2019/03/12

柳でイモムシを捕食するツツドリ(野鳥)



2018年10月中旬

溜池の畔にある柳(種名不詳)の梢に見慣れない鳥が止まっていました。
胸に独特の縞模様があり、カッコウの仲間か小型の猛禽類か迷いました。
この季節(秋)にカッコウなんて…?と不思議に思いつつ図鑑で調べると、カッコウ科のツツドリCuculus saturatus)でした。

柳の葉に居た黄緑色のイモムシ(種名不詳)を目ざとく見つけたツツドリは、すかさず捕食しました。
幼虫が暴れても構わずに丸呑みすると、食後は嘴を目の前の枝に擦り付けます。
その後すぐ下の小枝に止まった赤トンボに対しては、捕食行動を起こしませんでした。(@1:15)

どうやらツツドリは私に望遠レンズで撮られていることを嫌がっている(警戒)ようで、柳の枝伝いに少し下りて茂みの陰に隠れてしまいました。(池の向こうに飛び去ったかも?)
ツツドリと言えば特徴的な鳴き声が有名ですが、撮影中には全く鳴きませんでした。
余談ですが、柳の小枝のあちこちに丸い虫こぶが見えます。

帰宅後に図鑑で調べると、夏鳥のツツドリが秋になって渡去する途中だったようです。
蛾の幼虫(イモムシ、毛虫)を好んで食べるそうです。

高木清和『フィールドのための野鳥図鑑:野山の鳥』でツツドリの生態を調べると、

春と秋の渡り期は、公園の雑木林や桜並木に毛虫を食べにくる。
食性:昆虫類、幼虫(主に蛾類)(p38より引用)


一方、叶内拓哉『山渓フィールドブックス4:野鳥』によると、

(ツツドリは)夏鳥として渡来。
樹上でガの幼虫などの昆虫を食べる。小鳥類の好まない毛虫も食べる点にカッコウ類の特色がある。
春秋の渡りの時期には、市街地の公園などでしばしばカッコウ類が見られるが、その多くはツツドリである。(p237より引用)


※ 動画編集時に自動色調補正を施しています。

つづく→柳にツツドリ(野鳥)



【追記】
餌食となった幼虫を映像から同定できるほど細かな特徴がよく見えないのですが、柳を食す緑色のイモムシということで、例えばコムラサキの幼虫などが候補として考えられます。
現場近辺の柳の灌木で同時期にトビネオオエダシャクの幼虫を見かけましたが(映像公開予定)、今回のイモムシには縞模様が無いので除外できます。


ツツドリ(野鳥)@柳梢+?(蛾)幼虫捕食

2019/03/11

クズの葉裏にマメドクガ(蛾)の幼虫を見つけた!




マメドクガの飼育記録#1


2018年10月上旬

道端に蔓延るクズの大きな葉に虫食い穴(食痕)が開いていました。
葉裏を覗いてみるとマメドクガCifuna locuples confusa)の幼虫が居ました。
葉をかじっていたのに、私が撮影を始めると、警戒したのか毛虫は動かなくなってしまいました。
マメドクガ幼虫の食草リストを調べると、必ずしもマメ科に限らず広食性のようですが、クズはマメ科の一種ですから食べて当然です。



▼関連記事(9年前の撮影) 
イタドリを食すマメドクガ(蛾)幼虫

※ 動画編集時に自動色調補正を施しています。

つづく→#2:脱皮前の眠で微動するマメドクガ(蛾)の幼虫【100倍速映像】


マメドクガ(蛾)幼虫@クズ葉裏
マメドクガ(蛾)幼虫@クズ葉裏・全景

2019/03/10

田んぼに実った稲穂を採食するキジ♂(野鳥)



2018年10月中旬

私が田園地帯の農道を歩いていたら、目の前をキジ♂(Phasianus versicolor)が横切り、田んぼへ駆けて行きました。
畦道をトコトコ歩き用水路を跳び越える姿は、繁殖期よりもほっそりした体型に見えます。(秋に換羽するのかな? 若鳥?)

一部の田んぼでは稲刈りがもう始まっていますが、このキジ♂は未だ稲刈り前の区画に向かうと、黄金色に登熟した稲穂を畦道から啄み始めました。
キジがイネ(米)を加害すると知らなかった私は、初めて見るシーンにとても興奮しました。
背の高いキジはスズメのように稲穂に飛びつく必要はありません。
首を少し伸ばせば届く高さに稲穂が頭を垂れるように実っています。
嘴で稲穂をくわえると、引き千切るように採食しています。
畦道を少しずつ歩きながら美味そうに採食を続けます。

ときどき食事を中断すると田んぼから一段高い畦道に登り返したり、背伸びをして辺りを見回したりしました。
縄張り宣言の母衣打ちするかと期待したのですが、一度もやりませんでした。
隣の田んぼに移動すると、稲穂の採食を再開。

食べ放題のパラダイスのはずなのに、食事中のキジはなぜか慎ましく畦道に留まり、田んぼの中央部には決して侵入しない点が興味深く思いました。
キジの習性として、なるべく視界が開けた環境の方が安心するのでしょうか?
しかし上空に飛来したカラスが鳴いた途端にキジ♂は警戒し、稲穂の茂みに慌てて身を隠しました。(@5:17)
稲作農家がキジによる食害を防ぎたいのであれば、こうした観察事例が対策のヒントになるかもしれません。

関連記事(3年前の撮影)▶ キジ♂(野鳥)とハシボソガラスは仲が悪い?
この辺りの田んぼには夏から秋にかけて鳥よけカイト(フクロウ型およびタカ型の凧)があちこちに何個も設置されていました。

▼関連記事
水田を鳥害から守る鳥追いカイト(フクロウ型の凧)
鳥追いカイトは田んぼのスズメ対策に有効か?(野鳥)
ところが稲刈りが始まると鳥よけカイトは全て撤去されてしまい、キジに対する防鳥効果は不明です。
少なくとも、鳥追いカイトが飛んでいる真下の田んぼでキジが悠々と稲穂を啄んでいるというシーンは観察していません。

ちなみに、今回のキジが採食していた田んぼは、鳥追いカイトが設置されていなかった区画でした。

※ 動画編集時に自動色調補正を施しています。


藤岡正博、中村和雄『鳥害の防ぎ方』によれば、キジは国鳥なのに狩猟鳥に指定されています。

・キジによる被害はそれほど深刻ではなく、「野菜、マメ、水稲、飼料への被害がある(農作物以外には全国的な統計はない)」(p17表3「日本における有害鳥類」より)
・イネ(水稲)を加害する主な鳥は、スズメ、カラス、ハト、カルガモです。これらの鳥による被害は、種子の播種・出芽期と登熟期に発生します。 (p188より引用)



キジ♂(野鳥)@田んぼ+稲穂採食
キジ♂(野鳥)@田んぼ+稲穂採食

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