2024/02/14

棚網で捕らえたニホンミツバチ♀を住居に運んで捕食するクサグモ(蜘蛛)

 

2023年6月上旬・午前10:00頃・晴れ 

家屋の外壁をイワガラミという蔓植物で壁面緑化してあります。 
初夏に白い花が咲くと、ニホンミツバチApis cerana japonica)のワーカー♀が採餌のために訪花します。 

関連記事(7年前の撮影@山林)▶ イワガラミの花で採餌するニホンミツバチ♀ 


室内から窓の外を覗くと、イワガラミにクサグモAgelena silvatica)が張り巡らせた棚網にニホンミツバチ♀が捉えられ、逃れようと必死に暴れていました。 
私が急いでカメラを取りに行って動画撮影を始めたときには、住居から出てきたクサグモの毒牙に噛まれてミツバチはもうおとなしくなっていました。 

クサグモが住居から出てきてミツバチに噛み付いて毒液注入・制圧。 獲物に毒が回るまで、クサグモは一旦住居に戻った。 しばらくすると獲物を取りに戻る。 ミツバチの足の先が非粘着性の網目の細かい棚網に引っかかっていて、運ぶのに苦労している。 ようやく住居の中に搬入。 じっくり体外消化を開始。 獲物を貯食している? 棚網上で噛み付かれた獲物は毒液が回って暴れない。 


ニホンミツバチ♀は毒針を持つのに、クサグモとの決闘で自分の身を守れなかったようです。 
よく見ると、ニホンミツバチ♀の触角がかすかに動いています。(「虫の息」状態) 
クサグモは獲物の腹背に噛み付いているようですが、口元の毒牙が見えません。 
麻痺したニホンミツバチ♀が毒針を伸ばしているかどうかも、不明です。 
噛み付いている途中でクサグモは歩脚を動かして棚網上で踏ん張り、体勢を安定させました。(@1:03〜) 

獲物を離した後も、しばらく獲物にあちこち触れながら留まっています。(@1:30〜) 
次にクサグモは獲物をラッピングするかと思いきや、そのまま獲物から離れて棚網上をうろつき始めました。(@2:27〜) 
画面の下部には何かが棚網上に残されています。 
食べかけの獲物かと私は思ったのですが、よく見ると植物由来の異物(落花?)のようです。 
捕らえたニホンミツバチ♀をその場に残したまま、クサグモは窓枠の近くにある筒状の住居に戻りました。(@2:50〜) 
歩脚で棚網を引き締める動きをしたのは、次の獲物がかかった時に振動を感知できるよう準備しているのでしょう。(待ち伏せによる狩り) 

1分20秒後、管状住居内で休んでいたクサグモが外に出て来ました。 
棚網に引っかかった異物を調べています。 
棚網の構造上、異物を除去したくても簡単にはできないのかもしれません。 
先程捕らえたニホンミツバチ♀の居場所を探るために、歩脚で棚網を引き締めました。 
視覚ではなく棚網の糸に伝わる振動覚によって、獲物の位置を正確に定位するということがよく分かります。 

ミツバチに噛み付いた後で毒液が完全に回るのを今まで待っていたようです。 
獲物に絡みついた非粘性の糸を噛み切ってから、棚網から強引に引き剥がそうとしても、引っかかってなかなか動かません。 
(手際の悪さが幼体の証かもしれません。) 
ようやく獲物を棚網から引き剥がすと、その部分が破れて穴が開きました。 
獲物を咥えて住居に向かって引きずるように運び始めたものの、途中で何度も棚網に引っかかり、運搬に苦労しています。 

突然、バーン♪という銃声のような音が辺りに響き渡りました。(@5:59〜) 
近所で大工作業をしていた職人が金属パイプか何かをうっかり落としたようです。 
その瞬間にクサグモは反射的に獲物からパッと離れました。 
造網性のクモにとって聴覚と振動覚は同じですから、衝撃音を聞いて身の危険を感じたのでしょう。 
警戒を解くと、クサグモは慎重に獲物を取りに戻りました。 

獲物の向きを変えて抱き合うように持ち上げると、蜂の足先が棚網に引っかからず楽に運べるようになりました。 
ようやく管状住居に獲物を搬入できました。(@6:35〜) 

撮影アングルを変えると、管状住居内にクサグモのシルエットが見えるようになりました。
獲物のニホンミツバチ♀に軽く触れながら、その周りをグルグル回っています。 
おそらく、糸を張り巡らせて獲物を住居内に軽く固定しているのでしょう。 
なぜか細いトンネルをくぐって反対側の出口に行ってから戻って来ました。 
何度か獲物を抱えるように持ち上げています。 
あまり空腹ではないらしく、獲物に噛み付いて体外消化を始めようとしません。 
ところで、採餌直後のミツバチを体外消化したら、イワガラミの花蜜由来の果糖や花粉がクサグモの吸胃から検出されるでしょうか? 

管状住居内に謎の微小な昆虫が迷い込んでいるのが気になりました。 
クサグモにどんどん接近する様子は、なんとも思わせぶりです。 
棚網上を自由に歩けるのは不思議で、何か対策してるはずです。 
もしかして寄生蜂♀が寄主を求めて積極的に侵入したのかな? 
しかし、クサグモの仲間に寄生産卵する専門家であるニッコウクモヒメバチ♀とは大きさも体型も全く違います。 



どうやら、ハエが迷い込んで逃げられなくなっただけのようです。 
クサグモの食べ残しに誘引されたとしたら面白い生態ですけど、動画撮影中の私は気づいておらず、じっくり調べていません。 

時期的にクサグモは未だ成体ではなく、幼体または亜成体だと思うのですが、真面目に検討するには採集しないといけません。 
少なくとも、触肢の発達した成体♂ではありませんでした。 
クサグモの幼体なら頭胸部の色が赤く、腹部が黒光りしているはずです。
(発生発達ステージの問題はともかく、コクサグモと見分ける頭胸部の斑紋をしっかり撮れませんでした。)


※ 動画の後半は編集時に自動色調補正を施しています。 
雪国(寒冷地)に特有の二重窓を通して室内から撮影したので、画面全体がやや不鮮明になっています。 


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