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2025/04/08

花が咲いたボケの枝先で巣作りに適した場所を探すセグロアシナガバチ創設女王

 

2024年4月中旬・午後14:30頃・晴れ 

道端で赤い花が咲き始めたボケ(木瓜)の灌木にセグロアシナガバチ♀(Polistes jokahamae)が訪花していました。 
この時期はワーカー♀ではなく、越冬から目覚めた創設女王ですね。 
吸蜜していたようですが、しっかり接写する前に化粧(身繕い)してから飛び立ってしまいました。 

女王蜂は少し飛んだだけで、その後は緑の若葉が芽吹いたボケの枝先を丹念に調べていました。 
ボケの枝葉にはまだイモムシ類が居ないので、獲物を探索する狩りモードではなさそうです。 
どうやら女王蜂が初期巣を作り始める場所を探しているのだと分かりました。 
クロアリ(種名不詳)が往来する枝先は嫌がってすぐに離れます。 
アシナガバチにとって最大の天敵はアリだからです。 

別の枝先では緑色のクモとニアミスしたのですが、クモの方がセグロアシナガバチ♀を怖がって葉裏に隠れてしまいました。 
クモの正体は初めハナグモかと思ったのですが、おそらくサツマノミダマシNeoscona scylloides)のようです。 
造網性のクモですから、徘徊性のクモのように獲物を待ち伏せしていた訳ではありません。 




電柱の天辺から飛び立つサシバ♂(野鳥)

 

2024年4月下旬・午後14:40頃・くもり 

山間部の農村でコンクリート製電柱の天辺に見慣れない猛禽が止まって周囲をキョロキョロ見渡していました。 
カメラでズームインしてみると、その正体は夏鳥のサシバ♂(Butastur indicus)でした。 
そこには鳥がよく止まるらしく、電柱の天辺は鳥の糞で白く汚れています。 
強風で頭部の羽毛が逆立って、まるで冠羽のように見えます。
(サシバに冠羽はありません) 

カメラを構える私に気づいたのか、サシバ♂はその場で回れ左すると、飛び去りました。 
鳥は離陸直前に軽量化のために脱糞することが多いのですが、この個体はしませんでした。 
電柱からサシバ♂が飛び立つ瞬間を1/5倍速のスローモーションでリプレイ(@0:25〜)。 

そのまま左に旋回して見失ったものの、立ち去りかけた私が振り返って空を見上げると、上空をサシバが飛び回っていました。 
羽ばたきと短い滑翔を交互に繰り返して、高度を上げています。 
最後に別個体が一緒に写ったのに、撮影中の私は気づかずに録画を打ち切ってしまいました。 
♀♂つがいが一緒に飛び回っているのでしょう。 
営巣地がどこにあるのか、突き止めたいものです。 

「キンミー♪と甲高く鳴きながら飛び去った」と野帳には記してあるのですが、風切り音のせいか動画では聞き取れません。 


サシバの雌雄判別法を忘れていたので、Perplexity AIに相談してみました。

サシバの性別を見分けるには、以下の特徴に注目します:
外見的特徴
顔の特徴
オス:顔が灰色がかっている12

メス:顔の灰色が少なく、白い眉斑がより明瞭123


胸部の特徴
オス:胸の白色が少ない傾向1

メス:胸の白色が多く、淡い茶色の横じまがある12


全体的な色合い
オス:体全体が濃い色をしている1

メス:オスより茶色みが強い1


尾羽の特徴
オス:尾羽の黒い帯(横斑)が太く、淡色帯の数が少ない14

メス:尾羽の帯が細い傾向にある1


春(4月下旬)の個体の識別
春は繁殖期に当たるため、性別の特徴がより顕著になります。特に注目すべき点は:
顔の灰色み:オスの方が強い

眉斑の明瞭さ:メスの方がはっきりしている

胸の白色の量:メスの方が多い

ただし、個体差や光の当たり方によって判断が難しい場合もあります。複数の特徴を総合的に観察することが重要です13。


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2025/04/05

ボケの開花を待ち切れずに赤いつぼみで採餌を試みるセイヨウミツバチ♀【ハイスピード動画】

 



2024年4月中旬・午後14:25頃・晴れ 

赤い花を咲かせるボケ(木瓜)の品種に訪花するセイヨウミツバチApis mellifera)のワーカー♀を240-fpsのハイスピード動画で撮っていたら、興味深い行動が撮れました。 
花だけでなく、未開花のつぼみにも訪れて念入りに調べていたのです。 
後脚の花粉籠は空荷の個体でした。 
セイヨウミツバチ♀は前脚で顔や触角を拭って身繕いすると、ようやく諦めて蕾から飛び去りました。 

セイヨウミツバチ♀は、まだ固く閉じている花弁をこじ開けて侵入しようとしているのでしょうか。 
それとも蕾に穿孔して、蜜腺から直接盗蜜しようとしているのかもしれません。 
ボケの花がまったく咲いていない蕾だけの時期ならともかく、同じボケの木で花がすでに多数咲いているのに、どうして蕾に執着するのか、理解に苦しみます。 
開花直前の蕾は花蜜が最も豊富なのでしょうか。 
ボケは鳥媒花と言われていて、花にも蕾にも虫を誘引する芳香はありません。 (少なくとも私の嗅覚では無臭)
ミツバチを誘引するフェロモンに分子構造がたまたま似ている未知の化学物質をボケの蕾が密かに分泌しているとしたら、面白い話です。

ちなみに、ミツバチと入れ替わりで別種のハナバチが飛来しました。 
触角が長く、頭楯が白い蜂です。 
なんとなくツツハナバチですかね?(当てずっぽうのボケをかましてみました。)

晩秋の刈田で何度も虫を狩り捕食するチョウゲンボウ♀【野鳥:FHD動画&ハイスピード動画】

 

2023年11月中旬・午後13:20頃・晴れのち曇り 

広い田んぼに隣接するグランド(球場)でネットの支柱の天辺にチョウゲンボウ♀(Falco tinnunculus)が止まっていました。 
ここはチョウゲンボウがお気に入りの止まり木で、毎年秋になるとよく見かけます。 
支柱の天辺は鳥の糞で白く汚れています。 
支柱の天辺で周囲を見渡して、稲刈りが終わった刈田に潜む獲物を眼光鋭く探しています。 
秋風でチョウゲンボウ♀の羽毛がなびいています。 

まるで頷くように、しきりに顔を上下に動かしている行動にも意味があります。 
眼球が固定されている猛禽類が広い視野を確保するためには、頭全体を動かす必要があります。 
このチョウゲンボウは、首をねじって背後も見張っています。 
また、猛禽は両眼視野が狭いので、頭を上下に動かすことで遠方の対象物への距離感や立体視を補完しているのだそうです。 

獲物を見つけたチョウゲンボウ♀は支柱から飛び立つと、刈田の上空で羽ばたきながら一点に留まり(ホバリング、停空飛翔)、狙いを定めてからスーッと急降下し、地上の獲物に襲いかかります。 
残念ながら、手前に生えたススキやアメリカセンダングサ、セイタカアワダチソウなどが邪魔で、チョウゲンボウ♀が獲物を狩る瞬間をどうしても撮れません。 

狩りの成否に関わらず、チョウゲンボウ♀は同じ止まり木(支柱天辺)に戻ってきます。 
舞い戻ってきて着陸するまで待ち構えて、240-fpsのハイスピード動画でも撮ってみました。(@1:41〜2:04) 
チョウゲンボウの性別は頭部の色で見分けられます。 
この個体は頭が茶色いので♀です。
尾羽根の下面に黒い横縞が目立つ点も♀の特徴です。 
スローモーションでしっかり確認できました。 

片足の鉤爪で小さな獲物と一緒に細長い藁(枯草)を運んでいました。 
獲物を掴んだ足には体重をかけず、反対側の足でふわりと着地し、翼を畳みました。 

チョウゲンボウが狩ってくる獲物は小さくて軽いので、片足で掴んで運びます。 
利き足がありそうな気がしたのですけど、何度も観察すると、左右の足を(交互にランダムで?)使っていました。 

支柱の天辺に持ち帰った獲物をチョウゲンボウ♀は早速食べ始めました。 
カメラのデジタルズームを最大にしても、少し遠くて獲物の正体をしっかり同定できませんでした。 
獲物は小動物(脊椎動物)ではなく、バッタやコオロギなど昆虫のようです。 
トンボを狩るときもあるのですが、今回の獲物はトンボには見えませんでした。 
チョウゲンボウは嘴を使って虫の翅を器用にむしり取ってから、ちびちびと食べました。 
他の種類の鳥とは違って、食後に汚れた嘴を掃除しないのが不思議に思いました。 

小宮輝之(監修)『鳥の食べもの&とり方・食べ方図鑑 おもしろふしぎ鳥類学の世界』でチョウゲンボウの食性を調べると、
大きく羽を広げ、ホバリングから急降下して昆虫やネズミなどの小動物を捕らえます。カマキリを捕獲! (p123より引用)
虫を1匹完食しても、満腹になりません。 
見晴らしの良い支柱の天辺で、チョウゲンボウは再び刈田に潜む次の獲物を探し始めます。 

支柱の天辺から飛び立つ直前に、脱糞した瞬間(@5:20〜)も動画に撮れていました。 
液状の白っぽい糞尿を後方に勢い良く噴出しています。 
今思いついたのですが、チョウゲンボウがよく止まっていた支柱の真下まで行ってペリットを採集できれば、未消化物に含まれる残渣から捕食した虫の種類を同定できるかもしれません。 
ただし、チョウゲンボウがペリットを吐き出すシーンを私はまだ観察したことが一度もありません。 
ペリットが無くても、チョウゲンボウが食前に毟り取った虫の翅などが支柱の下に散乱しているはずなので、アリなどに持ち去られる前に調べに行けばよかったですね。

やがて1羽のハシボソガラスCorvus corone)が飛来して、支柱の天辺に止まりました。 
お気に入りの止まり木を横取りされたチョウゲンボウ♀は、仕方なく隣に立つ支柱の天辺に移動して、そこで獲物を捕食するようになりました。 
別個体のカラスも加勢しに来たようで、嗄れた鳴き声が近くから聞こえます。 
カラスはとにかく猛禽類が大嫌いなので、縄張りからチョウゲンボウ♀を追い払うために集まってきたようです。 
晩秋はカラスの繁殖期ではありませんから、本格的なモビング(擬攻撃)にまでエスカレートすることはありませんでした。 
それでも地味に嫌がらせしたり心理的な圧力をかけたりしています。 
隣の空いた止まり木(コンクリート支柱)に移動したチョウゲンボウは、田んぼから少し離れたせいで獲物を探しにくくなったようです。 

最後にチョウゲンボウ♀はこの狩場から飛び去ってしまい、戻ってきませんでした。 
飛び去るチョウゲンボウをカラスの群れがしつこく追尾することはありませんでしたが、ハシボソガラスの地味な嫌がらせが奏功し、天敵を追い払えたことになります。 



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2025/04/04

湿地に産卵するキリウジガガンボ♀

 

2024年4月中旬・午後14:00頃・晴れ 

山麓の林道で沢の水がわだちを流れ、溝状の浅い水溜りができていました。 
そこでキリウジガガンボ♀(Tipula aino)が産卵していました。 
産卵中は羽ばたいておらず、長い足をリズミカルに屈伸させて、腹端の産卵管を湿地のあちこちにチョンチョンと挿し込んでいます。 
このとき卵を1粒ずつ産み付けているのでしょう。 
少し飛んで移動すると、別の地点で産卵を再開します。 
複数個体を見かけましたが、動画は同一個体を撮り続けたつもりです。 

キリウジガガンボ♀の産卵行動を1.5倍に拡大した上で1/5倍速のスローモーションでリプレイ。(@0:35〜) 
腹端をよく見ると、産卵管は1対の細い針状で、左右に開閉していました。 
その短い産卵管を地面にグサグサと突き刺しています。 

水田に産卵された場合、キリウジガガンボの幼虫はイネの害虫とされているので、対策のため生活史について詳しく調べられています。 



てっきりキリウジガガンボは成虫で越冬するのかと思っていたのですが、越冬態は幼虫なのだそうです。
春に蛹化すると、わずか3日後に成虫が羽化するらしい。
つまり、今回の♀個体は第一化の成虫が早くも♂との交尾を済ませて産卵していることになります。

2025/04/03

根返りスギの根元で餌を探す雪国のミソサザイとヒガラ【冬の野鳥:トレイルカメラ】

 



2024年1月上旬〜中旬

シーン0:1/7・午後13:39(@0:00〜) 
明るい日中に撮れた現場の状況です。 
平地のスギ防風林で、スギの倒木が散乱しています。 
画面の手前から奥に向かって根こそぎ倒れた(根返り)スギと一緒に巻き添えを食って倒れた落葉灌木が毎年冬の雪圧のせいでねじくれながらも逞しく育ちました。(根曲がり状態) 
その根元に掘られた根曲がり巣穴aを自動撮影カメラで見張っています。 
この巣穴に一時期はイタチが出入りしていたのですが、最近では現れなくなりました。 

今季は異常な暖冬で、積雪がほとんどありません。 
巣口の手前にツルウメモドキの赤く熟した果実が見えます。 


シーン1:1/10・午前7:09(@0:02〜) 
ミソサザイTroglodytes troglodytes)と思しき小鳥が根曲がり巣穴aの入口に飛び降りて、土が付いたままの根返りスギで餌を探しています。 


シーン2:1/13・午前9:25(@0:27〜) 
うっすらと雪が積もっていました。 
ミソサザイらしき小鳥が根曲がり巣穴aの入口から外に出てきました。 
昼行性の鳥が真っ暗な巣穴の奥深くまで侵入するとは思えないのですが、餌を探しているようです。 
風雪を凌ぐ隠れ家や塒として使っているのかもしれません。 
巣内にイタチが潜んでいたら小鳥は狩られてしまうはずなので、安全に出入りできるということは不在なのでしょう。 


シーン3:1/14・午後14:53・晴れ(@0:48〜) 
翌日の昼間に珍しくフルカラーで録画されていました。 
(機材が古いと気まぐれな症状に悩まされます。) 
よく晴れているので、前日に積もった雪はほとんど溶けてしまいました。 

根曲がり巣穴aからミソサザイが飛び出してきました。 
根返りスギの土付き根っこを嘴でつついて餌を探しています。 
オサムシなどの昆虫が倒木の根返り部分に潜り込んで越冬しているらしいので、その獲物を探しているのでしょう。 

巣口の左手前にあるツルウメモドキの赤い実を野鳥がまったく採食しないのが不思議です。 


シーン4:1/15・午後17:35・吹雪(@1:16〜) 
珍しくまとまった雪が積もりました。 
巣口付近の新雪に野生動物の足跡はついていません。 


シーン5:1/18・午後13:26(@1:19〜) 
根返りスギを右へ移動するミソサザイらしき小鳥がちらっと写っていました。 
林床には雪が積もったままです。 


シーン6:1/10・午前11:16(@1:29〜) 
おまけの映像です。 
時期が少し遡るのですが、2羽のヒガラPeriparus ater)が来ていました。 
奥の落葉灌木の茂みに飛来して餌を探し回っています。 
これだけ個別の記事にするほどの動画ではないので、一緒にまとめました。 


※ 動画の一部は編集時に自動色調補正を施しています。 


つづく→

2025/04/02

死んだアナグマの営巣地で巣材を選り好みする春のハシブトガラス【野鳥:トレイルカメラ】

 



2024年4月中旬・午前8:30頃・晴れ・気温15℃ 

死んだニホンアナグマMeles anakuma)の営巣地(セット)にハシブトガラスCorvus macrorhynchos)がまた現れました。 
二次林の林床を歩き回り、巣材を集めているようです。 
細い落枝を拾い上げても気に入らずに、すぐ捨てています。 

以前タヌキが巣口Rに積み上げたバリケードからハシブトガラスが棒を引っこ抜いて物色していますが、やはり気に入った小枝が見つからないようです。 

拾った小枝や細い蔓を足で押さえつけて細かく千切り始めました。 
巣材の長さを調節しているのか、それとも強度を調べているのでしょうか? 
しかし結局、何も持たずに飛び去りました。 

ハシブトガラスがときどき2つの巣穴R、Lの奥をしげしげと覗き込んでいるのは、きっと死骸を探しているのでしょう。 
巣口の横に自生するマルバゴマギの細い灌木に若葉が芽吹き始めました。 
その止まり木にカラスが乗って、巣口を見下ろすこともありました。 
もしも死骸を見つけたら、腐肉を食べたり、毛を毟り取って産座用の巣材として有効活用するはずです。 

ハシブトガラスの巣材集めを1.5倍に拡大した上でリプレイ(@4:30〜)。 


【考察】 
ハシブトガラスが持ち去る巣材をかなり吟味していたということは、巣作りも仕上げの段階だったようです。
これほど長居したのに、この日を最後にカラスがセット(営巣地)にまったく来なくなりました。
ハシブトガラスの巣が完成して、巣材を集める必要がなくなったのかもしれません。 
それとも、死骸の生物分解が進んで死臭がしなくなったのかな? 
(巣穴Lの奥に「いざりタヌキ」の死骸があるのではないかと私は疑っています。)



つづく→

2025/04/01

フッキソウの花蜜を吸うビロウドツリアブ♀【FHD動画&ハイスピード動画】

 

2024年4月中旬・午前11:45頃・くもり 

里山の急峻な山道を登っていると、白い可憐な花が咲いている大群落がありました。 
ヒトリシズカの花も点在していたのですが、それとは別種です。 
写真に撮って画像検索(Googleレンズ)してみると、フッキソウと判明。 







これがヒトリシズカの花。



フッキソウの大群落でビロウドツリアブ♀(=ビロードツリアブ;Bombylius major)が訪花していました。 
フッキソウ穂状花序の細長い花筒の入口に口吻の先端がなかなか差し込めずに、何度もやり直しています。 

ビロウドツリアブ♀は吸蜜中も高速で羽ばたき続けていますが、花に足を掛けているので、ホバリング(停空飛翔)とは言えません。 
素人目にはエネルギー効率が悪過ぎる気がするのですけど、捕食者に襲われたときにいつでも飛び立てるように、常にアイドリングしているのでしょう。 
240-fpsのハイスピード動画でも撮ってみました。(@0:14〜) 




ところで、冒頭で鳴いてる(さえずり? )鳥の種類は何だろう?


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2025/03/29

オオヤマザクラの花で採餌するクマバチ♀【FHD動画&ハイスピード動画】

 

2024年4月中旬・午後15:30頃・晴れおよび午前10:35頃・くもり 

民家の裏庭に植栽された桜の老木で濃いピンクの花が満開に咲いていました。 
見慣れたソメイヨシノとは明らかに異なる品種で、花と同時に若葉も開いています。 
サクラハンドブック』で調べてみると、どうやらオオヤマザクラのようです。(p12-13) 

桜の木の下に立つと、蜂の羽音がブンブン♪聞こえます。 
羽音の主を探すと、キムネクマバチ♀(Xylocopa appendiculata circumvolans)が忙しなく訪花していました。 
吸蜜するクマバチ♀の後脚を見ると、花粉籠はまだ空荷でした。 

オオヤマザクラの花から飛び立つ瞬間を狙って240-fpsのハイスピード動画でも撮ってみました。(@1:49〜) 
クマバチの羽ばたきで桜の花弁があおられていますが、映像ではストロボ効果で羽ばたきが止まって見えます。 

花から飛び立ったクマバチ♀は、次の花を見定めるように手前でホバリング(停空飛翔)しながら、左右の脚を擦り合わせています。 
体に付着した花粉をまとめて、後脚の花粉籠に移しているのです。

ミツバチ♀の群れも一緒に採餌していたのですが、あまりにも動きが忙しなくて動画にうまく撮れませんでした。 

3日後にも定点観察すると、風が吹く度に花弁がどんどん散って葉桜になりました。 


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2025/03/27

吸水(ミネラル摂取)後にホバリングしながら空中で排泄するビロウドツリアブ♀【FHD動画&ハイスピード動画】

 

2024年4月中旬・午後14:10頃・晴れ 

里山の麓でビロウドツリアブ♀(=ビロードツリアブ;Bombylius major)が低く飛び回っていました。 
入山口付近で沢の水が流れ出るわだちの泥濘の上をホバリングしながら低く飛び、濡れた枯草や草の根などあちこちに着地しては口吻で味見しています。 
やがて気に入った場所が見つかると、1箇所に留まって吸水を始めました。 

地面に倒伏した枯草に止まり、濡れた表面を口吻の先で舐めています。 
口吻の先端が枯草から外れると、再び探り当てようとするので、ビロウドツリアブ♀が自発的に舐めている行動で間違いありません。
吸水およびミネラル摂取の行動と思われますが、水たまりの泥を直接舐めないのはなぜでしょうか? 
枯草の繊維が毛細管現象で泥水を吸い上げてくれ、濾過した水を飲めるのかもしれません。 
ビロウドツリアブ♀は大量の水を飲んでいるはずですが、吸水中に余分な水分を腹端から排泄(排尿)することは一度もありませんでした。 

ビロウドツリアブの口吻は黒くて細長い(真っ直ぐ)のですが、その先端部をよく観察すると、左右二股の先割れ状態になっていることに気づきました。
吸水しながら、この口吻先端部を頻りに開閉しています。 (I⇔Y⇔T) 
こんな口吻の動きを他の昆虫で見たことが一度もありません。

チョウ類の場合は、泥などを舐めている(mud-puddling)のは主に♂です。 
性成熟に必要なミネラル成分(ナトリウム塩やアンモニア塩など)を摂取していると考えられてます。 
しかし、今回のビロウドツリアブは、左右の複眼が離れている♀でした。 

蛭川憲男『水場に集まる生きものたち: 里山から高原、山地の自然』という本には、吸水するビロードツリアブの写真は掲載されていませんでした。 
しかし、長野市松代町の水場で1994年〜2004年に観察された計72種類の虫をまとめた中に、ビロードツリアブが含まれていました。(p21「表2:水場へ集まったチョウ類以外の生きもの」) 

インターネットで検索すると、ビロウドツリアブの吸水行動を写真に撮ったブログがいくつかヒットしました。 
関連記事()▶  
ビロウドツリアブ♂吸水20200319 @KONASUKEの部屋 
ビロードツリアブの吸水行動 @居眠り蛸の自然観察 

しかし、ビロウドツリアブの性別を♀と見分けた上で記述している例や、口吻の先端部が開閉していることを記述したブログは見つかりませんでした。 

ビロウドツリアブ♀は吸水中も休むことなく高速で羽ばたき続けていますが、枯草に足を掛けているので、ホバリングではありません。 
240-fpsのハイスピード動画でも撮ってみても(@2:22〜)、ビロウドツリアブ♀の羽ばたきが高速過ぎて、ほとんど止まって見えます。 
これはストロボ効果と呼ばれる現象です。 
ビロウドツリアブは同じ枯草にしがみついたまま、ゆっくり向きを変えながら吸水しています。 
おかげで私が動かなくても、色んな角度から吸水シーンを撮影することが出来ました。 

ときどき別種のハナアブやハエ?など他の昆虫が飛来して、吸水するビロウドツリアブ♀に興味を示し、ニアミスすることがありました。(@17:26〜、@25:30〜) 
しかし、ビロウドツリアブ♀はほぼ無反応で、一心不乱に吸水を続けています。

長々と吸水してからようやく満足したのか、ビロウドツリアブが飛び立ちました。 
後脚だけ後ろ向きで、残りの4本脚は前方に揃えて飛んでいます。 
離陸直後に、ホバリング(停空飛翔)しながら空中で脱糞しました! 
黄色く濁った液体を1滴ポトリと排泄しました。 
ビロウドツリアブの体と比べると、結構大きな水滴でした。 
執念の長撮りが報われた瞬間です。 

その後は低空ホバリングで高度を保ちながら、段階的に方向転換して(ヨー回転)周囲を見回しています。 
ところが、ビロウドツリアブ♀は先ほどと全く同じ枯草に止まり直して、羽ばたきを止めずに吸水を再開しました。 
よっぽど、この枯草のミネラル含有量が多くて気に入ったのでしょう。 

素人目には羽ばたくカロリー消費がおそろしく無駄だと思うのですが、不安定な足場で体勢を保つには、羽ばたき続けないといけないのでしょう。 
天敵(捕食者)に襲撃されそうになったら直ちに飛んで逃げられるように、準備運動(アイドリングの羽ばたき)を怠らないようにしているのかもしれません。 
もうひとつ別の解釈を思いつきました。 
高速羽ばたきによる下向きの強風(ダウンウォッシュ、downwash)で濡れた枯草からの蒸発を促進し、毛細管現象による泥水の吸い上げを促進していたのかもしれません。 

ビロウドツリアブの吸水行動を初めて観察できて、感動しました。
ハイスピード動画のパートが第三者(視聴者)にはいくらなんでも長過ぎるかもしれません。
思い入れが強い私は、いくらでも見てられます。
編集でカットするのが忍びなくて、そのままお届けします。
愚直に長撮りしたおかげで、吸水後に排泄する決定的瞬間も記録することが出来ました。

つづく→

2025/03/26

鳥媒花のボケで採餌するセイヨウミツバチ♀【FHD動画&ハイスピード動画】

 

2024年4月中旬・午後14:20頃・晴れ 

山麓の農村部で道端に植栽されたボケ(木瓜)の赤い花にセイヨウミツバチApis mellifera)のワーカー♀が何匹も集まって訪花していました。 
早春に咲くボケは典型的な鳥媒花のはずなのに、昆虫の送粉者が訪花していたことに驚愕し、とても興奮しました。 
関連記事(4、5年前の撮影)▶  

後脚の花粉籠が空荷の個体もいれば、黄色い花粉団子を付けて運んでいる個体もいます。 
のどかな農村部は静かなので、耳を澄ますと蜂が飛び回る羽音がかすかに聞こえます。 
キジ♂がケンケーン♪と母衣打ちする鳴き声もかすかに聞こえました。 

ときどき2匹のミツバチが同じボケの花でニアミスすることがありました。 
どうやら同じコロニーから来た仲間のようで、1/5倍速のスローモーションでリプレイしても小競り合いや占有行動は見られませんでした。 

ボケの花から飛び立つ瞬間を狙って、240-fpsのハイスピード動画でも撮ってみました。(@2:22〜) 
訪花の合間に空中でホバリングしながら左右の脚を擦り合わせています。 
体毛に付着した花粉を身繕いでまとめて、後脚の花粉籠に移すのです。 


【考察】
この時期の虫撮り動画で一番興奮した大事件です。
図鑑や送粉生態学の教科書に書かれている「ボケは典型的な鳥媒花である」という定説に対する反例が撮れました。 
ミツバチの視覚に赤色はあまり見えていないはずなので、花弁が赤い品種のボケに訪花しているのは、とても意外です。 
撮影後にボケの花を直接嗅いでみて、芳香がないことを確認しました。 
セイヨウミツバチが新たな蜜源植物を学習によって開拓しつつあるのでしょうか? 
それともボケが鳥だけでなく昆虫も誘引するように進化しつつあるのでしょうか? 
急速に進行する温暖化の影響でフェノロジー(花暦・生物季節学)が撹乱され植物と送粉者の結びつきが失われると、両者にとって死活問題です。
何かしら進化・適応しない種は、滅亡するしかありません。 
特定の種類の送粉者に依存してしまっている植物は、リスクヘッジする(送粉者の多様性を高める)方向に進化しないと、絶滅のリスクが高いでしょう。
生物の進化スピードでは対応できないほど、人類によってもたらされた地球温暖化のスピードが急激過ぎる点が大問題なのです。

そもそも鳥媒花と虫媒花は排他的な関係ではないのかもしれません。
教科書では分かりやすく伝えるために「ボケは鳥媒花」と言い切っていただけで、実際は鳥が訪花することも虫が訪花することもあるのでしょう(確率が高いか低いかの問題)。




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2025/03/25

春の刈田で落穂拾いするドバト♀♂(野鳥)

 

2024年4月中旬・午後15:20頃・晴れ 

早春の田んぼで♀♂ペアと思われる2羽のカワラバト(=ドバト;Columba livia)が採食していました。 
田んぼに水を入れる前の刈田を歩き回りながら、あちこち啄んで落穂拾いをしているようです。 
ペアが互いに少し離れていたので、同じ画角で撮れませんでした。 
1羽に注目して動画を撮影していたらパートナーが先に飛び立ち、その羽音に反応してこちらの個体も飛び去りました。 

1/5倍速のスローモーションでリプレイ。(@0:21〜) 
飛び立つ直前にピョンと跳んで90°向きを変えてから、力強く羽ばたいて飛び去りました。 


関連記事(8、9年前の秋に撮影)▶  

2025/03/24

ハシブトガラスが何度も来て覗き込む巣穴の奥には死骸が埋まっている?【野鳥:トレイルカメラ】

 

2024年4月上旬 

シーン1:4/3・午前9:10・くもり・気温10℃(@0:00〜) 
平地の二次林で死んだニホンアナグマの営巣地(セット)を監視し続けると、ハシブトガラスCorvus macrorhynchos)が登場しました。 
アクセストレンチから巣口Rの奥を覗き込み、細根(落枝?)を嘴で咥えて巣口から引っ張り出そうとしています。 
咥えた小枝を持ち去らなかったので、これは巣材集めの行動ではなさそうです。 
以前、この巣穴を乗っ取って住み着こうとしたタヌキが戸締まりのためにバリケードとして置いた落枝をカラスが撤去しているようです。 

下半身の麻痺が進行した「いざりタヌキ」が巣穴の奥で餓死しているのではないかと私は疑っているのですが、カラスも死臭を嗅ぎ取って(※追記参照)侵入を試みようとしているのかもしれません。 
やがて別個体のハシブトガラスが飛来し、セットの広場に舞い降りると、巣口Rに近づきました。(@0:29〜) 
更に別個体がセットを見下ろすマルバゴマキの樹冠に飛来して止まったようです。 

※【追記】
カラスは嗅覚が鈍く、専ら視覚で餌を探すのだそうです。


シーン2:4/3・午前9:12・くもり・気温11℃(@1:00〜) 
別アングルで設置した監視カメラでも撮れていました。 
左から歩いて来たハシブトガラスが巣口Lの奥を覗き込んでから、左上に飛び去りました。 
好奇心旺盛なカラスも、さすがに巣穴の中に潜り込む度胸はないようです。 


シーン3:4/3・午前9:12・くもり・気温12℃(@1:47〜) 
2羽のハシブトガラスが巣口Rから落葉灌木の樹上に飛び上がりました。 
止まり木で右を向いてカー♪と一声鳴きました。 
耳を澄ますと、少し離れた別個体と鳴き交わしているようです。 
樹上のカラスが、目の前にブラブラしていた細い枯れ枝を嘴でポキンと折って捨てました。 
巣材集めでも威嚇行動でもなさそうです。 
死骸があることは分かっているのにそれを食べることが出来ないフラストレーション(欲求不満)からきた転移行動なのかもしれません。
木から木へ次々と飛び移り、右へ飛び去りました。 


シーン4:4/3・午前10:25・くもり・気温12℃(@2:47〜) 
またもやハシブトガラスが巣口Rの奥をしつこく覗き込んでいます。 
カーカー♪と澄んだ声で繰り返し鳴き、左に少し歩いてから、今度は早いリズムでカーカー♪鳴きました。 


シーン5:4/7・午前7:14・晴れ・気温12℃(@3:47〜) 
3日後の朝にもハシブトガラスがセットに降り立ち、巣口Lの奥を覗き込んでいました。 
そのカラスが急に慌てて飛び去ったので、巣穴の主が飛び出してくるかと期待したのですが、その予想は外れました。
仲間の警戒声♪に反応したのかな? 
その後もカラス同士で鳴き交わす声だけ聞こえます。 


【考察】 
カラスは死骸(腐肉)を食べるスカベンジャーです。 
そのカラスが巣穴の奥を繰り返し覗き込んでいることから、中に死骸が埋まっていることが強く示唆されます。
 
死骸の素性について、2つの可能性が考えられます。 
(1)この営巣地で越冬中に死んだニホンアナグマ。 
巣外(営巣地の端)で見つかったアナグマの死骸は、カラスやタヌキによって食べられている最中に引きずって運ばれ、行方不明になりました。 
タヌキが食べ残しの死骸を巣穴の中に隠した可能性が考えられます。(貯食) 
しかし、死骸を巣内に搬入するシーンがトレイルカメラによって撮れていない点がネックです。
(2)下半身の麻痺が進行した「いざりタヌキ」が巣内で餓死した。 
巣口Lで長時間日光浴した後で行方不明になりました。

つまり、この巣穴はアナグマとタヌキが続けざまに死んだ、いわくつきの事故物件ということになります。
巣穴を発掘調査して死体の有無を確かめたいのですが、繁殖期が始まる春に巣穴を破壊したくありません。 
ちなみに、私の鼻では巣口で死臭を感じたことはありません。

穴居性の野生動物が巣穴の奥で死んだ場合、その死骸を誰が処理するのでしょう?
スカベンジャーのカラスが狭いトンネルの中に潜り込んでまで死骸を食べることはないようです。 
暗くて狭いトンネルの中でカラスは目が見えず、不安なのでしょう。 
普通ならハエ類が死臭をいち早く嗅ぎつけて集まり、産卵するはずですが、巣穴の奥には侵入できないようです。 
ハエは暗闇で飛べませんし、巣口から長い距離を歩いて巣穴の奥にある死骸へ向かう行動は知られていません。 
巣穴の奥に横たわる死骸は、おそらくアリなどの土壌生物によって少しずつ食べられて分解されると推測しています。 

複数個体の野生動物が同居している巣穴の場合はどうでしょうか?
誰か1匹が巣内で死んだら、仲間(家族)がその死骸を食べてしまうのでしょうか? 
それとも巣内の衛生環境を保つために、死骸はその場に埋葬されたり、巣外に運び出されて捨てられたりするのかもしれません。 
(社会性免疫行動として、アリなどで有名です。)
巣内の様子を隅々まで長期観察するのは困難なので、こうした問題はほとんど調べられていないようです。



2025/03/20

下半身を麻痺したホンドタヌキが巣口で日光浴しながら死を待つ間、その様子をハシブトガラスが偵察【野鳥:トレイルカメラ】

 



2024年4月上旬 

死んだニホンアナグマMeles anakuma)の旧営巣地(セット)をホンドタヌキ♀♂(Nyctereutes viverrinus)が乗っ取ったようなので、引き続きトレイルカメラで見張っています。 


シーン1:4/1・午前11:27・晴れ・気温21℃(@0:00〜) 
(交通事故が原因で?)麻痺した下半身を引きずって歩く「いざりタヌキ」がいつの間にか現れました。 
どこから来たのか不明ですが、平地の二次林にある獣道から巣口Lに向かっているようです。 
動きが緩慢過ぎて、トレイルカメラのセンサーが検知しにくいのかもしれません。 


シーン2:4/1・午前11:54・晴れ・気温20℃(@1:00〜) 
約26分後、いざりタヌキは巣口Lの窪みにすっぽりと丸まるように収まっていました。 
動きが乏しいので、5倍速の早回し映像でお届けします。 
ときどき周囲をキョロキョロ見回しているので、昼寝している訳ではありません。 


シーン3:4/1・午後12:09・晴れ・気温19℃(@1:16〜) 
シーン4:4/1・午後12:16・晴れ・気温20℃(@1:28〜) 
強い春風が吹いているものの、よく晴れた昼下がりなので、日光浴しているようです。 


シーン5:4/1・午後12:24・晴れ・気温23℃(@1:40〜) 
もう一つの巣口Rの近くに1羽のハシブトガラスCorvus macrorhynchos)が来ていました。 
何か細長いものを嘴で地面から摘み上げました。 
しかし、どうも真剣な採食行動や巣材集めをしているようには見えません。 
採食のふりをしているだけの偵察行動で、いざりタヌキが死ぬのを虎視眈々と待っているようです。 
「いざりタヌキ」が日光浴をしている巣口Lにハシブトガラスは近寄りませんでした。 


シーン6:4/1・午後12:26・晴れ・気温25℃(@2:40〜) 
約1分後、ハシブトガラスは居なくなっていました。 
林床に落ちた影を見ると(赤丸)、巣口Lを見下ろす樹上にカラスが止まって、「いざりタヌキ」の様子を見張ってました。 
カラスが飛び去ると、その飛影が林床を横切ります。

「いざりタヌキ」は飢えているはずですが、視力は正常なようで周囲を警戒しています。 


シーン6:4/1・午後12:26・晴れ・気温25℃(@3:07〜)
シーン7:4/1・午後12:35・晴れ・気温22℃(@3:24〜)
シーン8:4/1・午後12:52・晴れ・気温23℃(@3:36〜)
もはや出歩くことが出来ない「いざりタヌキ」は、巣口Lでひたすら日光浴しています。 


シーン9:4/1・午後13:03・晴れ・気温21℃(@3:47〜)
いつの間にか巣口Lから「いざりタヌキ」の姿が忽然と消えていました。 
麻痺した下半身を引きずりながら、最期の力を振り絞って手前に立ち去ったのか、それとも巣穴Lの中に入ったのか不明です。 
おそらく後者ではないかと予想していますが、この後いざりタヌキが巣穴Lから外に出るシーンは撮れていません。 
そして、これが「いざりタヌキ」の生きた姿が撮れた最後になりました。 
(その後はまったくトレイルカメラに登場しなくなり、行方不明のままです。) 

餌も水も取れなくなれば、死を待つ他ありません。 
仲間の健常タヌキが「いざりタヌキ」をいたわって甲斐甲斐しく給餌するような感動的な利他行動は記録されていませんでした。 
私も後日、この二次林でタヌキの死骸を探し歩いたのですが、見つかりませんでした。 
カラスや仲間のタヌキに死骸を食べられたり持ち去られたのではないかと推測しました。
ところが数カ月後に、「いざりタヌキ」かもしれない腐乱死骸が巣穴Lから運び出され、驚愕することになります。(映像公開予定) 

こういう「可哀想な野生動物の映像」を撮って公開すると、「傍観してないで、すぐに保護して動物病院に連れていけ!」と怒る人が必ず出てきます。 
ライブカメラではないので、私は現場に設置した監視カメラをリアルタイムで見ている訳ではありません。
数日後に現場入りして、トレイルカメラで録画した動画を確認して初めて、ここで何が起きたかを知るのです。
つまり、どうしてもタイムラグが生じます。 
現場周辺を探しても、死を待つ「いざりタヌキ」はどこに隠れているのか、その姿は見つかりませんでした。 
「いざりタヌキ」がよく現れた場所にドッグフードや飲み水などを給餌するべきでしょうか? 
一方で、野生動物の暮らし(生老病死)にヒトは一切介入するべきではない、というストイックな考え方もあります。 


2025/03/19

早春の雑木林でウソ♂と遭遇(冬の野鳥)

 

2024年4月上旬・午後13:50頃・晴れ 

平地の二次林で、早春なのに冬鳥のウソPyrrhula pyrrhula)の群れと遭遇しました。 
動画に撮れたのは、1羽の♂だけです。 
落葉灌木(樹種不明)の止まり木から飛び去りました。 

ところで、最後にカッカッ♪と聞こえた鋭く短い鳴き声が気になります。
同じく冬鳥であるジョウビタキPhoenicurus auroreus)が私に対して発した警戒声かもしれませんが、その姿を見ていません。 

※ 鳴き声が聞き取れるように、動画編集時に音声を正規化して音量を強制的に上げています。


2025/03/16

交尾器を結合したまま飛んで逃げるミドリヒョウモン♀♂【FHD動画&ハイスピード動画】

 

2023年6月中旬・午前11:55頃・晴れ 

里山の林道沿いでヨモギの葉に乗って交尾中のミドリヒョウモン♀♂(Argynnis paphia)を見つけました。 
翅を閉じたまま互いに逆向きで交尾器を結合しています。(反向型交尾体位) 
よく見ると、連結した腹端だけヒクヒクと動いています。 
葉の上なので、当然ながら口吻は縮めたままでした。 

左の個体Lが♂で、右の個体Rが♀でした。 
♀の翅裏の地色は緑味が強く暗化しており、前翅の翅頂に三角形の白班が透けて見えます。 

私は交尾中の蝶の連結飛翔に興味があるので、240-fpsのハイスピード動画に切り替えて撮ってみました。(@0:29〜) 
物を投げつけて強制的に飛び立たせると、ミドリヒョウモン♀Rの方が先に反応して羽ばたきを開始しました。 
交尾器を連結したまま♀が主導権を握って♂を引っ張って飛び去りました。 
つまり、今回の連結飛翔は「←♀+♂」タイプでした。 
♂Lも少し遅れて反応したものの、すぐに翅を閉じて♀に身を任せます。 

緊急避難で♀♂ペアが同時に羽ばたくと逆方向に飛ぶことになり、上手く逃げられないどころか、交尾器が引きちぎられてしまいます。 
たとえ身の危険が迫っても、結合した交尾器は簡単には外れないようです。
したがって、蝶の連結飛翔では必ず♀♂どちらかが主導権を握らなければなりません。 
「チョウの種類によって、♀♂どちらが主導して連結飛翔するかタイプが違う」と本で読んだので、実例を少しずつ撮り貯めています。 

関連記事(9ヶ月前の撮影:←♂+♀タイプ)▶ ミドリヒョウモン♀♂の交尾と連結飛翔【FHD動画&ハイスピード動画】

しかし、その定説はどうも眉唾のような気がしてきました。 
交尾中の♀♂ペアはとても無防備なので、互いに逆を向いて見張りを分担し、360°油断なく見張っているはずです。 
物を投げつけたり敵が襲ってきたりした場合、それを先に見つけた個体が性別に関係なく逃避行動を開始するのが自然ではないでしょうか? 
主導権を握って羽ばたく個体が離陸直後に切り替わる♀♂ペアを私は今まで一度も見たことがありません。 
つまり、試行回数(観察サンプル数)を充分に増やせば、連結飛翔のタイプはチョウの種類に関係なく半々の確率に落ち着くのではないかと私は予想しています。
スローモーションで動画が手軽に撮れる時代が来る前に、いにしえの先人たちが少ないサンプル数の直接観察から早まった結論に達したのではないかと私は密かに疑っています。
物を投げつけて交尾ペアを飛び立たせた場合は、どちらの方向からどこを目がけて物を投げたのか(♀♂どちらが先に危険に気づくか)も、記録しておく必要がありそうです。 
交尾中の♀♂ペアが自発的に飛んだ場合でも、上空を別のお邪魔虫や鳥がどの方向から飛来したのか、などの条件によって連結飛翔の結果が影響されそうです。 





2025/03/15

カラスの群れにモビングされて逃げる昼間のフクロウ(野鳥)

 

2024年4月上旬・午後13:25頃・晴れ 

平地の二次林でカラスの群れが鳴き騒ぎ、猛禽を追い回していました。 
カラスの繁殖期が始まったので、営巣する縄張りから天敵を追い出すモビング行動(擬攻撃)が激しくなっているのです。 
落葉灌木に止まった猛禽の正体は、フクロウStrix uralensis)でした。 
昼間にフクロウの姿を初めて撮れて、感動しました! 
フクロウのすぐ左にはカラスが止まっていて、嫌がらせをしています。 
ようやく春になり、落葉していた二次林でもマルバゴマキ(別名マルバゴマギ、ヒロハゴマキ、オオバゴマキ)の若葉がいち早く開き始めています。 

樹上のフクロウが飛び去る瞬間を1/5倍速のスローモーションでリプレイ。(@0:43〜) 
二次林から隣接するスギ防風林の方へとフクロウは逃げて行き、その後を複数のカラスがしつこく追いかけていきます。 




その後、カラスの群れに追いたてられて逃げていくフクロウをもう一度目撃したのですが、証拠動画を撮り損ねました。 
カラスにモビング(擬攻撃)されるフクロウという対決の構図を動画に撮るのなら、もっと引きの絵で両種を同時に撮るべきでした。 
しかし、夜行性のフクロウを生まれて初めて直に観察できた私は興奮してフクロウに思いっきりズームインしてしまい、カラスの姿が撮れていません。 
そのため、カラスの種類が分からないのですが、濁った嗄れ声で鳴いていたことから、ハシボソガラスではないかと思います。(※ 追記参照) 

実は35分前にも、現場近くでフクロウの鳴く声を聞いています。
「ゴッホウ ゴロッケ ゴゥホウ」という♂の囀りさえずりでしたが、残念ながら録音できず。
フクロウの営巣木が近くにあるとすれば嬉しいのですが、まだ樹洞を見つけられていません。 
二次林に侵入した私に対して、フクロウが警告声を発したのでしょうか? 
昼間にフクロウが鳴くとそれを聞きつけたカラスが周囲から集まり、血眼になって探し出してモビングが始まるのかもしれません。 
夜になると力関係は一転して、夜行性フクロウの天下です。 
塒入りしたカラスをフクロウが捕食するのかもしれません。 

この辺りの林床でたまに見つかる鳥の死骸は、フクロウのしわざだった可能性が出てきました。 
関連記事(半年、1年前の撮影)▶  


昼間にフクロウと出会えた状況は、神垣健司『森の賢者 フクロウ』に書いてある通りでした。
フクロウは極めて警戒心が強く臆病な野鳥である。そのため人が近づいたときには、人が気づく前に飛び去って姿を消してしまう。そのため人がフクロウを見ることは非常に難しいのだ。ただ、フクロウを目撃できるケースが2通りある。ひとつは昼間、カラスに追い出されて森から出てきたとき、もうひとつは夜に道路際などで獲物を探しているときである。ただ、こうした機会に出会うことは稀である。(第3章:森に生きる p32より引用)



※【追記】 
猛禽に対してモビングするカラスの鳴き声だけから、カラスの種類を区別できるでしょうか? 
Perplexity AIに質問すると、以下の回答を得ました。
結論から言うと、単純な聞き分けは難しいらしい。
 
モビング中は通常時と異なる緊迫した状況であり、以下の点が考えられます: ハシボソガラスは威嚇時に「グワララ」など濁った声で鳴くことが多い3。 ハシブトガラスも威嚇時には澄んだ声だけでなく濁った声を出すことがあるため、通常の鳴き声からの区別が難しくなる場合がある。

【アフィリエイト】 

2025/03/13

下半身が麻痺したまま巣口で座り込んで動けないホンドタヌキの横で巣材を集めるハシブトガラス【野鳥:トレイルカメラ】

 

前回の記事:▶  


2024年3月下旬 

ニホンアナグマMeles anakuma)が死んだ後も、自動撮影カメラでその営巣地(セット)の監視を続けています。 
ホンドタヌキ♀♂(Nyctereutes viverrinus)が巣穴を乗っ取ったようです。 

シーン1:3/30・午後16:04・晴れ・気温14℃(@0:00〜) 下半身を麻痺した個体と思われるタヌキが、巣口Lから顔を出して外の様子を伺っています。 
心なしか、ブルブル震えているようです。 
足が不自由で食べ物を充分に摂れず、カロリー不足で低体温なのでしょう。
夕方の時間帯は巣口Lの窪地は日が当たらず、日光浴もできなくなりました。 

そこへハシブトガラスCorvus macrorhynchos)がタヌキの目の前に舞い降りました。 
画角の左端でカラスの顔が見切れてしまい、何をしているのか分からなかったのですが、くるっと振り返って右を向いてくれたら、ハシブトガラスが嘴に獣の抜け毛の束を咥えていました。 
産座に敷き詰める巣材を集めているようです。 
アナグマの死骸を食べていたタヌキが死骸を巣口Rの近くまで引きずってきて、そこからカラスは毛を毟り取って来たのかな?


 ハシブトガラスは、巣口Lで身動きできない「いざりタヌキ」から体毛を直接毟りたそうにしていますが、実行しませんでした。 

しばらくすると、ハシブトガラスが2羽一緒に左から登場しました。 
まさか、スカベンジャー(死肉食)のカラスが衰弱したタヌキの死を待ちきれずに、襲って捕食するでしょうか? 
足腰の弱った「いざりタヌキ」は、カラスに襲われないように巣口Lに籠城しているのかもしれません。 
健常個体のタヌキなら、これほど至近距離にカラスが来て挑発したら、逆に襲いかかろうとしたりカラスを追い払ったりするはずです。 


シーン2:3/30・午後16:07・晴れ・気温20℃(@0:00〜) 
別アングルに設置した監視カメラで続きが撮れていました。 
(こちらのカメラには西日が直接当たって、気温が高く表示されます。) 

巣口Lの窪みに座り込んだ「いざりタヌキ」が身震いし、毛繕いを始めました。 
その近くでハシブトガラスがタヌキの様子を見ています。 
死期が近いのを知っていて、あわよくば生きているうちから捕食したいのでしょうか?
産座用の巣材としてタヌキの毛を直接毟り取りたいのかもしれません。 
カラスはトコトコ歩いて営巣地を横切ると、もうひとつの巣口Rに行くと中の様子を覗き込みました。 
林床で巣材となる枯れた落ち葉(アナグマの死骸由来の抜け毛かも?)を拾い集めると、右に飛び去りました。 


ハシブトガラスの巣材集めを1.5倍に拡大した上でリプレイ。(@2:00〜) 


シーン3:3/30・午後16:07・晴れ・気温16℃(@2:18〜) 
その後も、巣口Lで呆然としている「いざりタヌキ」の様子を5倍速の早回しでご覧ください。 
もしかすると、巣口Lの窪みにはまってしまって、抜け出すことが出来ないのかもしれません。 
下半身が麻痺した状態で地中の巣穴に出入りするのは大変です。 
下手したら、二度と地上に出れなくなるかもしれません。 

この後どうなったのか、とても気になりますが、監視カメラに写っていませんでした。 


つづく→

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