2018/01/23

牛舎に忍び込むハシブトガラス(野鳥)



2013年7月中旬

山麓の農村で黒牛を飼養している畜舎の窓枠に止まっていた1羽のハシブトガラスCorvus macrorhynchos)が中に侵入しました。

畜舎に忍び込んだハシブトガラスが一体何をしているのか直接観察できなかったので動画をお蔵入りしていたのですが、最近読んだ本で謎が解けたので、今頃になって公開します。
『人はなぜカラスとともだちになれないの? (シリーズ 鳥獣害を考える―カラス)』によると、

畜産農家では、ウシやブタなどの家畜がカラスにおそわれる被害がでています。カラスになんどもつつかれ、傷を負う子ウシや子ブタもいます。カラスは目や肛門などやわらかいところをねらうのです。乳牛が、乳房のあたりの血管をなんどもつつかれて、乳がでなくなったり出血死することさえおきています。(中略)家畜やニワトリの飼料も、カラスにとってはごちそうです。ウシやブタが食べているエサを横どりしたり、飼料の袋をやぶって、こぼれた飼料を食べてしまったりするのです。 (p29より引用)



なかなか凄惨で深刻な被害が出ているのですね。
それにしては牛舎の窓を無防備に開け放してあります。

カラスが畜舎に侵入しても中の黒牛は特に騒いだりしませんでした。
その後、牛舎内で飼料を盗み食いしたと思われるハシブトガラスがすぐに外に飛び出して来た瞬間は撮り損ねてしまいました。



寄生植物アメリカネナシカズラの花蜜を吸うセイヨウミツバチ♀



2017年8月下旬

農業用水路の土手に蔓延る寄生植物アメリカネナシカズラの群落でセイヨウミツバチApis mellifera)のワーカー♀が訪花していました。
後脚の花粉籠は空荷です。
複雑に絡み合った茂みの奥にセイヨウミツバチが潜り込んでしまうので苦労したものの、執念でなんとか吸蜜シーンを撮りました。
複数個体を撮影。

※ 動画編集時に自動色調補正を施しています。



2018/01/22

コンクリート壁に集まるオオナミザトウムシ?の群れ 【その3】



2016年10月下旬・午後15:27〜15:57
▼前回の記事
コンクリート壁に集まるオオナミザトウムシ?の群れ 【その2】


コンクリート壁面に3匹で集合していた、おそらくオオナミザトウムシNelima genufusca)と思われる第2群のうち1匹(小型の♂?d)が群れを離脱して移動を始めました。
右側の第2および第4歩脚が根元から欠損した個体です。(-R2,4)

壁面をいったん右に移動してから下に向かい、地面に到達すると砂利の上で静止。
その間、コンクリート壁面では2匹efが静止したまま居残っています。


e,f


もしこの集合が配偶行動なら、ライバル♂に対して劣位の♂が諦めて♀から離れたのか?と解釈するのですが、ザトウムシのことをよく知らない私にはなんだかよく分かりません。
そもそも、♀を巡って♂同士の争いがあったようには見えませんでした。

少し目を離した隙に、いつのまにか♂?d-R2,4が壁面に戻っていました。
幸い、カラーペンなどでマーキングを施さなくても歩脚の欠損具合から個体識別が可能です。
地上から高さ80cmのところにあるコンクリートの庇に逆さまにぶら下がった体勢で縦溝を乗り越えました。
一休みしてから、更に壁面を右へ右へと移動を続けます。
立ち止まっているときも長い歩脚で辺りを探っています。

しばらくすると、いつの間にかコンクリート壁を登り切り、上の資材置き場を歩き回っていました。
雪囲い用に保管された丸太の上を徘徊し、木造家屋の板壁を登り始めました。

一匹狼の個体♂?d-R2,4がこの後どこに行ったのか、残念ながら見届けていません。
集団越冬に適した場所を探しているのだとしたら、軒下の隙間などを調べたのかもしれません。

それにしても、恐ろしく長い歩脚による滑らかな走破能力は見ていて惚れ惚れしますね。
複数の歩脚が同時に欠損しても支障なく歩行(移動運動)を続けられる冗長性が素晴らしいです。
次世代の惑星探査ロボットは、車輪やキャタピラを移動手段とするのではなく、ザトウムシ型の八足歩行ロボットにしてはどうでしょう?

つづく→その4




【追記】
今回注目した個体は、特に長い第2歩脚の右側を根元から欠損しているのに支障なく歩行運動できたことが興味深いです。
昆虫で言えば、触角の片方を失った状態です。

ザトウムシは昆虫のように触角をもっておらず、歩行器官である歩脚、特に前から2番目の一対を触覚センサとして用いることでその行動を可能にしているとされている。」
門脇廉; 野原拓也; 菊地吉郎. 221 ザトウムシのセンサとしての歩脚 (OS3-3: 生物遊泳・飛翔とバイオミメティクス (3), OS3: 生物遊泳・飛翔とバイオミメティクス). In: バイオエンジニアリング講演会講演論文集 2007.20. 一般社団法人 日本機械学会, 2008. p. 279-280.

ハシボソガラスによるメヒシバの種子散布?

高圧線の鉄塔#21でのハシボソガラス営巣記録#37


2017年8月下旬

繁殖期はとっくに終了していますが、久しぶりにハシボソガラスCorvus corone)の古巣#21の様子を見に来ました。
送電塔に多数の枯れ枝を組み合わせて春に作られた巣は、電力会社に撤去されることもなく残っていました。
巣が貧相に見えるのは、雛が巣立ってから風雨に晒されて巣材が少しずつ崩壊・脱落しているためでしょう。
記録のために撮った写真を拡大してみてみると、高所にある古巣から青々としたイネ科の雑草が生えていることに気づき、興味深く思いました。
穂の形状から、どうやら一年草のメヒシバのようです。




メヒシバの種子はタンポポやガマの綿毛のような風散布型種子ではありませんから、こんな高所に種子が自然に辿り着くことは絶対にあり得ません。
動物による種子散布の結果だとすると、「カラスの親鳥が雛鳥にメヒシバの実を給餌して、雛が未消化の種子を巣内に排泄した」というのが最も素直な解釈でしょう。
カラスの親鳥は雛が排泄した糞を甲斐甲斐しく巣外に運び出していましたが(排糞行動)、それでも巣内は糞で汚れていると思われます。
なぜなら鉄塔の真下が数多くの鳥の糞で汚れていたからです。

▼関連記事
最後の雛も巣立った後のハシボソガラス空巣とその真下の糞(野鳥)
しかし、6月中旬にはもうハシボソガラスの雛は全て巣立っていますから、メヒシバの花期(7〜11月)や結実期には間に合いません。
つまり、カラスの親鳥が雛に給餌している育雛期にメヒシバは実をつけていないはずです。

第二の可能性として、種子食性の他の野鳥(スズメやカワラヒワなど)が鉄塔で休んだ際に、たまたまカラスの巣の上で糞を落としていったのかもしれません。

後藤三千代『カラスと人の巣づくり協定』によると、カラスの親鳥が巣を作る際にさまざまな植物を練り込んだ土塊を巣の底(産座の下の基盤部)に詰めるらしいのです。


この土の塊がどのようにして運ばれてきたのかをみるために、巣の基盤部の塊の土を採り調べたところ、いずれからもハシボソガラスのDNAが見つかったため、カラスが口にくわえて運んできたことが推察される。電柱営巣の基盤部の土に混じってイネの籾殻や水田に発生するクログワイが見つかっており、多くの土は水田から運ばれている可能性が高い。 (p74-75より引用)
また、著者の研究グループがハシボソガラスの内巣の基盤部の土塊に混じっていた植物の茎や細い根を丹念に同定したところ、イネ科植物のリストの中にメヒシバも含まれていたそうです。(p48, 73)


(私はまだ実際にカラスの採土行動を観察したことはありません。)
その土に混入していたメヒシバの埋土種子が芽生えたという第三の可能性も考えられます。(この場合もカラスの採土行動は植物を助ける種子散布と呼べるのかな?)
高圧線の鉄塔にある古巣は日当たり良好ですけど、雨を保水する土壌が無いと植物は育たないでしょう。
古巣内に雛の糞などが残っていれば良い肥料になりそうです。
この古巣を回収して調べてみたいのですが素人には手が出せず、文字通り、高嶺の花です…。



【追記】
根本正之『雑草たちの陣取り合戦―身近な自然のしくみをときあかす (自然とともに)』という植物学の本を読んだら、メヒシバの種子散布戦略について知ることができました。
メヒシバは遠くまで種子を散布するための手段を特に持たず、種子自身の重さで近くに落下する重力散布種子なのだそうです。 (p15、p34より)



ハチミツソウの花蜜を吸うハラアカヤドリハキリバチ



2017年8月下旬

農業用水路沿いに咲き乱れるハチミツソウ(別名ハネミギク)の群落でハラアカヤドリハキリバチ(旧名ハラアカハキリバチヤドリ)Euaspis basalis)が訪花していました。

ハラアカヤドリハキリバチは労働寄生種なので当然、腹面にスコパはありませんし、集粉も行ないません。
花蜜が目当てで花から花へと、ひたすら吸蜜して回ります。
ハキリバチ科の蜂は普通、スコパ(刷毛)の有無で性別を見分けられるのですが、労働寄生種ハラアカヤドリハキリバチの場合は性別の見分け方が分かりません。

複数個体を撮影。
今まで本種を山地でしか見たことがなくて、平地では初見です。
この辺りは、寄主であるオオハキリバチの生息密度が高くて、自然度が高い環境なのでしょう。
ハチミツソウの同じ群落で寄主オオハキリバチも訪花していたのですが、ニアミスしたシーンは見れませんでした。
餌場で♀の寄主を見つけたハラアカヤドリハキリバチがそのままオオハキリバチの営巣地まで追跡するのかどうか、興味があります。

※ 動画編集時に自動色調補正を施しています。



2018/01/21

コンクリート壁に集まるオオナミザトウムシ?の群れ 【その2】



2016年10月下旬・午後15:06〜15:14


▼前回の記事
コンクリート壁に集まるオオナミザトウムシ?の群れ 【その1】

横に長いコンクリート壁(建物の土台の西面)で、先程見つけた第一群の右側には、更に別の3匹が集まっていました。(第二群:左から順にd,e,f)
これらもオオナミザトウムシNelima genufusca)と似ています。
雨を凌げる庇(地上からの高さ80cm)の下にひっそりと潜んでいます。
中央の個体eは大型なので♀なのかな?
横から見ると、胴体の下面(腹側)が白く、背側から見るよりも腹部の体節構造が明瞭に分かります。

大型のeを左右から挟んでいる小型の個体d,fは♂なのか、それとも幼体なのかな?
しかし♀♂の配偶行動は見られず、ただじっとしています。

♀が性成熟するまで♂が交尾前ガードしているようにも見えますけど、そもそもザトウムシの繁殖期が秋なのかどうか知識がありません。

互いにかなり接近した状態で静止しており、長い歩脚が絡み合っています。(個々の歩脚を数えるのも一苦労)
歩脚が何本か欠損している個体がいます。

強い横風に吹かれて、胴体が上下に揺れています。
横から見ると、長い歩脚のサスペンションで胴体が支えられていることがよく分かります。


つづく→群れから一匹が離脱


d,e,f
d,e,f
d,e,f:側面
d
e
e
e:側面
f

ツリフネソウの花で盗蜜するクマバチ♀【HD動画&ハイスピード動画】



2017年8月下旬

山麓の休耕田(湿地帯)の端に咲いたツリフネソウの群落でキムネクマバチ♀(Xylocopa appendiculata circumvolans)が忙しなく飛び回っていました。
訪花シーンをよく見ると、花の開口部からは一度も正当訪花せず、ひたすら穿孔盗蜜していました。
花蜜が溜まっている筒状の距の先端に口吻を突き刺して盗蜜しています。
雄しべに全く触れないので、当然ながら体は花粉で汚れていませんし、後脚の花粉籠も空荷です。
後半は、花から花へ飛び立つ瞬間を狙って240-fpsのハイスピード動画で撮ってみました。(@2:32〜)

この群落をよく見ると、散った花の一部が既に結実しています。
受粉しているとすると、ツリフネソウの送粉者は何者なのでしょう?
映像を見直すと、後脚の花粉籠に白い花粉団子を付けたセイヨウミツバチ♀がクマバチの隣で正当訪花している姿が写っていますね。
体が小さいミツバチは花の入り口から楽々と潜り込めるので、盗蜜する必要がありませんし、花粉も集めることができます。

※ 動画編集時に自動色調補正を施しています。



2018/01/20

コンクリート壁に集まるオオナミザトウムシ?の群れ 【その1】



2016年10月下旬・午後15:04〜15:12

里山の麓にある建物の土台(基礎)となるコンクリートの壁面(西面)にザトウムシの仲間が群がっていました。
おそらく地面から歩いて登ってきたのでしょう。
壁面の数カ所に別れて集結しています。
初めは交尾や求愛行動なのかと思ったのですが、垂直の壁にへばり付くように、じっと静止していました。
ザトウムシの配偶行動(※)は未見ですけど、秋に行うのですかね? (確かザトウムシの繁殖期は秋ではない…はず?)
おそらく集団越冬する場所を探している途中なのでしょう。

まず、3匹(a,b,c)の群れに注目しました。
素人目には同種に見えるのですけど、真相は分かりません(種名不詳)。
日本産ザトウムシを見分けられる実用的な図鑑がいつになっても刊行されないので、在野のナチュラリストは困ってしまいます。
形態分類が困難なのであれば、DNAバーコーディングによる簡便かつ確実な同定が早く普及して欲しいものです。
ザトウムシを殺さなくても歩脚の先端を切除すればDNAを採取する試料になるはずです。

全くの当てずっぽうですが、私の写真と見比べると素人目にはオオナミザトウムシNelima genufusca)と似ています。
胴体の大きさ(体長)は、まちまちです。(未採寸)
成体だと体長は♀>♂らしく、更に幼体が混じっているのかもしれません。(私は性別の見分け方も知りません)
ちなみに、英語版wikipediaによるとNelima genufuscaはカワザトウムシ科に属するらしい。

日本語のサイトではマザトウムシ科らしいのですが、一体どちらが正しいの?

3匹とも動きがありません。
左から順によく観察すると、

a:計4対(8本)あるはずの歩脚が6本しか無くて、根元から欠損しています。
b:歩脚を1本欠損(-L1)
c:五体満足の個体。

この歩脚の欠損状態で個体識別が可能です。
bとcは互いに長い歩脚で恐る恐る(?)触れ合った結果、この微妙な距離を保っているように思います。

やがて、左下に居た個体aがコンクリート壁をどんどん登り始め、仲間(b,c)に接近します。
長い歩脚で触れられても、先客の2匹(b,c)は逃げたり威嚇したりせず無反応でした。
胴体を跨いですれ違う際に触れたものの、交尾行動は見られませんでした。
庇の下に達したaが静止すると、今度はbが登り始めました。
aに接近すると、互いに身を寄せ合います。
おそろしく長い歩脚同士が互いによく絡み合わないものだと感心します。
しばらくすると、個体aは一番長い歩脚R2だけ動かして、右隣の個体cの様子を探っています。

話には聞いていましたが、実際にザトウムシの大集合を観察するのはこれが初めてです。
カメムシのように、個々のザトウムシが集合フェロモンを放出しているのでしょうか?
今回の3匹は、少なくとも歩脚の触覚を介して互いの存在を認識していることは間違いありません。

越冬適地を各自が自由に探索していると、自然に(結果的に)同種が集まってしまうのかもしれません。
 ザトウムシが群がる壁面を一日中、微速度撮影すれば分布や集合の変化(離合集散)を追跡できて面白い映像になりそうです。

しかし、あいにくカメラの三脚を持参しておらず断念。
コンクリート壁面の上部には庇があって(地上からの高さ80cm)、このまま壁面にへばりついていても雨は凌げるのですが、本格的な冬になればこの高さだと根雪に埋もれてしまいます。
したがって、このままこの壁面で集団越冬する訳ではないでしょう。

実際、後日に現場を再訪したらザトウムシの群れは一匹も居なくなっていました。

つづく→別の小群の行動


※ 『クモのはなしI:小さな狩人たちの進化のなぞを探る』によると、

ザトウムシはクモ形類中、一部のダニを除くと唯一、直接的な交尾を行なう動物ですが、多くの種類では交尾に際して特別な求愛行動のようなものが見られません。ザトウムシの交尾は二個体が出会い、♂にその気さえあればたいていすぐに成立します。♀は、はたから見るかぎりでは、まったく受動的です。 (p132より引用)



【追記】

クモと違ってザトウムシは歩脚が欠損しても再生能力をもたないのだそうです。

ザトウムシの欠損した脚は脱皮で再生しないため、これは頻繫に使われるほどコストがかかる防御手段であり、脚の減少により機動性・感覚能力・代謝率などが低下することが知られている[58][59][60][61][62][63]。一方、脚の欠損は知られる限り交尾の成功率に顕著な悪影響を与えていない[64]。  (wikipedia:ザトウムシより引用)


a,b,c
b,a,c
b,a,c
aがbを跨ぐ
b,a
b
c




ハチミツソウの花蜜を吸うベニシジミ夏型



2017年8月下旬

農業用水路沿いに咲き乱れるハチミツソウ(別名ハネミギク)の群落で夏型のベニシジミLycaena phlaeas daimio)が訪花していました。
翅を閉じて吸蜜していますが、隙間から覗いて見えた翅表が黒っぽいので夏型ですね。

同じ群落でベニシジミの他にもイチモンジセセリおよびコモンツチバチ♀が近くで訪花していました(映像公開予定)。
ニアミスしても互いに無関心でした。(喧嘩にならず)



2018/01/19

チャイロスズメバチの巣に近づく謎の寄生?ハエ【ハイスピード動画】



2016年9月下旬
▼前回の記事 
肉団子や巣材を巣に搬入するチャイロスズメバチ♀【ハイスピード動画】

神社の破風板(南側)の裏に営巣したチャイロスズメバチVespa dybowskii)のワーカー♀が飛んで巣に出入りする様子を240-fpsのハイスピード動画で撮っていたら、ちょっと興味深いシーンが記録されていました。

地味なハエ(種名不詳)が単独で飛来し、破風板に着陸しました。
チャイロスズメバチの巣口へ向かってまっしぐらに、少しずつ歩いて接近したのが思わせぶりです。

もちろん、ただの偶然でハエの気紛れな行動かもしれません。
スズメバチ類の巣に寄生・産卵するアブ(ベッコウハナアブ類)が知られているので、もしかするとこのハエの目的もそうなのか?と期待が高まりました。
ところがハエは巣内には侵入せず、やがて破風板から飛び去りました。
高所で遠い上にハイスピード動画は画質が粗いために、ハエの行動の詳細がよく見えないのは残念です。

もしかすると、破風板に産卵したのかもしれません。
孵化したハエの幼虫(ウジ虫)が自力で寄主の巣に侵入する可能性も考えられます。

(諺で「虎穴に入らずんば虎子を得ず」と言いますが、虎穴に入らなくても寄生ハエは目的を達成できる?)

ただし、今回のハエの見かけは明らかに既知のベッコウハナアブ類ではありませんでした。
たとえば普通のニクバエの仲間だとすると、肉食性であるチャイロスズメバチの巣内から食べ残しなど掃除屋(scavenger)にとって魅力的な屍臭(腐臭)がしたのかもしれません。

ちなみにドロバチ類の巣に寄生・産卵するニクバエ(ドロバチヤドリニクバエ)も知られています。

破風板に多数集結しているチャイロスズメバチの門衛は、このハエに対して特に警戒したり追い払ったり獲物として狩ったりしませんでした。
「ハエなど眼中にない」という感じです。
もし襲いかかってもハエの方が俊敏で、易々と逃げられてしまうでしょう。

最後は1/8倍速のスローモーションから1倍速に戻してリプレイ。(@1:48〜)


つづく→屋根裏の巣に出入りするチャイロスズメバチ♀の羽ばたき【ハイスピード動画】

ナガボノシロワレモコウの花蜜を吸うスズバチ♂



2017年8月下旬

水田の畦道に咲いたナガボノシロワレモコウの群落で
スズバチ♂(Oreumenes decoratus)が訪花していました。
頭楯が白っぽい(レモン色、薄黄色)ので、♂だと思います。
忙しなく飛び回り、吸蜜しているようです。



【追記】
私は初めこの花をヘラオオバコかと思い込んでいたのですが、YouTubeのコメント欄で横室稜さんからナガボノシロワレモコウだとご指摘を受けましたので訂正しておきます。
私が持っている植物図鑑には載っていませんでした。
素人の思い込みというのは恐ろしいもので、しっかり検討せずにてっきりヘラオオバコかと。



ヘラオオバコは風媒花というよりも花蜜を分泌する虫媒花ではないかと個人的に疑問を抱いて調べているのですが、これでまた新たな傍証を一つ得ました。

▼関連記事のまとめ
ヘラオオバコは虫媒花ではないか?:ヘラオオバコを訪花する虫の謎


2018/01/18

川岸でパン屑を食べるオナガガモ♀♂とマガモ♂の群れ(冬の野鳥)



2016年12月中旬

川岸の桟橋で家族連れがカモ類にパンを千切って給餌していました。
オナガガモ♀♂(Anas acuta)とマガモ♂(Anas platyrhynchos)が群がり、やかましく鳴きながらパン屑を採食しています。
桟橋には雪がうっすらと積もっています。
プライバシーを考慮して、家族連れが映らないように気を使っています。(モザイク処理とか面倒なので)

この家族連れが帰ってからしばらくすると、カモ類が食べ残したパン屑をハクセキレイが拾い食いしていました。

▼関連記事 
パン屑を採食するハクセキレイ♂(冬の野鳥)

ハクセキレイがヒトから給餌されたパンをカモ類に混じって直接食べていたのかどうか気になって映像を見返したのですが、ヒトがいる間はハクセキレイは来ていなかったようです。



【追記】
今泉忠明『気がつけば動物学者三代』を読んでいたら、この2種の鴨について興味深いことを学びました。
マガモとオナガガモはDNAの比較にを比較するとあきらかに違います。種が違うからでしょう。しかし、この二種は、人間が飼育する環境の下では自由に交配し、雑種の子がでてきます。さらに、その雑種の子は一代、二代、三代間でも、また、それら雑種と両親の種との間で「戻し交配」をしても完全に子どもができます。 この二種の繁殖地は大部分重なり合っていますから、野生のものも自由に交雑し、この両種は完全に溶けあってしまいそうなものですが、実際はそうなっていません。両種間の雑種は数千羽に一羽という低い確率でしか現れず、戻し交配が起こったと思われる例も知られていません。雑種だけが集まって、ひとつの個体群を形成するようなこともありません。 つまり、マガモの集団とオナガガモの集団は、互いに遺伝子を交換することなく、はっきり違った集団として存在しているのです。 (p214より引用)




ハチミツソウを訪花するヤノトガリハナバチ♀の羽ばたき【HD動画&ハイスピード動画】



2017年8月下旬

農業用水路沿いに咲き乱れるハチミツソウ(別名ハネミギク)の群落でヤノトガリハナバチ♀(Coelioxys yanonis)が訪花していました。
腹端が尖っているので♀ですね。
ハキリバチ科の♀であっても労働寄生種なので、当然ながら腹面に花粉を運ぶためのスコパは無く、集粉も行ないません。
訪花するのも自らの栄養源としての花蜜が目当てなのです。

後半は、花から飛び立つ瞬間を狙って240-fpsのハイスピード動画で撮ってみました。(@1:40〜)

複数個体を撮影。
本種の寄主として知られるスミスハキリバチも同じ群落で訪花していたのですが、2種が出会うシーンは撮れませんでした。
オオハキリバチとヤノトガリハナバチがニアミスしたときは、互いに無関心でした。

※ 動画編集時に自動色調補正を施しています。


顔面の毛が黄褐色

2018/01/17

クロマルハナバチの巣に侵入して獲物を探索するクモバチ♀



2016年6月下旬
▼前回の記事
帰巣時に渋滞・追突するクロマルハナバチ♀【ハイスピード動画】


クロマルハナバチの巣:定点観察#10

(連載で記事にする順序が実際の時系列とは逆になってしまいました。)


峠道の法面を補強するコンクリート壁面でクロマルハナバチBombus ignitus)の営巣地を見張っていると、おそらくクモバチ科の一種と思われる真っ黒な蜂が現れました。
コンクリート壁面で思わせぶりに徘徊しています。
クロマルハナバチの巣がある排水口にも大胆不敵に侵入したものの、すぐに出て来ました。(侵入シーンは撮り損ね)

まさに、「虎穴に入らずんば虎子を得ず」。
このとき巣の主(クロマルハナバチ)が積極的に巣を防衛したり侵入者を撃退したようには見えませんでした。

排水口のかなり奥にクロマルハナバチの巣があるのかもしれません。(未確認)

引き続きクモバチはコンクリート壁面の下の側溝内に生えた雑草の群落で獲物を探索しています。
興味深いことに、すぐ近くに網を構えているシロカネグモの仲間に対してこのクモバチ♀は攻撃しませんでした。
一方、シロカネグモは、危険なクモバチ科の接近に気づいているはずですけど、網から逃げようともしません。
羽音の周波数を聞いて、このクモバチは造網性クモは狩らない種類だと知っているのでしょうか?
クロマルハナバチの巣の近くなので、出入りするクロマルハナバチの羽音は無害だと学習しているようです。(先天的に知っている?)


やがてクモバチ♀は草むらで褐色の徘徊性クモを仕留めると、自分の巣へ向かって運搬を開始。
残念ながら、肝心の狩りのシーンも撮り損ねてしまいました。(痛恨のミス!)
私がもたもたしている間に、クモバチ♀を側溝の草むらで見失ってしまいました。
映像ネタとしては何重にも撮影失敗を重ねており、お蔵入りにしようかと思ったのですが、一応何でも記録に残しておきます。

つづく→クロマルハナバチ:コロニー衰退の謎【HD動画&ハイスピード動画】


スペアミントの花蜜を吸うオオウラギンスジヒョウモン♂



2017年8月下旬

民家の庭に咲いたスペアミントの群落でオオウラギンスジヒョウモン♂(Argyronome ruslana lysippe)が訪花していました。
翅を開閉しながら口吻を伸ばして吸蜜しています。

※ 動画編集時に自動色調補正を施しています。




2018/01/16

ツバメの巣立ち雛が羽ばたき練習(野鳥)



2017年7月上旬・午前4:17〜4:25(日の出時刻は4:22)


▼前回の記事
早朝の巣で親鳥の帰りを待つツバメの雛鳥(野鳥)

18日ぶりの早朝に様子を見に行くと、ツバメHirundo rustica)の雛は全て巣立った後でした。

完全に空っぽになった泥巣(空巣)の横の天井から吊り下げられた旗の上端に1羽のツバメが器用に止まっています。
巣立ち雛なのか、親鳥なのか、私には見分けられません。
赤い旗にしがみついて頻りに羽繕いと羽ばたき練習を繰り返しているので、なんとなく巣立ったばかりの幼鳥のような気がします。
親鳥が幼鳥に巣外給餌しに来るかと期待して、しばらく待ってみたのですが、警戒されたのか現れませんでした。
赤い旗をよく見ると、ツバメの白い糞が垂れて汚れています。
辺りから聞こえるのはハクセキレイとスズメの鳴き声で、ツバメは鳴いていません。
ツバメが夜を過ごすねぐらはどこにあるのか、いつか探してみたいものです。


※ 動画編集時に自動色調補正を施しています。(実際はもっと薄暗いです)



シリーズ完。
今季はカラスの観察に全力投球したので、ツバメの定点観察にはとても手が回らず、かなり飛び飛びの記録になってしまいました。
今後のための予備調査ということで、不完全でも一応何でも記録しておくことにします。
もっと観察しやすい営巣地を見つけないといけません。


空巣の写真もストロボを焚けずにブレブレ。

ハチミツソウの花で採餌するスミスハキリバチ♀?



2017年8月下旬

農業用水路に沿って咲き乱れるハチミツソウ(別名ハネミギク)の群落をスミスハキリバチ♀(Megachile humilis)が訪花していました。
吸蜜する口元が黄色い花粉で汚れています。
スコパに花粉を付けていなかったので初めは♂かと思いました。
しかし、頭楯の毛が白くなかった(黒かった)ので♀と判明。

この群落には舌状花の花弁がなぜか白い株が混じっていました(個体変異?)。
蜂は黄色い花も白い花も別け隔てなく訪花していました。



※ 動画編集時に自動色調補正を施しています。

複数個体を撮影。
もしかして、映像に別種が混じってるかも?
スミス♀ではなくオオハキリバチ♂ですかね??(ちょっと自信がなくなってきました)
スミスハキリバチの翅は映像のように黒っぽくならない?


2018/01/15

水溜りから跳んで逃げるトノサマガエル



2017年8月下旬

雨上がりの農道を歩くと、前方でカエルがピョンピョン逃げて行きます。
わだちの水溜りにトノサマガエルPelophylax nigromaculatus)が浸かっていました。
目視ではかなり小型の個体だと思ったのですけど、映像では比較対照がないので大きさが伝わりませんね。
幼体なのかな?

私がそっと近づくと、トノサマガエルはピョンと跳んで道端の草むらに隠れました。
保護色のおかげで見失ってしまいました。

※ 動画編集時に自動色調補正を施しています。



ウドの花蜜を吸うモンスズメバチ♀



2017年8月下旬

道端の家庭菜園に咲いたウド(独活)の株をモンスズメバチVespa crabro)のワーカー♀が訪花していました。
花穂で忙しなく吸蜜しています。

スズメバチ類ではモンスズメバチ♀よりもコガタスズメバチ♀の方が多数、吸蜜に来ていました。

コガタスズメバチとウドの組み合わせは4年前に既に記事にしているので割愛。


2018/01/14

帰巣時に渋滞・追突するクロマルハナバチ♀【ハイスピード動画】



▼前回の記事
フキバッタの幼虫を捕食するニホンカナヘビ【ハイスピード動画】


クロマルハナバチの巣:定点観察#9


2016年7月上旬

峠道の法面を補強したコンクリート壁面の排水口に営巣したクロマルハナバチBombus ignitus)のコロニーを調べています。
水が枯れた側溝内に雑草(ハナタデ??)が繁茂しているせいで、巣口がほとんど隠れてしまいました。
巣に出入りするワーカー♀の様子を240-fpsのハイスピード動画で撮ってみると、興味深いシーンが記録されていました。

シーン1:

ワーカー♀2匹が相次いで帰巣すると、巣口を見つけられずに、その手前で渋滞になりました。
後脚の花粉籠を見ると、1匹は空荷でもう一匹は橙色の花粉団子を運んでいます。
空中でどのような譲り合いがあったのか分かりませんが、空荷の個体が先に巣穴に入りました。
花粉団子を付けた個体は飛び去ってしまい、改めてアプローチからやり直すようです。



シーン2:

先に戻った個体が巣口の手前で躊躇うようにホバリング(停空飛翔)していると、後続のせっかちな個体が空中で追突し、軽い墜落事故が発生しました。
擬人化すると、「ほら、早く行けよ!」と急かしたのかもしれませんね。
幸い雑草がクッションになって蜂は2匹とも無事でした。


営巣地の周囲を除草すれば、帰巣する蜂にとって目標となる巣口がはっきり見えるようになり、このような渋滞や衝突事故は無くなると思います。
私が巣口の目印にしているのは、上から垂れ下がっているヨモギの枯草なのですが、クロマルハナバチも同じかもしれません。
マルハナバチ(ミツバチ科)は自ら雑草を噛み切って巣の周囲を草刈りしないのでしょうか?
スズメバチ科の蜂はそのような除草をすることが知られているそうです。
巣口が目立たない方が天敵に襲われにくくて好都合なのかもしれません。


一方、出巣の際の渋滞や出会い頭の衝突事故(出巣する個体と帰巣する個体の衝突)は今まで私は見たことがありません。
何か混雑を上手く回避する方法をハチは編み出しているのでしょう。


つづく→#10:クロマルハナバチの巣に侵入して獲物を探索するクモバチ♀



ハチミツソウの花蜜を吸うイチモンジセセリ



2017年8月下旬

農業用水路沿いに咲き乱れるハチミツソウ(別名ハネミギク)の群落で多数のイチモンジセセリParnara guttata)が訪花していました。
吸蜜している口吻の動きがよく分かります。
花から花へ飛んで移動します。



2018/01/13

ナガボノシロワレモコウの花蜜を吸うカブラハバチ



2016年9月下旬

水田の畦道に咲いたナガボノシロワレモコウの群落で、おそらくカブラハバチ♀(Athalia rosae ruficornis)と思われるハバチが訪花していました。
頭を突っ込んで吸蜜しているようです。
虫撮りの大敵である風揺れに業を煮やし、後半は左手で茎を押さえながら接写しました。

頭部と翅が真っ黒で、体はオレンジ色という派手なハバチです。
しっかり同定するために採集したかったのですけど、ビニール袋や容器を何も持参しなかったことを激しく後悔しました。

※ 動画編集時に自動色調補正を施しています。



【追記】
私は初めこの花をヘラオオバコと思い込んでいたのですが、訂正しておきます。


ヘラオオバコは風媒花というよりも花蜜を分泌する虫媒花ではないかと個人的に疑問を抱いて調べているのですが、新たな傍証がこれでまた一つ得られました。

▼関連記事のまとめ
ヘラオオバコは虫媒花ではないか?:ヘラオオバコを訪花する虫の謎



ランダムに記事を読む