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2024/04/28

ホンドタヌキの溜め糞場に集まるオオヒラタシデムシとクロボシヒラタシデムシについて

 

2023年7月中旬・午後12:30頃・晴れ 

ホンドタヌキNyctereutes viverrinus)がスギ防風林の倒木横に残した溜め糞場phを定点観察しています。 
溜め糞に集まるシデムシ類に変化がありました。 


それまでは赤黒のクロボシヒラタシデムシOiceoptoma nigropunctatum)の成虫および幼虫だけだったのに、真っ黒なオオヒラタシデムシNecrophila japonica)の成虫も多数来るようになりました。 
ペアが成立して交尾しているオオヒラタシデムシ♀♂も居ます。
並んで糞食していたシデムシ幼虫同士の小競り合い(闘争・逃走シーン)が撮れていて、興味深く思いました。(@0:20〜) 
餌は豊富にありますから、占有行動の必要はないと思っていました。(金持ち喧嘩せず) 

甲虫(鞘翅目)では他に、肉食性のサビハネカクシOntholestes gracilis)も1匹だけ、下に掲載した写真に写っています。 

次は双翅目について。
メタリックグリーンに輝く常連のキンバエ(種名不詳)とは別に、見慣れない微小でカラフルなハエが溜め糞上で翅紋を誇示していました。 
この気になるハエは別の溜め糞場にも来ていたので、改めて別の記事で紹介することにします。(動画公開予定) 

昆虫以外では、オカダンゴムシArmadillidium vulgare)およびワラジムシPorcellio scaber)の等脚目が溜め糞に群がっています。 


【考察】 
私のフィールドで溜め糞場に集まるシデムシ類の季節消長を定量的にきっちり調べた訳ではありませんが、どの溜め糞場でも毎年春になって真っ先に現れるのがクロボシヒラタシデムシで、オオヒラタシデムシは遅れてくるという印象があります。 
まるで登場役者が交代するように、クロボシヒラタシデムシが居なくなった後もオオヒラタシデムシがしばらく残ります。 
つまり、この2種は出現季節を少しずらすことで、溜め糞場という同じニッチに棲み分けをしているようです。

クロボシヒラタシデムシは成虫越冬で、いち早く休眠越冬から覚めるようです。 
それに対してオオヒラタシデムシの成虫は夏になってようやく羽化してくるのか?と推測したのですが、wikipediaによるとオオヒラタシデムシも成虫越冬らしい。 
となると、オオヒラタシデムシ成虫が遅れて溜め糞場に出現する理由が分かりません。 
まさか夏になるまで休眠越冬から覚めないのでしょうか?
雪国では幼虫または蛹で越冬するのではないか?と定説を疑いたくなります。 
もしかするとオオヒラタシデムシは寒さに弱くて、雪国では越冬に成功する成虫の数がきわめて少ないのでしょうか?
あるいは越冬直後のオオヒラタシデムシは、獣糞よりも死肉への嗜好性が高いのかもしれません。
腐肉を使ったトラップを仕掛けてみて、オオヒラタシデムシの成虫が春から現れるかどうか、確かめてみたいものです。

シデムシ類の幼虫は三葉虫みたいな形態をしているのですが、私は種類の見分け方を知りません。 
シデムシ類の幼虫を飼育してみることが謎解きのヒントになるかもしれません。

2024/04/25

砂利道の水溜まりで水を飲み小石を弄ぶハシボソガラスの親子(野鳥)

 

2023年8月上旬・午後14:25頃・晴れ 

溜池の横を通る砂利道のわだちに出来た小さな水溜まりで2羽のハシボソガラスCorvus corone)が水を飲んでいました。 
とても浅い水溜まりなのに、嘴の先を何度も挿し込んでは少量の水を喉に流し込んでいます。 
 桜並木の木陰なのに、嘴を開いたまま暑さに喘いでいます。 
(私もあまりの暑さで熱射病気味になり、気温を測るのが億劫で忘れてしまいました。) 
口内の色から成鳥と幼鳥の親子であると見分けがつきました。 

 1羽が飛び去った後も、残る1羽が長々と飲水。 口内が赤い幼鳥だった。 現場検証すると、水溜まりの泥にカラスの足跡が残されていた。 横に自生するウワミズザクラの果実がオレンジから赤く熟しつつある。 

遠くから撮影している私に一早く気づいたのは口内が黒い成鳥で、警戒して左に飛び去りました。 
その際、幼鳥に対して逃げろ!と警戒声を発しませんでした。 
(ということは、親子ではないのかもしれません。) 
未だヒトをあまり恐れない幼鳥は水溜まりに独り居残り、チビチビと水を飲んでいます。 
その後は、水溜まりの底の泥をついばんだり、落ち葉をめくったり、小石を嘴で転がしたり拾い上げて落としたりしています。 
餌となる虫でも探しているのでしょうか。 
親鳥が巣外給餌に来るまで待っている間に暇を潰しているだけかもしれません。 
嘴をぽかんと開いたまま、ときどき周囲をキョロキョロ見回しています。 

翼をしっかり畳んでおらず、やや半開きのような気がするのですけど、撮影アングルがいまいちではっきりしません。 
日向に居るのであれば、翼を広げて虫干しの日光浴をしていると解釈できるのですけど、日陰では理由が分かりません。 
幼鳥に特有の姿勢なのかな? 

ようやく歩き出した幼鳥が水溜まりを横断すると、尾羽を少し持ち上げながら白い糞を水溜まりの縁に排泄しました。(@5:34〜) 

どうやら仲間が居なくて急に寂しくなったようです。 
辺りをキョロキョロ探してから、農道をトコトコ歩いて日向に入り、右へ飛び去りました。
それまでも周囲でアブラゼミ♂♪のやかましい合唱に混じってカラスの鳴き声がカーカー♪と散発的に聞こえていたので、樹上の仲間に合流したのでしょう。 

ハシボソガラスが居なくなった直後に、水溜まりを現場検証することにしました。(@6:06〜) 
農道の轍に沿って大小の水溜まりが点在しています。 
ハシボソガラスの親子が来ていたのは、大きな(深い)水溜まりではなくて、小さな浅い水溜まりでした。 
獲物となるアメンボなどの水生昆虫が居る訳でもありませんでした。 
ただし、私が来る前にカラスが水溜まりの虫を捕食し尽くしてしまったのかもしれません。 
カラスが歩き回っていた岸辺の泥に烏の足跡が多数残っていました。 
白い物体が泥濘に溶けつつあるのは、カラスの糞と思われます。 


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2024/04/23

痛々しく3本足で跛行するホンドタヌキ♂がスギ倒木横の溜め糞場で排便【トレイルカメラ:暗視映像】

 



2023年8月上旬〜中旬 

スギ防風林で立木の根元と倒木の間に残されたホンドタヌキNyctereutes viverrinus)の溜め糞場phを自動センサーカメラで監視しています。 
右後脚を怪我して跛行する♂個体の登場シーンをまとめてみました。 


シーン0:8/4・午後12:07・晴れ(@0:00〜) 
明るい昼間にたまたま撮れた現場の様子です。 
真夏の林床はシダ植物があちこちに繁茂しています。 
カメラの設置アングルをもっと下に向けて、肝心の溜め糞場phを画面の中央に収めるるべきでしたね。 
ちなみに、この倒木はヒトが間伐したのではなく、低い位置で幹がバキッと折れたまま放置されていました。 


シーン1:8/6・午前3:30(@0:03〜) 
深夜未明に跛行タヌキが右からやって来ました。 
足に障害があるのにスギ倒木を乗り越えてきたとは思えませんから(※)、おそらく倒木の下の隙間をくぐって来たのではないかと思います。 
※この推測は後にくつがえされました。 

痛々しく跛行しながら溜め糞場phに辿り着くと、南南西を向いて排便しました。 
そのまま手前に立ち去りました。 


シーン2:8/8・午後21:23(@0:53〜) 
2日後の晩にも同一個体が溜め糞場phにやって来て、スギ立木の下に左を向いて佇んでいました。 
用を足す前に体の向きを変えると、股間にぶら下がっている睾丸が目立ちます。 
信楽焼のタヌキの置物は金玉がデフォルメされてますけど、実物も確かに大きいようです。
たんたんタヌキの金玉は風もないのにブーラブラ♪ 
南を向いて排便すると、そのまま手前に立ち去りました。 



シーン3:8/8・午後23:22(@1:53〜) 
約2時間後の深夜に、新鮮な大便が追加されたばかりの溜め糞場phをよく見ると、多数の糞虫が蠢いていました。 
糞便臭で誘引された黒い糞虫(種名不詳)がスギ林床を歩き、溜め糞に向かっています。 
5倍速の早回し映像でご覧ください。 
ところで、スギの根本で幹を下る虫の正体は何でしょうか? 

今回なぜトレイルカメラが起動したのか不明です。 
変温動物の昆虫がいくら活発に動き回っても、トレイルカメラのセンサーは反応しないはずです。 


シーン4:8/10・午後20:36・気温(@2:05〜) 
トレイルカメラの起動が遅れがちですけど、画面の奥からやって来たのかな?  
溜め糞場phで匂いを嗅ぎ回るだけで、今回は排便しなかったようです。 
方向転換した際に、股間に大きな睾丸を認めました。 

今回は珍しく奥に立ち去ると、大きなシダの葉に隠れてすぐに姿が見えなくなりました。 
画面の上端でスギの倒木を苦労して飛び越え、右に向かったようです。 
よく見えなかったのが残念です。
3本足で跛行しながらもなんとか倒木を飛び越えられるとは驚きました。 


シーン5:8/13・午後19:18(@2:40〜)
3日後の晩は小雨がぱらぱらと降っていました。 
跛行しながら右から来たタヌキがスギの倒木を乗り越えて、溜め糞場phへ到着しました。 
3本足でも倒木を飛び越えられることが、これで確実になりました。 
排便したかどうか不明ですが、身震いしてから手前に立ち去りました。 

※ 動画の一部は編集時に自動色調補正を施しています。 


【考察】
この個体は右の後足を地面に付けないように上げて歩くので、足を引きずるのではなく3本足でヒョコヒョコと跛行します。 
罠にかかったり交通事故に遭った可能性もありますけど、夜の獣道でノイバラの棘を踏んでしまい肉球に刺さって化膿しているのではないか?と私は推測しています。 

あまりにも分かりやすい特徴なので、溜め糞場phに通って来るタヌキの中でこの個体だけ確実に識別することが可能です。 
素人目には若い個体のような気がするのですけど、夏毛で痩せて見えるだけかもしれません。 
いつ見ても尻尾が力なく垂れているのは、怪我のせいで自信を失っているのかな? (負け犬の「垂れ尾」状態) 
以前撮った排尿姿勢から、♂であることも判明しています。 


2つの撮影地点は数百m離れているのですが、この個体は跛行しながらも他の健常個体と遜色なく広い行動圏を活動できているようです。 
タヌキは獲物を狩る肉食獣ではなく雑食性ですから、足が多少不自由でもなんとか生きていけるようです。 
ニホンオオカミが絶滅して野犬も駆除された現代の日本では、逃げ足の遅いタヌキを捕食する天敵も居ません。 
足の裏に棘が刺さっただけの負傷ならいずれ回復しそうですけど、もし障害が残れば、縄張りや異性♀を巡って健常個体♂と闘争になったときには不利になりそうです。 


つづく→



2024/04/20

ホンドタヌキの溜め糞場に集まるキンバエを襲って狩るキイロスズメバチ♀

 

2023年7月下旬・午後14:30頃・晴れ 

東北地方南部が梅雨明けを宣言した日、スギ防風林の倒木横に残されたホンドタヌキNyctereutes viverrinus)の溜め糞場phを見に行きました。 
タヌキの新鮮な糞が追加されていた中に黄色い顆粒状の糞が大量に含まれていたのは、未消化のトウモロコシですかね?(真面目に糞分析をしていません。) 
タヌキの溜め糞場phから生えてきた実生は、常緑低木のヤブコウジかもしれません。 
だとすれば、ヤブコウジの赤い実を食べる種子散布者はヒヨドリだけでなく、タヌキになります。 

キイロスズメバチVespa simillima xanthoptera)のワーカー♀1匹が低空で溜め糞上を飛び回り、獲物を探しています。 
何度も繰り返し通ってきていました。 
キンバエの仲間やニクバエの一種が糞塊に多数群がって吸汁していましたが、キイロスズメバチ♀が低空で飛来すると素早く飛び去ってしまいます。 
たまたま溜め糞phに来ていたザトウムシの一種が目の前のキイロスズメバチ♀を牽制するように立ち向かった(ように見えた)のが意外でした。 
あんなヒョロヒョロの歩脚で勝ち目はあるのでしょうか? 

キイロスズメバチ♀の探餌飛翔を粘って動画に撮り続けると、逃げ遅れたキンバエに襲いかかり、見事仕留めました。 
溜め糞場で獲物を待ち伏せするキイロスズメバチ♀はこれまで何度も見てますが、狩りの成功シーンを観察できたのは初めてで興奮しました。

関連記事(2、10、11年前の撮影)▶  

捕らえたキンバエを抱えてすぐに飛び去ったので、キイロスズメバチ♀が肉団子を作るシーンは撮れませんでした。 
どこか近くに止まり直して獲物を噛みほぐしながらじっくり肉団子を作り、それを自分の巣に持ち帰って幼虫に給餌したはずです。 

狩りの様子を1/5倍速のスローモーションでリプレイしてみましょう。(@0:44〜1:34) 
キンバエの方が圧倒的に敏捷で反射神経も優れているのに、鈍臭い個体が慌てて逃げ損ね、キイロスズメバチ♀の目の前に落ちてしまったのが運の尽きでした。 

その後も溜め糞場phで私がしばらく待っていると、キイロスズメバチ♀が再び飛来しました。 
おそらく狩りの成功体験を得た同一個体が学習して同じ狩場に戻ってきたのでしょう。 
再びキンバエに襲いかかっても、素早く逃げられてしまいます。 
オオヒラタシデムシNecrophila japonica)の成虫・幼虫やワラジムシPorcellio scaber)、オカダンゴムシArmadillidium vulgare)など体が硬い外骨格で守られている虫には決して襲いかかりませんでした。 
溜め糞に着地したキイロスズメバチ♀は、ちょっと身繕いしてから再び飛び立ちます。 
動画素材の順序を編集で入れ替えて、狩りの失敗シーンを成功シーンの前にもってきました。

2024/04/18

ニホンアナグマ家族群による獣道を塞ぐスギ倒木への対処法:くぐり抜け、乗り越え、伝い歩き【トレイルカメラ:暗視映像】

 

2023年8月上旬〜中旬 

スギ防風林の中で倒木の横にホンドタヌキNyctereutes viverrinus)が残した溜め糞場phにニホンアナグマMeles anakuma)が登場したシーンをまとめました。 

シーン0:8/4・午後12:07・晴れ(@0:00〜) 
明るい日中にたまたま撮れた現場の様子です。 
スギ立木の根本とスギの倒木の間に黒々とした糞塊がこんもりあります。 
夏の林床にはシダ植物が繁茂しています。


シーン1:8/5・午前0:27(@0:04〜) 
深夜にトレイルカメラが起動すると、アナグマの成獣がスギ倒木の下の隙間をくぐって右へ行く様子がちらっと写りました。 
1/3倍速のスローモーションでリプレイ。 
続けて左から2頭の幼獣が来たので、先行する個体は母親♀だったようです。 
(計4頭の幼獣が居るはずなのですが、残る2頭はカメラの死角を通ったのか、あるいは単独行動をとっているのでしょう。)
まだ体の小さな幼獣は、倒木を乗り越えるのにひどく苦労しています。 
アナグマ母子の群れはタヌキの溜め糞場phには近寄らずに素通りしました。 


シーン2:8/12・午後20:59(@0:49〜) 
7日後の晩にもトレイルカメラの起動が遅れ、倒木を伝い歩いて右下へ行く獣がちらっと写っただけでした。 
顔が見えませんでしたけど、夏毛のタヌキはこんなに丸々と太っていないはずなので、おそらくアナグマの成獣だと思います。 
1/3倍速のスローモーションでリプレイ。
今回のアナグマ個体もタヌキの溜め糞場phには興味を示さずに素通りしました。 

※ 動画の一部は編集時に自動色調補正を施しています。

2024/04/17

スギ防風林で倒木横の溜め糞場にホンドタヌキが通って排便【トレイルカメラ:暗視映像】

 

2023年8月上旬 

スギの防風林の中に溜め糞場phを新たに見つけ、ときどき定点観察しています。 


おそらくタヌキの溜め糞場だと思うのですけど、自動センサーカメラを設置して確かめることにしました。
限られた台数のトレイルカメラで複数のプロジェクトをやり繰りするのは大変なのですが、 なんとか1台確保しました。


シーン0:8/4・午後12:06(@0:00〜) 
明るい昼間にたまたま撮れた現場の状況です。 
スギの木の根本に黒々とした糞塊がこんもり残っています。 
すぐ横に放置されているスギの倒木が目印です。 
真夏の林床にはシダ植物(種名不詳)が繁茂しています。 
カメラをもう少し下に傾けて設置すべきでしたね…。 


シーン1:8/8・午前3:24(@0:04〜) 
溜め糞場phに単独で来たホンドタヌキNyctereutes viverrinus)が右を向いて排便していました。 
用を足すと、そのまま右下に立ち去りました。 


シーン2:8/10・午前1:13(@0:13〜) 
カメラが起動したときには既にタヌキが単独で溜め糞に跨り、左下(南西)を向いて排便中でした。 
排泄後は左下に立ち去りました。 

尻尾の先の少し下に黒毛の部分(滴状の黒斑▼?)がある個体でした。 
垂れ尾ではなく、排便中もカールした尻尾を上げていました。 




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2024/04/12

ホンドタヌキの溜め糞場に集まるヒゲジロハサミムシ

 

2023年7月下旬・午後12:30頃・晴れ(酷暑) 

東北地方南部に平年より2日早く梅雨明けが宣言されました。 
スギ防風林に残されたホンドタヌキNyctereutes viverrinus)の溜め糞場wbc-1に定点観察に来ました。 
新鮮な糞は追加されていなかったものの、珍客を見つけました。 
溜め糞場でハサミムシの仲間を見つけたのは初めてです。 
糞食性ではなく、肉食性なのでしょう。 

コバネハサミムシ(別名キアシハサミムシ;Euborellia plebeja)と迷ったのですが、ヒゲジロハサミムシAnisolabella marginalis)だと思います。 
もし間違っていたら、ご指摘下さい。 
ヒゲジロハサミムシはハサミの湾曲に性差があまり無いらしく、素人には性別を見分けられません。 
しっかり同定するために、採集するべきでした。 
※ 学名は「Earwigs of Japan」サイトを参照しました。 

溜め糞の上を徘徊しても、枯れたスギ落葉や糞塊の下にすぐ潜り込んでしまいます。 
複数個体を撮影。
小さな糞塊の下に潜り込んだときには、反対側から別個体の尾端が覗いていました。(撮影中は気づかず) 
もしかすると、子育て中の巣があるのかもしれません。 
溜め糞をそっと掘り返したら、育児中の♀を観察できたかもしれません。 
撮影時はそこまで頭が回らず、千載一遇のチャンスを逃してしまいました。 
溜め糞上でヒゲジロハサミムシの成虫とやや白っぽい幼虫が遭遇したようです。(@2:37〜)

ハサミムシの生態も興味深いので、いつか飼育してじっくり観察してみたいものです。

他にはシデムシの仲間(クロボシヒラタシデムシ?)の幼虫、ハエ類、微小なアカアリ(種名不詳)、ワラジムシなどが溜め糞wbc-1に来ていました。 


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溜め糞から芽生えた実生は何だろうか?(タヌキによる種子散布)
林床に蔓延り始めた蔓植物はキカラスウリか?

2024/04/09

タヌキの溜め糞場から切り取った糞粒を後ろ向きで転がして巣穴に運ぶエンマコガネ?【名前を教えて】小型のフンコロガシ

 

2023年7月中旬・午後12:40頃・晴れ 

スギ防風林の林床に残されたホンドタヌキNyctereutes viverrinus)の溜め糞場wbcを定点観察しています。 
初めは大きな溜め糞1つだけだったのが、互いに2〜3m離れた3つの溜め糞(#1〜#3)に分散しました。 
最大だった溜め糞#1には新鮮な糞が追加されてないようです。 
#3は糞虫らの活躍によって分解が進み、消滅しかけています。 

現役で使われている溜め糞#2に注目しました。 
最近排泄された下痢便が乾きかけています。
溜め糞の中央部から白いカビ(ケカビ?)が生えてきました。 
ちなみに、近くにあるアナグマの溜め糞場stmpからも白カビが盛大に生えてきました。 (※ 追記参照)
スギ林床にクモの不規則網がびっしり密に張り巡らされたのかと思ったぐらいです。
カビによって獣糞の分解が進むのは構わないのですが、カビ臭を嫌ってタヌキやアナグマが排便しに来なくなるのではないかと心配です。 
この溜め糞場wbc-2をトレイルカメラ(旧機種)で監視してみたのですが、何も写らなかったのであっさり諦めて撤去しました。 

クロアリ(種名不詳)や肉食性と思われる小型のハネカクシ(種名不詳)が多数、溜め糞wbc-2の上を徘徊しています。 
その中で、真っ黒な丸っこい小さな甲虫が気になりました。 
タヌキの真っ黒な糞塊から小さな欠片を切り取ると、後ろ向きに転がして(引きずって)運び始めました。 
糞塊の中央にある小さな穴の中に頭を先にして潜り込みました。 
おそらく、巣穴があるのでしょう。 
しばらく待っても、巣穴の外にはもう出てこなくなりました。 
運んできた糞粒は幼虫または自身の餌として巣内に貯食したというよりも、巣口を塞ぐために使われたようにも見えましたが、1回きりの観察では心元ありません。
巣口を塞ぐのならわざわざ遠くから巣材を運んでこなくても、近くから適当に掻き寄せれば済むはずです。
肉食性のハネカクシが近づいてきたので慌てて糞粒を巣口に捨てて隠れ家へ逃げ込んだのかもしれません。

初めて見る糞虫で興奮しました。
これもフンコロガシの一種と呼べるでしょうか? 
日本国内には、いわゆるフンコロガシはほとんど生息していないことになっています。 
『ファーブル昆虫記』でお馴染みのタマオシコガネのように逆立ちしながら後脚で糞玉を押して転がすのではなく、この糞虫は前脚を使って糞粒を後ろ向きに転がして(引きずって)運んでいました。 
同定のために謎の糞虫を採集すべきでしたが、エンマコガネの一種ですかね? 
まったくの当てずっぽうなので、もし間違っていたらご指摘ください。 
来季からは、溜め糞を見て回る際には糞虫の採集道具を常に持ち歩くことにします。
エンマコガネ類は糞の下に巣穴を掘り、その中に糞を運び込み、幼虫一匹分の糞を小部屋に詰め、卵を産む。(wikipedia:糞虫より引用)


※ スギ植林地(防風林)の林床が昼間でもあまりにも暗いので、動画編集時に自動色調補正を施して強引に明るく加工しています。 
画質がやや粗いのはご了承ください。 
たまに風が吹いて木漏れ日が落ちると、眩しいぐらいに明るくなります。 
問題のフンコロガシが白っぽく見えて不自然かもしれませんが、実際はやや光沢のある黒色でした。 


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下端に小型の糞虫が写っている。
上下逆のアングルで撮り直した。溜め糞に白カビが発生
タヌキ溜め糞場wbc-2の全景


※【追記】
2023年7月下旬

ニホンアナグマがときどき通う溜め糞場stmpに生えた白カビの写真を撮りました。
スギ落葉層の下にびっしりと密生しています。
素人目にはケカビとは違う印象を受けました。
タヌキの溜め糞場wbcから約5mしか離れていません。




2024/04/05

獣道に片方だけ捨てられた古い長靴の謎

 



2023年7月上旬・午後14:05頃・晴れ 

休耕地にあるホンドタヌキNyctereutes viverrinus)の営巣地を久しぶりに見に行こうとする途中で、林縁の獣道にボロボロになった古いゴム長靴が片方だけ転がっているのを見つけました。 
近隣の家から親タヌキが盗んできたのでしょう。
履いたヒトの足裏の匂いで親タヌキが獲物(死肉)と誤認して持ち帰ったものの、結局は食べられずに子ダヌキが遊ぶ玩具になったのだろうと思われます。 
逆に、野外で古靴が不自然に落ちていたら、近くにタヌキやキツネなど野生動物の巣穴があるというフィールドサインになるかもしれません。

二次林を抜ける獣道の横は、下生えにノイバラの群落が密生しているのが動画でも見えています。
ノイバラの藪は鋭いトゲだらけで歩きにくいのですが、たまにタヌキもうっかりノイバラの棘を足で踏んでしまうのではないかと推察しています。




原っぱで複数の巣穴を見て回っても、タヌキ幼獣の姿はもう見られませんでした。
なんとなく、タヌキの古巣をアナグマ家族が乗っ取ったのでは?という気がするのですけど、確かめたくてもトレイルカメラを設置できません。
雑草の生い茂った夏の休耕地とトレイルカメラは相性が悪くて使い物にならないのです。
巣穴の横に普通に三脚を立ててトレイルカメラを設置すれば撮れそうですけど、三脚を原っぱに長期間放置すると通行人から目立ってしまいます。
カメラを盗まれたりタヌキの巣穴が第三者にばれたりするトラブルを避けるために、自重しています。
人目につかない夜だけ三脚の高さが自動的に高くなり、昼間は低くなって草むらに紛れる装置があれば良いのですが、自作するしかなさそうです。

休耕地や林内に不法投棄されたゴミを悪戯盛りのやんちゃな子ダヌキが食いちぎって遊んだりしているようです。
プラスチックなどの不燃ごみはいつまで経っても自然分解されません。
あまりにも散らかって見苦しいですし、野生動物が誤飲して健康を害する可能性があるので、ゴミを少しずつ拾って持ち帰ることにしました。








余談ですが、7月中旬に里山の細い林道で履き古した黒いスニーカーが片方だけ放置されていました。
登山客が山中に靴を片方だけ落として忘れるなんてことは有り得ません(あったとしたら、事件性を帯びてきます)。
おそらく野生動物が麓の里から盗んできたのだと推察しました。
この辺りに巣穴があるのでしょうか?

この古靴を何気なく裏返してみたら、無数のアリ(種名不詳)が下からわらわらと這い出てきました。
羽アリも混じっていました。
靴の下で営巣していたようです。
暑い真夏の山行でバテていた私は、アリの観察をする余力がありませんでした。
このスニーカーも自然界では分解されないゴミですから、アリには気の毒ですけど、拾って持ち帰りました。








2024/03/28

ヤマザクラの樹上で果実を食べるニホンザルの群れ

 

2023年7月上旬・午後13:30頃・晴れ 

里山の登山道を登り始めて間もない地点で野生ニホンザルMacaca fuscata fuscata)の群れと遭遇しました。 
山中で猿の鳴き声が近づいてくるとその場に立ち止まって神経を集中し、揺れている木がないかどうか探します。 
すると大抵、樹上にニホンザルを見つけることが出来ます。 

葉の生い茂ったヤマザクラの樹上に登り降りして、果実を摘み食いしています。 
ヤマザクラの実は完熟すると黒くなるのですが、ニホンザルは半熟の赤い実も食べるようです。 

関連記事(11年前の撮影)▶ ニホンザルが群れでヤマザクラの果実を採食 


山麓で土木工事する重機の騒音がうるさいのに、ニホンザルは全く気にしていません。 
しかし、カメラに撮られていることに気づくと警戒し、枝葉の影に隠れたり木から降りたりしてしまいます。 
工事の騒音が止まると、近くの草むらからナキイナゴ♂(Mongolotettix japonicus)が鳴く声♪が聞こえました。 

関連記事(15年前の撮影)▶ ナキイナゴ♂の鳴き声♪


ヤマザクラの果実に含まれる堅い種子を噛む音がカリカリ♪と聞こえたのですが、葉の生い茂る樹上でサルの姿を見失ってしまい、動画で記録できませんでした。 
撮影アングルを求めて私が右往左往すると、ニアミスしそうになった個体が悲鳴を上げて逃げてしまいます。 
猿害問題の対策として、ニホンザルの群れが山から麓に降りてくる度にロケット花火を打って追い払っています。 
警戒心が強いのはそのためでしょう。 
一方、私のことを認識している群れは、山中で出会ってもあまり恐れずにリラックスして自分たちの行動を続けてくれます。 


数時間後に私が同じ山道を戻ってくると、ニホンザルの残した糞が点々と残されていました。(計3個) 
糞をほぐして調べれば、未消化のヤマザクラ種子が含まれているかも知れません。 
猿の採食時に噛み砕かれずに果肉と一緒に飲み込まれた種子は糞と一緒に排泄され、ヤマザクラの種子は遠くに散布されることになります。 


【アフィリエイト】 

2024/03/26

タヌキの溜め糞場で狩ったキンバエを隠れ家に運んでから捕食するサビハネカクシ

 

2023年7月上旬・午後14:00頃・晴れ 

里山のスギ林道でホンドタヌキNyctereutes viverrinus)が残した溜め糞場sを定点観察しています。 
前年(2022年)にはトレイルカメラを設置して監視したのですが、今季はカメラの台数が足りず、他所に回しています。 

この日は比較的新鮮な糞が残されていました。 
未消化の種子が糞にたくさん含まれています。 
この時期のタヌキはヤマザクラやウワミズザクラの果実を食べたのではないかと予想しているのですけど、いつか真面目に糞分析をしないといけません。 

糞塊に多数群がっていたハエはキンバエの仲間(種名不詳)がメインで、他にはニクバエの仲間(種名不詳)およびキバネクロバエMesembrina resplendens)が来ていました。 
甲虫ではクロボシヒラタシデムシOiceoptoma nigropunctatum)の成虫、サビハネカクシOntholestes gracilis)および謎の糞虫(種名不詳)が集まっていました。 

複数いたサビハネカクシの中で一匹に注目してみましょう。
獣糞から吸汁しているキンバエ類を追い回すものの、ハエは素早く飛んで逃げてしまいます。 
サビハネカクシが狙うのはハエ類だけで、硬い鞘翅で身を守る甲虫のクロボシヒラタシデムシを襲うことはありません。 
失敗続きの狩りを1/5倍速のスローモーションでリプレイ。 
最初の例ではハエに襲いかかるのではなく、なぜか尻尾を振ってハエを追い払っていました。 
微小なアリ(種名不詳)にも襲いかかったものの、小さ過ぎて逃げられました。(邪魔なアリを狩場から追い払ったのかも知れません。) 
しばらくすると、サビハネカクシは狩りを諦めて糞塊の縁の下に潜り込みました。 

次は何を撮ろうかと私が目移りしている間に、別個体のサビハネカクシが溜め糞上で狩りに成功しました! 
1/5倍速のスローモーションでリプレイしてみると、待ち伏せ猟ではなく、キンバエの斜め後ろから忍び寄り、襲いかかって仕留めていました。 
油断していたキンバエは激しく羽ばたいて逃げようとするものの、サビハネカクシは獲物の左翅の根元付近にしっかり噛み付いていました。 
溜め糞場で捕食者による殺戮が行われても、周囲の食糞性昆虫たちは全く無関心でした。 

胸部を噛み砕かれた獲物がおとなしくなると(絶命)、サビハネカクシは急に方向転換して、獲物を咥えたまま走り出しました。 
ライバル(捕食者)の多い溜め糞場では獲物を横取りされるリスクがありますから、急いで離脱したのでしょう。 
ときどき立ち止まると、少し上に曲げた尻尾を嬉しそうにグルグル回しています。 
スギ林床の落葉落枝をどんどん乗り越えて進んで行きます。 
ようやくスギ落ち葉の上で落ち着くと、落ち着いて捕食を開始。 
翅を広げたまま動かなくなったキンバエを仰向けにして胸部を食べています。 
肉食性のハネカクシは、獲物の体液を吸汁するのではなく、固形物として肉を噛み砕いて飲み込むのだと思うのですけど、じっくり観察できませんでした。 
タヌキの溜め糞に集まる他の虫に気を取られて私がちょっと目を離したら見失ってしまったたのです。 
スギ落ち葉の上で静止すると、サビハネカクシは保護色で全く目立ちません。 
完食するまで見届けるべきでしたね。 

サビハネカクシが狩りに成功して獲物を捕食したシーンは、これが初見です。 
念願だった狩りのシーンがようやく撮れて感無量。 
狩りの直後に離れたところまで獲物を持ち去るとは知りませんでした。 
貯食したり求愛給餌したら面白いのにな…と期待したのですけど、獲物を自分で食べました。 


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2024/03/23

山道でウワミズザクラの葉を食べクマイチゴの葉に眼下腺マーキングするニホンカモシカ♂

 



2023年7月上旬・午後13:35頃・晴れ 

つづら折れの山道で座位休息してたニホンカモシカ♂(Capricornis crispus)がようやく立ち上がって歩き去ったので、そっと後をつけると、ほぼ平坦な区間でこちらを振り返っていました。 
直前まで山道横に自生する灌木の葉を採食していたようで、もぐもぐと咀嚼しています。 
やがて警戒を解くと、道端の木の葉の匂いを嗅いでから、あちこちで葉先を少しずつ口でちぎり取って食べました。 
下草にオカトラノオウツボグサの花が咲いているのに、それらは全く口にしませんでした。 
カモシカはいかにもbrowserらしく、灌木の葉の方が好みなようです。(シカは下草が好きなgrazer) 
股間に陰嚢(睾丸)が見える。

ここで生憎カメラの機材トラブルとなり、焦りながら再起動すると、カモシカ♂はつづら折れの曲がり角に達していました。 
道端に自生するキイチゴの仲間の枝葉に顔をゴシゴシと擦りつけていました。 
眼下腺マーキングが済むと、こちらを振り返って見上げました。 
舌舐めずりしてからゆっくりと倒木を跨いで山道を外れ、オオバクロモジユキツバキの藪の間に分け入って行きました。 
どうやらそこが(通い慣れた?)獣道になっているようです。 
オオバクロモジの葉にも通りすがりに軽く眼下腺マーキングしたようです。 

カモシカ♂が居なくなった後で、動画を撮りながら、現場検証しました。 
採食していた灌木の樹種は、おそらくウワミズザクラと思われます。 
眼下腺マーキングしていたのはキイチゴの仲間だと思われますが、花や実がついていない夏に種類を見分けるのは苦手です。 
葉の形状から、クマイチゴですかね?
右上に葉にカモシカの食痕?


 延べ16分半という長時間の連続観察をする幸運に恵まれましたが、この間、ニホンカモシカ♂が私に対して鼻息を荒らげて威嚇することは一度もありませんでした。 
フィールドで私という存在に慣れてもらうまで何年もかかって大変ですが、信頼関係を築き上げると観察が楽になります。


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