2011/02/26

ミカドトックリバチ♀の泥玉作り




2010年9月中旬

砂利の敷き詰められた神社の境内に通って来る蜂がいました。
どうやらミカドトックリバチ♀(Eumenes micado )が巣材の泥玉を集めているようです。
別な虫の観察と並行して午後の13:40〜15:25に計12回撮影した映像をまとめてみました。
個体標識していないので同一個体かどうか不明ですが、何度も繰り返し飛来しました。


毎回飛び立つと境内に隣接する雑木林の方へ一直線に泥玉を空輸するのですが、残念ながら営巣地は突き止められませんでした。


「砂を噛むような生活」というと味気ない様を表しますが、左官屋を生業としているトックリバチは淡々と(嬉々として?)大顎で地面を掘り、飲んだ水を吐き戻しながら手際よく泥玉を作ります。
邪魔な小石が泥玉に付着すると、几帳面に大顎で取り除きます。
一つの泥玉が完成して巣に戻るまでに何度か場所を変えて土を採取しています。
これは近くのカメラを警戒した行動なのかどうか不明です。
砂利の表面にこびり付いた土を刮げ取っていくこともありました。
※もしかして営巣基質が石で、親和性の高い巣材を集めているのだろうか? 砂利にこびり付いた土の方が粒が細かく巣材に適しているのだろうか。


これまで本種の泥巣を見つけたことは未だ上写真の一例しかありません(2007年7月下旬)。
石碑の文字の窪みに徳利状の小さな泥巣が作られていました。
中を暴いてみると、少量の貯食物(芋虫)が萎びていました。

【追記】
当初はろくに調べもせずにムモントックリバチと表記していたのですが、ミカドトックリバチの誤同定でした。訂正します。


ウラギンヒョウモン♀の日光浴



2008年9月下旬

ウラギンヒョウモン♀(Fabriciana adippe)だと思います。
翅の開閉を不思議な仕方で(互いに擦り合わせるように)行っていました。
ただの日光浴なのか、それとも草地での産卵行動なのか、不明です。

キボシカミキリと遊ぶ



2008年9月中旬

捕まえたキボシカミキリPsacothea hilaris hilaris)としばらく遊びました。
長い触角が立派です。
身繕い、飛び立ちのシーンも動画に撮りました。
捕まえるとキーキー♪鳴きます。

ミドリヒョウモンの三角関係



2008年9月中旬

ヒョウモンチョウのペアが連結したまま雑木林の樹冠部を飛んでいました。
もう一匹の♂に追いかけられるも、ウワミズザクラの枝先に止まり交尾を続けました。
遠目で翅の紋様が少し分かり難いですけど、写真判定でミドリヒョウモンArgynnis paphia)だと思います。
森林性のヒョウモンチョウらしい。
翅を開いている方が♂、閉じているのが♀。

ヒミズ死して屍拾うものあり(後編):ヒミズ死骸にキイロスズメバチが飛来



2008年9月中旬

死んだヒミズUrotrichus talpoides)の肉を目当てにキイロスズメバチVespa simillima xanthoptera)も繰り返し飛来しました。
キンバエは一目散に逃げ出したのに、ヨツボシモンシデムシは平気で死骸の運搬作業を続けます。
キイロスズメバチにとって、甲虫は狩りの対象にならないのだろうか。
結局、キイロスズメバチは肉団子を作ることなく飛び去りました。
新鮮な死肉ならばスズメバチも巣に持ち帰るのだろうか。


【追記】
三枝聖『虫から死亡推定時刻はわかるのか?―法昆虫学の話』によると、
スズメバチのなかまが、死体の腐敗分解で生じたアルコールに誘引されることもあるので、死体発見現場で遭遇することもまれではない。 (p51より引用)

ヒミズ死して屍拾うものあり(中編):ヒミズの死骸を運ぶヨツボシモンシデムシ



2008年9月中旬

4時間後に戻って来たらヒミズUrotrichus talpoides)の死骸が地面を動いていたので一瞬ギョッとしました。
ヨツボシモンシデムシNicrophorus quadripunctatus)の仕業でした。
死骸の下に仰向けに潜り込み、歩くように足を動かすことで重い死骸を少しずつ運びます。
数匹居るが、協調して運搬しているのだろうか?
(運ぶ方向の意思統一は?)
交尾を始める♀♂ペア(@1:50〜)や赤いダニにまみれた個体などが見られました※。

※ モンシデムシ類に専門に寄生するダニが知られており、シデムシの競合相手であるハエの卵や蛆などを食べることで双利共生しているらしい。

腐臭がするので接写するときは息を止めました。
耳を澄ますと時々ヨツボシモンシデムシがキュウキュウと鳴く声が聞こえます。
ラストは、ヨツボシモンシデムシの群れによって運ばれて行く死骸を5倍速再生の早回し映像にしてみました。(@6:24〜)
いつか動物の死骸が地中に埋葬されるまでの一部始終を微速度撮影で長時間動画に撮ってみたいものです。
また、本種は幼虫が育つまで親が世話(育児)することで有名らしい。 


後編につづく


【追記】
動物の死体は実は栄養に富んだ餌源で、ハエの幼虫(ウジ)や別の甲虫など、競争者が多く、とくにハエが卵を産むと、あっという間にウジが死体を食いつくしてしまう。死体を埋めるのは、そういう競争者から死体を隠すためである。(丸山宗利『昆虫はすごい (光文社新書)』p132より 引用)



【追記2】
ヨツボシモンシデムシの生活史を驚異の精密画で克明に描いた絵本『しでむし』の解説編p35によると
シデムシの成虫や幼虫の体には、必ずといっていいほどオレンジ色のダニがくっついています。このダニは、シデムシの体液を吸っているわけではなく、シデムシをタクシーのような移動手段として利用しているのです。ダニの狙いは死体。かれらもここで繁殖します。とても足が速く、シデムシが死体にたどりつくと、さっさと下車します。生まれたダニの子どもたちは成虫だけでなく、巣をはなれる終齢幼虫にものっかっていきます。そのままさなぎのへやへも同行、新しく羽化したシデムシの成虫は、幼なじみのダニとまた旅をはじめます。



【追記3】
小松貴『絶滅危惧の地味な虫たち (ちくま新書)』によると、
 シデムシには大ざっぱに、ただ死肉に集まって場当たり的に食い散らかすだけのヒラタシデムシ類と、死体を地中に埋めてしまうモンシデムシ類に大別される。(中略)モンシデムシ類は死体を地下にあっという間に埋めてしまうため、伝染病を媒介するハエ類の発生を大幅に抑える役割も果たしている。(p61より引用)

ヒミズ死して屍拾うものあり(前編):ヒミズ死骸に群がるキンバエ



2008年9月中旬

林道に転がっていたヒミズUrotrichus talpoides)の死骸に早速キンバエ(種名不詳)が群がっていました。


中編につづく

アザミで吸蜜するクマバチ



2008年9月中旬

ナンブアザミ?の花にキムネクマバチXylocopa appendiculata circumvolans)が訪れていました。



【追記】
岩田久二雄『自然観察者の手記3』の第6部に「アザミの花、特にトラマルハナバチ」と題した章がありました。
それを読むと、私は珍しいシーンを撮影できたことになります。
 アザミの花には(中略)短舌の代表ともいうべきクマバチまで訪れてくる。しかし彼等の短舌でアザミの花から吸蜜できるはずがないので、あるいは花頂部に露呈している花粉を集めるとか、また自分自身の栄養としてそれをたべるのが目的なのかもしれない。(中略)これら短舌の花蜂は、おそらくは花の色香に誘われて来たものの、吸蜜に失敗した上はもはや二度と訪れないのが事実であろう。いわばただ一度だけの訪花をわれわれが見とどけたというわけであろう。 (p162より引用)
(アザミの花と共生関係にある)トラマルハナバチの中舌は、(中略)体の大きさの同じくらいのクマバチの中舌長の二倍に近い。 (p163より)


ムモントックリバチ?の吸水



2008年9月中旬

ムモントックリバチらしき蜂(あまり自信無し)が水たまりで吸水していました。
警戒心が強いのか落ち着かない様子で、なかなかじっくり撮らせてもらえません。
吐き戻した水で土をこね、泥巣を作ります。

アザミを吸汁するオオヘリカメムシ



2008年9月中旬

日本最大のヘリカメムシであるオオヘリカメムシMolipteryx fuliginosa)が数匹、ナンブアザミの茎で吸汁していました。
本種は特徴的な臭気を発するらしいのですが、優しく扱ったので一発お見舞いされることはありませんでした。

ヒメギス♂同士の喧嘩



2008年9月中旬

草叢で鳴きながら食事中のヒメギス♂(Eobiana engelhardti subtropica)を見つけて撮り始めたら、もう一匹が近寄ってきました。
鳴き声に誘われた♀なのかと思いきや、これまた♂でした。
互いに激しく鳴きながら時々接近戦で蹴飛ばしたりして争います。
どう決着が付いたのか、一匹が逃げ出しました。
勝者はしつこく後を追いかけます。
縄張り争いなのかな?

オオアオイトトンボ♂



2008年9月中旬

トンボ全般に疎い私はアオイトトンボと迷いましたが、オオアオイトトンボ♂(Lestes temporalis)だと教えてもらいました。
他のイトトンボと異なり、羽を広げて止まる性質があるらしい。



【追記】
本種の繁殖行動はかなり独特で珍しい生態らしい。
夜間に盛んに産卵したり、性衝動が周期的に高まるなど。
『トンボの不思議』p64より

フクラスズメ(蛾)幼虫による威嚇行動



2008年9月中旬

フクラスズメArcte coerula)の幼虫を食草のアカソ群落で発見。
つんつん突付くと「いやいや」と激しく首を振り威嚇することで知られます。
最終手段で?抗議の脱糞までしました。

2011/02/25

チャイロスズメバチの交尾

2005年10月中旬

昔に撮った写真を発掘しました。
二匹のチャイロスズメバチVespa dybowskii)が地面で取っ組み合いしているので恐る恐る近寄ってみると、交尾を始めました。
当時の私は未だ動画で記録する習慣はなく、写真を撮るだけでした。
ハチに慣れた今ならきっともう少し大胆に近づいて結合部を接写しているでしょう。
当時は及び腰でした。
スズメバチ科のハチの交尾を巣の外で観察出来たのはこれが最初で最後(?)
まさにビギナーズラック。




アブラムシの甘露を舐めるムモンホソアシナガバチ♀



2008年9月中旬

ムモンホソアシナガバチ♀(Parapolybia indica)がマンサクの葉で休んでいました。
葉の表面で白く汚れた部分を舐めているようです。
アブラムシの甘露なのでしょうか? 
時々歩き回り、化粧し(身繕い)、飛んだりします。

庭のニホンアマガエル



2008年9月中旬

ニホンアマガエルHyla japonica)の動きは可愛い。


配電盤が気になるエントツドロバチ♀



2008年9月中旬

木の電柱に取り付けられた配電盤に蜂が下からぶつかるように飛んでいました。
エントツドロバチ♀(Orancistrocerus drewseni)かな。
泥巣は見当たらないし、一体どういう理由で興味を示したのだろう?


【追記】
民家の外壁の配電盤に営巣したエントツドロバチを後に観察しています。

産卵直後のオオカマキリ♀



2008年9月中旬

里山の尾根で見つけた褐色型オオカマキリ♀(Tenodera aridifolia)。
地上90cmの枝に産卵していました。
ここは豪雪地帯なので冬季は間違いなく卵鞘は雪に埋もれてしまうだろう※。

※ カマキリは冬の積雪量を予想して高い所に産卵するという説があります(賛否両論)。個人的には否定的です。



まだ卵鞘は真っ白の泡状で、産んだばかりのようです。
接写しても♀は逃げずギロリと睨んだだけ。
2年前に飼育個体で観察したように、産卵後は時々羽を動かします。
翅に付着した泡を剥がすためなのかな? 

ムモントックリバチの巣材堀りと定位飛行



2008年9月中旬

巣材掘りと言えば馴染みのあるスズバチより目視では遥かに小型のハチです。
山の開けた砂利道で(おそらく)同一個体のムモントックリバチ♀(Eumenes rubronotatus rubronotatus)が繰り返し飛来して、ほぼ同じ場所で土を集めていました。
丸めた泥団子を抱えて飛び立つと必ず扇状に定位飛行を行い、場所を記憶してから帰巣しました。
残念ながら泥巣の位置は突き止められませんでした。
掘り始めるまであちこち探して回ります。
警戒心が強く、近付いて接写するのは無理でした。
離陸時などは羽にあおられ砂が舞い上がります。



ヒガシニホントカゲ幼体の日光浴



2008年9月中旬

このヒガシニホントカゲPlestiodon finitimus)幼体はコンクリート土台下の茂みに棲んでいるようです。
ときどき壁を登って日を浴び体を温めます。
垂直の壁を走り回り、幅4cmの溝も軽々と跳び越えました。


ムモントックリバチ:休息と身繕い



2008年9月中旬

ノブドウに繰り返し訪花している蜂がいました。
(吸蜜シーンは撮れず。)
次に止まった時は何か小さな虫のような物を食べている気がしました。
しかし、映像をよく見直すと口髭を見間違えたようです。
「ヒゲおやじの投稿掲示板」にてムモントックリバチEumenes rubronotatus rubronotatusと教えてもらいました。



どじなキイロスズメバチ?



2008年9月中旬

山道でスズメバチが何か獲物を抱えながら辺りを飛び回っていました。
やがてオニグルミの枝先に一本足の爪先でぶら下がりました。
これから肉団子を作るのかと思いきや、脚を滑らせて落ちてしまいました。
この一見不安定な姿勢で肉団子を丸めるのはキイロスズメバチやオオスズメバチなどでよく見られる行動ですが、余りにも映像が短過ぎて種類を見分けられませんでした。

ススキアブラムシと蟻道



2008年9月中旬

ススキアブラムシだろうか。
集団でススキから吸汁していました。
アリが作った蟻道の中で生活することが多いらしい。
アリの種名は分かりません(トビイロケアリ? 自信なし)。 


《参考図鑑》 
『野外観察ハンドブック:校庭のクモ・ダニ・アブラムシ』p193


【追記】
新開孝『虫のしわざ観察ガイド—野山で見つかる食痕・産卵痕・巣 食痕・産卵痕・巣・卵』によると、
ススキの茎には、土粒や枯れ草の破片などでできた塊が見つかるが、とくに名称はない。(中略)植物についたアブラムシを覆い隠しており、アリはアブラムシから甘露を受け取る。 (p5より引用)
このテーマもいずれ撮り直さないといけません。

ナミザトウムシ



2008年9月中旬

軒下でじっとしていたザトウムシの仲間。
採寸後に巻尺でそっと突付くと動き始めました。
背中に赤いタカラダニが一匹寄生しています。

『田んぼの生きものたち:クモ』p43によると、
赤色のタカラダニは、クモの体の表面に寄生して、クモを殺すことなく養分だけを吸います。


闇クモ画像掲示板にて「マザトウムシ科スベザトウムシ亜科ナミザトウムシの仲間らしい(種までは特定できず)」と教えて頂きました。





ヒトリガ(蛾)



2008年9月中旬

山道のクズの葉で劇団ヒトリガArctia caja休んでいました。
前翅は牛みたいな模様です。
後翅の紋様もひときわ派手。
食べるな危険!という警告色なのだそうです。

木材をかじるムモントックリバチ♀



2008年9月中旬

ムモントックリバチ♀(Eumenes rubronotatus rubronotatus)が木造家屋の柱表面を齧っていました。
時々飛び立って場所を変えます。
柱の表面に齧り取った痕が残ります。
横からのアングルも撮ろうと回り込んだら逃げられました。
ドロバチ科なのに穿孔するのだろうか、あるいは巣材に木の繊維も使うのだろうか、と不思議に思いました。
「ヒゲおやじの投稿掲示板」にて質問すると、「育房を完成し徳利の口を塞ぐと、木の繊維を表面に塗りつける」のだと教えて頂きました。
どこで営巣しているのだろう? 


♪柱の傷は一昨年の~、9月x日の背比べ~

ヤマジガバチ/サトジガバチ



2008年9月中旬

山の砂利道にて撮影。
何を始めるのかと楽しみに見守っていたら(穴掘り?)、車が通り逃げられてしまいました。


ジガバチの仲間(ヤマジガバチまたはサトジガバチ)と「ヒゲおやじの投稿掲示板」にて教えてもらいました。
採集して標本を精査しないと区別は難しいのだそうです。


【追記】
♀の場合、2種は狩る獲物で区別できるそうです。
 もし、あなたのジガバチがいそいそと獲物を運んでいたら、それをよく見てほしい。細長くてずん胴のシャクトリムシであったら、ハチはサトジガバチであろう。獲物がぽってりと太っていて、脚の数が多ければ、獲物はヨトウムシやキリガの仲間であり、これを狩るのがヤマジガバチとなる。(『ファーブルが観た夢:地球生命の不思議な迷宮』p74より)



ムツバセイボウ



2008年9月中旬

憧れの蜂セイボウの仲間を初めて撮ることができました♪
とても小さくて動きも素早いので難しいのです。
まさに生きる宝石。




ムツバセイボウChrysis fasciataとご教示頂きました。
ムツバとは、腹部末端に六歯を有することにちなむらしい。(ヤマト)フタスジスズバチに寄生するそうです(外部捕食寄生蜂)。
確かにこの近くでフタスジスズバチの営巣を観察しています。
(関連記事はこちら→「葉片を巣に搬入するフタスジスズバチ♀」


何を手がかりに寄主を探し出すのだろう。
麻酔され育房内に貯められた芋虫らがケミカルなSOS信号(匂いなど)を発して、天敵を呼び寄せているとしたら凄いなぁと勝手に想像を逞しくしてみる。

ジョロウグモの交接と性的共食い



2008年9月中旬

水路沿いの鉄柵を足場としてジョロウグモNephila clavata)の網が並んでいます。
成熟した♀成体(外雌器を確認)の張った網に多数の♂(触肢の膨らみを確認)が同居していました。
一匹の♀がトンボを捕食中でよく見ると小さなα♂と交接しています。
鉄柵から身を乗り出すようにしてそっとカメラを向けるとうっかり網に触れてしまい、クモは少し逃げました。 
しばらく待つと♀は食べかけのトンボに戻って食事を再開(動画はここからスタート)。
やがてα♂も腹側から忍び寄って交接を試みます。
その後、更に2匹の♂が近寄り、ペアにちょっかいをかけ始めました。
お邪魔虫を軽く蹴飛ばしたりしていた♀が急に驚いて(?)♂を捕まえ、あっという間に食べてしまいました。
動画をコマ送りで見直すと、邪魔したβ♂はちゃっかり逃げおおせていました。
犠牲者は交接中で無防備なα♂。
まさに腹上死です。
♀はラッピングなどはせずに直接噛み付きました。
共食い中に残りの♂が♀に近付こうとするも交接姿勢には至りませんでした。
食べ残しの♂歩脚だけが網に残されました。




今回の共食いはなんとなく事故(アクシデント)のような気もしますが、もしライバル♂(恋敵)を殺すために意図的に邪魔(♀を挑発)したのだとすると凄いなーと勝手に妄想してみる※。
※ ジョロウグモの♀は一生に一度しか交接しないらしいので(『スパイダー・ウォーズ』吉田眞 p91より)、ワンチャンスに賭ける必死な劣位♂はそのぐらいやるかも。
本によって書いてあることが違うようです。最後は自分で確かめるしかないですね。 
ジョロウグモの♂は一生に一回しか交接しません。でも♀は、ほかの♂と、2回目の交接を行うことがあります。(『網をはるクモ観察事典』p23より) 




あるいは単にα♂の前戯(求愛行動)が不十分で♀が気に入らなかったのかもしれません。 


ジョロウグモの交接もクモの共食い行動も実際に観察するのは初めてでした。
今回α♂との交接(移精)の成否はよく分かりませんでした。レンズの倍率不足と横からのアングルが確保できなかったためです。
正常例も見てみないといけません。
今度は♂の求愛行動にも注目したいです。


名著『カラー自然シリーズ:ジョロウグモ』(偕成社)によれば、交接はうまくいくと数時間続くらしい。


ジョロウグモの♀の網には複数の♂がいることが多い。網をはさんで♀と向き合う位置にいる♂がふつういちばん大きく、交尾の優先権をもっている。網の周辺部にいる♂はまったく交尾できないわけではないが、確率は低い。(『日本動物大百科8昆虫Ⅰ』p18より)


ジョロウグモの♂の80%近くが、♀の脱皮の時に、結婚のための交接を行います。のこりの20%は、♀がえさをたべて油断しているときをねらって交接します。こうしたときをえらぶのは、不用意に♀に近づくと、♂だって捕らえられ、たべられてしまうからです。そのために♂はしばらく巣にとどまり交接後ガードを行う。(『網をはるクモ観察事典』p22より)

ツヤクロスズメバチの巣材集め



2008年9月中旬

山道の道標を齧っていたハチ。

腹部第一節の上縁に一対の白色紋があったのでツヤクロスズメバチ♀(Vespula rufa)と判明。

離陸直後に場所を記憶する定位飛行を行ったように見えたので、また戻って来るかと期待しました。
30分以上待ち構えたのですが空振りに終わりました。





2011/02/24

ニホンザルの群れ@車道



2010年5月上旬

山道を登っていたら野生ニホンザルMacaca fuscataの群れに遭遇しました。
各々が採餌しながらゆっくりと移動しています。
子供のサルが遊んでいる様子は可愛いですね。
後半はどの個体の行動を記録すれば良いか目移りしてしまいました。
随分と人馴れした群れのようで、至近距離から撮らせてくれました。




どんなに可愛くても、決して野生動物に餌を与えてはいけません。
猿害で辛酸を舐める地元住民に思いを馳せましょう。

トリノフンダマシ♀(蜘蛛)と卵嚢



2008年9月上旬

道端のハルジオンに褐色で丸い卵嚢がぶら下がっているのを発見。
下から葉裏をそっと覗いてみると案の定、トリノフンダマシ♀(Cyrtarachne bufo)が隠れていました。
産んだ卵嚢を守っているのだろうか。
隣の茎にももう一つ、同様の卵嚢が風に揺れていました。

カンタン♂の美声♪



2008年9月中旬

美声に感嘆。
♪ルルルルルルル。
カンタンOecanthus longicaudaはその美しい声から「鳴く虫の女王」と呼ばれることがあるそうです(鳴くのは♂ですけど)。
再び鳴き出すのを期待したものの、待てど暮らせどその気配がありません。
歩き回りススキの葉を食べているように見えますが、映像でははっきりしません。
一時的に捕獲して腹板が黒色であることを確認しました。


【追記】
矢島稔『観察の記録六〇年: 秘蔵写真が語る自然のふしぎ‎』(2014年)によれば、

カンタンという虫は、つい先日まではコオロギ科だったが、今はカンタン科に変更された。生物の分類というものは、固定しているわけではなく、そのときのその分野を担当する研究者のセンスで決められることが多い。コオロギ科と言っていたときには、体の各部位の形を比較して、カンタンの頭は他のコオロギと同じで、特に変わったところはないというのが同類とした理由だった。しかし、現在の研究者は、次のように言う。カンタンは頭全体が前を向き、口が先に出ている。口が下についていないのはコオロギとの大きな違いだから、科を変えたほうが良い。 (p146-147より引用)

しかしwikipediaでは日本語版も英語版もコオロギ科のままでした。
生物の分類で所属する科が定まらないのは困りますが、下線部にも書いてある通り、素人があまり深く思い悩んでも仕方が無いのです。


カンタン♂には、発音のためのヤスリが左前翅の翅脈の裏にある。拡大すると、丸みのあるコッペパン様の形をしている。この形のために、まろやかで耳にやさしい音を奏で、人に好まれる癒やしの効果があるのではないだろうか。しかも、高低のない定間隔の音だ。オシログラムは、1秒間に10回、3つの音が1つの束になっていることを、ソナグラムに、パワースペクトルは、最も高い音が3kHzであることを示す。これは鳴く虫の中では最も低い。 (同書p150-151より引用)
次の機会があれば、自分でもカンタン♂の鳴き声を声紋解析してみるつもりです。


イツホシアカマダラクサカゲロウ幼虫の塵拾い



2008年9月中旬

採集したイツホシアカマダラクサカゲロウDichochrysa cognatellus幼虫の蓑をピンセットで突付いたら背中の塵はあっさりバラバラになりました。
裸にされると慌てて塵を探して歩き、一つずつ大顎で拾い集め背中に乗せていきます。
ほどなくして偽装完了。
アブラムシなどを捕食して育つそうなので、いつか飼育してみたいものです。
(翌年の観察記録はこちら → 「アブラムシを狩るフタモンクサカゲロウ幼虫」






イツホシアカマダラクサカゲロウ幼虫の蓑虫式カモフラージュ



2008年9月上旬

オニグルミの葉の上で動き回る謎の蓑虫様物体。
てっきり蓑虫(蛾の幼虫)の一種かと思いきや、採集して持ち帰るとクサカゲロウの仲間の幼虫と判明。
イツホシアカマダラクサカゲロウDichochrysa cognatellusの幼虫だと教えて頂きました。
続編の記事も是非ご覧下さい。→「イツホシアカマダラクサカゲロウ幼虫の塵拾い

アシグロツユムシ♂



2008年9月上旬

潅木の葉の上に居たアシグロツユムシ♂(Phaneroptera nigroantennata)。
休息中に時々翅を小刻みに震わせたのですが、この虫から鳴き声は聞き取れませんでした。
(近くでチッチゼミが鳴いています。)
歩き出しても動きがとても緩慢。
午後の陽射しに照らされた影絵も美しい。


ゴマフボクトウ(蛾)の幼虫



2008年9月上旬

見たことも無い変てこな毛虫が林縁の砂利道をモゾモゾ歩いていました。
いかにも頑強な口器が印象的。
突付いて刺激するとしばらく擬死します。
「不明幼虫の問い合わせのための画像掲示板」で質問したところ、ゴマフボクトウZeuzera multistrigata leuconota)の幼虫であると教えて頂きました。
樹に穿孔して暮らすらしい。
じっくり腰を据えて行き先を追跡すればよかった。

【追記】
ボクトウガの生態を紹介した本『樹液をめぐる昆虫たち (わたしの昆虫記)』によると、
・樹液が出てくる場所にボクトウガの幼虫がかくれていて、樹液に集まってくる昆虫の中から、体のやわらかい種類を得団で捕食している。(p115) 
・ボクトウガの幼虫は午後8時をすぎたころからあるきだす。(p116) 
・採集した幼虫を飼育下で成虫まで羽化させることが可能。雑食性である幼虫の餌はミールワームと、樹液代わりの昆虫ゼリー。(p122-126)







チッチゼミ♂の鳴き声♪



2008年9月上旬

林道でチッチッチッチッ♪と鳴いている虫の正体が気になりました。
セミに疎い私は、てっきりのキリギリス類の鳴き声かと思いました。
見上げるとコナラ?の葉裏に小さなセミのシルエットが見えました。
カメラを持った腕を伸ばし背伸びして撮ったものの、背側のアングルを確保できませんでした。
鳴き声から判断してチッチゼミ♂(Kosemia radiator )だと思います。
日本本土に産するセミの中では最小で、日本特産種らしい。

コブシ樹上で採餌するスズメ(野鳥)の群れ



2008年9月上旬

コブシの樹上で採餌するスズメPasser montanus)の群れ。
小さな虫でも啄ばんでいるのでしょう。

ニホンカナヘビ幼体



2008年9月上旬

ニホンカナヘビTakydromus tachydromoides)の幼体です。
壁をぺたぺた歩きます。


卵嚢と幼体を持ち歩くハリゲコモリグモ♀(蜘蛛)



2008年9月上旬

ハリゲコモリグモの仲間でしょうか(種名不詳)。
♀が一部孵化した卵嚢を持ち歩いていました。
幼体も背負って子守りを続けています。
コモリグモ類の幼体は自力では卵嚢の外に脱出できず、母親が外から食い破るそうです。


葉片を巣に搬入するフタスジスズバチ♀



2008年9月上旬

板壁の隙間(5mm)に何か緑の物体をせっせと搬入してる蜂がいました。
青虫狩りかと思いきや、細長い葉片でした。
「ヒゲおやじの投稿掲示板」で質問したところ、フタスジスズバチヤマトフタスジスズバチDiscoelius japonicus)と教えてもらいました。
蛾の幼虫を狩って貯食するドロバチ科の蜂だそうです。
初めて目にする光景に静かな感動を覚えました。
フタスジスズバチは日本産ドロバチ類の中で、葉片を用いて巣室を仕切る唯一の種です。 
何の葉か不明ですが、葉縁に鋸歯がありました。
葉の切り口は整っていません(無頓着)。
育房間の詰め物に使うそうです。
離巣から帰巣までは毎回約2分。
おそらく決まった場所から葉を切り取ってくるのだろう。
巣内での作業時間はまちまちです。
板壁の裏がどうなっているか、巣の様子を覗いてみたいものです。
ファイバースコープが欲しい…。


※ 竹筒トラップを仕掛けておけば巣作りを容易に観察できるらしい。





シマヘビ!



2008年9月上旬

道端で見つけたシマヘビElaphe quadrivirgata)。
枯葉の上では保護色となっています。
ゆるゆると草叢を蛇行移動し、こちらを警戒して鎌首をもたげました。
舌をちろちろ出し入れしています。
なかなか魅力的なポートレートが撮れたと思います♪

2011/02/23

巣柄を補強するキアシナガバチ創設女王




2010年8月中旬

軒下に二巣並行営巣したキアシナガバチPolistes rothneyi)の定点観察記録。
水色で個体標識した創設女王がサテライト巣S10で巣柄を補強していました。
念入りに唾液を塗布しています。
口元の様子が見えるアングルを確保できず、もどかしい。

ワーカー(働き蜂)が増えても巣柄補強は創設女王の仕事なのだろうか。


2巣の距離は約30cm


この日は一週間ぶりの定点観察で、見ない間に♂が羽化していました。
在巣の成虫数が多過ぎて育房や成虫の数を数えるのは無理でした。
マーキングした蜂の中で、W黄もサテライト巣S10に居たことを確認しています。
他の蜂の観察で忙しくなり、とてもキアシナガバチまで手が回らなくなってしまいました。



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