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2023/12/28

送電塔の巣内で抱卵するチゴハヤブサ♀(野鳥)

 



2023年5月中旬・午後13:10頃・晴れ 

前回から4日後に送電塔#20の様子を見に来てみると、1羽のチゴハヤブサFalco subbuteo)が巣の縁に立って辺りをキョロキョロ見渡していました。 

私が移動して逆向きから撮影すると、警戒を解いたチゴハヤブサがようやく西を向いて巣内に座り込みました。 
抱卵を始めたということは、この親鳥は♀なのでしょう。 
頭部がたまに少しだけ見えます。 
巣の外に突き出ている尾羽根が細かく震えているのは何故でしょう? 
風は吹いてないはずなので、嘴で羽繕いしているのでしょう。 
♂は採餌に出かけているのか、姿が見えません。

交通量の多い交差点ではじっくり撮影できず、通りすがりに短時間の観察しかできませんでした。 
撮影行為そのものが親鳥にストレスを与えるかもしれないので、むしろ私の撮影に歯止めがかかって好都合かもしれません。 
良くないことに、交差点を掘り返す道路工事が始まり、騒音が酷いです。 
こんな喧騒がある街なかでも平気で営巣する猛禽がいることが驚きです。 

残念ながら、チゴハヤブサの姿を見たのはこの日が最後でした。 
結局ここでは繁殖を止めてしまいました。 
近くで騒々しい道路工事が始まったり、鉄塔の真下で草刈り作業をしたりと、人為的なストレスが多くて耐え難い環境だったのでしょう。 
チゴハヤブサが居なくなった後に送電塔#20でカラスが営巣することもなく、古巣はそのまま放置されました。

2023/11/01

送電塔の天辺で営巣を始めたハシブトガラス♀♂(野鳥)抱卵

 

2023年3月下旬・午後12:45頃・晴れ 

送電塔#KN7に毎年営巣するハシブトガラスCorvus macrorhynchos)の♀♂つがいを定点観察しています。 



巣に座り込んだ親鳥の尾羽だけが巣材の外に突き出て見えます。 
親鳥♀が抱卵しているのでしょう。 

カメラを下にパンすると、送電塔の中段に設置された巣箱は利用されておらず、空っぽでした。 
巣材の小枝が1本も搬入されていません。 

カラスは大量の小枝を組み合わせて巣作りするのですが、送電塔に持ち込んだ巣材によって感電や漏電事故が起こらないように、電力会社は毎年苦慮しています。 
作りかけの巣を撤去するだけではイタチごっこですし、怒った親鳥カラスがヒト(近隣住民)に対して敵対的・攻撃的になってしまいます。 
抜本的な対策の一つとして、送電線(高圧線)に影響しない鉄塔中段に巣箱を設置する試みが近年増えました。 
しかし天の邪鬼のハシブトガラス♀♂は今季も鉄塔中段の巣箱を使わず、鉄塔の頂点に造巣していました。 
ヒトがなかなか登ってこれない難攻不落の天辺に営巣する方が安心なのでしょう。
電力会社の思惑とは違いますが、ここなら漏電・感電事故は起こらないでしょう。 
ハシブトガラスとヒトがなんとか折り合いをつけて共存できたようです。 



鉄塔から右に伸びる高圧線に、パートナー♂が止まって辺りを油断なく見張っていました。
ときどきカーカー♪と鳴く度に、尾羽が上下にピコピコと動きます。 
充分に離れているせいか、私がしつこくカメラを向けて撮り続けてもハシブトガラス♂は高圧線から飛び去りませんでしたし、私を威嚇してくることもありませんでした。 
幸い当地のカラスは繁殖期でも性格が穏やかです。 
ヒト社会との軋轢が多い都会と違って、カラスがヒトを襲って攻撃するトラブルがニュースになることもありません。 
このままカラスとの良好な関係が続いて欲しいものです。



2021/07/21

ハシボソガラス♀♂抱卵期の朝の行動(野鳥)給餌・対他羽繕いなど

 

2021年5月中旬・午前5:50頃・晴れ

高圧線の送電塔#21に毎年営巣するハシボソガラスCorvus corone)の♀♂つがいを定点観察してきました。 
関連記事のまとめ(3年前の撮影)▶ ハシボソガラス(野鳥)の営巣観察:2018年 
2020年の繁殖期はちょうどコロナ禍が始まったせいで、出歩けなくなりました。
しかし、2020年から鉄塔の塔体ではなく腕金部分に巣作りする位置を変更していました。 
同じハシボソガラスでも同一個体とは限らず、もしかするとペアが代替わりしたのかもしれません。

2021年はどうでしょうか? 
早朝から見に来ると、親鳥♀が巣内に座って抱卵していました。 
巣内の様子は不明ですが、親鳥♀の尾羽がほんの少しだけ巣の外に飛び出しています。
(抱卵中と私は解釈したのですけど、産卵中だった可能性もあります。) 
しばらくすると、パートナーの♂が帰巣しました。
送電塔#21の近くの路上でアマガエルの死骸を拾ってきたのです。 
喉袋に入れて持ち帰ったカエルの肉片を在巣の♀に給餌したようです。 
しかし♀に給餌するのなら、カエルを細かくちぎらなくても丸ごと運んで来ればよい気がします。 
もしかすると、孵化直後の小さな雛に給餌したのかもしれませんが、餌乞いの鳴き声を私は聞き取れませんでした。 
給餌直後の♂は巣の真上の鉄骨に乗り、嘴を拭っています。 
喉袋はもう空っぽで、膨らんでいません。 

抱卵していたハシボソガラス♀が急に立ち上がると、飛び去りました。 
朝食後に抱卵を♂と交代するのでしょうか? 
おそらく水を飲んだり水浴しに行ったのではないかと想像しました。 
ところが、留守番を任された♂も巣から飛び去りました。 
♀と同じ方向に少し飛ぶと、送電塔から伸びる高圧線に止まり直しました。 
足元の高圧線で嘴を拭い、営巣地の周囲を見張っています。 

いつの間にか♀が戻って来ていて、♂と同じ高圧線の左側に少し離れて止まっていました。 
すると♂が飛んで♀の右隣に止まり直しました。(@1:25) 
左の♀が右の♂の羽毛を嘴で優しく整えています。(対他羽繕い) 
いつ見てもカラスの愛情表現は微笑ましいですね。 
♂は♀に羽繕いのお返しをしなかったので、「相互羽繕い」とは呼べません。

残念ながら撮影アングルがいまいちで、♀♂ペアが並んだときの体格差をしっかり比べることができませんでした。 
一般的に外見からカラスの性別を見分けられないのですが、「抱卵を主に担当するのは♀」らしいので、今回はそこから逆算して性別を決めました。 

♀が高圧線から飛び立つと、巣がある送電塔に帰りました。 
しかし巣内の卵(雛?)をちょっと確認しただけで、なぜかすぐにまた高圧線に戻ってしまいました。 
どうやら近くで巣をずっと見上げている私を警戒しているようです。 
それを察した私が営巣地から立ち去る素振りを見せてから振り返ると案の定、送電塔に戻った♀がピョンと巣に飛び乗りました。 
このときも雛鳥の鳴き声(餌乞い♪)は全く聞こえませんでした。 
やはり未だ卵の段階だと思います。 
巣内に座ると親鳥♀の姿はほとんど見えなくなりました。
抱卵を再開したようです。 
一方、♂はまだ高圧線に居残って縄張りを油断なく見張っています。 

※ 動画編集時に逆光補正を施しています。



 

2021/07/11

送電塔の巣箱を使わず天辺に作った巣で抱卵するハシブトガラス♀(野鳥)

 

2021年4月下旬・午後16:20頃・晴れ 

高圧線の送電塔#KN7に営巣するハシブトガラスCorvus macrorhynchos)の♀♂つがいに注目して毎年調べています。
関連記事のまとめ(2年前の撮影)▶ 送電塔#KN7の巣箱に営巣したハシブトガラスの観察記録:2019年
この鉄塔の中段に設置された巣箱で2019年は雛を育て上げました。 
カラスが巣作りしても感電事故を起こさない安全な場所に電力会社が巣箱を予め設置したのです。 
翌2020年はコロナ禍が始まったせいで、私は定点観察に通えませんでした。 
繁殖期が終わってから送電塔#KN7を見に行くと、巣箱は空っぽで、その代わりに送電塔の天辺に新たな巣が作られていました。 

2021年の繁殖期はどうでしょうか?
久しぶりに様子を見に来ると、やはり鉄塔の天辺に多数の枝を組み上げた巣がありました。 
カラスのつがいが巣作りしても繁殖のため実際に使うかどうかは別問題です。 
(カラスは縄張り内に複数の巣を試作することがあります。) 
初めは空き巣に見えたので、ハシブトガラスの♀♂ペアはこの営巣地を見捨ててしまったのかと落胆しました。 
ところが念のために望遠で巣をしばらく動画撮影してみると、黒い物体が巣の上から少しだけ覗いていて、ときどき身動きしていました。 
親鳥♀が巣内でこっそり抱卵していたのです。 
抱卵中の親鳥♀の頭部の羽毛が風になびいています。 
これは巣の写真をパパッと撮るだけだったら完全に見逃していたはずで、取り敢えずなんでも動画で記録する私の習慣が功を奏しました。 

送電塔に近づくほど仰角になり、巣内の様子が見えなくなってしまいます。 
一方、送電塔の中段に設置された巣箱は使われておらず、空っぽのままでした。 
巣材として巣箱に持ち込まれたのは1本の細い小枝だけで、網状の底から飛び出していました。 

撮影を終えて私が帰ろうとしたら、親鳥♂が追いかけて来ました。
私が本当に縄張りから立ち去ったことを確認すると、空中でUターンして引き返しました。 

カラスと人の巣づくり協定』などの研究成果によって、最近の電力会社は電柱や送電塔に作られたカラスの巣を問答無用に撤去するのではなく、ここなら巣を作っても大丈夫(漏電事故を起こさない)という安全な地点に巣箱を用意するようになりました。 
カラスとヒトの共生モデルとして注目した私は2019年、送電塔#KN7の定点観察に通い始めました。
私がしつこく鉄塔の巣にカメラを向けて撮影したせいで、どうやらハシブトガラスの♀♂ペアに強いストレスを与えてしまったようです。 
(私としては巣から充分に離れたところから撮影したつもりで、雛も無事に巣立ちました。)
ところが翌年(2020年)から親鳥♀♂は巣箱を放棄して、同じ送電塔の最高地点に造巣するようになりました。
より高所に巣を移動したのは、望遠レンズを使っても巣内を覗かれにくくするためでしょう。※ 
野生動物(野鳥)を観察する行為自体が対象の行動に悪影響を与えてしまうという典型的な観測問題に直面してしまい、反省です。 
カラスに見つからないように撮影中はブラインドを使用すべきなのは承知しているのですけど、街なかでブラインドを張ると周辺住民に怪しまれ通報されてしまうので、難しいところです。

※ あるいは別の可能性として、巣箱に残された古巣を電力会社が撤去したことを嫌って、ハシブトガラスは巣箱を使わなくなったのかもしれません。
この辺りを縄張りとする♀♂ペアが代替わりした結果、営巣地点が高所に変わったのかもしれません。



2021/06/20

クルミの殻を投げ落として割り抱卵中の♀に給餌するハシボソガラス♂(野鳥)

 

2021年3月下旬・午前9:50頃・くもり 

舗装された堤防路でハシボソガラスCorvus corone)がオニグルミの実を嘴でいじくり回していました。 
これからクルミ割り行動が見れそうです。 
ようやくクルミを咥えると飛び立ち、急旋回してから近くの電柱に止まりました。 
すぐに電柱から飛び上がると、空中でクルミを離して落としました。 
堤防路から横の土手に転がりかけたクルミをハシボソガラスが追いかけて拾いました。 
落下の衝撃でクルミの硬い殻が上手く割れたようです。 
カラスは足でクルミを押さえながら割れ目に嘴の先を叩き込んで割り、中身をほじくり始めました。 
しかしハシボソガラスの喉袋が膨らんでいることから、自分で食べているのではないようです。 
これから誰かに給餌するのか、それともどこかに隠すのかな?(貯食) 
しかし、クルミを貯食するのなら殻付きのまま隠さないと保存性が低下するはずです。
やがてカラスはクルミの殻を路肩に残して飛び去りました。 
近くの枯木の天辺に止まり直したカラスの喉袋が明らかに膨らんでいます。 
ここで私は動画の撮影を中断してしてしまったのですが、その隙をついてカラスは枯木から飛んで帰巣しました。 
河畔林の樹々は未だ落葉したままですが、近くのニセアカシア(別名ハリエンジュ)樹上に立派な巣が完成していました。 
私が慌てて巣にカメラを向けると、カラスはすぐに巣を離れてしまいました。 
繁殖期の野鳥はとにかく巣の場所をヒトに知られたくないのです。 
出巣したハシボソガラスは止まり木(落葉樹)で嘴を拭いました。 
このとき喉袋の膨らみが無くなっていることから、クルミの実を誰かに給餌した直後であることが分かります。 
シャイなカラスは、私から見えない枝の死角に隠れようとしています。 

改めて私がハシボソガラスの巣にズームインしてみると、巣の上から黒い頭が少しだけ覗いていました。 
♀が抱卵しているのでしょう。 
ということはつまり、投げ落としでクルミの殻を割っていた♂が、巣で抱卵中の♀に甲斐甲斐しく給餌したと分かりました。
クルミを詰め込んだ喉袋が膨らんでいる
抱卵している♀の黒い頭がほんの少しだけ見える?

2019/09/09

柳樹上の巣で抱雛するノスリ親鳥(野鳥)




ノスリ(野鳥)営巣地での観察記録#11



▼前回の記事
早朝に営巣木の上空でノスリ親鳥を追い回すハシボソガラス(野鳥)

2019年5月下旬・午前10:56

早朝の観察をした同じ日。
6時間後の真っ昼間に再訪すると、柳樹上のノスリButeo japonicus)の巣には、いつの間にか親鳥が戻っていました。
幹と幹の間の隙間から見える片目がときどき瞬きしています。
ノスリの羽根は保護色でとても分かりにくく、実は撮影している間は親鳥の存在に気付きませんでした。
雛の姿は見えません。
タイトルに「抱雛」と書きましたが、巣内の雛を守るために親鳥が付き添っているだけかもしれません。

つづく→#12:昼間も巣に近い樹上で警戒声を発し偵察飛行を繰り返すノスリ親鳥♀♂(野鳥)


ノスリ親鳥(野鳥)@巣:ニセアカシア樹上+抱雛?

2019/08/26

ノスリの雛が孵化した!(野鳥)



ノスリ(野鳥)営巣地での観察記録#6


2019年5月中旬

9日ぶりの定点観察。
昼前と夕方の2回、撮影しました。
営巣木の周囲の枝葉が茂り、巣が隠されつつあります。
在巣のノスリButeo japonicus)親鳥は抱卵期より姿勢が高く、立っているのかと思いました。

やがて、親鳥の左下で白い幼綿羽ようめんうの雛鳥が動きました!(@0:30)
雛が卵から無事に孵化していたことが分かり、一安心。
白いぬいぐるみのような雛は、少なくとも2羽見えます。
猛禽類の雛を初めて観察できて、感動しました。
親鳥(おそらく♀)の行動も抱卵から抱雛に変わっていたので、姿勢が高く見えたのでしょう。

雛に付き添う親鳥が頻りに顔を左右に振っているのは、顔にたかるハエを払っているのでしょう。
辺りをキョロキョロ見回して警戒を怠りません。
猛禽類は肉食性ですから、食べ残しや糞で巣内が不衛生になりがちです。
そのため猛禽類の巣には巣材の他に、殺菌・防腐効果が高いとされる針葉樹などの青葉の付いた枝葉がしばしば産座に持ち込まれるらしいのですが、このアングルではよく見えません。

ところで、営巣木の柳に丸みを帯びた大きな葉が付いているように見えるのは、どういうことでしょう?
柳の幹に蔓植物が巻き付いているのだと思うのですが、なんとなくツルウメモドキとかサルトリイバラですかね?
営巣木の両隣にある木は、葉の特徴からニセアカシアと確定しました。

ちなみに、画面を次々に横切る白い物体は、綿毛の付いた柳の種子で柳絮りゅうじょと呼ばれます。
この時期に河畔林の柳から種子が風散布されるのです。

つづき→#7:ハシボソガラスにモビングされて逃げるノスリの親鳥(野鳥)


ノスリ♀(野鳥)@巣:柳樹上+抱雛
ノスリ(野鳥)巣@柳樹上・全景

2019/08/24

巣内で獲物を捕食後に抱卵するノスリ♀(野鳥)




ノスリ(野鳥)営巣地での観察記録#5



▼前回の記事
柳樹上の巣で抱卵するノスリ♀(野鳥)

2019年5月上旬

9日ぶりの定点観察。
現場についてとりあえず手持ちカメラで対岸の巣を覗くと、ノスリButeo japonicus)親鳥(おそらく♀)が珍しく巣内で立ち上がっていました。
何をしているのかいまいちよく見えないのですが、どうやら♂が運んできた獲物を♀が食事中だったようです。
(撮影中は、素人目には転卵しているのかと思いました。)
私がもう少し早く来ていれば、獲物の搬入シーンが見れたかもしれません。

急いでカメラを三脚に据え付けたものの、この日は晴天でも風が強くてカメラが振動してしまいます。
もっと三脚に投資して本格的で(プロ仕様の)剛健な物を買い揃えないといけませんね。
お金が無い者は無いなりに色々と工夫するしかありません。
まず、動画編集時に手ブレ補正すると、風による振動もかなり改善されました。
後日の撮影では、水入りのペットボトルを三脚に吊るして重しにして、振動を抑えるようにしました。

巣内の親鳥♀は、こちらを向いてキョロキョロ見回しています。
巣の縁にずっと立っていた親鳥♀がその場で足踏みを始め、つづけて座り込みました。(@3:45〜)
抱卵を再開したようです。
対岸から見ている私の目を避けるように、巣内で姿勢を低くしています。

30分ほど現場を離れてからこっそり再訪しても、巣内のノスリ♀は抱卵を続けていました。
営巣木の柳や河畔林のニセアカシア高木が強風で大きく揺れています。
周囲からホオジロ♂の囀り♪が聞こえます。

ノスリの営巣地に隣接する河畔林が一部伐採されていることに気づきました。
伐採作業のせいで親鳥が巣を放棄するのではないかと心配です。
なんとかこのストレスを乗り越えてくれれば、やがて伐採跡に草地が広がって野ネズミが増え、ノスリは巣の近くで獲物が増えて嬉しいかもしれません。

つづく→#6:ノスリの雛が孵化した!(野鳥)


ノスリ♀(野鳥)@巣:柳樹上+獲物捕食?
ノスリ♀(野鳥)@巣:柳樹上+抱卵

2019/08/22

柳樹上の巣で抱卵するノスリ♀(野鳥)



ノスリ(野鳥)営巣地での観察記録#4

▼前回の記事
ノスリの巣を見つけた!(野鳥)

2019年4月下旬・午後

6日後の定点観察。
持参した三脚を立てるのももどかしく、まずは手持ちカメラでノスリButeo japonicus)の親鳥(おそらく♀)が巣に居ることを確認して安心しました。
猛禽類の夫婦は一般に♂<♀と言われていて、体格で見分けられるのだそうです。
しかし♀♂つがいが並んでくれない限り、私のような素人には区別できません。

巣から顔を少しだけ出してじっとしている親鳥♀が瞬きしています。
川を挟んで対岸に居る私を警戒しつつ抱卵中のようです。
胸の羽毛が白いので、おそらくノスリだと思います。
(この時点では未だ翼の下面など全身を見せてくれず、別種の猛禽類である可能性も考えていました。)

しばらく撮っていると、♀親が顔をくるっと背けました。
やがて向き直り、瞬きしました。
営巣地の反対側で何か気になる物音がしたのでしょう。
抱卵中の親鳥♀が顔をキョロキョロと動かすのを見たのはこれが初めてです。
なにしろ猛禽類の営巣を見るのは初めてなので、些細な動作にいちいち感動します。

カメラを三脚に固定しても映像がグニャグニャと歪んで見えるのは、手前を流れる川の上に陽炎が立ち上り、太陽で暖められた空気が揺らめいているからです。

より良い撮影アングルを求めて探し歩いたのですが、おそろしく狭い角度で狙撃手G13が針の目を通すようにピンポイントで巣を狙わないといけないことが分かりました。
三脚を据える位置を少しでも横にずらすと、巣内の親鳥の姿が周囲の木に隠れて見えなくなってしまいます。
そのうちに、抱卵中の♀が一層警戒して、首をすくめるように巣の奥の死角に引っ込んでしまいました。
これから河畔林の若葉が生い茂り始めると、ますますノスリの巣の存在は隠されてしまうはずです。
(そのような安心できる場所に親鳥は巣を作ったのです。)
私が近くの大木によじ登ればノスリの巣内を覗けるのかもしれませんが、意外に人目が気になる場所なので樹上にブラインドを張るのも憚られます。
親鳥になるべくストレスを与えないように、無理せずこのまま定点観察に通うことにします。

ところで、近くの河原で採餌しているカラスのつがいが、巣内のノスリをモビングしないのは不思議です。
まさかカラスは、ノスリの巣の存在に気づいていないのでしょうか?(そんな馬鹿な!)

15分ほどの観察中に、ノスリ♂の姿は一度も見かけませんでした。
どこか遠くで狩りをしているのかな?


つづく→#5:巣内で獲物を捕食後に抱卵するノスリ♀(野鳥)


ノスリ♀(野鳥)@巣:柳樹上+抱卵
ノスリ♀(野鳥)@巣:柳樹上+抱卵
アングルを少し変えるだけで親鳥の姿はほとんど見えなくなる。(巣材の隙間から片目だけが覗いている)

2019/08/20

ノスリの巣を見つけた!(野鳥)



ノスリ(野鳥)営巣地での観察記録#3


▼前回の記事
川沿いの柳の樹上で鳴き続け♪羽繕いするノスリ♂(野鳥)

2019年4月下旬

ノスリ♂と別れてから、対岸の河畔林を見ながら上流に向かって歩くと、近くに生えた落葉高木の幹の中程に大きな鳥の巣を見つけました。
巣材の枯枝を大量に集め、丸く積み上げて作られています。
私が見慣れているカラスの巣よりも大型です。
気になる巣を写真だけでなく念の為に動画でもアングルを変えながら望遠レンズで記録してみました。
撮影中は保護色で気づかなかったのですが、映像を見直してみると♀と思われるノスリButeo japonicus)親鳥が巣内にじっと座り込んでこちらを睨んでいました。
目の瞬きが確認できます。
猛禽類の巣を見つけたのは当然これが初めてです。
落葉樹の若葉が未だあまり開いていない時期なので、対岸の河畔林がよく見通せてラッキーでした。

ちなみに、この日は桜前線が当地を通過してソメイヨシノの花が満開でした。

親鳥は明らかに私のことを警戒しているようで、巣内に座っているだけで身動きしません。
おそらく抱卵中のノスリ♀でしょう。
ただし細かいことを言うと、転卵行動を見ない限り、抱卵であることの確証が持てません。
(つまり抱雛の可能性もありましたが、後日の観察結果と総合すれば、「ノスリの抱卵」という解釈で大丈夫だったと分かりました。)

巣を撮っているカメラをそのまま左に振ると、1分前に別れたばかりのノスリ♂が近くの柳の樹上にいるはずです。
残念ながら手前(此岸)の灌木の陰で死角になっていたので、編集でカットしました。
縄張りの河畔林でノスリ♂がハシボソガラスの群れにモビングされて逃げ回っていたときには、ノスリ♂を励ますように巣内のノスリ♀も鳴いていたようですが、私が巣にカメラを向けると鳴き止んでしまいました。

大阪市立自然史博物館叢書『日本鳥の巣図鑑―小海途銀次郎コレクション』を紐解いてノスリの巣の特徴を調べてみました。

営巣場所: 北海道〜九州(主に本州中部以北)の平地から亜高山の林の高い木、岩石の上、崖の棚などで繁殖する。牧場やスキー場など開放地に隣接する林を好む。

巣の特徴: 枯れ枝を積み重ねて、大きな皿形の巣をつくる。産座には針葉樹の青葉のついた小枝を敷くことが多い。
(p46-47より引用)

神経質になっているノスリ親鳥を刺激しないように、営巣地には当分の間、無闇に近づかないようにしないといけません。
河畔林が密生しているので、対岸から望遠レンズで撮っているだけでは、営巣木の樹種がこの後何ヶ月も見分けられませんでした。
営巣木を挟むように手前に並んで立っている木はニセアカシアです。
この後の連載で営巣木をいちいち「謎の落葉高木」と書くと煩雑になるので、先に樹種を柳と種明かししておきます。
雛が巣立った後の真夏に営巣木の樹種を調べに行き、ようやく柳と判明しました。(シリーズ最終回をお楽しみに)

つづく→柳樹上の巣で抱卵するノスリ♀(野鳥)


ノスリ♀(野鳥)@巣:柳樹上+抱卵
ノスリ♀(野鳥)@巣:柳樹上+抱卵
ノスリ(野鳥)巣:柳樹上

ノスリ(野鳥)巣:柳樹上・全景
ノスリ(野鳥)巣:柳樹上・全景

2019/08/12

幼い雛への給餌と抱雛のため送電塔の巣箱に出入りするハシブトガラス親鳥♀♂(野鳥)




送電塔#KN7に営巣したハシブトガラスの観察記録#2



▼前回の記事
送電塔の巣箱を守る警戒心の強いハシブトガラス親鳥♀♂(野鳥)

2019年5月下旬・午後17:05〜18:59(日の入り時刻は午後18:49)

ハシブトガラスCorvus macrorhynchos)の親鳥が巣箱に出入りする様子をまとめてみました。
♀♂のつがいが完全に分業するのではなく、共働きで雛に給餌しています。
ただし抱雛は♀が多いと言われています。

ようやく親鳥は見ている私の存在に少し馴れてくれたようです。(諦めた?)
私に対する威嚇や警告の行動を#1にまとめましたが、ハシブトガラスにしてはあっさりしていました。
大通りの送電塔に長年営巣しているつがいは人馴れしているのかもしれません。

送電塔に近づき過ぎると巣箱を見上げるアングルになり、親鳥も雛も鉄骨に隠れて見えなくなってしまいます。
逆に送電塔から結構離れて望遠レンズで狙った方が観察しやすいのです。

シーン1:

巣内で抱雛する親鳥の太い嘴が特設ステージ(巣箱)の上に突き出て見えますます。
親鳥は辺りをキョロキョロと見渡して監視を怠りません。
用意された巣箱はかなり丁寧な作りの力作で、送電塔の鉄骨に黒い針金でグルグル巻きに固定されていました。
巣箱の外枠は塩ビパイプ製のようで、そこに金網が張られています。
親鳥は枯枝を大量に持ち込んで組み合わせ、丸い巣を作りました。
巣箱の底は金網なので、雨が降ってもすぐに排水されるようになっています。
しかし、巣材が何本か巣箱から飛び出ていてちょっと雑な印象です。
樹上に一から巣を作る場合と比べて巣材の量も少ない(手抜き工事)気がしました。
巣の実物を回収して詳しく調べないことには、定量的な結論を何も言えないのが、辛いところです。
きっと誰か東北電力の巣箱担当者がしっかり調べてくれることでしょう。


シーン2:(@1:43)

巣箱で親鳥♀が抱雛中に、もう1羽の親鳥(おそらく♂)が帰巣し、餌乞いした雛に給餌しました。
ずっと巣に居た親鳥♀にも餌を少し分け与えたように見えました。
給餌後の親鳥♂は雛の脱糞を待たずに、さっさと巣を離れました。(滑空して川の方へ)

シーン3:(@2:29)

親鳥が♀♂共に巣をしばらく留守にした後で、親鳥♀が戻って来て抱雛を再開しました。

シーン4:(@3:31)

採餌から戻った親鳥が右下から斜めに飛び上がるように巣箱と同じ段の鉄骨に着地しました。
リズミカルなホッピングで巣箱の縁に止まりました。
その振動に雛が反応し、首を精一杯伸ばして真っ赤な口を大きく広げ、餌乞いを始めました。
雛の鳴き声は遠くて聞き取れません。
ところが親鳥は雛に給餌もしないで辺りを見回しているだけです。
しばらくすると雛は諦めて餌乞いを止め、巣内にうずくまってしまいました。
動物行動学の教科書で学んだときには、雛の餌乞いを見たら親鳥は機械的に給餌衝動に駆られるのだとばかり思い込んでいましたが、実際に観察すると意外に柔軟なのですね。
親鳥はようやく警戒を解き、巣箱に座り込んで幼い雛を抱き寄せます。

シーン5:(@4:31)

親鳥の帰巣シーンを撮り損ねてしまいました。
ホッピングで入巣すると、抱雛。
鉄塔の背後の鉛色の空をジェット機が飛んでも、飛行機雲は形成されません。

シーン6:(@5:18)

撮影地点をこっそり変更して、遠くの木陰から送電塔の巣箱を隠し撮りしてみます。
まずは親鳥♂が帰巣しました。
次に右からもう1羽の親鳥♀が帰巣し、鉄骨に並びました。
時間をかけてようやく♀が巣箱に入り、抱雛。
右の鉄骨に止まっている親鳥♂が急にカーカー♪鳴き始めました。
何事かと思いきや、すぐに親鳥♀♂が相次いで巣から飛び立ちました。
領空侵犯に対応する緊急出動のようです。
隠れている私の存在がバレてしまったのかな?


つづく→#3:ハシブトガラス♀♂つがいの愛情表現:キスと相互羽繕い(野鳥)


2019/08/10

巣箱に通って雛に給餌し糞を処理するハシブトガラス親鳥♀♂(野鳥)




送電塔#KN7に営巣したハシブトガラスの観察記録#10



▼前回の記事
巣箱のある送電塔で鳴き続けるハシブトガラスの親鳥(野鳥)


2019年5月下旬・午前10:08〜10:38

ハシブトガラスCorvus macrorhynchos)の親鳥♀♂が共稼ぎで巣箱に通って雛鳥に代わる代わる給餌するシーンをまとめてみました。
雛が未だ小さいので、給餌の頻度は低いようです。


シーン1:

採食から巣に戻ってきた親鳥は、食料を詰め込んだ喉袋が大きく膨らんでいます。
餌乞いした2羽の雛に口移しで給餌しました。
この後、どうやら雛が排泄した糞を親鳥が食べたようです。
もう少し雛が育つと、親鳥は雛の糞を巣の外へマメに捨てに行くのですけど、この親鳥は出巣せずにそのまま雛の横で付き添っています。(抱雛?)

中村眞樹子『なんでそうなの 札幌のカラス』によると、

・鳥の下嘴の骨格はVの字になっていて、その間が皮で覆われています。カラスの場合はその皮がとてもよく伸びるので、思いのほかたくさんの食べ物を詰め込むことができます。

・食べ物を蓄える皮の部分は、嘴が大きいブトはかなり伸びますが、嘴た小さくて細いボソの場合はそれほど伸びないので、あまりたくさん詰め込むことができません。(中略)おそらくブトの半分以下しか詰め込めないでしょうけれど。(p83-84より引用)



シーン2:(@1:50〜)

在巣の親鳥(おそらく♀)が左を向いてカー♪と一声だけ発しました。
下段の鉄骨に止まっていたもう1羽の親鳥(おそらく♂)が飛び上がって帰巣すると、巣内の雛が振動で気付いて盛んに餌乞いを始めました。
送電塔の鉄骨から鉄骨へピョンピョン跳ねるようにして入巣した親鳥♂は喉袋が膨らんでいます。
甲斐甲斐しく雛に給餌していますが、鉄骨の陰でよく見えません。
続けて今度も食糞したようです。
巣から左へ鳴きながら飛び去った親鳥♂の喉袋が少し膨らんでたのは、雛の排泄した糞を捨てに行くからかな?(排糞行動)



シーン3:(@3:47〜)

いつの間にか、親鳥が♀♂共に巣を留守にしています。
やがて右下より飛来した親鳥(おそらく♀)が帰巣しました。
例によって喉袋が大きく膨らんでいます。
ホッピングで巣箱に入ると、雛に給餌しました。
食後の雛が排泄した糞を今回も食べ(食糞)、そのまま雛に付き添って面倒を見ています。
次にもう1羽の親鳥(おそらく♂)も帰巣しました。(@7:00)
雛に給餌すると、雛の糞を喉袋に入れて外に捨てに行きました。
巣に残った親鳥♀が左を向いてカーカー♪鳴いています。


つづく→#11


2019/08/04

炎天下の巣箱で暑さに喘ぎながら雛に付き添うハシブトガラス(野鳥)



送電塔#KN7に営巣したハシブトガラスの観察記録#7



▼前回の記事
送電塔の巣箱で雛を育てるハシブトガラス♀♂(野鳥)


2019年5月下旬・午前9:22〜9:41

送電塔の周りをぐるりと回りながら、色んなアングルで巣箱の様子を撮影してみました。

巣内に座って抱雛中のハシブトガラスCorvus macrorhynchos)親鳥(おそらく♀)は嘴を開けっ放しにしたまま辺りをキョロキョロ見渡しています。
この営巣地は強い直射日光を遮る屋根や木の枝葉が無いので、炎天下で暑さに喘いでいるのでしょう。
陽炎が立ち昇っています。
雛の日射病対策のために親鳥が翼を広げて日陰を作ってあげているかどうか、興味があるのですけど、下から見上げるアングルでは見えません。
ドローンを飛ばして上から見てみたいところですけど、親鳥のストレスになるし危険なので止めましょう。

この送電塔は郊外の交通量の多い大通り沿いに立っていて、車の騒音が絶え間なく聞こえます。
ハシブトガラスと言えば繁殖期は巣に近づくヒトに対して非常に警戒心が強いことで有名ですが、私がここまで近づいて撮っても親鳥は怒ったり威嚇してきたりしませんでした。
だいぶ人馴れした、あるいは珍しく性格の穏健な個体のようで、観察しやすくて助かります。
この日はあまりにも暑くて、親鳥もバテていたのかもしれません。

鉄塔の中段に設置された巣箱をよく見てみると、かなり凝った作りでした。
プラスチックのパイプを組み合わせて、浅い箱の枠を作ります。
側面および正方形の底面に金網を張って金具や針金で固定してあります。
金網を使っているので、雨が降っても排水対策は万全です。
この巣箱(特設ステージ)に親鳥が巣材の枯枝を何本も運び込んで組み合わせ、巣が作られています。
巣箱がしっかりしているので、巣材の量を減らして手抜き工事しても大丈夫かもしれません。


ハシブトガラス(野鳥)巣:送電塔#KN7
ハシブトガラス(野鳥)巣:送電塔#KN7

やがて在巣の親鳥♀はカーカー♪と鳴きました。(@1:42)
澄んだ声で鳴くのがハシブトガラスの特徴です。

気温が高いので、親鳥は雛を抱かずに、横に付き添って座っているだけです。
小さな雛が嘴を大きく開き、横に居る親鳥に向かって背伸びをしました。(@2:00)
おそらく餌乞いだと思うのですが、翼は動かしておらず、雛の鳴き声は遠くて聞き取れませんでした。
しかし親鳥は採餌に出かけません。
雛の赤い口内を間近で見ても、親鳥の給餌衝動が解発されない場合があるのですね。
父親♂が採餌から戻ってくるのを待っているのでしょう。
雛が小さい間は片方の親鳥が付きっきりで見守るようです。

ちなみに、隣の送電塔に設置された巣箱にカラスは営巣していませんでした。(いずれ別の記事に書く予定です)

つづく→#8:ハシブトガラスの雛がヘリコプターに餌乞い(野鳥)


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