2015/12/02

ホオノキの果実を採食するニホンザル



2015年9月中旬

山間部の峠道で遭遇した野生ニホンザルMacaca fuscata fuscata)の群れが遊動した結果あちこちに散開したので、どの個体を撮ろうか目移りしてしまいます。

急斜面に聳え立つホオノキ高木の樹冠で1頭の猿が枝に腰掛けて何やら食事中です。
枝葉に隠れて見えにくいのですけど、採食メニューはおそらく果実のようです。
高所を見上げる撮影アングルで腰が痛くなり、もう限界でした。


※ 動画編集時に自動色調補正を施しています。

当地のニホンザルは、四季を通してホオノキの蕾、花、実を利用していることが分かりました。

▼関連記事
ホオノキの花と蕾を採食する野生ニホンザルの群れ

【追記】
『SNOW FOREST 冬の森へ:Winter Field Guide』p57によると、ホオノキの
長さ10〜15cmの細長い果実は、実が多数集まってできたもので、秋に熟すと裂けて、中の赤い実を白い糸でぶら下げます。熟すことなく黒っぽく変色し、枝先に残ったり、雪上に落ちているのを見ることがあります。




フタモンアシナガバチ営巣末期の扇風行動



2015年9月中旬

農村部の物置小屋の軒下に毎年フタモンアシナガバチPolistes chinensis antennalis)が集団営巣しています。(巣が横に並んでいる)
定点観察には通えなかったのですが、今年もかなり大きな巣が形成されていました。
コロニーの末期で既に雄蜂や新女王も多数羽化しています。

巣盤天井の縁(画面の左下)に居た♀が巣盤に止まったまま断続的に羽ばたき始めました。
近くには♂しか居ないので誇示行動ではないと思うのですが、扇風行動なのでしょうか?
しかし全ての育房は羽化済みで、高温から守るべき蜂の子(幼虫や蛹)はもう居ません。
おそらく蜂の子の有無に関わらず、巣上で自分が暑く感じたら扇風行動が解発されるようにプログラムされているのでしょう。
肝心の気温を測るのを忘れました。

撮影アングルを少し変えると、巣盤天井の縁(画面の上)で扇風行動をしている別個体の翅だけが見えました。
♂も扇風行動するのか非常に興味があるのですけど、残念ながら性別不明です。



2015/12/01

ススキの葉を採食するニホンザル♀



2015年9月中旬

山の斜面を登って来た野生ニホンザルMacaca fuscata fuscata)の群れが車道(峠道)まで出て来ました。
1頭の♀(未発情、毛皮が白っぽい)がガードレールの下に生えたススキの葉先を手で千切り採食しています。
特に利き手は無いようで、両方の手を用いて道草を食っていました。
秋の森にはもっと栄養価の高い食物が他に幾らでもありそうなのに、どうして筋張ったススキの葉なんか食べているのか不思議に思いました。
たとえば整腸作用(便秘予防)があったりするのでしょうか?
ススキの薬効をインターネット検索で調べてみると、ヒトの漢方薬として用いられるのは専ら根や穂らしく、葉については不明です。


「ニホンザル ススキ 採食」でネット検索してみると、ヒットしたのは霊長類の採食行動を研究しておられる辻大和氏のホームページで「カメムシを採食するニホンザル」と題した記事だけでした。
草原でススキの葉についたカメムシを採食しているところ。他にもバッタやイナゴなどを捕らえて食べる。



手前に座っていた成獣♂がこちらを向いて後足だけで起立すると、発信機付きの首輪が見えました。
顔が紅潮し、睾丸が発達しているので、発情していますね。
ガードレールに登って私の背後を警戒しています。
(私も振り返りたい誘惑を我慢して撮影を続けます。)
首輪♂は車道を横断し、右手の斜面を見上げました。
右の森でうるさく鳴いているカケスの警戒声♪を気にしているようです。

※ 動画編集時に自動色調補正を施しています。


カワミドリ/クマツヅラ?の花蜜を吸うクロマルハナバチ♂



2015年9月中旬

峠道の道端(法面の草むら)に咲いたカワミドリ?にクロマルハナバチ♂(Bombus ignitus)が訪花していました。

蜜源植物の名前が自信ありません。
クマツヅラとかも混じってますかね?
どなたかお分かりの方は教えてください。




2015/11/30

ブナの実を樹上で採食するニホンザル



2015年9月中旬

雑木林で遭遇した野生ニホンザルMacaca fuscata fuscata)の群れで1頭の若い個体に注目しました。
灌木に登り、枝から枝へ身軽に跳び移り、遊動しています。
やがてブナの枝に腰掛け、実(堅果)を採食し始めました。

※ 動画編集時に自動色調補正を施しています。


【追記】
中川尚史『サルの食卓―採食生態学入門 (平凡社 自然叢書)』によると、
1984年、金華山のブナは大豊作だった。9月にはまだ樹上に実が付いていたため樹上で採食していたが、その後しだいに地上に落ち、サルは木の下で落ち葉をかき分けては、落果を探して食べるようになった。 (p65より引用)
私はブナの落果を採食するニホンザルを未だ観察したことがありません。



ヤクシソウを訪花するイチモンジセセリの飛翔【HD動画&ハイスピード動画】



2015年9月中旬

峠の道端に咲いたヤクシソウの群落でイチモンジセセリParnara guttata)が吸蜜していました。
おそらく同一個体が繰り返し訪れています。
他種の植物も含めて辺りの花を巡回しているようです。
花から花へ飛び回る様子を240-fpsのハイスピード動画でも撮ってみました。

※ 曇り空のせいで発色があまりにも悪かった前半のHDパートは自動色調補正を施しています。



2015/11/29

藪の中を遊動するニホンザルの群れ



2015年9月中旬

山間部の峠道を下山中に、横の雑木林で活動するヤマガラを見ていました。
コツコツ♪と木の実を採食または貯食している音がするのですが、 カメラを警戒して忙しなく飛び回り、どうしても撮らせてくれません。
やがて背後から野生ニホンザルMacaca fuscata fuscata)の群れの鳴き声が聞こえ、こちらへ近づいてくる気配がします。
久しぶりの遭遇を期待して、そのままじっと待機することに。

案の定、しばらくすると雑木林の斜面を群れが登って来ました。
静かに鳴き交わすコンタクトコール?がときどき聞こえます。
枝を登った子猿(毛皮が白っぽい)がこちらに気づき、慌てふためいて木から下りました。
茂みの奥からこちらの様子を窺っています。
遊動する群れの先陣を切るのは若い猿たちなのかな?
後続の個体も私のことを警戒しながら藪の中を遊動しています。

※ 動画編集時に自動色調補正を施しています。

つづく→



ゴマダラカミキリ♂が路上を横断



2015年9月中旬

山間部の舗装された峠道をゴマダラカミキリ♂(Anoplophora malasiaca)が横断していました。
左の触角が途中から欠損しています。
残る右の触角が長いので、♂ですね。

左右の脚を交互に前へ出す歩き方です。
一つ前の脚からワンテンポ遅れて前へ出し、同側の前脚および後脚は同時に前へ出しています。

最後は路肩の草むらに隠れてしまいました。



2015/11/28

交接を繰り返す精力絶倫のジョロウグモ♀♂【蜘蛛:10倍速映像】



2015年9月上旬

ジョロウグモ♀♂の定点観察#7


ジョロウグモNephila clavata)♀♂の交接シーンを10倍速の微速度撮影で記録してみることにしました。
カメラのバッテリーが切れるまで1時間48分間の長撮りで監視しました。

♂は休み休み交接を繰り返しています。
回数を数えてみると、なんと27回でした。
平均すると丁度4分間に1回の割合で交接したことになります。
休憩中も♀から遠くヘ離れることはありません。
途中で♀は一度嫌がって網を少し上に移動しました。

『自然の観察事典21:網をはるクモ観察事典』p22-23によると、

(ジョロウグモの)♂の交接は1時間ほどつづきます。(中略)♂は一生に1回しか交接しません。でも♀は、ほかの♂と、2回目の交接をおこなうことがあります。


『スパイダー・ウォーズ:クモのおもしろ生態学』p91でも「ジョロウグモの♀は一生に一度しか交接しない」と書いてありました。


しかし今回観察したペアは、一夫一妻で何度も交接しています。
反例を見つけたと思って良いのかな?
本の記述は現実の生殖行動を単純化し過ぎているのでしょう。

7年前に私が初めてジョロウグモの交接を観察した時はいきなり性的共食いが行われ、強烈な印象に残っています。

▼関連記事
ジョロウグモの交接と性的共食い
しかし、ジョロウグモの交接で常に性的共食いが行われる訳ではありません。(同様に、カマキリの交尾でも性的共食いが行われるのはむしろ稀です。)
今回の♀は性的共食いを行わず、♂を拒否する際も軽く払いのける程度で凶暴性を全く感じさせませんでした。
たまたま♀が穏やかな性質の個体なのか、飢えていないのか、あるいは♂との相性が良いのでしょう。


以前、ハエトリグモの配偶行動を飼育下で観察した時は♂が何度もしつこく交接を繰り返す合間に精網を張って触肢に精子を補充していました。
今回の絶倫ジョロウグモ♂が途中で精網を張って精子を触肢に補充する様子は見られませんでした。(私が気づかなかっただけ?)



シリーズ完。


オトコエシの花蜜を吸うオオハキリバチ♂



2015年9月中旬

山間部の峠道の横に生えたオトコエシの群落でオオハキリバチ♂(Megachile sculpturalis)が訪花していました。
背後の花にはコアオハナムグリも来ています。

ラスト12秒に登場した個体は♀かもしれません。
これだけ顔色が見えず、腹端が心なしか尖っています。



2015/11/27

脱皮直後のジョロウグモ♀(蜘蛛)と交接を繰り返す♂



2015年9月上旬・くもり

ジョロウグモ♀♂の定点観察#6


窓の外に張られた網でジョロウグモNephila clavata)♀が脱皮を済ませていました。
亜成体から脱皮して、めでたく成体になりました。
2日前に見たとき(#1〜5)より網を少し横に移動していました。
脱皮殻がイワガラミの蔓に糸で固定され風に揺れています。
抜け殻を採集したくても、窓の外で手が届きません。
脱皮の過程を見逃してしまったのも残念でした。

♀に付き添う♂は一匹のみで、近くにライバル♂の姿はありませんでした。
長期間の交接前ガードの苦労が報われた♂αが、脱皮直後の♀と交接しています。
脱皮直後の♀はしばらく安静にしていないといけないので、♂にとっては性的共食いされずに交接する絶好のチャンスです。

『自然の観察事典21:網をはるクモ観察事典』p22によれば、

ジョロウグモの♂の80%近くが、この♀の脱皮のときに、結婚のための交接をおこないます。のこりの20%は、♀がえさをたべて油断しているときをねらって交接します。


♀が嫌がり横に移動してくれたおかげで、撮影に邪魔な抜け殻と被らなくなりました。
脱皮直後の体がようやく固まり、動けるようになったのでしょう。

網の状態を見ると、ジョロウグモの網特有の美しい規則的な構造は失われています。
♀の脱皮前後にしばらくメンテナンスせず、♂が網を一部勝手に壊したりしたせいで、かなり壊れています。

歩脚で♂を優しく押し退けると、歩いて網を左上に少し移動し、下向きに占座。
常に♂がつきまとっています。
再び♂が交接を迫るも、♀が軽く拒否したようです。
それでも諦めない♂は 左の触肢を外雌器に差し込みました。
その間、♀はおとなしく受け入れています。
最近、別のジョロウグモ♀♂ペアの交接シーンをマクロレンズで接写していますが、今回は望遠マクロに徹します。
しばらくすると♀が第3脚で♂を払いのけ、♂は退散しました。(@4:42)

ほとぼりが冷めると♂が再び♀の後方から近づき交接を試みます。
おとなしかった♀が拒否を始め、網をほんの少し下に移動しました。
♂は一度離れてもしつこくすぐに戻って来ます。

ようやくじっくり交接を始めたものの、♀が体勢を変えたせいで(背中の向きを少し変えた)、結合部がしっかり見れなくなってしまいました。
ガラス窓越しに撮影しているため、網の反対側に回り込みたくても無理なのです。

珍しく♂が自ら結合を解除し(触肢を外雌器から抜き)、♀から離れました。(@7:20)
移精が完了したようです。
これで♂は満足したかと思いきや、驚いたことに♂は少し休憩するとまた貪欲に交接を繰り返します。
精力絶倫ですね。

ところで、交接の途中で♀が拒否する場合があるのは♀の気紛れなのでしょうか?(女心と秋の空)
♂が経験不足だったり手際が悪いと♀に痛みを与えてしまうのですかね?

交接を繰り返すペアを長時間撮影して分かったことは、ハエトリグモなどで見られるような儀式化された求愛行動はジョロウグモには無さそうだということです。
♀に近づく前に網の糸を弾いて信号を送るというような行動も見られませんでした。

つづく→#7:交接を繰り返す精力絶倫のジョロウグモ♀♂【蜘蛛:10倍速映像】



キアシナガバチ♀同士が巣上で喧嘩



2015年7月下旬

キアシナガバチ巣の定点観察@トウカエデ枝#8


在巣の蜂は計6匹写っています。
この日はキアシナガバチ♀(Polistes rothneyi)♀同士の激しい優位行動が繰り広げられ、巣上は絶え間ない闘争で騒然としています。
何がきっかけとなったのか不明ですけど、かなり気が立っていてます。
劣位個体は何をされても無抵抗です。
常識的に考えれば、ヒステリックに攻撃している個体は創設女王でしょう。
ミツバチの女王蜂は女王物質というフェロモンで化学的にコロニーを統治しますが、アシナガバチは女王が娘(ワーカー♀)を力づくで支配しないとクーデターを起こされ勝手に産卵されてしまいます。
虐められた劣位の♀ほど卵巣が退縮するそうです。
個体標識すれば順位制がはっきり見えてくるはずですが、とても余力がありませんでした。

映像後半では幼虫と栄養交換してから、成虫間で口づけを交わしました。(@1:00)
栄養交換以外にも「相手を宥める挨拶」「優位性を確認する儀式的行動」という意味合いがあるのかもしれません。

依然として繭キャップが作られていない点も気がかりです。
成虫の数に対して幼虫がいつまでも少なく成虫の栄養源である栄養交換にも事欠くのではないか?と心配になります。
このコロニーはシーズンの途中で引っ越してきた二次巣と考えられるのですが、実は何らかの理由で女王が不在ではないか?という疑念が浮かびます。
ワーカー♀産卵が横行し互いに食卵し合っているせいで、なかなか幼虫が孵化しないのかもしれません。
(個体識別できていませんし観察時間も少ないので、ただの想像に過ぎません。)

つづく→#9:夜に繭を紡ぐキアシナガバチ老熟幼虫【暗視映像】


2015/11/26

ユカタヤマシログモ(蜘蛛)の徘徊・身繕い



2015年9月中旬

ユカタヤマシログモの飼育記録#1

地下室へ降りる階段の天井にユカタヤマシログモScytodes thoracica)を見つけました。
憧れのクモでしたが、実物と出会えたのは初めてです♪
捕獲して飼育開始。
発見時から右の第4歩脚が根本付近から欠損しています(-R4)。
頭胸部が非常に大きく発達しており、アンバランスに感じます。
その頭胸部には左右一対の釣り針状の模様が目立ちます。

本種は造網しない徘徊性のクモなので、プラスチック容器の壁面も自在に登れるはずです。
ところが壁をよじ登ろうとして滑落しました。
ひっくり返っても自力ですぐ起き上がりました。
立ち止まると歩脚を手招くように動かしています。
やがて身繕いを始めました。

歩脚や両触肢の先を舐めて(甘噛みして)化粧しています。
牙を掃除しているのかもしれません。
左右の触肢の先を互いに擦り合わせたり、歩脚L3L4の先を互いに擦り合わせたりしている行動も見られました。

※ 動画編集時に自動色調補正を施しています。


つづく→#2:オオヒメグモを捕食するユカタヤマシログモ(蜘蛛)


夜に繭を紡ぐキアシナガバチ老熟幼虫【暗視映像】



2015年8月上旬・深夜1:15および同じ日の夜21:20

キアシナガバチ巣の定点観察@トウカエデ枝#9


キアシナガバチ♀(Polistes rothneyi

赤外線の暗視カメラで撮ると、いつものように多数の蜂が折り重なって寝ています。
巣に産卵しようと夜近づいて来ると言われる寄生蛾に対しても防御力が高そうです。

二股の幹の隙間から狙うと、育房内で老熟幼虫が盛んに動いています。
おそらく繭を紡いで育房に蓋をしているのでしょう。
近くで静止している成虫は触角と脚先で常に幼虫の動く頭部に触れているのに、栄養交換などのアクションを起こさず寝ているようです。
成虫は昼行性ですが、幼虫は昼夜を問わず営繭するのでしょう。

約20時間後に再び様子を見に行くと、老熟幼虫の動きは無くなっていました。
白色LEをD点灯すると、白くて薄い繭キャップが作られていました。
昼間に途中経過を見れなかったのが残念です。
できれば微速度撮影してみたかったのですが、この場所は三脚を設置できないのです。

つづく→#10:夜キアシナガバチの巣に侵入するワラジムシ【暗視映像】



2015/11/25

ジョロウグモ(蜘蛛)♂同士が争う合間に♀の網を破壊工作?



2015年9月上旬

ジョロウグモ♀♂の定点観察#5


ジョロウグモNephila clavata)亜成体♀の傍で下向きに静止していた♂αがピクピク動き始めました。
網の糸を歩脚の先で何度か弾きました。

やがて♂αは警戒して上を向きました。
どうやら、ときどき体を揺らして網に振動を送っているようです。
風で揺れているのではありません。
ライバル♂に対する威嚇の誇示行動でしょうか?

♂αは常に♀と♂βの間に位置して♀を奪われないように守っています。(交接前ガード)
♂αが♀の近くで上を向いているときは、網の上部に居る♂βの動きに反応しているのだとようやく分かりました。
(♀の機嫌を損ねて襲われてもすぐ網の外に逃げ出せるように用心しているのかと初めは想像していました。)

意を決したように、♂αが網を上に登り始めました。
引きの絵にすると網の上部で♂βが下向きに静止しつつ網を弾いて挑発しています。
また喧嘩になるかと思いきや、今度は興味深い展開になりました。
♂αは直接対決を避け、右に移動しながら網の上部を取り壊し始めたのです。
ついでに糸屑も摂取しています。
(逆光で網や糸がよく見えないのが残念。)
その間に♂βは手をこまねいて見ているだけなのが不思議です。
♂αの隙をついて♀の元へ行けば良いのに…と思うのですが、侵入経路を取り壊されたのかもしれません。
長引く神経戦に嫌気が差した♂αが、♂βとの間にある部分の網を壊して、互いに存在を認識できなくしたのでしょうか(振動による威嚇が届かなくなる)。

ただ空腹のため食事をしたという可能性もあります。(腹が減っては戦はできぬ)
破壊工作だとする私の解釈がもし正しければ、直接的な衝突・闘争するだけとは違って、そこに知性を感じます。
一方♀にしてみれば、居候の♂に自分の網を勝手に壊されるのではたまったものではないでしょう。
♀がなぜ怒らないのか不思議でしたけど、脱皮の直前で動くのが億劫だったのかもしれません。

作業を終えた♂αは♀の元へ戻りました。
♀に触れて確認すると、無反応の♀から少し上に離れて占座しました。
♀と歩脚の先で互いに触れ合っています。

一連の争いを1台のカメラで記録するのは限界を感じました。
引きの絵と、2匹の♂それぞれに注目した寄りの絵が欲しいところです。

いつまで経っても交接を始めないので、この日の観察は打ち切りました。(未だ♀が成体だと思い込んでいます。)

※ 窓ガラス越しに撮ったやや不鮮明な映像に対して自動色調補正を施しています。


『スパイダー・ウォーズ:クモのおもしろ生態学』p119-120によると、

クモは一般に同じ種の他の個体に対してかなり排他的です。網を張るクモは、ほかのクモの侵入を許さず、タテ糸をつよく引いて追い払います。侵入者がそれでも引き下がらないと、網の主は侵入者に向かって突進します。ほとんどの場合、これで侵入者は退散しますが、それでも退散しない場合はつかみ合いとなり、噛まれてどちらかが殺されることもあります。



つづく→#6:脱皮直後のジョロウグモ♀(蜘蛛)と交接を繰り返す♂



2015/11/24

2015/11/23

ジョロウグモ(蜘蛛)亜成体♀を巡り争う2匹の♂



2015年9月上旬

ジョロウグモ♀♂の定点観察#4


ジョロウグモNephila clavata)♂αが亜成体♀の傍らでガードしている間に、網の上部から別個体♂βが♀との交接機会を求めて侵入して来ました。
(それまで私は♂βの存在に気づいていませんでした。)
静止した♂βが爪先で網の糸を弾いています。
挑発を受けて下から♂αが網を登って来ました。
直接対決するかと思いきや、なぜか途中で引き返しました。
♂βが動きを止めて気配を消したからでしょうか?
♂αは♀の近く(少し上)に戻って下向きに占座すると、油断なく♀をガードします。

♂αがなぜか右下に移動を始めました。(@1:30〜)
パトロールが済むと元の位置に戻って下向きに占座。
このとき歩脚の先で網の糸を数回、弾いて(かき鳴らして)います。
カメラを上に向けてβ♂を写すと、少しずつ慎重に忍び寄っています。
鬼に気づかれないように隙を見て接近する様から、子供の頃に遊んだ「だるまさんがころんだ♪」を連想しました。

上から慎重に降りて来た♂βを迎え撃とうと ♂αが下から登ってきました。(@4:30)
正面からぶつかるように追い払い、♂βは慌てて上に逃げ出しました。
♂αは更に追撃します。
第二戦の途中で一瞬♂達を見失ってしまいました。
激しく争った際に♂αと♂βの位置が入れ替わった可能性もあるのですが、目視による体長の比較(♂α<♂β)から、おそらく先住効果でα♂が勝ったようです。
今後も♀の近くに居る♂を便宜的に♂αと呼ぶことにします。
♂は二匹とも五体満足なので(歩脚に欠損や再生肢なし)、見た目による個体識別は困難です。
マーキングすれば喧嘩の勝率をきっちり調べたり順位制に応じた位置取りなど面白いことが分かりそうですが、残念ながら窓の外で手出しができません。(体長も未採寸)
ハエトリグモの♂同士は儀式化された誇示行動で闘争するのに対して、ジョロウグモの♂同士はもっと直接的な争いをするようです。
しかし衝突があっても、ライバル♂に噛み付いて歩脚を欠損するほどの激しい喧嘩ではありませんでした。

♀の周囲を一回りしてから再び網をパトロール。
♀に触れて位置を確認すると、その上に下向きに占座。
♀が歩脚で♂を軽く払いのけ、♂は上に退散しました。
♂同士の喧嘩の一部始終を♀は網の振動によって把握しているはずですが素知らぬ顔で、勝者♂が来ても求愛を受け入れようとしません。(このとき私は未だ、♀は成体なのかと思い込んでいました。)
♂αはすぐに戻ってくると、懲りずに♀にちょっかいを出しています。
♀のすぐ上に落ち着いた♂αが爪先を舐めて身繕い。

敗者♂βは網の右にある窓枠に逃げ込んだのですが、しばらくすると網の上部に戻って居ました。

※ 窓ガラス越しに撮ったやや不鮮明な映像に対して動画編集時に自動色調補正を施しています。

『スパイダー・ウォーズ』p39によると、

日本のジョロウグモでは♂の競争の実体はまだあまり調べられていません。アメリカのジョロウグモで調べられたところでは、網をはさんで♀の真向かいにいる♂は網の周辺部にいる♂よりも優位で、♀との交尾頻度がずっと高いようです。この「正式」の夫すなわち「正♂」は「周辺♂」より体が大きく、正♂の地位を狙う他の♂を威嚇して自分の地位を守っています。ジョロウグモは一生のうちに一度しか交尾しない「貞淑な」タイプ。


つづく→#5:ジョロウグモ(蜘蛛)♂同士が争う合間に♀の網を破壊工作?



2015/11/22

オトコエシの花蜜を吸うオオハナアブ♀



2015年9月中旬

山間部の峠道の脇に咲いたオトコエシの群落でオオハナアブ♀(Phytomia zonata)が訪花していました。



キアシナガバチ♀雨天時の排水行動



2015年7月下旬

キアシナガバチ巣の定点観察@トウカエデ枝#7


梅雨の末期で朝から雨が降っているため、キアシナガバチ♀(Polistes rothneyi)の排水行動を見たくて昼から様子を見に行きました。
巣の上にトウカエデの枝葉が茂っているせいで、雨が多少降っても巣が濡れることはないようです。
巣柄の固定された横枝は雨で濡れているものの、巣盤天井に多数の蜂が乗っているので巣はあまり濡れないようです。
晴天時よりも多くの蜂が巣に残り、巣盤を覆っています。

一匹のワーカー♀が育房の壁に巣材を付け足して高く伸ばしていました。
造巣が済むと念入りに身繕い。
育房を点検して回る間に♀同士で小競り合いがありました。(優位行動)
遂に、巣盤の右上で♀が口から水を吐き出して捨てる排水行動が見られました(@2:35)。
どうしてもアシナガバチの排水行動が見たくて、シャワーで巣に水を直接かけようか(水責め)と思ったぐらいでしたが、自然の行動が見れて満足です。

つづく→#8:夜に繭を紡ぐキアシナガバチ老熟幼虫【暗視映像】




【追記】
小林朋道『先生、大型野獣がキャンパスに侵入しました!: 鳥取環境大学の森の人間動物行動学』という本を楽しく読んでいたら、セグロアシナガバチの観察記録で興味深い記述をみつけました。
雨の日には、ハチ(セグロアシナガバチ:しぐま註)たちはできるだけぬれないようにするため、競って巣の下面(育室が開口している面)に移動し、育室に頭を入れて雨をしのごうとした。巣の下面から、ハチのたくさんの腹部がぶら下がっている。 (p76より引用)
しかし、私はそのような雨宿り行動を実際には見たことがありません。
観察対象のアシナガバチの種による違いなのか分かりませんが、そもそも雨で濡れる位置に巣作りするようなコロニーは発展しないのではないかと私は思います。


トウカエデの幹にワラジムシを発見!

2015/11/21

ジョロウグモ(蜘蛛)の交接前ガード【10倍速映像】



2015年9月上旬

ジョロウグモ♀♂の定点観察#3


このジョロウグモNephila clavata)♀は亜成体だと後に判明するのですが、撮影時には成体♀かと思い込んでいました。
♂の求愛が成就する瞬間を見届けたくて、交接前ガードを続ける♂の行動を10倍速の微速度撮影で監視してみました。

♂が網を弾く行動は♀への求愛またはライバル♂を威嚇・牽制する意味がありそうです。
網をパトロールした後は、脚先を舐めて身繕いしています。
♂がパトロールを繰り返したり♀とは逆の上を向いて警戒したりしているのは何故か、次回でようやく謎が解けました。

つづく→#4:ジョロウグモ(蜘蛛)亜成体♀を巡り争う2匹の♂


ビニール傘を警戒する巣上のキアシナガバチ♀



2015年7月下旬

キアシナガバチ巣の定点観察@トウカエデ枝#6


未だ梅雨なので、この日は朝から雨が降っています。
晴天時よりも在巣のキアシナガバチ♀(Polistes rothneyi)個体数は多いです。(計8匹)
雨が降るとワーカー♀も外役に出られず、巣に留まって雨宿りしているのでしょう。

巣の目の前で透明ビニール傘を振ると総員警戒姿勢、臨戦態勢になりました。
一斉に翅を半開きにして細かく震わせるものの、いきなり飛びかかってくることはありませんでした。
黒い傘だと一層危険だったかもしれません。
しばらくすると、少し落ち着いてきました。

※ 動画編集時に自動色調補正を施しています。

つづく→#7:キアシナガバチ♀雨天時の排水行動



2015/11/20

夜の交差点に来た蛾とコウモリ【暗視映像】



2015年8月上旬・夜20:58:20

交差点で点滅信号や水銀灯の周りをコウモリが飛び回っています。
灯火に引き寄せられる夜蛾を捕食しに来たようですが、狩りの瞬間を撮るにはよほどの幸運が必要そうです。
(愚直に長撮りするしかないのかな?)
街中なので、普通種のアブラコウモリかもしれません。
バットディテクターがあれば超音波の鳴き声からコウモリの種類を聞き分けられるそうなので、手に入れたいものです。

赤外線の暗視モードで撮ったのですけど、明かりが眩しくてあまり暗視の意味が無いようです。


2015/11/19

ニラの花蜜を吸うフタモンアシナガバチ♂



2015年9月中旬

郊外の住宅地の道端に生えたニラの群落でフタモンアシナガバチ♂(Polistes chinensis antennalis)が訪花していました。
雄蜂の特徴である白っぽい頭楯とカールした触角がチラッと見えます。
群飛というほどの規模ではありませんが、複数個体が飛び回っていました。
訪花している同種の♂だけでなく、他種の蜂にも誰かれ構わず飛び付くのを目撃しています(誤認交尾)。



2015/11/18

ジョロウグモ(蜘蛛)亜成体♀をガードするα♂:求愛とパトロール



2015年9月上旬

ジョロウグモ♀♂の定点観察#2


窓の外に張られた網にジョロウグモNephila clavata)♀亜成体とα♂成体が同居しています。
α♂はライバル♂から♀をガードしつつ交接のチャンスを待っている(交接前ガード)はずですが、♀から離れ再び活発に網を徘徊し始めました。

♀の下部に小さなクモが見えるのですけど、α♂も追い払ったりせず黙認しています。(別種の居候クモなのかな?)
パトロールを終えたα♂が♀の少し上で落ち着きました(下向きに占座)。
その場でα♂が網を爪先で頻りに弾く行動を始めました。(@2:15〜)
これは♀への求愛行動なのでしょうか?(近づいて交接する前に♀の攻撃衝動を宥めるための信号?)
しかし♀の琴線に触れなかったようで、全くの無反応でつれない様子。(このとき♀は脱皮前の亜成体だったと後に判明します。)
α♂にズームインすると、身繕いではなく辺りの網から糸屑を掻き寄せて食べているようにも見えます。(@2:38〜)
網を壊しながら(?)♀に接近するものの、♀が嫌がって歩脚を動かし、♂は退散しました。
すぐにまた同じ恋のアプローチを繰り返すα♂に対して、♀は歩脚で牽制しています。

なぜかα♂が上を向いて網を移動し画角から消えました。(@7:40)
後で思うとライバルのβ♂が上から侵入してα♂はそれを撃退に向かったのかもしれませんが、撮影時の私は未だ気づいていません。
しばらくすると、α♂が♀の近くに戻ってきました。(@7:45)
♀の斜め後方で下向きに占座し、漸く落ち着きました。
しかしまたα♂がピクピク動き始めました。
網に振動を与えるのは、必ずしも♀への求愛ではなく、ライバル♂に対して威嚇の信号を送っているような気がしてきました。
α♂が再び網の上部へパトロールに向かいました。
♀の近くに戻ってくると、爪先で網を弾いています。
向きを変えながら(横向き→上向き)糸をかき鳴らしています。
♂が落ち着きなくパトロールを繰り返すのは、別の♂が来たと♀に思わせて交接するチャンスを上げようとする作戦なのか?と妄想を逞しくして見ていました。

♂が♀を口説き落とすために網を弾いて一体どのような音色を奏でているのか、マイクを使って録音してみたいものです。(具体的にどう設置すればよいか分かりませんが)
求愛信号と威嚇信号の音色やリズムはどう違うのか、非常に興味があります。

落ち着きのないα♂とは対照的に亜成体♀はその間、知らぬ顔で静止しています。(全く無反応)


※ ガラス窓越しに撮ったやや不鮮明な映像に対して、動画編集時に自動色調補正を施しています。

つづく→#3:ジョロウグモ(蜘蛛)の交接前ガード【10倍速映像】

【追記】
『自然の観察事典21:網をはるクモ観察事典』p20によれば、

(ジョロウグモの)♀が脱皮して成体になるのは、9月の上旬すぎです。それまでは、♂は結婚したくてもできません。成体になるまえの♀の生殖孔は、皮ふでおおわれ、交接できないようにふさがっています。






夕刻の巣で♀同士キスするキアシナガバチ【暗視映像】



2015年7月中旬・午後17:50

キアシナガバチ巣の定点観察@トウカエデ枝#5


同じ日の16:00頃から雷雨(夕立)が降りました。
雨が上がってからキアシナガバチPolistes rothneyi)の様子をまた見に行くと、昼間より在巣の蜂が増えていました。
巣盤からはみ出して巣柄の上のトウカエデの枝に掴まっている♀個体もいます。
トウカエデの枝葉が生い茂っているおかげで大雨の後でも巣は濡れていないようです。
したがって、期待した排水行動は見られませんでした。

夕暮れ時の木陰は光量不足なので赤外線の暗視カメラで撮ると、蜂は未だ寝静まってはおらず、各自が化粧(身繕い)しています。
暗がりで♀同士が口づけを交わし栄養交換していました。
この場合、食事というよりも社会的な挨拶の意味合いがありそうです。

ちなみにこの日の公式な日没時刻は19:02。

つづく→#6:ビニール傘を警戒する巣上のキアシナガバチ♀


2015/11/17

カワラハハコの花蜜を吸うベニシジミ



2015年9月中旬

山麓の道端、ガードレール沿いに咲いたカワラハハコの群落でベニシジミLycaena phlaeas daimio)が訪花していました。
翅は半開きのまま、口吻を伸ばして吸蜜しています。
ようやく飛んだかと思うと、隣の花に移動して一心不乱に吸蜜を続けます。




キアシナガバチ♀成虫間の栄養交換



2015年7月中旬

キアシナガバチ巣の定点観察@トウカエデ枝#4


この日、在巣のキアシナガバチPolistes rothneyi)成虫は最大♀5匹でした。
育房を点検して回ったり各々が身繕いしている中、ときどき♀同士でキスを交わし栄養交換しています。
別のワーカーが空荷で帰巣すると、他の♀が一斉に殺到し、給餌をねだり栄養交換しています。
おそらく外で舐めてきた花蜜(またはアブラムシの甘露など)を仲間に分け与えているのでしょう。

今のところ、成虫間でギスギスした優位行動は見られません。
逆に言うと、どれが創設女王か見分けられません。

つづく→#5:夕刻の巣で♀同士キスするキアシナガバチ【暗視映像】



2015/11/16

網の糸屑を採食するジョロウグモ♂(蜘蛛)



2015年9月上旬

ジョロウグモ♀♂の定点観察#1


窓の外に張られた網にジョロウグモNephila clavata)♀が静止していました。
ここで店開きして、室内の照明に誘引される虫を網で捕らえる捕食戦略なのでしょう。
(この♀の発育ステージは最終脱皮前の亜成体であることが後に判明します。)

さて、♀と同居している♂の不思議な行動が気になりました。
逆光のため網や糸がほとんど見えないのですが、♂は網の中を活発に歩き回りながら脚にへばり付いた粘着糸を舐めて身繕いしているようです。
ときどき明らかに糸屑を食べている様子も観察出来ました。
それとも網に付着した超微小の昆虫を捕食しているのでしょうか?
造網性クモが網を取り壊す際に糸のタンパク質を再利用(リサイクル)するため糸を食べてしまうのは珍しくありません。
今回の場合は♀が作った網なので、♂が勝手に網を取り壊して主に怒られないのか心配になります。
♀は♂の振る舞いを振動で認識しているはずなのに、網の中央で下向きに占座したまま無反応でした(黙認)。
♂は♀に代わって網のメンテナンスをしているのかとも思ったのですが、食べ残しや目に見える大きさのゴミを網に放置していますから違いますね。

ジョロウグモの網は蹄形円網の前後に糸を不規則に張り巡らせた三重構造になっています。
この撮影アングルでは遠近感が不明で、♂が食べている(取り壊している?)網が主網なのか補助網なのかいまいち分かりません。
回り込んで横から観察できないのがもどかしいです。

♀の元に戻った♂が♀の前方から近づくと、邪険に追い払われました。(@3:29)
慌てて逃げた♂は♀の上で下向きに占座しました。(ライバル♂から♀を守る配偶者ガード)

繁殖期のジョロウグモ♂が♀の網に居候して何を食べているのか今まで分からず、不思議でした。(♂の捕食シーンを見たことがありません。)
♀と交接することで頭がいっぱいの成体♂は繁殖期の間は絶食しているのか?と思ったりもしたのですが、ようやく謎が解けました。


『自然の観察事典21:網をはるクモ観察事典』p20によると、

(ジョロウグモの)♀の網の上で、♂は、♀が成体になるのをじっとまちます。ときには、それは1ヶ月近くにもなります。そのあいだ♂は、まったく食事をとりません。なかには、ちゃっかりと♀の食べ残しをとるものもいます。でも多くの♂たちは、のまずくわずの状態で、ほかの♂が網にはいってくるのをふせぎます。





※ ガラス窓越しに撮ったやや不鮮明な映像に対して動画編集時に自動色調補正を施しています。

つづく→#2:ジョロウグモ(蜘蛛)亜成体♀をガードするα♂:求愛とパトロール



巣の冷却水を飲みに通うキアシナガバチ♀



2015年7月中旬・気温33.5℃、湿度45%

キアシナガバチ巣の定点観察@トウカエデ枝#3


植木鉢の下に敷く水皿(直径20cm)が外に放置され、雨水が溜まっています。
猛暑の昼下がり、その水を飲みにキアシナガバチPolistes rothneyi)のワーカー♀がせっせと通っていました。
帰巣する蜂を追いかけると、在巣の蜂は計6匹。
一番大型の創設女王と思われる♀が巣盤の天井で休息、身繕いしています。
吸水してきた蜂が紙製の巣盤に水を吐き戻してわざと濡らし、気化熱で巣を冷やそうとしています。
気温が高すぎると卵や蜂の子(幼虫)の発育に悪影響があるのでしょう。
ヒトが打ち水をするのと同じです。
風があるため不快指数はそれほどでもなく、体感で蒸し暑さはありませんでした。
営巣地は建物の北側なので、午後の苛烈な直射日光は射しません。
もし更に暑くなれば、次は散水と扇風行動を組み合わせるはずですが、それは見られませんでした。
ところで、巣を濡らしてもカビが生えたりしないのは何か工夫があるのでしょうか?

巣から僅か数メートル離れた位置にある水盤の横で待ち構えていると、おそらく同一個体の蜂がまた水を飲みに飛来しました。
皿の縁に止まると、水面まで降りて飲み始めます。
水中にはボウフラが浮いています。




トウカエデの葉の付き方は互生ではなく対生です。
樹皮が特徴的で縦に剥がれていきます。

つづく→#4:キアシナガバチ♀成虫間の栄養交換



2015/11/15

昆虫ゼリーを舐めるノコギリクワガタ♀



2015年9月上旬

飼育中のノコギリクワガタ♀(Prosopocoilus inclinatus)に市販の昆虫ゼリーを与えたら貪り食い始めました。
ゼリーを固定する専用ホルダーが見当たりません。
剥き出しの状態では容器の側面が滑るので自力ではよじ登れません。
手助けしてゼリーの上に乗せてやりました。
ようやく口器がゼリー表面に届くと、口吻を一杯に伸ばして舐め始めました。
頭をゼリーに突っ込んでいるため、口器の動きが見えなくなりました。
足や触角がかすかに動くだけで、あまり面白くありません。

下に方眼紙を敷くと、体長は34mm以上ありそうです。
ノコギリクワガタ♀にしてはかなり大型の個体のようです。
(図鑑では体長♀25〜35mm:大顎の先端より腹端までの長さ)



キアシナガバチ巣:夜の蜂球と寝起きドッキリ【暗視映像】



2015年7月中旬・深夜00:24〜00:30

キアシナガバチ巣の定点観察@トウカエデ枝#2


蒸し暑い深夜に引っ越し巣の様子を見に行きました。
初めは赤外線の暗視カメラで撮ると、前日の昼間よりも多い10匹以上ものキアシナガバチPolistes rothneyi)成虫が折り重なるように寝ていました。
蜂球のように巣盤をぎっしり覆い尽くしています。
育房内の卵や幼虫への保温効果がありそうですけど(抱卵)、春ならともかく夏は逆に暑くなり過ぎないか心配です。

サーモグラフィカメラでアシナガバチの蜂球を見てみたら面白いかもしれません。

蜂の触角が少し動いただけで、赤外線を照射しても気づかずにぐっすり寝ています。
腹部をヒクヒクさせているのは腹式呼吸かな?

次に白色LEDを点灯しても、蜂はすぐには起きません。
巣盤の下面に止まっている個体は寝るときに体の向きを揃えてる印象を受けました。
女王が寝る位置は決まっているのか否か、個体識別して調べたら面白そうです。

巣の手前の二股になった幹にキマワリPlesiophthalmus nigrocyaneus)が止まっていました。
眩しい光で覚醒した蜂がそろそろ警戒し始めました。
一匹が身動きすると連鎖反応でコロニー全体が覚醒します。(これぞまさしく一斉蜂起!)
キアシナガバチは夜間飛べないようなので攻撃される心配は無いはずですが、これ以上の撮影は危険と怖気づいて撤退しました。
キマワリも光を嫌って幹の陰に隠れてしまいました。

つづく→#3:巣の冷却水を飲みに通うキアシナガバチ♀


2015/11/14

ノコギリクワガタ♀のおしっこ噴射【ハイスピード動画】



2015年9月上旬・室温28.4℃→25.8℃

10日前に灯火下で採集したノコギリクワガタ♀(Prosopocoilus inclinatus)を飼育しています。
市販の昆虫ゼリーを与えると、夢中で舐めながらときどき液状の糞(おしっこ)を勢い良く排泄(噴射)しています。
初めは通常のHD動画に撮ってから、次は240-fpsのハイスピード動画に撮ってみました。(@0:17〜)
カップを固定する専用ホルダーを紛失したので、台に寝かせた昆虫ゼリーのカップが転がらないように、ビニールテープで固定しました。(見た目が悪いですね…。)
透明なおしっこが見易いように、背景に黒い下敷きを置きました。
プラスチック製なので濡れても平気です。
途中から採寸代わりに一円玉を並べて置きました。

排泄の前兆が分からないので、愚直に長撮りを繰り返すしかありません。
腹端を少し持ち上げてピューッと排泄します。
カブトムシとは異なり、排便の瞬間に片足を上げないのが興味深く思いました。
(足場が平らだから? ♀だから?)
関連記事(6年後の撮影)▶ 柳の樹液を吸いながら片足を上げて排尿するカブトムシ♀【HD動画&ハイスピード動画】


背後にトイレットペーパーを垂らしておき、おしっこが飛んだら分かるようにしておきました。
斜め上に向かってかなり遠くまで勢い良く飛ぶことが分かりました。
近くの床は意外に汚れません。

排泄時間を記録していると間隔が規則的になってきたおかげで少し予測可能になりました。
しかし夜になると室温がやや下がったせいか、やがて排泄しなくなりました。

確か夜行性のはずなのに、昼間よりも活動性が下がるのは解せません。
満腹になったのかな?

照明の角度によっては小便が見えにくいこともあるのですが、空打ちなのに排泄口を伸縮させることが何度もありました。
ハイスピード動画撮影の際はもっと強力な照明が欲しいところです。



恥ずかしながらクワガタムシを見分けるのが苦手な私は、今回もノコギリクワガタ♀(Prosopocoilus inclinatus)とコクワガタ♀(Dorcus rectus)とで迷っています。


『検索入門クワガタムシ』という図鑑で検索表を真面目に辿ってみました。
前胸腹板突起が竜骨状に高まる点が決め手となり、ノコギリクワガタ♀と同定できるようです。
ノコギリクワガタ♀は背面が強く盛り上がるのが特徴らしい。




左触角
複眼の縁取り
複眼の縁取り
小楯板
前胸腹板突起が竜骨状に高まる
前胸腹板突起が竜骨状に高まる
左前脚脛節
左中脚脛節棘
右後脚脛節棘
頭部
頭楯
前胸背板側縁
背面
鞘翅(上翅)
腹面
体長の採寸を後回しにしていたら、飼育容器からいつの間にか脱走してしまいました。

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