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2021/08/12

獲物のゴキブリを巣に運ぶコムクドリ♂(野鳥)

 

2021年6月上旬・午後15:50頃・晴れ
前回の記事(同じ場所で1ヶ月前に撮影):▶ 電線に離れて止まるコムクドリの♀♂つがい(野鳥)

街なかの交差点付近で耳障りな警戒声をけたたましく鳴き続けるコムクドリ♂(Sturnus philippensis)が居ました。 
よく見ると、嘴に何か虫を咥えています。 
狩ってきた獲物を巣で待っている雛に給餌するために帰る途中だと分かりました。 
獲物の正体は黒いゴキブリの成虫でした。 
ゴキブリは既に死んでおり、暴れていません。 
触角が長く有翅なので、クロゴキブリまたはヤマトゴキブリ♂(Periplaneta japonica)のようです。 

コムクドリ♂はゴキブリを咥えたまま、ギーッ、チョッ♪と耳障りな声で繰り返し鳴き続けています。 
喉の動きと鳴き声が同期(リップシンクロ)しているので、この個体の警戒声で間違いありません。 
アカマツの樹上や電線、電柱の支線などを落ち着き無く飛び移り、ひたすら鳴き騒いでいます。 
繁殖期の野鳥は巣の位置をヒトに知られることを嫌がります。 
帰巣の瞬間を私に見られたくないのでしょう。 
コムクドリ♂の気持ちが分かった私は後半から少し後退して距離を取ったのですが、駄目でした。 
過去の撮影経験から「このぐらい離れたら帰巣・給餌してくれるだろう」と思うぐらい離れたのに、この♂個体は警戒を解かず、頑として帰巣してくれませんでした。 
撮影アングルを変えたら風切り音と車の走行音がうるさくて、コムクドリの鳴き声(警戒声)は聞こえにくくなってしまいました。 

電線に止まっている際に白い液状便を排泄したのは苛立ちの現れでしょうか。 
まずは1/5倍速のスローモーションでご覧ください。(@1:42) 
その後に等倍速でリプレイ。 

民家の庭に植栽されたアカマツの樹洞に営巣しているのかと初めは予想したのですが、どうやら違うようです。 
巣で待つ雛の鳴き声(餌乞い♪)も聞こえませんでした。 
親鳥♂の警戒声は「今は危ないから、居場所が敵にばれないように絶対鳴くなよ!」と雛鳥に命じているのかもしれません。 

交差点の真上を通る電線に止まり直したコムクドリ♂は、遂に帰巣を諦めたようです。 
その場で獲物のゴキブリをバリバリと食べてしまいました。(@7:52) 
食後は汚れた嘴を足元の電線で念入りに拭っています。 
獲物を食べ終えた後も警戒声♪は止めません。 
やはり巣が交差点のすぐ近くにあるのでしょう。 
ヒトに巣の位置を絶対に知られたくないというコムクドリ♂の強い決意・執念に感銘を受けました。 
出前やUberEatsの配達人が配達中に食べ物を勝手に食べてしまったのなら大問題ですが、今回のコムクドリ♂の行動はおそらく私のせいです。

道路沿いの民家の壁面にフード付き排気口が3つ並んでいます。 
その奥の天井裏で営巣しているのかな? 
壁の真ん中にあるフード付き換気扇口も怪しく見えます。 
いずれかの穴に親鳥が飛び込むことを期待したのですが、私がちょっと目を離した隙に、親鳥は電線からどこかへ飛び去ってしまいました。 
コムクドリの営巣地は分からずじまいです。

 
ゴキブリ食後のコムクドリ♂@電線


2021/01/24

モンスズメバチの巣が駆除された後の樹洞内に生き残った生物は?【暗視映像】

 

八重桜の樹洞に営巣するモンスズメバチ:#13

▼前回の記事 
樹洞内の巣が壊れても居残るモンスズメバチ♀♂と居候ゴキブリの群れ【暗視映像】

 

2020年9月下旬・午前1:20頃・くもり 

8日ぶりの定点観察に来てヤエザクラ(八重桜)の樹洞内を赤外線の暗視カメラで覗いてみると、モンスズメバチVespa crabro)の巣盤がほぼ完全に破壊され無くなっていました。 
モンスズメバチの成虫は♀も♂も1匹も見つかりませんでした。
やはり誰かに蜂の巣を駆除されてしまったようです。 
秋になってコロニーの解散が近づき、ワーカー♀による防衛力が衰えた途端に居候のヤマトゴキブリPeriplaneta japonica)などが巣盤や外皮を一気に食害したのかもしれない…という可能性も無くはありません。 
しかし、樹洞の底にモンスズメバチ巣の外皮の破片が散乱していたことから、物理的に巣を破壊・駆除されたと確信しました。 
実は私が定点観察に通っていた期間中、営巣木の周囲に立入禁止のロープが張り巡らされて注意喚起の張り紙もしてありました。 
黄色と黒の縞模様で危険を示すロープ(ベイツ型擬態)と注意書きが前回見に来たときには撤去されていました。
その寛大な対応は今どき珍しい神対応だと私は高く評価していたのですが、やはり誰かハチ嫌い(ハチ恐怖症)のヒトが一人でも強いクレームを入れると、残念ながら駆除せざるを得ないのでしょう。 

モンスズメバチの巣が駆除されても、樹洞内に隠れ住む昆虫が全滅した訳ではありませんでした。 
ハチの巣駆除にはおそらく殺虫剤を使用したはずです。 
(殺虫剤を使わないでモンスズメバチだけ駆除したのだとすれば、難易度が高い方法なので大したものです。) 
使用した殺虫剤に対して抵抗性を獲得しているのか、多数のヤマトゴキブリと1匹のゲジは樹洞内でしぶとく生き残っていました。 
それとも駆除後に新たに樹洞内に侵入したゴキブリ集団なのかな? 
殺虫剤が樹洞内に残留しているはずです。 

今回新たに樹洞内で見つけた昆虫として、おそらくカラスヨトウAmphipyra livida corvina)の仲間と思われる中型の黒い蛾も1頭潜んでいました。 
侵入したカメラに警戒して、樹洞内を走り回ったり少し飛び回ったりしています。 
蛾の複眼がカメラの照明(赤外線または白色光)を反射して見えます。 
文献検索でヒットしたPDFを斜め読みしてみると、
小蛾類も複数種が,夏季にはヤガ科のカラスヨトウ類も認められる. (亀澤洋. "甲虫の生息場所としての 「乾燥した樹洞」 について." さやばねニューシリーズ 11 (2013): 4-14.より引用)
との記述がありました。 

実は私も忘れかけていたのですが、こんな面白い体験を記録しています。
▼関連記事(6年前の撮影) 
夜モンスズメバチの巣に忍び寄るシロスジカラスヨトウ(蛾)【暗視映像】
しかし、今回見つけた蛾の映像をスロー再生しても翅表に白帯は見えませんでした。 

鈴木知之『朽ち木にあつまる虫ハンドブック』によると、
チョウ目の多くの種は、朽ち木や朽ち木に発生したキノコを利用する。(p76より引用)
しかし、カラスヨトウなど見た目が似た蛾は掲載されていませんでした。 
 

次に、森上信夫『樹液に集まる昆虫ハンドブック』を紐解いてカラスヨトウを調べると、
夏眠と呼ばれる活動休止期間がある、盛夏には一時姿を消す。(p25より引用)
 
八重桜の樹洞内でカラスヨトウ(の仲間)が夏眠していたのかもしれません。 

樹洞内の画面左には、マイマイガLymantria dispar japonica)の蛹が吊り下げられていました。 
危険なスズメバチが居なくなったので、可視光の照明を点灯しても大丈夫です。 
蛹の本体は焦げ茶色で、薄茶色の剛毛が疎らに生えていました。 
マイマイガの幼虫は広食性で、食草・食樹リストにサクラが含まれています。 
5年前には現場のすぐ近くのヤエザクラ(八重桜)の木でマイマイガ幼虫を撮影しています。

▼関連記事(5年前の撮影:ほぼ同じ場所) 
桜の葉の中で繭を紡ぐマイマイガ幼虫(蛾)

ゴキブリやカラスヨトウ(蛾)など夜行性の昆虫は白色光を嫌って物陰にどんどん逃げてしまい、じっくり撮影できませんでした。 
(蜂の巣が駆除されたことに落胆して、動画撮影が雑になってしまいました。) 

撮影直後に外気温を測定すると、営巣木の周囲は17.7℃、湿度80%でした。 

シリーズ完。 
モンスズメバチ新女王の羽化を見届けることができず、残念無念です。 
スズメバチの巣の定点観察はいつも不本意な形で強制終了してしまうために生態の解明が遅々として進まず、フラストレーションが溜まります。 
それでもモンスズメバチの巣を定点観察するのはこれで2例目となり、新しい発見とささやかな喜びが得られました。

2021/01/08

樹洞内の巣が壊れても居残るモンスズメバチ♀♂と居候ゴキブリの群れ【暗視映像】

 

八重桜の樹洞に営巣するモンスズメバチ:#12

▼前回の記事 
モンスズメバチの巣内で羽化した雄蜂♂、居候ゴキブリ・ゲジの跳梁跋扈【暗視映像】

2020年9月中旬・午前1:30頃・くもり(雨上がりでやや蒸し暑い)  

6日ぶりに定点観察にやって来ました。 
いつものように赤外線の暗視カメラを樹洞内にそっと差し込んでいる途中で、珍しく中からブーン♪という重低音の羽音が聞こえたので焦りました。 
寝ていたモンスズメバチVespa crabro)が警戒したのかな?  
気温は高くなく、扇風行動もしていませんでした。  

巣内を観察すると、モンスズメバチ成虫(計10匹?)の性比に圧倒的な偏りがありました。(♂>>♀) 
雄蜂♂の数が増えていて、♀(ワーカーまたは新女王)よりも数で圧倒しています。  

前回と比べて巣盤の形状が激変していて、育房が全く見えません。 
遂に私が恐れていた事態が起こりました。 
昼間にモンスズメバチの巣が誰かに破壊・駆除されてしまい、残党の成虫が巣の残骸に居残っているだけのようです。 
難を逃れたワーカー♀が健気にも新たに形成された外皮で巣を修復しようと試みているのでしょうか? 
しかし育房内で育つ幼虫が居ないと在巣の成虫は栄養交換できずに飢えてしまうことになります。  
駆除されたとしたら、樹洞の底に巣の破片が散乱していたはずですが、迂闊にもこの日の私は気づきませんでした。
私が初めに聞いた謎の羽音も、最近昼間に巣を駆除されたモンスズメバチが樹洞への侵入者に対して敏感になり、警戒の羽音を立てたのかもしれません。

モンスズメバチのワーカー♀が減少したせいで、巣の防衛力が明らかに低下しています。 
その結果、樹洞内に居候する多数のヤマトゴキブリPeriplaneta japonica)が傍若無人に徘徊するようになりました。 
モンスズメバチがゴキブリを攻撃したり巣から追い払ったりする行動は皆無でした。 
その結果、居候ゴキブリによる巣の食害を抑止できなくなったのでしょうか? 
しかし、ゴキブリの口元にカメラをズームインしても巣を食べているかどうか定かではありません。 
パリパリ♪という咀嚼音も聞こえませんでした。 

樹洞内に隠しカメラを据え付けて微速度撮影(タイムラプス)すれば、モンスズメバチの巣に一体何が起こったか一部始終を記録できたはずです。 

ゲジらしき多足類も樹洞内を徘徊していました。(@2:11。巣の外側:4時の位置) 
モンスズメバチの巣の方へ近づいていたのに、撮影中は気づかず別の場所にズームインしてしまいました。 

赤外線カメラのモノクロ映像では巣の破壊状況がよく分からないので、白色光でも撮影しようか迷いました。 
しかし、スズメバチ用の防護服を着用していないので自重しました。(安全第一) 
白色光の照明で照らした途端に夜行性のゴキブリは散り散りに逃げ出して、撮れなさそうな気がします。 

撮影後に赤外線のデジタル温度計で測定すると、 樹洞内壁(巣門)の表面温度は20.8℃。 
巣内に残った外皮の表面温度は20.7℃。 
営巣木の周囲の外気温は21.0℃、湿度80%。 



2020/12/08

樹洞内でモンスズメバチの巣に居候するゴキブリとワラジムシ【暗視映像】

 

八重桜の樹洞に営巣するモンスズメバチ:#8

▼前回の記事 
モンスズメバチの巣内温度を測る【樹洞内の暗視映像】

2020年8月中旬・午前1:20頃・晴れ 

ヤエザクラ(八重桜)の樹洞内に作られたモンスズメバチVespa crabro)の巣を赤外線の暗視カメラで撮影していると、巣のすぐ左上にゴキブリが潜んでいました。 
おそらくヤマトゴキブリPeriplaneta japonica)だと思います。 
長い触角が目立つものの、モノクロの映像では翅の有無(性別)が見にくいです。 
幼虫または短翅の♀成虫のようです。
複眼が赤外線を反射して光って見えます。 
カマドウマほど後脚は発達していません。 
腹端に1対の尾角があります。 
自らの脚および腹面を舐めて身繕いしていました。 

正面を向いたときに口器が動いていましたが、モンスズメバチの巣の外皮を食害しているのか、それとも樹洞内の樹皮を齧っているのか、定かではありません。 
以前ヤマトゴキブリを飼育したときには、カシカシ、パチパチ♪と音をたてながら夜に朽木を齧っていました。
▼関連記事(飼育下で6年前に撮影) 
朽木を食べるヤマトゴキブリ♀
しかし今回は、耳を澄ませても樹洞内でそのような物音は聞こえませんでした。 

ゴキブリの他にはワラジムシPorcellio scaber)もモンスズメバチの巣のすぐ外側を徘徊していました。 

スズメバチの巣内でゴキブリが居候(共生?)していることを示す決定的な証拠映像がようやく撮れて、長年のミッシングリンクがようやく繋がりました。 
感無量です。
▼関連記事(5年前の撮影) 
コガタスズメバチの巣に居候するゴキブリ【暗視映像】
暗視映像だけでなく通常照明下でもゴキブリを撮影したいのはやまやまでしたが、スズメバチ専用の防護服を着ていない(持っていない)私は蜂を刺激する危険を冒せません。 
また、夜行性のゴキブリは眩しい白色光を照射するとすぐに物陰に隠れてしまいそうです。

鈴木知之『朽ち木にあつまる虫ハンドブック』によると、ヤマトゴキブリは
立ち枯れの樹皮下や生木の洞にすむ。成虫は5〜9月に現れ、夜間、樹液に集まる。雑食性で、果実や野菜などの植物や、昆虫の死がいなどを食べる。(p14より引用)
私は未だ雑木林の樹液酒場に来ているヤマトゴキブリを実際に見たことはありません。 
ヤマトゴキブリは桜の樹洞内でモンスズメバチとただ同居しているだけなのか、それともモンスズメバチの食べ残しや巣材を盗み食いしているのか、解明したいところです。 
モンスズメバチの巣盤は樹洞内に吊り下げられるように作られ、外皮の底が抜けているため、食べ残しや死骸は樹洞の底にどんどん落ちてしまうはずです。 
ゴキブリが樹洞の底ではなくモンスズメバチの巣の近くに留まっているということは、無抵抗の蜂の子を捕食したり前蛹が育房内に排泄した糞を食べている可能性も考えられます。 
アリの巣に同居・居候する好蟻性昆虫の研究が近年活発に進められていますが、好雀蜂性昆虫の生態も面白そうです。 


2020/08/08

ヤマトゴキブリ♀が夜の浴室から逃走



2020年5月中旬・午後21:20頃・浴室の室温23.6℃、湿度37%

夜に入浴しようとしたら、浴室の壁面角に黒光りするヤマトゴキブリ♀(Periplaneta japonica)を発見。
逃げられないように窓を閉め切ってから、急いでカメラを取りに戻りました。
換気のために浴室の窓を少し明けていたので、半野生のヤマトゴキブリが野外から外壁を伝って室内に易々と侵入したと思われます。
もしかすると、最近見つけた幼虫の同一個体が成虫に羽化したのかもしれません。


▼関連記事(9日前に撮影)
夜の浴室に侵入したヤマトゴキブリ幼虫

ビデオカメラの白色LEDを点灯してそっと接写すると、夜行性のヤマトゴキブリ♀は慌てて逃走を始め、壁の隅をどんどん下に降りて行きました。
浴室の床に達したときに一瞬、黒光りした胸背に短翅が見えたので、幼虫ではなく♀成虫と判明しました。
本種♀は成虫になっても短翅で飛ぶことが出来ません。
一方、♂成虫は長い翅を有し、飛べるのだそうです。

立ち止まった際に浴室の濡れた床で水滴を舐めているのかもしれませんが、背面から撮っても肝心の口元が見えません。
床面を逃げ回るゴキブリをしつこく追い回して撮影しました。
走行時の脚の運びを1/5倍速のスローモーションでリプレイ。

最後は浴室の閉めた扉の下の隙間に潜り込みました。
おそらく隙間風を触角で感知して潜り込んだのでしょう。
そこで見失ってしまいました。
私が浴室の扉を開けてもヤマトゴキブリ♀は潰れず、無事に隣の脱衣所へ逃げ込んだと思われます。
そこから食料の多い厨房(キッチン)へ向かうのは時間の問題でしょう。

風呂上がりの湿気を換気するために窓を終日開け放しているのが仇となり、ヤマトゴキブリの侵入口になっていたことが分かりました。
本気で対策しようとすれば、浴室の窓を網戸に交換したり、脱衣所にゴキブリ・ホイホイなどのトラップを仕掛けたりしないといけないかもしれません。


2020/07/24

夜の浴室に侵入したヤマトゴキブリ幼虫



2020年5月上旬・午後23:10頃

夜遅くに風呂に入ったら、浴室の窓枠にヤマトゴキブリPeriplaneta japonica)の幼虫が1匹潜んでいました。
浴室の湿気を換気するために窓をいつも少し開けているので、そこから室内に侵入したのでしょう。
窓の外は庭木が生い茂っています。
これまでヤマトゴキブリの侵入経路は台所の排水口辺りだろうと予想していたのですが、浴室は盲点でした。
私はゴキブリを飼育したこともあるので、見つけただけでヒステリックに騒いだりしません。

もし本気で対策するのであれば、浴室の窓に網戸を付けるべきでしょう。
湿度の高い浴室内にゴキブリホイホイのようなトラップを仕掛けるのは無理でしょう。


▼関連記事(1年前の撮影)
夜、台所の流しにヤマトゴキブリ幼虫が出没

窓を締めてヤマトゴキブリを浴室内に閉じ込めてから、私はいそいそとハンディカムを持ってきました。
入浴直後の室温も湿度もかなり高いサウナ状態でゴキブリを動画に記録します。
レンズに結露しないか心配でしたが、大丈夫でした。

補助照明の白色LEDを点灯しながらビデオカメラを近づけてもヤマトゴキブリ幼虫は逃げませんでした。
(浴室のカビ汚れがお見苦しくて申し訳ありません。)
濡れた窓枠で水滴を飲んでいたのかもしれません。
周囲にあった白い円盤状の小物(直径約45mm)をそっと動かすとようやくゴキブリは鷹揚に歩いて逃げ出しました。
後半は照明がしっかり当たり、短翅のヤマトゴキブリ♀ではなく幼虫と判明。
ご覧の通り、半野生のヤマトゴキブリはかなり鈍感でヒトをあまり恐れません。
しかし撮影後に捕獲しようとしたら、さすがにゴキブリは私の殺気を感じたのか、サッシの隙間に潜り込んでしまいました。

つづく→ヤマトゴキブリ♀が夜の浴室から逃走


2020/07/16

台所の流しに現れたヤマトゴキブリ♂に熱湯をかけて駆除



2020年4月中旬・午後22:10頃

ひと気のない夜の台所で点灯すると、ヤマトゴキブリ♂(Periplaneta japonica)が1匹、流しの中にいました。
長翅の成虫♂です。
私は悲鳴を上げたりせずに、いそいそとビデオカメラを取りに戻りました。
補助照明LEDを点灯して動画を撮りながらカメラを近づけると、光を嫌う(夜行性の)ヤマトゴキブリ♂は洗い桶の陰に隠れようとしました。
6年前には本種を飼育して面白かったのですが、今回は駆除することにしました。

私がよくやる方法を実演します。
ヤカンでお湯を沸かして、沸騰した熱湯をゴキブリに直接かけるだけます。
この方法なら殺虫剤や洗剤を使わなくてもゴキブリはほぼ即死で動かなくなります。
シンクを熱湯消毒できて一石二鳥です。
台所で安易に殺虫剤を噴霧すると、食品や食器、蛇口、まな板などが汚染されて嫌なのです。
害虫だからと言って殺虫剤を乱用すると薬剤耐性を獲得する(効き目が無くなる)恐れがありますが、ゴキブリが熱湯に耐性を獲得することはあり得ません。
いつ見てもおっとりのんびりしているヤマトゴキブリ♂は流しのステンレス壁面をよじ登れないようで、私が横でお湯を沸かしている間も逃げませんでした。
「熱湯で殺す方法を皆さんにお薦めします」と言いたいところですけど、都会のチャバネゴキブリなど俊敏なゴキブリが相手の場合は、悠長にお湯を沸かしている暇は無いかもしれません。
電気ポットで保温された熱湯があれば良いでしょう。

仰向けになった死骸を使い捨ての割り箸で摘み上げ、ゴミ袋に捨てました。
最後に採寸すれば良かったですね。

▼関連記事(1年前の撮影)
夜、台所の流しにヤマトゴキブリ幼虫が出没


2019/07/28

夜、台所の流しにヤマトゴキブリ幼虫が出没



2019年5月下旬・午後21:30頃

夜、台所に行くと、流しに1匹のヤマトゴキブリPeriplaneta japonica)の幼虫がうろちょろして居ました。
ヤマトゴキブリは野外でも見かける半野生種で、いつも動きがおっとりしています。
照明を当てても慌てて逃げたりしませんでした。

排水パイプから逆行して登ってきたのでしょうか。
ステンレスのシンク内は油ぎっている訳ではありませんが、(少なくとも幼虫は)ツルツル滑って垂直の壁を自力ではよじ登れないようです。
これは意外でした。(成虫なら登れる気がします)

シンクの水滴を飲みに来たのかもしれません。

▼関連記事
水を飲むヤマトゴキブリ♀
水を飲むヤマトゴキブリ♂

食器を洗った後の流しには、ゴキブリの餌になりそうなご飯粒が落ちていました。

▼関連記事
ご飯粒を食べるヤマトゴキブリ終齢幼虫

桑原保正『性フェロモン:オスを誘惑する物質の秘密』によると、

ゴキブリの生活には、餌以外に水の存在が必須で、主として台所など水気のある場所に夜出没する。(中略)ゴキブリも水に口を浸したまま飲む。水を飲まないと生きられない。 (p73より引用)


捕獲して飼育してもよかったのですが、この時期は他の撮影テーマが忙しく、新しいことを始める余力がありませんでした。
撮影後に熱湯を注いで駆除しました。(映像なし)
この方法なら殺虫剤や洗剤を使わなくてもゴキブリはほぼ即死ですし、シンクを熱湯消毒できて一石二鳥です。
台所で安易に殺虫剤を噴霧すると、食品や食器、蛇口、まな板などが汚染されて嫌なのです。

害虫だからと言って殺虫剤を乱用すると薬剤耐性を獲得する(効き目が無くなる)恐れがありますが、ゴキブリが熱湯に耐性を獲得することはまずあり得ないでしょう。
呑気なヤマトゴキブリ幼虫は流しから逃げなかったので、横でお湯を沸かす余裕がありました。

「熱湯で殺す方法をお薦めします」と言いたいところですが、都会のチャバネゴキブリなど俊敏なゴキブリが相手の場合は、こんな悠長なことはやってられないかもしれません。

死骸を捨てる前に採寸するのを忘れました。


▼関連記事(1年後に熱湯駆除を実演)
台所の流しに現れたヤマトゴキブリ♂に熱湯をかけて駆除


ヤマトゴキブリ幼虫@夜:台所シンク内

2017/12/07

鎮守の森を散歩するヤマトゴキブリ♀



2017年8月上旬

小高い山になった鎮守の森の薄暗い林床で、真っ昼間にヤマトゴキブリ♀(Periplaneta japonica)を発見。
短翅の♀成虫です。
腹端に卵鞘はぶら下げてはいませんでした。
せかせかと歩いて逃げ、地面に空いた穴に潜り込みました。
アリの巣穴だとしたら好蟻性昆虫ということになって面白いのですが、中からアリが出てきたり、ゴキブリを撃退したりしませんでした。
空巣なのか、それとも穴を掘った主はまた別の生き物なのかもしれません。(セミの幼虫?)
まさかヤマトゴキブリが自分で掘った穴とは思いません。(だとしたら大発見!)

※ 動画編集時に自動色調補正を施しています。



2016/10/12

コガタスズメバチの古巣を餌にヤマトゴキブリの飼育は可能か?



【はじめに(実験の目的)】

昨年、ヤマトゴキブリがコガタスズメバチの巣に深夜侵入を試みている興味深い例を見つけました。

▼関連記事
コガタスズメバチの巣に居候するゴキブリ【暗視映像】
コガタスズメバチの巣材は樹皮ですから、朽木を好んで食べるヤマトゴキブリが居候しつつスズメバチの巣をこっそり食害していても不思議ではありません。
あるいは巣内のスズメバチの食べ残し(虫の死骸)や排泄物が目当てなのかもしれません。

中南米では蟻の巣に居候する「好蟻性ゴキブリ」が知られているそうなので(『裏山の奇人:フィールドの生物学14』p159より)、日本に「好雀蜂性ゴキブリ」が居ても良さそうだと思いました。


しかしゴキブリは物陰に潜む性質がありますから、「野外で夜に徘徊中のヤマトゴキブリが偶然コガタスズメバチの外被ポケットに迷い込んだだけ」という可能性があります。
この問題を検討するために素人でも出来そうな実験として、採集したスズメバチの古巣だけを餌にしてヤマトゴキブリを飼育できるかどうか、試してみることにしました。


【材料と飼育方法】

2016年6月下旬

ヤマトゴキブリ成虫♂(Periplaneta japonica)を室内の廊下で見つけたので、いそいそと生け捕りにしました。
とりあえず水分補給のためニンジンのへただけ給餌しておいて、その間に準備します。

まずゴキブリが勝手に脱出しないように、飼育容器の内壁の上部にバターを塗ります。(バタートラップ)

▼関連記事
ヤマトゴキブリの飼育容器にはバターを塗れ!(終齢幼虫)
最近バターは品薄で高いので、仕方なくマーガリンで代用しました。
(後々、これが問題になります。)
飼育容器の蓋にあるスリット状の通気口にセロテープを貼って塞いでおきます。

2015年12月上旬に軒下から採集したコガタスズメバチの古巣をこの日のために保管していました。
(冒頭で紹介した関連記事に登場する、まさに同一の巣です)
巣の内部構造を調べたときに外皮と巣盤を少し崩しました。
外皮と巣盤の両方を少量ずつ飼育容器に入れてやりました。
ゴキブリの飲水はペットボトルの蓋に入れて与えました。
最初の1日だけ与えたニンジンは取り除きました。
スズメバチの古巣と水だけで果たしてゴキブリは生き延びるでしょうか?

巣を食べる様子を観察できるかな?



この飼育容器にヤマトゴキブリ♂を投入し、様子を見ます。
夜行性の活動を赤外線の暗視カメラで撮影してみました。



バタートラップを過信して、蓋を外して撮影していたら、なんとゴキブリが脱走してしまい焦りました!
餌のスズメバチ古巣が大き過ぎて、ゴキブリがそれを踏み台としてバタートラップを易々と突破したのです。
もっと深い飼育容器を使うか、餌のスズメバチ古巣をもっと小さく砕いて与えるべきでした。
幸いヤマトゴキブリはおっとりした(のんびりした)性格なの
で、すぐに再逮捕できました。


【結果と考察】

飼い始めたものの私も他に色々と忙しくなり、その後じっくり腰を据えた観察ができなくなりました。
ヤマトゴキブリ♂がコガタスズメバチの古巣を食べているところは残念ながら一度も見ていません。
パリパリ♪と齧る音がすればすぐ気づくだろうと思ったのですが、いつ見ても物陰に潜んでいるだけでした。
以前ヤマトゴキブリを普通に飼育したときには、音を立てて朽木の樹皮を食べていたのです。

▼関連記事
朽木を食べるヤマトゴキブリ♀

7月上旬にもう一匹のヤマトゴキブリ♂成虫を追加で投入し、同居させました。
飲み水だけは切らさないように与えていたのですが、7月中旬までに二匹とも相次いで死にました。(私の印象では餓死)



素直に考えれば、「コガタスズメバチの古巣はヤマトゴキブリの餌にはならない」という結論になりそうです。
しかし単に♂成虫の寿命かもしれない(※追記参照)ので、次に機会があればゴキブリが幼虫の段階から飼育してスズメバチの古巣だけで成虫に育つかどうか調べる必要があります。
本種は♀だけで単為生殖が可能らしいので、♀成虫から始めてスズメバチの巣だけを餌に継代飼育ができるかどうか挑戦したかったのですけど、今季はヤマトゴキブリ♀を見つけられませんでした。

スズメバチの新鮮な巣を使えば結果は変わっていたでしょうか?
古巣を保管している間にゴキブリを誘引する匂いが飛んでしまった(揮発)とか、古巣に(目に見えない)カビが生えて栄養価が落ちたとか、可能性を考えだすと切りがありません。

結果の解釈を更にややこしくしているのは、バタートラップの代用にしたマーガリンの問題です。
私は全く知らなかったのですが、「植物性のマーガリンはトランス脂肪酸を含み、ゴキブリやアリも嫌うぐらいなので人体に有害である」という俗説が流布しているそうです。
飼育容器から脱走を試みる度に滑落したゴキブリは足の先や触角に付いたマーガリンを舐めて掃除するので、必然的にマーガリンを摂取することになります。
もし噂通りにマーガリンがゴキブリに対して多少なりとも経口毒性をもつのであれば、私の実験は台無しです。
次回はバタートラップをマーガリンで代用しないように気をつけます。
マーガリンの毒性の有無については私の本来の興味から外れるので、追求する余力はありません。

今年も決着はつきませんでしたが、「野外で夜間観察した事例は、ゴキブリがスズメバチの巣を食べに誘引されたのでは無さそうだ」という考えに傾きつつあります。(大発見かも?という興奮が冷めつつあります。)
それでも、来季以降も片手間にしつこく飼育・実験するつもりです。



※【追記】
辻英明『ゴキブリ、都市を語る ― 同居人と隣人』によると、
ゴキブリの成虫の寿命は長く、初夏に成虫になったヤマトゴキブリやクロゴキブリの両君は秋まで生存します。 (ポピュラー・サイエンス241『都市動物の生態をさぐる:動物からみた大都会』第6章 p157より引用)


2015/12/21

コガタスズメバチの巣に居候するゴキブリ【暗視映像】



コガタスズメバチ巣の定点観察@祠・軒下#1

2015年7月中旬・深夜00:05〜00:07

今季のスズメバチ観察で最も興奮した発見の一つを報告します。

祠の軒下に営巣したコガタスズメバチVespa analis insularis)の巣を定点観察しています。
外被はだいぶ立派に育っていました。
夜中に様子を見に行き、赤外線の暗視カメラでそっと撮影すると、巣口から3匹の門衛が外界を見下ろして警戒しながら化粧していました。
この日は外被の夜間増築作業は見られませんでした。

外被を作りかけてポケット状になった部分にゴキブリが1匹潜んでいることに気づきました。
やがてゴキブリは警戒を解いて外被上を徘徊し始めました。
巣口から中に侵入する決定的瞬間が撮れるか?!と固唾を呑んで見守ります。
一方、コガタスズメバチの門衛は外被をガサゴソ歩き回る物音で侵入者に気づいているはずですが、外に出て来て積極的に追い払うことはしませんでした。
目が見えない夜は専守防衛で籠城するようです。
ゴキブリは巣口に差し込んだ長い触角をコガタスズメバチ♀門衛に噛み付かれそうになり、慌てて退散しました。

今回、ゴキブリがスズメバチと居候している決定的な証拠映像がようやく撮れました♪
ゴキブリは夜行性なので、暗視カメラの勝利です!
実は1ヶ月前の夜に、同じ祠でコガタスズメバチの巣の下の板壁を徘徊するゴキブリを観察して以来、共生(居候)しているのではないかと予想して張り込みを続けていたのです。

▼関連記事
夜に外壁を徘徊するヤマトゴキブリ♀【暗視映像】


今回見たゴキブリの種類ですが、前回と同じヤマトゴキブリPeriplaneta japonica)だとしたら、長翅の♂成虫ではありません。
幼虫または短翅の♀成虫だと思います。
腹端に卵鞘をぶら下げてもいませんでした。
後半はゴキブリを同定するため白色LEDを点灯したのですが、高所まで光が届きませんでした。
しかも夜行性のゴキブリは眩しい光を嫌って外被の上部(死角)に逃げてしまいました。
ストロボ写真を撮ればよかったのですけど、この日は普通のカメラを忘れてきたのです…。
同定のためゴキブリを採集したくても、最強の用心棒に守られているため怖くて手出しができません。
まるでヤクザの事務所に居候しているようなものです。(ワレええ根性しとるの!)
近隣の家から害虫駆除で迫害され続けた結果、半野外で究極のボディーガードを見つけたのかな?
コガタスズメバチの巣内を内視鏡カメラで覗いてみたら、もしかするとゴキブリが何匹も見つかるかもしれません。(ワクワク♪)
駆除したスズメバチの巣内にゴキブリが見つかった事例は報告されているのでしょうか?

(即効性のある強力な殺虫剤を使わないと、巣を採集する前にゴキブリは逃げてしまいそうです。)
スズメバチ関連の本を何冊も読んできましたが、ゴキブリに関する記述は記憶がありません。

在来種ヤマトゴキブリを飼育した経験から、雑食性で朽木を好んで食べることが分かっています。
コガタスズメバチの巣材は樹皮ですから、ヤマトゴキブリは居候しつつ巣を食害していても不思議ではありません。
あるいは巣内のスズメバチの食べ残し(虫の死骸)や排泄物が目当てなのかもしれません。
明るい昼間だとゴキブリはスズメバチに見つかったら殺されて幼虫の餌にされてしまうでしょう。
昼間も外被ポケットに潜んでいるのでしょうか?
外被の増築に伴いポケット内に閉じ込められても齧って脱出するのは容易でしょう。
スズメバチから攻撃されないようにゴキブリが体表を化学擬態しているとしたら面白いですね。




アリの巣の中では蟻客(好蟻性昆虫)と呼ばれる多種多様な生きものたちが非常に繁栄しています。
好雀蜂性昆虫(しぐま造語)も同じぐらい面白いテーマかもしれないと、以前から密かに思っていました。


参考サイト:スズメバチの天敵@都市のスズメバチ
しかしスズメバチの巣は毎年一から作り直すので、好蟻性昆虫ほど寄主と親密な共生関係は築けずあまり繁栄していないのかもしれません。(あまり研究が進んでいないだけなのかな?)

ゴキブリがスズメバチの巣を食害するシーンを撮りたくて、その後も夜な夜な定点観察に通いました。

しかし残念ながらゴキブリの姿は二度と見つけられませんでした。
もし私の予想通り巣内でコガタスズメバチと同居しているとしたら、外から見つけ難いのは当然です。

ゴキブリは物陰に潜む性質があるので、今回の事例も冷静に考えれば「ゴキブリが徘徊中に偶然コガタスズメバチの外被ポケットに迷い込んだだけ」という可能性を排除できません。
素人でもできそうな実験としては、採集したスズメバチの古巣を餌にしてヤマトゴキブリを飼育できるかどうか、試してみる価値はありそうです。(ゴキブリはスズメバチの巣に誘引されるのか?)

【追記】
翌年に飼育実験しました。
コガタスズメバチの古巣を餌にヤマトゴキブリの飼育は可能か?


2015/07/30

夜に外壁を徘徊するヤマトゴキブリ♀【暗視映像】



2015年6月中旬・夜22:50

山裾のとある木造建築物の板壁(外壁)に短翅のヤマトゴキブリ♀(Periplaneta japonica)が徘徊していました。
夜行性のゴキブリが光で逃げないように慌てて消灯し、赤外線の暗視動画に切り替えました。
野生のヤマトゴキブリ(在来種)はおっとりしていますね。
昨年飼育した経験があるので、私には馴染み深いゴキブリです。

▼関連記事
ヤマトゴキブリの飼育記録シリーズ
成虫♀ですけど、腹端に卵鞘をぶら下げていません。
飼育下で調べたい懸案事項が未だ幾つかあるので、採集するかちょっと悩みました。
その間に、手の届かない板壁の隙間に潜り込んでしまいました。

このときは未だよく分からなかったのですが、実は野外のとても意外な場所に居候していることが分かりました。
詳細はまた追々報告します。

▼関連記事コガタスズメバチの巣に居候するゴキブリ【暗視映像】


2015/03/11

卵鞘を産み始めたヤマトゴキブリ♀の水飲み行動



2014年6月上旬

ヤマトゴキブリPeriplaneta japonica)飼育個体♀aの記録です。

腹端に産みかけの白い卵鞘をぶら下げていました。
この個体が産んだ7個目の卵鞘です。
まさに産卵マシーン!
そのまま飼育容器内を歩き回り給水皿(ペットボトルの蓋)に近づいて水を飲む様子を接写できました。
この日の晩になると卵鞘は見慣れた黒褐色に変わりました。

夜間にヤマトゴキブリ♀が卵鞘を朽木に産み付けその表面に木屑をまぶす興味深い行動を暗視カメラで撮影するのが今後の目標です。



2014/09/05

孵化したヤマトゴキブリの一齢幼虫



2014年6月下旬

▼前回の記事
ヤマトゴキブリ♀が羽化殻を完食するまで【10倍速映像】

産卵から35日後、ヤマトゴキブリPeriplaneta japonica)の卵鞘から一齢幼虫が孵化していました。
既に体色は黒化しており、容器内に入れたラベルの付箋紙に止まって大体じっとしています。
幼虫同士が出会うと互いに触角で探り合っています。
卵鞘は幾つもまとめて密閉容器に隔離していたので、残念ながらどの卵鞘から孵化したのか不明です。

残念ながらゴキブリの飼育はここで打ち切り、幼虫および残りの卵鞘を処分しました。
孵化してくる様子を微速度撮影したり幼虫の集合フェロモンの実験などをやってみたかったのですけど、逃げ出さない工夫をしている(バタートラップ)といくら力説しても周りの理解が得られなくなりました。

標本写真



2014/07/13

ヤマトゴキブリ♀が羽化殻を完食するまで【10倍速映像】



2014年6月上旬・室温22℃→21℃


▼前回の記事
羽化直後に抜け殻を食すヤマトゴキブリ♀b

羽化直後のヤマトゴキブリPeriplaneta japonica)成虫♀bが自分の抜け殻を食べる様子を10倍速の動画で微速度撮影してみました。
脚の抜け殻の砕けた欠片もほぼ残さずに食べています。
ときどき挟む食休みでは触角を舐めて身繕い。
幼虫時代から給餌していた生の人参には全く見向きもしません。
映像の後半では体の色素沈着(黒化)が進み、クチクラ全体が薄い褐色になってきました。

翌朝までに羽化殻を完食していました。



2014/07/11

羽化直後に抜け殻を食すヤマトゴキブリ♀b



2014年6月上旬・室温22℃


▼前回の記事
ヤマトゴキブリ♀bの羽化【10倍速映像】

羽化直後のヤマトゴキブリPeriplaneta japonica)新成虫♀bが抜け殻を食べ始めたので驚きました。
この習性を知らなかった私は虫の抜け殻をコレクションしていることもあり、前回ヤマトゴキブリ♀aが羽化したときは直後に羽化殻を取り上げてしまいました。

口元を接写してみると食欲旺盛にモリモリ食べています。
抜け殻の脚も根本から食しました。
クチクラ(外骨格)の色素沈着(黒化)が完了する遥か前に消化器官は正常に機能することがちょっとした驚きです。
抜け殻に含まれるタンパク質や色素を摂取して急速に再利用するのでしょうか?

▼つづく
ヤマトゴキブリ♀が羽化殻を完食するまで【10倍速映像】



2014/07/10

ヤマトゴキブリ♀bの羽化【10倍速映像】



2014年6月上旬・室温26℃→24℃

キッチンで捕獲した4匹目のヤマトゴキブリPeriplaneta japonica)終齢幼虫を隔離して飼育してきました。
ある晩、遂に終齢幼虫が羽化を始めました。
気づいた時には既に羽化の後半でした。
餌として与えた人参の上でほぼ全身が抜け殻から出ていました。
脱皮直後の成虫は真っ白で、複眼だけが黒。
翅はまだ伸びていません。
腹部は取り込んだ空気で膨らませているような印象。

ゴキブリは不完全変態の昆虫なので、蛹の時期はありません。
結局、脱皮の兆候は分からず仕舞いでした。
羽化の時間帯も朝とは限らないようです。

慌てて10倍速の微速度撮影で記録開始。
やがて腹端の尾毛が抜けました。(@0:44)
人参の下に降りると方向転換。
抜け殻に残った白い気管の糸が風になびいています。
新成虫は照明が落ち着かないのか、ときどき徘徊しながらも翅伸展が進みます。
純白の翅が相変わらず美しいですね。
伸び終わっても腹部の半分ぐらいの短い翅なので、♀と判明。
(正直に言うと、長翅♂の羽化をもう一度見たかったなー。)

ようやく体が固まったらしく、新成虫♀bは抜け殻に向き直って近寄ると、口を付け始めました。
背側からはよく見えませんが、どうも羽化殻を食べようとしているようです。(@8:00〜)
初めはかじっても抜け殻がツルツルして噛めないようで、かじれる部分を探しています。
遂には抜け殻の頭部を本格的に食べ始めました。(@9:00〜)
休みながら食べていますが、それと同時に体の色素沈着(黒化)も進行しています。

▼つづく

羽化直後に抜け殻を食すヤマトゴキブリ♀b


2014/07/09

求愛中のヤマトゴキブリ♂同士の闘争



2014年6月上旬・室温24℃
▼前回の記事
ヤマトゴキブリ♂の翅上げ求愛行動
ヤマトゴキブリ♂(Periplaneta japonica)を3匹(♀1♂2)飼育しています。
♂(長翅)が代わる代わる♀(短翅)の目の前で翅を上げて求愛していると、もう1匹の♂が割り込んできました(お邪魔虫)。
邪魔されて怒った♂同士で激しい喧嘩になりました。
両雄の闘争と言っても追い回したり蹴り合って牽制するぐらいで、微笑ましいものです。



2014/07/07

ヤマトゴキブリ♂の翅上げ求愛行動



2014年6月上旬・室温24℃

早朝にヤマトゴキブリPeriplaneta japonica)の飼育容器を覗いてみると、♂の求愛行動を初めて観察できました。
ようやく♀が性成熟したのでしょう。
本で読んでいた通り、長翅の♂は短翅の♀の横または前方に回り込み、翅を高く持ち上げて求愛しています。
♀は徘徊しつつ近づく♂を脚蹴りで牽制しています(交尾拒否)。
断られても♂は興奮したように激しくしつこく♀を追い回しています。
3匹のゴキブリ(♂2♀1)が一斉に走り回って落ち着きません。

通常ゴキブリは夜行性で明かりを嫌いますが、撮影のため照明を付けても影響はありませんでした。
(点灯前の薄暗い冒頭シーンのみ自動色調補正を施してあります。)
残念ながら♂の求愛は実らず、交尾までは観察していません。
私が見ていない間に既に交尾を済ませていたのかもしれません。

参考サイト:ゴキブリの繁殖


『日本動物大百科8昆虫I』によると

・ゴキブリ科の♀は成虫になって(およそ10日)から性フェロモンを生産するようになるが、それを♂成虫が受容して配偶行動が始まる。p92
・ゴキブリ目の配偶行動の特徴は、成熟した♂が成熟♀を認知したときに翅上げ行動をとることである。(中略)ヤマトゴキブリなどの♂は♀の発散するにおいフェロモン(セスキテルペン)をまず触角で感知している。翅上げ行動の後、♂は背面の分泌腺から♀を誘う物質を出し、♀は♂の分泌物を舐めながら背面にのり交尾が成立する。p92
・交尾の際に♀が♂の上に乗る姿勢は、♀上位と呼ばれ、原始的な交尾姿勢として知られている。p90
・♂の背板腺からは、背板への誘引物質と背板をなめさせる刺激物質が分泌される。p92



2014/06/30

餌場で小競り合いするヤマトゴキブリ♂♀



2014年5月下旬

餌の争奪戦というほど激しくはありませんが、ちょっとした小競り合いがありました。
古くなった(干からびた)マッシュポテトをヤマトゴキブリ♂(Periplaneta japonica)が食べていると、短翅の♀が近づいてきました。
枯れ葉を踏んだ♀の足音に驚いて♂が少し逃げました。
その隙に♀が割り込んで食事を開始。

♀が餌場から♂を追い払おうとするも、♂はうまく回り込んでようやく餌にありつくことができました。
その間、脚で蹴る軽い闘争行動(牽制)が見られました。
♀は餌場にさほど執着せず、あっさりと立ち去りました。

体長にはあまり性差がない(むしろ長翅の♂が大きく見える)のに、どうも♂は♀に遠慮しているようです。
カカア天下。



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