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2024/02/29

ヘルパー♂が巣穴を掘る作業中に進捗状況を確かめに来て労をねぎらうニホンアナグマ♀【トレイルカメラ:暗視映像】

 



2023年6月中旬 6/14・午後18:45〜18:47(日の入り時刻は午後19:06) 

日没前の夕刻にニホンアナグマMeles anakuma)のヘルパー♂が巣穴Rrの拡張工事に没頭しています。 
巣穴の中から掻き出した土砂に混じって腐葉土も出土しました。 
おそらく巣材(寝床)として大量に搬入した落ち葉などが分解したものでしょう。 
今まで使っていた居室(子供部屋?)を大幅に改築工事していることが伺えます。 

ヘルパー♂が巣穴Rrの奥深くに潜り込んでいるときに、左側の巣穴Lから母親♀が顔を出しました。 
腹面に乳首が発達していて、左右の目が不均等(右目<左目)なのが、この♀個体の特徴です。 
夕方の営巣地(セット)周辺を警戒しているだけかと思いきや、♀が巣穴Lから外に出てきて巣穴Rの方へ早足で突進しました。 


不意をつかれたヘルパー♂が巣口Rrから慌てて外に跳び退りました。 
ヘルパー♂の方が母親♀よりも少しだけ体格が大きいのに、♀には頭が上がらない様子が見て取れます。 

てっきり、泥だらけで面影が失せたヘルパー♂を外敵(侵入者)と誤認した♀が攻撃するのかと思いました。
アナグマは視力が良くない上に薄暗い時間帯ですし、穴掘りで全身真っ黒に汚れた息子(1歳仔♂)と気づかなくても無理はありません。 
擬人化すると、おかんが息子に 「ちょっとあんた家の玄関先で何してんの、脅かさないでよ〜、誰かと思ったわ」 とか言ってそうです。

しかし、2頭の小競り合いにはならず、♀はヘルパー♂が掘ったばかりの巣穴Rrに入って中を調べています。 
内見を済ませた♀が外に出てくると、巣外で待っていたヘルパー♂に近づいて互いに毛繕いをしました。 
しかし、今回の相互毛繕いは儀式的な挨拶のようなもので、短く終わりました。 
ヘルパー♂の毛皮の泥汚れを♀が対他毛繕いで本格的に落としてやることはありませんでした。 

ヘルパー♂の労をねぎらった♀が元の巣穴Lに戻ると、ヘルパー♂はまた独りで巣口Rrの穴掘り作業をせっせと再開しました。 

左右に離れた2つの巣穴LとRは内部でつながっているはずです。
いくら母親♀が幼獣4頭の育児で忙しいからと言っても、ヘルパー♂が巣穴Rrで穴掘りしていることは、巣L内の♀はとっくに承知しているはずです。 
今さらヘルパー♂の穴掘り作業の物音を外敵の侵入と誤認するとは考えにくいです。 

ニホンアナグマの社会では、穴掘りの重労働はヘルパー♂に任せて、母親は幼獣の育児に専念する、という分業が成り立っているようです。
現ヘルパー♂は性成熟する翌年には♀から営巣地を追い出され、次に選ばれた弟が新たにヘルパー♂を務めることになります。
ヘルパー♂が掘った巣穴は、♀が存命中は自分の財産(不動産)になりません。
つまり、ヘルパー♂を務める個体にとって、♀のために巣穴を掘ってやる行動は明らかに利他的行動になります。

※ ヘルパー♂自身が住む巣穴でもあるので、100%利他行動とは言えませんね。

親孝行するのは当然だという人間社会の価値観を持ち込んでも仕方がありません。
(ヒトにはヒトの、アナグマにはアナグマの暮らし方があるのです。)

アナグマにおけるヘルパー制度の進化は血縁選択で説明できるでしょうか? 
ヘルパー♂が母親の育児を間接的に手助けすれば、血縁度の高い弟や妹が無事に育つ確率が高まり、結果的にヘルパー♂の適応度が上がります。 
ここで問題になるのは、父親が同じとは限らないという点です。 
アナグマの交尾は一夫一妻ではなく乱婚ですから、ヘルパー♂が(間接的に)世話する相手は異父の弟妹となる可能性が高く、血縁度は0.50から0.25に下がります。 
血縁度が0.25と低ければ、アナグマのヘルパー♂が♀の育児(対他毛繕いなど)を直接的に手伝わない理由も納得できそうです。
アナグマ家族の全個体から採血したり毛根を採取したりしてDNAで親子鑑定(父性鑑定)すれば、実際の血縁度が求められるはずです。 
残念ながらアマチュアがこれ以上は追求できません。

ある年に母親♀が産んだ幼獣の性別がもしも全て♀だった場合、翌年のヘルパーは若い娘♀(1歳仔♀)が務めるのかどうか、気になります。
例えば今年2023年に生まれた幼獣4頭が全て♀である確率は1/16=6.25%です。
(まさか、アナグマ♀は女王蜂のように子供の性別を自由自在に産み分けられるのでしょうか?)
ヘルパーが♀の場合には、♂よりも非力で巣穴を掘るのは苦手かもしれません。
しかし、乳母として幼獣(弟や妹)に授乳できる可能性があり(※ 追記参照)、ヘルパーが♂の場合よりもヘルパー自身の適応度がより高まることが予想できます。
ヘルパー♀が独立したときのために子育ての練習になる、というメリットもあるでしょう。
母親♀が死亡した時に娘(ヘルパー♀)への巣穴の継承(相続)もスムーズに進むはずです。
逆にアナグマのヘルパーが♂という現状は、私からすると奇妙な社会で、どうやって進化したのか不思議です。



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※【追記】
鈴木欣司『アナグマ・ファミリーの1年』(2000年)によると、
 暑い夏のさかり、子アナグマの体もずいぶん大きくなりました。反対に、母さんアナグマのおっぱいは小さくなって、あまり目立たなくなりました。ほぼ離乳したのでしょう。
 ところが、ふしぎなことが起きました。ヘルパーの乳首が、ピンク色に大きくなっていたのです。普通は、にんしんすることで乳腺が発達するのですが、ヘルパーの場合、子育てに参加しているうちに、自分もにんしん出産した気持ちになってしまい(にせにんしん)、体に変化が起きたのかも知れません。
 マングースのヘルパーは、母親にかわって子どもに授乳することがあるそうですが、アナグマのヘルパーが、子アナグマにおっぱいをあげたかどうかはまだわかりません。 (p28〜29より引用)

著者は東京都青梅市郊外にある民家の裏山に営巣するアナグマ家族を餌付けし、庭に張ったブラインド内から撮影・観察しています。
カメラトラップの手法が一般化する前の時代なので仕方ないのですが、今の知見からすると首をひねる記述が散見されます。
餌付けという特殊な条件での観察結果は、どれだけ自然な行動を反映しているのか、疑問です。
まず、著者の観察したヘルパーは♀でした。(その点は著者を信用しています。)
母親♀だけでなく父親♂も給餌場に現れ、幼獣を引率して餌場に来るのは♀とヘルパー♀だと書いてありました。
(フィーダーにくる様々な野生動物の中で順位が最も高いのはアナグマの父親♂なのだそうです。)
また、アナグマの交尾期は早春なのに、明らかに間違っています。
アナグマの交尾期は5〜6月といわれていますが、このフィーダー(餌場:しぐま註)のアナグマ夫婦は、それよりもすこしおそいようです。(p27より引用)

アナグマ関連の本がなかった時代には貴重な資料です。

児童書ですが観察結果と文献で調べたことをきっちり区別して書いてあり、分からないことは分からないと正直に書いてあるのも好感が持てます。

ただし、動物学や生態学は日進月歩なので、古い本を参考にするときには注意が必要です。

若輩者の私が一丁前に疑問を呈したり反論したりできるのも「巨人の肩に乗っている」だけです(偉大な先人の功績のおかげ)。

ささやかな恩返しとして、指摘しておきます。

私自身が観察記録を残した拙ブログも不完全だったり間違いが含まれているでしょうし、後に誰かの指摘によって少しずつ修正されていくことでしょう。


2024/02/28

夕方に巣穴をせっせと掘り進めるニホンアナグマのヘルパー♂【トレイルカメラ:暗視映像】

 



2023年6月中旬
6/14・午後18:28〜18:51・(日の入り時刻は午後19:06) 

日没前の夕方に、ヘルパー♂と思われるニホンアナグマMeles anakuma)が右の巣口Rを拡張する工事を始めました。 
巣口Rは更に左右2つの穴に別れているのですが、そのうちの右側Rrを巣外から掘り広げています。 
尻尾に隠れて分かりにくいのですが、巣穴Rrに頭を突っ込んでいる間、股間に睾丸がちらっと見えたので、♀ではなくヘルパー♂と判明。 

穴掘り作業を途中から5倍速の早回し映像に加工しました。 
頭を巣穴Rrに突っ込んだままグルグル回るように穴を掘り広げています。 
土に埋まっている木の根っこや岩などの障害物を除けながら素手で巣坑を掘り進めるのは大変そうです。 
梅雨の時期を選んで穴掘り作業しているとしたら、しみ込んだ雨で土壌が少し軟化して作業が楽になっているのかもしれません。 
掘った土は巣外に掻き出します。 

ようやく穴掘りを中断したヘルパー♂が、外に出て来ました。(@1:23〜) 
上半身が黒い土で汚れています。 
アクセストレンチを後退しながら、掘った土砂を前脚で後方へ掻き出しています。 
やはり股間に睾丸がぶら下がっています。 
画面右へアクセストレンチを形成すると、巣口Rrの拡張工事に戻りました。 


その後は休みなく一心不乱に穴を掘り続けています。 
たまに後ろ向きで巣外に出て来ると、ヘルパー♂の毛皮はお尻以外は真っ黒に汚れていました。(@2:15〜) 
掘った土を巣穴Rrから掻き出しながら後退すると、アクセストレンチが右に形成されます。 
毛繕いだけできれいになるとは思えないのですけど、この後で水浴して汚れを落とすのでしょうか? 
作業の途中で身震いしました。(@2:30〜) 

午後18:44 (@3:48〜)
ようやく充分に暗くなり、赤外線の暗視映像に切り替わりました。 

ヘルパー♂が巣穴Rrに奥深く潜って掘り進めている間に、左の巣口Lから♀がひょっこり顔を出して周囲を警戒しました。(@3:57〜) 
その後の顛末が面白いのですが、次回にまとめました。
♀はすぐに巣内Lに引っ込んだようです。 
前日6/13とは逆で、♀と幼獣4頭が暮らす子供部屋は巣穴Lにあるようです。

やがてヘルパー♂は、今まで掘っていたRrの隣にある巣口Rlも掘り始めました。(@4:25〜) 
2本のトンネルは掘る方向が少し違うようですが、共通のアクセストレンチに掘った土を捨てています。 

午後18:51 
映像終了。 


アナグマの体格に性的二型がある(♀<♂)のは、穴掘りの肉体労働を♂に任せるからだと思ったのですが、若いヘルパー♂(1歳仔)の体格は♀と変わらず、筋骨隆々というほどでもありません。
繁殖期に♀との交尾権をめぐる♂同士の激しい闘争行動は見られなかったので、♂の体格が立派になる理由がよく分かりません。 

※ 動画の一部は編集時に自動色調補正を施しています。 




福田幸広、田中浩『アナグマはクマではありません』によると、
・頭胴長は♂63〜70cm、♀は56〜61cm。(裏表紙より引用)

・♀は生後1歳で成長が止まり、全長は74cmになり、♂は生後2歳まで成長するので♀よりも体が大きく、研究によると平均値は全長79cmになります。(p19より引用)


・アナグマは一妻多夫制の乱婚型で、♂は子育てには関わらず♀だけが行ないます。(p18より)

・お母さんは穴掘りには消極的。息子にまかせっきりです。掘削作業は♂がすることがほとんどです。 (p24より)





 

↑【おまけの動画】 
早回し加工する前の等倍速動画をご覧になりたい方のために、ブログ限定で公開しておきます。


【追記】
アクセストレンチの作り方について。

熊谷さとし、安田守『哺乳類のフィールドサイン観察ガイド』(2011年)によれば、
アナグマは、前脚でトンネルを掘り進むと、中でUターンして土を外に押し出す。そのため、巣穴の入口に土を押し出した跡が溝状(トレンチ)に残る。これは「アクセストレンチ」と呼ばれ、アナグマの巣穴か判断するポイントになる。 (p69より引用)

下線部について、私の観察結果と明らかに異なります。

増補改訂版で書き換えられているかどうか、気になります。

熊谷さとし氏は他の著作でも繰り返し書いています。

例えば、熊谷さとし『動物の足跡学入門』(2008年)によると、

アナグマは中に入り込んで方向転換をし、両手で土を外に押し出すのだ。この時の両手の跡がミゾになる。

アナグマは、掘った土を前足で押し出すためにアクセストレンチ(溝)ができる。(p161より引用)

地域個体群によってアナグマの穴掘り行動が違うのかもしれないので、古い本をわざわざ持ち出して熊谷さとし氏を攻撃したり糾弾したりする意図はもちろん私にはありません。
アナグマ関連の書籍がほとんど無かった時代には、(たとえ不完全でも)観察の指針を示してくれる本は非常にありがたかったです。
若輩者があえて苦言を述べさせてもらうならば、穴掘り行動を直接観察してないのに痕跡から推理しただけなら、断定しないで、そのように明記して欲しいです。
アナグマが土を巣内から押し出している様子を示すイラストがもっともらしく添えられているのは、問題がある(誤解を招く)と私は思います。(想像図なら、そのように明記するべき)
ある著作物に刺激・影響を受けた次世代による調査研究によって古い情報が新しく修正されていくのは、自然科学のあるべき姿です。
私のブログもおそらく間違いがいくつも含まれているでしょうし、誰かに指摘されて修正・訂正されていくはずです。


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2024/02/27

ニホンアナグマのヘルパー♂は母親♀と相互毛繕いするだけで育児を手伝わない:6/13一夜の諸活動【トレイルカメラ:暗視映像】

 



2023年6月中旬

新旧2台のトレイルカメラで別アングルからニホンアナグマMeles anakuma)の営巣地(セット)を監視しています。 
母親♀がとある一夜(6/13)に巣外で幼獣4頭の世話をする様子をまとめました。 
この日はヘルパー♂も登場します。

夜のアナグマは巣外に出て2つの巣穴LRをうろうろと行き来しています。 
巣内でつながっているはずなのに、なんでそんなことをするのか不思議です。
日によって状況は変わりますが、6/13の時点では、巣穴Rは母子が暮らす育児部屋として使われていて、巣穴Lにはヘルパー♂が住んでいると映像から推測できました。 
巣穴の内部構造を素人がどうやって確かめたらよいか分かりません。 
非破壊検査の地中レーダー探査とかやれば、中に住むアナグマに影響を与えずに巣穴の構造を知ることができるのかな?

梅雨の時期なので、断続的に雨が降ります。 
巣外のアナグマはときどき身震いして濡れた毛皮の水気を切るだけで、雨をほとんど気にせずに活動しています。(同じ日の雨夜に幼獣を外に連れ出す動画はこちら。) 

夜行性のアナグマは明るい昼間は巣内で寝て、夕方に暗くなってから巣外活動を再開します。
(日の入り時刻は午後19:05) 

午後18:06〜・気温23℃(@2:38〜) 
久しぶりに成獣2頭(母親♀とヘルパー♂)が同時に巣外に出て、挨拶代わりの相互毛繕いをし始めました。 
日没前の林床は薄暗いですが、辛うじて自然光下で撮影できました。 
乳首または陰茎が見えないと個体識別できないのがつらいところです。 
なんとなく、巣穴Lに近い方がヘルパー♂で、巣穴Rに近い方が♀ではないかという気がします。 
途中から、巣口Rに計4頭の幼獣たちが出て来ました。(@4:38〜) 
巣口Rのアクセストレンチは傾斜が急すぎて、幼獣はまだ自力では登れないようです。 
幼獣が勝手に外に出れないように作られてあるのでしょうか? 
それとも逆に、幼獣にとってバリアフリーとなるように巣口Rのアクセストレンチをなだらかにする工事をこれからするのかな? 

ヘルパー♂との相互毛繕いを終えた♀が巣口Rに戻って、幼獣の毛皮を舐めてやります。 
巣口Rに戻った成獣の腹面にようやく乳首が見えたので、私の予想通り♀と判明しました。(@5:24〜) 
ヘルパー♂は一旦、巣穴Lに戻りました。(@5:30〜) 

母親♀は独りで奥の林縁に座り、仰向けで毛繕いしています。 
巣口Rからようやく幼獣が1匹ずつ外に登ってきて、母親の元へ辿り着きました。 
幼獣は邪魔な落枝を乗り越えるのに苦労しています。 
♀は労をねぎらうように幼獣の体を舐めてやります。 
♀が前から来た幼獣とすれ違う際に跨いで尻を軽く擦り付けました。(アロマーキング@9:20〜) 
勝手に巣穴Lに入ってしまった幼獣の首筋を咥えて外に連れ戻しています。 
再び幼獣にアロマーキング(@11:04〜)。 
ようやく全ての幼獣を巣穴Rに連れ戻すと、♀は独りで巣穴Lへ入りました。 

再びヘルパー♂と♀の成獣2頭だけが巣外に出てきました。(@12:13〜) 
アクセストレンチLに仲良く並んで座り、相互毛繕いを始めました。 
アナグマの社会にヘルパー制度があると知らないでこの光景を見たら、一夫一妻制で仲の良い♀♂つがいだなと思ってしまいますね。 
春の交尾期の様子を観察すると、アナグマが一夫一妻制でないのは私でも分かります。
もう相当暗くなったのに、新機種のトレイルカメラがなぜか赤外線の暗視モードに切り替わってくれません。 
仕方がないので、動画編集時に強引に明るく加工しました。 
画質が粗くなるのは仕方がありません。 
別アングルに設置した旧機種では暗視モードで録画できています。 

ようやく♀が別れて入巣Rしました。 
ヘルパー♂だけが巣外に残り、痒い体を掻いたり自分で毛繕いしたり、のんびり過ごしています。 
しばらくすると、ヘルパー♂も入巣Lしました。 
すぐにまた出巣Lしました。 
実はこの後で、ヘルパー♂は巣口Rを掘り広げる工事を始めました。 

すっかり暗くなると(晩に)、巣口Rから母子が外に出て来ました。 
♀から幼獣へ対他毛繕い。


ヘルパー♂が育児(幼獣への対他毛繕いなど)を直接的に手伝っている様子を私はこれまで一度も見たことがありません。 
(個体識別が不完全なせいで見落としているのかと不安になります。)
むしろヘルパー♂であっても幼獣には触れるのも近づくのも母親♀が決して許さず神経質に守っているのかもしれません。 
真っ暗な巣内ではヘルパー♂も育児を分担しているのかな?
ファイバースコープを巣内に突っ込んで観察してみたいのですが、育児期間中に下手なことはしない方が良さそうです。
ヘルパー♂が♀に餌を持ってきて給餌する様子も見たことがありません。
ヘルパー♂が用心棒としての役目を果たしている様子も見たことありませんが、営巣地の周辺に排尿マーキングして歩くだけでも、縄張り防衛になっているのかもしれません。
何が言いたいかというと、アナグマのヘルパー♂は穴掘り以外で♀の育児をほとんどヘルプしていないのに、果たしてヘルパーと呼んで良いのかどうか疑問になってきました。
ヘルパー♂の貢献度に個体差があるのかな?(年によって違うのか?)



※ 動画の一部は編集時に自動色調補正を施しています。 
※ 鳴き声が聞き取れるように、動画編集時に音声を正規化して音量を強制的に上げています。 




2024/02/26

梅雨の深夜に幼獣2頭を外に連れ出すニホンアナグマ♀【トレイルカメラ:暗視映像】

 



2023年6月中旬 

シーン1:6/13・午前3:38・雨天・気温20℃(@0:00〜) 
雨が降りしきる深夜未明にニホンアナグマ♀(Meles anakuma)が巣外から手前の巣穴Lに入ると、2頭の幼獣を外に連れ出しました。 
そのまま巣口Lで幼獣たちの毛繕いをしてやっています。 
残る2頭の幼獣は巣内Lでおとなしく寝ているのでしょう。


シーン2:6/13・午前3:40・(@0:51〜) 
巣外で♀が身震いしたり地面を掘ってミミズなどの餌を探したりしている間に、幼獣2頭が自力でアクセストレンチを登ってきます。 
出迎えた♀は幼獣を咥えたり前足で転がしたりして、手元に引き寄せ、排泄物で汚れた尻の辺りを重点的に舐めてやります。 


シーン3:6/13・午前3:42・(@1:51〜) 
♀が幼獣を誘導して少しずつ右へ移動します。 
その途中で♀が幼獣の上に軽く座って尻を擦りつけ、匂い付けしたようです。(アロマーキング@2:12) 
♀は林床の地面や落葉の匂いを嗅ぎ回り、自分の食べる餌を探しているようです。 


シーン4:6/13・午前3:42・(@2:51〜) 
別アングルに設置した旧機種のトレイルカメラによる広角の映像で同じシーンを振り返ります。 
後半♀は幼獣を連れて左へ探餌徘徊に行きました。 


シーン5:6/13・午前3:43・(@2:55〜) 
新機種トレイルカメラの映像に戻ります。 
♀が林床で探餌徘徊している間に、幼獣2頭は♀の周囲をうろついています。 
子連れなので遠出はしないで、巣口Lの周囲に留まっています。 
幼獣は空腹ではないようで、♀の乳首に吸い付くことはありませんでした。 
深夜でも気温が充分に高いので、幼獣が雨に長時間濡れても低体温症になる心配はないようです。 
むしろ水浴代わりのシャワーになって、体毛の汚れが落ちるのかもしれません。 


シーン6:6/13・午前3:44・(@3:07〜) 
♀が率先して奥の巣穴Rに入りました。 
2頭の幼獣もその後をついて行きますが、入巣Rまで見届けられませんでした。 


シーン7:6/13・午前3:44・(@3:38〜) 
別アングルの広角映像に切り替えます。 
カメラの電池が消耗していて、断片的な映像しか撮れなくなりました。 
♀が右の巣穴Rに入った後は、幼獣2頭だけが巣外に取り残されています。 


※ 動画の一部は編集時に自動色調補正を施しています。 
※ 鳴き声が聞き取れるように、動画編集時に音声を正規化して音量を強制的に上げています。 


2024/02/25

ニホンアナグマ♀に叱られてもめげずに巣口を外から掘り広げるヘルパー♂【トレイルカメラ:暗視映像】

 



2023年6月中旬・午後18:55頃・(日の入り時刻は午後19:05) 

日没直前の夕刻なのに鬱蒼とした二次林の中はもうすっかり暗くなり、トレイルカメラは赤外線の暗視モードで起動しました。 
右側の巣口Rは実は更に左右2つの入口(RrとRl)に別れています。 

ニホンアナグマMeles anakuma)のヘルパー♂が巣外に出て、右側の巣口Rrを前脚で掘り広げていました。 
ところが、穴掘り作業中に巣穴Rlの中から母親♀が吠えながら飛び出してきて、ヘルパー♂を撃退してしまいました。 
母親から(理不尽に)ガミガミ叱られたヘルパー♂(1歳仔の息子♂)はすごすごと林縁広場に戻って座り、巣口Rlの♀と互いに見つめ合っています。 
♀も巣外に飛び出してヘルパー♂を遠くまで追い払うほど怒ってはいないようです。 

重労働の穴掘り作業はヘルパー♂が分担するというのが定説なので、とても意外な展開でした。 
ヘルパー♂を危険な侵入者(テンやキツネなどの天敵)と誤認したのでしょうか? 
単に♀は寝起きで機嫌が悪かったのかな?
近くの田畑で昼間ずっと農作業しているトラクター?の騒音や振動が営巣地(セット)まで響いているのがストレスなのかもしれません。 

♀が巣穴Rlに引っ込むと、ヘルパー♂は懲りずに巣口Rrの拡張工事を再開しました。 
左右の前脚を交互に使って後ろに土を掻き出しながら後退するので、結果的にアクセストレンチ(傾斜のついた溝と排土の小山)が形成されます。 

穴掘り作業を止めたヘルパー♂は、二次林の中へゆっくり入って行きました。 
おそらく疲れて空腹になり、採食に出かけたようです。 

※ 登場したアナグマ2頭の性別は、外見の特徴からではなく、行動から推定しました。 
※ 動画編集時に自動色調補正を施しています。


この営巣地は♀が毎年子育てする場所です。
4頭の幼獣が順調に育つと子供部屋や巣口が狭くなるのでしょう。
子育てで忙しい♀がヘルパー♂に掘り広げてもらいたかったのは、そっちの穴(Rr)ではなかったのかもしれません。
ヘルパー♂の仕事ぶりに♀が不満を持ったとして、巣穴の拡張プランをヘルパー♂に細かく具体的に指示するなんてことはあるのでしょうか?
アナグマにそんな高度なコミュニケーション能力があるとは思えません。
(♀が自ら手本を示すしかない気がします。)
ヘルパーを務めるのは1歳仔(性成熟する前の若い♂)ですから、♀より腕力は多少あっても造巣経験が浅いままでヘルパーを卒業(巣立ち)してしまいます。
翌年は1歳下の弟が次のヘルパーを務めることになります。
代々の若いヘルパー♂たちが気分任せで行きあたりばったりに(または本能に従って)穴を掘るだけで、 うまいこと造巣できるのが不思議です。


2024/02/24

巣外で幼獣の世話をするニホンアナグマ♀:6/12一夜の育児行動【トレイルカメラ:暗視映像】

 



2023年6月中旬 

ニホンアナグマMeles anakuma)の母親♀がとある一夜(6/12)に巣外で幼獣4頭の世話をする様子をまとめました。 
巣外での授乳シーンは既に別の動画にまとめたので、それ以外の育児行動です。(対他毛繕いなど) 
新旧のトレイルカメラ2台で別アングルから営巣地(セット)を監視しています。

母親♀は幼獣の首根っこを咥えて1頭ずつ巣外に引きずり出すと、排泄物(幼獣の糞尿)で汚れた毛皮を丁寧に舐めてやります。 
幼獣は未だ巣外で排泄できないので、下の世話は母親♀の仕事です。 

巣穴付近で幼獣を遊ばせている間に、♀は自分の痒い体を掻いたり毛繕いしたりしています。 
複数の幼獣同士でくんずほぐれつしている時などに、幼獣の鳴き声がかすかに聞こえるときがあります。 

幼獣全員を巣内に戻してから、♀は独りで巣穴を離れて外出します。 
縄張りを巡回して採餌するのでしょう。
その間、幼獣は巣内でおとなしく留守番している(寝ている?)ことに感心します。 
幼獣だけで勝手に巣外に出てくることはありません。

♀はなぜか幼獣を3+1頭の2組に分けて育児しているようです。 
授乳や育児の負担を軽減するためにそうしているのか、幼獣1頭の体調が悪くて巣内で寝ているのか、不明です。 
幼獣の性別によって2群に分けて育児しているのだとしたら面白いのですが、私にはとても見分けられません。
例えばヘルパー候補の♂を幼獣の時期から選んで他の兄弟姉妹とは別に育てている(帝王学?を教えている)としたら、面白い話です。

アナグマは主に夜行性で、明るい昼間は巣内で寝ています。 
日が暮れると活動を始め、明け方まで断続的に巣外で過ごします。 

ヘルパー♂の存在感が薄くて、何をしているのか不明です。 
(観察歴が浅い私は、アナグマの個体識別にいまいち自信がありません…。) 
この時期の母親♀は乳首の有無ではっきり見分けられます。


※ 動画の一部は編集時に自動色調補正を施しています。 
※ 鳴き声が聞き取れるように、動画編集時に音声を正規化して音量を強制的に上げています。 


2024/02/23

巣外のアクセストレンチに排尿するニホンアナグマ♀【トレイルカメラ:暗視映像】

 



2023年6月中旬・午後23:48・気温20℃ 

夜遅くにニホンアナグマ♀(Meles anakuma)が巣外に独りで座って毛繕いしていました。 
自分の乳首を舐めてきれいにしています。 

♀は立ち上がって左に少し移動すると、手前の巣穴Lから伸びるアクセストレンチに跨りました。 
そのまま腰を軽く屈んで排尿し始めたので、衝撃を受けるほど驚きました。 
音量を上げても放尿音は聞き取れませんでした。 
暗視カメラに対して後ろ向きですが、尿道口から放出される尿に赤外線が反射して白く光って見えます。 
乾いた地面がアナグマの尿で黒く濡れ、その範囲がみるみるうちに広がります。 
傾斜のついたアクセストレンチを伝って小便が巣内に流れ込んでいます。 
それを見てアナグマ♀は「しまった!」と後悔したかどうか、アナグマの気持ちは分かりません。
少なくとも、ここで排尿したのは最初で最後でした。
我々ヒトの衛生感覚では理解し難く愚行としか思えないのですが、営巣地のマーキング(匂い付け)も兼ねているのでしょうか? 
ヨチヨチ歩きの幼獣たちが巣外で迷子にならないように、アクセストレンチに念入りに匂い付けしたのかな?
マーキングなら少量の尿で充分なのに、今回は相当な量を一気に排泄しました。
子育てで忙しいアナグマ♀は、巣穴から離れたところ(林内など)に行って排尿する暇もないのでしょうか? 
用を足してすっきりした♀は、手前の巣穴Lに戻りました。 

別アングルに設置したトレイルカメラによる広角映像でもアナグマの放尿シーンが撮れていました。 
手前に自生するマルバゴマキ灌木が邪魔でよく見えないのが残念です。 

その後、アナグマはアクセストレンチを掘る拡張工事を始めませんでした。 (巣外で幼獣に授乳を開始
したがって、アクセストレンチの土を柔らかくして掘りやすくするために放尿したという可能性は否定できます。

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2024/02/22

育児に疲れて深夜に巣外で独り横になって休むニホンアナグマ♀【トレイルカメラ:暗視映像】

 



2023年6月中旬・午前3:45頃 

深夜未明にニホンアナグマMeles anakuma)成獣が単独で巣外の林縁で休んでいます。 
横臥したまま体を掻きました。 
目を閉じたり開けたりしているので、横臥でうつらうつらと居眠りしているようです。 
動きに乏しいので、一部は5倍速の早回し映像でご覧ください。 

下腹部に陰茎がちらっと見えたような気がしたのでヘルパー♂かと思ったのですが、左右の目の大きさが異なる(右目<左目)上に、腹面に乳首が見えることから、♀のようです。 
(右手前に生えた灌木が邪魔で、しっかり観察できません…。) 
幼獣4頭の育児でお疲れの母親♀が巣外でしばし休憩しているのでしょう。 

※ トレイルカメラの電池が消耗していて、細切れの映像しか撮れなくなりました。
それでもアナグマが身動きする度に健気に起動して、短時間ながらも録画しようとします。


2024/02/21

ニホンアナグマ母子が巣外で過ごす6/11一夜の行動【トレイルカメラ:暗視映像】

 



2023年6月中旬 

とある一夜(東北地方南部で梅雨入りした6/11)にニホンアナグマMeles anakuma)の営巣地(セット)で撮影された母子の行動をまとめてみました。 
この夜の授乳シーンなどはすでに別の動画にまとめました。 
2台のトレイルカメラで別アングルから監視すると、互いに補完し合ってアナグマの行動が良く理解できるようになります。 


シーン1・6/11・午前1:52・気温18℃(@0:00〜) 
手前の巣口Lから伸びるアクセストレンチに座った母親♀の方へ幼獣3頭がよちよちと登って行きます。 
♀は幼獣の毛皮を甘噛みしたり舐めたりしてきれいにしてやります。(対他毛繕い) 
1頭の幼獣が自分で身震いしました。 


シーン2・6/11・午前1:52・(@1:00〜) 
別アングルで設置した旧機種のトレイルカメラで撮れた広角映像に切り替えて、同じシーンを振り返ります。 
左の巣口Lから3頭の幼獣が次々に登って行き、♀の元へ行きました。 


シーン3・6/11・午前2:02・(@1:12〜) 
♀が先に入巣Lした後で、取り残された2頭の幼獣が覚束ない足取りでアクセストレンチを下りていきます。 
1匹が横転して斜面の溝を巣口Lにずり落ちました。 
幼獣の安全面でもアクセストレンチは上手いこと出来ていると感心しました。 


シーン4・6/11・午前2:05・(@1:33〜) 
単独で出巣Lした成獣が巣口Lで身震いしてからノソノソと歩いて左上奥の二次林に入って行きました。 
この個体は、♀ではなくヘルパー♂だったようです。 


シーン5・6/11・午前2:05・(@1:51〜) 
ヘルパー♂が採餌に出かける様子を別アングルの広角映像でご覧ください。 


シーン6・6/11・午前2:08・(@1:58〜) 
出巣Lした♀(右目<左目;乳房あり)が巣口Lで身震いしてからぐるっと回って巣口Rを点検。 
左上奥の二次林へ向かいました。 


シーン6・6/11・午前2:08・(@2:45〜) 
別アングルの広角映像。 


シーン7・6/11・午前2:14・(@2:52〜) 
成獣1頭が帰巣Lしました。 
カメラの起動が遅れて、どちらの個体か見分けられません。 


シーン8・6/11・午前2:15・(@3:00〜) 
巣口Lに座っていた♀が左の巣穴Lに入る際に、巣口Lに居た幼獣とすれ違いました。 


シーン9・6/11・午前2:21・(@3:11〜) 
出巣Lした♀が身震いしてから座り、自分の痒い首筋を右後足で掻きました。 
ノソノソ歩いて奥の巣穴Rへ入りました。 


シーン10・6/11・午前2:21・(@3:47〜) 
別アングルの広角映像に切り替えます。 


シーン11・6/11・午前2:36・(@3:58〜) 
幼獣4頭の引っ越し(L➔R)を無事に済ませた後、♀が手前の巣穴Lに戻ってきました。 
幼獣が残っていないことを確かめると、再び外に出てきました。 
広場をぐるっと回ってから入巣R。 


シーン12・6/11・午前2:36・(@4:46〜) 
別アングルの広角映像で振り返ります。 
♀(右目<左目)が入巣Rするまでしっかり見届けることができました。 


シーン13・6/11・午前3:11・気温21℃(@5:05〜) 
巣外で仰向けになった♀が毛繕いしたり痒い体をゴシゴシ掻いたりしています。 
腹面に乳首が見えます。 
最後は手前へ歩いて死角に消えました。 


シーン14・6/11・午前3:10(@5:53〜) 
別アングルの広角映像で振り返ります。 
最後は入巣Lせずに獣道を歩いて左に向かいました。 


シーン15・6/11・午前4:12・気温18℃(@6:04〜) 
外出から戻ってきた♀が身震いしてから入巣R。 


シーン16・6/11・午前4:12(@6:20〜) 
別アングルの広角映像で振り返ります。 


シーン17・6/11・午後19:03・気温18℃(@6:27〜) 
日中は巣内で寝て、すっかり日が暮れた晩に活動を再開します。 
巣外でぷるぷると身震いしてから入巣R。 


シーン18・6/11・午後19:02・気温18℃(@6:38〜) 
別アングルの広角映像で振り返ります。 


シーン19・6/11・午後19:44・気温18℃(@6:45〜) 
♀が謎の外敵を追い払った直後、巣口Rに戻って幼獣3頭に対他毛繕いしてやっています。 


シーン20・6/11・午後19:46・気温18℃(@6:57〜) 
計4頭の幼獣が巣口Rに全員揃っています。 
♀は営巣地(セット)をうろつき始めました。 
巣口LRの中間地点に座って自分の体を掻いてから、巣口Rに戻って幼獣3頭の毛皮を舐めてやります。 
巣口Rで遊ぶ幼獣たちとすれ違うように♀が入巣Rしました。 

暗視映像で見た時に♀の目の大きさが左右で異なって見える(右目<左目)のは、もしかすると斜視なのですかね? 


シーン21・6/11・午後19:51・気温18℃(@7:21〜) 
♀が右へ立ち去りました。 


シーン22・6/11・午後19:56(@7:35〜) 
巣材を集めてきた直後、出巣Rした♀が身震いしてから今度は右へ向かいます。 
しばらく戻ってこなかったので、採餌に出かけたのでしょう。 


シーン23・6/11・午後21:51・気温18℃(@7:50〜) 
アクセストレンチLに佇んでいる成獣の後ろ姿が写りました。 
毛皮が濡れているように見えるのは、気のせいでしょうか? 
外出中に夜露で濡れたのか、それとも水場や水田で水浴してきたのかな? 
身震いしてから入巣R。 


シーン24・6/11・午後21:51(@8:22〜) 
別アングルの広角映像で振り返ります。 
この映像では、毛皮が濡れているようには見えませんね。 


シーン25・6/11・午後23:14・気温17℃(@8:49〜) 
♀が身震いしてから巣口LRの中間地点に座り込みました。 
左右の後足を使って痒い体をゴシゴシ掻いてしばらくすると、大量の細かい抜け毛(フケ?)が夜風に乗って舞い、カメラに向かって飛んできます。 
♀は奥の巣穴Rへ向かいました。 


シーン26・6/11・午後23:14・(@9:49〜) 
別アングルの広角映像で振り返ります。 
体を掻いてから巣口Rに幼獣を迎えに行きました。 
このとき軽く唸るように鳴いた♪のですが、5倍速の早回し映像に加工してしまいました。 


シーン27・6/11・午後23:16・(@10:01〜) 
小雨がぱらついています。 
幼獣1頭を巣外に連れ出していました。 
♀は体を掻いてから、幼獣を外に放置したまま、さっさと入巣Lしてしまいました。
巣口LRの中間地点に独り残された幼獣は、辺りを静かに(鳴かずに)ウロウロするばかりです。 
♀が巣口Lに顔を出したところで、録画終了。 


シーン28・6/11・午後23:16・(@11:01〜) 
別アングルの広角映像に切り替えます。 
♀が巣外に幼獣を独り短時間だけ放置するのは珍しくないことが分かってきました。 
巣L内に居る他の幼獣3頭の様子を見に行ったのでしょう。 
しばらくすると、巣外で母子が合流。 


シーン29・6/11・午後23:18・(@11:23〜) 
♀が幼獣を先導して奥の巣穴Rに入りました。 
幼獣は追いかけながら♀の乳首に吸いつこうとします。 
巣口Rで♀が幼獣を咥えて持ち上げました。 
入巣Rしたがらない幼獣に手を焼いているのかな? 


シーン30・6/11・午後23:18・(@11:50〜) 
別アングルの広角映像で振り返ります。 
最後は巣口Rに2頭の幼獣の姿が見えます。 


※ 動画の一部は編集時に自動色調補正を施しています。 


2024/02/20

晴れた夜でも雨夜でも幼獣を連れて隣の巣穴に引っ越すニホンアナグマ♀【トレイルカメラ:暗視映像】

 


2023年6月中旬

ニホンアナグマ♀♂(Meles anakuma) 

シーン1・6/11・午前2:23・(@0:00〜) 
♀が手前の巣穴Lに入り、しばらくすると後ろ向きで外に出て来ました。 
幼獣が自力で歩けるようになったと思っていたのに、久しぶりに母親♀が幼獣aを咥えて巣外に引きずり出しました。
逃げ回ろうとする幼獣を咥えるのも大変そうですし、重く育った幼獣を引きずって歩くのも重労働です。 

2つの巣口LRの中間地点に母子が座って、♀が幼獣aの毛皮を舐めてやります(対他毛繕い)。 
成獣の腹面に乳首が見えることから、母親♀と見分けられます。 
(左右の目の大きさや首筋の白斑の有無では、見る角度によって個体識別が難しいことがあります。) 


シーン2・6/11・午前2:23・(@0:46〜) 
幼獣aの搬出シーンが別アングル(広角)の旧機種トレイルカメラでも録画されていました。 
アクセストレンチはなかなかの急斜面であることが見て取れます。 
地上でしばらく毛繕いしてやってから、幼獣aの首筋を再び咥えて右側の巣穴へ運び込みました。 
1頭目の幼獣を巣穴LからRへ引っ越ししたことになります。 (L➔R)


シーン3・6/11・午前2:27・(@1:47〜) 
戻ってきた♀が手前の巣穴Lに入りました。 
前回と同じく、後退しながら2頭目の幼獣bを巣穴Lの外に連れ出します。 
首根っこの皮を噛まれた幼獣はおとなしく引きずられて運ばれます。 
今回は幼獣を地面に下ろして休憩・毛繕いしないで、一気に奥の巣穴Rへ運びました。 


シーン4・6/11・午前2:27・(@2:32〜) 
別アングルの広角映像に切り替えて同じシーンを振り返ります。 


シーン5・6/11・午前2:29・(@3:15〜) 
巣穴Lに戻ってきた♀が後ろ向きで3頭目の幼獣cを外に引きずり出しました。 
今回も奥の巣穴Rへ休憩無しで一気に運びます。 


シーン6・6/11・午前2:29・(@3:51〜) 
別アングルの広角映像に切り替えて同じシーンを振り返ります。 
幼獣cを巣穴Rに搬入した♀が再び出巣Rする様子まで録画されていました。 


シーン7・6/11・午前2:30・(@4:31〜) 
最後の幼獣dは(仲間が居なくて寂しくなって?)巣口Lで待機していました。 
迎えに来た母親♀は、外に引きずり出した幼獣dを巣口LRの中間地点で下ろして、毛皮を舐めてやります。 
幼獣dは空腹ではなかったらしく、♀の乳首に吸いつこうとしません。 
覚束ない足取りで地面を歩き回ろうとしますが、それを母親が前足で制して転がし、毛繕いしてやします。 
巣外での対他毛繕いは、1頭目と4頭目の幼獣に対してのみ行いました。 


シーン8・6/11・午前2:30・(@5:00〜) 
別アングルの広角動画に切り替えて、同じシーンを振り返ります。 
身震いしてから左の巣穴Lに戻った♀が、巣口Lから4頭目の幼獣dを外に連れ出します。 
巣口LRの中間地点で幼獣dを下ろして、時間をかけて丁寧に毛皮を舐めてやります。 


シーン9・6/11・午前2:33・(@5:46〜) 
♀が先導して右の巣穴Rに戻り、幼獣dを誘い込みます。 
幼獣dは自力で歩いて入巣Rできましたが、巣口Rを塞ぐように露出している細い木の根っこを乗り越えるのに難儀しています。 

これで計4頭の幼獣a-dの引っ越し(L➔R)が無事に完了しました。 
 幼獣全員の引っ越しが完了したかどうか、新居に連れてくるのを忘れた幼獣がいないかどうか、母親♀はどうやって知るのでしょう? 
四つ子を育てる母親は、巣穴に同居する幼獣の個体数を1から4まで数えることができるのでしょうか? 
(羊が1匹、羊が2匹、羊が3匹、…zzz) 
それとも、4頭の幼獣それぞれに固有な体臭や鳴き声で識別しているのですかね? 


シーン9からシーン10の間に、逆に巣穴RからLへ幼獣を引っ越し(R➔L)したはずなのに、なぜか撮れていません。 
地中では2つの巣穴がつながっているのではないか?という気がします。 


シーン10・6/13・午前3:50(@6:13〜) 
2日後には雨が降りしきる深夜に幼獣の引っ越し作業?を始めました。 
手前の巣穴Lに戻った♀が幼獣を外に連れ出しました。 


シーン11・6/13・午前3:48(@6:50〜) 
別アングルの広角動画に切り替えて、同じシーンを振り返ります。 
旧機種のトレイルカメラは、時刻を正確に合わせても、すぐに狂い始めてしまいます。 


シーン12・6/13・午前3:50(@7:00〜) 
2頭の幼獣を巣穴Lの外に連れ出していました。 
幼獣はケケケッ♪と小声で鳴きながら、覚束ない足取りで歩き回ります。 

♀は幼獣1頭の毛繕いをしてやってから、首筋を咥えて奥の巣穴Rへ運びます。 
その間に、もう1匹の幼獣はアクセストレンチをずるずると滑り降りて手前の巣穴Lに戻ってしまいました。 


シーン13・6/13・午前3:50(@7:49〜) 
別アングルの広角映像に切り替えて、同じシーンを振り返ります。 


シーン14・6/13・午前3:52(@7:58〜) 
左の巣穴Lに戻った♀が後ろ向きで幼獣を咥えて外に引きずり出します。 
カメラの電池が消耗してきて、断片的な暗視映像しか撮れなくなりました。 


シーン15・6/13・午前3:52(@8:07〜) 
巣口Lで待っていた幼獣を♀が咥えて外に運び出しました。 
大きく育った幼獣はとても重そうで、途中で地面に下ろして尻の辺りを舐めてやります。 
足元をうろつく幼獣に♀が跨って自分の尻を擦り付け、アロマーキング(臭腺・肛門腺による匂い付け)をしました。 
雨の降る中を幼獣は奥の巣穴Rへ自力で歩いて行きました。 


シーン16・6/13・午前3:52(@9:08〜) 
別アングルで設置したトレイルカメラの広角映像に切り替えます。 


※ 鳴き声や雨音が聞き取れるように、動画編集時に音声を正規化して音量を強制的に上げています。 
画面に表示される気温はすべて異常値です。(暗視動画の連続撮影によるカメラ本体の過熱)


我々ヒトの感覚では、雨が降る日にわざわざ乳幼児を外に連れ出す母親の気がしれません。 
幼獣が濡れて風邪を引いてしまうかもしれませんし、毛皮が泥だらけになってしまって、それをきれいに拭いてやるのも大変そうです。 
しかしアナグマ♀は雨を全く気にせず、スパルタ育児です。 
雨夜という新しい環境刺激に幼獣を早く慣らしてやりたいのでしょう。 
定期的に1頭ずつ巣外に連れ出して健康状態をチェックし、糞尿で汚れた毛皮を舐めてやる作業は雨天決行の必要があるようです。
梅雨の時期ですから、雨が止む日まで待ってられないのでしょう。

隣接する2つの巣穴の間で日によって行ったり来たり(L⇔R)引っ越しを繰り返しているようですが、ワンオペ育児の♀が4頭の幼獣を順番に漏れなく巣外に連れ出すために、引っ越しのていを取っているだけだと思います。 
実はトンネル内で2つの巣穴は連結しているのではないかと私は疑っています。
もしも梅雨の大雨で巣穴が浸水したら、幼獣を連れて行く避難先(別の巣穴)をアナグマ♀は用意しているのでしょうか?


2024/02/19

夜の営巣地に近づく野生動物に吠えかかって追い払い幼獣を守るニホンアナグマ♀【トレイルカメラ:暗視映像】

 



2023年6月中旬

シーン1・6/11・午後19:41・(@0:00〜) 
右の巣穴Rから親子で外に出てきたニホンアナグマ♀(Meles anakuma)が幼獣を跨いで追い越す際に軽く座って尻を擦り付けました。 
臭腺や肛門腺で幼獣の背中に匂い付けしているのでしょう。(アロマーキング) 

成獣が振り返ってカメラ目線になると、左右の目の大きさが異なる(右目<左目)♀だと分かります。 
♀は幼獣の毛皮を舐めてやりますが、幼獣は空腹ではないようで♀の乳首に吸いつこうとはしません。 

♀が急に身を屈めて右の方を警戒し始めました。 
幼獣をぴょんと飛び越えて右に突進すると、やがて右の林内からガガガッ、ギャギャギャッ♪と激しく吠えて威嚇する鳴き声が聞こえてきました。 
※ 鳴き声が聞き取れるように、動画編集時に音声を正規化して音量を強制的に上げています。 

アナグマの営巣地に近づいてきた他の野生動物を追い払ったのでしょう。 
♀がこれほど激しい剣幕で追い払ったということは、謎の侵入者は、ホンドタヌキやホンドギツネ、ホンドテン、イエネコなどの捕食者が候補として考えられます。 
(ヘルパー以外のアナグマ♂とニアミスしたのかもしれません。) 

巣外に取り残された幼獣は、激しい喧嘩(威嚇)の鳴き声を聞くと、争いの元から慌てて少し遠ざかり、地面に身を伏せました。(警戒のフリーズ行動) 
咄嗟に巣内Rに駆け戻って避難するだけの身体能力はまだ発達していないようです。 


シーン2・6/11・午後19:43・(@1:00〜) 
約45秒後に右から♀が意気揚々と営巣地(セット)に戻って来ました。 
巣口Rで母子が無事に再会すると、♀は出迎えてくれた幼獣に対他毛繕いしてやります。 
その後は残りの幼獣3頭も巣口Rに出てきました。 
幼獣への対他毛繕いの合間に、母親♀は自分の体の痒い部分を後足で掻きました。 



これまで2回ほど、夜の巣外に単独で放置された幼獣を観察してきました。 
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もしかすると、その原因は今回のように、縄張り侵入者を撃退しに行ったから母親♀が一時的に不在だったのかもしれません。
だとすれば、ネグレクト(育児放棄)どころか幼獣を守るための行動なので、納得です。 
幼ない我が子たちを守るとなったら♀は巣穴に籠城するどころか、積極的に攻撃に転じて天敵を追い払うことが分かり、驚きました。
つまり将棋の穴熊戦法は比喩として正しくない(アナグマの実態に即していない)ようです。
まるで穴に籠もった熊のようだ、という意味の戦法らしいです。
最近ではヘルパー♂の存在感が薄くて、何をしているのか疑問になってきました。


2024/02/18

ニホンアナグマの欠伸とくしゃみ♪【トレイルカメラ:暗視映像】

 



2023年6月中旬 

ニホンアナグマMeles anakuma)が営巣地(セット)で欠伸とくしゃみをしたシーンをまとめてみました。 

シーン1・6/11・午前2:15(@0:00〜) 
アナグマ♀が身震いしてからアクセストレンチに座り込み、欠伸をしました。 
腹面に乳首が見えたので、母親♀と分かります。 

手前の巣穴Lに入るかと思いきや、幼獣を迎えに行ったようです。 
軽い唸り声♪のような鳴き声がかすかに聞こえました。 
巣口Lに1頭の幼獣の姿がちらっと写りました。 

ちなみに、6/11から東北地方南部が梅雨入り宣言しました。 


シーン2・6/16・午前4:45(@0:38〜)日の出時刻は午前4:13。 
雨が激しく降りしきる早朝に巣外に出てきたアナグマが、2つの巣口RとLを行ったり来たりしながら、交互に点検しています。 
巣口Rに顔を突っ込みながら、くしゃみをしました。(@1:13〜) 
巣口Rから立ち去る際にもくしゃみ?をしました。(@1:29〜) 
2回目は怒りの鳴き声のようにも聞こえます。 
この個体が♀なのかヘルパー♂なのか、私には見分けられませんでした。 


※ 動画の一部は編集時に自動色調補正を施しています。 
※ 鳴き声が聞き取れるように、動画編集時に音声を正規化して音量を強制的に上げています。 


余談ですが、梅雨入りして大雨が降り続くと巣内へ泥水が浸水するのではないかと心配です。 
巣内から掘り出した土を捨てるため、巣口から外に向かってアクセストレンチと呼ばれるなだらかな坂が作られています。 
大雨が降ったら、アクセストレンチから雨水が巣内にどんどん流れ込むはずです。 
せっかく集めた大量の巣材(寝床)も、雨で濡れてしまったらカビが生えたりして不衛生・不快になるでしょう。 
水浸しにならないように巣内の構造に何か工夫が施されているのでしょうか?(排水対策) 
我々ヒトが雨天時に野外でキャンプする際には、テントの周囲には必ず排水溝を掘ります。 
私がアナグマなら、例えば以下のような対策を考えます。
  • アクセストレンチに直行するような溝を巣口に掘る。
  • 巣穴のトンネルは巣口から斜め下に一旦深く掘り進めてから少し上向きに角度を変えて上がった位置に居住区を作る。
  • 本当に豪雨が降ったら巣口を中から閉じる。
 


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2024/02/17

夜の巣外に独り放置されたニホンアナグマの幼獣が母親を呼ぶ鳴き声♪【トレイルカメラ:暗視映像】

 



2023年6月上旬

前回の記事では、ニホンアナグマ♀(Meles anakuma) が4頭の幼獣を巣穴の外に連れ出して授乳したり対他毛繕いしたり、引率して夜の森を探索に連れて行ったりと、一夜(6/10)で盛り沢山の出来事を紹介しました。
同じ日の夜に事件が起きました。

 6/10・午後23:02
画面手前の巣口Lから伸びるアクセストレンチ上に幼獣が1頭だけ取り残されています。 
迷子の幼獣が覚束ない足取りでうろつきながらケッケッケッ♪、ケケケ…♪と断続的に鳴き続けています。
母親♀を呼んでいるのでしょう。 
4日前、夜の巣外に20分間放置された幼獣個体は全く鳴き声を発しなかったのと対照的です。 



迷子になった幼獣が鳴かないのは天敵の捕食者(キツネ、テン、フクロウなど)を呼び寄せないための適応だろうという私の推測に対して、あっさり反例が出てきてしまいました。 
この4日間で幼獣の歩行能力が格段に上がりましたが、それと同時に大声で鳴けるように成長したのでしょうか? 
幼獣の個性(寂しがり屋)なのかもしれません。
自力でなんとか歩けるはずなのに、迷子の幼獣がアクセストレンチを辿って帰巣Lすることはありませんでした。

ついさっきまで巣外で幼獣2頭に授乳していた♀は一体どこに行ったのでしょうか? 
さてはネグレクト(育児放棄)か?と心配になります。 
実はこの直後に撮れた映像では、母親が無事に合流して幼獣を舐めてやっていました。(対他毛繕い) 
その様子は、こちらのシーン7をご覧ください。 
アナグマの営巣地(セット)を2台のトレイルカメラで別のアングルから監視しているのですが、それでも撮れていない死角があって、時々やきもきさせられます。 

※ 幼獣の鳴き声が聞き取れるように、動画編集時に音声を正規化して音量を強制的に上げています。 
※ 画面に表示されている気温は異常値です。 


2024/02/16

授乳期の幼獣4頭を連れて夜の林内を遠足するニホンアナグマ♀【トレイルカメラ:暗視映像】

 



2023年6月上旬

ニホンアナグマ♀(Meles anakuma) が巣外で幼獣4頭と過ごしています。
ある一夜の様子をまとめました。
私の見る限り、ヘルパー♂は子育てに関与せず、母親♀独りで幼獣4頭の世話をしています。 
(ヘルパー♂の個体識別がしっかりできてないかもしれない、という不安が私には常につきまといます。)

シーン1:6/10・午後18:56・気温23℃・日の入り時刻は午後19:04。 
日没直前の夕方から♀が巣外活動を始めました。 
2つの巣口LRの中間地点で佇んでいます。 
身震いしてから手前の巣穴Lに入りました。 


シーン2:6/10・午後18:56(@0:18〜) 
別アングルで設置したトレイルカメラが起動したときには、なぜか暗視モードではなく自然光下での撮影になっていました。 
ほぼ真っ暗で何も見えませんが、強引に明るく加工すると、♀が巣穴Lに出入りしていました。 
巣口Lで周囲を警戒しています。 


シーン3:6/10・午後19:21・気温23℃(@0:34〜) 
♀が1頭の幼獣を巣L外のアクセストレンチに連れ出していました。 
自分で毛繕いしてから、前足で幼獣を引き寄せ、尻の辺りを舐めてやります。 
続けてもう2頭の幼獣が続々と自力で巣外に這い出てきました。 
♀が自分の体を掻くために仰向けになると、近くにいた幼獣2頭が乳首に吸い付こうと集まってきます。 


シーン4:6/10・午後19:26・気温23℃(@1:34〜) 
計4頭の幼獣が覚束ない足取りで巣外をうろついています。 
そのうち1頭の上に♀が軽く座ったのは、アロマーキング(臭腺による匂い付け)の行動でしょうか?(@1:59〜) 
ところが、別個体の幼獣が♀の股の間をくぐったときには、アロマーキングしませんでした。 


シーン5:6/10・午後19:25(@2:34〜) 
別アングルの広角映像に切り替えます。 
5倍速の早回し映像で見ると、♀は林床で餌を探しながら、幼獣を引き連れて少しずつ右奥の林縁に移動していることが分かります。 
幼獣たちを営巣地(セット)周辺の環境に少しずつ慣らしているようです。 
幼獣3頭は♀について歩くのですけど、残る1頭の幼獣が巣口Lに取り残されたままです。 
ようやく自力で♀の元へ向かいました。 


シーン6:6/10・午後19:25(@3:22〜) 
もしかすると♀は幼獣4頭を引き連れてそのまま別の巣穴へ引っ越しするのではないか?と思ったのですが、しばらくするとアナグマ母子の群れはセットに戻ってきました。 
♀は4頭の幼獣を引率して巣口Lに帰ろうとしています。 


シーン7:6/10・午後19:33・気温27℃(@3:22〜) 
別アングルの監視映像に切り替えます。 
幼獣4頭が互いにもつれ合うように遊んでいる間に、♀が後ろ向きで入巣Lしました。 
直後に巣内から幼獣を呼ぶ鳴き声を発しました。(ジェジェジェビーム♪@4:39〜) 
それを聞いたからと言って、幼獣たちはおとなしく従って自発的に帰巣する訳ではありませんでした。 


シーン8:6/10・午後19:35・(@4:46〜) 
再び巣外に出てきた♀が1頭の幼獣を捕まえて首筋を咥えると、引きずるようにアクセストレンチを後退し、強引に巣穴Lへ連れ戻しました。 
この行動は初見です。 
幼獣がもっと小さかった頃は、幼獣の首筋を咥えた♀が頭から入巣していました。 

遊び足りない幼獣3頭はまだ広場に残ったままです。 


シーン9:6/10・午後19:36・(@5:05〜) 
♀が左の巣穴Lから顔を出すと、辺りを見渡してからすぐ巣内に引っ込みました。 
カメラ目線になった時に右目が左目よりも少し小さいので、♀と分かります。 


シーン10:6/10・午後19:36・(@5:20〜) 
♀が巣口Lから顔だけだして辺りを見渡し、迷子の幼獣がいないか確認しています。 
その後は出巣Lして左に向かいます。 


シーン11:6/10・午後19:42・(@5:51〜) 
採餌のため、♀単独で二次林内を右に向かいます。 


シーン12:6/10・午後21:56・気温20℃(@5:51〜) 
採食から戻ってきた♀が巣口Lで身震いしてから入巣L。 


シーン13:6/10・午後21:55(@6:20〜) 
同じ帰巣Lシーンを別アングルの広角ショットでご覧ください。 


シーン14:6/10・午後21:57(@6:33〜) 
巣口Lに出て来た2頭の幼獣に♀が対他毛繕いしてやっています。 
そのまま一緒に入巣Lしました。 


シーン15:6/10・午後22:59(@6:44〜) 
巣穴Lから伸びるアクセストレンチに座って自分の体を掻いている♀の方へ幼獣1頭が登って行きます。 
♀が出迎えて幼獣の体を舐めてやっている間に、 次の幼獣が巣口Lから登ってきました。 


シーン16:6/10・午後23:18・気温23℃(@7:08〜) 
単独で出巣Lした♀が身震いしてから、獣道を左へ向かいました。 
その様子を別アングルの広角ショットでもご覧ください。 


※ 動画の一部は編集時に自動色調補正を施しています。 
※ 鳴き声が聞き取れるように、動画編集時に音声を正規化して音量を強制的に上げています。 


2024/02/15

巣材の落ち葉が足りず青葉も集めるニホンアナグマ♀【トレイルカメラ:暗視映像】

 



2023年6月上旬〜中旬 

ニホンアナグマ♀(Meles anakuma)が2夜連続で大量の巣材(寝床・敷きわら)を繰り返し集めてくるシーンをまとめました。
画面に表示される気温はすべて異常値です。


シーン1・6/10・午後19:38・(@0:00〜) 
晩に左の巣穴Lからアナグマ♀が外に出てきました。 
暗視動画で左右の目の大きさが異なり(右目<左目)、右の首筋に白斑があるのが、この個体の特徴です。 
この2つの特徴は、見る角度によって分かりにくいことがあります。 
授乳期の♀は腹面に乳首が目立つようになります。 

巣材集めは♀の仕事のようです。 
ヘルパー♂が巣材集めをするのは一度も見たことがありません。 

アクセストレンチを辿ってまっすぐ二次林に向かうと、木陰で立ち止まって自分の体を掻きました。 
林縁の灌木に前足を掛けながら後足で立ち上がると、高いところにある枝葉を毟り取り始めました。 
林床に落ち葉が足りなくなると、臨機応変に木の青葉(生葉)を調達するのです。 
もしかすると、生葉の方がアロマ効果や防虫効果があるのかもしれません。



シーン2・6/10・午後19:39・(@0:46〜) 
別アングルで設置したトレイルカメラにも撮れていました。 
しかしカメラの起動が遅れ、♀が後退しながら巣材を手前の巣穴Lに搬入したシーンは撮り損ねてしまいました。 

すぐにまた同じ巣穴Lから外に出てきました。 
今度は別の方角へ巣材集めに出かけます。 


シーン3・6/10・午後19:39・(@1:12〜) 
集めた巣材を前脚で掻き寄せながらアクセストレンチを後退し、最後は滑り込むように入巣Lしました。 
次に出巣Lした♀は、獣道を左に向かいます。 


シーン4・6/10・午後19:41・(@1:41〜) 
またもやカメラの起動が間に合わず、後退での巣材搬入シーンをじっくり撮れていません。
次に出巣Lした♀は、アクセストレンチから奥の二次林へ真っ直ぐ向かいます。 
途中で長い落枝をうっかり踏んでしまいました。 



シーン5・6/10・午後19:42・(@2:33〜) 
巣材を探して、夜の二次林をうろついています。 


シーン6・6/10・午後19:42・(@2:54〜) 
右奥の二次林から巣材を掻き集めてくると、後ろ向きで戻ってきました。 
今回も落ち葉ではなく、木の青葉(生葉)を枝ごと採取してきたようです。 
左の巣穴Lに巣材を運び込み、すぐにまた出巣Lしました。 
前回とは違う方角へ向かったのですが、巣材集めではなく採食に出かけたようです。 


シーン7・6/10・午後23:06・(@3:20〜) 
次の巣材搬入までだいぶ時間が開きました。 
巣穴Lから外に出てきた♀がアクセストレンチから真っ直ぐに林縁に向かうと、灌木の根本で落ち葉を掻き集め始めました。 
後ろ向きのままアクセストレンチをスルスルと戻り、落ち葉を巣穴Lに運び入れました。 

改めて出巣Lした♀は左へ向かいます。 
採食に出かけたのかな? 


シーン8・6/10・午後23:06・(@4:00〜) 
同じシーンが別アングルの監視カメラでも撮れていました。 


シーン9・6/11・午前2:03・(@4:42〜) 
日付が変わった深夜未明に、♀がまた出巣Lしました。 
アクセストレンチでちょっと座ってからすぐに立ち上がり、画面を横切って右下へ。 

しばらくすると、前脚で落葉落枝を一緒くたに掻き集めながら、後ろ向きで戻ってきました。 
落枝は巣材(寝床)として不適切だと思うのですが、わざわざ落ち葉を選り分けずに(細かいことは気にせずに)巣穴Lへ搬入します。 
せっかく集めてきた巣材の一部が、アクセストレンチに放置された長い落枝に引っかかってしまいました。 
それを前足で丹念に集め直しています。 

邪魔な落枝を取り除けばよいのに…といつも思うのですけど、アナグマは横着なのか巣口の付近に放置したままです。 
不審者の侵入を知らせる防犯効果があるのかもしれません。 


シーン10・6/11・午前2:03・(@5:31〜) 
同じシーンが別アングルの監視カメラでも広角で撮れていました。 


シーン11・6/11・午前2:07・(@6:13〜) 
数分後にも別の方角から新たに集めてきた大量の巣材を巣穴へ運び入れました。 
巣材をずるずると引きずっていたので、蔓植物の葉っぱを毟り取ってきたようです。 

今回は新しい巣材を巣口Lにも少し敷き詰めたのが、ちょっと珍しい行動です。 
巣口Lを出入りする幼獣たちがアクセストレンチから転がり落ちても大丈夫なように、クッションとして置いたのかな? 

次に出巣Lした♀は身震いしてからぐるっと回り込み、右側の巣口Rを点検しています。 
その途中で長い落枝をうっかり踏みつけてしまいました。 
巣口Lの横を通って左へ向かいます。 


シーン12・6/11・午後19:54・(@7:14〜) 
明るい日中は巣内で寝て、晩になると活動を再開します。 
♀が大量の落ち葉を前足で掻き集めながら、右の巣穴Rへ後ろ向きで運び込みました。 

しばらくして同じ巣穴Rから外に出てきた♀は、身震いしてから今度は右奥の林内へ向かいました。 


シーン13・6/11・午後19:51・(@7:54〜) 
ここだけ時系列が逆になってしまいました。 
 アナグマ♀がノソノソ歩いて画面の左下へ消えると、周囲の灌木が激しく揺れました。 
カメラの死角でアナグマ♀の姿が見えませんが、おそらく後足で立ち上がり、灌木の枝葉を巣材として採取しているようです。 
早回し映像に加工すると、立ち木の振動が分かりやすいです。 

※ 動画の一部は編集時に自動色調補正を施しています。 


アナグマは何年もかかって地中に巣穴をいくつも掘り広げ、セットを形成します。 
子育ての時期は特に大量の巣材を巣穴に運び込みます。 
巣穴を中心にあちこちに出かけては、林床の落ち葉を集めてきます。 
林床の落ち葉が枯渇すると、こんどは青葉のついた枝や蔓植物を集めてくるようになります。
アナグマが巣材として集めてくる植物の種類をきっちり同定するには、どうしても巣穴を発掘調査する必要がありそうです。

おそらく巣内には大量の腐葉土が形成されて、そこにも土壌生物やキノコなどさまざまな分解者による生態系が形成されているのではないかと予想されます。 
アナグマが掘った古い巣穴をタヌキやキツネ、イタチなどが乗っ取って再利用するそうです。 
また、アナグマは決まった場所に通って溜め糞をするので、そこにも糞虫など独自の生態系が形成されます。
このように、ニホンアナグマは(ビーバーほどではありませんが)営巣地周辺の環境をかなり改変して生態系に大きな影響を与えています。
したがって、キーストーン種と言えるのではないかと個人的に思うようになりました。 
(アナグマ・ファンの贔屓目かもしれません。)


アナグマ営巣地周辺の林床で夜な夜な餌を探し歩く野ネズミ【トレイルカメラ:暗視映像】

 



2023年6月上旬 

ニホンアナグマMeles anakuma)の営巣地を監視するトレイルカメラに野ネズミ(ノネズミ)が8夜連続で登場していました。 
林床をうろちょろ徘徊して、餌を探し歩いています。 
この時期は植物の種子や果実は落ちてないので、獲物となる虫を探しているのでしょう。 
雨が降ってない晴れた夜の探餌徘徊シーンをまとめました。 

野ネズミはときどきアナグマの巣穴LとRに出入りしています。 
アナグマと同居しているというよりも、ただの探索行動(穴があったら入りたい)だと私は考えています。 
野ネズミが巣穴に侵入しても、主のアナグマが怒って本気で追い払う様子はありませんでした。 
(巣内で遭遇したら威嚇ぐらいはしているのかな?) 


シーン1・6/1・午前1:10〜・(@0:00〜) 

シーン2・6/2・午後23:59〜・(@1:12〜) 

シーン3・6/3・午後20:24〜・(@1:55〜) 

シーン4・6/4・午後20:39〜・(@3:31〜) 

シーン5・6/5・午後20:37〜・(@5:00〜) 

シーン6・6/6・午前00:15〜・(@5:59〜) 

シーン7・6/7・午後19:51〜・(@8:04〜) 

シーン8・6/8・午前00:45〜・(@9:18〜) 


※ 動画の一部は編集時に自動色調補正を施しています。 
後半になるとカメラの電池が消耗し、短い暗視動画しか撮れなくなりました。 
同時期に別アングルで設置した新機種のトレイルカメラでは野ネズミが撮れてないのが不思議です。 
誤作動しないようにセンサーの感度を少し落としているのでしょうか。 


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