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2023/01/31

白い菌糸塊?を食べるセンチコガネ

 

2022年9月上旬・午後12:20頃・くもり 

里山の林道の真ん中が謎の白い塊に覆われ、通りかかるたびに気になっていました。 
遠目にはまるで酔っ払いの吐瀉物のようです。 
林床の落葉や落枝などを分解する菌糸の塊なのでしょうか? 
白カビとも違います。(フワフワしていない) 
松ぼっくり(アカマツの落果)にも白い菌糸が侵食していました。 
アニメで見る腐海のような光景です。 

クリーム色の菌糸塊?の真ん中に1匹のセンチコガネPhelotrupes laevistriatus)が居座り、それを食べてしました。 
センチコガネは糞虫の仲間ですけど、キノコも好物であることが知られています。 
ということは、キノコ(子実体)になる前の幼菌なのかな?
関連記事(12年前の撮影)▶ キノコ好きなセンチコガネ
森昭彦『ファーブルが観た夢  地球生命の不思議な迷宮』という本を読み返すと、第4章はセンチコガネを扱っています。
キノコ(子実体)も食べるが、菌糸も好きらしいのだ。実際、自然界でも、枯れ葉がつもる森の土に、白い菌糸がびっしりとはびこることがある。センチコガネは、ここに飛来して、うまそうに食べていた。(p222より引用)

しかし残念ながら写真が添付されていないので、「白い菌糸」の様子を想像するしかありません。 

望遠マクロで顔正面から狙うと、頭楯の縁が丸みを帯びているので、オオセンチコガネではなくセンチコガネと分かります。 
鞘翅は鈍い藍色の金属光沢を帯びていました。 
大顎を開閉して白い菌糸を齧っています。 
食べかけの菌糸が頭部に少量付着していました。 

途中から飛来したハエは何でしょう? 
翅の根元がオレンジ色を帯び、脚も黄色っぽいです。 
素人目にはキアシフンバエと似ているような、似てないような? 
菌糸塊の表面を舐めながら、果敢にもセンチコガネの横から近づき、腹の下に潜り込みました。 
ショウジョウバエのような小型のハエも数匹集まり、菌糸塊を舐めていました。 

センチコガネはハエ類の存在には無頓着でした。 
同じ場所に陣取ってひたすら食べ続けています。 
一生食べきれない量のご馳走です。 
センチコガネが菌糸塊を食べ進む様子を微速度撮影で長撮りしてみたかったのですが、あいにくこの日は三脚を持ってきていませんでした。 
もし粘菌だとすると、菌糸塊?全体が脈動していたかもしれません。 

撮影後に被写体のセンチコガネを採集しました。 
標本写真を後で載せます。 
性別は? 

その後も定点観察に通ったのですが、センチコガネ類は二度と来ていませんでした。 (二匹目のドジョウは採れず)
このクリーム色の菌糸塊はやがて消失しました。 
秋が深まるとキノコの子実体(成菌)が育つかと期待したのですけど、跡地には何も生えてきませんでした。 
毎日チェックした訳ではないので、私が来ない日に、あっという間にキノコの子実体が生えてすぐに消えたのかもしれません。
もしかするとキノコではなく、粘菌の一種なのでしょうか? 
「白い粘菌」で画像検索するとシロススホコリなどがヒットしますが、素人目にはいまいちしっくり来ません。 

謎の菌糸塊?の正体をご存知の方がいらっしゃいましたら、教えてください。 
周囲の環境は雑木林の低山(里山)です。 
東北地方日本海側の多雪地帯で、ブナ帯よりも標高が低いミズナラ帯に属します。



センチコガネとキアシフンバエ?
センチコガネとキアシフンバエ?
採寸代わりに置いたクマよけスプレー(長さ20cm)
松ぼっくりも白い菌糸に飲み込まれつつある


2021/12/17

腐生植物ギンリョウソウの花

2021年9月中旬・午後 

里山で急斜面の細い山道を登っていると、山道の脇(標高585m地点)に白いギンリョウソウの花が多数咲いていました。 
腐生植物ギンリョウソウと出会えたのは8年ぶりになります。 
光合成をしないので葉緑素が退化しています。
関連記事(8年前の撮影)▶  
ギンリョウソウの花に群がるアメイロアリ♀ 
ギンリョウソウの花に出入りするアメイロアリ♀
訪花昆虫や種子散布の様子を観察したかったのですが、数日後に再訪したら何者かに盗掘されたのか群落ごと無くなっていました…。
こんなことなら、動画にも撮っておくべきでしたね。

2021/12/10

虫カビ(ボーベリア)に感染して死んだフキバッタ

 

2021年9月上旬・午前11:45頃・くもり 

里山の尾根道で丈の低い笹の茎にフキバッタの一種がしがみついたまま斃死していました。
黒変した体の節々(関節)から昆虫病原糸状菌の白い菌糸が吹き出していました。 
おそらくボーベリアBeauveria bassiana)の仲間が感染して死んだと思われます。 

この日は途中の山道でもあちこちで同様の斃死体を目撃しています。 
いつか微速度撮影でバッタの感染個体が植物をよじ登って死んでボーベリアの白い菌糸が湧き出る様子を記録してみたいものです。

2021/12/07

タマゴタケ幼菌に集まるニクバエ

 

2021年9月上旬・午後13:25頃・くもり 

山道の横のあちこちに真っ赤なキノコが生えていました。 
タマゴタケです。 
見るからに毒々しいのですが、食用可能らしい。 
 傘が大きく開く前の状態は幼菌と呼ぶそうです。 
開きかけの傘が割れて(裂けて)いる幼菌は、自然に割れたのか、それとも食害を受けたのでしょうか? 

帰り道にも同じ群落でチェックすると、風が強い日なのにニクバエの一種が来ていました。 
(風が吹くと匂い分子の拡散は大きく撹乱されてしまうはずです。)
しかしキノコに鼻を近づけて嗅いで見ても、ハエを誘引する腐敗臭や糞便臭などは感じませんでした。 
ハエは飛び立ってもすぐに同じタマゴタケ幼菌に舞い戻って来ます。 
2個の幼菌が並んでいても、ニクバエは割れたキノコに執着しているようです。 
この傾向はその後何度も見られました。 (n=3)
ハエは割れたり裂けたりしたタマゴタケの匂いを好むようです。 
タマゴタケ上のニクバエは口吻を伸縮させておらず、産卵行動も見られませんでした。 (天気が下り坂だったのでじっくり観察できず)
キノコを中心とする虫たちの生態系も奥が深いらしいのですけど、まず私はキノコの名前を一つずつ覚えるところから始めないといけません。 

タマゴタケの幼菌が成長して傘が開く様子を微速度撮影してみようかと思ったのですが、忙しくて手が回りませんでした。 
野生動物が食べてしまうのかキノコ狩りのヒトが片っ端から採取してしまうのか分かりませんが、数日後にはタマゴタケの群落は荒らされたり無くなったりしてしまうのです。 
私も幼菌を採集して自宅で栽培(?)しながら撮影する必要がありそうです。

2021/11/13

風媒花アカソの花粉が飛散する様子【HD動画&ハイスピード動画】

 

2021年8月下旬・午前9:30頃・晴れ 

山道の横の法面(斜面)に生えたアカソの大群落のあちこちから白い煙が立ち昇っていました。 
イラクサ科アカソの花穂は地味な風媒花です。 
雌雄同株で、穂状の雄花は茎の下方に付き、雌花は茎の上方に付いています。 
雌花が雄花よりも上にあるのは、自家受粉を少しでも減らすための工夫だと思われます。
朝露で濡れた花穂が朝日を浴びて乾くと、雄花から白い花粉が大量に放出され、風に漂うのです。 
風媒は文字通り「風任せ」で効率が悪いので、莫大な量の花粉を生産し無駄に飛ばさないと雌花は授粉できません。 
その代わり、虫や鳥などの送粉者を誘引するために花蜜や香りを生産する必要はありません。
花粉症の人は映像を見ているだけでくしゃみが出そうになるかもしれません。 

次にどの花穂から花粉が吹き出すのか予測できないので、花穂を揺すって強制的に花粉を飛散させてみました。(@2:07) 
ただし、揺らしても花粉が飛ばない花穂もありました(映像は省略)。 
未だ雄花の準備ができてないのか、充分に乾燥していないのでしょう。 (あるいは既に花粉を放出し尽くした雄花なのかもしれません。)

次に、花粉が雄花から吹き出す様子を240-fpsのハイスピード動画でも撮ってみました。(@2:33〜) 
不定期で予測できませんから、適当に狙いを定めた花穂を辛抱強く長撮りするしかありません。 
風で雄花から花粉が受動的にこぼれ落ちるのではなく、自然に何かが弾けるように花粉が勢い良く飛び出しています。 
乾燥した葯が破裂しているのですかね? 
拡散する花粉の動きで微風(空気の乱流)も可視化されて、なかなか見応えのあるスローモーションになります。

2021/07/17

春風に吹かれて飛ぶセイヨウタンポポの綿毛:種子の風散布

 

2021年5月上旬・午後14:30頃・晴れ 

田園地帯の農業用水路沿いに咲いたセイヨウタンポポの群落から白い冠毛の付いた種子が強風に乗ってパラシュートのように飛散していました。 
タンポポ種子の風散布を1/5倍速のスローモーションでリプレイ。(@0:31〜) 

ハイスピード動画でも撮ってみたいのですが、風は予測不能で今回は無理でした。 

2021/06/26

ヤドリギに寄生された桜の花で吸蜜するヒヨドリ(野鳥)

 

2021年4月中旬・午後15:15頃・晴れ
前回の記事(3ヶ月前の撮影)▶ ヤドリギに寄生された桜の木に来たツグミ(冬の野鳥)
ソメイヨシノに寄生するヤドリギの定点観察に来てみると、宿主の桜は花盛りで満開に咲いていました。 
ソメイヨシノは花が散るまで若葉はほとんど芽吹かないので、花期に常緑のヤドリギは樹上でよく目立ちます。 

ヒヨドリHypsipetes amaurotis)が桜の花蜜を吸いに来ていました。 
正当訪花するヒヨドリの嘴は花粉でオレンジ色に汚れています。 
したがって、ヒヨドリは桜の受粉を媒介していることになります(鳥媒花)。 
ヒヨドリと桜の組み合わせは春の風物詩で、珍しくはありません。 
今回は寄生植物ヤドリギも一緒に撮れたことで、一味違う動画になりました。

2021/05/25

ハンノキの雄花序から飛散する花粉(風媒花)【HD動画&ハイスピード動画】

 

2021年3月上旬・午前11:10頃・晴れ 

春が近づき、農地を囲む防風林のハンノキに花が咲いていました。 
ハンノキは風媒花なのであまり目立ちませんが、枝先に付いた細長い赤紫色の雄花序に黄色い花粉を吹いています。 
春風に乗ってハンノキの花粉が自然に飛ぶ様子を動画で記録したかったのですが、この日は快晴でほぼ無風でした。 
指先で枝先を軽く叩いて雄花序を揺らすと、春のそよ風に乗って花粉が飛散しました。 
ハンノキの雄花序から花粉が飛散する様子を240-fpsのハイスピード動画でも撮ってみました。(@0:48〜) 

周囲の農地は未だ残雪に覆われていて、日陰の池には薄氷が張っています。 
早春の林床に咲く草花はスプリングエフェメラルと呼ばれますが、ハンノキの花はそれよりも早くひっそりと咲くのですね。
ハンノキの若葉が芽吹くのはその後です。

田中肇『花と昆虫、不思議なだましあい発見記』という本によると、
風媒花をつける樹木(ハンノキなど)たちが、葉が開くまえに花を咲かせるのは、生き残るための大切な習性である。葉が広がってしまうと、花粉を運ぶ風を弱めるし、せっかく風に乗った花粉が葉についてしまい、受粉の障害物となる。それを避けるために、花は葉が開くまえに咲く。それにしてもハンノキは早い。葉が開くのは開花から二ヶ月も後なのだから。 (p226より引用)

ちなみに、ハンノキの枝先にイラガ(蛾)が羽化した後の空繭を見つけました。 
イラガの幼虫は広食性で、ハンノキの葉も食べることが分かっています。
▼関連記事(5年前の撮影) 
ハンノキで見つけたイラガ(蛾)の幼虫
動画撮影時の私は、ハンノキの雌花について勉強不足でした。 
植物図鑑で調べて雌雄同株と知りました。 
後日(3月中旬)に雪山で撮った雌花の写真を掲載しておきます。
雌花にも目立つ花弁がありません。
 

2021/05/23

ススキ種子の風散布を実演

 

2020年12月上旬・午後14:40頃・くもり 

山麓の道端に生えたススキの群落が枯れて、熟した穂が秋風に揺れていました。 
ススキの穂先を手でしごいてほぐすと、綿毛の付いた種子が風に乗って飛び去りました。 
ススキの種子は風の力で分布を広げる風散布型です。 

実はこのとき空中に白い綿毛がフワフワと飛散していたので、ススキの種子なのかと思いきや、近くにあるガマの群落から綿毛が飛散したのでした。 

▼関連記事(4年前の撮影)

このぐらいの風の強さでは、ススキの種子が自然に飛ぶことはないようです。 

2021/04/22

寄生植物ホザキヤドリギの黄色く熟した果実(宿主ハンノキ)

 

2020年12月上旬・くもり 

里山の山腹で、とある落葉樹の枝に見慣れない黄色くて丸い実が多数なっていました。 
蔓植物ツルウメモドキの未熟果にしては実の付き方が不自然です。 
枝に塊状に局在しているため寄生植物のヤドリギかな?と思ったものの、ヤドリギの葉は確か常緑で冬でも青々と葉が茂っているはずです。 
今回見つけた寄生植物は、なぜこれほど葉が少ないのか、不思議でなりません。 
栄養を葉の光合成に頼らない寄生植物は、葉が少なくても(ほとんど無くても)これほど大量の実を作れるのかな? 

寄主(宿主)となった樹木は完全に落葉していましたが、ハンノキと判明しました。 
来春に咲く花序の冬芽と熟した果穂が枝に残っています。 

山渓ハンディ図鑑『樹に咲く花―離弁花〈1〉』という本格的な植物図鑑で調べてみたら、ヤドリギの次にホザキヤドリギ(穂咲き宿り木)という別種の植物が掲載されていました。(p362) 
「中部地方以北に分布し、ヤドリギの仲間ではもっとも寒冷地に適応した種類」らしく、寄主植物のリストにハンノキが含まれていました。 
果実は液果で、10〜11月に淡黄色に熟すのだそうです。 
更にインターネット検索で調べると、常緑のヤドリギ(ビャクダン科)と異なり、ホザキヤドリギ(オオバヤドリギ科)は冬に落葉するのが特徴なのだと知りました。 
科レベルで違う別種なのに、寄生植物としてここまで収斂進化するとは驚きです。 

謎の寄生植物の正体がずっと分からず、気になったまま春まで放置していました。 
すぐに調べてホザキヤドリギと知れば、冬の間に定点観察に通って、鳥が熟果を食べに来る様子(鳥による種子散布)を観察したかったです。 
見つけた日は辺りに鳥を1羽も見かけませんでした。 
果実が赤く熟すまで鳥は食べに来ないのかと思ったら、ホザキヤドリギは黄色が熟果の色なのだそうです。 
せめて樹の下に黄色い落果を拾いに行って、果肉に粘り気があることを確認すべきでしたね。 

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