ラベル 微速度撮影 の投稿を表示しています。 すべての投稿を表示
ラベル 微速度撮影 の投稿を表示しています。 すべての投稿を表示

2023/04/02

スギ林道の溜め糞場に来る生き物たち:9/13〜19の全記録【10倍速映像】

 

2022年9月中旬

里山の杉林道にニホンアナグマMeles anakuma)とホンドタヌキNyctereutes viverrinus)が共有している溜め糞場sがあり、トレイルカメラで長期間監視しています。 
この山林には昼行性の動物もいれば夜行性の動物もいて、秋の溜め糞場は千客万来です。 
9/13〜9/19の丸7日間の全記録を時系列順にまとめ、10倍速の早回し映像にしてみました。 

これまで私は登場する動物種ごとに切り分けて紹介していたのですが、時系列順にするとまた印象が変わる(違ったドラマが見えてくる)かもしれません。 
センサーカメラが起動してから1分間録画するタイマー設定にしているので、動物が居なくなってからも構わず1分間は律儀に撮り続けます。 
従来の報告ではカットしていた退屈な後半(動物の不在映像)も含めています。 

早回し映像に加工すると、溜め糞に集まる糞虫の活動や離合集散がよく分かるようになります。 
引きの絵で撮ると糞虫の動きは緩慢なので、等倍速映像ではどうしても糞虫の存在を見落としがちです。
カメラの誤作動で録画された謎のボツ映像も、よく見直すと糞虫が写っていたりします。 
新鮮な糞塊を糞虫たちがせっせと地中に埋めて食べてくれるおかげで、森の中はきれいに保たれているのです。 
逆に糞虫の活動が落ちると、地上に残る溜め糞の規模は大きくなります。 
ちなみに、街なかで飼い犬や野鳥の糞が大問題になるのは(糞害問題)、現代人が勝手な都合で地面をアスファルトやコンクリートで埋め立てたり殺虫剤を撒いたりした結果、掃除屋の糞虫が活躍できないよう締め出したからに他なりません。 

他にも得体のしれない虫たちが林床を日夜動き回っていることが分かります。 
そうした糞虫などを捕食しようと、次は野鳥たちが溜め糞場に通って来ます。 

夜になると野ネズミが活動します。
種子散布の本に書いてあった通りに、溜め糞に含まれる未消化の種子や糞虫を野ネズミが食べるのではないか?と期待したのですが、そのような決定的な証拠映像はなぜか未だ撮れていません。
正直に言うと、本の記述(先人たちの研究結果)に疑いを持ち始めています。
私の見ているフィールドは他と何が違うのでしょう?

タヌキとアナグマは少し離れた地点に排便していた(平和に棲み分け)のですが、ある日アナグマが急にタヌキの溜め糞場のすぐ横に対抗するように排便しました。 
糞便による2種間の勢力争いも興味深いドラマです。

教科書に書いてあるような、溜め糞場を巡る生態系や食物連鎖、生物多様性を身近なフィールドで実際に目の当たりにすると感動します。 

この撮影手法はやって来る動物次第なので、撮影間隔がどうしても不定期になってしまいます。 
糞虫の日周活動を本格的にタイムラプス動画で記録するのなら、静止画でインターバル撮影(例えば5分間隔)する設定にしても面白いかもしれません。 
ただし、そうすると今度は恒温動物(哺乳類と鳥類)が滅多に写らなくなってしまうでしょう。 
動画用とインターバル写真撮影用と2台のトレイルカメラを併設できれば理想的です。 

2023/03/05

センチコガネがタヌキの糞を巣穴にせっせと運び、戸締まりして中に籠もるまで【10倍速映像】

 



2022年9月中旬・午後12:05〜12:25・晴れ・気温30℃ 

スギ林道上に残されたホンドタヌキNyctereutes viverrinus)の溜め糞をセンチコガネPhelotrupes laevistriatus)が横の巣穴にせっせと運び込んでいます。 
その仕事ぶりをタイムラプスで記録したかったのですが、あいにくこの日は三脚を持参していませんでした。 
仕方がないので、カメラを地面に置いてローアングルで微速度撮影することにします。 
適当な小石をカメラの下に敷いて少し斜めに固定し、センチコガネの巣口に狙いを定めます。 
10倍速の早回し映像をご覧ください。 

タヌキの糞塊を少しずつ糞玉にして巣穴に搬入するためにセンチコガネは何度も往復しています。
巣内でセンチコガネが移動するとスギの落葉がモコモコと上下動するので、深い巣穴というよりも浅い隠れ家なのかもしれません。 
後半になるとセンチコガネは巣口を中から糞玉で塞ぎました。 
1日分の充分な食料(獣糞)を溜め込んで(貯食)満足したのでしょう。 

撮影後に糞虫を採集して性別を調べるつもりだったのに、後半になるとセンチコガネは巣穴に篭もって外に出て来なくなってしまいました。 
私の殺気を感じて隠れた可能性もありますが、時間帯が午後になると貯食活動を停止して巣内に籠もり、幼虫のために糞玉を加工したり自分の食事に専念したりするのでしょう。 
糞虫の巣穴を発掘調査するにはミニスコップも必要ですね。 

センチコガネが勤勉に働いている間、キンバエの仲間やキバネクロバエ?など多数のハエもタヌキの溜め糞を吸汁しに群がっていました。 
更に、そのハエ類を狩って捕食しようとサビハネカクシOntholestes gracilis)やアカバトガリオオズハネカクシ(旧名アカバハネカクシPlatydracus brevicornis)が溜め糞上をうろついて虎視眈々と獲物を待ち伏せしています。 

白っぽいザトウムシの一種がタヌキの溜め糞を何度か横切りました。 
溜め糞場そのものには特に用が無いようで、素通りしただけです。 
カマドウマの一種も溜め糞を通過しました。 
他には多数のアリも徘徊しています。 

余談ですが、溜め糞場で私が長撮りしている間、周囲の森から何か硬い物をガリガリ齧る音が延々と響き渡り、気になりました。 
残念ながらカメラの仕様で微速度撮影では音声が録音されません。 (無音)
現場から少し離れた斜面(スギ植林地の端)に自生するオニグルミの木で野生動物が堅果(クルミの実、落果?)を齧る音だろうと想像がつきます。
もし万一イノシシやクマだとニアミスが怖いので、こっそり様子を見に行くのは自重しました。 
後になって思えば、リスの仕業だったのかもしれません。 

2023/01/25

夜の溜め糞場で活動する糞虫たち【5倍速暗視映像:トレイルカメラ】

 

2022年8月下旬 

里山の林道に残されたタヌキとアナグマの溜め糞場sをトレイルカメラで見張っていると、監視映像にときどき糞虫の活動が記録されています。 
本来、変温動物の糞虫がいくら動き回ってもカメラのセンサーは反応しないはずです。 
たまたま恒温動物(哺乳類と鳥類)が通りかかったときに、糞虫が写り込んでいるときがあるのです。 
引きの絵では糞虫の動きが遅過ぎて分かりにくいので、5倍速の早回し映像に加工しました。


シーン1:8/22・午後23:45・気温22℃ 
自動撮影カメラが何に反応して起動したのか不明です。 
別アングルのトレイルカメラをチェックすると、この時刻にカモシカが写っていたのですが、こちらのカメラの死角を通ったようです。 

赤丸で囲った画面の中央に注目して下さい。 
スギの落葉が敷き詰められた林道上を、黒っぽい糞虫(種名不詳:センチコガネの仲間か?)がアナグマの溜め糞に向かって歩いています。 
辿り着く前に、トレイルカメラの録画タイマーが切れてしまいました。 


シーン2:8/23・午後19:45頃・気温25℃ (@0:14〜) 
ニホンアナグマMeles anakuma)の顔黒個体が登場し、溜め糞場sをうろついてから帰りました。
関連記事(等倍速の映像はこちら)▶ 同じ日に溜め糞場を別々に訪れる2頭のニホンアナグマ(顔白、顔黒)【トレイルカメラ:暗視映像】

赤丸で囲ったホンドタヌキNyctereutes viverrinus)の溜め糞の上を黒っぽい糞虫(種名不詳:センチコガネの仲間か?)が活発に動き回っています。 
後半(@0:36〜)になると、左から別の黒い甲虫がタヌキの溜め糞に向かって歩いて来ました。 
辿り着く前に尻切れトンボに終わったのは残念でした。 

糞虫は餌から発する糞便臭に誘引されてまっしぐらに集まってくるようです。
暗闇ですから、視覚頼りではなく触角の嗅覚による化学走性と思われます。
いつも歩いて溜め糞に向かっています。
本に書いてあるような、糞虫が飛来するシーンはなぜか一度も見たことがありません。

溜め糞に集まる糞虫を狙って捕食する動物や野鳥がいるのではないかと予想しているのですけど、決定的な捕食シーンの証拠映像がなかなか撮れません。


【追記】
中村圭一『たくましくて美しい 糞虫図鑑』を読んで知ったのですが、たとえばゴホンダイコクコガネという糞虫は夜行性なのだそうです。
私は未だ見つけたことがありません。


2023/01/21

アカタテハの蛹化【10倍速映像】

 

アカタテハの飼育記録:2022年#9

前回の記事:▶ アカタテハ前蛹の蠕動【100倍速映像】蛹化前の眠状態


2022年8月下旬・午前7:10頃・室温25℃ 

アカタテハVanessa indica)が前蛹になってから約12時間後、ようやく脱皮が始まりました。 
偶然かもしれませんが、部屋のカーテンを開けて朝日が射したことが蛹化の引き金になったのかな? 
撮影用のUSBリングライトを夜通しで前蛹に煌々と照らしていたので、光量の変化はあまり関係ない気がします。 

前蛹の蠕動運動が激しくなると、胸背が割れて抜け殻が腹端の方に送られていきます。 
蛹化殻を振り落とすために激しく暴れました。 
落ちた抜け殻はすぐ下のクサコアカソの茎に引っかかりました。 

これでアカタテハは垂蛹となりました。
しばらくは自発的に蠕動し、次第に変色します。

つづく→#10:? 
これ以降は以前に撮影済みなので、観察がおざなりになってしまいました。 



2022年9月上旬 
蛹化してからわずか7日目にアカタテハ成虫が室内で無事に羽化しました。 
過去の経験から、てっきり10日かかると思い込んでいたので、油断していました。 
残暑で室温も高く、完全変態に必要な積算温度が早く達成できたのでしょう。 
垂蛹の色の変化で羽化の前兆(翅の色が透けて見えるようになる)に気づかなかったのは不覚です。

2023/01/19

アカタテハ前蛹の蠕動【100倍速映像】蛹化前の眠状態

 


アカタテハの飼育記録:2022年#8 




2022年8月下旬

クサコアカソの葉裏に腹端で懸垂して前蛹となったアカタテハVanessa indica)は、みん状態でも実は自発的に激しく蠕動しています。 
蛹化の瞬間を見落とさないように、夜通しで微速度撮影を続けました。 
100倍速の早回し映像をご覧ください。 
まるで激しく痙攣しているようです。
ヒトも入眠時にビクッと大きく痙攣することがありますが、そのジャーキング現象を連想しました。(実際には無関係です)
これからいよいよ蛹になります。


 

↑【おまけの映像】 
素材となった元々の10倍速映像をブログ限定で公開しておきます。 

2023/01/18

タヌキの溜め糞を分解する糞虫たちの活動【10倍速映像】(オオセンチコガネ、センチコガネ、エンマコガネ?など)

 

2022年8月下旬・午前11:30〜午後12:15頃・くもり・気温25℃ 

里山のスギ林を抜ける林道にホンドタヌキNyctereutes viverrinus)の溜め糞場sがあります。 
糞の鮮度は古くなっていたものの、この日は多数の糞虫類が集まっていました。 
まず目につくのは、赤紫のメタリックカラーに輝くオオセンチコガネPhelotrupes (Chromogeotrupes) auratus auratus)です。 
その体表を白っぽいダニが徘徊していました。
近くで、地味な藍色のメタリックカラーをしたセンチコガネPhelotrupes laevistriatus)も活動していました。 

溜め糞の横に三脚を立てて、糞虫たちの活動を微速度撮影してみました。 
ここを終日監視しているトレイルカメラの電池を交換する作業のついでです。 
10倍速の早回し映像をご覧ください。(@1:52〜) 
鬱蒼と育ったスギ林の林床は昼下がりでもかなり薄暗いので、予めカメラの設定でゲインを上げてから撮影しました。 

センチコガネ類は食糞するだけでなく、溜め糞の中に潜り込んだり出てきたり、地表下にトンネルを掘り進めたりしています。 
その結果、溜め糞はよく耕され撹拌され、分解が進みやすくなります。 
獣糞が新鮮な場合はセンチコガネ類が小さくちぎり取って地中にどんどん埋めるのですが、糞の鮮度が落ちたこの日はそのような活動は見られませんでした。 
タイムラプス映像で見ると、溜め糞自体がモコモコと上下に地殻変動しています。 
地下の浅い所で糞虫が何匹もトンネルを掘って活動しているのだと推測できます。 
表に見えるよりも溜め糞に集まっている糞虫の数が多いのでしょう。 
センチコガネ類が溜め糞場でニアミスしても、配偶行動や争いなどは始まりませんでした。 
糞虫だけでなく、多数の微小な白いダニが溜め糞上を這い回っています。 

明らかに別種と分かる小型の丸っこい糞虫(エンマコガネ?)も活動していました。 
せめて1匹だけでも採集して、同定すべきでしたね。 
しかしなかなか獣糞の上に現れてくれないので、採集のチャンスがありません。 
なりふり構わず溜め糞をほじくり返してエンマコガネ?を必死で探すべきなのですけど、今季の私は動画撮影を優先しているので、溜め糞を人為的に乱したくありません。

2023/01/17

アカタテハ終齢幼虫が葉裏にぶら下がって前蛹になるまで【10倍速映像】

 

アカタテハの飼育記録:2022年#7 



2022年8月下旬・午後19:10頃・室温25℃ 

クサコアカソの葉裏で静止していたアカタテハVanessa indica)の終齢幼虫の微速度撮影を続けると、前蛹になる瞬間を記録することが出来ました。 
10倍速の早回し映像をご覧ください。 

葉裏にしがみついていた終齢幼虫の歩脚の握力が次第に失われ、遂に最後の胸脚を離すと腹端からぶら下がりました。 
これに備えて、腹端を固定する場所に予め絹糸を敷き詰めて白い座布団のような足場を作っていたのです。
これから脱皮して蛹になるまでの状態を前蛹と呼びます。 

私もようやく飼育幼虫のための食草調達から解放されました。



2023/01/13

蛹化前に隠れ家を作るアカタテハ終齢幼虫【30倍速映像】

 

アカタテハの飼育記録:2022年#5 



2022年8月下旬・午前〜午後・室温24℃ 

早朝にアカタテハVanessa indica)終齢幼虫の様子を見ると、巣材の葉を全て食べ尽くし、太い茎に下向きにしがみついていました。 
隣の果穂を食べながら寝落ちしてしまった様子。 
巣材の果穂は食べ残していました。 



やがて目覚めた幼虫は、隣の小葉の葉裏に移動すると、蚕食開始。 
飼育下では風も吹きませんし、天敵どころかアリすらもやって来ない安全な環境です。
過保護に飼育すると、アカタテハ幼虫は油断して巣作りを手抜きするようになるのでしょうか? 
造巣行動を観察するために飼育している私としては、困ってしまいます。 

ようやく隠れ家を作り始めたので、午前9:30頃から微速度撮影で記録開始。 (動画はここから)
30倍速の早回し映像をご覧ください。 
前回よりも少し下の位置で造巣を始めました。 
周囲にあるクサコアカソの葉や果穂に何本も絹糸を架けて引き寄せます。
赤い茎(葉柄)が固いときには、噛み傷を付けて曲げ易く加工します。 
これはトレンチ行動からの転用です。

周囲に糸を粗雑に張り巡らせただけで、しっかりした巣は未完成なのに、アカタテハ幼虫は葉裏で大休止に入りました。 
頭部を上に向けています。 
絹糸腺が枯渇してしまったのでしょうか?
この個体は体内寄生されてるのではないか?という心配が頭をよぎります。 
素人目にはなんとなく、脱皮前または蛹化前のみんに入った気がします。 
この段階ではまだ終齢とは分かっていません。 
無防備な眠の期間にアリが近寄らないように絹糸で結界を張っているのかな? 
飼育環境下ではアリが居ないので、巣を簡素化したのかもしれません。(手抜き工事) 
蛹化するために、それ専用の特別な巣を作ったという訳でもありません。 
野外で見つけるアカタテハの蛹は一般にしっかりした隠れ家の中に潜んでいるからです。 
関連記事(2年前の撮影)▶ 巣の無い無防備なアカタテハ垂蛹の威嚇行動 

福田晴夫、高橋真弓『蝶の生態と観察』によると
 イラクサ科植物を食草とするアカタテハは、幼虫時代に使用して食痕のついた葉(袋状の巣)を出て、新しい巣をつくり、そのなかで蛹化する。 食痕か糞を目当てに寄主や食物を探す天敵に対応した習性であろうか。(p76より引用)



 
 ↑【おまけの映像】 
同じ素材の元々の10倍速映像をブログ限定で公開します。 

2023/01/04

クサコアカソの葉を糸で綴って巣を作るアカタテハ終齢幼虫【30倍速映像】

 

アカタテハの飼育記録:2022年#1 



2022年8月下旬・夕方〜深夜・室温23〜24℃ 

前日に里山で採集してきたアカタテハVanessa indica)の終齢幼虫のために、新鮮な食草を採取してきました。 
農薬散布の影響が無さそうな自生地として、平地の用水路沿いにわんさか生えているクサコアカソの群落を選びました。 
虫食い(食痕)の無い3株の茎を切って現場で水切りし、家に持ち帰りました。 
早速、アカタテハ終齢幼虫を新鮮な食草クサコアカソに移してやりました。
アカタテハ幼虫の棘に触れても全然痛くないのですが、飼育中の幼虫には素手で触れず、柔らかな筆を使うようにしています。 



幼虫は株の上部に移動してから、小さな若い葉を絹糸で綴って隠れ家を作り始めました。 
巣作りの一部始終を微速度撮影してみました。 
30倍速の早回し映像をご覧ください。 
自分の周囲にある小葉や果穂に絹糸を何本も張り巡らせ、その張力で次第に巣材を引き寄せ、互いに綴り合わせます。 

赤い葉柄が固くて巣材として加工しにくい場合には、茎の一部を大顎で齧って切れ込みを入れ、曲げやすくしています。 
茎や葉柄を噛み切って完全に切り落とさないのがポイントで、薄く皮1枚残しておけばやがて茎の先端部は萎れて柔らかくなります。 
これは食前のトレンチ行動も兼ねているのでしょう。

【参考文献】 
チョウの行動生態学 (環境Eco選書)』という専門書の第1章「幼虫の行動」に井出純哉「アカタテハの巣作り行動」と題した総説が収録されていて、とても勉強になりました。 
原著論文はこちら。
Ide, Jun-Ya. "Leaf trenching by Indian red admiral caterpillars for feeding and shelter construction." Population Ecology 46.3 (2004): 275-280.
作業の合間にお腹が空くと、アカタテハ幼虫は巣材をときどき齧っています。 
巣内に下半身を隠しながら上半身を一杯に伸ばして、巣の近くにある葉をときどき食べています。 
クサコアカソの葉縁からきれいに食べ進むのが目的ではなく、あくまでも巣作り工程のついでに巣材のあちこちをつまみ食いしているようです。 
巣内で休憩(食休み? 大休止)することもあります。 

出来上がった隠れ家(シェルター)は隙間だらけのゆるゆるで、天敵(捕食者および寄生者)に対する要塞というよりも、ただの目隠し(ブラインド)にしかなりません。 
アカタテハ幼虫がオトシブミのように巣を隙間なくきっちり(堅牢に)作り込まないのは、手間がかかるのと、却って天敵に目立ってしまうからだと思います。 
食草の群落でなるべく違和感がない巣を作る必要があります。 

カラムシの群落でアカタテハ幼虫が巣を作ると、白色の葉裏が表側になり、逆に目立ってしまうことが知られています。 
今回、巣を構成するクサコアカソの葉は必ずしも裏面を外側に向けてはいませんでした。 
クサコアカソはカラムシほど裏表で葉の色が変わりませんから、隠れ家の存在はあまり目立ちません。 
次回はカラムシを食草として与えて巣作りを改めて観察してみるつもりです。 
(近所にカラムシの群落が無いので、調達が難しいのです。) 

【参考サイト】 
アカタテハの観察日記2@晶子のお庭は虫づくし 


鱗翅目の幼虫で隠れ家(巣)を作るのは一部の種だけです。 
繭を紡ぎ始める前から巣作り用の絹糸腺に栄養を投資する必要があるとすれば、巣を作らない他種の蝶や蛾の幼虫よりもアカタテハは成長が少し遅れると予想されます。 



関連記事(2年前の撮影)▶ アカタテハの飼育記録:2020年


造巣開始

以下の写真は、完成した巣を色んなアングルで撮影したものです。







2022/11/19

アナグマとタヌキの溜め糞に向かって歩く夜行性の糞虫【トレイルカメラ:暗視映像:5倍速】

 

2022年7月下旬 


里山にあるスギ林道上でホンドタヌキNyctereutes viverrinus)とニホンアナグマMeles anakuma)が共有している溜め糞場sをトレイルカメラ(自動撮影カメラ)で長期監視しています。 
林道上に転がっている長いスギ落枝のすぐ右隣(画面中央)に黒々と見えるのがアナグマの糞塊で、落枝の左下にあるのがタヌキの糞塊です。 
夜に記録された暗視映像の中で、糞虫の活動をまとめてみました。 
変温動物の糞虫が暗闇で動き回ってもトレイルカメラは反応しませんが、恒温動物(哺乳類)がたまたま林道を通りかかると熱源の動体検知センサーによって監視カメラが起動します。 

シーン1:7/21・午後22:07 
スギの落葉が大量に散乱している林道上を黒くて小さな謎の甲虫がゆっくり歩いていました。(赤い矢印に注目) 
5倍速の早回しでまずはご覧ください。(@0:00〜) 
後に等倍速でリプレイ。(@0:41〜) 
アナグマが排泄した溜め糞に向かっているようですが、到着前に録画が切れてしまい残念。
おそらく糞虫の仲間がアナグマの糞便臭に誘引されてきたのでしょう。 


シーン2:7/23・午前2:30 
2日後の深夜、カメラが何に反応して起動したのか不明です。 
林道を右から歩いて来た謎の甲虫がアナグマの溜め糞に到着しました。(赤い矢印が示す黒点に注目) 
5倍速の早回しでまずはご覧ください。 (@0:20〜) 
後に等倍速でリプレイ。(@2:08〜) 


シーン3:7/29・午後19:36  
更に6日後の晩、何が原因でカメラが起動したのか謎です。 
5倍速の早回しでご覧ください。(@3:41〜) 
林道上の巣穴から出てきた虫がタヌキの溜め糞に向かって歩いています。 (赤い矢印で示すのを忘れました…。)
地面がスギの落葉に覆われていて、かなり歩きにくそうです。 
糞塊に辿り着く前に残念ながら尻切れトンボになってしまいました。 



アナグマの糞に来る糞虫と、タヌキの糞に集まる糞虫では、種類が微妙に異なるのでしょうか? 
嗜好性があるのなら面白い話です。 
単純に糞の鮮度の問題かもしれません。

夜行性の糞虫が溜め糞に飛来するシーンはトレイルカメラで未だ撮れたことがありません。 
いつも必ず林床を歩いて溜め糞に向かいます。 
糞虫に関する本を読むと、「夜でも糞塊に飛来する」と書いてあるのですが、私のフィールドでは確認できていません。
新たに飛来した個体ではなく、近くに巣穴を構えている個体が夜も歩いて糞塊に通っているのでしょう。
夜に現場入りして糞虫の活動を直接観察したいところですが、この林道をツキノワグマが往来することが判明したので、無理は出来ません。 

徘徊性の甲虫にとって長いスギ落枝が障壁になっている可能性があります。 
例えば「糞転がし」をするオオセンチコガネは、道中にある太い落枝が障害物となり、乗り越えることができません。 
落枝を境にアナグマとタヌキが反対側に(少し離れて別々に)溜め糞を形成しています。 
夜行性の動物が暗闇でこの落枝に躓いたり、野ネズミが長い落枝を蛇だと勘違いしてパニックになったりしています。 
自然界の営みに私はなるべく介入したくないのですけど、後日この長いスギ落枝を林道上から取り除きました。



2022/11/12

タヌキの溜め糞場に浅いトンネルを掘って隠密行動するオオセンチコガネ【10倍速映像】

 

2022年7月下旬・午後14:30〜15:05頃・
前回の記事:▶  
タヌキの溜め糞場から糞の欠片を後ろ向きに転がして運ぶオオセンチコガネ 
トレイルカメラが捉えたオオセンチコガネの糞転がし行動【5倍速映像】

ホンドタヌキNyctereutes viverrinus)とニホンアナグマMeles anakuma)が共有している溜め糞場sをトレイルカメラで監視しています。 
カメラの電池を交換するために現場入りすると、タヌキの糞が残されていました。 
黒い泥状の下痢便が乾きかけています。 

ピンク(赤紫)の金属光沢に輝くオオセンチコガネPhelotrupes (Chromogeotrupes) auratus auratus)が1匹だけ溜め糞場sで活動していました。 
私が近づくとノソノソ歩いてスギ落葉の下に潜り込み、隠れてしまいました。 
スギ落ち葉の下におそらくオオセンチコガネの巣があるのでしょう。 
その後、地表には現れませんでした。 
どうやら見に来る時間帯が遅過ぎたようです。 
他にはニクバエの仲間やメタリックグリーンのキンバエの仲間が糞塊に集まっています。 

スギ林の薄暗い林床でときどき溜め糞がモコモコと上下動するので、糞虫が地中で活動していることは間違いありません。 
私がトレイルカメラの電池交換をしている間に、溜め糞の横に三脚を立てて微速度撮影してみました。 
10倍速の早回し映像をご覧ください(@0:24〜)。 

溜め糞から飛び去ったイチモンジチョウが戻って来ることを期待したのですが、予想は外れ、長撮りしても戻りませんでした。
▼関連記事(同所同日に撮影) ホンドタヌキの溜め糞から吸汁するイチモンジチョウ
ハエ類が集まりタヌキの糞を舐めているだけかと思いきや、タイムラプス映像を見直すと意外に面白い活動が繰り広げられていました。 
画面の奥(上)にあるスギ落葉の下から赤紫のオオセンチコガネが地表直下の浅いトンネルを掘り進めて糞塊の下に忍び寄り、地表に姿を現しました。 
スギ落葉の下を徘徊してから、糞の下に潜り込みました。 
糞塊の右上など他の場所でも地面がモコモコと動いているのは、別個体の糞虫がトンネル内で活動しているのでしょう。 
リアルタイムの観察では気付けなかった(見落としていた)現象です。 
通りすがりに溜め糞を一瞥しただけでオオセンチコガネが居ないと判断するのは軽率なのだと分かりました。
溜め糞をほじくって真面目に糞虫を探す必要があるのですが、今季の私は動画撮影を優先することに決めているので、現場を乱したくありません。

昼間のオオセンチコガネは、野鳥などに捕食されないようにトンネル経由で糞の欠片を自分の巣穴へ運搬しているのかもしれません。 
天敵対策だとすれば、もっと長時間の微速度撮影をしたら、地表に糞虫の姿が見えなくても糞塊は徐々に減る様子が記録されるはずです。 
溜め糞場の近くでウロウロしている私を警戒してオオセンチコガネが地表に出てこないのだとしたら、捕食圧が高いことが予想されます。 
溜め糞場に通う野生動物や野鳥が糞虫を捕食したら面白いのですけど、トレイルカメラにそのような決定的瞬間が写るかどうか、楽しみです。

 舘野鴻『うんこ虫を追え(たくさんのふしぎ2022年6月号)』によると、
オオセンチコガネが活発に活動するのは、春と秋でした。もし春の観察に失敗すると、次の秋まで待たなければなりません。時間はあっという間にすぎていきました。(編集部より)
夏はオオセンチコガネの活動が低調なのでしょうか? 
この本の筆者と私は観察フィールド(地域と植生)がかなり違いますし、調べ方のアプローチも違います。
本に書いてあるオオセンチコガネの習性がどれだけ一般的なのか分かりません。 
実は、この本に書かれた筆者の(暫定的な)結論にちょっと納得できない(私の観察結果とずれている)点がいくつかあるのです。
例えば、この本では傾向としてセンチコガネの生息地が森林性でオオセンチコガネが草原性だと書いています。(棲み分け仮説)
今回私が観察している溜め糞場sは山林にあります。
また、雑食動物であるアナグマやタヌキの糞を与えてもオオセンチコガネは巣内で育児塊を作らなかった、と同書には記されています。(作るのはシカやウシなど草食動物の糞を与えたときだけ。)
私はタヌキの溜め糞でセンチコガネとオオセンチコガネを見つけたものの、アナグマの溜め糞では未だ見つけたことがありません。
私がこれまで夏に観察してきたのは、オオセンチコガネの成虫が獣糞から育児塊を作るためではなく、成虫が自分で獣糞を食べるための貯食活動なのかな?
偉大な先人の観察記録をありがたく参考にさせてもらいますが、結局のところ、自分のフィールドのことは自力で解明するしかありません。 
私は未だ糞虫の観察歴が浅いので、追試するだけで何年もかかりそうです。
オオセンチコガネが巣穴の奥でタヌキの糞を材料として育児塊を作ったかどうか、今季の私は発掘調査で確認できていません。 
本格的に調査するなら、山中でも牧場など糞虫の個体数が多いフィールドを選ぶべきかもしれません。

つづく→

2022/11/08

2022年8月3日〜4日:集中豪雨による最上川上流域の水位変化【100倍速・トレイルカメラ暗視映像】

 

2022年8月上旬・大雨
気象庁は3日午後7時15分、山形県に『大雨特別警報』を発表しました。山形県で出されるのは、初めてです。大雨特別警報が出されたのは、米沢市、長井市、南陽市、高畠町、川西町、飯豊町の6つ。
川沿いの獣道を監視するために設置したトレイルカメラ(自動撮影カメラ)の安否を確かめに行くと、奇跡的に水没を免れていました。 
最上川の堤防が決壊した水害地域よりも上流の左岸です。 


トレイルカメラが記録していた動画の総撮影時間は1.5時間。 
インターバル撮影した訳ではなく、激しく動く川面や風で揺れる枝葉などでカメラのセンサーが頻繁に誤作動した結果です。 
大雨・増水時の野生動物の動向が気になるところですが、まずは急激な水位変化が分かりやすいように、100倍速の早回し映像に加工しました。 
もともと夜行性の野生動物を記録するために設置したので、タイマー設定で昼間は撮っていません。 
画面左が上流で、川の水は右に向かって流れています。

カメラを固定していたニセアカシアの木というのが水際に立っていたのです。
以前の増水で根際の土がごっそり流出しており、トンネルのようにえぐれていました。 
地盤がもともと不安定になっていたはずなのに、今回の増水でもニセアカシアの木が倒伏・流失せずに立っていたのには驚きました。 
映像を見ると、川の激流に洗われてもカメラを固定したニセアカシアの木はびくともせずに頼もしく耐えています。 
大風が吹いたら揺れるのに、今回の増水した川の水流では揺れませんでした。 

カメラが浸水しなかったということは、最大水深は150cmに達していないことになります。 
画面の手前から奥に向かって緩やかな上り坂の護岸となっていて、コンクリートのブロックが敷き詰められていました。
その斜面を登った先が河畔林(ニセアカシア、オニグルミ、柳など)と河川敷になっています。
その更に奥には、町を守る本格的な堤防が作られています。
この上流域では幸い、いわゆる河川敷までは冠水せず、堤防も決壊していません。 
停滞する線状降水帯がもたらした8月2日12時から8月3日19時までの降り始めからのアメダス総雨量は140mm(速報値)だったそうです。 
川の水位が下がるのも早く、4日にはすっかり収まっていました。 

次回からは、川辺の生き物が大雨の晩をどう過ごしたのか、トレイルカメラに写った映像をピックアップして紹介していきます。 

つづく→

 

↑【おまけの映像】
早回し加工しないで、素材をただ繋げただけの長編動画(1:29:43)をブログ限定で公開しておきます。
8/3 午前3:47に撮り始めたときには雨が未だ降っていません。
次に撮れた午後20:20には叩きつけるような大雨が降っていて、コンクリートブロック護岸の半分の高さまで川の水面がひたひたと迫っていました。
ゴーッという川の音が恐ろしげに聞こえ、流木が次々に流れて来ます。
護岸を横切る獣道は既に完全に水没しています。
カメラを少し斜め下に向けていたので、レンズに雨がかからずクリアに撮れました。
川の水位がみるみる上昇し、コンクリート護岸の上端から溢れそうになる寸前で低下に転じました。
撮り終わりは8/4 午後19:14。

2022/11/01

トレイルカメラが捉えたオオセンチコガネの糞転がし行動【5倍速映像】

 

2022年7月下旬・午後13:45頃・晴れ
前回の記事:▶ タヌキの溜め糞場から糞の欠片を後ろ向きに転がして運ぶオオセンチコガネ

タヌキの溜め糞場sから私が立ち去る動きに反応して、横に設置してあるトレイルカメラが起動しました。 
その動画にたまたま、オオセンチコガネPhelotrupes (Chromogeotrupes) auratus auratus)の行動が引きの絵で記録されていました。 
赤い矢印の地点に残されたホンドタヌキNyctereutes viverrinus)の糞塊に注目してください。 

赤紫の金属光沢に輝くオオセンチコガネが林床の巣穴から出て来ると、近くの糞塊を崩し、欠片を後ろ向きに転がして巣穴に運び入れました。 
5倍速の早回し映像でまずはご覧ください。 
つづいて等倍速でリプレイ。 
溜め糞をせっせと片付ける糞虫の活動を、次回は本格的に微速度撮影してみたくなりました。

変温動物の糞虫が動き回っても、トレイルカメラが動体検知することはありません。 
しかし恒温動物が獣道を通りかかった際に溜め糞上の糞虫の行動がついでに記録されることがあると分かりました。



2022/10/07

川沿いの獣道をミミズが深夜徘徊【トレイルカメラ:暗視映像:10倍速】

 

2022年7月中旬・午後23:27 

コンクリート・ブロックが敷き詰められた川沿いの護岸を監視しているトレイルカメラ(自動撮影カメラ)に意外な珍客が写っていました。 
真夜中に大きな(太い)ミミズの一種が右から左へ(川沿いを上流へ)蠕動運動でゆっくり移動していました。 
初めは10倍速の早回し映像をご覧ください。 
※ 動画編集時に自動色調補正を施して明るく加工しています。 
続けて等倍速でリプレイ(@0:12〜)。 
雑草に隠れてミミズの全身がなかなか見えません。 

ミミズは変温動物のはずなのに、どうしてトレイルカメラが熱源を動体検知して起動したのか不明です。 
野ネズミなどの恒温動物が走り去った後に一拍遅れて起動したカメラにたまたまミミズが写っただけだと思います。 
サーモグラフィカメラでミミズの蠕動運動を撮れば、実は発熱していると分かるかもしれません。 

ここは様々な野生動物が夜な夜な往来する獣道になっています。 
夜行性のタヌキやハクビシンが常に頭を下げて地面の匂いを嗅ぎながらパトロールしていますから、ミミズを見つけたら捕食しているはずです。 
ニホンアナグマはミミズが大好物らしいのですが、ここではトレイルカメラに写ったことはありません。 

【参考資料】 
・『谷戸山里山四季だより2001年3月号』PDF
タヌキは典型的な雑食性でネズミやカエル、ミミズ等の小動物やドングリ等の木の 実、野菜、人の出した残飯等の生ゴミも食べます。
・『ハクビシンの生態と対策』PDF
食性:果実が中心の雑食性で、果実の他に昆虫類、ミミズ、小魚、トカゲ、ネズミなどを捕食します。
・『熊について』2007.9.21 大友純平 PDF
 ツキノワグマの主な食べ物は、「山菜」「コナラ・ブナやクリなど木の実」「アケビや柿などの果樹」「カエルやミミズ」「アリ・ハチやカブトムシの幼虫などの昆虫」、動物やその死がいも食べますが、生きた動物を捕まえて食べることよりも植物に重点を置いた食生活です。

2022/06/27

ミールワーム幼虫は発泡スチロールを食べるか?【飼育67日目:10倍速映像】

 

2019年3月下旬〜5月下旬 

熊澤辰徳『趣味からはじめる昆虫学』という本を読んでいたら、面白い話を知りました。
チャイロコメノゴミムシダマシ Tenebrio molitor の幼虫(ミールワーム)は発泡スチロールを食べて分解できることが知られています。 (p123より引用) 
Yang, Yu, et al. "Biodegradation and mineralization of polystyrene by plastic-eating mealworms: Part 1. Chemical and physical characterization and isotopic tests." Environmental science & technology 49.20 (2015): 12080-12086.
wikipediaにも次のような記述を見つけました。
2015年には、ミールワームに発泡スチロールを食べて分解する能力があることが、スタンフォード大学の研究者チームによって発見された。発泡スチロールはミールワームの腸内微生物によって堆肥と二酸化炭素に分解され、排出されていることが分かっている[1][2]。
発泡スチロールは日常生活に欠かせない便利な素材ですが、使用済み発泡スチロールの処理が問題になります。
燃やすと有害なガスを発生しますし、不燃ごみとして埋め立てられると永遠に残り続けると考えられていました。
つまり、発泡スチロールは生分解性が無いと長らく考えられていたのです。
発泡スチロールを食べて分解できる生物がいるとしたら、画期的な発見です。
疑り深い私は、自分で実験してみることにしました。 

ありあわせの発泡スチロールの箱を切り刻んでタッパーウェア容器にぎっしり敷き詰めてから、ペットショップで購入したチャイロコメノゴミムシダマシTenebrio molitor)の幼虫(=ミールワーム)を約50匹投入しました。 
他には餌も水も一切与えていません。 
ちなみに、ミールワームには通常、おが屑のような「ふすま」(小麦を脱穀した残りカス)を与えて飼育します。

そのまま室内に放置して67日目の記録です。 
容器の蓋を開けてミールワームの活動を微速度撮影してみました。 
10倍速の早回し映像をご覧ください。 
死骸も少しあるものの、幼虫が未だ結構生き残っています。 
(画面に写っていませんが、ミールワームは光を嫌うので、発泡スチロールの床の下に潜り込んで隠れている個体が多数います。)
発泡スチロールを食べて育ったということでしょうか? 
もっと虫食い穴だらけになるかと期待したのですが、それほどではありませんでした。
辺りに散乱している粉末はミールワームの排泄した糞でしょう。
中央上部の個体が仲間の死骸の欠片をかじっています。 (共食いではなく屍肉食)
欠片が動くので食べにくそうです。 


 

↑【関連動画】
New Scientist:“Superworm” beetle larvae eat polystyrene, which may help recycle plastics

2022/02/14

夕方の川で離合集散するダイサギとコハクチョウ【10倍速映像:野鳥】就塒前集合

 

2021年11月上旬・午後15:04〜17:00頃・晴れ(日の入り時刻は午後16:34)

夕暮れの川で白鷺が離合集散する様子を微速度撮影で記録しました。 
10倍速の早回し映像をご覧ください。 
これは長年温めていたテーマです。  
▼関連記事(5年前の撮影) 
白鷺が集団就塒する川【前編:冬の野鳥】 
白鷺が集団就塒する川【後編:冬の野鳥】

明るい午後の時間帯にはダイサギArdea alba)3羽とコサギEgretta garzetta)1羽が川に点在して、のんびり佇んだり採食したりしています。 
やがてコサギはどこかへ行ってしまいました。 
途中から岩場を離れて中州の岸に移動して休むダイサギも居ました。 
昼間のダイサギには縄張り意識があるようで、互いに近づき過ぎると小競り合いが起こります。 
この川にはダイサギの食べる餌の量があまり多くないのでしょう。
日が暮れると捕食者(天敵)に対する不安感が増してくるようで、仲間内の敵対心が徐々に薄れて群れを形成するようになります。(就塒前集合) 
遠くの餌場で採食していたダイサギが1羽ずつ川に飛来して群れに合流するのです。 
白鷺が夕暮れの川に続々と舞い降りるシーンはとても美しく、いつ見ても感動します。 
いよいよ暗くなると、今度は1羽ずつ上流(右)の方へ飛び去ってしまいました。 
近くの河畔林に改めて塒入りしたのでしょう。(集団就塒) 
今回、ダイサギの就塒前集合は最大で計8羽という小規模なものでした。 
それでも長時間の早回し映像にすることで、離合集散のパターンが見えてきました。 

一方、コハクチョウCygnus columbianus bewickii)の群れの動向はもう少し複雑です。 
明るい午後のうちから川に留まっていた6羽が、しばらくすると川面を落ち着きなく遊泳し始めました。 
V字の隊列を組んで上流(右)に向かって川面を助走し、飛び去りました。 
ところが、しばらくすると同じ川に戻って来るのです。(着水地点は画角の外) 
私の興味は白鷺の方にあったので、白鳥を個体識別できていませんが、同じ群れが何度も川に離着陸を繰り返しているようでした。 
コハクチョウの群れは毎年この川を集団塒としているので、夕方になると一旦飛び立って周囲の安全を確かめてから改めて川に塒入りするのでしょう。 
また、遠くの餌場で採食していた別の群れも続々と川に帰ってきて仲間と合流します。 
残念ながら私の予想が外れて、後半になるとコハクチョウの群れはカメラの画角内に収まってくれませんでした。 

被写体が純白で目立つので、相当暗くなるまで撮影が可能です。
(カメラの設定でゲインを最大に上げました。) 
暗くなるとカメラのオートフォーカス(AF)が効かなくなるので、明るいうちに焦点を固定しておく必要があります。

2022/02/11

川の岩場で羽繕いするコサギとダイサギの混群(野鳥)

 

2021年11月上旬・午後15:00頃・晴れ
前回の記事:▶ 川で餌を探し歩くコサギ(野鳥)

川の岩場に大小2種類の白鷺が立ってのんびり羽繕いしています。 
1羽のコサギEgretta garzetta)と2羽のダイサギArdea alba)です。 
岩場の周囲にはコハクチョウの群れもいて、白い水鳥だけが集結しています。 
途中から微速度撮影に切り替えました。(10倍速映像@0:14〜0:39) 

私はコサギを見たのがこの日が初めてだったので、一挙手一投足を撮影するのが楽しかったです。 
できればコサギだけ単独で撮りたかったのですけど、「寄らば大樹の陰」ならぬ「寄らば大鷺(ダイサギ)の陰」という処世術なのでしょう。 
ダイサギとコサギは名前の通り体格が親子ほど違いますが、親子ではなく別種です。 

後半は岩場から離れて川で独り採食活動するダイサギも同じ画角に収めるために、ズームアウトしました。 
岩場に残って片足立ちで休んでいたダイサギが、上げていた足を下ろして両足立ちになると、白い液状便を勢い良く川に排泄しました。(@2:13)

ランダムに記事を読む