根を張って再生し、独立した新個体として生育できます。

ただし、成立にはいくつかの条件があります。


1. ヨシ属(Phragmites)の一般的な性質

ヨシ類は「匍匐茎断片からの再生(clonal regeneration from rhizome fragments)」が非常に強い植物として知られています。
とくに北米で問題となっている外来ヨシ(Phragmites australis)では、ほんの数 cm の匍匐茎片でも生き残れば再生することが報告されています。

ツルヨシ(Phragmites japonicus)も同じヨシ属であり、この性質を共有しています。


2. ツルヨシでも断片再生は可能

ツルヨシの地下匍匐茎は節(node)ごとに芽と根の形成能力をもつため、

・断片に生きた節(node)が含まれている
・乾燥せず、過湿〜湿潤な環境に置かれる

この2条件を満たせば、断片からシュート(新茎)と根が再生し、独立したクローン株として定着することが可能です。


3. 再生が起こりやすい環境

  • 湿った土壌(乾燥に弱い)

  • 日照が確保できる場所

  • 匍匐茎が損傷していても、節が無事なら非常に高い確率で再生

  • 流送された匍匐茎片が河岸や砂地に埋没し、そこで発根・発芽することも起こりうる


4. 例外:枯れた断片は再生しない

  • 完全に乾燥しきった断片

  • 節が壊れてしまった断片

これらは再生不能です。


【まとめ】

ツルヨシは、切断された匍匐茎の断片でも、節が生きていて乾燥しない環境なら、再び根を張って新個体として再生できる。
これはヨシ属に共通する強い栄養繁殖能力の一部である。



2025/11/26

岩塩が気になるツキノワグマ【トレイルカメラ】

 



2024年9月上旬

シーン0:8/23・午後12:45・晴れ(@0:00〜) 
里山でスギと雑木の混交林にあるニホンカモシカの溜め糞場sr2を自動撮影カメラで見張っています。 
ミズナラの幹にヒマラヤ岩塩(155×100×25mm、870g)のプレートをベルトで固定して、野生動物の塩場を作ってみました。 

この時期に登場したツキノワグマ(Ursus thibetanus)の動画をまとめました。 

シーン1:9/1・午前5:03(@0:03〜)日の出時刻は午前5:06。 
日の出直前の薄明に真っ黒なクマが手前から来たようです。 
岩塩プレートを木の幹に固定したベルトの匂いを嗅いでいました。 
次に岩塩プレートの側面の匂いを嗅ぎましたが、舐めてはいなさそうです。 
味見してくれないことには塩だと認識してくれないのですが、警戒心の強いクマはなかなか慣れてくれません。 

ツキノワグマは直下の落ち葉の匂いを嗅いでから、右折して斜面の獣道を登り始めました。 
すぐに左折して、画面の奥に立ち去りました。 


シーン2:9/3・午後16:25(@0:42〜) 
2日後の夕方に茂みの奥を左から右へ黒い動物が歩いて横切りました。 
カモシカはこんなに黒くないはずですから、おそらくツキノワグマでしょう。 
 1/3倍速のスローモーションでリプレイ。(@0:49〜) 


※ 動画編集時に自動色調補正を施しています。 





↑【おまけの動画】
Taking aim at Japan's bear problemーNHK WORLD-JAPAN NEWS

人里近くに出没するクマに対して、ドローンで上空から監視・通報しようという試みについて報じています。

ヤマトシリアゲ秋型♂(ベッコウシリアゲ♂)とマルバゴマキの熟した果実

 

2024年9月上旬・午後12:25頃・くもり 

平地の二次林で低木層を構成するマルバゴマキ(別名マルバゴマギ、ヒロハゴマキ、オオバゴマキ)の枝先で果実(核果)が熟し始めました。 
マルバゴマキは、日本海側の多雪地帯に適応したゴマキの変種です。 
緑の未熟果が次第に赤く色づき、完全に熟すと真っ黒になります。 
ヒヨドリなどの鳥に食べられて種子散布されるはずなのに、真っ黒いまま萎びた果実も樹上に多く残っていました。 

マルバゴマキの熟果にヤマトシリアゲ♂(Panorpa japonica)が留まっていました。 
ヤマトシリアゲには季節型があり、褐色の秋型個体はベッコウシリアゲと別名で呼ばれることもあります。 
腹端がサソリのように反り返り、把握器が付いているので♂と見分けられます。 

シリアゲムシが黒く熟した桑の実を食べたり、そこで交尾したりするという事例を思い出しました。
しかし私自身は、シリアゲムシが果実を食べるシーンをまだ実際に観察したことがありません。 

【参考サイト】 
・「シリアゲムシのくらしとかたち」by 自然観察大学 
熟した桑の実やアケビの実を食べにくることもあります。 
クワの果実に来たヤマトシリアゲの写真が掲載されています。


私がカメラのレンズを近づけて接写しても、ヤマトシリアゲ♂は逃げようとしません。 
しかし警戒しているのか、しばらく粘ってもマルバゴマキの熟果を食べてくれません。 
ちなみに、シリアゲムシは吸う口器ではなく噛む口器を有しているので、「果実を吸汁する」という描写は誤りです。 

あまりにも動きが鈍いので、もしかして弱っている個体なのでしょうか?
人差し指で背後から軽く触れると、ヤマトシリアゲ♂はようやく飛んで逃げました。 
しかし遠くには逃げず、少し飛んだだけで同じマルバゴマキの葉に留まり直していました。 
どうやらマルバゴマキの熟果から離れたくないようです。 
最後に翅を半開きにして翅紋を誇示したのは、私に対する威嚇かもしれません。 




【考察】
このヤマトシリアゲ♂個体はおそらく、交尾相手の♀が飛来するのを待ち伏せしているのでしょう。 
マルバゴマキの熟した果実がそのまま求愛給餌のプレゼント(婚姻贈呈)になるのかもしれません。 
シリアゲムシの♂は獲物(虫の死骸)など持ち運びの出来るプレゼントを用意するのが普通ですが、このヤマトシリアゲ♂は餌の鮮度を保ったまま不動産として確保していることになります。 (より強く♀にアピールできる勝ち組の♂?)
もしもライバル♂が来たら追い払うはずです。(占有行動) 
同種の♀や♂が飛来するまでじっくり腰を据えて観察していれば、面白い展開が見られたかもしれませんね。 

相談相手のPerplexity AIは、以下のような見解でした。

ヤマトシリアゲ♂が褐色の秋型で9月上旬にマルバゴマキの熟果に留まっていた場合の行動について、果実が交尾相手の♀へのプレゼントだと予想されるほかに、他の可能性も考えられます。

  1. フェロモン放出や縄張りのマーキングのために熟果の近くで待機している可能性。ヤマトシリアゲのオスは餌の近くでフェロモンを出してメスを呼び寄せることが知られています。果実そのものを食べていなくても、そこを縄張りや待ち伏せポイントとして利用しているかもしれません。digital-museum.hiroshima-u​

  2. 熟果を狩りをしないで長く滞在できる場所として利用している可能性。ヤマトシリアゲは腐った植物質や昆虫の死骸などを食べる習性があり、比較的動かないものに長く留まる習性もあります。そのため果実の上で休んでいるだけ、ということも考えられます。nature-engineer+1​

  3. 産卵場所や環境の良い場所探し。果実のある木は湿度や環境条件がよい場合もあり、交尾の前後になどにそうした周辺環境を利用している可能性もあります。

以上のように果実がメスへのプレゼントとして直接使われていなくても、オスが交尾待ちのために利用するポイントとして熟果に留まることは別の意味で合理的と考えられます。yurinoki.main+2​

このため、果実を食べていなくても長時間留まっている理由は、「果実がプレゼント」とする解釈以外に、縄張りやフェロモン放出の場として利用していたり、環境の良い場所として待機している可能性もあると言えます。




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2025/11/25

カモシカの溜め糞場に来た夏毛のホンドテン【トレイルカメラ:暗視映像】

 



2024年8月下旬・午後21:40頃 

里山の混交林にあるニホンカモシカの溜め糞場sr2を見張っている自動センサーカメラに、ある晩ホンドテン(Martes melampus melampus)が写っていました。 
カメラの起動が遅れ、左下隅にちらっと写っただけでした。 
夏毛のテンはカモシカの溜め糞や岩塩プレートに興味を示さず、林床をゆっくり歩き去りました。 


つづく→

山中の水溜りで顔だけ洗うフクロウ【野鳥:トレイルカメラ:暗視映像】

 



2024年9月上旬 

シーン0:9/4・午後13:05・晴れ・気温33℃(@0:00〜) 
明るい日中にたまたま撮れた現場の状況です。 
山林の中に少し開けた湿地帯があり、雨水が溜まるだけでなく湧き水も滲み出して浅い水溜りが年中形成されています。 
水溜りSにどんな生き物が来るのか、自動撮影カメラで見張っています。 


シーン1:9/6・午前2:00・気温22℃(@0:04〜) 
丑三つ時にフクロウ(Strix uralensis)が水場に降り立ちました。 
歩いて水溜まりSを左に横切ると、お気に入りの深みで身を沈めました。 
水面に顔を漬けながら首を左右に激しく振って顔を洗います。 
その場で足踏みしながら方向転換すると、再び洗顔。 
入水したまま翼を軽く羽ばたかせたものの、本格的な水浴行動とは言えません。 

顔を念入りに洗っただけで、奥に向かって飛び去りました。 
今回は珍しく、岸に上陸しないで水場からそのまま飛び立ちました。 

※ 水音が聞き取れるように、動画編集時に音声を正規化して音量を強制的に上げています。 


2025/11/24

ニホンアナグマの巣穴からホンドタヌキが持ち去った謎の死骸【トレイルカメラ】

 



2024年9月上旬 

シーン1:9/6・午前7:09・晴れ・気温20℃(@0:00〜) 
平地の二次林でニホンアナグマ(Meles anakuma)の営巣地(セット)に2頭のホンドタヌキ(Nyctereutes viverrinus)が朝から来ていました。 
2頭も若々しい(色が濃い)毛並みなので、当歳仔の幼獣ではないかと思います。 
1頭はアナグマの巣口Rを点検し、もう1頭は別の巣穴Lに侵入しました。 
どうやらアナグマの家族は留守のようです。 


シーン2:9/6・午前7:10・晴れ・気温20℃(@1:00〜) 
アナグマの巣穴Lから外に出てきたばかりのタヌキが口に何か獲物を咥えていました。 
ズタボロの毛皮で、どうやら動物の古い死骸のようです。 
仲間(幼獣の兄弟姉妹)に獲物を奪われないように、左へ走って持ち去りました。 
もう1頭のタヌキも走って追いかけ、獲物の争奪戦になりました。 

これは大事件なので、1.5倍に拡大した上で1/3倍速のスローモーションでリプレイ。(@1:07〜) 
出巣Lの瞬間を撮り損ねたのが残念無念…。 


シーン3:9/6・午前7:10・晴れ(@1:22〜) 
別アングルで設置した監視カメラにも写っていました。 
動物の死骸を口に咥えたタヌキが意気揚々と右へ走り去り、もう1頭も走って追いかけます。 

死骸を持ち去るシーンを、1/3倍速のスローモーションでリプレイ。(@1:31〜) 
獲物の正体を見定めたくて、1.5倍に拡大した上で、もう一度スローモーションのりプレイ。(@1:49〜) 


シーン4:9/6・午前7:14・晴れ・気温20℃(@2:21〜) 
約4分後に、単独のタヌキが現れました。 
さっきのタヌキの片方が戻ってきたのか、それとも3頭目の幼獣が遅れてセットに来たのか、私には見分けがつきません。 

アナグマの巣口Lを恐る恐る覗き込んで匂いを嗅いだものの、中には侵入しないで左へ立ち去りました。 


【考察】
とても重大な衝撃映像が撮れました。

今回、巣穴Lに侵入したタヌキが、奥に籠城していたアナグマの幼獣を殺して捕食したのではありません。
獲物はもはや動物の原型を留めておらず、殺したばかりの新鮮な獲物には見えないからです。 
ぺしゃんこで、ただの汚らしい毛皮の塊のようです。 

この死骸の正体は、タヌキかアナグマだと思われます。
まずアナグマの可能性を考えます。
おそらく、どこかで死亡したと推測されます。
最近アナグマ家族がセット(営巣地)に近寄らなくなったのは、巣穴Lの奥で幼獣が死んで死骸の腐敗が進み、衛生環境が耐え難くなったからなのでしょうか? 
アナグマの家族が巣内で死骸を埋葬したのかもしれません。
だとすると、今回のタヌキは不届きな墓荒らしということになります。
昼間に巣口Lで飛び回っていたハエ類は、てっきりキイロコウカアブだと思っていたのに、不吉な意味合いを帯びてきます。 



次に、死骸がタヌキである可能性を考えます。
今季アナグマ♀がこの営巣地で出産しなかったのは、中で「いざりタヌキ」が死んだ事故物件だからだと思っていました。
しかし巣穴Lを発掘しない限り、死骸の有無を私には確かめようがありませんでした。
発掘調査で巣穴を壊されたアナグマは、もう二度と寄り付かなくなりそうだと判断した私は、手をこまねいて定点観察を愚直に続けるしかありませんでした。

雑食性のタヌキは、動物の死骸もよく食べるスカベンジャーです。
今回タヌキの幼獣が持ち去った死骸が同種のタヌキだとすると、共食いということになります。 
アナグマの巣穴Lにタヌキを初めとする様々な野生動物が入れ代わり立ち代わり侵入していたのは、中で死肉を少しずつ食べていたのかもしれません。
あるいは、巣内の死骸に群がる虫を捕食していた可能性もあります。

塚田英晴『野生動物学者が教えるキツネのせかい』によれば、
共食いを避ける傾向は、多くの動物で確認されており、この背景には、なかまの死体を通して寄生虫などの病気にかかることを防ぐためだと考えられています。(中略)キツネと同じイヌ科のタヌキは、雪の下のタヌキの死体をかなり頻繁に共食いすることが確認されています。野生の世界では、なかまの死体であっても貴重なエサとなるようです。 (Kindle版40%より引用)

大崎遥花『ゴキブリ・マイウェイ この生物に秘められし謎を追う』という本を読んでいたら、面白い記述がありました。
・シロアリ、アリをはじめとした社会性昆虫では「社会性免疫」と呼ばれる、コロニーの衛生管理に関わる行動がいくつか知られている 
・死体を巣の外に運び出したり、埋めたりする行動が報告されている。 
穴居性の哺乳類でも、同様の社会性免疫の行動があっても不思議ではありません。




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夏の暑い昼間に扇風行動で巣を冷やすモンスズメバチ♀の群れ【FHD動画&ハイスピード動画】

 


2024年8月下旬・午後12:30頃・気温32℃ 

破風板に営巣した(引っ越してきた)モンスズメバチ(Vespa crabro flavofasciata)のコロニーを定点観察しようと、暑い昼下がりに来てみました。 
巣の周囲では多数の蜂が飛び回り、巣に出入りしていました。 
営巣地に白昼堂々近づく私に対して警戒していたのかもしれませんが、大顎をカチカチ鳴らして警告したり私に攻撃してきたりする個体はいませんでした。 

カメラで巣口にズームインしてみると、数匹(4〜6匹)のワーカー♀が巣口の縁に陣取って外向きに並び、各自がその場で猛烈に羽ばたき続けていました。 
これは、暑い夏に巣内の温度を冷やすための扇風行動で、気温が30℃以上になると発動します。 
私が立って撮影した地点の気温を測ると、32℃でした。 
「レーザーポインタ付きの非接触式赤外線放射温度計」を持ってくるのを忘れたので、モンスズメバチの巣口の温度を測ることはできませんでした。 
気温が高くなり過ぎると育房内の幼虫や蛹が正常に発生しなくなるので、巣内に外気を送風して冷やしているのです。 
扇風行動だけでは対処できないほどの酷暑になると、水を飲んできたワーカー♀が巣内で吐き戻して湿らせ、気化熱で効果的に冷却するのだそうです。 

身繕いしながら扇風している個体もいます。 
他の外役ワーカー♀たちは続々と巣から飛び去ったり、帰巣したりしています。 

240-fpsのハイスピード動画でも撮ってみました。(@1:01〜) 
扇風行動の羽ばたきがスーパースローにするとよく見えるようになりました。 
帰巣する♀は獲物の肉団子や巣材のパルプを抱えておらず、空荷でした。 
もしかすると、外で水を飲んできて、巣を冷やすために運んできたのかもしれません。


※ 動画編集時に自動色調補正を施しています。 


関連記事(10年前の撮影)▶  

モンスズメバチ♀群れ@巣口:破風板a+扇風行動
モンスズメバチ巣@破風板b

破風板の裏側がどうなっているのか調べたくても、屋根裏に勝手に登ることはできませんし、そもそも私はスズメバチの攻撃から身を守る防護服を持っていません。 
横から覗いて駄目元でストロボ写真を撮ってみたら、破風板の裏側からもモンスズメバチの巣の外皮の一部が見えていました。

巣内にいるモンスズメバチ成虫の腹部の縞模様が外皮の縁から覗いて見えます。



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