2026/09/07

サラサウツギの花蜜を吸うコマルハナバチ♂

 

2026年6月上旬・午後13:30頃・くもり後晴れ 

山麓の入山口の横に咲いたサラサウツギ(=ヤエウツギ)の灌木にコマルハナバチBombus ardens)の雄蜂♂が訪花していました。 
この組み合わせは初見です。 
体色がレモン色の雄蜂♂ばかりで、同種の♀が来ていないのが不思議です。 

八重咲きの花は雄しべが花弁にホメオティック変異しているため、花粉を生産しません。 
したがって、ヤエウツギに集まる訪花昆虫は吸蜜に専念しています。 
マルハナバチ♀が振動集粉する羽音が聞こえたような気がしたのですけど、空耳でした。 
雄蜂♂は♀と違って花粉を集めませんから、後脚の花粉籠もありません。 

コマルハナバチ♂は茂みの奥で訪花したがるので、撮影には苦労しました。 
手前の花にはもう花蜜が残っていないのでしょう。 


※ 動画素材の順番を編集で入れ替えました。 
複数個体(2匹?)を撮影。

2026/09/06

春に樹上で排尿するニホンザル

 

2025年4月中旬・午前10:35頃・くもり 

山麓のリンゴ園に侵入した野生ニホンザルMacaca fuscata fuscata)の群れを観察していると、1頭が落葉樹に登っていました。 
幹から分岐した細い横枝に座ると、遠くを眺めながら小便していました。 
股間から尿が滴り落ち、短い尻尾をピクピクと上下に動かしています。 
ニホンザルの排尿シーンを1/5倍速のスローモーションでリプレイ。(@0:18〜)
尿を放出する方向から性別を見分けられるかと思ったのですけど、難しいです。 

猿が登っていた樹種がリンゴだったかどうか、覚えていません。 
私の周囲でニホンザルの群れが多数活動していて様々な事件が巻き起こり、目移りしてしまったからです。
背景が白いのは雪ではなくて、ネコヤナギの花が咲いているようです。

丸木橋に乗って求愛給餌する春のハシブトガラス♀♂【野鳥:トレイルカメラ】

 



2025年4月下旬・午後12:40頃・くもり・21℃ 

春の林内で雪解け水が貯まった排水溝を自動撮影カメラが見張っています。 
ある日の昼下がりに、1羽のハシブトガラスCorvus macrorhynchos)が細い丸木橋(自然の倒木)に乗っていました。 
水面まで頭を下げて水を飲んでいると、カメラの死角から別個体の澄んだ鳴き声♪が聞こえます。 

やがて左から別個体が飛来すると、短くカァ♪と鳴きながら丸木橋に着地しました。
すると先客のカラスが後から来た個体ににじり寄りました。 
この2羽は♀♂つがいのようで、アウアウアウ♪…と奇妙な鳴き声を発しながら互いに嘴を触れ合いました。 
愛情表現のキスを交わしたというよりも、口移しでパートナーに餌を与える求愛給餌をしたようです。 
だとすれば、左の個体が♂で後から合流した右の個体が♀になります。
しかし、求愛給餌に先立って♀は催促(餌乞い)しませんでした。 
♂は直前に水を飲んでいた訳ですから、パートナーの♀に口移しで水を与えたのでしょうか?
♂が予め喉袋に貯めていた餌を水で湿らせてから分け与えたのかと思ったのですが、映像を見直しても素人目には♂の喉袋が給餌前に膨らんでいませんでした。

関連記事(2、8年前の撮影)▶ 

先に来ていた個体(♂?)が先に奥へと飛び去りました。 
1.5倍に拡大した上でハシブトガラスの求愛給餌をリプレイ(@1:04〜)。


※ カラスの鳴き声が聞き取れるように、動画の一部は編集時に音声を正規化して音量を強制的に上げています。 


つづく→

2026/09/05

池で煮干しの争奪戦を繰り広げるクロゲンゴロウの群れ

 



2026年4月下旬・午後14:30頃・晴れ・気温24℃・水温20℃(煮干しを給餌した岸辺) 

山麓の池Lに煮干しを投入してしばらくすると、水中を泳ぎ回っていた複数個体のクロゲンゴロウCybister brevis)が煮干しの匂いを嗅ぎつけて集まってきました。 
同種間で餌をシェアするかと思いきや、独り占めしようとする占有行動(争奪戦)が勃発しました。 

同じ煮干しを巡ってクロゲンゴロウ同士が争っているというよりも、協力して餌を解体し始めた、という見方もできそうです。 
煮干しを噛んで引きちぎると、自分の分け前を持って急いで泳ぎ去ります。 
対岸の抽水植物の茂み(スゲの根元)などに隠れ、持ち込んだ餌をゆっくりと食べるのです。 
餌から滲み出る匂いが拡散しにくい場所を隠れ家として選んでいるようです。 
そこなら鳥などの捕食者からも見つかりにくくて安全です。 
しかし、隠れ家でも餌の独り占めは長く続きません。 
遅かれ早かれ煮干しの匂いが水中に拡散するために、周囲を泳いで探索していたクロゲンゴロウが集まってきてしまい、再び争奪戦が勃発することになります。 

ヤマアカガエルRana ornativentris)の幼生も一部の個体が煮干しに群がって食べ始めました。 
意外にも、クロゲンゴロウは同じ餌に群がるオタマジャクシに対して攻撃や捕食することはありませんでした。 
しかしクロゲンゴロウがオタマジャクシに対して寛容な訳ではありません。 
しばらくすると、クロゲンゴロウは息継ぎするために煮干しを抱えたまま水面まで浮上し、ついでにライバルのオタマジャクシから逃れて安全な隠れ家まで持ち去りました。 

クロゲンゴロウは、煮干しの争奪戦の最中にも定期的に浮上して水面で息継ぎする必要があります。 
しかし、息継ぎした直後に急いで潜水しても、池の底に沈んでいる煮干しを見失うことがありました。 
ライバルが息継ぎでいなくなった隙に、残った個体が急いで煮干しを持ち去る事例も多いです。 
つまり、息継ぎするのはせっかく手に入れた餌を失うリスクがあるのです。 
大庭伸也 編『ゲンゴロウ類の生態学』という専門書を読んでみると、まさしくこの問題を取り上げていました。
水深が浅い水域においては、息継ぎ後に餌を再発見できる確率が高いため、餌を置き去りにする。一方、水深が深い水域においては息継ぎ後に餌を再発見できる確率が低いため、餌を持ち去る戦略をとることが多いという。 (p94より引用)
同じ餌を巡ってライバルがいる間は、息継ぎするのをなるべく我慢しないといけません。 
ゲンゴロウは鞘翅の下に空気の層を溜め込みますから、大きな酸素ボンベを持っている大型の個体の方が長時間潜水できて有利なのでしょうか?
しかし、大型の個体が水中を激しく泳ぎ回ると、酸素の消費量も多そうです。


定点観察に通う池でクロゲンゴロウに煮干しを給餌したら、今回はドラマチックな展開となり、面白い動画が撮れました! 
水生昆虫のクロゲンゴロウはとても優秀なスカベンジャー(死骸の掃除屋)であることがよく分かりました。 
こうして水中の死骸をクロゲンゴロウが寄って集ってきれいに食べ尽くし、池の水質はきれいに保たれます。 

今回、餌として用意した煮干しは無塩タイプです。
予め頭部を取り除き、背骨に沿って半分に割ってから投入しました。 
煮干しを丸ごと池に投入すると、水中のクロゲンゴロウが餌に気づくまで長引くようです。
食べ残しが出ると水質を汚染するので、各池に1匹ずつしか煮干しを給餌していません。 

水中を泳ぐクロゲンゴロウは、角度によって鞘翅が緑色を帯びて見えることがありました。 
3〜4匹のクロゲンゴロウが煮干しに群がって奪い合いを繰り広げると、なかなか迫力があります。 
水底の泥を激しくかき回すので、水がどんどん濁って観察しにくくなります。


つづく→

春の夜に林内のタヌキ営巣地を別々にうろつく2匹のイエネコ:4月中旬〜下旬【トレイルカメラ:暗視映像】

 



2025年4月中旬〜下旬 

シーン0:4/17・午後14:44・晴れ(@0:00〜) 
シーン0:4/17・午後15:24・晴れ(@0:03〜) 
春の二次林でホンドタヌキやニホンアナグマが出入りする巣穴を2台の自動センサーカメラで見張っています。 
ここは以前、ニホンアナグマの掘った営巣地(セット)でした。 

イエネコFelis silvestris catus)の登場シーンをまとめました。 
赤外線の暗視カメラで撮れた夜行性の記録ばかりなので、毛並みの色は不明です。 


シーン1:4/19・午後21:07・気温14℃(@0:07〜) 
ある晩、白毛を基調とする三毛猫♀が現れました。 
巣口Lの匂いを嗅いでから、横に座り込んで警戒しています。 

シーン2:4/19・午後21:13・気温17℃(@1:07〜)
同一個体と思われる三毛猫♀が、東からセットに戻って来ました。 
2つの巣口L/Rの間を横切ると、そのまま西の林内へ向かいました。 

シーン3:4/19・午後21:12・気温16℃(@1:23〜)
別アングルの監視カメラでも撮れていました。 
最後は朽ちた細い倒木の上を伝って、西へ立ち去りました。 


シーン4:4/21・午後23:10・気温5℃(@1:32〜) 
2日後の晩遅くに登場した猫は、明らかに三毛猫とは違いました。 
モノクロの暗視映像では毛並みの色が分かりません。 
全身が白っぽく、薄い茶色の模様があちこちに入っているのではないか(茶ブチ)と想像しています。 

西から巣口Lに忍び足で来て、中を覗き込んでいます。 
最後は獣道を東へゆっくりと立ち去りました。 


【考察】 
毛並みの模様が異なる2匹のイエネコが単独で代わる代わるやって来ました。 
近所の家の飼い猫が夜の散歩に出歩いているようです。
夜の林内で野ネズミの巣穴を探しているのでしょう。 
イエネコが狩りをする決定的なシーンを私はまだトレイルカメラでまだ撮れていません。
野外を我が物顔に跳梁跋扈して野ネズミを狩る外来種のイエネコは、フクロウやホンドテン、ニホンイタチ、ホンドギツネなど在来種の猛禽や肉食獣の競合相手になります。

ネコが興味を示した巣穴Lは最近、アナグマが頻繁に整備したりマーキングしたりしています。
なぜかもう一つの巣穴Rに猫は2匹とも立ち寄りませんでした。



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つづく→

2026/09/04

田んぼの用水路で水を飲むキジ♀(野鳥)

 

2025年6月中旬・午後15:15頃・晴れ 

水田で農道を単独で歩くキジ♀(Phasianus versicolor)を見つけました。 
キジ♀も私の存在に気づいていて、どんどん奥へと逃げて行きます。 
田植え前に除草剤を撒いた農道の区画では枯草が広がっています。 
褐色系の迷彩模様を身にまとったキジ♀にとっては、緑の草地を歩くよりも保護色になっています。 
それを自覚していてキジ♀は奥へ奥へと逃げていたのかもしれません。 

逃げる途中で、畦道の横を流れる細い農業用水路からキジ♀が水を飲みました。 
よほど喉が渇いていたようで、私から逃げつつ場所を変えながら、何度も水を飲んでいます。 
用水路をピョンと飛び越えました。 
畦道を右に曲がると、最後は水田の中に入って水を飲んだようです。 

水飛沫を上げながら水を飲んだり、用水路を飛び越えたりする様子を1/5倍速のスローモーションでリプレイ。(@1:21〜) 
キジ♀が流水の水面から顔を上げたら、嘴ですくい上げた水滴が前方に飛びました。 
もし私が怖がらせなければ、キジ♀は用水路内で落ち着いて水浴したのかな? 


キジが水を飲むシーンを初めて動画で記録できて嬉しかったのですが、デジカメ(Panasonic LUMIX DC-FZ85D-K)の手ブレ補正機能の副作用が酷いです。 
撮影を始めるまで私はカメラを起動したまま首からぶら下げて農道を歩いていました。 
私の歩行リズムを打ち消すようにカメラが手ブレを補正しようとするので、私が立ち止まって動画を撮り始めても横方向の不自然な振動が続いてしまうのです。 
動画を撮りながら私が画角の振動を打ち消そうとカメラを手で動かすほど逆効果で、不自然な振動が長く続くことになります。 
カメラの電源を一度切ってから再起動すればこの症状が直ることは分かっているのですが、再び動画が撮れるようになるまでかなりのタイムラグがあります。 
その間に生き物の面白い行動の決定的な瞬間を撮り逃がしてしまいがちで、これまで何度も悔しい思いをしてきました。 
そのため、私は我慢して動画を撮り続けるようにしています。 
何も撮れないよりも、ぶれている動画の方がはるかにマシだからです。(Better than nothing.)
別の裏技として、カメラの電源を切らずに、写真・動画をバックモニターで見る再生モードに切り替え、再び撮影モードに戻すと、手ブレ補正の暴走がリセットされることを後に知りました。 
カメラメーカーのPanasonicには、この症状だけを素早く止める緊急リセットボタンを特別に用意してもらいたいものです。


つづく→

菜の花を舐めるスイセンハナアブ♂

 

2025年5月下旬・午後16:00頃・晴れ 

郊外の住宅地で民家の家庭菜園に咲いている菜の花に見慣れないハナアブが忙しなく訪花していました。 
口吻を伸縮させて、黄色い菜の花の花蜜や花粉を舐めています。 
後半は、菜の花に隣接するハルジオンにも一瞬だけ訪花しました。 

いつものように望遠マクロで虫を撮りたくても、菜の花の茂みが込み入っているため、AFで被写体にピントを合わせるのはまず無理です。 
仕方がないので、通常のマクロモードでレンズをそっと近づけて接写するしかありません。 
ハナアブが花から花へ飛び回る際に、プーン♪という羽音がかすかに聞こえます。

初めはクロマルハナバチ♀の小型個体またはコマルハナバチ♀かと騙されかけたのですけど、よく見るとベイツ型擬態のハナアブでした。 
胸部(襟元)が黒ではなく色が薄い(黄褐色)点では、クロマルハナバチよりもオオマルハナバチ♀(Bombus hypocrita)っぽいかもしれません。
(しかし撮影地は平地なので、山地性のオオマルハナバチは生息していませんから、ベイツ擬態が成立しなくなってしまいます。)
顔を正面から見ると、左右の複眼が頭頂で接していたので♂と判明。 
後脚の腿節が黒くて太いです。 

今回の菜の花は園芸植物なのか、それともアブラナ科の野菜が花を咲かせたのか、真面目に検討していません。

謎のハナアブの名前を知りたくてGoogleレンズ(画像認識AI)を使ったら、スイセンハナアブ♂(Merodon equestris)とすぐに教えてくれました。 
スイセンなどの球根に幼虫が寄生する外来種らしい。 
輸入された園芸植物の球根と一緒に検疫をすり抜けて日本に侵入し、分布を広げているそうです。 
ベーツ擬態が中途半端でモデルがよく分からないのは、もともと日本在来種ではないからだと分かりました。

最近買った『ハナアブハンドブック』で調べ直すと、p93に掲載されていました。 
発生時期が5〜6月とのことで、ぴったり合います。 
スイセンハナアブは体色に変異型が色々とあるらしく(colour form多型の写真)、この個体は混合型(var. bulborumとvar. equestrisのどっち?)らしい。 
外来種のベーツ擬態の問題は考えてみるとかなり面白いので、改めて別の記事にします。(別個体の訪花シーンを映像公開予定)





余談ですが、2026年4月に出版された『ハナアブハンドブック』の書評を遅ればせながら少し書いておきます。 
ハナアブ専門の図鑑を長年待ち望んでいたので、調べ物の取っ掛かりとして本書はとてもありがたいです。 
紙の表紙にビニールカバーが被せられていて、野外に携帯しても汚れや摩耗から保護してくれそうです。 
しかし、肝心の図鑑編に掲載された各種ハナアブの写真が暗いのが不満です。 
文一総合出版のハンドブック・シリーズで共通したホワイトバック(背景が白色)の写真なのに、きちんとストロボを焚いていないのか、まるで蛍光灯の下で撮ったような暗い写真ばかりです。
細部の特徴が写真でよく分からないのでは、生物図鑑やハンドブックとして致命的な欠陥だと言わざるを得ません。 
もしかするとフラッシュを焚いているのに、斜めから撮っているせいかもしれません。 
ハナアブを同定するには背面と側面と顔正面の3枚ずつ、♀♂両方の写真を載せて欲しいのに、掲載写真を減らすため(コストカット)の苦肉の策として、本書では基本的に斜めから撮った写真が中心です。 
たとえばハナアブの世界というWEBサイトには、各種の標本写真がきれいにまとめてあって、今回も重宝しています。 
ハナアブ類の生態を説明した解説編の内容が充実していて本当に素晴らしいだけに、写真がとにかく残念です。 
出版社の編集者が心を鬼にして筆者に指摘する(撮り直しを命じる)べきでした。 
労作なのは重々承知の上で、筆者に対して酷な要求ですけど、写真を差し替えて改訂することを望みます。 


生物の図鑑は今後すべて紙ではなく電子書籍版で出版して欲しいというのが個人的な希望です。 
今さらですけど、電子書籍のメリットを列挙してみます。 
  • 電子書籍なら図鑑やハンドブックを何冊でもフィールドに持っていくことが可能になり、現場で調べることができます。 
  • 掲載するカラー写真の数を泣く泣く減らしたり、サイズを小さくトリミングしたり、カラー印刷のページだけ口絵としてまとめたりする必要が一切なくなります。 欲張りな私は、各種につき標本の写真も生態の写真も削らずに盛りだくさんに掲載してほしいのです。
  • 小さな文字が読みにくい読者は、虫眼鏡を使わなくても拡大して表示することができます。 写真も文字も小さな本は、老眼の高齢者への配慮を欠いています。 
  • 鳴き声の音声や行動の動画などマルチメディア素材との連携もスムーズになります。 1990年代にCD-ROMのマルチメディア図鑑が登場したときは革命的でした。感動・熱狂した当時と比べて、今の図鑑は明らかに使いにくく退化しています。 
  • 内容に訂正があれば、電子書籍ならすぐに反映できるはずです。


現状では伝統的な紙の出版文化を守ろうとして両方出し続けているために、色々と中途半端になっています。 
出版社の都合で、読者(消費者)の不満がいつまでも解消されません。 
電子書籍版と言いつつも、紙の書籍をスキャンした画像をまとめただけの粗悪な代物ばかりなのは、出版社の怠慢です。 
電子書籍の強みを遺憾なく発揮した編集になっていません。 
たとえば目次や索引からハイパーリンクで該当ページに直接飛べるように、最低限の編集をして欲しいものです。 
個人の有志が自費出版している電子書籍の図鑑には、すばらしい物があるので、技術的にできないとは言わせません。 
(たとえば『日本チョウ類E図鑑』など。)
大手の出版社もさっさと電子版に本格移行して欲しいものです。 
図鑑の未来は電子書籍にあると私は確信しています。 
子供向けの入門図鑑では、紙の書籍版も意味があるかもしれません。 
しかし、大人向けの専門的な図鑑は、すべて電子版にすべきだと私は考えます。 
紙の書籍で多くの種類を網羅しつつコンパクトで安価な図鑑にまとめるのは、もう限界でしょう。
料金は1冊毎の買い切りが私の好みですけど、いずれサブスク制が主流になりそうです。


2026/09/03

ドングリの落果を拾い果皮を剥いてから食べるニホンザル

 

2025年4月中旬・午前10:35頃・くもり 

春になって雪が溶けた後の山麓で遭遇した野生ニホンザルMacaca fuscata fuscata)の群れを観察していると、ドングリの採食シーンが撮れました。 

シーン1:(@0:00〜) 
用水路沿いで、ニホンザル成獣が何か小さな餌を拾い食いしていました。 
左手に持っているのは、ドングリ(ブナ科の堅果)でした。 
右手で痒い体をボリボリ掻いてます。 
次に猿は、ドングリを両手の平に挟んで擦り合わせ、外側の土汚れを落としました。 
歯で噛んで果皮を器用に剥くと、中身の種子を美味そうに食べました。 

シーン2:(@0:35〜) 
次は若い個体が同じく用水路沿いで餌を探し歩いていました。 
クリのイガを手で転がし、落ち葉をめくったりしています。 
境界標に乗ったのは、棘だらけのイガグリを踏んで痛い思いをしないための無意識の知恵かもしれません。 

何か木の実を拾って食べています。 
1/5倍速のスローモーションでリプレイすると(@1:11〜)、採食法がよく分かるようになりました。 
せっかくドングリの果皮を剥いたのに、猿は種子を少し味見をしただけで、すぐに捨ててしまいました。 
このドングリはタンニンが多く含まれて渋かったのか、それとも虫食い状態だったのでしょう。 
2例ともドングリの形が細長いので、おそらくミズナラの堅果だと思います。 

後で現場検証してドングリの樹種を調べるつもりでいたら、遊動するニホンザルの群れを追跡するのに夢中で忘れてしまいました。
そのうち、山麓の道端にあったパッチ状の雑木林が、いつの間にか伐採されてしまいました。


【考察】
ChatGPT

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タヌキの巣穴がある休耕地で落ち葉をめくって餌を探すハシボソガラス【野鳥:トレイルカメラ】

 



2025年4月下旬・午前9:00頃・くもり・気温18℃ 

休耕地でホンドタヌキ♀♂(Nyctereutes viverrinus)の家族が暮らす営巣地を自動センサーカメラで見張っています。 
春になって雪が完全に溶け、枯野だった地面に草が青々と育ち始めました。 

ハシボソガラスCorvus corone)が単独で原っぱに降り立っていました。 
トコトコ歩いてから、お辞儀をしながらガーガー♪と嗄れ声で鳴きました。 
やがて、嘴で落ち葉をめくって餌を探し始めました。 
落ち葉の下に隠れている虫や越冬している虫を捕食するのでしょう。 

今回のカラスはタヌキの巣穴に興味を示さず、素通りしました。 


※ 鳴き声が聞き取れるように、動画編集時に音声を正規化して音量を強制的に上げています。 


つづく→

2026/09/02

池の岸辺で息継ぎ体勢のまま煮干しを食べるクロゲンゴロウ

 

2026年4月下旬・午後14:15頃・晴れ 

山麓の池LでクロゲンゴロウCybister brevis)を定点観察しています。 
越冬明けのクロゲンゴロウ成虫の食事シーンを、この日初めて観察できました。 
早春の時期は息継ぎのために浮上と潜水を繰り返すだけで、餌を与えても無反応でしたが、ようやく食欲が回復したようです。 
水中を泳ぎ回る速度も見違えるように速くなりました。 
山から沢の雪解け水が流入する池なので、水温がようやく上がったのかもしれません。 

持参した煮干しの頭を取り除いてから縦に裂いて池に投入しても、水中のクロゲンゴロウはなかなか気づきませんでした。 
ようやく煮干しの匂いを嗅ぎつけた1匹のクロゲンゴロウ個体が、浅瀬の水面で息継ぎ体勢のまま(腹端だけ水面の上に出したまま)煮干しに食いついていました。 

ちなみに、クロゲンゴロウの成虫が同じ池で暮らすオタマジャクシの群れ(ヤマアカガエルRana ornativentris)の幼生)を襲って捕食することはありませんでした。



二次林内の営巣地に1〜3頭で出没するホンドタヌキ:4月中旬〜下旬【トレイルカメラ:暗視映像】

 



2025年4月中旬〜下旬

シーン0:4/17(@0:00〜) 
春の落葉二次林でホンドタヌキNyctereutes viverrinus)の家族が使っている巣穴を自動撮影カメラ2台で見張っています。 
ここは以前、ニホンアナグマが掘った営巣地(セット)でした。 

興味深い行動は個別の記事にしたので、残り物をまとめました。 
♀♂ペアの親ダヌキと、両目の輝板(タペータム)を失明した娘(ヘルパー?)から成る3頭の家族群がよく現れますが、個体識別がしっかりできていないので、他のタヌキも来ているかもしれません。 


シーン1:4/19(@0:07〜) 
夜に単独で来たタヌキが甲高い声でクゥーン♪と鳴きました。 


シーン2:4/24(@1:38〜) 
深夜にパートナーと一緒に来た♂が、巣口L横の落葉灌木に小便をかけてマーキングしました。 


シーン3:4/25(@2:08〜) 
両目失明個体が単独で未明に登場。 
(明るい昼間は、輝板の状態が見分けられません。) 

タヌキは2つの巣口L、Rの匂いを嗅いで調べるだけのことが多いのですが、単独で来たタヌキ♂が珍しく巣穴Lを内検しました。 
その後で、巣口Rの近くに生えたマルバゴマキ灌木の根元に排尿マーキング。 


シーン4:4/29(@5:16〜) 

シーン5:4/30(@5:24〜) 
明るい早朝から3頭の家族群が一緒に来ていました。 
巣穴Rを内検しています。 
3頭が同時に潜り込めるぐらい巣穴Rの内部は広いことが分かります。 
巣穴Rの外に出てくると、身震いして毛皮の土汚れを払い落とします。 
そのまま巣口Rで対他毛繕い。 

その後は巣口Rで2頭が寝そべって休んでいます。 
その間に、残りの1頭が独りで外出しました。 

しばらくしてカラスの鳴き声が近くですると、タヌキは巣穴の中に逃げ込んだようです。 
ハシブトガラスにモビングされたのでしょうか? 
ほとぼりが覚めると、恐る恐る外に出てきました。 


※ 動画の一部は編集時に自動色調補正を施しています。 
※ 鳴き声が聞き取れるように、動画の一部は編集時に音声を正規化して音量を強制的に上げています。 


つづく→

2026/09/01

フクロウが吐き出したペリットをスギ林で見つけた!【野鳥:フィールドサイン】

 

2025年4月下旬・午後13:00頃・晴れ 

パッチ状に植林されたスギ林で、木の下に落ちているフクロウStrix uralensis)のペリットを初めて見つけました。 
猛禽類のフクロウは、野ネズミなどの小動物を狩って丸呑みした後で、消化できない毛や骨を口から塊として吐き出すのです。 
発見したペリットは、綿埃を固めたように全体が白っぽく、細長い骨片が多数含まれていました。 
15cm定規をペリットの横に並べて置いて採寸しました。 

周囲の枯れたスギ落ち葉が鳥の糞で白く汚れていました。 
近くに落ちていたもう一つのペリットは、形が崩れていました。 
真上にあるスギの横枝がフクロウにとってお気に入りの止まり木(またはねぐら)になっていて、食後に上からも下からも排泄したようです。 

長年フクロウの巣を探しているのですけど、この辺りのスギの木は樹洞ができるほど樹齢は古くはなくて、まだ発見できていません。 


関連記事(同じスギ林で1、2年前に撮影)▶  


【アフィリエイト】 


家に持ち帰ったペリットを方眼紙に載せて写真に撮りました。 
後で内容物を詳しく調べるつもりだったのに、忙しくて後回しにしていたら、誤って捨ててしまいました…。

オオヤマザクラの花で採餌するセイヨウミツバチ♀

 

2025年4月下旬・午後14:50頃・晴れ 

道端でオオヤマザクラの花が満開に咲いていました。 
木の下を通りかかるとから見上げると、群れで飛び回る蜂の羽音がワーン♪と聞こえました。 
ピンクの花を見上げて訪花昆虫を探すと、セイヨウミツバチApis mellifera)のワーカー♀でした。 
この組み合わせは初見です。 



春風で桜の枝が揺れる上に、ミツバチがあまりにも忙しなく花から花へ飛び回るので、動画に撮るのは至難の業でした。 
ハイスピード動画に切り替えるべきだったかもしれません。 
1/5倍速のスローモーションでリプレイしてみましょう。(@0:26〜) 

一部の個体は、後脚の花粉籠に花粉団子を運んでいました。 
オオヤマザクラの花ですばやく吸蜜すると、次の花に向かう途中の空中でホバリング(停空飛翔)しながら、左右の後脚を擦り合わせていました(身繕い)。 
体毛に付着した花粉を後脚の花粉籠にまとめているのです。

2026/08/31

林内の排水溝に入って水中の獲物を追い回したり、丸木橋を使って対岸に渡ったりするニホンザルたち【トレイルカメラ】

 



2025年4月下旬・午前11:05頃・くもり後晴れ・気温24℃ 

春の林内で雪解け水が貯まった排水溝をトレイルカメラで見張っています。 
水路をまたぐ倒木が天然の丸木橋のように架かっています。 
ある日の昼前に、ニホンザルMacaca fuscata fuscata)の群れが遊動してきました。 

シーン1:4/25・午前11:05・気温24℃(@0:00〜) 
右岸を歩いてきた個体aが丸木橋に腰掛けて、痒い右側頭部を右足で掻いています。 
後続個体bが排水溝の中をジャブジャブ歩いて遡上して来ると、aはbを避けるように丸木橋を渡ってスタコラと対岸(左岸)へ立ち去りました。 

今度はbが丸木橋に腰掛けると、身を乗り出しながら手を伸ばして、水中を探っています。
 再び入水して水中の餌を探しています。 
また丸木橋に座りました。 

その間に、左奥のスギ防風林をゆっくい歩き去る個体が写っていました。 


シーン2:4/25・午前11:06(@1:00〜)
丸木橋に年齢差のある子猿が2頭来ていました。 
ともに入水して、水路内を探索しています。 
水深はあまり深くないので、泳ぐ必要はなく、水底に足が着いて歩き回れるようです。 

年長個体が水路から出て、左岸へ上陸しました。 
居残った個体(年少の子猿)は、右岸から張り出した落枝に掴まりながら水中を覗き込んでいます。 
水中にオタマジャクシや水生昆虫でも居るのかな? 
この水路は春限定の止水なので、小魚などはいません。 
(排水溝に貯まった雪解け水は、いずれ干上がってしまいます。) 
子猿はバランスを崩して落水してしまい、全身ずぶ濡れになりました。 
丸木橋を使って左岸に渡りました。 

左から別個体が登場すると、子猿は慌てて逃げて行きました。 
逃げた子猿は、奥の右岸から伸びた灌木の幹によじ登り、渡河できるルートを探ったようですが、諦めて引き返しました。 
左岸にある灌木は、幹が棘だらけのハリギリ(別名センノキ)なので、跳び移るのを躊躇したようです。 

入れ替わりで排水溝に来た個体は、さっきの子猿と同じ地点で探餌行動を始めました。 


シーン3:4/25・午前11:07(@2:00〜)
3頭のニホンザルが追いかけっこ遊びを始めました。 
1頭は近くの木に登って逃げましたが、すぐに降りて、水路の左岸に居る2頭に合流。 

左から右へ排水溝を次々と飛び越えて対岸に渡りました。 
疲れ知らずの子猿は、右に左に跳躍渡河を繰り返しています。 
ジャンプ力が劣る子猿でも、水没した落葉灌木(マルバゴマキ?)を経由して水路を飛び越えることが可能です。 


※ 水音が聞き取れるように、動画編集時に音声を正規化して音量を強制的に上げています。 


つづく→

林内の水辺で集めた餌を持ち去る春のハシブトガラス【野鳥:トレイルカメラ】

 



2025年4月下旬・午前7:30頃・晴れ・気温8℃ 

春の林内で雪解け水が貯まった排水溝を自動センサーカメラで見張っています。 
晴れた朝に1羽のハシブトガラスCorvus macrorhynchos)が岸辺に来ていて、嘴で何かを啄んでいました。 
皮を剥いて中身をその場で食べたのかと思いきや、集めた餌を嘴に何個も咥え、右へ歩き去りました。 
動画を拡大して見直しても、採食メニューが不明です。 

この後、巣に持ち帰って抱卵/抱雛中の♀に給餌したのでしょうか? 
あるいは、どこかに餌を隠した可能性もあります(貯食行動)。 

2時間20分後、排水溝の対岸で採餌していたハシブトガラスが手前に飛び立つ様子が撮れていたので、おまけで追加しました。 


2026/08/30

池の水面に浮かぶ煮干しに群がるアメンボの謎

 

2026年4月下旬・午後14:30頃・晴れ 

山麓にある池Hで水生生物を定点観察しています。 
餌として持参した煮干しを池に投入してみました。 
煮干しの頭部は予め取り除き、縦半分に裂いてあります。 
水中に煮干しの匂い(出汁)が少しでも拡散しやすくするためです。 

しばらくすると、水面に浮いた煮干しに3匹のアメンボ(種名不詳)が乗っていました。 
アメンボは死んで乾燥した小魚から吸汁したり体外消化したりできないはずですから、ただ水面に浮いた煮干しに乗って休んでいるだけでしょう。 
あるいはもしかすると、乾燥煮干しから水中に溶け出したアミノ酸やミネラル成分をアメンボは口吻で吸汁しているのかもしれません。 
そのままいかだのように、水面を漂っています。 

アメンボは、隣の個体と脚で蹴り合って牽制しているようにも見えましたが、どうですかね?
途中から4匹目の個体が水面を遊泳してきて、煮干しに辿り着きました。 
死んでいる煮干しは暴れて水面に波紋を作りませんから、アメンボが誘引されるはずがありません。 
仲間が集まっているので、興味を持ったのかもしれません。 
いつの間にか水面の煮干しに誘引されたアメンボは1匹増えて、計5匹になっていました。 
それでもアメンボは求愛や交尾を始めなかったので、お見合い場所(レック)でもなさそうです。

やがて春風が吹いて煮干しが傾き、一気に水中へ沈みました。 
池に投入した乾燥煮干しが水を吸って、比重が大きくなったのでしょう。 
煮干しに群がっていたアメンボは、慌てて離脱・解散しました。 

煮干しが池の底に沈むと、たちまちヤマアカガエルRana ornativentris)の幼生が群がって食べ始めました。 
煮干しの姿が見えなくなるぐらい多数の黒いオタマジャクシが殺到しています。 
この池でオタマジャクシは強力なスカベンジャー(掃除屋)として死骸を始末してくれます。 

実は、縦に裂いた煮干しの残り半分は先に沈んでいて、オタマジャクシがすでに群がっていました。

池の水面と水中で別々のドラマが繰り広げられている上に、水面には陸地の世界が反射しています。 
MCエッシャーの有名なリトグリフ(版画)『三つの世界』を連想しました。 


つづく→

春山の湧水湿地で笹の葉裏に眼下腺マーキングするニホンカモシカ【トレイルカメラ】

 



2025年4月下旬・午後16:00頃・晴れ・気温14℃ 

里山の中腹にある湧水湿地を自動撮影カメラで見張っています。 
ようやく残雪が溶けたものの、山の雪解け水で辺り一面が水浸しです。 

ある日の午後に現れたニホンカモシカCapricornis crispus)が、手前の林床に生えたササ(種名不詳)の葉裏に顔を擦りつけました。 
眼下腺からの分泌物で縄張り宣言のマーキング(匂い付け)をしたのです。 

毛皮が白っぽいということは、まだ冬毛なのかな? 
水場(水溜り)には立ち寄らず、手前に歩き去りました。 


※ 動画の一部は編集時に自動色調補正を施しています。 


つづく→

2026/08/29

春の林内で雪解け水が貯まった排水溝の横で羽繕いするホオジロ?【野鳥:トレイルカメラ】

 

2025年4月下旬・午後12:05頃・くもり 

春の林内で雪解け水が貯まった排水溝を自動撮影カメラで見張っています。 

ある日の昼過ぎにホオジロEmberiza cioide)らしき小鳥が倒木のある岸辺に来ていました。 
スズメかと思ったのですが、拡大してみると、どうやらホオジロのようです。 

念入りに羽繕いしているということは、直前まで水路で水浴していたのかもしれません。 
最後は、左へ低空で飛び去りました。 


つづく→

セイヨウタンポポの花蜜を吸い飛び回るフタモンアシナガバチ創設女王【FHD動画&ハイスピード動画】

 

2025年4月下旬・午後15:05頃・晴れ 

道端に咲いたセイヨウタンポポの群落でフタモンアシナガバチPolistes chinensis antennalis)の創設女王♀が訪花していました。 
この時期に見られる個体は、ワーカー♀ではなくて、越冬明けの創設女王です。 
共にありふれた普通種ですけど、意外にもこの組み合わせは初見でした。 
頭花の総苞片が反り返っていることから、外来種(帰化植物)のセイヨウタンポポとわかります。 
これまで撮っていたのはエゾタンポポだけでした。 

関連記事(2年前の撮影)▶  


顔を深く突っ込んで吸蜜しても、体は花粉で汚れていません。 
筒状花の雄しべの葯にはもう花粉が枯渇しているようです。 
それでもフタモンアシナガバチ♀は、前脚で左右の触角を拭ってから、羽ばたいて飛び立ちました。 

フタモンアシナガバチ創設女王がセイヨウタンポポの花から飛び立つ瞬間を狙って、240-fpsのハイスピード動画でも撮ってみました。(@1:39〜)

2026/08/28

鉄橋下にある溜め糞場の近くでホンドタヌキの死骸を見つけた!

 



2025年4月下旬・午後15:40頃・晴れ 

川に架かる鉄橋の下を久しぶりに訪れ、ホンドタヌキNyctereutes viverrinus)の溜め糞場を定点観察しに来ました。
残雪は完全に溶けていて、冬の積雪で倒伏していた常緑の笹薮も再び立ち上がっていました。 
新鮮な糞は追加されておらず、古い糞塊は乾いていました。 
まだ早春で気温も低いので、糞虫やハエなどは1匹も活動していませんでした。 
どうやら最近では溜め糞場として使われていないようです。 
その理由がすぐに判明します。 

鉄橋の下の獣道と思われる踏み跡を進んで行くと、抜け落ちた獣毛が地面に散乱していました。 
獣道には不燃ゴミも散らばっていて見苦しいのですが、必ずしも誰か不届き者(ヒト)が不法投棄したとは限らず、タヌキが拾い集めてきた可能性も高いです。 

更に進むと、野生動物の死骸がミイラ状になって横たわっていました。 
死んでからだいぶ日数が経っています。 
約2ヶ月前の前回は、この死骸を見ていません。 
残雪の下に埋もれていて気づかなかったのか、それともその後に死んだ個体なのでしょうか。 
死亡時期を推定するのは難しくて分かりませんが、記録的な大雪が積もった冬の間に、溜め糞場に通うホンドタヌキが行き倒れて死んだのではないかと想像しています。 
死骸の発見現場は、人通りが多い河川敷の遊歩道の結構近くでした。 
春になって飼い犬を散歩に来たヒトがタヌキの死骸を見つけ、目立たぬようにこの笹薮に運んで捨てた可能性もありそうです。 

死骸を食べて分解する昆虫類が全く見つかりませんでした。 
ハエの成虫も来ていませんし、蛆虫も群がっていません。 
まだ気温の低い早春で昆虫がそもそも活動していないからなのか、それとも分解者の昆虫が死骸を食べ尽くした後なのか、両方の理由がありそうです。 
素人目には、タヌキやカラスなどの大型(中型?)スカベンジャーが死骸の腹部を食い荒らした後のような気がします。 
雪国で冬の間に死んだとすると、死骸に集まる虫の種類から死亡時期を推定するという昆虫法医学の手法が使えなくなります。 
バクテリアによる分解(腐敗)も低温下ではかなり遅くなります。

死骸は干からびていて、死臭もありませんでした。 
下腹部の損傷が激しく、タヌキの性別を見分けられそうにありません。 
すでに死骸の分解がかなり進んでいて、毛皮からパッチ状に体毛が抜け落ちている段階です。 
その抜け毛が風で飛ばされて、周囲に散らばっていたのだと分かりました。 
春の繁殖期になると野鳥がその抜け毛を拾い集めて、巣の産座として再利用するはずです。 
その様子をトレイルカメラで記録したかったのですが、鉄橋という重要インフラに怪しげな機材を設置すると怒られそうなので、諦めました。 

干からびて白骨化が進んでいる死骸の頭部を持ち上げて、よく調べてみました。 
野生動物の死骸に素手で触れるのは衛生的に危険ですから、ありあわせのビニール袋を右手に被せて、即席で手袋の代用としました。 
全身が死後硬直のまま干からびていました。 
前脚の爪が黒いのは、土をよく掘るからでしょうか。 
顔が除肉されていて体毛もほとんど抜け落ち、歯が剥き出しになっています。 
眼球はもうスカベンジャーに食べられたようで、眼窩が空洞でした。 

死んだホンドタヌキの頭部を調べたのは、損傷を調べて頭骨標本にできるかどうか検討したのです。 
ロードキルと違って死骸の状態が良さそうなので、頭部だけ採集して頭骨の標本を作ることにしました。 
この日は採集用具を持って来なかったので、改めて出直します。 


つづく→ 


【アフィリエイト】 


【追記】
今回の死骸に昆虫類が見られなかったことについて、Perplexity AIに色々と質問してみました。

Q1: クロバエ科やニクバエ科など、死骸に集まるハエ類の中で、成虫で越冬する種類はいるか? 日本国内の種について教えて

A1: 死骸や腐敗有機物に集まるハエ類(屍食性・腐食性双翅目)の中には、成虫態で越冬する種が存在します。日本国内で見られる代表的な科ごとの越冬生態は以下の通りです。 city.nagoya

クロバエ科の成虫越冬種

クロバエ科(Calliphoridae)は全体として低温耐性が高い種が多く、特に春・秋を主活動期とする種を中心に成虫越冬が確認されています。 city.nagoya

  • オオクロバエ (Calliphora nigribarbis) id-info.jihs.go
    青藍色をした大型種で、動物死体や魚介類、生ごみに強く誘引されます。本州以南の平地では春と秋に発生のピークがあり、夏季は高所へ移動するか休眠します。成虫で越冬するため、冬季でも小春日和の日だまりや、冬咲きの花(ヤツデやヒイラギなど)で日光浴・吸蜜する姿が頻繁に観察されます。 city.nagoya
  • ホホアカクロバエ (Calliphora vicina)
    オオクロバエと同属の寒冷地・北方系種で、主として北海道や本州の冷涼地などに分布します。世界的な法医昆虫学の知見も含め、本属は成虫態での越冬や、暖冬期の一時的な活動が知られています。
  • トゲオオクロバエ / ミヤマクロバエなど (Calliphora 属・近縁属)
    山地性のクロバエ類にも、樹皮の隙間や岩隙、倒木下などに潜り込んで成虫越冬を行うグループが知られています。

※キンバエ亜科(ヒロズキンバエなど)の多くは幼虫または蛹で越冬する傾向が強いのに対し、オオクロバエ属などの「狭義のクロバエ類」に成虫越冬が目立ちます。

ニクバエ科の越冬様式

ニクバエ科(Sarcophagidae)の日本国内産代表種(センチニクバエ Sarcophaga peregrina やナミニクバエ Sarcophaga similis など)は、成虫越冬ではなくで越冬するのが一般的です。 pestcontrol-tokyo

  • 幼虫期(または母バエの受光条件)に短日条件を感知し、土中にもぐって蛹休眠に入ります。 bio.sci.osaka-u.ac
  • 晩秋に羽化した個体が一時的に屋内外の隙間に潜り込む例はありますが、種としての越冬戦略(休眠)のステージは蛹期に固定されています。 shigakan.co

その他の死骸に集まるハエ類

死骸の初期〜後期腐敗段階や浸出液に集まる他科のハエ類にも、成虫越冬種が見られます。

  • イエバエ科の腐食性種
    「クロバエ」の名が付くオオセアカクロバエ (Muscina pascuorum) やトゲアシオオクロバエ (Muscina stabulans) などのオオクロバエ属(Muscina)は、動物死骸や糞、腐敗植物に集まります。これらは成虫態で越冬し、冬場の薪の隙間や樹洞、家屋の隙間などから見出されます。 ameblo
  • ヒメイエバエ科 / チビクロバエ科
    一部の種において成虫が越冬場所(洞窟、畜舎、樹皮下)に集まり越冬する習性が記録されています。

野外の獣糞や動物死体調査、冬場の定点観察において真冬〜早春に最初に見かける大型バエは、その多くが成虫越冬から目覚めたオオクロバエなどのクロバエ科昆虫です。 city.nagoya


Q2: 雪国の山形県で厳冬期に野生動物が死んだ場合、晴れて温かい日にハエ成虫が集まって吸汁したり死骸に産卵したりするのか? 気温が低くても幼虫が孵化して死骸をゆっくり摂食するのか?

A2: 山形県の厳冬期(1〜2月、氷点下〜数℃)における動物死骸とハエ類の生態は、成虫の飛翔・採食と産卵・幼虫発育で状況が大きく分かれます。

成虫の飛翔と吸汁の可能性

晴天で直射日光が当たり、局所的なマイクロクライメイト(局所微気候)の温度が上がれば、成虫が飛来して吸汁することは可能です。

  • 飛翔温度の制約
    オオクロバエやホホアカクロバエなどの低温適応種でも、飛翔活動を開始するには通常8〜10℃以上(活発な飛翔には12〜13℃以上)の体温が必要です。 repository.derby.ac
  • 雪上の日だまり効果
    気温自体が3〜5℃程度であっても、無風の快晴日に黒っぽい動物の体表や露出した土壌が直射日光を受けると、表面温度は10℃を超えます。越冬場所(樹皮下や建物の隙間など)が温まって目覚めた成虫が飛来し、死骸の血液や滲出液を吸汁する行動は見られます。

産卵のハードルと低温限界

成虫が飛来しても、厳冬期の死骸への産卵は極めて稀です。

  • 生殖休眠
    成虫越冬中のハエは短日・低温条件によって「生殖休眠(卵巣の発育停止)」に入っています。冬場の数時間温まった程度では休眠は覚醒せず、卵巣内に成熟卵が用意されていません。 link.springer
  • 産卵行動の温度閾値
    低温に極めて強いホホアカクロバエ等でも、産卵行動を誘発する最低温度閾値はおよそ10℃前後とされています。冬季の屋外ではこの条件を持続的に満たすことが困難です。 repository.derby.ac

幼虫の孵化と摂食(発育零点の問題)

仮に晩秋からの残留卵や奇跡的に産卵された卵があったとしても、厳冬期の野外で幼虫が孵化して死骸を摂食し進めることは原則としてありません

  • 発育零点(低温限界)
    法医昆虫学の研究データにおいて、クロバエ類の胚発生(孵化)や幼虫の発育零点(発育が完全に停止する理論限界温度)は概ね**2〜5℃**と算出されています。 avys.omu.edu
  • 積算温度の不足と凍結
    実効的な発育には日平均気温で5℃以上が一定期間持続する必要があります。厳冬期の山形県では夜間に氷点下まで下がり死骸自体が凍結するため、積算温度(ADD/ADH)が稼げず、卵や初齢幼虫は発育停止または凍死します。 pmc.ncbi.nlm.nih
  • 群集発熱(マゴット・マス)の不在
    夏季であれば高密度のウジが集まり局所温度を周囲より10〜20℃以上上昇させる「マゴット・マス効果」が働きますが、冬季はそもそも幼虫の頭数が揃わないため発熱現象も起きません。 note

厳冬期の死骸分解プロセスの実態

積雪下や厳冬期の野外では、ハエ幼虫によるバイオマス消費は完全にストップします。

  • 冬の主な分解者
    冬の死骸は昆虫ではなく、ホンドテン、キツネ、タヌキ、カラス類、トビなどの脊椎動物スカベンジャーによる直接摂食が主たる分解ルートになります。
  • 春先の爆発的発生
    大型捕食者に食べ尽くされず雪下に埋もれて残った死骸は「冷蔵・冷凍保存」状態となり、融雪期(3月下旬〜4月)に日平均気温が発育零点を超えた段階で、越冬から覚醒したクロバエ類が一斉に産卵を開始します。

山形県の厳冬期(1〜2月、氷点下〜数℃)における動物死骸とハエ類の生態は、成虫の飛翔・採食と産卵・幼虫発育で状況が大きく分かれます。

成虫の飛翔と吸汁の可能性

晴天で直射日光が当たり、局所的なマイクロクライメイト(局所微気候)の温度が上がれば、成虫が飛来して吸汁することは可能です。

  • 飛翔温度の制約
    オオクロバエやホホアカクロバエなどの低温適応種でも、飛翔活動を開始するには通常8〜10℃以上(活発な飛翔には12〜13℃以上)の体温が必要です。 repository.derby.ac
  • 雪上の日だまり効果
    気温自体が3〜5℃程度であっても、無風の快晴日に黒っぽい動物の体表や露出した土壌が直射日光を受けると、表面温度は10℃を超えます。越冬場所(樹皮下や建物の隙間など)が温まって目覚めた成虫が飛来し、死骸の血液や滲出液を吸汁する行動は見られます。

産卵のハードルと低温限界

成虫が飛来しても、厳冬期の死骸への産卵は極めて稀です。

  • 生殖休眠
    成虫越冬中のハエは短日・低温条件によって「生殖休眠(卵巣の発育停止)」に入っています。冬場の数時間温まった程度では休眠は覚醒せず、卵巣内に成熟卵が用意されていません。 link.springer
  • 産卵行動の温度閾値
    低温に極めて強いホホアカクロバエ等でも、産卵行動を誘発する最低温度閾値はおよそ10℃前後とされています。冬季の屋外ではこの条件を持続的に満たすことが困難です。 repository.derby.ac

幼虫の孵化と摂食(発育零点の問題)

仮に晩秋からの残留卵や奇跡的に産卵された卵があったとしても、厳冬期の野外で幼虫が孵化して死骸を摂食し進めることは原則としてありません

  • 発育零点(低温限界)
    法医昆虫学の研究データにおいて、クロバエ類の胚発生(孵化)や幼虫の発育零点(発育が完全に停止する理論限界温度)は概ね**2〜5℃**と算出されています。 avys.omu.edu
  • 積算温度の不足と凍結
    実効的な発育には日平均気温で5℃以上が一定期間持続する必要があります。厳冬期の山形県では夜間に氷点下まで下がり死骸自体が凍結するため、積算温度(ADD/ADH)が稼げず、卵や初齢幼虫は発育停止または凍死します。 pmc.ncbi.nlm.nih
  • 群集発熱(マゴット・マス)の不在
    夏季であれば高密度のウジが集まり局所温度を周囲より10〜20℃以上上昇させる「マゴット・マス効果」が働きますが、冬季はそもそも幼虫の頭数が揃わないため発熱現象も起きません。 note

厳冬期の死骸分解プロセスの実態

積雪下や厳冬期の野外では、ハエ幼虫によるバイオマス消費は完全にストップします。

  • 冬の主な分解者
    冬の死骸は昆虫ではなく、ホンドテン、キツネ、タヌキ、カラス類、トビなどの脊椎動物スカベンジャーによる直接摂食が主たる分解ルートになります。
  • 春先の爆発的発生
    大型捕食者に食べ尽くされず雪下に埋もれて残った死骸は「冷蔵・冷凍保存」状態となり、融雪期(3月下旬〜4月)に日平均気温が発育零点を超えた段階で、越冬から覚醒したクロバエ類が一斉に産卵を開始します。

Q3: さっきは厳冬期と指定したが、早春の融雪期に死んだ死骸ではハエが産卵し、ウジ虫が死骸を食べるのか?

A3: 早春の融雪期(山形県ではおおむね3月下旬〜4月中旬)になると、ハエの産卵と幼虫による摂食・分解は本格的に開始されます。厳冬期とは異なり、気温と生理的条件の雙方が揃うためです。 kaken.nii.ac

早春にハエが集まり産卵する理由

融雪期に入ると、ハエの行動を制限していた障壁が解かれます。

  • 休眠覚醒と活動開始
    越冬成虫(オオクロバエ、フタオクロバエなど)は日照時間の延長と気温上昇(最高気温が10〜13℃を超える日)によって生殖休眠から覚醒し、卵巣を発達させて産卵行動をとれるようになります。 kaken.nii.ac
  • 腐敗臭の拡散
    融雪とともに死骸が露出して解凍され、体内のバクテリアによる自己融解・腐敗が始まります。発生した揮発性有機化合物(硫黄化合物など)に誘引され、越冬明けのハエが真っ先に飛来します。 homicide-info.sakura.ne
  • 産卵部位の選択
    成虫は乾燥や低温から卵を守るため、日光が直接当たりにくい口、鼻孔、眼の周囲、創傷部、地面や雪との接地部に卵塊を産み付けます。 homicide-info.sakura.ne

幼虫の孵化と摂食プロセスの特徴

早春は「ゆっくりとした摂食」が実際に進行する時期です。 homicide-info.sakura.ne

  • 緩慢な発育スピード
    クロバエ類の発育零点は約2〜5℃です。早春は日中の有効積算温度(ADD/ADH)が少しずつ蓄積されるため、夏場なら半日〜1日で孵化するところが数日〜1週間程度かかり、幼虫の摂食速度も低速になります。 homicide-info.sakura.ne
  • 日射と微気候の熱利用
    残雪が周囲にあっても、直射日光を受けた死骸の黒い毛皮や組織は外気温より数℃〜10℃以上高くなります。幼虫はこの局所的な温もりを利用して軟部組織(筋肉、内臓、結合組織)を液化・摂食します。 homicide-info.sakura.ne
  • 夜間の低温耐性
    夜間に気温が氷点下近くまで下がると幼虫の発育・摂食は一時停止しますが、クロバエ類の幼虫は高い耐寒性を持つため、凍結死せずに翌日の気温上昇とともに活動を再開します。

融雪期特有のスカベンジャー競合

早春の死骸は、昆虫と脊椎動物の間で激しい消費競争が起きます。

  • 大型スカベンジャーの活動
    冬眠から覚めたツキノワグマ、活動が活発化したキツネ、タヌキ、カラス類が雪解けの死骸を採食しに来るため、ウジが食べ尽くす前に死骸の大半が持ち去られるケースも多々あります。 ncumed2009.web.fc2
  • 甲虫類の参入
    ハエの幼虫が増加すると、それを捕食するシデムシ類やハネカクシ類、エンマムシ類も集まり始め、死骸周辺の分解者コミュニティが急速に多様化します。 kaken.nii.ac


Q4: "甲虫類の参入" 早春にシデムシ類が死骸や獣糞に来ているのを見たことがない。そもそもシデムシ、ハネカクシ、エンマムシなどは成虫越冬なのか?

A4: シデムシ科・ハネカクシ科・エンマムシ科の多くは成虫で越冬します。しかし、早春の死骸や糞塊でこれらの甲虫をほとんど見かけないことには、甲虫特有の越冬場所と活動開始温度のズレが関係しています。 shigakan.co

腐食・捕食性甲虫の越冬態

死骸に集まる主要な甲虫グループの越冬生態は以下の通りです。

  • シデムシ科(Silphidae)
    オオヒラタシデムシ、クロボシヒラタシデムシ、モモブトシデムシ、モンシデムシ類など、日本産主要種の多くが成虫で越冬します。秋に羽化した新成虫が、リター層(落ち葉の下)、倒木の下、土中深くに潜り込んで冬を越します。 atoz2000.oiran
  • ハネカクシ科(Staphylinidae)
    アオバアリガタハネカクシをはじめ、死骸に集まるサビハネカクシ属やオオハネカクシなども多くが成虫越冬です。朽木の中や石下、堆肥・リター層の間隙に潜伏します。 shigakan.co
  • エンマムシ科(Histeridae)
    エンマムシ属やオオヒラタエンマムシなども成虫で越冬し、土中や樹皮下、枯死植物の根元などで休眠します。

早春の死骸に甲虫類が来ない理由

成虫として生存しているにもかかわらず、融雪期に死骸で見られない主な要因は次の4点です。

地温の上昇遅延

甲虫類は土中深部や厚い落ち葉層の下で越冬しています。雪解け直後は雪解け水で土壌が冷やされており(地温は0〜5℃程度)、気温が上がっても地中の温度上昇は著しく遅れます。そのため、気温に即座に反応して飛べるハエ類よりも休眠覚醒が数週間〜1ヶ月以上遅れます。

活動・歩行開始の温度閾値の高さ

クロバエ類が8〜10℃程度から飛翔可能なのに対し、甲虫類が地表を歩行・飛翔して探索行動を始めるには、概ね13〜15℃以上の安定した温度が必要です。早春の融雪期の日中一時的な気温上昇では、甲虫の筋肉活動を維持できません。

餌(ウジ)の発生タイミング

ハネカクシやエンマムシ、一部のヒラタシデムシは、死肉そのものだけでなく「死骸に湧いたハエの幼虫(ウジ)」を主たる捕食対象としています。ハエが産卵し、ウジが十分に育って獲物の密度が高まる時期(山形県では概ね5月以降)に合致するよう活動期が調整されています。 atoz2000.oiran

隠密な行動様式

甲虫類(特にモンシデムシ類やハネカクシ類)は夜行性の種が多く、日中は死骸の直下や土中に潜り込んでいます。飛翔して死骸の表面で目立つハエ類と比べ、野外観察で視認しにくい性質があります。 pref.gifu.lg


野外でシデムシ類やエンマムシ類が死骸・獣糞トラップに本格的に飛来・歩行して集まり始めるのは、残雪が完全に消えて地温が上がり、新緑が芽吹く5月上旬〜中旬以降となります。 hanamokusanpo

シデムシ科・ハネカクシ科・エンマムシ科の多くは成虫で越冬します。しかし、早春の死骸や糞塊でこれらの甲虫をほとんど見かけないことには、甲虫特有の越冬場所と活動開始温度のズレが関係しています。 shigakan.co

腐食・捕食性甲虫の越冬態

死骸に集まる主要な甲虫グループの越冬生態は以下の通りです。

  • シデムシ科(Silphidae)
    オオヒラタシデムシ、クロボシヒラタシデムシ、モモブトシデムシ、モンシデムシ類など、日本産主要種の多くが成虫で越冬します。秋に羽化した新成虫が、リター層(落ち葉の下)、倒木の下、土中深くに潜り込んで冬を越します。 atoz2000.oiran
  • ハネカクシ科(Staphylinidae)
    アオバアリガタハネカクシをはじめ、死骸に集まるサビハネカクシ属やオオハネカクシなども多くが成虫越冬です。朽木の中や石下、堆肥・リター層の間隙に潜伏します。 shigakan.co
  • エンマムシ科(Histeridae)
    エンマムシ属やオオヒラタエンマムシなども成虫で越冬し、土中や樹皮下、枯死植物の根元などで休眠します。

早春の死骸に甲虫類が来ない理由

成虫として生存しているにもかかわらず、融雪期に死骸で見られない主な要因は次の4点です。

地温の上昇遅延

甲虫類は土中深部や厚い落ち葉層の下で越冬しています。雪解け直後は雪解け水で土壌が冷やされており(地温は0〜5℃程度)、気温が上がっても地中の温度上昇は著しく遅れます。そのため、気温に即座に反応して飛べるハエ類よりも休眠覚醒が数週間〜1ヶ月以上遅れます。

活動・歩行開始の温度閾値の高さ

クロバエ類が8〜10℃程度から飛翔可能なのに対し、甲虫類が地表を歩行・飛翔して探索行動を始めるには、概ね13〜15℃以上の安定した温度が必要です。早春の融雪期の日中一時的な気温上昇では、甲虫の筋肉活動を維持できません。

餌(ウジ)の発生タイミング

ハネカクシやエンマムシ、一部のヒラタシデムシは、死肉そのものだけでなく「死骸に湧いたハエの幼虫(ウジ)」を主たる捕食対象としています。ハエが産卵し、ウジが十分に育って獲物の密度が高まる時期(山形県では概ね5月以降)に合致するよう活動期が調整されています。 atoz2000.oiran

隠密な行動様式

甲虫類(特にモンシデムシ類やハネカクシ類)は夜行性の種が多く、日中は死骸の直下や土中に潜り込んでいます。飛翔して死骸の表面で目立つハエ類と比べ、野外観察で視認しにくい性質があります。 pref.gifu.lg


野外でシデムシ類やエンマムシ類が死骸・獣糞トラップに本格的に飛来・歩行して集まり始めるのは、残雪が完全に消えて地温が上がり、新緑が芽吹く5月上旬〜中旬以降となります。 hanamokusanpo

二次林の樹上に設置したトレイルカメラを敵視して激しく攻撃するハシブトガラスの謎(野鳥)

 



2025年4月下旬・午前7:20頃・晴れ・気温10℃ 

二次林でホンドタヌキとニホンアナグマが利用している営巣地(セット)を自動センサーカメラで見張っています。 
2つの巣穴L、Rを見下ろすように、木の幹にカメラを固定しています。 

ある朝、前触れもなくその監視カメラを1羽のカラスが激しく攻撃していました。 
レンズの至近距離で黒い鳥が翼を大きく広げて、カメラを激しく引っ掻いてから飛び去りました。 
頭部の嘴が見えなかったので、カラスの種類を見分けられませんでしたが、ハシブトガラスCorvus macrorhynchos)のカー♪という澄んだ鳴き声が聞こえます。  

しばらくすると、カラスが再びカメラを攻撃しに戻ってきました。 


【考察】 
トレイルカメラをあちこちに設置して何年も撮影してきましたが、これほどカメラを敵視する攻撃的なハシブトガラスは初めてです。 
好奇心旺盛な個体が見慣れないカメラを調べている、というよりも明らかに攻撃的で、(嘴でつついたり?)足で執拗に引っ掻く音が聞こえました。 
幸いトレイルカメラは頑丈な作りで、壊されずに済みました。 

この時期の日中に、最も頻繁にセットを訪れていたのはハシブトガラスでした。(映像公開予定) 
明るい昼間はトレイルカメラは赤外線も照射しませんし、無音で起動しますから、昼行性のカラスの気に障ることはないはずです。 
しかも、同じ位置に何年も固定してあるので、森で暮らす野鳥はその存在にすっかり慣れていたはずです。 

今回カラスがトレイルカメラを攻撃した理由をいくつか考えてみました。 
(1)飛来したカラスが、トレイルカメラ(7.5 × 4.3 × 10.4 cm)の狭い上面に留まろうとしたのでしょうか? 
そうだとしても、理由が分かりません。
小鳥ならともかく、カラスほど大きな鳥が留まれる奥行きがないのです。
(2)トレイルカメラが固定木の幹と接した角にクモが白い糸で小さな住居網を張っていることがあります。 
それを目ざとく見つけたカラスが、クモを捕食しようとしていたのかもしれません。 
撮影時期は春ですから、あるいはクモの糸を集めて産座の巣材として使うのかもしれません。
(3)森林性のハシブトガラスが、近くの樹上に巣を作って繁殖するつもりなのかもしれません。 
親鳥が自分たちの巣の近くで見つけた怪しい物を排除しようとしたのかな? 
セットで暮らすホンドタヌキの家族をカラスが威嚇することもありました。(前回の記事を参照) 

セットの反対側から狙うアングルで別のトレイルカメラが同時に監視していたのですが、残念ながらこのシーンは撮れていませんでした。 


つづく→

2026/08/27

春の池を泳ぎ回るクロゲンゴロウが水中でオタマジャクシやミズカマキリとぶつかっても捕食せず

 

2026年4月下旬・午後13:45頃・晴れ 

山麓にある池HでクロゲンゴロウCybister brevis)が浅い岸辺を活発に泳ぎ回っています。 
餌となる死骸や獲物を探し回っているのでしょう。 
ところが、水中でオタマジャクシ(ヤマアカガエルRana ornativentris)の幼生)の群れに次々とぶつかっても、獲物として狩ることはありませんでした。 

次にクロゲンゴロウ成虫は、獲物を待ち伏せしているミズカマキリRanatra chinensis)と衝突しました。 
濁った水中でミズカマキリの長い呼吸管が見えます(赤丸@1:12〜)。
共に捕食者なのに、何事もなく離れました。 
ミズカマキリが前脚の鎌でクロゲンゴロウを獲物として狩るには手強すぎる相手だったのでしょう。
撮影中の私は、ミズカマキリの存在に気づきませんでした。

越冬明けのクロゲンゴロウは、餌ではなく交尾相手の異性を求めて池の中を泳ぎ回っているのかもしれません。
しかし、私はこの池でクロゲンゴロウの求愛や交尾行動をまだ一度も見たことがありません。


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春に夜な夜な旧セットに通って巣穴を再整備し、縄張り宣言のマーキングを繰り返すニホンアナグマ♀♂:4月中旬〜下旬【トレイルカメラ:暗視映像】

 



2025年4月中旬〜下旬

シーン0:4/17(@0:00〜) 
春の落葉二次林にあるニホンアナグマMeles anakuma)の旧営巣地(セット)を2台の自動センサーカメラで見張っています。 
最近ではホンドタヌキの家族がこの巣穴Rで越冬し、春になっても暮らしています。 

発情期のアナグマ♂が♀の巣穴を夜な夜な探し歩くシーンをまとめるつもりだったのですが、性別判定に自信がなくて、♀個体の動画も一緒にしました。 


シーン1:4/18(@0:07〜) 
夜に来たアナグマ♂が巣口Lを覗き込んだ直後に、巣口Lの縁やセットの地面にスクワットマーキングを繰り返しました。(@0:50〜)
もう一つの巣口Rも訪れて匂いを嗅いだものの、中には入りませんでした。 


シーン2:4/20(@4:16〜) 
深夜に現れたアナグマ♂が巣穴Lに潜り込みました。 
巣穴Lの内検後は、スクワットマーキングしながら旧セットから立ち去りました。 
…と思いきや、小走りでセットに戻ってきて、そのまま入巣L。 
巣口Lの縁に念入りに尻を擦りつけてスクワットマーキングしています。 

同じ日の晩には、♀が単独で登場しました。(@6:14〜) 
巣穴Lに潜り込んで内検しました。 
その後、♀はセットでスクワットマーキングしてから、立ち去りました。 

何度もセットに戻って来ては、巣口Lを点検し、アクセストレンチにスクワットマーキング、という行動を繰り返しています。 


シーン3:4/21(@8:50〜) 
深夜に♀が来て巣口L、Rを順に点検。


シーン4:4/22(@9:36〜) 
深夜に♀が戻ってきて、巣口L点検とスクワットマーキング。 
立ち去る際に、獣道にもスクワットマーキングしています。 


シーン5:4/25(@10:36〜) 
3日後も深夜に♀が登場。 
狭い巣口Lに入りかけながら、念入りに尻の臭腺を擦りつけて匂い付けしているようです。 

次は♂も繰り返しやって来て、巣穴Lを内検し、巣口Lの縁にスクワットマーキングで縄張り宣言。 
巣外で身震いし、体毛に付着した土を払い落としました。 
珍しく巣口Rも少しだけ覗き込んで匂いを嗅ぎました。 

同じ日の晩にもアナグマ♀が登場。 
セットを立ち去りかけたのになぜか走って戻ってきて、巣穴Lに入りました。 
セットに侵入者があって警戒した訳ではありません。 
同様の行動は別の地点(休耕地の巣穴)に設置したトレイルカメラでも記録されています。 
これは私の想像ですが、林内で危険な敵と出会ったときに巣穴に避難するための訓練をしているような気がします。 
巣穴Lから半径何mまでなら安全に逃げ込めるか、避難訓練で確認しているのでしょう。 
夜でも巣穴までの獣道が分かるように、点々と匂い付け(スクワットマーキング)をしているのかもしれません。 
ヘンゼルとグレーテルが森にパンくずを点々と落として目印を残そうとした方法よりも確実です。

晩遅くに来たアナグマ個体は♂のような気がしてきました。 
股間の外性器や腹面の乳首の有無ではなく、体型や顔つきでアナグマの性別を見分けているのですが、いまいち自信がありません。 
AIに動画を見せて個体識別や性別判定を任せたいと切実に思います。 

巣穴Lの奥に潜った後は、アナグマの顔が黒土で汚れています。 
巣外に出てきた直後に身震いして、毛皮に付着した土汚れを勢い良く振り落としました。 


シーン6:4/26(@21:17〜) 
晩遅くに♀が登場。 
いつものように巣口Lやセットの地面にマーキングしてから立ち去りました。 


【考察】 
この時期、ニホンアナグマ♀♂は夜しか登場しませんでした。 
なぜか巣穴Lに執着して、しつこくマーキングを繰り返しています。「アナグマ参上!」とタヌキに対して縄張りを主張して、巣穴を奪還するつもりのようです。 
「同じ穴のむじな」と言われ仲の良い2種ですが、タヌキは従来通り巣穴Rで暮らし、アナグマは別の巣穴Lでというように、棲み分けするつもりなのでしょうか? 
その巣穴Lは冬季に深い雪の下に埋もれて、タヌキは越冬に使いませんでした。 
そのため、巣穴Lは少し埋もれかけてしまったのではないかと想像しています。 
しかしアナグマ♀♂は、巣穴Lを本格的に拡張整備する穴掘り作業は一度もしていません。 
(地中から掘り出した大量の土砂を巣穴Lの外に捨てていない。)
まずはタヌキに対して巣穴Lの所有権をはっきりさせるマーキングに専念しているようです。 

ところで、動画に登場したアナグマ♀♂はどういう関係なのでしょうか? 
素朴に考えると、♀♂つがいのように見えます。 
しかしニホンアナグマの社会構造は乱婚制で、♂は春の繁殖期に交尾する以外は♀と一緒に暮らさないはず…というのが定説です。 
母親♀と若い息子♂がヘルパーとして同居しているのではないかと、私は推測しています。 
この点を解明するには、アナグマの個体識別をしっかりできるようになった上で長期観察しないといけません。 
定説に反して、当地のアナグマは♀♂ペアで暮らすことが明らかになれば、それはそれで面白い発見です。 

アナグマの♀♂ペアが連れ立って同時に旧セットに来ることはありませんでした。 
ここはまだ別荘(別宅)で、別の場所に本宅(セット)があるのでしょう。 

互いに執拗な匂い付けで縄張り宣言を繰り返しているタヌキとアナグマが夜のセットでニアミスしたらどうなるのでしょう?
縄張り争いの激しい喧嘩が勃発するのか、興味があるところです。 
しかし、互いにそれとなく避けているのか、一度もニアミスしませんでした。 


つづく→

2026/08/26

林内の雪解け水が貯まった排水溝で一緒に水を飲むヒヨドリとアトリ【冬の野鳥:トレイルカメラ】

 

2025年4月下旬・午後16:45頃・くもり・気温22℃ 

春の林内で雪解け水が貯まった排水溝を自動撮影カメラで見張っています。 
丸木橋のように倒木が水路を跨いでいる地点に監視カメラを設置し直しました。 
私が人為的に丸木橋を架けたのではなく、これが自然な状態です。 


夕方に1羽のヒヨドリHypsipetes amaurotis)が丸木橋に乗っていました。 
手前の水際に降りたヒヨドリが、雪解け水を飲み始めました。 

一方、画面手前の岸に別種の小鳥が冒頭から来ていました。 
アトリFringilla montifringilla)が水を飲むシーンは初見です。 
すっかり春になった4月下旬に冬鳥のアトリを見かけるのも珍しいのですが、渡去前の冬鳥が当地に立ち寄ってくれたのでしょう。 
アトリは同種の群れで行動しているはずなのに、単独で写ったのは不思議です。 
留鳥ヒヨドリと冬鳥アトリの混群なんて、珍しい取り合わせです。 
監視カメラの死角(右下手前)には仲間のアトリがもっと多く来ていたのかもしれません。 

最後はヒヨドリとアトリが同時に飛び去りました。 
小さなアトリがよく見えるように、1.5倍に拡大した上でリプレイ(@0:23〜)。

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