2024年5月中旬・午後14:05頃・晴れ
里山の入山口から少し登った地点で、林道横の枯木の幹に見慣れないヤンマが止まっていました。
翅を広げたまま幹にぺたりと止まっています。
顔の額が白いです。
撮れた写真からGoogleレンズ(画像検索)で調べてみると、ムカシヤンマ♂(Tanypteryx pryeri)という珍しいトンボでした。
ときどき止まり木から飛び立っても、同じ止まり木(または隣接する別の止まり木)にすぐ戻ってきます。
口元をよく見ると何か獲物を咀嚼していたので、縄張りを張って(※ 追記参照)獲物を捕食しているのだと分かりました。
関連記事(14年前の撮影)▶ ムカシヤンマ♂の食事
ムカシヤンマ♂は次々に虫を捕食していたのですが、獲物の全身を私が確認する前にどんどん食べてしまうので、その正体を同定できませんでした。
もし映像から獲物の種類を大まかにでも見分けられる方がいらっしゃいましたら、教えていただけると助かります。
根元から食べられている獲物の黒くて細長い脚を見ると、なんとなくトンボのような気がしました。
獲物の脚の次は、真っ黒で細長い腹部を前方からムシャムシャと食べ進みます。(@0:54〜4:50)
そこだけ見ると、ツチバチを連想しました。
しかしツチバチなら大抵の種類は腹部に横縞模様があるはずですし、私は5月中旬にツチバチの成虫を見たことがほとんどありません。
獲物の腹部の内部から白い泡状?の物質が出てきました。
どうやらその白い泡はムカシヤンマにとって不味いらしく、獲物の腹部をほとんど食べ残して口から捨ててしまいました。
その食べ残しは止まり木の幹に付着したのですが、ムカシヤンマ♂が飛び立つ拍子に落下しました。
次にムカシヤンマ♂が狩ってきた獲物も有翅の小さな昆虫でした。
トンボを背側から撮ると、肝心の口元がよく見えません。
獲物の正体を調べるには、横から狙って撮影する必要があります。
ムカシヤンマ♂が止まり木から飛び立つ瞬間を狙って240-fpsのハイスピード動画でも撮ってみました。(@5:12〜5:50)
すぐに舞い戻ってきて同じ止まり木に着陸するシーンも撮れていました。
このときは狩りに失敗したようで、獲物を脚で抱えてもいなければ口に咥えてもいませんでした。
最後にムカシヤンマ♂はお気に入りの枯木を離れて、少し離れたスギの幹に止まり直しました。(@5:50〜)
止まり木で捕食中に左からクロアリ(種名不詳)が近寄ってきたものの、巨大なヤンマを襲って獲物を強奪することはありませんでした。
※ 状況を分かりやすく伝えるために、動画素材の順番を少し入れ替えて編集しました。
※【追記】
トンボが特定の止まり木を中心として飛びながら空中で狩りを行い、元の止まり木に戻ってくる行動を繰り返していたとしても、他の侵入個体を追い払うなどの防衛行動(占有行動)を見ない限り、そのトンボが縄張りを張っていると厳密には言えないのだそうです。
つまり、どうしても観察時間の長さやトンボの個体密度によって解釈が左右されてしまいます。
止まり木のトンボ個体に食欲や性欲があるかどうか(未成熟かどうか)でも行動は変わってくるでしょう。