2025/09/11
野ネズミはアンズの落果を食べるか?【トレイルカメラ:暗視映像】
2025/08/28
ニセアカシア葉軸の毒味を繰り返すニホンザルの群れ
A1: ニセアカシア(ハリエンジュ)の葉には毒性成分が含まれています。具体的には、葉、樹皮、枝、種子には「ロビン」や「ロビチン」といった毒素があり、これらによって家畜(特に馬)が中毒を起こすことが報告されています。人間が摂取した場合も過去に中毒例があり、吐き気や腹痛、下痢、呼吸困難、心拍異常などの症状が出ることがあります。 一方で、花には毒が含まれておらず、花だけは食用にされることもありますが、それ以外の部分は毒性があるため注意が必要です。ニセアカシアの葉をニホンザルが少しだけ味見するような行動は、この葉の毒性のために摂取を控えている可能性が高いと考えられます。 したがって、ニセアカシアの葉には毒が含まれており、ニホンザルが食べる量が少ないのは毒に対する本能的な回避行動である可能性が高いです。ニセアカシアの葉を摂取すると、中毒症状を引き起こす可能性があるため、摂取は控えられる傾向にあります。 以上のことから、ニホンザルがニセアカシアの葉を少ししか食べなかった理由は、葉に含まれる毒性成分のためであると考えられます。しかし、「ロビン」や「ロビチン」は正式な化学物質名や広く認められている学術名称ではなく、詳細な英語名や構造式を示す文献は見当たりません。
A2: ニセアカシアの果実(豆果)についても、葉や樹皮などと同様に毒性があるとされています。若い未熟な豆果も含め、果実に毒性成分が含まれているため、食べることは注意が必要です。特に若い緑色の果実は見た目がおいしそうに見えますが、摂取は避けるべきとされています。 ニホンザルが未熟な豆果を少しだけ食べたという行動も、毒性のある部分を本能的に回避しつつ、少量を試し食い(味見)している可能性が考えられます。毒性成分は主に「ロビン」や「レクチン」といったマメ科特有のもので、消化器症状や神経症状を引き起こすことがあるため、果実も摂取は控えられるのが普通です。 まとめると、ニセアカシアの果実(豆果)にも毒があるため、ニホンザルが少量しか食べなかったのは毒性に対する防御的な行動と見るのが妥当です。
A3: オニグルミの葉には毒性成分(ジュグロン)が含まれますが、ニセアカシアのような明確な哺乳類毒はなく、ニホンザルが積極的に避ける理由にはなりにくいと考えられます。ニホンザルがニセアカシアの葉をあえて味見する行動は、好奇心・変わった食物の探索や、他の要因(例:食物の多様化、タンパク質の補給など)が影響しているかもしれません。
A4: 野生のニホンザルにおける食草の毒味は基本的に各個体が自己責任で行う行動と考えられています。特に毒性のある植物や部分を少量ずつ試す「味見」は、個体ごとの経験や感覚によって判断されることが多く、親や群れの成獣が明確に制止や教育を行う様子が観察されることは稀です。これは、毒の感受性や個体差があるため、個別の体験を通じて安全か危険かを学ぶ必要があることや、毒味行動自体が自己防衛の意味を持つためと考えられます。成獣が子猿の行動を特に制止しなかったという観察は、この自己責任の性質を反映していると言えます。また、ニセアカシアのように毒を含む植物は味わいながら摂食量を調整するなど、適応的な習慣が形成されている可能性が高いです。こうした行動は、食物の利用可能性や栄養のバランス確保に不可欠であり、個々のサルが自らの判断で安全な食べ方を模索するための重要な生存戦略となっています。
2025/06/23
山道で見つけたコアオマイマイカブリを素手で捕獲すると…
・触ると(マイマイカブリは)尾部から臭い液を放出し、目に入ると炎症を起こすので注意が必要。 (『くらべてわかる甲虫1062種』p13より引用)
・(マイマイカブリは)危険を感じると尾部からメタクリル酸とエタクリル酸を主成分とし、強い酸臭のある液体を噴射する。この液体は刺激が強く、手はともかく目に入ると大変な痛みを感じ、炎症を起こす。後方だけでなく上方にも噴射できるので、むやみに手で抑えつけたり顔を近づけたりしないよう注意が必要である。(wikipediaより引用)
2025/06/04
山中の水溜りでヒキガエルの幼生を狩って雛に給餌するクロツグミ♀【野鳥:トレイルカメラ】
つがいで縄張りを持ち、♂は木の梢で大きな声でさえずる。主に地上をはね歩きながら採餌する。数歩はねて立ちどまり、ゴミムシなどの昆虫やミミズを捕える。(p445より引用)確かにクロツグミの♀♂つがいが見事に縄張りを防衛しているようで、昼間この水場には他種の鳥がやって来ません。
クロツグミとヒキガエル幼生に関する観察記録と考察レポート
1. 観察の概要
2024年5月下旬〜6月上旬、山形県の里山における水場に設置したトレイルカメラにより、クロツグミ(Turdus cardis)の成鳥が水溜まりで採餌している様子が複数回記録された。観察映像から、以下の行動が確認された:
クロツグミの雌雄ペアが黒色のオタマジャクシを捕獲し、巣に持ち帰る様子
ミミズなど他の餌も同時に採餌し、巣に持ち帰っている
特に注目すべきは、捕獲されたオタマジャクシがヒキガエル(Bufo japonicus, アズマヒキガエル)と推定される種であったことである。
2. ヒキガエル幼生の毒性と鳥類による捕食
ヒキガエル類は成体だけでなく、幼生(オタマジャクシ)の段階から心臓毒であるブフォトキシン(bufotoxin)を含むことで知られている。一般にこの毒素は魚類や一部の昆虫捕食者に対する忌避効果を持つとされるが、鳥類による捕食例も報告されている。
ヒキガエルの幼生は黒一色で地味な体色をしており、警告色(アポセマティズム)を持たないため、視覚的に毒を予測しにくい可能性がある。これは、捕食者に対する隠蔽戦略を主とする進化的適応と解釈できる。
3. クロツグミの給餌行動と雛への影響
今回の記録では、親鳥が複数のオタマジャクシを捕食・運搬しており、巣にいる雛に給餌したと考えられる。毒性のあるオタマジャクシを雛が摂取した場合、以下のような影響が懸念される:
ブフォトキシンは神経・心臓に作用する強い毒性を持ち、哺乳類や鳥類にも有害
雛は成鳥に比べて体重が軽く、1匹でも中毒死するリスクがある
ただし、実際の給餌では、親鳥が複数の雛に分散して餌を与えることが多く、個体ごとの摂取量は限られる可能性がある
トレイルカメラの映像からは巣内の雛の生存状況や健康状態は不明
4. 因果関係の認知と学習可能性
親鳥が自らオタマジャクシを食べて中毒を経験すれば、忌避学習が成立する可能性は高い。しかし、給餌対象が雛であり、かつ雛が体調を崩したとしても、その原因を特定の餌と因果づけて推論することは難しい。これは多くの鳥類において制限されている認知能力の範囲と一致する。
とはいえ、種全体としては、毒を持つオタマジャクシの忌避行動が自然選択的に強化される可能性はある。すなわち、雛に毒を与えてしまう親鳥の子孫は減り、毒餌を避ける親の行動が有利に働く。
5. 警告色を持たない毒幼生の戦略的意味
アカハライモリのように腹部の赤色を見せる"unken reflex"を持つ両生類とは対照的に、ヒキガエル幼生は視覚的警告を欠く。これは、警告色の進化には色素細胞の前適応や環境要因が必要であること、また水中での視覚信号の有効性が限定的であることが理由と考えられる。
6. 結論と今後の展望
今回の事例は、毒性のあるヒキガエル幼生がクロツグミに捕食され、給餌対象として利用されるという興味深い生態的相互作用を示している。親鳥および雛への毒の影響は、摂取量や個体差によって異なると考えられるが、今後さらなる観察や給餌後の巣の状況(生存率など)を追跡することで、鳥類と毒動物の相互作用についてより深い理解が得られるだろう。
TOBE, Alisa, et al. Evolutionary insights into Na+/K+-ATPase-mediated toxin resistance in the Crested Serpent-eagle preying on introduced cane toads in Okinawa, Japan. BMC Ecology and Evolution, 2025, 25.1: 70. (全文のPDFが無料でダウンロード可能)
2025/03/20
日光浴してからナニワズの葉裏に隠れるツマグロオオヨコバイ
2024/09/23
イチョウの種子(銀杏)散布者としてのホンドタヌキ
イチョウの種子が熟すと肉質化した種皮の外表皮が異臭を放ち[128]、素手で直接触れるとかぶれやすい[119]。異臭の主成分は下記の皮膚炎の原因となるギンコール酸である[128]。異臭によりニホンザル、ネズミなどの動物は食べようとしないが、アライグマは食べると言われている[129]。
種皮の外表皮には乳白色の乳液があり、それにはアレルギー性皮膚炎を誘発するギンコールやビロボールといったギンコール酸(ギンゴール酸)と呼ばれるアルキルフェノール類の脱炭酸化合物を含んでいる[44][111]。これはウルシのウルシオールと類似し、かぶれなどの皮膚炎を引き起こす[128]。
食用とする種子にはビタミンB6の類縁体4'-O-メチルピリドキシン (4'-O-methylpyridoxine, MPN) が含まれている[128][131][132] が、これはビタミンB6に拮抗して(抗ビタミンB6作用)ビタミンB6欠乏となりGABAの生合成を阻害し、まれに痙攣などを引き起こす[128]。銀杏の大量摂取により中毒を発症するのは小児に多く、成人では少ない[115]。大人の場合かなりの数を摂取しなければ問題はない
つづく→
2024/09/15
給餌場からトチノキの種子(栃の実)を運んで地中に貯食する野ネズミ【トレイルカメラ:暗視映像】
ドングリと同じく重力散布と動物散布の併用型で特にネズミ類の貯食行動に依存する。地上に落下した種子は冬までにほとんど持ちされれるという[39] 。種子の毒性は強く、ハツカネズミにトチの実の粉末を与えると高確率で死亡するという[40]。ドングリの場合、森林性のネズミ類、イノシシやツキノワグマは馴化により対応することが知られており[41][42][43]、おそらくトチノキに対しても同じことが起きていると見られるが、よくわかっていない。
島田卓哉. 堅果とアカネズミとの関係―タンニンに富む堅果をアカネズミが利用できるわけ―. 哺乳類科学, 2008, 48.1: 155-158.
伊佐治久道; 杉田久志. 小動物による重力落下後のトチノキ種子の運搬. 日本生態学会誌, 1997, 47.2: 121-129.
2024/08/18
栃の実よりオニグルミ堅果を優先して給餌場から運び出す野ネズミ【トレイルカメラ:暗視映像】
未加工のまま食すると吐き気、しびれ、麻痺などを起こすことがある。(中略)種子は渋や有毒成分をのぞいて食用にされる。 毒性成分:トリテルペン系サポニンのエスシンなど。(フィールドベスト図鑑『日本の有毒植物 』p74より引用)
三浦光, et al. "森林性ネズミ 2 種による 3 種の種子の利用様式―クリ・トチノキ・オニグルミの混合供試実験―." 日本森林学会大会発表データベース 第 127 回日本森林学会大会. 日本森林学会, 2016.
森林性の野ネズミ類、とくにアカネズミ属は、貯食型種子散布における主要な散布者である。したがって、野ネズミ類の落下種子に対する選好性は、それらの種子を生産する樹種の更新および分布拡大、ひいては森林動態に影響を及ぼす。野ネズミ類の種子選好性については多くの知見があるが、異なる多樹種の種子を混合して供試した場合の事例は少ない。本研究では、調査地 (愛知県北東部) に生息するヒメネズミおよびアカネズミを対象として、3樹種 (クリ、トチノキ、オニグルミ) の種子に対するそれぞれの反応を観察した。 供試実験は、広葉樹パッチに隣接する、ヒノキ・アカマツ林にて行った。円周上に種子を配置できる餌台を作成し、3樹種を交互に並べることで、どの方位から進入しても各樹種へアクセスできるようにした。種子は個体ごとに識別し、餌台へ向けてカメラを設置した。また、餌台から持ち去られた種子の追跡調査も行った。 ヒメネズミはクリを非常に強く選好し、優先的に持ち去った。アカネズミはトチノキやオニグルミも積極的に利用した。また、種子の持ち去り先および利用様式についても、ネズミ種と樹種の組み合わせで、類似点あるいは相違点が認められた。
要旨を読んだだけですが、実験のデザインの仕方など今後の参考になります。
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