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2013/08/24

カッコウ♂の縄張り争い?【野鳥】



2013年7月上旬

この日も早朝から、電線に止まったカッコウ♂(Cuculus canorus)が鳴いています。
後で新聞で調べてみると、撮影時刻はちょうど日の出の頃でした。(AM 4:25 〜)

前回の撮影よりも近くに止まってくれたので、いっそう大きく見えます。
初めは後ろ向きでしたが尾羽根を左右に振り振りし、やがてこちらへ向き直りました。
電線から脱糞。
横を向いて何かを睨んでいたカッコウ♂が、急に鳴きながら飛び立ちました。
引きの絵にすると元の電線のすぐ横に止まっています。
急旋回して止まり直したのか、別個体と入れ替わったのでしょうか?
脱糞の直後にまた飛び立ちました。
鳴きながらこちらへ向かって来ます。
飛び立ちの瞬間を1/4倍速のスローモーションにてリプレイ。

数分後に再び電線に止まりました。
尾羽根を左右に振り振りしたり、キョロキョロと辺りを見渡しています。
いきなり方向転換すると飛び立ち、鳴きながらこちらへ向かって来ました。
慌てたような鳴き声が木霊のように聞こえます。

今回見られた一連の行動は♀に対するアピールで一種のディスプレー飛翔(求愛飛翔)なのかと考えたりもしたのですが、図鑑やネット情報で調べてもそのような記述は見当たりません。
片方(一羽)の行動しか見れていないのでもどかしいのですが、おそらく♂同士の縄張り争いの喧嘩だろうと想像しました。
それなら♂が激しくさえずってアピールしそうなものです。
しかし不思議なことに、電線に止まっている間はカッコー、カッコー♪という鳴き声をあまり発しませんでした。
(隠し撮りしたつもりでしたが、警戒されたかな?)
カッコウといえば「静かな湖畔の森の影から♪」で始まるのどかな童謡や輪唱で有名ですけど、郭公の世界も色々と大変なようです。


「カッコウ 喧嘩」を検索ワードに調べてみると、「カッコウの実態」と題したブログ記事が見つかりました。

二羽来て,電線上で鳴き合っています。そのうち激しく喧嘩を始めました。どうも縄張り争いの様です。 電線上で羽根を逆立てたりして威嚇攻撃し合っていたかと思うと,飛びながら空中戦です。飛びながらもカッコウ・カッコウと鳴くこと(こころなしか忙しないかんじがします)を知りました。威嚇のような声も出しています。



カッコウ♂の争いの鳴き声を声紋解析してみる

オリジナルのMTS動画ファイルから音声をWAVファイルに抽出しました。
急に飛び立って鳴いた部分を3箇所切り出し、スペクトログラムを描いてみました。
鳴き声が周囲に木霊しているのか、もう一羽の鳴き声と混じっている可能性もあります。
羽ばたきの音も入っているかもしれません。

欲を言えば、同一個体が普通に(リラックスして)カッコー、カッコー♪と鳴いている声も録音できたら声紋を比較できたのですけど、残念でした。
5日前に同じ電線で撮ったカッコウ♂のさえずりの声紋はこちらです。
この一帯を縄張りとしている同一個体♂かもしれません。





【追記】
『アユの話』p48によると、

カッコウの仲間は、“一つの谷には一つがいしかいない“といわれるように、ひろいなわばりをもつ。


『カラー自然シリーズ68:カッコウ』p6によると、
♀より先に高原に渡ってきた♂は、広い空間をなわばりにします。そして、遠くまでひびきわたる声で自分のなわばりを主張します。広いなわばりのなかには、カッコウの♀が托卵をするための小鳥たちがすんでいます。梢の上で見張る♂は、ほかの♂がなわばりに近づくと、たとえ遠くであっても、飛んでいって追いはらいます。♂が、なわばりを確保したころ、南の国から♀たちが渡ってきます。なわばりのなかに♀が姿をみせると、つがいになるために、♂が♀を追いまわします。



水野仲彦『野鳥のくらし―卵から巣立ちまで』によれば、
 かつては柳の茂る川辺の草原などで、三つどもえで追いかけ合うカッコウの姿が見られたものだった。托卵相手の巣を確保し、同じ巣に複数のカッコウの卵が入るのを防ぐ縄張り争いだった。最近は追いかけ合うほどのカッコウはいなくなってしまった。(p124より引用)




2013/08/21

電線に止まったカッコウ♂の羽繕いと鳴き声♪(野鳥)



2013年7月上旬

カッコウ♂(Cuculus canorus)が早朝から鳴いている姿をようやく望遠で隠し撮りすることができました。
初めて撮れた印象は「大きな鳥だな〜!」というものでした。

この辺りは水田と芦原が広がっていてオオヨシキリにとって格好の営巣地となっています。
しかし近年は宅地造成で埋め立てが進み、営巣地が圧迫されています。
カッコウはこのオオヨシキリの巣に托卵を企んでいるのでしょう。

電線に止まり、黙って首だけキョロキョロと動かしています。
ときどき羽根をかすかに広げるような仕草は、今にも飛び立とう飛び立とうと葛藤しているのか、それとも朝露で濡れた羽根を乾かすためでしょうか?
ようやくカッコー、カッコー♪と囀り始めました。
後半は羽繕いや脱糞(@5:53)も見られました。



カッコウ♂の鳴き声を声紋解析してみる

少し遠くて音量が小さいのですが、動画ファイルから音声を抽出し、鳴き声のスペクトログラムを描いてみました。



2013/08/10

ムラサキシキブの花で振動集粉するクロマルハナバチ♀



2013年6月下旬

庭木のムラサキシキブクロマルハナバチBombus ignitus)のワーカー♀が訪花していました。
後脚の花粉籠にオレンジ色の花粉団子を付けています。
ピンクの花の上を歩き回りながら甲高い音を立てていますが、このとき羽ばたいていないので羽音ではありません。
また、飛び回るときの羽音よりも力強く高音です。
これは振動
集粉と言ってマルハナバチの採餌行動です。

※『マルハナバチ・ハンドブック:野山の花とのパートナーシップを知るために』p40によると、

葯には振動に応じて少しずつ花粉をこぼす穴があります。マルハナバチは、葯を顎と脚で押さえ込んでぶら下がると、胸の筋肉を小刻みに振るわせて葯を揺すって花粉を落とし、体毛で受け止めるというやり方で花粉を集めます。そのような花粉集めの行動を「振動集粉行動」と呼びます。

関連記事→「クロマルハナバチの振動受粉@タケニグサ



クロマルハナバチの振動集粉を声紋解析してみる

オリジナルのMTS動画ファイルから音声をWAVファイルに抽出し、振動集粉の部分を切り出してスペクトログラムを描いてみました。



【追記】
秋になり、同じ潅木に紫色の実がなりました。



2013/07/21

ヒバリ♂(野鳥)の囀りを声紋解析してみる



2013年6月中旬

農耕地の上空でヒバリ♂(Alauda arvensis japonica)が賑やかに囀りながら天高く飛んでいました。
これぞまさしく美空雲雀♪



何度もぐるぐる旋回している範囲が縄張りなのでしょうか。
意外に狭い気がします。
飛んで飛んで飛んで…回って回って回る〜♪

映像の前後半で別個体だったかもしれません。
急降下して地上に着陸した映像はあまり上手く撮れなかったので割愛。

ヒバリのさえずりを声紋解析してみる
いつものようにオリジナルのMTS動画ファイルから音声をWAVファイルに抽出してから囀りを適当に切り出し、スペクトログラムを描いてみました。
なかなか複雑な声紋が現れました。

個体によって鳴き方にレパートリーの違いや微妙な個性があるのですかね?


映像の前半部より

映像の後半部より
【追記1】
ヒバリの囀りが2分以上も息が続く秘密は、『スズメの少子化、カラスのいじめ:身近な鳥の不思議な世界』p36によると
鳥は、吐く息でも吸う息でも声が出せるので休まず鳴き続けることができる。




【追記2】
野上宏『小鳥:飛翔の科学』を読むと、さえずり飛翔について一章を割いて詳しく解説してありました。
ヒバリのさえずり飛翔(song flight high overhead)上昇中の上り鳴き、滞空飛翔中の空鳴き(舞鳴き)、下降中の下り鳴きを使い分けている。繁殖期の縄張り宣言である。(p105より)


 繁殖期のヒバリは”上り鳴き”をしながら次第に高度をとり、”空鳴き”または”舞鳴き”の滞空飛翔へ移行する。 旋回やホバリングで滞空飛翔をしていたヒバリは”下り鳴き”に移り着地するが、地上近くになったら、時には羽ばたきも滑翔もなく、翼を広げたまま水平位でバランスを保ちながら垂直に下降し、目標地点に着地する技量を持っている。 しかし時には”下り鳴き”を続けながら翼を畳み、頭を下にしてハヤブサのようにほぼ垂直に急降下してくることもある。(p31より)


【追記3】
水野仲彦『野鳥のくらし―卵から巣立ちまで』によれば
天空でのさえずりは、他のヒバリの侵入を許さない縄張り宣言なのである。領空上でぐるぐると、ゆるやかな円を描きながらさえずり、チュールリ、チュールリと鳴き方が変わると降り始め、最後の20〜30メートルは翼をすぼめて石のように落下、縄張りの中の草原に降り立つ。(p24より引用)






2013/06/23

モズ(野鳥)の求愛給餌



2013年5月下旬

電線に止まった♀のモズLanius bucephalus)の横に♂が飛来し、捕らえてきた虫を♀に与えました。
♀は羽根を広げて甘えるように鳴きました♪
獲物はどうやらハサミムシのようです。
しばらく電線に並んで止まり、嘴を擦りつけています。
やがて♀が先に飛び去り、続いて♂も同じ方角へ飛び去りました。

この行動は求愛給餌だと思うのですけど、巣立ちした雛へ給餌した可能性もありますかね?(※追記3参照)
繁殖期の遅い雪国では巣立ちは未だ早過ぎる気がします。
実はもう一羽の鳥が同じ電線の少し離れた場所に止まっていたのですが、引きの絵で撮る前に逃げてしまいました。

『日本動物大百科4鳥類Ⅱ』p87によると、モズの求愛は

♀がやってくると♂はその横に止まり、ぐぜり鳴きをしながら身体を細く引き締め、せいいっぱい伸び上がって、眼を通る過眼線を♀に示し、次に♀から顔をそらすように頭を振り立てる。この求愛ディスプレイによって、モズのつがいができあがる。



『科学のアルバム:モズのくらし』p8によれば

  • ♂と一緒に暮らし始めた♀は、雛が巣立つ頃まで、自分ではほとんど獲物を捕りません。♂が運んでくる獲物を、じっと待っているだけです。
  • 獲物を捕らえて帰ってきた♂を見つけると、♀は、羽根を小刻みに震わせて、♂に獲物をねだります。
  • モズは、毎年同じ♂と♀が夫婦になるとは限りません。


♀が催促する際に聞こえた鳴き声(@0:18)を声紋解析するには風切り音や車の通過音が邪魔ですね…。
一応、スペクトログラムを描いてみました。
チチチチチ…♪とスズメの鳴き声のようにも聞こえるのですが、偶然スズメが近くで鳴いたのかな?
上記文献にはモズ♀が鳴いて給餌を催促するとは書いてませんし。



【追記】
『モズの話:よみもの動物記』p154によると、
2羽のつがいができ上るころより、♂は捕えたえものをまっすぐ♀のもとに運んでいくこともある。♀の方は、あたかも巣立ち幼鳥が親鳥に餌をねだる時のしぐさで、ジィジィジィ…と鳴きながら半開きの翼を小刻みに振るわせ、低い姿勢で口を開いて給餌を受ける。モズの場合は、♀♂のつがいが完成した後、抱卵・育雛期にも、しばしばこうした♂からの給餌が観察される。


【追記2】
平野伸明『野鳥記』によると、
モズの♀はつばさをふるわせ、小声であまえるように鳴き、♂にえさをねだる。 (p196より引用)



【追記3】
モズの幼鳥は下嘴が黄色っぽいので、今回の個体は成鳥♀であり、番のパートナーに対する求愛給餌で間違いありません。

2013/06/07

ヒヨドリ(野鳥)の囀りと警戒声♪を声紋解析してみる



2013年5月上旬・曇り(正午ごろ)

ケヤキの枝に止まったヒヨドリHypsipetes amaurotis)が普段と違う鳴き方で繰り返し鳴いていました。
これが繁殖期に入ったヒヨドリの囀り(さえずり)なのでしょうか。
途中で聞き慣れた警戒声♪(地鳴き)も鋭く発しました。@1:54-1:57
最後は枝から飛び去りました。

※ 逆光の映像なので編集時に手ブレ補正および自動色調補正を施してあります。

同じ縄張りでヒヨドリの鳴き声を記録してきて、これが3種類目の鳴き方になります。

関連記事→「ヒヨドリの鳴き声♪2種類(地鳴き、さえずり?)を声紋解析してみる【野鳥】



ヒヨドリの囀りを声紋解析してみる

オリジナルのMTS動画ファイルから音声をWAVファイルに抽出し、鳴いている部分を切り出してからスペクトログラムを描いてみました。
囀りと囀りの間に入るノイズはスズメの鳴き声です。

囀りよりも警戒声の方が「いかにも声紋らしい」きれいなパターンが見られますね。
内蔵マイクによる録音の仕様なのか、カメラを新調しても依然として15 kHz以上の高音域がカットされている点は改善されておらず残念です。
3つのグラフで横軸(時間軸)が揃っていないのはご愛嬌。

【追記】
『野鳥を録る:野鳥録音の方法と楽しみ方』p217によると、

ヒヨドリの声には3つのタイプがある。「ピィー、ピィー」「ヒィーヨ、ヒィーヨ」など、伸ばすものをタイプA。「ピィッ」「ピョッ」など短いものをタイプB。「ピィーピィルルルル」という、長い声をタイプC。タイプAは、鳴き合いでタイプBとも組み合わせることもあります。タイプBは、興奮したときや警戒のときに出すもの。タイプCは、機嫌のよいときの声で、浮かれ歌的だと分析しています。
今回私が囀りだと思った鳴き声は、もしかするとこのタイプCの浮かれ歌なのかもしれません。


囀り♪×2

囀り♪×3

囀り→警戒声→囀り♪

2013/05/26

カケス(野鳥)の警戒声♪を声紋解析してみる



2013年4月下旬

谷川の近くでカケスGarrulus glandarius)がスギの枝に止まっていました。
「ジェー、ジェー♪」と2回鳴いてから飛んで逃げました。
警戒心の強いカケスをこれだけ至近距離から隠し撮りできたのは初めてでした。



カケスの警戒声を声紋解析してみる
近くを流れる谷川の水音が混入していますが、試しに2回鳴いた警戒声を切り出してスペクトログラムを描いてみました。
どうやらダミ声はきれいな声紋にならないようです。




2013/04/07

カケスの鳴き声♪を声紋解析してみる【冬の野鳥】



2013年3月中旬

カケスGarrulus glandarius)は飛び抜けて警戒心が強く、よく見かけるのに撮ろうとしてもすぐに逃げられてしまいます。
今回の個体は雑木林の枝に止まり、なぜかじっとしていました。
時折、変な声で小さく鳴いていました。(キュー♪?)
カケスと言えばお馴染みの「ジェージェー♪」という警戒声ではありません。
他の野鳥の鳴き真似なのでしょうか?
強いて言えば、啄木鳥のキョッキョッ♪という鳴き声と少し似ているかもしれません。
実は同じ日に近くでアカゲラを目撃しています。

最後は急に飛び立って奥の杉の木に移りました。
こんなにじっくり撮らせてくれるなんて!という個人的な驚きと喜びで記事にしました。





鳴き声を声紋解析してみる
元のMTS動画ファイルから音声をWAVファイルにデコードしてから、カケスがかすかに鳴いた部分を2箇所切り出して、スペクトログラムを描いてみました。
一応、声紋らしきパターンが得られました。




2013/03/28

雪面を歩くドバトの鳴き声♪【冬の野鳥】



2013年2月中旬

ドバト(カワラバト、Columba livia)の群れが餌欲しさに足元をつきまといますが、餌をくれないと分かると雪道を立ち去ります。
ドバトも1羽ずつよく見ると羽根の模様にバリエーション(個体差)がありますね。
特に雷鳥みたいな白い斑模様の個体が気になりました。





鳩がクルックー♪と鳴く声を声紋解析してみたのですけど、諸々の雑音が邪魔でいまいちきれいなスペクトログラムを得られませんでした。




2013/03/25

アオゲラ♀の木登りと鳴き声♪【冬の野鳥】



2013年3月上旬

アオゲラ♀(Picus awokera)がキョッキョッ♪と鳴きながらシダレザクラの枝をどんどん上に登って行きます。
樹冠で辺りをキョロキョロと見回しています。
このとき背側も見せてくれたので後頭部の赤班がばっちり見え、額は赤くないので♀と判明。
鳴きながら飛び去るも、すぐに戻って来ました。
幹をあちこち軽くつつきながら餌を探しています。

個人的にはアオゲラを平地で見たのはこれが初めてです。
厳冬期は山に食べ物が乏しくなったのでしょうか。





アオゲラ♀の鳴き声を声紋解析してみる
元のMTS動画ファイルから音声をWAVファイルにデコードしてから鳴いている部分を適当に切り出し、スペクトログラムを描いてみました。
近くで犬が鳴いているので、そこを除外して切り出すのに難儀しました。
声量が乏しいのか、きれいな声紋は得られませんでした。


3声鳴いている声紋

飛ぶ直前に2声鳴いた声紋



【追記】
▼関連記事(7年後の撮影。声紋解析あり)
繁殖期にメタセコイア樹冠でさえずる♪アオゲラ♂(冬の野鳥)



2013/03/16

カケスの多彩な鳴き声♪を声紋解析してみる【冬の野鳥】



2013年2月上旬

カケスGarrulus glandarius)は里山に多数生息していてよく出会うのに、警戒心が非常に強くて撮らせてくれない被写体の代表でした。※
色々と興味深い生態をもつ鳥らしいのですが、森にブラインドを張って篭らないと撮るのは無理かなと半ば諦めていました。

今回、杉の梢で奇妙な鳴き声を発しているカケスの姿をようやく撮ることができました。
残念ながら手前の潅木の枝が邪魔で、尾羽しか見えません。
撮影アングルを確保しようともし下手に動くと、これまでの経験から間違いなく逃げられるのでじっと我慢。

冒頭では聞き慣れたジェー、ジェー♪という鳴き声でした。
ところが後半は、小声でキュキュキュー♪と変な声を出したりカラスのような嗄れ声やトンビのような甲高い声でピーヨ♪と鳴いているのが非常に興味深く思いました。
ここだけ聞けば、カケスの鳴き声とは気づかないでしょう。
これは鳴き真似のつもりなのでしょうか。
リップシンクロ(鳴くときの嘴の動き)を確認していないため樹冠に隠れていた別種の鳥が鳴いたのではないか?と言われるとあまり自信が無いのですけど、一応カケスの鳴き声としておきます。

という訳で今回は、映像ではなく音声メインのネタです。

wikipediaによると、カケスは

「ジェー、ジェー」としわがれた声で鳴く。英語名の『Jay』はこの泣き声に由来する。また他の鳥の鳴き声や物音を真似するのが巧く、林業のチェーンソーや枝打ち、木を倒す時の作業音を「ジェージェー」の間奏を入れつつ再現することもある。飼い鳥として人に慣れたものは人語の真似までする。

カケスの多彩な鳴き声を声紋解析してみる

いつものように、元のMTS動画ファイルから音声をWAVファイルにデコードしてから鳴いている部分を切り出しスペクトログラムを描いてみました。
まずは冒頭で4回鳴いた普通のジェー♪という聞き慣れた嗄れ声です。









カラスっぽい鳴き声の部分はバックグランドノイズと区別できませんでした(図省略)。
トンビのような甲高い声でピーヨ♪と鳴いた部分は2回目で明瞭な声紋が得られました。





何とも形容しにくいキュキュキュー♪という奇妙な鳴き声の部分も独特の声紋が得られました。










声紋のデータをこつこつと録り溜めれば、鳴き真似のモデルもいづれ判明するかな〜?

※ 例えば、2012年7月上旬にようやく撮れたカケス↓も一瞬で逃げられました。


2013年9月下旬、森の樹上で2羽のカケスが鳴き交わす際にキンミー、キンミー♪とサシバの鳴き真似をしているのを目撃しました。(映像なし)




2013/03/11

ニホンザルの悲鳴♪を声紋解析してみる



2013年1月下旬

雪山の雑木林で3頭のニホンザル(Macaca fuscata)が樹上採食中。
別々の木の枝に腰掛け、手元の小枝を口元まで曲げて樹皮を齧りとっています。
真ん中の下の枝に居る個体は白猿(厳密にはアルビノではない)のようです。
近くで群れの猿の悲鳴が響いても、樹上の猿は知らぬ顔で静かに採食を続けました。@00:13 - 00:35

ニホンザルの悲鳴の声紋解析

いつものように元のMTS動画ファイルから音声をWAVファイルにデコードしてから鳴き声の部分を適当に切り出し、スペクトログラムを描いてみました。
どのような状況(喧嘩?)で発せられた悲鳴なのか不明ですが、一応それなりに声紋が得られました。




2013/03/09

ヒトに対して警戒声♪を発する見張りのニホンザル@雪山



2013年1月下旬

雪山を遊動する野生ニホンザル(Macaca fuscata)の群れを追っていると、樹上で警戒声と思われる鳴き声を発する個体(成獣)と出会いました。
小型犬みたいにキャンキャン♪と繰り返し鳴いています。
枝に後ろ向きに座っていますが、頻繁に振り返りこちらの様子を窺っています。

どうやら私が立ち止まって撮影していると、あまり鳴いてくれません。
木の上の方にどんどん登り、街灯の支柱の天辺に達しました。
お尻が一瞬見えたものの、性別は不明です。

そこで今度はスノーシュー(西洋かんじき)で雪道を歩きながら撮影してみると案の定、クワン、クワン♪と甲高い声で再び鳴き始めました。
こちらが立ち止まると鳴き止みます。

同行者がいればもっと楽に記録できたかもしれません。
手前の木の枝に隠れて見えにくいですけど、街灯の天辺に座ってこちらを油断なく見下ろしています。
群れの見張り役を務めているのでしょうか?
この日は他にも多数のニホンザルと遭遇しましたが、私というヒトの闖入者に対してあからさまな警戒声を繰り返し発したのはこの個体だけでした。
この猿だけ人馴れしていない個体なのか、あるいは最近爆竹などでヒトに追い払われた経験のある個体なのかもしれません。

私の耳にはこの鳴き声がキャンキャン♪と聞こえたのですが、ニホンザルの研究者が伝統的にクワン♪と呼んでいる警戒声がこれなのでしょうか。

ニホンザルの有名な警戒音<クワン>(『ニホンザルの生態:豪雪の白山に野生を問う』p18より)
金華山のニホンザルの生態学的研究 :いわゆる警戒音〈クヮン〉について

実は同じ日に、群れの仲間はこの警戒声を聞いても特に切迫した逃避行動などは起こしませんでした。

関連記事→「ニホンザルの警戒声♪に対する反応
警戒を呼びかけるというよりもレベルの低い注意喚起の鳴き声なのかもしれません。
それとも臆病な個体の単なる不安感の表出に過ぎないのでしょうか。

もう一つ興味があるのは、ニホンザルは警戒の対象(例えば猛禽類とか蛇、犬など)によって鳴き声を使い分けているのか?(群れ内の共通認識として語彙があるのか?)という点です。



【追記】
・「ボス」や「リーダー」についていろいろと言われてきた「役割」と同様、若い♂の「見張り」という「役割」も実際には存在しない。(『ニホンザルの生態:豪雪の白山に野生を問う』p164より)

・これまで「警戒声」といわれてきた<クワン>や<ギャン>にしても、発する個体や発せられる音量によって、群れのサルたちの反応はさまざまであることは、これまでに随所で見てきた。
それらは、群れ全体に対する「警戒警報」といったような意味でなく、基本的には発する個体の心的な極度の緊張の表出と理解できる。(同書p323より)


『ニホンザル行動論ノート』第3-1章「音声伝達再考」p200「《クワン》は警戒情報か」より
《クワン》なる音声は、それを発する個体のいかなる心的状況をものがたっているものだろうか。ひとことでいえば、それは“異常にたかまった緊張状態“であろう。




ニホンザルの警戒声を声紋解析してみる

いつものようにオリジナルのMTS動画ファイルから音声をWAVファイルにデコードしてから鳴いている部分を切り出し、スペクトログラムを描いてみました。
比較のため、次回は同じ群れのニホンザルのクーコール(コンタクトコール)も声紋解析してみたいと思います。





2013/03/05

カルガモ(野鳥)の鳴き声♪を声紋解析してみる



2012年7月中旬

山中の池に一羽で飛来したカルガモAnas poecilorhyncha)が水面を移動しながら鳴いています。
クゥワッ、クゥワッ、クゥワッ♪と鳴き続けます。
仲間を呼んでいるのでしょうか?
途中、嘴で水をすくって飲んだように見えますが、どうでしょう。@1:01
池の畔で隠し撮りしている私のことは気づいているかな?



カルガモの鳴き声の声紋解析
いつものようにオリジナルのMTS動画ファイルから音声をWAVファイルにデコードしてから鳴いている部分を適当に切り出し、スペクトログラムを描いてみました。
背景でウグイスなど他の野鳥が賑やかに囀っているため、カルガモとは無関係のピンクノイズが混入しています。
こういう時は、外付けの集音マイクを使えば改善するかもしれません。




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