2018/09/11

オオアワダチソウの花蜜を吸うナミツチスガリ



2018年7月上旬

山麓の畑の隅に咲いたオオアワダチソウの群落でナミツチスガリCerceris hortivaga)が訪花していました。
黄色い花序を歩き回りながら吸蜜しています。
顔の正面を向いてくれず、性別が見分けられませんでした。
♀だとしたら、獲物の小型ハナバチ類を狩る瞬間を観察できなかったのは残念。


ナミツチスガリ♀?@オオアワダチソウ訪花吸蜜
ナミツチスガリ♀?@オオアワダチソウ訪花吸蜜
ナミツチスガリ♀?@オオアワダチソウ訪花吸蜜

夕方の電線で脱糞・羽繕いするモズ♂(野鳥)



2018年7月上旬・夕方18:11〜18:14

川に近い住宅地に囲まれた原っぱが固定式のソーラーパネルを敷き詰めた発電施設になっていました。
その電線にモズ♂(Lanius bucephalus)が止まって眼下の原っぱを見下ろしています。
夕日を浴びて良い感じ。
いつものように尾羽を上下に振りながら、油断なく辺りをキョロキョロ見渡しています。
原っぱで餌となる昆虫を探しているのかもしれません。

電線でピョンと跳んで方向転換しました。
やがて、丸い固形の糞をポトリと排泄。(@0:45)
嘴で羽繕いを始め、足で頭?を掻きました。

撮影中の私はなんとなく、巣立ったばかりの幼鳥ではないかと勝手に思い込んでいました。
じきに親鳥が戻ってきて幼鳥に巣外給餌するのでは?と期待して長撮りしたのですが、空振りに終わりました。
最後は飛び去ったので(撮り損ねた)、幼鳥ではなかったようです。


モズ♂(野鳥)@電線
モズ♂(野鳥)@電線

2018/09/10

蛹化前に蠕動するキアゲハ前蛹【10倍速映像】




▼前回の記事
糞で汚れた部位を除けて食草を食べるキアゲハ終齢幼虫【10倍速映像】


キアゲハの飼育記録(2018年)#3


2018年7月上旬・午後12:05〜12:45

飼育していた3頭のキアゲハPapilio machaon hippocrates)の終齢幼虫のうちの1頭(個体c)がいつの間にか飼育容器内で前蛹になっていました。
プラスチック容器の壁面を少し登ったところで、体の前後を絹糸の輪(帯糸)と腹端でしっかり固定しています。
容器内に止まり木として割箸を何本か入れておいたのですけど、お気に召さなかったようです。

前蛹cが蛹化しそうなので、その過程を微速度撮影で記録することにしました。
10倍速の早回し映像をご覧下さい。
体が固定されているものの、ときどき体節を伸縮し、蠕動運動が次第に激しくなってきました。
やがて前蛹の表面クチクラの緑色が褪せて白くなってきました。
これは新旧クチクラ層の隙間に空気の層が出来てくるからです。(気泡が入って白くなる)

つづく→#4:キアゲハの蛹化【10倍速映像】


キアゲハ前蛹c

幼鳥の餌乞い♪を聞き流すハシボソガラスの親鳥(野鳥)



2018年6月中旬

カラスが鳴き騒ぐ声がうるさいので私が振り返ると、歩道と駐車場に挟まれた帯状の緑地でハシボソガラスCorvus corone)の親子が居ました。

ハコネウツギ(別名ベニウツギ)の生垣の木陰で採食していた親鳥に対して幼鳥が餌をせがんでいました。(餌乞い)
親鳥に無視された幼鳥はトコトコと走り去ります。
向こうにもう一羽の親鳥がいるのかな?

※ 動画編集時に自動色調補正を施しています。

つづく→採食中に小競り合いするハシボソガラス幼鳥(野鳥)


ハシボソガラス(野鳥)親鳥+幼鳥@餌乞い♪無視

2018/09/09

ギシギシの花で採餌するセイヨウミツバチ♀



2018年7月上旬

田園地帯の道端に咲いたギシギシセイヨウミツバチApis mellifera)のワーカー♀が訪花していました。
後脚の花粉籠に薄黄色の花粉団子を付けています。
花上で蜂が動くと白い微細な花粉が風に舞います。
すぐ隣に咲いているヤブカンゾウの橙色の花には見向きもしませんでした。

ミツバチの蜜源植物として珍しい(初めて見る)ので、興味深く思いました。
植物の名前をスイバと迷いましたが、スイバは雌花が赤く葉は茎を抱くので、ギシギシと区別できます。


セイヨウミツバチ♀@ギシギシ訪花+吸蜜・集粉
セイヨウミツバチ♀@ギシギシ訪花+吸蜜・集粉
セイヨウミツバチ♀@ギシギシ訪花+吸蜜・集粉
セイヨウミツバチ♀@ギシギシ訪花+吸蜜・集粉

ギシギシ花・全景
ギシギシ花
ギシギシ花
ギシギシ葉・全景

夕方の電線で鳴きながら♪羽繕いするコムクドリ♀(野鳥)



2018年6月下旬

郊外の住宅地でコムクドリ♀(Sturnus philippensis)が電線に止まって鳴いていました。
夕方の逆光で見えにくいのですが、羽毛が毛羽立っているのは、夕方の水浴を済ませた後なのか、それとも幼鳥の換羽期なのですかね?
ジャー、チョッ♪と繰り返し鳴いています。
最後のチョッ♪は、舌打ちのような音です。
これは私に対する警戒声なのでしょうか?
巣立ち雛がが親鳥を呼んでいるのかな?
首を傾げては私を見下ろし、鳴きながら羽繕いしています。

※ 動画編集時に自動色調補正を施しています。


実は同じ日の午後(約3時間前)にもここでコムクドリの家族群と出会っています。
この辺りを縄張りとする同一個体かもしれません。

つづく→コムクドリの家族群が脱糞し電線から飛び去る(野鳥


コムクドリ♀(野鳥)@電線♪

2018/09/08

スギの林縁を飛び回るトンボエダシャクの謎(蛾)



2018年7月上旬・午後16:16
▼関連記事
クモの円網に捕まって暴れるコミスジにトンボエダシャク(蛾)が誤認求愛

トンボエダシャクCystidia stratonice stratonice)と思しき蛾がスギの林縁を飛び回っていました。
群飛と呼べるかどうか分かりませんが、遠目から見ると同種らしき白黒模様をした翅を持つ蛾が何頭も林縁を飛び回っていて、羽ばたきがチラチラとよく目立ちます。

飛んでいる1頭に注目して動画に撮ると、杉の葉に止まったときに腹端を曲げて擦り付けたように見えました。
それも一瞬で、すぐに忙しなく飛び去ってしまいます。
これは♀による産卵行動なのでしょうか?
Cystidia属の蛾の幼虫の食草を「みんなで作る日本産蛾類図鑑」サイトのデータベースで調べて抜き書きすると

トンボエダシャクは、ニシキギ科:ツルウメモドキ。
ヒロオビトンボエダシャクは、ニシキギ科:ツルウメモドキ、マユミ。
ウメエダシャクは、バラ科:ウメ、モモ、サクラ、エゴノキ科:エゴノキ、スイカズラ科:スイカズラ、ニシキギ科:ニシキギ、ツルウメモドキ、カバノキ科:カバノキ、ブナ科:ブナ。
とありました。
したがって、動画の個体がたとえ♀だとしても、スギの葉に産卵するはずがありません。

別個体だと思いますが、スギ林に絡みついたクズの葉で休んでいた蛾の写真を撮るとトンボエダシャク♀(Cystidia stratonice stratonice)でした。
腹端にヘアペンシルと呼ばれる毛束が無いので♀と判明。

トンボエダシャク♀(蛾)@スギ林縁:クズ葉。腹端にヘアペンシルが無いので♀

これ以外の飛んでいる個体や、クモの網にかかったコミスジにちょっかいをかけている(誤認求愛?)個体の性別はしっかり見分けられませんでした。
トンボエダシャク♀が産卵するためにホストの蔓植物:ツルウメモドキを探し求めて飛んでいるのでしょうか?
幼虫にとって適切な食草かどうか、産卵姿勢になってみて腹端の感覚毛で植物に触れて判断する、というのはあり得る話です。
しかしスギとツルウメモドキは葉の形状も匂いもまるで違いますから、蛾の大雑把な視覚・嗅覚でも見分けられそうな気がします。
あるいはもし群飛しているのが♂だとすると、♀を誘引する性フェロモンを林縁の植物に擦り付けているのかもしれません。
各個体の飛び方を見ていると、林縁のある区画を往復しているようだったので、テリトリーがありそうです。
今回の映像は、クモの網にかかったコミスジを撮影する合間に(ついでに)ちょろちょろっと撮っただけなので、未だ観察が不十分です。

たまたま今回はスギ林で撮りましたが、群飛の舞台となる樹種には特にこだわりが無いようです。
この時期はスギ林に限らず、様々な灌木林でも群飛していました。(映像公開予定:別日にクリの木の周囲を群飛)
謎解きのためには、更にじっくり観察する必要がありそうです。
とりあえず、交尾中の♀♂ペアや産卵中の♀を見つけるのが次の目標です。

※ 動画編集時に自動色調補正を施しています。


【追記】
日本大百科全書(ニッポニカ)で「トンボエダシャク」を参照すると、

とんぼえだしゃく / 蜻蛉枝尺蛾
[学]Cystidia stratonice
昆虫綱鱗翅(りんし)目シャクガ科に属するガ。はねの開張50~60ミリ。はねも腹部も細長い。腹部は橙(だいだい)色の地に、各節に黒紋を規則正しく連ねる。はねは黒く、白色の帯が1本あり、基部は白い。触角は棍棒(こんぼう)状に近いが、雌では細い。北海道から屋久(やく)島までと、対馬(つしま)、朝鮮半島、シベリア南東部から中国に分布する。成虫は年1回、初夏に発生し、昼間、食樹の近くを飛び回る。

しかしながら、触角の性差に関する下線部の記述は不正確なようです。
いつもお世話になっているDigital Moths of Japanサイトでトンボエダシャクを参照すると、以下の記述が♂♀標本の写真に添えられていました。
この属では, 触角は♂♀とも単純で先端部が太まる. 
トンボエダシャク?(蛾)@スギ林縁+飛翔+産卵?
トンボエダシャク?(蛾)@灌木林縁:用水路沿い+飛翔

ハシブトガラスの河原での活動あれこれ【ハイスピード動画:野鳥】



2018年6月下旬

河原に居たハシブトガラスCorvus macrorhynchos)を240-fpsのハイスピード動画で撮ってみたら、色々な行動が記録できました。

シーン1:

岸辺で川の水を飲んでいました。
一口ずつ水を嘴ですくい上げて、喉に流し込みます。

シーン2:

飲水後に岩の上に白い糞をポトリと排泄しました(@0:28)。
鳥類の糞の場合、白いのは実際には尿なのだそうです。
水を飲んだり水浴したりする川を排泄物で汚しても平気なのは、賢いカラスにしては衛生観念が無いですね。
他の個体もやっていました。

シーン3:

岩から岩へ連続で跳躍(@0:34)。
ピョンピョン跳んで、近くで採食していたハシボソガラスCorvus corone)に近づくと、争奪戦にはならずハシボソガラスは慌てて逃げて行きました。

以前は逆にハシボソがハシブトの餌を横取りしていたので、餌場における二種の力関係はどちらが強いのか、よく分からなくなりました。

▼関連記事
河原で採食していたハシブトガラスの餌を横取りするハシボソガラス(野鳥)


シーン4:

川の中の岩に乗って足元に嘴を差し込み、何か白い物を食べています。
気になるメニューは不明です。

※ 動画編集時に自動色調補正を施しています。


2018/09/07

オオアワダチソウの花で吸蜜するフタモンアシナガバチ♀



2018年7月上旬

山麓の畑の隅に咲いたオオアワダチソウの群落でフタモンアシナガバチPolistes chinensis antennalis)のワーカー♀が訪花していました。
なぜか花の黄色がやや薄い(白っぽい)株で吸蜜していました。
ニホンミツバチ♀やハエ、ハナアブなどとニアミスしても互いに無関心でした。


▼関連記事
オオアワダチソウの花蜜を吸うコアシナガバチ♀



フタモンアシナガバチ♀@オオアワダチソウ訪花吸蜜
フタモンアシナガバチ♀@オオアワダチソウ訪花吸蜜

ハンノキ樹上から飛び立つトビ(野鳥)



2018年3月下旬


▼前回の記事
ハンノキ樹上でトビとハシボソガラスの神経戦(野鳥)

ハシボソガラスCorvus corone)が居なくなった後で、トビMilvus migrans)が休んでいるハンノキにそっと近づいてみました。
強い春風に吹かれて大きく揺れている枝でトビは辺りをキョロキョロと見渡しています。 

やがて急に右へ飛び立ちました。
慌てて流し撮りするとトビは力強く羽ばたいて水平に飛び、農地(田畑)を取り囲む防風林のスギの梢に止まりました。
カラスにモビングされたからではなく、私にしつこく撮られていることに嫌気が差したのでしょう。
自発的に飛んで止まり木を移動しました。

※ 動画編集時に自動色調補正を施しています。


トビ(野鳥)@ハンノキ樹上・全景
トビ(野鳥)@ハンノキ樹上

2018/09/06

糞で汚れた部位を除けて食草を食べるキアゲハ終齢幼虫【10倍速映像】



▼前回の記事
フェンネルの葉を食べるキアゲハの終齢幼虫


キアゲハの飼育記録(2018年)#2


2018年7月上旬・午前00:24〜00:42(室温27.6℃、湿度63%)

フェンネル(=ウイキョウ)の群落から採集してきたキアゲハPapilio machaon hippocrates)終齢幼虫3頭の飼育を始めました。
食草は同じセリ科でも葉が巨大で近所から大量に調達できる雑草のオオハナウドに切り替えました。
急な食草転換もキアゲハ幼虫は素直に受け入れてくれました。

3頭の成長段階は微妙に異なり、最も育った終齢幼虫aが蛹化準備のために食欲を失い、下痢便を大量に排泄しました。
その下痢便で下の葉が汚れました。
そこで食事をしていた別個体bは一体どうするでしょうか?
食草の汚染箇所をハサミでトリミングしてやろうか迷いましたが、面白そうなので過保護なことはせずに成り行きを見守ることにしました。

このような事態は自然界でもたまにありそうです。
微速度撮影で記録したので、10倍速の早回し映像をご覧下さい。

終齢幼虫bはオオハナウドの葉にベットリと付着した黒い糞を少しかじったものの、すぐに味覚で不味いと気づいたようです。
周囲のきれいな部分をギリギリまで食べて不潔な部分を残し、葉片を切り離して下に捨てました。
実に見事な対応能力です。
レストランのクレーム客とは大違いで、大人の対応ですね。
育ち盛り食べ盛りの終齢幼虫bはオオハナウドの葉を蚕食しながら自らも脱糞しました。(@0:17)
その後は、食べかけた葉を完食する前になぜか茎を登り上の葉に移動してしまいました。


つづく→#3:蛹化前に蠕動するキアゲハ前蛹【10倍速映像】


切り落とされたキアゲハ終齢幼虫の糞付きオオハナウド葉片:表@方眼紙
切り落とされたキアゲハ終齢幼虫の糞付きオオハナウド葉片:裏@方眼紙

ハンノキ樹上でトビとハシボソガラスの神経戦(野鳥)



2018年3月下旬


▼前回の記事
縄張り意識の強い早春のハシボソガラスに怒られた(野鳥)

防風林に囲まれた農地(残雪に覆われた田畑)の上空を帆翔していたトビMilvus migrans)がハンノキの大木に止まりました。
落葉した枝には実がなっています。
この辺りを縄張りとするハシボソガラスCorvus corone)が1羽、先程からハンノキの樹上に止まっていて、トビはその下の枝に陣取りました。

先客のハシボソガラスは天敵のトビを見下ろしながら嘴を足元の枝に激しく擦り付けています。
これは欲求不満の現れ(転移行動)なのでしょうか?
やがてカラスは飛び上がって少し上の枝に移動しました。(@0:45)
トビから離れるようにハンノキの梢で上へ上へと移動します。

しばらくすると、樹上のハシボソガラスがお辞儀しながら鳴き始めました。(@2:35)
下の農地で採食しているつがいのパートナーに呼びかけているのかもしれません。
しかし私が撮影している横の用水路を雪解け水が流れていて、その水音のせいで遠くのカラスの鳴き声がほとんど聞き取れません。
やがて意を決したように、ハンノキ樹上のカラスが枝を下へ下へと少しずつ飛び降り始めました。(@3:24)
ようやく勇気を出して、恐る恐るトビに心理的圧力をかけているように見えました。
カラスが尾羽根を扇のようにパッパっと開閉しているのは、緊張の現れでしょうか。

素人考えでは喧嘩の際に上に位置した方が精神的にも優位に立てるはずなのに、トビは頭上のカラスには全く構わず、辺りの農地を悠然と見回しています。
トビの尾羽根には特徴的な三角の切れ込みがあります。

なぜこのハシボソガラスはもっとしっかりモビング(擬攻撃)して天敵の猛禽類を縄張りから追い払わないのでしょうか?
未だ経験の浅い若鳥で、トビに立ち向かって行く自信や勇気が無いのかな?
繁殖期が始まったばかりの早春は、縄張り意識が希薄なのでしょうか?
意気地なしの♂は♀にもてないだろう、と余計な心配をしてしまいます。
もう少し季節が進んだ4月下旬には、カラスが鳴き騒いで近隣の仲間を呼び寄せ、樹上のトビを共同で追い払う激しいモビング行動を見ています。

▼関連記事
樹上のトビを激しく襲うカラス混群【HD動画&ハイスピード動画】(野鳥)


急に樹上のハシボソガラスが枝から飛び降りて急降下し、姿を見失ってしまいました。(@6:37)
雪解けして土が露出した畑で何か植物質の餌を見つけて食べているのはつがいの別個体だと思います。

うるさいカラスが居なくなっても、トビは相変わらずハンノキ樹上で休んでいました。
今回のモビングは中途半端で消極的な心理戦・神経戦で終わり、トビの貫禄勝ちといった印象です。
通年観察していると、トビもこの辺りを縄張りとしているようで(防風林のどこかに営巣?)、顔馴染みのカラスとの攻防戦を日々繰り返していました。
今回そもそも、ハシボソガラスが止まっているハンノキにトビがわざわざ飛来したのも、カラスに心理的な圧力を掛けて存在感を示し、追い払おうとしていたのかもしれません。

※ 動画編集時に自動色調補正を施しています。

つづく→ハンノキ樹上から飛び立つトビ(野鳥)


トビ(野鳥)vsハシボソガラス@ハンノキ樹上+心理戦

2018/09/05

クモの円網に捕まって暴れるコミスジにトンボエダシャク(蛾)が誤認求愛



2018年7月上旬・午後15:48〜16:18

平地の用水路沿いにスギ林があり、その林縁にクモの大きな正常円網が張られていました。
垂直円網の辺縁部(上部)に1頭のコミスジNeptis sappho)が囚われていて、擬死(死んだふり)していました。
下手に暴れると振動でクモにすぐ感づかれてしまい、捕食されるからです。
ときどき意を決したように必死で羽ばたいて暴れても、強力な粘着性の横糸が外れません。
(コミスジが休んでいる状態の映像は退屈なので、編集でカットしました)
おそらくオニグモの仲間(コガネグモ科)が造網したと思われますが、なぜか網の主は獲物を捕食しに現れず放置しています。

  • 昼間は網の外の隠れ家に潜んでいるのかな?
  • 脱皮直前の眠で食欲がない?
  • 天敵の捕食者にやられた?

コミスジは翅を全開にした姿勢で囚われの身となっています。
チョウの翅一面に敷き詰められている鱗粉は剥がれやすく、クモの網にかかっても逃げやすいように進化しています。(※追記2参照)
しかしチョウの胴体や足にクモの網の粘着糸が付着してしまうと、万事休すです。

その一方、周囲のスギ林の林縁やマント群落をトンボエダシャクCystidia stratonice stratonice)と思しき蛾が何頭も飛び回っています。
群飛と呼べるかどうか分かりませんが、何をしているのか気になります(映像公開予定)。

クモの網にかかったコミスジを撮っていると、そうした蛾がときどき飛来します。
残念ながら窮地のコミスジを助けに来たのではありません。
クモの網に捕らえられたコミスジに軽くぶつかっただけで、あっさり飛び去ります。
おそらく翅の色が白黒の模様で似ていることから、交尾相手と誤認して求愛しに来たのでしょう。
しかしすぐに別種と気づいて飛び去りました。
飛来した蛾がコミスジに誤認求愛したシーンを1/5倍速のスローモーションでリプレイしてみます。(@1:59〜2:42)
蛾に誤認求愛されたコミスジは必死に羽ばたいて暴れます。
その羽ばたきを見た蛾は更に興奮したように周囲を飛び回るものの、やがて離れて行きました。

我々ヒトの目から見るとコミスジとトンボエダシャクは、確かに翅の模様が白黒という点は共通ですけど、それほど模様が似ているとは思えません。
ひょっとすると、性フェロモンの分子構造が似ているのかもしれません。
もしトンボエダシャク♀を生け捕りにしてクモの網に付けてやると、辺りを飛び回る同種♂が誘引されて次々と死の罠にかかってしまうかな?(ゴキブリ・ホイホイならぬ、トンボエダシャク・ホイホイ)
色々な鱗翅目(蝶や蛾)の死んだ標本あるいは翅だけをクモの網に付けておいたら、トンボエダシャクの誘引効果はどうなるでしょう?
適当な白黒模様の紙片を網に付けておくだけで誘引効果があるでしょうか?
試しに実験してみたかったのですが、残念ながらこの日の私は捕虫網を持ってきていませんでした。

ところで、網に囚われたコミスジの周りをずっと飛び回っている小さな双翅目も気になります。
クモの網にかかった獲物や食べ残しに集まる吸血性のブヨなのかな?
クモの網の粘着糸に着陸しても飛び立てるようです。


※ 動画編集時に自動色調補正を施しています。



つづく→スギの林縁を飛び回るトンボエダシャクの謎(蛾)


【追記】
蝶と蛾の性別を見分けられないのに誤認求愛だろうと解釈してしまいましたが、縄張り意識の強いトンボエダシャクがコミスジを追い払いに来た、という別の解釈も成り立つかもしれません。
しかし、トンボエダシャクはクモの網にかかったコミスジに対して軽くぶつかっただけですぐに飛び去ってしまうので、闘争行動ではなさそうに思います。


【追記2】
大谷剛『昆虫―大きくなれない擬態者たち』p67によると、
「鱗粉は外敵に捕まったときに、逃げるのに非常に有効」とある。翅をくわえられたら、鱗粉を残してスルリと逃げる。そしてこれは「クモの巣に対しても有効」とも書いてある。
(中略)古い個体になると、鱗粉も少なくなってクモに捕らえられてしまうのだった。これは「大福餅の粉」ではないか。大福餅には手にべたつかないように片栗粉がまぶしてある。べたつくところに粉をつければ、べたつかなくなる。(p98〜99より引用)
鱗粉が「大福餅の粉」という例えはとても秀逸で、私もこれから使わせてもらいます。

コミスジ@オニグモsp(蜘蛛)正常円網:捕囚
コミスジ@オニグモsp(蜘蛛)正常円網:捕囚
コミスジ@オニグモsp(蜘蛛)正常円網:捕囚
コミスジ:翅裏@オニグモsp(蜘蛛)正常円網:捕囚
コミスジ@オニグモsp(蜘蛛)正常円網:捕囚・全景
コミスジ@オニグモsp(蜘蛛)正常円網:捕囚・全景
コミスジ@オニグモsp(蜘蛛)正常円網:捕囚・全景


縄張り意識の強い早春のハシボソガラスに怒られた(野鳥)



2018年3月下旬

季節を戻して早春の観察記録です。
未だ残雪に覆われた広大な畑で採食していたハシボソガラスCorvus corone)のつがいのうち、一羽が飛び上がって近くの落葉樹(クルミ? クリ?)に止まりました。
(映像はここから。)



【追記】:秋に現場を再訪し、樹種はオニグルミと判明しました。

カラスはオニグルミの枝から樹冠へ飛び上がって移動しました。
止まり木で尾羽根を何度もパッパッと開閉しているのは何を意味するボディランゲージなのでしょう?(誇示行動?)
私の方を向いてお辞儀しながらガーガー♪鳴き騒ぎました。
やがて飛び立つと私の頭上を旋回します。
空中から私に糞を落としてくるのではないかと用心しながら撮り続けると、ハシボソガラスは近くに立つハンノキ高木の枝に止まり直しました。
再び飛び降りると、縄張りを旋回飛翔しながら鳴き♪、初めに居たクルミの樹冠に戻りました。
私に対するモビング(擬攻撃)行動なのかな?
そろそろ繁殖期が始まる頃ですから、縄張りを守っているのでしょう。
近くに巣を作ろうとしているのかもしれません。
カラスがもっと怒ると木の枝を折って威嚇するのですが、今回そこまではしませんでした。

▼関連記事
木の枝を折って威嚇するハシブトガラス【野鳥】

私がカメラを左にパンすると、猛禽類のトビMilvus migrans)が農耕地(田畑)の上空を帆翔していました。
羽ばたきと滑翔を交互に繰り返しています。
私に対して示威飛行するぐらいなら、なぜハシボソガラスは天敵のトビを迎撃・モビングして縄張りから追い払わないのか、不思議でなりません。
未だ経験の浅い若鳥でトビに立ち向かって行く自信や勇気が無いのかな?と想像したりしました。

※ 動画編集時に自動色調補正を施しています。
この処理の副作用で、青空を背景にトビが帆翔するシーンの一部が勝手に暗転されてしまいました。

いつの間にかハシボソガラスはクルミの梢から農地の奥にそびえ立つハンノキ喬木まで飛んで行き、枝に止まりました。

つづく→ハンノキ樹上でトビとハシボソガラスの神経戦(野鳥)


ハシボソガラス(野鳥)@ハンノキ樹上

2018/09/04

オオアワダチソウの花で採餌するニホンミツバチ♀



2018年7月上旬

山麓の畑の隅に咲いたオオアワダチソウの群落でニホンミツバチApis cerana japonica)のワーカー♀が訪花していました。
吸蜜に専念しているようで、後脚の花粉籠は空荷でした。

フタモンアシナガバチPolistes chinensis antennalis)のワーカー♀とニアミスしても互いに無関心でした。


ニホンミツバチ♀@オオアワダチソウ訪花吸蜜

雛に虫や木の実を給餌し糞を巣外に捨てるコムクドリ♀(野鳥)



2018年6月中旬・午後16:24〜16:35


▼前回の記事
カエデ樹洞の巣に通って雛に給餌するコムクドリ♂(野鳥)

採餌から帰ってきたコムクドリSturnus philippensis)の親鳥♀が営巣木の近くの電線に止まりました。
コムクドリの成鳥は頬の色の有無で性別が見分けられるので、観察しやすくて助かります。
嘴に咥えていた獲物はカメムシでした。
臭気を発して身を守るカメムシの作戦はコムクドリ♀に対して効き目がなかったようです。


親鳥♀がジーッ♪と繰り返し鳴き続けているのは、私に対する警戒声なのでしょう。
巣で待つ雛に「ただいま、今帰るよ」と帰巣を知らせているのかな?
獲物を咥えながらでも鳴けるようです。(もしかして、鳴いているのは近くで見張る別個体の親鳥♂?)
電線からカエデ(イロハモミジ?)老木の枝を伝い下りて樹洞に近づくと、巣内から餌乞いする雛の騒々しい鳴き声が聞こえてきます。
給餌を済ませた親鳥♀は出巣すると再びすぐ横の電線に止まりました
ジーッ♪と警戒声を発した後、ジジジ♪と鳴きながら白っぽい糞のカプセルを口から吐き出しました。(@0:58)
豆のように見えたのですが、これはおそらく雛鳥が排泄した糞を捨てたのでしょう。(排糞行動)※ペリットを吐き出した可能性は?
コムクドリ♀はすぐに次の採餌へ飛んで行きました。

次に帰巣したとき、親鳥♀は何か虫を運んできたようです。
親鳥♀がカエデの横枝を伝って樹洞に飛び込む決定的瞬間が横から撮れて、ようやく巣の位置が判明しました。
巣内で雛の餌乞い♪が賑やかに聞こえてきます。
巣がある樹洞を正面から狙って撮りたくても、親鳥の警戒心が強くて下手に近づけない上に、カエデの木が生えている私有地に勝手に入る訳にはいきません。
少し離れた公道から撮るとなると、どうしてもアングルは限定されてしまいます。

その次に帰巣した親鳥♀は、嘴に何か赤くて丸い木の実を咥えてきました。
コムクドリはソメイヨシノなど桜の赤い果実を好んで雛に与えることが知られているので(‡追記参照)、おそらくそれでしょう。
電線から電線へ飛び移り、辺りの様子を見ながら少しずつ巣に接近します。
帰巣のタイミングを伺いながら、親鳥♀は脱糞しました(@2:13)。

給餌に通う親鳥の性別によって動画やブログ記事を分けましたが、実際には交互に巣へ通って(♂→♀→♂→♀→♀)給餌していました。
巣に出入りする前後にジュー、ジュー♪と警戒声を発し続けているのは、しつこく撮影する私に対してだけでなく、近所をうろついている飼い猫も警戒しているようです。

※ 動画編集時に自動色調補正を施しています。
コムクドリ営巣地のプライバシー保護のため周囲に一部モザイクをかけました。

つづく→



‡【追記】
山本明『コムクドリの子育てとサクラの実』によると、

・木の幹や枝にある穴を「うろ」といいます。コムクドリは、木のうろに巣をつくる鳥です
・ヒナが巣立った後の巣箱の中には、サクラの種子がたくさん残されていました。コムクドリはヒナも親もサクラのような実を食べると、外側の柔らかい部分(果肉)だけを消化して、内側の堅い部分(種子=たね)は30分以内に吐き出します。
・コムクドリは虫などもよく食べますが、雑食性の鳥であることが確認されました。
(上越鳥の会『雪国上越の鳥を見つめて』p21-24より引用)



【追記2】
藤岡正博、中村和雄『鳥害の防ぎ方』によると、毒のある果実の一例としてソメイヨシノ(バラ科)が挙げられていて驚きました。
実は6月頃に熟すが、青酸配糖体(アミグダリン)を含む。完熟すると毒が消えるのか、ムクドリなどには相当食べられている。(中略)ソメイヨシノの果実を食べて死ぬムクドリ(ほとんどが、その年生まれの若鳥)もよくあります。 (p164より引用)



【追記3】
吉川徹朗『フィールドの生物学25:揺れうごく鳥と樹々のつながり』を読むと、毒性の有無は簡単に決めつけられないと知りました。
アミグダリンという有毒物質はある種の液果に含まれている。これは哺乳類に対して有害であるが、北米のヒメレンジャクという鳥はなぜかその液果をたくさん食べる。採餌実験をおこなった研究では、ヒメレンジャクはアミグダリンを忌避せず、大量に摂取しても何も影響が見られなかったという。この事例が示すように、植物の毒素への感受性は動物の分類群によって大きく異なる可能性があり、鳥に対する影響を人間や哺乳類に対する毒性だけからは判断できない部分もある。(中略)毒に対する生き物の耐性はまだまだわからないことだらけだ  (p207-208より引用)




【追記4】 

ブルーバックス・シリーズの本『植物たちの戦争:病原体との5億年サバイバルレース』を読んでいたら、物騒なアミグダリンには植物が身を守る化学兵器という別の機能があることを知り、感動しました。

多くのバラ科植物に含まれる配糖体、アミグダリンは病原菌の侵入を受けると加水分解されて青酸を生じるポストインヒビチン(しぐま註:攻撃後に、簡単な化学変化を起こして合成される低分子の抗菌性物質)です。アミグダリンの場合、青酸が菌に毒性を示すと考えられています。(第3章「植物はどうやって病気から自らの身を守るのか」より引用)

コムクドリ♀(野鳥)@電線+餌運搬(カメムシ)
コムクドリ♀(野鳥)@カエデ樹上+餌運搬(桜の果実?)
コムクドリ♀(野鳥)@電線+出巣排糞後
近くをうろつくイエネコ


2018/09/03

オオバギボウシの花で化粧するフタモンアシナガバチ♀



2018年7月上旬

小雨がぱらつく午後、民家の花壇に咲いたオオバギボウシの群落でフタモンアシナガバチPolistes chinensis antennalis)のワーカー♀が訪花していました。

正当訪花せずに薄紫色の花筒の外側にとどまっているので、穿孔盗蜜するのかと期待して撮り始めたのです。

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ところが、フタモンアシナガバチ♀は身繕いしただけで飛び去ってしまいました。
私がもう少し早く蜂に気づいていれば、吸蜜シーンあるいは盗蜜の証拠映像が撮れていたかな?

※ 動画編集時に自動色調補正を施しています。


フタモンアシナガバチ♀@オオバギボウシ訪花+身繕い

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