2025/09/20

巣穴を掘り広げるニホンアナグマ♀を手伝おうとして邪魔している幼獣【トレイルカメラ】

 

前回の記事:▶ ニホンアナグマの幼獣同士で匂い付け(アロマーキング)【トレイルカメラ】 


2024年7月上旬

シーン0:7/2・午後13:03・くもり・気温33℃(@0:00〜) 
シーン0:7/2・午後13:38・くもり・気温33℃(@0:03〜) 
平地の二次林にあるニホンアナグマMeles anakuma)の営巣地(セット)を2台の自動センサーカメラで見張っています。 


シーン1:7/5・午前7:01・晴れ・気温24℃(@0:07〜) 
朝から母親♀が巣穴Lを掘り広げていました。 
巣内の土を前脚で掻き出しながら、後ろ向きで外に出てきます。 
巣口Lから左に延びるアクセストレンチLに居た1頭の幼獣も母親♀の真似をして土を後ろに掻いています。 
来季のヘルパー候補として有望な個体かもしれません。 

母親♀が巣外で身震いしてから、獣道の方へ歩き出しました。 
入れ替わりで幼獣2頭が相次いで巣内Lに入りました。 
母親♀を手伝ってるつもりで実は穴掘り作業の邪魔になっているのですけど、いかにも幼獣らしくて微笑ましい光景です。


シーン2:7/5・午後16:01・くもり・気温22℃(@1:07〜) 
同じ日の午後にも母親♀がまた巣穴Lを拡張していました。 
今度は広角の映像で穴掘りシーンが撮れています。 

幼獣の個体識別ができていないのですけど、そのうちの1頭が今回も母親♀を手伝ってアクセストレンチLの土を前足で後ろに掻いています。 
2頭の幼獣に穴掘り作業を邪魔された母親♀は、作業を中断してしまいました。 

その間、他の幼獣個体は独りで遊んだり餌を探したりしています。 


シーン3:7/6・午後12:46・気温27℃ (@1:47〜) 
翌日も同様のシーンが繰り返されました。
昼下がりなのに、鬱蒼と葉が生い茂った夏の二次林は日差しが遮られて暗いため、トレイルカメラはモノクロで起動しました。 
照度が閾値以下だと赤外線透過モードに切り替わるのですが、トレイルカメラ自体は赤外線を照射していない(暗視モードではない)ようです。 

母親♀が穴掘り作業のため巣穴Lに入ろうとしても、トンネル内で幼獣たちが閊えているようです。 
仕方がないので、前足で巣口Lの土砂を外に掻き出しました。 
そのお尻に別個体の幼獣が突進してわざとぶつかりました(頭突き)。 
無邪気な幼獣は母親♀に構って欲しいのでしょう。 
まるでヒトの幼児(悪ガキ)が母親に背後からカンチョーして悪戯しているかのようです。 
穴掘りを邪魔されても母親♀は幼獣に対して寛容で、怒ったりしません。
「猫の手も借りたい」と穴掘りの重労働をヘルパー個体に頼るようになるのは、まだ先の話です。


池の底でアカハライモリが捕食していた物とは?

 



2024年7月上旬・午前11:55頃・晴れ 

里山にある池の水中で食事中のアカハライモリCynops pyrrhogaster)を見つけました。 
口に何か黒っぽい大きな餌を咥えています。 
腐った落ち葉などのデトリタスですかね? 
しかし、ちょっと味見してから、デトリタスをほとんど食べずに吐き出しました。 
餌を食べた瞬間を見逃してしまったのですが、落ち葉と一緒に何か小さい水生昆虫を捕食したのかな? 

池の底に沈んでいたアカハライモリの下半身が浮力で浮かび、きれいな赤い腹面が見えました。 
この模様で個体識別ができるのだそうです。 

やがてイモリは水中を左へ移動開始。 
手足を体の側面に沿わせて水の抵抗の少ない流線形になると、尾を左右にくねらせて素早く泳ぎます。 
泳ぎに手足を使わないので、アカハライモリの手足に水かきはありません。 
アメンボの幼虫やオタマジャクシ(カエルの幼生)がアカハライモリの近くに登場しても捕食しようとはせず、その下を潜って泳ぎ去りました。 

もしかして、アカハライモリは水中のデトリタスを食べることがあるのでしょうか?
Perplexity AIの回答によると、
アカハライモリはデトリタス(水中の有機物のかけら)を食べるのではなく、肉食中心の食性を持っています。主にミミズ、昆虫(幼虫や成虫)、カエルの幼生、魚卵や同種の卵などを捕食することが知られています**。特に水中で動く小動物によく反応し、動く生き物を捕まえて食べる傾向が強いです**。 また、幼体の頃には小さな無脊椎動物などを食べ、成長すると食性が多様化し、肉食性が強くなります。泳ぎはあまり得意でないため、水中の底にいる獲物を主に捕食しています。 まとめると、アカハライモリは基本的に肉食専門に近い雑食であり、動く水生昆虫やミミズ、幼生などを捕らえて食べるため、デトリタスのような有機物のかけらを食べることは基本的にありません。 そのため、飼育下でも生きた昆虫やミミズ、小魚など肉食の餌を与えることが推奨されています。

2025/09/19

梅雨時に水場付近で採食するニホンカモシカの母子

 



2024年7月上旬・午後13:12・小雨・気温21℃ 

梅雨時で小雨がぱらついています。 
山中の水溜りで喉の乾きを癒やした後、ニホンカモシカCapricornis crispus)の幼獣が元気に走り去りました。 
左奥の茂みの陰に母親♀が来ていました。 
母親に追いついても、幼獣は乳を飲みませんでした。 
どうやら、もう離乳しているようです。 

ニホンカモシカ♀は、ゆっくり歩いて移動しながら、林床の下草や灌木の葉を次々に採食しました。 
後に現場検証すると、灌木の樹種はウワミズザクラでした。
その間、幼獣は自分で毛繕いしました。 
最後にカモシカの母子は奥の林道に姿を消しました。 

1.5倍に拡大した上で採食シーンをリプレイ(@1:17〜)。 


単独産卵中のオオシオカラトンボ♀が捕食者に襲われると警護飛翔中の♂は身を挺して守るのか?

 



2024年7月上旬・午前11:40頃・晴れ 

低山の池でオオシオカラトンボ♀♂(Orthetrum triangulare melania)の産卵行動を観察していると、捕食者が現れました! 
トンボの撮影に集中していた私は気づかなかったのですが、トノサマガエルPelophylax nigromaculatus)が池で獲物を待ち伏せしていたようです。 
単独で飛びながら岸辺の水面に打水産卵を繰り返すオオシオカラトンボ♀に気づいたトノサマガエルが左からピョンピョン跳んできました。 
そのまま獲物に襲いかかろうとしたものの、オオシオカラトンボ♀は気づいて素早く飛んで逃げ、トノサマガエルの狩りは失敗しました。 

緊迫の瞬間を1/5倍速のスローモーションでリプレイ。(@0:18〜) 
トノサマガエルが獲物を狩れる射程距離に入る前に、オオシオカラトンボ♀は逃げていました。 
このトノサマガエルはまだ若いのか、やや小さ目の個体でした。 

ここで興味深いのは、♀を産卵警護していた♂の反応です。 
産卵中の♀のすぐ上空でホバリング(停空飛翔)していたオオシオカラトンボ♂は、捕食者の接近を♀に警告したり、身を挺して♀を守ったりすることはありませんでした。 
カエルから逃げた♀の後を追いかけて♂も飛び去りました。 

警護飛翔する♂はあくまでも♀が浮気しないようにライバル♂から♀を守るだけであって、捕食者から配偶者をガードすることはないようです。 
(捕食者の接近を見張るための哨戒飛翔ではないようです。)
もしもカエルの待ち伏せ猟が成功していれば、オオシオカラトンボ♂はあっさり♀を見殺しにしたと思われます。


【考察】 
擬人化すると、今回オオシオカラトンボ♂の行動を見て騎士道精神に欠ける(甲斐性がない、頼りない)と憤慨・失望する人がいるかもしれません。 
しかし、利己的遺伝子の観点からは容易に説明できます。 
♂は命を賭して捕食者に立ち向かったり身を挺して♀を守るよりも、さっさと逃げて生き残れば、新しい♀と交尾して自分の子孫をもっと増やせるチャンスがあるからです。 
そもそもトンボは天敵(捕食者)に立ち向かえる武器を何も持っていません。 


この疑問をPerplexity AIに質問すると、以下の回答を得ました。 (参考文献へのリンクは割愛。)

オオシオカラトンボの♂が行う「警護飛翔」は基本的にライバルとなる他の♂トンボに対する縄張りや交尾相手(♀)の独占を目的とした行動であり、捕食者から♀を守るための直接的な防衛行動や警告行動ではありません。

理由と背景

  1. 警護飛翔の目的
     ♂は産卵中の♀を他の♂が奪うことを防ぐために♀の周囲を飛び回り、ホバリングしたり威嚇したりします。これは「産卵相手の独占」と「ライバルの排除」が主目的です。

  2. 捕食者に対する反応
     トノサマガエルやカエル類、クモ、カマキリなどの捕食者に対して、トンボの♂が積極的に捕食者を追い払ったり警告を発したりする報告は一般的に少なく、むしろ捕食者に気付いた♀や♂自身が素早く逃避飛翔します。
     ♂は捕食者に対して防御的に護衛する行動はとらず、攻撃的な防衛は行いません。

  3. 捕食者が近づいた際のトンボの行動
     捕食者の接近は非常に危険なため、♀も♂も逃げることが多く、♂の警護飛翔は捕食者認知や防御の役割は持たないと考えられています。

まとめ

  • オオシオカラトンボ♂の警護飛翔は「競争相手の♂トンボへの排除・威嚇行動」であり、

  • 捕食者からの防衛や警告ではない。

  • 捕食者接近時は♀自身が逃げるか、周囲のトンボも飛び去るなどして回避する。

よって、今回のトノサマガエルに♀が跳びつかれた場合に♂が防御的な行動をとらず、逃げて無事だったというのは、オオシオカラトンボの自然な行動パターンとして符合します。


 
ところで、トンボの中にはノシメトンボのように♀が打空産卵する種類もいます。 
打水産卵と打空産卵で産み分けているのはなぜでしょうか?  
オオシオカラトンボのように打水産卵する方が、産卵する地点の狙いを付けやすいのですかね?

トンボの「打水産卵」と「打空産卵」は、どちらも飛翔中に腹端をリズミカルに振る動作をとりますが、前者は腹端で実際に水面を叩き卵を水中や水面直下に産みつけるのに対し、後者は空中から卵をばら撒き水面や湿地、泥などに着地させる方法です。たとえばノシメトンボやナツアカネなど、同じアカネ属でも種や状況によって使い分けることがあります。dragonflykumamoto.fc2+1

なぜ産み分けるのか?

  • 産卵環境の多様化(=卵の生存戦略の幅)と、捕食リスク・生息地特性への適応が主な理由と考えられています。

    • 打泥産卵は泥の中、打水産卵は直接水中、打空産卵は水・湿地・泥の上など、卵を分散させて環境の変動や捕食からより多くの子孫を残す可能性を高めます。dragonflykumamoto.fc2

    • 打空産卵は捕食者(カエルなど)に狙われにくい高さを飛びながら産卵できる反面、卵が正確に水中に落ちないリスクがあります。global

打水産卵の狙い付けについて

  • 打水産卵は自分の腹端で「ここだ」と狙いを定めて直接水面を叩きつけるため、卵の投入位置をかなりコントロールしやすい利点があります。kobe-c+1

  • 一方、打空産卵では相対的に「着地する地点」が卵ごとにムラが生じやすく、特に風や空中の姿勢で散布状態になります。ただし「湛水域の安定」「季節的な水たまり」など長期的な生存戦略としては有効な場合も多いです。

まとめ

  • 打水産卵は「確実に水中へ」、打空産卵は「リスク回避&卵の分散」を組み合わせた適応行動です。とくに打水産卵は「狙いをつけやすい」産卵法に該当しますが、その分、捕食リスクもやや高くなります。kobe-c+2

  • 種や産卵場所、環境条件に応じて両法を使い分けるトンボもいます。

参考:トンボの産卵方法の多様性と戦略

 
確かに、打水産卵するトンボはカエルなどに捕食されるリスクがあることを今回まざまざと教えられました。

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2025/09/18

ニホンアナグマの幼獣同士で匂い付け(アロマーキング)【トレイルカメラ】

 



2024年7月上旬・午後15:45頃・晴れ・気温30℃ 

二次林内の営巣地(セット)でニホンアナグマMeles anakuma)の幼獣aが母親♀の尻(臭腺、肛門腺)の匂いを背後から嗅いでいます。 
別の幼獣bがその間に割り込み、自らの体を♀の尻に擦り付けました。 
それと同時に、幼獣bは幼獣aに跨ると、背中(肩)に尻の肛門を擦り付けました。 
幼獣同士の匂い付け(アロマーキング)は初見です。 

アナグマは家族間で頻繁にアロマーキングを繰り返して、体臭を共有しているようです。 
その匂いが渾然一体となって家族に特有の匂いが形成され、余所者や部外者との判別ができるのでしょう。 
その点では、アリとかハチなどの社会性昆虫のコロニーと似ているかもしれません。

つづく→

軒下の窓枠などに集まったツバメ幼鳥の群れ

 

2024年7月上旬・午後15:55頃・晴れ 

郊外の住宅地でツバメHirundo rustica)の群れがいました。 
2階建ての民家の軒下で、狭い窓枠や換気口キャップ、雨樋パイプなどの上に並んで留まっています。 
電柱からの引き込み線に留まっている個体も居ました。 

いずれも喉が黄色いので、近所の巣から巣立ったばかりの幼鳥です。 
(動画に写っている同じ民家の軒下にはツバメの巣はありませんでした。)
中には喉が赤く色づき始めた個体も混じっていました。 

いずれ親鳥が飛来して幼鳥に巣外給餌するだろうと期待してしばらく粘ったのですが、親ツバメは私を警戒して近づきませんでした。 
撮影後に私が歩いて横を通り過ぎようとしたら、ツバメの群れは一斉に飛んで逃げてしまいました。 

※ 鳴き声が聞き取れるように、動画編集時に音声を正規化して音量を強制的に上げています。 


【考察】
この8羽のツバメ幼鳥は同じ巣から巣立った兄弟姉妹なのでしょうか? 
Perplexity AIに相談してみた回答がこちらです。
・1つの巣から同時に8羽が巣立つことは極めてまれ。 
・観察された8羽は複数の巣(近隣で巣立った複数家族)の幼鳥が合流した群れである可能性が高いです。特に郊外の住宅地では、巣立ち直後~集団塒(ねぐら)への移動までの間、幼鳥が親とともに近くでまとまって過ごす時期があり、規模の大きい一時的な集団も見られます。 
・巣立ち雛や親兄弟を含む複数家族が集まる、小規模な群れが住宅地や電線、軒先などで形成されやすい時期。 
・7月以降はこうした集団行動が顕著となり、大集団は主にねぐらで夜を過ごす際に見られる。 
・ツバメの親鳥が巣外で給餌する際は「自分の子の鳴き声や行動の特徴」で見分けて餌を与えており、群れの中でも親子の関係は維持されます。ただし、他の幼鳥に間違って給餌するケースも一部では報告されていますが、基本的には自分の子を優先的に認識できるとされています。

2025/09/17

オニグルミの堅果に誘引される謎の夜蛾を狩り損なった野ネズミ【トレイルカメラ:暗視映像】

 

2024年7月上旬・午後21:00頃 

シーン0:7/1・午後13:14・くもり(@0:00〜) 
明るい日中にたまたま撮れた現場の状況です。 
里山で野ネズミやリスを観察したくて、朽ちて斜めに倒れたスギの倒木に給餌箱をくくりつけました。 
真っ白なプラスチックの容器を再利用したのですが、白では山林内であまりにも目立つため、黒いビニールテープを容器の外側にグルグル巻きに貼って隠蔽しました。 
(本当は茶色や迷彩柄のテープを使いたかったのですけど、田舎ではすぐ入手できなかったので仕方がありません。) 
給餌箱に塗料を塗るのは野生動物にとって刺激に強い異臭になると思って、次善の策でビニールテープを使いました。 

今回の餌は、前年に拾い集めておいたオニグルミの堅果を餌箱に30個投入しました。 
果皮はすでに取り除いてあります。 
すると予想通り、野ネズミ(ノネズミ)が給餌箱に通ってきて、クルミをせっせと1個ずつ持ち去りました。 
(その動画は近日公開予定。) 


シーン1:7/1・午後21:41(@0:03〜) 
2頭の夜蛾が飛来して、餌箱の外側に止まりました。 
長いのでここは5倍速の早回しでお見せします。 


シーン2:7/1・午後21:58(@0:14〜) 
野ネズミが居なくなると、入れ替わるように夜蛾が左から飛来してスギの倒木に着地したものの、すぐにまた少し飛んでから容器内に着陸しました。 
どうやらオニグルミの匂いに誘引される、夜行性の蛾がいるようです。 


シーン3:7/1・午後22:02(@0:42〜) 
トレイルカメラが起動したことに驚いたのか、左の餌箱に来かけていた野ネズミが空荷で慌てて倒木を右へ逃げていきます。 
その間にも餌箱の付近を謎の夜蛾が飛び回っています。 

しばらくすると、さっき逃げた野ネズミが餌箱に駆け戻りました。 
餌箱の縁で夜蛾を見つけた野ネズミが素早く飛びかかろうとして、餌箱から下に落ちました。 
野ネズミの無鉄砲な狩りは失敗に終わり、夜蛾は素早く飛んで逃げました。 

野ネズミが夜蛾に襲いかかった決定的瞬間を1/3倍速のスローモーションでリプレイ。(@1:03〜) 
もしかすると狩りを試みたのではなくて、暗闇で顔のすぐ近くを飛んだ蛾に驚いた野ネズミが餌箱から飛び降りて逃げただけかもしれません。 
餌箱の地面からの高さを測り忘れましたが、野ネズミが落ちて死ぬような高さではありません。(数十cm)


シーン4:7/1・午後22:04(@1:17〜) 
約1分半後、監視カメラが何に反応して起動したのか不明です。 
戻ってきた夜蛾がしばらく飛び回ってから、餌箱内のクルミに着陸しました。 


シーン5:7/1・午後22:46(@1:29〜)
斜めの倒木を右から来た野ネズミが登ってきました。
しかし途中で立ち止まり、少し離れたところから餌箱を見ているだけです。
その間に謎の夜蛾が飛来し、クルミの餌箱に着陸しました。
野ネズミはフリーズしたまま微動だにしません。
さっき(約45分前に)の野ネズミと同一個体だとしたら、餌箱から落ちて痛い目に遭ったので、夜蛾を恐れるようになったのかな?



【考察】 
オニグルミの堅果(植物学的に厳密に言うと、核果状の堅果)の山を野外に給餌したところ、夜行性の蛾が1頭だけでなく複数が誘引され、飛来しました。
この謎の蛾の正体が気になります。
白黒の暗視映像では蛾の翅の色や模様も分かりませんし、現地で採集しないことには同定できません。
素直に推理すると、オニグルミの果実に産卵または吸汁する蛾がいることになります。

現場は低山にあるスギ植林地の端で、オニグルミの大木が近くに1本そびえ立っていました。
つまり、問題の蛾はオニグルミ樹上にある生の果実や枝葉の匂いに集まって飛び回っていたのに、私が地上付近に置いた古いクルミ堅果の山の匂いに撹乱されて寄り道しただけかもしれません。

いつものようにPerplexity AIに相談してみました。 
すると、果実吸蛾類ではないか?とおかしな回答をされました。
果実吸蛾類は果樹の液果に集まるのであって、堅果には来ないはずです。
オニグルミの果実は全く甘くありませんし、むしろ渋いタンニンが多く含まれています。
しかも、謎の夜蛾が誘引されたのは、果皮を剥いてから乾燥保存しておいた1年前の古いオニグルミ堅果です。
いくら悪名高い果実吸蛾類でも、クルミの固い殻に口吻を突き刺すことはできないはずです。
乾燥堅果自体には糖分・芳香成分が乏しく、蛾は吸汁・産卵の対象として認識しにくいはずなのに、複数個体が誘引されたのはとても不思議です。

次の仮説として、ハマキガ科のコドリンガCydia pomonella)をPerplexityは教えてくれました。
幼虫がバラ科果実やくるみ果実及び核子に食入し、加害する。(植物防疫所の病害虫情報サイトより引用)

つまり、クルミの実に産卵する蛾がいるらしいのです。
ところがよく調べると、コドリンガは欧州原産の外来種であり、日本国内にはまだ定着していないらしい。(「侵入生物データベース」サイトより)
私のフィールドは山形県なので、コドリンガの可能性は除外してもよさそうです。

最後にPerplexityは、食品害虫や貯穀害虫の蛾ではないか?と私が思いつかなかった仮説を教えてくれました。
確かに台所に保管した乾物やドライフルーツに蛾がよく集まって産卵し、幼虫が食害します。
日本の野山に生息する貯穀害虫の蛾の例としては、ノシメマダラメイガ(Plodia interpunctella)が挙げられます。この蛾は世界中で知られる貯穀害虫で、穀物を中心に乾燥食品に産卵・幼虫が食害を起こしますが、日本国内でも野外で確認例があります。

貯穀害虫の野生生息・飛来可能性
ノシメマダラメイガは主に屋内や貯蔵施設での被害が多いため「貯穀害虫」と分類されますが、野外でも発生例が報告されており、山間部や林縁、果樹園付近などに普通に飛来します。

幼虫は穀物・乾燥植物質を食べるため、野山の落ち果実、落ち種子、乾燥した植物材にも自然に入り込み生息できる環境がある可能性があります。

乾燥堅果や植物種子を餌にしていることが確認されているため、野外に置かれた乾燥オニグルミ堅果に飛来する蛾として全くありえない話ではありません(Perplexityの回答)

ノシメマダラは以前飼育したこともあり馴染みのある蛾なので、トレイルカメラの映像は違うと自信を持って言えます。
白黒の暗視映像からは翅の色や斑紋が分かりませんが、ノシメマダラよりも大きくて幅広い翅を持つ種類でした。
例えばカシノシマメイガなどに近いかもしれません。

カシノシマメイガは主に人家周辺や貯穀庫で発生しますが、里山や山間部の林縁など自然環境にも普通に飛来・生息しています。したがって、里山のオニグルミ堅果に飛来した大型で幅広い翅を持つ蛾として十分に現実的な候補種です。(Perplexityの回答)

以上の考察は、あくまでも推理でしかありません。
再実験をして謎の蛾を採集するまでは、未解決のままです。
野外で蛾を採集する方法として様々なトラップ法が開発されてきましたが、私がたまたま考案した「クルミ・トラップ」や「ナッツ・トラップ」に集まる蛾を真面目に調べれば、何か面白いことが分かるかもしれません。
誰かがすでにやってるかな?



アンズの落果に飛来した夜行性の蛾(果実吸蛾類?)【トレイルカメラ:暗視映像】

 

2024年7月上旬・午前3:50頃 

アンズ(杏)の木の下で拾い集めた落果を1箇所にまとめて置き、自動撮影カメラで見張っています。 
未明に低空で飛び回っていた1頭の蛾(種名不詳)が、アンズ落果の山に着地しました。 
熟したアンズ果実の芳香に誘引されて夜蛾が飛来したのでしょう。 
これからというところで録画が打ち切られてしまいましたが、おそらく口吻を伸ばして滲み出る果汁を吸汁するはずです。 

蛾は変温動物ですから、本来トレイルカメラの熱源センサーは反応しないはずです。 
実はこの直前に野ネズミが来ていたので、たまたま撮れた映像のようです。 



夜行性の蛾の中には、果樹園の害虫として嫌われている果実吸蛾類がいます。 
落果から吸汁する分には問題ないのですが、樹上で実っている果実に蛾が口吻を突き刺して吸汁すると、その刺傷から果実の腐敗や感染が広がって商品価値が失われます。 
果樹園農家はこうした吸蛾類の防除に昔から苦労しているのです。 
対策としては、なるべく殺虫剤を散布したくないので、果実を1つずつ袋掛けをしたり、果樹を目の細かい網で覆ったり、誘蛾灯を設置したりするそうです。 

原色図鑑 夜蛾百種: 吸蛾類を中心として』という書籍によると、
・果実吸蛾類とは、多くの種類の果実に口器を刺し込んで果汁を吸汁する蛾類を総称していう。 
・多くが鱗翅目ヤガ科に属することと、その加害活動が主に夜間に限られることが特徴。 
・吸蛾類は成熟して軟化した果実、また高い甘みをもつ果実を好む。 
・加害を受けた果実は、二次的に菌類が寄生するなどして、やがて腐敗する。 
成虫は丈夫な鋭い口器をもち、成熟前のかなり硬い果実も吸収するほか、袋の掛った果実でも果袋を通して吸収加害する能力をもっている。 (以上、p106より抜き書き引用)


虫好き・蛾好きとしては、夜な夜な果樹園を巡って蛾を探してみるのも面白そうです。(もちろん立ち入る許可が必要です。) 


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2025/09/16

営巣地の落葉落枝で独り遊びするニホンアナグマの幼獣【トレイルカメラ】

 



2024年7月上旬・午後15:45頃・晴れ・気温31℃ 

ニホンアナグマMeles anakuma)の営巣地(セット)に大き目の木漏れ日が落ちていて眩しいです。 
2つの巣口L、Rの中間地点にいた幼獣が、地面に転がっている太い落枝に興味を示して匂いを嗅いだり甘噛みしたりしています。 
次に、上からぶら下がっている(途中で引っかかっている?)オニグルミの落ち葉(長い葉柄つき)に気づくと、パン食い競争のように口で咥えて引っ張りました。 
無邪気に独り遊びする幼獣がなんとも微笑ましい光景でした。 

その間、他の幼獣たちは、各自で営巣地をうろついて餌を探しているようです。 
母親♀は監視カメラの死角にいるのか、姿が見えません。 


マユミの枝先に産み付けられたモリアオガエルの泡巣が雨で溶け落ちるまで【トレイルカメラ:昼夜の微速度撮影#7】

 



2024年7月上旬〜中旬

山中にあるモリアオガエルRhacophorus arboreus)の繁殖池で、岸辺に自生する灌木に産み付けられる白い泡巣を長期間観察しています。 
これまでタイムラプス専用カメラで定点観察してきたのですが、旧機種のトレイルカメラを新たに追加投入し、終日5分間隔のインターバル撮影を行いました。 
11日間の記録です(7/5〜7/16)。 
本当は従来どおり1分間隔で撮りたかったのですが、旧機種のトレイルカメラではなぜか5分間隔が精一杯です。 
トレイルカメラを使う利点は、昼間だけでなく夜も赤外線LEDによる暗視撮影ができることです。 

タイムスタンプ(撮影日時)だけでなく、気温や月齢のデータも画面に焼きこまれているのはありがたいです。 
池の岸辺から張り出したマユミ灌木の横枝にわずかに残った新鮮な白い泡巣に狙いをつけて監視することにしました。
すでに崩壊した古い泡巣がいくつも見えます。

7月中旬に現場入りすると、待望の大雨が降ったおかげで、今季初めて池が満水状態になっていました。 
岸辺に設置したトレイルカメラが水没しているのではないかと心配だったのですが、無事でした。 
池畔の木々の枝先に新たな泡巣はもう産み付けられなくなりました。 

確認すると、ようやく自分でもだいぶ納得のいく(イメージに近い)タイムラプス動画が撮れていました。 
マユミの枝葉に産み付けられた白い泡巣の表面が固くなり、やがて雨で溶け落ちてモリアオガエルの幼生(孵化したオタマジャクシ)が下の池に入水するまでの様子が刻々と記録されていました。 
トレイルカメラの真上に雨よけの庇を取り付けたのが役立ったようで、梅雨時でもレンズがほとんど濡れずに済みました。 

予想通り、夜はモリアオガエルの成体がマユミの樹上に集まっていました。 
おそらく、この時期はほとんどの個体が♂で、♀はもう来なくなったようです。 
残念ながら、5分間隔のインターバル撮影ではカエルの木登り移動の様子や離合集散(求愛と抱接産卵)が分かりにくいです。 


【考察・反省点】
撮れたタイムラプス動画をご覧の通り、モリアオガエルの繁殖期はもう終わったようです。 
昼も夜も連続撮影できるトレイルカメラをもっと早く(初めから)投入したかったのですが、同時進行している他のプロジェクトとの兼ね合いで遅れてしまいました。 

被写体との距離が近すぎて、暗視するために照射する赤外線が白飛びしてしまいました。 
旧機種のトレイルカメラには赤外線の強弱を調節する設定がないので、赤外線LEDに光を和らげるディフューザーを被せるように取り付ければよかったですね。 
現場の状況から、被写体(樹上の泡巣)からの距離を離してカメラを設置することがどうしても無理なのです。
池の中に三脚を立てることができれば確かに撮りやすいのですが、梅雨時に機材が水没するのが怖くて敢行できませんでした。

カメラを設置したときに画角の水平が取れておらず、対岸の水面が斜めにずれてしまいました。 
現場で試写した後に画角をしっかり確認するには、池に入る必要があったのですが、底なし沼のように長靴がズブズブと泥濘に沈むのが嫌で、ほとんど勘でトレイルカメラの角度を固定してしまいました。 

来季は高画質で撮れる新機種のトレイルカメラを使って1分間隔のインターバル撮影、赤外線LEDの照射距離はshort(弱)の設定で再挑戦してみたいものです。 
さらに別のトレイルカメラでモリアオガエルの泡巣を見張り、ニホンザルによる食卵シーンを動画で記録するのが来季の目標です。 


つづく→

2025/09/15

アナグマ母子の営巣地を夜にこっそり横切るイエネコ(キジトラ白足袋)【トレイルカメラ:暗視映像】

 



2024年7月上旬・午前4:15頃・気温22℃・日の出時刻は午前4:20。 

ニホンアナグマMeles anakuma)の母子家族が転入した営巣地(セット)を自動撮影カメラで見張っていると、日の出直前に近所のイエネコFelis silvestris catus)がやって来ました。 
足先だけが白いキジトラ模様の個体で、久しぶり(約1ヶ月ぶり)の登場です。 

二次林内の獣道を左から右へこっそり通り抜けました。 
アナグマの家族が暮らしている巣口Lには立ち寄ろうとしませんでした。 


つづく→

池で単独連続打水産卵するオオシオカラトンボ♀と警護飛翔する♂【FHD動画&ハイスピード動画】

 

2024年7月上旬・午前11:40頃・晴れ 

里山にあるモリアオガエルに繁殖池に来てみると、最近雨が降ってくれたおかげで池の水量が増していました。 
対岸付近の水面で打水産卵するトンボ♀を見つけました。 
体色が性的二型のトンボで、黄色の♀が単独で打水産卵する間に、水色の♂が近くをホバリング(停空飛翔)しながら♀を警護していました。 

同定用の写真を撮るよりも産卵行動を記録する動画を優先したのですが、動きが速くてしっかり合焦できませんでした。 
シオカラトンボ、シオヤトンボなどと迷ったのですが、打水産卵する♀の透明な翅の根元が黒かったので、オオシオカラトンボOrthetrum triangulare melania)の♀♂ペアと確定しました。 警護する♂は撮影アングルの問題で翅の根元が見えませんでした。
(シオヤトンボは成虫の出現時期と、腹部の色の違いから却下。) 

(オオシオカラトンボの)♀は単独で浅い水面を打水し、腹端ですくい上げた水と卵とを前方に飛ばす。♂は付近を飛んで警護することが多い。(ネイチャーガイド『日本のトンボ』p483より引用) 

関連記事(12年前の撮影)▶ オオシオカラトンボ♀ 


生物関連の本の中でも、たとえありふれた普通種でも一種類の生き物に絞って生活史や行動生態を徹底的に調べて渾身の一冊にまとめた本を私は好みます。 
そんな本の一つ『シオカラトンボ (カラーサイエンス 12)』によると、
・交尾のあとすぐに、めすは、水のなかに産卵します。このとき、おすはめすのまわりととんで見はります。 
・水草のはえた池や沼では、めすが卵を水てきといっしょに水草にむかって、腹のさきでとばして、産卵します。 (p30〜31より引用)
1985年に発行された40年前の古本ですが、交尾の連続写真(当時は高速連写できないので苦労して撮り貯めたカラー写真を再構成した組写真)なども掲載されていて、充実した内容です。 
最近の出版界は、こうしたじっくり腰を据えた本を作る余裕がなくなっているのが残念です。 


動画の冒頭では、池の水面の上を水色のトンボと黄色のトンボが高速で飛び回っています。 
異種間の縄張り争いかと思って慌てて撮り始めたので、ズームインし過ぎてしまい、すぐに見失ってしまいました。 
1/5倍速のスローモーションでリプレイすると、産卵地点を探して飛び回るオオシオカラトンボ♀の後を同種の♂が追尾していました。 

黄色いトンボ♀が水面の上でホバリングしながら腹端を水面に叩きつける度に、水滴が斜め前方に飛んでいきます。 
単独で打水産卵に励む♀の近くを水色のトンボ♂が単独でホバリングしながら警護しています。 
オオシオカラトンボは、連結状態(尾繋がり)では産卵しないのです。

オオシオカラトンボ♀の連続打水産卵を240-fpsのハイスピード動画でも撮ってみました。(@1:58〜) 
♂の警護飛翔は写っていません。 

※ 晴れていてもスギ林に囲まれた池で遠くからズームインして撮影するとかなり暗い映像になったので、動画の一部は編集時に自動色調補正を施しています。 




【考察】 
いつものようにPerplexity AIと問答を繰り返して、産卵行動についてブレインストーミングしました。 
トンボの種類をオオシオカラトンボと絞り込む手助けもしてくれました。 

オオシオカラトンボ♀の卵は、打水の度に前方に飛んでいく水滴の中に含まれているのか、それとも打水した瞬間に水中に沈むのか、どちらなのでしょうか?

打水産卵時の卵の挙動
オオシオカラトンボの打水産卵(飛水産卵)では、腹端を水面に打ち付けると同時に卵と水滴を一緒に前方へ飛ばす行動がみられます。

このとき腹端で水面をすくい上げた小さな水滴の中に卵が含まれていて、その水滴ごと水面の前方(浅瀬や水草の周辺)に飛ばされる、というのが標準的な解釈です。

連続して打水するので、水面には多数の小さな水滴が弧を描きながら飛び、卵もこれに含まれて飛ばされます。

詳細と補足
水滴は水面に再び落ちる際、その中に入った卵も一緒に着水し、そのまま水中に沈みます。

写真や動画の高精度な観察でも、「水滴の中に卵が混じって飛んでいる」様子が確認されており、水滴の色が微妙に濁る・色づく場合は卵塊が含まれているためとされています。

水滴の一部が透明、他がうっすら褐色の場合、褐色の水滴の方に卵や卵塊が多く含まれる状況が観察されています。

まとめ
オオシオカラトンボ♀の打水産卵では、卵は打水によってできた小さな水滴に包まれて飛び、水滴ごと前方へ飛ばされた後、水面に落ちてそのまま水中に沈みます。打水と同時に水中に直接沈むのではなく、「水滴の中に入って飛ぶ→水面に再落下して水中へ沈む」が基本の流れです。

この産卵様式は、卵をなるべく広範囲にばらまき、外敵からの(食卵)リスクを減らすためのものと考えられています。

今回私が観察した事例では、オオシオカラトンボ♀は池の浅いところから岸に向かって水滴を繰り返し飛ばしていました。
この時期は雨量が少なく池は干上がりつつあったので、卵の生存率を上げるには岸(陸上)ではなく池の中央に向かって水中に産むべきではないでしょうか?

オオシオカラトンボ♀が池の浅瀬から岸に向かって水滴を飛ばす産卵行動は、たしかにご指摘のように「池の干上がりが進む時期、水面から離れた場所では卵が孵化や発生に適さなくなる恐れ」があります。実際、トンボの打水産卵は卵を水滴と一緒に前方へ飛ばし、より広範囲かつ適した場所に分散する意味があると考えられていますが、どの程度「着水するか」は水位や池の地形、個体の打水角度など自然条件によって変動します。

トンボの産卵行動の研究では、

普段は卵を確実に水面に落下させることが繁殖戦略ですが、池が干上がりつつあるなどの極端な状況では、必ずしも全ての卵が生き残るわけではなく、生存率の低下は避けられません。

メスは本能的には「水面やその近く」で産卵しますが、水位が低くなっている場合、結果的に一部の卵が水際から外れるリスクも発生します(環境把握能力には限界があります)。

しかし、トンボは基本的に当日の池の状態(少なくとも「目で見て水がある範囲」)を選ぶ能力が備わっていると考えられており、一定の確率で着水しない場所にも卵が飛ぶことも想定内です。干上がりの進行など短期間の変動には柔軟に対応しきれないため、「池の縁」に産み落とされた卵は水位低下で生存率が下がる可能性が高いですが、これは自然環境下でトンボが常に抱えるリスクでもあります。

まとめると、「池の水位が極端に下がると卵の生存率が低下しうる」ことはその通りですが、オオシオカラトンボの産卵行動はあくまで通常状態の水辺環境を前提に進化しており、池が干上がる非常時に完全対応するものではありません。生存率の確保には、産卵タイミング・場所選択・環境変動すべてが影響します。

産卵時の水位が高ければほとんどが水面に着地し高い生存率となりますが、干上がりが進めば一部は陸地に落下し孵化できず死亡します。

トンボは水面に産みつけようとしますが、環境条件が変動する以上「最大多数を水辺に着地させる」戦略しかとれません。

したがって、今回ご覧になったような状況は、生態的にはごく普通に見られる現象であり、トンボの本能的な産卵行動が必ずしもその年の最適条件に対応できないという自然界の一断面ともいえます。

それなら、オオシオカラトンボの卵や幼虫(ヤゴ)は乾燥に対して強い(耐性がある)のでしょうか?
卵の乾燥耐性
トンボ類の卵は一般に産卵直後は乾燥に弱いですが、発生が進み眼点(発生初期の目のような構造)が現れるまではやや耐乾性が低い一方、発生が進むと乾燥耐性がかなり強くなります。

水田や池が一時的に干上がっても、多くの種で卵は土や泥の中でかなりの乾燥や低温に耐えて春になり、水が張られると孵化することが可能です。

オオシオカラトンボの卵もこの耐乾性を持ち、通常の内陸のため池などで冬期に水が抜かれて乾燥状態が続いても、生き残れるケースがあり、これは稲作地帯のシオカラトンボなどとほぼ同等の能力とみなされます。

ヤゴ(幼虫)の乾燥耐性
幼虫(ヤゴ)は卵ほどの乾燥耐性はありませんが、冬季の低温下では、ある程度の乾燥や池干しにも耐えられることが知られています。

泥の中に深く潜ったり、落ち葉の下に隠れるなどして、一時的な湿泥状態なら生存できる場合もあります。

ただし高温期(春~夏~初秋)に完全な乾燥に晒されると生き残れないことがほとんどで、特に羽化直前の終齢幼虫などは乾燥に極めて弱いです。冬季など休眠に近い低代謝の状態だとやや耐えやすいですが、卵期ほどの耐性はありません。

まとめ
卵期の乾燥耐性は高く、池や水田の“冬期干上げ”程度には十分に耐える能力がある。

ヤゴは卵ほど乾燥に強くないが、泥の中など湿り気がごくわずかに残る状況では冬季~早春に一時的な乾燥に耐えられる場合もある。

一方、完全な乾燥(土がカチカチに乾く状態)が長期間続くと、幼虫はほとんど死滅してしまう。

多くの日本のトンボ同様、オオシオカラトンボも水辺の環境変動にある程度耐える進化をしていますが、耐性の「強さ」は卵>幼虫の順です。

トンボの♂が産卵しているパートナー♀をライバル♂から守るためには、交尾後も尾繋がりの状態を保ってペアで産卵するのが最善であるはずです。
なぜオオシオカラトンボ♂は連結を解除した状態で♀の警護飛翔をするのでしょうか?
「尾繋がりの状態で連結打水産卵するのでは産卵しにくくて仕方がない」とオオシオカラトンボ♀がたとえ感じたとしても、首根っこを掴まれた♀は自分の意志では連結を解除することが出来ません。
つまり産卵中に連結するかしないかは、♂が選択した結果なのです。
むしろ、オオシオカラトンボ♂が連結しないのは♂が浮気性だからと考えられます。
たとえ警護飛翔中でも、産卵池に別個体の同種♀が飛来したら、♂はただちに新しい♀を捕獲して交尾を試みることが(私は未見ですが)報告されているそうです。
以下はPerplexityによる回答です。
オオシオカラトンボの単独産卵と♂の警護飛翔の進化・行動の実態については、実際の現場行動と繁殖戦略の両面からもっと複雑な説明が必要です。

連結解除の主導は♂
トンボ類の多くでは交尾後、♂が自発的に連結を解除して♀を離す行動が観察されています。

これは交尾後に♀が産卵に移る時点で、連結保持による直接監督より、効率的な交尾回数増加や他の♀探索への戦略を取るためです。

つまり、単独打水産卵への切り替えは、進化的には♂側の交尾戦略(浮気的=複数の♀との交尾へ)や他の♀に対する即応性の高さの副産物です。

警護飛翔中の♂の行動
産卵警護中でも、池に新たな♀が現れると、警護していた♂は即座に警護中の♀を見捨て、新到着♀にアタックし連結しようとする行動が頻繁に報告されています。

トンボ♂は「警護」と「新たな交尾相手獲得」を状況ごとにスイッチしやすく、どちらかといえば「新たな♀優先」になる傾向が強いです。

進化的意義
単独産卵を可能にしたのは**♀の進化的自由ではなく、♂の浮気行動(頻繁な交尾機会探索)や多数交尾戦略に由来**します。

産卵警護は「自分の精子で産ませたい」気持ちの表れですが、より生殖成功率を高めるためには、他の♀の出現時に即座に乗り換える「浮気性」が同じくらい重要です。

観察・実験例
産卵池では、同時に複数ペアが産卵行動をとり、♂が急に警護♀から新たな♀に乗り換える現象が容易に再現・観察できます。

男女双方の利害一致ではなく、主に♂の多回交尾・浮気性・交尾機会争取戦略によって形づくられていると考えられます。

要するに、オオシオカラトンボの警護産卵と連結解除の主因は「♂の浮気性や交尾回数の最大化欲求」と見る方が、生態的現象の実態により近いです。ご指摘の通り、産卵警護中でも♂は新規到着の♀に即反応して乗り換えるため、「本当に守っている」のは縄張りと交尾機会だけであり、♀自身や受精卵に対する献身的防衛ではありません。

トンボは種類によって産卵行動が多様です(打空産卵、打水産卵、連結産卵、単独産卵など)。 
比較行動学と分子系統分類学を組み合わせると、トンボの産卵行動がどのような順序で進化してきたか推測できるだろうか?  
それとも、産卵行動はトンボの系統とはあまり関係なくて、収斂進化の結果だろうか?

比較行動学と分子系統分類学を組み合わせることで、トンボの産卵行動の進化順序を「かなりの程度」推測することは可能ですが、産卵行動の多様性は必ずしも系統樹のパターンにきれいに一致せず、**収斂進化(独立進化)も非常に多い**ことが明らかになっています。[1][2][3]

### 行動形態と系統の対応

- トンボの産卵行動には「静止接触産卵」「静止非接触産卵」「飛翔接触産卵」「飛翔非接触産卵」など複数の基本タイプがあり、各グループごとに特徴的な行動パターンを示します。[1]
- たとえば、イトトンボ科やアオイトトンボ科は連結潜水産卵や組織内産卵が典型で、ヤンマ類やアカトンボ類は空中からの打空産卵・連結打水産卵、トンボ科は♀単独の打水産卵が多いなど、類縁ごとの偏りがあります。[2][3]

### 分子系統分類学との比較

- 最新の分子系統樹による分析では、こうした産卵行動パターンが「一度だけ進化し、系統的に保存されている」場合と、「複数回、異なる系統で独立進化した(収斂進化)」場合の両方が認められています。[1]
- 一部の行動(例:組織内産卵や連結打水産卵)は比較的原始的な形質とされ、複数の系統にわたって保存されている傾向がありますが、**打水産卵や打空産卵など「目立った派生行動」は、異なるグループ間で独立に進化したと推測されるものが多い**です。[3][1]

### 収斂進化の具体例

- たとえば「打空産卵」はアカトンボ類だけでなく他の科にも現れ、「単独打水産卵」も様々な系統で発達しており、同じ行動が系統的に遠いグループでも発現します。[2][1]
- これは生息環境や繁殖戦略、生存率向上など外部要因による適応が大きく関わっているためと考えられています。

### 結論

- 比較行動学と分子系統分類学を合わせれば「祖先形質」「系統保存された行動」「収斂的な適応」の判別が可能ですが、**産卵行動の多くは複数回・多系統で独立進化した例が多く、単純な祖先―派生の直線的な進化とは限りません**。[3][2][1]
- したがって、「産卵行動の進化順序は系統ごとに異なる分岐と収斂の複合」と解釈するのが現在の理解です。

 


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2025/09/14

ニホンアナグマの幼獣が母親♀に尻を擦りつけて匂い付け(アロマーキング)【トレイルカメラ:暗視映像】

 



2024年7月上旬・午後21:18・気温23℃ 

平地の二次林にあるニホンアナグマMeles anakuma)の営巣地(セット)をトレイルカメラで見張っています。 
母親♀がミズキの木の下にやって来ると、寝ころがって(横臥)砂浴びを始めました。 
幼獣が近寄って来ると、母親♀が念入りに対他毛繕いしてやります。 
後から来た幼獣は、母親♀の体に尻を擦りつけて匂い付け(アロマーキング)したようです。 
対物で行うスクワットマーキングによる縄張り宣言と似ていますが、アナグマの家族間で行う点が違います。
互いにアロマーキングし合うことで、結果的に家族内で各自の体臭を共有することになります。
「家族の絆」は嗅覚によって保たれているのです。


1.5倍に拡大した上でリプレイ(@1:00〜)。 


山中の湿地で泥濘を掘り獲物の小動物を探すオオタカ【野鳥:トレイルカメラ】

 

2025年8月中旬・午後7:55頃・くもり・気温23℃ 

山林に少し開けた湿地帯があり、湧き水が滲み出して浅い水溜りになっています。 
水場に来る野生動物や野鳥を自動撮影カメラで長期間見張っています。 

酷暑が続く真夏のある朝、大型の猛禽が右から飛来したようで、泥水溜りの右の岸に着陸していました。 
この地点で撮れた鳥としては最大です。 
鳥の図鑑で調べると、憧れのオオタカAccipiter gentilis)でした。
顔に顕著な眉斑と黒い眼帯のある大きなタカ。(山渓カラー名鑑『日本の野鳥』p144より引用)
ちなみに和名のオオタカとは「大鷹」ではなく、「蒼鷹あおたか」から来ているのだそうです。 

てっきり狩りの直後かと期待したのですが、足元を見ても獲物を捕らえてはいませんでした。 
水場で水を飲んだり浴びたりしに来たはずなのに、オオタカは鋭い眼光でキョロキョロと周囲を見回しているだけです。 
監視カメラの存在に気づいて警戒しているのでしょうか? 
まさか水面のアメンボを狩るのかな? 

やがてオオタカは右を向くと、急に右へ歩いて行きました。 
足元の泥濘から何か物を嘴で拾い上げたものの、すぐに落としました。 
どうやらゴミを獲物(カエル?)と誤認したようです。 

画面の右端でオオタカが右を向いたまま静止しています。 
尾羽根しか写っていません。 
やがてその場で方向転換すると左向きになり、ようやく頭部が見えるようになりました。 
足元の泥濘を右足の鉤爪で何度も掻きました。(@2:08〜) 
新たに掘った穴に溜まる泥水を飲むのかと思いきや、泥濘からミミズ?を啄んだようです。 

次に監視カメラが起動したときには、オオタカが少し奥に飛んで移動した直後でした。 
湿地に転がっている落枝に乗ろうとしたら、表面のヌルヌルした泥でスリップしてバランスを崩しました。(@3:39〜) 
危うく無様に転んで泥だらけになるところでしたが、なんとか転ばずに踏みとどまりました。 

初めに着陸した地点に戻ったのに、依然として水溜りの水を飲もうとしません。 
その場で足踏みして方向転換すると、足元の泥濘を嘴でつついて何か(ミミズ?)を食べました。 

また画面右端の泥濘に移動し、しばらく右向きで佇んでいます。 
最後にようやく右へ飛び去りました。 
力強い羽ばたきを1/3倍速のスローモーションでリプレイしても、広げた翼の下面は見えませんでした。 

※ 最後に飛び立つ羽音が聞き取れるように、動画編集時に音声を正規化して音量を強制的に上げています。 


【考察】
結局このオオタカ個体は、一体何をしに湿地帯の水場に来たのでしょうか? 
10分間以上も長居したのに、飲水も水浴もしませんでした。 
猛暑が続く夏は獲物がほとんど捕れないのか、湿地で小動物(カエルやミミズなど?)をちまちまと啄んでいる姿は精悍なオオタカのイメージらしくありません。 

バードリサーチニュースでオオタカの食性について調べると、
食性と採食行動: 主にスズメやムクドリなどの小型鳥類から,ハトやカラス,キジといった中型の鳥類を主に捕食する(前橋営林局2000).また,割合は低いが,ネズミやリス,モグラ,イタチ,ノウサギといった哺乳類も捕食する.なかには両生類や爬虫類を捕食したという記録もある.オオタカの狩りは,数分間の止まりと飛行を繰り返して餌動物を探し,止まり場所から餌動物へ襲いかかる.また,高空を飛行しながら,あるいは高い鉄塔などから急降下したり,地形や建物に沿って低空を飛びながら餌動物に近づいて襲ったりもする.時には,地上を歩きながら,草むらに隠れる小鳥やネズミなどを探すこともある.

今のところ、この水場にオオタカが登場したのはこれっきりです。 



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