ラベル 甲殻類 の投稿を表示しています。 すべての投稿を表示
ラベル 甲殻類 の投稿を表示しています。 すべての投稿を表示

2021/10/09

アメリカザリガニの死骸に群がるキンバエとニクバエが繰り広げる行動

 

2021年7月中旬・午後14:15頃・晴れ 

大雨で増水した氾濫原の水が引くと、泥だらけになった遊歩道にアメリカザリガニProcambarus clarkii)が2匹並んで死んでいました。 
日向で腐敗が進んでいるようで、赤い殻の表面に黒斑が出ています。 
死骸に真っ先に集まるキンバエ類は、メタリックグリーンのものとメタリックブルーのものと2種類が来ているようです。(種名不詳) 
他にはニクバエの一種(種名不詳)も来ています。 
個体数ではキンバエ類の方がニクバエよりも多いです。 
集まったハエは、アメリカザリガニの死骸を舐め回したり、身繕いしたりしています。 

左の死骸Lは頭胸甲の殻が外れかけていました。 
脱皮の途中で死んだのかな? 
こちらの死骸Lはハエにあまり人気が無いようで、ニクバエが1匹だけ乗っていました。 

右の死骸R上では多数のハエが目まぐるしく飛び回り、互いに位置を変えています。 
その様子を1/5倍速のスローモーションでリプレイしてみると、ハエ同士の間で面白いドラマが繰り広げられていることが分かりました。(@1:34〜) 

(1)死骸上の熾烈な陣取り合戦 
隣り合うハエ同士が互いに脚で蹴ったり叩いたりして牽制し合っていました。 
小さなニクバエが隣の大きなキンバエを蹴って追い払うこともありました。 
それでも強引に割り込んで来るハエがいます。
ハエの占有行動で脚を使うとは知りませんでした。
武器の無いハエの喧嘩はどうもコミカルに見えてしまいます。

(2)ニクバエ同士で誤認求愛? 
小型のニクバエの新顔が死骸に飛来すると、先客の大型ニクバエが背後から飛びつきました。 
マウントして交尾を挑んだのかと思いきや、すぐに別れました。 
こうした♂同士の誤認求愛と思われる小競り合いが繰り返されていました。 (あるいは♀の交尾拒否?)

240fpsのハイスピード動画で撮れば、もっと詳細に観察できたはずです。 


 

2021/10/03

湿地帯に散乱するアメリカザリガニの大量死骸を処理するクロクサアリ♀の大群

 

2021年7月上旬・午後15:30頃・くもり 

大雨の後で氾濫原の水が引くと、死んだアメリカザリガニProcambarus clarkii)が湿地帯にたくさん散乱していました。 
大量死の原因が気になるところですけど、私には死因が分かりません。
泥だらけの遊歩道の一区画に集中して転がっていた4匹の死骸を動画で記録しました。 
なぜかここにだけクロクサアリLasius fuji)のワーカー♀が死骸に群らがっていました。 
甲殻類のアメリカザリガニは硬い外骨格で守られていますが、割れた隙間からクロクサアリが潜り込んで死肉を細かく千切り、巣に持ち帰っています。 
(ざり)かに道楽を楽しんでいます。 

アリも泥の上を歩くのは嫌なようで、倒伏した枯れ草(ヨシ?)の茎の上を歩きやすい高速道路として行列を作り、巣と往復していました。 
行列を追跡してクロクサアリの営巣地をしっかり突き止めるべきでしたね。 
堤防に自生する灌木の根際があやしいです。
(クロクサアリの)巣は樹木の根部にある。行列を作って樹木に生息するアブラムシに集まり、甘露を定常的な餌にしている。(『アリハンドブック』p61より引用)
ザリガニのハサミだけが転がっていたりすることもありました。 
冒頭に登場する死骸は、まるで映画『エイリアン』のフェイスハガーを連想する造形でした。 

ニクバエ科の一種もザリガニの死臭に誘引されて飛来しました。 
しかし、ハエはクロクサアリの大群に遠慮して順番待ちしている印象です。
つづく→死んだアメリカザリガニに群がり解体運搬するクロクサアリ♀【10倍速映像】

2021/09/29

雨上がりの堤防路に上陸したアメリカザリガニ♀と遊ぶ:威嚇・起き上がり運動・一時捕獲など

 

2021年7月中旬・午後12:15頃・くもり 

堤防路から水辺に降りる緩やかなスロープの舗装路を散歩する大型のアメリカザリガニ♀(Procambarus clarkii)を見つけて驚きました。 
雨上がりに湿地帯から上陸して、こんな上までスロープを自分の脚で登って来たようです。 
ザリガニは鰓呼吸ですが、鰓が濡れていれば陸上でも呼吸が可能なのです。
関連記事(1年前の撮影)▶ 干上がった小川の土手に巣穴を掘って隠れるアメリカザリガニ

私がカメラを持って近づくと、左右のハサミを同時に高々と振り上げて威嚇してきます。 
持っていたビニール傘の先で突こうとすると、ザリガニはハサミで反撃してきます。 
しかし反応がいまいち遅いので、怖くありません。 
アメリカザリガニはハサミで私を牽制しながら、じりじりとスロープを後退し始めました。 

アメリカザリガニを仰向けにひっくり返す度に、ジタバタ暴れてから5対の脚および尾を使って自力で起き上がりました。 
起き上がった後は威嚇姿勢(ファイティングポーズ)を続けています。 

隙を見てザリガニの頭胸甲の側面を左手で摘んで一時捕獲しました。 
ハサミで指を挟まれないように注意しながら、腹面や側面を接写。 
腹面の腹肢をよく見ると、この個体は♀と判明しました。 
囚われたアメリカザリガニ♀はハサミが使えなくても腹肢を背側に回して私の指を払いのけようとしています。 

左右のハサミを高々と持ち上げて威嚇誇示した際に、バランスを崩して自ら転ぶことがありました。 
それでもすぐに自力で起き上がります。 
15cm定規を横に置いて採寸しました。 
ザリガニの目の前に私が薄い定規を差し出しても、なかなかしっかり挟んでくれず、挟む力も弱いです。 
武器としては見掛け倒しでした。 
ハサミを閉じた状態で隙間ができるのが♀の特徴の1つなのだそうです。 

私がしつこく構ったせいで、アメリカザリガニ♀は顔の左側からブクブクと白い泡を吹き始めました。 
この位置に鰓があるのかな? 
撮影後はスロープの下に広がる湿地帯に戻してやりました。
(今後、外来種のアメリカザリガニは駆除の対象となりそうです。)

2021/09/25

小川の底にアメリカザリガニの群れ

 

2021年7月上旬・午後16:20頃・くもり 

小川(用水路)が溜池に流れ込む手前の地点で橋の上から何気なく覗き込むと、アメリカザリガニProcambarus clarkii)を見つけました。 
結構深そうな川底に点在しています。 
岸辺の抽水植物の根際には更に多くの個体が潜んでいました。 
川底をゆっくり徘徊しています。

波立つ水面が乱反射して見えにくいですね。 
横着せずに偏光フィルター(CPLフィルター)をレンズに装着すべきでした。 
次は水中カメラでじっくり撮影したいものです。

2021/09/22

死んだアメリカザリガニに群がり解体運搬するクロクサアリ♀【10倍速映像】

 

2021年7月上旬・午後15:35〜16:08頃・くもり 

大雨の後で氾濫した湿地帯の水が引くと、アメリカザリガニProcambarus clarkii)の死骸が多数散乱していました。 
その中で、クロクサアリLasius fuji)のワーカー♀が群がっていた2匹の死骸a,bに注目し、三脚を立てて微速度撮影してみました。 
10倍速の早回し映像をご覧ください。
関連記事(6年前の撮影)▶ アメリカザリガニの死骸に群がるクロヤマアリ♀【微速度撮影】
シーン1:(@0:00〜) 
アメリカザリガニの死骸aは腹を向けて地面(遊歩道)に転がっていました。 
クロクサアリ♀は死んだザリガニの外骨格の隙間から潜り込み、体内の柔らかい組織を細かい肉片に解体してせっせと巣に運んでいます。
シーン2:(@1:20〜) 
少し離れた地点で、アメリカザリガニの死骸bは側面を向けて地面(遊歩道)に転がっていました。 
クロクサアリ♀は泥だらけの地面をなるべく歩きたくないようです。 
画面左で斜めに通る枯れ草の茎を餌の運搬通路(高速道路)として使っています。 

2021/09/18

弱ったアメリカザリガニ♂を一時捕獲

 

2021年7月上旬・午後14:40頃・くもり 

大雨の後で増水した氾濫原でもう1匹のアメリカザリガニProcambarus clarkii)を見つけました。 
浅い水に浸かってじっとしています。 
この個体はなぜか動きが鈍く、私が動画を撮りながらそっと近づいても、ほとんど反応がありません。 
長靴の先で軽く蹴ってもアメリカザリガニは全く逃げず、力なく横倒しになってからなんとか自力で起き上がりました。 
ハサミをゆっくり動かすだけです。 

手掴みで難なく一時捕獲することができました。 
ようやくハサミを振り立てたものの、私の手指を挟んできたりしませんでした。 
腹面を調べると、どうやら♂のようです。 
尾肢を伸ばさないと生殖器が見えません。 
それでも第3、4胸脚の坐節に突起があるので♂と判明しました。 

手を離してポチャン♪と水に落としても、逃げずにじっとしています。 
これほど動きが鈍いのは、どうも瀕死状態(死にかけ)のような気がしてなりません。 
私はこの辺りの水質汚染を心配しています。 
撮影時は増水したせいで水の匂いは大分ましになりましたが、普段はヘドロのようにドブ臭くて水面に油が浮いているような状態です。 
それとも脱皮前後のみんなのかな?
関連記事(1月前の撮影)▶ 湿地で見つけた瀕死のアメリカザリガニ
この後、長靴を履いて氾濫原を歩き回ると、アメリカザリガニの死骸を大量に発見しました。 
水質汚染による大量死を疑っているのですけど、野鳥や野生動物に捕食された食痕かもしれず、素人の私には判断できません。 
増水で上流から長距離を流されてくる間にもみくちゃにされて衰弱死した可能性はどうでしょう?
ザリガニは死後も外骨格(いわゆるザリガニの殻)が長期間残り、古い死骸は白化していました。 

ところで、撮影中に私の背後でずっとキチキチキチ…♪と鳴いている鳥の正体は…? 

 

2021/09/16

アメリカザリガニの威嚇と逃避行動

 

2021年7月上旬・午後14:45頃・くもり 

大雨の後に冠水した氾濫原でアメリカザリガニProcambarus clarkii)を見つけました。 
水深は水たまりほど浅く、体の半分は水面から上に出ています。 
長靴を履いた私が正面からそっと近づくと、アメリカザリガニは左、右の順でハサミ(第1胸脚)を振り上げました。 
万歳のような体勢で健気にも威嚇してきます。 
「蟷螂の斧」のような佇まいです。 
昔に読んだ山口恒夫『ザリガニはなぜハサミをふるうのか:生きものの共通原理を探る』という中公新書をまた読み返さないといけません。 

私が指でザリガニの長い触角に触れると、浅瀬を少しずつ後退して行きます。 
最後に左のハサミに触れると、ピチピチと連続して後ろに跳ねて逃げ、枯れたヨシ原の根際に潜り込みました。 
素早い逃避行動を1/5倍速のスローモーションでリプレイ。 

アメリカザリガニは侵略的外来種として最近とみに問題になっています。 
今後は飼育も禁じられ、フィールドでアメリカザリガニを見つけ次第、殺して駆除することになりそうです。 
私は生まれてこの方、在来種のザリガニを野生状態で見たことがありません。 
今更ここでアメリカザリガニを駆除してもニッチが空白になって生態系に混乱をもたらすだけではないのか?と心配してしまう私は、淡水の生態系について未だ勉強不足なのでしょう。 
どうも私は在来種のザリガニが戻ってくるとは信じ切れません。 
アメリカザリガニを駆除した後で在来種を放流するのかな?

この氾濫原で見つかった大量のアメリカザリガニ死骸が様々な生き物に食われる様子をこれからの記事で紹介する予定です。
つまり、水辺に生息する他の生き物にとってアメリカザリガニは重要な食料源となっていて、食う食われるの関係が既にしっかり出来上がってしまっているようです。

【追記】
長崎大学の研究グループによると、アメリカザリガニが侵入・定着した湿地では、水生植物を利用する種や水底を利用する種の数は激減しやすく、水面を利用する種や水面付近に浮遊する種は影響を受けにくいそうです。

 

2021/08/12

湿地で見つけた瀕死のアメリカザリガニ

 

2021年6月上旬・午後15:30頃・晴れ 

長靴を履いて、増水した湿地帯を探索してみました。 
足首のくるぶし程度の水深でした。 
何か面白い生き物はいないかなー? 
ドブ臭いので誰も近付こうとしませんが、だからこそブルー・オーシャン(宝の山)かもしれません。
水質はお世辞にも良いとは言えず、ヘドロのような藻が発生しています。 

 

1匹のアメリカザリガニProcambarus clarkii)が泥の中に横倒しになってもがいていました。 
枯れたヨシの茎に下半身が下敷きになっていて脱出できないようです。 
泡を拭いているのは鰓呼吸なのでしょう。 
持っていた一脚の先端で枯れヨシ茎を取り除いてやりました。 
起き上がっても動きが鈍く、衰弱しているようです。 
もう一度つついて横倒しにしても、自力では起き上がれません。 
この個体は左側の前脚のハサミが欠損していました。 
現場から数十m離れた地点で前脚のハサミだけが水中に落ちていました。 

この湿地帯を少し歩き回ると、アメリカザリガニの死骸があちこちに多数散乱していました。 
その一部は古いようで、白化していました。 
殻が壊れたものはおそらく野鳥や野生動物に捕食された食痕(食べ残し)でしょう。
それは自然の営みということで問題ないのですが、素人目には無傷なのに死んでいる個体は水質汚染のせいではないかという気がしてなりません。 
最近、この湿地帯に鉄サビのような赤い泥水が大量に流入してヨシ原を枯らしているいる上に、水面に石油(?)が油膜となって浮いていることがあるからです。 
しかし何年か継続して定点観察したりザリガニを飼育観察してみないと、何が正常で何が異常なのか私には判断できません。 
そもそも私はアメリカザリガニの「野生での暮らしぶり」について勉強不足です。 
本来アメリカザリガニは水質汚染に強く、非常に汚れた水でも棲めるはずです。 
そのアメリカザリガニがここで次々に変死しているとなると、深刻な水質汚染なのではないかと心配です。


【追記】
湿原の水面に浮かぶ油膜状のものは必ずしも油膜とは限らないのだそうです。

参考サイト:
 茶褐色の土壌が謎を解く鍵となります。この色は、湿原の水に溶けている鉄イオンが酸化され酸化第二鉄が析出したときに見られます。この酸化の多くは空気中の酸素によりますが、それだけでなく、鉄バクテリアとよばれる細菌によっても行われることがあります。特に水の流れのない所でこのバクテリアが増殖すると、水面に光沢のある酸化鉄の皮膜ができ、それはまるで油膜のようです。湿原でこのような「油膜」を見つけても放置しておいて問題ありません。(「長野周辺の山歩きと山野草」サイトより引用)
・油膜と鉄バクテリアの判別方法(PDFファイル

次回見つけたら、改めて確認してみるつもりです。

2020/11/10

干上がった小川の土手に巣穴を掘って隠れるアメリカザリガニ

 

2020年8月上旬・午後15:20頃・晴れ 

川の本流に注ぐ用水路が梅雨明けすると、すっかり干上がっていました。 
昼間も薄暗い河畔林を横切る小川(出水樋門の下流)の底を私が歩くと、靴が辛うじて沈まない程度に泥が締まっていました。 

泥まみれのアメリカザリガニProcambarus clarkii)が1匹、干上がった川底を横断していました。 
4対の歩脚で歩いています。 
歩行運動に大きなハサミ脚は使わず、少し持ち上げています。 
やがて水路の横の土手の急斜面に達すると、難なく登り始めました。 
登攀時はハサミ脚も少し使っていました。 

土手に小さな穴を見つけると、ハサミ脚を使って入り口の泥をかき出し始めました。 
どうやらこのザリガニは、「穴があったら入りたい」ようです。 
穴が浅いと土手の探索をやり直します。 
土手に大き目のえぐれた窪みを見つけると、再び水平坑を掘り進めます。 
掘り出した土砂と一緒に急斜面を少し滑落したものの、再び登り直して穴に潜り込みました。 
穴掘り作業に疲れると、「頭隠して尻隠さず」の状態で一休み。 
アメリカザリガニの穴掘り作業を微速度撮影したいところですが、三脚を持ってこなかったので、手持ちカメラで作業を見守ります。  
どうやら掘った穴の奥に空洞があったようで、アメリカザリガニは巣穴にスルリと潜り込み、姿を消しました。 
涸れ水路の土手のあちこちに開いている小さな穴もザリガニの巣なのかもしれません。 

この個体は、用水路が干上がるとともに川(本流)へ逃げ遅れたのかな? 
それとも採餌のあとに帰巣しただけでしょうか?
川底の泥に残されたザリガニの足跡を逆に辿れば、どこから来たのか突き止められたかもしれません。 
特定の決まった巣穴と採餌場を往復しているようには見えませんでした。 
適当に掘った穴に隠れただけのような気がします。 
あるいは異性が潜んでいる巣穴を探し当てて、同棲のため潜り込んだのだとしたら面白いですね。(ザリガニの配偶行動はそうではないと後に本で知りました。また、冬越しの巣穴には複数個体が同居することもあるそうです。)
  

そもそも、水生動物だと思っていたザリガニが陸上でも呼吸できることに驚きました。 

▼関連記事(3年前の撮影) 

小田英智、大塚高雄『ザリガニ観察ブック』という本(見事な生態写真集)を読むと、私が抱いた疑問への回答がほとんど書いてあり、とても勉強になりました。
ザリガニは、エラがじゅうぶんに湿っていれば、陸の上でも呼吸できます。空気中の酸素がエラの表面をぬらす水分にとけ、この酸素をエラから吸収することができるのです。 
 あなたは、水辺からはなれた陸の上を、どろまみれになって歩くザリガニをみたことはありませんか。きっと、新しい水辺をもとめて冒険にでかけるザリガニでしょう。(p8より引用)

ザリガニはある意味で、両生類なのですね。

ザリガニは冬がくると、水田や川岸の土手に深い穴をほって、もぐりこみます。地下の水がしみだしてたまった深い穴のなかは、凍りつく心配もありません。この穴のなかで、ザリガニは寒さの冬をねむってすごすのです。そして春がくると、穴からはいだし、ゆたかなえさがある水辺をもとめて移動します。(p6より引用)
今回私が真夏に見た行動が冬越しのための穴掘りとは思えませんが、ザリガニは水が干上がると巣穴に潜り込んで、再び小川の水が満ちてくるまで夏眠するのかもしれません。

湿地に穴を掘って生息し、夜になると出歩いて餌を探す。雨天では日中もしばしば活動し、岸辺に上陸して動き回る姿も見られる。冬は穴に潜んで冬眠する。(wikipediaより引用)


夜になるまで待って、アメリカザリガニが巣穴から再び出て来て採餌を始めるかどうか確認すべきでしたね。 

野生のザリガニの観察も面白そうです。


関連記事(1年後の撮影)▶ 雨上がりの堤防路に上陸したアメリカザリガニ♀と遊ぶ:威嚇・起き上がり運動・一時捕獲など



【追記】

若林輝『武蔵野発 川っぷち生きもの観察記』を読んでいたら、少し違った記述を見つけました。

(川辺りの) 湿った場所の穴は、のちにアメリカザリガニの巣穴と知った。深く掘られた穴の奥には水が溜まっていて、ザリガニが潜んでいるのだ。穴の周囲を足でギュッギュッと踏みしめると、振動に驚いてザリガニが顔を出すことがわかった。 (p197より引用)


2018/02/20

川底の泥を採食するアメリカザリガニ



2017年8月下旬

日本庭園の池に注ぐ浅い水路を徘徊しているアメリカザリガニProcambarus clarkii)を発見。
そのうちの一匹βが小川の底に溜まった泥(デトリタス?)を採食していました。
未だハサミが小さな個体で、特に左のハサミが欠損しているようです(再生肢)。
少しずつ移動しながら採食を続け、最後は石橋の下に隠れてしまいました。

※ 濁った川底での採餌行動を明瞭に記録するため、動画編集時に自動色調補正を施しています。
そのために、アメリカザリガニ本体の赤味がやや不自然にどぎつく強調されてしまっています。

つづく→抜け殻を味見するアメリカザリガニ




【追記】
岩波科学ライブラリー『ザリガニ:ニホン・アメリカ・ウチダ』によると、
ザリガニは一般的に雑食性で、水草や動物の死がいなど、何でも食べてしまいます。アメリカザリガニは動物性の餌を好み、スルメなどで釣れることがよく知られています。 (p18より引用)

濁った川底で泥を採食するアメリカザリガニ
濁った川底で泥を採食するアメリカザリガニ
自動色調補正後
自動色調補正後



2018/02/19

水路を往復し、抜け殻を味見するアメリカザリガニ



2017年8月下旬


▼前回の記事
川底の泥を採食するアメリカザリガニ

日本庭園の睡蓮池から、そこに流れ込む細い水路を上流に向かって真っ赤なアメリカザリガニProcambarus clarkii)αが遡上を始めました。
浅い水路を前進だけでなく後退もできるようです。(@0:40)

流れる水面をすいすい泳ぐアメンボがいます。
しばらく歩くと、もう一匹の個体βと出会いました。(@1:14)
体格差はさほどありません。
上流を向いて静止していた2匹目の個体βは、体色の赤色が薄く、ハサミは右しか無くて小ぶりです(左のハサミは更に小さな再生肢)。
αは右の触角でβの存在に気づくと、攻撃したりせずに迂回しました。
同時にβも上流へ移動し始めました。(前回の記事の採食行動に続く)

水路内をどんどん上流へ移動するαを追いかけると、3匹目の小型個体γと出会いました。(@1:53)
とても小さなγは体色も未だ赤味が無くて土色です。
若い個体で脱皮直後なのかな?
(私は水性動物にまるで疎いので、もしかしてアメリカザリガニではない在来種のザリガニとか川エビだったりしたら恥ずかしい…)
体格で圧倒的に勝るαがγを襲って捕食(共食い)するかと思いきや、αは岸沿いに残されていた脱皮殻を見つけました。
おそらくこれはγの抜け殻なのでしょう。
αをこの抜け殻ハサミで引き寄せると、食べ始めました。
もしかすると、αはこの匂いに誘引されて水路をはるばる遡上してきたのか?と想像したりしました。
なぜか獲物を抱えたままどんどん後ずさりを始めました。(獲物を独り占めするため?)
このとき大きなハサミを獲物の保持には使わず左右に大きく広げているのは威嚇でしょうか?
どこかでゆっくり食べるのかと思いきや、味見をしただけで、なぜか途中で抜け殻を捨ててしまいました。(@2:17)
死骸だと思ったのに、食べる身が残っていない抜け殻だと気づいたようです。
今思えば、捨てられた抜け殻を記念に採集すればよかったですね。

後退を続けるαが急に後ろへ跳んで逃げ、川底の泥が舞い上がりました。(@2:20)
体の向きを変えて石橋をくぐり、下流に向かって前進します。
ここで採食中のβと再会しました。(@2:33)
βは川底の泥を掘って口にせっせと運んでいます。
今回もαはβに遠慮するかのように迂回して、下流への移動を続けます。
最後は睡蓮池への流れ込みを乗り越え、池の水中に戻りました。
乗り越える際に体が自ら少し出ても平気なようです。

※ α、β、γとは、3匹を区別するため登場順に付けた名前で、必ずしも集団の順位制(強い者順)を表すものではありません。

※ やや濁った川底での行動を明瞭に記録するため、動画編集時に自動色調補正を施しています。
そのために、アメリカザリガニ本体の赤味がやや不自然にどぎつく強調されてしまっています。

以下の写真も自動色調補正済み。



アメリカザリガニα@水路徘徊
アメリカザリガニαvsβ@水路
アメリカザリガニαvsβ@水路
アメリカザリガニαvsγ@水路
アメリカザリガニα@水路+脱皮殻捕食

【追記】
岩波科学ライブラリー『ザリガニ:ニホン・アメリカ・ウチダ』によると、
脱皮の時間は短く、わずか数分間です。これには理由があります。脱皮直後の身体はブヨブヨなので、このときに敵や他の個体に襲われたら大変だからです。 エビカニの仲間は通常、夜間に活動します。昼間に脱皮すると、他の個体が休んでいる最中なので仲間に襲われる可能性が低くなるのだと思われます。ところがアメリカザリガニの成体は、昼間に脱皮します。ただし、小さな個体は脱皮してから比較的短い時間で通常の動きができるようになるためか、夜間に脱皮する例も多く見られます。 (p62より引用) 

脱皮が終わった個体は、しばらくすると脱いだ殻を自ら食べ始めます。カルシウムは殻を硬くする作用がありますが、淡水中では不足気味です。もしかしたら、古い脱皮殻には新しくて柔らかい殻を硬くするのに必要なカルシウム成分が、たっぷりと含まれているのでしょうか。脱皮殻を繰り返し取り上げてしまうと、その個体は死亡しやすくなるという実験結果もあります。 (p63より引用)
ということは、今回の映像で抜け殻をαに横取りされた個体γはカルシウム成分を補給できずに困ったことになりましたね。
αが脱皮直後のγを襲って捕食しなかったのは、さほど飢えていなかったからかな?
それなら、抜け殻を独り占めしようとしたのは気まぐれなのか? と堂々巡りになります
いつか私もアメリカザリガニを自分で飼育して、脱皮の一部始終を観察してみたいものです。


【追記2】
小田英智、大塚高雄『ザリガニ観察ブック』によれば、
 小さなザリガニの子どもは、脱皮したあとで脱皮殻をたべます。殻にのこったカルシウムや養分を再利用しているのです。(p29より引用)
どうやら大きなザリガニは抜け殻を食べなくなるようです。

2015/07/01

アメリカザリガニの死骸に群がるクロヤマアリ♀【微速度撮影】



2015年6月上旬

堤防の階段に死んだアメリカザリガニProcambarus clarkii)の上半身だけが転がっていました。(
頭部、ハサミと脚1対)
近所の子供がザリガニ釣りをした後なのか、それともタヌキや野鳥の食べ残しですかね?

クロヤマアリFormica japonica)のワーカー♀がザリガニの死骸に群がっていました。
肉片を持ち去る解体ショーが見られそうだと思い、三脚を立て10倍速の微速度撮影してみました。
大きさを比較するために一円玉を並べて置きました。

アリは死骸の切り口から潜り込んで屍肉を食い荒らしているようです。
小さな白い肉片を咥えて持ち去るアリを見かけたのですけど、早回し映像では撮れていませんでした。
アリの行列はできていないので、アリ自身もそれほど魅力的な餌場とは評価していないようです。
もしかすると、祭りの後なのかもしれません。
甲羅の上で時間をかけてのんびり身繕いしている個体がいます。
同じ巣から来た2匹が出会うと口づけの挨拶を交わします(栄養交換?)

劇的に面白い展開にこそなりませんでしたが、遅い昼飯を食べるついでに撮ったネタです。


2012/12/13

イブキヒメギス♀のカニ道楽



2012年9月上旬

渓流の横でイブキヒメギス♀(? Eobiana japonica)がサワガニGeothelphusa dehaani)を食べていました。
さすがに自分で生きたカニを襲って捕食したのではなくて、死骸を見つけて食べているのでしょう。
首を傾げて美味そうにカニ味噌を食べています。
夢中で食べている間にカニの甲羅が表を向いてしまいました。
ヒメギスは困ったように死骸の周りを一周してから身繕い。
カニの甲羅の縁を咥えて運び、強引に裏返しました。
獲物を咥えて持ち運ぼうとするのは珍しいと思いました。
どこか安全な場所に運んでからゆっくり食べるつもりなのでしょうか。
食べにくいので顔を突っ込んだら結果的に(意図せず)運搬しているように見えただけかもしれません。

ヒトを含む脊椎動物の口器は上下に開閉するのに対して、昆虫の口器は左右に開閉します。

カニを食べるときはヒトと同じでやはり黙々と(無心で)食べるのかと思いきや、鳴かない♀でした。
上向きに緩くカーブしたサーベル状の産卵管をもちます。
ヒメギスにしては胸部側面の白線がありません。








ランダムに記事を読む