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2025/05/22

ミズナラの幼木に出来たナラメリンゴフシ【虫こぶ】

2024年5月上旬

里山の細い林道の脇に自生するミズナラ幼木の群落で白いピンポン玉のような物が目に付きました。
ナラメリンゴタマバチ(Biorhiza nawai)の両性世代がナラ類の芽に形成した虫こぶらしい。
細い枝の分岐点で大きく膨らんだ虫こぶの表面はまだ黄緑色で、少しだけ赤く色づき始めていました。

以前もミズナラに寄生しているのを見つけています。

関連記事(8年前の撮影)▶ ミズナラに形成したナラメリンゴフシ【虫こぶ】#1 
定点観察した連載記事#1〜#6。


【アフィリエイト】

2025/05/19

初夏の風に吹かれて飛散するポプラ(セイヨウハコヤナギ)の綿毛【風散布型種子:FHD動画&ハイスピード動画】

 

2024年5月中旬・午後14:25頃・晴れ 

街路樹として植栽されたポプラ(=セイヨウハコヤナギ)の大木から白い綿毛が風に乗って大量に舞っていました。 
ポプラが属するヤナギ科の種子は、典型的な風散布型です。 
ヤナギの白い綿毛は「柳絮りゅうじょ」、ポプラの場合は「楊絮ようじょ」と呼ばれるのだそうです。 

関連記事(5年前の撮影)▶  


ヤナギ科の果実は蒴果で熟すと裂開し、中から綿毛に包まれた小さな種子が多数現れます。 
この綿毛は種子そのものから直接生えている訳ではなく、種子を包む果実(蒴果)の内側の壁や種皮の表面から発生した付属物(種毛、種子毛)です。
綿毛の主成分はセルロースで中空構造を持ち、風による種子散布への適応形態です。 

ポプラ大木の下から見上げてズームインすると、枝先に白い綿毛が大量に付いていました。 
白い花が咲いているように見えますが、花ではなく蒴果の綿毛です。 
(私はポプラの花を実際に見たことがないかもしれません。)
ポプラは雌雄異株なので、白い綿毛の付いた木は雌株です。
初夏(晩春)の風が強く吹くと、その綿毛が風に乗って飛散します。 
ポプラの若葉も風でザワザワ音を立てながら揺れています。 

セイヨウハコヤナギの綿毛が飛散する様子を240-fpsのハイスピード動画でも撮ってみました。(@1:37〜) 
明るい空を背景にすると飛散する白い綿毛がよく見えないので、背景が暗くなるようにアングルを決めないといけません。 
ハイスピード動画は固定焦点ですから、撮り始めにポプラの大木に焦点を合わせてしまうと、手前の空中を飛ぶ綿毛にピントが合いません。 
シャッターボタンを半押しにして、適当な距離の物体に合焦してから撮り始めました。 
カメラの仕様で、ハイスピード動画は無音になってしまうのですが、無音のシーンが続くと味気ないので今回は風の吹く音をアフレコしてみました(別撮りの動画から音声だけ流用)。 

動画を撮影した後に、風に舞う綿毛を手掴みで採集できたので、種子の写真を掲載しておきます。







【考察】
中国の乾燥した地域では、ポプラ並木から大量に飛散した白い綿毛(楊絮)が地面に溜まり、誰かの不注意(火の不始末)で発火すると一気に燃え広がって火事になってしまうのだそうです。
ポプラの白い綿毛(楊絮)は主にセルロースと植物油脂から成り、可燃性が非常に高くなっています。
綿毛状の形態で空気を多く含むため、密集して堆積すると、着火した際に一気に爆発的に燃え広がる性質があるのです。

楊絮が燃えやすいという性質は、ポプラがそのように進化した結果なのでしょうか? 
火災を積極的に利用して分布を広げるパイロファイト(火災適応植物)と呼ばれる植物が知られています。
(多雨多湿で山火事の発生頻度が少ない日本にはほとんど居ないとされています。)
ポプラはパイオニア植物(先駆植物)なので、山火事を起こしてライバルの植物を焼き払い、その後に発芽する戦略かもしれない、と私は素人考えで思いつきました。

しかし、地上に堆積した楊絮に着火したら、種子も焼け死んでしまいます(高温で発芽能力を失う)。
つまり、ポプラの種子に耐火性はありません。
セルロースからできた綿毛の表面には油脂成分(ワックス)が含まれていて、可燃性が高くなっています。
これもポプラに火災を誘発したいという進化的意図がある訳ではありません。
この油脂分のおかげで撥水性が高まり、フワフワの綿毛が雨や湿気から守られるのだそうです。
これも風散布の効率を高めるための適応と考えられます。

まとめると、ポプラの綿毛が燃えやすいのは、風散布のために軽く繊維状になった結果の副産物であり、「火災を誘発して生存競争を有利にする」ために進化したものではありません。

※ Perplexity AIの回答を参考にまとめました。
植物生態学も調べてみると面白いですね。

昨今では、ポプラの大木が次々に伐採されています。
台風や大雪などによる倒木で事故が起きることを行政当局や土地管理者が恐れているようです。
ポプラを観察したいと思いたった時に身近にあまり残ってないことに気づき、焦りました。
ポプラに限らず、あちこちで樹木の伐採がどんどん進んでいるので、思いついた時にすぐ撮っておかないと、後悔することになります。


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2025/05/07

マルバアオダモの枝から青色の蛍光物質を抽出してみる

 

2024年5月上旬・午後14:30頃・晴れ 

植物の図鑑でアオダモという樹木について調べると、「枝を水に浸けてしばらくくすると水が青を帯びた色になる」などと書いてあります。 
気になっていたので、実際に実験してみましょう。 
当地でアオダモの木を見かけたことがないので、その代わりに近縁種のマルバアオダモを実験材料にしました。 
マルバアオダモを使った実験は誰もやっていないようです。 

ガラスの小瓶と水筒、剪定バサミを持参し、春のフィールドで探し歩くと、峠道の道端でマルバアオダモの白い花が咲いていました。(萎れかけの花) 
細い枝先を切り落とし、ガラスの小瓶に収まるように、さらに短く切り揃えました。
マルバアオダモの小枝をガラス瓶にぎっしり詰め込んでから、ペットボトルに持参した水道水を注ぎました。 
透明な水だったのに、抽出液を日光にかざすと、確かにうっすらと青っぽく見えました。
これは、自然光に含まれる紫外線による蛍光なのだそうです。

2日後の5月中旬、100円ショップでUSB UVライトを買ってきました。 
モバイルバッテリーにUSB接続するだけで、手軽に紫外線を照射できます。 
ライト色の波長は比較的安全な405nmですが、実際は青色に見えます。(可視光が混じってる?) 
この商品の本来の目的はUVレジン(樹脂)の硬化用で、100円ショップ(ダイソー)の手芸コーナーやジェルネイルの関連グッズとして売られていました。 
この商品を選んだのは一番安かったからで、ネット通販サイトで探せば他にも色んなUVライト(ブラックライト)が売られています。 


マルバアオダモ枝の抽出液に暗闇で紫外線(UV)を照射すると、確かに青い蛍光を強く放ちました。 
2日間も水出ししたせいか、濃くてコロイド状に濁って見えます。 

ガラス瓶の蓋を開けた状態で少し傾けたら、床に少し液をこぼしてしまいました。 
その溢れた水も、紫外線で青く光って見えます。 
紫外線を消灯すると真っ暗に戻りました。(蓄光性はない。) 
実験中は目の網膜を守るために、UVカットのサングラスを着用しました。(気休め?)

ペットボトルに入れた別なサンプル(試料)でも試してみました。 
こちらはマルバアオダモの枝に対して水の量が多くて濃度が薄いため、コロイド状にはなっていません。 
特にペットボトルの裏側からUVを照射すると、青色の蛍光がきれいに見えます。 

ペットボトル容器にマルバアオダモの小枝を少量入れた方は、実は初回に試した実験です。 
抽出液の濃度が薄くて、自然光下では青色を帯びているようには見えず、紫外線照射で初めて青色に光りました。 
2回目の実験では、容器に小さなガラス瓶を選び、マルバアオダモの小枝をいっぱいに詰めて水の量を少なくしてみたのです。 

実験を実演した動画としては、Negative Control(陰性対照実験)が必要だったかもしれません。 
まず、木の枝を入れてないただの水道水は紫外線を当てても青く光らないことを示す必要があります。
次に、どんな樹種からでも青い蛍光物質が抽出される訳ではないことを示す必要があります。 
何か別な樹種の小枝からも同様に抽出液を作り、紫外線を当てても青く光らないことを示せば、より厳密な実験でした。 
対照実験をしっかりやることで、実験結果がノイズではなく、マルバアオダモの枝に蛍光物質が含まれていることが証明できます。

紫外線で励起されて青い蛍光を放つ主な原因物質として、アオダモの場合は、芳香族有機酸である「コーヒー酸(カフェ酸)」およびその誘導体が有力視されているそうです。 
カフェー酸は多くの植物が生合成する成分で、トネリコ属植物からもカフェー酸を基本骨格とするエステルやその類縁化合物が報告されています。
他にも、水に浸すと青い蛍光物質が抽出される樹種が何種類もあるらしいので、いずれまた実験してみるつもりです。 

参考サイト:日本植物生理学会ホームページ > みんなのひろば > 植物Q&A > アオダモの蛍光物質は何のため?  


ちなみにUSB UVライトを使った別の実験として、試しに1万円札に紫外線を照射しても、偽造防止のマークが赤く光ることはありませんでした。 
もちろん偽札ではなくて、もっと波長の短い(365nm)本格的なブラックライトが必要らしい。

夜のフィールドにブラックライト持参すると、新しい発見があるかもしれません。
例えば、サソリに紫外線を照射すると、なぜか緑の蛍光を発するのだそうです。

生物の標本をUVで硬化する透明樹脂で封入する作業も楽しそうです。
いつかやりたいと思いつつ、忙しくて試していません。

2025/04/29

ラショウモンカズラの花

2024年5月上旬・午後 

里山を流れる沢の近くに見知らぬ花が咲いていました。 
紫色の唇形花で、シソ科だろうと予想しました。 
写真に撮って画像検索(Googleレンズ)してみると、ラショウモンカズラと名前が判明しました。 

これで名前が分かったので、次は訪花昆虫を動画で撮影してみたいものです。
ラショウモンカズラの花
ラショウモンカズラの蕾

2025/04/27

オオヤマザクラの桜吹雪

 

2024年4月中旬・午前10:35頃・くもり 

民家の庭に植栽されたオオヤマザクラの老木が満開の花を咲かせていました。 
花の盛りは過ぎていて、風がなくてもピンク色の花弁がハラハラと落ちてきます。 
春風が吹くと桜吹雪となりました。 

来年以降に機会があれば、オオヤマザクラの桜吹雪をハイスピード動画でも撮ってみたいものです。

2025/04/13

タニギキョウの花

2024年4月下旬・午後・くもり

峠道の初めて行く側道を探検していたら、道端の草むらに可憐な白くて小さな花が咲いていました。 
画像検索(Googleレンズ)で名前を調べると、キキョウ科のタニギキョウと判明。 
スプリングエフェメラルなのかな?と思って写真を撮ったのですけど、そういう訳ではないそうです。
山間部の森林の木陰に生える。水気の多いところによく生え、渓流の周辺や水のわくところにコケに混じるようにして小さな群落を作っているのを見ることが多い。
という記述通りで、沢の水が溜まった小さな池が近くにありました。
いかにも野生動物や野鳥が水場として通いそうな良い池だったのですが、トレイルカメラを設置しにくそうで残念。
 

2025/04/06

秋風で舞い散るイチョウの黄葉

 

2022年11月上旬・午後13:20頃・晴れ 

川の堤防路にそびえ立つイチョウの大木が見事に黄葉していました。 
背後の青空には秋らしい絹雲が広がっています。 

秋風が吹くと、イチョウの黄葉がハラハラと舞い散ります。 
ドラマチックな桜吹雪ならぬ銀杏吹雪を動画で記録したかったのですが、カメラを向けたら強い風が止んでしまいました。 
イチョウにズームインしてみると、まだ黄緑色の葉もところどころ残っています。 
幹に巻き付いたツタの葉も色づき始めていて、イチョウ大木の左右に並ぶ桜(ソメイヨシノ)は紅葉していました。 

周囲の地面は黄色い落葉が美しく敷き詰められていました。 
当然ながら、母樹に近い土手の上部ほど黄色い落ち葉の密度が高くなっています。 


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2025/03/30

イワナシの花

2024年4月中旬・正午頃・くもり 

里山で急峻な山道を登っていたら、ピンクの花が可憐に咲いていました。 
草本植物ではなく、低灌木のようです。
見慣れない花だったので、写真にとって画像検索してみると、ツツジ科イワナシの花と判明。 
植物に疎い私は、てっきりこれがコケモモの花かと思ったのですが、いくら多雪地帯でもこんな低山に生えているはずがありませんね。
残念ながら、訪花昆虫の姿は見当たりませんでした。

他にはショウジョウバカマ、ヤマザクラ、タムシバなど早春の花が咲いていました。

2025/03/27

ソメイヨシノの桜吹雪【FHD動画&ハイスピード動画】

 

2024年4月中旬・午後14:00頃・くもり 

堤防路に沿って植栽されたソメイヨシノの桜並木が花盛りです。 
満開を過ぎて葉桜になり始め、春風が吹くと白い花弁が次々に舞い散ります。 
ソメイヨシノは、若葉より先に花が咲く性質がある品種の桜です。 
風下の地面は、薄い桜色の散った花弁が大量に敷き詰められています。 

夕暮れ時の桜吹雪を240-fpsのハイスピード動画でも撮ってみました。(@0:30〜) 
桜吹雪をどのぐらい引きの絵で撮るべきか迷います。 
ズームインした方が個々の花弁がよく見えるのですが、画角を横切る花弁の数は減ります。 
いざ撮影を始めると風が弱まったりして、なかなか難しいです。
「散る桜 残る桜も 散る桜」良寛和尚

関連記事(10年前の撮影)▶ この桜吹雪が目に入らぬか〜!【ハイスピード動画】

2025/03/21

早春のミズキから滴るオレンジ色の樹液に集まり吸汁するケシキスイの仲間

 

2024年4月上旬・午後13:30頃・晴れ 

細い用水路沿いにそびえ立つ落葉性高木の幹から鮮やかなオレンジ色の樹液が大量に滲み出していて、早春の二次林で非常に目立っていました。 
幹の数カ所の傷口から樹液が垂れ落ちながら、発酵してブクブクと泡立っています。 
樹冠を見上げると、枝先の冬芽から少しだけ若葉が芽吹き始めていました。 
樹種はおそらくミズキと思われます。 

カメラを上から下にパンしながらゲル状になった橙色の樹液を動画に撮っていると、ケシキスイの仲間(ケシキスイムシ科)と思われる微小な甲虫が計3匹写っていました。 
同定のために採集したかったのですけど、幹の高い位置だったので、手が届きませんでした。
図鑑『くらべてわかる甲虫1062種』に掲載された写真p80と見比べると、素人目にはホソコゲチャセマルケシキスイ(Amphicrossus hisamatsui)またはナガコゲチャケシキスイ(Amphicrossus lewisi)が似ていると思うのですが、どうでしょうか?
例えばホソコゲチャセマルケシキスイは、「6〜8月クヌギやコナラの樹液に集まる。いつも樹液に浸かっている」と記されていました。

余談ですが、昆虫分類学でNitidulidaeに対応する和訳としてケシキスイ科とケシキスイムシ科の両方が使われているらしく、依然として統一されていないようです。
和名ならともかく科レベルで表記の揺れがあるのでは、情報の検索や比較に支障をきたして困りますね。

ケシキスイの他には薄い翅を持つ黒っぽいハチ?ハエ?の仲間も動画にチラッと写っていたのですが、撮影中の私はまったく気づかずにスルーしてしまいました。 

「オレンジ色の樹液」でネット検索すると、ミズキの樹液がヒットしました。 
もともとミズキの樹液は無色透明でさらさらした液体なのですが、早春の時期にはよくオレンジ色になるそうです。
Perplexity AIに解説してもらいました。(細かい点で間違いがあるかもしれませんので、お気づきの方はご指摘ください。)

ミズキの樹液が透明からオレンジ色に変化する現象は、微生物の活動と環境条件の相互作用によって起こります。主な要因を以下のように整理できます:

色変化のメカニズム

  1. 酵母菌の初期繁殖
    ミズキの樹液は春先に糖分を多く含み、透明でサラサラした状態で分泌されます。これにファフィア酵母(Phaffia rhodozyma)が付着し、オレンジ色の色素(アスタキサンチン)を生成します。この段階で樹液は白濁し始めます57

  2. カビの二次繁殖
    酵母が樹液の糖分を消費すると、フザリウム属のカビ(Fusarium aquaeductuumなど)が優占種に変化。このカビは赤~オレンジ色の色素を産生し、樹液を濃いオレンジ色に変えます14

  3. 微生物の共生関係
    酵母とカビは樹液内で「スライム・フラックス」と呼ばれるコロニーを形成。触るとプニプニしたゲル状になり、表面にヒダ状の構造が発達します23

色変化の条件

条件影響
糖分濃度ミズキの樹液は糖分が多く(特に春)、微生物の繁殖に最適
温度15-25℃の温暖な気候で活発に繁殖(春先に多く観察)24
酸素量樹液が滴り落ちる際に空気に触れ、好気性微生物が活性化
時間経過分泌後2-3日で酵母が繁殖→1週間程度でカビが優占種に16
物理的損傷剪定や虫食いによる傷口から樹液が持続的に分泌される必要あり38

色の持続性

オレンジ色は一時的な現象で、樹液の分泌が止まると干からびて黒っぽく変化します1。また、湿度が低い環境では色素生成が抑制され、色変化が起こりにくくなります4

生物学的意義

この現象は、樹木の傷口を微生物で覆うことで病原菌の侵入を防ぐ「生物学的防御機構」と推測されています8。オレンジ色の樹液はケシキスイなどの昆虫を誘引し、彼らが樹液に集まることで微生物の拡散を助ける共生関係も存在します24



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2025/03/17

春風で飛散するスギの花粉【トレイルカメラ】風媒花

 

2024年4月上旬・午後12:55頃・晴れ・気温24℃ 

休耕地でタヌキの営巣地を見張っているトレイルカメラが、ときどき春の強風によって誤作動します。 
野生動物が何も写っていない失敗動画を削除する前にじっくり見直すと、白い煙のようなものが左にゆっくり流されていくことに気づきました。 
5倍速の早回しに加工すると、雲のように飛散する花粉の動きが見やすくなります。 

奥に見えているスギ(杉)の防風林から花粉が風で飛散しているのでしょう。 
スギは風媒花ですから、雄花から大量の花粉を撒き散らします。 
日本中の山林にスギを植林した結果、国民の多くがスギ花粉症に苦しむことになりました。 

ハンノキの花粉という可能性もあり得ますが、時期が少し遅い気がします。 



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2025/01/28

防風林で秋に落雷を受けたスギの木

 

2023年10月中旬・午後・晴れ 

平地のスギ防風林で、ホンドタヌキ♀♂(Nyctereutes viverrinus)が通う溜め糞場phを久しぶり(17日ぶり)に定点観察しに来ました。 
新鮮な糞は追加されていませんでした。 
どうやら最近は使われていないようです。 

それよりも、このスギ林に大きな異変が起きていました。 
植林地(防風林)の真ん中で、新たにスギの倒木が増えて林床に散乱していたのです。 
以前、溜め糞場phを監視するためにトレイルカメラを設置したスギ大木の上半分が縦に裂け、幹が真っ二つに折れていたのです。 
このような状態を「中折れ」と呼ぶのだそうです。 
スギの朽木や枯木ではなく、緑の葉が茂る健康な生木が被害に遭っていました。 

秋は台風のシーズンですから、嵐による強風で折れたのでしょうか? 
それなら1本だけが倒れるのではなく、広範囲で何本もスギの木がなぎ倒されているはずです。 
防風林の中央部で他のスギに囲まれた1本だけ風倒するのは不自然です。 

幹の途中で縦に裂け目が入って折損したという状況からも、おそらく落雷したのでしょう。 
しかし、その木が焦げたり燃えたりした形跡はありませんでした。
(落雷木に必ずしも焼け焦げ跡が残るとは限らないのだそうです。) 
スギの防風林は樹高がほぼ揃っているはずなのに、なぜ中央の1本の木だけに落雷したのか、不思議です。 
「出る杭は雷に打たれる」のでしょうか?
その木がたまたま他の木よりも少しだけ高かったり、何らかの理由で他の木よりも電気を通しやすい状態にあった可能性があります(水分含有量が高いなど)。 
落雷は必ずしも最も高い木に起こるわけではなく、電荷の分布や樹木の状態など、複数の要因が関係するのだそうです。 

その杉の木にもしトレイルカメラを設置したままなら、落雷の過電流で壊れたり燃えたりしたはずなので、助かりました。 
初めて入る防風林なら、同じ光景を見ても「倒木の多い荒れたスギ林だなー」と思うだけでしょう。 
定点観察に通っていたからこそ、落雷木に気づくことができました。 

林業家にとってみれば落雷木は天災による痛い損失でしかありませんが、森林生態学的には良い面もあります。
鬱蒼と育ったスギ林の中には日光がほとんど射さず、他の植物はあまり育つことができません。 
落雷でスギ林の中央部に林冠ギャップができたので、ここだけ林床の日当たりが良くなり、新たに植物が育って森の更新が進むことが期待できます。 
また、新たなスギ倒木を餌としてキノコなどの分解者が長い年月をかけて腐朽させます。 
それまでの間、林床に放置された倒木は小型の哺乳類(野ネズミなど)に隠れ家や餌場を提供してくれます。 
落雷(の轟音)にキノコの発生を促進する効果がある、という面白い説があるのですけど、スギ林でも見られるのか楽しみです。


さて、落雷がいつ起きたのか、正確な日時を突き止められるでしょうか?
私が定点観察した9月下旬から10月中旬までの17日間のどこかで落雷したはずです。
今回、Perplexity AIに相談して初めて知ったのですが、気象庁は落雷の詳細なデータを記録しており、過去に遡って落雷の有無を調べることが可能です。 
気象庁は雷監視システム(LIDEN: LIghtning DEtection Network system)を使用して落雷を観測しています。 
このシステムにより、落雷の場所や時間を5分単位で記録しています。 
気象庁のウェブサイトでは、過去の気象データを検索することができます。 
少しやってみたのですが、忙しくて調べ切れていません。 



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関連記事 ▶ 雷に打たれることが恩恵になる木が存在する by ナゾロジー


落雷による林冠ギャップ

中折れしたスギ落雷木

真下に散乱する中折れの破片




以下は、タヌキの溜め糞場ph:倒木横の様子を撮った写真です。
糞に未消化の種子(銀杏およびリンゴ?)が含まれているのですが、落雷木に気を取られた私は、真面目に調べていません。







2024/12/26

カタクリの花を眺めながら春の山道を登る

 

2023年4月下旬・午後12:00頃・晴れ 

里山の斜面にカタクリの大群落が満開に花を咲かせていました。 
ウグイス♂(Horornis diphone)がどこか近くでホーホケキョ♪ときれいな囀り(さえずり)を披露していました。 
まさに春の風物詩ですが、期待した訪花昆虫は全く見当たりませんでした。 
静かに進行している昆虫の大絶滅が本当に心配です。 

山道を登りながらカタクリの花畑を動画に撮ってみました。 
ちょっと酔いそうな映像になってしまったので、1/5倍速のスローモーションでリプレイ。 

早春に咲くカタクリの花は、スプリング・エフェメラルのひとつです。 
この里山ではかつてカタクリの大群落が春のちょっとした観光資源になっていました。 
コロナ禍のロックダウンで山林を誰も整備しなくなると、あっという間に雑木林の下生えが藪となったり倒木が散乱したりして、カタクリの群落は衰退してしまったようです。 
一方、冬に雪崩が多発する急斜面では樹木が育たない(植物遷移が進行しない)ため、そこを通る登山ルートではカタクリの群落が健在です。 
定期的に適度に攪乱される地形でないと、カタクリの群落は安定して維持できないようです。 
里山を林業家が再整備すれば、カタクリの花畑を復活させるのは難しくないはずです。 
カタクリはアリによって種子が散布される植物としても有名です。

2024/12/18

雪面に風散布されたオオウバユリの種子

2023年12月下旬・午後・晴れ 

平地の落葉した二次林を歩き回ると、雪に覆われた林床でオオウバユリが枯れていました。
その株の真下の雪面に種子が散乱していました。 
開裂した蒴果から翼の付いた種子が風散布された好例です。
地面よりも雪面に落ちたオオウバユリ種子の方がよく目立ちます。 
親株の根元から各種子への距離を測定してグラフに描けば、風散布の立派なデータになりそうです。

関連記事(3年前の撮影)▶ オオウバユリ種子の風散布を実演してみる


植物学の用語で理解が曖昧なまま使っているものを、この機会に復習してみました。 
百科事典や植物図鑑の解説で用語の定義を読むだけではなかなか頭に入らないので、AIのGeminiに質問してみました。 
たちどころに専門的な回答が自動生成されて、とても勉強になりました。
ただし、回答をダブルチェックする必要があります。
さらに疑問があれば、AIと質疑応答を重ねて自学自習を深めることが出来ます。
なかなかすごい性能です。
調べ物をする際に誰もインターネットを検索しなくなる(誰もググらなくなる)時代がすぐそこまで来ていることを実感します。
私はベンチャー起業のGoogleが興隆して検索の覇者へと登り詰める過程をつぶさに目撃してきました。
そのGoogleが危機感を覚えて、Geminiの開発・改良に死物狂いで全力を注いでいるのも納得です。



Q: オオウバユリの実が翼果ではなく蒴果とされているのはなぜか? 
翼果のように見えるのは収斂進化なのか? 


A: Gemini1.5の回答
オオウバユリの実が翼果ではなく蒴果と分類される理由、そして翼果のように見える理由について、詳しく解説していきます。 
オオウバユリの実が蒴果である理由 
蒴果とは、複数の種子を含む果実が成熟すると裂開し、種子を散布するタイプの果実です。オオウバユリの実は、この蒴果に分類されます。 
  • 構造: オオウバユリの実は、複数の室に分かれており、各室に多数の種子が詰まっています。成熟すると、これらの室が裂開し、種子が外に飛び出す構造をしています。 
  • 種子の特徴: オオウバユリの種子は、比較的大きく、扁平な形をしています。種子の周囲には、薄い翼状の構造が見られます。この翼状の構造は、風によって種子を遠くに運ぶための適応と考えられています。 
翼果との違い 
翼果とは、果皮の一部が薄く広がって翼状になり、風によって種子を遠くに運ぶための適応が見られる果実です。カエデの種などが代表的な例です。 
オオウバユリの種子も翼状の構造を持っていますが、果実全体が裂開するという点が、翼果とは大きく異なります。翼果は、果実全体が一つのもので、種子が翼と一緒に風に乗って飛んでいきます。 
翼果のように見える理由:収斂進化の可能性 
オオウバユリの種子が翼状の構造を持つにも関わらず、蒴果に分類されるのは、収斂進化が考えられるためです。 
  • 収斂進化: 異なる系統の生物が、同じような環境に適応する過程で、似たような形質を獲得することを収斂進化といいます。 
  • 風散布への適応: オオウバユリとカエデのように、異なる種類の植物が、どちらも種子を風によって遠くに運ぶという同じ環境への適応として、翼状の構造を獲得したと考えられます。 つまり、オオウバユリの種子の翼状の構造は、カエデの翼果と似た機能を果たしていますが、その構造が進化してきた過程は異なる、というわけです。 
まとめ 
オオウバユリの実は、その構造から蒴果に分類されます。種子の翼状の構造は、風散布のための適応であり、カエデの翼果との類似性は収斂進化の結果と考えられます。 
ポイント: 
  • 蒴果:複数の種子を含む果実が裂開する 
  • 翼果:果実全体が翼状になり、種子が翼と一緒に飛ぶ 
  • 収斂進化:異なる系統の生物が、同じような環境に適応して似た形質を獲得する
オオウバユリの実は、植物の多様な進化の過程を垣間見せてくれる興味深い例と言えるでしょう。



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2024/12/16

イネの二番穂

2023年10月上旬・午後・晴れ 

稲刈り後の田んぼ(刈田)で刈株から青々とイネの葉が再生し、しかも穂まで実っていることに気づきました。
私が子供の頃は二番穂というものを見た記憶がないので、ちょっと感動しました。 
山形県は北国ですから、水田は一毛作です。 
しかし最近は稲の品種改良が進んだせいか、温暖化の影響なのか、稲刈りが昔よりも早く終わり、山形県でも秋のうちに二番穂が出るようになったようです。
(それとも、昔から二番穂は生えていたのに、私に知識がなくて見過ごしていただけかな?) 

この二番穂を収穫して何かに活用できたら、SDGsの観点からも良いはずです。 
しかし山形県の二番穂は量が少な過ぎて、わざわざ手間隙かけて収穫して飼料やバイオマス燃料として利用するコストが回収できないのかもしれません。 

おそらく種子食性の野鳥や野生動物が田んぼの二番穂を食べに来ているはずです。 
例えば、渡来した白鳥の群れが刈田で採食しているのは、一番穂や二番穂の落ち穂拾いです。 

ところがしばらくすると、二番穂が出た刈田の区画は、冬が来る前に再び耕耘されてしまいました。 
翌年の春になったら田んぼに水を入れる前にどうせまた耕すのに、二度手間(トラクターの燃料費の無駄)ではないのかと、不思議でした。 
AIのGeminiに質問してみると、色々と教えてもらえて勉強になりました。 
二番穂にはイネの害虫などが潜んでいる可能性があるため、緑肥として土壌に漉き込んでしまうのだそうです。(土壌改良) 
イネ農家としては、二番穂が出ると土壌の養分が無駄に吸い取られてしまうから、二番穂を早く土にすき込んで根絶やしにしたいのかもしれません。 

稲孫、穭(ひつじ・ひつち・ひづち)は、稲刈りをした後の株に再生した稲。 いわば、稲の蘖(ひこばえ)である。 学術的には「再生イネ」という。 一般には二番穂とも呼ばれる。(中略) 稲の生殖細胞の減数分裂の際の気温が約18-20℃を下回ると不稔となることがある[3]。そのため温帯では成長しても穂が出ずに枯死してしまうか、不稔で中身が空のことが多い[1]。(wikipediaより引用)


イネ科の雑草でも草刈りされた後にたくましく再生しますから、別に珍しい現象ではないのですけど、 私にとって「再生イネ」を見るのは新鮮でした。

「二番穂」という用語をかろうじて知っていたぐらいで、他の呼び方は知りませんでした。



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稲の多年草化栽培

2024/12/15

ユキツバキの熟した蒴果から種子を取る(雪椿)

 



2023年9月下旬・午後12:40頃・くもり 

里山で細い山道に沿って自生するユキツバキの群落を定点観察しています。 
秋も深まり果実の表面が赤く色づき始めましたが、未熟な果実は硬いままです。 
茶色に完熟した蒴果を1個だけ見つけました。 
既に開裂しかけた蒴果の中には種子が2個含まれていて、今にも零れ落ちそうです。 
ヤブツバキの種子は、主に重力散布で分布を広げると考えられているそうです。 
2個の種子が互いに密着した状態で、果皮から一緒に外れました。 
動画を撮りながら片手で種子の癒着を剥がそうとしたら、手元が狂って大事な種子をうっかり1個落としてしまい、林床で見失いました。 
(種子散布に私も少し貢献したことになります。) 
手元に残った1個のユキツバキ種子の歪な形状をお見せします。 
そのまま種子を採集して資料用に持ち帰りました。 

ヤブツバキなどツバキ属の実に産卵・寄生するツバキシギゾウムシを長年探しているのですが、私は未だ見つけたことがありません。 
そもそもツバキシギゾウムシは寒冷な雪国には分布しないのでしょうか。 
山形県はツバキシギゾウムシの分布域の北限に近いのだそうです。 
ツバキシギゾウムシ♀が産卵した痕跡を調べたかったのですが、ユキツバキの群落を見渡しても、そもそも果実がほとんど見つかりません。 
春にはあれほど多数の花が咲いていたのに、ユキツバキの結実率はとても低いようです。 
ユキツバキの花は鳥媒花でもあり虫媒花でもあると考えられるので、雪国の春でも送粉者の数が少ないとは考えにくいです。

Newton special issue 植物の世界 第1号 ナチュラルヒストリーへの招待』という本でユキツバキの生活史を特集した章を読むと、
林内の群落では、ユキツバキの着実率(花が果実になる割合)はきわめて低く、成熟した果実はまれにしかみられない。しかし、林のへりや伐採跡地など日のよくあたる条件下では花が多く咲くため、果実も比較的多くつく。(中略)  種子が成熟するころには、種子の中身を食べる甲虫であるツバキシギゾウムシ(Curculio camelliae)や落下した果実の果皮を破って中の種子を食べる動物などがおり、被害を受ける。 (p40より引用)
ユキツバキの種子散布には重力散布だけでなく貯食型の動物散布も関与するのではないか?と個人的に推測しています。 
ユキツバキの分布は、重力散布だけでは説明できないからです。
重力散布や水散布だけでは、ユキツバキの分布は標高が下がる一方です。
ところが、ユキツバキの群落は山中の谷だけでなく尾根にも見られます。(人為的な植栽の結果かもしれません)
動物散布を証明するために、ユキツバキの種子を拾い集めて野外の地表にまとめて放置して齧歯類や野鳥が捕食したり貯食のために持ち去るかどうか、トレイルカメラで監視する計画を立てています。 
ところがユキツバキの種子を給餌実験に充分な数だけ集めるのがとても大変なことが分かりました。 
これほど結実率が低いユキツバキは、絶滅に向かっているのでしょうか? 
挿し木でも増やせるそうですが、遺伝子多様性の低いクローンになってしまいます。
野ネズミの巣穴を発掘調査したり野生動物の糞分析をした際に、ユキツバキの種子が含まれているかどうか、注意して見ていくのも面白そうです。

新潟雪椿研究会による『ユキツバキの果実・種子』と題したPDF資料がインターネット上に公開されていました。
こうした平均値などの統計処理をできるぐらい多数の種子をフィールドで集めるのは、かなり大変そうです。
ユキツバキの種子から椿油を採油したら、希少価値から高級品になりそうです。

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