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2024/08/31

晩秋にニホンアナグマ♀が巣穴に戻ると中から虫の大群が慌てて脱出【トレイルカメラ:暗視映像】

 



2023年11月上旬・午後17:00頃・気温14℃(日の入り時刻は午後16:38) 

日没の約20分後、1頭のニホンアナグマ♀(Meles anakuma)が外から巣穴Lの中に戻ると、入れ替わりで、巣穴Lに潜んでいた大量の虫が湧き出るように外に脱出してきました。 
まずは5倍速の早回し映像でご覧ください。 
次に等倍速によるリプレイをご覧ください(@0:23〜)。 
早回し映像にしないと蟲の動きに気づきにくいことがお分かり頂けるかと思います。 

同様の現象はこれで3回も録画されていました。 
関連記事(8、30日前の撮影)▶  


したがって、謎の虫は巣外に一旦避難してもほとぼりが冷めたら元の巣穴にこっそり戻っていると推察されます。 
変温動物の昆虫がいくら動いてもトレイルカメラの熱源センサーが反応しないので、証拠の映像はありません。 

まるで「蜘蛛の子を散らす」ようですが、穴居性のカマドウマ幼虫ではないか?と今のところ私は予想しています。 
謎の虫は、このままアナグマと一緒に巣穴で越冬するのでしょうか? 
虫の大群が巣穴に居候していることに鈍感なアナグマは気づいていないのか、虫を全て捕食したり巣穴から追い払ったりしないのが不思議でなりません。 
冬ごもりの間の非常食にするつもりなのでしょうか?

この秋は様々な鳥や獣が代わる代わるこの巣口にやって来ては、虫を捕食していました。 
それでも食べ尽くせないぐらいの膨大な数の虫が依然としてアナグマの巣穴に潜んでいるのです。 

強風(木枯らし)が吹き荒れる晩で、落ち葉が舞い散り、トレイルカメラを固定したミズキ灌木が左右に大きく揺れています。 

※ 動画編集時に自動色調補正を施しています。 


2024/06/30

ニホンアナグマが古い巣穴に入ると中から慌てて大群で逃げ出す謎の昆虫とは?【トレイルカメラ:暗視映像】

 



2023年10月上旬・午後17:35頃・気温15℃・日の入り時刻は午後17:16。 

ニホンアナグマMeles anakuma)の家族が転出した後の旧営巣地(セット)に日没後、アナグマ成獣が単独で戻ってきました。 
この個体の性別を私には見分けられなかったのですが、左右の瞳の大きさが同じだったので、♀ではなくヘルパー♂ではないかと推測しています。 

巣口Lの匂いを念入りに嗅いでから、中に潜り込みました。 
するとアナグマと入れ替わるように、大量の虫が巣穴Lから脱出し始めました。 
白黒の暗視映像を等倍速で見ても虫の動きが分かりにくいのですが、5倍速の早回し映像に加工すると分かりやすくなります。 
映像を見直しても、アナグマが入巣Lする前には、虫の出入りはありませんでした。 
アナグマが巣穴に入ったことで、中に居た虫の大群が「蜘蛛の子を散らすように」脱出してきたようです。 
飛べない徘徊性の昆虫のようですが、暗い夜だから飛べないのかもしれません。
アリにしては大きいです。 
クロスズメバチの巣をアナグマが地中で壊してしまったのか?などと想像を逞しくしてしまいます。 
越冬のために集まっていた虫という可能性もありますが、さすがに時期がまだ早い気がします。 

巣穴の内部が虫の大群に占拠されていて、アナグマは平気なのか?と心配になります。
虫嫌いのヒトにとっては、想像するだけでも絶叫したくなるぐらいの悪夢でしょう。
しばらくすると、何事もなかったかのようにアナグマが巣口Lから外に出て立ち去りました。 
出巣Lしたアナグマの体表にたくさんの虫がまとわりついているかと思いきや、不思議とそんなことはありませんでした。 
アナグマは古巣を内検したついでに、巣内で数匹の虫を捕食したのかもしれません。 


【考察】 
実は後日にも、同様のシーンが繰り返しトレイルカメラに撮れていました。(映像公開予定) 
長い期間ずっと空き巣になっているアナグマの古巣に、次は誰が移り住むのか、誰が最も頻繁に縄張り宣言のマーキングをするか、などと住環境の面ばかり私は気にしていました。 
穴居性の昆虫が群れをなして巣穴に潜んでいる(居候)となれば、虫を食べるアナグマやタヌキが絶好の狩場として繰り返し訪れているのだと理由が分かりました。 


謎の虫の大群の正体は何でしょうか? 
本来ならば現場検証して巣穴の中を実際に調べてみるべきですが、実現できていません。 
巣穴に出入りする野生動物を刺激したくない私は、巣口に決して近寄らないようにしています。 
それから、トレイルカメラで撮れた膨大な動画の整理が追いつかず、この現象を動画で知ったときにはすっかり寒い冬になっていました。 

カマドウマの幼虫ではないか?という仮説は、たまたま宮崎学『森の365日:宮崎学のフクロウ谷日記』という本を読んでいて着想を得ました。
 カマドウマは、肉食で、死んだ虫などを食べる森の掃除屋でもある。昼間は洞窟や樹洞など湿っぽいところに潜み、夜になると出歩く夜行性の昆虫だ。日々行動していていい隠れ場所があると、そこをすみかとしてしまう (p70より引用)

 

キリギリスやカンタンなどの仲間は卵で越冬するが、カマドウマは若者で冬を越す。だから、真夏に世代交代をするのだ。(p117より引用)

近くにあるタヌキ専用の溜め糞場wbcで9月上旬に未消化の昆虫のクチクラ断片が混じった糞塊が残されていました。
素人目にコオロギかと思ったのですが、もしかするとタヌキがカマドウマを大量に食べたとすると、辻褄が合いそうです。
関連記事(1ヶ月前の撮影)▶ ホンドタヌキが捕食したコオロギ類の未消化クチクラが大量に含まれた溜め糞



2024/06/10

ホンドタヌキが捕食したコオロギ類の未消化クチクラが大量に含まれた溜め糞

2023年9月上旬・午後13:00頃 

スギ防風林に点々と残されたホンドタヌキNyctereutes viverrinus)の溜め糞場wbcにときどき通って定点観察しています。 
この日は新鮮な糞塊が残されていました。 

果実(液果)の種子が未消化のまま糞内容物に含まれているのは、いつもと同じです。 
果実を食べるタヌキは、糞と一緒に種子を遠くに散布することになります。 

今回撮れた写真を見直すと、タヌキが捕食した昆虫の翅が未消化のまま大量に糞に含まれていました。 
真面目に糞分析をする余力はありませんでしたが、素人目にはコオロギ類(またはゴキブリ類やカマドウマ類?)の硬いクチクラのように見えます。
あるいはもしかすると、翅が茶色に見えるのは大便に混じっているからで、水で洗い流せば本来の色に戻るのかもしれません。

タヌキのこんな糞を私はこれまで見たことがありませんでした。
季節の移り変わりに伴ってタヌキの食性(メニュー)が劇的に変化したことが伺えます。
溜め糞場を共有する複数のタヌキが互いの糞の匂いを嗅ぐことで、生息域に旬の食べ物が新たに出現したことを知り、餌資源の情報を共有していると考えられています。(ほんまかいな?)


【アフィリエイト】

 
捕食したコオロギ類の未消化クチクラが大量に含まれたタヌキの糞。
木の実の種子が含まれる糞。
溜め糞場wbc1の全景

2024/04/08

夜の二次林でニホンアナグマの母子が散開して各々で採食【トレイルカメラ:暗視映像】

 




2023年7月中旬〜下旬 

シーン0:7/13・午後13:31・晴れ・気温37℃?(@0:00〜) 
シーン1:7/13・午後16:33・くもり(@0:03〜) 
明るい昼間にたまたま撮れた現場の様子です。 
いくら猛暑とは言え、気温データはさすがに異常値かもしれません。 
ニホンアナグマMeles anakuma)家族が転出した後の旧営巣地(セット)を新旧2台のトレイルカメラで監視しています。 


シーン2:7/13・午後20:45・気温21℃(@0:07〜) 
ある晩、アナグマの母子が生まれ育った懐かしの営巣地に戻ってきました。 
母親♀が引率すると言うよりも、元気いっぱいの幼獣が先陣切って夜の森を走ってきたようです。
幼獣3頭が左から来て巣口Lの匂いを嗅ぎ回り、中に入りかけたものの、すぐに出てきました。 
相次いで左へ向かうと…。 


シーン3:7/13・午後20:45(@1:07〜) 
続きが別アングルの監視カメラで撮れていました。 
巣穴Rは、入り口が更に左右2つに別れています(巣口RlとRr)。 
3頭の幼獣が巣口RlとRrへの出入りを繰り返しています。 
そこへ左から4頭目の幼獣が登場し(@1:26〜)、巣穴Rlに入りました。 
これで当年仔の兄弟姉妹が勢揃いしました。 

最後にようやく成獣の母親♀が左から登場。(@2:05〜) 


シーン4:7/13・午後20:47(@2:07〜) 
幼獣2頭が奥の林縁を探索しています。 
巣口Rの広場を徘徊していた幼獣が細い蔓につまづいて、蔓とつながっているマルバゴマキ(別名マルバゴマギ、ヒロハゴマキ、オオバゴマキ)の枝葉がざわざわと揺れました。(@2:30〜) 
その物音に反応したように、母親♀が巣口Rから外にひょっこり顔を出しました。 
奥の林縁まで偵察に行ってから、巣口Rに戻ってきました。 
この母親♀は、左右の目の大きさが不均一(右目<左目)なのが特徴です。 


シーン5:7/13・午後20:48(@3:07〜) 
幼獣1頭が巣口Rに留まり、残る3頭は各々がうろついて餌を探しているようです。 
成獣♀が出巣Rすると(@4:00〜)、右にのそのそ歩いて行きました。 
離乳後も横向きになると、乳房と乳首が確認できます。 


シーン6:7/13・午後20:51(@4:07〜) 
画面の右端を幼獣?が右へ立ち去りました。


シーン7:7/13・午後20:53(@4:14〜) 
右エリアで幼獣1頭が林床の落葉の匂いを嗅ぎ回っています。(探餌徘徊) 
落ち葉の下に隠れた小さな虫やミミズなどを次々に捕食しているのでしょう。 
右からもう1頭の幼獣が戻ってきました。 
更にもう1頭の幼獣が右から戻ってきて、巣口Rに向かいます。 


シーン8:7/13・午後21:03・気温28℃(@5:14〜) 
別アングルに設置した監視カメラの映像に切り替えます。 
母親♀が先導して獣道を歩き去り、右奥の二次林へ消えました。 
 幼獣3頭は各自がてんでバラバラに探餌徘徊しています。 
どうも1頭の幼獣がいつも他の兄弟姉妹とは別行動をしているような気がします。 
独立心が旺盛な個体なのか、それとも母親♀のそばを離れたくないのかな? 

アナグマの母子は夜の林内で散開して各自が採食しているとは言え、離れ離れにはならず緩い群れ(家族群)を形成しています。
暗闇の中でニホンアナグマの母子は迷子にならないようにどうやって互いの存在を確認しているのでしょう。 
耳を澄ませても、アナグマの鳴き声(ジェジェジェビーム♪?)は聞き取れません。 
ニホンザル(昼行性)の場合、見通しの悪い森の中を採食しながら遊動する群れは、コンタクトコール♪(クーコール♪)という独特の鳴き声をときどき小声で発して、群れの仲間の位置関係を把握しています。 


シーン9:7/13・午後21:05・(@6:14〜) 
アナグマ母子が夜の森で散開して採餌する様子を5倍速の早回し動画でご覧ください。 
行方が分からなかった幼獣1頭が左から現れ、兄弟姉妹と合流しました。 


シーン10:7/13・午後21:07・(@6:26〜) 
うっすらと夜霧がかかり始めたようです。 
最後の個体が奥の茂みに消える後ろ姿だけ写っていました。 
そしてセットには誰も居なくなりました。 

アナグマ母子は旧営巣地の巣穴に全員で入って中で寝ることはありません。 
基本的に夜行性なので、採餌活動のついでに旧営巣地に立ち寄っただけなのでしょう。 


シーン11:7/17・午前3:00・気温22℃(@6:38〜) 
4日後の深夜未明に、再びアナグマ母子が旧営巣地に戻ってきました。 
左から先頭切って登場したのは幼獣です。 
巣口Lを点検したものの中には入らず。辺りをうろついています。 


シーン12:7/17・午前3:12(@7:11〜) 
巣口R付近を幼獣1頭が徘徊しています。 
巣口Rから斜め左に伸びるマルバゴマキの細い灌木にキリギリス?バッタ?が止まっていて、ゆっくり移動しています。 
たまたま幼獣が顔を近づけたら、バッタ?はピョンと跳んで奥へ逃げました。(@7:42〜) 
幼獣は暗闇で獲物の存在に気づいていない様子でした。 
夜行性のアナグマは、視覚ではなく嗅覚や聴覚を頼りに虫やミミズを捕食するのでしょう。 
幼獣は逃げたバッタ?の後を追うでもなく、左へ立ち去りました。 


シーン13:7/17・午前3:13・気温25℃?(@8:10〜) 
続きが別アングルの監視カメラで撮れていました。 
この幼獣個体は、単独行動を好むようです。 


シーン14:7/17・午前4:01・(@8:20〜) 
奥の林縁に居た幼獣2頭がなぜか慌てて走り出し、続けざまに巣穴Rに飛び込んで中に避難しました。 
外敵が現れたのでしょうか?
そこへ母親♀が右から早足で登場。 
巣口Rの匂いを嗅いでいると、中から幼獣が出迎えました。 


シーン15:7/22・午前4:29・気温18℃(@9:11〜)日の出時刻は午前4:30。 
5日後の明け方に成獣が単独で右から登場しました。 
巣口Lの匂いを嗅いでから、手前へ向かってきます。 
どうやらヘルパー♂のようです。


シーン16:7/22・午前4:29(@9:24〜) 
続きは別アングルの監視カメラで撮れていました。 
ヘルパー♂は旧営巣地の巣口LRには立ち寄らず、奥の二次林を右奥に歩き去りました。 
今のところ、母子の群れの採餌行動にヘルパー♂は同行しません。 

2023/08/01

ハリギリ倒木の縦溝に卵を産み付けるミカドフキバッタ♀

 

2022年8月下旬・午後12:45頃・くもり 

里山の斜面に倒伏したまま放置されたハリギリ(別名センノキ)巨木の幹に2匹のミカドフキバッタ♀♂(別名ミヤマフキバッタ;Parapodisma mikado)が乗っています。 
よく見ると、ハリギリの樹皮に特有の縦に裂けたような深い溝に腹端の産卵管を挿し込んでいました。
1匹目♀aは、左の触角が途中から欠損している個体でした。 

 
ハリギリの大木は樹皮が苔むしているために、溝の中は適度に湿り気がありそうです。 
孵化したミカドフキバッタの幼虫は倒木の材を食べるはずがないので、すぐに自力で分散して周囲の草を適当に食べるのでしょう。 
通常フキバッタ類の♀は地中に穴を掘って産卵するぐらいですから、 母親♀は幼虫の食草・食樹に直接産卵するのではなく、とりあえず安全に孵化できそうな場所に卵を産み付けているだけなのでしょう。 


関連記事(同所で約2週間前の撮影) ▶:ハリギリ倒木の幹の縦溝に産卵するミカドフキバッタ♀の群れ


2023/02/21

草を両手で挟み込んで食べるヒロバネヒナバッタ

 

2022年9月中旬・午後13:45頃・晴れ 

里山の尾根道に残されたタヌキの溜め糞cを観察していると、ヒロバネヒナバッタStenobothrus fumatus)が来ているのを見つけました。
マクロレンズで接写してみました。 


バッタも獣糞に含まれている種子を食べるのかと思いきや、溜め糞の横に疎らに生えたイネ科の草の葉(種名不詳)を食べ始めました。 
左右の前脚の先(跗節)で草をしっかり挟み込んで食べる様子がなんとも可愛らしいですね。
腹端が見えなかったので、性別不明です。 
後膝が黒いことから、ヒナバッタは除外できます。(参考:保育社『検索入門セミ・バッタ』p120) 


関連記事(11年前の撮影)▶ ヒロバネヒナバッタ♂の鳴き声♪
 

2022/12/27

ハリギリ倒木の幹の縦溝に産卵するミカドフキバッタ♀の群れ

 

2022年8月中旬・午前9:30頃・くもり 

里山でハリギリ(別名センノキ)の巨木が冬の大雪のため山腹に倒伏しました。 
その倒木にミカドフキバッタ♀(別名ミヤマフキバッタ;Parapodisma mikado)が集まって産卵していました。 
ハリギリの樹皮に特有の深い縦溝にミカドフキバッタ♀は腹端を突き刺した状態で静止しています。 

巨大な倒木のあちこちで(見える範囲で)計3匹も産卵していたので、産卵基質としてよほど気に入ったようです。 
フキバッタ類がハリギリの葉を食べるという話は見聞きしたことがありません(幼虫の食樹ではない)。 
樹皮の縦溝の中は適度な湿り気がありますし、冬に深い雪に埋もれても卵が無事に越冬できる安全な場所なのでしょう。 
土中に産卵するよりも卵が捕食される可能性が低そうです。 
倒木ではなく生きた状態のハリギリにもフキバッタ♀が木登りして樹皮の縦溝に産卵することはあるのでしょうか? 
ネット検索すると、「枯れ木や朽ち木に産卵します」と書いてあるサイトがヒットしました。
別のサイトでは「ミカドフキバッタは隙間に産卵することが好きみたいだ。木道の隙間、タイルの隙間の土、樹木の隙間で産卵するのを見たことがある」との記述がありました。
初めて見た私はちょっと驚いたのですが、ミカドフキバッタ♀では別に珍しい産卵行動ではないようです。

関連記事(13年前の撮影@砂利道)▶ フキバッタの産卵(未遂)

後半は通常マクロモードに切り替えて接写してみました。 
産卵中の♀にレンズをそっと近づけただけで2匹は警戒し、跳んで逃げました。 
フキバッタの仲間は翅が退化していますから、成虫でも飛ぶことが出来ません。
残る1匹は産卵に没頭しており、私が指で後脚に触れても逃げませんでした。 
産卵行動にも段階がありそうです。 

3匹ともハリギリ幹の縦溝に腹端を突っ込んでいたので、その行動から♀だろうと勝手に判断しました。 
逃げた2匹はもしかすると、交尾相手の♀を待ち伏せしていた♂という可能性もありますかね? 
私には外見で性別を見分けられませんでした。 


2022/11/04

鳴きながら脱糞するヒガシキリギリス♂

 

2022年7月下旬・午前11:40頃・晴れ
前回の記事:▶ ヒガシキリギリス♂の鳴き声♪を声紋解析してみる

ヤブカンゾウの蕾に乗ってギー、チョン♪と繰り返し鳴いている ヒガシキリギリス♂(Gampsocleis mikado)の撮影を続けると、腹端の肛門がヒクヒクと動き、黒くて細長い乾いた固形糞をポロリと排泄しました。 
糞に植物の丸い種子が含まれているように見えるのですけど、どうでしょうか? 
排便中も休まずに鳴き続けています。 

せっかくなので、最後に跳んで逃げるシーンも撮影すればよかったですね。

2022/10/20

ヒガシキリギリス♂の鳴き声♪を声紋解析してみる

 

2022年7月下旬・午前11:35頃・晴れ 

線路沿いの草むらからキリギリスの鳴く声がします。 
鳴き声の主を探すと、 ススキの生い茂る草むらの中にヤブカンゾウの群落があり、天辺のつぼみヒガシキリギリス♂(Gampsocleis mikado)が乗っていました。 
鳴いているキリギリス♂を見つけたのは初めてです。 
地上からの高さは目測で110cmぐらいでした。 

翅の動きに注目すると鳴き声と一致するので、この個体の鳴き声で間違いありません。 
ときどきチョン♪と鋭く鳴くときの翅の動きが顕著です。 
近くにいるらしい別個体♂と交互に鳴き交わしているようです。 
鳴き続けるのも激しい運動なのか、腹部を伸縮させて腹式呼吸しています。
近くの車道をひっきり無しに通る車の走行音がうるさいのに、キリギリス♂は周囲の雑音に負けじと平気で鳴いています。 
気温を測り忘れました。
・オスは前翅に発音器をもち、 
・成虫は夏に現れ、草むらなどに生息して他の昆虫などを捕えて食べる。鳴き声は「ギー!」と「チョン!」の組み合わせで、普通は「ギー!」の連続の合間に「チョン!」が入る。(wikipedia:キリギリスより引用)

自然の観察事典40『鳴く虫観察事典』によると、  
♂のキリギリスの前羽を調べてみると、羽のつけ根の部分だけが、背なかの上で重なりあうようになっています。この部分の左前羽の裏側には、太い翅脈に小さな歯がならんだヤスリがあります。そして右前羽の表側には、羽のふちの近くにまさつ片とよばれるかたい突起があります。キリギリスが羽をふるわせるたびに、重なりあった羽の部分で、まさつ片がヤスリをこすり、音を発生させます。発生したこの音を、膜状の発音鏡でさらに大きくして、キリギリスは、野原に大きな声を響かせるのです。(中略) 超音波をふくむ高い音波は、葉や枝に反射して遠くまでとどきません。そのため、キリギリスの♂たちは、繁った葉がじゃまにならないように、高い茎や枝にのぼって鳴きます。(p5より引用)


ヒガシキリギリス♂の鳴き声を声紋解析してみる 

いつものようにオリジナルの動画ファイルから音声をWAVファイルとして抽出し、なるべくノイズの少ない部分※を適当に切り出してからスペクトログラムを描いてみました。 
「チョン、ギー♪」から始まり、後半はなぜかチョン♪が省略されています。 
鳥の囀りさえずりとはまるで異なり、声紋にきれいな倍音構造は認められません。 
(※ 車の往来が途切れたときでも、風切り音が混じったり、歩行者の足音が聞こえたり、近くの町工場から出るノイズが混入したりしています。) 
音質にこだわるのなら、採集して飼育下で静かな深夜に録音するしかなさそうです。
つづく→ 鳴きながら脱糞するヒガシキリギリス♂


以下の写真では、発音器の前翅を激しく動かしている写真をあえて選んで掲載します。

2022/01/18

タヌキの溜め糞に含まれる未消化の種子を食べるモリオカメコオロギ♂

 

2021年10月下旬・午後12:30頃・くもり
関連記事(52日前の撮影)▶ 山道の溜め糞を匂っただけで通り過ぎるホンドタヌキ【トレイルカメラ:暗視映像】

里山の尾根道に残されたホンドタヌキNyctereutes viverrinus)の溜め糞cで久しぶりに新鮮な糞が追加されていました(標高約520m地点)。 
未消化の種子が多数含まれています。 
個々の溜め糞を長期間定点観察してみると、季節消長というか栄枯盛衰があり、使われなくなる時期があったり復活したりすると分かりました。 
おそらく当地のタヌキは生息密度が低く、利用できる餌資源の季節消長に応じてタヌキの活動域が変化するのだろう、と推測しています。 

この日は常連客のベッコウバエの他に、意外な珍客も溜め糞に来ていました。 
糞食性のコオロギがいるとは知らなかったので、驚きました。 
まず、産卵管が無いので♂と分かります。 
胸背や前翅が白っぽく、左右の複眼を結ぶ頭頂部の白線が目立ちます。 
図鑑で調べてみるとモリオカメコオロギ♂(Loxoblemmus sylvestris)と判明。 
左の触角が根元から欠損した個体でした。 

糞の中にゴロゴロと含まれる未消化の種子よりもコオロギの頭部は小さいので、種子をかじってもツルツル滑って歯が立ちません。 
種子食と呼ぶのは不正確かもしれません。 
種子の表面に付着した糞を舐めていると言うべき? 
あるいは小さな種子を食べているのでしょうか? 
近縁種ハラオカメコオロギで食性を調べると、
昼間、草の根際に潜み、夜になると出歩いて餌を探す。雑食性で、植物の実や葉、小動物の死骸などを食べる。wikipedia:ハラオカメコオロギより引用)

飼育下でモリオカメコオロギ♂の鳴き声を聞いたり糞食性を調べるために、採集して持ち帰りたかったのですが、この日はあいにく採集容器や袋を何も持ち合わせていませんでした。
▼関連記事(9年前の撮影:飼育個体) 
ハラオカメコオロギ♂:鳴き声♪の声紋解析
コオロギの他には白いウジ虫(ハエの幼虫)や小型のハネカクシ類、アカアリ(種名不詳)が溜め糞の上を徘徊していました。 

雑食性のタヌキは果物(液果)を食べた後に移動し、縄張り内の溜め糞に排泄することによって植物の種子散布に協力しています。 
そんな教科書的な話には続きがあって、未消化の種子を食べようと様々な生き物がタヌキの溜め糞にやって来るというのは面白いですね。 
この場合、モリオカメコオロギ♂は植物にとって種子捕食者になります。
溜め糞をめぐる生態系の奥深さをまた1つ実感しました。

タヌキの糞には色とりどりの種子が消化されないまま含まれているので、これを本格的に調べてみるのも楽しそうです。(溜め糞調査の王道) 
この尾根道沿いにはあちこちでコブシが赤い実をつけていて、落果も見つけました。 
タヌキが通りすがりにコブシの果実(落果)を食べていても不思議ではありませんが、独特の形状をしたコブシの種子は糞に含まれていないようです。(パッと見の印象) 
あるいはホオノキの種子かも? 
黒くて小さい種子はアケビかな?と想像するものの、ちゃんと調べていません。 
タヌキが現場の尾根道(標高520m地点)から里の畑まで降りて採食するとすれば、スイカや柿の種が糞に含まれているかもしれません。

2021/12/10

虫カビ(ボーベリア)に感染して死んだフキバッタ

 

2021年9月上旬・午前11:45頃・くもり 

里山の尾根道で丈の低い笹の茎にフキバッタの一種がしがみついたまま斃死していました。
黒変した体の節々(関節)から昆虫病原糸状菌の白い菌糸が吹き出していました。 
おそらくボーベリアBeauveria bassiana)の仲間が感染して死んだと思われます。 

この日は途中の山道でもあちこちで同様の斃死体を目撃しています。 
いつか微速度撮影でバッタの感染個体が植物をよじ登って死んでボーベリアの白い菌糸が湧き出る様子を記録してみたいものです。

2021/11/28

スギの樹皮の裏側に群生するマダラカマドウマ

 

2021年8月下旬・午後13:40頃・晴れ 

山道沿いに聳え立つスギ(杉)大木の樹皮が下から剥がれかけて隙間ができていました。 
その樹皮を私が何気なく下からベリベリと剥がしてみると、裏側に大量のマダラカマドウマDiestrammena japanica)が潜んでいました。 
(樹皮を剥がすシーンから動画を撮り直すべきでしたね。) 
マダラカマドウマは日光を嫌って樹皮の下に潜り込もうとするものの、パニックになって走り回る個体は意外と少なく、ほとんどの個体はその場で呆然と(?)じっとしていました。 
大小いろいろの群れで、幼虫から成虫まで様々なステージが勢揃いしているようです。 
大型で腹端に産卵管をもつ個体が♀成虫、無ければ♂成虫です。 

樹皮を剥いだ後の幹には茶色の樹脂が点々と滲んでいたり、垂れたりしていました。 
マダラカマドウマは雑木林の樹液酒場に来ることもあります。
しかし、まさか針葉樹スギの樹液を舐めていたとは考えにくいです。 
夜行性のマダラカマドウマが昼間、樹皮の裏側に隠れていただけだと思います。
(マダラカマドウマは)林床にすみ、昼間は樹洞や洞穴などに入って集団になることが多い。(中略)夏〜秋に成虫。(『バッタ・コオロギ・キリギリス生態図鑑』p52より引用)
跳んで逃げる瞬間を1/5倍速のスローモーションでリプレイ。 
最後は剥がれかけの樹皮を戻してやりました。(私が手を離すと樹皮自体の弾性で自然に元の状態に戻りました。)

カマドウマがどうして世間で不快害虫として嫌われているのか、私には全く理解できません。
虫好きの強がりでも何でもなく、無害でひたすら美しい造形だとおもうのですけど…。
いつかカマドウマを飼育してみたいものです。
跳躍力が強いので、かなり大きな容器が必要になりそうです。


【追記】
インターネット上で本種の学名の種小名に表記の揺れがあるようです。
『バッタ・コオロギ・キリギリス生態図鑑』を信用する限り、Diestrammena japonicaではなくD. japanicaだと思います。
日本大百科事典ではjaponicaとなっていて困ります。
wikipedia英語版でもjapanica表記になっています。


♀成虫
♂成虫

2021/11/23

モリズミウマ♂?の跳躍【HD動画&ハイスピード動画】

 

2021年8月下旬・午後15:50頃・晴れ 

里山で砂利が敷かれた山道を下山中にカマドウマの仲間を見つけました(標高約540m地点)。
草が疎らに生えた砂利道を徘徊しています。 
産卵管が無いので♂ですね。 
カマドウマ類は成虫になっても翅が無く、移動手段は専らジャンプするだけです。 
(モリズミウマは)前胸には強い光沢がある点で一見コノシタウマに似ているが、後肢脛節の背面に並ぶ刺はすべてほぼ同じ大きさであることが区別点。(中略)山地の林床に普通。(p56より引用)
(コノシタウマは)胸部には強い光沢があり、一見モリズミウマに似ている。後脛節の背面の棘列は、4〜5本の短い棘列と1本の長い刺の繰り返しのパターンとなるのが特徴。(中略)冷涼な落葉広葉樹林の林床にすむ。(同書p61より引用)
しっかり同定するために採集すべきでしたが、疲れていた私は追いかけて捕獲する余力がありませんでした。  
関連記事(10年前の撮影)▶ コノシタウマ♂の雪面徘徊
スナップショットの後脚部分を拡大してみると、どうやら今回の個体はモリズミウマDiestrammena tsushimensis)のようです。 

長い触角で辺りを探っています。 
私が指で軽く触れようとすると、右に跳んで逃げました。 
跳躍シーンをまずは1/5倍速のスローモーションでご覧ください。 
直後に等倍速でリプレイ。 
私が手前の草をうっかり弾いてしまい、それに驚いて逃げたことが分かりました。 
モリズミウマ♂をしつこく追いかけると、今度は近づいただけで前方へ跳んで逃げました。 
最後にモリズミウマ♂のジャンプを240-fpsのハイスピード動画でも撮ってみました。(@1:41〜) 
フェイントをかけるようにビクッと横に身をすくめてから横っ跳びに逃げました。

2021/09/07

路上でコオロギ?を捕食するスズメ(野鳥)

 

2021年6月下旬・午後17:20頃・くもり 

夕方の路上にスズメPasser montanus)が舞い降りた時にたまたま私が通りかかると、慌てて横の電柱支線に避難しました。 
路上に戻りたそうな素振りをしているので、私は一旦通り過ぎて少し離れたところから見守ることにしました。 
すると予想通り、スズメは路上で何か虫を捕食しました。 
忙しない早食いを1/5倍速のスローモーションでリプレイしてみると、獲物は道端の草むらから跳び出してきたコオロギかヒメギスの仲間ではないかと思います。 
スズメは獲物をその場でガツガツと全て食べてしまったので、雛や幼鳥への給餌用ではありません。

2021/03/06

歩道・車道でバッタなどの虫を捕食し脱糞するハシボソガラス(野鳥)

 

2020年10月下旬・午後13:25頃・晴れ 

大通りの歩道を1羽のハシボソガラスCorvus corone)がトコトコ歩いて餌を探し回っていました。 
車道の路肩に何か落とし物を見つけたカラスが、それを調べに行きました。(@0:56) 
クルミの割れた殻が半分だけ転がっていたのです。 
それをハシボソガラスは嘴でひっくり返して調べたものの、殻の中には食べられる実が入っていなかったようで、拾わずに立ち去りました。 

車が来ない時を見計らい、車道にも出て行って餌を探しています。 
再び歩道に戻ると、何か小さな虫(甲虫?)をつまみ上げて捕食しました。(@1:33) 

歩道を歩いていたカラスが急に空を見上げ、横っ飛びに車道へ飛び出しました。(@1:51) 飛んで逃げる昆虫を追いかけて、細長い虫(おそらくバッタ?)をその場で捕食しました。
画面の左側は空き地や家庭菜園になっているので、そこに生息するバッタが歩道に出てきていたのでしょう。 

カラスは小走りで歩道に戻ると縁石に乗り、黒い固形糞をポタリと排泄しました。(@2:58) 
よく見かける白い尿酸混じりの糞(実は尿)ではなく固形糞の排泄シーンをカラスで見たのは初めてかもしれません。

最後に飛び立つと、奥の空き店舗の駐車場に着陸しました。 

捕食および排泄シーンを1/5倍速のスローモーションでリプレイ。

 

2020/09/26

カワラスズ♀の身繕い



2020年7月中旬・午後15:35頃・くもり

河川敷の舗装路で小さなコオロギのような見慣れない虫を見つけました。
マクロレンズを装着して接写してみると、カワラスズ♀(Dianemobius furumagiensis)という初物でした。
短翅なのは未だ幼虫だから?と思ったりしたのですが、腹端に赤褐色の産卵管が真っ直ぐに伸びているので♀成虫ですね。

水たまりの横の濡れた路面で立ち止まり、身繕いを始めました。
左の触角を口で掃除したり、右前脚で顔を拭ったりしています。
跳躍シーンを撮りたかったのに、私がちょっと目を離した隙にカワラスズ♀は草むらに逃げ込んでしまいました。


『バッタ・コオロギ・キリギリス生態図鑑』でカワラスズを調べると

マダラスズに似るが、やや大きく、翅の基部が白い。(中略)礫の積み重なったところにすみ、河川の中流の河原や鉄道の線路敷石の間にいる。チリチリチリ…と鳴く。秋に成虫。本州、四国、九州に分布する。(p293より引用)

この時期に成虫が見られるのは早いのでしょうか?
中流域に生息するとのことですが、撮影現場は確かに上流が中流に移行する場所です。
これまで川沿いで出会った様々な昆虫や水鳥の生息状況を総合的に思い返してみても、確かに上流域を好む種類と中流域を好む種類の両方が見られます。




2020/09/04

ノイバラの花粉を食べるヤブキリ?幼虫



2020年6月上旬・午前11:00頃・晴れ

農道の横に咲いたノイバラの群落でヤブキリTettigonia orientalis)らしき幼虫が訪花していました。
側面から見ると、胸部に短い翅芽が見えます。
雄しべの葯を夢中になって食べていました。

少し高い枝に居るので、背側の識別点をしっかり撮れませんでした。
こういうときこそ、カメラの液晶画面(バックモニター)がバリアングルだと腕を挙げて上から撮れるので便利です。
しかし、愛機LUMIXをFZ300からFZ85に買い替えたら、バリアングルモニターが廃止されてしまいました。(安直なコストカット)
この点は本当に改悪で使いにくくなったので、メーカーのパナソニックに強く抗議したいところです。




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