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2024/03/15

ニホンアナグマの溜め糞場で野ネズミが食べている物とは?【トレイルカメラ:暗視映像】

 


2023年6月下旬・午前2:40頃 

平地のスギ防風林にあるニホンアナグマMeles anakuma)の溜め糞場stmpで深夜に野ネズミ(ノネズミ)が何かを食べていました。 
残念ながら食べているメニューを映像から見極められませんでしたが、3つの可能性が考えられます。 
さすがにアナグマの糞(軟便)そのものは食べないはずです。 

(1)糞塊に蠢く糞虫やウジ虫など食糞性の昆虫類(分解者)。 
栄養価も高く、数としては圧倒的に多いはずです。 

(2)溜め糞の糞便臭に誘引されて飛来する夜行性の蛾。 
この動画の最後でも夜蛾が飛来しました。 
直後に野ネズミが夜蛾に襲いかかったかもしれないのに、狩りの瞬間を撮り損ねてしまって残念無念。 

(3)溜め糞に含まれる未消化の種子。 
アナグマの主食はミミズと言われていますが、実際は雑食らしいです。 
前日の昼間に撮った溜め糞stmpの写真に未消化の種子と思われる小さな粒々がしっかり写っていました。 
下に再掲します。 
いつか糞の内容物をしっかり調べれば、アナグマによる種子散布の実態も分かってくるはずです。(なかなか忙しくて余力がありません)




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溜め糞stmpの左の表面に未消化の種子

2024/03/13

ニホンアナグマの溜め糞場で獲物を待ち伏せするサビハネカクシがキンバエを狩り損なう

 

2023年6月下旬・午後12:45頃・くもり

スギ防風林で朽ちた切株の横に残されたニホンアナグマMeles anakuma)の溜め糞場を定点観察しています。 
鬱蒼としたスギ植林地の林床は、昼間でもかなり薄暗くなっています。 
黒い軟便が溜まった新鮮な糞塊にサビハネカクシOntholestes gracilis)が2匹乗っていて、獲物を待ち伏せしていました。 
尻尾を少し持ち上げてゆっくり回す行動が気になります。 
猫が獲物を狩ろうとする前の興奮した心理状態を表す仕草を連想しました。 
やがて、1匹のサビハネカクシが溜め糞から吸汁していたキンバエの仲間(種名不詳)に斜め後ろから忍び寄りました。 
しかし狩りは失敗に終わり、キンバエは素早く飛んで逃げ糞塊上の落枝に着陸し直しました。 
クロボシヒラタシデムシOiceoptoma nigropunctatum)の幼虫エンマムシの仲間の成虫(種名不詳)も溜め糞上を徘徊したり潜り込んだりしているのですが、固い鎧で身を固めた甲虫類にサビハネカクシが襲いかかることはありません。 
溜め糞場で肉食性のハネカクシ類が狩りに成功する瞬間を動画に撮るのが今季の目標です。
失敗続きでもめげずに地道に動画を撮り続けるしかありません。

動画を撮影中に画面を黄色っぽい昆虫が低空かつ高速で飛び回っています。 
ようやく溜め糞の横の下草に止まったので接写してみると、キイロコウカアブPtecticus aurifer)でした。 
性別の見分け方を知らないのですけど、交尾相手のキイロコウカアブ♀が吸汁・産卵のため溜め糞場に飛来するのを待ち伏せしている♂なのでしょうか? 

アナグマの溜め糞に隣接するスギの落ち葉に微小なアリ(種名不詳)が群がっていました。 
アリは泥状の軟便の上を歩きたくないようです。
左の黒い糞塊には未消化の種子が含まれていた。

2024/03/10

スギ防風林でニホンアナグマの溜め糞を通りすがりに調べるホンドタヌキ【トレイルカメラ:暗視映像】

 

2023年6月下旬・午前4:01・(日の出時刻は午前4:15) 



ニホンアナグマMeles anakuma)が排便に通う溜め糞場stmpにホンドタヌキNyctereutes viverrinus)が夜明け前に登場しました。 
スギ防風林を左からやって来たようで、朽ち果てた切株の上に乗り、アナグマの溜め糞stmpを見下ろしています。 
アナグマの新鮮な糞の匂いを嗅いでから左に立ち去りました。 

実は左に5mぐらい離れた地点にタヌキが排便に通う巨大な溜め糞場wbcがあるのです。 

タヌキがアナグマの溜め糞の上に対抗して排便することもありませんし、逆にアナグマがタヌキの溜め糞場で排便することもありません。 
しかし縄張りが重なり合う2種が近接してそれぞれの溜め糞場を設けているということは、お互いに意識し合って糞便の匂いで縄張りを宣言しているのでしょう。




2024/03/09

ニホンアナグマの溜め糞をほじくり返してみると…

 

2023年6月下旬・午前10:00頃 



スギ防風林の中にニホンアナグマMeles anakuma)が通う溜め糞場stmpがあり、定点観察しています。 
放置されたまま朽ちた古い手押し車(猫車)の金属フレームが目印になっています。
約5m離れた地点に残されたタヌキの溜め糞wbc-1と異なり、アナグマの溜め糞は黒い軟便で糞の原形が残っていません。 

鈴木欣司『アナグマ・ファミリーの1年』(2000年)によると、
 (アナグマの溜め糞は:しぐま註)軟便でしたが、(中略)土の中の酸化鉄を原料にしている絵の具のイエローオーカーのにおいがしました。これは、ミミズばかりむさぼり食べていた証拠です。(p35より引用)
アナグマの糞特有の匂いが気になっているのですけど、私はまだイエローオーカーの匂いを理解できていません。
タヌキの溜め糞に比べて臭くない(糞便臭が弱い)としか思えません。


すぐ横には朽ち果てた切株があり、その下にオニグルミ堅果の殻が大量に散乱していました。 
殻の両側に丸い穴がくり抜かれていることから、アカネズミApodemus speciosus)の食痕と判明。 
周囲を見回してもオニグルミの木は生えていなかったので、秋にオニグルミの落果を1個ずつせっせと運んで貯食していたのでしょう。 
大雪の積もる冬に貯蔵庫のクルミを食べて暮らし、残りの殻を一箇所に捨てていたのです。 
つまり、この辺りはアナグマのトイレでもあり、アカネズミのゴミ捨て場でもあります。 
どこか近くにアカネズミの巣穴があるはずですけど、朽ち果てた切株の根元は穴だらけで逆によく分かりませんでした。 
後日、すぐ近くのスギ林床(スギ落ち葉の下)に野ネズミ(ノネズミ)の巣穴を発見しました。(映像公開予定)
右上にアカバトガリオオズハネカクシ
 
2023年6月下旬・午後13:50頃

3日後に現場を再訪しました。
鬱蒼としたスギ林の林床は、日中でもかなり薄暗いです。 
小枝でアナグマの溜め糞stmpをほじくってみると、湿った粘土状というか、独特の質感です。 
溜め糞の中から得体の知れない小型の黒い虫が大量に現れ、慌てて逃げ惑います。
糞虫やハネカクシ類、シデムシ類だと思うのですが、糞分析の要領でじっくり調べないと分かりません。
(目の細かいザルに獣糞を入れてほぐしながら流水で洗い流し、未消化の内容物や糞虫を濾し取る手法)
アナグマの調査で忙しくてこれ以上手を広げられず、糞虫の採集調査は後回しになっています。
隣りにあるタヌキの溜め糞wbcと糞虫相を比較するのも面白そうです。

溜め糞stmpの周囲を黄色い昆虫が高速でブンブン飛び回っていました。
ようやく近くの下草に止まったので接写してみると、キイロコウカアブPtecticus aurifer) でした。
右翅だけ広げた謎の体勢です。 
レンズをそっと近づけてもなかなか逃げません。
最後にようやく羽音を立てて飛び去りました。


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2024/02/08

タヌキの溜め糞場で激しい空中戦を繰り広げるキイロコウカアブとコウカアブの群れ【FHD動画&ハイスピード動画】

 

2023年6月上旬・午後13:10頃・くもり 

平地のスギ防風林にホンドタヌキNyctereutes viverrinus)が残した溜め糞場wbcに定点観察に来てみると、互いに少し離れて3つ並んでいる溜め糞のうち1つ(wbc-2)だけ異様な活況を呈していました。 
黄色と黒の昆虫2種類が糞塊の上すれすれを高速でブンブン群飛していたのです。 
てっきり私は、溜め糞場で黒いハエを狩ろうとスズメバチが集まってきたのかと初めは思いました。 

関連記事(2、3、11年前の撮影)▶  


昼間でもかなり薄暗いスギ林床でよく目を凝らすと、黄色っぽい昆虫はスズメバチやベッコウバエではなくキイロコウカアブPtecticus aurifer)のようです。 
同じ溜め糞場で以前、下草に止まっているキイロコウカアブを撮っています。
黒い昆虫を写真鑑定した結果、おそらくコウカアブPtecticus tenebrifer)と思われます。 
性別までは見分けられませんでした。 
採集用の捕虫網を持参していれば、しっかり同定できたかもしれません。 
しかし、網をひと振りで仕留めないと、皆逃げてしまって戻ってこないでしょう。 
黄色と黒の体色が同種の性的二型だと群飛の説明がしやすいのですが(求愛飛翔)、同じミズアブ科でも体色の異なる別種のコウカアブでした。 
各種が複数個体で溜め糞の上すれすれを低空で飛び回っています。 

私が溜め糞wbc-2に近づいたせいでコウカアブ類が警戒して溜め糞から飛び立ったのかと思ったのですが、私がその場で長時間静止していても糞塊に着陸せずに群飛を繰り広げています。 
耳を澄ますと、ブンブンという羽音だけでなく空中で互いにバチバチと激しくぶつかる衝突音が頻繁に聞こえます。 
2種共に♀は産卵目的で獣糞に来ますから、ニッチが重なる同属2種間で熾烈な縄張り争いがあるのでしょうか? 
それとも、交尾相手の♀を溜め糞場で待ち伏せしている♂が飛来した♀を空中で捕獲しようと、必死で飛び回っているのでしょうか?(求愛のための群飛) 
溜め糞の周囲で交尾中の♀♂ペアを見かけませんでした。
彼らにとっても暗過ぎて、高速飛翔中に障害物を回避できないだけかもしれません。(空中衝突不可避)
コウカアブ類の成虫は肉食性ではありませんから、狩りのための探餌飛翔ではありません。 

キイロコウカアブとコウカアブの群飛を240-fpsのハイスピード動画でも無理して撮ってみました。(@0:50〜) 
確かに空中で互いに突進してぶつかり合っていることが分かりました。 
ライバルを縄張りから追い払おうと肉弾戦を挑んでいるのか、それとも誤認求愛の結果で衝突しているのか、素人目には見分けられません。 
現場はただでさえ暗いのに、ハイスピード動画モードに変えてフレームレートを4倍に上げると、単純計算で明るさが1/4に落ちてしまいます。
黒っぽい溜め糞を背景にすると、黒いコウカアブは見えにくいです。 
黄色いキイロコウカアブはまだ辛うじて目立ちます。 

溜め糞wbc-2の表面ではいつものように、クロボシヒラタシデムシOiceoptoma nigropunctatum)の成虫および幼虫が徘徊していました。 
キンバエ類と並んで、うんちレストランの常連客です。 


※ 動画編集時に自動色調補正を施して暗い映像を明るく加工しました。 
※ アブの羽音や衝突音が聞き取れるように、音声を正規化して音量を強制的に上げています。


明らかに光量不足の薄暗いフィールドで生態動画を撮りたいとき、補助照明を使うべきでしょうか? 
写真撮影の場合はフラッシュを焚けば済む話ですが、問題は動画撮影です。 
赤外線の暗視カメラを使うほどではない、薄暗い条件が一番厄介です。 
特にハイスピード動画モードに切り替えてフレームレートを4倍に上げると、単純計算で明るさが1/4に落ちてしまいます。
私はいつも照明を使わずにカメラ本体の設定を変えてなるべく明るく写るようにしてから撮影し、編集時に更に明るく加工するようにしています。 
しかし、そのやり方では、どうしても画質が粗くなってしまいます。 

よほど明るい強力なライトを使わないと効果がありませんし、何よりも人工的な光を照射すると生き物の自然な行動が撮れなくなってしまうという懸念があります。 
野鳥や野生動物なら新たな眩しい光源に警戒してそれまでの行動を中断して逃げてしまいますし、昆虫には正または負の走光性があるので、照明自体が行動観察に悪影響を及ぼしてしまいます。 
時間をかけて照明に少しずつ慣らしてやるのが定石の撮影テクニックですけど、そんな悠長なことは言ってられない場合があります。(すぐに撮りたい場合) 
※ 昆虫にはあまり見えない赤色光のライトを使ってみるのがよさそうですが、我々ヒトが見た時にどうしても不自然な色味になってしまいます。

きれいに撮れない(見栄えが悪い)薄明薄暮の生態動画は誰も撮りたがりませんから、ある意味では未開拓のフロンティアかもしれません。 
BBCの動物カメラマンが使っているような超高感度のカメラやサーモグラフィカメラを私も使ってみたいのですけど、あまりにも高価で手が出ません(高嶺の花)。 
そうした軍事用カメラの需要が高まっている昨今、民生品の値段も下がってくれないかな〜?と密かに期待しています。

2024/01/24

野生ニホンカモシカの抜け毛【フィールドサイン】

2023年6月上旬・昼頃・晴れ 

里山のスギ林道の横の斜面に落枝が引っかかり、折れた先端部が道端から突き出したまま放置されています。 
この辺りを縄張りとするニホンカモシカCapricornis crispus)がこの林道を通りかかる度に、このスギ落枝の尖った先端に眼下腺でマーキングしていることがトレイルカメラによる撮影で分かっています。 


関連記事(2022年の撮影)▶  


すでに監視カメラを撤去してしまったのですが、久しぶりに現場入りしてみると、スギ落枝の先端部に白っぽい体毛が何本も絡みついていることに気づきました。 
これはカモシカが顔をゴシゴシと擦り付けた際に抜けた体毛と考えられます。 

撮影後、念の為に抜け毛を採取しました。 
もし毛根が残っていればDNA鑑定が可能となり、眼下腺マーキングした複数個体の識別や血縁関係などが明らかになるはずです。
このときピンセットを持参してなかったのでやむなく素手で摘み取りました。
したがって、私のDNAでサンプルを汚染してしまいました。

カモシカの話から外れますが、農耕地を取り囲む有刺鉄線に絡みついた抜け毛を積極的に集めて顕微鏡で分析するだけでも、有刺鉄線をくぐり抜ける害獣の種類がある程度見分けられるのだそうです。

2024/01/17

タヌキの溜め糞場で多数のダニに寄生されたエンマムシの一種

 

2023年5月下旬・午前11:30頃および午後13:15頃 

平地のスギ防風林にホンドタヌキNyctereutes viverrinus)が残した巨大な溜め糞場wbc-1を定点観察しています。 

今回私の目を引いたのは、1匹の真っ黒な甲虫(成虫)です。 
体表に赤っぽいダニ(種名不詳)が多数群がっていました。 
ダニは体外寄生や吸血性というよりも、ただヒッチハイク(運搬共生、便乗)しているだけかもしれません。 
この甲虫は何でしょう? 
どなたか教えていただけると助かります。 
てっきりタヌキ溜め糞場では常連のセンチコガネPhelotrupes laevistriatus)かと思ったのですが、ハネカクシのように鞘翅が短く腹端が露出していることに気づきました。 
その点でクロシデムシを連想しました。
体表に多数のダニが集ったクロシデムシの写真がネット上には多数公開されています。
しかし、クロシデムシにしては触角が違いますし、死肉食性のクロシデムシが獣糞に来るという話も聞いたことがありません。
同定のため謎の甲虫を採集すべきでしたが、採集道具を何も持ってこなかった私が「どうしよう? どうしよう?」と焦っている間に、溜め糞の中に潜り込んでしまいました。
こういうときに躊躇なく素手で捕獲できるのが筋金入りの虫屋なのでしょう。 
私はまだまだ修行が足りません。

【追記】
YouTubeのコメント欄にて、H720316氏から「ダニだらけの甲虫はエンマムシの仲間かな?」とのコメントを頂きました。
画像検索してみると、多数のダニのたかったエンマムシの写真がいくつかヒットします。
Yahoo知恵袋で他の人が写真鑑定してもらった回答が参考になったので、引用させてもらいます。
ダニの集団です。シデムシなどにもよく付着している肢が長めで全身が褐色のダニ(種は不明)と同じものと思われ、昆虫に寄生しているのではなく死体にわくウジを餌としており、自力では移動能力に乏しいため飛翔できる昆虫の体表にしがみついて乗り物として利用し、目的となる死骸に移動するものとされています。シデムシと異なりエンマムシは体表がツルツルした部分が多く上翅も体とぴったり組み合わさり隙間が少ないため、しがみつける場所が腹端くらいしかなかったのでしょう。
なおシデムシは死体を訪れて腐肉を食べるため、このダニを連れていくことで餌を巡って競合するウジを食べてもらうという双利共生の関係があるとされていますが、エンマムシの場合はダニと同じくウジを餌とするため、そのような関係には当たらないことになります。尤も死体には大抵エンマムシが食べきれないほどのウジが発生するので、餌を巡る競合までは起こらないと思われます。


溜め糞場wbc-1で多かったのは、クロボシヒラタシデムシOiceoptoma nigropunctatum)の成虫と幼虫でした。 
クロボシヒラタシデムシの幼虫は三葉虫のような奇怪な形をしています。 
様々なハエ類も集まっていましたが、真面目に検討していません。 

それよりも、どこか近くでずっと鳴いている鳥の美声が気になりました。 
調べてみると、森林性のクロツグミ♂(Turdus cardis)の囀りさえずりのようです。 
他にはキジ♂(Phasianus versicolor)が近くの農地(休耕地?)でケンケーン♪と縄張り宣言の母衣打ちほろうち♪をする鳴き声も聞こえました。 

※ 前半部はかなり薄暗くてぼんやりした映像だったので、動画編集時に自動色調補正を施しています。 
色合いが少しどぎつく強調されてしまったかもしれません。

帰路に現場を再訪したら、近くにもう一つ別な溜め糞wbc-2を発見しました。 
隣の溜め糞wbc-1よりも規模は小さいものの、新鮮な糞が追加されていました。 
クロボシヒラタシデムシの成虫および幼虫が群がって活動しています。 
現場では気づかなかったものの、写真にはサビハネカクシOntholestes gracilis)らしき姿も1匹写っていました。

2024/01/14

民家の軒先で見つけたキイロスズメバチの古巣(再建巣跡)

2023年5月下旬

郊外の農村部(田園地帯)で2階建て民家の西向きの軒先にスズメバチの巣を見つけました。 
コガタスズメバチVespa analis insularis)の創設女王が今季作り始めた初期巣にしては形がいびつですし、細長い煙突のように下向きに伸びているはずの巣口がありません。 
巣に出入りする蜂の姿はなく、昨年(またはそれ以前に)作られた古巣のようです。 
キイロスズメバチVespa simillima xanthoptera)の巨大な巣が一度駆除された跡に再び小さく再建した二次巣ではないかと推測しました。

2024/01/09

ホンドタヌキの巣穴を見つけた!

 

2023年5月下旬・午後13:25頃・晴れ 

私が近道をしようと休耕地の原っぱを横切って歩いていると、ハルジオン群落の陰からホンドタヌキNyctereutes viverrinus)が顔を覗かせて私の様子をこっそり伺っていました。 
タヌキの幼獣ではなくて成獣です。 
正面からこちらを見据えている顔の額に黒い傷跡のような模様があります。
草むらにゆっくり身を伏せたのは、私から隠れているつもりなのでしょうか? 




私が動画を撮りながら草地をゆっくり歩いて近づいても、タヌキが走って逃げなかったのは意外でした。 
タヌキは草むらの奥で右から左へそっと横切ったのですが、私も慌てていて、うっかり録画終了ボタンを押してしまいました。 
急いで続きの動画を撮り始めると、タヌキはハルジオン群落の陰に身を伏せてこちらを見ています。 
やがてどこかに姿を消しました。 

私がゆっくり歩いて回り込むと、地面に掘られた巣穴を発見しました。 
タヌキはここに避難したようです。
私は知らず知らずタヌキの巣穴に向かって原っぱをズカズカと歩いていたようで、親ダヌキが警戒していたのだと分かりました。
巣穴の奥はどのぐらい深く掘られているのか分かりませんが、巣口aにズームインしても逃げ込んだタヌキの姿は見えません。 




辺りを探索すると、隣にもう一つの巣穴bを見つけました。 
独立した巣穴が2つあるのか、それとも内部でつながっているのかな? 
巣穴bの中にまばらに敷かれた枯れ草は、巣材(寝床)なのでしょう。 




タヌキも今は繁殖期(子育て中)ですから、神経質になっているはずです。 
私は撮影を最小限に済ませると、急いでタヌキの営巣地から立ち去りました。 
これでも巣口に近づき過ぎないように、タヌキを追い詰め過ぎないように、気をつけたつもりです。
もし私が本気で駆け寄ったら、狸寝入り(擬死、死んだふり)をしたでしょうか? 
早速、無人の自動センサーカメラ(トレイルカメラ)を設置して、ホンドタヌキの巣穴を監視することにしましょう。 

原っぱにはスギナやハルジオンなどの雑草が生えていて、クズの蔓も伸びつつあります。 
この休耕地がこれからどうなるか、タヌキにとっては死活問題です。 
今季は休耕地のまま放置してくれるでしょうか? 
地主が畑で何か作物を栽培するためにトラクターで休耕地の耕耘を始めたら、タヌキの家族は強制立ち退きを余儀なくされるでしょう。 

実はタヌキの巣穴を見つけた日はすぐに帰宅せずに、離れたところから望遠で隠し撮りしてみました。 
(私の記憶違いで、後日の話でした。)


2023/12/30

庭で落葉したカエデ樹上に現れたコガタスズメバチの古巣:2018年

2018年12月上旬・午後・くもり

民家の庭木が落葉した後に、コガタスズメバチVespa analis insularis)の古巣を見つけました。 
初冬でコロニーが解散した後ですから、成虫の出入りはありません。 
コガタスズメバチはヒトへの攻撃性がそれほど高くなく、当地(東北地方の雪国)では巣があまり大きく育ちません。
夏に横を通りかかっても巣の存在に気付きませんでした。

このように「知らぬが仏」という事例が多いことから、少なくともコガタスズメバチに関しては、人家の近くに巣を作っても、ほぼ問題なく共存できると私は考えます。
コロニーが解散するまで干渉せずに放っておけば良いのです。
下手に駆除しようとするから、蜂に反撃されて刺傷事故が起きるのです。
むしろコガタスズメバチが庭木に営巣したおかげで、周囲の庭や家庭菜園で害虫の発生が抑えられたはずです。
ヒトの知らない間にスズメバチは重要な生態系サービスを担っています。
ミツバチなどのハナバチ類が植物の花を受粉してくれる生態系サービスについては一般人でも理解されているようですが、スズメバチやアシナガバチなど社会性カリバチについてはその危険性ばかりが過剰に喧伝されているのが残念です。

蜂好きが「べき論」を言ったところで反感を買うばかりですが、身近にスズメバチの巣を見つけたら、まずはその種類を正しく見分けることが大切です。
巣の形状や営巣環境などからスズメバチの種類をおおよそ推測することができます。
マスコミがオオスズメバチへの恐怖を毎年煽るので強烈な印象に残り、虫に詳しくない人は最悪を想定してしまいがちです。
しかし、必ずしもオオスズメバチの巣とは限りません。
オオスズメバチは地中に営巣する種類であって、樹上には決して巣を作りません。
そもそもオオスズメバチが営巣するのは、よほど自然豊かな環境(山林)になります。
知識がなくて不必要に怖がる結果、スズメバチに対して不寛容になっている(見つけ次第、皆殺しにすべきだ!)ケースが多いと私は感じます。


完全に落葉した後でも特徴的な翼果が枝に残っていたことから、営巣木の樹種はカエデの仲間[(おそらくイロハモミジ(=イロハカエデ)]と分かりました。


2023/12/26

ゴマダラカミキリばらばら死体の謎

2022年8月中旬

里山の尾根道でゴマダラカミキリAnoplophora malasiaca)の死骸が転がっていました。
頭部、胸部、腹部とバラバラにされた部位が点々と散らばっています。
鞘翅を開げたまま死んでいるのも不思議です。
復元すればほぼ全身が残っているので、野鳥や野生動物が捕食した食べ残しにしては変です。
自然死した死骸がアリによって解体されて巣に運ばれる途中なのでしょうか?
アリの大群は居なかったものの、写真をよく見直すと、頭部の死骸に2匹の黒アリ(種名不詳)が写っていました。
(右触角の先と大顎の下)

2023/12/25

二次林にあるニホンアナグマの営巣地@5月中旬

 



2023年5月中旬・午後 

トレイルカメラの電池を交換するために、ニホンアナグマ♀(Meles anakuma)の営巣地(セット)にやって来ました。 
繁殖期なので子育て中の♀を刺激しないように、なるべく訪問頻度を下げています。 
セットの広場には足を踏み込れないようにしています。 

動画を撮りながら巣口Rの近くに忍び寄ると、実際には2つ以上の穴が横に並んでいました。 
巣口Lの近くにも回り込んでズームインしてみました。 
アナグマが巣口から顔を出して警戒することはありませんでした。 

アナグマ関連の本を読むと、巣穴の近くに溜め糞場を作るのだそうです。 
 アナグマも「ためフン」をする。そうはいっても、タヌキのもののように、家族が何日もかけて積み上げたものではなく、規模は小さい。
 それはふつうに「トイレ」といっていいほどで、巣穴の近くの、ざっくりと斜面をひとかきしたような穴の中に3〜5本してある。

セットの横を探すと、灌木の根元を数カ所、浅く掘っていました。 
アナグマのトイレ(溜め糞場)にしては、糞が全く残っていません。 
餌となるミミズを捕食するために掘った穴ではないかと思います。 
あるいは新しい巣穴を掘ろうとして、木の根っこなどに阻まれてしまったのかもしれません。 

木漏れ日が小さいので、林冠は木の葉でほとんど塞がれていることが分かります。 
実際にカメラを上に向けて林冠の様子を撮ればよかったですね。
晴れた午後でも林床はほぼ日陰になっています。 
巣穴の周囲にはマルバゴマギの細くてねじくれた灌木がヒョロヒョロと生えています。
その生育が悪いのは冬の雪圧のせいだと思っていたのですが、夏も日当たりが悪くてあまり光合成できないと分かってきました。
地中にアナグマの巣穴がありますから、根っこが常に痛めつけられている悪影響もありそうです。
台風の大風や落雷など何らかの理由で近くの大木が倒れて林冠ギャップができれば、日当たりが良くなり、生育が良くなるはずです。



2023/12/24

ススキの葉裏に作られたヒメクモバチの泥巣

2022年7月下旬・午後16:00 

里山で幅が狭く人通りの少ない山道を下っていると、ススキの葉の裏に付着した小さな泥玉を見つけました。 
これはおそらくヒメクモバチ♀(旧名ヒメベッコウ;Auplopus carbonarius)の作った泥巣と思われます。 

完成後に閉じられた育房が2つ並んでいました。 
白っぽく乾いた育房の方が先に作られ、やや黒っぽく湿った育房はその後に作られたと推理できます。
葉裏の主脈に沿って巣材の泥玉を付着させようと試みた跡が残っていました。 
作りかけの泥玉が剥落してしまったのかもしれません。
地上から泥巣までの高さは約80cm。 
近くに母蜂の姿はありませんでした。

私が通りすがりに営巣基のススキの葉身をうっかり折ってしまったので、ヒメクモバチ♀が造巣を続けるかどうか疑問です。 
次回に来たときは泥巣を採集して育房の中身を発掘調査してみようと計画していたら、山道の整備に伴って草刈りされてしまいました…。

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