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2024/10/18

初冬の冷たい雨が降る夜に池畔の崖から力尽きて滑落した謎の生き物とは?【トレイルカメラ:暗視映像】

 

2023年12月上旬 

山中の湧き水が溜まった泉を自動撮影カメラで見張っていると、旧機種のために風揺れや落ち葉の動きに動体検知センサーが反応して頻繁に誤作動してしまいます。 
膨大な無駄撮り映像を丹念に確認すると、本来は写らないはずなのに変温動物(両生類など)の興味深い活動がたまたま録画されていることがあります。 
今回も意外な発見がありました。


シーン0:12/6・午後12:13・晴れ(@0:00〜) 
明るい時間帯にたまたまフルカラーで撮れた現場の様子です。 
細長い池の左岸を狙って監視しています。 
画面の左から流入した湧き水が右に向かって流れ、斜面を下る沢の源流になっています。 
周囲の雑木林から散った大量の落ち葉が浅い池の中にも溜まってます。 
池の周囲は三方が崖のように取り囲まれています。 
池畔に育ったミズナラ大木の根元が画面の左上隅に写っています。 


シーン1:12/7・午後18:14(@0:03〜)日の入り時刻は午後16:23。 
冷たい雨が降りしきる晩にトレイルカメラがなぜか起動しました。 
水面に浮いているカエル(種名不詳)の目が赤外線を反射して白く光って見えます。(赤丸に注目) 
5倍速の早回し映像にすると、そのカエルがときどき瞬きしていることが分かります。 

さて、左岸の急斜面(崖)の途中に示した赤丸に注目して下さい。(@0:10〜) 
謎の黒い物体がズルズルと力なく崖をずり落ちました。 
私は初め、寒さで死にかけた野ネズミ(低体温で仮死状態?)が滑落したのかと思いました。 
1.5倍に拡大した上でリプレイしてみると(@0:24〜)、黒っぽくて細長いのでサンショウウオの仲間かもしれないと思いつきました。 
この池にはトウホクサンショウウオHynobius lichenatus)の幼生が生息していることを夏に観察しています。 
繁殖池から上陸して山林で育ったサンショウウオの成体が越冬のために水場へ戻ってきたという可能性はどうでしょうか? 
トウホクサンショウウオは冷涼な渓流や湖沼の水中で♀♂が冬眠し、早春に目覚めるとそのまま繁殖行動(産卵)をするらしいのですが、私はまだ実際に観察できていません。 
だとすると、初冬に池畔の崖をずり落ちたのは瀕死の滑落事故ではなく、積極的に池を目指して移動してきたことになります。 


シーン2:12/7・午後18:15(@0:37〜) 
続きの映像を5倍速で見ると、崖の途中で引っかかった謎の生物の白く光る目がときどき瞬きしていました。 
落ち葉やゴミなどの無生物が風雨に吹かれて崖を滑り落ちたのではなく、何か生物であることは間違いなさそうです。 


シーン3:12/7・午後18:18(@0:47〜)
しばらくすると、左岸で静止していたサンショウウオ?が再び崖をずり落ちて、水際に溜まった落ち葉の上に落ちました。 
1.5倍に拡大した上でリプレイ(@1:08〜)。 
重力を利用しつつも自力で這って池に到達したと思うのですが、小さいので手足の動きは見えませんでした。 
次に自力で這って入水したのかどうか、これ以降の記録はありません。 


シーン4:12/7・午後22:03(@1:16〜) 
画面の手前に示した赤丸に注目して下さい。 

 池の水面に浮いた大量の落ち葉をかき分けるように、何か細長い生き物が左に這って移動しています。 
1.5倍に拡大した上でリプレイしてみると(@1:21〜)、体表がテラテラした質感なので両生類でしょう。 
トウホクサンショウウオではないかと推測しています。 
アカハライモリの可能性も考えたのですが、一般的に地中や石の下などで冬眠するらしく、除外しました。 

このサンショウウオの行方が気になります。
残念ながらカメラの電池が切れそうで、わずか3秒間しか録画されていませんでした。 
赤外線LEDを照射する暗視動画は特に電力消費が激しいので、夜に誤作動を繰り返すとあっという間に電池が消耗してしまうのです。 
膨大な数の無駄撮り動画のチェックは苦行でしかありません。
途中で飽きた私はランダムに見直していたので、前後の映像をうっかり削除してしまったのが一生の不覚です。 


シーン5:12/8・午前1:29(@1:26〜) 
日付が変わった深夜に監視カメラが健気に2秒間だけ起動すると、依然として小雨がぱらついていました。 
野ネズミ(ノネズミ)が池の左岸を左に駆け抜け、ミズナラ根際の穴に潜り込んだようです。 
寒さで死にかけて池畔の崖を滑落した野ネズミが蘇生して巣穴に戻ったのかと初めは思ったのですが、体型や大きさ、色などを大画面で見比べると全く違います。 
つまり、崖を滑り落ちた謎の生物は野ネズミではありません。 


【考察】 
この時期、水場にイタチが繰り返し通って狩りをしていたので、獲物の正体が気になっていました。 
そのために、無駄撮り映像をじっくり見直してみたのです。 

関連記事(同所で同時期の撮影)▶  


やはり、巣穴に潜む野ネズミや、冬眠中(冬眠前)の両生類(カエルやサンショウウオ)を狙ってイタチは捕食していたようです。 

気温や水温が下がる初冬にも一部の両生類が水辺で元気に暮らしていたのは、ささやかながら私にとって意外な発見でした。 
変温動物の両生類はとっくに冬眠しているものだとばかり思い込んでいました。
(もしかすると暖冬の影響かもしれません。)
旧機種のトレイルカメラは、動画撮影時の気温データを取得できないのが残念です。 
新機種のトレイルカメラではセンサーの性能が向上して誤作動が減ったのは嬉しいのですけど、このような副産物の発見はあまりなくなりました。(一長一短) 
もしも初冬の池に集まってくるサンショウウオの行動観察を本格的にするのであれば、熱源動体検知で録画するトレイルカメラには頼らず、ライブカメラで池の様子を愚直にひたすら全録するしかなさそうです。
膨大な動画を目を凝らしてひたすら見る確認作業を想像するだけでも大変そうで、AIに任せられないかな?と夢想しています。
まずはタイムラプス撮影して傾向を掴むのが現実的かもしれません。


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フィールドワークに心血を注ぐとはどういうことか、教えてくれる素晴らしい名著です。
何も知らない素人だった筆者がサンショウウオに興味をもち、地道な野外観察や飼育を愚直に繰り返して、見事な業績を上げておられます。

2024/10/02

雪が降っても平気で池の水中に留まる晩秋のカエル【トレイルカメラ:暗視映像】

 



2023年11月下旬〜12月上旬

シーン0:11/27・午後13:08(@0:00〜) 
明るい日中にたまたまフルカラーで撮れた現場の様子です。 
里山の水場をトレイルカメラで見張っています。 
画面の左下から細長い池に流れ込んだ湧き水が右上に流出し、斜面を下って沢の源流となります。 
周囲の雑木林から大量に降り積もった落ち葉が水場に溜まっています。 

カエルは変温動物なので、本来はいくら動いてもトレイルカメラのセンサーは検知できないはずなのに、風や落ち葉が横切る動きで誤作動した映像の中に、たまたまカエルが写っていることがあります。 


シーン1:11/28・午後18:35・みぞれ(@0:04〜) 
冷たい雨(みぞれ?)が降る晩に、2匹のカエル(種名不詳)が水中に居ました。 
左の個体がたまに瞬きすることから、生きていることが分かります。 


シーン2:11/29・午前4:14・雪(@1:36〜) 
日付が変わった未明に雪が激しく降っています。 
依然として2匹のカエルが池に留まっていました。 
いつの間にか2匹の距離が縮まっています。 
池に堆積した落ち葉によって形成された岸辺でじっとしていました。 
ときどき瞬きしているので、生存確認できました。 

実はもっと激しく雪が降っている夜にも同様のシーンが撮れていたのですけど、動画をうっかり削除してしまいました。 

安全な越冬場所に移動する前に雪が降り始めてしまい、逃げそびれた個体なのでしょうか?
このまま凍死するのではないかと心配です。 
晩秋にまだ大丈夫だろうと油断していたら、急に気温が下がって身動きできなくなり、絶体絶命になったとしたら、まさに「茹で蛙(ゆでガエル)」の逆バージョンということになります。
茹でガエル(ゆでがえる、英語: Boiling frog)とは、緩やかな環境変化下においては、それに気づかず致命的な状況に陥りやすいという警句。生きたカエルを突然熱湯に入れれば飛び出して逃げるが、水に入れた状態で常温からゆっくり沸騰させると危険を察知できず、そのまま茹でられて死ぬという説話に基づく。


シーン3:12/4・午後12:27・晴れ(@3:08〜) 
5日後の昼下がりにカエルの無事な姿が撮れていました。 
水面に浮かんでいたカエルが急に右の日向へ向かって泳ぎました。 
(カエルの種類を見分けられないのが残念です。) 

今季は驚くほどの暖冬で、山中でもまだ根雪にならず全て溶けてしまいました。 


※ 動画の一部は編集時に自動色調補正を施しています。 


【考察】 
変温動物のカエルは、てっきり雪が降る前にどこか安全な場所に隠れて(地中に穴を掘って?)冬眠するのだと私は思っていました。 
雪が降る池に平気で留まっているのは、とても意外でした。 

この映像ではカエルの種類を見分けられないのが残念です。 
水底で冬眠する種類のカエルもいるらしいのですが、呼吸はどうしているのでしょう? 
ヤマアカガエルは、主に林床や泥の中、落葉の溜まった溝の底で冬眠します。また、他のカエルと同様に、土の中や水底で冬眠することもあります

厳冬期に「池の水をぜんぶ抜く」作戦を敢行し、浅い水底でカエルが本当に冬眠しているかどうか、確かめてみたいのですが、実際にやるとなると大変そうです。

旧機種のトレイルカメラでは撮影時の気温データが取得できないのも残念です。 
地下水の湧き水が貯まった池なので、冬は水温が気温よりも少し高い可能性があります。 
(この点を確かめる必要がありますね。)


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2024/09/24

山中の水場で泳ぐ晩秋のカエル【トレイルカメラ:暗視映像】

 

2023年11月下旬・午前1:05頃 

里山の湧き水が溜まった水場を自動撮影カメラで見張っていると、晩秋の木枯らしが吹く度に周囲の雑木林から落ち葉がどんどん降ってきます。 
旧機種のトレイルカメラは風揺れや落ち葉による誤作動が多くて困るのですが、撮れた映像を丹念に見直すと、たまに意外な副産物が写っていることがあります。 
変温動物の両生類がいくら活動してもトレイルカメラの熱源動体検知センサーは本来反応しないはずなのに、誤作動で撮れた映像に小さなカエル(種名不詳)が写っていました。 

大量の落ち葉が降り積もった晩秋の泉で、深夜にカエルが突然左にスーッと泳ぎました。
水面に浮上するとカエルの目が赤外線に反射して白く光ります。 
後半は5倍速に早回し加工すると、カエルが瞬きする様子がよく分かります。 


※ 動画の一部は編集時に自動色調補正を施しています。 

実は翌日の夜からみぞれが降り始め、吹雪となりました。 
山中のカエルが未だ冬眠しないということは、晩秋でも獲物となる虫がまだ捕れるのでしょうか? 
この時期に現場入りすると水場に生き物の気配を感じられないので、捕食シーンを実際に観察しないことには信じられません。 




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2024/09/17

晩秋の水場で夜に半身浴するニホンイノシシ♀【トレイルカメラ:暗視映像】

 

2023年11月下旬 

山中の水場をトレイルカメラで監視するプロジェクトを再開しました。 
限られた台数のトレイルカメラで複数のプロジェクトをやり繰りしているので、通年ではなく断続的な監視になってしまいます。

シーン1:11/19・午後12:50(@0:00〜) 
明るい昼間にたまたまフルカラーで撮れた現場の状況です。 
三方を崖に囲まれている細長い池で、里山の湧き水が貯まり、流れ出た水は沢の源流になっています。 
落ち葉が降り積もって浅くなった池の水は、画面の左下から右上に向かって流れています。 

今回はカメラの設置場所を変更しました。 
これまでは画面左下隅(画角の外)の崖の途中にトレイルカメラを設置していました。
そこは常に湿気が高い過酷な環境で、防水のトレイルカメラでも次々に壊れるので困っていました。 
水場に来る野生動物や野鳥の警戒心が強いと、ローアングルで設置した監視カメラの存在に気づいてしまう、という問題もありました。 
そこで、池を斜め上から見下ろすアングルに変更しました。 
池の周囲の斜面には雑木林の樹々が生えているため、池全体が写るような設置場所はどうしても確保できませんでした。 
これまでの撮影で野生動物がよく来ることが分かっている池の左岸を重点的に監視することにしました。 


シーン2:11/23・午後22:51(@0:03〜) 
夜遅くに、池の水が流出する水路からニホンイノシシ♀(Sus scrofa leucomystax)がジャブジャブと水場に入って来ました。 
牙が短いので、♀のようです。 
野生動物の中でもイノシシは特に警戒心が強いのですが、この水場で入水シーンが撮れたのは初めてです。 
これまで水浴シーンが撮れなかったのは、やはり監視カメラの存在に気づいて警戒していたからなのでしょう。 
今回も途中でイノシシ♀は監視カメラの方を見上げたものの、逃げませんでした。 

浅い池の水に腹面を浸しただけで(半身浴)、背中まで完全には浸かりませんでした。 
晩秋の深夜で水温が低いせいか、いわゆるヌタ打ち行動(泥浴び)はしませんでした。
旧機種のトレイルカメラで動画撮影すると、気温のデータが取得できないのが残念です。 

泉の中でイノシシが身動きすると、小さなカエル(種名不詳)が水面に浮いた落ち葉の上を慌てて跳んで逃げました。(@0:30〜) 
イノシシ♀は水中で方向転換してから池の左岸に上陸すると、毛皮の水気を切らずにそのまま獣道を歩き去りました。
雪国のイノシシは、冬になっても水浴するのでしょうか?




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2024/06/05

古い巣穴に潜り込んで雨宿りするニホンアナグマ【トレイルカメラ:暗視映像】

 



2023年9月上旬〜中旬

ニホンアナグマMeles anakuma)の家族が転出した後の旧営巣地(セット)を自動撮影カメラで監視し続けています。
雨夜に戻ってきたアナグマが古い巣穴に出入りする様子をまとめました。


シーン0:9/7・午後14:18・気温33℃(@0:00〜) 
明るい時間帯にフルカラーで録画された現場の様子です。 


シーン1:9/9・午前4:41・気温21℃(@0:03〜) 
小雨が降る未明に、アナグマが左から登場しました。 
巣穴Lにゆっくり潜り込んだのは、雨宿りのためなのでしょうか? 
入巣する後ろ姿の股間に睾丸が見えたので、若い♂と判明しました。 
この営巣地で以前ヘルパー♂を務めた個体かもしれません。 
成獣♂は体格も顔つきも、もっと「ずんぐりむっくり」になります。 


シーン2:9/9・午前4:41(@0:28〜)
ところが、次にトレイルカメラが起動したときには、アナグマが左へ立ち去る尻尾だけが写っていました。 
どうやら巣穴Lの内見を済ませて外に出てきた瞬間を撮り損ねてしまったようです。 


シーン3:9/9・午前4:53(@0:33〜)
小雨が降り続く中、セットの奥の二次林内をうろついていたアナグマがなぜか立ち止まって動かなくなりました。 
5倍速の早回し映像にすると、ミズキの木の背後でアナグマの白く光る目だけが少し動いています。 
カメラの死角で林床を掘り返してミミズを捕食しているのかもしれません。 


シーン4:9/12・午後19:50(@0:54〜) 
3日後の晩は、土砂降りの豪雨でした。 
監視カメラは斜め下を向けて設置しているので、レンズが雨で直接濡れることはありません。  
右からやって来たアナグマが広場で身震いして毛皮の水気を切ってから、巣穴Rに入りました。 
今度こそ、巣内で雨宿りするのでしょう。 
その後、この個体が巣穴から外に出て行った瞬間はなぜか撮れていません。 

ところで、アナグマは巣穴を掘る際に雨水が中に流れ込まないような浸水対策を何か施しているのでしょうか?
子育てしていたアナグマ家族がこの営巣地から転出したのも梅雨の時期だったので、巣内が水浸しになったのではないか?と考えたこともありました。
ファイバースコープを導入して巣穴の奥を覗いてみたいのですが、今季はなるべく余計な手出しをしないように自重しています。


後半は余談になりますが、画面の赤丸に注目して下さい。(@1:09〜) 
1匹の小動物が激しい豪雨に打たれながらも広場を横切って右へ歩き、最後は林縁の灌木を登り始めました。 
アナグマが入巣Rした後の映像にたまたま写っていました。
5倍速の早回し映像にすると、謎の小動物の動きが分かりやすくなります。(@1:37〜) 
なんとなくニホンアマガエルHyla japonica)かな?と思ったのですけど、カエルならピョンピョン跳んで移動する気がします。 
野ネズミの中でも木登りが得意なヒメネズミApodemus argenteus)の可能性もありそうです。 
これまでも野ネズミが雨夜に登場したことが何度もありました。 


※ 動画の一部は編集時に自動色調補正を施しています。 




2024/06/01

夜明け前の林床でホンドタヌキとニアミスした謎の発光生物? カエル?【トレイルカメラ:暗視映像】

 



2023年9月上旬・午前4:15頃・(日の出時刻は午前5:11) 

ホンドタヌキNyctereutes viverrinus)の♀♂ペアと思われる2頭が未明に、ニホンアナグマMeles anakuma)の旧営巣地(セット)を迂回するように通り過ぎました。 
今回はアナグマの巣穴Rには全く興味を示さず、素通りしています。 

画面の左下に小動物2匹の目が白く光っているのが気になりました。(2個の赤丸に注目) 
タヌキのペアが居なくなったのを見計らってから、もぞもぞと地面を移動し始めました。 
動きが緩慢で分かりにくいので、まずは5倍速の早回し映像でご覧ください。 
その後に等倍速でリプレイ。 
映像では小さくて正体不明ですが、なんとなくニホンアマガエルHyla japonica)などのカエルの目がトレイルカメラの赤外線を反射しているのではないかと思います。
白い点が点滅したのは、カエルが瞬きしたのでしょう。 
カエルの目だとすれば、身動きしない限りタヌキには見えず、気づかないでしょう。

対立仮説として「陸生ホタルの幼虫が発光して、タヌキは毒虫の警告色として忌避した」と考えると面白いのですが、まだ実際にこの二次林でホタルの幼虫を見つけたことはありません。 
飼育下でタヌキに陸生ホタルの幼虫を給餌してみて、捕食するかどうか実験で確かめてはどうでしょうか。





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2024/05/19

池で後脚が生えたトウホクサンショウウオの幼生

2023年8月下旬・午前11:25頃・晴れ 

定点観察している山中の水場に久しぶりにやって来ました。 
私が池に近づくと、岸から水中に数匹のカエルが飛び込んで逃げました。 
トノサマガエルとツチガエルがちらっと見えたような気がして水中を探すと、1匹のツチガエルGlandirana rugosa)だけ見つけることができました。 
ストロボを炊いて撮った写真を見直すと、トウホクサンショウウオHynobius lichenatus)の幼生も端っこに写っていたのに現場では全く気づきませんでした。(痛恨のミス!) 
後脚が左右にまっすぐ延びています。 

関連記事(同所で1年前および2ヶ月前に撮影)▶  


本当はもっと頻繁に通って定点観察すべきだったのですが、さぼってしまいました。 
2023年の夏は記録的な酷暑となり、現場入りするための登山をすると、熱射病で命の危険を感じるほど過酷でした。
2023年夏の昼間に撮った虫の動画が少ないのも、そのためです。 
その点、トレイルカメラに任せれば文句も言わずに無人で撮影してくれるので助かりました。(直射日光が当たる場所だと熱暴走するおそれがあります。) 


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北海道のサンショウウオたち
トリミングした写真。

2024/03/28

放尿しながら跳んで逃げるニホンアマガエル

 

2023年7月上旬・午後12:30頃・晴れ 

里山の林道でタニウツギの葉の上にニホンアマガエルHyla japonica)が座っていました。 
体色が青緑の個体です。 
保護色になっていないので、目立ってしまいます。 
しばらく時間が経てば緑に変色して周囲と馴染むのでしょうか? 三
脚を持参していれば、タイムラプス撮影で確かめたかったです。 
ちなみに、アマガエルがはっきりと変色するには30~40分かかるそうです。 (『ニホンアマガエルの体色変化』PDFより) 
あるいは、この個体は生まれつき黄色の色素が足りない変異個体なのかもしれません。 

【参考ニュース記事】


私が指先でアマガエルの体にそっと触れると、逆側へ横っ飛びで逃げました。 
(カメラのバックモニターを見ながら利き手ではない左手の指でぎこちなく触れたので、うっかりカエルの左眼球に触れてしまいました。) 
隣の葉に止まり直していたアマガエルの背中を再び指で触れると、今度は前に飛んで逃げました。 
最後は草むらに落ちて見失いました。 

緊急避難の跳躍行動を1/5倍速のスローモーションでリプレイしてみましょう。(@0:43〜) 
1回目は透明な液体を大量に放出しながらジャンプしていました。 
アマガエルが軽量化のために失禁(排尿)したのでしょう。 
鳥も飛び立つ前後にしばしば脱糞します。
動画を撮りながらタニウツギの葉を斜めに傾けていたので、水滴が初めから葉に付いていた訳ではありません。 
2回目はタニウツギの葉の窪みに初めから水滴が溜まって濡れていました。 
これが雨の滴なのかカエルの小便なのか、不明です。 
アマガエルのジャンプをハイスピード動画で撮ればよかったですね。 


【アフィリエイト】 
・Nature Discovery Books アマガエルのヒミツ

2024/03/02

モリアオガエルの泡巣で吸汁するニクバエ

 



2023年6月中旬・午後12:20頃・晴れ 

梅雨の時期になると、山中の池の岸辺でミヤマガマズミなどの枝先にモリアオガエルRhacophorus arboreus)の卵塊がいくつも産み付けられます。 
その一つにホソヒラタアブ♀だけでなくニクバエ科の一種(種名不詳)も飛来しました。 
口吻を伸縮させて、乾いた卵塊の表面を舐め回しています。 

後半は、体格差のあるニクバエ2匹が並んで吸汁していました。 
なんとなく同種の♀♂かと思ったのですが、求愛交尾行動には発展しませんでした。 

ホソヒラタアブよりもニクバエの方が図太く、赤アリ(種名不詳)が近寄ってもあまり気にしません。 


【アフィリエイト】 
・科学のアルバム『モリアオガエル 新装版』 
・動物の記録『モリアオガエルの谷

2024/02/25

水田で泳ぐオタマジャクシの混群(トノサマガエルとニホンアマガエルの幼生)

 

2023年6月中旬・午前9:30頃・晴れ 

平地に広がる水田の隅にオタマジャクシが群がっていました。 
水中で静止している個体と泳ぎ回っている個体がいます。 
何かに驚いて急に素早く泳ぎ去ると、水底の泥が舞い上がります。 
どのオタマジャクシにも未だ脚は生えかけていません。 (変態が始まっていない。)
水深が浅いので、水面に浮かんで呼吸する必要がなく、腹面を見せてくれません。 (渦巻状の腸管を確認できず。) 

田んぼの水中にところどころ緑の藻が繁茂しています。 
見下ろすアングルではオタマジャクシの口の動きが見えず、採食してるかどうか不明です。 

ヒキガエルの真っ黒な幼生とは明らかに異なります。 
トノサマガエルPelophylax nigromaculatus)の幼生ではないかと思います。 
よく見ると、個体によってサイズがまちまちです。 
成長段階の違いかと初めは思ったのですけど、よく見ると小さい個体は全体的に黒っぽくて両目が離れているので、ニホンアマガエルHyla japonica)の幼生が混じっているようです。 

【参考サイト】


オタマジャクシの飼育観察もいつかやってみたいと思いつつ、忙しくてなかなか手が回りません。 


【アフィリエイト】 

2024/02/23

モリアオガエルの泡巣で吸汁するホソヒラタアブ♀と食卵するアリ

 

2023年6月中旬・午後12:15頃・晴れ 

山中にあるモリアオガエルRhacophorus arboreus)の繁殖池に定点観察しにやって来ました。 
梅雨時で池の水位が上がり、満水状態です。 
例年なら池畔のマユミ灌木の枝先に卵塊が産み付けられているのですが、いつもの場所には泡巣がありませんでした。 
池畔の灌木を丹念に調べると、モリアオガエルの卵塊をいくつか発見しました。 
定量的な調査をしていませんが、今季は少ない印象です。 

ミヤマガマズミの枝葉にモリアオガエルが産み付けた一つの卵塊に1匹のホソヒラタアブ♀(Episyrphus balteatus)が止まっていました。
左右の複眼が離れているので♀と分かります。 
翅を広げたまま口吻を伸縮させて、乾いた粘液をしきりに舐めているようです。
タンパク質やミネラル成分が豊富なのでしょう。
吸汁しながらも、腹部を上下に軽く動かして腹式呼吸しています。 

一方、赤っぽい微小なアリ(種名不詳)も同じ泡巣の表面をうろついています。 
赤アリがかじっている黄色い粒々は、モリアオガエルの泡巣に含まれる卵です。
ホソヒラタアブは近づいてくるアリを嫌って飛び立ち、軽くホバリング(停空飛翔)してアリから少し離れた位置に止まり直しました。 
アリ自身にホソヒラタアブ♀を攻撃する意図(餌場の縄張り防衛)は別になさそうです。 
アリがモリアオガエルの卵を泡巣からほじくり出して自分の巣穴に運ぶかどうか、興味があったのですが、かなりの長時間観察しないと見届けられないでしょう。

ホバリング中のホソヒラタアブ♀がモリアオガエル泡巣の表面にチョンチョンと触れるような思わせぶりな動きを繰り返しているのが気になりました。 
産卵行動だとしたら、大発見です。 
それとも近くのアリを牽制しているのでしょうか? 
1/5倍速のスローモーションでリプレイしてみると(@2:10〜3:40)、どうやら産卵行動ではなさそうです。  
停飛しながら足の先で泡巣の表面に軽く触れているだけで、腹端は泡巣に触れていませんでした。 
泡巣表面の湿り気を足先の感覚器で調べているのかもしれません。 
ホバリングしながら泡巣の横のミヤマガマズミの葉にも足先で触れたので、どこに着陸しようか吟味しているだけなのでしょう。 
そもそもホソヒラタアブの幼虫はアブラムシを捕食するので、カエルの卵塊に産卵するはずがありません。 

関連記事(14年前の撮影)▶ ホソヒラタアブの幼虫と前蛹


周囲にモリアオガエルの卵塊はいくつもあるのに、特定の卵塊にしか昆虫が集まらないのは不思議です。 
アブ・ハエ類が吸汁目的だとしたら、産みたてで水気の多い白い泡巣を舐めれば良さそうなのに、少し乾いた卵塊が好みなのは何故でしょう?
わざわざ唾液を吐き戻しながら乾いた卵塊を舐め、吸汁しているのです。
出来たてフワフワの泡巣の上をアリが歩けないのはなんとなく予想できます。

関連記事(10年前の撮影)▶ モリアオガエルの泡巣に集まるハエ 
キンバエ類、ニクバエ類、ベッコウバエの仲間など大小様々のハエが来ていました。 



 
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・科学のアルバム『モリアオガエル 新装版
・動物の記録『モリアオガエルの谷
 
水際に自生するミヤマガマズミの枝葉に群がってまさに抱接・産卵中のモリアオガエル♀♂も見つけました。
新鮮な泡巣は真っ白です。
モリアオガエル♀♂が粘液や尿を後脚で泡立てている最中に虫は来ていませんでした。
日が経って乾いた泡巣は黄色っぽくなります。

2024/01/26

山中の池で泳ぐトウホクサンショウウオの幼生

 



2023年6月上旬・午後13:30頃・晴れ 

里山の湧き水が溜まった泉に久しぶりの定点観察に来てみると、トウホクサンショウウオHynobius lichenatus)の卵嚢は無くなっていました。 
孵化したはずなので水中を探すと、トウホクサンショウウオの幼生が泳いでいました。 
撮影中は1匹しか気づかなかったのですが、冒頭のシーンで画面の左端に居たもう1匹が落ち葉の下に素早く潜り込みました。 
浅い水中にただ浮いているだけの時間が長く、ときどき尾びれをくねらせて前進します。 
緑の藻が水底に生えているのに、採食行動は見られませんでした。 
 水中で黒いオタマジャクシとニアミスしたり、アメンボが水面を滑走したりしても、トウホクサンショウウオの幼生は無反応でした。 

後半は水面からの乱反射が眩しくなりました。 
偏光フィルターをレンズに装着すべきでしたね。

前年にこの池で初めてトウホクサンショウウオの幼生を見つけたときは、興奮のあまり手掴みで慌てて捕獲し、観察ケースに入れて撮影しました。
今回ようやく繁殖池での自然な遊泳シーンを動画で記録することが出来ました。


 
アズマヒキガエルBufo japonicus formosus)の幼生と思われる黒いオタマジャクシの大群も日向の浅い岸辺で蠢いていたのですが、前年と同じなので、その動画は割愛します。 
サンショウウオの幼生は共食いするらしく、同じ池で高密度に群れて暮らすことはありません。



2023/12/17

春の里山で残雪を跳びはねて横切る越冬明けのニホンアマガエル

 

2023年5月上旬・午後13:50頃・晴れ 

里山を流れる沢の源流部の渓谷が冬の雪崩で埋もれていたのですが、その雪がだいぶ溶けていました。 
両岸の地面よりも雪面が高く盛り上がっていたのに、低くなっていました。 
標高が低くて初夏には完全に消失するので、雪渓というほどではありません。 

土で汚れた残雪の上にニホンアマガエルHyla japonica)が居ました。 
越冬明けの個体が日光浴していたようですが、雪上では体温が上がらないでしょう。 
カエルは変温動物ですから、雪上では低体温で仮死状態なのもしれません。(行き倒れ) 
アマガエルの生死を確かめるために私が動画を撮りながら靴の先で蹴るふりをすると、ピョンピョン跳んで逃げ始めました。 
そのまま連続して跳ぶと、雪の無い地面に無事に上陸しました。 
気温や雪面の温度を測るべきでしたね。 
連続跳躍の様子を1/5倍速のスローモーションでリプレイ。(@0:21〜) 

ちなみに、雪崩で埋もれた渓谷を渡るカモシカなど野生動物の足跡は見つかりませんでした。 
雪面がガリガリに固いと足跡が残りにくいのです。
それともスノーブリッジの下の見えない空洞を踏み抜く恐れがあるので、危険を察知して春の間は通行を回避しているのかもしれません。

2023/12/05

山中の泉で育つトウホクサンショウウオの卵嚢を手に取ってみる

 



2023年4月下旬・午後13:00頃・晴れ 

定点観察のため山中の水場に来ると、新たにアズマヒキガエルの卵塊が大量に産み付けられていました。 

関連記事(同所同日の撮影)▶ 山中の泉に産み付けられたアズマヒキガエルの卵塊 


動画を撮りながら右手を水の中に差し入れて、浅い泉の底に沈んでいるトウホクサンショウウオHynobius lichenatus) の卵塊を一つすくってみました。 
卵嚢が不透明で表面には皺があり、中の胚がよく見えません。 
前回よりも胚発生が進行しているようですが、未だ動いてはいません。 

アカマツの落枝を池から取り除いた後に撮影しました。

秋田喜憲『石川県能登宝達山のサンショウウオ物語-サンショウウオに魅せられて40年』を読むと、2枚の透明ガラスで傷つけないよう卵嚢を圧して観察すると見やすいらしいです。(p24より)
筆者は顕微鏡を見ながら細密画で胚を写生し、発生段階表を自力で作成しておられます。
筆者の偉業はそれだけではありません。
生き物のフィールド調査に心血を注ぐとはどういうことか、教えてくれる凄い名著です。
ただし本書にトウホクサンショウウオは登場しません。



2023/11/22

山中の泉に産み付けられたアズマヒキガエルの卵塊

 



2023年4月下旬・午後13:30頃・晴れ 

山中の湧き水が溜まった水場に11日ぶりの定点観察に来ました。 
先に産み付けられていたトウホクサンショウウオ卵塊の変化については、別の記事にします。 

前回は無かったのに、新たにアズマヒキガエルBufo japonicus formosus)の卵塊が浅い池の水中にニョロニョロと大量に産み付けられていました。 
細長い透明なゼラチン質で心太ところてんのようです。 
その中にタピオカのような黒い卵が点々と並んでいます。 

ポプラ社『いろいろたまご図鑑』によると、
ヒキガエルのたまごのかたまりは、まるで寒天のひものようだ。長さは8mにもなることがある。この中に、小さなたまごが数千個もはいっている。 
 たまごは黒く、太陽の光を受けて温まりやすくなっている。早春に産卵するカエルのたまごに黒いものが多いのは、太陽の熱を利用するためかもしれない。(p182より引用)

動画を撮りながら右手を池の水中に差し入れて、ヒキガエルの卵塊を素手ですくい上げて見ました。 
細長い卵塊はヌルヌルで掴みにくく、持ち上げると途中で(切れて?)落ちてしまいます。 
黒い卵は球形で、胚発生は未だ進んでいないようです。 
最近産み付けられたばかりなのでしょう。 
あるいは湧き水の水温が低いので、胚発生が緩慢なのかもしれません。 
水温を測るべきなのに、温度計を持ってくるのを忘れてしまいました…。 

夏になるとこの泉にはアズマヒキガエルの黒い幼生(オタマジャクシ)が大量に居ることが分かっています。
残るミッシングリンクは繁殖行動です。

今回は池に親カエル(成体)の姿を1匹も見つけられませんでした。 
私が繁殖池に来たので水底に堆積した落ち葉の下などに逃げ込んでしまったのか、それとも今季の繁殖活動(カエル合戦)は既に終わって解散した後なのかもしれません。

残念ながら今季はアズマヒキガエルの繁殖行動(カエル合戦)を見逃してしまいました。 
どうやら今年はヒキガエルの繁殖期が例年よりも早く始まったようです。 
頻繁に定点観察したくても、ここまで登ってくるのが体力的にきついです。
無人カメラを設置してヒキガエルの繁殖行動(産卵)を動画に記録したくなりますけど、変温動物の両生類がいくら激しく動き回ってもトレイルカメラの温度センサーは反応してくれないので役に立ちません。
次善の策として、来年はインターバル撮影(タイムラプス)で記録してみようかな? 
財力があれば、携帯電話と連動して遠隔操作できるライブカメラを設置してみたいところです。


つづく→
 

2023/11/17

山中の泉に沈んだアカマツの落枝に産み付けられたトウホクサンショウウオの卵嚢

 

2023年4月中旬・午後13:30頃・晴れ 

里山の根雪がすっかり溶けたのを見計らって、山中から地下水が湧き出る水場へ久しぶりの定点観察に行きました。 
岸辺のあちこちにゼラチン質の巨大な卵嚢が幾つも産み付けられていました。 
この泉にはトウホクサンショウウオHynobius lichenatus)生息していることが分かっているので、おそらくトウホクサンショウウオ♀が最近産み付けたばかりの卵嚢でしょう。 



岸辺の浅い水中に産み付けられた大きな卵嚢を右手で掬い上げてみると、ブヨブヨの触感で捉えどころがありません。 
くるんとカールした勾玉のような形状でした。 
岸辺の卵嚢は何にも固定されておらず、水底にゴロンと転がっているだけです。 
胚発生が少し進んでいたものの、まだ自発的な動きはありませんでした。 

サンショウウオには溜まり水など流れのない水(止水)に産卵するものと、産地の谷川など流れのある水(流水)に産卵するものがいる。(秋田喜憲『石川県能登宝達山のサンショウウオ物語:サンショウウオに魅せられて40年』p12より引用)

撮影現場は水の流入および流出があるものの、どちらに分類されるかと言えば止水域です。 

wikipediaによれば、トウホクサンショウウオは
雪解けを迎える3月から6月が繁殖期で、止水域に20-100個でひとかたまりの卵を産む[4]。

実は、池畔の崖に立っていたアカマツが冬の間に積雪の重みに耐え切れず真っ二つに折れてしまい、池の中にアカマツ倒木の枝が突き刺さっていました。 
(あるいはひょっとすると、落雷を受けたのかもしれません。)
水温が低いために、松葉が枯れずに緑色のままです。 
水中のアカマツ落枝にもトウホクサンショウウオの卵嚢が多数産み付けられていました。 
落枝ごと水中から外に引き上げてみると、卵嚢は自重で細長く垂れ下がり、印象がまるで変わりました。
卵嚢がちぎれることはありませんでした。 
アカマツの枝先や針葉に卵嚢が固定されているようです。 

トウホクサンショウウオの産卵シーンを観察できず、残念でした。 
来年以降の宿題として持ち越します。
もっと残雪のある早春に来る必要がありそうです。
この日はトウホクサンショウウオの成体を1匹も見かけませんでした。 
既に繁殖を終えて陸地に帰ったのか、それとも私を警戒して水中に逃げ込んだのか、分かりません。

水場でヤマアカガエルの卵塊が見つかるかと期待して山を登って来たのに、意外にも全くありませんでした。 
この泉でヤマアカガエルは繁殖しないのでしょうか? 
それとも、今春は大量のアカマツ落枝で池の水面がほとんど埋め尽くされたせいで産卵できなかったのかもしれません。

それから、アズマヒキガエルの卵塊も見つかりませんでした。 
ヒキガエルの繁殖期(カエル合戦)にはまだ時期が早そうです。 

水場に無人カメラを設置してサンショウウオやカエルの産卵シーンをなんとか撮影したいところです。
しかし両生類は変温動物のため、いくら激しく動き回ってもトレイルカメラのセンサーが反応してくれないのが問題です。 

ひょっとしたら水中の落枝をそのままにした方が、トウホクサンショウウオは捕食を免れてよく育つのかもしれません。 
しかし放置すると野鳥や野生動物が水場として利用しにくそうなので、撮影後はアカマツの倒木や落枝を撤去しました。 

ところで、動画撮影中に周囲の雑木林からツツピーツツピー♪というシジュウカラ♂(Parus minor minor)の囀りさえずりが繰り返し聞こえます。 

本当はトウホクサンショウウオの卵嚢を採取して持ち帰り、飼育してみたいところです。
あれこれ手を広げ過ぎてしまい、忙しくてとても余力がありません。 
できる限り定点観察に通うことにします。
調べてみると山形県のトウホクサンショウウオは 準絶滅危惧種(NT)に指定されているので、採集は控えるべきかもしれません。


同じ山系で雪解け水が溜まった別の池でもトウホクサンショウウオ♀が産んだと思われる卵嚢を先日見つけています。




そちらの池は標高が低くて日当たりも良いので、水温が高そうです
産卵時期も少し早く、胚発生も早く進行するでしょう。

それに対して、雑木林に囲まれた山中の水場は標高が高くて日当たりが良くありません。
しかも地下水の湧き水は夏でも冷たい(水温が低い)ため、トウホクサンショウウオの胚発生はゆっくり進行すると思われます。




【追記】
ネットで調べ物をしていたら、興味を引く文献を見つけました。
藤原愛弓, and フジワラアユミ. "宮城学院女子大学構内における準絶滅危惧種トウホクサンショウウオの産卵地の発見と個体数の推定." 宮城學院女子大學研究論文集 130 (2020): 47-57.
ありがたいことに、全文PDFがダウンロード可能です。
ざっと斜め読みしてみると、私の観察とそっくりの産卵環境が報告されていて驚きました。
MG 産卵地の周囲や水底には、周辺に生育する落葉・常緑広葉樹の落ち葉が厚く堆積しており(写真 4)、主に樹幹部から落下してきたと思われる枯れ枝や数本の倒木が、MG 産卵地の中の数か所に半分没した状態で確認できた。
 卵嚢が多く産み付けられていた場所は、倒木の下(写真 5)や木の枝(写真 6)であった。
広葉樹のみならず、アカマツの枝や葉にも産み付けられていた(写真 7)。同所的に最も多くの卵嚢が産み付けられていたのは倒木の下であり、3 月 19 日には水中に半分没した倒木の側面から下面にかけて、計 24 個の卵嚢が確認された。一方で、落ち葉が堆積した場所に、そのまま産み付けられている卵嚢も確認された。


【追記2】

平凡社『日本動物大百科5:両生類・爬虫類・軟骨魚類』を紐解いてトウホクサンショウウオの産卵生態について調べると、

透明でバナナ状の卵のうの表面に多数のしわがある点で、トウキョウサンショウウオやクロサンショウウオと区別できる。

 3〜6月の 雪どけのころに、繁殖個体が止水に集まり産卵する。止水といっても、(中略)山間の細流のよどみなどのようなわずかに流れのあるところが好まれる。♀は水中の石の下の枯れ枝などに1対の透明な卵のうを産みつける。1匹の♀が産む卵の大きさや卵数は地域により大きく異なるが、直径2.4〜3.2mmほどの卵を20〜100個産卵する。(p13より引用)

卵嚢表面の皺については、私が撮った写真でも確認できます。 

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