2021年6月上旬・午後15:50頃・晴れ
街なかの交差点付近で耳障りな警戒声をけたたましく鳴き続けるコムクドリ♂(Sturnus philippensis)が居ました。
前回の記事(同じ場所で1ヶ月前に撮影):▶ 電線に離れて止まるコムクドリの♀♂つがい(野鳥)
よく見ると、嘴に何か虫を咥えています。
狩ってきた獲物を巣で待っている雛に給餌するために帰る途中だと分かりました。
獲物の正体は黒いゴキブリの成虫でした。
ゴキブリは既に死んでおり、暴れていません。
コムクドリ♂はゴキブリを咥えたまま、ギーッ、チョッ♪と耳障りな声で繰り返し鳴き続けています。
喉の動きと鳴き声が同期(リップシンクロ)しているので、この個体の警戒声で間違いありません。
アカマツの樹上や電線、電柱の支線などを落ち着き無く飛び移り、ひたすら鳴き騒いでいます。
繁殖期の野鳥は巣の位置をヒトに知られることを嫌がります。
帰巣の瞬間を私に見られたくないのでしょう。
コムクドリ♂の気持ちが分かった私は後半から少し後退して距離を取ったのですが、駄目でした。
過去の撮影経験から「このぐらい離れたら帰巣・給餌してくれるだろう」と思うぐらい離れたのに、この♂個体は警戒を解かず、頑として帰巣してくれませんでした。
撮影アングルを変えたら風切り音と車の走行音がうるさくて、コムクドリの鳴き声(警戒声)は聞こえにくくなってしまいました。
電線に止まっている際に白い液状便を排泄したのは苛立ちの現れでしょうか。
まずは1/5倍速のスローモーションでご覧ください。(@1:42)
その後に等倍速でリプレイ。
民家の庭に植栽されたアカマツの樹洞に営巣しているのかと初めは予想したのですが、どうやら違うようです。
巣で待つ雛の鳴き声(餌乞い♪)も聞こえませんでした。
親鳥♂の警戒声は「今は危ないから、居場所が敵にばれないように絶対鳴くなよ!」と雛鳥に命じているのかもしれません。
交差点の真上を通る電線に止まり直したコムクドリ♂は、遂に帰巣を諦めたようです。
その場で獲物のゴキブリをバリバリと食べてしまいました。(@7:52)
食後は汚れた嘴を足元の電線で念入りに拭っています。
獲物を食べ終えた後も警戒声♪は止めません。
やはり巣が交差点のすぐ近くにあるのでしょう。
ヒトに巣の位置を絶対に知られたくないというコムクドリ♂の強い決意・執念に感銘を受けました。
出前やUberEatsの配達人が配達中に食べ物を勝手に食べてしまったのなら大問題ですが、今回のコムクドリ♂の行動はおそらく私のせいです。
道路沿いの民家の壁面にフード付き排気口が3つ並んでいます。
その奥の天井裏で営巣しているのかな?
壁の真ん中にあるフード付き換気扇口も怪しく見えます。
いずれかの穴に親鳥が飛び込むことを期待したのですが、私がちょっと目を離した隙に、親鳥は電線からどこかへ飛び去ってしまいました。
コムクドリの営巣地は分からずじまいです。