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2025/09/20

池の底でアカハライモリが捕食していた物とは?

 



2024年7月上旬・午前11:55頃・晴れ 

里山にある池の水中で食事中のアカハライモリCynops pyrrhogaster)を見つけました。 
口に何か黒っぽい大きな餌を咥えています。 
腐った落ち葉などのデトリタスですかね? 
しかし、ちょっと味見してから、デトリタスをほとんど食べずに吐き出しました。 
餌を食べた瞬間を見逃してしまったのですが、落ち葉と一緒に何か小さい水生昆虫を捕食したのかな? 

池の底に沈んでいたアカハライモリの下半身が浮力で浮かび、きれいな赤い腹面が見えました。 
この模様で個体識別ができるのだそうです。 

やがてイモリは水中を左へ移動開始。 
手足を体の側面に沿わせて水の抵抗の少ない流線形になると、尾を左右にくねらせて素早く泳ぎます。 
泳ぎに手足を使わないので、アカハライモリの手足に水かきはありません。 
アメンボの幼虫やオタマジャクシ(カエルの幼生)がアカハライモリの近くに登場しても捕食しようとはせず、その下を潜って泳ぎ去りました。 

もしかして、アカハライモリは水中のデトリタスを食べることがあるのでしょうか?
Perplexity AIの回答によると、
アカハライモリはデトリタス(水中の有機物のかけら)を食べるのではなく、肉食中心の食性を持っています。主にミミズ、昆虫(幼虫や成虫)、カエルの幼生、魚卵や同種の卵などを捕食することが知られています**。特に水中で動く小動物によく反応し、動く生き物を捕まえて食べる傾向が強いです**。 また、幼体の頃には小さな無脊椎動物などを食べ、成長すると食性が多様化し、肉食性が強くなります。泳ぎはあまり得意でないため、水中の底にいる獲物を主に捕食しています。 まとめると、アカハライモリは基本的に肉食専門に近い雑食であり、動く水生昆虫やミミズ、幼生などを捕らえて食べるため、デトリタスのような有機物のかけらを食べることは基本的にありません。 そのため、飼育下でも生きた昆虫やミミズ、小魚など肉食の餌を与えることが推奨されています。

2025/09/19

単独産卵中のオオシオカラトンボ♀が捕食者に襲われると警護飛翔中の♂は身を挺して守るのか?

 



2024年7月上旬・午前11:40頃・晴れ 

低山の池でオオシオカラトンボ♀♂(Orthetrum triangulare melania)の産卵行動を観察していると、捕食者が現れました! 
トンボの撮影に集中していた私は気づかなかったのですが、トノサマガエルPelophylax nigromaculatus)が池で獲物を待ち伏せしていたようです。 
単独で飛びながら岸辺の水面に打水産卵を繰り返すオオシオカラトンボ♀に気づいたトノサマガエルが左からピョンピョン跳んできました。 
そのまま獲物に襲いかかろうとしたものの、オオシオカラトンボ♀は気づいて素早く飛んで逃げ、トノサマガエルの狩りは失敗しました。 

緊迫の瞬間を1/5倍速のスローモーションでリプレイ。(@0:18〜) 
トノサマガエルが獲物を狩れる射程距離に入る前に、オオシオカラトンボ♀は逃げていました。 
このトノサマガエルはまだ若いのか、やや小さ目の個体でした。 

ここで興味深いのは、♀を産卵警護していた♂の反応です。 
産卵中の♀のすぐ上空でホバリング(停空飛翔)していたオオシオカラトンボ♂は、捕食者の接近を♀に警告したり、身を挺して♀を守ったりすることはありませんでした。 
カエルから逃げた♀の後を追いかけて♂も飛び去りました。 

警護飛翔する♂はあくまでも♀が浮気しないようにライバル♂から♀を守るだけであって、捕食者から配偶者をガードすることはないようです。 
(捕食者の接近を見張るための哨戒飛翔ではないようです。)
もしもカエルの待ち伏せ猟が成功していれば、オオシオカラトンボ♂はあっさり♀を見殺しにしたと思われます。


【考察】 
擬人化すると、今回オオシオカラトンボ♂の行動を見て騎士道精神に欠ける(甲斐性がない、頼りない)と憤慨・失望する人がいるかもしれません。 
しかし、利己的遺伝子の観点からは容易に説明できます。 
♂は命を賭して捕食者に立ち向かったり身を挺して♀を守るよりも、さっさと逃げて生き残れば、新しい♀と交尾して自分の子孫をもっと増やせるチャンスがあるからです。 
そもそもトンボは天敵(捕食者)に立ち向かえる武器を何も持っていません。 


この疑問をPerplexity AIに質問すると、以下の回答を得ました。 (参考文献へのリンクは割愛。)

オオシオカラトンボの♂が行う「警護飛翔」は基本的にライバルとなる他の♂トンボに対する縄張りや交尾相手(♀)の独占を目的とした行動であり、捕食者から♀を守るための直接的な防衛行動や警告行動ではありません。

理由と背景

  1. 警護飛翔の目的
     ♂は産卵中の♀を他の♂が奪うことを防ぐために♀の周囲を飛び回り、ホバリングしたり威嚇したりします。これは「産卵相手の独占」と「ライバルの排除」が主目的です。

  2. 捕食者に対する反応
     トノサマガエルやカエル類、クモ、カマキリなどの捕食者に対して、トンボの♂が積極的に捕食者を追い払ったり警告を発したりする報告は一般的に少なく、むしろ捕食者に気付いた♀や♂自身が素早く逃避飛翔します。
     ♂は捕食者に対して防御的に護衛する行動はとらず、攻撃的な防衛は行いません。

  3. 捕食者が近づいた際のトンボの行動
     捕食者の接近は非常に危険なため、♀も♂も逃げることが多く、♂の警護飛翔は捕食者認知や防御の役割は持たないと考えられています。

まとめ

  • オオシオカラトンボ♂の警護飛翔は「競争相手の♂トンボへの排除・威嚇行動」であり、

  • 捕食者からの防衛や警告ではない。

  • 捕食者接近時は♀自身が逃げるか、周囲のトンボも飛び去るなどして回避する。

よって、今回のトノサマガエルに♀が跳びつかれた場合に♂が防御的な行動をとらず、逃げて無事だったというのは、オオシオカラトンボの自然な行動パターンとして符合します。


 
ところで、トンボの中にはノシメトンボのように♀が打空産卵する種類もいます。 
打水産卵と打空産卵で産み分けているのはなぜでしょうか?  
オオシオカラトンボのように打水産卵する方が、産卵する地点の狙いを付けやすいのですかね?

トンボの「打水産卵」と「打空産卵」は、どちらも飛翔中に腹端をリズミカルに振る動作をとりますが、前者は腹端で実際に水面を叩き卵を水中や水面直下に産みつけるのに対し、後者は空中から卵をばら撒き水面や湿地、泥などに着地させる方法です。たとえばノシメトンボやナツアカネなど、同じアカネ属でも種や状況によって使い分けることがあります。dragonflykumamoto.fc2+1

なぜ産み分けるのか?

  • 産卵環境の多様化(=卵の生存戦略の幅)と、捕食リスク・生息地特性への適応が主な理由と考えられています。

    • 打泥産卵は泥の中、打水産卵は直接水中、打空産卵は水・湿地・泥の上など、卵を分散させて環境の変動や捕食からより多くの子孫を残す可能性を高めます。dragonflykumamoto.fc2

    • 打空産卵は捕食者(カエルなど)に狙われにくい高さを飛びながら産卵できる反面、卵が正確に水中に落ちないリスクがあります。global

打水産卵の狙い付けについて

  • 打水産卵は自分の腹端で「ここだ」と狙いを定めて直接水面を叩きつけるため、卵の投入位置をかなりコントロールしやすい利点があります。kobe-c+1

  • 一方、打空産卵では相対的に「着地する地点」が卵ごとにムラが生じやすく、特に風や空中の姿勢で散布状態になります。ただし「湛水域の安定」「季節的な水たまり」など長期的な生存戦略としては有効な場合も多いです。

まとめ

  • 打水産卵は「確実に水中へ」、打空産卵は「リスク回避&卵の分散」を組み合わせた適応行動です。とくに打水産卵は「狙いをつけやすい」産卵法に該当しますが、その分、捕食リスクもやや高くなります。kobe-c+2

  • 種や産卵場所、環境条件に応じて両法を使い分けるトンボもいます。

参考:トンボの産卵方法の多様性と戦略

 
確かに、打水産卵するトンボはカエルなどに捕食されるリスクがあることを今回まざまざと教えられました。

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2025/09/16

マユミの枝先に産み付けられたモリアオガエルの泡巣が雨で溶け落ちるまで【トレイルカメラ:昼夜の微速度撮影#7】

 



2024年7月上旬〜中旬

山中にあるモリアオガエルRhacophorus arboreus)の繁殖池で、岸辺に自生する灌木に産み付けられる白い泡巣を長期間観察しています。 
これまでタイムラプス専用カメラで定点観察してきたのですが、旧機種のトレイルカメラを新たに追加投入し、終日5分間隔のインターバル撮影を行いました。 
11日間の記録です(7/5〜7/16)。 
本当は従来どおり1分間隔で撮りたかったのですが、旧機種のトレイルカメラではなぜか5分間隔が精一杯です。 
トレイルカメラを使う利点は、昼間だけでなく夜も赤外線LEDによる暗視撮影ができることです。 

タイムスタンプ(撮影日時)だけでなく、気温や月齢のデータも画面に焼きこまれているのはありがたいです。 
池の岸辺から張り出したマユミ灌木の横枝にわずかに残った新鮮な白い泡巣に狙いをつけて監視することにしました。
すでに崩壊した古い泡巣がいくつも見えます。

7月中旬に現場入りすると、待望の大雨が降ったおかげで、今季初めて池が満水状態になっていました。 
岸辺に設置したトレイルカメラが水没しているのではないかと心配だったのですが、無事でした。 
池畔の木々の枝先に新たな泡巣はもう産み付けられなくなりました。 

確認すると、ようやく自分でもだいぶ納得のいく(イメージに近い)タイムラプス動画が撮れていました。 
マユミの枝葉に産み付けられた白い泡巣の表面が固くなり、やがて雨で溶け落ちてモリアオガエルの幼生(孵化したオタマジャクシ)が下の池に入水するまでの様子が刻々と記録されていました。 
トレイルカメラの真上に雨よけの庇を取り付けたのが役立ったようで、梅雨時でもレンズがほとんど濡れずに済みました。 

予想通り、夜はモリアオガエルの成体がマユミの樹上に集まっていました。 
おそらく、この時期はほとんどの個体が♂で、♀はもう来なくなったようです。 
残念ながら、5分間隔のインターバル撮影ではカエルの木登り移動の様子や離合集散(求愛と抱接産卵)が分かりにくいです。 


【考察・反省点】
撮れたタイムラプス動画をご覧の通り、モリアオガエルの繁殖期はもう終わったようです。 
昼も夜も連続撮影できるトレイルカメラをもっと早く(初めから)投入したかったのですが、同時進行している他のプロジェクトとの兼ね合いで遅れてしまいました。 

被写体との距離が近すぎて、暗視するために照射する赤外線が白飛びしてしまいました。 
旧機種のトレイルカメラには赤外線の強弱を調節する設定がないので、赤外線LEDに光を和らげるディフューザーを被せるように取り付ければよかったですね。 
現場の状況から、被写体(樹上の泡巣)からの距離を離してカメラを設置することがどうしても無理なのです。
池の中に三脚を立てることができれば確かに撮りやすいのですが、梅雨時に機材が水没するのが怖くて敢行できませんでした。

カメラを設置したときに画角の水平が取れておらず、対岸の水面が斜めにずれてしまいました。 
現場で試写した後に画角をしっかり確認するには、池に入る必要があったのですが、底なし沼のように長靴がズブズブと泥濘に沈むのが嫌で、ほとんど勘でトレイルカメラの角度を固定してしまいました。 

来季は高画質で撮れる新機種のトレイルカメラを使って1分間隔のインターバル撮影、赤外線LEDの照射距離はshort(弱)の設定で再挑戦してみたいものです。 
さらに別のトレイルカメラでモリアオガエルの泡巣を見張り、ニホンザルによる食卵シーンを動画で記録するのが来季の目標です。 


つづく→

2025/09/12

池の底を歩き泳ぎ回るアカハライモリ

 

2024年7月上旬・午前11:40頃・晴れ 

山中にあるモリアオガエルの繁殖池に来ると、池の中にゆっくり動く黒っぽい生き物を見つけました。 
初めはサンショウウオかと思ったのですが、よく見るとアカハライモリCynops pyrrhogaster)でした。 

水面にはアメンボやマツモムシがいます。 
泥水の底に沈んでいるイモリはそれを見上げて捕食するかと思いきや、方向転換すると手前にノソノソと歩き出しました。 
次は尻尾を左右にくねらせて、少し泳ぎました。 

再び水中で静止したイモリの上の水面を高速で泳ぎ去ったのは、ミズスマシのようです。 


水中を移動するイモリのある個体を長撮りしていると、同じ池の少し離れた水中に別個体のアカハライモリを2匹見つけました。 
その2匹は池の底を少しだけ左に並走したものの、すぐに別れました。 
どの個体を撮るべきか、目移りしてしまいます。 

水中にはカエルの幼生(オタマジャクシ:種名不詳)も育っていました。
しかし、イモリとオタマジャクシは 互いに没交渉です。
アカハライモリがオタマジャクシを狩って捕食するシーンは観察できませんでした。 

次はゆっくり右へ向かう個体を撮ってみましょう。 
すぐに向きを変えて奥へ向かって歩き始めました。 
尾を左右にくねらせて右へ泳いでいきます。 
アカハライモリは、歩くよりも尾を左右にくねらせて泳ぐ方がずっと速いです。 
イモリは池の奥へとどんどん遠ざかってしまいます。 

アカハライモリを長々と撮り続けたのは、息継ぎのシーンを録画したかったからです。


しかし、他にも気になる被写体(トンボ)が池に現れたりして、忍耐が足りませんでした。 




【考察】
池の中のアカハライモリは、水中を泳ぐと言うよりも、主に水底を歩いていました。
肺呼吸すると浮力が大きいはずなのに、水に浮かないように何か工夫しているのでしょうか?
Perplexity AIは以下のように回答してくれました。

アカハライモリが水中で肺呼吸をする際に浮力があるにもかかわらず、水底を歩く理由や浮かばずにいる工夫についての直接的な研究データは見当たりませんでした。
しかし、いくつかの関連する観察や知見から推察できます。

アカハライモリは主に水底を歩くことが多く、水中での移動はしっぽを左右に振ることで泳ぐこともできますが、歩いたりしがみついたりする行動も得意です。水中では足を使い体を支えてゆっくり動く性質があり、浮力による不自然な浮き上がりはそうそう起きにくいと考えられます。

体の構造や動きから、浮力でそのまま水面に浮かばないよう、重心や筋肉の使い方でバランスを取っている可能性が大きいです。これは魚類のような浮袋がない両生類に共通する特徴です。

飼育環境の解説では、水草や底砂などを使って休憩できる足場を設けるのが推奨されており、自然の池でも水草や底質を利用し安定していると考えられます。

まとめると、アカハライモリは肺呼吸のために水面に出る必要はありますが、浮力を抑えて水底を歩くために特別な器官があるわけではなく、体の重さや筋肉の動かし方で自然にバランスを取り、水底での生活を維持していると考えられます。

補足として、彼らの泳ぎ方は体を左右に振る独特なものであり、手足は短いため泳ぎが得意ではなく、底を歩く方が水中移動として自然なスタイルです。

アカハライモリには魚のような浮き袋はありません。浮き袋は主に魚類が持つ器官で、体内にガスを調整して浮力をコントロールし、水中での位置を調整する役割がありますが、両生類であるアカハライモリにはこのような浮き袋は存在しません。

アカハライモリは肺呼吸をしながら、同時に皮膚呼吸も行うことができ、水中では体重や筋肉運動で浮力の調整やバランスを取り、水底を歩く生活様式をとっています。浮き袋の代わりに、体の構造や筋肉の使い方、環境中の足場(水草や底砂)を利用することで浮かばずに水底で動き回っています。

つまり、浮力調整は魚のような器官によるものではなく、物理的な体の重さや動かし方によって自然に調整されていると考えられます。



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2025/08/17

池畔のハルニレ枝先に産み付けられたモリアオガエルの泡巣が雨で溶け落ちるまで【微速度撮影#6】

 



2024年6月下旬〜7月上旬

モリアオガエルRhacophorus arboreus)の繁殖池で、岸辺に自生する灌木に白い泡巣が産み付けられる様子を長期間観察しています。 
タイムラプス専用カメラを使い、午前5:30〜午後18:00のタイマー設定で1分間隔のインターバル撮影を行いました。 
 丸1週間分(7日間)の記録です(6/28〜7/5)。 
梅雨の雨で池の水量がだいぶ増えました。

トレイルカメラと同じく、タイムラプス撮影は、初めに画角をどう決めるかが全てです。 
ハルニレの灌木に産み付けられた新鮮な白い泡巣が画面の右手前に写るように画角を決めました。 
(画角をもっと右に向けるべきだしたね。) 
画面の中央には対岸のマユミ灌木の枝葉に古い泡巣が写っているのですが、少し遠いです。 

撮れたタイムラプス動画を見ると、モリアオガエルの繁殖期はもう終わったのか、この期間に新たに泡巣は追加されませんでした。 
(カメラの画角内に作られなかっただけで、現場検証すると泡巣は別な場所に増えていました。)

曇ったり雨が降ったりする度に、ハルニレの枝葉が池の水面に向かってしなりながら垂れ下がります。 
晴れると枝に張りが戻ります。 
日照が少なくて植物の光合成が低下すると、細胞の膨圧が低下して垂れ下がるのでしょうか。 
それにしては変形運動(萎凋?)の度合いが大き過ぎる気がします。 
細い葉柄が膨圧の低下で垂れ下がるのは理解できるのですが、剛性があるはずの木質の枝まで垂れ下がるのが不思議でした。 
よくよく考えてみると、枝が垂れ下がる理由はもっと単純ですね。
雨が降るとハルニレの葉やスポンジ状のモリアオガエル泡巣が濡れてたっぷり吸水し、重くなった結果、枝が大きくしなるのでしょう。 
晴れると濡れた泡巣が乾燥して軽くなり、枝の弾性で元に戻ります。 

7/3〜4に大雨が降っている間に、ハルニレの枝が大きく垂れ下がり、モリアオガエルの泡巣が見えなくなりました。 
雨が上がってハルニレの枝葉が起き上がると、産み付けられていたモリアオガエルの泡巣は、ほとんど溶け落ちていました。 
このときにモリアオガエルの幼生(オタマジャクシ)は水中に脱出したようです。 
モリアオガエルの泡巣が雨で溶け落ちる一部始終をタイムラプス動画で記録したかったのですが、枝が大きくしなることも予想して画角を決める必要があり、難しいです。

溶けかけた泡巣の写真にモリアオガエルの幼生が写っていました。

7月上旬に撮影。



対岸のマユミ灌木に産み付けられた古い泡巣も、この期間に溶けたようです。

干上がりかけた池の対岸を左から右へ歩いて移動した鳥はキジバトかな?(@5:55〜) 


※ 雨がよく降る野外でタイムラプス専用カメラを設置する際には、透明プラスチックの防水ケースに収納しています。 
レンズの部分には眼鏡の曇り止めをスプレーしたら、雨の水滴をよく弾き、すぐに乾くようになりました。 
(レンズの表面に直接スプレーしたのではなく、防水ケースの表面にスプレーしました。) 
さらに、カメラの天井部に雨よけのひさしを取り付けたら、梅雨の大雨でもレンズはあまり濡れませんでした。 
下敷きのような薄いプラスチックをハサミで適当に切って、庇を自作しました。 


余談ですが、画面左奥のスギ林床や対岸の水際で蔓植物の先端の成長点がぐるぐると時計回り(上から見下ろしたときの回転の向き)で回旋運動していました。 
タイムラプス動画を4倍速で再生するとよく分かるのですが、YouTubeでは2倍速までしか早回しできません。 
現場に自生する蔓植物として、クズ、ツルウメモドキ、サルトリイバラ、フジ、ツルマサキなどが候補として考えられます。
しかし、回旋運動が時計回りというだけでは蔓植物の種類を全く絞り込めません。 
成長する蔓植物の運動も面白そうなテーマなので、いずれ改めてじっくり微速度撮影してみるつもりです。 


※ いつものように、Perplexity AIと相談しながら記事を書きました。 


2025/08/07

池畔のミヤマガマズミの枝先に産み付けたモリアオガエル♀♂の泡巣【微速度撮影#5】

 



2024年6月下旬 

モリアオガエルRhacophorus arboreus)の繁殖池で、泡巣が樹上に産み付けられる様子をタイムラプス動画で記録しています。 
池畔でマユミの枝先に産み付けられる泡巣が減ったので、カメラの設置場所を変更することにしました。 

今度はミヤマガマズミの枝先に産み付けられた泡巣4個を対岸から引きの絵で狙います。 
タイムラプス専用カメラを使い、午前5:30〜午後18:00のタイマー設定で1分間隔のインターバル撮影を行いました。 
丸1週間分(7日間)の記録です(6/21〜6/28)。 
先に言っておくと、今回の動画は失敗で、面白いことは何も写っていません。
この動画はブログ限定で公開しておきます。
個人的な試行錯誤を忘れないように、ブログに記録しておくだけです。

6/23日に山形県を含む東北地方南部が梅雨入りしたと気象庁が宣言しました。 
平年より11日遅く、前年よりも14日遅い入梅です。 
待ちわびた梅雨になったのに、この1週間で雨は1回しか降りませんでした。 
それでも池の水位が少しだけ回復していました。 

対岸で新たに産み付けられたモリアオガエルの泡巣は、画角の右外でした。 
対岸で水面に張り出したミヤマガマズミの群落はやや遠く、モリアオガエルの古い泡巣が次第に溶け落ちる様子がよく見えませんでした。 
4Kなど高画質で撮れる最新のタイムラプス・カメラなら、まだましだったかもしれません。
カメラの画角をもっと下に向けるべきでしたね。 

余談ですが、 4倍速の早回し映像で見ると、画面の左で林床下草の蔓植物(種名不詳)の回旋運動が記録されていて、興味深く思いました。 

また、ニホンカモシカCapricornis crispus)が何度か出没していました。 
6/25の午後17:00頃、左上奥のスギ林内をカモシカが単独でうろついていました。 
残念ながら池には来てくれませんでした。 
3日後の6/28の午前11:00過ぎにも、左上奥のスギ林内をカモシカがちらっと写りました。 


この画角での微速度撮影は失敗に終わったので、カメラの設置場所を変更します。 


2025/08/01

池畔のマユミとハルニレの枝先に集まって次々と泡巣を作り産卵するモリアオガエル♀♂【微速度撮影#4】

 



2024年6月中旬〜下旬 

山形県内はまだ梅雨入りしていません。 
降雨量が少なく、かつてないほど深刻な水不足です。 
山中にあるモリアオガエルRhacophorus arboreus)の繁殖池はどんどん縮小し、干上がりつつあります。 

タイムラプス専用カメラを使い、午前5:30〜午後18:00のタイマー設定で1分間隔のインターバル撮影を行いました。 
丸一週間分(7日間)の記録です(6/14〜6/21)。 

8GBのSDカードのうち、40%しか使われていませんでした。 
普段はトレイルカメラで動画撮影している私にとって、インターバル撮影でも昼間の静止画では電池がほとんど消費しないことに驚きます。 

池畔に自生するマユミ灌木の水面に張り出した枝にモリアオガエル♀♂がときどき集まってきます。
集団抱接および産卵のシーンが新たに記録されていました。 
画面左の手前に自生するハルニレの灌木でも産卵するようになりました。(@5:00〜) 
抱接しながら分泌液を後脚で泡立てて白い泡巣を作り、その中に産卵、放精するのです。


2025/07/25

池の水面に溶け落ちたモリアオガエルの泡巣に集まり吸汁・交尾するアメンボ♀♂

 

2024年6月中旬・午後12:40頃・晴れ 

モリアオガエルRhacophorus arboreus)の繁殖池で定点観察しています。 
岸辺に自生する マユミ灌木の枝葉に毎年、白い泡巣がたくさん産み付けられています。 

昼間からマユミの樹上でじっとしているモリアオガエル成体は、産卵のために木登りしてくる♀を待ち伏せしている♂なのでしょう。 
(私にはモリアオガエルの性別を外見から自信を持って見分けられません。) 
泡巣の近くに先乗りしている個体と、少し下部の枝に留まっている個体と2匹の成体を見つけました。 

白い泡巣の一部が溶けて崩れ、下の水面に浮いていました。 
産み付けられてから約1週間で泡巣内の卵から幼生(オタマジャクシ)が孵化し、雨で溶け落ちた泡巣と一緒に幼生が池の水中に脱出するのです。 
しかし、今回は自然な融解ではありません。 
ニホンザルがモリアオガエルの泡巣を捕食に来ているシーンがタイムラプス動画で記録されていたのです。 
猿がマユミの枝を掴んで乱暴に引き寄せた際に、一部の泡巣は水中に没して崩れてしまったようです。



池の水面に溶け落ちた白い泡巣の上に、アメンボの一種が群がっていました。 
交尾中のペア♀♂と単独個体、それからアメンボの幼虫と思われる小型の個体もいました。 
アメンボの交尾ペア♀♂が白い泡の表面を歩いて少しずつ移動しています。 
泡の縁に到達するとしばらく静止し、交尾中の♀が左右の前脚を擦り合わせて身繕い。 

交尾中のアメンボ♀は細い口吻を伸ばして、融解した泡巣から吸汁しているように見えました。 
タンパク質が豊富な餌なのでしょう。 
一方、単独個体のアメンボは、泡巣の表面に付着した虫の死骸?から吸汁しているようです。 
しかしPerplexity AIに相談してみると、融解したモリアオガエルの泡巣には栄養がほとんどなく、アメンボは水面に浮かぶ筏としてたまたま乗っていただけだろう、という見解でした。 
確かに、水面に浮いているどの泡にもアメンボが群がっているという訳ではありませんでした。 
私としては納得できないので、次に機会があれば、アメンボの口吻を横からじっくり接写して、決着を付けるつもりです。 

日向の強い日差しで水面に浮かぶ白い泡が白飛びしてしまい、日陰と入り混じって、コントラストの差が大きくなっています。 
見えにくい被写体を動画編集時でHDR風に加工したら、だいぶ改善されました。 
(具体的な方法はChatGPTに指南してもらいました。) 


【追記】 
動画を撮影した時の私は、水面に浮かぶ白い泡はてっきりモリアオガエルの泡巣がマユミ樹上から溶け落ちたのだろうと思い込んでいました。 
ところが、同じ池の岸辺の水際にはシュレーゲルアオガエルRhacophorus schlegelii)の泡巣も同時期に産み付けられていました。 
1週間前に撮った写真を載せます。






シュレーゲルアオガエルの幼生(オタマジャクシ)も既に卵から孵化して水中に脱出したらしく、白い泡巣が溶けていました。 
もしかすると、アメンボが乗っていたのはシュレーゲルアオガエルの融解した泡巣だったのかもしれません。
以下の写真は、動画を撮った同じ日の記録です。



2025/07/24

カジカガエル♂の鳴き声♪(昼と夜)

 

2024年6月上旬〜中旬

シーン1:6/8・午後14:40・晴れ(@0:00〜) 
河原からフィリリリリ…♪という鈴の音のような高音の優しい鳴き声が聞こえてきました。 
まさかとは思いますが、カジカガエル♂(Buergeria buergeri)の鳴き声でしょうか。 
少なくとも2匹の♂が鳴き交わしている印象です。 
♂が縄張りを宣言し、交尾のため♀を呼び寄せる求愛の鳴き声なのだそうです。 
この辺りは川の上流域の後半で、流れは落ち着き、岸は丸みを帯びた石だらけです。 

オスは水辺にある石の上などに縄張りを形成し、繁殖音をあげる[2]。鳴くのは、繁殖期の4月から7月の夕方から明け方までである。和名の「河鹿」はこの鳴き声が雄鹿に似ていることが由来[3]。(wikipedia:カジカガエルより引用) 

姿を確認できていませんが、こんな街なかを流れる川にカジカガエルが生息しているとは予想外で驚きました。 
カジカガエルは、もっと上流域の渓流に住んでいるとばかり思い込んでいました。 
もしかすると、最近降った大雨のせいで増水した渓流のカジカガエルが流され、この地点に漂着したのでしょうか? 

しかも、カジカガエル♂が鳴くのは夜(夕方から明け方まで)とされているのに、今回は真っ昼間から鳴いていて、異例なことばかりです。 

慌てて動画で鳴き声を録音してみたのですが、周囲のノイズ(※)が耳障りです。 
(※ 風切り音、手前のヨシ原が風でざわざわ揺れる音と、土木工事する重機の騒音など) 

シーン2:6/16・午前2:45(@0:35〜) 
静かな深夜に現場を再訪して、美しい鳴き声を録音し直すべきだと思い立ちました。 
1週間も間隔が開いてしまうと、カジカガエルの繁殖期は下火になったのか、期待したほど鳴き声は聞こえませんでした。 
しかも、しばらくすると鳴き止んでしまいました。 
私が来た時間帯が遅過ぎたのかもしれません。 

深夜は深夜で、別のノイズが賑やかでした。 
街なかの川は、どうしても騒音だらけです。
(※ カルガモの鳴き声♪、オオヨシキリ♂の囀りさえずり♪、川のせせらぎ♪、空調エアコンの巨大な室外機のノイズ♪など )

赤外線でナイトビジョン(暗視動画)が撮れるハンディカムを持参したのですが、今回も石だらけの河原に降りてのカジカガエル探索はできませんでした。 
私が耳を澄ませて川沿いの遊歩道を歩いていたら(鳴き声によるラインセンサス)、野生動物が河川敷から草むらに慌てて逃げ込む物音がしました。 
タヌキなら良いのですが、ツキノワグマとニアミスする可能性もあり、私は怖気づいてしまいました。 

念のために護身用の熊よけスプレーを携帯していたのですが、無理せずに撤退しました。 

川沿いをラインセンサスしてみた結果、カジカガエル♂が鳴いているのはごく一部の区間だけのようです。 


【考察】 
カジカガエル♂が鳴いていない退屈な部分を動画編集でカットするべきか迷いました。 
ChatGPTに質問してみると、時間的に間隔を開けて鳴くという点が生態学的に重要な意味があるらしいので、そのまま公開することにしました。
実は**「間隔を開けて鳴く」という特徴そのものに意味がある**と考えられています。理由は以下の通り: 
🔍 生態学的な意味 縄張りアピール:  他のオスとの競合を避けるため、間を空けて鳴き、自分の存在を静かに示す。休まず連続して鳴くと疲労し捕食リスクも増すため、間隔をあけて持続する戦略と考えられています。 
メスへのアピールの工夫:  間隔を空けて鳴くことで「長時間、安定して鳴ける=体力があるオス」だと示せる場合があります(これを「スタミナのシグナル」と呼ぶ場合も)。 
渓流環境への適応:  水音のある場所で連続音だと埋もれてしまうため、「間を空けて、目立つように」鳴くとも考えられています。

今季はまるで中途半端な結果に終わりましたが、憧れだったカジカガエルを調べる糸口が得られたので、来年以降の宿題として持ち越します。 


【アフィリエイト】 

2025/07/18

山中の水溜りで暮らすカエル【トレイルカメラ:暗視映像】

 

2024年6月中旬〜下旬 

シーン0:6/17・午後12:50・晴れ(@0:00〜) 
明るい日中にたまたまフルカラーで撮れた現場の様子です。 
山林の中に少し開けた湿地帯があります。 
湧き水や雨水が溜まった水溜りを野生動物や野鳥が来て水場として利用しているので、自動センサーカメラ(旧機種)で見張っています。 


シーン1:6/19・午前9:00(@0:04〜) 
右手前の水溜まりの中に居たカエルが左の岸にピョンピョン跳んで素早く上陸しました。 
1.5倍に拡大した上でリプレイ。(@0:15〜) 


シーン2:6/19・午後13:19・晴れ(@0:26〜) 
挙動が不安定な旧機種のトレイルカメラが、珍しくフルカラー録画に戻っていました。 

右手前の水溜まりの右岸からカエルが左に跳んで入水しました。 
泥水の中を少し泳ぐと、此岸に到達しました。 
1.5倍に拡大した上でリプレイ。(@0:35〜) 


シーン3:6/22・午後23:20(@0:46〜) 
左手前の水溜りの此岸でカエルの白く光る眼が開きました。 
左に少し動いてから静止。 
1.5倍に拡大した上でリプレイ。(@0:58〜) 


シーン4:6/22・午後23:35(@1:11〜)
左の水溜りの対岸のやや左で、カエルの白く光る眼が開きました。 
しかし、その後は動きません。 
1.5倍に拡大した上でリプレイ。(@1:25〜) 


シーン5:6/22・午後23:44(@1:37〜) 
左の水溜りの対岸のやや左で、カエルの白く光る眼がじっとしています。 
後半になると、瞬きしながら右にゆっくり移動しました。 
1.5倍に拡大した5倍速でリプレイ。(@2:08〜) 


【考察】 
両生類のカエルは変温動物ですから、本来ならいくら活発に動いてもトレイルカメラには録画されないはずです。
今回の監視映像はいずれも、風揺れや夜蛾の飛来などでトレイルカメラが誤作動した結果と思われます。 

やや遠い上に白黒の暗視動画ですから、カエルの種類を見分けられません。 
ごく普通のニホンアマガエルHyla japonica)かもしれませんし、水溜りで育ったアズマヒキガエルBufo japonicus formosus)の幼生が変態し、上陸したばかりの幼体かもしれません。 

関連記事(同じ湿地帯にある隣の水溜りで2週間前に撮影)▶ 山中の浅い泥水溜りで泳ぐアズマヒキガエル幼生の群れ 


山中の湿地帯でこうしたカエルを夜行性の野生動物やフクロウが狩りに来るのではないかと期待しているのですが、トレイルカメラでカエル狩りを一度も撮れたことがありません。 
フクロウが夜に水浴や飲水にくる水溜りはなぜか決まっていて、今回の映像では奥に少し写っています。

今回の記事を書くために調べ物をしていてChatGPTに指摘されたのですが、カエルの目が夜に光を反射して見えてもタペータムがあるとは言えないのだそうです。
カエルは発生の各段階(幼生→幼体→成体)でタペータムがないどころか、両生類はタペータムという組織が進化しなかった系統なのだそうです。

タペータムは収斂進化の好例であり、分類群ごとに組織構造・起源・反射特性が大きく異なるらしい。

 タペータム(tapetum lucidum)の定義:
網膜の後方(脈絡膜や色素上皮の深部)に存在する反射層

光が一度網膜を通過し、タペータムで反射されて再び網膜に戻る

これによって視細胞(特に桿体細胞)の光感度が増強される

これは夜行性動物の典型的な適応機構であり、暗所視力を大きく向上させます。

■ 両生類における反射構造の位置と性質
● 両生類の目では:
網膜より後方にあるタペータム様構造は存在しない(通説)

代わりに、網膜の前面側や網膜自体の中にある色素細胞やグリア細胞の配列が、光を乱反射・反射することで、目が「光って見える」ことがあります

しかしこれは、光を“増強して戻す”機構ではなく、あくまで副次的な反射

つまり、構造の位置と機能が異なるため、「タペータム」とは呼べないのです。

■ 例外的な報告の位置づけ
一部の研究(例:樹上性カエルの一部種)では、「タペータム様」構造の存在が示唆されたこともありますが、それらも:

組織的には網膜の後ろではないか、

機能的に反射増幅に寄与している証拠が乏しい

ため、正式な意味での「タペータム」とは区別されています。

なぜカエルはタペータムを持たず、暗視性能を犠牲にするような進化(網膜の手前の層で光を反射する)をしたのでしょうか? 

ChatGPTの回答は、

■ カエルにタペータムがない理由(仮説)

1. 水中生活に適応した視覚系の名残

オタマジャクシ期、カエルの多くは水中生活を送り、そこでは:


光の散乱が強く、タペータムによる再反射は逆に像の解像度を落とす可能性


反射光によって**水中の微細な粒子によるグレア(かすみ)**が生じやすい


➡ 水中視覚においては、むしろタペータムが邪魔になる可能性がある。


また、両生類の祖先は水中生活者であり、視細胞の高感度化よりも、像の明瞭性の維持を優先する視覚設計が選択されてきた可能性があります。


2. 桿体細胞(暗所視用視細胞)の高密度配置で補っている

両生類の網膜には、桿体細胞が非常に多く、高感度です。


タペータムの助けなしでも、十分な暗所視能力を備えている種もいます。


たとえば:


アカガエル属(Rana)などでは、夜間活動をしながらもタペータムなしで獲物を視認できるという実験報告があります。


タペータムによる「光の二重通過」よりも、ノイズの少ない一次通過の方が精度の高い視覚情報を得られるという観点もあります。


3. 夜行性だが夜目はそれほど必要でなかった

一部のカエルは夜間に活動しますが、完全な暗闇ではなく、薄明かりや月明かりがある環境(湿地、林縁など)を選んでいます。


そのような環境下では、タペータムを必要とするほどの光量不足ではないこともあり得ます。


4. 反射による自己露出リスク

タペータムの存在は、目が光る=捕食者に目立つというリスクを伴います。


両生類の多くは小型で捕食されやすく、夜間の視覚よりも被視認性の低下を優先する選択圧が働いた可能性があります。


5. タペータムを進化させる系統的な基盤を欠いていた可能性

タペータムは、哺乳類・爬虫類・魚類の中でも複数系統で独立に進化しています。


両生類(特にカエル)はそのような器官を形成するための細胞系・発生遺伝的基盤を持たなかった可能性があります。


いままで私が書いたカエルの記事を確認して、「カエルのタペータム」という記述があれば訂正しないといけません。 

2025/07/14

池畔のマユミ枝先に集まって次々と泡巣を作り産卵するモリアオガエル♀♂【微速度撮影#3】ニホンザルが泡巣を捕食?

 



2024年6月上旬〜中旬 

繁殖池で、岸辺に自生するマユミの枝葉にモリアオガエル♀♂(Rhacophorus arboreus)が集まって白い泡巣を次々に作り、産卵する様子をタイムラプス動画で記録しています。 
夏至(6/21)が近づき日が長くなったので、タイムラプス専用カメラのタイマー設定を午前5:30〜午後18:00に前後30分ずつ延長しました。 
1分間隔のインターバル撮影で、ちょうど一週間分(7日間)の記録です(6/7〜6/14)。 
最近は雨不足のようで、池の水量が減り、岸辺は干上がりつつあります。 
当分は雨が降らないとの週間天気予報で、心配です。 

それでは早速、撮れたタイムラプス映像を見てみましょう。 
撮影を延長した薄明薄暮の時間帯も充分明るく撮れていました。 
モリアオガエルの産卵は主に夜行われるようですが、昼間でも新しい泡巣が作られていました。 
例えば6/13午前8:00〜午後13:00の映像が分かりやすく撮れています。 

この時期、面白い事件がいくつか起きていました。 

(1)ニホンザルによるモリアオガエル泡巣の捕食?
カメラが狙っていたマユミ樹上の比較的新しい泡巣のいくつかが、動画の冒頭で突然、しかもほぼ同時に溶け落ちました。 
泡巣の内部でモリアオガエルの幼生(オタマジャクシ)が孵化してある程度育つと、雨が降る日に自然と泡巣が溶け落ち、オタマジャクシは下の池に脱出します。 
しかし、今回の泡巣が自然に溶けたにしては時期が早すぎます。 
つまり、あまりにも不自然な溶解です。 
タイムラプス動画をコマ送りでじっくり見直すと、泡巣消失の謎が解けました。 
事件が起きたのは、6/7の午後15:44〜15:57です。 
何者かがマユミの灌木を激しく揺すったりしならせたりしたせいで、泡巣が何度も水中に没していました。 
そのせいで泡巣が早く溶けてしまったようです。 

このとき、池の対岸を遊動するニホンザルMacaca fuscata fuscata)が写っていました。
山林を遊動してきた群れが池を訪れ、一部の個体が狼藉を働いたようです。
猿が木から木へと伝い歩く際に、細いマユミ灌木上の泡巣が激しく揺すられて、泡巣が壊れたり溶け落ちたりしてしまったのでしょうか?
好奇心旺盛な子ザルがモリアオガエルの泡巣を果物と誤認して興味を持ち、調べに来たのかな? 

夏の暑い日にニホンザルは池に飛び込んで水遊びをすることが知られています。
関連記事(10年前の撮影)▶ 湖で泳ぐ野生ニホンザルの群れ
今回も池畔のマユミ灌木から無邪気に池へ飛び込もうとして、泡巣を意図せずに破壊・融解してしまったのでしょうか?
しかし、干上がりかけた浅い泥沼にニホンザルが入水するとは思えません。

実は、対岸(画面左端)に自生するミヤマガマズミの灌木にもモリアオガエルの白い泡巣が産み付けられています。 





下の連続写真で示すように、別個体のニホンザルがこのミヤマガマズミ群落を訪れて、しばらく座り込んでいました。
どうやらモリアオガエル泡巣に含まれる卵やオタマジャクシを捕食したようです。
ニホンザルにとって、貴重なタンパク源になるでしょう。

ちなみに、翌日6/8には、このミヤマガマズミの枝先にモリアオガエルの新しい泡巣が産み付けられていました。 
ニホンザルが来る前の泡巣の様子。まるで白い果実のように泡巣がたわわになっている。
対岸左のミヤマガマズミにニホンザル登場。右手前のマユミ枝葉が何者かによって大きくしなり、泡巣が写ってない。

ニホンザルが対岸左のミヤマガマズミでモリアオガエルの泡巣を捕食中?

別個体のニホンザルが対岸のスギ林縁を右から左へ遊動。右手前のマユミ枝葉が何者かによって大きくしなり、泡巣が写ってない。
対岸左のミヤマガマズミからニホンザルが去る。

右手前のマユミ枝葉を何者かが激しく揺する。
ニホンザルが居なくなると、マユミ樹上の泡巣は短時間ですっかり溶け落ちていた。

その後はマユミ灌木の真下だけでなく、水面のあちこちにモリアオガエルの溶けた泡巣が浮いていました。 
風に吹かれて水面を移動したのかと思ったのですが、ニホンザルが枝を激しく揺すって泡巣を水面に浸けたことで説明できそうです。 

1分間隔のインターバル撮影では、断片的な情報しか得られません。
もし今後もニホンザルがモリアオガエルの繁殖池に来て泡巣の採食を繰り返すようなら、池畔にトレイルカメラを追加して、動画による証拠映像を撮るしかありません。





【参考文献】
ニホンザルがモリアオガエルの泡巣を捕食するなんて、私にとっては全く予想外の事件で興奮しました。
GoogleScholarで文献検索してみると、残念ながら新発見ではなく、すでに論文になっていました。
井上光興; 辻大和. 野生ニホンザル Macaca fuscata によるモリアオガエル Rhacophorus arboreus 泡巣の採食事例. 霊長類研究, 2016, 32.1: 27-30.(全文PDFをダウンロード可)

ブログで報告している人もいます。
サルが食べていたのは・・・ @秋田・青森県


外来種のアライグマがモリアオガエルの泡巣と成体を捕食した事例も別に報告されていて、この論文は要旨だけ読めました。
ICHIOKA, Yukio; HIJII, Naoki. Raccoon Predation on Foam Nests and Adults of the Forest Green Tree Frog (Zhangixalus arboreus: Rhacophoridae) in Central Japan. Current herpetology, 2021, 40.2: 129-136.
外来種のアライグマが当地で生息しているという確かな証拠映像はまだ撮れていません。

野生動物による捕食圧が高まれば、モリアオガエルも対抗策を進化させる可能性があります。
今の泡巣は白っぽくて樹上でよく目立つので、緑の色素を混ぜ込んで迷彩を施せば、保護色になりそうです。

もしかすると逆に、モリアオガエルはニホンザルに泡巣を見つけてもらいたいのかもしれません。
樹上の果実に擬態してニホンザルの気を惹いているという大胆な仮説です。
泡巣が産み付けられた木にニホンザルがよじ登ろうとしても、細い灌木のことが多いので、猿の体重を支えきれずに大きくしなり、泡巣は水没してしまいます。
泡巣の一部はニホンザルに捕食(食卵)されてしまうかもしれませんが、泡巣が溶けてオタマジャクシが水中に脱出するのをニホンザルが助けているのかもしれません。



(2)6/9午後12:20に対岸の水際をホンドタヌキNyctereutes viverrinus)らしき野生動物がうろついていました。
(3)6/12午前7:49にコガラPoecile montanus)がマユミ樹上に来ていました。 
モリアオガエルの泡巣に集まる昆虫(ハエやシリアゲムシなど)を捕食しに来たのかな? 

他にも私が見落としている事件がまだまだありそうなので、皆さんもタイムラプス動画をスロー再生して見つけたら教えてください。


2025/07/07

モリアオガエル泡巣の表面で交尾するヤマトシリアゲ春型♀♂

 



2024年6月上旬・午後14:25頃・晴れ 

山中の池畔に自生するマユミの枝葉にモリアオガエル♀♂(Rhacophorus arboreus)が産み付けた泡巣にヤマトシリアゲ♀♂(Panorpa japonica)が集まり、交尾が始まりました。 
交尾中の♀♂ペアに注目しましょう。 
♀の体表に赤いタカラダニ幼虫が2個付着しています。 
♀♂ペアは腹端の交尾器を連結したまま、歩いて泡巣の影に隠れてしまいました。 
口吻を泡巣に突き刺して食卵していた単独の♀は交尾ペア♀♂に追い払われ、慌てたように歩いて逃げました。 
交尾姿勢は反向型ではなく、斜めに重なり互いに別方向を向いています。 
左が♂で右が♀のようで、♀の腹部は明らかに太いです。 
このペアには赤いタカラダニは寄生していません。 

背側からしか撮れなかったので、交尾しながらヤマトシリアゲ♀♂が食卵しているかどうか、口器を泡巣に突き刺しているかどうか不明です。 

右の♀が交尾しながら翅を小刻みに開閉して黒い翅紋を誇示しています。 
徘徊性クモやモリアオガエルなどの天敵(捕食者)に対して威嚇・牽制するディスプレイではないかと、個人的には推測しています。 




【考察】 
シリアゲムシは求愛給餌(婚姻給餌)行動で有名で、♂は交尾する前に獲物を狩って♀にプレゼントする必要があります。 
残念ながら今回は手前の葉が邪魔で、交尾直前の求愛行動をしっかり観察できませんでした。 
今回の♂は♀にプレゼントする餌(虫の死骸など)を別途用意する必要がなかったのではないかと推測しています。 
なぜなら、モリアオガエルの卵が大量に詰まった泡巣という巨大な餌がありますから、そこで♀と出逢えばすぐに交尾させてもらえるからです。 
モリアオガエルの泡巣はタンパク質に富む巨大な栄養源ですから、♂は求愛給餌の餌を別に用意する必要がないのでしょう。 
♀にしてみれば、持ち運びできる餌よりも巨大な不動産物件をプレゼントしてくれる優秀な♂を交尾相手に選べることになります。
今回の求愛餌はあまりにも巨大すぎるので、♀を待ち伏せする間にヤマトシリアゲ♂同士で争奪戦(占有行動)になることもありませんでした。 

関連記事(12年前の撮影)▶ ヤマトシリアゲ♂同士の喧嘩(獲物の争奪戦) 

つまり、モリアオガエルの泡巣に集まったヤマトシリアゲの群れはレック(集団お見合い会場)と言えるかもしれません。
池の水面に張り出した木の枝先にモリアオガエルの泡巣がいくつも産み付けられていたのですが、その全てにヤマトシリアゲが群がっている訳ではありませんでした。
鮮度が新しい泡巣を選んでいたようです。


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