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2018/09/22

シロツメクサを訪花するベニシジミ春型の羽ばたき【HD動画&ハイスピード動画】



2018年7月上旬

川沿いの農道に咲いたシロツメクサの群落でベニシジミLycaena phlaeas daimio)が訪花していました。
翅をしっかり閉じ、花の上で向きを変えながら吸蜜しています。
吸蜜の途中で翅が半開きになり、未だ春型の個体と判明しました。
夏型は未だ羽化していないのかな?

飛び立つ瞬間を狙って240-fpsのハイスピード動画で撮ってみました。(@〜)




ベニシジミ春型@シロツメクサ訪花吸蜜

2018/09/19

羽化直前のキアゲハ帯蛹b【40倍速映像】

▼前回の記事
キアゲハの蛹化【10倍速映像】


キアゲハの飼育記録(2018年)#5


キアゲハ前蛹b:水平@蛹化前日
キアゲハ帯蛹b:水平@蛹化直後

飼育していたキアゲハPapilio machaon hippocrates)の1頭がプラスチック容器の天井から帯糸たいしでぶら下がり水平に蛹化しました。
容器内には足場用に割箸を何本か入れておいたのですが、ワンダリング中のキアゲハ終齢幼虫は気に入らなかったようです。


日が経つとこの帯蛹bは薄い褐色になりました。

羽化前日の帯蛹b:側面@水平
羽化前日の帯蛹b:腹面@水平



2018年7月中旬・午前6:57〜7:51

この帯蛹bが蛹化してから8日後。
色づいた翅芽が透けて見えるようになりました。

キアゲハ帯蛹b:水平(側面)@羽化直前

いよいよ羽化しそうなので、微速度撮影で記録してみます。
40倍速の早回し映像をご覧下さい。
時々かすかに蠕動、伸縮動しています。
午前7:01に測った室温は27.2℃、湿度62%。


つづく→#6:羽化の途中で蛹便を排泄してしまったキアゲハ【10倍速映像】


2018/09/18

交尾中に連結飛翔で逃げるモンキチョウ♀♂



2018年7月上旬

川沿いの農道を私が歩いていたら交尾中のモンキチョウColias erate poliographus)の♀♂ペアが驚いて少し飛び、道端のクズの葉裏に翅を閉じて止まりました。
(映像はここから。)
翅が黄色の個体が♂で、白色の個体が♀です。
交尾器の連結部は閉じた翅に隠れて見えません。

撮りながら茂みに近づくと、危険を察知した♀♂ペアが連結したまま飛び立ち、柳の灌木を越えて飛び去りました。
連結飛翔中に♀♂はどのように意思疎通をしているのでしょうか?
トンボの尾繋がりとは異なり蝶は互いに逆向きに連結していますから、飛ぶ方向を決めないと交尾器の連結が外れてしまうでしょう。
飛び立ちを1/5倍速のスローモーションでリプレイしてみると(@0:32〜)、連結飛翔の後半は♀(翅が白色)が羽ばたきを止めて翅を閉じました。
その結果、♂が主導権を握り安全な場所まで♀をぐいぐい引っ張って飛んで行きます。

古い図鑑ですが、保育社『原色日本昆虫生態図鑑IIIチョウ編』を紐解くと、

 蝶の交尾は草上、草間ときに樹上などで行なわれ、一般にこのときは活動しない。しかし刺激が加わったり、驚いたりすると交尾したまま飛び立つことがある。このときすぐ飛ぶのをやめてしまうが、交尾したまま飛翔する場合は、♂、♀のどちらか一方が飛び、他方はぶら下がっている。♂も♀も翅を使って同時に飛ぶことはない。
このように交尾しながら飛ぶときに♂が飛ぶか、♀が飛ぶかは種によって一定していて、属や科についても通則がある。(中略)ここで←♀+♂の記号は、♀が飛翔し、♂は交尾したまま♀に連行され飛翔しないことを示す。 (p88より引用)


スローモーション映像を手軽に撮れない時代の鋭い観察眼に脱帽します。
今回の観察で、モンキチョウの連結飛翔は「←♂+♀」のタイプだと分かりました。

※ 動画編集時に自動色調補正を施しています。


モンキチョウ♀♂@クズ葉+交尾

2018/09/16

ムラサキツメクサの花蜜を吸うモンシロチョウ



2018年7月上旬

川沿いの農道に咲いたムラサキツメクサ(=アカツメクサ)の群落でモンシロチョウPieris rapae)が訪花していました。
吸蜜中は翅をしっかり閉じています。
前後半で別個体を撮影。

つづく→訪花中のモンシロチョウに誤認求愛するモンキチョウ♂


モンシロチョウ@ムラサキツメクサ訪花吸蜜

2018/09/14

翔べ!ツメクサガ(蛾)【HD動画&ハイスピード動画】



2018年7月上旬

川沿いの農道の草むらでツメクサガHeliothis maritima adaucta)が休んでいました。
この辺りには幼虫の食草であるムラサキツメクサ(=アカツメクサ)やシロツメクサの群落に事欠きません。

私が近づくと準備運動なしに飛んで逃げるものの、あまり長距離は飛びませんでした。
ギシギシの葉からツメクサガが飛び立つ瞬間を狙って、物を投げつけながら240-fpsのハイスピード動画で撮ってみました。
とばっちりで、近くに潜んでいたらしいベニシジミLycaena phlaeas daimio)(春型)もツメクサガの後を追うように飛び去る様子が写っていました。


▼関連記事(5年前の撮影)
シロツメクサの花蜜を吸うツメクサガ(蛾)


ツメクサガ(蛾)@ギシギシ葉

2018/09/13

キアゲハの蛹化【10倍速映像】



▼前回の記事
蛹化前に蠕動するキアゲハ前蛹【10倍速映像】


キアゲハの飼育記録(2018年)#4

2018年7月上旬・午後12:45〜13:02・室温30.7℃、湿度52%

蠕動していたキアゲハPapilio machaon hippocrates)前蛹の胸背が割れ、いよいよ脱皮が始まりました。
10倍速の早回し映像をご覧下さい。

蛹の後部に送った脱皮殻を落とすために、腹端が一瞬だけ壁面から外れました!
すぐに腹端で足場糸を探り当て、プラスチック容器の壁面に固定し直すのが興味深く思いました。
この芸当は全ての昆虫ができるとは限りません。

例えば、最近飼育したナミテントウでは帯糸を使わず腹端だけで固定しているために、前蛹の抜け殻が蛹の腹端にいつまでも(成虫が羽化した後も)残ったままになっていました。
▼関連記事
ナミテントウの蛹化【60倍速映像】

その後で抜け殻を振り落としました。
薄黄緑色の帯蛹はしばらく伸縮動を続けています。

改めて記事を書くつもりですが、今回キアゲハ幼虫を3頭飼育して、蛹の色が三者三様になりました。
この個体cの蛹化を撮影する前に、背景をすっきりさせるために黒い布を置きました。
蛹の色の変異を考える際に、これがポイントになります。


つづく→#5:羽化直前のキアゲハ帯蛹b【40倍速映像】


2018/09/10

蛹化前に蠕動するキアゲハ前蛹【10倍速映像】




▼前回の記事
糞で汚れた部位を除けて食草を食べるキアゲハ終齢幼虫【10倍速映像】


キアゲハの飼育記録(2018年)#3


2018年7月上旬・午後12:05〜12:45

飼育していた3頭のキアゲハPapilio machaon hippocrates)の終齢幼虫のうちの1頭(個体c)がいつの間にか飼育容器内で前蛹になっていました。
プラスチック容器の壁面を少し登ったところで、体の前後を絹糸の輪(帯糸)と腹端でしっかり固定しています。
容器内に止まり木として割箸を何本か入れておいたのですけど、お気に召さなかったようです。

前蛹cが蛹化しそうなので、その過程を微速度撮影で記録することにしました。
10倍速の早回し映像をご覧下さい。
体が固定されているものの、ときどき体節を伸縮し、蠕動運動が次第に激しくなってきました。
やがて前蛹の表面クチクラの緑色が褪せて白くなってきました。
これは新旧クチクラ層の隙間に空気の層が出来てくるからです。(気泡が入って白くなる)

つづく→#4:キアゲハの蛹化【10倍速映像】


キアゲハ前蛹c

2018/09/08

スギの林縁を飛び回るトンボエダシャクの謎(蛾)



2018年7月上旬・午後16:16
▼関連記事
クモの円網に捕まって暴れるコミスジにトンボエダシャク(蛾)が誤認求愛

トンボエダシャクCystidia stratonice stratonice)と思しき蛾がスギの林縁を飛び回っていました。
群飛と呼べるかどうか分かりませんが、遠目から見ると同種らしき白黒模様をした翅を持つ蛾が何頭も林縁を飛び回っていて、羽ばたきがチラチラとよく目立ちます。

飛んでいる1頭に注目して動画に撮ると、杉の葉に止まったときに腹端を曲げて擦り付けたように見えました。
それも一瞬で、すぐに忙しなく飛び去ってしまいます。
これは♀による産卵行動なのでしょうか?
Cystidia属の蛾の幼虫の食草を「みんなで作る日本産蛾類図鑑」サイトのデータベースで調べて抜き書きすると

トンボエダシャクは、ニシキギ科:ツルウメモドキ。
ヒロオビトンボエダシャクは、ニシキギ科:ツルウメモドキ、マユミ。
ウメエダシャクは、バラ科:ウメ、モモ、サクラ、エゴノキ科:エゴノキ、スイカズラ科:スイカズラ、ニシキギ科:ニシキギ、ツルウメモドキ、カバノキ科:カバノキ、ブナ科:ブナ。
とありました。
したがって、動画の個体がたとえ♀だとしても、スギの葉に産卵するはずがありません。

別個体だと思いますが、スギ林に絡みついたクズの葉で休んでいた蛾の写真を撮るとトンボエダシャク♀(Cystidia stratonice stratonice)でした。
腹端にヘアペンシルと呼ばれる毛束が無いので♀と判明。

トンボエダシャク♀(蛾)@スギ林縁:クズ葉。腹端にヘアペンシルが無いので♀

これ以外の飛んでいる個体や、クモの網にかかったコミスジにちょっかいをかけている(誤認求愛?)個体の性別はしっかり見分けられませんでした。
トンボエダシャク♀が産卵するためにホストの蔓植物:ツルウメモドキを探し求めて飛んでいるのでしょうか?
幼虫にとって適切な食草かどうか、産卵姿勢になってみて腹端の感覚毛で植物に触れて判断する、というのはあり得る話です。
しかしスギとツルウメモドキは葉の形状も匂いもまるで違いますから、蛾の大雑把な視覚・嗅覚でも見分けられそうな気がします。
あるいはもし群飛しているのが♂だとすると、♀を誘引する性フェロモンを林縁の植物に擦り付けているのかもしれません。
各個体の飛び方を見ていると、林縁のある区画を往復しているようだったので、テリトリーがありそうです。
今回の映像は、クモの網にかかったコミスジを撮影する合間に(ついでに)ちょろちょろっと撮っただけなので、未だ観察が不十分です。

たまたま今回はスギ林で撮りましたが、群飛の舞台となる樹種には特にこだわりが無いようです。
この時期はスギ林に限らず、様々な灌木林でも群飛していました。(映像公開予定:別日にクリの木の周囲を群飛)
謎解きのためには、更にじっくり観察する必要がありそうです。
とりあえず、交尾中の♀♂ペアや産卵中の♀を見つけるのが次の目標です。

※ 動画編集時に自動色調補正を施しています。


【追記】
日本大百科全書(ニッポニカ)で「トンボエダシャク」を参照すると、

とんぼえだしゃく / 蜻蛉枝尺蛾
[学]Cystidia stratonice
昆虫綱鱗翅(りんし)目シャクガ科に属するガ。はねの開張50~60ミリ。はねも腹部も細長い。腹部は橙(だいだい)色の地に、各節に黒紋を規則正しく連ねる。はねは黒く、白色の帯が1本あり、基部は白い。触角は棍棒(こんぼう)状に近いが、雌では細い。北海道から屋久(やく)島までと、対馬(つしま)、朝鮮半島、シベリア南東部から中国に分布する。成虫は年1回、初夏に発生し、昼間、食樹の近くを飛び回る。

しかしながら、触角の性差に関する下線部の記述は不正確なようです。
いつもお世話になっているDigital Moths of Japanサイトでトンボエダシャクを参照すると、以下の記述が♂♀標本の写真に添えられていました。
この属では, 触角は♂♀とも単純で先端部が太まる. 
トンボエダシャク?(蛾)@スギ林縁+飛翔+産卵?
トンボエダシャク?(蛾)@灌木林縁:用水路沿い+飛翔

2018/09/06

糞で汚れた部位を除けて食草を食べるキアゲハ終齢幼虫【10倍速映像】



▼前回の記事
フェンネルの葉を食べるキアゲハの終齢幼虫


キアゲハの飼育記録(2018年)#2


2018年7月上旬・午前00:24〜00:42(室温27.6℃、湿度63%)

フェンネル(=ウイキョウ)の群落から採集してきたキアゲハPapilio machaon hippocrates)終齢幼虫3頭の飼育を始めました。
食草は同じセリ科でも葉が巨大で近所から大量に調達できる雑草のオオハナウドに切り替えました。
急な食草転換もキアゲハ幼虫は素直に受け入れてくれました。

3頭の成長段階は微妙に異なり、最も育った終齢幼虫aが蛹化準備のために食欲を失い、下痢便を大量に排泄しました。
その下痢便で下の葉が汚れました。
そこで食事をしていた別個体bは一体どうするでしょうか?
食草の汚染箇所をハサミでトリミングしてやろうか迷いましたが、面白そうなので過保護なことはせずに成り行きを見守ることにしました。

このような事態は自然界でもたまにありそうです。
微速度撮影で記録したので、10倍速の早回し映像をご覧下さい。

終齢幼虫bはオオハナウドの葉にベットリと付着した黒い糞を少しかじったものの、すぐに味覚で不味いと気づいたようです。
周囲のきれいな部分をギリギリまで食べて不潔な部分を残し、葉片を切り離して下に捨てました。
実に見事な対応能力です。
レストランのクレーム客とは大違いで、大人の対応ですね。
育ち盛り食べ盛りの終齢幼虫bはオオハナウドの葉を蚕食しながら自らも脱糞しました。(@0:17)
その後は、食べかけた葉を完食する前になぜか茎を登り上の葉に移動してしまいました。


つづく→#3:蛹化前に蠕動するキアゲハ前蛹【10倍速映像】


切り落とされたキアゲハ終齢幼虫の糞付きオオハナウド葉片:表@方眼紙
切り落とされたキアゲハ終齢幼虫の糞付きオオハナウド葉片:裏@方眼紙

2018/09/05

クモの円網に捕まって暴れるコミスジにトンボエダシャク(蛾)が誤認求愛



2018年7月上旬・午後15:48〜16:18

平地の用水路沿いにスギ林があり、その林縁にクモの大きな正常円網が張られていました。
垂直円網の辺縁部(上部)に1頭のコミスジNeptis sappho)が囚われていて、擬死(死んだふり)していました。
下手に暴れると振動でクモにすぐ感づかれてしまい、捕食されるからです。
ときどき意を決したように必死で羽ばたいて暴れても、強力な粘着性の横糸が外れません。
(コミスジが休んでいる状態の映像は退屈なので、編集でカットしました)
おそらくオニグモの仲間(コガネグモ科)が造網したと思われますが、なぜか網の主は獲物を捕食しに現れず放置しています。

  • 昼間は網の外の隠れ家に潜んでいるのかな?
  • 脱皮直前の眠で食欲がない?
  • 天敵の捕食者にやられた?

コミスジは翅を全開にした姿勢で囚われの身となっています。
チョウの翅一面に敷き詰められている鱗粉は剥がれやすく、クモの網にかかっても逃げやすいように進化しています。(※追記2参照)
しかしチョウの胴体や足にクモの網の粘着糸が付着してしまうと、万事休すです。

その一方、周囲のスギ林の林縁やマント群落をトンボエダシャクCystidia stratonice stratonice)と思しき蛾が何頭も飛び回っています。
群飛と呼べるかどうか分かりませんが、何をしているのか気になります(映像公開予定)。

クモの網にかかったコミスジを撮っていると、そうした蛾がときどき飛来します。
残念ながら窮地のコミスジを助けに来たのではありません。
クモの網に捕らえられたコミスジに軽くぶつかっただけで、あっさり飛び去ります。
おそらく翅の色が白黒の模様で似ていることから、交尾相手と誤認して求愛しに来たのでしょう。
しかしすぐに別種と気づいて飛び去りました。
飛来した蛾がコミスジに誤認求愛したシーンを1/5倍速のスローモーションでリプレイしてみます。(@1:59〜2:42)
蛾に誤認求愛されたコミスジは必死に羽ばたいて暴れます。
その羽ばたきを見た蛾は更に興奮したように周囲を飛び回るものの、やがて離れて行きました。

我々ヒトの目から見るとコミスジとトンボエダシャクは、確かに翅の模様が白黒という点は共通ですけど、それほど模様が似ているとは思えません。
ひょっとすると、性フェロモンの分子構造が似ているのかもしれません。
もしトンボエダシャク♀を生け捕りにしてクモの網に付けてやると、辺りを飛び回る同種♂が誘引されて次々と死の罠にかかってしまうかな?(ゴキブリ・ホイホイならぬ、トンボエダシャク・ホイホイ)
色々な鱗翅目(蝶や蛾)の死んだ標本あるいは翅だけをクモの網に付けておいたら、トンボエダシャクの誘引効果はどうなるでしょう?
適当な白黒模様の紙片を網に付けておくだけで誘引効果があるでしょうか?
試しに実験してみたかったのですが、残念ながらこの日の私は捕虫網を持ってきていませんでした。

ところで、網に囚われたコミスジの周りをずっと飛び回っている小さな双翅目も気になります。
クモの網にかかった獲物や食べ残しに集まる吸血性のブヨなのかな?
クモの網の粘着糸に着陸しても飛び立てるようです。


※ 動画編集時に自動色調補正を施しています。



つづく→スギの林縁を飛び回るトンボエダシャクの謎(蛾)


【追記】
蝶と蛾の性別を見分けられないのに誤認求愛だろうと解釈してしまいましたが、縄張り意識の強いトンボエダシャクがコミスジを追い払いに来た、という別の解釈も成り立つかもしれません。
しかし、トンボエダシャクはクモの網にかかったコミスジに対して軽くぶつかっただけですぐに飛び去ってしまうので、闘争行動ではなさそうに思います。


【追記2】
大谷剛『昆虫―大きくなれない擬態者たち』p67によると、
「鱗粉は外敵に捕まったときに、逃げるのに非常に有効」とある。翅をくわえられたら、鱗粉を残してスルリと逃げる。そしてこれは「クモの巣に対しても有効」とも書いてある。
(中略)古い個体になると、鱗粉も少なくなってクモに捕らえられてしまうのだった。これは「大福餅の粉」ではないか。大福餅には手にべたつかないように片栗粉がまぶしてある。べたつくところに粉をつければ、べたつかなくなる。(p98〜99より引用)
鱗粉が「大福餅の粉」という例えはとても秀逸で、私もこれから使わせてもらいます。

コミスジ@オニグモsp(蜘蛛)正常円網:捕囚
コミスジ@オニグモsp(蜘蛛)正常円網:捕囚
コミスジ@オニグモsp(蜘蛛)正常円網:捕囚
コミスジ:翅裏@オニグモsp(蜘蛛)正常円網:捕囚
コミスジ@オニグモsp(蜘蛛)正常円網:捕囚・全景
コミスジ@オニグモsp(蜘蛛)正常円網:捕囚・全景
コミスジ@オニグモsp(蜘蛛)正常円網:捕囚・全景


2018/09/02

フェンネルの葉を食べるキアゲハの終齢幼虫



キアゲハの飼育記録(2018年)#1


2018年7月上旬

民家の裏庭に植えられたセリ科フェンネル(=ウイキョウ)の群落でキアゲハPapilio machaon hippocrates)の終齢幼虫を計4頭も見つけました。

その内の3頭は茎などでじっと休んでいましたが、残りの1匹が極細の葉を食害していました。
葉柄の先にしがみつき、わずかに残った細い葉を器用に食べています。
キアゲハ幼虫の居る周囲の葉は食い荒らされてほとんど丸坊主の状態でした。
もしもこの家庭菜園でフェンネルをハーブとして育てているのなら、キアゲハ幼虫は害虫ということになります。

フェンネルの黄色い花も咲いていましたが、キアゲハの幼虫は花を食べてはいませんでした。
(与えれば食べるのかな?)

※ 動画編集時に自動色調補正を施しています。

撮影後に3頭のキアゲハ終齢幼虫を採集して持ち帰り、飼うことにしました。
5年前に飼育したときには、寄生蜂のせいでキアゲハ成虫の羽化には至りませんでした。

▼関連まとめ記事
キアゲハの飼育記録シリーズ:2013年
やり残した宿題を5年ぶりに再挑戦します。

つづく→#2:糞で汚れた部位を除けて食草を食べるキアゲハ終齢幼虫【10倍速映像】


キアゲハ終齢幼虫a@フェンネル茎+休息
キアゲハ終齢幼虫b@フェンネル茎+休息
キアゲハ終齢幼虫c@フェンネル茎+休息
キアゲハ終齢幼虫d@フェンネル葉+蚕食
キアゲハ終齢幼虫d@フェンネル葉+蚕食

2018/08/29

クマツヅラの花蜜を吸うモンシロチョウ



2018年7月上旬

平地の用水路沿いの休耕地に咲いたクマツヅラの群落でモンシロチョウPieris rapae)が何頭も訪花していました。
これはなんとも珍しい組み合わせで、初めて見ました。
小さな花から花へ忙しなく飛び回り、翅を閉じたまま吸蜜します。

複数個体を撮影。
花にじっと静止している個体は羽化直後なのかな?

※ 動画編集時に自動色調補正を施しています。


モンシロチョウ@クマツヅラ訪花吸蜜
モンシロチョウ@クマツヅラ訪花吸蜜

クマツヅラ花
クマツヅラ群落・全景

【追記】
帰路に現場近くを再訪すると、今度はスジグロシロチョウの仲間、すなわちスジグロシロチョウPieris melete)またはヤマトスジグロシロチョウPieris nesis)が訪花していました。
動画を撮り忘れたのが残念です。

スジグロシロチョウsp@クマツヅラ訪花吸蜜
スジグロシロチョウsp@クマツヅラ訪花吸蜜

2018/08/26

ゼフィルス♂の卍巴飛翔【HD動画&ハイスピード動画】



2018年7月上旬・午後16:50〜16:57

用水路沿いの林縁で翅が青緑色の金属光沢(メタリック)に輝く2頭の小さな蝶が高速で互いに円を描くように激しく飛び回っていました。
林縁のやや高い位置から降りてきて用水路沿いの草むらのすぐ上で乱舞したり、再びもつれ合うように樹冠レベルまで高く舞い上がったりしています。
こんな平地でゼフィルスと出会い、卍巴飛翔が見れるとは全くの予想外で、嬉しい驚きでした。


▼関連記事(6年前の撮影)
ゼフィルスの卍巴飛行@渓流上

田中蕃『森の蝶・ゼフィルス』によれば、
高等なミドリシジミ類は、その活動中に、♂どうしが風車の回転をみるようなからみ合いを行なう。これを卍巴まんじともえ飛翔と呼んでいる。 (p28より引用)


薄暗い夕暮れ時だったと記憶しているのですが、実際の撮影時刻はそうでもありませんね。
ちなみに、この日の日の入り時刻は午後19:06。
空が厚い雲で覆われていたのかもしれません。

動きが速過ぎて肉眼では残像しか見えないので、ゼフィルス♂の猛烈な卍巴飛翔を、240-fpsのハイスピード動画でも撮ってみました。(@0:49〜)
2頭ともに前翅表が鮮やかなコバルトグリーンなので、ミドリシジミ類の♂と思われます。
ミドリシジミ類の♀の翅色はもっと地味です。
やや引きの絵で撮った方が、ピントが甘くても見栄えが良いですね。
背後の林縁をトンボエダシャク?らしき蛾が飛び回っています。(@15:25)

栗田貞多男『ゼフィルスの森―日本の森とミドリシジミ族』によると、

 2頭の♂は互いに相手を追いながらループ状に飛翔し、高度を下げ枝先から離れていく。一方の♂は相手を押し下げ、少しでもテリトリー位置から引き離そうとしている。もう一方はそうはさせじと相手を押し上げ、時には8の字型の飛翔パターンを織り交ぜながら対抗する。
 卍どもえ飛翔はテリトリーをめぐる♂どうしの争いである。おもしろいのは種によって水平・垂直方向の重要性があるらしい(p54より引用)


ゼフィルスの専門家なら、この映像で動きを見るだけで、種類を絞りこめるのかもしれません。
かなり近くまで来てくれたのに、同定用のストロボ写真は全く上手く撮れませんでした。
私はいつも動画撮影を優先するので、練習量が足りないのでしょう。
しかし、これだけ動きが速いと、とてもピントを瞬時に合わせる余裕が無く、写真に撮れる気がしません…。

平地の広大な畑の周囲を雑木林が取り囲んでいる環境です。
特に多いハンノキをホストとするミドリシジミ♂(Neozephyrus japonicus japonicus)ではないか?となんとなく予想しているのですが、どうでしょう。
ミズナラやクヌギの木も少し生えているので、別種のゼフィルスである可能性もあります。



2018/08/25

ノリウツギの花蜜を吸うスジグロシロチョウの一種



2018年7月上旬

用水路沿いの林縁に咲いたノリウツギの群落でスジグロシロチョウPieris melete)またはヤマトスジグロシロチョウPieris nesis)が訪花していました。
一瞬モンシロチョウかと思いきや、違いました。
この組み合わせは初見になります。
花に飛来すると、翅をしっかり閉じたまま吸蜜します。

※ 動画編集時に自動色調補正を施しています。


スジグロシロチョウsp@ノリウツギ訪花吸蜜

2018/08/20

ノリウツギの花蜜を吸うルリシジミ



2018年7月上旬

農業用水路沿いの薄暗い林縁に咲いたノリウツギの群落でルリシジミCelastrina argiolus)が訪花していました。
翅をしっかり閉じたまま吸蜜しています。


一方、右の葉にはニホンアマガエルHyla japonica)が座り込んでいて、獲物を待ち伏せしていました。
カエルの喉がヒクヒクと動いています。
舌を高速で伸ばして訪花昆虫を捕食する瞬間を撮りたかったのですが、この日の私はそこまで粘る忍耐がありませんでした。

※ 動画編集時に自動色調補正を施しています。


ルリシジミ@ノリウツギ訪花吸蜜
ルリシジミ@ノリウツギ訪花吸蜜+ニホンアマガエル@獲物待ち伏せ

2018/08/18

細い枝先からイラガ(蛾)繭を剥がして持ち去るアカゲラ♂(冬の野鳥)



2018年2月上旬・午後12:15

小雪がちらつく正午過ぎ、平地の庭でアカゲラ♂(Dendrocopos major)がケヤキの樹上に居ました。
小枝の先に作られたイラガMonema flavescens)の硬い繭を嘴で熱心に突いています。
アカゲラ♂は逆さまにぶら下がる体勢になり、鳴かずに黙って破壊工作に従事しています。
よく見ると繭の本体に直接穿孔するのではなく、小枝との接着面を集中的につついていることが分かります。
(細い枝先にぶら下がる姿勢では力が入らず、イラガの硬い繭が割れないので、中身を捕食するには工夫が必要になるのです。)
剥がした繭を咥えて飛び降りました。
右隣に立つメタセコイア(=アケボノスギ)の幹に移り、幹を登り始めました。
落ち着いて繭を割る場所を探しているようですが、幹の陰に隠れ見失ってしまいました。


▼関連記事
イラガ(蛾)の繭を割る名手アカゲラ♂(冬の野鳥)♪

※ 動画編集時に自動色調補正を施しています。


アカゲラ♂(冬の野鳥)@ケヤキ枝先+イラガ(蛾)繭剥がし

2018/08/11

飛べ!コメシマメイガ(蛾)



2018年6月上旬

深夜にコメシマメイガ(別名コメノシマメイガ、コメノクロムシガ;Aglossa dimidiata)が室内の白壁に止まっていました。
本種の幼虫は悪名高い貯穀害虫ですから、厨房などで発生した個体が部屋に迷い込んでいたのでしょう。

指で触れようとしたら準備運動もせずにいきなり飛び立って逃げ、室内を飛び回ると物陰に隠れました。


コメシマメイガ(蛾)@室内:白壁

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