2025/09/17

オニグルミの堅果に誘引される謎の夜蛾を狩り損なった野ネズミ【トレイルカメラ:暗視映像】

 

2024年7月上旬・午後21:00頃 

シーン0:7/1・午後13:14・くもり(@0:00〜) 
明るい日中にたまたま撮れた現場の状況です。 
里山で野ネズミやリスを観察したくて、朽ちて斜めに倒れたスギの倒木に給餌箱をくくりつけました。 
真っ白なプラスチックの容器を再利用したのですが、白では山林内であまりにも目立つため、黒いビニールテープを容器の外側にグルグル巻きに貼って隠蔽しました。 
(本当は茶色や迷彩柄のテープを使いたかったのですけど、田舎ではすぐ入手できなかったので仕方がありません。) 
給餌箱に塗料を塗るのは野生動物にとって刺激に強い異臭になると思って、次善の策でビニールテープを使いました。 

今回の餌は、前年に拾い集めておいたオニグルミの堅果を餌箱に30個投入しました。 
果皮はすでに取り除いてあります。 
すると予想通り、野ネズミ(ノネズミ)が給餌箱に通ってきて、クルミをせっせと1個ずつ持ち去りました。 
(その動画は近日公開予定。) 


シーン1:7/1・午後21:41(@0:03〜) 
2頭の夜蛾が飛来して、餌箱の外側に止まりました。 
長いのでここは5倍速の早回しでお見せします。 


シーン2:7/1・午後21:58(@0:14〜) 
野ネズミが居なくなると、入れ替わるように夜蛾が左から飛来してスギの倒木に着地したものの、すぐにまた少し飛んでから容器内に着陸しました。 
どうやらオニグルミの匂いに誘引される、夜行性の蛾がいるようです。 


シーン3:7/1・午後22:02(@0:42〜) 
トレイルカメラが起動したことに驚いたのか、左の餌箱に来かけていた野ネズミが空荷で慌てて倒木を右へ逃げていきます。 
その間にも餌箱の付近を謎の夜蛾が飛び回っています。 

しばらくすると、さっき逃げた野ネズミが餌箱に駆け戻りました。 
餌箱の縁で夜蛾を見つけた野ネズミが素早く飛びかかろうとして、餌箱から下に落ちました。 
野ネズミの無鉄砲な狩りは失敗に終わり、夜蛾は素早く飛んで逃げました。 

野ネズミが夜蛾に襲いかかった決定的瞬間を1/3倍速のスローモーションでリプレイ。(@1:03〜) 
もしかすると狩りを試みたのではなくて、暗闇で顔のすぐ近くを飛んだ蛾に驚いた野ネズミが餌箱から飛び降りて逃げただけかもしれません。 
餌箱の地面からの高さを測り忘れましたが、野ネズミが落ちて死ぬような高さではありません。(数十cm)


シーン4:7/1・午後22:04(@1:17〜) 
約1分半後、監視カメラが何に反応して起動したのか不明です。 
戻ってきた夜蛾がしばらく飛び回ってから、餌箱内のクルミに着陸しました。 


シーン5:7/1・午後22:46(@1:29〜)
斜めの倒木を右から来た野ネズミが登ってきました。
しかし途中で立ち止まり、少し離れたところから餌箱を見ているだけです。
その間に謎の夜蛾が飛来し、クルミの餌箱に着陸しました。
野ネズミはフリーズしたまま微動だにしません。
さっき(約45分前に)の野ネズミと同一個体だとしたら、餌箱から落ちて痛い目に遭ったので、夜蛾を恐れるようになったのかな?



【考察】 
オニグルミの堅果(植物学的に厳密に言うと、核果状の堅果)の山を野外に給餌したところ、夜行性の蛾が1頭だけでなく複数が誘引され、飛来しました。
この謎の蛾の正体が気になります。
白黒の暗視映像では蛾の翅の色や模様も分かりませんし、現地で採集しないことには同定できません。
素直に推理すると、オニグルミの果実に産卵または吸汁する蛾がいることになります。

現場は低山にあるスギ植林地の端で、オニグルミの大木が近くに1本そびえ立っていました。
つまり、問題の蛾はオニグルミ樹上にある生の果実や枝葉の匂いに集まって飛び回っていたのに、私が地上付近に置いた古いクルミ堅果の山の匂いに撹乱されて寄り道しただけかもしれません。

いつものようにPerplexity AIに相談してみました。 
すると、果実吸蛾類ではないか?とおかしな回答をされました。
果実吸蛾類は果樹の液果に集まるのであって、堅果には来ないはずです。
オニグルミの果実は全く甘くありませんし、むしろ渋いタンニンが多く含まれています。
しかも、謎の夜蛾が誘引されたのは、果皮を剥いてから乾燥保存しておいた1年前の古いオニグルミ堅果です。
いくら悪名高い果実吸蛾類でも、クルミの固い殻に口吻を突き刺すことはできないはずです。
乾燥堅果自体には糖分・芳香成分が乏しく、蛾は吸汁・産卵の対象として認識しにくいはずなのに、複数個体が誘引されたのはとても不思議です。

次の仮説として、ハマキガ科のコドリンガCydia pomonella)をPerplexityは教えてくれました。
幼虫がバラ科果実やくるみ果実及び核子に食入し、加害する。(植物防疫所の病害虫情報サイトより引用)

つまり、クルミの実に産卵する蛾がいるらしいのです。
ところがよく調べると、コドリンガは欧州原産の外来種であり、日本国内にはまだ定着していないらしい。(「侵入生物データベース」サイトより)
私のフィールドは山形県なので、コドリンガの可能性は除外してもよさそうです。

最後にPerplexityは、食品害虫や貯穀害虫の蛾ではないか?と私が思いつかなかった仮説を教えてくれました。
確かに台所に保管した乾物やドライフルーツに蛾がよく集まって産卵し、幼虫が食害します。
日本の野山に生息する貯穀害虫の蛾の例としては、ノシメマダラメイガ(Plodia interpunctella)が挙げられます。この蛾は世界中で知られる貯穀害虫で、穀物を中心に乾燥食品に産卵・幼虫が食害を起こしますが、日本国内でも野外で確認例があります。

貯穀害虫の野生生息・飛来可能性
ノシメマダラメイガは主に屋内や貯蔵施設での被害が多いため「貯穀害虫」と分類されますが、野外でも発生例が報告されており、山間部や林縁、果樹園付近などに普通に飛来します。

幼虫は穀物・乾燥植物質を食べるため、野山の落ち果実、落ち種子、乾燥した植物材にも自然に入り込み生息できる環境がある可能性があります。

乾燥堅果や植物種子を餌にしていることが確認されているため、野外に置かれた乾燥オニグルミ堅果に飛来する蛾として全くありえない話ではありません(Perplexityの回答)

ノシメマダラは以前飼育したこともあり馴染みのある蛾なので、トレイルカメラの映像は違うと自信を持って言えます。
白黒の暗視映像からは翅の色や斑紋が分かりませんが、ノシメマダラよりも大きくて幅広い翅を持つ種類でした。
例えばカシノシマメイガなどに近いかもしれません。

カシノシマメイガは主に人家周辺や貯穀庫で発生しますが、里山や山間部の林縁など自然環境にも普通に飛来・生息しています。したがって、里山のオニグルミ堅果に飛来した大型で幅広い翅を持つ蛾として十分に現実的な候補種です。(Perplexityの回答)

以上の考察は、あくまでも推理でしかありません。
再実験をして謎の蛾を採集するまでは、未解決のままです。
野外で蛾を採集する方法として様々なトラップ法が開発されてきましたが、私がたまたま考案した「クルミ・トラップ」や「ナッツ・トラップ」に集まる蛾を真面目に調べれば、何か面白いことが分かるかもしれません。
誰かがすでにやってるかな?



つづく→

アンズの落果に飛来した夜行性の蛾(果実吸蛾類?)【トレイルカメラ:暗視映像】

 

2024年7月上旬・午前3:50頃 

アンズ(杏)の木の下で拾い集めた落果を1箇所にまとめて置き、自動撮影カメラで見張っています。 
未明に低空で飛び回っていた1頭の蛾(種名不詳)が、アンズ落果の山に着地しました。 
熟したアンズ果実の芳香に誘引されて夜蛾が飛来したのでしょう。 
これからというところで録画が打ち切られてしまいましたが、おそらく口吻を伸ばして滲み出る果汁を吸汁するはずです。 

蛾は変温動物ですから、本来トレイルカメラの熱源センサーは反応しないはずです。 
実はこの直前に野ネズミが来ていたので、たまたま撮れた映像のようです。 



夜行性の蛾の中には、果樹園の害虫として嫌われている果実吸蛾類がいます。 
落果から吸汁する分には問題ないのですが、樹上で実っている果実に蛾が口吻を突き刺して吸汁すると、その刺傷から果実の腐敗や感染が広がって商品価値が失われます。 
果樹園農家はこうした吸蛾類の防除に昔から苦労しているのです。 
対策としては、なるべく殺虫剤を散布したくないので、果実を1つずつ袋掛けをしたり、果樹を目の細かい網で覆ったり、誘蛾灯を設置したりするそうです。 

原色図鑑 夜蛾百種: 吸蛾類を中心として』という書籍によると、
・果実吸蛾類とは、多くの種類の果実に口器を刺し込んで果汁を吸汁する蛾類を総称していう。 
・多くが鱗翅目ヤガ科に属することと、その加害活動が主に夜間に限られることが特徴。 
・吸蛾類は成熟して軟化した果実、また高い甘みをもつ果実を好む。 
・加害を受けた果実は、二次的に菌類が寄生するなどして、やがて腐敗する。 
成虫は丈夫な鋭い口器をもち、成熟前のかなり硬い果実も吸収するほか、袋の掛った果実でも果袋を通して吸収加害する能力をもっている。 (以上、p106より抜き書き引用)


虫好き・蛾好きとしては、夜な夜な果樹園を巡って蛾を探してみるのも面白そうです。(もちろん立ち入る許可が必要です。) 


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2025/09/16

営巣地の落葉落枝で独り遊びするニホンアナグマの幼獣【トレイルカメラ】

 



2024年7月上旬・午後15:45頃・晴れ・気温31℃ 

ニホンアナグマMeles anakuma)の営巣地(セット)に大き目の木漏れ日が落ちていて眩しいです。 
2つの巣口L、Rの中間地点にいた幼獣が、地面に転がっている太い落枝に興味を示して匂いを嗅いだり甘噛みしたりしています。 
次に、上からぶら下がっている(途中で引っかかっている?)オニグルミの落ち葉(長い葉柄つき)に気づくと、パン食い競争のように口で咥えて引っ張りました。 
無邪気に独り遊びする幼獣がなんとも微笑ましい光景でした。 

その間、他の幼獣たちは、各自で営巣地をうろついて餌を探しているようです。 
母親♀は監視カメラの死角にいるのか、姿が見えません。 


つづく→

マユミの枝先に産み付けられたモリアオガエルの泡巣が雨で溶け落ちるまで【トレイルカメラ:昼夜の微速度撮影#7】

 



2024年7月上旬〜中旬

山中にあるモリアオガエルRhacophorus arboreus)の繁殖池で、岸辺に自生する灌木に産み付けられる白い泡巣を長期間観察しています。 
これまでタイムラプス専用カメラで定点観察してきたのですが、旧機種のトレイルカメラを新たに追加投入し、終日5分間隔のインターバル撮影を行いました。 
11日間の記録です(7/5〜7/16)。 
本当は従来どおり1分間隔で撮りたかったのですが、旧機種のトレイルカメラではなぜか5分間隔が精一杯です。 
トレイルカメラを使う利点は、昼間だけでなく夜も赤外線LEDによる暗視撮影ができることです。 

タイムスタンプ(撮影日時)だけでなく、気温や月齢のデータも画面に焼きこまれているのはありがたいです。 
池の岸辺から張り出したマユミ灌木の横枝にわずかに残った新鮮な白い泡巣に狙いをつけて監視することにしました。
すでに崩壊した古い泡巣がいくつも見えます。

7月中旬に現場入りすると、待望の大雨が降ったおかげで、今季初めて池が満水状態になっていました。 
岸辺に設置したトレイルカメラが水没しているのではないかと心配だったのですが、無事でした。 
池畔の木々の枝先に新たな泡巣はもう産み付けられなくなりました。 

確認すると、ようやく自分でもだいぶ納得のいく(イメージに近い)タイムラプス動画が撮れていました。 
マユミの枝葉に産み付けられた白い泡巣の表面が固くなり、やがて雨で溶け落ちてモリアオガエルの幼生(孵化したオタマジャクシ)が下の池に入水するまでの様子が刻々と記録されていました。 
トレイルカメラの真上に雨よけの庇を取り付けたのが役立ったようで、梅雨時でもレンズがほとんど濡れずに済みました。 

予想通り、夜はモリアオガエルの成体がマユミの樹上に集まっていました。 
おそらく、この時期はほとんどの個体が♂で、♀はもう来なくなったようです。 
残念ながら、5分間隔のインターバル撮影ではカエルの木登り移動の様子や離合集散(求愛と抱接産卵)が分かりにくいです。 


【考察・反省点】
撮れたタイムラプス動画をご覧の通り、モリアオガエルの繁殖期はもう終わったようです。 
昼も夜も連続撮影できるトレイルカメラをもっと早く(初めから)投入したかったのですが、同時進行している他のプロジェクトとの兼ね合いで遅れてしまいました。 

被写体との距離が近すぎて、暗視するために照射する赤外線が白飛びしてしまいました。 
旧機種のトレイルカメラには赤外線の強弱を調節する設定がないので、赤外線LEDに光を和らげるディフューザーを被せるように取り付ければよかったですね。 
現場の状況から、被写体(樹上の泡巣)からの距離を離してカメラを設置することがどうしても無理なのです。
池の中に三脚を立てることができれば確かに撮りやすいのですが、梅雨時に機材が水没するのが怖くて敢行できませんでした。

カメラを設置したときに画角の水平が取れておらず、対岸の水面が斜めにずれてしまいました。 
現場で試写した後に画角をしっかり確認するには、池に入る必要があったのですが、底なし沼のように長靴がズブズブと泥濘に沈むのが嫌で、ほとんど勘でトレイルカメラの角度を固定してしまいました。 

来季は高画質で撮れる新機種のトレイルカメラを使って1分間隔のインターバル撮影、赤外線LEDの照射距離はshort(弱)の設定で再挑戦してみたいものです。 
さらに別のトレイルカメラでモリアオガエルの泡巣を見張り、ニホンザルによる食卵シーンを動画で記録するのが来季の目標です。 


つづく→

2025/09/15

アナグマ母子の営巣地を夜にこっそり横切るイエネコ(キジトラ白足袋)【トレイルカメラ:暗視映像】

 



2024年7月上旬・午前4:15頃・気温22℃・日の出時刻は午前4:20。 

ニホンアナグマMeles anakuma)の母子家族が転入した営巣地(セット)を自動撮影カメラで見張っていると、日の出直前に近所のイエネコFelis silvestris catus)がやって来ました。 
足先だけが白いキジトラ模様の個体で、久しぶり(約1ヶ月ぶり)の登場です。 

二次林内の獣道を左から右へこっそり通り抜けました。 
アナグマの家族が暮らしている巣口Lには立ち寄ろうとしませんでした。 


つづく→

池で単独連続打水産卵するオオシオカラトンボ♀と警護飛翔する♂【FHD動画&ハイスピード動画】

 

2024年7月上旬・午前11:40頃・晴れ 

里山にあるモリアオガエルに繁殖池に来てみると、最近雨が降ってくれたおかげで池の水量が増していました。 
対岸付近の水面で打水産卵するトンボ♀を見つけました。 
体色が性的二型のトンボで、黄色の♀が単独で打水産卵する間に、水色の♂が近くをホバリング(停空飛翔)しながら♀を警護していました。 

同定用の写真を撮るよりも産卵行動を記録する動画を優先したのですが、動きが速くてしっかり合焦できませんでした。 
シオカラトンボ、シオヤトンボなどと迷ったのですが、打水産卵する♀の透明な翅の根元が黒かったので、オオシオカラトンボOrthetrum triangulare melania)の♀♂ペアと確定しました。 警護する♂は撮影アングルの問題で翅の根元が見えませんでした。
(シオヤトンボは成虫の出現時期と、腹部の色の違いから却下。) 

(オオシオカラトンボの)♀は単独で浅い水面を打水し、腹端ですくい上げた水と卵とを前方に飛ばす。♂は付近を飛んで警護することが多い。(ネイチャーガイド『日本のトンボ』p483より引用) 

関連記事(12年前の撮影)▶ オオシオカラトンボ♀ 


生物関連の本の中でも、たとえありふれた普通種でも一種類の生き物に絞って生活史や行動生態を徹底的に調べて渾身の一冊にまとめた本を私は好みます。 
そんな本の一つ『シオカラトンボ (カラーサイエンス 12)』によると、
・交尾のあとすぐに、めすは、水のなかに産卵します。このとき、おすはめすのまわりととんで見はります。 
・水草のはえた池や沼では、めすが卵を水てきといっしょに水草にむかって、腹のさきでとばして、産卵します。 (p30〜31より引用)
1985年に発行された40年前の古本ですが、交尾の連続写真(当時は高速連写できないので苦労して撮り貯めたカラー写真を再構成した組写真)なども掲載されていて、充実した内容です。 
最近はこうしたじっくり腰を据えた本を作る余裕がなくなっているのが残念です。 


動画の冒頭では、池の水面の上を水色のトンボと黄色のトンボが高速で飛び回っています。 
異種間の縄張り争いかと思って慌てて撮り始めたので、ズームインし過ぎてしまい、すぐに見失ってしまいました。 
1/5倍速のスローモーションでリプレイすると、産卵地点を探して飛び回るオオシオカラトンボ♀の後を同種の♂が追尾していました。 

黄色いトンボ♀が水面の上でホバリングしながら腹端を水面に叩きつける度に、水滴が斜め前方に飛んでいきます。 
単独で打水産卵に励む♀の近くを水色のトンボ♂が単独でホバリングしながら警護しています。 
オオシオカラトンボは、連結状態(尾繋がり)では産卵しないのです。

オオシオカラトンボ♀の連続打水産卵を240-fpsのハイスピード動画でも撮ってみました。(@1:58〜) 
♂の警護飛翔は写っていません。 

※ 晴れていてもスギ林に囲まれた池で遠くからズームインして撮影するとかなり暗い映像になったので、動画の一部は編集時に自動色調補正を施しています。 


つづく→産卵中のオオシオカラトンボ♀が捕食者に襲われると♂は守ってくれるのか? 


【考察】 
いつものようにPerplexity AIと問答を繰り返して、産卵行動についてブレインストーミングしました。 
トンボの種類をオオシオカラトンボと絞り込む手助けもしてくれました。 

オオシオカラトンボ♀の卵は、打水の度に前方に飛んでいく水滴の中に含まれているのか、それとも打水した瞬間に水中に沈むのか、どちらなのでしょうか?

打水産卵時の卵の挙動
オオシオカラトンボの打水産卵(飛水産卵)では、腹端を水面に打ち付けると同時に卵と水滴を一緒に前方へ飛ばす行動がみられます。

このとき腹端で水面をすくい上げた小さな水滴の中に卵が含まれていて、その水滴ごと水面の前方(浅瀬や水草の周辺)に飛ばされる、というのが標準的な解釈です。

連続して打水するので、水面には多数の小さな水滴が弧を描きながら飛び、卵もこれに含まれて飛ばされます。

詳細と補足
水滴は水面に再び落ちる際、その中に入った卵も一緒に着水し、そのまま水中に沈みます。

写真や動画の高精度な観察でも、「水滴の中に卵が混じって飛んでいる」様子が確認されており、水滴の色が微妙に濁る・色づく場合は卵塊が含まれているためとされています。

水滴の一部が透明、他がうっすら褐色の場合、褐色の水滴の方に卵や卵塊が多く含まれる状況が観察されています。

まとめ
オオシオカラトンボ♀の打水産卵では、卵は打水によってできた小さな水滴に包まれて飛び、水滴ごと前方へ飛ばされた後、水面に落ちてそのまま水中に沈みます。打水と同時に水中に直接沈むのではなく、「水滴の中に入って飛ぶ→水面に再落下して水中へ沈む」が基本の流れです。

この産卵様式は、卵をなるべく広範囲にばらまき、外敵からの(食卵)リスクを減らすためのものと考えられています。

今回私が観察した事例では、オオシオカラトンボ♀は池の浅いところから岸に向かって水滴を繰り返し飛ばしていました。
この時期は雨量が少なく池は干上がりつつあったので、卵の生存率を上げるには岸(陸上)ではなく池の中央に向かって水中に産むべきではないでしょうか?

オオシオカラトンボ♀が池の浅瀬から岸に向かって水滴を飛ばす産卵行動は、たしかにご指摘のように「池の干上がりが進む時期、水面から離れた場所では卵が孵化や発生に適さなくなる恐れ」があります。実際、トンボの打水産卵は卵を水滴と一緒に前方へ飛ばし、より広範囲かつ適した場所に分散する意味があると考えられていますが、どの程度「着水するか」は水位や池の地形、個体の打水角度など自然条件によって変動します。

トンボの産卵行動の研究では、

普段は卵を確実に水面に落下させることが繁殖戦略ですが、池が干上がりつつあるなどの極端な状況では、必ずしも全ての卵が生き残るわけではなく、生存率の低下は避けられません。

メスは本能的には「水面やその近く」で産卵しますが、水位が低くなっている場合、結果的に一部の卵が水際から外れるリスクも発生します(環境把握能力には限界があります)。

しかし、トンボは基本的に当日の池の状態(少なくとも「目で見て水がある範囲」)を選ぶ能力が備わっていると考えられており、一定の確率で着水しない場所にも卵が飛ぶことも想定内です。干上がりの進行など短期間の変動には柔軟に対応しきれないため、「池の縁」に産み落とされた卵は水位低下で生存率が下がる可能性が高いですが、これは自然環境下でトンボが常に抱えるリスクでもあります。

まとめると、「池の水位が極端に下がると卵の生存率が低下しうる」ことはその通りですが、オオシオカラトンボの産卵行動はあくまで通常状態の水辺環境を前提に進化しており、池が干上がる非常時に完全対応するものではありません。生存率の確保には、産卵タイミング・場所選択・環境変動すべてが影響します。

産卵時の水位が高ければほとんどが水面に着地し高い生存率となりますが、干上がりが進めば一部は陸地に落下し孵化できず死亡します。

トンボは水面に産みつけようとしますが、環境条件が変動する以上「最大多数を水辺に着地させる」戦略しかとれません。

したがって、今回ご覧になったような状況は、生態的にはごく普通に見られる現象であり、トンボの本能的な産卵行動が必ずしもその年の最適条件に対応できないという自然界の一断面ともいえます。

それなら、オオシオカラトンボの卵や幼虫(ヤゴ)は乾燥に対して強い(耐性がある)のでしょうか?
卵の乾燥耐性
トンボ類の卵は一般に産卵直後は乾燥に弱いですが、発生が進み眼点(発生初期の目のような構造)が現れるまではやや耐乾性が低い一方、発生が進むと乾燥耐性がかなり強くなります。

水田や池が一時的に干上がっても、多くの種で卵は土や泥の中でかなりの乾燥や低温に耐えて春になり、水が張られると孵化することが可能です。

オオシオカラトンボの卵もこの耐乾性を持ち、通常の内陸のため池などで冬期に水が抜かれて乾燥状態が続いても、生き残れるケースがあり、これは稲作地帯のシオカラトンボなどとほぼ同等の能力とみなされます。

ヤゴ(幼虫)の乾燥耐性
幼虫(ヤゴ)は卵ほどの乾燥耐性はありませんが、冬季の低温下では、ある程度の乾燥や池干しにも耐えられることが知られています。

泥の中に深く潜ったり、落ち葉の下に隠れるなどして、一時的な湿泥状態なら生存できる場合もあります。

ただし高温期(春~夏~初秋)に完全な乾燥に晒されると生き残れないことがほとんどで、特に羽化直前の終齢幼虫などは乾燥に極めて弱いです。冬季など休眠に近い低代謝の状態だとやや耐えやすいですが、卵期ほどの耐性はありません。

まとめ
卵期の乾燥耐性は高く、池や水田の“冬期干上げ”程度には十分に耐える能力がある。

ヤゴは卵ほど乾燥に強くないが、泥の中など湿り気がごくわずかに残る状況では冬季~早春に一時的な乾燥に耐えられる場合もある。

一方、完全な乾燥(土がカチカチに乾く状態)が長期間続くと、幼虫はほとんど死滅してしまう。

多くの日本のトンボ同様、オオシオカラトンボも水辺の環境変動にある程度耐える進化をしていますが、耐性の「強さ」は卵>幼虫の順です。

トンボの♂が産卵しているパートナー♀をライバル♂から守るためには、交尾後も尾繋がりの状態を保ってペアで産卵するのが最善であるはずです。
なぜオオシオカラトンボ♂は連結を解除した状態で♀の警護飛翔をするのでしょうか?
「尾繋がりの状態で連結打水産卵するのでは産卵しにくくて仕方がない」とオオシオカラトンボ♀がたとえ感じたとしても、首根っこを掴まれた♀は自分の意志では連結を解除することが出来ません。
つまり産卵中に連結するかしないかは、♂が選択した結果なのです。
むしろ、オオシオカラトンボ♂が連結しないのは♂が浮気性だからと考えられます。
たとえ警護飛翔中でも、産卵池に別個体の同種♀が飛来したら、♂はただちに新しい♀を捕獲して交尾を試みることが(私は未見ですが)報告されているそうです。
以下はPerplexityによる回答です。
オオシオカラトンボの単独産卵と♂の警護飛翔の進化・行動の実態については、実際の現場行動と繁殖戦略の両面からもっと複雑な説明が必要です。

連結解除の主導は♂
トンボ類の多くでは交尾後、♂が自発的に連結を解除して♀を離す行動が観察されています。

これは交尾後に♀が産卵に移る時点で、連結保持による直接監督より、効率的な交尾回数増加や他の♀探索への戦略を取るためです。

つまり、単独打水産卵への切り替えは、進化的には♂側の交尾戦略(浮気的=複数の♀との交尾へ)や他の♀に対する即応性の高さの副産物です。

警護飛翔中の♂の行動
産卵警護中でも、池に新たな♀が現れると、警護していた♂は即座に警護中の♀を見捨て、新到着♀にアタックし連結しようとする行動が頻繁に報告されています。

トンボ♂は「警護」と「新たな交尾相手獲得」を状況ごとにスイッチしやすく、どちらかといえば「新たな♀優先」になる傾向が強いです。

進化的意義
単独産卵を可能にしたのは**♀の進化的自由ではなく、♂の浮気行動(頻繁な交尾機会探索)や多数交尾戦略に由来**します。

産卵警護は「自分の精子で産ませたい」気持ちの表れですが、より生殖成功率を高めるためには、他の♀の出現時に即座に乗り換える「浮気性」が同じくらい重要です。

観察・実験例
産卵池では、同時に複数ペアが産卵行動をとり、♂が急に警護♀から新たな♀に乗り換える現象が容易に再現・観察できます。

男女双方の利害一致ではなく、主に♂の多回交尾・浮気性・交尾機会争取戦略によって形づくられていると考えられます。

要するに、オオシオカラトンボの警護産卵と連結解除の主因は「♂の浮気性や交尾回数の最大化欲求」と見る方が、生態的現象の実態により近いです。ご指摘の通り、産卵警護中でも♂は新規到着の♀に即反応して乗り換えるため、「本当に守っている」のは縄張りと交尾機会だけであり、♀自身や受精卵に対する献身的防衛ではありません。

トンボは種類によって産卵行動が多様です(打空産卵、打水産卵、連結産卵、単独産卵など)。 
比較行動学と分子系統分類学を組み合わせると、トンボの産卵行動がどのような順序で進化してきたか推測できるだろうか?  
それとも、産卵行動はトンボの系統とはあまり関係なくて、収斂進化の結果だろうか?

比較行動学と分子系統分類学を組み合わせることで、トンボの産卵行動の進化順序を「かなりの程度」推測することは可能ですが、産卵行動の多様性は必ずしも系統樹のパターンにきれいに一致せず、**収斂進化(独立進化)も非常に多い**ことが明らかになっています。[1][2][3]

### 行動形態と系統の対応

- トンボの産卵行動には「静止接触産卵」「静止非接触産卵」「飛翔接触産卵」「飛翔非接触産卵」など複数の基本タイプがあり、各グループごとに特徴的な行動パターンを示します。[1]
- たとえば、イトトンボ科やアオイトトンボ科は連結潜水産卵や組織内産卵が典型で、ヤンマ類やアカトンボ類は空中からの打空産卵・連結打水産卵、トンボ科は♀単独の打水産卵が多いなど、類縁ごとの偏りがあります。[2][3]

### 分子系統分類学との比較

- 最新の分子系統樹による分析では、こうした産卵行動パターンが「一度だけ進化し、系統的に保存されている」場合と、「複数回、異なる系統で独立進化した(収斂進化)」場合の両方が認められています。[1]
- 一部の行動(例:組織内産卵や連結打水産卵)は比較的原始的な形質とされ、複数の系統にわたって保存されている傾向がありますが、**打水産卵や打空産卵など「目立った派生行動」は、異なるグループ間で独立に進化したと推測されるものが多い**です。[3][1]

### 収斂進化の具体例

- たとえば「打空産卵」はアカトンボ類だけでなく他の科にも現れ、「単独打水産卵」も様々な系統で発達しており、同じ行動が系統的に遠いグループでも発現します。[2][1]
- これは生息環境や繁殖戦略、生存率向上など外部要因による適応が大きく関わっているためと考えられています。

### 結論

- 比較行動学と分子系統分類学を合わせれば「祖先形質」「系統保存された行動」「収斂的な適応」の判別が可能ですが、**産卵行動の多くは複数回・多系統で独立進化した例が多く、単純な祖先―派生の直線的な進化とは限りません**。[3][2][1]
- したがって、「産卵行動の進化順序は系統ごとに異なる分岐と収斂の複合」と解釈するのが現在の理解です。

 


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2025/09/14

ニホンアナグマの幼獣が母親♀に尻を擦りつけて匂い付け(アロマーキング)【トレイルカメラ:暗視映像】

 



2024年7月上旬・午後21:18・気温23℃ 

平地の二次林にあるニホンアナグマMeles anakuma)の営巣地(セット)をトレイルカメラで見張っています。 
母親♀がミズキの木の下にやって来ると、寝ころがって(横臥)砂浴びを始めました。 
幼獣が近寄って来ると、母親♀が念入りに対他毛繕いしてやります。 
後から来た幼獣は、母親♀の体に尻を擦りつけて匂い付け(アロマーキング)したようです。 
対物で行うスクワットマーキングによる縄張り宣言と似ていますが、アナグマの家族間で行う点が違います。
互いにアロマーキングし合うことで、結果的に家族内で各自の体臭を共有することになります。
「家族の絆」は嗅覚によって保たれているのです。


1.5倍に拡大した上でリプレイ(@1:00〜)。 


山中の湿地で泥濘を掘り獲物の小動物を探すオオタカ【野鳥:トレイルカメラ】

 

2025年8月中旬・午後7:55頃・くもり・気温23℃ 

山林に少し開けた湿地帯があり、湧き水が滲み出して浅い水溜りになっています。 
水場に来る野生動物や野鳥を自動撮影カメラで長期間見張っています。 

酷暑が続く真夏のある朝、大型の猛禽が右から飛来したようで、泥水溜りの右の岸に着陸していました。 
この地点で撮れた鳥としては最大です。 
鳥の図鑑で調べると、憧れのオオタカAccipiter gentilis)でした。
顔に顕著な眉斑と黒い眼帯のある大きなタカ。(山渓カラー名鑑『日本の野鳥』p144より引用)
ちなみに和名のオオタカとは「大鷹」ではなく、「蒼鷹あおたか」から来ているのだそうです。 

てっきり狩りの直後かと期待したのですが、足元を見ても獲物を捕らえてはいませんでした。 
水場で水を飲んだり浴びたりしに来たはずなのに、オオタカは鋭い眼光でキョロキョロと周囲を見回しているだけです。 
監視カメラの存在に気づいて警戒しているのでしょうか? 
まさか水面のアメンボを狩るのかな? 

やがてオオタカは右を向くと、急に右へ歩いて行きました。 
足元の泥濘から何か物を嘴で拾い上げたものの、すぐに落としました。 
どうやらゴミを獲物(カエル?)と誤認したようです。 

画面の右端でオオタカが右を向いたまま静止しています。 
尾羽根しか写っていません。 
やがてその場で方向転換すると左向きになり、ようやく頭部が見えるようになりました。 
足元の泥濘を右足の鉤爪で何度も掻きました。(@2:08〜) 
新たに掘った穴に溜まる泥水を飲むのかと思いきや、泥濘からミミズ?を啄んだようです。 

次に監視カメラが起動したときには、オオタカが少し奥に飛んで移動した直後でした。 
湿地に転がっている落枝に乗ろうとしたら、表面のヌルヌルした泥でスリップしてバランスを崩しました。(@3:39〜) 
危うく無様に転んで泥だらけになるところでしたが、なんとか転ばずに踏みとどまりました。 

初めに着陸した地点に戻ったのに、依然として水溜りの水を飲もうとしません。 
その場で足踏みして方向転換すると、足元の泥濘を嘴でつついて何か(ミミズ?)を食べました。 

また画面右端の泥濘に移動し、しばらく右向きで佇んでいます。 
最後にようやく右へ飛び去りました。 
力強い羽ばたきを1/3倍速のスローモーションでリプレイしても、広げた翼の下面は見えませんでした。 

※ 最後に飛び立つ羽音が聞き取れるように、動画編集時に音声を正規化して音量を強制的に上げています。 


【考察】
結局このオオタカ個体は、一体何をしに湿地帯の水場に来たのでしょうか? 
10分間以上も長居したのに、飲水も水浴もしませんでした。 
猛暑が続く夏は獲物がほとんど捕れないのか、湿地で小動物(カエルやミミズなど?)をちまちまと啄んでいる姿は精悍なオオタカのイメージらしくありません。 

バードリサーチニュースでオオタカの食性について調べると、
食性と採食行動: 主にスズメやムクドリなどの小型鳥類から,ハトやカラス,キジといった中型の鳥類を主に捕食する(前橋営林局2000).また,割合は低いが,ネズミやリス,モグラ,イタチ,ノウサギといった哺乳類も捕食する.なかには両生類や爬虫類を捕食したという記録もある.オオタカの狩りは,数分間の止まりと飛行を繰り返して餌動物を探し,止まり場所から餌動物へ襲いかかる.また,高空を飛行しながら,あるいは高い鉄塔などから急降下したり,地形や建物に沿って低空を飛びながら餌動物に近づいて襲ったりもする.時には,地上を歩きながら,草むらに隠れる小鳥やネズミなどを探すこともある.

今のところ、この水場にオオタカが登場したのはこれっきりです。 



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2025/09/13

アンズの落果には目もくれず走り去るホンドテン【トレイルカメラ】

 

2024年7月上旬 

シーン0:7/5・午後15:20・晴れ(@0:00〜) 
明るい昼間にたまたま撮れた現場の状況です。 
アンズ(杏)の木の下に散乱していた落果を拾い集めて1箇所にまとめ、監視カメラを設置してみました。 


シーン1:7/8・午前5:10・日の出時刻は午前4:21(@0:06〜) 
早朝に夏毛のホンドテンMartes melampus melampus)が走って横切りました。 
1/3倍速のスローモーションでリプレイ。(@0:15〜) 
意外にも、テンはアンズ落果の山に興味を示さずに素通りしています。 
たまたま何か急ぐ用事があったのでしょうか?
それともアミグダリン(青酸配糖体の毒)による青酸中毒を恐れたテンが、アンズの落果がまだ完熟していないことを人目で見抜いたのかな?
しかし、その後監視を続けてもテンはアンズの落果を食べてくれませんでした。

本当はアンズの樹上に実った状態の果実を食べに来る野生動物を観察したかったのですが、夏の時期は葉が生い茂っているためトレイルカメラ1台では撮影しにくいのです。 
次善の策として、落果を餌として使いました。 

ホンドテンは木登りが得意ですから、アンズの木に登って熟果を自分で選んで食べるのかもしれません。 
今回も実は、アンズの木から地上に降りてきた直後に走り去ったという可能性もあり得ます。



※ 動画編集時に自動色調補正を施しています。

ナンテンの花粉を集めて回るクマバチ♀の羽ばたき【FHD動画&ハイスピード動画】

 

2024年7月上旬・午後14:40頃・晴れ 

田園地帯の農道と民家の庭との境界に植栽されたナンテンキムネクマバチ♀(Xylocopa appendiculata circumvolans)が訪花していました。 
耳を澄ますと、重低音の羽音がかすかに聞こえます。 

関連記事(2年前の撮影)▶ ナンテンの花で採餌するクマバチ♀


蜂の動きがあまりにも忙しないので、240-fpsのハイスピード動画に切り替えました。(@0:23〜) 
訪花中の蜂が触れると、ナンテンの白い花弁が次々と散ってしまいます。 
吸蜜するクマバチ♀をよく見ると、後脚の花粉籠に薄っすらと黄色い花粉団子を付けていました。 
飛びながら空中で後脚を互いに擦り合わせています。 
体毛に付着した花粉をまとめて、花粉籠に移しているのです。 
後脚の花粉籠に黄色い花粉団子がうっすらと付着しています。 
花粉籠があることと、顔の頭楯が黒いことからも、♀と分かります。

ところで、ナンテンの若葉や茎は夏でも赤いのですね。

2025/09/12

ニホンアナグマの母親が夜の巣外で居眠りしている間に餌を探し回る幼獣【トレイルカメラ:暗視映像】

 



2024年7月上旬・午後20:12・気温28℃ 

ニホンアナグマMeles anakuma)の母親♀がお気に入りの休息場所(ミズキの木の下)で横たわり、1匹の幼獣がまとわりついています。 
その幼獣も母親♀から離れると、営巣地(セット)をうろつき始めました。 
他にも少なくとも2頭の幼獣がばらばらに二次林の中で餌を探し歩いています。 
(4頭目の幼獣は、どこかカメラの死角にいるようです。) 

育児にもだいぶ手がかからなくなり、母親♀は寝転んだまま目を閉じてうたた寝を始めました。 
しかし、完全に寝落ちするまえに目を覚まし、周囲を見回しました。 


池の底を歩き泳ぎ回るアカハライモリ

 

2024年7月上旬・午前11:40頃・晴れ 

山中にあるモリアオガエルの繁殖池に来ると、池の中にゆっくり動く黒っぽい生き物を見つけました。 
初めはサンショウウオかと思ったのですが、よく見るとアカハライモリCynops pyrrhogaster)でした。 

水面にはアメンボやマツモムシがいます。 
泥水の底に沈んでいるイモリはそれを見上げて捕食するかと思いきや、方向転換すると手前にノソノソと歩き出しました。 
次は尻尾を左右にくねらせて、少し泳ぎました。 

再び水中で静止したイモリの上の水面を高速で泳ぎ去ったのは、ミズスマシのようです。 


水中を移動するイモリのある個体を長撮りしていると、同じ池の少し離れた水中に別個体のアカハライモリを2匹見つけました。 
その2匹は池の底を少しだけ左に並走したものの、すぐに別れました。 
どの個体を撮るべきか、目移りしてしまいます。 

水中にはカエルの幼生(オタマジャクシ:種名不詳)も育っていました。
しかし、イモリとオタマジャクシは 互いに没交渉です。
アカハライモリがオタマジャクシを狩って捕食するシーンは観察できませんでした。 

次はゆっくり右へ向かう個体を撮ってみましょう。 
すぐに向きを変えて奥へ向かって歩き始めました。 
尾を左右にくねらせて右へ泳いでいきます。 
アカハライモリは、歩くよりも尾を左右にくねらせて泳ぐ方がずっと速いです。 
イモリは池の奥へとどんどん遠ざかってしまいます。 

アカハライモリを長々と撮り続けたのは、息継ぎのシーンを録画したかったからです。


しかし、他にも気になる被写体(トンボ)が池に現れたりして、忍耐が足りませんでした。 

つづく→ 


【考察】
池の中のアカハライモリは、水中を泳ぐと言うよりも、主に水底を歩いていました。
肺呼吸すると浮力が大きいはずなのに、水に浮かないように何か工夫しているのでしょうか?
Perplexity AIは以下のように回答してくれました。

アカハライモリが水中で肺呼吸をする際に浮力があるにもかかわらず、水底を歩く理由や浮かばずにいる工夫についての直接的な研究データは見当たりませんでした。
しかし、いくつかの関連する観察や知見から推察できます。

アカハライモリは主に水底を歩くことが多く、水中での移動はしっぽを左右に振ることで泳ぐこともできますが、歩いたりしがみついたりする行動も得意です。水中では足を使い体を支えてゆっくり動く性質があり、浮力による不自然な浮き上がりはそうそう起きにくいと考えられます。

体の構造や動きから、浮力でそのまま水面に浮かばないよう、重心や筋肉の使い方でバランスを取っている可能性が大きいです。これは魚類のような浮袋がない両生類に共通する特徴です。

飼育環境の解説では、水草や底砂などを使って休憩できる足場を設けるのが推奨されており、自然の池でも水草や底質を利用し安定していると考えられます。

まとめると、アカハライモリは肺呼吸のために水面に出る必要はありますが、浮力を抑えて水底を歩くために特別な器官があるわけではなく、体の重さや筋肉の動かし方で自然にバランスを取り、水底での生活を維持していると考えられます。

補足として、彼らの泳ぎ方は体を左右に振る独特なものであり、手足は短いため泳ぎが得意ではなく、底を歩く方が水中移動として自然なスタイルです。

アカハライモリには魚のような浮き袋はありません。浮き袋は主に魚類が持つ器官で、体内にガスを調整して浮力をコントロールし、水中での位置を調整する役割がありますが、両生類であるアカハライモリにはこのような浮き袋は存在しません。

アカハライモリは肺呼吸をしながら、同時に皮膚呼吸も行うことができ、水中では体重や筋肉運動で浮力の調整やバランスを取り、水底を歩く生活様式をとっています。浮き袋の代わりに、体の構造や筋肉の使い方、環境中の足場(水草や底砂)を利用することで浮かばずに水底で動き回っています。

つまり、浮力調整は魚のような器官によるものではなく、物理的な体の重さや動かし方によって自然に調整されていると考えられます。



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2025/09/11

野ネズミはアンズの落果を食べるか?【トレイルカメラ:暗視映像】

 

2024年7月上旬〜中旬

シーン0:7/5・午後15:20・晴れ(@0:00〜) 
明るい日中にたまたま撮れた現場の様子です。 
郊外に1本だけ植栽されたアンズ(杏)の木から黄色く熟した果実が落ちて散乱していました。 
放置されたまま誰も収穫に来ないので、野生動物がアンズの落果を食べに来る様子を自動撮影カメラで監視することにしました。 
撮影しやすいように、落果を拾い集めてアンズの木の下の1箇所にまとめました。 
ニホンザルやタヌキ、テンが拾い食いするのではないかと予想しています。 
野鳥では果実食のヒヨドリが甘い果肉を啄むかもしれません。 
昆虫では昼間にスズメバチ類が飛来して果肉を齧るかな? 

ちなみに、アンズの木の横の草地に野生動物が座り込んだ形跡がありました。 
カモシカやイノシシのねぐらではないかと予想しています。
そっちも気になるのですが、トレイルカメラの数が足りないので、アンズ落果の方を優先することにします。 

この餌場に野ネズミ(ノネズミ)が夜な夜な通ってくる様子を以下にまとめました。 


シーン1:7/7・午前0:21(@0:05〜) 
深夜に1匹の野ネズミが登場しました。 
ごちそうの山に前足を掛けてアンズ落果の匂いを嗅いでいました。 

黒い徘徊性甲虫(種名不要:オサムシ? カミキリムシ?)も落果に誘引されていたのですが、少し離れているので野ネズミは暗闇で気づいていないようです。 
もし野ネズミが甲虫を見つけていれば、獲物として捕食したはずです。 
謎の甲虫は、アンズ熟果の傷に頭部を突っ込んで甘い果肉を食べているのでしょうか? 
(発酵した果汁を吸汁しているのかな? )

野ネズミは手前に立ち去りました。 
1.5倍に拡大した上でリプレイ。(@0:31〜) 


シーン2:7/8・午後18:45(@0:56〜)日の入り時刻は午後19:07。 
翌日も日没前の夕方に早くも野ネズミが餌場に来ていました。 
アンズ落果の匂いを嗅ぎ回り、少し味見したようです。 

しかし野ネズミは何かに驚いたのか、落果の山から手前に素早く飛び降りて姿を消しました。 
アンズ落果に野ネズミの歯型が残っているかどうか、食痕を確認すべきでしたね。 


シーン3:7/9・午後19:45(@1:39〜) 
その次の日も、晩に野ネズミがチョロチョロと餌場に登場しました。 
手前からアンズ落果の山に来ると、落果(腐果)を少し食べたようです。 


シーン4:7/10・午前0:44(@2:38〜) 
日付が変わった深夜に、野ネズミが再び登場。 
しかし、なぜか餌場には近寄らずに立ち去りました。 


シーン5:7/10・午前0:57(@2:56〜) 
約10分後に、野ネズミがアンズ落果の山に通りかかりました。 
ところがアンズにはあまり興味を示さず、林床をうろついて餌を探しています。 


シーン6:7/10・午前2:13(@3:18〜) 
アンズ落果の少し右、下草の陰に野ネズミが来ていたのですが、奥へ立ち去りました。 


シーン7:7/10・午前3:33(@3:40〜) 
野ネズミがアンズ落果の匂いを嗅いでいました。 
果肉を食べていると、画面の左下から黒い甲虫(種名不詳)が歩いて登場。 
ニアミスしたものの、アンズに夢中の野ネズミは甲虫には見向きもせず、何事もなくすれ違いました。 


シーン8:7/10・午前3:40(@4:40〜) 
野ネズミはアンズ落果の山の上で少し場所を変え、別な落果を齧っていました。 

最後に画面の上端の草むらから別個体の野ネズミが現れたようで、白い目が光っています。(@5:35〜) 
餌資源を巡って野ネズミ同士が争うのか、成り行きを見届ける前に残念ながら1分間の録画が終わってしまいました。 


シーン9:7/10・午前3:46(@5:40〜)
アンズ落果の山の上に野ネズミが陣取って、食事をしています。 


シーン10:7/10・午後19:01(@6:40〜) 
雨が降る晩に、野ネズミが餌場の左上エリアをうろちょろしていました。 


シーン11:7/11・午前3:30(@7:00〜) 
日付が変わった未明に野ネズミが左から登場。 
林床に鼻面を突っ込んで匂いを嗅ぎながら歩き回ります。 

ようやく餌場に来ると、腐りかけたアンズ落果を選んで食べ始めました。 


シーン12:7/11・午後20:22(@8:00〜) 
同じ日の晩にも野ネズミが餌場に来ていました。 
雨は止んでいました。 
アンズ落果の山に乗っていたカキノキ落ち葉の匂いを嗅いだだけで、左へ立ち去りました。 


シーン13:7/11・午後22:01(@8:28〜)
 約1時間40分後にも野ネズミが餌場の左下エリアをうろついていました。 
監視カメラの電池がだいぶ消耗しています。 


シーン14:7/12・午前4:21(@8:44〜)日の出時刻は午前4:23。 
翌日の日の出直前に登場した野ネズミは、アンズの腐果を少しかじっただけ(匂いを嗅いだだけ?)で立ち去りました。 


※ 動画の一部は編集時に自動色調補正を施しています。 


【考察】 
本当はアンズの樹上に実った状態の果実を食べに来る野生動物を観察したかったのですが、夏の時期は葉が生い茂って撮影しにくいのです。
次善の策として、落果を餌として使いました。

野生動物への給餌(餌付け)を、特に人家に近い場所でやるのは色々と問題をはらんでいます。 
しかし今回は、私が餌を外から持ち込んだのではありません。 
果樹の下に散乱していた落果を移動して一箇所にまとめただけなので、給餌には該当しません。 
(個々の移動距離はせいぜい数m。)
もちろん私はアンズの落果を1個も持ち去っていませんし、味見もしていません。
専門的にはアンズ落果のパッチ操作実験、資源配置操作実験、自然資源集積実験、落果集積実験などと色々な言い方をされるらしいのですが、ちょっとした実験の真似事をしてみたのです。 

野ネズミは初めなかなかアンズ落果を食べようとしませんでした。
監視カメラを警戒していたのではなく、アンズの落果が完全に熟するまで待っていたようです。 

結局、野ネズミはアンズの熟果を少し食べただけで、熱狂的に食い漁るほどではありませんでした。(期待はずれ)
野ネズミが慎重だったのは、アンズの未熟な果実や種子にはアミグダリンという青酸配糖体の毒が含まれていることを知っていたのでしょう。

発酵したアンズの果肉を食べすぎると、野ネズミはアルコールの過剰摂取で酔っ払うのではないか?、と予想したものの、酩酊状態は観察されませんでした。

ドングリやクルミなどの堅果だと野ネズミは持ち去って貯食するのですが、アンズの果実(核果)を運ぶことは一度もありませんでした。 


ちなみに後日(7月下旬)に定点観察すると、アンズ果肉が腐り果てた後に残された種子の多くがいつの間にか持ち去られていました。 
種子散布の過程を見逃してしまったことになります。
おそらく野ネズミの仕業(アンズの種子を貯食した?)だと思われますが、そこまで長期間トレイルカメラで見届ける忍耐がありませんでした。 


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軒下の巣に外被を増築するコガタスズメバチ♀と巣口を守る門衛:7月上旬

 



2024年7月上旬・午後12:00頃 

軒下に吊り下げられたコガタスズメバチVespa analis insularis)の巣で、1匹のワーカー♀aが新たに外皮を付け足していました。
多数のワーカーが巣材としてそれぞれ好みの地点から色々な樹皮のパルプを集めてくる結果、外被に美しいマーブル模様が現れます。
設計図もないのに、巣全体はほぼ球形を保ったまま少しずつ大きくなります。
外被の外側に巣材を追加して拡大するだけでなく、巣の内側から少しずつ外被を削り取って内部空間を広くしながら、巣盤や育房を作る巣材として再利用しています。
つまり外被の厚さはほぼ一定で、数層の断熱材になっています。
パルプという軽くて丈夫な天然巣材を使って見事に建築する様を観察する度に感嘆してしまいます。

ワーカーの間にも分業があるようで、外皮上をパトロールしているだけの個体♀bもいます。
また別の♀cが門衛として巣口の奥から外界を見張り、帰巣した個体を誰何すいかしています。 

♀aが持っていた巣材のパルプを使い切ると、巣内に戻りました。
♀aの造巣作業が終わるのを待っていたように、待機していた♀bは外被に新しく出来たポケット状の空間を点検しています。
作りたての外被がしっかり乾くまで、自分がポケット内に潜り込んで居座り、外被ポケットが潰れないようにしているのかもしれません。
あるいは、ポケット内は気化熱でひんやり涼しいのかもしれません。


つづく→

2025/09/10

夜の営巣地で寝転んで土を浴びるニホンアナグマ♀【トレイルカメラ:暗視映像】

 



2024年7月上旬

シーン0:7/2・午後13:03・くもり・気温33℃(@0:00〜) 
シーン0:7/2・午後13:38・くもり・気温33℃(@0:03〜) 
明るい時間帯にたまたま撮れた現場の状況です。 
平地の二次林でニホンアナグマMeles anakuma)の母子(母親♀と4頭の幼獣)が暮らす営巣地(セット)を2台の自動撮影カメラで見張っています。 


シーン1:7/2・午後20:07・気温21℃(@0:07〜) 
晩に母親♀が定位置のミズキの木の下に座り込むと、次々に駆け寄って来る幼獣に対他毛繕いを始めました。 
赤外線の暗視映像で見ると、母親♀は左右の目(タペータム)の大きさが違う(右目<左目)のが特徴です。 
腹面には乳房や乳首が見えます。

ときどき母親♀は砂浴びをします。 
寝転んだまま前足で地面を掻き、土を自分の腹に掛けるのです。 

立ち上がった♀が伏せて左を凝視しました。 
その視線の先から、最後の(4頭目の)幼獣がセットに戻ってきました。 


シーン2:7/2・午後20:08(@1:07〜) 
家族全員がミズキの下に勢揃いしました。 
母親♀は対他毛繕いの合間に、また砂浴びを始めました。 
(実際にはアナグマ♀が浴びているのは砂ではなく、サラサラの表土です。) 


シーン3:7/2・午後20:09(@2:07〜) 
母親♀が相変わらず定位置で独り砂浴びを繰り返しています。 
ときどき目を閉じてうたた寝しているようです。 

コウモリがセットの上空を飛び回っています。 
アナグマの家族はコウモリに全く気づいていないのか、無視しています。 

散開して遊んでいる幼獣の中に、自分で体を掻いたり毛繕いしたりしている個体がいます。 


シーン4:7/4・午後21:18・気温23℃(@3:07〜) 
2日後の晩にも、母親♀がミズキの木の下に寝ころがり(横臥)、砂浴びを始めました。 


【考察】 
営巣地(セット)の中でもミズキの下の表土がよほど砂浴びに適していて、お気に入りなのでしょう。 
砂浴び中の母親♀は意外にがさつで、近くにいる幼獣に土が掛かっても気にしません。 
幼獣は嫌がって逃げていきます。 
母親♀の左右非対称な目が眼病だとすれば、穴掘りや砂浴びで目に土や雑菌が頻繁に入ることが原因ではないかと勝手に想像しているのですが、どうでしょう? 

私はまだ砂浴びをする幼獣を一度も見たことがありません。
今のところ、成獣に特有の行動です。 
幼獣が砂浴びするようになったら、一人前になった証かもしれません。




山中の水溜りで水浴してから歩き去るフクロウ【野鳥:トレイルカメラ:暗視映像】

 


2024年7月上旬 

シーン0:6/28・午後13:15・くもり・気温29℃(@0:00〜) 
明るい昼間にたまたまフルカラーで撮れた現場の様子です。 
山林に少し開けた湿地帯があり、湧き水が滲み出して浅い水溜りになっています。 
水場に来る野生動物や野鳥を自動撮影カメラ(新機種)で見張っています。 

ある一晩に登場したフクロウStrix uralensis)の動向を以下にまとめました。 


シーン1:7/1・午前2:09・気温22℃(@0:04〜) 
小雨が降る深夜に右から飛来したらしいフクロウが中洲で左を向いていました。 
向きを変えて奥の水溜まりに歩いて入ると、足浴したまま水面をじっと見つめています。 
カエルやオタマジャクシ、水生昆虫などの気配を探っているようです。 
辺りを見回してから、洗顔を始めました。 
水面に顔を浸して左右にすばやく振っています。

本格的な水浴に移行するのを見届ける前に、2分間の録画が終了。 


シーン2:7/1・午前2:31・気温23℃(@2:03〜) 
約20分後にも右から飛来したフクロウが左の水たまりに来ていました。 
同一個体なのか、別個体なのか、観察歴の浅い私には分かりません。 

入水した途端に勢い良く水浴を始めました。 
中洲に上陸すると身震いして羽根の水気を切ってから、手前に向かって歩いて来ました。 
翼を広げてバランスを取りながらヨチヨチと泥濘を横断します。 
エッホエッホと走る可愛いメンフクロウがSNS上でバズり、ネットミームになりましたが、私も実際にフクロウの歩行シーンを見たのは今回が初めてです。
 


※ 水浴の水音が聞き取れるように、動画編集時に音声を正規化して音量を強制的に上げています。 


つづく→

2025/09/09

砂防ダムでレスリングしたり、オニグルミの木に何度も跳び移ったりして遊ぶ若いニホンザル

 

2024年6月中旬・午前11:05頃・晴れ 

山麓の砂防ダムに集まっているニホンザル♀♂(Macaca fuscata fuscata)の群れを観察しています。 

コンクリートの堰堤に居残って子猿2頭が取っ組み合いを始め、相手を組み伏せました。 
本気の喧嘩ではなく、ただの遊びです。 
ようやく離れた1頭aが、堰堤の右に自生するオニグルミの横枝に跳び移りました。 
猿の体重で横枝が大きくしなるスリルを味わっているようです。 
樹上の猿aは、幹を横に移動すると堰堤に飛び降りました。 

堰堤に残った個体♂bには、左上腕に黒くて大きなホクロがあります。 

仲間bのいる元の場所に戻ってきたと思ったら、aはすぐにまたさっきと同じオニグルミの横枝に飛び移り、アトラクションを何周も楽しんでいます。 
♂bも仲間aの後を追いかけるように、オニグルミの枝に飛び移りました。 

コンクリート堰堤の左奥には別のニホンザル母子も居ました。 
その母親も堰堤の右に生えたオニグルミ灌木に跳び移りました。 
堰堤に取り残された子猿は、揺れるオニグルミの枝葉を手で掴もうとしています。 

最後はおまけで、毛繕いしていたシーンも追加しておきました。

ハラビロトンボ未成熟♂の飛び立ち【FHD動画&ハイスピード動画】

 

2024年7月上旬・午前10:50頃・晴れ 

里山で山道を登っていると、見慣れない黒いトンボを見つけました。 
後でトンボの図鑑を調べてみると、ハラビロトンボLyriothemis pachygastra)の未成熟♂と判明。 

ススキの葉に留まり、翅を深く下げて休んでいます。 
巨大な複眼で覆われた頭部をグリグリ動かして、周囲を油断なく見張っています。 
口器をもぐもぐ動かすこともありました。 

顔面の額上部に青色の金属光沢がありました。 
腹部に副性器が見えたので、♂でした。 

飛び立つ瞬間を240-fpsのハイスピード動画で撮ってみました。(@0:25〜) 
帽子を投げつけると、真上に飛び立ち、同じ葉には戻って来ませんでした。 

逃げたハラビロトンボ♂は、近くのヨモギの葉に留まり直していました。 
水平の止まり場で翅を深く下げて休んでいます。 
もう一度帽子を振って、飛び立つ瞬間を240-fpsのハイスピード動画で撮りました。(@1:07〜) 
今度は左上へ飛び去りました。 


2025/09/08

昼間にニホンアナグマの幼獣4頭だけで遊んで留守番【トレイルカメラ】

 



2024年6月下旬

シーン1:6/30・午前9:14〜午後14:59・くもり後雨 

ニホンアナグマMeles anakuma))の母子が暮らす営巣地(セット)を自動センサーカメラで見張っています。 
母親♀の姿が写っていないのに、昼間の営巣地で幼獣4匹だけが遊んでいる様子をまとめてみました。 

母親♀は独りで採食に出かけたのか、それとも疲れて巣内で寝ているのか、不明です。 

アナグマは基本的に夜行性だと言われているのに、幼獣は昼間でも巣外で活動するときがあるのです。 
幼獣たちだけで元気いっぱいに遊び回っていますが、巣穴からあまり離れることはありません。 
 疲れを知らない幼獣は、兄弟姉妹で取っ組み合いをしたり、追いかけっこをしたり、後足で立ち上がって木に登ろうとしたり、林床で餌を探したりしています。 


※ 鳴き声が聞き取れるように、動画編集時に音声を正規化して音量を強制的に上げています。 


山中の水溜りで水浴びするアオゲラ♀【野鳥:トレイルカメラ】

 

2024年7月上旬 

シーン1:7/4・午前11:37・晴れ・気温31℃(@0:00〜) 
山林にある湿地帯で湧き水が滲み出してくる水溜りSを自動センサーカメラで見張っています。 

晴れた昼前にアオゲラ♀(Picus awokera awokera)が水場に来ていました。 
対岸の浅い岸辺で水浴びを始めました。 
水面で激しく羽ばたいて水を跳ね上げ、自分の体にかけています。
対岸に上陸すると、濡れた羽根を嘴で整えました(羽繕い)。
せっかく身震いして羽根の水気を切ったのに、再び水溜りに入ると、行水を再開。 
このルーチンを何回か繰り返しました。

水場から飛び去るまで見届ける前に、2分間の録画が終わってしまいました。 
この地点でトレイルカメラにアオゲラが写ったのも初めてですし、アオゲラの水浴行動も初見です。 


シーン2:7/2・午前6:57・晴れ・気温18℃(@2:00〜) 
実は2日前の朝にもアオゲラ♀が来ていました。 
どうやら水浴シーンを撮り損ねたようで、対岸で羽繕いと身震いを繰り返しています。 
最後は右へ飛び去りました。 


1.5倍に拡大した上でアオゲラの水浴行動をリプレイ(@3:00〜)。
横顔を見ても顎線に赤色部がないので、おそらく♀のようです。 
アカゲラと違ってアオゲラは♀も♂も後頭部が赤く、後頭部の色では性別を見分けられません。 


※ 鳥がパシャパシャと水を跳ね上げる水飛沫の音や飛び立つ羽音が聞き取れるように、動画編集時に音声を正規化して音量を強制的に上げています。 


つづく→

2025/09/07

山中の水溜りに母親と一緒に来て水を飲むニホンカモシカの幼獣【トレイルカメラ】

 



2024年7月上旬

シーン1:7/1・午後12:25・雨・気温27℃(@0:00〜) 
山林にある湿地帯で湧き水が滲み出す水溜りを自動撮影カメラで見張っています。 
梅雨の時期なので雨が降り、水溜りの水量が増えました。 


シーン2:7/3・午後12:37・くもり・気温20℃(@0:04〜) 
ニホンカモシカCapricornis crispus)の母子が水場にやって来ました。 
母親が先導して、水溜りの横を通って湿地帯の泥濘を右から左へ横切りました。 
横から腹面を見ても♀の乳房や乳首が見えません。 

後続の幼獣は毛皮が白っぽく、たてがみが黒く、角は未だとても短いです。 
幼獣は喉が渇いているのか、水面の匂いを嗅ぎ、舌を出してペロっと舐めました。 
水を少し飲んだだけで、慌てて走って母親を追いかけます。 

母子ともに雨上がりで全身の毛皮が濡れていました。 

シーン3:7/3・午後13:12・くもり・気温21℃(@0:20〜) 
約35分後に、同一個体と思われるカモシカの幼獣が左から水場に戻ってきました。 
水際で頭を下げると、泥水を飲みました。 

幼獣は迷子になったのではなく、左奥の茂みの陰から母親♀が現れました。 
幼獣を待っている間に、母親♀は何か下草の葉をむしゃむしゃ食べていました。 
喉の乾きを癒やした幼獣が母親♀に駆け寄っても授乳しませんでした。 


※ 雨音や水を飲む音が聞き取れるように、動画編集時に音声を正規化して音量を強制的に上げています。 


【考察】 
ニホンカモシカの幼獣が水を飲んだということは、てっきり離乳した後なのだろうと推測しました。 
しかしPerplexity AIに問い合わせると、カモシカの幼獣は授乳期でも乳とは別に水を飲んで水分を補給する必要があるらしく、離乳後と決めつけることはできないのだそうです。 


つづく→

ムラサキツメクサの花蜜を吸い飛び回る春型のキアゲハ♀【FHD動画&ハイスピード動画】

 

2024年6月中旬・午後15:00頃・晴れ 

湿地帯の端に咲いたムラサキツメクサ(=アカツメクサ)の群落で春型のキアゲハ♀(Papilio machaon hippocrates)が訪花していました。 
口吻を差し込んで吸蜜している間もキアゲハ♀は小刻みに羽ばたき続けてバランスを取っています。 
風が吹いてムラサキツメクサの頭花が揺れても、しっかりしがみついて吸蜜を続けます。 
風が止んで落ち着くと、羽ばたきを止めて吸蜜することもありました。

キアゲハ♀がムラサキツメクサの花から飛び立つ瞬間を狙って、240-fpsのハイスピード動画でも撮ってみました。(@2:37〜) 



吸蜜の合間に、近くに自生するヨモギ(キク科)の葉にキアゲハ♀が一瞬だけ着地するのを目撃しました。(映像なし) 
産卵に適したセリ科の食草かどうか、触れて確認したようです。


【アフィリエイト】

2025/09/06

セットで暮らすニホンアナグマの家族:6/30昼間の諸活動【トレイルカメラ】

 


2024年6月下旬 

6/30・午前9:08〜午後16:42 

ニホンアナグマMeles anakuma)は一般的に夜行性と言われていますが、私が営巣地(セット)で定点観察している母子(母親♀と幼獣4頭)は昼間も元気です。 
この日の特筆すべき行動は個別の記事で紹介済みなので、今回は残り物の映像をまとめました。 
それでも家族団らんの様子は微笑ましいですね。 
午後から一時雨が降りました。 

私がちょっと面白いと思ったシーンは、
シーン1:6/30・午前9:11・晴れ気温24℃(@4:00〜) 
母親♀が獣道から巣穴Lにゆっくり戻ってくる途中で立ち止まり、後足を広げて排尿マーキングしたようです。 
この地点でやるのは初見です。 
頭をカメラに向けているため、残念ながら肛門や尿道が見えません。 
排泄中に1頭の幼獣が近寄り、母親♀の尻の匂いを嗅いで身震いしました。 

その後、巣口Lまで来た母親♀がカカッ♪と鋭く鳴きました。(@4:44〜) 
その鳴き声を聞いた途端に周囲で遊んでいた幼獣3頭が巣口Lに位相で殺到したので、警戒声なのかもしれません。 
しかし、警戒の対象が何だったのか、分かりません。 
母親♀が幼獣を試した避難訓練だったのでしょうか。 
カカッ♪と鳴いた同じシーンが別アングルに設置した監視カメラでも撮れていました。(@3:44〜) 


※ 鳴き声が聞き取れるように、動画編集時に音声を正規化して音量を強制的に上げています。 


太陽光発電所を避難場所にするキジバトの群れ(野鳥)

 

2024年4月下旬・午後15:20頃・くもり 

郊外の農村部で田起こし(耕耘)したばかりの刈田でキジバトStreptopelia orientalis)の群れが採食していたようです。 
それを知らずに私が横の農道を歩いたら、キジバトの群れが一斉に飛び去りました。 
最近、農地の一部を潰してメガソーラー(太陽光発電所)に転用しているのですが、逃げたキジバトは刈田に隣接するソーラーパネルに止まって、私が立ち去るのを待っています。 
(映像はここから。) 

刈田から避難した2羽のキジバトがソーラーパネルの縁に止まっているのを見つけました。 
その後ろ姿を撮り始めたら、右の個体ががすぐに奥へ飛び去ってしまいました。 
居残った個体は振り返って、辺りを警戒しています。 
しばらくすると、ソーラーパネル上を左へ少し歩いてから、左へ飛び去りました。 
もしもソーラーパネルが鳥の糞で汚れてしまったら、掃除しないと発電効率が落ちてしまうはずです。

メガソーラーの敷地の手前に設置した格子状の金網フェンスの上にも別個体のキジバトが止まっていて、羽繕いを始めました。 

今回のは別に面白くもない動画ですが、ソーラーパネルに覆われた広大な敷地(草地)を野鳥や野生動物はどう利用するか、という点に私は興味があります。 
しかし、新しい環境に馴れてくれるまで、しばらく時間がかかりそうです。 
立入禁止の敷地内は、意外に野生動物の天国かもしれません。
メガソーラーの敷地内にトレイルカメラ(無人カメラ)を設置したら、何か新しい発見がありそうです。 
ソーラーパネルを保守するために、敷地内を定期的に除草する必要があるのですが、ヤギを放牧して雑草を食べてもらおうという試みも全国各地で行われています。

今回のキジバトの行動は、太陽光発電所を避難場所にしていたことになります。
ほとぼりが冷めたら、また田んぼに戻ってきて採食を再開するのでしょう。
これまでも、農地で採食(食害)していたキジバトの群れに誰かヒトが近づくと警戒して周囲の林などに一時避難する様子を何度も見てきたのですが、その避難行動と何ら変わりません。
どこかで(メガソーラーの敷地内?)キジ♂が鳴く声も聞こえたのですが、姿を見つけられませんでした。 

2025/09/05

ニホンザルの若い♂を巡って争う2頭の♀(非繁殖期のマウンティング)

 



2024年6月中旬・午前11:05頃・晴れ 

山麓の砂防ダム堰堤に5頭のニホンザルMacaca fuscata fuscata)が集まり、寝そべった1頭の♂の毛繕いをしています。
私に気づいて警戒した猿たちが解散したかと思いきや、対他毛繕いを受けていた若い♂が立ち上がって年上の♀aの背後からマウンティングしました。 
♀♂ペアが交尾?を始めると、周りの個体が慌てて離れていきます。 
マウントされた♀aは、背後の♂を仰ぎ見ることはありませんでした。 
また、♂はマウントしながら腰を動かす(ペルビック・スラスト)ことがなかったので、本当の交尾行動ではなさそうです。 
そもそもニホンザルの交尾期は主に秋から冬であり(10月~3月頃)、6月は出産期です。 
したがって、6月中旬に見られるマウンティング行動は、繁殖(交尾)目的ではないと考えられます。 

この若い♂個体の左上腕に黒い大きなホクロがあって、目を引きました。 
まさか人為的な入れ墨なのでしょうか? 
昔は野生動物の研究で個体識別するために入れ墨をした事例もあったそうなのですが、最近では廃れました。 
近年は顔や体の自然な特徴(ホクロや斑紋、傷、毛色など)や、AIによる顔認識技術を用いて識別するのが主流です。 
したがって、入れ墨ではなくて、生まれつきの黒子ほくろなのでしょう。 
今後の個体識別で使えそうな分かりやすい特徴です。 

この♂左腕黒子は、若いのに群れ内の順位が高いのか、それとも♂としてよほど魅力的なのか、周りの♀bがすぐに近寄ってきて機嫌を取るようにノミ取りを始めました(毛繕い)。 
さっき♂にマウントされた年上♀aも、寝そべった♂への対他毛繕いに参加したそうに、ノミ取りを覗き込んでいます。 

手前の茂みが撮影の邪魔なので、私はそっと移動して、堰堤の端から撮影を再開しました。 
幼い子猿たちは私に気づくと怖がって逃げていきます。 

堰堤に残った3頭(♂1♀2)の三角関係がとても興味深いです。 
若い♀bが♂左腕黒子の横に並んで対他毛繕いしようとすると、年上の♀aが嫉妬して、その間に何度もさり気なく割り込もうとするのです。 
遂に怒った(嫉妬に狂った?)♀aが、眼の前に居た若い♀bを攻撃し始めました。 
♀aがライバル♀bを掴まえようと襲いかかると、若い♀bは歯を剥き出し恐怖の表情(あるいはガーニーgurneyと呼ばれる服従の表情)をしながら必死で手前に逃げて堰堤の左下に降りました。 
しかし、逃げる♀bは悲鳴を上げませんでした。
「ガーニー(gurney)」は、サル類の行動学で使われる用語で、上下の歯を見せて口を横に大きく開く表情行動を指します。これは、リップスマッキング(唇をパクパクさせる親和的サイン)と並んで、服従や緊張緩和、親和的なコミュニケーションの場面でよく見られます。 ガーニーは、特に相手に対して敵意がないことや、優位性を認めていることを示すサインとして使われることが多く、**「服従の意を示す表情」**とも言われます。 (Perplexity AIの回答を引用)
♀同士の小競り合いを仲裁するかのように♂が年上♀aを追いかけ、背後から再びマウンティングしました。 
今回♀aは♂を仰ぎ見て、口をパクパクと動かしています(リップスマッキング)。 
怒った♀を宥める社会行動としてのマウンティングなんてあるのでしょうか? 
ニホンザルのマウンティングは、順位の確認だけでなく、個体の興奮や緊張をしずめる目的でも行われることがあるそうです。 

一連の三角関係を1/5倍速のスローモーションでリプレイ。(@1:29〜) 


※ ニホンザルの鳴き声が聞き取れるように、動画編集時に音声を正規化して音量を強制的に上げています。 


【考察】 
素人には解釈が難しい行動なので、この記事を書くためにPerplexity AIと問答を繰り返しました。 

交尾期(繁殖期)ではないので、性欲に駆られた行動ではないはずです。 
登場したニホンザルの尻を見ても、赤く発情していません。
したがって、今回の事件を面白おかしく「三角関係」と呼んでも良いのかどうか悩みます。 

♂はマウンティングの対象としては2回とも年上♀aを選んでいるので、♂が積極的に他の♀に浮気をしているようには見えません。 
それでも♀aは♂の寵愛を独占したいのか、ライバルの若い♀bに対して激しく嫉妬して追い払いました。 
♀aが♀bに割り込んだり威嚇したりする行動は、単なる「嫉妬」ではなく、♂との関係や自分の社会的地位を守ろうとする社会的競合の表れと考えられます。ニホンザル社会では、特定の個体との親和的な関係(毛繕い、接近、同席など)が他個体との間で競争の対象となることがよくあります。

今回の若い♂が群れ内で順位が高い(いわゆるボス猿、アルファ♂)のであれば、その♂と懇ろになった♀も自動的に群れ内での立場や順位が上がります。 
つまり、♀同士の権力闘争という側面もありそうです。
ニホンザルは母系社会で、オスは群れを移籍する一方、メスは生まれた群れで一生暮らします。そのため、メスの順位は主に母系を中心に決まりますが、特定の強いオスとの関係がメスの社会的地位向上に影響することもあります。 特に、アルファオスと親しい、あるいは多くのメスから注目されるオスと懇ろなメスは、群れ内での支持や優位を得やすくなります。ただし、順位関係は単純なものではなく、メス同士の家系的なつながりや群れの社会構造も複雑に関与しています。 また、オスの順位は戦いや競争で決まるだけでなく、メスの支持や社会的協力も重要な要素です。つまり、オスとメスの順位関係は相互に影響し合う社会的なものだと言えます。
しかし、今回2頭の♀が取り合った♂はボス猿(α♂)にしては若すぎる気がします。 
♀たちにとって、よほど魅力的な(優しいなど)♂なのでしょうか。
ニホンザルの社会において、順位の低いオスを巡っても、そのオスが特に魅力的であったり、優しい性格であったりする場合には、メス同士が争うことは十分にあり得ます。 理由としては、順位が低いオスでも、彼が持つ個別の魅力や社会的なつながり、例えば育児協力や防御の面で有利であることが評価されるためです。実際、繁殖相手としてだけでなく、社会的ネットワークや安全保障の観点から特定のオスを好むメスもいます。 また、順位の高いオスが必ずしも全てのメスから支持されるわけではなく、メス個体の選好や関係性が多様であることも知られています。そうした状況下で、順位の低いオスを巡ってメス同士が競合することは自然な社会的現象です。


知能の高いニホンザルは、生存のための基本的な行動以外にも社会生活が複雑です。

群れの全個体を識別した上で長期観察すれば、色々と面白いドラマが見えてくるはずです。

しかし、それだけでライフワークになってしまいます。

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