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2022/12/22

イヌツゲ灌木をうろつくシラキトビナナフシ♀

 

2022年8月中旬・午後13:10頃・晴れ 

若い二次林に覆われた里山の斜面で、イヌツゲの枝にシラキトビナナフシ♀(Micadina conifera)を発見。 
生きた状態のシラキトビナナフシを見つけたのは初めてです。 
関連記事(11年前の撮影)▶ シラキトビナナフシ♀の死骸と卵 
雑木林の木洩れ日が眩しくて白飛びしてしまい、虫撮りしにくい条件でした。 
周囲ではエゾゼミ♂がジーと単調にやかましく鳴いています♪ 

意外と活発で、イヌツゲの枝葉をせかせかと歩き回ります。 
シラキトビナナフシ♀はイヌツゲの枝を少し登ったところで静止。 
隠蔽擬態で周囲に上手く紛れたつもりなのでしょうか? 
常緑樹イヌツゲの濃い緑色の葉の上に静止すると、確かに保護色の効果が少しはありそうです。 
しかし、細長い体型が周囲と馴染んでいないので、ばれてしまう気がします。 

岡田正哉『ナナフシのすべて』という本でシラキトビナナフシについて調べると、
単為生殖をする。(♂は未知) 
生息環境:産地のブナ林やブナ科植物(とくにブナ・ミズナラ類)を含む雑木林内。トビナナフシ類のうちで、もっとも高い標高まで分布する種類。 
食植物:ブナ・ミズナラ類など。(p26より引用)
常緑樹イヌツゲはシラキトビナナフシの食樹ではないので、おそらく近くに自生するミズナラやリョウブの木から下のイヌツゲに落ちてしまったのではないか?と推測しました。 
このままでは食事シーンは期待できません。 

頭部をよく見ると、右の触角が根本から欠損している個体でした。 
ナナフシは捕食者に襲われると脚を自切して逃げることが知られていますが、触角も自切・再生するのでしょうか? 
この個体は成虫なので、再生は無理ですね。

静止していたナナフシに軽く触れると、慌てて逃げ出します。 
翅がある成虫なのに、飛んで逃げることはありませんでした。 
採寸代わりに私がしつこく右手の中指を差し出すと、今度は素直に乗り移ってくれました。(手乗りナナフシ♪) 
隣に自生する広葉樹ハルニレ幼木の枝葉にそのまま移してやりました。 

ナナフシを飼育してみたいと長年思っていた私は、採集して持ち帰るか悩みました。 
しかし、この時期はあまりにも忙しくて新たに虫を飼育する余力が無かったので、断念。

2014/03/24

地面を歩くヤスマツトビナナフシの幼虫



2013年7月下旬

里山の林道をナナフシがせかせかと横断していました。
ヤスマツトビナナフシ♀(Micadina yasumatsui)の幼虫だと思うのですがどうでしょうか?
背中をよく見ると翅芽がありますね。




【追記】
高家博成、江川多喜雄『虫のうごくひみつ (花はな虫むし)』によると、
 ナナフシの歩き方を見ると、いつも三本の足でからだをささえながら歩いているのがわかります。よく見ると、前足はからだをひっぱり、うしろ足はからだをおし、中足はからだをささえるようにしています。(p30より引用)
次回はハイスピード動画に撮ってナナフシの歩行をスローモーションでよく観察してみます。





2011/12/27

シラキトビナナフシ♀の死骸と卵

2011年11月下旬

某山寺の軒下でナナフシの死骸を発見。
仰向けに死んでいました。
同定のため、採集して持ち帰りました。



手元の本と見比べてみると(『ナナフシのすべて』p26)、初見のシラキトビナナフシ♀(Micadina conifera)と判明。
後翅を広げると鮮やかな赤色。
現場では見落としていたのですが、腹端の産卵弁から卵が一粒のぞいていました。
産卵中に寿命を迎えたのでしょう。



ナナフシの卵の実物を見るのも初めてです。
噂に聞く通り植物の種子に擬態しているようで、林床に落ちていても見つけられないでしょう。
ナナフシの種類によって異なる卵の造形美をじっくり観察するために♀の体から取り出そうとしたら、産卵弁にきつく締め付けられていて苦労しました。


堅い卵の表面は網目模様で刻印され、側面には切れ込みがあります。
虫ピンやピンセットを使って卵を摘出する際に堅い表面を誤って傷つけてしまったかと焦りました。
調べてみるとこの切れ目は精孔と呼ばれ、ここから精子が侵入して受精するのだそうです。
ただしシラキトビナナフシには♂の存在が報告されておらず、♀が単為生殖を行うらしい。
(従って未受精卵から幼虫が孵化する。)

採集した卵を容器で大切に保存し、外気に晒した状態で越冬させることにしました。
得られた卵はわずか一個のため春に幼虫の孵化を観察するのは困難だと思いますが、飼育してみるつもりです。
後で思うと、♀体内の卵巣に産み残した卵が残っていたかもしれないので解剖してみて採卵すればよかったですね。

※ 今日は珍しく動画ネタではなく写真のみです。


『日本動物大百科8昆虫Ⅰ』p116によると、

(ナナフシの)野外での産卵行動の記録は少ないが、飼育下での観察によると、産卵方式には「落下方式」と「粘着方式」がある。大部分の種類は、産卵の際に腹端を上下に振って卵を産出する落下方式である。



関連記事(11年後の撮影)▶ イヌツゲ灌木をうろつくシラキトビナナフシ♀ 




2011/02/09

ヤスマツトビナナフシ♀を捕まえた




2010年11月中旬
(つづき)
脱糞していたナナフシ(前編記事はこちら)を捕獲して少し遊んでみました。
右の後脚を根元から欠損していますが、最近の怪我らしく再生肢は見られませんでした。
手荒に扱うと脚を自切しそうなので注意しました。

方眼紙上に乗せて採寸すると、体長51mm。


起き上がり運動を観察しようと仰向けにして置いてみました。
しかし気温が低いせいか(10℃自力では起き上がれません。
そのうち諦めたのか動かなくなりました。
手で起こしてやると、ゆっくり歩き始めました。
西日が当たり、歩く影がお洒落です。
こんなスローライフの生き方もあるのですね。
口器や髭の形状も面白いです。
ピンセットで翅を広げると、紅色の後翅を拝めました。




種類の見分け方は次の本を参考にしました。
『ナナフシのすべて』 トンボ出版 p25 
翅の模式図だけ合致しない?)←前翅の図だった。
ヤスマツトビナナフシは♀だけで単為生殖するのだそうです。


2011/02/08

ヤスマツトビナナフシ♀の脱糞




2010年11月中旬

山中の石碑にナナフシが止まっていました。
右後脚を欠損したヤスマツトビナナフシ♀(Micadina yasumatsuiで­す。
接写を始めたら脱糞中と気づきました。
産卵かと一瞬思いましたが、形状が卵とは違­います。
排泄口から少しずつ伸びる糞が最後に落下する決定的瞬間をスクープ映像に収めようと長時間粘って撮影したもの­の、非常に糞切りが悪く「金魚の糞」状態。
ナナフシは草食動物で食物繊維はたっぷり摂­取している筈なのに、便秘気味なのでしょうか。
肌寒いせいかな?(気温10℃)
映像の­一部は5倍速の早回し映像でお届けします。
夕暮れが迫ってきたので痺れを切らして介入­しました。
捕獲したヤスマツトビナナフシ♀(体長51mm)の尾端を容器に擦り付けて細長い糞を採集しました(長さ5mm)。­
(つづく→「ヤスマツトビナナフシ♀を捕まえた」)




2011/01/25

ヤスマツトビナナフシ幼虫



2009年7月中旬

生まれて初めてナナフシの仲間を見つけました♪ 
体長28.5mm。
胸部に翅の原基が見えるので幼虫だと思います。
動きに乏しい被写体ですけど、体に触れると意外に素早く逃げました。
虫我像掲示板にてヤスマツトビナナフシMicadina yasumatsui)だろうと教えて頂きました。
 ♀だけで単為生殖するそうです。

【追記】

和名「ナナフシ」は、体節が7つあるからではなく、「7つ=たくさん」の意味であり、転じて「たくさんの節を持つ虫」すなわち「ナナフシ」(「ナナフシムシ」とも呼ばれた)と名づけられたのであろう。(『日本動物大百科8昆虫Ⅰ』p114より)
 

2011/01/10

ヤスマツトビナナフシ♀成虫の二匹が・・・



2009年11月上旬

雑木林の入口(林縁)に置かれた石灯籠にナナフシが二匹止まって居ました。
ゆっくりとした足取りで移動しています。
初雪の翌日で気温12℃。
越冬地を探して彷徨っているのだろうか。
二匹は違う脚が欠損しているので(-L1、-L2)個体識別できます。
帰ってから調べてみるとヤスマツトビナナフシ♀(Micadina yasumatsui)のようです。
本種の♂は発見されておらず、♀だけで単為生殖するのだそうです。
移動の途中でマウントするような体勢になったので、まさか交尾を始めるのか!(大発見?)と固唾を飲んで見守りました。
しかし跨いで追い越しただけと分かり、拍子抜け。
それでもナナフシの成虫は初見だったので、とても嬉しい出会いでした。 

参考: 『ナナフシのすべて』 トンボ出版 p26


本州の山地などでは晩秋にトビナナフシ類がブナやミズナラなどの根際に数十匹単位で群らがっていることがある。これは秋とともに気温が下がり、また樹上の葉が落ちて食べるものがなくなってつぎつぎと樹幹を降り、結果として集団となったものである、こうした場面はときどき見られる。(『日本動物大百科8昆虫Ⅰ』p116より

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