2016/01/23

網に付けたアメリカセンダングサの花を除去するオニグモ♀



2015年10月上旬

花を食べる造網性クモの謎#5:オニグモで試すと?


道端に張られた正常円網(垂直円網)に見慣れないオニグモの仲間を見つけました。
こちらに腹面を向け、網の中央部に下向きで占座しています。

さて、最近アメリカセンダングサの花を食べるイシサワオニグモ♀を発見したばかりなので、他の種類のクモではどうだろう?と比べてみたくなりました。
丁度近くに生えていたアメリカセンダングサ(どこにでも見かける帰化植物です)の頭花を摘んで、この網に投げつけてみました。
花を給餌する前に円網の写真を撮ればよかったですね。
円網の甑は丸く穴が開いていました。

給餌してすぐ大失敗に気づきました。
クモの体長に対して花の柄が長過ぎましたね。
見たこともない巨大な獲物に警戒しているのか、クモは慎重に触れて正体を確かめようとしています。
虫とは違い花は動かないので、クモは一度甑に戻りました。(下向き占座@0:44)
すぐにまた下りて行くと、今度は花の柄の先端に向かい、歩脚の先で恐恐と調べています。
ようやくクモが側面を向けてくれました。(@1:30)
茎の先端に対してなぜか捕帯でラッピングしようとしたので驚きました。(@1:45)
こんな巨大な獲物の全体を梱包ラッピングできるかな?
それまでクモは一度も花に噛み付いていません。
やがてクモは茎や葉の周囲の糸を噛み切り始めました。(@2:33)
捕帯でラッピングしかけた白い糸屑は手繰り寄せると殆ど消えてしまったので、自分で食べてしまったようです。

花周囲の糸を切りながらも網全体の張力のバランスが崩れて崩壊しないように、最低限の縦糸などを張り直していますね。
クモがうっかり花を手離してしまい、その拍子にようやく背中を向けてくれました。(@4:32)
腹背中央部の前方に白い斑紋が目立ちます。
まるで誰かが白い油性ペンマーキングしたのかと思ったくらいです。
腹部下面には1対の白点の斑紋があります。
苦心惨憺して、ようやく花全体を網から外し捨てました。(@5:26)
と思いきや、地面に落ちる前に花が網の下部に再び付着してしまいました。
クモはそれをちゃんと分かっていて、対処に向かいます。
今度こそ完全に異物を取り除きました。(@6:52)
その結果、円網が大きく破損してしまいました。
使い物にならなくなった部分の網を取り壊しています。
撮影後半はクモにピントを合わせにくく、苛々した私は甑に戻る前に撮影を打ち切ってしまいました。
画面の奥には防火水槽が見えます。

クモがアメリカセンダングサの花を食べてくれなかったのは残念です。
茎が長過ぎてクモが一度も花の部分に触れなかったので、食物として認識しなかったのは当然でしょう。
我ながら酷い嫌がらせをしてしまいましたが、巨大な異物を網から丹念に取り除いて排除する様子は健気でした。



捕帯で梱包ラッピングしかける。

とにかく腹背上部の白紋が気になったので、どうしても種名が知りたくなりました。
きちんと写真を撮るために、動画撮影直後に採集しました。
小さなプラスチック容器で体に触れると網から糸を引き緊急落下。(映像なし)
地面で擬死していたクモを捕獲しました。
『クモの巣図鑑』をパラパラと見比べて、ヘリジロオニグモ♀なのかと思いました。
念の為にいつもお世話になっている「クモ蟲画像掲示板」にて問い合わせてみると、くも子さんより色彩変異型のオニグモAraneus ventricosus)で未発達の♀だろうとご教示いただきました。
ヘリジロオニグモは切れ網を作り生息地は海岸部らしく、今回の撮影地は内陸(山地に近いほぼ農村部の郊外)であることからも納得です。
『日本産コガネグモ科ジョロウグモ科アシナガグモ科のクモ類同定の手引き』(谷川明男著)という素晴らしいPDF資料を紹介してもらいました。
私には未だ少しレベルが高いようで、精進します。

つづく→#6:網に付いたアメリカセンダングサの花を食べずに捨てるイシサワオニグモ♀【蜘蛛:暗視映像】



【追記】
くも子さんより以下のコメントを頂きました。
○果糖効果がポジティブの例にコガネグモも入っている。(果糖効果の実験をやるなら、幼体26.5%より成体66.7%を選択した方がよさそう…私見)しぐまさんの実験、次にオニグモでやるなら、幼体でなく成体でやると別の結果がでるかも?


外雌器

ハクセキレイ(野鳥)が刈田で落穂拾い?



2015年10月上旬

稲刈り直後の刈田に3羽のハクセキレイMotacilla alba lugens)が来ていました。
虫を捕食しているようですが、この日は望遠レンズがなくて残念。
私の認識ではハクセキレイは種子食ではないはずですけど、落ち穂拾いだったら面白いですね。




2016/01/22

野菊の花蜜を吸うベニシジミ



2015年10月上旬

農道脇に咲いた野菊(ノコンギク?)の群落でベニシジミLycaena phlaeas daimio)が訪花していました。
秋風が吹いて花が激しく揺れてもベニシジミは必死にしがみついて吸蜜しています。



車を避けつつ路上で拾い食いするハシボソガラス(野鳥)



2015年9月下旬

農村部の路上で2羽のハシボソガラスCorvus corone)が拾い食いしていました。
舗装路のセンターライン付近にへばりついていた何かを啄んでいます。
遠くてメニューは全く分かりませんが、道の横が田畑なので虫やカエルなどが車に踏み潰された死骸(ロードキル)かもしれません。
あるいはカラスがクルミの実を投げ落として割った欠片かな?
採食中に車が通りかかり邪魔が入ると、カラスは相次いで飛び立ち上の電線に止まって車をやり過ごしました。



2016/01/21

隠れ家でアメリカセンダングサの花を噛むイシサワオニグモ♀(蜘蛛)



2015年10月上旬

花を食べるイシサワオニグモ♀(蜘蛛)の謎#4:食餌シーンの別アングル


イシサワオニグモ♀(Araneus ishisawai)が隠れ家でアメリカセンダングサの花を食べている様子を三脚固定カメラで微速度撮影するのと同時並行して、ハンディカムで別アングルの動画を撮ってみました。
理想的にはクモの横から口器の動きを接写したいところです。
しかし実際に草深い急斜面をよじ登って網を壊さないよう注意しながら隠れ家の間近まで見に行くのは無理な環境でした。

遠目からズームで狙うだけでは撮影アングルが限られてもどかしいです。
それでも三脚の位置から少し横にずれた所から撮ってみました。

映像の冒頭では正常円網(垂直円網)に残った花2個を写してから上にパンし、隠れ家(キイチゴ?葉裏)のクモを写します。
隠れ家にぶら下がったクモがたまたま横を向いた瞬間があり、牙で花の総苞に噛み付いた(口を付けた)様子も運良く捉えられていました。(@1:05〜1:20)

手ブレの酷いハンディカム映像は一度ボツにしかけたのですけど、動画編集時に手ブレ補正処理を施してみたら見違えるほど改善しました。
クモが花に口を付けている証拠映像は少しでも多い方が良いだろうと思い直し、追加で公開します。

つづく→#5



【追記】
「クモ蟲画像掲示板」にて、きどばんさんより以下のコメントを頂きました。
コガネグモ科に限るのであれば正式な記録はないのかもしれませんし、私も記憶にありません。ただ、「クモが花粉を食べる」ということは「多くのクモ屋さんが認識している」ことと思われます。画像は残っていませんがジョロウグモが花粉(多分)を食べているのは2回ほど見たことあります・・・ 
・ジョロウグモ♀亜成体が網にかかった花の花粉を舐めている写真(by 紀伊半島さん) 
・アリグモ♀がヤブガラシで吸蜜している写真(by 一寸野虫さん


モンキチョウ♀♂の求愛飛翔



2015年10月上旬

稲刈り中の田んぼに隣接する畑の上空でモンキチョウColias erate poliographus)の♀♂ペアが乱舞していました。

モンキチョウは翅の色で性別が見分けやすく(♂が黄色、♀白色)、求愛行動の解釈が容易なのは助かります。
飛んでいる♀(白)の目の前を♂(黄)が下から飛んで上がる、という求愛飛翔を繰り返しています。
以前観察したメスグロヒョウモンの求愛飛翔のように、♀に着陸を促す信号なのでしょう。
残念ながら交尾には至らず、別れてしまいました。
♀はどのように拒否の意思表示をしたのか、知りたいところです。(♀がOKなら着陸するはず)

ハイスピード動画に切り替えるチャンスはありませんでしたが、結構長く撮れた方なので満足です。



2016/01/20

解散したキアシナガバチの巣@トウカエデ枝【暗視映像】



2015年10月上旬・午後20:15

キアシナガバチ巣の定点観察@トウカエデ枝#12


夜、久しぶりにキアシナガバチPolistes rothneyi)の巣を見に行くと、すっかりもぬけの殻で、成虫の姿は全くありませんでした。
遂にコロニーが解散したようです。
巣盤を下から見上げて育房を調べると、繭は全て羽化した後でした。


4日後、採集直前の写真


後日、古巣を採集していつものように保管することにしました。
今のところ寄生蛾の幼虫に巣が食害されている形跡はありません(育房内に不規則網が張り巡らされていない)。

それでも、もしかしたら蛾の成虫が羽化してくるかもしれません。

ただし気になったのは、巣盤の天井部に穴が開いていたことです。
単なる風雨による劣化かもしれませんが、ワラジムシによる食痕(虫喰い穴)だとしたら面白いですね。
▼関連記事
夜キアシナガバチの巣に侵入するワラジムシ【暗視映像】

ノコンギク?の花を舐めるシロスジベッコウハナアブ♀



2015年10月上旬

郊外に広がるスギ防風林のやや薄暗い林床に咲いた野菊(種名不詳;ノコンギク?)の群落でシロスジベッコウハナアブ♀(Volucella pellucens tabanoides)が訪花していました。
口吻で花蜜や花粉を舐めています。
途中で軽く飛んで隣の花に移動し、最後はどこかに飛び去りました。


▼関連記事(ちょうど1年前の同じ時期に撮影)
野菊を訪花するシロスジベッコウハナアブ♀の羽ばたき【HD動画&ハイスピード動画】


2016/01/19

弱ったキアシナガバチ♂の身繕いと日光浴



2015年10月上旬

山麓の境内でキアシナガバチ♂(Polistes rothneyi)を見つけました。
衰弱しているのか、前脚に力が入らないようです。
コンクリートの床を歩いて日向に出てくると立ち止まり、身繕いを始めました。
触角を拭う前脚が震えていて、老人の神経症状を連想しました。

瑣末なことですが、こうした症状も写真では表現できない動画ならではの記録です。
後脚で脇腹を掻いています。
急に元気になって歩き回るものの、飛び立たつ気配がありません。
交尾を終えた雄蜂は冬を待たずに寿命を迎えます。

※ 今季定点観察してきた営巣地とは全然違う場所での撮影です。



ミゾソバの花蜜を吸うキタキチョウ



2015年10月上旬

郊外の道端に咲いたミゾソバの群落でキタキチョウEurema mandarina)が訪花していました。
花から花へ次々に飛び回り、吸蜜しています。
閉じた翅裏の色が直射日光をまともに浴びると白飛びしてしまいます。
斜めのアングルだと翅裏の斑紋が見えます。

画面の奥はトウモロコシ畑。



2016/01/18

網にかかったトンボには目もくれず花を食べるイシサワオニグモ♀(蜘蛛)



2015年10月上旬

花を食べるイシサワオニグモ♀(蜘蛛)の謎#3:


このイシサワオニグモ♀(Araneus ishisawai)がゲテモノ食いに走ったのは、ひどく飢えているからでしょうか?
空腹状態を調べるために、何か普通の獲物(昆虫)を網に給餌してみましょう。

2年前の観察によれば、イシサワオニグモ♀は食事中にもし網に新たな獲物がかかれば食べかけを置いて新しい獲物を確保しに行くはずです。
梱包ラッピングして網に吊るしてから食べかけの獲物に戻りました。

▼関連記事
網にかかったオツネントンボ♂を捕帯でラッピングするイシサワオニグモ♀(蜘蛛)

この時期はめっきり虫の数が減り探すのに苦労したのですが、なんとか近くでアキアカネ♀(Sympetrum frequens)を生け捕りにしました。



ところが私の予想に反して、給餌したトンボが円網上で暴れても隠れ家のクモは完全に無視していました。(午後15:18)
甑から隠れ家に伸びる信号糸が切れている訳ではありませんし、クモは網の振動を感知しているはずです。

活きの良い虫よりもアメリカセンダングサの花に夢中!という驚くべき結論になりました。

※ 映像では網に付けたトンボが擬死したようにおとなしく、クモが気づかないのは当然と思うかもしれません。
撮影を止めてから(両手を使って)念の為に網上のトンボをつついたりして刺激してもクモは無反応でした。

イシサワオニグモ♀が虫と花のどちらを欲しているのか嗜好性を調べるのであれば、その2つを網に同時に付けてやりクモに選ばせるべきでしょうか?

次は音叉で網に振動刺激を与えてみました。(午後15:25)
残念ながら動画ファイルが破損してしまいお見せできませんが、実験をしつこく繰り返してもクモは騙されず無反応でした。
音叉をかなり強く叩いて鳴らしてから網に触れたのにクモは隠れ家から網に降りて来ず、相変わらずアメリカセンダングサの花を手放しませんでした。

以上の結果から、この悪食の個体は飢えているせいで止むなく花を食べたのではなく、花の味がよほど気に入って病みつきになったのでしょう。
造網性のオニグモの仲間が自然状態で花を常食しているとは考え難いのですが、それでも花を与えれば副食として食べることがあるというのは衝撃的で興味深い知見です。

※ 素人臭い実験でネガティブな結果が出た時(クモが無反応)にいつも解釈に悩むのですけど、私が続けざまに変な物を網に付けるのでクモがいじけてしまったり、学習して「狼少年にはもう騙されないぞ!」と不信感を強めてしまった可能性もありますかね?
もっと時間間隔を開けて実験すべきなのか、こうした実験の正式な作法を知りたいところです。


いつになったらクモが花を捨てるのか、花がどこまで体外消化されるのか、見届けたかったのですけど帰る時間が迫り、泣く泣く観察を打ち切りました。
最後に見た午後15:30にもイシサワオニグモ♀は花を食べ続けていました。
夜まで待てば円網の張り替えを観察できたかもしれません。

網に残されたトンボ1匹とアメリカセンダングサの花2個をクモは結局食べたのか、捨てたのか、どちらでしょうね?

花を食べるクモというのは非常に興味深く、更に追求する価値がありそうです。
私も未だ半信半疑なので、とりあえず追試が必要です。
同一個体のイシサワオニグモ♀に後日もう一度アメリカセンダングサの花を給餌すると、今度はすぐに捨てるでしょうか?
もし再び捕食すれば、本当に花の味が気に入ったと言えるでしょう。
花の種類を変えてみたらどうなるでしょうか?
また、イシサワオニグモ以外の造網性クモは花を食べるのか?などの対照実験もしてみたいですね。

これ以来、クモの網を見つける度に花を投げつける日々が始まりました。

つづく→#4:隠れ家でアメリカセンダングサの花を噛むイシサワオニグモ♀(蜘蛛)


側溝に出入りするネコ



2015年10月上旬

道端で寝そべっていたネコFelis silvestris catus)がようやく立ち上がり、悠然と歩き去りました。
私も慌てて追いかけると、ネコが道端でこちらを振り返っていました。
警戒しているようで、水涸れした側溝に降りて身を隠しました。
側溝の中を少し歩いてまた振り向きました。
そのまま暗渠(トンネル)に潜り込むかと思いきや、外に出てきて物置小屋の角を曲がり草むらに姿を消しました。

猫は一挙手一投足が見ていて面白いです。

野良ネコをひたすら追跡して観察するのも楽しそうですが、すぐに撒かれてしまうのが難点です。

三部作完。



2016/01/17

隠れ家でアメリカセンダングサの花を食べ続けるイシサワオニグモ♀




花を食べるイシサワオニグモ♀(蜘蛛)の謎#2:微速度撮影


2015年10月上旬・午後14:32〜15:02

動画の冒頭でまず、花を採取したアメリカセンダングサの群落を写しました。

キイチゴ?の葉を数枚糸で綴って作った隠れ家に花を持ち帰ったイシサワオニグモ♀(Araneus ishisawai)が歩脚を舐めて身繕いしています。
化粧が済むと、アメリカセンダングサの花を引き寄せて吸汁を始めました。(@1:15〜)
ラッピングした花をくるくると回しながら調べ、噛む場所を変えているようです。
昆虫の獲物を捕食するときの振る舞いとなんら変わりません。
花に噛み付いたらすぐに「これは獲物ではない!」と過ちに気づき、吐き出して捨てるだろうと予想しました。
ところが花を落とす瞬間を記録するつもりで長撮り※しても、クモは一向に花を手放しません。
※ 映像の後半(@4:59〜
)は10倍速で微速度撮影しました。

おそらく生まれて初めて口にしたであろう花の味がよほど気に入ったのでしょうか?
アメリカセンダングサの頭花を抱え込んだクモは主に緑色の総苞を噛んでいます。
牙の開閉を映像で確認できました。

クモはいつまで経っても花を手放さず、噛んで吸汁しているようです。
このゲテモノ食いの♀個体が寿命間近だとしたら、老化のせいで一種の味覚異常(異食症)になったのでしょうか?
果たしてクモは植物を体外消化できるのでしょうか?

虫などの獲物は強力な消化酵素で溶かされて黒いタール状になります。
▼関連記事(2013年撮影)イシサワオニグモ♀(蜘蛛)の体外消化
クモの消化酵素で植物のセルロースを分解できるのか、気になります。
花そのものを体外消化しているのではなく、花蜜を舐めたり花粉を食べているのかもしれません。(下記の参考資料PDFを参照)

アメリカセンダングサを訪花する昆虫を色々と見てきましたけど、花蜜や花粉が特に豊富で虫に絶大な人気を誇る植物という印象はありませんし、花外蜜腺も無いです。

この個体がよほど飢えていたとすれば、花を網に投げつけたときに隠れ家からすぐ飛び出して来そうなものです。(警戒していたのかな?)
花を食べている(ように見える)のも獲物が網にかかるまで手持ち無沙汰を紛らわせる暇潰しで、おしゃぶりのような物(食餌の代替物)ですかね?
別の可能性として、クモは自分の失敗に気づいているものの、花をラッピングした捕帯の糸だけでも食べて貴重なタンパク質を回収しているのかもしれません。

このイシサワオニグモ♀の空腹状態を調べるために、何か普通の獲物(昆虫)を網に給餌してみることにしました。

つづく→#3:網にかかったトンボには目もくれず花を食べるイシサワオニグモ♀(蜘蛛)



【参考】
『クモの科学最前線』という専門書の第3章で「クモと餌 植物食」を扱っています。

・ハエトリグモやカニグモの仲間が花や花外蜜腺に訪れる。p55 
・蜜食いの直接証拠となるのが、植物の蜜や果実に由来するフルクトース(果糖)の存在である。野外でクモを採集し、胃のなかにフルクトースがあれば、クモが植物から蜜を得ている証拠となる。※p56 
・円網に付着した花粉をクモが網糸ごと摂取している。p56
※ 例えばミツバチを捕食した直後は間接的に花蜜を摂取したことになり、胃内容物に果糖が検出されるのでは?

オニグモ類が花を食べるという記述は見つかりませんでした。


次はインターネット検索で見つけた総説の資料です。

上記の本『クモの科学最前線』に書かれた内容のエッセンスがまとめられています。
公開してくださっている池田博明氏に感謝。
・日本蜘蛛学会のプレゼン資料「クモと植物(簡略版)」クモの食餌としての植物(PDFファイル) 
・東京クモゼミのレジュメ:"Herbivory in Spiders"(pdfファイル)


【追記】
YouTubeのコメント欄にて、「ひどく喉が渇いたクモが花から水分を摂取しているのではないか?」というアイデアをいただきました。
給餌したアメリカセンダングサの花を摘んだときに濡れていると思った記憶はありません。
この時期の日本は乾季ではありませんし、クモが水分補給に困ることはないと思います。
朝晩に気温が下がると、網に結露した夜露をクモは摂取できるはずです。


【追記2】
『クモのはなしI:小さな狩人たちの進化の謎を探る』(第23章 池田博明「クモのメニューの量と質」)によると、
宮崎県の石野田辰夫さん(1974)が、アシブトヒメグモがトベラの花の近くに造網し、その花粉や蜜を食べていることを発見して、NHKが撮影し、そのフィルムを東亜クモ学会第六回大会で上映しているのです。このフィルムは大会の参加者にショックを与えたようですが、その後、これに続く発見は現れず、九州のアシブトヒメグモに特有な例外的現象と理解されてしまったようです。しかし、スミスとモムセンの研究からすると、例外どころか、もっと新しい照明をあてるべきことがらのように思えます。(p201より引用)



【追記3】
「命をつなぐ生きものたち 第3集 ギリギリの恋」という動物番組を視聴していたら(2022年9/4放送)、性的対立の一例として、イギリスでBBCが撮影したキシダグモの一種の求愛給餌行動が見事な映像で紹介されていました。
徘徊性のキシダグモ♂は獲物を捕まえてラッピングした物を♀に贈り、気に入ってもらえれば♀がプレゼントを食べている間に交尾できます。
獲物が取れないと♂は花など食べられない物を糸でくるんで♀に差し出します。
もし騙しがばれてしまうと交尾を拒否されたり性的共食いされてしまいますが、結構交尾に成功していたのが驚きでした。
♂の騙しを厳しく見破るように♀の対抗戦略がこれから進化してくるかどうか興味深い、と番組内で長谷川眞理子氏(動物行動学者)はコメントされていました。
しかし「クモは花を食べないはず」と思うのはヒトの偏見(思い込み)で、実はクモは結構花が好き(悪くない味)なのかも知れない…と個人的に思いました。



【追記4】
平松毅久「網に落下した花をラッピングして食べたオオシロカネグモ」という論文をダウンロードして閲覧することができます。
ムラサキシキブの落花を食べたという観察記録です。
KISHIDAIA, No.77, Aug. 1999
Behaviour of wrapping and feeding a flower dropped on the web by Leucauge magnifica Yaginuma 1952

ネコの毛繕い



2015年10月上旬

農道で出会ったネコFelis silvestris catus)が寝転んで毛皮を舐めています。
遠いので、隙を見てそっと近づいてから続きを撮影しました。

猫は車道の道端の芝生のような草むらに寝転んでいて、毛繕いに余念がありません。
体の向きを変えて(逆の後脚を上げ)股間を舐めています。
やがて欠伸と身震いをしました。(@1:58)
日向ぼっこしながらリラックスしてしまい、動く気配がありません。

つづく→側溝に出入りするネコ



2016/01/16

花を食べるイシサワオニグモ♀(蜘蛛)の謎#1

2015年10月上旬

今季色んなクモを撮影してきたなかで最も衝撃を受け興奮した出来事を報告します。

里山を少し登った地点で山道の脇、草や灌木で覆われた斜面にイシサワオニグモ♀(Araneus ishisawai)の立派な網を見つけました。
垂直円網の左上に伸びる枠糸を目で辿ると、キイチゴ類?の葉裏に橙色の美しいクモが潜んでいました。
枠糸は他にシダの葉先と別のキイチゴの枝先に固定されていました。


網の中央部(甑)に円形の穴が開いていないのはコガネグモ科らしくない?
垂直円網
営巣地・全景(斜面を見上げる)
隠れ家@キイチゴ?葉裏

2年前にもイシサワオニグモ♀を相手に定点観察しています。
残る撮影テーマとして一番見たいのは造網ですが、その前にとりあえず定番の異物除去行動を観察してみました。



午後14:20〜14:33

たまたま近くに生えていたアメリカセンダングサの花を摘んで、戯れに網へ投げつけてみました。



ところが意外にも隠れ家のクモは無反応でした。
次々に投げつけるも狙いがやや外れ、網の下部に計3個の花が付着しました。
「どうやらこのクモは満腹らしい…?」と諦めかけ油断していたら、クモが隠れ家から網に出てくる瞬間を撮り損ねてしまいました。
イシサワオニグモ♀は隠れ家から甑まで信号糸を素早く伝い降りると歩脚で四方の網を引き締めて揺らし、獲物の付いた位置を突き止めます。
1個のアメリカセンダングサ花に駆けつけると、歩脚の先で触れ調べています。
花の周りの粘着性横糸を少し切ったので網から捨てるのかと思いきや、捕帯でぐるぐる巻きにし始めたのでビックリ仰天。
毒液を注入するために噛み付いたら口触りや味が変だと気づくはずなのに、ラッピングを続けています。
花に長い茎が付いていることや、ざらついたり棘のある感触などが獲物の昆虫っぽくて騙されたのでしょうか?
常識的に考えて、このクモがアメリカセンダングサの花を口にするのは生まれて初めてのはずです。
落ち葉などとは違って自然状態でアメリカセンダングサの花が落下して網に付いてしまうことはないでしょう。

円網はアメリカセンダングサの群落よりもずっと高い所に位置していました。
桜の花が散るのとは異なり、アメリカセンダングサの頭花は自然に落ちたりしません。
つまり私は今回きわめて不自然な異物を給餌したことになります。
クモはラッピングした花を網から外すと第4脚で吊り下げつつ、甑に運びました。
未だ包みに横糸が少し粘着しているのに、構わず運んで引きちぎろうとしています。
途中で糸の抵抗に気づいたのか、振り向いて邪魔な横糸を切り包みを網から完全に外しました。
再び念入りに捕帯で包みます。
甑から左上に伸びる信号糸を伝って隠れ家に包を持ち帰りました。
獲物(花)を糸で固定してから捕食開始。

植物を主食とする唯一のクモとして、熱帯でアリアカシアの栄養体(エライオソーム)を食べるハエトリグモの一種が近年発見されています。(※追記参照)
日本に草食性(ベジタリアン)のクモが居るとは知らず、心底驚きました。
もちろんイシサワオニグモが普段は昆虫などを網で捕らえて食べる肉食性であることは、過去に何度も自分の目で観察しているので、疑う余地はありません。
完全な肉食でもベジタリアンでもなく、雑食性なのでしょうか?

イシサワオニグモ♀が網に付いた枯葉を捨てることを2年前に見ています。

▼関連記事
網に付いた枯葉を取り除くイシサワオニグモ♀(蜘蛛)

『網をはるクモ観察事典』p10によると、

造網性のクモは、網を振動させる行きた獲物だけをえさにします。そのため、小さな枯れ葉やゴミが網にかかっても、獲物とまちがえることはありません。でも、枯れ葉を音叉で振動させると、クモは枯れ葉を獲物とまちがえて糸を巻きはじめます。



映像をご覧の通り、今回アメリカセンダングサの花に音叉で振動は与えていないのにクモは梱包ラッピングしました。


本当に花を好んで食べているのか、他の可能性も考えて色々と実験してみました。
食べ始めたらさすがに「餌じゃない!」と過ちに気づいて花を捨てるだろうと予想したのですが…。

つづく→#2:隠れ家でアメリカセンダングサの花を食べ続けるイシサワオニグモ♀




【追記】
『種子散布―助けあいの進化論〈2〉動物たちがつくる森』という本に収録された総説、大河原恭祐『なぜアリ散布が進化したのか』を読んでいたら、興味深い記述を見つけて驚きました。
北海道の針広混交林の林床で4種のアリ散布植物(カタクリ、エゾエンゴサク、ミヤマスミレ、ツボスミレ)の種子捕食者を調べたところ、エライオソームを食害した節足動物にクモ類が含まれていたそうです。(p126-127より)
原著論文が一般に公開されていないので、そのクモが具体的に同定されているかどうか分かりません。
大河原恭祐. Seed dispersal of some myrmecochorous plant species, with effects of elaiosomes and ground beetles. 1996. PhD Thesis. 北海道大学. 邦題「アリ散布型植物数種における種子散布 : 特にエライオソームと地上歩行性甲虫の影響について」


農道をパトロールするネコ



2015年10月上旬

農村部で脇道(農道)を歩いていると、向こうから1頭のネコFelis silvestris catus)が歩いてきました。
どうやら近所で飼われている猫のようです。
望遠レンズで撮っている私に猫も気づき、立ち止まるとじっとこちらを凝視して警戒しています。
忍び足で更に近づいて来ます。
ときどき何かの物音に怯えて振り返りました。
左目が濁っていますかね?(白内障?)
私が行く手を塞いでいるので、ネコは遂にUターンして歩き去りました。
ときどきこちらを振り返ります。

轍の間で何か獲物(虫?)を見つけたようで草むらを調べています。(@2:50)
再び歩き始める際に軽く腰を屈めて排泄(排尿?)したように見えました。(@3:05)
しかしすぐに座り込んで毛繕いを始めたので、違うかもしれません。(自分の排泄物の上には座らないでしょう。)
股関を舐めています。
飛来したモンシロチョウ?にギクッと驚いたように身構えました。(@3:17)
立ち上がってまた歩き始め、今度は道端のイヌタデ群落を調べています。(@4:20)
虫を捕食しようとしているのかな?
ときどきこちらを振り返りながら、ゆっくりした足取りで奥を横切る車道に合流しました。
車道の手前の草地でごろんと寝そべり、毛繕いを開始。

つづく



2016/01/15

秋桜の花蜜を吸うトラマルハナバチ♀



2015年10月上旬

農村部の家庭菜園の畑に咲いた赤紫色のコスモストラマルハナバチBombus diversus diversus)のワーカー♀が訪花していました。
後脚の花粉籠は空荷でした。

秋風が吹いて秋桜の花が揺れ、撮りにくい条件でした。



イヌタデに産卵するベニシジミ♀



2015年10月上旬

道端にアカマンマ(イヌタデの俗称)の花が咲いています。
イヌタデの群落でベニシジミLycaena phlaeas daimio)を見つけました。
ベニシジミの幼虫はタデ科を食草とするのを思い出しました。
行動を注意深く見ていると、腹端を曲げて根際の茎に擦り付けていました。
私は外見でベニシジミの性別を見分けられないのですが、おそらく産卵中の♀でしょう。
その後は葉表に出てきてしばらく休息も兼ねて日光浴していました。
しばらくすると、再び葉裏に隠れてしまいました。
茂みの奥に潜り込むため、説得力のある決定的な産卵シーンの映像が撮れず、もどかしい思いをしました。

撮影後に卵を探してみればよかったですね。
幼虫越冬らしいので、飼育してみるのも面白そうです。


【追記】
新開孝『虫のしわざ観察ガイド—野山で見つかる食痕・産卵痕・巣』によると、ベニシジミ♀の産卵習性は私が観察した通りでした。
(ベニシジミの)♀は食草の根元に潜り込んで産卵する。(p28より引用)







2016/01/14

台風の大雨を巣で耐え忍ぶキアシナガバチ♀




2015年9月上旬


キアシナガバチ巣の定点観察@トウカエデ枝#11


前回の記事と時系列が逆になってしまいました。
台風18号が日本列島を横断中で大雨が降っている日に話は遡ります。

嵐の中、キアシナガバチPolistes rothneyi)の巣の様子を見に行くと、在巣の蜂は♀一匹のみに減っていました。
台風とは無関係に、どうやら時期的にコロニーが解散しつつあるようです。

外役に出たまま嵐で帰れなくなっている個体も少しはいるでしょう。
在巣のキアシナガバチ♀は巣盤の下面に掴まっているだけで、排水行動はしていません。
育房内にもう幼虫や蛹(繭)が無いせいか、あるいは内役しない新女王なのかもしれません。
上に枝葉が生い茂っているため、台風の豪雨でも巣は直接雨水に濡れることはありません。
巣柄の付いた横枝の上面は雨で濡れています。

台風が通過した後も巣は無事でした。

つづく→#12:解散したキアシナガバチの巣@トウカエデ枝【暗視映像】




クスサン(蛾)の走光性



2015年10月上旬・午後18:13〜18:15

いよいよ羽化したクスサンCaligula japonica japonica)成虫が飛び回る季節の到来です
1頭の大きなクスサンが夜の交差点を照らす外灯の虜になり、周りを乱舞していました。
絵に描いたような走光性ですね。

オレンジ色の光が眩し過ぎて、ビデオカメラのAFも眩んでしまうのか、どうしてもピンぼけになりがちです。

さて、このオレンジ色の外灯はナトリウムランプだと思うのですが、それでも夜行性の蛾を誘引してしまう(改善の余地がある)のですね。

紫外線を発しないので蛾などの昆虫が集まらず、汚れにくいのでメンテナンス上有利(wikipediaより)
道路の街灯の色は何故オレンジ色がおおいのですか?(Yahoo知恵袋より)

道路照明には夜行性の昆虫が群がり寄る心配がありますが、昆虫は特に紫外線に感応し黄色の光の波長域には感応しません。従って黄色の単色光だけを出すナトリウム灯には昆虫は近づかないのです。


▼関連記事
クスサン♂(蛾)の悲劇:走光性と光害問題



【追記】
松原始『カラス先生のはじめてのいきもの観察』という本を読むと、昆虫の走光性(飛んで火に入る夏の虫)についてコンパクトに解説されていました。
昆虫は光源に対して一定の角度を保って飛ぶという、極めて単純な誘導システムを使うと考えられている。
月に対して一定の角度を保って飛ぶだけで、短時間なら、昆虫は直進できる。だから、彼らは夜空に浮かぶ明るい光源を目印にするのだ。だが、この光源が思ったより近かったら、どうなるだろう?
光源に対して90度より小さい角度を保って飛んだ場合、ムシの飛跡は螺旋を描きながら光源に近づき、最後は衝突する。 90度より大きい場合は、螺旋を描きながら光源から遠ざかる。光源から遠ざかる場合があったとしても、そういう虫は闇の中に消えてしまうので、我々の目に止まらない。90度ぴったりの場合は、円軌道を描いて光源の周囲を回り続けることになる。 灯りに向かって飛びこみ続ける鬱陶しいムシは、本来ならちゃんと機能するはずだったルールに従っているにすぎない。言ってみれば、光源なんてものを手の届く距離に作り出した人間の犠牲者なのだ。 (p147-149より引用)

下線部でも特に90度より大きい場合について書かれた解説はあまり読んだことがなかったので、そう言われて初めて気付かされました。(目から鱗)



2016/01/13

軒下で大きく育つキイロスズメバチの巣:増築中



2015年10月上旬・午後15:42〜15:52

キイロスズメバチ巣の定点観察#1


山麓に佇む木造家屋の南西に面した軒下にキイロスズメバチVespa simillima xanthoptera)の巣を見つけました。
この時期に営巣中のコロニーは初見です。
ワーカー♀は外被を増築中でした。
10月になっても未だ活発に巣を拡張していることに驚きました。

下から見上げると巣の外被は楕円球でした。
薄暗い軒下で屋根の棟木と垂木の接続部に吊り下げられています。
スズメバチの古巣を除去した痕跡が隣の垂木に見えるので、毎年のように代々ここで営巣しているのかもしれません。
外被中央に一つだけある巣口に蜂が何匹も出入りしています。
常に門衛が中から巣口を守っていますが、たまに門衛が居なくなると巣内に白い繭が見えました。
後半は、外被右下で造巣中のワーカーを狙って撮影します。
巣材を使い切ると、入れ替わるように別個体が近くで造巣を始めます。

キイロスズメバチは攻撃性が高いとされているので不安でしたが、巣の真下でカメラのストロボを焚いても怒って攻撃してくることはありませんでした。
動画撮影時には気づかなかったのですけど、写真を見直すと雄蜂がときどき外被を徘徊してるようです。(♂は触角が長く腹部の体節も♀より1節多い)
このコロニー出身の♂なのか、それとも交尾相手の新女王を求めて他のコロニーから訪問してきた♂なのでしょうか?

営巣地の目の前はスギの大木が2本立ち、横に沢が流れている自然豊かな環境です。
キイロスズメバチ♀はこの杉の木から巣材の樹皮を採取してくるのではないかと予想したものの、実際には確かめられませんでした。

※ 軒下で撮った薄暗い映像を動画編集時に自動色調補正を施しています。

つづく→#2:巣の外被で寝るキイロスズメバチ♀【暗視映像】


全景
全景
別アングル
♀♂
♀♂

イヌサフランの花粉を舐めるオオハナアブ♀



2015年10月上旬

道端の花壇に咲いたイヌサフランオオハナアブ♀(Phytomia zonata)が訪花していました。
花蜜ではなく雄しべの葯から花粉を舐めています。
(※ 雄しべが6本なので、3本のクロッカスは除外できます。)
食事の合間に脚を擦り合わせて身繕いしています。
粘って撮り続けると、花から飛び立ち見事なホバリングを披露してくれました。



2016/01/12

夜の隠れ家で身繕いするアカオニグモ♀b【蜘蛛:暗視映像】

2015年10月上旬

アカオニグモ♀の定点観察#21


1週間ぶりの午前中に様子を見に行くと、アカオニグモ♀b(Araneus pinguis)は垂直円網を張ったまま、隠れ家(クルミ葉裏)に潜んでいました。
腹背は未だ赤く色づいていません(黄色っぽい)。
クルミ幼木の葉はもう枯れています。
糸で綴っているから落葉しないのかな?





午後19:16〜19:40

日没後に再訪すると網を取り壊した後でした。
網を畳む行動をまたもや見逃してしまいました。
隠れ家のクルミ葉先とアメリカセンダングサの葉先を水平に結ぶ強靭な枠糸以外はきれいさっぱり破網済みです。
クモは隠れ家に潜んで身繕いしていました。

もし前回と同様に夜間も円網の甑に占座しているのであれば、生き餌を給餌したり色々とやってみたいことがあったのに、あてが外れました。
網に居るのかどうか?という素朴で単純な問題ですら、クモは気紛れというか掴みどころがなく、モヤモヤしたままです。

ビデオカメラや赤外線投光機のバッテリーも切れたので、夜の観察を打ち切り帰りました。

残念ながらこの個体を観察できたのは、この日が最後でした。
辺り一帯が草刈りされてしまったのです。
網の取り壊しや卵嚢作りなど残るテーマの撮影は来季以降の宿題になります。
2匹のアカオニグモ♀を見比べてみると行動の細かい点で個体差があるような印象を受けたので、追求し始めると奥が深そうです。
造網性クモの飼育も避けて通れないみたいで挑戦してみたいのですが、どうなることやら…。

シリーズ完。


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