トレイルカメラによる水場でのフクロウとノウサギのニアミス観察とその解釈
1. 観察の概要
2024年6月上旬、山形県の山林内湿地帯(水場)に設置したトレイルカメラで深夜の動物行動を記録。
水場にフクロウ(Strix uralensis)が静かに佇み、周囲を見回している様子が撮影された。
その直後、2羽のニホンノウサギ(Lepus brachyurus)が続けて水場を横切ったが、フクロウは凝視するだけで狩りのアクションを起こさなかった。
2. 行動の生態学的解釈
フクロウの行動
通常、待ち伏せ型の狩りを行う際は樹上など高所から獲物を狙うことが多く、地上で静止している場合は狩り以外の目的(警戒、観察、水分補給など)の可能性が高い9。
水場に長居していたが、オタマジャクシなど水生小動物を狩る様子は記録されず、興味本位で観察していたと考えられる。
ノウサギの行動
ノウサギは夜行性で、行動範囲は寝床から半径約400mとされる3。
繁殖期(2~7月)にはオス同士やオス・メス間で激しい追いかけっこが見られることがあるが、今回の映像では穏やかな動きであり、繁殖行動以外の単なる移動や採食、親子・同性個体の可能性も考えられる。
ノウサギはタペータムの発達した目を持ち、夜間でも周囲の動物を認識できるが、フクロウが静止していたため気づかなかった、もしくは警戒しつつも水場を利用した可能性がある139。
3. 幼鳥・成鳥の識別と繁殖期のタイミング
6月上旬はフクロウの育雛期~巣立ち直後の時期であり、観察された個体が幼鳥である可能性もある10。
幼鳥は巣立ち直後は綿羽が残るが、換羽の進行や暗視映像の解像度によっては判別が難しい。綿羽が見えなくても幼鳥の可能性は排除できない。
巣立ったばかりの幼鳥は通常樹上で親の給餌を待つが、行動範囲が広がる過程で水場に現れることもまれにある。
4. 狩りが起こらなかった理由の考察
フクロウが満腹だった、あるいは幼鳥で狩り経験が浅かった可能性。
ノウサギが成体であれば、フクロウにとってリスクや負担が大きく、狩りの対象に選ばなかった可能性。
水場での静止は狩りのための待ち伏せではなく、警戒・観察・水分補給など他の目的だった可能性が高い。
ノウサギもフクロウの存在に気づいていたかもしれないが、警戒しつつも水場を利用した、あるいはフクロウが静止していたため危険と認識しなかった可能性がある。
5. まとめ
トレイルカメラ映像から、夜間の水場でフクロウとノウサギがニアミスしても、必ずしも狩りが発生するとは限らない。
両種の行動には、繁殖期のタイミング・個体の年齢・行動目的・警戒心など様々な要素が複雑に絡んでいる。
今回の観察は、野生動物の多様な行動戦略と、単純な「捕食―被食関係」だけでは説明できない現場のリアルな生態を示している910。
- https://www.jstage.jst.go.jp/article/mammalianscience/12/1/12_1_1_11/_pdf
- https://note.com/p_c_m22/n/nbcca18728e01
- http://sancyokohama.sakura.ne.jp/houkoku/19/YNSchousahoukoku19_1.pdf
- https://company.jr-central.co.jp/chuoshinkansen/assessment/prestatement/yamanashi/_pdf/yamanashiy08-04-03.pdf
- https://www.pref.mie.lg.jp/common/content/001021259.pdf
- https://www.pref.nagano.lg.jp/kankyo/kurashi/kankyo/ekyohyoka/hyoka/tetsuzukichu/gomishori/documents/10doubutsu.pdf
- https://www.town.minakami.gunma.jp/minakamibr/nature/pdf/nature07.pdf
- https://www.jstage.jst.go.jp/article/mammalianscience/12/1/12_1_1_11/_pdf/-char/ja
- interests.animal_behavior
- interests.bird_biology
2025/06/16
水浴中のフクロウが近くに現れたニホンノウサギ2羽を狩らずに見逃す【野鳥:トレイルカメラ:暗視映像】
2024年6月上旬
シーン0:6/7・午後13:14・くもり(@0:00〜)
シーン0:6/7・午後13:40・くもり(@0:04〜)
明るい日中にたまたまフルカラーで撮れた現場の状況です。
山林内にある泥水溜りを2台の自動センサーカメラで見張っています。
水溜りは浅いのですが、湧き水で一年中涸れることはありません。
ジメジメとした湿地帯の全景を広角で撮ると、左側にあるメインの水溜りの他に、右にも少し小さな水溜りがあります(画面の右端に見切れています)。
ここは野鳥や野生動物が通ってくる水場となっているようです。
シーン1:6/10・午前1:49(@0:08〜)
深夜に、左手前の泥水溜りにフクロウ(Strix uralensis)が水浴びに来ています。
右上奥の草むらを野生動物の白く光る眼が手前に移動してきました。
奥を左右に通っている林道から緩斜面を下って湿地帯に出てきたようです。
ピョンピョン跳躍する動きから、ニホンノウサギ(Lepus brachyurus angustidens)のようです。
関連記事(16日前の撮影)▶ 山中の湿地帯を夜にうろつく夏毛のニホンノウサギ【トレイルカメラ:暗視映像】
フクロウは暗闇でも獲物の接近に気づいていて、そちらを凝視しました。
絶好のチャンスなのに、なぜかノウサギに襲いかかることはありませんでした。
水溜りにただ佇み、周囲をキョロキョロと見回しています。
シーン2:6/10・午前1:51(@0:30〜)
タイムスタンプが少しずれていますが、別アングルの監視カメラでも同時に撮れていました。
フクロウが浅い泥水溜りに入っていて、後ろ向きで足浴していました。
対岸の奥の草むらでノウサギの白く光る眼が動いています。
フクロウは獲物の存在に気づいていて、そちらを見つめています。
果たして待ち伏せ猟をするでしょうか?
しばらくすると、左奥の草むらから別個体のノウサギが現れ、右へと横切りました。(@0:52〜)
先行する個体を追いかけてきたようです。
先行個体が右へ逃げ出したものの、求愛や縄張り争いのような激しい追いかけっこにはなりませんでした。
ノウサギの♀♂ペアが一緒に水を飲みに来たのかな?
しかしノウサギは乱婚型で、♂は交尾した後に子育てに協力したり♀と一緒に暮らしたりすることはないはずです。
2羽のノウサギを見送ったフクロウは、手前の岸辺からピョンと入水し、右上奥の草むらを油断なく凝視しています。
フクロウが水場に来る獲物(野ネズミやノウサギなど)を待ち伏せして狩るつもりなら、近くの樹上など高所に隠れるはずです。
地上に降りてしまうと、獲物を見つけても一旦飛び上がってから襲いかかる必要があり、タイムロスになりそうです(獲物に逃げられてしまう可能性が高い)。
シーン3:6/10・午前1:51(@1:34〜)
広角で湿地帯を見張る別の監視カメラでも撮れていました。
トレイルカメラ2台が同時に起動したことで、赤外線の光量も2倍になり、広い範囲を充分明るく照らしてくれました。
ノウサギが右上奥の林道から手前の湿地帯に向かって緩斜面をゆっくり降りてきました。
その動きを画面中央のフクロウが凝視しています。
このアングルで見ると、フクロウからノウサギまで結構離れていることが分かります。
ノウサギに襲いかかっても逃げられそうだとフクロウは冷静に判断して、狩りを行わなかっただけかもしれません。
水浴に来ていたフクロウは羽根が濡れていて体が少し重く羽根の静音性も低下していますから、狩りを成功させる自信がなかったのかもしれません。
しばらくすると、フクロウは右へピョンと飛んで水溜りの中に入りました。
※ 動画の一部は編集時に自動色調補正を施しています。
【考察】
獲物を狩る絶好のチャンスだったのに、フクロウがノウサギを襲わなかったのが意外でした。
たまたま満腹だから獲物を見逃したのかと思ったのですが、この時期(6月上旬)は育雛後期ですから、フクロウの親鳥はたとえ自分が満腹でも、獲物を狩って雛や幼鳥に給餌するはずです。
もしもこのフクロウが巣立ったばかりの幼鳥だとしたら、狩りの能力が未熟なのでノウサギとニアミスしても襲撃をためらったのは理解できます。
私はフクロウの観察歴がまだ浅くて、成鳥と幼鳥を自信を持って見分けられません。
しかし、この時期(6月上旬)だと巣立ったばかりの幼鳥はフワフワの幼綿羽があるはずです。
トレイルカメラの暗視映像に写った個体は、ふわふわしてないので素人目には成鳥に見えます。
この水溜りにはアズマヒキガエルの幼生と思われるオタマジャクシが泳いでいます。
夜行性のフクロウは水溜りで長居しても、昼行性のクロツグミとは違って、オタマジャクシを狩りませんでした。
フクロウは興味津々で水中のオタマジャクシを観察しているだけかもしれません。
逆に、ノウサギはフクロウの存在に気づいていたのでしょうか?
ノウサギも夜行性で、瞳にはタペータムが発達していますから、暗い夜でも目が見えるはずです。
ノウサギは長い耳が発達して聴覚は非常に優れていますが、このときフクロウはバシャバシャと音を立てて水浴中ではありませんでした。
ノウサギが天敵であるフクロウに気づいて、水場を回避したのかどうかが、映像ではよく分かりません。
ノウサギ同士の遭遇(追跡?)に気を取られて、水場で静かに佇んでいたフクロウに気づかなかったのかもしれません。
動画の解釈について、いつものようにPerplexity AIとブレインストーミングした後で、簡潔なレポートにまとめてもらいました。
注意点として、AIは動画そのものを見て行動を独自に解釈している訳ではありません。
あくまでも私が解釈した文字情報に対して、推論回答しているだけです。
2025/06/12
山中の水溜り上空を夜な夜な飛び回るコウモリ【トレイルカメラ:暗視映像】
2024年5月下旬
シーン0:5/24・午後12:40・晴れ(@0:00〜)
たまたま明るい日中にフルカラーで撮れた現場の状況です。
山林で水溜りを自動センサーカメラで見張っています。
溜まっているのは浅い泥水ですが、湧き水のようで、辺りはちょっとした湿地帯になっています。
水場にコウモリが夜な夜な飛来する様子をまとめてみました。
シーン1:5/26・午後19:59(@0:04〜)
風雨の悪天候をついて、コウモリが飛来しました。
水溜りに着水する寸前で少しホバリング(停空飛翔)したようですが、飛びながら水を飲んだのでしょうか?
シーン2:5/26・午後20:08(@0:15〜)
少なくとも2匹以上のコウモリが同時に飛び回っています。
水溜まりの水面を掠めるように低空で飛んでいます。
夜の湿地帯を飛び回る昆虫を捕食しているのかな?
獲物となりそうな夜蛾やガガンボなども飛び回っています。
それともコウモリは、水溜りの泥水を飲みに通っているのかな?
シーン3:5/27・午後21:10(@1:15〜)
翌日の晩にもコウモリが水溜りの周囲を低空で飛び回っていました。
飛びながら一瞬だけ着水して飲水したようにも見えたのですが、水面に波紋が広がったかどうか、画質がイマイチではっきりしません。
シーン4:5/27・午後19:59(@1:45〜)
少し時間を遡りますが、フクロウ(Strix uralensis)が泥水溜りで行水しているときにも、その周囲をコウモリが飛び回ることがありました。
フクロウに少し遠慮しているのか、コウモリは水溜まりに着水しなくなりました。
フクロウがコウモリを狩ることもあるらしいのですが、水場周辺を飛び回るコウモリに対してフクロウは無反応・無関心です。
関連記事(同所同時期の撮影)▶ 山中の水場に通って水浴するフクロウ【野鳥:トレイルカメラ:暗視映像】
コウモリの飛翔シーンを1/3倍速のスローモーションでリプレイ。(@2:36〜)
※ 動画の一部は編集時に自動色調補正を施しています。
つづく→
2025/06/03
夜の山林で飛びながら水溜りに着水する謎の昆虫【トレイルカメラ:暗視映像】
2024年5月下旬・午後21:20頃
山林の中にある水溜りを自動撮影カメラで見張っていると、晩に夜行性の昆虫が飛来しました。
低空で飛び回る昆虫が、水面にちょんちょんと着水したので驚きました。
その虫は水溜りで溺れることはなく、そのまま飛び去りました。
1.5倍に拡大した上で1/3倍速のスローモーションでリプレイ。
私の第一印象では、蛾の仲間(種名不詳)だと思いました。
謎の着水行動について、仮説をいくつか検討してみました。
(1)風が吹いていたので、不慮の着水事故かもしれません。
(2)飲水行動。
水を飲みに飛来したにしても、岸に着陸した状態でじっくり吸水(または泥からミネラル摂取)しないのは、捕食者対策なのかな?
(3)水浴行動。
長時間の飛翔でほてった体を水で冷やすための体温調節行動なのでしょうか?
旧機種のトレイルカメラで撮ったので、気温の情報が取得できていません。
私は以前、暑い夏の昼間にスキバホウジャクの仲間が飛びながら水路の水面に何度か着水するのを目撃しています。
証拠映像はないのですが、飛びながら水浴したのかと思いました。
(4)走光性による水難事故。
水溜りの水面に月が写っていたとすると、夜蛾の走光性が撹乱された結果、誤って着水してしまった可能性があります。
映像では水溜りに月の反射は写っていませんが、これはアングルの問題でしょうか。
国立天文台の暦計算室のページで調べてみると、この日の月齢は19.0、山形県での月の出時刻は午後22:44でした。
満月を過ぎたばかりの下弦に向かう月ですが、この時刻(午後21:20)に月はまだ昇っていないことが分かりました。
したがって、仮説4は却下できます。
(5)産卵行動。
トンボのように飛びながら打水産卵したのかもしれません。
しかし、トンボのヤゴのように水中(または泥の中)で育つ蛾の幼虫は知られていないそうです。
仮説(5)についてPerplexity AIに相談したところ、蛾ではあり得ないがトビケラの仲間ならあり得るという意外な回答を得ました。
トビケラの仲間には止水性の種類も知られていて、♀が夜に山林を飛びながらチョンチョンと着水・産卵することもあるそうです。
私はトビケラに疎いので、この点の裏取り(ファクトチェック)ができていません。
現場は一時的な水溜りではありません。
山中に浅いながらも水溜りが一年中できていて、周囲にちょっとした湿地帯を形成しているので、おそらく湧き水が溜まる地形なのだろうと想像しています。
しかし映像をもう一度見直すと、謎の昆虫は素早く羽ばたいていて、トビケラの飛翔のようには見えませんでした。
素人目にはやっぱり蛾の仲間に見えます。
(6)対捕食者の回避運動
夜行性の蛾の中には、コウモリに追われてロックオンされると、コウモリが発するエコロケーションの超音波を聞き取って飛び方を急激に変化させ、攻撃をかわす種類がいるそうです。
この水場でも、夜な夜なコウモリが飛び回っています。(映像公開予定)
つまり、この蛾はコウモリに襲われそうになり絶体絶命からの緊急避難の結果、うっかり着水してしまったのかもしれません。
しかし、今回の映像で前後にコウモリは写ってなかったので、この仮説は除外できそうです。
【追記】
そもそも、今回トレイルカメラが何に反応して起動したのか不明です。
変温動物である昆虫がいくら飛び回っても、トレイルカメラの熱源センサーは反応しないはずだからです。
風揺れによる誤作動で夜蛾の飛翔シーンが偶然写っていただけかもしれません。
長時間飛び回る昆虫の体温が気温よりも高くなり、トレイルカメラのセンサーが正常に反応した可能性はあり得ます。
最近の私はPerplexity AIに夢中ですが、AIを盲信している訳ではありません。
仮説4を検討する際に、当日の正確な月齢と月の出時刻をPerplexity AIに質問したところ、でたらめな回答(ハルシネーション)が何度も返ってきました。
別のAIであるChatGPTでも同じ症状でした。
ChatGPT said:初めの回答で月の出時刻を誤って「21時15分ごろ」とした理由は、以下の通りです:🔍 理由1:標準的な推定を基にした一般回答だった初回の回答では、具体的な天文学的データ(=国立天文台の公式時刻表)を参照せず、一般的な緯度(山形県)と月齢19.0の組み合わせから「おおよその月の出時刻」を推定しました。このとき、誤って**満月直後の典型的な月の出時刻(21時台)**を適用してしまったことが原因です。🔍 理由2:月の出は毎日約50分遅れるという法則を過度に単純化月は毎日およそ45〜55分程度遅れて出てくるという性質があります。満月の翌日はだいたい「21時台」に出ると記憶されがちですが、2024年5月27日のように月齢19.0のタイミングでは、そのズレが大きくなって「22時台」になることも多いです。🔍 理由3:正確なデータの確認を怠った本来、天文現象の正確な時刻は「国立天文台の暦計算室」などの公式な観測・計算データを確認すべきです。今回はそれを即座に参照せず、おおよその経験則で答えたことが、誤りの主因です。✅ まとめ誤回答は、推定的な知識に基づく初期回答で、具体的な公式データに基づいていなかったために生じました。あなたが正確な情報源(国立天文台)を示してくださったことで、正しい月の出時刻(22:44)を確認できました。ありがとうございます。
今のAIチャットは天文学的に正確な計算をしている訳ではなく、ウェブ上の文字情報を元にして推論や経験則も混じっているために、酷い誤答してしまうことがあり、利用する際には注意が必要です。
国立天文台の公式サイトにある表データをAIが正しく読み取れないのは、深刻な問題(怠慢)です。
その時刻に月が出ているか否かという点がきわめて重要なのに、事実とは逆のことをAIに自信満々で言われると、着水行動を正しく解釈できなくなってしまいます。
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2025/05/29
山中の水場に通って水浴するフクロウ【野鳥:トレイルカメラ:暗視映像】
2024年5月下旬
シーン0:5/24・午後12:40・晴れ(@0:00〜)
明るい昼間にたまたまフルカラーで撮れた現場の状況です。
山中の林内にある浅い水溜りが野生動物の通う水場になっていると予想して、試しに自動撮影カメラを設置して見張り始めました。
泥水が溜まった水溜りで、黒いオタマジャクシ(アズマヒキガエルの幼生?)の群れが泳いでいます。
シーン1:5/27・午前3:05(@0:05〜)
深夜の水場に現れたのは、意外なことにフクロウ(Strix uralensis)でした。
後ろ向きで水溜りに浸かり、周囲をキョロキョロと見回しています。
顔だけ振り返ってカメラ目線になると、瞳のタペータムに赤外線が反射して爛々と光ります。
やがて警戒を解くと、水浴を始めました。
翼を少し広げて震わせ、泥水を背中に跳ね上げます。
録画時間の設定が1分間では、フクロウの水浴行動を最後まで見届けられませんでした。
シーン2:5/27・午前3:24(@1:06〜)
約20分後にまたフクロウが水場に来て、再び水浴していました。
前回より少し左の水溜まりの方が少し深いようで、後ろ向きで水に浸っていました。
頭を水中に突っ込んで左右に振り、顔を洗っています。
水面で翼を広げて震わせ、行水しています。
やがてフクロウは水溜まりの此岸に上陸しました。
身震いして羽根の水気を切ったものの、なぜか羽繕いをしませんでした。
身震いの合間に周囲をキョロキョロ見回しています。
フクロウが水場から飛び去るまで見届けられませんでした。
シーン3:5/27・午後19:57(@2:06〜)
同じ日の晩になって再びフクロウが水場に来ていました。
左の水溜まりで水に浸る後ろ姿が写っています。
横を向いて水浴してくれました。
カメラ目線でちょっと警戒しています。
シーン4:5/27・午後19:59(@3:06〜)
次に監視カメラが起動したときにも、フクロウは泥水溜りで水浴を続けていました。
やがて対岸にピョンと跳んで上陸しました。
コウモリが水場の上空を低く飛び回っても、フクロウは無反応でした。
身震いして羽根の水気を切ると、今回は羽繕いを始めました。
首をねじって背中の羽根を嘴で整えています。
すっきりしたフクロウは水場から右上に飛び去りました。
音量を上げてもフクロウの力強く羽ばたく音が全く聞き取れません。
フクロウの翼は噂通り、抜群の静音性能でした。
シーン5:5/27・午後20:11(@3:57〜)
11分後にフクロウがまた水溜りに脚を浸していました。
前回と同じ位置で左を向いて水浴開始。
対岸にピョンと跳んで上陸しました。
今回は身震いも羽繕いもしないで、少し飛んで右に移動しました。
最後はエッホエッホと歩いて右に立ち去りました。
実はそちらにもう一つ別な水溜まりがあるのですが、そっちにフクロウは向かったのかもしれません。
シーン6:5/27・午後21:16(@4:51〜)
約1時間後にまたもやフクロウが水場で水浴していました。
対岸にピョンと跳んで上陸すると、奥に向かって無音で飛び去りました。
シーン7:5/27・午後21:32(@5:22〜)
約15分後に、水溜りのいつもの場所でフクロウが後ろ向きで泥水に身を浸していました。
此岸にピョンと跳んで上陸すると、カメラをちらっと見て警戒しています。
すぐにまたピョンと入水しました。
水浴すると、バサバサと羽ばたきながら対岸に上陸し、キョロキョロと周囲を見渡しています。
※ 動画の一部は編集時に自動色調補正を施しています。
※ 水浴の水音が聞き取れるように、動画編集時に音声を正規化して音量を強制的に上げています。
フクロウの鳴き声は一度も聞こえませんでした。
【考察】
同じ日付の未明と晩に(昼間を挟んで)7回も夜行性のフクロウが水場に来て水浴していました。
鳥は羽根や体についた汚れや寄生虫、脂粉などを落とすために水浴するというのが定説です。
しかし私は、フクロウが狩りや給餌をする度に水浴して、獲物の返り血などで汚れた羽毛を洗い流すのかもしれない、と考えました。
個体識別ができていませんが、同一個体のフクロウが水場に通ってきているのでしょうか。
それとも番 のパートナーが代わる代わる登場しているのかもしれません。
5月下旬という時期は、フクロウの「育雛後期」にあたります。
雛が巣立つか、その直前または直後の時期です。
育雛初期は主に♂が♀と雛に給餌しますが、育雛後期になると雌雄♀♂ともに狩りを行い、雛や幼鳥に餌を運びます。
巣立った後のフクロウ幼鳥を私は実際に見たことがないのですが、今回の動画に写っているのは、成鳥だけだと思います。
(間違っていたら、ご指摘ください。)
なぜフクロウは泥水で水浴しても平気なのか、我々ヒトの衛生感覚では理解できません。
この水場は流水ではなく止水なので、せっかく落とした汚れが水場にどんどん溜まる一方です。
逆に水浴することで泥や汚れが付着しそうですけど、泥水が羽根に付着することはありません。
鳥は頻繁に羽繕いして尾脂腺の分泌物を塗っているため、羽根の撥水性が高くなっているからです。
この山中では他に水浴に適した安全な水場が近くにないので、仕方なく泥水溜りに通ってきているのでしょう。
暗い夜にフクロウは泥水だと気づいてないのかな?
しかし、同じ水場で昼行性の鳥も水浴することが後に判明しました。 (映像公開予定)
この水溜りには黒いオタマジャクシが泳いでいるのですが、フクロウはオタマジャクシを捕食するシーンは撮れていませんでした。
これまで報告されているフクロウの食性情報からも、オタマジャクシを狩るとは考えにくいです。
【アフィリエイト】
2025/04/11
カルガモの♀♂つがい外強制交尾と配偶者ガード(野鳥)
2024年4月下旬・午後16:20頃・くもり
平地の溜池の方から、激しい水音が聞こえました。
水鳥が夕方に水浴しているのかと思ってそっと近づいてみると、3羽のカルガモ(Anas zonorhyncha)が水面で激しい喧嘩を繰り広げていました。
普段カルガモは警戒心が強いのですが、今回は痴話喧嘩に夢中で、池畔で観察する私のことなど眼中にありませんでした。
外見によるカルガモの性別判定は難しくて、私はまだスローモーションにしないと自信がないのですが、どうやら1羽の♀を巡って2羽の♂が交尾しようと争っているようです。
【参考サイト】
正確には、♀♂ペアの間にあぶれ♂が割り込んで、強引に♀と婚外強制交尾を試みているようです。
つがい外交尾:extra-pair copulation強制交尾:forced copulation
つまり、♀aと強引に交尾しようとする♂bと、それを阻止しようとする(配偶者ガード)♂aとが激しく争っているのです。
♀♂異性間の交尾行動の後半部分と、♂♂同性間の闘争行動とが似ていて紛らわしいです。
ただし、カルガモの♀♂ペアが両性同意のもとで交尾する前には、必ず儀式的な行動をします。
今回のあぶれ♂は、そのような求愛ディスプレイをまったくしないで、いきなり♀に背後からマウントしていました。
関連記事(5、6年前の撮影)▶
八木力『冬鳥の行動記:Ethology of Wild Ducks』でカモ類の交尾行動を調べると、 交尾には♀との合意が必要なので、♂が♀に近づきながら頭部を上下させるヘッドトッシングを行なって交尾を促し、これに♀が同調して頭部を上下させれば同意の合図。 ♀は交尾受け入れの姿勢をとります。♂は♀の後頭部をくわえてマウンティング。 交尾終了後、♀は必ず(儀式的水浴びと)転移性羽ばたきを行ない、♂はまれに行なうことがあります。 (p58より引用)
カルガモ♂aは配偶者♀aを守りたくても、ライバルの独身♂bを撃退するのに苦労しています。
カルガモの嘴の先端は丸く、敵をつついて攻撃することはありません。
足にも鋭い爪が無くて水かきしかないので、有効な武器をもっていないのです。
羽ばたく翼で相手を打ち付けたり、(異性間交尾のように)背後からマウントして相手の後頭部を嘴で咥えて押さえつけて、強制交尾を妨害するぐらいしか対抗策がありません。
そのため、ひたすら体力勝負の消耗戦が続きます。
♀aに♂bが背後からマウントし、その上から更に♂aがのしかかるので、一番下に押さえつけられた♀aは重みで水没しています。
♀aが何度も溺れそうになっているので、擬人化するとどうしても可哀想に感じてしまいます。
しかしカルガモには表情がありませんから、♀aが本当に嫌がっているかどうか、定かではありません。
(♀は意外とケロッとしているように見えなくもありません。)
酷い目にあっているのなら、♂同士が喧嘩している間に♀は池からさっさと飛び去って遠くへ逃げればいいのに、池に留まっているのが不思議でなりません。
交尾相手の♀を巡る争いなら♂同士でとことん喧嘩するはずだと思うのですが、あぶれ♂は執拗に♀だけを狙って挑みかかります。
我々ヒトの価値観・倫理観では卑怯な振る舞いですけど、進化的に遠く離れたカルガモに無理に適応して憤慨しても仕方がありません。
もし♀が辟易して逃げ出せば、パートナー♂もついて行かざるを得なくなり、縄張りを失いかねません。
「カルガモ♀は♂同士を密かにけしかけて喧嘩で決着を付けてもらい、より強い♂と交尾したいのではないか?」と穿った見方をしたくなります。
あるいは、♀はパートナー♂の近くに留まった方が、あぶれ♂の執拗なハラスメントから守ってもらえる確率が高いのでしょうか。
この池にはカルガモの群れがもっと居るのですが、この騒ぎに乱入する個体はおらず、関係のない個体は飛んで逃げ出しました。
初めは2組の♀♂ペアが池で縄張り争いをしているのかと思い、ライバル♂bのパートナー♀bが途中で助太刀に来るかと期待したのですが、そのような展開(4羽での喧嘩)にはなりませんでした。
喧嘩に巻き込まれそうになった周囲のカルガモ個体が慌てて逃げていくだけです。
ようやく、♀aに付きまとうあぶれ♂bをパートナー♂aが背後から完全に組み伏せて♀を離させ、追い払いました。
♂同士の喧嘩に決着が付いたように見えました。
しかし、「あぶれ♂b」は隙を見て再び♀aに突進すると、しつこく強制交尾を試みようとします。
ようやくあぶれ♂bを追い払って配偶者ガードに成功したパートナー♂aは、水面で小刻みに方向を変えながら♀aの周囲を警戒し、勝利の凱歌を上げています。
短く連続的な「ガッガッガッ♪」という鳴き声は、縄張り宣言の示威行動なのだそうです。
このとき鳴くのはいつも♂aだけで、♀aは黙っています。
難を逃れた♀aは、♂aの斜め後ろをぴったり寄り添うように追随し、嘴を水面につけながら遊泳しています(緊張緩和の転移行動)。
やがて♀aは水浴してから水面で伸び上がって羽ばたき(水切り行動)、自分で羽繕いを始めました。
それに釣られるように、♂aも隣で同じく水浴と羽繕いを始めました。(♀a♂aペアの絆強化)
♀a♂aペアが仲良く横に並んで水面を泳ぎ去りました。
これで一見落着かと思いきや、♀a♂aペアの背後からしつこい「あぶれ♂b」が急いで追いかけてきました。(@4:10〜)
敵の接近に気づくと一触即発で、3羽がほぼ同時に水面から慌てて飛び上がりました。 (@26:20〜)
すぐに着水すると、三つ巴の大騒動が再び勃発します。
襲われた♀aは、緊急避難のため自発的に潜水しました。
しかし独身♂bがすぐに背後から追いかけ、2羽ともしばらく水中に潜っていました。
再び水面に浮上したときには、あぶれ♂bが♀aを掴まえて背後からマウントしていました。
♀aを見失っていたパートナー♂aがようやく気づいて慌てて駆けつけ、救出を試みます。
喧嘩に決着がついて、あぶれ♂bが少し飛んで逃げました。
配偶者ガードに成功した♂が、興奮したように勝利の鳴き声♪を上げながら水面を忙しなく泳ぎ回ります。
パートナーの♀がすぐに駆けつけ、パートナー♂の斜め背後に寄り添うように遊泳します。
♂に付き従う♀は、尾羽を左右にフリフリしながら、嘴を水面に付けて遊泳しました(緊張緩和の転移行動)。
それが♀による求愛ポーズなのかと思ったのですが、♂aは♀aを見ていません。
♀aは水面で伸び上がって羽ばたき(水浴行動の省略)、パートナーの♂aに見せつけるように自分で羽繕いを始めました。
♂aはようやくパートナー♀aに向き合ったものの、まだ興奮が収まらず、小声で鳴き続けています。
一連の騒動を1/5倍速のスローモーションでリプレイ。(@5:20〜)
後頭部から首の後ろを通る黒い縦筋模様が♀では薄れかけていて、それが目印になります。
繁殖期の♀は背後から♂に繰り返しマウントされて、その度に後頭部や首筋を嘴で噛まれますから、黒い羽毛がどんどん抜けてしまうのでしょうか?
あぶれ♂bの後頭部を嘴で咥えた♂aが羽根をむしり取ることもありました。
この「黒いたてがみ」に注目すると、3羽の個体識別ができそうです。
少し離れた相手に急いで襲いかかるときは、左右の翼を水面に同時に打ち付けながら両足で交互に水を蹴って進みます。
※ 水飛沫の音や鳴き声が聞き取れるように、動画編集時に音声を正規化して音量を強制的に上げています。
【考察】
カルガモの繁殖期は通常4~7月です。
今回観察した4月下旬は、ペア形成が完了して巣作りおよび産卵を開始する前の時期に相当します。
カルガモの♂は育雛(子育て)には全く参加しませんが、造巣の段階では♀に協力し、抱卵中の♀を警護するらしい。
婚外強制交尾は巣作り前の時期(4〜5月)に頻発し、産卵開始後は激減するらしい。
カルガモ♀が巣作りを開始する直前になると、パートナーの♂は特に警戒行動を強め、配偶者ガードを強化するそうです。
カルガモは社会的単婚(一夫一婦制)を形成しますが、DNA検査で調べると婚外交尾も一定の割合で行われているらしい。
今回の調べ物で初めて知ったのですが、鳥類にしては珍しくカモ類の♂は螺旋型の長い陰茎をもつそうです。(参考サイトにすばらしい図解が掲載されています。)
短時間の交尾の際に、♀と前に交尾したライバル♂の精子を物理的に掻き出した上で自分の精子で置換するらしい。
また、強制交尾した♂が必ずしも次世代を残せるとは限らないそうです。
♀が複雑な形状の生殖器内で♂の精子を選別しているらしく、強制交尾した♂の精子は使われないことが多いそうです。
つまり、あぶれ♂の強制交尾がたとえ成功しても、寝取られた元の♀♂ペアは別れずに済むらしい。
精子競争の観点でもカルガモの配偶行動は奥が深くて、とても面白いです。
水面で激しく動き回る3羽のカルガモをしっかり個体識別できていないので、本当に配偶者ガードに成功したのか、それとも「あぶれ♂」による婚外強制交尾が成功したり♀を強奪できたのか、判断できません。
しかし、池に残った♀♂ペアの行動から、独身♂による強制交尾は失敗に終わったと思われます。
交尾に成功したペアが必ずやる儀式的行動(♂が「首反らし→円形泳ぎ」をする間に、♀が羽ばたきで水をかける)が見られなかったからです。
参考サイト:カルガモ 交尾行動
また、あぶれ♂による強制交尾が成功していれば、パートナー♂がただちに対抗して♀と再交尾を行い、精子を置換するはずです。
カルガモは身近にいる普通種の水鳥ですが、造巣行動や抱卵などを私はまだ観察できていません。
今回の撮影で、繁殖期の重要なミッシング・リンクがようやく一つ埋まりました。
おかげで、動画に撮ったカルガモ3羽の行動をすっきりと(正しく?)解釈することができそうです。
Perplexityの助けがなければ、3羽のカルガモによる激しい乱闘はただ混沌としていて、素人には何がなんだかさっぱり理解できませんでした。
新たに勉強したことが多くて、AIに要約してもらおうか迷ったのですが、脳が退化しないように、なるべく自力で記事をまとめるように心がけました。
この記事が分かりにくかったら、私の責任です。
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2025/02/13
早春にトウホクサンショウウオの繁殖池をタイムラプス動画で監視してみると…#1:ニホンザルの登場
2024年3月上旬〜下旬
山中の湧き水が溜まる浅い池で毎年早春にトウホクサンショウウオ(Hynobius lichenatus)が繁殖していることが分かっています。
産卵行動を観察・撮影するのが今季の目標です。
3月上旬に現場入りしてみると、暖冬のためか池は雪に埋もれていませんでした。
この日は未だヤマアカガエルやトウホクサンショウウオの卵嚢は1つも見つかりませんでした。
親の姿もまったく見当たりません。
繁殖期はまだ始まっていないようです。
(ちなみに、標高の低い山麓の池ではヤマアカガエルの産卵が始まっていました。)
前年は水中に半分沈んだアカマツの落枝にトウホクサンショウウオの卵嚢が産み付けられていたので、今年は産卵基質として常緑の葉の付いたスギの落枝を池に投入してみました。
(私のこの行為が、余計なお世話だったかもしれません。)
両生類は変温動物ですから、いくら活発に動き回っても通常のトレイルカメラでは検知できません。
仕方がないので、次善の策としてタイムラプス専用カメラを設置して繁殖池を監視することにしました。
明るい昼間のみ1分間隔でインターバル撮影した連続写真をタイムラプス動画に加工しました。
(トウホクサンショウウオ♀は夜に産卵するのかもしれませんが、この機種では夜間の暗視撮影はできません。)
まる2週間のインターバル撮影で計4.7 GiBのAVIファイルが生成されました。
トレイルカメラの動画撮影と比べると、電池の消費は驚くほど少なくて済みました。
野生動物で唯一写っていたのは、 3/8の夕方(PM 17:10〜17:11)に登場した1頭のニホンザル(Macaca fuscata fuscata)だけでした。
他の季節にこの水場でニホンザルが飲水するシーンがときどきトレイルカメラで撮れていたので、今回も群れで遊動する途中に水を飲んだり水浴するために立ち寄ったのでしょうか?
雪解け水の冷たい泉にわざわざ入ってジャブジャブ横断したということは、何か餌を探していたのかもしれません。
早春は樹々が芽吹くまでニホンザルの餌がきわめて乏しい季節ですから、空腹の猿がカエルやサンショウウオの成体や卵嚢を探して捕食する可能性も十分あり得ます。
しかし、ニホンザルが監視カメラに写ったのは、2週間でこの一度きりでした。
もし捕食に成功していたら、味をしめて何度も同じ池に通っていたはずです。
あるいは、カエルやサンショウウオの成体または卵嚢を味見したのに、ニホンザルの口に合わなかった(不味かった)のかもしれません。
ニホンザルの糞を分析して、両生類のDNAが検出できれば捕食した有力な証拠となるでしょう。
タイムラプス動画を見ると、低山でもときどき寒の戻りで雪が降っていました。
早春の積雪量は少なく、すぐに溶けてしまいます。
カメラのレンズに雪が付着しても、晴れると溶け落ちてすぐに視界は良好に戻ります。
晴れると池の周囲の雑木林の影がまるで日時計のように刻々と移動しています。
画面の下端に写っている、池畔に自生するスギ幼木の枯れた横枝が邪魔なのですが、上下に日周運動していることが分かりました。
昼間に晴れると枝が立ち上がり、曇りや雨雪など悪天候になると垂れ下がります。
つまり死んだ枯れ枝ではなく、生きているようです。
水中に浸ったスギの落枝はいつまで経っても葉が緑色のままで、茶色に枯れることはありませんでした。
いくら目を凝らして動画を見直しても、水中のスギ落枝にサンショウウオやカエルが集まって産卵する様子は写っていませんでした。
たまに岸辺近くの水中で両生類?がウロチョロしていたかもしれませんが、タイムラプスの早回し映像ではあまりにも早すぎてよく分かりません。
後に現場入りすると、監視カメラの画角の外の、対岸の水面に浮いていたスギの落ち葉にトウホクサンショウウオの卵鞘が少しだけ産み付けられていました。
スギの生葉から水に溶け出したエキスをトウホクサンショウウオが嫌って寄り付かなくなってしまった可能性なども懸念してしまいます。
完全に枯れたスギ枝葉を池に投入すべきだったかもしれません。
期待外れの結果で残念でしたが、もう少し続行します。
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2024/10/15
初冬の水場に来たニホンイノシシの母子【トレイルカメラ:暗視映像】
2023年12月中旬・午後19:50頃
山中の湧き水が貯まった泉に、ある晩ニホンイノシシ♀(Sus scrofa leucomystax)がやって来ました。
岸辺を歩きながら、落ち葉の匂いを嗅ぎ回っています。
低音でフゴフゴ鳴いている♪のは、後から付いてくる1頭の幼獣に呼びかけているのでしょう。
大きく育った幼獣の毛皮からはすでに縦縞模様が失われていて、「ウリ坊」とは呼べません。
イノシシ♀が入水したところで、トレイルカメラの電池切れで映像が打ち切られてしまいました。
気温の下がる冬季は乾電池の電圧低下に悩まされます。
そんな寒くても水場に来る野生動物は逞しいですね。
イノシシの母子が向かった画面の左は行き止まりの崖(急斜面)なので、おそらく池で水浴(ヌタ打ち)したり水を飲んだりしに来たと思われますが、撮り損ねて残念無念。
つづく→
2024/10/02
雪が降っても平気で池の水中に留まる晩秋のカエル【トレイルカメラ:暗視映像】
前回の記事:▶ 山中の水場で泳ぐ晩秋のカエル【トレイルカメラ:暗視映像】
2023年11月下旬〜12月上旬
シーン0:11/27・午後13:08(@0:00〜)
明るい日中にたまたまフルカラーで撮れた現場の様子です。
里山の水場をトレイルカメラで見張っています。
画面の左下から細長い池に流れ込んだ湧き水が右上に流出し、斜面を下って沢の源流となります。
周囲の雑木林から大量に降り積もった落ち葉が水場に溜まっています。
カエルは変温動物なので、本来はいくら動いてもトレイルカメラのセンサーは検知できないはずなのに、風や落ち葉が横切る動きで誤作動した映像の中に、たまたまカエルが写っていることがあります。
シーン1:11/28・午後18:35・みぞれ(@0:04〜)
冷たい雨(みぞれ?)が降る晩に、2匹のカエル(種名不詳)が水中に居ました。
左の個体がたまに瞬きすることから、生きていることが分かります。
シーン2:11/29・午前4:14・雪(@1:36〜)
日付が変わった未明に雪が激しく降っています。
依然として2匹のカエルが池に留まっていました。
いつの間にか2匹の距離が縮まっています。
池に堆積した落ち葉によって形成された岸辺でじっとしていました。
ときどき瞬きしているので、生存確認できました。
実はもっと激しく雪が降っている夜にも同様のシーンが撮れていたのですけど、動画をうっかり削除してしまいました。
安全な越冬場所に移動する前に雪が降り始めてしまい、逃げそびれた個体なのでしょうか?
このまま凍死するのではないかと心配です。
晩秋にまだ大丈夫だろうと油断していたら、急に気温が下がって身動きできなくなり、絶体絶命になったとしたら、まさに「茹で蛙(ゆでガエル)」の逆バージョンということになります。
茹でガエル(ゆでがえる、英語: Boiling frog)とは、緩やかな環境変化下においては、それに気づかず致命的な状況に陥りやすいという警句。生きたカエルを突然熱湯に入れれば飛び出して逃げるが、水に入れた状態で常温からゆっくり沸騰させると危険を察知できず、そのまま茹でられて死ぬという説話に基づく。
シーン3:12/4・午後12:27・晴れ(@3:08〜)
5日後の昼下がりにカエルの無事な姿が撮れていました。
水面に浮かんでいたカエルが急に右の日向へ向かって泳ぎました。
(カエルの種類を見分けられないのが残念です。)
今季は驚くほどの暖冬で、山中でもまだ根雪にならず全て溶けてしまいました。
※ 動画の一部は編集時に自動色調補正を施しています。
【考察】
変温動物のカエルは、てっきり雪が降る前にどこか安全な場所に隠れて(地中に穴を掘って?)冬眠するのだと私は思っていました。
雪が降る池に平気で留まっているのは、とても意外でした。
この映像ではカエルの種類を見分けられないのが残念です。
水底で冬眠する種類のカエルもいるらしいのですが、呼吸はどうしているのでしょう?
ヤマアカガエルは、主に林床や泥の中、落葉の溜まった溝の底で冬眠します。また、他のカエルと同様に、土の中や水底で冬眠することもあります。
厳冬期に「池の水をぜんぶ抜く」作戦を敢行し、浅い水底でカエルが本当に冬眠しているかどうか、確かめてみたいのですが、実際にやるとなると大変そうです。
旧機種のトレイルカメラでは撮影時の気温データが取得できないのも残念です。
地下水の湧き水が貯まった池なので、冬は水温が気温よりも少し高い可能性があります。
(この点を確かめる必要がありますね。)
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2024/09/29
秋が深まっても山中の水場に飛来するコウモリ【トレイルカメラ:暗視映像】
2023年11月下旬
シーン0:11/20・午後14:52・雨(@0:00〜)
明るい時間帯にたまたまフルカラーで撮れた現場の様子です。
里山の湧き水が貯まる池に周囲の雑木林から落ち葉が降り積もり、浅くなっています。
泉の水は画面の左下から右上に向かって流れ、その先では斜面を下って沢の源流となります。
雨が降っていて、水面に波紋が広がります。
シーン1:11/21・午後18:23(@0:04〜)日の入り時刻は午後16:27。
ある晴れた晩に、コウモリの仲間が飛来しました。
晩秋でも山のコウモリは未だ冬眠していませんでした。
水場の上空を低く旋回して飛び去る間際に一瞬だけ着水しました。
1/3倍速のスローモーションでリプレイすると(@0:16〜)、水面の2箇所から連続して波紋が広がりました。
旧機種のトレイルカメラで撮れた動画は、フレームレートが15fpsしかないので、野生動物の行動が素早いと、スローモーションにしても何をしているのかしっかり捉えることができません。
コウモリが飛びながら一瞬で水を飲んでいるのか、それとも水浴しているのか、という問題を長年解決できないでいます。
晩秋の夜は気温も下がって肌寒いはずですから、コウモリがわざわざ冷水で水浴・冷却するだろうか?という疑問が生じます。
同じ恒温動物の鳥は真冬でも水浴しますから、寒さは問題ないのかもしれません。
旧機種のトレイルカメラでは、動画撮影時に気温のデータが取得できないのが残念です。
シーン2:11/26・午後20:39(@0:38〜)
5日後の晩にもコウモリが飛来しました。
池の岸辺には、前日に降った初雪がまだ残っています。
監視カメラの電池が消耗していて、わずか5秒間の映像しか撮れていませんでしたが、水場で飛び回るコウモリがしっかり写っています。
1/3倍速のスローモーションでリプレイ。(@0:43〜)
※ 動画の一部は編集時に自動色調補正を施しています。
初雪が降る前後にもコウモリが冬眠せずに活動しているとは意外でした。
ただし、水場に飛来する頻度はかなり減りました。
獲物となる虫がまだ活動しているのでしょうか?
コウモリが冬尺蛾を狩っているとしたら、面白い話です。
2024/09/24
山中の水場で泳ぐ晩秋のカエル【トレイルカメラ:暗視映像】
2023年11月下旬・午前1:05頃
里山の湧き水が溜まった水場を自動撮影カメラで見張っていると、晩秋の木枯らしが吹く度に周囲の雑木林から落ち葉がどんどん降ってきます。
旧機種のトレイルカメラは風揺れや落ち葉による誤作動が多くて困るのですが、撮れた映像を丹念に見直すと、たまに意外な副産物が写っていることがあります。
変温動物の両生類がいくら活動してもトレイルカメラの熱源動体検知センサーは本来反応しないはずなのに、誤作動で撮れた映像に小さなカエル(種名不詳)が写っていました。
大量の落ち葉が降り積もった晩秋の泉で、深夜にカエルが突然左にスーッと泳ぎました。
水面に浮上するとカエルの目が赤外線に反射して白く光ります。
後半は5倍速に早回し加工すると、カエルが瞬きする様子がよく分かります。
※ 動画の一部は編集時に自動色調補正を施しています。
実は翌日の夜からみぞれが降り始め、吹雪となりました。
山中のカエルが未だ冬眠しないということは、晩秋でも獲物となる虫がまだ捕れるのでしょうか?
この時期に現場入りすると水場に生き物の気配を感じられないので、捕食シーンを実際に観察しないことには信じられません。
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2024/09/17
晩秋の水場で夜に半身浴するニホンイノシシ♀【トレイルカメラ:暗視映像】
2023年11月下旬
山中の水場をトレイルカメラで監視するプロジェクトを再開しました。
限られた台数のトレイルカメラで複数のプロジェクトをやり繰りしているので、通年ではなく断続的な監視になってしまいます。
シーン1:11/19・午後12:50(@0:00〜)
明るい昼間にたまたまフルカラーで撮れた現場の状況です。
三方を崖に囲まれている細長い池で、里山の湧き水が貯まり、流れ出た水は沢の源流になっています。
落ち葉が降り積もって浅くなった池の水は、画面の左下から右上に向かって流れています。
今回はカメラの設置場所を変更しました。
これまでは画面左下隅(画角の外)の崖の途中にトレイルカメラを設置していました。
そこは常に湿気が高い過酷な環境で、防水のトレイルカメラでも次々に壊れるので困っていました。
水場に来る野生動物や野鳥の警戒心が強いと、ローアングルで設置した監視カメラの存在に気づいてしまう、という問題もありました。
そこで、池を斜め上から見下ろすアングルに変更しました。
池の周囲の斜面には雑木林の樹々が生えているため、池全体が写るような設置場所はどうしても確保できませんでした。
これまでの撮影で野生動物がよく来ることが分かっている池の左岸を重点的に監視することにしました。
シーン2:11/23・午後22:51(@0:03〜)
夜遅くに、池の水が流出する水路からニホンイノシシ♀(Sus scrofa leucomystax)がジャブジャブと水場に入って来ました。
牙が短いので、♀のようです。
野生動物の中でもイノシシは特に警戒心が強いのですが、この水場で入水シーンが撮れたのは初めてです。
これまで水浴シーンが撮れなかったのは、やはり監視カメラの存在に気づいて警戒していたからなのでしょう。
今回も途中でイノシシ♀は監視カメラの方を見上げたものの、逃げませんでした。
浅い池の水に腹面を浸しただけで(半身浴)、背中まで完全には浸かりませんでした。
晩秋の深夜で水温が低いせいか、いわゆるヌタ打ち行動(泥浴び)はしませんでした。
旧機種のトレイルカメラで動画撮影すると、気温のデータが取得できないのが残念です。
泉の中でイノシシが身動きすると、小さなカエル(種名不詳)が水面に浮いた落ち葉の上を慌てて跳んで逃げました。(@0:30〜)
イノシシ♀は水中で方向転換してから池の左岸に上陸すると、毛皮の水気を切らずにそのまま獣道を歩き去りました。
雪国のイノシシは、冬になっても水浴するのでしょうか?
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2024/06/20
汗腺がないコウモリは体温冷却のために飛びながら水浴するのか?【トレイルカメラ:暗視映像】
2022年8月上旬
山中で湧き水の溜まった浅い泉に夜な夜な飛来するコウモリの群れを自動センサーカメラで記録しています。
水場に訪れて水を飲んだり水浴したりする野生動物や野鳥を撮影する目的でトレイルカメラを設置してみると、最も頻繁に写るのはコウモリでした。
シーン0:8/5・午後14:35(@0:00〜)
明るい日中にたまたまフルカラーで撮れた現場の状況です。
湧き水が溜まった浅い池から画面の奥に向かって水が流れ出て、沢の源流になっています。
シーン1:8/5・午後19:19〜23:53(@0:04〜)日の入り時刻は午後18:48
日没後に暗くなると、水場にコウモリがやって来ます。
1/3倍速のスローモーションでリプレイしてみると、着水後に急旋回して飛び去るコウモリが空中から何かを捨てていました。(@6:09〜)
これは排泄行動なのか、それとも池で何かを捕獲したら獲物ではないと悟って捨てたのでしょうか?
濡れた体から水滴が落ちただけのようには見えません。
シーン2:8/6・午前0:11〜3:40(@6:27〜)日の出時刻は午前4:43
深夜に日付が変わっても夜が明けるまでコウモリは次々と池に飛来します。
少数の個体が繰り返し飛来しているのか、それとも多数の個体が1回ずつ飛来しているのか、知りたいのですが、どうやったら突き止められるでしょう?
(素人が許可なくコウモリを捕獲するのは禁じられています。)
着水後に急旋回して飛び去るコウモリが足に何かを掴んでいるように見えたときがあります。(@6:55〜)
私の気のせい(願望からの幻覚)ですかね?
動画のフレームレートが15fpsと低いので、スロー再生しても動きがカクカクしていてはっきりしません。
珍しく着水シーンを横から撮れたシーンを1/3倍速のスローモーションでリプレイ。(@8:55〜)
シーン3:8/6・午後21:05〜22:33(@9:56〜)日の入り時刻は午後18:46
2頭(以上)のコウモリが同時に飛来することもあります。
【考察】
低空で水面スレスレに飛びながらコウモリが何をしているのか、という問題がなかなか解決しません。
まず、池で捕食している可能性はどうでしょうか?
海外にはウオクイコウモリという種類がいるのですけど、淡水のこの池は小さくて浅いので、獲物となる魚は居ません。(居るのはオタマジャクシやサンショウウオぐらいです。)
池の上を飛んでいる昆虫やアメンボなどの水生昆虫を水面で狩っている可能性も考えましたが、スロー再生すると違うようです。
狩りなら毎回違う場所に着水するはずですが、コウモリの着水地点は大体決まっているようです。
この池は三方(画面の背後および左右)が崖に囲まれているため、飛来したコウモリは崖に衝突しないように急旋回しながら飛び回る必要があります。
地形要因から飛行ルートが限られ、着水できる地点も限定されるのでしょう。
次に、水を飲んでいるか、水浴しているのか、どちらでしょう?
フレームレートの高い高画質の暗視動画が撮れる最新機種のトレイルカメラを導入するまで、謎解きはお預けです。
プロの動物写真家なら多灯ストロボと赤外線センサーを池畔に設置して、着水の決定的瞬間を写真で切り取ろうとするでしょう。
動画派の私としては、なんとか動画で記録したいのです。
大井徹『獣たちの森』という本を最近たまたま読んでいたら、コウモリの解剖生理学について興味深い事実を知りました。
汗腺は老廃物の排出とともに体温調整の機能を持つ。人は全身に汗腺を持つが、食虫類、げっ歯類、食肉類の一部では足と肛門付近にのみある。鯨類といくつかのコウモリ、げっ歯類にはない。(p58より引用)コウモリが発汗しないとすると、飛翔時に体温の急上昇を抑えるために、定期的に体毛を濡らす必要があるのかもしれません。
つまり、飛びながら水浴を繰り返し、気化熱を利用して体温を冷やしているのかもしれません。
さっそく文献検索で斜め読みしてみると、コウモリの翼は飛行時の空冷だけで体温が充分に低いらしく、胴体しか冷やす必要がないのだそうです。
・Luo, J., Greif, S., Ye, H. et al. Flight rapidly modulates body temperature in freely behaving bats. Anim Biotelemetry 9, 45 (2021). https://doi.org/10.1186/s40317-021-00268-6・RUMMEL, Andrea D.; SWARTZ, Sharon M.; MARSH, Richard L. Warm bodies, cool wings: regional heterothermy in flying bats. Biology Letters, 2019, 15.9: 20190530.
しかし、「体温調節仮説」にも問題があります。
雨の日や霧の日には体を濡らす必要がないはずなのに、コウモリは晴れの日と変わらず池に飛来するのはなぜ?という疑問が残ります。
毎回水面に波紋が広がることから、私はてっきりコウモリが飛びながら意図的に一瞬だけ着水しているのだと長らく信じていました。
しかし、必ずしもそうとは言い切れないことに最近気づきました。
側溝を流れる水面スレスレに飛ぶミツバチをハイスピード動画で撮影したところ、着水しなくても激しい羽ばたきの勢いで直下の水面が押し下げられ波紋を生じることが分かったのです。
コウモリの飛翔シーンをハイスピード動画で撮ってみたいのはやまやまなのですけど、それには強力な赤外線投光器が必要です。
2024/06/04
山中の水場に来たコガラ【野鳥:トレイルカメラ】
2022年8月中旬・午後14:05頃・晴れ
山中の湧き水が溜まった泉を自動センサーカメラで見張っていると、警戒心が強いヤマガラが居なくなった代わりにコガラ(Poecile montanus)が画面右の浅い岸辺に登場しました。
監視カメラを気にしているのか、飲水も行水もしてくれません。
しかしよく見ると、池の浅瀬で水面のアメンボなど小さな水生昆虫を捕食しようと追いかけていたようです。
1.5倍に拡大してリプレイ。(@0:31〜0:39)
その後は池畔の止まり木から止まり木へ忙しなく飛んで移動したり、奥に流れ出る水路の上空でホバリング(停空飛翔)したりしています。
どうも2羽以上の個体が来ているようです。
周囲の安全を確かめてから水路の横の岸に着陸すると、ようやく入水して水浴を始めます。
実は、様々な種類の野鳥もコガラと一緒に水場へ来ていたのですが(混群?)、続きは別の記事で紹介しました。
【アフィリエイト】
2024/05/25
池に飛び込み一瞬の水浴を繰り返すサンコウチョウ♀【野鳥:トレイルカメラ】名前を教えて
2022年8月中旬・午後14:10頃・晴れ
里山で湧き水が溜まった浅い泉に自動センサーカメラを設置して見張っていると、様々な野鳥の群れ(混群)が次々と水浴びにやって来ました。
その中に見慣れない種類の鳥が混じっています。
奥の森から焦げ茶色っぽい鳥が飛来しました。
死角の止まり木に一旦止まってから、左岸から地味な薄茶色の鳥が入水しました。
その間に、池から奥に向かって流れ出る水路(沢の源流)に小鳥が降り立って、水浴を始めました。
これはコガラ(Poecile montanus)ではないかと思うのですが、遠くてよく見えません。
左岸の止まり木(死角)から茶色の鳥が水面に素早く舞い降りたものの、一瞬着水しただけで元の止まり木に戻ってしまいました。(@0:15〜)
この乱入に驚いて、先客の薄茶色の鳥は左に逃げてしまいました。
奥の浅い水路ではコガラ?が気にせず行水を続けています。
コガラの飛来および水浴シーンを、1.5倍に拡大した上で1/3倍速のスローモーションでリプレイ。(@0:28〜0:47)
続けて薄茶色の鳥の入水および茶色っぽい謎の鳥の短い飛び込み水浴を1/3倍速のスローモーションでリプレイ。(@0:48〜1:09)
一瞬の飛び込み水浴を繰り返す焦げ茶色(チョコレート色)の鳥が特に気になりました。
この鳥の名前は何でしょうか?
池に何度も飛び込んだので、アカショウビンのような飛び込み漁をしている可能性もあります。
しかしスロー再生で見直すと、オタマジャクシなどの獲物を捕食してはおらず、ただの水浴びのようです。
関連記事(1ヶ月前の撮影)▶ 山中の池に飛び込んで獲物を捕食するアカショウビン【野鳥:トレイルカメラ】
飛び込み水浴を繰り返すのは、ヒヨドリと似ています。
関連記事(1年前および1ヶ月前に同所で撮影)▶
今回もてっきりヒヨドリなのかと思いきや、スロー再生で見直すと別種のようです。
翼を激しく羽ばたかせる羽音とポチャンと着水する水音が聞こえるだけで、鳴き声を発していませんでした。
したがって、鳴き声で同定することもできません。
しばらくすると、薄茶色の鳥が池に戻ってきて、左手前の水面上の落枝に乗りました。(@1:21〜)
辺りを警戒してから、ようやく浅瀬で水浴を始めました。
なんとなく、この鳥はシロハラ(Turdus pallidus)ですかね?
しかし、冬鳥のシロハラが真夏に渡来するはずがありません。
水浴を済ませてさっぱりしたシロハラ?が左に飛び去りました。(@1:48〜)
この鳥の名前が分かる方がいらっしゃいましたら、ぜひ教えて下さい。
その間に焦げ茶色をした謎の鳥が再び一瞬の飛び込み水浴を披露しました。
水浴する前に、死角の止まり木から何度も水面の上でホバリング(停空飛翔)して、安全を確認しています 。
水浴および飛翔シーンを1/3倍速のスローモーションでリプレイ。(@2:04〜)
背面は焦げ茶色で、頭部は黒色でした。
腹面が白かったので、アカハラの可能性は消えました。
黒い頭部に白い過眼線があるように一瞬見えたので、マミジロの可能性も考えました。
しかしよく見直すと、過眼線ではなく嘴が黒光り?していただけのようです。
散々迷った挙句、サンコウチョウ♀(Terpsiphone atrocaudata)かもしれない、とようやく辿り着きました。
しかし、この動画では青いアイリングが写っていません。
もし間違っていたら、ご指摘願います。
この山林でサンコウチョウ♂の美しい囀り ♪を夏によく聞きますし、尾羽の長い♂の姿を昔一度だけ見たことがあります。
私はこれまでサンコウチョウ♀を実際に観察したことはありませんでした。
(♀は地味なので、出会っても見逃していただけかもしれません。)
関連記事(1、10年前の撮影)▶
サンコウチョウの水浴がこんなに忙しないとは知りませんでした。
「カラスの行水」よりもせっかちです。
岸辺の草むらに潜む捕食者を警戒しているのでしょうか?
それとも池畔に設置したトレイルカメラの存在に気づいて、サンコウチョウ♀だけがひどく警戒しているのでしょうか?
初めは1回着水しただけで岸辺の止まり木に戻っていたのが、やがて水面でツーバウンドして水浴することもありました。
少しずつ警戒心が解けているのかもしれませんが、普通の鳥のように落ち着いて水場に身を浸して水浴びする様子をじっくり披露してくれません。
もしかすると、複数個体のサンコウチョウ♀が水浴に来ていた可能性もありそうです。
スローモーションにしても、サンコウチョウ♀の素早い動きを充分に捉え切れていません。
旧機種のトレイルカメラで撮る動画はフレームレートが15fpsと低いのが原因です。
フレームレートの高い新機種で撮り直したいところです。
次はサンコウチョウ♂の水浴シーンもぜひ撮影してみたいものです。
今回♀だけが水浴に来ていたのはなぜでしょうか?
サンコウチョウ♂は尾羽がとびきり長いので、もう少し水深の深い水場でしか行水しないのかもしれません。
※ 水浴の水音が聞き取れるように、動画編集時に音声を正規化して音量を強制的に上げています。
コガラやシロハラ?とサンコウチョウ♀?の水浴シーンをそれぞれ別に切り分けるべきでしたね。
しかしアカハラの♀♂ペアなのかも?と迷って、このようなごちゃついた編集になってしまいました。
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YouTubeでサンコウチョウの水浴動画を検索してみると、水場に飛び込んで一瞬の水浴を繰り返していました。
↑『⑤水浴び 静岡県鳥「サンコウチョウ」特集』by 静岡新聞
↑『サンコウチョウの水浴び』by hoshitaka san
2024/05/09
夜の泉で泳ぐ野ネズミ【トレイルカメラ:暗視映像】
2022年8月上旬
里山の水場に設置したトレイルカメラの記録です。
シーン1:8/5・午後21:08(@0:00〜)
晩に奥の森から次々に飛来するコウモリが池の水面スレスレを何度も往復して、ときどき水面に波紋が広がります。
コウモリが着水した瞬間に池の水を飲んでいるのではないかと予想しているのですが、動画のフレームレートが15fpsと低くてよく分かりません。
(水生昆虫の捕食または水浴という可能性も考えられます。)
カメラの近くにクモの網が張ってあるようです。
空中に白い玉が2つ浮いているように見えるのは、クモの網の粘球がカメラの赤外線を反射しているのでしょう。
コウモリが居なくなってしばらくすると、画面の左下から野ネズミ(ノネズミ)が登場しました。
此岸から左岸に跳び移ります。
いつもならそのまま岸辺をへつるように駆け抜けるのに、今回は左岸から池に躊躇なく入水したので驚きました。
浅瀬を走るだけでなく、途中から明らかに水中を泳いで対岸へ上陸しました。
そのまま林道の草むらに姿を消しました。
野ネズミは水を恐れるどころか、しっかり泳げることが、これで判明しました。
今回の映像が最も説得力があります。
関連記事(1年前、1ヶ月前の撮影)▶
野ネズミの水泳シーンを1/3倍速のスローモーションでリプレイ。(@0:39〜)
泳ぐことで近道になっているかどうか、微妙です。
ついでに水を飲んだとか、暑い熱帯夜で水浴したかったのかもしれません。
(旧機種のトレイルカメラでは動画撮影時に気温のデータが取得されないのが残念です。)
岸辺の草むらに天敵の捕食者が潜んでいると警戒した野ネズミが裏をかいたのでしょうか?
例えば、この水場にはヤマカガシ(Rhabdophis tigrinus)という毒蛇が来たことがあります。
しかしヤマカガシも泳ぎが得意です。
関連記事(6年前の撮影)▶ 水路を泳いで渡るヤマカガシ
シーン2:8/6・午前3:35(@1:10〜)
約6.5時間後。
日付が変わった深夜未明に、逆コースで野ネズミが現れました。(画面の赤丸に注目)
対岸の草むらから左岸へと水際をチョロチョロ走って戻って来ます。
今回は池を泳がずに陸上を移動しました。
野ネズミの白く光る眼が池の水面にも反射しています。
頻繁に飛来するコウモリのせいでトレイルカメラの電池が消耗してしまい、残念ながら15秒弱しか録画されなくなりました。
尻切れトンボの映像ですが、途中で野ネズミは浅瀬から池の水を飲んだり獲物(昆虫?)を探したようにも見えます。
池畔から奥の林道へ抜ける同じ獣道を往復しているので、シーン1と同一個体の野ネズミだと思われます。
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