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2016/10/16

クモの卵嚢を捕食するシジュウカラ♂(野鳥)



2016年7月中旬・午前7:20

住宅地でシジュウカラ♂(Parus minor)が電柱側面のボルトに止まって見下ろしていました。
斜めに張られたケーブルを伝ってピョンピョン跳びはねるように登ると、電柱に取り付けられた金具の奥から糸屑のような白い物を引っ張り出しました。
白いフワフワの中にはオレンジ色の丸い物体が見えます。
蛾の繭かもしれませんが、おそらくクモの卵嚢だと思います。
クモの糸を巣材に使うのかと思いきや、捕食でした。
シジュウカラ♂は足で産室を押さえつけながら嘴で糸を引っ張ります。
左足に白い糸が絡み付いてしまいました。
卵嚢はその場で食べてしまったようです。
最後はツピッ♪と一声鳴いて、庭木の樹冠へ飛んで行きました。
貴重な捕食シーンを偶然撮影することができて、ラッキーでした♪
野鳥がクモの天敵であるという実例を初めて観察しました。
近くにシジュウカラの巣がありそうな気がするのですけど、あちこち樹上を眺めても見つけられません。






2016/10/09

網に付けたヒメジョオンの花を取り除くオニグモ♀(蜘蛛)



2016年7月上旬・午後19:05〜19:08

マンションの下の電柱の脇に張られた正常円網のこしきオニグモ♀亜成体(Araneus ventricosus)が下向きに占座し、食事中でした。
体外消化された獲物は黒変していて、もはや原型を留めていません。
網に多数のゴミ(蚊などの微小な昆虫)が付いていることから、造網の直後ではないことが分かります。
ちょうど日が沈んだので、これから網を張り替えるのでしょう。(日の入り時刻は19:05)

さて、昨年からの懸案事項(未解決問題)で花を食べるクモがずっと気になっています。

▼関連記事
花を食べる造網性クモの謎:2015年

そこで近くの道端に生えていたヒメジョオンの頭花を採取して、オニグモ♀の網に給餌してみることにしました。
網の下部に投げつけると、クモは直ちに駆けつけました。
捕帯で軽くラッピングしてから、花に噛みつきました。
毒液を注入しつつ、味見したようです。
すぐに獲物ではないと気づいたようで、オニグモ♀は異物を網から外して勢い良く投げ捨てました。
甑に戻り、下向きに占座すると身繕い。
残念ながら、花を食べる行動は見られませんでした。
もちろん肉食性のクモは花など食べないのが普通です。
ごく稀に食べるのは一体どういう条件のときなのか、気になって調べています。(再現性に乏しいのが悩みです。)


腹面の外雌器に垂体が見えます。

2016/08/06

狩り直後に身繕いするユカタヤマシログモ(蜘蛛)



2015年10月下旬


ユカタヤマシログモの飼育記録#7


ユカタヤマシログモScytodes thoracica)が得意の吐糸攻撃で獲物を仕留めた直後は必ず身繕いします。
食前に歩脚や触肢の先を順番に舐めてきれいに掃除します。

獲物はオオヒメグモParasteatoda tepidariorum)幼体で、強力な粘着糸によって容器壁面に貼り付けにされて身動きが取れません。


※ 動画編集時に自動色調補正を施してあります。

記事を書く順番が前後してしまいましたが、時系列順で言うとシリーズ#4に続きます。



2016/06/25

花に来たウスバアゲハを捕食するガザミグモ(蜘蛛)



2016年5月中旬

里山に咲いたウワミズザクラの花で、とあるウスバアゲハ(=ウスバシロチョウ;Parnassius citrinarius)が不自然な体勢になっていると思いよく見ると、獲物を待ち伏せしていたガザミグモPistius undulatus)に捕食されていました。
木陰から撮ろうとすると逆光になる上に、風で枝が絶え間なく揺れるので、マクロレンズで接写する気になれませんでした。
揺れる枝を左手で押さえながら撮り始めたものの、すぐに他の訪花昆虫に気を取られてしまいました。
やがてクモは食べ滓の獲物をいつの間にか捨てていました。
枝上のガザミグモは長い第1、2歩脚を揃えて左右に大きく広げてカメラに対して威嚇しています。


▼関連記事:9年前の飼育記録
蛾を捕食するガザミグモ♀


2016/05/31

マミジロハエトリ♀(蜘蛛)の死骸を運ぶクロヤマアリ♀



2016年5月上旬

土手の草むらでクロヤマアリFormica japonica)のワーカーが♀死んだ虫を運搬していました。
獲物はマミジロハエトリ♀(Evarcha albaria)のようです。
アリが戦ってハエトリグモを倒したとしたら凄いですけど、死因は不明です。
アリは大顎で獲物を持ち上げて後ろ向きに巣へ運んでいます。
枯れ草などの障害物に獲物が絶え間なく引っかかり、運搬にとても苦労しています。
道中でもう一匹の仲間と遭遇。
出会って触角で挨拶しても喧嘩にならないので、同じ巣のワーカーと思われます。
協同で獲物を運搬を始めたかと思いきや、あまり手助けになっていません。
奪い合いのようになったり文字通り足を引っ張ったりして、むしろ運搬作業の邪魔になっています。



撮影後に採集しました。
クモの腹面に外雌器が見当たらないので幼体/亜成体のようです。





2016/05/09

ナガコガネグモ(蜘蛛)の卵嚢



2015年11月上旬

最上川に注ぐ小さな水門の隅にナガコガネグモArgiope bruennichi)の卵嚢を見つけました。
卵嚢の上端が開いているのは正常なのかな?(出嚢後の古い卵嚢である可能性は?)
採寸代わりに右手の人差し指を並べて映し込みます。
卵嚢を周囲に固定する糸には粘着性がありませんでした。

越冬後に採集して飼育下で幼体の出嚢を観察するつもりでしたが、春になったら卵嚢は無くなっていました。
卵は卵嚢内で秋のうちに孵化し、そのまま越冬して、翌春に一回目の脱皮をした後に分散する[4]。(wikipediaより)
一度雪に埋もれて溶けた際に卵嚢も一緒に落ちてしまったのか、あるいは鳥が捕食したのでしょうか?


2016/04/30

雪囲いを登るマダラスジハエトリ♀(蜘蛛)



2015年11月中旬

▼前回の記事マダラスジハエトリ幼体(蜘蛛)同士の対決

石灯籠の雪囲いで見つけたマダラスジハエトリPlexippoides annulipedis)。
支柱の上下に♀タイプの幼体2匹(a, b)が居るものの、横棒に阻まれてお互いに見えていません。
共に丸々と太った個体です。

♀aは支柱をどんどん登って行きます。
柱の天辺付近で方向転換すると、今度は歩いて降り始めました。
櫓を組むもう一本の支柱と交差する部分に隠れてしまいました。
日当たりの良い南面なので、日光浴なのですかね?

実は撮影直前に♀aの近くにトンボが止まっていて、狩りをするかと期待したのですけど、先にトンボが飛び立ってしまいました。



2016/04/24

マダラスジハエトリ幼体(蜘蛛)同士の対決



2015年11月中旬

雪国では庭や神社の石灯籠が積雪で倒壊しないように、晩秋になると木材を組み合わせ荒縄で縛った「雪囲い」で石灯籠を一つずつ保護します。(庭木や生け垣なども同じく丹念に雪囲いします。)
雪囲いの陽の当たる南面でマダラスジハエトリPlexippoides annulipedis)を3匹、見つけました。
同種のハエトリグモばかり雪囲いに集まっていたのは偶然でしょうか?
図鑑『日本のクモ』p301によると、本種は「冬季はスギ、ヒノキなどの樹皮下に袋状住居を作って越冬する」とのこと。
越冬場所を探索していたのかもしれませんが、冬籠りするには未だ少し気が早い気がします。

しかも3匹とも♀タイプでした。
マダラスジハエトリ成体の斑紋は性的二型を示すので、未熟な幼体はすべて♀タイプの体色なのかもしれません。(要確認)

一匹の♀cに注目して撮り始めると、こちらに向き直ってビデオカメラのレンズを見つめました。
カメラへの距離を測ると、マダラスジハエトリ♀cは板からカメラに跳び移りました。
そのまま私がビデオカメラを雪囲いの横木にそっと近づけると、♀cは自ら飛び移ってくれました。(映像なし)
すると右上の支柱に居た別個体の♀bが、♀cを目ざとく見つけました。
2匹の幼体は発育状態が異なり、体長の目測では♀b>♀c。
大型の♀bが♀cをめがけて横木に跳び下りました!
縄張り争いのような闘争(小競り合い)なのか、捕食行動(狩り)なのか、どちらでしょう?
跳びかかって来られた瞬間に、狙われた小型の♀cはしおり糸を引きつつ横木から緊急離脱しました。
相手を見失った♀bは、横棒を左に歩き去りました。
難を逃れた♀cはいつの間にか宙吊り状態から雪囲いに戻り、荒縄の上に居ました。


※ 動画編集時に自動色調補正を施しています。



つづく→雪囲いを登るマダラスジハエトリ♀(蜘蛛)

2016/03/06

網にかかったホソヘリカメムシを捕食するジョロウグモ♀(蜘蛛)



2015年11月上旬

堤防の水門に張られた網にジョロウグモ♀(Nephila clavata)に生き餌を給餌してみました。
歩脚に欠損のない五体満足の個体ですけど、体格はやや小型の印象。(未採寸)

水門の裏面を徘徊していたホソヘリカメムシRiptortus pedestris)を生け捕りにし、ジョロウグモの網に投げつけました。
すぐに駆けつけたジョロウグモ♀はかなり長時間、獲物を噛んでいました。
その間は見ていても退屈なので、6倍速の早回し映像に加工しました。

クモに噛まれても毒液があまり効かないのか、ホソヘリカメムシは後脚を動かしてしばらく暴れています。
ホソヘリカメムシは太くて棘のある腿節を闘争用の武器としています。
しかし胸部を噛まれているため、反撃したくても武器が敵に届かず虚しく空を切るばかりです。

・(ホソヘリカメムシの)雄の成虫の後脚腿節が不釣り合いに太く、その内側に棘の列がある[2]。
・雄は雌の居場所を縄張りとし、縄張りをめぐって争う。争いでは棘がついた後ろ足で相手をはさみつけるという方法がとられ、後脚腿節が長いものが有利になる[12]。(wikipediaより)

クモに攻撃されている間、異臭を全く感じなかったので、カメムシは身を守る毒ガスを発しなかったようです。
不思議に思い調べてみると、ホソヘリカメムシは

カメムシには珍しく、匂いがない[4]。(wikipediaより)

一方、ジョロウグモは噛み付きながらときどき歩脚の先で獲物に触れて生死を確認しているようです。(歩脚の先で獲物の周囲の糸を切っているのかも?)

次にジョロウグモは獲物を梱包ラッピングし始めたものの、なぜか手間取っています。
水色のペンキで塗られた水門が背景だとジョロウグモの網も糸も極めて見え難いのですが、梱包ラッピングする捕帯の糸が殆ど出ていない点が気になりました。
レンズを至近距離まで近づけても捕帯の糸は見えません。
晩秋の餌不足でジョロウグモ♀が飢餓状態となり、出糸腺(ブドウ状腺)の糸が枯渇しているのかな?と想像しました。
あるいは産後の肥立ちが悪いのかもしれません(産卵した直後なのか?)。
ジョロウグモ♀は最小限の糸を節約して使い、時間をかけてなんとかラッピングしました。
獲物を噛んで体外消化しながら直ちに消化吸収して、泥縄式に糸を合成したのかもしれません。
ようやく毒が回り、獲物は動かなくなりました。
クモは噛みつきを止めてラッピングに専念しています。

『スパイダーウォーズ』p145-146によると、

オニグモはコガネグモと同じように攻撃ラッピングを多用するクモですので糸腺の数が多く、ジョロウグモはそれをしないので糸腺(ブドウ状腺)も少ない、とも解釈できます。噛みつきによって殺した餌の接着や梱包には、たくさんの糸は必要ないのです。


ジョロウグモ♀は円網の甑に獲物を持ち帰ると身繕い。
糸で汚れた歩脚の先を順に舐めて掃除しています。
化粧が済むと、網に吊り下げていた獲物を引き寄せ、ようやく口を付けました。




【追記】
吉田真『クモはどのようにして餌を捕らえるか?』によると、
ジョロウグモ属のクモでは、捕帯による固定はみられず、固定はもっぱら噛みつきによってなされます。しかし、このクモの網には、セミ・バッタ・トンボなどの大型の昆虫や、ハチなどの危険な昆虫、カメムシなどの不快な匂いを出す昆虫の食いかすが残されています。このことは、捕帯による固定ができなくとも、大型あるいは危険な餌を捕獲できることを示しています。(中略)大型の餌または危険な餌がかかると、このクモはなかなか噛みつこうとせず、固定には長い時間がかかります。その間に網から逃れる昆虫もいるのでしょうが、多くの糸を使った網が餌の逃亡を防ぐ効果的な罠となっているのかもしれません。 (ポピュラー・サイエンス『動物たちの気になる行動(1)食う・住む・生きる篇』p46-47より引用)


2016/03/04

ユカタヤマシログモ(蜘蛛)の吐いた粘着糸で逃れられないオオヒメグモ



2015年11月上旬

ユカタヤマシログモの飼育記録#6


ユカタヤマシログモScytodes thoracica)に強力な粘着糸を繰り返し吐きつけられたオオヒメグモParasteatoda tepidariorum)は幾らもがいても暴れても逃れられません。
一方、ユカタヤマシログモは獲物の目の前で悠然と歩脚の先を舐めて掃除しています。
(容器に蓋をしたサランラップの反射が邪魔ですね…。)
やがてユカタヤマシログモが前進して獲物に右の第一脚でそっと触れ、位置を確認しています。(@1:00)
そのままお互いにしばらく静止。
獲物に噛み付いて食事を始めるかと思いきや、なぜかユカタヤマシログモは獲物から立ち去りました。(@2:15)
絶体絶命のオオヒメグモは擬死(死んだふり)していたようで、ユカタヤマシログモが離れた途端に必死で暴れだしました。

オオヒメグモも自分が紡いだ糸なら舐めて掃除できる(糸を溶かして食べる)はずなのに、いくら必死に身繕いしてもユカタヤマシログモの粘着糸から逃れられません。
ユカタヤマシログモの粘着糸は成分が特殊なのかな?
この点に興味を持ち、「Scytodes thoracica fibrin」をキーワードに検索してみると、面白そうな文献を見つけました。(後で読む)

Zobel-Thropp, Pamela A., et al. "Spit and venom from Scytodes spiders: a diverse and distinct cocktail." Journal of proteome research 13.2 (2013): 817-835.(PDFファイル
時間をかければ脱出できるのでしょうか?

戻って来たユカタヤマシログモが容器の壁にへばりついた獲物(オオヒメグモ)に歩脚の先で触れて調べたのに、しばらくすると再び離れてしまいました。
擬死(死んだふり)していた獲物が暴れだすと向き直って触れ、チェックしています。
危険はないと判断したのか離れてしまった。
その後はオオヒメグモが必死に暴れても粘着糸を振りほどけないでいます。
ユカタヤマシログモが毒腺から作り口から吐く粘着糸には毒液も含まれているので、獲物は暴れて疲れる前に毒が回ってしまうはずです。

せっかく獲物を粘着糸で無力化したのに、今回はなぜか待てど暮らせど噛み付きに来ないのが不思議です。
糸腺が枯渇したので、とどめを刺したくても吐糸できないのかな?
獲物が疲れて(毒が回って)死ぬのを待っているのかもしれません。

今回は生き餌を投入する前に二酸化炭素で軽く麻酔しました。もしかするとその影響で、獲物としての魅力が無くなったのでしょうか?(匂いが気に入らない?)
給餌したのは7日ぶりなのに、ユカタヤマシログモは空腹ではなかったのでしょうか?
捕食する意図はなくて正当防衛のつもりだったのかもしれません。
(狭い容器に無理に同居させて逃げ場もないので自衛のため止むなく吐糸で制圧した?)
冬が近づくとクモは、越冬準備のために絶食することが知られています。
もし胃の中に消化物が残っていると気温が下がった野外では氷結する核になってしまい危険なのです。
ただし、主に屋内で生息するユカタヤマシログモも越冬前に絶食する必要があるのか疑問です。
室内は厳冬期でも野外よりは暖かいはずです。


※ 動画編集時に自動色調補正を施してあります。

つづく→#7


2016/02/29

糸を吐いて獲物を仕留めるユカタヤマシログモ(蜘蛛)【HD動画&ハイスピード動画】



2015年11月上旬

ユカタヤマシログモの飼育記録#5


ユカタヤマシログモScytodes thoracica)が糸を吐いて獲物を仕留める瞬間をどうしても動画で記録したくて、7日ぶりに給餌してみます。(三度目の正直)

浴室の隅で採取したオオヒメグモParasteatoda tepidariorum)幼体を二酸化炭素(CO2)で軽く麻酔してから生き餌として直径35mmのプラスチック容器に同居させました。
ともに地下室などの室内でよく見かけるクモですから、獲物として不自然ではありません。
クモが逃げ出さないようにサランラップで蓋をしました。
(映像はここから。)

初めは通常のHD動画で、つづいて240-fpsのハイスピード動画で撮影してみます。
麻酔から覚めたオオヒメグモが容器の縁に沿って歩き出しました。
ユカタヤマシログモは獲物と対峙すると、歩脚で距離を測ってから攻撃を仕掛けました。
口から糸を吐いた瞬間に獲物が衝撃で吹き飛ばされ、もんどり打って転げました。
吐糸には強い粘着性があり、獲物は容器の壁にへばりついて動きを封じられてしまいました。

粘着糸から振り解こうともがいている獲物に近づいてユカタヤマシログモは繰り返し何度も糸を吹き付けます。
狙いを定めて吐糸する度にユカタヤマシログモの頭胸部に大きな反動があることがよく分かります。(作用・反作用の法則)
ズキューン!という銃撃の効果音を付けたくなりますね。

後半、更に1/5倍速のスローモーションでリプレイするとよく分かるのですが、サランラップの蓋に粘着糸が偶然付着した際にジグザクの軌跡を描きました。
ジグザグの吐糸は奥から手前に向けて天井のサランラップに付着しました。
吐糸の反動で射出口が上を向くのかもしれません。
これこそまさに、ハイスピード動画で確認したかった点です。
糸疣に相当する吐糸器官が高速で噴出する糸の勢いを制御できず(あえて制御しない?)、激しく左右に振動するせいでジグザグの軌跡を描くのでしょう。
庭に水を撒くホースに強い水圧をかけるとホースの端(ノズル)をしっかり保持しなければホースが暴れだすのと似ているかもしれません。
欲を言えば、もっとハイスピードのカメラを手に入れたら撮影に再挑戦したいものです。(240-fpsでは未だ満足できません。)

不規則網の外に出したオオヒメグモが徘徊性クモのユカタヤマシログモに対峙した場合、オオヒメグモに勝算はありません。
自然の状態でオオヒメグモの不規則網にユカタヤマシログモが侵入して積極的に狩りに挑むことがあるのかどうか、興味があります。(ホーム&アウェーの戦い)

※ 動画編集時に自動色調補正を施してあります。
ハイスピード動画を撮るには非常に強い照明が必要となります。
その一方で、照明の反射が邪魔にならないよう角度を調節するのが面倒でした。
糸が見えやすいように容器の下に黒布を敷きました。


【参考文献】

池田博明「ユカタヤマシログモの吐糸説」(PDFファイル

クモ画像集:ユカタヤマシログモできどばんさんのコメントによると、

ユカタヤマシログモの粘液発射口は牙先端近く、他のクモが消化液を出す孔と同じです。
図鑑には「上顎基部先端にある粘液射出口」という表現が見られるが、「上顎」に粘液の出る場所はない。
つづく→#6:ユカタヤマシログモ(蜘蛛)の吐いた粘着糸で逃れられないオオヒメグモ


【追記】
『クモのはなしII:糸と織りなす不思議な世界への旅』p85によると、(「第11章 ユカタヤマシログモの投網」)
(ヤマシログモ属の)クモの頭部にはほかのクモとは違った奇妙な特殊化があります。毒腺が前後に分かれていて、前部で毒を、後部で糊状物質を生産しているのです。そして、獲物を見つけると、筋肉をすばやく収縮させて、毒と糊をいっしょに吐き出します。



2016/02/16

アメリカセンダングサの花を食すジョロウグモ♀(蜘蛛)の謎



2015年10月上旬

花を食べる造網性クモの謎#10:

ジョロウグモ♀(Nephila clavata)の網にアメリカセンダングサの花を給餌してみました。
頭花を網に投げつけたら、甑から急行したクモが毒液を注入するために噛みつきました。
歩脚の先で慎重に花を触れて調べています。
窓の外に店開きしているクモにとって、未知との遭遇のはずです。

しばらく噛み付いて味見した結果、どうやら花の味が気に入ってくれたようです。
捕帯を繰り出して梱包ラッピングを始めました。(@3:03〜)
甑に持ち帰る途中で花を再びラッピングし直します。(@6:10)
甑に戻ると、下向きに占座しました。
歩脚の先を舐めて身繕い。
ようやく落ち着いたジョロウグモ♀は花を手元に引き寄せ、クルクルと回しながら調べています。(@8:20〜)
やがて緑色の総苞(萼)に噛み付きました。
花粉や花蜜を本当に摂取しているのかどうか、見ているだけではどうしても分かりません。
ラッピングした糸を体外消化してタンパク質を回収しているだけかもしれません。
食べ滓の花を回収して状態を調べれば、何か手がかりが掴めるかもしれません。
私が少し目を離した隙に(数分後)、いつの間にかジョロウグモ♀は花を網から捨てていました。

やや風が強い日でピント合わせに苦労しました。
逆光のため途中ビデオカメラの補助照明として白色LEDを点灯しましたが、クモは気にしないようです。

実は今回給餌したアメリカセンダングサの花は2日前に採集した萎れかけのものでした。
花の鮮度が落ちた花でもクモは食べることがあるというのは意外で、また新たな謎が生まれました。
不思議なことに、同一個体のジョロウグモ♀に後日同じ実験(アメリカセンダングサの花を給餌)を繰り返しても再現性がありませんでした。
花の種類を変えてノコンギクを給餌しても食べてくれず、異物として捨てました。
野外でジョロウグモの網を見つける度にアメリカセンダングサの花を投げつけてみたのですけど、他に食べてくれる個体は見つかりませんでした。

アメリカセンダングサ花を捕食するのがイシサワオニグモだけの食性ではないことが判明したのは収穫です。

▼関連記事
アメリカセンダングサの花を食べるイシサワオニグモ♀(蜘蛛)の謎
花を食べてくれる個体は、梱包ラッピングに先立って長時間噛み付いていることが特徴かもしれません。


つづく→#11:



【追記】
吉田真『クモはどのようにして餌を捕らえるか?』によると、
ジョロウグモ属のクモでは、捕帯による固定はみられず、固定はもっぱら噛みつきによってなされます。 (ポピュラー・サイエンス『動物たちの気になる行動(1)食う・住む・生きる篇』p46より引用)



2016/02/15

ユカタヤマシログモ(蜘蛛)の体外消化を透視する【10倍速映像】



2015年10月下旬

ユカタヤマシログモの飼育記録#4


ユカタヤマシログモScytodes thoracica)が獲物のオオヒメグモParasteatoda tepidariorum)幼体を捕食する様子を微速度撮影してみました。
10倍速の早回し映像をご覧ください。

糸を吐いて獲物を仕留めたユカタヤマシログモは身繕いが済むと、獲物の歩脚に噛み付いて体外消化を始めました。
徘徊性のユカタヤマシログモが仕留めた獲物を安全な隠れ家に運んだりせずにその場で捕食してくれるのは、観察する側には助かります。
噛み付く部位は前回と同じなのが興味深く思いました。(すねかじり)

クモの食事は獲物を噛み砕いて飲み込み胃で体内消化するのではなく、強力な消化液を獲物の体内に注入して溶かしてからその肉汁を吸い込んで摂取します。
これを体外消化と呼びます。
今回餌食となったオオヒメグモの歩脚が細く半透明であるおかげで、ストローのように消化液が流動している往復運動が捉えられていました。
ユカタヤマシログモはときどき噛み付く場所を変え、獲物の全歩脚から順番に吸汁しています。

体内消化を行う我々ヒトがカニの脚を食べるときは固い外骨格を苦労して割り、中の身(筋肉)を丹念にほじくり出す必要があります。
一方、クモが食べた後は獲物の外骨格(クチクラ)はほぼ無傷のままで、中身は空っぽになるのでしょう。
体外消化なら、かに道楽でカニの脚をきれいに食べるのも楽そうです。


オオヒメグモの腹部がときどきゆっくりしたリズムで動いていることから、毒液で麻痺した後も未だ完全には死んでおらず、虫の息の状態なのかと初めは思いました。
しかしよく観察すると、噛まれている歩脚内の流動がオオヒメグモ腹部の膨張・収縮に同期しています。
したがって、体外消化液の注入・吸入に応じて獲物の腹部が風船のように受動的に伸縮しているだけなのでしょう。
結構な量の消化液を注入していることが伺えます。
獲物の頭胸部が伸縮しないのは、腹部よりも固いクチクラが発達しているためでしょう。

比較対照としてオオヒメグモ単独で安静時の歩脚を同様に接写して、血液の循環が透けて見えないことを確認する必要があります。
しかしよく考えてみると、ユカタヤマシログモに噛まれていない歩脚では体液の流動や循環が見られないので、改めて比較するまでもなく体外消化による流動で決まりですね。

後半ユカタヤマシログモが噛む場所を変えると(第1脚か?)、今度は獲物の腹部ではなく触肢が左右同時にゆっくり動きました。
もしかするとクモの触肢は普段から筋肉というよりも体液の水圧で駆動しているのかもしれません。

途中で噛む場所を何度も変更しました。
食餌の後半になるほど、その頻度が上がります。
捕食開始から約1時間45分後、満足したユカタヤマシログモは遂に獲物を手放し、離れて行きました。
食餌の時間は意外に短かったです。
餌食となり吸汁され尽くしたオオヒメグモ幼体は体全体が萎んでいました。

ユカタヤマシログモが獲物に噛みつく位置が歩脚に限定されていて(しかも膝関節付近が多い?)、獲物の頭胸部や腹部には最後まで一度も噛み付いていない点が興味深く思いました。
柔らかい腹部に噛み付いてしまうと、その後はパンクした風船のように注入した消化液が漏れてしまうのかもしれません。
それなら、あちこち噛み付いた歩脚から液漏れしないのは何故でしょう?!
必要に応じて一時的な凝固剤や糊を自由自在に注入するのかな?

通常の1倍速(リアルタイム)の映像ではこのような体外消化液の流動には気づきませんでした。

▼前回の記事
獲物を捕食・吸汁するユカタヤマシログモ(蜘蛛)
微速度撮影ならではの成果です。
これは全く予想外の発見でした。

当初の撮影プランとしてはユカタヤマシログモが噛む場所を変えて吸汁したり獲物を丸めて絞り尽くしたりする様子を長時間記録するつもりでした。


※ 動画編集時に自動色調補正を施してあります。(強拡大パートはコントラストを上げるためにHDR-ishのエフェクトをかけています。)
そのために、ユカタヤマシログモの体色が実際よりもかなりどぎつく強調されているのでご了承下さい。

つづく→#5:糸を吐いて獲物を仕留めるユカタヤマシログモ(蜘蛛)【HD動画&ハイスピード動画】


食べ滓
食後のユカタヤマシログモ

2016/02/14

獲物を捕食・吸汁するユカタヤマシログモ(蜘蛛)



2015年10月下旬

ユカタヤマシログモの飼育記録#3


約3週間(22日)ぶりにユカタヤマシログモScytodes thoracica)に給餌してみます。
このぐらいの絶食は平気なはずですが、ユカタヤマシログモは心なしか不活発でした。(これが正常なのかな?)
ピンセットでつついてもゆっくり動きまわるだけで逃げ出しません。
生餌は今回も室内で捕獲したオオヒメグモParasteatoda tepidariorum)幼体。
同居させたオオヒメグモが活発に歩き回り逃げ出そうとするので、容器に蓋をする必要がありました。
小シャーレ(直径3cm)内で同居させたら出会い頭に勝負が決しました。
狩りの瞬間をハイスピード動画に撮ろうと試みたものの、難しくてまた失敗です。(※ 追記参照)
ユカタヤマシログモはしばらく身繕いしてから(動画公開予定)、仕留めた獲物の歩脚に噛み付いて捕食を始めました。

映像はここから。
身繕いすると、仕留めた獲物の歩脚に噛み付いて体外消化を開始。
噛み付く部位は前回と同じなのが興味深く思いました。
途中でユカタヤマシログモは噛む場所を変更しました。(@3:25〜)

※ 動画編集時に自動色調補正を施してあります。

一見すると動きがなくて退屈な映像に見えるかもしれません。
ところが、この食事シーンを微速度撮影してみると、とても面白い現象が見えてきました。

つづく→#4:ユカタヤマシログモ(蜘蛛)の体外消化を透視する【10倍速映像】



※ 追記
【おまけの動画】



トリモチのような粘着糸を吐きつけて獲物を狩る瞬間を240-fpsのハイスピード動画に撮ってみました。
(失敗作なので、ブログ限定で公開します。)
近づいてきたオオヒメグモに気づくとユカタヤマシログモは歩脚の先で触れて距離を測りました。
分厚い容器越しではピント合わせが難しく、初めは接写に苦労しました。

吐糸一発目の瞬間は残念ながらピンぼけ。
ハイスピード動画撮影のために強い照明を当てたら、透明プラスチック容器に反射して白い糸が見えにくくなってしまいました。
勢い良く吐糸した反動(反作用)でユカタヤマシログモは瞬間的に後方へ動きます。
獲物は逃れようと暴れるものの、粘着糸で磔にされています。
ユカタヤマシログモは獲物を目の前にしつつ、歩脚の先を舐めて身繕いを始めました。
獲物に毒が回るのを待っているのでしょう。

最後はようやく噛み付きました。


※ 動画編集時に自動色調補正を施してあります。


2016/02/12

網に付いたノコンギクの花を取り除くジョロウグモ♀(蜘蛛)



2015年10月上旬

花を食べる造網性クモの謎#9:

ジョロウグモ♀(Nephila clavata)は花を食べることがあるのでしょうか?
近くに咲いていたノコンギクの花を摘んでジョロウグモの馬蹄形円網に投げつけ給餌してみました。
甑に占座していたクモは直ちに駆けつけ、歩脚で慎重に触れて花を調べています。
ジョロウグモにとっては未知との遭遇のはずです。
ようやく獲物ではなく異物と判断したらしく、周囲の糸を切り始めました。
クモは何か食べかけの獲物(体外消化で黒変している)を口に咥えたまま作業しています。
花に噛み付いたり梱包ラッピングしたりすることもありませんでした。
もしこのとき音叉を使って花に振動を与えたらラッピングが解発されたでしょうか?
花の茎が長いせいで、網から完全に外すのに手間取っています。
ようやく花を捨てると(@2:37)、その場で網を歩脚で弾き、他の異物が付いていないかどうか確認しました。
居候の♂が待つ甑に戻ると♀は下向きに占座し、身繕いを開始。

つづく→#10:アメリカセンダングサの花を食すジョロウグモ♀(蜘蛛)の謎


給餌前の♀♂ペア

2016/02/10

網にかかったツマグロオオヨコバイを捕食するイシサワオニグモ♀(蜘蛛)



2015年10月上旬・午前9:57〜10:04

イシサワオニグモ♀(Araneus ishisawai)で色々と実験したお詫びとして、今度は本当の獲物を給餌することにしました。

近くの草むらに飛来したツマグロオオヨコバイBothrogonia ferruginea)を生け捕りにし、垂直円網(甑の少し左下)に付けてやりました。
キイチゴ?葉裏の隠れ家に潜んでいたイシサワオニグモ♀は網に急行すると、まずは獲物の胸部に噛みついて毒液を注入しました。
つづいて獲物を網から外しながら大量の捕帯を繰り出して梱包ラッピングします。
糸を噛み切りながら、円網に開いた穴を補修するため糸で最小限の修繕を施しています。
網全体が崩壊しないよう、切った縦糸を張り直しているようです。
甑から新たな信号糸を糸を張りながら、獲物を隠れ家に持ち帰りました。
隠れ家に落ち着くと、捕食を始めました。
ちなみに午前10:00に測った気象状況は、気温19.1℃、湿度73%。

さて、イシサワオニグモが円網を張り替える行動を観察したくて前日から徹夜で監視したのに空振りに終わりました。(待ちぼうけ)
夜間に網を張り替えなかったのは、私が花や虫を次々に給餌したり音叉を使った実験を繰り返したからでしょうか?
もし何も獲物がかからなければ、「この網ではもう駄目だ」と判断して張り替えたのかな?



2016/02/09

イシサワオニグモ♀(蜘蛛)の網にノコンギクの花を給餌すると…?



2015年10月上旬・午前6:52〜8:10

花を食べる造網性クモの謎#8:花の種類を変えてみると?


イシサワオニグモ♀(Araneus ishisawai)はアメリカセンダングサを特に好んで食べてくれたのでしょうか?
アメリカセンダングサ以外のキク科の花を対照実験として給餌してみることにしました。

近くに生えていたノコンギクの頭花を摘んできて垂直円網に投げつけても、隠れ家(キイチゴ?葉裏)のクモは無反応でした。
鳴らした音叉で花に440Hzの振動を与えると、ようやくクモが甑まで出てきました。
もう一度花に振動を与えると、獲物が暴れていると騙されてクモが花の所まで駆けつけました。
花に触れて調べている間にあともう5回、繰り返し振動を与えてみます。
しかしクモは菊の花に噛み付いたまま静止しているだけで、期待した梱包ラッピングをしてくれませんでした。

ようやく噛んでいた花を手放すと、その花を網に放置したままで甑に素早く戻りました。
信号糸を登り、隠れ家に帰りました。
花を噛んでいる間に花蜜や花粉を摂取したかどうか、外から見ているだけでは分かりません。
隠れ家に持ち帰ってゆっくり食べるほど気に入った味ではなかったのかな?
餌ではなく異物だと認識したにせよ、異物を除去しないで放置するのは初めての反応です。

更にしつこく音叉でノコンギクの花を震わせても隠れ家のクモは無反応でした。
「狼少年の嘘にはもう騙されないぞ!」と学習したようです。
そこで今度は音叉を直接網に付けてやると、クモはすぐに網に降りてきました。
その先はもうクモは騙されず、異物の花を放置したまますぐ隠れ家に戻ってしまいました。

諦めかけたら、何故かしばらくするとイシサワオニグモ♀が隠れ家から網へ自発的に戻って来ました。
先程は何か身の危険を感じて逃げ帰ったのかもしれませんね。
甑に占座したクモは網を歩脚でしゃくり、異物の在処を探り当てると、ようやくノコンギクの花を網から外して捨てました。
その場で網を引き締め、もう他には異物が付いていないことを確認しています。
糸を切ったことによる網全体への影響(張力のバランスなど)を調べているのかもしれません。
甑に戻ると、朝日を浴びながら歩脚の先を舐めて身繕いしています。
捨てられたノコンギクの花はシダの葉に落ちていました。
しばらく日光浴してから、ようやく隠れ家に戻りました。

ちなみに午前8:08に測った気象状況は、気温19.2℃、湿度85%。

つづく→#9:網に付いたノコンギクの花を取り除くジョロウグモ♀(蜘蛛)


2016/02/03

条網を移動するオナガグモ(蜘蛛)



2015年10月上旬・午前9:23〜9:28


▼前回の記事
条網を綱渡りする夜のオナガグモ【蜘蛛:暗視映像】


真夜中に見かけたオナガグモAriamnes cylindrogaster)と翌朝に再会しました。
前夜とほぼ同じ位置に居て、枝間に張り渡した水平の条網で綱渡りしていました。
身繕いしているのか糸屑を食べているのか不明です。
やがて条網上で方向転換しました。
それまで持っていた白い糸屑を条網の三叉路合流点に付けたように見えました。
最後は松葉のように体を伸ばして静止しました。

何をしていたのかよく分かりませんが、糸疣に注目すると条網を張る造網行動(または条網の張り替え)なのかもしれない、という気がしてきました。

クモ生理生態事典 2016」でオナガグモの移動法に関して次のような記述がありました。

糸上を前進する時には第1・2脚で糸をたぐり,第3脚で糸を丸める.この時,右1脚で確保された糸は左2脚へ送られ左3脚で丸められる. 方向転換の時は前方と後方の糸を糸いぼの箇所でつなぎ,転換して,前部で糸を切断してから,新しい糸を糸いぼから出しながら前進する. 上方へ進む時には糸いぼから前へ糸がつながっている点が水平の糸上を進む時と異なる点である〔新海明AT49/50〕.
これを読んで、オナガグモが綱渡り中に糸屑のようなものを持っている理由が判明しました。
不要な糸を丸めるのは良いとして、なぜ食べてタンパク質を再利用しないのでしょう?
欲を言えば、もう少し拡大してスローモーションで接写したかったです。

いつかオナガグモが条網でクモ狩りを行うシーンを観察してみたいものです。
鳴らした音叉で条網に触れるとオナガグモがどんな反応するか、興味があります。(駆け寄ってくるのかな?)

獲物のクモが条網を歩いて来る振動と音叉の振動とは周波数が違う気がします。
今回の個体は手の届かない高所に居たため、指を咥えて眺めているしかありませんでした。



2016/02/02

条網を綱渡りする夜のオナガグモ【蜘蛛:暗視映像】



2015年10月上旬・深夜3:08〜3:46・気温11.8℃

イシサワオニグモ♀の垂直円網を一晩中見張っていると、深夜未明に意外なクモが登場しました。
緑色の細長いオナガグモが空中を綱渡りして移動しています。
初めは居候クモの仲間かと思いきや、オナガグモAriamnes cylindrogaster)でした。
赤外線の暗視ビデオカメラで撮ると、AF頼みではピント合わせに難儀しました。
(冒頭で撮影アングルが定まらないのは奥ピンになりがちなAFでなんとか合焦しようと背景が抜けたアングルを探しているためです。)


オナガグモは「クモを食べるクモ」として知られているので、まさかイシサワオニグモ♀を積極的に捕食しに来たのかと思い、緊張で一気に眠気が吹き飛びました。
しかし様子を見ていると、隠れ家に潜んでいるイシサワオニグモを誘き寄せたり狩ろうとしてるのではなさそうで、ただの「通りすがり」のようでした。

草木も眠る丑三つ時に細長い異形のクモが宙に浮かんでいる様子はちょっと幻想的です。
上の木の枝から糸を引いて懸垂下降して来たのかもしれません。

イシサワオニグモの円網の手前に居ました。
オナガグモは横に張られた糸を伝って左上に移動します。
自ら吹き流しをして張った糸なのかな?
もしかすると条網を張る造網行動なのかもしれません。
しかし図鑑や「クモ生理生態事典 2016」を参照してもオナガグモの造網時刻について記述はありませんでした。
土手に生えたキイチゴ?の葉先に条網の端は固定されているようです。
最後の映像では歩脚の先を舐めて身繕いしていました。

クモ生理生態事典 2016」でオナガグモの移動法に関して次のような記述がありました。

糸上を前進する時には第1・2脚で糸をたぐり,第3脚で糸を丸める.この時,右1脚で確保された糸は左2脚へ送られ左3脚で丸められる. 方向転換の時は前方と後方の糸を糸いぼの箇所でつなぎ,転換して,前部で糸を切断してから,新しい糸を糸いぼから出しながら前進する. 上方へ進む時には糸いぼから前へ糸がつながっている点が水平の糸上を進む時と異なる点である〔新海明AT49/50〕.
しかし、今回の映像ではその奇妙な移動法を確認できませんでした。(明るい昼間にしっかり接写すべき)

ちなみに、午前3:20に測定した気温は11.8℃、湿度100%。

つづく


写真で性別を見分けられるか?
葉に包まれた白い構造物はクモの卵嚢か蛾の繭か?

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