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2024/02/26

梅雨の深夜に幼獣2頭を外に連れ出すニホンアナグマ♀【トレイルカメラ:暗視映像】

 



2023年6月中旬 

シーン1:6/13・午前3:38・雨天・気温20℃(@0:00〜) 
雨が降りしきる深夜未明にニホンアナグマ♀(Meles anakuma)が巣外から手前の巣穴Lに入ると、2頭の幼獣を外に連れ出しました。 
そのまま巣口Lで幼獣たちの毛繕いをしてやっています。 
残る2頭の幼獣は巣内Lでおとなしく寝ているのでしょう。


シーン2:6/13・午前3:40・(@0:51〜) 
巣外で♀が身震いしたり地面を掘ってミミズなどの餌を探したりしている間に、幼獣2頭が自力でアクセストレンチを登ってきます。 
出迎えた♀は幼獣を咥えたり前足で転がしたりして、手元に引き寄せ、排泄物で汚れた尻の辺りを重点的に舐めてやります。 


シーン3:6/13・午前3:42・(@1:51〜) 
♀が幼獣を誘導して少しずつ右へ移動します。 
その途中で♀が幼獣の上に軽く座って尻を擦りつけ、匂い付けしたようです。(アロマーキング@2:12) 
♀は林床の地面や落葉の匂いを嗅ぎ回り、自分の食べる餌を探しているようです。 


シーン4:6/13・午前3:42・(@2:51〜) 
別アングルに設置した旧機種のトレイルカメラによる広角の映像で同じシーンを振り返ります。 
後半♀は幼獣を連れて左へ探餌徘徊に行きました。 


シーン5:6/13・午前3:43・(@2:55〜) 
新機種トレイルカメラの映像に戻ります。 
♀が林床で探餌徘徊している間に、幼獣2頭は♀の周囲をうろついています。 
子連れなので遠出はしないで、巣口Lの周囲に留まっています。 
幼獣は空腹ではないようで、♀の乳首に吸い付くことはありませんでした。 
深夜でも気温が充分に高いので、幼獣が雨に長時間濡れても低体温症になる心配はないようです。 
むしろ水浴代わりのシャワーになって、体毛の汚れが落ちるのかもしれません。 


シーン6:6/13・午前3:44・(@3:07〜) 
♀が率先して奥の巣穴Rに入りました。 
2頭の幼獣もその後をついて行きますが、入巣Rまで見届けられませんでした。 


シーン7:6/13・午前3:44・(@3:38〜) 
別アングルの広角映像に切り替えます。 
カメラの電池が消耗していて、断片的な映像しか撮れなくなりました。 
♀が右の巣穴Rに入った後は、幼獣2頭だけが巣外に取り残されています。 


※ 動画の一部は編集時に自動色調補正を施しています。 
※ 鳴き声が聞き取れるように、動画編集時に音声を正規化して音量を強制的に上げています。 


2024/02/25

ニホンアナグマ♀に叱られてもめげずに巣口を外から掘り広げるヘルパー♂【トレイルカメラ:暗視映像】

 



2023年6月中旬・午後18:55頃・(日の入り時刻は午後19:05) 

日没直前の夕刻なのに鬱蒼とした二次林の中はもうすっかり暗くなり、トレイルカメラは赤外線の暗視モードで起動しました。 
右側の巣口Rは実は更に左右2つの入口(RrとRl)に別れています。 

ニホンアナグマMeles anakuma)のヘルパー♂が巣外に出て、右側の巣口Rrを前脚で掘り広げていました。 
ところが、穴掘り作業中に巣穴Rlの中から母親♀が吠えながら飛び出してきて、ヘルパー♂を撃退してしまいました。 
母親から(理不尽に)ガミガミ叱られたヘルパー♂(1歳仔の息子♂)はすごすごと林縁広場に戻って座り、巣口Rlの♀と互いに見つめ合っています。 
♀も巣外に飛び出してヘルパー♂を遠くまで追い払うほど怒ってはいないようです。 

重労働の穴掘り作業はヘルパー♂が分担するというのが定説なので、とても意外な展開でした。 
ヘルパー♂を危険な侵入者(テンやキツネなどの天敵)と誤認したのでしょうか? 
単に♀は寝起きで機嫌が悪かったのかな?
近くの田畑で昼間ずっと農作業しているトラクター?の騒音や振動が営巣地(セット)まで響いているのがストレスなのかもしれません。 

♀が巣穴Rlに引っ込むと、ヘルパー♂は懲りずに巣口Rrの拡張工事を再開しました。 
左右の前脚を交互に使って後ろに土を掻き出しながら後退するので、結果的にアクセストレンチ(傾斜のついた溝と排土の小山)が形成されます。 

穴掘り作業を止めたヘルパー♂は、二次林の中へゆっくり入って行きました。 
おそらく疲れて空腹になり、採食に出かけたようです。 

※ 登場したアナグマ2頭の性別は、外見の特徴からではなく、行動から推定しました。 
※ 動画編集時に自動色調補正を施しています。


この営巣地は♀が毎年子育てする場所です。
4頭の幼獣が順調に育つと子供部屋や巣口が狭くなるのでしょう。
子育てで忙しい♀がヘルパー♂に掘り広げてもらいたかったのは、そっちの穴(Rr)ではなかったのかもしれません。
ヘルパー♂の仕事ぶりに♀が不満を持ったとして、巣穴の拡張プランをヘルパー♂に細かく具体的に指示するなんてことはあるのでしょうか?
アナグマにそんな高度なコミュニケーション能力があるとは思えません。
(♀が自ら手本を示すしかない気がします。)
ヘルパーを務めるのは1歳仔(性成熟する前の若い♂)ですから、♀より腕力は多少あっても造巣経験が浅いままでヘルパーを卒業(巣立ち)してしまいます。
翌年は1歳下の弟が次のヘルパーを務めることになります。
代々の若いヘルパー♂たちが気分任せで行きあたりばったりに(または本能に従って)穴を掘るだけで、 うまいこと造巣できるのが不思議です。


2024/02/24

巣外で幼獣の世話をするニホンアナグマ♀:6/12一夜の育児行動【トレイルカメラ:暗視映像】

 



2023年6月中旬 

ニホンアナグマMeles anakuma)の母親♀がとある一夜(6/12)に巣外で幼獣4頭の世話をする様子をまとめました。 
巣外での授乳シーンは既に別の動画にまとめたので、それ以外の育児行動です。(対他毛繕いなど) 
新旧のトレイルカメラ2台で別アングルから営巣地(セット)を監視しています。

母親♀は幼獣の首根っこを咥えて1頭ずつ巣外に引きずり出すと、排泄物(幼獣の糞尿)で汚れた毛皮を丁寧に舐めてやります。 
幼獣は未だ巣外で排泄できないので、下の世話は母親♀の仕事です。 

巣穴付近で幼獣を遊ばせている間に、♀は自分の痒い体を掻いたり毛繕いしたりしています。 
複数の幼獣同士でくんずほぐれつしている時などに、幼獣の鳴き声がかすかに聞こえるときがあります。 

幼獣全員を巣内に戻してから、♀は独りで巣穴を離れて外出します。 
縄張りを巡回して採餌するのでしょう。
その間、幼獣は巣内でおとなしく留守番している(寝ている?)ことに感心します。 
幼獣だけで勝手に巣外に出てくることはありません。

♀はなぜか幼獣を3+1頭の2組に分けて育児しているようです。 
授乳や育児の負担を軽減するためにそうしているのか、幼獣1頭の体調が悪くて巣内で寝ているのか、不明です。 
幼獣の性別によって2群に分けて育児しているのだとしたら面白いのですが、私にはとても見分けられません。
例えばヘルパー候補の♂を幼獣の時期から選んで他の兄弟姉妹とは別に育てている(帝王学?を教えている)としたら、面白い話です。

アナグマは主に夜行性で、明るい昼間は巣内で寝ています。 
日が暮れると活動を始め、明け方まで断続的に巣外で過ごします。 

ヘルパー♂の存在感が薄くて、何をしているのか不明です。 
(観察歴が浅い私は、アナグマの個体識別にいまいち自信がありません…。) 
この時期の母親♀は乳首の有無ではっきり見分けられます。


※ 動画の一部は編集時に自動色調補正を施しています。 
※ 鳴き声が聞き取れるように、動画編集時に音声を正規化して音量を強制的に上げています。 


2024/02/23

巣外のアクセストレンチに排尿するニホンアナグマ♀【トレイルカメラ:暗視映像】

 



2023年6月中旬・午後23:48・気温20℃ 

夜遅くにニホンアナグマ♀(Meles anakuma)が巣外に独りで座って毛繕いしていました。 
自分の乳首を舐めてきれいにしています。 

♀は立ち上がって左に少し移動すると、手前の巣穴Lから伸びるアクセストレンチに跨りました。 
そのまま腰を軽く屈んで排尿し始めたので、衝撃を受けるほど驚きました。 
音量を上げても放尿音は聞き取れませんでした。 
暗視カメラに対して後ろ向きですが、尿道口から放出される尿に赤外線が反射して白く光って見えます。 
乾いた地面がアナグマの尿で黒く濡れ、その範囲がみるみるうちに広がります。 
傾斜のついたアクセストレンチを伝って小便が巣内に流れ込んでいます。 
それを見てアナグマ♀は「しまった!」と後悔したかどうか、アナグマの気持ちは分かりません。
少なくとも、ここで排尿したのは最初で最後でした。
我々ヒトの衛生感覚では理解し難く愚行としか思えないのですが、営巣地のマーキング(匂い付け)も兼ねているのでしょうか? 
ヨチヨチ歩きの幼獣たちが巣外で迷子にならないように、アクセストレンチに念入りに匂い付けしたのかな?
マーキングなら少量の尿で充分なのに、今回は相当な量を一気に排泄しました。
子育てで忙しいアナグマ♀は、巣穴から離れたところ(林内など)に行って排尿する暇もないのでしょうか? 
用を足してすっきりした♀は、手前の巣穴Lに戻りました。 

別アングルに設置したトレイルカメラによる広角映像でもアナグマの放尿シーンが撮れていました。 
手前に自生するマルバゴマキ灌木が邪魔でよく見えないのが残念です。 

その後、アナグマはアクセストレンチを掘る拡張工事を始めませんでした。 (巣外で幼獣に授乳を開始
したがって、アクセストレンチの土を柔らかくして掘りやすくするために放尿したという可能性は否定できます。

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2024/02/22

育児に疲れて深夜に巣外で独り横になって休むニホンアナグマ♀【トレイルカメラ:暗視映像】

 



2023年6月中旬・午前3:45頃 

深夜未明にニホンアナグマMeles anakuma)成獣が単独で巣外の林縁で休んでいます。 
横臥したまま体を掻きました。 
目を閉じたり開けたりしているので、横臥でうつらうつらと居眠りしているようです。 
動きに乏しいので、一部は5倍速の早回し映像でご覧ください。 

下腹部に陰茎がちらっと見えたような気がしたのでヘルパー♂かと思ったのですが、左右の目の大きさが異なる(右目<左目)上に、腹面に乳首が見えることから、♀のようです。 
(右手前に生えた灌木が邪魔で、しっかり観察できません…。) 
幼獣4頭の育児でお疲れの母親♀が巣外でしばし休憩しているのでしょう。 

※ トレイルカメラの電池が消耗していて、細切れの映像しか撮れなくなりました。
それでもアナグマが身動きする度に健気に起動して、短時間ながらも録画しようとします。


2024/02/21

ニホンアナグマ母子が巣外で過ごす6/11一夜の行動【トレイルカメラ:暗視映像】

 



2023年6月中旬 

とある一夜(東北地方南部で梅雨入りした6/11)にニホンアナグマMeles anakuma)の営巣地(セット)で撮影された母子の行動をまとめてみました。 
この夜の授乳シーンなどはすでに別の動画にまとめました。 
2台のトレイルカメラで別アングルから監視すると、互いに補完し合ってアナグマの行動が良く理解できるようになります。 


シーン1・6/11・午前1:52・気温18℃(@0:00〜) 
手前の巣口Lから伸びるアクセストレンチに座った母親♀の方へ幼獣3頭がよちよちと登って行きます。 
♀は幼獣の毛皮を甘噛みしたり舐めたりしてきれいにしてやります。(対他毛繕い) 
1頭の幼獣が自分で身震いしました。 


シーン2・6/11・午前1:52・(@1:00〜) 
別アングルで設置した旧機種のトレイルカメラで撮れた広角映像に切り替えて、同じシーンを振り返ります。 
左の巣口Lから3頭の幼獣が次々に登って行き、♀の元へ行きました。 


シーン3・6/11・午前2:02・(@1:12〜) 
♀が先に入巣Lした後で、取り残された2頭の幼獣が覚束ない足取りでアクセストレンチを下りていきます。 
1匹が横転して斜面の溝を巣口Lにずり落ちました。 
幼獣の安全面でもアクセストレンチは上手いこと出来ていると感心しました。 


シーン4・6/11・午前2:05・(@1:33〜) 
単独で出巣Lした成獣が巣口Lで身震いしてからノソノソと歩いて左上奥の二次林に入って行きました。 
この個体は、♀ではなくヘルパー♂だったようです。 


シーン5・6/11・午前2:05・(@1:51〜) 
ヘルパー♂が採餌に出かける様子を別アングルの広角映像でご覧ください。 


シーン6・6/11・午前2:08・(@1:58〜) 
出巣Lした♀(右目<左目;乳房あり)が巣口Lで身震いしてからぐるっと回って巣口Rを点検。 
左上奥の二次林へ向かいました。 


シーン6・6/11・午前2:08・(@2:45〜) 
別アングルの広角映像。 


シーン7・6/11・午前2:14・(@2:52〜) 
成獣1頭が帰巣Lしました。 
カメラの起動が遅れて、どちらの個体か見分けられません。 


シーン8・6/11・午前2:15・(@3:00〜) 
巣口Lに座っていた♀が左の巣穴Lに入る際に、巣口Lに居た幼獣とすれ違いました。 


シーン9・6/11・午前2:21・(@3:11〜) 
出巣Lした♀が身震いしてから座り、自分の痒い首筋を右後足で掻きました。 
ノソノソ歩いて奥の巣穴Rへ入りました。 


シーン10・6/11・午前2:21・(@3:47〜) 
別アングルの広角映像に切り替えます。 


シーン11・6/11・午前2:36・(@3:58〜) 
幼獣4頭の引っ越し(L➔R)を無事に済ませた後、♀が手前の巣穴Lに戻ってきました。 
幼獣が残っていないことを確かめると、再び外に出てきました。 
広場をぐるっと回ってから入巣R。 


シーン12・6/11・午前2:36・(@4:46〜) 
別アングルの広角映像で振り返ります。 
♀(右目<左目)が入巣Rするまでしっかり見届けることができました。 


シーン13・6/11・午前3:11・気温21℃(@5:05〜) 
巣外で仰向けになった♀が毛繕いしたり痒い体をゴシゴシ掻いたりしています。 
腹面に乳首が見えます。 
最後は手前へ歩いて死角に消えました。 


シーン14・6/11・午前3:10(@5:53〜) 
別アングルの広角映像で振り返ります。 
最後は入巣Lせずに獣道を歩いて左に向かいました。 


シーン15・6/11・午前4:12・気温18℃(@6:04〜) 
外出から戻ってきた♀が身震いしてから入巣R。 


シーン16・6/11・午前4:12(@6:20〜) 
別アングルの広角映像で振り返ります。 


シーン17・6/11・午後19:03・気温18℃(@6:27〜) 
日中は巣内で寝て、すっかり日が暮れた晩に活動を再開します。 
巣外でぷるぷると身震いしてから入巣R。 


シーン18・6/11・午後19:02・気温18℃(@6:38〜) 
別アングルの広角映像で振り返ります。 


シーン19・6/11・午後19:44・気温18℃(@6:45〜) 
♀が謎の外敵を追い払った直後、巣口Rに戻って幼獣3頭に対他毛繕いしてやっています。 


シーン20・6/11・午後19:46・気温18℃(@6:57〜) 
計4頭の幼獣が巣口Rに全員揃っています。 
♀は営巣地(セット)をうろつき始めました。 
巣口LRの中間地点に座って自分の体を掻いてから、巣口Rに戻って幼獣3頭の毛皮を舐めてやります。 
巣口Rで遊ぶ幼獣たちとすれ違うように♀が入巣Rしました。 

暗視映像で見た時に♀の目の大きさが左右で異なって見える(右目<左目)のは、もしかすると斜視なのですかね? 


シーン21・6/11・午後19:51・気温18℃(@7:21〜) 
♀が右へ立ち去りました。 


シーン22・6/11・午後19:56(@7:35〜) 
巣材を集めてきた直後、出巣Rした♀が身震いしてから今度は右へ向かいます。 
しばらく戻ってこなかったので、採餌に出かけたのでしょう。 


シーン23・6/11・午後21:51・気温18℃(@7:50〜) 
アクセストレンチLに佇んでいる成獣の後ろ姿が写りました。 
毛皮が濡れているように見えるのは、気のせいでしょうか? 
外出中に夜露で濡れたのか、それとも水場や水田で水浴してきたのかな? 
身震いしてから入巣R。 


シーン24・6/11・午後21:51(@8:22〜) 
別アングルの広角映像で振り返ります。 
この映像では、毛皮が濡れているようには見えませんね。 


シーン25・6/11・午後23:14・気温17℃(@8:49〜) 
♀が身震いしてから巣口LRの中間地点に座り込みました。 
左右の後足を使って痒い体をゴシゴシ掻いてしばらくすると、大量の細かい抜け毛(フケ?)が夜風に乗って舞い、カメラに向かって飛んできます。 
♀は奥の巣穴Rへ向かいました。 


シーン26・6/11・午後23:14・(@9:49〜) 
別アングルの広角映像で振り返ります。 
体を掻いてから巣口Rに幼獣を迎えに行きました。 
このとき軽く唸るように鳴いた♪のですが、5倍速の早回し映像に加工してしまいました。 


シーン27・6/11・午後23:16・(@10:01〜) 
小雨がぱらついています。 
幼獣1頭を巣外に連れ出していました。 
♀は体を掻いてから、幼獣を外に放置したまま、さっさと入巣Lしてしまいました。
巣口LRの中間地点に独り残された幼獣は、辺りを静かに(鳴かずに)ウロウロするばかりです。 
♀が巣口Lに顔を出したところで、録画終了。 


シーン28・6/11・午後23:16・(@11:01〜) 
別アングルの広角映像に切り替えます。 
♀が巣外に幼獣を独り短時間だけ放置するのは珍しくないことが分かってきました。 
巣L内に居る他の幼獣3頭の様子を見に行ったのでしょう。 
しばらくすると、巣外で母子が合流。 


シーン29・6/11・午後23:18・(@11:23〜) 
♀が幼獣を先導して奥の巣穴Rに入りました。 
幼獣は追いかけながら♀の乳首に吸いつこうとします。 
巣口Rで♀が幼獣を咥えて持ち上げました。 
入巣Rしたがらない幼獣に手を焼いているのかな? 


シーン30・6/11・午後23:18・(@11:50〜) 
別アングルの広角映像で振り返ります。 
最後は巣口Rに2頭の幼獣の姿が見えます。 


※ 動画の一部は編集時に自動色調補正を施しています。 


2024/02/20

晴れた夜でも雨夜でも幼獣を連れて隣の巣穴に引っ越すニホンアナグマ♀【トレイルカメラ:暗視映像】

 


2023年6月中旬

ニホンアナグマ♀♂(Meles anakuma) 

シーン1・6/11・午前2:23・(@0:00〜) 
♀が手前の巣穴Lに入り、しばらくすると後ろ向きで外に出て来ました。 
幼獣が自力で歩けるようになったと思っていたのに、久しぶりに母親♀が幼獣aを咥えて巣外に引きずり出しました。
逃げ回ろうとする幼獣を咥えるのも大変そうですし、重く育った幼獣を引きずって歩くのも重労働です。 

2つの巣口LRの中間地点に母子が座って、♀が幼獣aの毛皮を舐めてやります(対他毛繕い)。 
成獣の腹面に乳首が見えることから、母親♀と見分けられます。 
(左右の目の大きさや首筋の白斑の有無では、見る角度によって個体識別が難しいことがあります。) 


シーン2・6/11・午前2:23・(@0:46〜) 
幼獣aの搬出シーンが別アングル(広角)の旧機種トレイルカメラでも録画されていました。 
アクセストレンチはなかなかの急斜面であることが見て取れます。 
地上でしばらく毛繕いしてやってから、幼獣aの首筋を再び咥えて右側の巣穴へ運び込みました。 
1頭目の幼獣を巣穴LからRへ引っ越ししたことになります。 (L➔R)


シーン3・6/11・午前2:27・(@1:47〜) 
戻ってきた♀が手前の巣穴Lに入りました。 
前回と同じく、後退しながら2頭目の幼獣bを巣穴Lの外に連れ出します。 
首根っこの皮を噛まれた幼獣はおとなしく引きずられて運ばれます。 
今回は幼獣を地面に下ろして休憩・毛繕いしないで、一気に奥の巣穴Rへ運びました。 


シーン4・6/11・午前2:27・(@2:32〜) 
別アングルの広角映像に切り替えて同じシーンを振り返ります。 


シーン5・6/11・午前2:29・(@3:15〜) 
巣穴Lに戻ってきた♀が後ろ向きで3頭目の幼獣cを外に引きずり出しました。 
今回も奥の巣穴Rへ休憩無しで一気に運びます。 


シーン6・6/11・午前2:29・(@3:51〜) 
別アングルの広角映像に切り替えて同じシーンを振り返ります。 
幼獣cを巣穴Rに搬入した♀が再び出巣Rする様子まで録画されていました。 


シーン7・6/11・午前2:30・(@4:31〜) 
最後の幼獣dは(仲間が居なくて寂しくなって?)巣口Lで待機していました。 
迎えに来た母親♀は、外に引きずり出した幼獣dを巣口LRの中間地点で下ろして、毛皮を舐めてやります。 
幼獣dは空腹ではなかったらしく、♀の乳首に吸いつこうとしません。 
覚束ない足取りで地面を歩き回ろうとしますが、それを母親が前足で制して転がし、毛繕いしてやします。 
巣外での対他毛繕いは、1頭目と4頭目の幼獣に対してのみ行いました。 


シーン8・6/11・午前2:30・(@5:00〜) 
別アングルの広角動画に切り替えて、同じシーンを振り返ります。 
身震いしてから左の巣穴Lに戻った♀が、巣口Lから4頭目の幼獣dを外に連れ出します。 
巣口LRの中間地点で幼獣dを下ろして、時間をかけて丁寧に毛皮を舐めてやります。 


シーン9・6/11・午前2:33・(@5:46〜) 
♀が先導して右の巣穴Rに戻り、幼獣dを誘い込みます。 
幼獣dは自力で歩いて入巣Rできましたが、巣口Rを塞ぐように露出している細い木の根っこを乗り越えるのに難儀しています。 

これで計4頭の幼獣a-dの引っ越し(L➔R)が無事に完了しました。 
 幼獣全員の引っ越しが完了したかどうか、新居に連れてくるのを忘れた幼獣がいないかどうか、母親♀はどうやって知るのでしょう? 
四つ子を育てる母親は、巣穴に同居する幼獣の個体数を1から4まで数えることができるのでしょうか? 
(羊が1匹、羊が2匹、羊が3匹、…zzz) 
それとも、4頭の幼獣それぞれに固有な体臭や鳴き声で識別しているのですかね? 


シーン9からシーン10の間に、逆に巣穴RからLへ幼獣を引っ越し(R➔L)したはずなのに、なぜか撮れていません。 
地中では2つの巣穴がつながっているのではないか?という気がします。 


シーン10・6/13・午前3:50(@6:13〜) 
2日後には雨が降りしきる深夜に幼獣の引っ越し作業?を始めました。 
手前の巣穴Lに戻った♀が幼獣を外に連れ出しました。 


シーン11・6/13・午前3:48(@6:50〜) 
別アングルの広角動画に切り替えて、同じシーンを振り返ります。 
旧機種のトレイルカメラは、時刻を正確に合わせても、すぐに狂い始めてしまいます。 


シーン12・6/13・午前3:50(@7:00〜) 
2頭の幼獣を巣穴Lの外に連れ出していました。 
幼獣はケケケッ♪と小声で鳴きながら、覚束ない足取りで歩き回ります。 

♀は幼獣1頭の毛繕いをしてやってから、首筋を咥えて奥の巣穴Rへ運びます。 
その間に、もう1匹の幼獣はアクセストレンチをずるずると滑り降りて手前の巣穴Lに戻ってしまいました。 


シーン13・6/13・午前3:50(@7:49〜) 
別アングルの広角映像に切り替えて、同じシーンを振り返ります。 


シーン14・6/13・午前3:52(@7:58〜) 
左の巣穴Lに戻った♀が後ろ向きで幼獣を咥えて外に引きずり出します。 
カメラの電池が消耗してきて、断片的な暗視映像しか撮れなくなりました。 


シーン15・6/13・午前3:52(@8:07〜) 
巣口Lで待っていた幼獣を♀が咥えて外に運び出しました。 
大きく育った幼獣はとても重そうで、途中で地面に下ろして尻の辺りを舐めてやります。 
足元をうろつく幼獣に♀が跨って自分の尻を擦り付け、アロマーキング(臭腺・肛門腺による匂い付け)をしました。 
雨の降る中を幼獣は奥の巣穴Rへ自力で歩いて行きました。 


シーン16・6/13・午前3:52(@9:08〜) 
別アングルで設置したトレイルカメラの広角映像に切り替えます。 


※ 鳴き声や雨音が聞き取れるように、動画編集時に音声を正規化して音量を強制的に上げています。 
画面に表示される気温はすべて異常値です。(暗視動画の連続撮影によるカメラ本体の過熱)


我々ヒトの感覚では、雨が降る日にわざわざ乳幼児を外に連れ出す母親の気がしれません。 
幼獣が濡れて風邪を引いてしまうかもしれませんし、毛皮が泥だらけになってしまって、それをきれいに拭いてやるのも大変そうです。 
しかしアナグマ♀は雨を全く気にせず、スパルタ育児です。 
雨夜という新しい環境刺激に幼獣を早く慣らしてやりたいのでしょう。 
定期的に1頭ずつ巣外に連れ出して健康状態をチェックし、糞尿で汚れた毛皮を舐めてやる作業は雨天決行の必要があるようです。
梅雨の時期ですから、雨が止む日まで待ってられないのでしょう。

隣接する2つの巣穴の間で日によって行ったり来たり(L⇔R)引っ越しを繰り返しているようですが、ワンオペ育児の♀が4頭の幼獣を順番に漏れなく巣外に連れ出すために、引っ越しのていを取っているだけだと思います。 
実はトンネル内で2つの巣穴は連結しているのではないかと私は疑っています。
もしも梅雨の大雨で巣穴が浸水したら、幼獣を連れて行く避難先(別の巣穴)をアナグマ♀は用意しているのでしょうか?


2024/02/19

夜の営巣地に近づく野生動物に吠えかかって追い払い幼獣を守るニホンアナグマ♀【トレイルカメラ:暗視映像】

 



2023年6月中旬

シーン1・6/11・午後19:41・(@0:00〜) 
右の巣穴Rから親子で外に出てきたニホンアナグマ♀(Meles anakuma)が幼獣を跨いで追い越す際に軽く座って尻を擦り付けました。 
臭腺や肛門腺で幼獣の背中に匂い付けしているのでしょう。(アロマーキング) 

成獣が振り返ってカメラ目線になると、左右の目の大きさが異なる(右目<左目)♀だと分かります。 
♀は幼獣の毛皮を舐めてやりますが、幼獣は空腹ではないようで♀の乳首に吸いつこうとはしません。 

♀が急に身を屈めて右の方を警戒し始めました。 
幼獣をぴょんと飛び越えて右に突進すると、やがて右の林内からガガガッ、ギャギャギャッ♪と激しく吠えて威嚇する鳴き声が聞こえてきました。 
※ 鳴き声が聞き取れるように、動画編集時に音声を正規化して音量を強制的に上げています。 

アナグマの営巣地に近づいてきた他の野生動物を追い払ったのでしょう。 
♀がこれほど激しい剣幕で追い払ったということは、謎の侵入者は、ホンドタヌキやホンドギツネ、ホンドテン、イエネコなどの捕食者が候補として考えられます。 
(ヘルパー以外のアナグマ♂とニアミスしたのかもしれません。) 

巣外に取り残された幼獣は、激しい喧嘩(威嚇)の鳴き声を聞くと、争いの元から慌てて少し遠ざかり、地面に身を伏せました。(警戒のフリーズ行動) 
咄嗟に巣内Rに駆け戻って避難するだけの身体能力はまだ発達していないようです。 


シーン2・6/11・午後19:43・(@1:00〜) 
約45秒後に右から♀が意気揚々と営巣地(セット)に戻って来ました。 
巣口Rで母子が無事に再会すると、♀は出迎えてくれた幼獣に対他毛繕いしてやります。 
その後は残りの幼獣3頭も巣口Rに出てきました。 
幼獣への対他毛繕いの合間に、母親♀は自分の体の痒い部分を後足で掻きました。 



これまで2回ほど、夜の巣外に単独で放置された幼獣を観察してきました。 
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もしかすると、その原因は今回のように、縄張り侵入者を撃退しに行ったから母親♀が一時的に不在だったのかもしれません。
だとすれば、ネグレクト(育児放棄)どころか幼獣を守るための行動なので、納得です。 
幼ない我が子たちを守るとなったら♀は巣穴に籠城するどころか、積極的に攻撃に転じて天敵を追い払うことが分かり、驚きました。
つまり将棋の穴熊戦法は比喩として正しくない(アナグマの実態に即していない)ようです。
まるで穴に籠もった熊のようだ、という意味の戦法らしいです。
最近ではヘルパー♂の存在感が薄くて、何をしているのか疑問になってきました。


2024/02/18

ニホンアナグマの欠伸とくしゃみ♪【トレイルカメラ:暗視映像】

 



2023年6月中旬 

ニホンアナグマMeles anakuma)が営巣地(セット)で欠伸とくしゃみをしたシーンをまとめてみました。 

シーン1・6/11・午前2:15(@0:00〜) 
アナグマ♀が身震いしてからアクセストレンチに座り込み、欠伸をしました。 
腹面に乳首が見えたので、母親♀と分かります。 

手前の巣穴Lに入るかと思いきや、幼獣を迎えに行ったようです。 
軽い唸り声♪のような鳴き声がかすかに聞こえました。 
巣口Lに1頭の幼獣の姿がちらっと写りました。 

ちなみに、6/11から東北地方南部が梅雨入り宣言しました。 


シーン2・6/16・午前4:45(@0:38〜)日の出時刻は午前4:13。 
雨が激しく降りしきる早朝に巣外に出てきたアナグマが、2つの巣口RとLを行ったり来たりしながら、交互に点検しています。 
巣口Rに顔を突っ込みながら、くしゃみをしました。(@1:13〜) 
巣口Rから立ち去る際にもくしゃみ?をしました。(@1:29〜) 
2回目は怒りの鳴き声のようにも聞こえます。 
この個体が♀なのかヘルパー♂なのか、私には見分けられませんでした。 


※ 動画の一部は編集時に自動色調補正を施しています。 
※ 鳴き声が聞き取れるように、動画編集時に音声を正規化して音量を強制的に上げています。 


余談ですが、梅雨入りして大雨が降り続くと巣内へ泥水が浸水するのではないかと心配です。 
巣内から掘り出した土を捨てるため、巣口から外に向かってアクセストレンチと呼ばれるなだらかな坂が作られています。 
大雨が降ったら、アクセストレンチから雨水が巣内にどんどん流れ込むはずです。 
せっかく集めた大量の巣材(寝床)も、雨で濡れてしまったらカビが生えたりして不衛生・不快になるでしょう。 
水浸しにならないように巣内の構造に何か工夫が施されているのでしょうか?(排水対策) 
我々ヒトが雨天時に野外でキャンプする際には、テントの周囲には必ず排水溝を掘ります。 
私がアナグマなら、例えば以下のような対策を考えます。
  • アクセストレンチに直行するような溝を巣口に掘る。
  • 巣穴のトンネルは巣口から斜め下に一旦深く掘り進めてから少し上向きに角度を変えて上がった位置に居住区を作る。
  • 本当に豪雨が降ったら巣口を中から閉じる。
 


【アフィリエイト】 

2024/02/17

夜の巣外に独り放置されたニホンアナグマの幼獣が母親を呼ぶ鳴き声♪【トレイルカメラ:暗視映像】

 



2023年6月上旬

前回の記事では、ニホンアナグマ♀(Meles anakuma) が4頭の幼獣を巣穴の外に連れ出して授乳したり対他毛繕いしたり、引率して夜の森を探索に連れて行ったりと、一夜(6/10)で盛り沢山の出来事を紹介しました。
同じ日の夜に事件が起きました。

 6/10・午後23:02
画面手前の巣口Lから伸びるアクセストレンチ上に幼獣が1頭だけ取り残されています。 
迷子の幼獣が覚束ない足取りでうろつきながらケッケッケッ♪、ケケケ…♪と断続的に鳴き続けています。
母親♀を呼んでいるのでしょう。 
4日前、夜の巣外に20分間放置された幼獣個体は全く鳴き声を発しなかったのと対照的です。 



迷子になった幼獣が鳴かないのは天敵の捕食者(キツネ、テン、フクロウなど)を呼び寄せないための適応だろうという私の推測に対して、あっさり反例が出てきてしまいました。 
この4日間で幼獣の歩行能力が格段に上がりましたが、それと同時に大声で鳴けるように成長したのでしょうか? 
幼獣の個性(寂しがり屋)なのかもしれません。
自力でなんとか歩けるはずなのに、迷子の幼獣がアクセストレンチを辿って帰巣Lすることはありませんでした。

ついさっきまで巣外で幼獣2頭に授乳していた♀は一体どこに行ったのでしょうか? 
さてはネグレクト(育児放棄)か?と心配になります。 
実はこの直後に撮れた映像では、母親が無事に合流して幼獣を舐めてやっていました。(対他毛繕い) 
その様子は、こちらのシーン7をご覧ください。 
アナグマの営巣地(セット)を2台のトレイルカメラで別のアングルから監視しているのですが、それでも撮れていない死角があって、時々やきもきさせられます。 

※ 幼獣の鳴き声が聞き取れるように、動画編集時に音声を正規化して音量を強制的に上げています。 
※ 画面に表示されている気温は異常値です。 


2024/02/16

授乳期の幼獣4頭を連れて夜の林内を遠足するニホンアナグマ♀【トレイルカメラ:暗視映像】

 



2023年6月上旬

ニホンアナグマ♀(Meles anakuma) が巣外で幼獣4頭と過ごしています。
ある一夜の様子をまとめました。
私の見る限り、ヘルパー♂は子育てに関与せず、母親♀独りで幼獣4頭の世話をしています。 
(ヘルパー♂の個体識別がしっかりできてないかもしれない、という不安が私には常につきまといます。)

シーン1:6/10・午後18:56・気温23℃・日の入り時刻は午後19:04。 
日没直前の夕方から♀が巣外活動を始めました。 
2つの巣口LRの中間地点で佇んでいます。 
身震いしてから手前の巣穴Lに入りました。 


シーン2:6/10・午後18:56(@0:18〜) 
別アングルで設置したトレイルカメラが起動したときには、なぜか暗視モードではなく自然光下での撮影になっていました。 
ほぼ真っ暗で何も見えませんが、強引に明るく加工すると、♀が巣穴Lに出入りしていました。 
巣口Lで周囲を警戒しています。 


シーン3:6/10・午後19:21・気温23℃(@0:34〜) 
♀が1頭の幼獣を巣L外のアクセストレンチに連れ出していました。 
自分で毛繕いしてから、前足で幼獣を引き寄せ、尻の辺りを舐めてやります。 
続けてもう2頭の幼獣が続々と自力で巣外に這い出てきました。 
♀が自分の体を掻くために仰向けになると、近くにいた幼獣2頭が乳首に吸い付こうと集まってきます。 


シーン4:6/10・午後19:26・気温23℃(@1:34〜) 
計4頭の幼獣が覚束ない足取りで巣外をうろついています。 
そのうち1頭の上に♀が軽く座ったのは、アロマーキング(臭腺による匂い付け)の行動でしょうか?(@1:59〜) 
ところが、別個体の幼獣が♀の股の間をくぐったときには、アロマーキングしませんでした。 


シーン5:6/10・午後19:25(@2:34〜) 
別アングルの広角映像に切り替えます。 
5倍速の早回し映像で見ると、♀は林床で餌を探しながら、幼獣を引き連れて少しずつ右奥の林縁に移動していることが分かります。 
幼獣たちを営巣地(セット)周辺の環境に少しずつ慣らしているようです。 
幼獣3頭は♀について歩くのですけど、残る1頭の幼獣が巣口Lに取り残されたままです。 
ようやく自力で♀の元へ向かいました。 


シーン6:6/10・午後19:25(@3:22〜) 
もしかすると♀は幼獣4頭を引き連れてそのまま別の巣穴へ引っ越しするのではないか?と思ったのですが、しばらくするとアナグマ母子の群れはセットに戻ってきました。 
♀は4頭の幼獣を引率して巣口Lに帰ろうとしています。 


シーン7:6/10・午後19:33・気温27℃(@3:22〜) 
別アングルの監視映像に切り替えます。 
幼獣4頭が互いにもつれ合うように遊んでいる間に、♀が後ろ向きで入巣Lしました。 
直後に巣内から幼獣を呼ぶ鳴き声を発しました。(ジェジェジェビーム♪@4:39〜) 
それを聞いたからと言って、幼獣たちはおとなしく従って自発的に帰巣する訳ではありませんでした。 


シーン8:6/10・午後19:35・(@4:46〜) 
再び巣外に出てきた♀が1頭の幼獣を捕まえて首筋を咥えると、引きずるようにアクセストレンチを後退し、強引に巣穴Lへ連れ戻しました。 
この行動は初見です。 
幼獣がもっと小さかった頃は、幼獣の首筋を咥えた♀が頭から入巣していました。 

遊び足りない幼獣3頭はまだ広場に残ったままです。 


シーン9:6/10・午後19:36・(@5:05〜) 
♀が左の巣穴Lから顔を出すと、辺りを見渡してからすぐ巣内に引っ込みました。 
カメラ目線になった時に右目が左目よりも少し小さいので、♀と分かります。 


シーン10:6/10・午後19:36・(@5:20〜) 
♀が巣口Lから顔だけだして辺りを見渡し、迷子の幼獣がいないか確認しています。 
その後は出巣Lして左に向かいます。 


シーン11:6/10・午後19:42・(@5:51〜) 
採餌のため、♀単独で二次林内を右に向かいます。 


シーン12:6/10・午後21:56・気温20℃(@5:51〜) 
採食から戻ってきた♀が巣口Lで身震いしてから入巣L。 


シーン13:6/10・午後21:55(@6:20〜) 
同じ帰巣Lシーンを別アングルの広角ショットでご覧ください。 


シーン14:6/10・午後21:57(@6:33〜) 
巣口Lに出て来た2頭の幼獣に♀が対他毛繕いしてやっています。 
そのまま一緒に入巣Lしました。 


シーン15:6/10・午後22:59(@6:44〜) 
巣穴Lから伸びるアクセストレンチに座って自分の体を掻いている♀の方へ幼獣1頭が登って行きます。 
♀が出迎えて幼獣の体を舐めてやっている間に、 次の幼獣が巣口Lから登ってきました。 


シーン16:6/10・午後23:18・気温23℃(@7:08〜) 
単独で出巣Lした♀が身震いしてから、獣道を左へ向かいました。 
その様子を別アングルの広角ショットでもご覧ください。 


※ 動画の一部は編集時に自動色調補正を施しています。 
※ 鳴き声が聞き取れるように、動画編集時に音声を正規化して音量を強制的に上げています。 


2024/02/15

巣材の落ち葉が足りず青葉も集めるニホンアナグマ♀【トレイルカメラ:暗視映像】

 



2023年6月上旬〜中旬 

ニホンアナグマ♀(Meles anakuma)が2夜連続で大量の巣材(寝床・敷きわら)を繰り返し集めてくるシーンをまとめました。
画面に表示される気温はすべて異常値です。


シーン1・6/10・午後19:38・(@0:00〜) 
晩に左の巣穴Lからアナグマ♀が外に出てきました。 
暗視動画で左右の目の大きさが異なり(右目<左目)、右の首筋に白斑があるのが、この個体の特徴です。 
この2つの特徴は、見る角度によって分かりにくいことがあります。 
授乳期の♀は腹面に乳首が目立つようになります。 

巣材集めは♀の仕事のようです。 
ヘルパー♂が巣材集めをするのは一度も見たことがありません。 

アクセストレンチを辿ってまっすぐ二次林に向かうと、木陰で立ち止まって自分の体を掻きました。 
林縁の灌木に前足を掛けながら後足で立ち上がると、高いところにある枝葉を毟り取り始めました。 
林床に落ち葉が足りなくなると、臨機応変に木の青葉(生葉)を調達するのです。 
もしかすると、生葉の方がアロマ効果や防虫効果があるのかもしれません。



シーン2・6/10・午後19:39・(@0:46〜) 
別アングルで設置したトレイルカメラにも撮れていました。 
しかしカメラの起動が遅れ、♀が後退しながら巣材を手前の巣穴Lに搬入したシーンは撮り損ねてしまいました。 

すぐにまた同じ巣穴Lから外に出てきました。 
今度は別の方角へ巣材集めに出かけます。 


シーン3・6/10・午後19:39・(@1:12〜) 
集めた巣材を前脚で掻き寄せながらアクセストレンチを後退し、最後は滑り込むように入巣Lしました。 
次に出巣Lした♀は、獣道を左に向かいます。 


シーン4・6/10・午後19:41・(@1:41〜) 
またもやカメラの起動が間に合わず、後退での巣材搬入シーンをじっくり撮れていません。
次に出巣Lした♀は、アクセストレンチから奥の二次林へ真っ直ぐ向かいます。 
途中で長い落枝をうっかり踏んでしまいました。 



シーン5・6/10・午後19:42・(@2:33〜) 
巣材を探して、夜の二次林をうろついています。 


シーン6・6/10・午後19:42・(@2:54〜) 
右奥の二次林から巣材を掻き集めてくると、後ろ向きで戻ってきました。 
今回も落ち葉ではなく、木の青葉(生葉)を枝ごと採取してきたようです。 
左の巣穴Lに巣材を運び込み、すぐにまた出巣Lしました。 
前回とは違う方角へ向かったのですが、巣材集めではなく採食に出かけたようです。 


シーン7・6/10・午後23:06・(@3:20〜) 
次の巣材搬入までだいぶ時間が開きました。 
巣穴Lから外に出てきた♀がアクセストレンチから真っ直ぐに林縁に向かうと、灌木の根本で落ち葉を掻き集め始めました。 
後ろ向きのままアクセストレンチをスルスルと戻り、落ち葉を巣穴Lに運び入れました。 

改めて出巣Lした♀は左へ向かいます。 
採食に出かけたのかな? 


シーン8・6/10・午後23:06・(@4:00〜) 
同じシーンが別アングルの監視カメラでも撮れていました。 


シーン9・6/11・午前2:03・(@4:42〜) 
日付が変わった深夜未明に、♀がまた出巣Lしました。 
アクセストレンチでちょっと座ってからすぐに立ち上がり、画面を横切って右下へ。 

しばらくすると、前脚で落葉落枝を一緒くたに掻き集めながら、後ろ向きで戻ってきました。 
落枝は巣材(寝床)として不適切だと思うのですが、わざわざ落ち葉を選り分けずに(細かいことは気にせずに)巣穴Lへ搬入します。 
せっかく集めてきた巣材の一部が、アクセストレンチに放置された長い落枝に引っかかってしまいました。 
それを前足で丹念に集め直しています。 

邪魔な落枝を取り除けばよいのに…といつも思うのですけど、アナグマは横着なのか巣口の付近に放置したままです。 
不審者の侵入を知らせる防犯効果があるのかもしれません。 


シーン10・6/11・午前2:03・(@5:31〜) 
同じシーンが別アングルの監視カメラでも広角で撮れていました。 


シーン11・6/11・午前2:07・(@6:13〜) 
数分後にも別の方角から新たに集めてきた大量の巣材を巣穴へ運び入れました。 
巣材をずるずると引きずっていたので、蔓植物の葉っぱを毟り取ってきたようです。 

今回は新しい巣材を巣口Lにも少し敷き詰めたのが、ちょっと珍しい行動です。 
巣口Lを出入りする幼獣たちがアクセストレンチから転がり落ちても大丈夫なように、クッションとして置いたのかな? 

次に出巣Lした♀は身震いしてからぐるっと回り込み、右側の巣口Rを点検しています。 
その途中で長い落枝をうっかり踏みつけてしまいました。 
巣口Lの横を通って左へ向かいます。 


シーン12・6/11・午後19:54・(@7:14〜) 
明るい日中は巣内で寝て、晩になると活動を再開します。 
♀が大量の落ち葉を前足で掻き集めながら、右の巣穴Rへ後ろ向きで運び込みました。 

しばらくして同じ巣穴Rから外に出てきた♀は、身震いしてから今度は右奥の林内へ向かいました。 


シーン13・6/11・午後19:51・(@7:54〜) 
ここだけ時系列が逆になってしまいました。 
 アナグマ♀がノソノソ歩いて画面の左下へ消えると、周囲の灌木が激しく揺れました。 
カメラの死角でアナグマ♀の姿が見えませんが、おそらく後足で立ち上がり、灌木の枝葉を巣材として採取しているようです。 
早回し映像に加工すると、立ち木の振動が分かりやすいです。 

※ 動画の一部は編集時に自動色調補正を施しています。 


アナグマは何年もかかって地中に巣穴をいくつも掘り広げ、セットを形成します。 
子育ての時期は特に大量の巣材を巣穴に運び込みます。 
巣穴を中心にあちこちに出かけては、林床の落ち葉を集めてきます。 
林床の落ち葉が枯渇すると、こんどは青葉のついた枝や蔓植物を集めてくるようになります。
アナグマが巣材として集めてくる植物の種類をきっちり同定するには、どうしても巣穴を発掘調査する必要がありそうです。

おそらく巣内には大量の腐葉土が形成されて、そこにも土壌生物やキノコなどさまざまな分解者による生態系が形成されているのではないかと予想されます。 
アナグマが掘った古い巣穴をタヌキやキツネ、イタチなどが乗っ取って再利用するそうです。 
また、アナグマは決まった場所に通って溜め糞をするので、そこにも糞虫など独自の生態系が形成されます。
このように、ニホンアナグマは(ビーバーほどではありませんが)営巣地周辺の環境をかなり改変して生態系に大きな影響を与えています。
したがって、キーストーン種と言えるのではないかと個人的に思うようになりました。 
(アナグマ・ファンの贔屓目かもしれません。)


アナグマ営巣地周辺の林床で夜な夜な餌を探し歩く野ネズミ【トレイルカメラ:暗視映像】

 



2023年6月上旬 

ニホンアナグマMeles anakuma)の営巣地を監視するトレイルカメラに野ネズミ(ノネズミ)が8夜連続で登場していました。 
林床をうろちょろ徘徊して、餌を探し歩いています。 
この時期は植物の種子や果実は落ちてないので、獲物となる虫を探しているのでしょう。 
雨が降ってない晴れた夜の探餌徘徊シーンをまとめました。 

野ネズミはときどきアナグマの巣穴LとRに出入りしています。 
アナグマと同居しているというよりも、ただの探索行動(穴があったら入りたい)だと私は考えています。 
野ネズミが巣穴に侵入しても、主のアナグマが怒って本気で追い払う様子はありませんでした。 
(巣内で遭遇したら威嚇ぐらいはしているのかな?) 


シーン1・6/1・午前1:10〜・(@0:00〜) 

シーン2・6/2・午後23:59〜・(@1:12〜) 

シーン3・6/3・午後20:24〜・(@1:55〜) 

シーン4・6/4・午後20:39〜・(@3:31〜) 

シーン5・6/5・午後20:37〜・(@5:00〜) 

シーン6・6/6・午前00:15〜・(@5:59〜) 

シーン7・6/7・午後19:51〜・(@8:04〜) 

シーン8・6/8・午前00:45〜・(@9:18〜) 


※ 動画の一部は編集時に自動色調補正を施しています。 
後半になるとカメラの電池が消耗し、短い暗視動画しか撮れなくなりました。 
同時期に別アングルで設置した新機種のトレイルカメラでは野ネズミが撮れてないのが不思議です。 
誤作動しないようにセンサーの感度を少し落としているのでしょうか。 


2024/02/14

巣外で4頭の幼獣に授乳するニホンアナグマ♀【トレイルカメラ:暗視映像】

 



2023年6月上旬 

もはやニホンアナグマMeles anakuma)の母親♀が幼獣の首筋を咥えて連れ出さなくても、幼獣は自力でなんとか歩いて巣外に出てこれるようになりました。 
これまで♀は幼獣を1頭ずつ巣外に連れ出して毛繕いしてやっていましたが、巣外で複数の幼獣にまとめて授乳するようになりました。 

気温の表示はほとんどが異常値です。 
暗視動画を連続撮影すると、トレイルカメラ自体が熱くなるせいです。


シーン1・6/10・午後19:22・(@0:00〜) 
手前の巣穴Lから出て外の地面に座った母親♀の乳首に幼獣2頭が吸い付いていましたが、じきに離れました。 
♀は授乳しながら自分の体を左の前足と後足で掻きました。 
もう1頭の幼獣が巣口Lから自力でアクセストレンチを登り、母親のもとになんとか辿り着こうとしています。 


シーン2・6/10・午後19:24・(@1:00〜) 
計4頭の幼獣が母親にまとわりついていました。 
♀が仰向けになって体を掻いたり毛繕いしたりすると、腹面に乳房が張っていることが分かります。 
仰向けになった♀の乳首に幼獣が吸い付く決定的瞬間が撮れました。(@1:40〜) 
アナグマ♀の授乳シーンは初見です。 
♀は自分の身だしなみを整えるのに忙しくて、結構手荒に幼獣を扱っています。 


シーン3・6/10・午後19:23・(@2:00〜) 
別アングルで設置した旧機種のトレイルカメラでも授乳シーンが同時に撮れていました。 


シーン4・6/10・午後21:58・(@3:00〜) 
約2時間半後、アクセストレンチに座って待つ♀の元に巣口Lから幼獣が登ってきます。 
♀が迎えに行って、幼獣の尻を舐めてやりました。(対他毛繕い) 
幼獣は♀の腹の下に潜り込み、母乳を飲んでいるようです。 

他の幼獣がキャンキャン♪鳴き騒ぐので、様子を見に♀は巣穴Lに戻りました。 
母親の乳首に吸い付いていた幼獣も、一緒に引きずられるように入巣L。 


シーン5・6/10・午後22:57・気温19℃(@3:47〜) 
約1時間後、♀が巣口Lで幼獣が出てくるのを待ち受けています。 
糞尿で汚れた尻の辺りを中心に丹念に舐めてやります。 
幼獣を仰向けにひっくり返して、腹面を舐めるのも忘れません。 


シーン6・6/10・午後23:00・(@4:47〜) 
♀がアクセストレンチに移動して自分の体で痒い部分を左後足で掻いています。 
幼獣が覚束ない足取りで巣口Lからアクセストレンチを登って来ると、そのまま♀の腹の下に潜り込み母乳を飲み始めました。 
続いて2頭目の幼獣が巣穴Lから外に出てきました。 


シーン7・6/10・午後23:03・(@5:47〜) 
カメラの起動が遅れ、母子の合流シーンを撮り損ねてしまいました。 
♀が幼獣を跨いだ直後に軽く座って尻を幼獣に擦り付けました。(アロマーキング@5:50〜) 

その後♀は地面に座り込んで自分の体をボリボリと右後足で掻いています。 
近くをうろついていた幼獣が♀の乳首に吸い付きました。 


シーン8・6/10・午後23:02・(@6:47〜) 
別アングルで撮れた映像に切り替えます。 
巣穴Lの周囲に生えたマルバゴマキ灌木の茂みに隠れてアナグマ家族の姿がよく見えないので、5倍速の早回し映像でお届けします。 
暗視動画で見ると、母親♀の目の大きさが左右で少し違うことが分かります。(右目<左目) 

シーン9・6/11・午前1:54・(@6:59〜) 
日付が変わった6/11は、東北地方南部で梅雨入りが宣言された日です。 
撮れた映像では雨は降っていませんでした。

アクセストレンチに座り込んだ♀の乳首に腹を空かせた3頭の幼獣が殺到しています。 
仰向けで授乳しながら♀は幼獣に対他毛繕いしたり、自分の毛繕いをしたりしています。 

残る1頭の幼獣はどうしているのか、安否が少し心配になります。 


シーン10・6/11・午前1:53・(@7:59〜) 
別アングルで同時に撮れていた映像に切り替えます。 


 シーン11・6/11・午前1:55・(@8:59〜) 
新機種トレイルカメラの暗視映像に戻ります。 
♀と幼獣3頭が組んず解れつしながら、ひたすら授乳と対他毛繕いを続けています。 


シーン12・6/11・午前1:55・(@9:59〜) 
別アングルに設置した旧機種のトレイルカメラで同時に撮れていた映像に切り替えます。 
アナグマ母子の姿が周囲の灌木の茂みに隠れてよく見えないので、5倍速の早回し映像に加工しました。 


シーン13・6/11・午前1:57・(@10:11〜) 
新機種トレイルカメラの映像に戻りました。 
幼獣2頭が母親にまとわりついています。 

手前の巣口Lからもう1匹の幼獣がアクセストレンチを登ってきました。 
この幼獣は、いつの間にか左の死角から巣口Lに転がり落ちてしまったようです。 
それとも巣L内でずっと寝ていた幼獣個体がようやく目覚めて(空腹に耐えかねて)外に出てきたのかな?
(別アングルの映像を見ると謎が解けました。)


シーン14・6/11・午前1:57・(@11:11〜) 
別アングルで同時に撮れていた暗視映像に切り替えます。 
5倍速の早回し映像でお届けします。 


シーン15・6/11・午前1:58・(@11:23〜) 
アクセストレンチをよちよち登ってきた幼獣が兄弟姉妹の体を乗り越えようとしたら、滑ってコテンと横転してしまいました。(@11:38〜) 
幼獣の一挙手一投足がなんともかわいらしいですね。
転んだ幼獣個体も鳴き声ひとつ上げず、なんとか兄弟姉妹をかきわけて、母親の乳首に吸い付くことが出来ました。(@12:00〜) 
その体を♀が丹念に舐めてやっています。 


シーン16・6/11・午前1:57・(@12:23〜) 
別アングルで同時に撮れていた暗視映像に切り替えます。 
5倍速の早回し映像でお届けします。 

 幼獣1頭がアクセストレンチから巣口Lに転がり落ちた(滑り落ちた)ものの、自力でなんとか這い上がります。 


シーン17・6/11・午前1:59・(@12:35〜) 
♀は3頭の幼獣に同時に授乳しながら、対他毛繕いしてやっています。 


シーン18・6/11・午前1:59・(@13:35〜) 
別アングルで同時に撮れていた暗視映像に切り替えます。 
5倍速の早回し映像でお届けします。 


シーン19・6/11・午前2:00・(@13:47〜) 
トレイルカメラ新機種の映像に戻ります。 
幼獣3頭を巣外に放置したまま、母親は先にさっさと帰巣Lしてしまいました。(@14:35〜) 
残された幼獣が自力で入巣Lするまで見届けられなかったのが残念です。
幼獣がもう自力で歩けるほど成長したので、♀が幼獣を咥えて運ばなくなったことが分かります。 


シーン20・6/11・午前2:00・(@14:47〜) 
別アングルで同時に撮れていた暗視映像に切り替えます。 
5倍速の早回し映像でお届けします。 


シーン21・6/11・午後23:15・(@14:59〜) 
昼間は寝て、同じ日の晩遅くに再び授乳シーンが撮れていました。 
今度は右の巣穴Rの近くの地面で、♀が幼獣1頭に対して授乳および対他毛繕いをしています。 
カメラの電池が消耗して、断片的な映像しか撮れなくなりました。 


シーン22・6/12・午前0:57・(@15:07〜) 
日付が変わった深夜にも、巣穴Rの近くの地面で♀が幼獣1頭に対して授乳および対他毛繕いをしていました。 


シーン23・6/12・午前1:01・(@15:20〜) 
右の巣穴Rの入口付近で、♀が幼獣2頭に対して授乳および対他毛繕いをしています。 


シーン24・6/12・午後23:53:・(@15:34〜) 
明るい日中は巣内で寝て、同じ日の晩遅くに再び授乳シーンが撮れていました。 
幼獣3頭を引き連れて♀が巣穴Lの外に出てきました。 
♀はアクセストレンチに放尿マーキングした匂いを嗅いでから、その横の地面に座り込みました。 
アクセストレンチをゆっくり登ってきた幼獣が♀に追いつくと、舐めてやります。 
幼獣の1匹は♀の腹の下に潜り込んで乳首を吸おうとしています。 


シーン25・6/16・午後18:24・(@16:34〜)日の入り時刻は午後19:06。 
4日後、日没前なのに早くも母子全員が巣穴Rの外に出て来ました。 
幼獣4頭が同時に外出するのは初見です。 
実はそれまで同時に3頭の幼獣しか巣外で見かけなかったので、残る1頭は死んでしまったのではないかと心配していました。 
幼獣4頭の無事が確認できて一安心。 
ヘルパー♂の姿が見えませんが、母子勢揃いの微笑ましい光景でした。 

母親♀は近づいてきた順に幼獣の体を舐めてやります。 
♀は自らコテンと寝転び、横臥で自分の体を掻きました。 
そのまま仰向けになると、幼獣に授乳を始めました。 
一方、1頭の幼獣が巣口Rに取り残されたまま、アクセストレンチを登れないでいます。 
発育が少し遅れた個体なのでしょうか? 


シーン26・6/16・午後18:25・(@17:34〜) 
巣口Rに取り残されたままの幼獣個体がいます。 
巣口Rから伸びるアクセストレンチには多数の落枝や蔓が転がっていて、体の小さな幼獣にとってはかなり歩きにくそうです。 
歩行能力が比較的高い幼獣個体は、奥の灌木林へ探検に出かけます。 


※ 動画の一部は編集時に自動色調補正を施しています。 

ニホンアナグマ♀の乳首の数をネット検索で調べても、いまいち正確な情報が得られませんでした。
アナグマ – おもしろ哺乳動物大百科 83 食肉目 イタチ科 というサイトによると、乳頭数は3対です。 
ただし、このまとめサイトでは、ニホンアナグマとヨーロッパアナグマを一緒くたに扱っています。

ヨーロッパアナグマ はオスメスともに3対の乳首があるが、メスのほうがより発達している。 (wikipediaより引用)


熊谷さとし『フィールドワーカーのための動物おもしろ基礎知識』という入門書のp205で乳頭式の定義を記してあったのですが、ニホンアナグマの乳頭式については記述がありませんでした。

ニホンアナグマ♀の乳頭が3対あるとすると、最大で6頭の幼獣を同時に授乳することができます。
私が観察しているアナグマ♀は4頭の幼獣を出産し、育てています。
成獣の個体識別も覚束ないのに幼獣の個体識別は難しすぎて私にはとても無理です。
もしかすると、この♀は幼獣を3頭+1頭と2グループに分けて別の時間帯に授乳しているような気がします。
4頭の幼獣を同時に授乳するのは肉体的な負担が大きいからでしょう。
幼獣1頭を巣外にしばらく放置した事件がきっかけで、授乳リズムが1頭だけずれたのかもしれません。
あるいは幼獣を性別によって育て分けているのだとしたら、より一層興味深いです。

熊谷さとし氏の著作では、ニホンアナグマのヘルパーは若い♀が務めると書いてあります。

 子別れの際、成長した子どもを全部追い出さず、1頭だけ残して翌年の子どもの世話をさせる、ということもある。
 キツネやオオカミ、イノシシ、ヨーロッパアナグマなど、多くの動物に見られる行動で、ヘルパー制度と呼ばれている。
 (中略)動物のヘルパーは、妊娠中の母親にエサを運んできたり、子どもの遊び相手をしたり、さらに♀のヘルパーは、母親に代わって弟や妹たちにお乳をやることもあるという。
 この制度は、母親の子育ての負担を軽減し、目配りが行き届くために、より子どもたちの安全が守られ、またヘルパー自身が親になったときの訓練にもなる、という素晴らしい制度なのだ。
 もっとも、この制度には経済力が優先する。(中略)「確実にエサが確保される」という食べものが豊かな場所でなければ、このような行動を観察することはできない。
 俺が観察している(ニホン)アナグマのファミリーは、毎年ではないけれど、この制度を導入している。 (熊谷さとし『フィールドワーカーのための動物おもしろ基礎知識』(2006)p204より引用)

手元にあるもう1冊の本、熊谷さとし『日本の野生動物 2―身近に体験! タヌキを調べよう』(2006)によると、
 アナグマもほんとうは、秋になるとタヌキのように「子別れ」をして、子どもは親からはなれるはずなのだが、母親は♀を1頭だけ手もとにのこし、翌年の子どもの世話をさせることがある。(中略)ヘルパーは子守ばかりでなく、妊娠中の母親に食べものを運ぶこともする。
ヘルパー制度は、母親の子そだてを楽にして、子どもの安全を守るほか、ヘルパーに子どもが生まれたときの子そだての訓練にもなる。(p25より引用)

私が観察しているニホンアナグマでは、ヘルパーが妊娠中の母親に食べものを運ぶ行動は一度も見られませんでした。(トレイルカメラが撮り漏らしたのかもしれません。)

もしも母親♀だけでなくヘルパー♀(1歳仔の娘)も幼獣に授乳できるとなると、私が撮った動画の解釈は大幅に再検討する必要があります。
しかし、妊娠・出産していないヘルパー♀の乳腺が発達して授乳が可能になることは生理的にあり得るのでしょうか?(調べてみると、動物でも想像妊娠はあるらしい。)
ニホンアナグマのヘルパーは若い♂(1歳仔の息子)であるというのが最近の研究結果らしいので、この点で熊谷さとし氏の古い?見解はひとまず忘れることにします。
混乱の原因は、若い時期のアナグマは体型に分かりやすい性差がないことにあります。
私も股間の陰茎を見て初めてヘルパーが♂だと分かりました。
逆に♂がヘルパーだとすると、「自分が子育てするときのための訓練になる」という説明はできなくなります。




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【追記】
鈴木欣司『アナグマ・ファミリーの1年』(2000年)によると、
アナグマの巣を出たばかりのときの子どもの数は、3頭が普通です。お乳の数は全部で6個ありますが、専用の乳を吸うのではないようです。(p19より引用)

私の観察するニホンアナグマ♀が4頭の幼獣を産んだのは、平均よりも多産の部類に入るようです。 

4頭とも無事に育ちましたし、生息環境に餌が豊富なことを示しています。


2024/02/13

ニホンアナグマの諸活動:6月上旬【トレイルカメラ:暗視映像】

 



2023年6月上旬 

二次林にあるニホンアナグマMeles anakuma)の巣穴LRを新旧2台のトレイルカメラで監視しています。 
何か特筆すべき行動があれば個別の記事にするのですが、とりとめもない残り物の行動シーンをまとめました。 
早回しなどの加工はしないで、映像素材をただ時系列順につなげただけです。
営巣地(セット)をうろついたり、巣穴に出入りしたり、毛繕いをしたり、幼獣を巣外に連れ出したり、など。 
観察歴の浅い私が見落としている行動が多々ありそうですし、念の為に撮れた動画を全て残しておきます。 

最大の問題は、個体識別がまだ不完全であることです。 
♀は暗視カメラで見たときに左右の目の大きさが異なり(右目<左目)、右の首筋に白斑があります。 
この時期の♀は腹面に乳首が目立つようになりました。 
ヘルパー♂(1歳仔の息子)は自分で毛繕いする際に仰向けで開脚すると、股間に陰茎が見えるときがあります。 

梅雨入り前ですが、この時期は数日おきに雨が降ります。 
(東北地方南部の梅雨入り宣言は6/11。) 
レンズに水滴が付くと、乾くまで映像が不鮮明になってしまいます。 

アナグマは主に夜行性ですが、昼間も活動しています。 
巣穴Rは実は2つの穴が左右に並んで開口しています。 
アナグマはその左側R-Lから出入りしています。 

後半になるとカメラの電池が消耗してきて、断片的な細切れ映像になってしまいました。
それでも明るい日中は赤外線を照射する必要がないので電力消費が少なく、タイマー設定通りに1分間録画してくれます。 

シーン1・6/1・(@0:00〜) 

シーン2・6/2・(@4:34〜) 

シーン3・6/3・(@10:22〜) 

シーン4・6/4・(@10:40〜) 

シーン5・6/5・(@17:33〜) 

シーン6・6/6・(@22:11〜) 

シーン7・6/7・(@25:28〜) 

シーン8・6/8・(@28:41〜) 

シーン9・6/9・(@33:15〜) 
ラストシーンでは、左奥の巣穴Lの中から右外に向かって土が運び出され、アクセストレンチが作られています。 
(アクセストレンチの部分だけ、巣L内から掘り出された土で覆われています。) 

 ※ 動画の一部は編集時に自動色調補正を施しています。 


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