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2024/10/04

越冬用の巣穴入口からアクセストレンチを四方八方に掘りまくる晩秋のニホンアナグマ【トレイルカメラ:暗視映像】

 



2023年11月下旬 

シーン0:11/23・午後12:14・晴れ・気温26℃(@0:00〜) 
明るい時間帯にたまたま撮れた現場の様子です。 
平地の落葉した二次林でニホンイタチMustela itatsi)の越冬用営巣地をトレイルカメラで見張っています。 


シーン1:11/27・午前1:13・気温0℃(@0:04〜) 
冷え込む深夜に巣穴Rから勢い良く外に出てきた個体aが巣口Rを見下ろして、巣内の個体bと対峙しています。 
アナグマaは巣口Rの縁を前脚で引っ掻いて掘り始めました。 
なぜかアクセストレンチを新しい方向に掘り始めたようです。 


シーン2:11/27・午前1:20・気温2℃(@1:04〜) 
独りで巣外に居るアナグマが、営巣地(セット)の広場で落ち葉の上に座り込みました。 
林縁でうつ伏せに寝そべると、前脚で地面を掻き始め、そのまま横臥姿勢になりました。 
観察歴の浅い私にはなんとも解釈に苦しむ行動なのですが、掘ったばかりのひんやりした土に触れると気持ち良いのかもしれません。 
しかし暑い夏ならともかく、寒い晩秋の深夜にやることではないと思うのですが…? 


シーン3:11/27・午前1:20・気温2℃(@1:32〜) 
ようやく横臥から起き上がると、新たなアクセストレンチを掘り始めました。 
掘り返したばかりの黒土の上に腹這いになりました。 


シーン4:11/27・午前1:26(@2:31〜) 
巣口Rから外に向かって、なだらかなスロープを作ろうとしています。 
作業の合間に身震いしました。 
座り込んでしばしの休息。 


シーン5:11/27・午前1:32(@3:18〜) 
左から急いで巣口Rに戻ってきたアナグマが短い鳴き声を発しました。 
※ 鳴き声が聞き取れるように、ここだけ動画編集時に音声を正規化して音量を強制的に上げています。 

巣穴Rに入りかけたものの、アクセストレンチをまた別方向に掘り始めました。 


シーン6:11/27・午前1:36・気温4℃(@4:18〜) 
アクセストレンチを掘り続ける個体と、それを巣R内から見守る個体(門衛?)が対照的です。 
アナグマの社会(家族群)では分業がしっかり別れているのでしょうか。 
穴掘りはヘルパー♂の担当なのかな? 
体型や顔つきは確かに♂っぽいのですが、越冬前で丸々と太っているために、分かりにくいです。 
巣内で見守る個体の顔つきは♀っぽいのですが、顔馴染みの母親♀(右目<左目)ではありません。(@4:26) 
穴掘り作業を途中で交代することはありませんでした。 


シーン7:11/28・午前7:28・気温3℃(@5:19〜)日の出時刻は午前6:29 
2日後の明るい朝にたまたま撮れたセット(営巣地)の様子を最後にお見せします。 
晩秋の林床は落ち葉に覆い尽くされているのですが、巣口Rの周囲だけが掘り返されて、黒土が露出しています。 


【考察】 
アナグマのアクセストレンチというのは本来、巣穴の奥から掘り出した土砂を外に捨てる際に自然に形成されるスロープや溝のことです。 
今回はトンネル(巣穴)を深く掘る土木工事はしないで、表土を耕すようにアクセストレンチの拡張整備だけに専念していました。 
巣口Rからアクセストレンチを放射状に(四方八方に)伸ばして掘りました。 

巣材(寝床)として使う落ち葉の搬入に続いて、これから深い根雪が積もる前の冬越し準備だと思うのですけど、一体どういう意味があるのか、私にはさっぱり分かりません。 
我々ヒトが野営(キャンプ)する際には、テントを張ってから四方に排水用の溝を掘るのが鉄則です。 
それに対して、アナグマのアクセストレンチが排水を考えて掘られているとは思えません。 
巣口付近が深いすり鉢状になると、大雨が降ったときや春の雪解けで巣内に浸水するのではないか?(まるで城の水攻め)と老婆心ながら心配になります。 
巣口付近を予め整地しておかないと、厳冬期の吹雪が吹き荒れる荒天時に変な吹き溜まりができてしまうのかもしれません。 

タヌキやテン、イタチなどの部外者がセットを訪問することがあまりにも多いので、アナグマが落ち着いて越冬できるように、巣口付近の表土を掘り返してマーキングの匂いを消していた、という可能性はどうでしょう?



2024/09/30

初雪が降った次の晩に巣材の落ち葉を追加で集めて越冬用巣穴に運ぶニホンアナグマ【トレイルカメラ:暗視映像】

 



2023年11月下旬・午後17:40頃・気温3℃(日の入り時刻は午後16:25) 

平地の落葉した二次林でニホンアナグマMeles anakuma)の越冬用巣穴をトレイルカメラで見張っています。 

初雪が降った翌日の晩に、アナグマが追加の巣材を集めていました。 
めっきり冷え込んで、巣内で寝床(断熱材)の落ち葉が足りないと判断したのでしょう。 
落ち葉が根雪で埋もれてしまう前に、なるべく多く集めておかなくてはいけません。
こんなん、なんぼあってもいいですからね!

林床に積もった落ち葉を前脚で掻き集めながら後退し、巣穴Rに運びました。 
普段なら後ろ向きのまま巣穴の奥まで潜り込んで巣材を搬入するはずです。
しかし今回は珍しく落ち葉を巣口Rに押し込んだだけで、次の作業に移りました。 
すぐに出巣Rして、巣口LRの中間地点からも落ち葉を集めています。 
我々の感覚では、乾いた落ち葉ならともかく濡れた落ち葉は断熱材(寝床)として暖かそうには思えないのですけど、アナグマは気にしません。 

やはり、アナグマがこの巣穴で越冬すると考えて間違いなさそうです。 
タヌキなど他の野生動物もときどきこの巣穴Rに侵入しますが、巣材を搬入することは一度もありません。 
アナグマが巣材集めの作業中にカメラに正面を向いてくれなかったので、この個体が顔馴染みの♀(右目<左目)かどうか区別できませんでした。 


2024/09/20

晩秋の休耕地でニホンアナグマの越冬用巣穴の横に溜め糞場を見つけた!

 



2023年11月下旬・午後13:15頃・晴れ 

休耕地に掘られた巣穴を見張っているトレイルカメラの電池やSDカードの交換に来ました。 
撮れた動画を現場でチェックすると、ニホンアナグマMeles anakuma)が巣材(寝床の枯草)を搬入していたことから、この巣穴で越冬しそうだと分かりました。 
かつてここはホンドタヌキの繁殖用営巣地だったのに、いつしかアナグマが乗っ取ったようです。 

広角で動画を撮りながら枯野を歩いて、巣穴を調べに行ってみました。
クズなどの枯草に覆われた休耕地に獣道が形成されています。 
3つ並んでいる巣口を順に見て回ったのですが、巣穴の主は巣口に顔を出しませんでした。 
日中のアナグマは巣内で寝ているのでしょう。 
巣穴の奥から外に掻き出した土砂が斜面(アクセストレンチ)を形成しています。 

巣穴の近くに溜め糞場を発見したのが嬉しい収穫です。 
黒い泥状の糞が乾いていることから、おそらくアナグマの溜め糞場ではないかと思います。 
アナグマの溜め糞場を巣穴の近くで見つけたのは初めてで、アナグマ関連の本に書いてあった通りでした。 
これまで私は巣穴から離れた位置でしかアナグマ専用の溜め糞場を見つけられず、当地のアナグマは独特の排便習性をもっているのだろうか?と悩んでいました。

糞塊はひとつだけではなく、タヌキの溜め糞らしきものも見つかりました。 
糞に含まれている未消化の種子を観察すると、カキノキソバの実を食べていることが分かります。 
(真面目に糞分析をする余力がなくて、写真から判断しただけです。) 
実際、近くに柿の木が生えていますし、ソバ畑もあります。
アナグマとタヌキが溜め糞場を共有しているのでしょうか? 
あるいは(都合よく解釈すると)、アナグマが巣穴を乗っ取って以来、タヌキの溜め糞は使われなくなったのかもしれません。 
ソバの実などが含まれた溜め糞
カキノキの種子などが含まれた溜め糞
越冬用営巣地の全景

少し遠くから営巣地を監視していたトレイルカメラの設置場所を変更して、巣穴や溜め糞場に通ってくる動物を間近で見張ることにしました。 
三脚を立てて見下ろすように監視カメラを設置したいところですが(ハイアングル)、広い枯野で三脚が目立ってしまうと誰かに見つかりそうです。
撮影機材の盗難や野次馬による野生動物への悪影響など厄介なことになりそうなので、三脚の使用は却下。 
かと言って、枯野の地面に監視カメラをむき出しのまま設置すると(ローアングル)、野生動物が咥えてどこかに持ち去ってしまいそうです。 


そこで重りとして、600mLの水入りペットボトルとホームセンターで購入した園芸用コンクリートブロックを地面に置き、そこにトレイルカメラをワイヤーロックで固定しました。 
カメラが根雪に埋もれてしまう前の短期決戦で挑みます。 




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2024/09/18

休耕地で越冬用の巣穴に巣材の枯草を運び込むニホンアナグマ【トレイルカメラ:暗視映像】

 



2023年11月下旬・午後17:10頃・(日の入り時刻は午後16:27) 

日没後30分もすると、辺りはもう真っ暗です。 
休耕地(枯野)にある巣穴からニホンアナグマMeles anakuma)が外に出て来ました。 
巣口でキョロキョロしながら辺りを警戒しています。 

安全を確かめると、アナグマは巣穴の左側エリアで巣材を集め始めました。 
めっきり寒くなってきたので、越冬前にふかふかの寝床(断熱材)を追加するのでしょう。 
休耕地に蔓延っていたクズカナムグラなどの枯れた蔓植物を口で咥えて引っ張り、むしり取っています。 
集めた巣材を両腕に抱えながら後退して巣穴に運んで行きます。 
巣材を搬入してから再び出巣すると、今度は右へ歩き出しました。 

次は手前のエリアから巣材を集めます。 
地面の雑草や落ち葉、枯れ草などを前足で手当たりしだいに掻き集め、獣道を後退しながら巣穴に戻ります。 
営巣地の周辺は広い枯野なので、アナグマは巣材(寝床)となる枯草に困ることはありません。 

この個体は体型や顔つきから♀のようですが、顔馴染みの母親♀(右目<左目)ではありませんでした。 
最後に、越冬前の巣材集め行動を5倍速の早回しでリプレイ(@3:51〜)。 




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2024/08/12

スギ林床で落ち葉を寄せ集めて巣口を隠す野ネズミ【トレイルカメラ:暗視映像】

 



2023年10月下旬〜11月上旬 

平地のスギ防風林でたまたま見つけた野ネズミ(ノネズミ)の巣穴を自動センサーカメラで見張っています。 

シーン0:10/27・午後13:40(@0:00〜) 
明るい日中にたまたまフルカラーで撮れた現場の様子です。 
画面の左上隅に風倒木の朽ち果てた切株があります。 
 この切株の周囲には、野ネズミが食べた後のオニグルミの殻がたくさん捨てられていました。(門歯で殻をくり抜いた食痕つき) 
その手前の溝に、古い手押し車のフレームが錆びたまま放置されています。 
ここにニホンアナグマMeles anakuma)専用の溜め糞場stmpがあり、黒い軟便が残されています。 

杉防風林の林床にはスギの落ち葉が堆積しているだけでなく、広葉樹の落ち葉もあちこちに散乱しています。 
冒頭画面で示した赤丸が、野ネズミの巣穴の位置です。 


シーン1:10/27・午後18:19(@0:06〜) 
晩に落ち葉で隠蔽された巣口から外に出てきた野ネズミが林床で餌を探し回ります。 
フクロウなど上空から襲ってくる夜行性の捕食者が怖いのか、スギ落ち葉の下に隠れながら移動しています。 


シーン2:10/29・午前2:16(@0:32〜) 
深夜にスギ林床の巣口から外に出てきた野ネズミが、以前と同じルートを辿って探餌徘徊。 
アナグマの溜め糞場stmpには興味がなく、素通りしています。 


シーン3:10/29・午後21:41(@0:45〜)
巣口周辺の林床に散乱している落ち葉を口で咥えて引き寄せ、巣口を隠蔽しています。 
広葉樹の落ち葉だけでなく、針葉樹のスギ落ち葉も少しだけ運んで被せました。 
隠蔽工作が済むと、林床をうろつき始めます。 

手押し車のフレーム直下にスギ落葉層の下に潜り込むための穴が開いているのですが、それは隠蔽しようとしないのが興味深いです。 
あの穴は巣口とは違うのでしょう。 


シーン4:10/30・午後18:09(@1:26〜) 
晩に手押し車のフレームの左下でスギ落ち葉の下に野ネズミの白く光る目が動き回っています。 
用心深く地表にようやく出てくると、落ち葉で隠蔽された巣口に潜り込みました。 
入巣の直前にちょっと迷ったのは、仮想敵に対してフェイントを掛けたのか、それとも暗闇で本当に迷ってしまったのか、どちらでしょう? 
巣口の目印として、落ち葉を被せておいた可能性もありそうです。 


シーン5:10/30・午後23:22(@2:05〜) 
深夜に野ネズミが林床で落ち葉を次々に拾い集めて運び、巣口を念入りに隠蔽しています。 
昼間にスギ林床で採餌するシロハラなどの野鳥が落ち葉めくりをして撹乱するため、夜な夜な修復が必要なのかもしれません。(映像公開予定) 
だとすると、巣口に落ち葉を被せる目的はカモフラージュ(隠蔽偽装)ではなく目印のため、という可能性が高まってきたかもしれません。 

その後は珍しくアナグマの溜め糞場stmpに立ち寄りました。 
黒っぽく見える溜め糞そのものではなく、その周囲の落ち葉を調べているようです。 
アナグマの糞の上を歩くことに野ネズミは衛生的に何ら抵抗を感じていません。 
その後は左から回り込んで切株の裏へ向かいました。 


シーン6:10/31・午前1:40(@3:03〜) 
深夜に巣口から外に出てきた野ネズミが、いつもと同じルートで探索しています。 


シーン7:11/1・午後17:24(@3:36〜)日の入り時刻は午後16:44。 
日没後に野ネズミが手押し車フレーム直下の穴から外に出てきました。 
入巣しかけたのになぜか引き返して、スギ落葉層の下に潜り込みました。 
その後は、いつもの決まったルートで探索開始。 


シーン8:11/2・午前5:16(@4:19〜)日の出時刻は午前6:02。 
夜明け前に雨が降っていました。 
画面の左下から走ってきた野ネズミが、落ち葉で隠蔽された巣穴に入りました。 
ところが、わずか9秒後に同じ巣口から再び外に出てくると、右に立ち去りました。 
(別個体の可能性もありますが、個体識別ができていません。) 


シーン9:11/2・午後18:13(@4:46〜) 
同じ日の晩に、野ネズミが巣口から顔だけ外に出して辺りを警戒しています。 
残念ながら、すぐに録画が切れてしまいました。 


シーン10:11/4・午前4:27(@4:53〜) 
未明に餌探しから戻った野ネズミが、巣穴に戻りました。 


シーン11:11/4・午後21:05(@5:00〜) 
珍しくアナグマの溜め糞場stmpに来ていた野ネズミが、スギ林床をウロチョロし始めました。 
やがて広葉樹の大きな落ち葉を口に咥えて運び、巣口に被せて隠蔽工作。 
次は小さな落ち葉を2枚続けて咥えて運び、巣口に被せました。 


シーン12:11/5・午後21:05(@6:01〜) 
野ネズミが巣口の落ち葉をかき分けるように入巣しました。 



最後に、野ネズミが落ち葉を拾い集めて巣口に寄せ集める行動だけをまとめて、1.5倍に拡大した上でリプレイ。(@6:09〜) 
この行動は野ネズミの知性を強く感じさせて、個人的にとても好きです。
何度見ても飽きません。



2024/08/04

秋の冷え込む夜明け前に落ち葉掻きをして巣材を集めるニホンアナグマ【トレイルカメラ:暗視映像】

 



2023年10月下旬 

シーン0:10/20・午後14:16(@0:00〜) 
シーン0:10/23・午後13:36・気温18℃(@0:04〜) 
明るい昼間にたまたま撮れた現場の様子です。 
新機種のトレイルカメラ2台を平地の二次林に設置し、ニホンアナグマMeles anakuma)の旧営巣地(セット)を見張っています。 


シーン1:10/27・午前4:51・気温4℃(@0:08〜) 日の出時刻は午前5:56。 
明け方はかなり冷え込むようになりました。 
巣穴Rから外に続けて出てきた2頭のアナグマが林縁をうろついたり広場に座り込んだりしています。 
やがて2頭は、相次いで右へ向かいました。 


シーン2:10/27・午前4:52・気温4℃(@1:08〜) 
別アングルで設置した映像に続きが写っていました。 
左から登場したアナグマが地面の匂いを嗅ぎながら慎重に巣穴Lに入りました。 
しばらく後に再び巣口Lから顔を出したところで録画が打ち切られました。 
この個体の両目は左右均等です。 


シーン3:10/27・午前4:52(@1:56〜) 
1頭のアナグマがセットから右に立ち去ってしばらくすると、右からアナグマaが後ろ向きで林床の落葉を大量にかき集めながら戻ってきて、そのまま巣穴Rに搬入しました。 
最近、冷え込みが厳しくなってきたので、越冬用の寝床(断熱性の高い巣材)を集めてきたのでしょう。 

そのすぐ後ろからついて来た別個体bは落葉集めを手伝わず、仰向けに寝転がって、毛繕いを始めました。 
ごろんと仰向けになった瞬間の股間を見ても、私には性別を見分けられませんでした。 
乳首がないのは確かです。 
両目の大きさは同じでした。 
個体bが左へ歩き去ると、対面に設置したトレイルカメラの赤外線LEDが点灯しました。 


シーン3:10/27・午前4:54・(@2:46〜) 
なぜか林床で立ち止まっていたアナグマbが右へ立ち去りました。 
戻ってこなかったので、巣材集めではなく、採餌に出かけたようです。 

こんな低温でも造網性のクモが活動しており、レンズの手前を至近距離で横切りました。 


※ 動画の一部は編集時に自動色調補正を施しています。 
※ 落ち葉を掻き集める物音が聞き取れるように、動画編集時に音声を正規化して音量を強制的に上げています。 


今回登場したのは計3頭だと思うのですが、個体識別ができていません。 
冬越しに備えて丸々と太った幼獣またはヘルパー♂ではないかと想像しています。 


2024/08/01

越冬用の巣穴を分業して掘り広げる秋のニホンアナグマ【トレイルカメラ:暗視映像】

 




2023年10月下旬・午後18:41〜19:31 

シーン0:10/23・午後13:36・気温18℃(@0:00〜) 
明るい日中にたまたま撮れた現場の状況です。 
新機種のトレイルカメラ2台を平地の二次林に設置し、ニホンアナグマMeles anakuma)の旧営巣地(セット)を監視しています。 


シーン1:10/26・午後18:41(@0:04〜) 連続撮影のため気温表示は異常値。 
出巣L直後と思われるアナグマが巣口L周辺の地面を少し嗅ぎ回ってから、再び巣穴Lに戻りました。 
しばらくすると、前脚で土砂を掻き出しながら後ろ向きで出巣Lしました。 
どうやら冬越しに備えて、巣穴Lを拡張工事し始めたようです。 
何度も往復して巣L内の土砂を外に掻き出す様子を5倍速の早回し映像でご覧ください。 
巣口Lの左に土砂を毎回捨てるため、アクセストレンチの緩斜面(溝)が形成されます。 

トレイルカメラのレンズのすぐ手前に造網性クモが居座ってしまい、目障りですね。 

さっきまで2頭のアナグマ(幼獣?)が長時間かけて格闘していたのは、穴掘り担当を決める争いだったのでしょうか? 
あるいは、来季のヘルパー♂候補どうしの争いだったのかな? 
取っ組み合いで体力を無駄に消耗したのではないかと素人目には心配になるのですが、穴掘り前に体を暖める準備運動(ウォーミングアップ)だったのかもしれません。 


シーン2:10/26・午後18:42(@0:42〜) 
1頭aが巣口Lで穴掘りしている間に、もう1頭bが辺りをうろつき、作業を見守っています。 
「穴掘り作業をヘルパー♂aに任せる♀b」という定説に当てはめたくなりますが、♀なら左右の目が左右非対称(右目<左目)のはずです。 
外見でこの2頭の性別を見分けられないのですが、今回の個体bは左右の目の大きさが同じなので、少なくとも、春にこの営巣地(セット)で出産した母親♀でないことは確かです。 
私としては、今のところ2頭a,bとも大きく育った幼獣だと考えています。 

しばらくすると、幼獣bも穴掘り作業を手伝い始め、アクセストレンチを整えるようになりました。 
巣穴Lの奥を担当する個体aと、外のアクセストレンチを担当する個体bとが分業しています。 
母親やヘルパー♂(当歳仔の幼獣にとっては1歳年上の兄)の穴掘り作業を見ていつの間にか幼獣たちも穴掘りを覚えたのでしょうか?(それとも本能行動?) 

撮影の邪魔だったクモがようやくどいてくれました。 


シーン3:10/26・午後18:44(@1:42〜) 
 地上を分担していた個体bが作業を中断し、なぜかアクセストレンチ上のとある地点に別の穴を掘り始めました。 
ミミズでも見つけて採食しているのかな? 
やがてアクセストレンチの整備作業に戻りました。 


シーン4:10/26・午後18:46(@2:42〜) 
地中から掘り出した土砂と一緒に地上の落葉もついでに掻き出し、左に長いアクセストレンチを形成しています。 
穴掘り担当個体aは、全身が黒土で真っ黒に汚れてきました。 


シーン5:10/26・午後18:47(@3:42〜) 
ここでなんと、穴掘りの分担を交代しました! 
それまで穴掘りしていた個体aは、アクセストレンチを左に伸ばすようになりました。 
その後は少し疲れた様子で、奥の獣道を右往左往しています。 
立ち止まって身震いしても、体に付いた黒土は落ちません。 


シーン6:10/26・午後18:49(@4:42〜) 
いつものように1頭aが後ろ向きで土砂を巣穴Lの外に掻き出していたら、巣内から別個体bが頭から外に飛び出してきました。 
したがって、トンネル内にはアナグマが方向転換できるスペースがあることがうかがい知れます。 
個体bは身震いしてから右へ立ち去りました。 
「後はお願いね♪よろしく♪」 
採食や排便に出かけたのではないかと思われますが、最寄りの溜め糞場stmpに設置した監視カメラには写っていませんでした。 

残された個体aは穴掘り作業を独りで黙々と続けています。 


シーン7:10/26・午後18:51(@5:20〜) 
残された個体aによる穴掘り作業を5倍速の早回し映像でご覧ください。 
分業するパートナーが居なくなったので、地中の巣内を掘り広げる作業だけでなく、地上のアクセストレンチ整備も独りでやらないといけなくなりました。 

巣穴Lに出入りする際に後ろ姿の股間を注意深く見ても、外性器がしっかり見えませんでした。 
巣口Lの周辺に蔓延る木の根や落枝が邪魔でよく見えないのです。 


シーン8:10/26・午後18:55(@5:40〜) 
穴掘り作業を続けています。 


シーン9:10/26・午後19:06(@6:04〜) 
疲れてもときどき小休止を挟みながら、一気呵成に巣穴Lを深く広く掘り広げています。 


シーン10:10/26・午後19:24(@6:44〜) 
いつものように、穴掘り個体aが後ろ向きで排土していたら、別個体cが巣口Lから外に出て来ました。 (@6:50〜)
外出していた個体bがいつの間にか戻っていたのかと思いきや、この個体cは目の大きさが左右非対称(右目<左目)の、私には馴染みのある♀でした。 
♀cがいつ入巣Lしたのか、監視カメラに写っていないのですが、単に撮り損ねたのか、それとも未知の巣口がどこかにあるのでしょうか? 
穴掘りの重労働は2頭の幼獣(ヘルパー候補?)に任せて、♀cはずっと巣内に篭もっていたのかもしれません。
巣口Lで母から子に毛繕いしてやり、労をねぎらいます。 
体格では幼獣a<♀cでした。
母親♀cに激励された幼獣aは穴掘りを再開し、♀cは右へ立ち去りました。(採食に出かけた?) 
今度こそ独りになった幼獣aは、黙々と穴掘り作業を続けます。 


シーン11:10/26・午後19:30(@8:00〜) 
ようやく穴掘り作業を終えたアナグマaが、巣口Lの右外に出ていました。 
完成した巣穴にそのまま泊まるかと思いきや、身震いすると右へ立ち去りました。 
空腹になって採食に出かけたのか、あるいは体の泥汚れを落とすため水浴しに行ったのかもしれません。 
(アナグマの水浴シーンをいつか見てみたいものです。)

※ 動画の一部は編集時に自動色調補正を施しています。 


【考察】 
越冬に備えた穴掘り作業の一部始終を動画で記録できて大満足です。 
初めは2頭の幼獣が巣内と巣外に別れて分業していたのに、途中から役割を交代し、最後は単独での作業になりました。 
後半は母親♀も現れ、久しぶりに母子が一緒にいる様子観察することが出来ました。 

2024/07/16

秋の夜に古い巣穴を掘り広げるニホンアナグマ【トレイルカメラ:暗視映像】

 



2023年10月中旬 

シーン1:10/16・午後21:23(@0:00〜) 
外出から戻ってきたと思われるニホンアナグマMeles anakuma)が巣穴Rに潜り込みました。 


シーン2:10/16・午後21:30(@0:09〜) 
7分後、アナグマが巣穴Rの奥から掘り出した土を後ろ向きのまま前足で外に掻き出していました。 
その結果、アクセストレンチが手前に延びています。 

 冬ごもりに備えて、巣穴Rの住心地が良くなるように掘り広げているようです。 
この個体の性別が私にはしっかり見分けられませんでした。 
右目が左目よりも小さい♀ではないかと思うのですけど、どうでしょうか。 


2024/07/14

スギ林床で広葉樹の落ち葉を寄せ集めて巣口を隠蔽する野ネズミ【トレイルカメラ:暗視映像】

 



2023年10月中旬〜下旬 

スギ防風林の林床で夜な夜な餌を探し回る野ネズミ(ノネズミ)の巣穴が意外な場所に見つかりました。 
落ち葉を寄せ集める謎の行動が繰り返し見られました。
これまで私が撮ってきた野ネズミの動画の中でも、これはかなり重要な発見です。


シーン0:10/20・午後14:45(@0:00〜) 
明るい昼間にたまたまフルカラーで撮れた現場の状況です。 
画面の左上隅に朽ち果てた切株があります。 
この切株の周囲には、野ネズミが食べた後のオニグルミの殻がたくさん散乱していました。(食痕つき) 
その手前の溝に古い手押し車のフレームが錆びたまま放置されています。 
これを目印として、ニホンアナグマMeles anakuma)専用の溜め糞場stmpがあり、黒い下痢便が溜まっています。 

杉防風林の林床にはスギの落ち葉が堆積しているだけでなく、広葉樹の落ち葉も散乱していることを覚えておいてください。 


シーン1:10/20・午後18:21・小雨(@0:04〜) 
小雨がぱらつく晩に画面の中央に野ネズミが居座っています。 
スギ林床のこの位置に野ネズミの巣穴の入口(巣口)があることが後に判明します。 
採食中なのか、毛繕いしているのか、よく分かりません。 
やがて右に立ち去りました。 


シーン2:10/20・午後21:54(@0:18〜) 
スギ林床をうろちょろしています。 


シーン3:10/20・午後22:15(@0:49〜) 
画面中央で野ネズミが広葉樹の落ち葉を咥えて横にどけました。 
周囲の落ち葉(スギ以外の広葉樹)を何枚か1箇所に拾い集めていたのに、なぜかその場に放置したまま右へ立ち去りました。 
冬越し用の巣材(寝床)を吟味しているのでしょうか? 
当地は雪国(東北地方日本海側の多雪地帯)ですから、長い冬越しに備えて巣材集め行動の衝動が高まりつつあるのかもしれません。 

 関連記事(1年前の撮影)▶  

別な可能性として、落ち葉で巣口を隠す(カモフラージュ、隠蔽)行動かもしれない、と思いつきました。 


シーン4:10/21・午前4:06(@1:34〜) 
日付が変わった未明に現れた野ネズミが、約6時間前に拾い集めた広葉樹の落ち葉をめくり、その下のスギ落葉層に潜り込みました。 
どうやら巣口があるようです。 


シーン5:10/21・午後23:29(@1:51〜) 
どうやら出巣の瞬間を撮り損ねたらしく、右へ走り去る野ネズミが写っただけでした。 


シーン6:10/22・午前4:26(@1:56〜) 
野ネズミがスギ林床の巣口にスルリと入る様子がしっかり撮れていました。 


シーン7:10/22・午後18:04(@2:03〜) 
出巣直後と思われる野ネズミが右に向かいました。 


シーン8:10/22・午後18:31(@2:11〜) 
広葉樹の落ち葉で隠蔽された巣口から野ネズミが外に出てくる決定的瞬間が遂に撮れていました。 
左へ少し走ると、手押し車のフレーム直下の穴にすぐ潜り込みました。 
スギ落葉層の下に一時的に隠れたり、近道するための穴があちこちに開いていることが分かってきました。 

アナグマの溜め糞stmpを右に飛び越えると、朽ちた切株の右下をうろついています。 


シーン9:10/22・午後18:40(@2:37〜) 
錆びたフレーム直下の穴から顔を出していた野ネズミが、すぐに引っ込んでしまいました。 
スギ落葉層の下を右往左往してから外に出て、右に走り去りました。 


シーン10:10/22・午後18:48(@2:58〜) 
落ち葉で隠蔽した巣口に戻って確認してから、右に向かいました。 


シーン11:10/22・午後18:55(@3:29〜) 
画面中央から、フレーム直下の穴に潜り込むと、スギ落ち葉の下を右往左往。 
アナグマの溜め糞stmpをチェックしてから、その上を渡って朽ちた切株へ向かいました。 


シーン12:10/22・午後18:59(@4:23〜) 
右から来た野ネズミがアナグマ専用の溜め糞場stmpの横を通って切株へ向かいました。 


シーン13:10/23・午前0:19(@4:51〜) 
日付が変わった深夜、右から来た野ネズミが林床で計3枚の落ち葉(落葉樹)を1枚ずつ口に咥えて少し移動させました。 
やはり巣口の位置を隠蔽するカモフラージュ行動のようです。
断熱用の巣材(寝床)として落ち葉を巣穴の中に運び込む巣材集めの行動とは明らかに違います。 

隠した巣口には入らず、左へ移動するとスギ落葉層の下に潜り込んで左下に向かいました。  


シーン14:10/23・午前3:00(@5:25〜) 
手押し車の錆びたフレームの陰、アナグマの溜め糞stmpの縁に野ネズミが来ていました。 
右下エリアをウロチョロしてから、落ち葉で隠蔽した巣口に入りました(入巣)。 


シーン15:10/23・午後18:57(@5:49〜) 
スギ林床をうろついてからフレーム直下の穴に潜り込みました。 
スギ落ち葉の下から野ネズミの白い目が光って見えます。 


シーン16:10/23・午後18:59(@6:24〜) 
林床を横切って右へ立ち去りました。 


シーン17:10/23・午後19:01(@6:34〜) 
右から来た野ネズミが左下へ向かいました。 


シーン18:10/23・午後21:49(@7:15〜) 
落ち葉で隠蔽された巣口に入り、しばらくすると同じ場所から出巣しました。 
右へ立ち去りました。 


シーン19:10/23・午後23:46(@7:34〜) 
慌てたように入巣しました。 


シーン20:10/24・午後17:44(@7:42〜) 
翌日の日没後に野ネズミが探餌徘徊を始めました。 
アナグマの溜め糞stmpを回り込んで朽ちた切株に向かうと、その切株を登り降りしてから左へ。 


シーン21:10/24・午後20:43(@8:19〜) 
左下手前のスギ落葉層の下から野ネズミの白く光る眼がちらっと見えました。 
錆びたフレーム直下の穴から外に出てきて右へ。 


シーン22:10/24・午後20:58(@8:49〜) 
画面の上端から手前へ向かって野ネズミがうろちょろしています。 右へ。 


シーン23:10/25・午前0:35(@9:21〜) 
手押し車の錆びたフレームから朽ちた切株へ向かいました。 


シーン24:10/25・午後18:23(@9:30〜) 
手押し車の錆びたフレームが突き刺さっているスギ落ち葉の穴から野ネズミが現れ、右へ向かいました。 
落ち葉で隠蔽された巣口に潜り込むと、しばらくして同じ巣口から外に出て来ました。 
素早く右へチョロチョロと走り去りました。 


シーン25:10/25・午後21:28(@9:56〜) 
左下エリアをウロチョロ。 


シーン26:10/26・午後17:36(@10:07〜)日の入り時刻は午後16:51。 
探餌徘徊で右へ。 


シーン27:10/27・午前0:03(@10:22〜) 
左下のスギ落葉層の下を潜って朽ちた切株に向かいました。 
今回もアナグマの溜め糞stmpには近寄りませんでした。 



【考察】 
アナグマが溜め糞場stmpに通って排泄する様子を記録しようとトレイルカメラを設置したのに、夜行性の野ネズミが毎晩活発に探餌徘徊するせいでカメラの電池がすぐに消耗してしまいます。 
そんな野ネズミを初めは疎ましく思っていたのですが、撮れた動画をじっくり見直すと、なかなか面白い行動をしていました。 

野ネズミはスギ林床を夜な夜な徘徊して餌を探し回っています。 
野ネズミが好きな木の実などがスギ林床に落ちているとは思えないので、落ち葉の下に隠れている虫やクモなどを捕食していると思われます。 
しかし、野ネズミはアナグマ専用の溜め糞stmpにはほとんど興味を示しませんでした。 
アナグマは主にミミズを捕食するらしいので、タヌキとは違って溜め糞には未消化の種子が含まれておらず、野ネズミにとって食料にならないのでしょう。 
溜め糞場に集まる食糞性の昆虫などを野ネズミが捕食しても良さそうなものですけど、そのような捕食行動はこの時期に撮れていませんでした。 

野ネズミの巣穴の入口を新たに発見できたのはたまたまです。 
落葉樹の落ち葉をときどき拾い集めて巣口の上にかぶせて隠蔽する行動を何度かしていました。 
この森周辺には野ネズミの天敵であるホンドテンやニホンイタチ、ホンドギツネ、フクロウなどが棲息することが分かっています。 
野ネズミの賢さをまたひとつ知ることが出来て感動しました。 
ただし、巣口周辺に野ネズミが落ち葉を拾い集めるのはカモフラージュのためとは限らず、暗闇で巣口の位置を示す目印なのかもしれません。 
これを解明するためには、巣口の上にかぶせた落葉樹の落ち葉をすべて取り除いたり、横に少しずらして置いてみたりして、野ネズミの帰巣行動にどんな影響を及ぼすか観察すれば分かるはずです。 

今回トレイルカメラで見つけた巣穴を根雪が積もる前に発掘調査してみたいものです。 
落ち葉をめくってみれば巣口が見つかるはずです。 
しかし私が現場をズカズカと歩き回ったせいで、巣口の場所が分からなくなってしまいました。 
トレイルカメラによる撮影は病みつきになるほど楽しいのですが、たくさん撮れた動画の確認が追いつかなくなり大変です。 
ようやくこの動画を見たときには時すでに遅く、発掘調査の時期を逸してしまいました。 




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2024/06/26

旧営巣地に戻ってきて古い巣穴を掘り直す秋のニホンアナグマ♀:その2【トレイルカメラ:暗視映像】

 



2023年10月上旬・午前3:45〜5:00頃・日の出時刻は午前5:35 

二次林の旧営巣地に単独で戻ってきたニホンアナグマ♀(Meles anakuma)が匂いを嗅ぎながら巣穴Rに入り、外に出てこなくなりました。 
左右の目の大きさが非対称(右目<左目)なので、ここで出産・育児した♀のようです。 

約15分後、アナグマ♀が巣口Rの拡張工事を始めました。 
頭から入巣Rすると、前脚で土砂を後方に掻き出しながら、巣穴Rから後退りして外に出てきます。 
その結果、トレイルカメラの方向にアクセストレンチが形成されます。 
かなり奥まで巣坑を掘り進めているようで、なかなか外に出てこなくなりました。

春の繁殖期には♀は育児に専念し、穴掘りの重労働はヘルパー♂に任せるという分業が成立していました。 
今回も穴を掘る個体の後ろ姿の股間に睾丸が見えたらヘルパー♂と分かるのですが、素人目には睾丸の有無がはっきりしません。
(無いと思うのですが、素人が「無い」と自信を持って言い切るのは難しいのです。) 
珍しく♀(右目<左目)が穴掘りしているとみなして、当面は話を進めます。 

監視カメラの起動が遅れたようで、アナグマ♀が出巣Rした瞬間を撮り損ねてしまいました。(@1:55〜) 
右奥の二次林にノソノソと入って行く後ろ姿が写っているだけです。 
林縁で立ち止まって身震いしてからセット(営巣地)に戻って来ました。 
勝手な想像ですが、もしかすると放尿(マーキング)したかもしれません。 

顔を正面から見たときに右目が左目よりも小さかったことから、やはり♀(右目<左目)でした。 
巣穴Rの穴掘り作業を再開しました。 

※ 動画編集時に自動色調補正を施しています。 


【追記】 
この営巣地で長年繁殖している♀は、早くも冬ごもりに備えて、旧営巣地の改修工事をしているようです。 
前回(14日前)には巣穴Lを、今回は巣穴Rを重点的に掘り直しました。 

幼獣の姿がありませんが、もう子別れしたのでしょうか? 
この時期(秋)に、♀とヘルパー♂(1歳仔)の関係がどうなっているのか、気になります。 
♀の子育てが一段落すると、ヘルパー♂はお払い箱になって追い出されてしまうのかもしれません。 
次世代のヘルパー♂が当歳仔の幼獣(4頭の兄弟姉妹)の中からどうやって選ばれるのでしょうか? 

リフォームしたからと言って、♀がそのまま巣穴Rに住み着く訳ではなく、またしばらく不在となります。 
一時的に使うシェルターに格下げされたのかもしれません。 
アナグマは縄張り内のあちこちに複数の巣穴を持っているはずですが、私はまだ別宅を突き止められていません。 
アナグマにGPSを装着して調べれば分かるはずですけど、罠をしかけたり麻酔銃を撃ったりするのは素人には無理なミッションです。 


2024/06/17

旧営巣地に戻ってきて古い巣穴を掘り直す秋のニホンアナグマ♀【トレイルカメラ:暗視映像】

 



2023年9月下旬・午後20:08〜21:10・小雨 

ニホンアナグマMeles anakuma)の家族が転出した後も旧営巣地(セット)にアナグマがときどき戻ってきて巣穴を点検したりしていたのですが、久々に新しい展開がありました。 


シーン0:9/7・午後14:18・気温33℃(@0:00〜) 
明るい時間帯にフルカラーで撮れた現場の様子です。 
アナグマの古い巣穴2つを新旧2台の自動センサーカメラで見張っています。 


シーン1:9/21・午後20:08〜20:35・気温22℃(@0:04〜) 
おそらく獣道を右から来たと思われるアナグマが巣口Lに頭を突っ込むと、前脚で土砂を後方に掻き出し始めました。 
巣坑の拡張工事を始めたということは、この個体はヘルパー♂なのかな? 
股間に睾丸の有無を確かめたいのですが、手前の落枝が邪魔だったりして、はっきり見えません。 
後退しながら土を掻き出すので、アクセストレンチの坂が左に形成されることになります。 
途中から、10倍速の早回し影像に加工しました。 

暗視動画を連続で撮ると電池の消耗が激しく、赤外線LEDの光量が次第に弱くなってきました。 
カメラ自体の発熱が激しいので、気温の表示は異常値になります。 

アナグマは次第に巣穴Lの奥深くに入るようになりました。 
排土の結果、アクセストレンチをかなり左まで延長しています。 

風が吹き、小雨がぱらついています。 
途中から霧が発生し、濃くなったようです。 
我々ヒトの感覚ではわざわざ雨天決行しなくても…と思うのですが、アナグマにとって雨で土が湿っている方が穴掘りしやすいのかな?

巣外でカメラ目線になった際に、左右の目の大きさが非対称でした。(@2:45〜) 
この特徴から、巣穴で出産・育児をした母親♀でした。 
重労働の穴掘りはヘルパー♂に任せっきりだと思っていたのに、♀が自力で穴を掘るとは意外でした。 
もしかすると、子育てが終わり幼獣が独立したこの時期には、前のヘルパー♂はお役御免で追い出し、母親♀は独り暮らしなのかもしれません。 

休み無くひたすら穴を掘り続ける体力と集中力に感心しました。 
最後はアクセストレンチを左に伸ばしてから、そのまま左に立ち去りました。 
喉の渇きや空腹を癒やすために出かけたのかな? 


シーン2:9/21・午後20:58(@2:53〜) 
しばらくすると(約20分後)、同一個体♀と思われるアナグマが隣の巣口Rでも穴掘りしていました。 
後ろ向きで土砂を掻き出しながら巣穴Rの外に出て来ました。 
2つの巣穴LRは内部でつながっていると思うのですが、私はまだ確かめていません。 


シーン3:9/21・午後21:09(@3:31〜) 
巣口Rから右に向かってアクセストレンチ(溝)を整備しています。 
アクセストレンチは1本だけでなく、別方向(左下)にも伸ばしました。 


【考察】 
アナグマが戻ってくると信じて、旧営巣地(セット)の監視を執念深く続けていた甲斐がありました。 
ここでアナグマが穴掘り作業をしたのは約1ヶ月ぶりです。 


当地は雪国(東北地方日本海側の多雪地帯)なので、ニホンアナグマ♀は長い冬ごもりに備えて、古い巣穴を本格的にリフォームし始めたと予想しています。 
少し気の早い話ですが、引っ越し(転入)する前に断熱材の寝床(巣材)を大量に搬入するはずです。 



2024/06/03

外開き窓のサッシの水抜き穴にハキリバチ♀が巣材の葉片を繰り返し搬入【FHD動画&ハイスピード動画】

 

2023年8月上旬・午後14:30頃・くもり 

冷房のない部屋があまりにも暑いので、外開き(片開き)窓を少し開けたままにしておいて、常に換気していました。 
真夏の昼下がりに、その窓から蜂の羽音がするので見てみると、小さな蜂が緑の物体を抱えてホバリング(停空飛翔)していました。 

初めはてっきり、狩蜂♀が獲物の青虫を抱えて巣に運んでいるところなのかと思いました。 
蜂は飛びながら窓枠(サッシ)の下面をしきりに調べています。 
サッシの下面に作った泥巣が剥落してしまったのでしょうか? 
よくよく観察すると、蜂が抱えていたのは青虫ではなく、丸く切り抜いた葉片でした。 

蜂がホバリング中に鏡を使って窓枠の下面を調べてみると、長方形の小さな穴が開いていました。 
ネット検索で調べてみると、これは結露防止の水抜き穴なのだそうです。
どうやら借坑性の蜂が窓の水抜き穴に営巣を始めたようです。
以上のことから、狩蜂ではなくハキリバチの一種♀と判明しました。 
巣材として切り取ってきたばかりの葉片を抱えながらホバリングしているのに、巣穴に入れずに飛び去ったようです。 
私が邪魔してしまったのでしょうか? 
この日は入巣シーンが撮れなかった理由が分かりませんでした。 



2023年8月上旬・午後12:15〜16:15頃・晴れ 

2日後にも同一個体と思われるハキリバチ♀を撮影できました。(@0:33〜) 
巣口となった水抜き穴を斜め下から直接見上げるアングルで撮影したくても、障害物など様々な理由で実現不可能です。 
仕方がないので、鏡を使って窓枠下面にある水抜き穴の位置を確認しました。 
予め鏡を拭いても汚れが取り切れず、水抜き穴の鏡像にうまくピントを合わせられませんでした。
私が鏡を差し出しても、飛来したハキリバチ♀は自身の鏡像に対して無反応でした。 
飛んでいる蜂の下に鏡を置いても、見えてないのでしょう。 (この状況では上しか見てない?)
蜂の上や正面に鏡を立てたら、自分の鏡像をライバル♀と誤認して喧嘩(巣穴をめぐる縄張り争い)になったかもしれません。 
鏡の存在によって入巣が妨げられたという訳ではなく、鏡がなくても蜂は入巣に苦労していました。

途中から室内に三脚を立てて、じっくり腰を据えて撮影することにしました。(@1:31〜) 
この窓は北向きで、外に向かって開くタイプの片開き窓です。 
この窓を少しだけ開けっ放しにしていても、蜂が室内に入ってくることはありませんでした。 

周囲でアブラゼミ♂が喧しく鳴いていますが、巣材集めから蜂が戻ってくると、かすかな羽音が聞こえるので分かります。 
巣材(葉片)の搬入を試みるハキリバチ♀は、なぜか帰巣に毎回苦労しています。 
着陸を何度もやり直してくれるおかげで、入巣シーンを見落とすこと無く撮影することができました。 

ようやく入巣すると中に3分以上留まり、何か作業しています。 
葉片を何枚も組み合わせて育房を作っているのでしょう。 
巣から外に出て来る瞬間を見落とさないように、ひたすら長撮りしました。
出巣の瞬間を1/5倍速のスローモーションでリプレイ。(@2:44〜、@5:16〜) 

ハキリバチ♀が巣穴に出入りする様子を240-fpsのハイスピード動画でも撮ってみました。(@3:00〜4:47) 
巣材の搬入にいつも手間取り、窓枠の周囲を長時間ホバリング(停飛)しています。
窓のアルミサッシは表面が滑らかで足掛かりが無いため、巣材の葉片を持って飛来したハキリバチ♀はなかなか巣口に掴まることが出来ません。 
入巣に失敗して窓枠から滑落しても、運んでいる巣材を落とすことはありませんでした。 
帰巣の度に無駄な消費カロリーが高そうで、あまり良い営巣地とは言えません。
ハキリバチ♀が着陸しやすいように、何か足場を窓枠に貼り付けてやれば良かったかもしれません。 
一方、出巣の瞬間は羽ばたかずに、ほとんど自由落下していました。 
空中で羽ばたきを始め、次の巣材集めのために飛び去ります。 

巣材の葉片には鋸歯がありました。 
窓の外の北に面した外壁に蔓植物イワガラミを這わせて壁面緑化しているのですが、その葉を切り抜いてハキリバチ♀は巣材としているのでしょうか? 
調べても丸くくり抜かれた葉を見つけられませんでした。 

関連記事(5年前の撮影:6月上旬〜9月中旬)▶ バラハキリバチ♀の仕業 


近所に植栽されたバラの葉が5年前にハキリバチ♀によって丸く切り抜かれていたのですが、今季はバラの葉を調べても無傷でした。 
窓枠の水抜き穴に営巣した今回のハキリバチ♀がどこから巣材を集めてきているのか、不明です。 

午後遅くなると、北向きの窓は一足早く日が陰って薄暗くなります。 
最後にハキリバチ♀が戻ってきたときには(午後16:10)、巣材の葉片を抱えておらず、空荷でした。 
育房作りが一段落して、花蜜を混ぜ込んだ花粉団子の餌を搬入する段階に入ったのかもしれません。 
しかし、腹面のスコパに花粉は付着していませんでした。 
何度もアプローチをやり直した末にようやく入巣できました。 
その後、いくら待っても蜂は外に出て来ません。 
夕方になったので、1日の仕事を終えて巣内で休息しているようです。 
借坑性の侵入者や寄生者を追い払うために、巣が完成するまでは自分が夜に寝るねぐらとするのでしょう。


2024/06/02

風倒木の根元に見つけた野生動物の巣穴

 

2023年5月下旬 

平地の田畑を囲むスギ防風林で野生動物の巣穴を新たに発見しました。 
強風でスギが数本まとめて根こそぎ倒れたまま何年も放置されています。 
風倒木のうち1本の根元から地中に穴が掘られています。 
巣穴の奥を覗いても、ライトが無いと暗くて何も見えません。 
ファイバースコープを買って中を覗いてみたくなりますが、もしかすると育児中の野生動物が怖がって巣穴から逃去してしまう可能性があるので、刺激したくありません。

謎の巣穴を囲むように、強く湾曲した落葉灌木が生えています。 
樹種はマルバゴマキ(別名マルバゴマギ、ヒロハゴマキ、オオバゴマキ)かな? 
根曲がりは多雪地帯に特有の樹形です。 
スギの根元に元々生えていたマルバゴマギの幼木がスギの巻き添えになって倒れると、多雪地帯なので冬に積もった雪の重みで何ヶ月も強く曲げられてしまいます。 
雪が溶けて夏になると垂直方向に成長しようとしますが(重力屈性)、毎年冬になると強い雪圧で再び押しつぶされます。 
細い幼木が雪圧で折れずにしなやかに耐えながら成長した結果、根元がねじくれた樹形になってしまいました。
2023年6月下旬 

約1ヶ月後にも現場の様子を再び動画で記録してみました。(@0:23〜) 
前回GPSで巣穴の位置座標を記録しなかったので、記憶を頼りに現場を再訪しようとしても、草木が藪のように生い茂る夏は道に迷って辿り着けなくなりそうでした。 

この日に撮ったのは動画だけで、写真はありません。 
昼間でも林床が薄暗くて、画質がやや粗いです。 

巣穴の主をつきとめるために、すぐにでもトレイルカメラを設置して巣穴を監視したいところです。 
しかし、限られた台数のトレイルカメラで複数のプロジェクトを同時並行に運用しているため、優先順位を付けて先延ばしになりました。 
新たにトレイルカメラを買い足せば良いという単純な話ではありません。
日々記録される膨大な動画を見直して編集するのも大変ですし、乾電池のランニングコストも馬鹿になりません。 
どう頑張っても私の能力の限界で、これ以上は同時並行のプロジェクトを増やせないのです。


2023年9月上旬 

ようやく他のプロジェクトが一段落したので、旧機種のトレイルカメラを1台設置して謎の巣穴を見張ることにしました。 
巣穴の主が何であっても嬉しいのですが、アナグマ家族の転出先かもしれない…と期待が高まります。 
しかしニホンアナグマが掘ったにしては巣口が狭そうですし、土砂を掻き出した跡の明瞭なアクセストレンチがありませんでした。

つづく▶ 
・さらに続報あり(映像公開予定)



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2024/05/15

古い巣穴を掘り返し古い寝床を外に捨てるニホンアナグマのペア【トレイルカメラ:暗視映像】

 



2023年8月下旬

ニホンアナグマMeles anakuma)の家族が転出した後の旧営巣地(セット)をトレイルカメラでしつこく監視を続けていると、ようやく面白い新展開がありました。

シーン1:8/14・午後13:51(@0:00〜) 
たまたま明るい日中に撮れた現場の様子です。 


シーン2:8/23・午前4:51・気温24℃(@0:03〜)日の出時刻は午前4:58。 
日の出直前に2頭のアナグマが巣穴L付近に現れました。 
小柄な個体(幼獣? 成獣♀?)が巣口Lの左をうろついている間に、もう1頭(ヘルパー♂?)が巣口Lに頭を突っ込んで拡張工事を始めました。 
長い不在の間に巣穴が崩落していたようです。 
これまでの観察では、巣穴を掘る重労働はヘルパー♂の役割とされています。 
しかし穴を掘る後ろ姿の股間を見ても、外性器(睾丸や陰茎)がはっきりしません。 
未だ若い♂なのか、それとも非繁殖期は男性器が退化(萎縮)するのかな? 
前足を使って土を後方へ掻き出すところで録画終了。 


シーン3:8/23・午前4:53(@1:04〜) 
さっきまで穴掘り作業をしていたアナグマの同一個体でしょうか? 
左から来ると、巣口Lに詰まっていた枯れ葉・枯れ草などの古い巣材を前足で後方に掻き出しながら後ずさりしました。 
アナグマは雨で湿った巣材を天日干しするらしいのですが、私はまだ実際に観察できていません。 
今回外に掻き出した巣材はかなり古くて、幼獣たちの糞尿で汚れていたはずですから、良い堆肥(腐葉土)になるはずです。 
後半はそのまま巣口拡張の土木工事(穴掘り作業)に移行したので、植物質の古い巣材は土砂の下に埋もれてしまいました。 
もはや巣材(寝床)として再利用するつもりがないのでしょう。 
巣口の後方に土砂や古い巣材を掻き出す結果、アクセストレンチが形成されます。 
最後は入巣Lしたところで1分間の録画終了。


シーン4:8/23・午前4:57(@2:04〜) 
2頭のアナグマが巣口Lに並んでいました。 
明らかに体格差がありますけど、親子なのか性差♀♂(♀<♂)なのか、どちらでしょう?
あまり自信はないのですが、♀♂ペアということにして話を進めます。
体の大きなヘルパー♂は穴掘り作業が一段落すると、身震いして体の土を落としてから、一旦左へ向かいました。 
その間に体の小さな♀が巣穴Lの中に入ったきり、出てこなくなりました。 
ヘルパー♂の仕事っぷりを内検しているようです。
左から戻ってきたヘルパー♂が巣口Lで穴掘り拡張作業を再開しました。 
巣口Lから前足で土を後ろのアクセストレンチにせっせと掻き出しています。 


シーン5:8/23・午前4:58(@2:54〜) 
ヘルパー♂が独りで穴掘り(巣口Lの拡張工事)を続けています。 
遂に2頭とも巣穴Lに入ったきり、外に出てこなくなりました。 


シーン6:8/23・午前5:00(@3:11〜) 
どうやら1頭のアナグマaが出巣Lした瞬間を撮り損ねたようです。 
再び穴掘りを再開しました。 巣口Lのアクセストレンチに座り込むと体の痒い部位を後足でボリボリ掻きました。(@3:24〜) 
そのとき、巣穴Lの中から別個体bが顔を出して、2頭が互いに見つめ合いました。 
bが巣外に出てきて2頭が並ぶと、体格差(a<b)が明らかになりました。 
これまでのストーリーと辻褄を合わせるために、♀aとヘルパー♂bというように解釈することにします。 
♀も少しは穴掘り作業をやることが分かり、新しい発見でした。 
大型の個体(ヘルパー♂?)の方が激しい穴掘り作業の結果、体毛が土で黒く汚れています。 
ヘルパー♂は巣口Lで身震いして土汚れを落とします。 

最後にアナグマのペアは仲良く並んで林床を右へ立ち去りました。 
てっきりリフォームした巣穴Lにこのままペアで住み着くと予想していたのに、意外な結末でした。 
非繁殖期には、あまり特定の巣穴には執着しないのかもしれません。


【考察】
観察歴の浅い私は、アナグマの個体識別や性別判定に苦労しています。 
この営巣地で出産した♀には特徴があり、首筋に♂が噛んだ交尾痕があるのと、赤外線の暗視カメラで見たときに左右の目が不均一でした(右目<左目)。 
今回の小柄な個体が♀だとしても、交尾痕が無く、両目の大きさは同じでした。 
出産・育児から解放された♀の「慢性の疲れ目」が回復したのでしょうか? 
腹面に乳首も見えなかったのは、幼獣が離乳して乳房が退化したのかな? 
辻褄合わせのため苦し紛れで仮定に仮定を重ねるのは無理があります。
オッカムの剃刀の原則からしても、新顔の♀がパートナー(ヘルパー♂)を連れて巣穴Lを物色しにやって来たような気がしてなりません。 
まさか、今季産まれたばかりの幼獣♀が早くもつがいを形成して実家に戻ってきたのでしょうか? 
謎は深まるばかりです。


近所のタヌキは結局、アナグマの空き巣を乗っ取りませんでした。 
そもそもアナグマの家族がこの営巣地から転出した理由は何でしょう?
思いつく限り、仮説を立ててみました。
  1. 梅雨の時期で巣穴に雨水が浸水し、巣材が湿ってカビが生え、幼獣にとって居住環境が悪化したので引っ越した? 
  2. 巣穴が崩落したので引っ越した?
  3. 巣材(寝床)にダニやシラミが大発生し、幼獣に体外寄生、吸血するようになったので、新しい巣穴へ逃去した? 
  4. 私が2台も設置したトレイルカメラに四六時中監視される生活がストレスで、我慢できずに逃去した? 
寄生虫対策の仮説(3)が我ながら気に入っています。
転出してしばらく日数が経ってから古い巣材を外に捨てれば、巣内に蔓延する体外寄生虫の数を抑制することができそうです。
私がバイブルにしているアナグマの本(福田幸広『アナグマはクマではありません』)を読むと、巣穴の転出はよくあることのようです。
出産して幼獣が育つと、母親が幼獣を引き連れて新しい巣穴に引っ越すのだそうです。 
新しい巣穴がどこにあるのか、残念ながら突き止められていません。


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