2015/12/31

隠れ家に糸を張り巡らせるアカオニグモ♀a【蜘蛛:暗視映像】



2015年10月上旬・午後19:24〜19:33

アカオニグモ♀の定点観察#15


枠糸の強化という一仕事を終えて隠れ家(タニウツギ灌木の葉裏)に篭ったアカオニグモ♀(Araneus pinguis)は周囲に不規則網を張り巡らし始めました。
ただし不規則網と思うのは私の観察眼が未熟なだけかもしれません。
長時間の微速度撮影してみれば、寝床になにか規則性や構造が見えてくるのかもしれません。(袋状住居?)
しかしビデオカメラや赤外線投光機のバッテリーが勿体無くて、「また後日撮ればいいや」と思い、長撮りしていません。
隠れ家の下の葉から右下に伸びる糸も光って見えます。
丸々と太った♀ですが、ライトを点灯すると腹背は未だ赤く色づいていません(黄色っぽい)。
次はクモが水平の枠糸(橋糸)から初めの縦糸をY字に張る過程だけでも見届けたかったのですが、隠れ家内で明け方まで寝る(休む)ようです。
とても明け方まで待てず、ビデオのバッテリーも切れたので観察を打ち切り帰りました。

残念ながらこの個体を観察できたのは、この日が最後でした。
辺り一帯が草刈りされてしまったのです。
網の取り壊しや卵嚢作りなど残るテーマの撮影は来季以降の宿題になります。

次回からは少し日にちを遡ります。
話の都合で飛ばしてしまったネタがあるのです。

つづく→#16:アカオニグモ♀a(蜘蛛):垂直円網の失敗作?【暗視映像】



水を飲むキイロスズメバチ♀



2015年9月下旬

林道を歩いていると目の前の地面からキイロスズメバチ♀(Vespa simillima xanthoptera)が飛び立ちました。
丁度そこは沢の水が流れ込み、林道の轍が濡れていました。
私が立ち止まって撮り始めるとその浅い水溜りに蜂が戻って来てくれました。
半開きにした翅を細かく震わせながら吸水しています。
水を飲み終えた蜂が飛び去りました。




2015/12/30

アカオニグモ♀a(蜘蛛)による枠糸強化の仕上げ【暗視映像】


2015年10月上旬・午後19:05〜19:09

アカオニグモ♀の定点観察#14


アカオニグモ♀(Araneus pinguis)が垂直円網を取り壊した後に水平の枠糸を強化する作業の続きです。
左の隠れ家(タニウツギ灌木の葉裏)から水平の枠糸の途中まで来ると斜め下へ引き返し、隠れ家の下に枠糸を張りました。
タニウツギ葉先に戻ると糸を固定しています。
これで左端を支える三角形が出来ました。
吊り橋を強化するトラス構造のようなものでしょうか。(クモ学での正式名称は?)

もしこの水平の糸が橋糸だとすれば、次の工程は橋糸の中央からY字状に最初の縦糸を張ることです。
これをぜひ観察したかったのですが、クモは隠れ家に篭ってしまいました。
造網は深夜から明け方にかけて行うので、それまで休息するのでしょう。


つづく→#15:隠れ家に糸を張り巡らせるアカオニグモ♀a【蜘蛛:暗視映像】


ノダケの花蜜を吸うヒメスズメバチ♂



2015年9月下旬

用水路沿いの草むらでヒメスズメバチ♂(Vespa ducalis)がノダケを訪花していました。
触角の長い雄蜂ばかり(少なくとも2匹)集まっているのがちょっと不思議でした。
ノダケの集合花は素人目には枯れかけているように見えますが、蜂は構わず吸蜜しています。
蜂は緑色の蕾よりも明らかに黒っぽい粒状の花を好んでいます。
ちなみにノダケの果実はカレー粉のような香りがするらしいのですが、私は未だ嗅いだことがありません。
同じ花序でニアミスした2匹のヒメスズメバチ♂同士で小競り合いになり、もつれ合うように花から落下しました。
餌資源(蜜源)を巡る争いや縄張り争いというよりも、相手を♀と誤認して交尾を試みたのかもしれません。

その一方で、メスグロヒョウモン♀(Damora sagana)が同じ花序に飛来してもヒメスズメバチ♂は無視して吸蜜を続け、攻撃したり追い払ったりすることはありませんでした。



2015/12/29

アサガオの花で採餌するトラマルハナバチ♀




2015年9月下旬

民家の壁を覆うように咲いた西洋(?)アサガオグリーンカーテントラマルハナバチBombus diversus)のワーカー♀が訪花していました。
大きく開いた花弁を透かして、奥で蜂が吸蜜・採餌している様子がよく見えます。
花筒から出てきた蜂の体は白い花粉で汚れているのに、後脚の花粉籠は空荷でした。
盗蜜するかと少し期待したのですが、トラマルハナバチは舌が長いので毎回必ず正当訪花しています。



サルビアの咲く花壇で獲物を探すキイロスズメバチ♀



2015年9月下旬

道端に咲いたサルビアの花壇でキイロスズメバチVespa simillima xanthoptera)のワーカー♀が忙しなく飛び回っていました。
赤い花の横で見事なホバリング(停空飛翔)を披露してくれました。
一度花に止まって吸蜜した!と思ったのですけど、残念ながら手前の花の死角でよく見えません。
正当訪花なのか、それとも穿孔盗蜜するかどうか、観察したかったです。

蜂はすぐに飛び立つと、獲物となる他の訪花昆虫を探索しています。

※ 動画編集時に自動色調補正を施しました。




2015/12/28

造網前に枠糸を強化するアカオニグモ♀a【蜘蛛:6倍速の暗視映像】



2015年10月上旬・午後18:31〜19:05

アカオニグモ♀の定点観察#13


久しぶりに現場入り。
まず午前中に様子を見ると垂直円網がきれいに張られており、アカオニグモ♀(Araneus pinguis)はいつものように隠れ家に潜んでいました。
破網行動を観察したくて日没後に再訪すると、網は既に取り壊されていて落胆しました…。
どうやら午後から張り込んで見張っていないといけないようです。
残っているのは水平の枠糸と、隠れ家(タニウツギ葉裏)から下草へ斜めに伸びた糸だけでした。
肝心のクモの姿がいつもの隠れ家に見当たらないので焦りました。
私がしばらく呆然としていると、夕闇の右手からクモが綱渡りで登場しました。
円網上部で支える水平の枠糸を
左右に何度も往復して、何重にも強化しています。
このようなメンテナンス行動は初めて見ました。
枠糸の右端を支えるヨモギの茎が秋風で日に日に倒伏しつつあるので、クモは糸の張力で立て直そうとしているのかもしれません。

三脚を立てて微速度撮影で記録したかったのですけど、私が持っている三脚では高過ぎます。
地面すれすれに低く固定できる自由雲台付きのローアングル三脚が欲しい…。


仕方がないので、網の前に座って愚直にビデオカメラ(赤外線の暗視カメラ)を手で持って撮影することにしました。
撮れた素材を6倍速に早回し加工したものをご覧ください。

冒頭でクモは水平の枠糸にぶら下がって左へ綱渡りしています。
タニウツギの葉先に達すると、糸を固定してから枠糸に引き返しました。
逆の右端ではヨモギの花穂に到達すると一休み。
ここから更に糸を引きながらヨモギ群落を右に進みます。
一番右端の花穂に糸を固定してから左へ引き返し始めました。
作業の後半になると、ヨモギ群落の右側には行かなくなり、最短距離で往復します。

枠糸強化をいつから始めたのか不明ですが、少なくともこの映像でクモは3.5往復しました。

つまり、少なくとも計3.5×2+1=8本の糸(始点は左端ですから+1)を追加したことになります。
作業の結果、果たして枠糸の距離は短くなったのか、採寸すべきでしたね。(我ながら詰めが甘い)

距離が分かればクモの綱渡り速度も求められたはずです…。
採寸しなくても定点カメラで微速度撮影していれば、枠糸の長さや傾きが微妙に変化したかどうか映像で記録できたかもしれません。


用語について質問です。
造網性クモが全くの零から網を張る場合、第一段階として水平に張られる糸は橋糸と呼ばれます。
しかし今回の場合、アカオニグモは毎日網を取り壊して作り直すので、水平の枠糸が残っているとみなして良いのでしょうか?

【追記】
いつもお世話になっている「クモ蟲画像掲示板」で質問したところ、くも子さんときどばんさんに次の文献を紹介してもらい、その解説に納得しました。

新海明 "橋糸はワク糸にならない" KISHIDAIA 107 (2015): 9-11.(PDFファイル)
円網上部の「いわゆる橋糸」正確には「外枠」が作成される.(中略)

私としては,細野先生による「この糸はいったん張り渡すと,めったにこわさない.そして時々ここを見回って補強するから,糸も太く強いものになる.この糸を橋糸と呼ぶ人もある.私も使うけど,それは造網初期に限ることにして,いったん網が出来てしまい,その後も半永久的に利用されるばあいは外枠と呼ぶことにしている」という見解を,今後は採用したいと考えている.ただ,そこまでこだわる必要がない図鑑などの解説なら単に「ワク糸」で良いと思っている.


↑【おまけの動画】
早回し加工する前のオリジナル素材も公開します。
じっくり見たい方はこちらをどうぞ。

つづく→#14:アカオニグモ♀a(蜘蛛)による枠糸強化の仕上げ【暗視映像】


サルビア・ガラニチカの花で盗蜜するクロマルハナバチ♀



2015年9月下旬

道端の花壇に咲いたサルビア・ガラニチカクロマルハナバチ♀(Bombus ignitus)が訪花していました。
本種は舌が短く盗蜜の常習犯として有名ですから採餌シーンをよく見ると案の定、毎回常に花筒の外側から根本を噛んで穿孔盗蜜していました。
雄しべに触れないので、当然ながら後脚の花粉籠は空荷です。
しがみついた花筒が抜けてしまい、一緒に落下する微笑ましいシーンも撮れました。

後半は、飛来したクマバチ♀とニアミスする度にクロマルハナバチは遠慮して逃げました(クマバチに追い払われた)。
クマバチの方がクロマルハナバチよりも個体数がやや多いというだけでなく、餌場での力関係もクマバチ>クロマルハナバチのようです。

▼関連記事
ブルーサルビア?の花で盗蜜するクマバチ♀

私も幼少期に赤いサルビアの花を片っ端から抜き取って根本を吸蜜(盗蜜行動!)して遊んものですけど、青い品種でも可能かどうか、興味があります(味見してみたい!)。
さすがに成人すると人様の花壇を勝手に荒らす行為はできませんから、自分で庭に栽培するところから始めないといけません。
青い花は蜂が好んで来るようですから、ビオトープの蜜源植物として良さそうです。



2015/12/27

破網後に隠れ家で休む夜のアカオニグモ♀【蜘蛛:暗視映像】



2015年9月下旬・午後19:26

アカオニグモ♀の定点観察#12


夜になってからアカオニグモ♀(Araneus pinguis)の営巣地を再訪すると、垂直円網は完全に取り壊された後でした。
赤外線の暗視カメラで撮ると、タニウツギ葉先とヨモギ花穂との間で水平に張られた一本の枠糸だけが見えます。
次の撮影目標である破網は日没前後に行われるのだろうか?
朝に給餌したので、満腹したクモが早目に店仕舞いしたのかな?
ちなみに、この日は満月で、
日の入り時刻は17:28。
隠れ家(タニウツギの葉裏)に潜んでいるクモは顔をこちらに向け葉裏にぶら下がっていました。

深夜0時まで粘ったのですけど、このままクモに動きはありませんでした。
ビデオカメラのバッテリーが切れたので観察を打ち切って帰りました。
明け方になれば隠れ家から出て造網を始めるのでしょう。

つづく→#13:造網前に枠糸を強化するアカオニグモ♀a【蜘蛛:6倍速の暗視映像】


ノダケの花蜜を吸うコガタスズメバチ♀とセスジハリバエ



2015年9月下旬

農業用水路沿いの草むらに咲いたノダケの群落でコガタスズメバチ♀(Vespa analis insularis)とセスジハリバエTachina nupta)が訪花していました。
テーブル状の同じ花序で歩き回りながら吸蜜しています。
目障りなハエをスズメバチが押し出したり払い除けたりする小競り合いも何度か見られましたが、敏捷で図太いハエはすぐに舞い戻ります。
最後に花から飛び立ったコガタスズメバチが黒いカメラに向かってホバリングしてきたので少し焦りました。
ハエのせいでコガタスズメバチは少し苛立っていたのかもしれません。
羽音がいかにも恐ろしげですけど、ゆっくり後退すれば刺されることはありません。(スズメバチを手で払い除ける動きはくれぐれも厳禁です)


関連記事(同所同時期の撮影)▶ ノダケの花蜜を吸うヒメスズメバチ♂


【追記】
ノダケなど一部のセリ科植物はスズメバチ媒花であることを示す研究結果が報告されました。
スズメバチ類に受粉される新たな植物の発見
――典型的なジェネラリスト植物であるセリ科における特殊化した送粉様式―― (日本語によるプレスリリース
MOCHIZUKI, Ko. Hunt and pollinate: Hornet pollination of the putative generalist genus Angelica. Ecology, 2024, e4311.(Open Access
この論文を読んで私も再度ノダケの訪花昆虫を観察し直したくなったのですが、当時の貴重なノダケ群落は草刈りで消失していました。
それ以来、フィールドで探し歩いてもノダケの花を見つけることができていません。
筆者の主張とは違い、ノダケの散形花序でスズメバチ類がハエやハナバチなど他の訪花昆虫を狩るシーンを私は見ていません。(観察時間が短かったのでしょう。)



2015/12/26

円網にかかったナツアカネ♀を捕食するアカオニグモ♀(蜘蛛)



2015年9月下旬・午前10:28

アカオニグモ♀の定点観察#11


近くで生け捕りにしたナツアカネ♀(Sympetrum darwinianum)をアカオニグモ♀(Araneus pinguis)の垂直円網に給餌してみました。
あまり暴れ過ぎないようにトンボの後翅を毟り取ってから網に投げつけると、意外にも暴れずにじっとしています(擬死?)。



隠れ家のクモは無視しています。
つい先程行った異物除去実験で糠喜びさせてしまったので、
「きっとまた狼少年だ…」「疑似餌にはもう騙されないぞ!」と警戒しているのでしょうか?
草の葉でトンボをつついてみてもおとなしくしています。
諦めて一旦トンボを網から引き剥がしてから再び網に投げつけると、今度はトンボが激しく暴れました。(映像はここから)
クモが隠れ家から信号糸を伝って網の中心部へ直行し、獲物に噛み付きました。
毒の回りが遅く、赤トンボはしばらく暴れています。
ナツアカネ♀が暴れても構わずアカオニグモ♀は捕帯で軽くラッピングしながら周囲の網を噛み切ります。
明るい昼間に見ているせいか、捕帯に使う糸の量は少ない印象です。
獲物を咥えながら円網の甑を経由すると、信号糸伝いに一気に隠れ家へ戻りました。
隠れ家に吊り下げた獲物を手元に引き寄せ、ゆっくり捕食します。

つづく→#12:破網後に隠れ家で休む夜のアカオニグモ♀【蜘蛛:暗視映像】



ホルン(ケイトウ)の花で休むクマバチ♀



2015年9月下旬

道端の花壇に咲いた赤紫色のハイカラな園芸植物の花にキムネクマバチ♀(Xylocopa appendiculata circumvolans)が止まっていました。
吸蜜中なのかと思いきや、風で揺れる花穂にしがみついたままで、触れても飛び立ちません。
寿命間近の弱った個体なのでしょうか?



さて、この派手な花の名前ですが、結構よく見かけるのに、園芸種に疎い私は名前を知りませんでした。
調べてみると、ケイトウ(鶏頭)のホルンという品種だろうと判明。





2015/12/25

垂直円網から異物を除くアカオニグモ♀(蜘蛛)



2015年9月下旬・午前10:20

アカオニグモ♀の定点観察#10


午前中に様子を見に行くと、明け方に張り替えたばかりと思われるきれいな垂直円網を残したままアカオニグモ♀(Araneus pinguis)はいつものように隠れ家(タニウツギの葉裏)に潜んでいました。



網のメンテナンス行動を観察するために、営巣地のすぐ横でたまたま見つけたカラハナソウ雌株の果穂を採取し、円網に一つ投げつけてみました。



網の振動でクモは隠れ家から直ちに甑へ駆けつけたものの、その先は慎重に近づきます。
歩脚の先で叩いてみて、獲物ではないと認識したようです。
騙されてカラハナソウ果穂を噛み付いたり捕帯でラッピングしたりすることはありませんでした。
異物と気づいたクモは、周囲の糸を丹念に噛み切って網から外し捨てました。
切ってしまった縦糸を張り直しながら甑に戻ります。
隠れ家に戻る動きは速過ぎて、三脚カメラでは追いつけませんでした。

つづく→#11:円網にかかったナツアカネ♀を捕食するアカオニグモ♀(蜘蛛)


腹面に外雌器が初めて撮れました。成体♀ですかね?

セスジスズメ(蛾)幼虫の路上徘徊



2015年9月下旬

セスジスズメTheretra oldenlandiae oldenlandiae)の幼虫が郊外の路上(墓地の横)を徘徊していました。
黒い尾角を振り立てて進む様子が可愛らしいですね。
定規を並べて採寸してみると、『イモムシハンドブック』に載っている体長80〜85mmよりやや小さいので、終齢より若いのかもしれません。

次にその定規で芋虫を転がそうとすると、Cの字に体を曲げました。
腹面を向けようとしても抵抗して、仰向けになってくれません。
側面の眼状紋を誇示するためですかね?



2015/12/24

トリノフンダマシ(蜘蛛)幼体は団居を作らない?



2015年9月下旬

トリノフンダマシ♀の定点観察#14


卵嚢から脱出したトリノフンダマシCyrtarachne bufo)幼体は各自が糸を引きながら分散し、後続の個体は綱渡りしています。

出嚢したばかりの幼体は、色形ともに成体とは似ても似つかぬ状態です。
脱出した幼体を接写すると、腹部はオレンジ色がかった褐色系で頭胸部は灰色、腹部腹面は黒っぽいです。
単眼付近は橙色っぽいです。

翌日になっても飼育容器内で幼体は集合せず団居まどいを形成しませんでした。

長時間の微速度撮影してみれば分散の挙動がよく分かったかもしれません。
容器に閉じ込められても共食いしている様子はありませんでした。(私が気づいていないだけ?)
野外の自然状態では直ちにバルーニングで分散するのですかね?(蜘蛛の子を散らす)
何匹の幼体が出嚢したのかカウントすべきなのですが、面倒でやっていません。

※ 冒頭の出嚢シーン(@〜00:30)のみ動画編集時に自動色調補正を施しています。

さて、採集した3つの卵嚢でちょっとした実験をしています。
近縁種オオトリノフンダマシの場合、卵嚢内の幼体は重力に逆らって上に向かい、卵嚢が置かれた向きに応じて上部に脱出口を開けるのだそうです。
今回私も真似をして、採集時の自然状態の向きに対して正立、倒立、横向きと3つの条件でトリノフンダマシの卵嚢を容器内に固定しました。
意外なことに、この記事を書いている現在(12月下旬)も、残る2個の卵嚢から幼体は孵化していません。
このまま室内で越冬するのでしょうか?※
それともオオトリノフンダマシの卵嚢とは異なり、トリノフンダマシでは正立条件以外(倒立、横倒し)では卵嚢内の幼体が脱出できなくなり死んでしまったのでしょうか?
トリノフンダマシとオオトリノフンダマシでは卵嚢の形状が違いますから、実験結果が違っても不思議ではありません。
春まで様子を見守ることにします。

※『クモ生理生態事典 2011
』サイトでトリノフンダマシの項を参照すると、

関東では9月に成体,中旬に産卵,産卵後3週間をして出のう,2令幼体で越冬(椿の葉裏など).(中略)10月24日に出のうした幼体雄は翌年4月18日,5月20日に脱皮.

つづく?



【追記】
本種の幼体を飼育したことは未だありませんが、造網せずに捕虫するらしい。
『クモのはなしI:小さな狩人たちの進化のなぞを探る』第3話 池田博明「似てない親子」p21によると、
 親になると網を持つという例があります。コガネグモ科のトリノフンダマシの仲間がそうです。この仲間は夏の夜に独特な網を張りますが、幼体や♂の網は知られていませんでした。(中略) 幼体は夕方暗くなるころから活動を開始し、ユズの葉のへりに移動してきます。そこで第4脚で葉のへりを、第3脚で葉の表面をおさえ、第1・第2脚を大きく広げて、飛んでくる羽虫を抱き込むようにつかまえるのです。♀の亜成体や♂も同じようにして捕虫します。(中略)コガネグモ科では幼体の時期に網を持たないで捕虫するクモが何種類か知られています。


サルビア・ガラニチカの花で盗蜜するセイヨウミツバチ♀



2015年9月下旬

道端の花壇に咲いたサルビア・ガラニチカ(=ガラニティカセージ)をセイヨウミツバチApis mellifera)のワーカー♀が訪花していました。
複数個体を撮影。
採餌シーンをよく見ると正当訪花ではなく、毎回常に花筒の外側から根本を噛んで穿孔盗蜜していました。
当然ながら、後脚の花粉籠は空荷です。
同じ花で2匹が鉢合わせのニアミス(蜂合わせ)することがありました。

映像後半(@1:00〜)に登場する空色の花はブルーサルビアですかね?(=サルビア・ファリナセア=ラベンダーセージ;Salvia indigo spires)
花が散りかけで、図鑑を見比べてもよく分かりませんでした。
園芸植物の名前は全く自信がないので、もし間違っていたら教えてください。
濃淡2種類の青いサルビアが花壇に並んで咲いていました。


舌が短く盗蜜行動の常習犯であるクマバチクロマルハナバチも同じ群落で盗蜜する様子を観察しています。
もしミツバチの行動が二次盗蜜(一次盗蜜者があけた穴を利用する盗蜜)ならば、一次盗蜜者はおそらくこのクマバチまたはクロマルハナバチでしょう。



2015/12/23

夜キアシナガバチの巣に侵入するワラジムシ【暗視映像】



2015年9月中旬・午前3:10

キアシナガバチ巣の定点観察@トウカエデ枝#10


深夜にキアシナガバチPolistes rothneyi)の巣を訪れ、いつものように赤外線の暗視カメラで撮り始めました。
巣上で寝ている蜂の数は激減して♀2匹のみになっていました。
巣盤の幹に近い側に2匹並んでしがみついています。
新女王かもしれません。

巣盤上を徘徊する怪しい虫を見つけて、一気に緊迫(興奮)しました。
スズメバチ科の巣を訪れる虫、同居する虫に最近興味がある私は、寄生蛾♀が産卵しに来たのか?、それともゴキブリか?と期待しました。

▼関連記事コガタスズメバチの巣に居候するゴキブリ【暗視映像】
予想は外れ、侵入者の正体は新たな珍客ワラジムシPorcellio scaber)でした。
好蟻性昆虫は非常に繁栄していますけど、好蜂性生物の研究はどの程度進んでいるのですかね? 

巣盤を下から見上げると、ワラジムシが育房を活発に這い回っています。
並んで寝ていた2匹のキアシナガバチ♀が同時にぴくりと動いたので、ワラジムシが脚先に触れたようです。
不審な侵入者を見つけて積極的に攻撃したり追い払ったりする様子は見られませんでした。

さて、ワラジムシがアシナガバチの巣で何の用があるのでしょうか?
共生関係とは思いませんが、ワラジムシは雑食性ですから蜂の巣を食害していたら面白いですね。
蜂の子(前蛹)が排泄した糞も育房内に残されているはずです。
確証を得るには、飼育下でアシナガバチの古巣を餌として与えてワラジムシが育つかどうか調べればよいでしょう。
しかし、営巣地のトウカエデの幹には普段からワラジムシが多く見つかることに気づきました。
ワラジムシはあまりにも普通種なので眼中になく見過ごしていましたが、7月下旬の昼間にキアシナガバチの巣を撮った写真でトウカエデの枝先にワラジムシが偶然写っていました。



トウカエデの剥がれかけた樹皮の隙間などに潜んで暮らしている、と考えるのが自然でしょう。
蜂の巣に居候しているというよりも、深夜徘徊中にたまたま蜂の巣に迷い込んだのだと思います。

白色LEDを点灯すると、蜂の足元に潜り込もうとしていたワラジムシは眩しい光を嫌って巣盤天井部に隠れてしまいました。
一方、蜂は照明に対して無反応で、触角を動かしただけでした。
寝ている蜂の目の前をワラジムシが横切っても、キアシナガバチ♀は攻撃しません。
別個体のワラジムシが手前の幹を徘徊しています。
巣に侵入したワラジムシをキアシナガバチが襲わないのは、暗闇で目が見えないからというよりも、ワラジムシを敵視していない(無害という認識で眼中にない)印象です。
屁理屈を言えば、ワラジムシが蜂の巣に安全に潜入するために体表を化学擬態している可能性もありますけど、さすがに妄想が過ぎますかね?
明るい昼間にアシナガバチの巣にワラジムシを乗せてみて排除されるかどうか、導入実験が必要です。
定点観察で巣上のワラジムシを見たのはこの一度きりでした。(昼間は一度も気づきませんでした)

つづく→#11:台風の大雨を巣で耐え忍ぶキアシナガバチ♀


食用菊の畑で採食するスズメ(野鳥)



2015年9月中旬

食用菊を栽培している畑でスズメPasser montanus)の幼鳥が群れでいました。
初めは畑の端で地上採食していましたが、後半は食用菊の株の茂みに隠れながら葉をつついて虫を捕食していました。
(前後半で別個体)


2015/12/22

卵嚢から孵化するトリノフンダマシ(蜘蛛)幼体



2015年9月下旬

トリノフンダマシ♀の定点観察#13

トリノフンダマシCyrtarachne bufo)幼体の出嚢を今度は微速度撮影ではなくリアルタイムで接写してみました。
卵嚢表面の穴から脱出すると、前の個体が残した糸を伝って綱渡りのように容器内に分散します。
脱出を躊躇う個体も見受けられます。
脱出した幼体を接写すると、腹部はオレンジ色がかった褐色系で頭胸部は灰色、腹部腹面は黒っぽいです。
単眼付近は橙色っぽいです。

つづく→#14:トリノフンダマシ(蜘蛛)幼体は団居を作らない?



夜にコガタスズメバチの巣をノックすると…【暗視映像】



2015年8月下旬・午前3:45頃

コガタスズメバチ巣の定点観察@祠・軒下#2


深夜に訪れるとコガタスズメバチVespa analis insularis)の巣は静まり返っていました。
赤外線の暗視カメラで下から撮ると、気配を感じたのか巣口内で動きがあり、門衛が顔を覗かせました。
しかし外被の外に出てきてパトロールすることはありませんでした。

白色LEDを点灯すると、育房内に白い繭キャップが見えます。
その隣には老熟幼虫も見えました。

暗視モードに戻してから、細い棒で巣の外被を軽くコンコン叩いたり擦ったりしてみたのですが(良い子は真似をしないでね!)、意外にも巣口からワーカーが出て来ずに籠城したままです。
1分以上しつこく刺激しても怒って攻撃してくることはありませんでした。
門衛も奥に引っ込んでしまいました。
外被が壊れるほどダメージを与えれば、さすがに夜も反撃してくるのかな?

コガタスズメバチの巣にゴキブリが同居しているのではないかという可能性を前回検討しましたが、外被に与えた振動で巣からゴキブリが逃げ出してこないかな?という期待も外れました。

前年に同じ営巣地のコロニーで同様の実験をした時と結果は同じでした。
去年はコロニーが小規模のまま停滞している(創設女王の妊性が低い)からかな?と思ったのですが、別に不思議ではなかったようです。
夜のコガタスズメバチはキイロスズメバチやモンスズメバチとは異なり、攻撃性・活動性が低いのでしょう。

(今季は昼間に観察できていないので、コロニーの個体数を把握していません。)
▼関連記事
夜は静かなコガタスズメバチの巣【暗視映像】@2014年8月下旬:このときは1匹だけが外被を点検に出てきた
逃去した?コガタスズメバチの巣@2014年9月上旬:無反応
つづく→#3

2015/12/21

トリノフンダマシ幼体(蜘蛛)の出嚢【微速度撮影】

2015年9月下旬

トリノフンダマシ♀の定点観察#12


桑の葉裏に吊るされたトリノフンダマシCyrtarachne bufo)の卵嚢3個を採集して室内で飼育することにしました。



同属の近縁種オオトリノフンダマシ(Cyrtarachne inaequalis)の場合、紡錘形の卵嚢に出来る脱出孔は必ず重力と反対側に出来ることが実証されているそうです。
(文葉社『クモの巣と網の不思議:多様な網とクモの面白い生活』p131より)。
中の幼体に負の重力走性(走地性)があり、脱出しようと上に向かって同じ位置を噛み付いた結果、開孔するのだそうです。



▼関連記事(2006年の撮影)
オオトリノフンダマシ幼体の出嚢:前編

トリノフンダマシとオオトリノフンダマシは卵嚢の形状が明確に異なります(球形、紡錘形)。
今回、同じ母クモが産んだと思われる卵嚢を3個手に入れたので、私も真似をしてトリノフンダマシの球形の卵嚢で実験してみることにしました。
採集時の自然状態の向きに対して正立、倒立、横向きと3種類の条件で木工用ボンドやリングなどを使って容器内に固定しました。





採集して4日後の晩、幼体の孵化が始まりました。
出嚢したのは密閉容器内に正立して置いた卵嚢です。
つまり、採集時(自然状態)と上下を同じ向きにしておいた卵嚢です。
初めの2個の卵嚢に関しては母クモが産卵した順番が分かりません。

普通に考えれば産卵順に孵化するのでしょう。
真上ではないものの、確かに卵嚢の上部を食い破って穴を開け、幼体が続々と脱出してきます。
大小2個の脱出孔が並んでいます。
大脱走の様子を3時間、微速度撮影してみました。
60倍速の早回し映像でご覧ください。

【おまけの動画】
早回し速度を変えたバージョンを2本、ブログ限定公開します。
眠れない夜にでもご覧下さい。
「羊が1匹、羊が2匹、… zzz」




↑40倍速映像



↑10倍速映像

つづく→#13:卵嚢から孵化するトリノフンダマシ(蜘蛛)幼体




コガタスズメバチの巣に居候するゴキブリ【暗視映像】



コガタスズメバチ巣の定点観察@祠・軒下#1

2015年7月中旬・深夜00:05〜00:07

今季のスズメバチ観察で最も興奮した発見の一つを報告します。

祠の軒下に営巣したコガタスズメバチVespa analis insularis)の巣を定点観察しています。
外被はだいぶ立派に育っていました。
夜中に様子を見に行き、赤外線の暗視カメラでそっと撮影すると、巣口から3匹の門衛が外界を見下ろして警戒しながら化粧していました。
この日は外被の夜間増築作業は見られませんでした。

外被を作りかけてポケット状になった部分にゴキブリが1匹潜んでいることに気づきました。
やがてゴキブリは警戒を解いて外被上を徘徊し始めました。
巣口から中に侵入する決定的瞬間が撮れるか?!と固唾を呑んで見守ります。
一方、コガタスズメバチの門衛は外被をガサゴソ歩き回る物音で侵入者に気づいているはずですが、外に出て来て積極的に追い払うことはしませんでした。
目が見えない夜は専守防衛で籠城するようです。
ゴキブリは巣口に差し込んだ長い触角をコガタスズメバチ♀門衛に噛み付かれそうになり、慌てて退散しました。

今回、ゴキブリがスズメバチと居候している決定的な証拠映像がようやく撮れました♪
ゴキブリは夜行性なので、暗視カメラの勝利です!
実は1ヶ月前の夜に、同じ祠でコガタスズメバチの巣の下の板壁を徘徊するゴキブリを観察して以来、共生(居候)しているのではないかと予想して張り込みを続けていたのです。

▼関連記事
夜に外壁を徘徊するヤマトゴキブリ♀【暗視映像】


今回見たゴキブリの種類ですが、前回と同じヤマトゴキブリPeriplaneta japonica)だとしたら、長翅の♂成虫ではありません。
幼虫または短翅の♀成虫だと思います。
腹端に卵鞘をぶら下げてもいませんでした。
後半はゴキブリを同定するため白色LEDを点灯したのですが、高所まで光が届きませんでした。
しかも夜行性のゴキブリは眩しい光を嫌って外被の上部(死角)に逃げてしまいました。
ストロボ写真を撮ればよかったのですけど、この日は普通のカメラを忘れてきたのです…。
同定のためゴキブリを採集したくても、最強の用心棒に守られているため怖くて手出しができません。
まるでヤクザの事務所に居候しているようなものです。(ワレええ根性しとるの!)
近隣の家から害虫駆除で迫害され続けた結果、半野外で究極のボディーガードを見つけたのかな?
コガタスズメバチの巣内を内視鏡カメラで覗いてみたら、もしかするとゴキブリが何匹も見つかるかもしれません。(ワクワク♪)
駆除したスズメバチの巣内にゴキブリが見つかった事例は報告されているのでしょうか?

(即効性のある強力な殺虫剤を使わないと、巣を採集する前にゴキブリは逃げてしまいそうです。)
スズメバチ関連の本を何冊も読んできましたが、ゴキブリに関する記述は記憶がありません。

在来種ヤマトゴキブリを飼育した経験から、雑食性で朽木を好んで食べることが分かっています。
コガタスズメバチの巣材は樹皮ですから、ヤマトゴキブリは居候しつつ巣を食害していても不思議ではありません。
あるいは巣内のスズメバチの食べ残し(虫の死骸)や排泄物が目当てなのかもしれません。
明るい昼間だとゴキブリはスズメバチに見つかったら殺されて幼虫の餌にされてしまうでしょう。
昼間も外被ポケットに潜んでいるのでしょうか?
外被の増築に伴いポケット内に閉じ込められても齧って脱出するのは容易でしょう。
スズメバチから攻撃されないようにゴキブリが体表を化学擬態しているとしたら面白いですね。




アリの巣の中では蟻客(好蟻性昆虫)と呼ばれる多種多様な生きものたちが非常に繁栄しています。
好雀蜂性昆虫(しぐま造語)も同じぐらい面白いテーマかもしれないと、以前から密かに思っていました。


参考サイト:スズメバチの天敵@都市のスズメバチ
しかしスズメバチの巣は毎年一から作り直すので、好蟻性昆虫ほど寄主と親密な共生関係は築けずあまり繁栄していないのかもしれません。(あまり研究が進んでいないだけなのかな?)

ゴキブリがスズメバチの巣を食害するシーンを撮りたくて、その後も夜な夜な定点観察に通いました。

しかし残念ながらゴキブリの姿は二度と見つけられませんでした。
もし私の予想通り巣内でコガタスズメバチと同居しているとしたら、外から見つけ難いのは当然です。

ゴキブリは物陰に潜む性質があるので、今回の事例も冷静に考えれば「ゴキブリが徘徊中に偶然コガタスズメバチの外被ポケットに迷い込んだだけ」という可能性を排除できません。
素人でもできそうな実験としては、採集したスズメバチの古巣を餌にしてヤマトゴキブリを飼育できるかどうか、試してみる価値はありそうです。(ゴキブリはスズメバチの巣に誘引されるのか?)

【追記】
翌年に飼育実験しました。
コガタスズメバチの古巣を餌にヤマトゴキブリの飼育は可能か?


2015/12/20

トリノフンダマシ(蜘蛛)3個目の卵嚢

2015年9月上旬

トリノフンダマシ♀の定点観察#11


前回の観察から5日後に営巣地を訪れるといつもの隠れ家(桑の葉裏)にトリノフンダマシ♀(Cyrtarachne bufo)の姿が無く、焦りました。
辺りを探すと、右下の低い桑灌木の葉裏に隠れていました。
幼体が未だ孵化していないのに母クモが卵嚢ガードを放棄して移動したのは何故なのか、非常に気になります。
隠れ家を移動したことのメリットを考えてみると、造網の基礎となる水平の枠糸や放射糸が短く節約できるはずです。
予想が正しければ、前回よりもこじんまりした網になりそうです。
造網する営巣地は茂みにギャップがあることがポイントなのでしょう。
ところが夕方から深夜2時まで粘って観察しても、トリノフンダマシ♀は隠れ家に篭ったまま造網を始めてくれませんでした。(映像なし)
産卵準備なのか?という気がしてきました。
クモを採集して飼育下で観察するべきか迷ったのですが、この時期は他のことで忙しくて飼育する余力が無いので、諦めて帰りました。

※ クモに個体識別のマーキングを施した訳ではないため、隠れ家を引っ越したトリノフンダマシ♀が同一個体である確証はありません。

しかし生息密度が低いので、同一個体とみなして話を進めます。






2015年9月上旬

それから更に8日後に再訪すると、♀クモが失錯していました。
前回隠れていた桑の葉裏に新たに卵嚢が1個作られていました。
♀は計3個の卵嚢を作って寿命を迎えたのかもしれません。
やはり飼育下で卵嚢作りを観察したかったです。

つづく→#12:トリノフンダマシ幼体(蜘蛛)の出嚢【微速度撮影】


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